研究室について

　子どもは未来を支えていく存在であり、病気や障がいを抱える子どもと健康な子どもがともに生き、互いに学べる社会であることはとても大切なことです。

　また、疾患や障がいを抱えた子どもの多くは、疾患や障がいとともに大人になっていくものの、からだやこころのこと、学校、就職、結婚・妊娠などで困難に直面します。

　小児看護・小児保健の視点から、疾患や障がいを抱えた子どもたちが診断時から治療後まで豊かな生活を送ること、疾患や障がいを抱えた子どもたちが大人になっていくことを教育・研究しています。

研究テーマ

　下記のテーマに関わらず、小児看護・小児保健に関する研究を幅広く行っています。
　一緒に相談しながら、研究テーマを決めていきます。

• 小児慢性疾患における長期フォローアップ
  

　小児慢性疾患の予後が改善するとともに、小児慢性疾患を抱えた子どもたちの多くが成人期に達しています。このため、小児慢性疾患やそれと関連した健康問題を長期的にマネジメントすることが不可欠です。
　このテーマでは、小児慢性疾患と関連した身体的・心理的・社会的問題の解明、その長期フォローアップの実態把握および新たな介入の開発を行っています。

• 重篤な疾患を持つ子どもの治療選択に対する家族と医療者の意思決定支援

　依然として神経学的予後・生命予後が極めて厳しい状態と宣告された疾患を持つ子どもも多く、NICUにおいて子どもの状況を家族と共有し、家族が意思決定を行う方法を確立することは国内外共通の課題となっています。

　このテーマは、助教の北尾先生が中心となって進めており、神経学的予後・生命予後が極めて厳しい状態と宣告された疾患を持つ子どもの家族が、NICUで医療者とともに治療やケアに関する意思決定ができる方法を確立することを目指しています。

• 小児・思春期・若年成人期がん経験者の復学・就労支援
  

　小児・若年成人期がん経験者は疾患や治療と関連した身体的な問題を抱えることが多く、この身体的な健康問題は心理社会的な問題へと発展していきます。特に復学・進学・就職などの社会的問題は解決すべき喫緊の課題となっています。
　このテーマでは、復学や就職などの社会的問題が発生するメカニズムの解明、その知見を基にした支援方策の開発を行っています。

• Patient-Reported Outcomeの臨床実装
  

　近年、治療や看護、ケアを評価する上で、Patient-Reported Outcome（PRO）に注目が集まっています。PROの中でも、健康関連Quality of Life（QOL）は様々な疾患の治療・ケアの評価に用いられています。
　このテーマでは、健康関連QOLなどの小児・若年成人期患者のPROを測定するツールの開発、およびそのツールの臨床実装を目指しています。