「3日」がカギ…突発性難聴、早期治療が明暗分ける

2014.09.26


会議中に突然、聞こえなくなるなんてことも…【拡大】

 近年、著名なミュージシャンらが発症し、注目を浴びた突発性難聴。その名の通り、ある日突然、片耳が聞こえなくなってしまうという恐ろしい病気だ。

 「気圧の変化で耳がつまるじゃないですか、朝起きたらあんな状態だったんです」と、その時を語るのは、家電メーカーに勤める石原三郎さん(58)=仮名。ただし、詰まったのは右耳だけ。痛みはないものの、気に障る。翌日になっても同じ症状が続いたので診療所を訪ねると、突発性難聴を告げられ、専門医に行くように指示された。

 「突発性難聴は、突然、片方の耳が聞こえなくなる病気です。発症する方の大半は40~60代で、耳鳴り、めまいを伴うこともあります」と、語るのは、耳鼻咽喉科を専門とする神尾記念病院の神尾友信院長。

 厄介なことに、原因不明で予防法はないというが、治療は確立されていると、神尾院長は語る。

 「耳の奥にある内耳の血流を改善させる薬や神経を活性化させるビタミンB12剤、ステロイドホルモン剤を投与すると、病状が改善することが多いですね。症状が軽ければ、完全に回復します」

 通院での投薬治療が一般的だが、入院をして集中的に治療をするのも有効な手立てだという。

 「入院して、点滴と並行してブロック注射などを使った治療を行えば、治る確率も高まります」(神尾院長)

 ただし、聴力が元に戻るのは、早期に診断を受け、すぐに治療を始めた場合がほとんどだという。

 「発症から2週間過ぎてしまうと、治療をしても効果が出ない場合も多く、完全に回復しないこともあります。また、聴力が戻っても耳鳴りが残ってしまう場合もあります」(神尾院長)

 この病気も、ご多分に漏れず早期発見、早期治療が肝要のようだが、年を重ねれば、耳は遠くなるもの。耳の不調で、すぐに病気を疑えというのもなかなか難しいだろう。そこで判断基準になるのが、チェック表=別項=と、聞こえづらさが3日続くかどうかという点だ。

 「難聴や耳鳴りが連続的に3日続いたら、要注意です。そうした症状は、突発性難聴はもちろん、脳腫瘍によるものの場合もありますから、3日過ぎても治らなければ、必ず病院に行って検査を受けてください」(神尾院長)

 片耳だけだからという油断が、取り返しのつかないことになる可能性もある。疑わしい症状に見舞われたらすぐに専門医に診てもらうようにしたい。

【突発性難聴チェック表】
 ※2つ以上当てはまるようなら要注意
 ・耳が詰まった感覚がする
 ・突然、音が聞こえづらくなった
 ・音が割れ、エコーがかかったように聞こえることがある
 ・キーン、ジーといった耳鳴りが続く
 ・周囲が回転するようなめまいが続く

 
今、あなたにオススメ

注目情報(PR)

健康・医療注目ニュース

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

毎日25分からのオンライン英会話。スカイプを使った1対1のレッスンが月5980円です。《体験無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。