和室文化の無形文化遺産登録目指す…推進団体が3月発足

和室文化の無形文化遺産登録目指す…推進団体が3月発足

 日本の伝統的な住文化である「和室文化」を国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録することを目指し、建築史家や建築家らが3月26日に推進団体「現代・和室の会」を発足させる。生活空間としてだけでなく、日本の精神性にも強く影響を与える和室の大切さを訴えるという。

 農林水産省の調査によると、畳表の国内生産量は2023年は154万枚で、1996年の5・7%にまで減少している。輸入品を含めた供給量も19・4%と落ち込む。近年、住宅の和室や畳スペースは減少傾向にあるという。

 「和室はあまりにも当たり前の空間だったため、これまで取り立てて研究されてこなかった」と発起人の一人の早稲田大理工学術院の松村秀一教授(建築構法)は話す。こうした状況に危機感を持った日本建築学会は2016年から「日本建築和室の世界遺産的価値特別調査委員会」やワーキンググループ(作業部会)を設置し、和室や日本の住文化の学術的な調査を行ってきた。

 推進団体のメンバーには研究者のほか建設業者、職人、林業や茶道、華道関係者などにも幅広く参加を呼びかけ、今後、建築や畳製作の見学ツアー、シンポジウムなどを通じて登録の機運を盛り上げていく方針だ。

 発起人の中心となった神奈川大の内田青蔵特任教授(近代住宅史)は「和室は日本の生活文化や建築文化を凝縮した存在。世界に発信することで和室文化を継承していきたい」と話している。

 ◆無形文化遺産=ユネスコは無形文化遺産保護条約に基づき各国、各地域の伝統的な芸能や儀式、社会的慣習、工芸技術などを登録する。「代表一覧リスト」には「和食」「和紙」「歌舞伎」など日本の22件を含む611件が登録されている。

スゴ得でもっと読む スゴ得とは?

関連記事

おすすめ情報

読売新聞の他の記事も見る

エンタメの主要なニュース

エンタメのニュース一覧へ

エンタメのニュースランキング

ランキングの続きを見る
ニューストップへ