したがって、市長は、自らの一連の言動について、まず議会や市民へ説明し、見解を明らかにする責任があります。
その後、今回の判決に対する控訴事由を説明して、控訴の是非について議会の判断を仰ぐのが道理です。
しかるに、市長は臨時議会の開催する時間的余裕がないことを理由に、こうした手続きを一切取らずに専決処分により控訴を行いました。
しかし、判決が出る前の12月22日以降の動きを見る限り、「時間的余裕がない」とは言えず、議会の議決権と市民をないがしろにしていることは明白です。
さて、市長が控訴したことを受けて、山根議員の弁護士は「石丸市長個人への請求が棄却されたため」として控訴しました。
山根議員は全面勝訴したのになぜ控訴したのでしょうか。
取材を元に説明しておきたいと思います。
まず、市長の控訴だけでは、「市長が不服申し立てした事項について審議される」ことになり、判決はこの審議によって判断されます。
つまり、市長が設定した土俵で戦うことになりますので、山根議員にとっては不利な条件となります。
そこで、「市長が不服申し立てした事項」の枠を広げて審議することによって、対等もしくは有利な条件を作ることができます。
つまり、山根議員は、控訴することにより市長の土俵ではなく、自分の土俵で審議をすることができるのです。
この山根議員の控訴を「付帯控訴」といいます。
市民の皆さんにはなかなかイメージできないかもしれませんが、民事裁判においては通常の手続きだと思ってもらえばいいと思います。
ただ、山根議員の弁護士は「石丸市長個人への請求が棄却されたためなど」を控訴理由にされていますので、土俵をかなり広く設定されていることが見て取れます。
これは、「石丸市長個人としての責任」について審議することが念頭にあるのではないでしょうか。
いずれにしても、山根議員は1審で全面勝訴をしていますので、市長が控訴をしなければ、山根議員が控訴する必要はなかったのです。
さて、本会は先日の役員会において、市長のリコールについて検討しましたので報告します。
市長のリコールは、
① リコール実施体制を含めた諸準備
② 署名収集~請求(30日以内)
③ 署名審査・住民投票(請求日から60日以内)
④ 市長選挙(住民投票後50日以内)
という経過をとりますので、新市長が誕生するまでには急いでも5か月余りの時間が必要になります。
つまり、リコールによって新市長が誕生するのは、急いでも6月の中・下旬頃になります。
ところが、すでに7月下旬には市長選挙が予定されていますので、1か月の時間差しかないことがわかります。
したがって、本会としては、市長リコールを断念し、議会の動向を見ながら、関係団体と連携を取りながら市政刷新に向けて奮闘していくことに決定いたしました。