星アキラは自由に生きたいっ (Magical forest)
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プロローグ
星アキラは今、10歳にして人生のどん底にいた。
きっかけは彼を批判する週刊誌の記事であった。
その週刊誌曰く、星アキラは演技の才能が欠けている凡人であるとともに、母親の権力を笠に着た傲慢な人間であるが、彼の母親が息子の可愛さから強引に仕事を与えており、母親が居なければ役者の仕事もできない無能であるという主張である。
「僕は自分の力で役者の仕事ができていたのではないの?」
そして、そんな傲慢な彼の出演を強制されたプロデューサーや現場は浮いた演技をする無能な彼を嫌っているという情報と、星アキラの傲慢な振舞や無能な演技の例として、悪意を持って、身に覚えのない事がさも事実のように書かれていた。
「みんなあんなにやさしくしてくれたのに、それは全部嘘だったの?」
さらに悪い事に、ネットの掲示版ではその記事が注目され祭りとなっており、彼の人間性と演技を否定する書き込みで溢れていた。
「あんなに頑張って努力して演技したのに、どうしてみんな僕を認めてくれないの?」
今まで周りの信頼を得ていると思い込み、自分の才能と仕事に誇りを持っていた彼の心を悪意を持った言葉が深く傷つけていく。
役者とは何か?演技の才能とは何か?なぜこんなことを理不尽に書かれなければいけないのか。
様々な感情で頭がいっぱいになった彼は、部屋に籠り演技や役者の本を読み漁った。
そして、自分には役者の才能が無い事を最悪のタイミングで知ってしまう。
「僕には役者の才能が無いの?」
それは、彼が薄々気が付いていた事実であったが、絶対に認められない事実でもあった。
星アキラという人間にとって、役者というのは夢やあこがれの職業ではなく、子育てをネグレクト気味であった母親とを繋ぐ唯一の絆であり、今まで生きてきた彼の基盤そのものであった。
「そんな事言ったって、役者じゃなければ母さんは僕を見てくれないじゃないか。」
食事も水も取らず、部屋に籠って3日目、彼が今まで生きてきた理由をすべて破壊され、限界が訪れようとしていた。
「そうか、僕は役者になりたいんじゃなくて、ただ単に母さんにかまって欲しくて役者を続けていただけなんだ。これは、そんな間違った動機で役者を続けていた僕への罰なんだ。」
彼はまだ10歳の子供である。本来は、ここまで追いつめられる前に大人が彼に寄り添い、彼の心を優しく守ってあげる必要があった。
しかし、女優時代に心が壊され、ネグレクト気味だった彼の母親は、息子が大きな挫折をする前に、自分には才能が無い事を知るべきだという、理性的な教育方針を持ち、彼を一人にしてしまった。
問題の週刊誌を彼女から直接渡されたという理由も大きいだろう。
「もう僕は誰にも必要とされないんだ。」
ある意味、これも息子にこれ以上苦労の道を歩ませたくはないという、母親の愛の形ではあるのだが、普通の母親は、息子の精神状態に気を遣うはずであり、飲まず食わずで3日も部屋に籠ったら確実に心配する。
しかし、彼の母親である星アリサは、元は超が付くほどの国民的なスター女優であり、現在はスターズという芸能事務所の社長として多忙の身であった。
さらに、悪い事に、彼の母親である星アリサから見ても、星アキラという息子は、役者の才能こそ無いものの、自分にはもったいないぐらいの非常に出来の良い息子であった。
彼女は、息子ならこういった挫折を乗り越えてくれるという歪んだ信頼を持っており、彼を意図的に放置した結果、悪い方向に進んでしまった。
「もう僕は空っぽなんだ。」
彼はメモ帳に"ごめんなさい"と書いた後に、本棚の上にロープを通して、自殺した。
しかし、彼にとって幸いなことにこれは自殺未遂となった。
未遂に終わった理由は彼が首を吊るために飛び降りた際に、ロープを結んでいた本棚が彼の体重に耐え切れずに、前に倒れて彼を押しつぶし、大きな物音に気が付いたお手伝いさんが部屋に駆け込んで、救急隊に通報したためであった。
結局、星アキラは、本棚が崩れる際に後頭部に裂傷を負い、3か月もの期間、昏睡状態に陥る。
そして前世を思い出す。
前世を思い出した星アキラの物語はここから始まるのであった。
重いプロローグになってしまい、申し訳ないです。
この後3話ほど、この騒動の顛末(ざまぁ)が書かれます。
昏睡状態で、前世を思い出すのは4話で、星アキラが目を覚ますのは5話目になります。
星アキラが目を覚ました後はもっとライトな感じで話が進んでいく予定です。
星アキラが目を覚ますまでちょっと待っていただけたら幸いです。
次回は掲示板回の予定です。
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子役スレ【退避スレ】
1名無し@子役好き
ここは、子役スレの退避スレです。
本スレが星アキラの誹謗中傷で収拾がつかないので、子役についての真面目な議論はこちらで行います。荒しは厳禁。即通報となります。
13名無し@子役好き
結局、本スレやトイッタ―なんかのSNSで、何で星アキラがこんなに叩かれているの?
14名無し@子役好き
普段はまず叩けない星アリサへの間接的なやっかみと、同じく普通は叩く事ができない10歳の子供を週刊誌の記事を元に大手を振って叩けるからかなぁ。
15名無し@子役好き
本人全く関係無くて草w
16名無し@子役好き
なんかみんな、星アキラが演技下手で、傲慢で態度悪いって言っているんだけど、本当の所はどうなの?
17名無し@子役好き
星アキラは良い子キャラで、子役ながらも主役を張るような注目株だったから、そりゃ、傲慢で態度が悪いとか言われるとイメージダウンだけど、でもどんな役でもこなす良い子役だったと思うよ。
18名無し@子役好き
子供探偵団の撮影時に、サインもらったけど、ちょっと話したらすごく礼儀正しくて、ファンになってくれてありがとうって、お礼を言われて、最高に幸せだった。
それに撮影時はすごく真剣だったし、あの週刊誌の記事は全く当てにならないよ。
19名無し@子役好き
本スレで叩いている連中は、祭りに乗じて外から来たやつばっかで、本当の子役好きの人間が、こんなに子役を否定するような書き込みをするなんて、信じられないゾ。
20名無し@子役好き
本スレ覗いてきたワイ、10歳の子供の人格を否定する書き込みのオンパレードに衝撃を受ける。
21名無し@子役好き
星アキラがそんなに憎いのかなぁ?
22名無し@子役好き
単純に自分よりも成功している10歳の子供を叩けるのを面白がっているだけ。叩いたところで、自分が底辺なのは変わらないのに。
23名無し@子役好き
娘がアキラ君のファンなので、すごく心が痛い。仮に娘がこんなに叩かれたら正気じゃいられない。
24名無し@子役好き
天使のようなアキラきゅんを叩くなんて許せない!あの記事を書いた記者を丸坊主にして謝罪させたい。
25名無し@子役好き
丸坊主は草生える。
26名無し@子役好き
実際、役者の才能はあると思うぞ。どんな役でも浮いていた事は無いし。ただ卒なくいろんな役をこなすから、母親と比べて印象が薄いというのはあるなぁ。
なんかのきっかけで噛み合うと大化けしそうなんだけど
27名無し@子役好き
星アリサと比べられる星アキラ君可哀想
28名無し@子役好き
でも実際、母親つながりで、仕事をもらっていることは確かだと思うぞ
29名無し@子役好き
そんな事言ったら、芸能事務所から仕事をもらっている人はみんな、事務所のコネで仕事をもらっているのと変わんないじゃん。
30名無し@子役好き
今回の件では、星アキラにとって、星アリサは逆親の七光りだな。
そもそも親が星アリサでなければこんなに叩かれる事も無かった。
31名無し@子役好き
逆親の七光りは草。ママからデバフ食らってるじゃんw
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168名無し@子役好き
えっ星アキラが自殺?
169名無し@子役好き
えっマジ?
170名無し@子役好き
ワイ驚愕。ソースクレメンス。
171名無し@子役好き
これ。
本日夕刻、俳優で芸能事務所社長の星アリサさん宅より、子役で俳優の星アキラさん(10)が倒れているとの通報があり、病院に救急搬送された。
星アキラさんは意識不明の重体。
関係者の話では、4日前に星アキラさんを批判する週刊誌の記事が発行され、それを見てショックを受けていた様子でそのまま部屋に籠っていたらしく、物音を聞いたお手伝いさんが倒れている星アキラさんを発見して消防に通報した模様。
倒れていた星アキラさんの首にはロープが巻き付けられており、警察では自殺と事故の両面から捜査を行う方針である。
172名無し@子役好き
ちょっと待って。事実が受け入れられない。
173名無し@子役好き
確かにえぐい記事だったけど、自殺するほどか?
174名無し@子役好き
10歳の子供があんな記事と批判にさらされて、SNSや匿名掲示板も同調してれば、そりゃショックも大きいだろうよ。
175名無し@子役好き
本スレを荒らしていた連中とそれに乗っかっていた連中の批判がピタっと止まって、おろおろ日和っているぞ
176名無し@子役好き
そりゃ、芸能人とは言え、子供を叩いて自殺しちゃうとか、普通に逮捕されてもおかしくないからな。星アキラ本人が本スレを見ていたとか捜査で判明すると、アンチ書き込みしていたやつらはかなりまずい立場になると思うぞ。
177名無し@子役好き
本スレで面白がっていたやつら、雰囲気にのまれて、みんなで批判すれば怖くないとか思っていたのかもしれないけど、未成年の人格を否定するような書き込みは普通に犯罪だからな。今頃運営もログを警察に提出する用意でもしているんじゃないの?
178名無し@子役好き
本スレは完全にお通夜モードなんだけど。
179名無し@子役好き
便乗して批判していたトイッタ―とかも消されまくるんだろうな。
179名無し@子役好き
退避スレもこれで終わりで、久々に本スレに戻れそうだ。
・・・もっとも、こんな終わり方は望んでいなかったが。後味が悪すぎる。
という訳で、掲示板の反応でした。
次回はこの記事を書いた週刊誌記者さんのお話になります。
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批判記事を書いた週刊誌記者の話1
大学を卒業して、夢の記者になってはや5年。
華やかな芸能界に憧れて週刊誌の記者になったが、現実は厳しく、人付き合いもうまくない俺はなかなか記事を当てることもできずに、記者としてくすぶっていた。
芸能界はコネと実績が重視される社会で、どちらも持たない俺は次第に、ゴシップやスキャンダル関係の記者として、芸能人に嫌われるような記事を書くようになっていく。
今の芸能界のトップは誰かと言われれば、元天才女優で今はスターズの社長、星アリサをおいて他にはないだろう。
しかし、星アリサのゴシップ記事を書いたところで読者に目新しい興味を引かないだろうし、盛り上がることも無い。
そこで目を付けたのが、その子供の星アキラであった。
星アリサが父親不詳の子供を妊娠した時にはそれはもう、芸能界は大騒ぎだったらしい。
母親に役者の英才教育を受けた星アキラは、4歳の頃から子役として活動し、母親譲りの容姿も相まって人気もあり、将来を嘱望されている。
星アキラを調べてみても、非常に素直な性格で人当たりも良く、現場でも可愛がられているらしく、嫌な噂などは聞けなかった。
ただ、取材をしているうちに、星アリサは百城千世子を可愛がっており、実は星アキラよりも百城千世子を優先している事が解ってきた。
同時に、星アキラというのはどんな役も問題なくこなすけれども、無難すぎて存在感が薄いみたいな感想も聞いた。
だがこんなのは記事にならないし、大した興味を引く事も無いだろう。
そこで俺は面白おかしくアレンジし、優等生の星アキラは実は傍若無人な人物で実は演技の才能は無いが、母親のごり押しで芸能活動で不当に配役をもらい続けているという記事にした。
星アキラのせいで役を降ろされた子役を担当するマネージャや、彼の傍若無人な態度に飽き飽きしているプロデューサーなどの話を捏造し、星アキラに才能が無い事をさも真実のように書いた記事を作成していく。
真実などどうでもいい。大衆というのは、分かりやすい悪や不公平に興味を示すのだ。
毎週なんらかの記事を乗せることをノルマとされている週刊誌の記者としては、もう真実なんて書く必要は無く、真実は自分で作るものだとさえ思っていた。
実際の所、ノルマから逃げるための、こんな嘘ばっかりのゴシップ記事は話題にすらならないと俺自身も考えていたのだが、星アリサに守られた10歳の未成年を堂々と批判した所がウケたのか、SNSやネットの掲示版でバズり始める。
ネット上では星アキラを公然と批判するコメントで溢れていく。
有形無形の悪意が星アキラへと集まっていた。それを見て俺は、ざまぁ見ろ。恵まれた生活を送っているからそうなるんだと。正義の記者のつもりで、ネット上の祭りを楽しんでいた。
純粋に自分の記事がバズっていたのが嬉しかった。
はい。騒動の元凶の週刊誌記者さんでした。
次回もこの週刊誌記者さんのお話になります。自分の記事で星アキラが自殺しちゃってどうなっちゃうんでしょうね?(ゲス顔)
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批判記事を書いた週刊誌記者の話2
状況が変わったのは、夜に編集長から呼び出しの電話を受けてからだ。
「すぐに出社しろ!」と俺は編集長に呼び出されて、編集部に行ってみると、会議室で編集長と会社の執行役員、顧問弁護士を名乗る男が待っていた。
嫌な予感がして、どうしたのかと聞くと、星アキラが自殺し、星アリサがこの出版社に対して警察に被害届を提出したらしい。
「あなたと出版社は星アキラの名誉棄損と侮辱罪の被告として刑事事件で捜査されますが、焦点は事実の摘示になります。記事で実際に証言した人物と記事内容が真実であるかが重要です。」
「記事にあった、証言者の一覧とメモや録音した証言を今すぐ提出しろ! これは大変な事になるぞ」
「ねぇよ・・・」
「どうした? 記者なら取材記録ぐらい取っているだろ?」
「だからそんな物は無いって言っているんだよ! 証言を捏造するなんてこと週刊誌の記者ならみんなやっているだろ!」
「なっ、何バカな事言っているんだ!お前は妄想で書いた記事で星アキラを自殺に追い込んだのか!」
「そんなの勝手に自殺する方が悪いんじゃねぇか! そんな豆腐メンタルで芸能活動なんてやっている方が悪いだろ!」
「お前っ!」
俺に殴りかかろうとする編集長を周囲の人間が止めてもみ合っている間に扉がノックされた。
「警察の者です。星アキラさんの自殺未遂について、お話を聞きたいので署まで任意同行をしていただけないでしょうか」
警察に連れられて、出版社の正面を出た所で、一斉にフラッシュが炊かれる。
見ると同業者たちが、星アキラ自殺というセンセーショナルなニュースに飛びついて、俺を取材しようとしていた。
「あなたの記事で星アキラさんが自殺されたのですが、これについてコメントをください!」
「あんな記事を書いて良心の呵責が無かったのでしょうか?」
痛ましい表情をしながら、星アキラの自殺という特ダネに殺到する記者たち。
心の中では、この大ニュースに狂喜しているのが丸わかりだった。
俺はこの瞬間、取材する側から取材される側に転落したことを実感した。
社会に情報を提供し、公益性が必要とされる週刊誌が未成年を自殺に追い込むという注目度の高いニュースのため警察の動きは迅速だった。
そして、捏造された関係者など実際に居る訳もなく、あっという間に捜査は終了して1か月後には自殺教唆と名誉棄損、侮辱罪で書類送検された。
裁判の中で、俺の記事が完全な捏造だと公に証明された。
自殺教唆については自殺までは予期できなかったとして適用されなかったが、名誉棄損と侮辱罪として懲役1年5か月、執行猶予無しの実刑判決が下された。
安易に売れる記事を書きたいという身勝手な動機から、未成年の名誉を謂れなき記事で傷つけ、自殺に追い込んだことが重要視された結果であった。
自殺教唆が適用されなかった事から、上告せずに、記事を書いてからわずか2か月で刑が確定して俺は犯罪者となった。
その後、民事でも莫大な賠償金を背負った俺は、両親に勘当され嫁とも離婚して、刑期を終えた後は、賠償金を払うため、今日も日雇いの仕事でなんとか食いつないでいる。
あの時、あんな捏造だらけの記事を書かなければ、こんなことにならなかったのに。
金を借りに行った時に、いつも穏やかな両親があんなに激昂するのを初めて見た。
「自分たちが貧乏な時に、星アリサの映画やドラマに励まされて今まで頑張って来れた。それをこんな形で仇で返すなんて!」
星アリサの大ファンである両親は、星アキラが子役として出る作品も、まるで自分たちの孫が出演した作品のように喜んで見ていたのを思い出した。
両親やそれ以上の世代にとって、星アリサは女優という以上の存在であり、バブルが弾けた後の暗い時代を、彼女の存在によって生きる希望を与えられたり、助けられた人が沢山居た。
だから彼女は伝説のスター女優なのだ。そんな彼らにとって星アキラと言うのは、自分達の息子や孫も同然であった。
いまさらながら、星アキラというのはただの子役ではなく、多くの人から将来を嘱望され、愛されていた役者だということが判った。
あんな記事で自殺してしまうぐらい、本人にかかるプレッシャーも相当なものだったのだろう。
悪意を持って記事を書けば、悪意は自分に戻ってくる。自分は記者としてそんな基本的な事すら忘れていた。
今さら、いくら後悔しても遅かった。
以上、週刊誌記者さんの顛末でした。
次回は星アキラ君が前世を思い出します。お楽しみに!
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星アキラは前世を思い出す
ずっと夢を見ていた。
それは前世の追体験だった。
前世の自分は、音楽家一家のお嬢様で、両親の影響で子供の頃はひたすらピアノとヴァイオリンに打ち込んでコンクールで賞を取りまくり、音楽学校を出てフランスへ留学したが、そこでいじめに遭い、逃げるようにアメリカへ。(日本に逃げ帰るのは恰好が悪くてできなかった。)
アメリカでストリートミュージックに出会い、留学そっちのけでひたすら路上演奏に熱中。
正確にはこのまま音楽家としてやっていける自信を無くして現実逃避していただけだけど・・・。
ストリート演奏でお金を稼いで収入が安定してきたころ、両親の事故の連絡を受け日本へ帰国した私を待っていたのは両親の亡骸だった。
両親の後を継いで音楽家になることを勧めてくれる知り合いも居たけれども、留学で挫折した私では両親の顔に泥を塗るような気がして、結局しばらくニート生活を送った。
やることもなく、抜け殻のように過ごす日々。
転機が訪れたのは、公園のブランコで寂しく揺られている時にばったりと、昔コンクールでライバルだった子と再会した時だった。
身の上話をしてみると、彼女は今、音楽の伝手を活かしてVTuberのマネージャみたいな業務をしているらしい。
「やる事が無ければ、VTuberでもやってみない?」 とVTuber事務所の社長を紹介され、その事務所の3期生としてデビュー。
とは言え、コミュ障な自分がそんなにうまく生放送できるわけもなく、3期生としては断トツの最下位スタートであった。
そんな私にも推しだと言ってくれるリスナーが付いて嬉しかったが、ブレイクする同期とのチャンネル登録者数の差が10倍近く付いた現状では、クビへのカウントダウンも迫っていた。
こんな状況でもまだ、私を好きと言ってくれるリスナーとの絆を放り出したくなかった。
もうこの頃には、配信とリスナーが私の生き甲斐となっていた。
もはや、どうにもならなくなった私は、どうすれば登録者数が伸びるのか、コミュ障な自分を曝け出して、話が面白くない自分の悩みを豪快に提示して、号泣しながらリスナーに解決策を聞くという前代未聞のやぶれかぶれな生放送を実施。
どうせこのままやっていてもクビになるだけなんだし、両親や親しい友人が居ない自分には、もう怖いものなんてなかった。
いや、いま一番怖かったのは、こんな私でも見捨てない、優しいリスナー達を失う事だったんだ。
なぜかその放送がバズり、急激に登録者数が上昇。
おまけに、この放送を見て、同期のVTuber達も積極的にコラボに誘ってくれるようになった。
同期の子たち曰く、「孤高の人だと思っていたから、すごく声をかけにくかった。」とのこと。
すいません。外面は孤高でも中身はポンコツなんです。
当時はVTuberもまだ黎明期で箱売りという概念が薄く、それぞれが生放送して仲の良い人だけがコラボするという状態だった。
同期とコラボで共演し始めると、会話や発想がすごく面白いと話題になり
「単独で話すといまいちなのに、コラボすると急に面白くなる女。貴重な常識人ツッコミ役」
と言う、非常に微妙な高評価を得て、どんどんリスナーが増えた。
そしてそれは3期生全体のブーストにもなった。
事務所内の先輩達にも声をかけてもらえるようになり、事務所外からもコラボしてもらえるようになった。
さらなる躍進は、自分の歌を自分で作曲するようになってからだった。
実際、これまで歌配信などもしていたんだけれども、リスナーからは
「声は綺麗でクリア。音程にも忠実。でも正確すぎてヴォカロみたいで、いまいち印象に残らない歌」という評価をもらっていた。
マネージャからは素体は良いので、歌のレッスンを受けることを勧められたよ。
そこで、昔の音楽学校で声楽の先生だった人が今は歌の教室をやっていることを知り、そこを訪ねる。
両親と私は昔は有名人だったから、私がレッスンを受けに来たのを見て驚いていた。
先生は私の現在の状況を聞いて、両親の死を悼み、私がまだ音楽に関わっていることを知って喜んでくれた。
先生の元、私はいろんな歌のテクニックや表現方法を知り、その体験を夜にリスナーに話して共有していった。
機械音声が天使の歌声に変わるのにそんなに時間はかからなかった。
歌が評価されると同時に作詞作曲にもチャレンジしてみることにした。
クラシックから派生したピュアな曲調やエフェクトを加えない生歌と、スピード感とギャップあふれる歌詞は、今の時代には、逆に新鮮に映ったようで、複数の歌が1億回再生を超えた。
そして何とVTuberとしては初めて、年末の歌合戦に呼ばれて歌を披露するという偉業を成し遂げる。
リスナー達も盛り上がり、まさしく幸せの絶頂だった。
終わりは唐突に来た。
VTuberの同期の子の結婚式に呼ばれて、結婚式の曲をピアノで披露して席に戻る時であった。
刃物を持った男が突然乱入して、新郎新婦に襲い掛かろうとしていた。
私はとっさに身を投げ出し、男ともみ合いになったが、そこで刺された。
男は新婦のやっかいリスナーらしく、結婚することが許せなかったのだろう。結婚する同期の子を見て激高していた。
この後、男はすぐに取り押さえられ、私は床の血溜まりの中に倒れこんだ。
新婦と同期の子たちが泣きながら駆け寄ってくる。
私は大丈夫と言ったが、出血が止まらず、だんだんと意識が朦朧としてくる。
私は、ここで人生が終わることをぼんやりと理解した。
新婦の子よ、トラウマを植え付ける血の結婚式にしてすまん。でもトラウマ座談会で私のゲジゲジに対するトラウマを知って、配信中にゲジゲジの昆虫食を出して来たのは今でも恨んでいるからな。
ふふっ。笑顔が浮かんでくる。人よりも短いかもしれないけど、良い人生だった。
最後は親友となった同期の子に見守られ、自分を支えてくれた愛する沢山のリスナーたちには悲しまれるのであろうけど、孤独だった私の死を悲しんでくれる人がこんなに居るとは、なんてすばらしい人生だったのだろう。
私のリスナー達よ。今なら推し変を許してやる。私はみんなに逢えて幸せだった。みんなも幸せになって欲しいと伝えるように、同期の子たちに頼んだ。
それが私の最後の言葉だった。
私は幸せだった。私を支えてくれた沢山の人たちに幸福あれ!!
