量子計算を担う「量子ビット」の増加により、量子コンピューターの応用に向けた道筋が見えてきた。米IBMや欧米のスタートアップが開発を進め、足元では量子ビット数が1000を超えた。今後さらに量子ビットが増えていくと何ができるようになるのか、事例を紹介しながら解説する。
量子コンピューターと一般的なコンピューター(古典コンピューター)では、得意な計算が異なる。量子コンピューターは、量子化学計算や組み合...
阪大と富士通、量子計算のエラー低減 早期の実用化へ
大阪大学と富士通は2023年3月23日、規模の小さい量子コンピューターでも複雑な計算を可能にする計算技術を開発したと発表した。計算のエラー率を低減することで、量子情報を担う最小単位である「物理量子ビット」が少なくても、より高い計算能力を得られるようになる。この技術を実機に応用すれば、量子コンピューターの実用化時期を早められる見込みだ。 大阪大学の量子情報・量子生命研究センターと富士通研究本部量子
早大発NanoQT、量子計算機を大規模化 光ファイバーで
早稲田大学発の量子スタートアップである米Nanofiber Quantum Technologies(ナノファイバー・クアンタム・テクノロジーズ、NanoQT)は、新方式の量子コンピューターの開発に取り組む。光ファイバー共振器を量子計算に応用する独自の技術で、様々な用途に利用できる大規模量子コンピューターの実現を目指す。米国に本社機能を移し、人材採用や資金調達を加速させる。 NanoQTが開発す
IBM、量子コンピューターの優位性実証 物質モデルで
米IBMと米University of California, Berkeley(カリフォルニア大学バークレー校、UCB)の研究チームは、量子コンピューターが一般的な「古典」コンピューターを上回る性能を発揮できることを初めて研究で実証した。両者は量子コンピューターと古典コンピューターを使い、物質モデルのシミュレーション性能を比較することで量子コンピューターの有用性を確認した。研究成果は、科学雑誌