性別変更、法改正見通せず=違憲判断も保守派慎重―与野党の意見交錯
最高裁が憲法違反と判断した性同一性障害特例法の規定について、法改正の見通しが立っていない。違憲とされたのは、戸籍上の性別を変更する際に生殖能力をなくす手術を事実上の要件とする規定で、改正は急務。ただ、自民党保守派を中心に同規定の削除には慎重で、改正を巡る与野党の考え方にも違いがある。
「立法府とも十分に連携して適切に対応したい」。林芳正官房長官は2023年12月27日の記者会見で、法改正の検討状況を問われたが、こう述べるにとどめた。
最高裁の判断は23年10月25日。規定について、生殖器の切除といった手術を受けるか、性別変更を断念するかの「二者択一を迫るものだ」として「違憲、無効」とする決定をした。これを受け、政府は「決定内容を精査し、適切に対応する」(森屋宏官房副長官)と表明していた。
法改正の見通しが立たない背景には、自民党保守派の存在がある。保守系議員らでつくる議員連盟は23年11月、法改正の必要性は認めつつも、「心理的な性別だけで法律上の性別変更を認める制度は日本にはそぐわない」とする声明をまとめた。「手術要件がなくなれば、それぞれの判断で性別変更ができる社会につながる」との懸念からだ。このため、保守派内には手術に代わる新たな要件が必要との声もある。
さらに、自民内には「性同一性障害」との名称は国際的に使用されなくなりつつあり、社会情勢に合わせた改正も必要との考えがある。立憲民主党は「未成年の子がいない」「変更後の性別と外観が似ている」という要件の削除も求めており、与野党の意見は交錯しているのが現状だ。
性同一性障害特例法は議員立法だが、改正すれば影響が及ぶ法律が多いため、政府提出法案にすべきだとの意見があるなど、改正の道筋も定まっていない。自民党ベテランは「当事者は固唾をのんで見守っている。重たい問題なので、十分な準備が必要だ」と指摘した。
[時事通信社]
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