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星アキラは目を覚ます
夢で前世の追体験をした後、僕はゆっくりと目が覚めた。
目が覚めて目に入ってきたのは、四角い電灯と白い天井。
窓は開いており、カーテンは揺れ、新緑の季節の涼しい風が室内に流れ込んでいた。
朦朧として、身を起こすと体中にチューブが巻き付いており、状況が理解できずに、どうしたんだろう?とか思っていると、ドアが開いて花瓶を持った千世子ちゃんが僕を見るなり、ビックリとした顔をして、がっしゃーんと花瓶を落として、180度回頭するとどこかに駆け出して行った。
演技以外で、千世子ちゃんのビックリとした顔を見ることはほとんどないので、珍しいなとぼんやり考えていると、突然医師や看護師たちがどたどたと入ってきて突然慌ただしくなった。
医師たちは僕を見るなり、気分は?とか、名前とか、この指は何本に見えるのか?とか、検査を始めた。
なんでこんな事になっているのか、判らなくて混乱していると、3か月間も昏睡状態であったこと、そして自殺したことを遠巻きに伝えられた。
そういえば、僕は自殺したんだっけ?
濃厚な前世を追体験した後では、自殺なんて遠い日の出来事に感じた。なんてちっぽけな理由で自殺したんだろうと、急に恥ずかしくなった。
あの時は真剣だったけど、今振り返るとまさしくスーパーウルトラ黒歴史である。
幸いなことに、検査で異常はなく、3か月の寝たきり生活で体が衰弱していた僕は、リハビリでしばらく入院することになった。
そしてビックリすることに、今は前世で死んだ2025年ではなく、2012年だった。
しばらく後に、この世界で前世の"私"が居るのか確認してみたけれども、コンクールの受賞者や住所などを見ても両親や私は確認できなかった。
そういえば、前の世界にスターズや星アリサなんて居なかった。僕はどうやらパラレルワールドに転生していたようだ。
---- 千世子サイド ----
ちっちゃい頃、アリサさんからスターズにスカウトを受けた私は、一緒にレッスンを受ける仲の良い男の子が出来た。
星アキラちゃんと言って、アリサさんの息子さんらしい。
アキラちゃんは1才年上ということもあり、面倒見が良くて甘えさせてくれるので、すぐに懐いた。レッスン後の宿題はいつも2人でこなして、一緒の仕事も多くて、控室で待っている間はいつも一緒に居た。
レッスンは、大抵の項目はアキラちゃんはすぐにこなすんだけど、何かを表現するお題を出されるといつも苦戦していたわ。
しばらくすると、私は1発でクリアできてもアキラちゃんは何回かダメ出しをされることが多くなったの。
そんな状態でもアキラちゃんは挫けずに、練習でなんどもやり直して、ものすごい努力をしていたわ。
多分努力では、私は絶対にアキラちゃんには敵わないと思う。それぐらい努力していたわ。
ある日、そんなレッスンにアキラちゃんが来なかった。次の日も来なくて心配になっていると、自殺したというニュースを見て真っ青になったの。
アキラちゃんが居なくなるの? 私は目の前が真っ暗になった。
そしてしばらく経って、アリサさんに無理を言って病院に連れて行ってもらって、寝たまま全く動かないアキラちゃんと対面したの。
顔が真っ青で生きている感じがしない。もう目覚めずに死んじゃうかもしれないって聞いて本当に怖かった。
血の気の引いた私は「どうしてこんなことになったの?」とアリサさんに聞くと、アリサさんは少し逡巡した後に、「あなたも知っておいた方が良いかもしれないわね。」と言って、ため息をつきながら週刊誌を渡してくれた。
週刊誌の内容は信じられなかった。嘘ばっかりでアキラちゃんへの悪意しかなかった。アキラちゃんの事を何も知らないくせに。私の胸の奥に沸々とした怒りが湧いてきた。
「役者をやっていれば、こういう記事も書かれる事があるのよ。でもアキラにはちょっと早すぎたわね。」
私の様子を見たアリサさんは、この週刊誌の記事を書いた記者の裁判に私を連れて行ってくれた。
被告人席に座るあの男がアキラちゃんの人生を奪った男。
裁判ですべての記事がでっち上げである事を認める証言をしたとき、私は怒りのあまり目の前が真っ赤になって、掴みかかろうとしたところをアリサさんに止められた。
「その感情をよく覚えておきなさい。その感情があなたを役者として大きく成長させてくれるわ。」
怒りに震える私とは対照的にアリサさんは、自分の子供を殺した男を冷ややかに見ていた。
母親ってこういうものなの? 自分が持っている母親像とはまったく違う対応にかなり違和感を覚えた。
「アリサさんは悔しくないんですか?」
「当然悔しいわ。あんなに下らない理由でアキラが死ぬかもしれないんだもの。でもここで怒っても何にもならない。むしろスターズ社長の醜態を世間に見せるだけよ。役者なら感情を魅せるのと同時に、感情をコントロールして自分の手元に置きなさい。それがあなたの心を壊さない方法でもあるわ。」
その言葉を聞いて、私は魂が抜けたように力なく椅子に座った。
自分の息子が死ぬかもしれないという状況でも文字通り、役に立つための経験とする。星アリサの凄みを知ると同時に、この時初めて役者の救えなさを体感したの。
それからアキラちゃんが昏睡状態に陥って3か月。アリサさんは忙しいので、私は暇を見てはアキラちゃんのお見舞いに来て、身の回りの世話をしていた。
外傷は治っているらしいんだけど、アキラちゃんは全く目を覚まさなかった。
病室は関係者以外面会謝絶だけれども、全国からいっぱい見舞いの品が届いているのを見て、アキラちゃんはこんなにみんなに愛されているんだって思った。
ベットの横の花の水を変えて病室に戻った時に、アキラちゃんが起き上がっていたのを見た私は、花瓶を落としたのを気にせずに、先生を呼びに走るのであった。
ようやくアキラ君が目覚めました。
アキラ君の物語はここから始まります。
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星アキラは電子ピアノを手に入れる
3ヵ月の寝たきり生活を終えた僕は、リハビリ生活を始めた訳だけれども、端的に言ってすごく暇だった。
最初は腕を持ち上げるだけでプルプルする有様で、軽く動かすだけで激痛が走ってちょっとのリハビリで満身創痍で死んだようにベッドでピクピク眠っていた。
でも若い体はあっという間に回復し、上半身ぐらいなら普通に動かせるようになった。
歩くのはきついけど・・・・。
リハビリは午前中の2時間だけ。歩き回る体力は無く、残りの時間はベッドの上ですごくすごく暇だった。
こういう時は究極の暇つぶし兵器「スマートフォン」通称「スマフォ」が出撃して、暇すぎて瀕死の瀬戸際にいる僕の救出ミッションが実行されるはずなんだけれども、自殺を実行した前科のある僕にネットにアクセスする文明の利器は与えられなかった。
そりゃそうだ。僕でもそうする。
そういえば千世子ちゃんがスマフォを持っていたので見せてもらったら、iPhone4だった。うわぁって思った。リンゴさんよ。前世で毎年変わり映えしないなんて言ってリスナーとネタにしてすまんかった。ちゃんと進化していたんだな。毎年機種変で高額なぼったくりをしても、僕はお前を認めてやるからな。(謎の上から目線)
病院の連中は僕が暇すぎて自殺するとは思わないんだろうか? 思わないんだろうな。僕も思わない。
暇すぎてこんなくだらない思考に囚われていると、アリサママが面会に来てくれた。
「今日は大人しくしているようね」
「わー面会に来てくれたんだ! アリサママ愛しているよ♡」
僕とこう言ったやり取りをすると、アリサママは必ず戸惑った表情をする。
そりゃ、実直、素直、キングオブ良い子の息子が突然こんな性格になったら戸惑うわな。
でも前世を思い出して僕の性格は変わってしまった。もうあの純粋素直で可愛い星アキラちゃんは居ない。前世のコミュ障配信者の喪女に乗っ取られてしまったのだ!(ばばーん)←効果音
正確には前世を思い出しただけだから、僕は僕なんだけれども、僕の人生観は間違いなく180度変わっていた。
最初は自殺前のように真面目にやろうかとも思った。でも自殺前の時点であの真面目な性格には無理があった。そもそも真面目過ぎて思い詰めて、自殺にまで至っているんだから、さらに無理を重ねて前の性格で行こうとしても、遅かれ早かれ破綻するのは目に見えていた。
だから自殺と昏睡で性格が変わった事にして、前世と融合した今の自分を出すことにした。
アリサママは病院の先生にも相談したようだけど、別に検査には異常が無いし、精神も安定していて、日常生活に支障があるようにも見えない。一連の出来事で性格が変わったとしか言いようが無いみたいだった。
「千世子ちゃんの仕事はどう? 順調?」
忙しい中、面会に来てくれたアリサママと他愛の無い話をした。
自殺未遂前までは、アキラ君にとっての世界の中心。彼女の寵愛を得るためだけに生きていた僕が、今アリサママとニュートラルに話してみると、不器用な人だなという感想しか湧かない。
アキラ君はアリサママから愛されていない訳ではない。忙しい中、ちょくちょくこうしてお見舞いに来てくれて、こうしてコミュニケーションを取ろうとしてくれるところを見ると、息子に対しての情も深いと思う。
でも、割と無表情で客観的な物言いをするからすごく分かりにくい。いや、ビジネス相手ならいいんだけど、「仕事一筋で子供との接し方が分らない父親かよ!」ってツッコミをしたくなることがすごくある。
これでは、自殺前の僕が思い詰めてもしょうがないと思う。
子供の事を愛しているのに上手く伝えられなくて誤解を生むという、良くある昭和ドラマのシナリオみたいな人だった。
頑固一徹、24時間働きますよ。仕事最優先。職場は奉公先。でもそれは実は家庭の母子を守るために一生懸命に働いていました。最後に父親の思いを知って和解と。
うーん。今時でもアレンジすれば、ありそうだけれども、終身雇用が崩壊しつつあり、働き方が自由になりつつある今では、共感は得られにくいかな?
家事を手伝ってくれる旦那さんは神。異論は認める。
「アリサママ、昭和の男の働き方ってどう思う?」
「何の話よ?」
そもそも元がグレートデリシャス名女優なんだから、理想の母親を演じてくれればそれで良かったんだけど、子供への情を演技として演じた思いなのか、それとも母親としての本当の情なのかが判別が付かなくて、リアルに自分自身の子供と接した場合、自分自身の振る舞いをどうしたら良いのか分からないんだろうね。
だから自分の子供にも、他の子役の子と同じようにビジネスライクに接していた。
ある意味、彼女も僕から逃げていたわけだ。それで自殺を契機にお互い歩み寄って関係が変化しつつあるのが今だね。
アリサママとの関係はぎくしゃくしながらも前進していた。
好きなものは好き、嫌なものは嫌とはっきり言って、アリサママもそれを受け入れてくれた。
いびつだけれども、こういう母子関係も普通にありだと思う。
「何か欲しいものは無いの?」
「スマフォ」
「それはダメって言ったでしょ」
まぁこう言われるの判っていた。
「じゃあ電子ピアノとクラッシックの楽譜買ってもらえる?どちらにせよ暇すぎて死にそうなんだよママン。」(ぴくぴく)←瀕死の効果音
「ピアノのレッスンは前にやっていたけれども、そんなに上達しなかったから、演技指導を優先して辞めちゃったじゃないの。またやりたいの?」
「そうだよ。マジでやる事無いから、指のリハビリを兼ねて趣味としてまたやりたいんだ。」(どや顔)
「判ったわ。手配しておきます。」
息子の気まぐれで欲しがった電子ピアノなんだから、ちゃっちいおもちゃみたいな、安物が来ると思っていたら、翌日にライブなどで持ち運び可能なタイプのハイエンド機種(約60万)が届いてマジで仰天した。前世のピアノ生歌配信で使っていたやつよりも高級機種だった。
やっぱりアリサママ、僕の事が好きすぎでしょう。
星アキラ君、復活したら何か性格が変わっていました。
これには星アリサもびっくり。
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星アキラはピアノの練習をする
電子ピアノが届いた日から僕の生活は電子ピアノ一色となった。
ベッドテーブルの上に電子ピアノを置いてベッドの上で練習した。
初日の音は酷いものだった。まともに指が動かなかった。
でも2日目からはかなりマシな音が出るようになった。つくづくこの体はハイスペックだと思う。
役者以外の事はハイスペック。それが星アキラ。
役者の方はまぁねぇ。ダメな訳じゃないんだけどね。(*´Д`)ハァ
役者の事を考えるのは止めよう。気が滅入る。
ピアノ練習から3日目。電子ピアノなので、ヘッドフォンを付けて音が漏れないように練習をしていた僕の元に、病院の先生が来た。
検査のついでに曲を聞かせて欲しいというので、パッヘルベルの「カノン」を演奏してみる。
まだまだ人に聞かせられるレベルでは無いのだけれども、先生も看護師さんもみんな聞き入っていた。
人に聞かせる演奏をするのは本当に久しぶりなので、すごく嬉しかった。
そして好評を博したらしく、午後1時から4時までは軽く音を出して演奏しても良い事になった。
ピアノ練習から1週間。かなりマシな音が出ているんだけれども、やっぱり前世とは音が違う気がする。
うーん。タッチや力の入れ加減は一緒のはずなんだけどなぁ。なんか違うんだよな~。
そんな悪戦苦闘で練習しながら午後の演奏の時間。
演奏の時間は、音の通りが良いようにドアと窓を開けて演奏している。
密室の中から曲が流れてきたら何をやっているのか気になるとは思うけれども、演奏している少年の姿が見えればある程度納得するという訳だろう。
時より患者さんが来て僕の部屋を覗いてくる。病院に合った優しい曲を選曲しているためか、看護師さんなどにも好評だった。
何で音を出して演奏させたのか、退院した後の定期検査で聞いてみたら、実は人間不信で自殺未遂を起こした僕への対人リハビリの一環だったらしい。
だから窓やドアを開けて、別の患者さんとかが出入りできるようにして、音楽に寄って来た他人とコミュニケーションを取らせる事で、僕の人間不信を和らげるための施策だったって聞いた。
そんな人間ホイホイ(失礼)の演奏をしている僕の元に、今日は1人のアメリカ人の老人が訪ねてきた。
その時の曲はベートーヴェンの「エリーゼのために」。英語で褒めてくれたので、僕も英語で演奏どうだった?と聞いてみた。
そうしたら歯に衣を着せぬ言い方で、僕がダメだと思う部分を全部英語で指摘してきた。
こやつ、出来るな。
そんなわけで、エリック・サティの「ジムノペディ 第1番」を演奏しながらどうすれば、良いかアドバイスを聞いてみた。
老人には、どうも僕の演奏は女性ピアニストの影が見えるんだそうだ。タッチや指の運びが女性ピアニストのそれなんだけれども、10歳の子供の体格に合わずにちぐはぐに見えると。
なるほどね~。僕には心当たりがありすぎる的確な指摘だった。
ついでに直し方やタッチのアドバイスなんかもくれた。
名前も知らない老人と子供が病室でピアノを演奏しながら静かに会話を重ねる。そんな奇妙な空間だった。
お互いの身の上話をしていると、どうも老人の方は、ある交響楽団の指導で日本に来日したらしいんだけど、心臓発作で病院に搬送されたそうだ。
軽度の発作だったので、命に別状は無かったらしいんだけど、僕と同じく暇すぎてリハビリがてらに病院を彷徨っていると、僕を見つけたそうだ。
英語が話せて趣味も似た暇人同士。すぐに仲良くなって、老人は僕の部屋に入り浸るようになった。
そんなある日、アリサママと千世子ちゃんがやってきた。アリサママは老人を見るなり、ちょっと驚いたように目を大きく開けて、軽く会釈をしていた。
知り合いなのかな?
そんな事は気にせずに、ハイレベルのピアノ演奏をしながら英語で会話を続ける僕と老人。それを何か獲物を見つけたようなキラキラした目で見る千世子ちゃんと、疑わし気に見つめるアリサママ。
アリサママよ。疑わしいのは判るから、そんな目でかわいい僕を見ないで欲しい。
自殺未遂で、急に英語とピアノが上手くなっただけなんだって。本当ピヨ。信じて欲しいピヨ。
アリサママは、僕の演奏するサン・サーンスの「白鳥」に聞き入っているように見えるが、頭の中では「ロミオとジュリエット」第2組曲より 「モンタギュー家とキャピュレット家」(通称:魔改造のマーチ)が流れているに違いない。僕は北海道の苗穂工場に搬入されて魔改造などされていないぞ!
息子を信じてくれママン。(懇願の目)
僕は思いっきりトルコ行進曲を演奏しながら、オワタ\(^o^)/の歌を熱唱したくなった。
「モンタギュー家とキャピュレット家」のネタが判らない場合には、「魔改造のマーチ」で検索をかけてみよう!(迷列車へのいざない)
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星アキラは夜凪親子と出会う
あれからさらに2週間。僕のリハビリは順調に進んでいた。
心臓発作で入院していたあの老人も無事に退院し、帰国していった。
ある程度補助なしで歩けるようにもなってきて、これぐらいなら退院も近いんじゃないの?と先生に聞いてみるんだけど、僕の精神的なケアもあるし、どうも僕のほとぼりを冷ますために、社会からある程度の期間を隔離する予定なので、あと2か月以上は入院が長引くらしい。
僕の家の財力では、今ある個室の病室に僕を長期間入院させていても痛くもかゆくも無さそうだ。
それよりも、心も体も完治しないままで社会復帰して、有形無形の悪意や興味に晒される方が怖いのだろう。
でもそれなら、僕の魂の友達インターネット君にはいいかげんアクセスできるようにしてほしい。早く彼にアクセスできないと、オタクと化して堕落した僕の魂が浄化されてしまう。
この僕が、自分の自殺未遂で盛り上がるネット掲示板とかを見て、ショックを受けるとでも思っているのだろうか?
