自分以外の人間が信じられなくなった。組織が崩壊してやっと痛いことから解放されたと思ったのに、わたしの身体は一寸も動くことが叶わなかった。それに加えて、扶けに来てくれた人間の顔が科学者に見え、わけもわからず異能力を発動させたのは記憶に新しい。一歩間違えれば犯罪者になっていたわたしは保護観察目的で日本へと連れて行かれる。だけど、未知なる場所への恐怖には抗えなくて、監視員を次々と弑してしまう。そんな中、わたしの前に現れたのは一人の男だった。近づき過ぎず、遠過ぎずの存在に、だんだんと絡まっていた糸が解けるような感覚を抱いて。