大学児童精神科(2024.1)

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先生、今日ね、ここへ来る特急電車の中で、うちの子
サラリーマン風の男の人に怒鳴られちゃったんです!
「静かにしろォ!!」って。



「えー。それはそれは災難でした。はじめての経験
だったんじゃない?」



あはは、もう顔がサアーッと土気色になって
しゅんっとおとなしくなりましたよ。



「そうか。ショックだったね。でも、電車がキライに
ならないといいなあ。」



いえいえ。
私も平謝りで、すぐデッキに出たんですけど、周りに
いた人たちが次から次に来てくださって、娘に話しか
けたり慰めてくれたりして、すぐに立ち直りました。
ま、これに懲りて、少しは静かになるといいんですけ
どね。



「ははは、どうかな。……で、新学期はどうですか?」



はい、うちから学校まで1キロ以上あって、ちょっと
遠いんですけど、三学期からなるべく歩いていくこと
にして、毎日がんばっています。
でも、やっぱりあの子、学校がイヤなんですよね。
時間も分かっているし、急がなくちゃいけないのも分か
っているのに、まあグズグズ30分以上かかります。




「まさに、足取りが重いって感じだね。」




そう、やっぱり学校でも叱られることが多くて……。
毎日毎日、かわいそうになっちゃいます。
でもフルで行ってるわけじゃないので、そのくらいは
がんばって欲しい気もするし。



「そうね。まあ、彼女にはつまらないんだろうけど
落ち着いているなら行かせていいよ。」



あ、そうそう先生。
この間、教室の廊下で娘を待っていたら、「はたらく
細胞」っていう本のことでクラスが盛り上がっていて
娘が得意そうに「わたし、白血病だったんだよ!」って
言ったんです。
そうしたら、教室がしーんとしちゃって、先生が困った
ように「そんな深刻なこと言っちゃだめだよ。」って。



「ああ、別に悪いことじゃないのにね。」



なんか、そろそろあの時のことが思い出になって、
誰かにしゃべりたいみたい。親ではない誰かに。



「うん、それ心理士に言っておきます。大事なこと
かもしれないね。」



次回は朝の通勤ラッシュを避けて、少し遅い時間に
してもらいました。
特急の中で食べるつもりだったおにぎりを、すっかり
食べそびれてしまったので、帰りはサイゼリアに直行
して、ふたりでハンバーグやらドリアやらピザやらを
オニのように平らげました。










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