・・・・思っているんだろうな。それで前に自殺未遂をぶちかましたし・・・・。
そもそも、外との情報を遮断するためか、この部屋にはテレビすら置かれていなかった。
結局僕にできることは、ひたすら電子ピアノを弾くことだけだった。
体力も大分回復してきて握力にも自信が出てきたので、アリサママには今度はヴァイオリンをお願いするつもりだよ。
でも本物は流石に病院内に響いて迷惑になるので、エレクトリックバイオリンってハイカラなやつ。
今日も演奏の時間にリストのラ・カンパネラを弾いているいると、ドアの外に僕よりも年下の子供と母親がじーっと僕を見ていた。
「どうぞ。暇なら是非そこに座って演奏を聴いて行ってください。」
「何か弾いて欲しい曲ある?」って、子供に聞いたら「プリキュアリー!」って答えたので、日曜朝の魔法少女アニメ プリキュアリー!のテーマ曲をジャズアレンジバージョンで弾いてあげたら大好評だった。前世でストリートミュージックをやっていた時に覚えた、こういった即興アレンジのテクニックには感謝だな。
それから意気投合して、何曲かリクエストをもらって演奏と雑談をしていると、彼女たちの身の上が判ってきた。
夜凪ママは、双子を出産後に体調が思わしくなく、双子を施設に預けて、しばらくこの病院に検査と治療のために入院することになったそうで、子供の夜凪景ちゃん(8歳)は、そのお手伝いに来ていた。ママのお手伝いがちゃんとできて偉い!!
景ちゃんは、学校以外は夜凪ママのお見舞いにこの病院に居るので、「もし良かったら、手が空いた時に遊びに来てもいい?」と聞いてきたので、快諾した。
僕も暇だしWin-Winだった。
学校・・・?そういえば僕は今は10歳で小学校5年生だった(誕生日2月14日)。リアリー?
別に長期入院で、勉強が遅れる心配は全くしていないけれども、別の意味で小学生の勉強に戻れる気がしない。
リアルにコナン君の気持ちが判る時が来るとは思わなかった・・・。
そして、千世子ちゃんも小学校4年生であの精神年齢と役をこなす器量。子役の子はまじで早熟だと思う。それとも千世子ちゃんが特別なのかな?
でも僕と同い年の子役とかを見ていても、みんな早熟だから、子役としてちゃんとお金を稼いで社会経験を積むと、精神年齢は上がって行くのかもね。
対して、景ちゃんはフツーの小学3年生。千世子ちゃんとか見ていていろいろ心配だったけど、景ちゃんを見ていると安心する。
でもちょっと目にクマが出来ていて、頬が痩せこけている気がするんだよね。ちゃんと食べているのかな?お見舞い品のフルーツいっぱい食べなさい。お土産もいっぱいあげるからね!
それから、夜凪親子は時間を見つけては僕の部屋に来るようになった。
特に景ちゃんの方は夜凪ママが検査や治療で寝込んでいる事も多いので、その間は僕の部屋に入り浸っていた。
夜凪親子を見ていると、親子ってこういうものだよって安心できる。
僕もわりと夜凪ママに甘えるようになった。
アリサママとの関係は修復されつつあるけれども、やはり精神のベースは小学5年生の男の子。
無意識に母親の愛を求めてしまうのですよ。決してママ活などではない事はちゃんと釘をさしておきます。
アリサママはどっちかというと、パパ役なので、アリサパパと夜凪ママなら丁度良い感じ。2人とも結婚してくれないかな(←かなり失礼)
今日も景ちゃんと2人でお話していると、千世子ちゃんが入ってきた。
千世子ちゃんは、アリサママが認めた子役として急速にブレークしているらしく、最近は仕事が忙しくてお見舞いもなかなか来れなかったんだけど、仕事の合間を見つけてお見舞いにきてくれたらしい。
そこで座っている、景ちゃんを見て「この子誰?」って聞くので景ちゃんを紹介。
見つめ合う千世子ちゃんと景ちゃん。2人の間に火花が飛んだ気がするけれども、気のせいだよね?
ちなみに、千世子ちゃんと景ちゃんは別にアキラ君に恋をしているわけではありません。
互いに自分の領域に居るはずのアキラ君に、知らない女が近づいて来たので警戒しているだけです。
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ある同期VTuberの話1
ニムニム生放送で人気配信者だった私は、ある日「VTuberやってみませんか?」というDMを受け取って、あるVTuber事務所の3期生としてデビューすることになった。
VTuberはこれからさらに発展が見込めるコンテンツで、配信で生活できるのであればすごく嬉しいので、2つ返事で了解した。
同期は5人で、それぞれファンタジーな格好のVTuberとしてデビューし、私はニムニム放送のリスナーも来てくれて、出足は非常に好調だった。
同期の一人と仲良くなってそのままカップリングが出来て、てぇてぇ感じで放送も回り、リスナーも雪だるま式に増えていった。
もう一方の同僚もカップリングができて、カップリング同士で交流もでき、わたし達4人は順調にリスナーを増やして収益も上がって行った。
5人の同期で2つのペア。同期の1人が余って孤立してしまい、その1人とはチャンネル登録者数に如実に差が付き始めた。
私達4人はニムニム生放送やキュアキャスなんかの配信経験者だったのに対して、その子は全くの素人で、放送内で会話を回すのも苦手としていた。
秋色ダリアというそのVTuberは、ファンタジー世界を旅する吟遊詩人という設定だったけど、秋色ベースの落ち着いた容姿でやや地味であり、ファンタジーでカラフルな他の同期と比較しても目立ちにくくて、ビジュアル面でも最初からハンデを負っていた。
放送内容もクラシックのエピソードを紹介してその曲を生演奏してみたり、ゲームが苦手だったりと正直に言って、非常に絡みにくい物だった。
JPOPかアニソンでも歌ってくれればまだコラボできたんだけど、歌配信もそんなに行わなかったので、なかなかきっかけを掴めなくてずるずると時が過ぎた。
ダリアさんはいつも放送内容を改善しようと努力していたし、すごくリスナー思いだった。
しばらくすると、ダリアさんも放送の技術や話術も上がってきて、何かきっかけがあればブレイクしそうなのを、同期のみんなでじれったく応援していた。
実はダリアさんの放送はすごく好きだった。安心できる落ち着いた声と音楽に溢れた生放送。サムネ作りや放送の準備をしている時には必ずアーカイブを聞いていた。
そんな彼女に魅かれて、少しずつだけれども明らかに質の良いリスナーさんたちが集まって来て、他のVTuberとはかなり毛色が違う独自のコミュニティーが出来ていた。
でもそれは「企業VTuberに求められる放送なのか?」と問われると非常に難しい所だった。私達はコラボをするから相互に登録者数が増えていくけれども、独自のコミュニティを築く彼女のチャンネルへの流入者は限られていた。
実際にダリアさんと他の同期とのチャンネル登録者数は10倍近く付き始めていた。
ついにVTuberとして契約が打ち切られるかもという話が出てきてしまった。
でもそれが転機だった。完全に追い詰められた彼女は、なんと「売れなくてクビになりそうなのでどうすれば良いか、号泣しながらリスナーと相談する」というとんでもない生放送を配信する。
これこそVTuberとして求められる放送であった。この放送は切り抜きで広められて一気にバズってチャンネル登録者数が増え始めた。
私達同期にとっても、彼女を助けられる最後のチャンスだった。
彼女がバズっているうちに、すかさず同期5人の3期生全員コラボを申し込み、「3期生全員本音トーク」と称してダリアさんをこれまで助けられなかった経緯と彼女へのダメ出し、そして3期生としてダリアさんとコラボしていきたいという生放送を放送した
放送内では台本なんて全く無し。全員がダリアさんへの思いを正直にぶつけ合う伝説の生放送になった。
ダリアさんは泣いていた。私たちもみんな泣きながらお互いの思いをぶつけ合い、そして放送が終わる事には初めて3期生全員が1つにまとまった。
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ある同期VTuberの話2
ダリアさんとコラボしてみると、意外にも放送はすごく盛り上がった。
特に私達4人は元は単独の配信者の集まりだから実はボケが多く、カオス化するのが定番だった。
正直いまさら、誰もツッコミ役にはなれなかった。
でも彼女の的確・・・、いや、かなりの頻度でそこツッコむの?っていう謎方向のツッコミが入る事で、カオス化していた放送がある程度収束して放送内で良い感じの流れができるようになった。
まさしく欠けていたピースがそろった感じ。
でもこういった会話術は、彼女自身が場を回すために努力して獲得した能力だというのは、みんな判っていた。
あらためて3期生5人全員でグループを作って、ダリアさんをダリ姉という感じでグループ内でみんなから慕われるようになるのに時間はかからなかった。
姉のような立ち位置だけど、妹のようにポンコツで、涙もろくて誰よりもリスナーを大切にする激情家。それが彼女。
常識人?いやVTuberに常識人は居ない。それは間違いない。
容姿の面でも大幅に改善した。私たちの事務所はチャンネル登録者数が一定数になると次のビジュアル(ガワ)を作ってもらえれるという制度だったんだけど、ダリ姉はその登録者に至らずに初期のビジュアルのまま悪戦苦闘していた。
彼女のママ(ビジュアルを描く絵師さんの事)は、4人でデビューするはずの3期生が突然1人追加になったために、4人と被らない彩色とコンセプトにしたら、目立たなくなってしまい、修正する時間も無かったと反省していた。
実際、彼は超人気絵師さんで沢山のVTuberのママであることから、推しを公言する事は無いんだけど、しょっちゅう彼女の放送に現れてスパチャを投げていくことから、ダリ姉推しであることは明白であった。彼もまた孤独に絵を描く作業中にダリ姉の声と音楽に癒されているんだろう。
そんな彼がバズって規定数に達したダリ姉の新しいビジュアルに全力投球した結果、ダリ姉の雰囲気に合った、初回のビジュアルとは全く違う垢ぬけたビジュアルに大変身して、ダリ姉の人気が加速した。
2組のカップリングで、「てぇてぇ」する私たちの間にできた共通の親友。それが彼女の立ち位置。私たちのグループに彼女は綺麗に収まった。
何度もコラボをしていると、馴染んできて、ついに私たちのグループで全員が一堂に会するオフコラボ(直接会ってコラボする事)が実施された。
初めて会うダリ姉はウルトラ美人だった。濡烏の髪に色白の肌、整った容姿をした完膚なきまでにお嬢様だった。
えっ?何でVTuberなんてやっているの?実写ならビジュアルだけでチャンネル登録者数うなぎ登りなのに。
ダリ姉が美人すぎて、顔合わせの時に私達4人の方がコミュ障になってしまった。何て事だ。ガワより中の人の方が美人とか意味が解らない。
でもオフコラボ放送が始まればダリ姉はダリ姉だった。あの独特のセンスのツッコミは生でやるとさらに切れが良くて大好評だ。
ダリ姉の中の人の正体を知ったのは、彼女の歌が上達して3期生全員でライブをやった後だった。
その頃には、みんな仲良くなって、夜遅くまでボイチャなどでくだらない話で盛り上がったり、一緒に遊びに行ったり、お泊り会などもしていた。
3期生全員でライブなんてちょっと前までは全く考えられなかったけど、みんなでアニソンを大合唱して、私達の歌にダリ姉のピアノの生演奏を付けてくれたりして、リスナー達と一緒に最高のライブができた。
そのライブ会場を出る時に私達と一緒に居たダリ姉が見られたらしく、中の人が特定されたようだった。私達は、もともと配信者からVTuberになったから素顔はわりと知られていた。
私達の認識では、ダリ姉は元々配信は素人だったし、良いとこのお嬢様で昔、音楽を習っていたんだろうなぐらいの認識だった。コンクールに出たみたいなことを配信で言ったことも無いし。
ライブの翌日にダリ姉の正体がバレて、トイッターや掲示板界隈がざわざわしていたので、私も初めて掲示板に書かれていた彼女の本名でググってみた。
事故で亡くなった、世界的なピアニストの父とヴァイオリニストの母を持ち、両親を継いでピアノとヴァイオリンの両方を操る天才演奏家!?
ピアノとヴァイオリンの両方で子供の頃から国内の賞を取りまくり、海外でもいくつもの賞を取ったクラシック界の至宝になるはずだった人?
両親の死を契機に音楽活動を辞めたみたいだったけど、辞めた後の就職先がVTuber?
えっと?何? 私たちが普段癒されていたあの放送は、実はコンサートホールで何万円も出して聞くような音楽だったってこと?
そりゃあいい音楽な訳だよ。ダリ姉の音楽をお金に例えるようなゲスいことはしたくないけど、これにはびっくりだよ。
その日の夜にみんなで音声チャットでおしゃべりするときに「何でVTuberになろうと思ったの?」って聞いたら、ぶらぶらニートしていたら、昔コンクールでライバルだったグランドマネージャにスカウトされたって!?
大学生で起業した社長の片腕で、実質的に会社を取り仕切っている、あのミステリアスなキャリアウーマンの過去をこんなところで知るなんて!
4人だったはずの3期生に突然1人追加されたのも納得だよ。
ガワから設定までバーチャルと嘘で固められたVTuberを演じる中の人(演者)。嘘と真実を織り交ぜてみんなを楽しませるこの業界にこんな本物が転がっていたとは。
VTuberはやっぱり魔境だね。
大分長くなったので「ある同期VTuberの話」はここで一旦停止です。ダリ姉のお話は今後も閑話的に続けていこうかと思っています。
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星アキラは退院する
その後2ヶ月は変わり映えの無い生活を送った。
景ちゃんは夜凪ママが退院した後も、何度もお見舞いに来てくれて、退院したら景ちゃんのお家に遊びに行くことも約束した。
景ちゃんは良い子ですごく僕に懐いた。これは星家の子供としてお持ち帰りしても良いのでは?(錯乱中)
そんなわけで、世間のほとぼりも冷めてきて、全快した僕は無罪放免、病院を退院する事となった。
最後の方は、やる事無さ過ぎて、病院の屋上で滑舌と歌の練習とかやっていたぐらいだった。
前世のこのぐらいの年では、学校以外は本当に1日中、ピアノとヴァイオリンの練習をしていたんだけれども、僕はさすがに前世みたいに長時間練習できなかった。
多分、前世では毎日技術が向上して面白かったんだろうけど、前世を思い出して強くてニューゲーム?している現在では技術の向上も微々たるもので、CDを聞く代わりに自分で演奏をしているような感じで、後は表現の味付けを変える程度で、面白いように技術が向上していくとかいうのも無かった。
どこぞの少年漫画みたいに音楽技術もインフレして行けば良いのに。「私の演奏力は53万です」みたいな。
でもパラレルワールドに転生した時に、バトル物のパラレルワールドじゃなくて良かった。
役者物の漫画として始めたら、人気が無くなってテコ入れでバトル物に変わって、天下一演技会とか始まって、演技レベルで戦ったりしたら、役者舐めプでヤムチャ役の僕は、痛いかませ犬となって、第一試合でフェードアウトするに違いない。
今の所、ごく普通の世界に見えるんだけど、そんな世界じゃないよね?(フラグ)
とは言え、良い事もあった。僕の耳は前世の私の耳よりも良いようで、ヴァイオリンを弾くと前世よりも高音域と低音域のバンドが広がり、ちゃんと聞き取れるようになっていた。
これが星アキラの秘められた才能なのか!?と一瞬思ったけれども、種明かしをすれば多分これは年齢のせい。年を取れば取るほど聞き取れる音域が狭くなるので、若いっていいねってお話。
前世でも最初は聞き取れていたんだろうけど、前世で練習ジャンキーだった私は今の僕ぐらいの年でも、ヴァイオリンとかの爆音と振動を真近で聞きすぎて多分、軽い若年性難聴になっていた可能性もある。
怖っ。僕は今度から、健康には気を付けて節度ある生活をするぞ!!
でも前世の刺激的な生活を思うと、スローライフで何もせずに老衰で死ぬというのも違うと思う。
若くて死んでも、精一杯生きることがあんなに楽しいんだって、僕は前世で学んだ。
今の立ち位置は、大女優で大手芸能プロダクションであるスターズの社長、星アリサの息子であり、子役としてコネも実績もある役者。
2012年でYoutubeもまだまだ黎明期。子役の実績を使ってYoutubeでトップを取る事もできるかもしれない。
役者、Youtuberとして仮にコケても、VTuberとしてまたやり直せばいい。
VTuberがダメでも、歌や作曲なんかで天下を取れるかもしれない。
歌や作曲がダメでも、また新しい事を見つければ良いじゃないか。
なんだ。僕は役者の才能はいまいちでも、やりたいことや刺激的な事、出来る事は一杯あるじゃないか。
僕は「空っぽ」なんかじゃない!
今回の「僕」の人生も一生懸命、刺激的に生きてやるんだっ!
僕たちの戦いはこれからだ!!
星アキラ先生の次回作にご期待ください。
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星アキラは決断する
病院を退院した僕はスターズのオフィスにそのまま直行した。
今日、アリサママに役者に復帰するか、辞めるかの回答をするように言われていた。
身分証とかは自宅にあるので、守衛所に連絡して入れてもらって、ロビーまで移動する。アリサママの秘書さんに連絡を取って、アポを取って重い扉をノックし、アリサママの部屋に入る。
部屋に入るとアリサママは書類に目を通していて、横には清水さんが居た。僕は気を付けをして、直立不動で彼女から反応が来るのを待った。
「で、どうするの?」
アリサママは、書類に目を通しながら僕に聞いた。
「役者を続けさせていただけないでしょうか。」
僕は腰を90度折り曲げて頭を下げながら母さんに回答した。
僕は役者を続けることを選んだ。実際のところ、役者の才能については疑問符が付く状態であったから、違う道を模索する事もいろいろ考えていた。
才能とやりたいことがマッチしていなければ、本当に悲惨だ。
結果が出なければ努力が足りないと言われて、それでも努力して長年努力が実らなければ、努力の方向性が違うと言われる。そして気が付けばやり直しの効かない年齢になっている。
役者は、才能のある人間が正しい努力をしてやっと成功できる世界だ。正直な所、役者を成功させるために人生のリソースを消費するというのは、超ハイリスク、ハイリターンでコストパフォーマンスは非常に悪いだろう。
その上で僕は考えた。「僕には本当に役者の才能が無いのであろうか?」あの母親が無いと言っているので、残念ながらその可能性が非常に高い。あの母親の目が節穴ではないことは、スターズと言う会社の成功が物語っている。おそらくどこかの段階で才能に限界がきて、辞めなければならないタイミングが出てくるのだろう。
ではそれは今か?という疑問。僕の答えはNoだった。
今辞めたら絶対後悔するという確信が僕にはあった。
このタイミングで辞めたら、自殺未遂で役者から逃げた人間というレッテルを一生背負っていく事になるし、まだ僕は星アリサの子供として努力はしていても、自分が役者として成功するための努力をした事は無かった。何より僕自身がこんな状態で役者から逃げることが、すごくすごく悔しかった。
「あなたの自殺未遂のせいで、関係者やスターズのスタッフやメンバーにもあんなに迷惑をかけて、どの面を下げてお願いしている訳?」
「本当に申し訳なく思っております。」
「あなたは自分が持っていた仕事に穴を空けて、自殺未遂の騒ぎまで起こして、あなたに任せる仕事がこれから存在するとでも思っているの?」
「自分の至らなさから、このような騒動を起こした上に仕事に穴を空けてしまい、大変申し訳ございませんでした。もしチャンスをいただけるのであれば、これから挽回していく所存です。」
母さんは沈黙していた。おそらく書類には目を通したままで僕を見ていないだろう。
僕はまだ腰を90度折り曲げて頭を下げていた。
部屋をしばらく沈黙が包み込んだ。
5分ぐらい、いや実は1分ぐらいだったのかもしれない。沈黙の後に母さんはおもむろに口を開いた。
「あれだけ世間を騒がせたのだから、あなたには世間に謝罪する必要があります。単独で謝罪会見を行いなさい。その謝罪会見で世間があなたを許したら、私もあなたが役者を続けることを認めます。」
「チャンスをいただき、ありがとうございます。」
僕は直立姿勢に戻ると、そのまま母さんの執務室を出た。
「はぁ。」
しばらくした後に、星アリサのため息が彼女の執務室に響いた。
「何なの?あれは? てっきり入院していた時のちゃらちゃらした態度で来ると思っていたから、私の方で用意したアキラの辞表を、問答無用で叩きつけようと用意していたのに。」
「彼にも思うところがあったのでしょう。少し見ないうちに立派になりましたな。」清水が答える。
「思わずチャンスをあげてしまったわ。単独の謝罪会見なんて言っちゃったけど、上手くいくのかしら?まだ10歳なのに。」
「アキラ君は少年ですが自分の責任をちゃんと自分で取れるように見えます。きっと成功させると思います。」
「アキラを演劇以外でろくに教育した記憶が無いんだけど、子供って放っておいても成長するものなのかしら? それとも週刊誌にあった通り、私はアキラに甘いのかしら?」
「いや、あなたはトップクラスに厳しい母親だと思います。と、いいますか、育児放棄していた認識があったのであれば、もっとアキラ君を可愛がるべきだったと思います。」
「それは反省しているわ。子供が自殺を図るまで追いつめるなんて、私は本当に最低の母親ね。でもあの子が生きる選択をしてくれた上に、また私の前に顔を見せてくれて本当に良かったわ。」
こうして、星アキラの単独謝罪会見が開催される運びとなるのであった。
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ある芸能記者の話1
星アキラが自殺未遂騒動の謝罪についての記者会見を行う。
芸能関係のニュースを扱う各社や新聞社に電話やFAXで連絡があったのは8月のある日だった。
「へぇ。ちゃんと会見するんだ。」
あの自殺未遂はスターズや星アキラから見て忘れて欲しい過去のはず。復帰するにしても、しれっと復帰して、軽い復帰報道を行って、自殺未遂なんて無かった事にすると考えていたので、この記者会見はすごく意外だった。
アキラ君が3か月の昏睡状態を経て意識を取り戻した後に、回復期間が3ヵ月。あの事件からちょうど半年。
「回復は順調で今は静かに療養させてあげて欲しい」とスターズから報道各社に要請があり、回復に向かっている事が軽いニュースになった後は、各社も大人しく報道を控えていた。
いくら星アキラの病状に世間の注目はあっても、あんな経緯で自殺未遂になった子供の病室にずかずかと踏み込んで、本人に「自殺した時どう思いました?自殺の後遺症とかないんですか?」なんて聞いてしまったら、虚偽の記事で芸能記者全体の評判を地に落とした、あの週刊誌記者並みの批判を浴びて、芸能記者という職業が本当に反社会的な職業であると認知されかねない。
スターズと報道機関双方の思惑もあって、事件も風化しかかっている。
そりゃ自殺未遂した俳優という評判は、今後もアキラ君には付いていくかもしれないが、アキラ君は被害者だし自ら掘り返すことも無く、お互いのお約束の元でこの事件は自然に収束すると思っていた。
それが今回のスターズ側からの星アキラの謝罪会見。何か面白い事が起きると私のカンが告げていた。
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記者会見場に入った私は、テーブルを見て会見者側の席が1人分しか用意されていなかったのを見て失望した。おそらく代理人1人が状況を会見して当たり障りの無い事を言って終了だろう。
会見開始は午後2時40分から。ワイドショーでも生放送できる時間だ。
実際に何社かはテレビ局と生放送の準備をしているようだが、これでは会見場を一瞬映して星アキラの会見が行われていますというニュースを伝えた後に、スタジオに戻す感じになるだろう。テレビ局的には無駄骨だな。同じことを思ったのか、テレビ局のスタッフもリラックスして気を抜いているようだ。
そして記者会見の時間の時間になった。扉が開いて星アキラが会見場に1人で現れた時に会場は驚きに支配された。自殺を起こした本人が一人で現れるとは全く予想していなかった。
会見者は星アキラ以外には誰も居なかった。会場は一瞬にして、困惑と異様な雰囲気が漂う。
これは面白い事が始まりそうだ。みんなそう感じたようで、後ろではTV局のディレクターが興奮した感じで、局にワイドショーでの記者会見の生放送枠をそのまま取るように連絡している。
星アキラは背筋を伸ばして堂々とテーブルの前まで来ると、「この度は私の自殺未遂と一連の報道によって世間並びに関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心労をおかけして、申し訳ございませんでした。」と言って、90度頭を深々と30秒以上頭を下げた。
一斉に炊かれるフラッシュの閃光。会見前の穏やかな雰囲気が一変して、ものすごい緊張感が会場を支配した。カメラマンや周囲の記者、TV局などの会場に居たすべての人間が、食い入るように彼を見つめる。彼は椅子に座らずに、席からマイクをとって堂々とそのまま話し始めた。
彼はまず、自殺の経緯と3ヵ月の昏睡。同時に3ヵ月のリハビリの後回復して後遺症などが無い事を3分ほど報告した。みんな知っている情報だったので、特に目新しさも無かった。
簡単に現状を報告した後、「それでは皆様の質問に答えさせていただきたいと思います。」と質疑応答に入る。記者から戸惑いの声が漏れる。会見に設定された時間は30分。まだ5分しか経っていない。普通は20分ぐらい自分の主張を言った後に、5分、10分の質疑応答の時間があるだけだ。これでは残りの25分間、アキラ君は記者の皆からサンドバックにされてしまう。
何で場を仕切れる保護者を置いておかないんだと、私は記者側にもかかわらずスターズの事務所側の不手際に苛ついた。
「××新聞社の○○です。問題となった週刊誌の記事なのですが、いつ、どのような経緯でお知りになったのでしょうか。」
「はい。自殺を起こす3日前の夜です。母親である星アリサから、僕に対して、『役者としての才能が無く、これ以上子役を続けて行っても、こう言った報道が増えていくだけだから、役者をこのまま続けるのか、それともここで辞めるのか、この週刊誌を読みながら身の振り方をよく考えなさい。』と言われて、あの週刊誌を手渡されました。」
1個目の質問からとんでもない爆弾が炸裂した。
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ある芸能記者の話2
「はい。自殺を起こす3日前の夜です。母親である星アリサから、僕に対して、役者としての才能が無く、これ以上子役を続けていてもこう言った報道が増えていくだけだから、役者をこのまま続けるのか、それともここで辞めるのか、この週刊誌を読みながら身の振り方をよく考えなさい。と言われて、あの週刊誌を手渡されました。」
「でっでは、自殺の原因は星アリサさんにあるという事でしょうか」
「いいえ。違います。自殺の原因はあの週刊誌の記事と、それに便乗して盛り上がった掲示板やSNSにあります。母は私が星アリサの息子として、社会の期待に求められているレベルの役者になれないと判断していました。将来、そう言ったプレッシャーに潰されて苦労しないように、まだ生き方を変えられる子供のうちに、あの週刊誌を私に与えました。勘違いしていただきたくないのは、これは母親からの悪意ではなく、子供の事を考えた上での純粋な母親としての愛情から来る行動であると言うことを、ご理解していただきたいです。」
「でも実際にあなたはその母親から渡された週刊誌で自殺に至っていますよね」
「はい。それは母自身も週刊誌に同調して、掲示板やSNSがあんなに悪ふざけをして私を叩くとは考えていませんでした。こういった動きは母と私の両方で誤算でした。私は同調したSNSや掲示板などの意見をみんなの総意と勘違いしてしまいました。このわずかなすれ違いと、私の弱さから私は自殺未遂に至ってしまいました。このことについては、私が目覚めた後に母親から謝罪されました。こういった経緯で、皆様にご迷惑をおかけして大変申し訳ございませんでした。重ねてお詫び申し上げます。」
海千山千の芸能記者が星アキラと言う子供の答えに明らかに押されていた。星アキラは記者のいやらしい質問にも臆することなく堂々と答える。
「□□スポーツの▲▲です。あなたが3日間部屋に籠っていた間、あなたの母親は一度も会いに来ていませんよね。そう言った対応は母親として失格なのではないでしょうか。」
「まず第一に理解していただきたいのは、星アリサと言うのが一般の母親ではなく、スターズの社長として沢山の俳優やスタッフを守る立場にあるということです。私に雑誌を渡した翌日に、母は所属俳優の撮影のために出張しており、私の自殺の連絡を受けて、すべての仕事を投げ出して戻ってきました。母は僕とスターズの人たちを守るために、一生懸命働いていました。僕は母である星アリサの子供であり、最大の理解者であり、家族です。一般的な母親の定義を強引に当てはめて、僕の前で母のことを悪く言うのは辞めていただきたいです。」
自殺に対する母親の行動や、育児放棄疑惑についての質問は全て論破されていった。
「◎◎デイリーの◇◇です。あなたの父親は不詳なのですが、アキラさんは父親についてご存じなのでしょうか。また父親が欲しいと思った事は無いのでしょうか。」
今ここでそれを聞くの?という質問だった。星アキラの父親は、ずっと謎の存在であり、明かされる事も無かった。完全にプライベートな質問であり、答えるわけが無い嫌がらせのような質問であった。この質問で星アキラを怯ませるつもりだろう。
「父親については全く知りません。昔、母に聞いた時には「10人ぐらい心当たりがあるけど聞きたい?」と、いつもの真顔で言われたので、それ以来怖くて聞けていません。」
会場に軽い笑いが起き、空気がちょっと和んだ。
「父親が欲しいかという問いについては、正直不要です。父親の役割とは何でしょうか?精神的な事を挙げる人も多いかもしれませんが、第一には家庭に収入をもたらしてくれて、家庭を営むお金を稼ぐことではないでしょうか。しかし私達の家族では、母親は社長で収入も安定していますし、私も子役での収入で蓄えがありますので、現状では全く困っていません。家が貧乏で母が困窮していたら、確かに父親が居ないことを恨んだかもしれませんが、幸いにして私の家は余裕があります。父親の名前は一生言わなくても良いので、そのまま墓の中まで持っていってもらって、星アリサのミステリーの一つとして語り継いでいただけたら嬉しいです。」
余裕の回答であった。この子は本当に10歳なのだろうか?星アリサはどんな教育をしたらこんな子供に育つのだろうか? 育児放棄するとこうなるのだろうか?
これまでの話から、星アリサは虐待はしていないが、育児放棄気味だったのは間違いが無いようだ。でもそれを外から批判できる要素は、星アキラによって全て潰されてしまった。
育児放棄の被害者である星アキラ本人が問題ないと公言している以上、本質的には家庭の事情であり、外野から言えることはほとんどない。
星アリサの行いについても、少しサイコパスな気がするが、役者を目指す子供をしつける厳しい母親と言われれば、そのレベルとも取れない事も無い。
彼に対して虐待でも行っていれば話は別だが、星アリサが虐待を行っていれば、アキラ君はこの場で「母に虐待されています」と、素直に答えただろう。子供が大人の論理で弁護するという、とんでもない記者会見だが、話す内容は正直でおそらく嘘はない。
そもそも、「星アリサの育児放棄疑惑の記事」→「星アキラの記者会見」という順番でこの会見が組まれたのであれば、この辺の事を先に記事にして盛り上がったのだろうが、星アキラの方から最初にこの場で堂々と公言した上で、問題ない旨の見解を合わせて述べているいる以上、嫌疑を挟むようなニュース性もほぼ失われてしまっている。
この状況では、スターズや星アキラを敵に回してまで、この事を記事にするメリットは全く無い。それどころか、下手に憶測を入れて書けば、私もあの週刊誌記者と同じ末路を辿る事だろう。
可愛い顔して非常に手ごわい。でもいつまでも自分ペースで行けるとは思うなよ。
「▽▽芸能情報の●●です。」ついに私の質問の番が回ってきた。
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ある芸能記者の話3
「スターズという芸能事務所は、10歳の子供に単独会見をさせて所属俳優を守らずにほったらかしにするような事務所なのでしょうか?」
今まで星アリサの育児放棄疑惑と星アキラの対応に気取られていたが、10歳の星アキラ自身が単独で会見するとか、普通に考えておかしいと言うか、何か今までの記者会見の内容をアキラ君にミスリードさせられていた気がする。
そもそもスターズは子供1人で会見させるような芸能事務所ではなく、逆に子供や所属俳優を絶対に守る事で有名な事務所でもあった。
「はい。これには事情があります。僕に役者の才能が無いと考えている母は、僕に役者を続けるための最後のチャンスとして、この記者会見を一人で乗り切る事を提案しました。この記者会見を一人で行い、皆様に役者を続ける事をお許しをいただくというのは、僕が役者を続けられる最後のチャンスとなります。なんとか皆様にお許しをいただけるように、僕は皆様に懇願するしかありません。」
この親子の間に核地雷は何個埋まっているのだろうか?
「母親である、星アリサさんから役者を辞めるように勧められているように聞こえますが、星アキラさん自身は役者への復帰を希望されるのでしょうか。」
「はい。皆様のお許しが得られるのであれば、役者へ復帰させていただきたいと考えております。」
「お話を聞いていると、星アリサさんはスターズの社長としての判断として、星アキラさんに役者としての才能が無いと判断された訳なのですが、星アキラさんは星アリサさんに否定されてもなお、役者を続けたいのでしょうか。」
かなり嫌らしい質問だ。本人が復帰したいと言っているのに、それを星アリサの社会的な立場を利用して、正面から否定している。これで星アキラの心が折れたりしたら、私は後で掲示板とかSNSで叩かれまくるだろう。でも今、目の前に居る星アキラは折れないという確信があった。
ここに来て初めて、星アキラが逡巡した表情を見せた。初めて彼の弱気の表情を見た気がする。ただ、その後に彼は私の目を見てはっきりと告げた。
「はい。役者を続けたいです。」
「なぜでしょうか?」
「僕は子役として物心付く前から、当たり前のように役を演じてきました。役を演じるのは当たり前のことで、皆様に役をいただけているのは、自分の努力と才能のおかげかと思っていました。僕は正直に言って役者にあこがれて役者になった訳ではありません。ただ役をこなす事で母親に褒めてもらいたくて、認めてもらいたくて役者をやっていました。でもある程度の年齢になると、それは自分の力ではなく、母親である星アリサの力であったということが判ってきました。」
私を見つめる彼の目のから一粒の涙が流れ落ち、頬を伝った。
彼はうつむきながら言葉を続けた。
私は彼の言葉にかなり驚いた。これまでの記者会見の言動から、彼が自分の弱さをそのまま曝け出すとは思っていなかったからだ。自殺未遂を乗り越えた精神的に強い星アキラ。何が何でもそんなキャラクターで通すと考えていた。
「あの週刊誌に書かれていた証言などは全部嘘でしたが、指摘していた内容は真実でした。僕は役者になりたいという強い夢や思いも無く、母親である星アリサが息子のために取ってきてくれた仕事を、自分の努力と才能のおかげでやり遂げていると勘違いするような傲慢な人間でした。」
彼は少しうつむくと、ポタポタと床に涙の雫が落ちる。彼の声は少し震えていた。
おそらくアキラ君の考えも私と同じく、強い自分を見せたまま記者会見を終わらせるつもりであったのだろう。彼から感じる涙と戸惑いから私はそれを感じる事ができた。
でも、だからこそ彼の言葉には演技や嘘は無く、10歳の少年。星アキラの正直な気持ちである事を理解することができた。
私はこれが見たかった。彼の素直な心の内に土足で踏み込んで、人間、星アキラの本当の心情を知りたかった。芸能記者としての責務を果たせた事に満足する一方、自分の苦しい心情を吐露する彼の姿に、私の胸は強く締め付けられた。
「でもだからです。」
うつむいた星アキラがまた顔上げて真っすぐとした視線を見せた。
「だから僕は役者をやりたいんです。自分は何年も役者をやっておきながら自分の傲慢さのために、何も掴むことができなかった。役者を続けたとしても、これからも掴むことができないのかもしれません。だからやっぱり僕には役者の才能が無いのかもしれない。でも今回の事でわかりました。母親に認めてもらえるとか、ずっと役者だったからそのまま役者を続けたいとかではなく、僕は僕のために役者を続けたいんです。自分の力で役がこなせないことが悔しいんです。」
「完全に子供のわがままです。役がこなせないことが悔しいだなんてただの自己満足です。でも、それでも、今一度、星アキラに役者として再出発するチャンスをいただけないでしょうか。」
「お願いいたします。」
涙を流しながら、アキラ君は最初にやったのと同じ90度のお辞儀をした。私はこれ以上質問することはできなかった。
この言葉を最後に記者会見は終了した。最後のお辞儀が終わって彼が顔を上げた時、私は背筋に電流が走るのを感じた。
そこに見えるのは、どんな役でも卒なくこなす器用貧乏の子役の姿ではなくて、スター俳優のオーラと存在感を纏った星アキラがそこに居たからだ。
おそらく、自殺を引き起こす前までは、彼はどんなに望んでも、努力しても絶対に手に入れることができなかった、スターとしての才能。それが今彼に宿っていた。
彼は間違いなく時代を代表するスターになる。スター星アキラ誕生の瞬間に立ち会えた私は、心の中が歓喜で満たされた。
同時に記者としては完全にしてやられたと思った。
これは星アキラの巧妙な罠でもある。仮に私がこのことを騒ぎ立てて、子供に単独で会見させるスターズを非難する場合、星アキラは確実に責任を取って役者を辞めることになる。
この流れからして、確実に世間はアキラ君に同情しているだろう。そして反論する人も多いだろうが、修羅の道ではあるが、ちゃんとチャンスを与えた上で、世間に成長を見せたアキラ君を育てた星アリサを、親として、経営者として認める層も一定層居るだろう。
本当に自分の子供を、獅子の子落としする親とか、かなりイカれているとは思うが。
でも星アリサなら納得してしまう面もある。彼女は誰よりも役者として真摯に役に向き合っていた。中途半端な気分で役者に向き合っていた自分の息子に、ケジメを付けさせたかったのかもしれない。
ここで私が記事を書いて世間を騒ぎ立てた場合、肝心の星アキラは役者に復帰できずに、星アリサもおそらく社長を辞める事になる可能性が高い。
そして今、世間の注目は「ここまでして役者に復帰した星アキラがどんな芝居をみせてくれるか?」に集まっているだろう。世間は間違いなく、堂々と自分を貫き通して役者に復帰する星アキラに痺れている。
同時に、この記者会見で成長を見せたアキラ君が、星アリサの息子という重い看板を背負ってまでも、親子二代で再び私達に夢を見せてくれる事を期待しているだろう。
この状態で星アキラと星アリサを辞めさせるような記事を私が書いた場合、世間は私を許してくれるだろうか? 無理だろう。
星アキラと星アリサを辞めさせる以前に、私が書いた記事が逆に批判されて、私の方が潰されてしまう可能性の方がはるかに高い。 政治家の汚職を告発する正義の記事とかならともかく、ご家庭の事情レベルの話で、こんなリスクしか無い記事を書く記者は、同業者にも居ないと言い切れる。
もう私には、「未来のスターとなる星アキラに期待する記事」を書くことしか選択肢が残されていなかった。
記者会見を終えたアキラ君は、何も言わずに扉の方向に歩きだし、扉を開けると驚いた表情をした。周りの記者たちも息を飲んだ。
扉の外に星アリサが無表情で立っていた。しかしその無表情とはうらはらに、彼女の眼には、アキラ君と同じように涙の跡があった。
彼女はおもむろにアキラ君に右手を差し出した。
アキラ君は左手で星アリサの手を握ると、星アリサと顔を合わせて、お互いにぎこちない笑みを浮かべた。
お互いの微妙な母子関係を象徴するような引きつった微妙な笑顔。あの大女優、星アリサが銀幕で見せた事の無い、本当にぎこちない微笑み。
でも、お互いに目を合わせてぎこちない微笑みを浮かべ合う二人は、誰よりも親子に見えた。
記者会見の会場は静まり返り、私は映画のワンシーンを見ているような錯覚に囚われた。
カーテンコールのように、2人で手をつないだまま記者の方に振り向いて、深々とお辞儀をすると、手をつないだまま仲良く廊下を通って帰って行った。
星アリサに話を聞ける最大のチャンスだったにも関わらず、誰一人として二人に声をかける事が出来なかった。
現実とは思えない浮世離れした光景に、だれもが声を失い呆然としていた。
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謝罪会見を見た百城千世子の話
私とアリサさんは近くの別室にモニタを設置して、記者会見の様子を見ていた。
単独の謝罪会見を提案したのはアリサさんだった。
アキラちゃんがこの謝罪会見を乗り切ることが出来なければ、アキラちゃんは子役を辞める事になるという条件をアリサさんから聞いた時、あまりの酷い条件に、私は怒ってアリサさんに抗議した。
私の抗議にもアリサさんは、「私は問答無用でアキラを辞めさせる気だったの。でもアキラが謝罪会見を乗り切ることができれば、アキラは役者に復帰できる。私はアキラにチャンスを与えたのよ。」と言って全く取り合わなかった。
アキラちゃんが無事に記者会見を終えられることを祈りながら、記者会見が始まるのを待った。
午後2時40分。会見の開始時間ぴったりにドアを開けてアキラちゃんが入ってきた。
アキラちゃんは、濃い紺色のスーツにグレーのネクタイを締めた服装だった。
あのグレーのネクタイを締めたのは私だった。アキラちゃんが無事に記者会見を乗り越えるのを祈ってぎゅうぎゅうに締め付けたけど、アキラちゃんは苦しそうにしていて、結局あとでスタイリストさんに直されてしまったの。
アキラちゃんはまず、謝罪をして頭を下げた。アキラちゃんがこれまで演劇のレッスンや現場で学んだ技術を、すべてつぎ込んだ完璧なお辞儀だった。
そして自殺未遂の経緯を話し始める。でもそれは拍子抜けするぐらいあっという間に終わった。これで終わり? ここまで問題無かったし、アキラちゃんは無事に役者に戻れるって事だよね? 私は喜んだ。
「千世子、まだよ。」
記者の質問が始まり、そこからが怒涛の展開だった。
記者からの質問を次々に捌くアキラちゃん。
すっごく嫌らしい質問もあったんだけど、アキラちゃんは頼もしかった。
幼い頃から一緒に居る私は、アキラちゃんが強く責任感のある大人を「演技」していることが判った。
NGが絶対できない状況かつ完全にアドリブで、1回りも2回りも年上の立派な大人を演じ切れる子役なんて、幼い頃から演技に各段の努力をし続けてきたアキラちゃんぐらいしか居ないだろう。
アキラちゃんの事を「母親の力が無いとろくに仕事も受けられない、演技の才能の無い平凡な子役」とか言って粋がっていた掲示板やSNSの人たち、見てる? 息してる? ネェイマドンナキモチなの?
時間的に見ておそらく最後の質問者さんだろう。
「星アリサさんに否定されてもなお、役者を続けたいのでしょうか?」
という質問を受けてアキラちゃんがうつむいた時に、私は嫌な予感がした。
「はい。役者を続けたいです。」
アキラちゃんが回答して顔を上げた時に私の嫌な予感は的中した。
アキラちゃんは演技の仮面を投げ捨てていた。今のアキラちゃんは演技などしていない素の自分をそのまま曝け出していた。
あともうちょっと大人の仮面を付けたままでいれば、何の問題も無く記者会見が終わるのに何で!?
アキラちゃんの話す役者への思いに胸を締め付けられたが、それ以上に、私はなぜアキラちゃんがそんな暴挙に出たのか混乱していた。
しかし、アキラちゃんが心情を話し終ている時の記者会見の会場の雰囲気や、モニタに流れるYoutube Liveやニフニフ生放送のコメントを見て、私は判ってしまった。
この記者会見は何の問題も無く終わってはいけなかったんだ。この記者会見で記者や視聴者が知りたかった物は、本当のアキラちゃんの心の内だったんだ。
これはアキラちゃんの記者会見。みんなが見たいのは、演技をしたアキラちゃんなんかではなく、アキラちゃんの本当の気持ちを見たかったんだ。
だからアキラちゃんは大人を演じるという仮面を投げ捨てて、みんなの前にデリケートで弱く傷つきやすい自分の心を意図的に曝け出したんだ。
沢山の目がある記者会見で、普通は一般の人でも仮面を被る。役者ならなおさらだ。役と言う仮面を被って、それを本物に魅せてこそ本当の役者だろう。
むしろ役者であればあるほど、こういった場で、自分が人生をかけて培ってきた仮面を脱ぎ捨てるのを躊躇するはずだ。それこそ役者としての自己否定に他ならない。
アキラちゃんは自分で「役者を続けたい」と言っておきながら、視聴者が本当に見たかった物を察知して、自分を守る仮面を容赦なく投げ捨てて、自らの心をそのまま曝け出した。そして自ら役者でありながら、役者と言う職業を意図的に否定したのだ。
私は記者会見の画面に食い入るように集中していたが、ふとアリサさんの様子が気になり、アリサさんを見るとぎょっとした。
アリサさんは無表情で涙を流していた。
私はなぜアリサさんが涙を流しているのか、全く分からなかった。
私は人一倍に人物を観察して、それを俯瞰的に見ることに長けている。私は人の動作とその心情への理解に対して、絶対的な自信を持っていた。
でも、その私がアリサさんが涙を流す理由を全く理解できなかった。
アキラちゃんの素直な心情に心を打たれたのか、アキラちゃんが立派になったことに感動したのか、アキラちゃんとの思い出を思い出したのか、不出来な母親として自分を責めているのか、それともみんなの前で自分が教えてきた仮面を捨てたアキラちゃんを不甲斐なく思ったのか、その他諸々、いくら考えて、観察してみてもアリサさんの心情が全く解らなかった。
最後に別室に待機していた清水さんから、会場のスピーカー経由で記者会見終了のアナウンスがされると同時に、アリサさんは無言で部屋を出て行った。
アキラちゃんが記者会見場から退室するときに、アリサさんがアキラちゃんの前に現れて、私はさらに驚いた。
こんな事しちゃったらアリサさんも質問責めにあって、記者会見の収拾が付かなくなる!!
私は悲鳴を上げそうになった。
アリサさんは無表情でアキラちゃんに手を差し出し、アキラちゃんはその手を取りお互いにぎこちない笑みを浮かべた。
私はこの時、この世で唯一、アキラちゃんだけがアリサさんが涙を流した理由を正確に理解した事が判ってしまった。
2人は記者たちに向かってお辞儀をすると、何事もなく記者会見場を後にした。
私は呆然として椅子に腰かけた。本来なら記者会見を無事に切り抜けたアキラちゃんに、お祝いの言葉と喜びを伝えに行かなくてはいけなかった。
しかし、私はこの後、1時間以上放心状態で椅子に座ったまま動けなくなっていた。
「アキラちゃんずるい。」
私は生まれて初めてアキラちゃんの才能に嫉妬した。
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子役スレ Part256
352名無し@子役好き
今日、みんなが話題にしていた星アキラの謝罪動画みたわ。
すんげー感動したわ。
353名無し@子役好き
遅いよw。2週間ぐらい前の話じゃねぇか。
354名無し@子役好き
2週間前にあんなに祭り状態になってこのスレもガンガン消費されていったのに、まだ見ていなかったのかよ。
355名無し@子役好き
正直、自殺した時よりもすごい騒ぎだった。
自殺した時は悲しかったし、やるせなかったけど、謝罪会見は新鮮な驚きがあったな。
星アリサについては何とも言えないが、外野がどうこう言える問題でも無いしな。
356名無し@子役好き
あれは謝罪会見と言う名のエンタメ動画だろ? 本当にいろいろ完璧だった
357名無し@子役好き
謝罪会見のハードルを上げまくった男、星アキラ
今後の企業や芸能人の謝罪会見は、この伝説の謝罪会見と比較され続ける事になるだろうw。
358名無し@子役好き
あの会見のアキラきゅんは最高だった。あの会見の姿で私を蔑みながら、私のダメなところを罵って、私を正論で論破して欲しい♡
359名無し@子役好き
変な性癖に目覚めていて草
360名無し@子役好き
正直な話、あの会見を星アキラと星アリサは全部狙ってやったのかな?
361名無し@子役好き
ある程度の所は狙っていたと思うぞ。でないと一人で謝罪会見なんてしないし、
結果的に自殺で付いたマイナスの評価を全部ひっくり返したからな。
星アリサについては、何とも言えない。子供を1人で記者会見させて、ひでー母親だなとか思ったけれども、俺の母親とかは「星アリサらしいわね。いいんじゃない?」でスルーしてたし、何なんだよ星アリサって。
362名無し@子役好き
アキラ君は、あれを全部狙ってあんな演出をして、謝罪会見の場を回し切るとか背筋に寒気がするんだけど。
363名無し@子役好き
あの最後の涙も演技だったのかな?
364名無し@子役好き
判らん。本人が話さない限り判らないし、あの星アキラがうかつにしゃべるとも思えない。
365名無し@子役好き
仮に演技だとしたら、本当にとんでもない役者なんだけど。
とても演技には見えなかったし、すごく心を打ったんだけど、裏でデスノートの夜神月みたいな性格だったらすごくショックなんだけど。
366名無し@子役好き
そんな性格ならそもそも最初から自殺していない定期。
367名無し@子役好き
演技でも良いと思うよ。役者なんだし。仮に演技だったとしても、世間を完全に騙せた時点で役者冥利に尽きるだろうよ。
368名無し@子役好き
あの自殺騒動の時の無能評価は何だったのだろうか・・・・。
369名無し@子役好き
あれ、結局全部嘘で、妄想記事だって事が裁判で明らかになっているじゃねえかw
370名無し@子役好き
あの時、私がアキラきゅんの事を才能がある最高の子役だって言っていたのにみんな耳を貸さないんだから。プンプン ( `Д´)ノ
今さら、みんな手のひらをぐるぐるしても私は許さないんだから!!
371名無し@子役好き
あの記者たちを含めて出来レースだったとか?
372名無し@子役好き
それは無理だろう。記者たちは本物だったし、そんな事をしたら、今頃あの謝罪会見はプロレスだったとかいうスクープ記事で溢れまくっていると思うぞ。
373名無し@子役好き
今来た。僕も謝罪動画を見たいんだけど、どこにあるの?
374名無し@子役好き
まだ見ていねぇやつがいるのかw。ニフニフ動画とようつべに上がっているから見てくればいいよ。謝罪会見とかですぐに出てくるから。
375名無し@子役好き
やっぱり、これだけ話題になっていても、見てないない人とかいるんだな。
376名無し@子役好き
そりゃそうでしょ。全員が全員、興味がある訳ではないし、興味無い人は見ない人も多いと思うぞ。
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402名無し@子役好き
>>374
動画見てきたこれでいいんだよね?
ttp://nifnifxxxx.xxx/..../smxxxxxx
403名無し@子役好き
海馬社長じゃねぇかw
404名無し@子役好き
なんでデュエルで遊戯に負けてそんなに真摯に謝罪しているんだよw
405名無し@子役好き
そんなに謝罪するなら最初からデュエル挑まなければいいのにw
406名無し@子役好き
最後全然反省していないくて草
407名無し@子役好き
完全にMAD動画です。ありがとございます。
408名無し@子役好き
>>402
ちげーよ。これだよ
ttp://nifnifxxxx.xxx/..../smxxxxxx
409名無し@子役好き
馬w
410名無し@子役好き
謝罪でハイパーポーション作って飲むなw
411名無し@子役好き
単にハイパーポーションを飲みたいだけだろw
412名無し@子役好き
>>402 >>408
みんな間違っているよ。正しいのはこれだよ
ttp://nifnifxxxx.xxx/..../smxxxxxx
413名無し@子役好き
教祖様w
414名無し@子役好き
お前が謝るのは全世界的な企業不祥事だからNG
415名無し@子役好き
嬉しくなるとつい謝罪しちゃうんだ
416名無し@子役好き
最後、こんなやばい事をしでかしておいて、らんらんるー☆でごまかすなw
417名無し@子役好き
おまいら、星アキラはもっとちゃんと謝っていただろ!
ttp://nifnifxxxx.xxx/..../smxxxxxx
418名無し@子役好き
人類には早すぎる謝罪動画やめろw
以上、2012年ごろの掲示板からお送りしました。
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星アキラは夜凪家に遊びに行く
謝罪会見を終えた僕は、しばらく仕事は無いからゆっくりしようとか思っていた。
謝罪会見の夜には、僕は自分の謝罪会見を素材にした海馬社長のMAD動画を作成して、ニフニフ動画にアップしていた。このように、MAD動画をアップして自分の知名度を上げて売名を図るという新時代のメディア戦略もばっちりで、僕は自分自身のメディア戦略に空恐ろしい物を感じていた。これでは現代の諸葛孔明と言われても誰も否定できないだろう。
僕が動画をアップすると「仕事が早い」、「何これwww」、「頭がおかしいw」などの僕を褒めそやすコメントが付いて、あっという間に日間1位に躍り出た。やっぱり僕はすごいんだ!
動画日間1位になった喜びで僕はベッドの上で舞い踊っていたが、日間1位だったのは一瞬で、すぐにハイパーポーションで謝罪した馬先輩に一瞬で抜かれてしまった。
さすがニフニフ四天王の一角、僕みたいな雑魚が粋がって本当にすいませんでした。僕は枕を涙で濡らしながら寝た。
さて、明日はどんなメディア戦略をしようかな? 僕のアンチスレにF5攻撃でも仕掛けるかな?
ところがそんなふうに、のほほんと出来たのは、謝罪会見の当日だけで翌日から僕にバンバンと仕事が入り始めた。
情報バラエティー番組への出演、雑誌の取材、インタビュー、対談、まさかのCM撮影など、突然分刻みのスケジュールで目が回る忙しさを味わう事になった。
まるでブレイク中のアイドルのような仕事だった。逆に本業だったはずの子役業務は全く入って来なかった。
やべぇ、もしかして僕を役者じゃなくてアイドルと勘違いしている!?
アリサママに「ちょっと仕事忙しすぎるんですけど~」と抗議をしたけれども
アリサママは「あなたの自業自得じゃない」と言って微笑みながら取り合ってくれなかった。
なんてことだ。可愛いアキラちゃんへの児童虐待だぞ!!児童相談所とかに僕が相談したらアリサママはどうするつもりなんだ!?
そういえば、最近アリサママの表情が少し豊かになった気がする。
「どうせ1ヶ月ぐらいしたらみんな飽きるわ」
アリサママの言葉の通り、9月末ぐらいには僕の仕事は落ち着きを取り戻していた。
それでも僕への仕事はひっきりなしに来て、自殺未遂の前よりもはるかに僕への仕事は多かった。
反面、ウェルカムで準備していた僕への子役の仕事は全く無かった。もしかして、僕に役者の才能が無い事をマジで世間に見切られちゃっていますか!?
そんな訳でようやく自由時間ができるようになった10月上旬のある日。僕はついに夜凪家に遊びに行った。
平日に景ちゃんが学校から帰ってくる時間あたりに尋ねたんだけど、出迎えてくれた景ちゃんは小学3年生とは思えないぐらいに、すごくやつれて、目のクマが酷くなっており、元気が無かった。
学校でいじめられているのかな?と思って聞いてみると、そうでは無いようだだった。
景ちゃんがこんなにやつれている原因はすぐに分かった。1才の双子のルイちゃんとレイちゃんの面倒をずっと見ているからだ。
大人1人でも厳しい子供を2人同時に。しかも小学3年生の子供が1人で面倒を見ているなんて正気の沙汰ではない。
あの夜凪ママがこんな状態を許すわけが無い。夜凪ママの事を聞くと、景ちゃんが帰ってくると、近所の24時間のスーパーで夜明けまで働いているらしい、そして夜明けに戻ってくると、景ちゃんが学校に行って、ルイちゃんとレイちゃんの面倒を見ていると言う。
「どうしてそんな事になっているの?お父さんは?」
「あんな男の事を聞かないで!!」景ちゃんは激昂すると、ワンワンと泣き始めた。双子もそれにつられて泣き始めたので景ちゃんは涙を流しながら双子の世話をしていた。
これはどうも夜凪家はかなりまずい状態になっているらしい。
景ちゃんの今日の夕食を見ると、昨晩に夜凪ママがもらってきた売れ残った近所のスーパーの、冷たいままのお弁当と言う有様だったので、僕は近くの商店街でバラの豚肉と野菜などを仕入れて、豚肉のすき焼き(豚すき)を作ってあげた。
景ちゃんが「これ豚肉でしょ、こんなのすき焼きじゃない!!」とか言ってくれればまだ救いがあった。でも豚すきを食べた景ちゃんは涙を流しながら美味しい、美味しいって食べてくれた。涙を流してまで美味しいと言ってもらえるのはうれしいけれども、正直な所、僕はこのシチュエーションにはなって欲しくなかった。
せめていろんな事をお話しながら楽しく料理を食べたかった。これは早急に手を打たなければいけなさそうだ。
ちなみに、僕の稼ぎならA5牛のすき焼きでも問題無かった。豚すきにした理由はこのことが夜凪ママに知られて、材料費を出しますとか言われた場合に、非常に問題になるからだった。ただでさえ困窮している家にA5牛のすき焼き代など払わせる訳にはいかない。その点、豚すきであれば「安い豚肉で作りましたので材料費はいいですよ」で角が立たない形で断れる。
僕は夜凪ママには会いたいので話す時間を作ってほしい旨の書置きと、景ちゃんにテレフォンカードと僕への電話番号を渡して、緊急時や夜凪ママと会う時間が決まったら連絡して欲しいと言って、夜凪家を出た。
帰り道で僕はアリサママに電話した。
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星アキラは夜凪ママに会う
夜凪ママと僕が会うことになったのは次の週の日曜日のお昼だった。
会ってみると夜凪ママは、病院を退院した時よりもはるかにやつれていて、顔色が最悪で、少しふらふらと重心も安定しておらず、健康状態もかなり悪いようであった。
病院に入院していた時も、栄養失調気味だったけれども検査の結果、致命的な病気も無く安静にしていれば回復するはずだった。
それが今は明らかに悪化していた。
いや、病院の先生も、彼女の症状が病気から来るものではない事をおそらく察していたんだろう。
彼女は出産後の定期検査の際に、強引に入院するように言われたと言っていた。
彼女を出産関係の病気として診断して、出産入院給付金と入院に伴う子育て支援(入院中の施設による双子の世話)を引き出して、彼女の負担にならないようにして、なんとか彼女の健康状態の回復をしようとしたのだろう。
あの時、彼女が特に重い病気も無く2週間も入院していた理由が判った気がした。
夜凪ママの話を聞こうとすると最初は、よそ様の僕に事情を話すのを戸惑っていたが、「あなた達家族を助けたい」という熱意を伝えて、なんとかぽつぽつと事情を話してくれた。
端的に言えば、夜凪ママの夫、景ちゃんのお父さんが蒸発したせいだった。
小説家である彼女の夫に対して、夜凪ママは一生懸命に彼を支えていたが、双子の出産もあり、働くのもきつくなったので、ついに彼に対して働いて欲しいとお願いしたようだ。その翌日に、自分の名前だけ入った離婚用紙を置いて彼は蒸発した。
正直言って、最悪の父親だと思った。景ちゃんが彼をあんなに恨むのも無理はない。
さらに困ったことに父親は小説の取材費用と称して、300万円もの借金を夜凪家に残していた。
幼い子供2人と小学生3年生の子供1人。彼女も子育てで働ける状態ではなく、収入が無い状態なのでまずは区に生活保護の申請に行った。
しかしここで問題が出た。彼女の夫は養育費代わりに、彼の印税(数万円)をそのまま彼女名義の口座に振り込むように、出版社側に手続きをしていた。
痛い事に、これが定期的な収入とみなされ、彼女は生活保護を受けることができなかった。
もちろん。数万円で借金を返しながら夜凪一家が生活できる訳が無い。
若い小説家と駆け落ちした夜凪ママは、実家からも絶縁されていた。
このため出来ることは、昼間は子育てをして、夜は24時間のスーパーでパートとして働き、パートが終わったらまた子育てという、彼女にとって終わりの見えない地獄のような生活であった。
端的に言って、夜凪一家は詰んでいた。バッドエンドルートまっしぐらだった。
そして、夜凪一家について、さらに救いが無いのは、夜凪ママが死ぬことで保護者が居なくなり、代理人を立てて生活保護を受け取れ、借金を放棄できると考えられる事だった。
つまり、この一生懸命、死ぬほど働いて子育てしている夜凪ママが過労死した方が、実は夜凪家の財政状況が改善する可能性があるという、実に救われない事実だった。
夜凪ママは、自分の身を削りながらバッドエンディングで自分が死ぬために働き続けているのだ。
悲惨。あまりにも悲惨であった。
話の中で景ちゃんは号泣しながら、「実はアキラさんのお見舞いに行ったのは、アキラさんの回復を願う以上にお見舞いに行くと、果物や缶詰とか一杯もらえるからうれしくて行っていたの。甘い物なんて滅多に食べられないから・・・。ごめんなさい。ごめんなさいっ。」と泣きながら謝られて、やるせなかった。
あんなに大量の果物や缶詰なんかは食べきれなかったし、余ったら看護婦さんに差し上げたり、ひどい時には捨てていた。景ちゃんがすごく喜ぶからあげていたんだけど、良かれと思ってあげた本人がこんなに罪悪感を感じて食べていた事を知って、すごく切なかった。
実は夜凪家一家の事情は、興信所を使って調査済みであり、すでに知っていた。
無いとは思っていたが、夜凪ママ側が不倫をして、夫側に絶縁された可能性もあったので夜凪ママの経歴も含めて入念に調査していた。
そして今回、夜凪ママの言った事には嘘は全く無かった。
ここまで正直に話してくれたのだから、僕も真摯に対応することにした。
「実は住居、食事付きで、幼い子供達の面倒を見ながらできる仕事がちょうどあります。夜凪ママさん、景ちゃん、2人でやってみませんか?」
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星アキラは新しい職を説明する
「ここが離れで、住み込みの家政婦さん用の家、つまり夜凪さん達の新しい家になります。離れですけれども、一応今まで住んでいた借家よりも大きいので大丈夫だと思いますが、何か不都合な点があれば連絡してください。離れ側にもお風呂や台所はありますが、本邸の方が大きいですし、本邸は僕と母親しか住んでいません。2ヵ所の掃除をするのも面倒だと思いますので、本邸のお風呂と台所を使うことをお勧めします。」
「はいっ。」景ちゃんが元気に頷く。元気に「はいっ」ができてエライ! スパチャはどこに振り込めばいいんだろう?
「こちらが本邸になります。この本邸の掃除と、みんなの食事作りが夜凪さんと景ちゃんのお二人の仕事になります。本邸にはお客様がいらっしゃる事はほとんどありませんので、ルイ君とレイちゃんの面倒を見ながら、自分のペースで仕事を進めて行ってもらって構わないです。仕事中に子供を寝かせておくベビーベッドなどの必要がありましたらすぐに取り寄せますので、必要なものはこのリストに書いて僕に渡してください。遠慮は特に不要です。」
「がんばるっ!」
「ありがとうございます。」
「こちらは台所になります。設備は非常に整っていますが、私の母である星アリサは全く料理をしません。私は使用する事もあると思いますので、その時には事前に連絡します。料理の材料費については夜凪さんの勤務日で、私達が居ない時に作って夜凪家だけで食べた料理であっても、私どもの方で材料費を負担します。税理士さんに提出しますので、レシート等を取っておいて必要に応じてまとめておいてください。また、調理器具や掃除用具等で必要なものがあればホームセンターなどでそのまま購入されて大丈夫です。この場合もレシートは取っておいて、提出してもらうことになります。」
「星アリサの書斎や、音楽室などの高価な品物や大切な品物がある部屋は鍵がかけてあります。鍵を預けますので、ルイ君やレイちゃんなどがいたずらなどで入って壊さないようにちゃんと管理をお願いします。」
「了解しました。」
「日給は2人合わせて15000円。夜凪ママさんが1人で全部の業務をこなせるようになれば、景ちゃんは働かなくて良くなり、夜凪ママさんが1人で15000円を受け取るようになります。週2日の休みがあり、月給は税引き前で約35万円程度になります。週2日の休みの日は必要に応じて家事代行サービスを入れます。土日は私と母親が家に居る可能性が高いので、基本は平日に休みを取ってもらいますが、状況に応じて家事代行サービスに連絡を入れて、土日で休みを取ってもらっても大丈夫です。有給休暇は年に20日間が付与されます。違法になりますので必ず年5日以上の有休を取得してください。」
「差し当たって、体調を回復させるのと、簡単に新しい生活に慣れるために、5日ほど有休を使用された方が良いと思います。景ちゃんは夜凪ママがルイ君やレイちゃんの面倒を見るために、仕事が完全にできない部分のフォローとして、夜凪ママのお手伝いで働いてもらいますが、もちろん未成年の家業お手伝いという立場なので、強制はしません。景ちゃんには別途手伝ってもらいたい事がありますが、こちらについては働いた分の給料をちゃんと支給しようと考えております。」
「はいっ。がんばります!」気合を入れる景ちゃん。
「こんなに厚遇していただいてよろしいのでしょうか?」と夜凪ママ。
「厚遇ではありません。住み込みの家政婦さんへの相場相応の労働条件と給与になります。ただし、このチャンスを逃せば、夜凪さんは同じような条件の職を得るチャンスはもう巡って来ないでしょう。そういった事を踏まえた上で、ちゃんと働いていただける事をお願いいたします。」
「肝に銘じます。」
「10日後に前に勤めていた家政婦さんが来て引継ぎをやってくれます。実際の仕事の進め方などは、その家政婦さんから引き継いでください。」
そう。夜凪家に提案したのは星家、つまり星アリサ邸宅の住み込みの家政婦さんであった。
前の家政婦さんは、高齢ではあったが、人当たりの良い人であり、自殺した僕を見つけてくれた命の恩人でもあった。
とは言え、自殺未遂を起こした僕の第一発見者と言う事もあり、ショックを受けたり、マスコミの取材を受けたので、しばらく静養をしていたのだが、息子さんが一緒に暮らそうと言ってきた事もあり、今回退職することとなった。
僕も電話で命を助けてくれたお礼と、退職することに対する謝罪を伝えたら、無事に回復してくれて良かったと涙を流して喜んでくれた。
アリサママはこれまでの実績、息子を助けてくれた恩、マスコミなどからの迷惑料などを含めてかなりの金額を退職金として渡したようだった。
こういう経緯で丁度、星家のお手伝いさんを探しており、夜凪さん一家は渡りに船だったのだ。
ちなみに僕の住んでいる家について、ちょっと解説しておこう。
星アリサの邸宅は、彼女の成功した女優人生で稼いだお金をかけて建築された豪邸であった。
もちろん。海外とかにあるイメージの、貴族とかが住んでいて、お手伝いさんが何人も必要なレベルの豪邸では無い。
専業主婦であれば1人で維持することもできるぐらいの規模の日本では常識的な規模?の豪邸だった。
このような豪邸を建てた理由は、女優の成功者および芸能人として生きるアリサママの外聞と見栄、それから特に使い道が無いお金が貯まっていたからだった。
さて、アリサママは自分は家事ができない人間である事を認識していた。そしてこんな豪邸を建てたものの、金銭面を除いた運用面を考えると自分一人では維持できない事も判っていた。故にアリサママは、最初から住み込みの家政婦さんを雇う前提の豪邸を設計、建築した。
アリサママはいろいろな人間関係を見てきたためか、住み込み家政婦さんとは言え、赤の他人と一緒に住むのにあたって、プライベート空間は分けておいた方が良い事を知っていた。
そのために、豪邸である本邸の裏側に離れの一軒家がぽつんと立つ事になった。これが住み込みのお手伝いさん用の家であり、夜凪家族が新しく住む家でもある。
そのお手伝いさん用の一軒家は本邸と並べても見劣りしないように、かなり質が良い家になっている。
こういった事情もあり、僕は夜凪一家を受け入れる事ができた。
今日からアリサママと僕、夜凪ママと景ちゃん、ルイ君とレイちゃんとの奇妙な半同居生活が始まろうとしていた。
星アキラ:「夜凪景ちゃんお持ち帰り成功」(計画通り!)
夜凪景ちゃん:「おまわりさんこっちです」
おまわりさん:「やっぱ小学生は最高だぜ」
夜凪景ちゃん:「もうやだこの国」
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星アキラは朝食を食べる
「アキラさん、起きてくださいっ。」
朝に景ちゃんが僕を起こしに来る。
「むにゃむにゃ。もう食べられないよ。」
「そんな漫画みたいな寝言止めてください。」
「んんっ、判ったから起きるよ~。昨日の夜はなめこの栽培で忙しかったらまだ眠いんだよ~。」
「早く起きないと朝ごはん無くなっちゃいますよ!」
「判った。判ったよ~。起きたから大丈夫だよ~。」
僕はおもむろに起き上がると、寝不足の眼を擦りながら食堂に向かった。
「アキラ遅いわよ。最近たるんでいるんじゃないの?」
アリサママはキリっとしたいつもの無表情で、僕に毒を吐く。
「ルイちゃん~♪レイちゃん~♪、アリサママとまんまを食べましょうね~♪」
「あう~。あい~。」
「まんま~。」
さっきの無表情は何だったのかとニコニコしながら双子にご飯をあげ始めるアリサママ。
夜凪一家が住み込みのお手伝いさんを初めてから、2週間が経過した。
この間に一番変わったのは、まさかのアリサママだった。
--------- 2週間前 ---------
アリサママは、お手伝いに来た夜に夜凪ママさんと、景ちゃん、ルイ君とレイちゃんと顔を合わせると、夜凪ママと景ちゃんを見るなり、「こんなにすごい美人なのに目にクマができてやつれちゃって・・・。この家に来たからにはいい物をたべてゆっくり休むのよ。」と言って、自分はルイ君とレイちゃんの面倒を見て、夜凪ママと景ちゃんにお風呂を勧めて、ゆっくり休ませた。
翌日、アリサママは張り切って夜凪家のために朝食を作ろうとして、消し炭と形容しがたい物体が出来ていたので、僕は急遽、近所のマクドナルドで朝マックを買ってくることになってしまった。
マックなんてほとんど食べた事の無いはずのアリサママから「アキラ、私はサンキューセットでいいわ。」という謎のオーダーを受けたので、マックの店員さんに伝えたら怪訝な顔をされた。店長さんも知らないみたいだ。僕は、結局普通の朝マックのセットを人数分買って、アリサママに報告したら「ハンバーガーのセットだったんだけどもう無いのかしら?」とか言っていたので、後でネット調べたら、1987年のセットだった。知るかそんな物!!
「アリサママのマクドナルドはどんだけ古いラインナップなんだよ!」と、セット内容を見たらハンバーガーもチーズバーガーもソーセージマフィンもフィレオフィッシュもポテトSもドリンクSも、全て今でも売っていた。そしてハンバーガーのSセットとチーズバーガーのSセットは、なんと今の方が1987年よりも安かった・・・。マクドナルドの企業努力すげぇ。 僕もドナルド教を信仰するべきなんだろうかと本気で悩んだ。
なお、普通に買ってきた朝マックは、アリサママも夜凪家の二人も美味しそうに食べていた。
僕も遅れて朝マックを食べ始めた時に、僕はとんでもない物を見てしまった。
「ルイちゃーん。まんましましょうね。あーん」
「きゃっきゃっきゃっ」もぐもぐもぐ。
「レイちゃんも食べましょうね。あーん。」
「あうーあ。」もぐもぐもぐ。
なんと突然、あのアリサママが満面の笑みを浮かべて、夜凪ママが作った離乳食を双子に与えているではないか。
「アっアリサママっ、料理に失敗して頭おかしくなっちゃった?それとも千年パズルとかに意識を乗っ取られているとか、いや、ははーん。もしかしてトラックに轢かれた中の人が転生して入れ替わっているんだね! 僕は詳しいんだ。」
あまりの衝撃でボトっと、ソーセージマフィンを落としながら早口でしゃべる僕の頭に、突然、アリサママの正拳突きが飛んできた。
「ぐはっ。」
「何バカな事言っているの? あなたこそ、ついに頭おかしくなったんじゃないの?」いつもの無表情でしゃべるアリサママ。
そして、アリサママは再び、「ルイちゃーん。また、もぐもぐしまちょうね~。」とニコニコしながら双子に離乳食を与えている。
「アイエエエ!ナンデ!?アリサママナンデ!?」
「ルイとレイがアリサさんに懐いて良かったわ。」ニコニコの夜凪ママ。
「アリサさんが優しい人で良かった。」と嬉しそうな景ちゃん。
何の違和感も感じていない様子の二人。おかしいのは僕なの!?僕がおかしいの!? いや、夜凪家の人たちに優しいのは嬉しい。でもこれは変わりすぎでは?
普通は変わるにしても、いろんなイベントで夜凪家とアリサママとの絆が少しずつ生まれて、何かの騒動があって絆が深まってついに改心するとか、そういう感動のイベントとかあるんじゃないの!?
こんなの視聴者全員、置いてきぼりだよ!!
「さあ、あとでアリサママとあそびましょうね~。」
「アリサママというよりもアリサおばちゃんでは? ぐはっ」
僕の不用意な一言で、再びアリサママの正拳突きを浴びる僕。
「アキラさん、女性にそんな事を言ってはいけませんよ。」と夜凪ママ
「アキラさんって、意外とデリカシーが無いんですね。」と景ちゃん
--------- 現在 ---------
そんな衝撃的な展開があったのが2週間前。今ではこの朝食の光景もすっかり見慣れた物になっていた。
僕はアリサママが静かな生活を好むと思っていた。でも嬉しそうに双子に離乳食をあげるアリサママを見ていると、実はアリサママは大家族の生活に憧れていたんじゃないかと考え始めている。アリサママも一人っ子だったし。
どちらにしても、夜凪家との新生活は思っていた以上に順調だった。
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ちょっと未来の夜凪景ちゃんの話1
ある夏の夜に自由時間ができた私は、アキラさんの家の視聴室を借りて映画を見ることにした。
アキラさんの家にはリビングの他に映画などの資料を見るための専用の視聴部屋があった。
視聴部屋は6畳ぐらいの部屋で、大画面のプロジェクターやテレビと、照明や音響設備も充実しており、防音機能を備えた完璧な映画の視聴環境だった。
この部屋が空いている時は、私は自由に使って良い許可をもらっており、アキラさんの家に住み込みのお手伝いさんとして引っ越してからは、実は私が一番この部屋を利用していた。
アキラさんの家には自分の家に元々あったビデオよりも、何倍ものDVDやBlu-rayがあって、暇を見つけては私はその中から、見たい映画や気になる映画を探して視聴していた。
今日は、お母さんと私が大好きなローマの休日を見るつもりであった。
ルイとレイも映画を見ている時は一人にさせてくれて、私はこの部屋で誰にも邪魔されずに映画に没頭できた。
オードリーヘップバーンが演じるアン王女を体験して、バイクのハンドルを奪い、真実の口で驚き、スペイン広場でジェラートに舌鼓を打ち、エンディングの後にアン王女から戻ってきた私は、アン王女と一緒に一筋の涙を流して、ちょっとの悲しさと一筋の寂しさ、ジョーとの思い出の幸福感などの複雑な感情が残っていて、映画を見終わった私自身の心は満ち足りていた。
数年前の私では、この映画で感動することは無かっただろう。いや、見る事すら無かったと思う。
アキラさんに救われるまでの私は、特にハッピーエンドの映画が大っ嫌いで、逆に好きなのは悲劇的な映画、特に主人公が悲惨な終わり方をする映画を好んでいた。
実は数年前に私が初めてアキラさんに出会う頃、私の一番好きな映画は火垂るの墓だった。
ルイとレイが生まれて、父親と言う名の憎いあの男が失踪すると、夜凪家の生活は一変した。
私が生まれた時には、あの男も小説の収入がそれなりにあり、お母さんも何とか私を育てられたらしいが、ルイとレイが生まれた時にあの男が働かずに失踪したことで、夜凪家の状況は大きく変わった。
ルイとレイが生後5ヶ月ぐらいまでは、なんとか出産の給付金や貯金を切り崩して生きていけたが、その後は貯金も底を尽き、夜はルイとレイを私に任せて、お母さんは夜のスーパーで働くようになった。
私は慣れない双子の世話に悪戦苦闘して辛かったが、ほとんど寝ないでスーパーに働きに出て、私が学校で居ない間は双子の世話をするお母さんを見ていると、何にも言えなかった。
あんなに綺麗だったお母さんは見る見るうちにやつれてきて顔色も悪くなり、健康状態が悪化していくのが判った。そしてお産後の定期検査で病院に行ったある日、ついに入院するように言われてしまった。
補助金が出るとのことで、ルイとレイを施設に預けてお母さんは病院に入院した。
病院に入院すると、お母さんは少しずつ回復してきて、病院の中を一緒に軽くお散歩するようになった。
すごく久しぶりにお母さん独り占めできて、すごくうれしかった。やつれていくばっかりのお母さんが回復してきていて、私はこの時に、この状況が改善するのではないかとわずかな希望も持っていた。
お母さんの入院から3日目に病院内をお散歩していると、すごく澄んだ鐘の音のようでありながら、すごく独創的で不思議なピアノの旋律が耳に聞こえてきた。
この曲はリストの「ラ・カンパネラ」って曲らしいんだけど、その時の私は曲名など判らずに、ただ、ピアノの音がする方に引き寄せられていた。
そしてある病室の前に来るとドアが開いていて、中で私よりもちょっと年上の男の子がその曲を弾いていた。
その時の私は、綺麗とか素敵な曲とか、そんなありきたりな感想ではなく、ただその男の子が奏でる音楽に圧倒されて、何の感情も表現できなかった。
私が男の子の病室の前で呆然としていると、男の子に部屋に入って聞きませんか?と勧められたので、私とお母さんは部屋に入って、用意してあった椅子に座らせてもらった。
その男の子の名前はアキラ君と言った。アキラ君にリクエストを聞かれたんだけど、ピアノの曲なんて咄嗟に思いつかなかったので、あの男が失踪する前までは好きだったプリキュアリーの曲をリクエストしてしまった。
久しぶりに聞いたプリキュアリーの曲はポップで心も弾んだが、同時にちょっと前までの私はこんな幸せそうな曲が好きだったんだと、悲しくなった。
それから、お母さんが入院している間は毎日アキラ君の病室に行って、いろいろお話をして、彼が奏でるピアノを聞く毎日であった。
彼のピアノは私に安らぎを与え、一緒にアキラ君がいろいろくれる果物や缶詰なんかの甘い物たちは、精神と物質的な栄養の面から私に幸福を与えた。
あの男が失踪して以来、双子の育児用品にお金が回って、私は甘い物を口にできる機会がほとんど無くなっていたから、彼のピアノと彼が私にくれる甘い物は一時にでも、私につらい現実を忘れさせてくれた。
お母さんが退院して、またあの辛い日々が戻ってきた。
お母さんは入院で健康状態が一旦持ち直したように見えたんだけれども、またすぐに前の状態に戻ってしまった。
そして私はそんな現実から目を背けたくて、たびたびアキラ君へのお見舞いに行っていた。お見舞いに行けばいつもの通り、ピアノと甘い物で一時現実を忘れられたけれども、それも長く続かなかった。
アキラ君はついに退院してしまった。そしてテレビで立派な謝罪会見をして別の世界に行ってしまった。彼は良くテレビでは見るようになったけれども、もう私と会う事は無くなってしまった。
そうして私達、夜凪家一家の状況はどんどん悪くなっていった。
私達に限界が迫っていたある日、「お母さん、どうしてそこまでして働かなければいけないの?」と聞いた。
お母さんは何かを誤魔化すようにしていたけれども、私が問い詰めたら、あの男が借金を残していることを知った。
私は目の前が真っ赤になった。私達はまだあの男のせいで、こんなに不幸な目に遭わなければいけないの!?
私は父親への憎しみが心の奥に炎のように燃え上がっていた。
でもこの行き場の無い怒りをどこにもぶつける事はできなかった。
私は双子の赤ちゃんの面倒を見て双子が寝静まると、大好きな火垂るの墓を見た。
火垂るの墓を見るのは楽しい。特に節子が死ぬ最後のシーンは最高だと思う。私よりも不幸な節子になろうとして、節子を体験しながら見ると、映画が終わって私に戻った時に、私は餓死した節子よりも不幸では無くて安心する。
私には優しい母親もいるし、大切な双子の弟妹も居る。
そうして、精神をなんとか保っていたけれども、ある日、双子の子供の面倒を見ていたお母さんが、立ち上がった瞬間にそのまま倒れた。
私はびっくりして、救急車を呼ぼうとしたけれども、お母さんに止められた。そして毛布を持ってくるように言われて、床から動く事ができないお母さんに掛けてあげた。
お母さんは真っ青な顔をしながらしばらくうずくまっていたけれども、パートの時間になると、限界が近い体を押してパートに行ってしまった。
「お母さんがっ。お母さんが死んじゃうっ・・・・!」私の体は震えが止まらなかった。
その日の夜、ショックを受けたまま、いつも通りに火垂るの墓を見た。
そして映画を見終わった時に、私は理解してしまった。
私はいつも、節子は私よりも不幸だと思っていた。でも節子は大切なお兄さんに見守られながら安らかに死ぬことができた。
それに対して、このままだと私は、お母さんが死んで、ルイとレイも居なくなって、最後に私は、あの男への怨嗟を吐いて、苦しみながら死んでいくのだ。
私は節子を見て安心していたけれども、節子は私よりも幸せだったのだ。
私の心が節子よりも自分の方が不幸だと理解した時に、私がなんとか我慢していた物がすべて吹き出した。
「ふえっ。このままだとお母さんが死んじゃうっ。ルイとレイともばらばらになっちゃうっ。やだっやだやだっ。」
涙が止めどもなく流れる。
「やだっ。お母さん、死んじゃやだっ。死なないでっ。お願い。良い子にしているから。お願いだから死なないでぇっ。」
「やだやだやだっ。やめてっ。神様お願いだからお母さんを死なせないでくださいっ。お願いっお願いですから。」
私は、お母さんがあの男のように私たちを捨てれば、お母さんも生きられる事を知っていた。でもお母さんは私たちを捨てなかった。
「私たちのせいで、お母さんが死んじゃうんだっ。いやだ。いやだよ。やだやだっ。」
「やだやだやだっ。やだやだっ。誰か助けてっ、助けてくださいっ。お願いですから助けてくださいっ。お願いですから。うわーーーーんっ。助けて!、助けてよっ。だれか私達を助けてくださいっ。わぁぁぁぁーーーーん。」
もう私は駄々っ子のように泣くのを止めることができなかった。これだけ泣いても、苦しんでも、小学生の私では、ただ破滅へ突き進むのを黙って見ているしかなかった。
現実は映画とは違う。どんなに不幸であっても、私たち家族を助けに来てくれる人など誰も居ないのだ。
だから私はハッピーエンドの映画が大嫌いだった。
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ちょっと未来の夜凪景ちゃんの話2
そんな苦しいギリギリの日々を過ごしていたある日、転機が訪れた。
それはアキラさんが家に尋ねて来てくれた事だった。
アキラさんは私の家に遊びに来てくれる約束をしていたけれども、今や頻繁にテレビに出演するようになっていた。正直な話、遠い世界に行ってしまったアキラさんが、私なんかの約束を守って家に尋ねてくるとは思っていなかった。
アキラさんは私達家族の惨状を見ると、どうしてこういう状況になっているかと尋ねてくるので、私は言いたくないけれどもぶっきらぼうな態度を取って、仕方なく質問に答えた。そしてあの男の事を聞かれると、つい激昂して私は泣き出してしまった。
アキラさんは泣いている私を見ると、どこかに行ってしまった。アキラさんがせっかく来てくれたのに、私に呆れて出て行ってしまったのだ。
そう思って、絶望と後悔していると、しばらくして、また戻ってきて私に豚のすき焼きを作ってくれた。
このすき焼きは正直に言って、人生で一番美味しかった。あの男が居なくなってからすき焼きなんて全然食べられなかったし、なによりも一人きりで孤独だった私を、見返り無しで純粋に助けてくれようとしている心が嬉しかった。
私は様々な感情が押さえられずに、涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら一心不乱に、豚のすき焼きを食べた。
すき焼きを食べ終わると、アキラさんは「よく頑張ったね」と言って私の頭を撫でてくれた。
私はアキラさんに抱き着いて、号泣してしまった。しばらくして落ち着いてくると、抱き着いていたアキラさんの服のおなかのあたりには、私の涙と鼻水、あと唇に残ったままのすき焼きの汁と卵でべちょべちょに汚れてしまっていた。
私は「汚してしまってごめんなさい。」と謝ると、「そんなこと気にしなくていいよ。」と言ってくれてまた私の頭を優しく撫でてくれた。
それから、あれよあれよと言う間に、生きるか死ぬかの瀬戸際だった私達家族は、アキラさんによって救われることになった。
私達はアリサさんとアキラさんの家の、住み込みのお手伝いさんという仕事と家と食事を与えてくれて、疲労で死にそうになっていたお母さんは回復し、今の私はこんな幸せな生活を送っている。
こんなすごい事を、あの時10歳だったアキラさんがしてくれた事が信じられない。
でもアキラさん以外の人では、きっと救われることも無く、私達家族はもっと悲惨な結末を迎えていただろう。
私は、私と大切な家族を救ってくれたアキラさんに深く感謝していた。
私は、あの後から私の人生の転機やお祝い事の時に、アキラさんから「何か食べたい物ある?」と聞かれたら「豚のすき焼き」と答えている。
アキラさんは何かを察したのか、そのリクエストをすると、何も聞く事無く、あの時に食べたすき焼きを作ってくれる。
この前、千世子ちゃんにもご馳走したら「普通は牛肉でしょ。こんなのすき焼きじゃないわよ!」と言われて、アキラさんと顔を見合わせて笑ってしまった。
いろいろな思い出と共に、私にとっての豚のすき焼きは、アン王女のジェラートや、節子のサクマ式ドロップスのような忘れられない味になったのだった。
------ ちょっと未来の夜凪ママの話 ------
アリサさんとアキラさんの家の住み込みの家政婦として働き始めてから2年が経過した。
そして今日でついに夫が残した借金を全て返し終わった。
私は借金を返したその足でそのまま区役所に行って、夫だった人との離婚届けを提出し、その後、夫の本の印税を振り込んでいた出版社に連絡して、離婚したのでこれから印税の振り込みは不要であることを伝えた。
区役所の窓口で離婚届はあっさりと受理され、私達夫婦はこうして赤の他人となった。
今朝、景にお父さんとの離婚届けを出してくる事を伝えると、「ついにあの男と離婚する決心がついたのね!嬉しいわ。」と喜んでいた。
その様子を見て私はすごく複雑な気分になった。
景にとってお父さんだった人と縁が切れるのは喜ばしいことであって、私が感じる寂しさなどは全く無いようだった。
私は区役所を出ると、時間が少しあったので近くの大きい公園に来てベンチに腰かけた。
秋晴れの空を見上げながら、あの人との結婚生活の後悔と、あの人との関係を全て終わらせることができた事、そしてこんなにもダメな母親でありながら、幸運にも子供たちを守れた事への安堵感に浸っていた。
私はローマの休日が大好きで、アン王女のような恋に恋焦がれていた。
あの人と出会ったときには、運命だと思っていた。私達は駆け落ちして、実家に絶縁された。
そして、人生は物語のように上手くいかないことを知った。今思い出してみても、結婚後のあの人との生活は上手くいっていなかった。
あの人は小説を書く事以外には興味が無い人だった。そう、あの人は小説が家族よりも大切な人だったから、家族が小説を書くのに重荷になった時点で、あの人は私達家族を捨てた。
実はあの人が家族を捨てる前に、ルイとレイが生まれた事を実家に伝えて、援助をお願いしたことがある。
しかし、ほぼ結婚生活が破綻しているにも関わらず、夫との離婚をためらう私に、父親がキレて「なに甘っちょろい事言っているんだ。もう電話をしてくるな!」と電話を切られてしまった。
それからは、夫が居なくなって、私は景に迷惑をかけながら、ひたすら頑張って働いた。
「子供たちを守れるのは私だけなんだ。」
私は子供を守ると誤魔化しながら、あの人との結婚が間違いではなかったと言うことを、自分の力で示したかった。
今振り返ってみると、なんて身勝手な母親だったのだろうと思う。本当に守らなければいけないのは、私の意地などではなく、大切な子供たちだったのに。
おそらくあの時、景がアキラ君のピアノの音に導かれて、アキラ君の病室に行かなければ、私達家族の運命は全く違った物になっていただろう。
アキラ君とアリサさんには感謝してもしきれない。
私はけじめとして、両親に対して、これまでに迷惑をかけた事への謝罪と、夫との離婚、そして今の生活は大丈夫である事を報告するために、本当に久しぶりに実家に電話した。
実は景には、私に両親が居る事を話したことはない。変な希望を持たせる訳にもいかなかったし、両親に絶縁されているとはとても言えなかった。
電話には父親が出て、父は私の話を無言で聞いていた。私が話し終えて電話を切ろうとした時に父がしゃべった。
「お前も大人に、いや立派な母親になったんだな。お前がちゃんと過ちを認めている以上、わしも過ちを認めにゃならんな。すまなかった。」
突然父親が謝った。
「本当なら双子が生まれた時点でお前を助けるべきだったんだ。でもわしにはどうしても、あの男とお前との結婚を認められなかった。あの時にお前に手を差し伸べなかった事と、わしが狭量で意地っ張りな父親だった事を許してほしい。」
あの頑固で、自分の主張を曲げた事を見たことが無い父親が、私に対して謝った事に驚いていた。
「そんな事ないわ。あんな騒動を起こして、駆け落ちした挙句に勝手な事をお願いしたのはこっちなんだし。」
「不出来な父親で本当にすまなかった。もしもお前がわしを許してくれるのであれば、時間がある時で良いから子供たちを連れて遊びに来てくれないか。母さんも喜ぶと思う。」
私は父親を許すと言う事と、時間が取れれば、景が冬休みになったら子供たちを連れて行く事を伝えた。
本当に久しぶりの両親との電話は、全く想像しない形で終わった。
両親は全てを捨てて駆け落ちした私を憎んでいて、私を絶対に許してもらえないと思っていた。
でも両親もずっと苦しかったんだと言うことが、父親からの言葉で判った。
きっと、アキラ君に出会う前の、あのままの生活を続けていたら、私達家族は破滅して、両親とも和解できなかっただろうし、景やルイとレイたちも本当にどうなっていたかわからない。
私は感情が押さえられなくなって泣いた。
一通り公園のベンチの上で泣き終わって、公園を見ると突風で散っていたイチョウの葉が一斉に巻き上げられて、雪のようにひらひらと散らばった。
幻想的な光景だった。まるで私達家族の前途を祝ってくれているようだった。
ふとこの光景を誰かに見せたいと思った。
まず思い浮かんだのは、私の大切な子供たち。そしてアキラ君とアリサさん。
もう私の脳裏には、夫だった人は思い浮かばなかった。
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星アキラは配信準備する
夜凪家も新しい生活に馴染んできたある日、僕はついに配信することにした。
配信の形式はYoutube Liveでの生放送。
2012年の現状では生放送サービスではニフニフ生放送が一大シェアを築いており、2016年にかけてプレミアム会員数もウナギ登りで、まさに日本の動画と生配信業界の覇権はニフニフ動画にあるように見える。
見える。見えるよ。見えるんだよ。・・・そう見えたんだけどなぁ・・・。
正直に言って、この時点(2012年)での生配信プラットフォームとしては、ニフニフ生放送が最高である。
視聴者の付きかたやノリなどを見ても、ニフニフ生放送は素晴らしいと思う。
配信で稼ぐことを考えなければ、2020年代でもニフニフ動画は良いコンテンツであると言える。
しかし、配信者として収益を上げる点を考えると、ニフニフ動画はYoutubeよりもいろいろ問題があるし、今後台頭してくる企業VTuberのほとんどがTuberの名の通りYoutubeを使用している。
本当は2012年の時点でニフニフ生放送の生主となって、環境が整う2016年ごろにYoutubeに移転する手もあるんだけど、そうするとニフニフを裏切った配信者としてのヘイトを集める事にもなるので、素直に最初からYoutube Liveを使う方が良さそうである。今ならYoutuberとしての先行者利益も得られるだろう。
2020年代には芸能人がYoutubeでチャンネルを持つのは一般的だが、この時代からYoutubeで活動すればいろいろ先行者利益がある。
特に社長の息子である僕がYoutuberとして活動することで、若手メインのスターズにも良い影響を与えるだろう。・・・与えるよね? スターズの黒歴史とかにはならないよね?
盛大にフラグを立てつつ、まずはYoutube Liveをできるベースづくりを始めた。
この時代のYoutube Liveを始めるために、Youtubeパートナーになる必要があった。
そのためには一定数のチャンネル登録者数と動画再生時間が必要だった。まずはそれを達成するための動画づくりを始めた。
動画のタイトルはずばり「生放送したいのでチャンネル登録と再生をお願いします。」
星アキラの自己紹介と生放送したい動機、生放送でやりたい内容などを説明した動画を上げて、僕のSNSで動画を紹介して協力をお願いした。
こういうものは、変に目的をはぐらかして動画を作っても、変な憶測や方向性がぶれて、余計な手間がかかってしまう。そのものずばり、正直な動画が一番良かったりする。
僕のSNSもフォロワーがかなり居て、フォロワーたちが僕の情報を拡散してくれた結果、予想以上の動画登録者数と動画再生時間を最初に確保することができた。
それでスターズ経由でYoutubeパートナーの申請とYoutube Liveの申請を日本支社に出したところ、是非お話を聞かせて欲しいとYoutubeのオフィス(正確にはゴーグル日本法人のオフィス)に招かれた。Youtubeの運営とコネができるのは、今後猛威を振るうAIちゃんのBAN対策としても有効なので快諾した。
ばっちりとITエンジニアの正装(ポロシャツ・ジーンズ)をオシャレに決めて、僕のマネージャとオフィスに行ったら、Youtubeの関係者だけではなく、ゴーグルの日本法人の社長とHQ(アメリカ本社の役員)も居て予想以上の大物がそろっていて驚いた。
この時期の日本では、ゴーグルはヤホージャパンとYoutubeはニフニフ動画とそれぞれシェア争いをしていた。なかなか日本独自の市場を崩せないようであった。
僕はそう言った戦略会議の場に「なんか話題の芸能人がYoutube Liveで生放送したいらしいぞ」という訳で、珍獣枠ゲスト枠兼一般ご意見枠として呼ばれることになったようだ。
2020年代にはVTuberさん達の働きもあって全盛期を迎えているYoutube Liveだけど、この時期は生配信はニフニフ生放送を筆頭にキュアキャス、ツジキャスなど戦国時代で、後発の2011年4月にサービスを始めたばかりのYoutube Liveはまだ、存在感を示せている状況にはなかった。その打開策を考えているようだった。
そんなわけで、お互いに自己紹介して、ライブの動機やライブでやりたい事などいろいろディスカッションした。
ちなみに、最初は日本法人の人が通訳してくれようとしていたけれども、面倒なので僕は英語で話した。HQの人もノリが良く、ガンガンとディスカッションは続いた。
話はYoutubeの戦略の話に移っていき、今はアリーアダプターが強いからマニアックめなサイトが強いけれども、Youtubeはテレビの代価として老若男女を問わず見られるマジョリティ中心の戦略を取るべきや、Youtube自身の広告収益の取り方、Youtubeにチャンネルを開設した場合の芸能事務所と案件企業との広告のやり取りや、配信者への報酬のあり方、Youtube Liveの改善点など多岐に渡って、いろいろ話した。
ミーティングの時間は予定時間をはるかにオーバーして激論を交わして、最後にHQの人から、「君が10歳で無ければ、取締役として是非ゴーグルに来て欲しかった。」というリップサービスをもらってミーティング終了。そのままみんなで夜の街に繰り出した。もちろん健全でオシャレなバーみたいな所でした。まぁ僕は当然ソフトドリンクだったけれども・・・。
-------------------------
「アキラさんカメラの準備が出来ました。テストしてください。」
そんなこんなで、すべての準備が整い、ついに生放送の開始日がやってきた。配信場所は僕の家で、景ちゃんには、アシスタント兼、カメラ調整兼、天の声などをやってもらうつもりだ。
僕の家にやってきた後の景ちゃんは、目のクマも取れて、やつれていた顔も年相応にふっくらとしたものになり、目元もパッチリした、とんでもない美少女に変身していた。
正直、景ちゃんが千世子ちゃんと同レベルの美少女とは思っていなかったので、僕は今、相当にビビっている。
弱っている女の子に栄養を与えると、こんなにすごい美少女になるのだろうか?(←かなり失礼)
景ちゃんにはスターズの方で子役として契約してもらい、Youtubeが軌道に乗るまでは、僕の給料から景ちゃんの給料を天引きしてもらう契約にした。
景ちゃんはまだ小学生なので、義務教育の終了まで就業できない。しかし子役としてちゃんと労働契約した上で条件を満たせば、軽作業に限って労働で賃金を払うことができる。この辺はスターズが子役契約の経験も大きいので、顧問弁護士さんとかにもちゃんと確認して、景ちゃんと労働契約を交わした。
・・・この辺がなぁなぁで後で問題になると大変だからね。
ちなみに、アリサママに配信したいと言ったら、「いいわよ。好きにしなさい。」と簡単に許可された。
てっきり、「役者を安売りするものじゃありません! 役者ならちゃんと役を演じてお金を稼ぎなさい。」とか言われるかと思ったので、拍子抜けだった。
「役者だって、売れるまではアルバイトしたり、兼業だったり大変なのよ。役者以外で収入を得る方法があるのであれば、あなたも積極的にやるべきだわ。」
「それから、スターズの社長としても動画配信に興味もあるわ。ただし、あなたはスターズの代表としても見られるのだから、みんなの評判を落とさないように、その辺はちゃんするのよ。」
僕の配信を見た後に、おそらくアリサママは頭痛で頭が痛くなるとは思うが(笑)、僕は素直なふりをして聞いていた。 アリサママはそんな僕を胡散臭そうに見ていた。
さあ、生まれ変わって初めての生配信がんばるぞ!!
どんなリスナーと巡り合えるんだろうか? わくわくする。
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【Live】星アキラ 初配信しちゃいます
放送準備中。もうちょっとで始まるよ。
本当に星アキラが配信するのかな?
するだろ。トイッターにも本人のアカウントで配信するってあったし。
芸能人がYoutubeで生放送とかあった?
今までに無いよな。普通に事務所が主催するイベントとかしか、見た事無いし。楽しみ。
おっ。始まるみたい。
「おはこんばんにちは。役者なのにみんなのアイドル。わからせたい子役ナンバーワンの天才俳優 星アキラです。今日は僕の生放送に来てくれてありがとう!!」
きたーーーーー。
アキラきゅん素敵☆
まじ本人だった。
本人の属性が多すぎて草。
思っていたのとは違う、やたら軽いノリだった。
「そんな訳で自己紹介です。」
「星アキラ10歳ですっ!小学五年生の元気な男の子で、ママの仕事を手伝って、スターズとかいう怪しい芸能事務所で子役としてがんばっていますっ!」
「今日は僕の初配信! みんなと仲良くなれたらうれしいなっ!」
うぉぉぉぉぉ。みなぎってきたーーーー。
10歳の男の子の演技が超上手い! 流石は天才俳優w
年相応の子にしか見えねぇw
自分で怪しい事務所とか言っちゃってて草
最初から10歳定期w
すばらしいショタ。もっとショタ成分を私にっ。
なんかやばいの一人いて草。
やばいのが一人だけとか思っているんですかね?☆ミ
放送の視聴者数は6000人ぐらい。正直予想していたよりも、かなり多い。
芸能人の力すげぇ。
「それでは今日は、あらかじめ募集したみんなの質問に答えていきたいと思います。」
まだこの時代にマシュマロは無かった。このため、掲示板に質問を事前に書いてもらって、それの画像を作って放送内で貼り付ける事にした。
「最初の質問はこちらです!!」
童貞ですか?
|
「はいっ童貞です!!」
ぎゃぁぁぁぁっぁ。初手放送事故。
正直に答えていて草
いきなり大惨事じゃねぇかw
元気よく答えていて草
なぜその質問を選んだし。
「だって、一番最初にあったし・・・。なんかまずいみたいだから次の質問に行くね。」
この質問を書いた人は猛省してwww
変な所が真面目で草
いや待て、2番目の質問って。
ちょっと待て、おい止めろ!
精通してますか?
|
「ごめんなさい。まだしていないです。早い子だと僕ぐらいの年齢から来るらしいのですが、みんな12歳ぐらいだって言うし、気長に待ってくれるとうれしいです。」
あれ以上の放送事故だぁぁぁぁぁ。
お母さんに怒られてもろて
スーパー童貞ショタ。hshs。
いや、順番通り読まなくてもいいからw。本当にお願いします。
堂々としたアキラきゅん素敵♡
こいつ、ニフ生主以上にやべぇやつなんじゃねぇの?
この辺がレッドゾーンのようだ。これ以上のえぐいネタをしたら本当に止められそうだ。少し方向性を変えよう。
「はっ。了解したぜアニキ達。今度は無難なやつでいくぜ!」
ノリがいいな。
キャラがぶれぶれで草
急に男臭くて草
むせ返るショタ男臭ステキ
やたら無駄に演技が上手くて草
好きな食べ物は何ですか?
|
やっと安心できる質問がきて草
今日の天気デッキ並みのクソ質問で、安心する日が来るとは思わなかった。
こういうのでいいんだよ。こういうので。
アキラきゅんの好物気になる
「ごめんなさい。事務所からイメージに合わないので公表しないように言われているので、好きな食べ物は教えられないんです。」
ざわっざわざわ。
えっ、この状況でそんなにあの質問以上にやばい食べ物が好きなの?
犬とかかな?アジアの方では良く食べられているし。
ヤエヤママルヤスデとかじゃね?
オキナワオオカマキリの線も考えられるぞっ
この状況で話せない好きな食べ物とはいったい・・・。
「んっ。あっマネージャーさんから電話が来ました。はいっ。はい。了解です。判りました。」
「マネージャさんからお許しが出ました。実はお蕎麦が好きなんです。休日中は老舗のお蕎麦屋さんとか良く行っています。」
想像以上に普通で草
マネージャの胃がヤバイ
イメージと合わないといっちゃ、合わないけれども今さら感がすごい
マネージャの事も労わってあげて
「美味しいお蕎麦屋さんとかあったら教えて欲しいです。特にお台場あたりで」
それだったら、あそこのビル4Fにある、信州そば屋がお勧めだよ
ちょっと遠いけど、〇〇そばもお勧めだよ
そば屋はあんまり食べないなぁ
あそこにある△△そばもおすすめ
そばのどういう所が好きなの?
「みんな教えてくれてありがとう。今度、撮影の後とかに行ってみるね。 それでそばの好きな所なんだけど、何といってもそばの香りかな。 それからダシと醤油の風味かな。まろやかな風味よりも、少し醤油の角が立って野性味あふれる味の方が好き。だから好みは関東系なんだけど、薄めだけど昆布ダシとコクが良く出た関西風も捨てがたいよね。あと、薬味はやっぱりワサビ。でも大根おろしもいいよね。」
やたら本格的なそば通で草
10歳とは思えない、謎の好物感。通すぎる。
ある意味、イメージとは合っているような・・・?
もっとお肉とか食べていいのよ?
うちのそば食べに来ませんか?
「あっ、僕が行ける範囲なら行く行く。後で場所をDMに入れておいてくれると嬉しいな。」
「次の質問行きましょうか」
お母さんとの関係はどうなの?
|
あっ、これは俺も気になる
私も聞きたい。
星アリサはやっぱり育児放棄気味なの?
でもこのアキラ君を見ていると、育児放棄とか今更感がすごいけど
「まず、アリサママとの関係なんだけど、みんなは意外に思うかもしれないけれども、今は実は非常に良好です。」
まじで、あんなスパルタの母親なのに!?
スパルタというか、演劇修羅というか、とにかくヤバイ人のイメージしかないんだけど
でも、あの会見で星アリサのカリスマ性も上がったよね?
外から見ても、母親としてどうよ?って思うけど
「アリサママは、家事や料理がなにもできません。そのうえアメリカでも一時生活していたせいか、かなり個人主義で自立を重んじます。 だから一般の日本の母親をイメージすると冷たい母親のように思うかもしれません。」
「でもアリサパパとして考えてみてください。俳優業から華麗に転身して、大手芸能事務所の社長です。息子も可愛がってくれてやりたい事を応援してくれます。父親としては理想的な父親ではないでしょうか?」
「実は外から見ていると、片親で母親なので、非常にいびつに見えますが、僕も自由を好みますし、息子に干渉の少ないシングルファザーとして考えれば、非常に理想的な家庭なのです。」
「逆にアリサママが教育ママだった場合、大惨事でした。おそらく僕とアリサママの間で血で血を洗う親子喧嘩が繰り広げられて、最後にはお互いの息の根を止め合っていたでしょう。だから僕にとって、アリサママが母親だったのは非常に幸運だったのです。逆にアリサママから見ても、僕が息子であった事は幸運であったと思います。」
「こう言った事から、外から見るとわりとドライに見えるかもしれませんが、アリサママとの関係はお互いに良好なのです。」
「ちなみに、アリサママ本人を見ると、わりと奇行が際立っていて面白いですよ。この話はまた今度。」
ふへー。話だけ聞いていると、そんなに仲が良くないと思っていた。
苛烈な母親像を想像していたからすごく意外
母親としてはどうか?と思うけれども、父親として考えると確かにとも思える
アリサママの奇行談。楽しみ。今度やってね。
--------------------
「それでは終わりの時間になりましたので、最後にピアノを一曲。その前に、この放送のアシスタントや、カメラ調整などを引き受けてくれている、夜凪景ちゃんを紹介したいと思います。景ちゃん。こっちに来て自己紹介して。」
「はいっ。スターズの子役で、今回からアキラさんの放送のアシスタントをする事になりました、夜凪景です。普段はカメラとかも担当します。よろしくお願いします。」
美少女キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
可愛い。可愛いすぎる。流石はスターズ。
まじで、何この美少女。アキラ君、そこ変わって。
ロリとショタの共演。今日私は天国に召されるのであろうか?
景ちゃんhshs。今度からファンになります。
どこに行けばこの美少女に会えるんですか?
「景ちゃんは僕のアシスタントなので、誰にもあげません。それでは最後にピアノ演奏で終わろうと思います。曲はガーシュウィンの「ラプソディー・イン・ブルー」になります。」
へー。ピアノなんて弾けるんだ。
えっ。
ざわっざわざわ。
上手い。いや、上手いなんて次元じゃない。
いや、これ、Youtubeでやるとか本職のピアニストにケンカ売っているだろう。
聞き入る。素敵。ステキすぎる。
上手すぎじゃねぇの?これ?本当に役者か?
ピアノ教室とかそんなレベルじゃないw
学校の音楽の先生真っ青レベルで草。
まさにラプソディ。自由奔放でファンタジーのような楽曲とその演奏力
あの生放送の最後に、これは反則。こんなの応援するしかないやん。
もう終わっちゃうよー。
「これにて終了です。僕は役者なのでピアニストの役を演じれば、このように演奏ができます。(`・∀・´)エッヘン!!」
絶対嘘だ。
役者とはいったい・・・。
謎の役者万能説来た。
役者は人類の上位互換職だった?
すごすぎる。
「それじゃ、明日も生放送するので、よろしくねー。それではまたねー。」
またねー。
さいなら―。
明日も楽しみー。
アキラ君。がんばってね!
ばいばい。またねー。
こうして、僕は初配信を終えたのであった。
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【Live】スターズ事務所を紹介しちゃいます
放送準備中。もうちょっとで始まるよ。
いやー。昨日の放送はすざまじかった。
星アキラって、役者じゃなくて生主のために生まれてきたのでは?
生主の才能の方がすごすぎて、役者の才能が無い事を見抜いたアリサママの慧眼は正しかった?
今日も無事に放送が始まって草。絶対に怒られたと思ってたのに。
「おはこんばんにちは。役者なのにみんなのアイドル。わからせたい子役ナンバーワンの天才俳優 星アキラです。今日も僕の生放送に来てくれてありがとう!!」
おはこんばんにちはー。
アキラきゅん今日もステキ☆
おはこんばんにちはー☆
☆おはにちー。
今日も放送してくれてうれしいー☆
放送の視聴者数は7300人ぐらい。初配信後の今日は昨日よりも注目度も下がって、視聴者数が減ると思っていたから、逆に増えて意外。
おそらく類似する生放送が無いから、流出先が無いんだな。この時期のYoutubeはまさにブルーオーシャンだね。
チャンネル登録者数もこの時点で6万人を突破して順調に増えているよ。
あと、すでに推しマークとして☆が出回っているみたいだね。VTuber後にできた文化だと思っていたから、推しマーク第一号をもらえたのはすごく嬉しいよ。
「さて、昨日の生放送なんだけど、冒頭でスターズを怪しい事務所って言ったら、怪しくない!!って怒られちゃったので、今日はみんなが気になるスターズ事務所の中身を大公開しようと思います。」
いや、もっと怒られる別のポイントがあっただろ!!
スターズ事務所はこの珍獣のしつけをちゃんとしてもろて。
もっと重大な問題から目を逸らすな。☆
こんなやばい10歳の男の子野放しにしてスターズはまじで大丈夫なの?
明らかに星アキラだけ、スターズ(笑)が付いている件
怪しい事務所以外の所は怒られていないの?
「うーん。いろいろあった気はするんだけど、他は全部忘れちゃったから、大丈夫かなぁ。僕は10歳の男の子だからね。難しい事は良くわかんないんだ☆彡」
「でもそういえば、マネージャさんは胃薬を買っていたような・・・。」
忘れちゃったら無かった事になる理論やめろw
マネージャーさん大事にしてもろて
マネージャーさんに敬礼
10歳にしてマネージャの胃を破壊しに来る男。星アキラ
本当にそれでいいのか?スターズよ・・・。
みんな僕に容赦が無くなってきた。良い傾向だね。リスナーさんも僕に遠慮が無くなって、プロレスが始まればこれから放送がどんどん面白くなるよ。
「地下にショッカーの秘密基地がある事は放送で黙っていたのにさ、怪しい事務所って言ったぐらいで、かわいい僕に怒るとか本当に失礼しちゃうよ。」
アウト―――。100%完全にアウトです。
マネージャの胃薬が2倍になりました。本当にありがとうございます。
スターズの風評被害ひどすぎん?
かわいい僕?どこに居るの?
また怒られろ
「でもこの前、変身前の仮面ライダーさんが来ていたから、地下にショッカーの秘密基地がある事は間違いないと思うんだよね。僕は。」
いや、それ普通に仮面ライダーの役者さんだから!
スターズの事務所ならライダーの役者さんも来ると思うけどさぁ・・・。
プロの子役なんだから特撮と現実の区別ぐらいついてくれ!
アキラ君、君、仮面ライダーに子役として参加してたよね?
アキラ君に正体がバレている仮面ライダーとはいったい・・・・。
「そんな訳で、スターズ事務所の写真を見ていくよ。これが入口で警備員さんがちゃんと立っていてくれているよ。過激なファンとか居るといろいろ大変だからね。警備員さんにはいつもお世話になっております。」
「ここがエントランス。結構広いスペースで雰囲気もいいね。スターズは若手中心の芸能事務所だから、おちついた雰囲気よりも、明るい色彩で活発さを出しているよ。」
いろんな場所の写真を撮って、それの写真を順に紹介していくタイプの配信。前世でも多くのVTuberさんが旅行やイベント、外出した経験をリスナーさんと共有するためによくやっていたね。僕も今回はそのスタイルでやっていく事にしたよ。
「ここが会議室。クライアントさんなんかとの打ち合わせも多いので大小合わせてかなりの数の会議室があります。大会議室はオーディションとかでもたびたび使用されるね。」
「それでここが事務所。芸能事務所の名前の通り、事務所機能の中枢で、いくつかの事業部門には別れてはいるけれども、風通しが良いように、実質ビルのワンフロア丸々ぶち抜きで設置されています。」
エントランスはやっぱりお洒落だね。
ほえー。かなりモダンな雰囲気だね。
すんごいごちゃごちゃしているかと思っていたので、現代的な事務所でびっくり。
やっぱりスターズぐらいになると、沢山のマネージャさんが居るんだね。
所属俳優さんとかアキラ君の机とかあるの?
「基本的にマネージャさんとか、事務員さんの机がメインで、所属俳優さんとかは必要に応じて共用の机とかを使います。」
「ただし、専属のマネージャさんが付かないで、数人でマネージャさん1人なんて場合もあるので、必要に応じて机も支給されます。」
「ちなみに、僕の机ですが社長のボンボン息子の権限を駆使して、空き部屋の一角を占拠して机を置いています。それがこの写真です。」
Laura DeskにStaxのヘッドフォン、業務用のスタジオモニターとかすごく趣味がいいね
すごくお洒落で草。てっきりフィギュアとか置きまくっていると思っていたわ。
すっきり整頓されとる
何気に高級品置きまくってって草
ヘッドフォンとかに並々ならぬ音楽への情熱を感じるわ
まぁ、アキラ君は売れっ子の役者だから・・・。役者だよね?
「秘密基地みたいで喜んでいたのですが、この前、千世子ちゃんにこの机の存在がバレまして、千世子ちゃんも欲しがったので隣に同じ机を買ってあげたのですが…。その後の写真がこれです。」
ぎゃぁぁぁぁアキラ君の机が占拠されとる。
この子、なんでこんなに沢山のモニターを置いて何しているの?
アキラ君の領土、不法占拠されてて草
これは領土紛争待ったなし
そしてこのカメラ目線の天使の微笑である。
いや、俺にはどや顔に見える・・・。
マジで何しているんだ?
「これは、編集前の映像チェックで、複数のカメラでとらえた自分の映像を同時に確認するために、このようにモニターを複数並べて確認をしています。」
「実はスターズの事務所には、この写真のように映像チェックや編集をする専用の部屋もあるのですが、この部屋は予約制でいつも使える訳ではないので、千世子ちゃんは自分用の映像チェック設備が事務所に欲しかったようですね・・・・。その結果、こうなっちゃいました。」
「千世子ちゃんは、カメラの映り方やコマ割りを意識した上で、はっきりと意図が判るように演技を行うので、この辺の研究に余念が無いのですが、その結果僕の机は・・・・。いや、僕も使うからいいんですけど・・・、いいんですけれどもねぇ。」
アキラ君の机は犠牲になったのだ・・・。
まぁ、男の子はいつでも、女の子には弱いよね。
いや、千世子ちゃんもちょっとおかしくない?子役ってみんなこうなの?
千世子ちゃん、映像機器強すぎ問題。
「ちなみに、千世子ちゃんは、カメラのF値、焦点距離、撮影距離、ボケ量、光量などを全部計算に入れた上で、その後の監督さんの絵作りや彩度調整、適用されるカラープロファイルまでを考えて演技を行っています。」
「この辺が、カメラは画角と明るさ、ホワイトバランスと被写体深度ぐらいが分っていればいいんじゃない? あとは雰囲気と感覚でうまい具合にやっておけばいいじゃん。ぐらいの凡人である僕と天才との差です。」
千世子ちゃん化け物すぎて草。
それはもう天才という名の、変態では?
えっ? 日曜朝とかにテレビでよく見る子役ってみんなこんなにやばいレベルなの?
騙されたらダメだと思うぞ。おそらくこんなにヤバイのはごく一部だと思うゾ
大人の俳優でもこのレベルはほとんど居ないと思うぞ。
アキラ君もいろいろおかしいと思うの
実は類友じゃね?
「こちらの写真がアリサママの社長室の様子です。芸能事務所の社長室らしく、かなり格調高い品がいろいろ置かれていて、いかにも社長室って感じです。」
アリサママに睨まれていて草
「このバカ息子がまた何かやっているよ」って表情に見える。
この状態で普通に社長室を撮影できるアキラ君、強心臓すぎて草
アリサママに睨まれながらひょうひょうと写真撮影しているアキラ君の絵が浮かぶわ
「そんな事無いよ。特にアポも入れずに行ったけれども、この時のアリサママはきっと、「可愛い息子が来たわ。秘書に言って駄菓子とかあげないと。」とか、そういう感じだよ。」
絶対に違うぞw
明らかに迷惑そうにしていて草
ある意味アキラ君、大物すぎるゾ
まじですごいわ。尊敬する。様々な意味でw
「それで、こちらがレッスンルームと音楽ルームだね。ここは防音で、振り付けとか演技の練習をしたりとか、音楽関係の業務があれば使ったりします。」
「スターズはこの辺の設備にも力を入れていて、芸能事務所でも都内屈指だと思います。」
へーすごい。
この辺の設備が整っているのはいいね。
さすがはスターズ。アリサママの経営手腕すげぇ
明るくて、子役の子たちもこれなら安心して使えそうだね
「実際に使うとこんな感じです。」
おっアキラ君と千世子ちゃんじゃん。
二人ともすごい真剣。
やっぱりアキラ君も役者をやる時には真剣モードなんだな。
「ちなみにこれはエチュードという即興劇で、かんたんな設定などはその場で決めて、後はアドリブです。」
「この時は、幕の内弁当に入っていた栗きんとんを千世子ちゃんに取られた腹いせに、僕が考えた設定として、勇者アキランが魔王チヨコリンからきんとん姫を奪い返して幕の内界に平和をもたらすために、正義の戦いを挑む即興劇です。」
超くだらない芝居で草
完全に私怨じゃねぇか
全然真剣じゃなかった
ちょっとでもアキラ君をカッコイイと思った私を返して!
えー。アキラきゅん元々かっこいいじゃん!☆
「景ちゃんが動画を撮影してくれたので、見てみましょう。」
アキラーーーーーーーン。 ゚゚(*´□`*。)°゚。
チヨコリンがそんな秘密を隠していたとは・・・。
最後アキランが犠牲になっちゃうとか可哀そすぎる。 ๐·°(৹˃ᗝ˂৹)°·๐
全部悪いのは、きんとん姫じゃねぇか
まじで。侮っていたわ。子役でも役者はすげぇな。
いや、このレベルの即興劇ができる子役とか、極少数だと思うんですが・・・。
これには幕の内弁当もニッコリ(*´꒳`*)
「まぁ、どんなに感動のストーリーになったところで、僕の幕の内弁当から栗きんとんを奪った恨みは消えないんだけどね。」
心狭くて草
とてもトップレベルの子役とは思えない小物感がすげぇ
さっきまでの感動を返せ!
アキラきゅん。千世子ちゃんにはやさしくしないとダメだよ☆
年下の女の子を優しく許してあげるような度量は無いのですかね?
「みんながそこまで言うのであれば、許してあげようかな。」
「事務所は大体こんな所だね。スターズはすごく良い所だから、これから役者を目指すのであれば、是非スターズを候補に入れて欲しいな。」
「ところで、これだけ見回ったんだけど、やっぱりショッカーの秘密基地の入り口は見つからないんだよね。」
まだ引っ張るのかw
そんな基地など無い説www
そろそろ本当に怒られるぞ(笑)
さすがにねぇ。無いと思うんだけどなぁ。
「ピコーン! わかった。秘密基地の入り口が見つからないのはゴルゴムの仕業だ!」
まぁ、ゴルゴムの仕業なら仕方が無い。
確かに、ゴルゴムならありえる。
はい。ゴルゴム。ゴルゴム。
ゴルゴムって何?☆
大体ゴルゴムが悪いからな。
「あきらさん。そろそろお時間です。」
わー景ちゃんだ
早く景ちゃん映せよ
真のヒロイン来た。これで勝つる。
幼女?幼女の時間なの!?
ロリ成分補給キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
「景ちゃん。ちょうどいいから、僕がピアノの準備をしている間に、ここに座って、萌え豚さんの相手でもしてあげなさい。」
「萌え豚さん達はブヒブヒしているだけだから、まともに取り合わなくていいからね。」
(=`(∞)´=)ブヒィー
♪v( ̄(││) ̄)v♪ブヒブヒ
アキラ君止めろ、萌え豚どもに餌を上げるなっ
( ̄(∞) ̄) ブヒィ~
ところでスターズの事務所はどうだった?
「あっ、すっごく綺麗でした。特に・・・。」
「・・・それでアキラさんと千世子さんのお芝居を見ていたら私もやってみたくなりました。・・・」
「・・・アリサさん? アリサさんはとてもやさしいですよ。 アキラさんは照れているだけだと思います。・・・・・」
たどたどしくコメントを拾いながら視聴者と会話をする景ちゃん。配信とかも満更ではないみたいだね。
初々しくていいね。長時間はきつそうだけど、ちょっと場を繋いでもらうぐらいはしてもらっていいかな。
ところで、景ちゃんはお芝居に興味があるのかな? せっかくスターズと子役契約もしたんだし、この分なら人気が出そうだから、ちょっと体験してもらうのもいいかも? (景ちゃんのヤバさが全く判っていない超特大フラグ)
「さて、萌え豚さん達、景ちゃんの時間はもうお終いです。それでは最後のピアノコーナーです。」
僕はカメラをグランドピアノに切り替えて、ピアノコーナーを始める。
ぶぅ━━q( ̄(oo) ̄)p━━っ!!
もっと景ちゃんと話させるんだ!!
美少女を!!もっと美少女成分を私に・・・!
お前ら、ロリとか萌え豚とかやばい事言っている割には、実際に景ちゃんに対面するとすごく優しいよな。
止めろー。俺らが内弁慶でナイーブな事をバラすなーーー!
イェー――ィ。 アキラきゅんのピアノコーナー楽しみー☆
「そんな訳で、煩悩しかない萌え豚さん達を浄化するために、浄化用の音楽を用意しました。今回弾くのはモーリス・ラヴェル作曲の「亡き王女のためのパヴァーヌ」になります。」
物悲しいけれども、綺麗な曲。ステキ☆
止めろー。心に響く。このままでは俺のロリ煩悩が浄化されてしまう!
。゚(゚´(00)`゚)゚。 ブヒー!浄化されるブヒー
うっ。俺はもっと美少女と話したかった・・・ガクッ
だめだ。心が綺麗になってしまう!このままじゃ、煩悩を保てない。
いつもながら、プロ級だよな。ピアノの腕
綺麗。すごく繊細で悲しいけれども、すごく透き通った曲
心が癒される・・・。
ପ(꒪ˊ꒳ˋ꒪)ଓ昇天
「それでは、本日の放送もこれまで。」
「また明日も生放送するので、よろしくねー。それじゃ、またねー。」
またねー。☆
またねーーーー。☆
☆またねー。
バイバイ☆
さよなら―。☆
☆ばいばい。またねー。
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【Live】いちごお姉ちゃんが来ちゃいます
放送準備中。もうちょっとで始まるよ。
今回は初めてのゲスト回だな
登録者50万人記念と1か月記念だな
1か月でチャンネル登録者50万人達成とかすごすぎるんですが。
まぁYoutubeで旋風を巻き起こしているからな
アキラ君は、前に魔法のいちごちゃんで弟役やっていたんだっけ?
初ゲストがいちごちゃんは意外だったな
おっ始まるか。
「おはこんばんにちは。役者なのにみんなのアイドル。わからせたい子役ナンバーワンの天才俳優 星アキラです。今日も僕の生放送に来てくれてありがとう!!」
「今日は、生放送開始の1か月記念とチャンネル登録者数50万人記念として特別ゲストをお呼びしました!」
どうした目薬を差し始めて?
まさか涙の代わりか?
入念に手鏡で目薬で作った涙の状態を確認してて草
この後の展開が読める気がする・・・。
あっ、いちごちゃんが入ってきた。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁいちごお姉ちゃん、会いたかったよーーーー!」
「うわーーーん。アキラ君、私も会いたかった!」
「もういちごお姉ちゃんに会えないと思っていたよ。うわーーん。」
「私も。私もっ。アキラ君とずっと離れ離れだと思っていたのっ。一人にさせたお姉ちゃんを許してっ。」
感動のシーンだ。(呆れ)
まさしく感動の再会だね。( °-° )
姉弟の感動の再会シーンのくせに、なぜこんなに冷めた目で見ているのか(白目)
しかし、二人とも演技うめぇな。
演技すげぇとしか言いようが無い。
冒頭のあれを見せられなければ、感動のシーンだったのになぁ。
この状況で、この熱演。やっぱり役者の演技はすげぇんだな。別の意味で尊敬した。(°∀°)
まさしく茶番なんだけど、プロが全力で茶番するとやっぱすげぇなとしか言いようが無い。
「そんな訳で、「お願い!魔法のいちごちゃん」以来の感動の再会でございます。今日のお客様は女優の朝野いちごさんになります。」
「オフィスベリー所属の朝野いちごです。よろしくお願いします。」
わーーーー。いちごちゃんだ!
いちごちゃん出てくれて超うれしい。
やっぱりアキラ君にはいちごお姉ちゃんだよね。
成長したいちごお姉ちゃんとのお話が楽しみ!
しかし、相変わらず黒渚哲子のものまねうめぇな
「この前、哲子の部屋でアキラ君が呼ばれた時にもやっていたけれども、アキラ君、黒渚哲子のものまね、超上手いよね。」
「うん。哲子おばちゃんにもバカ受けで、褒められちゃった。」
あれを本人の前でやる勇気よ
哲子の部屋で稀にみるギャグ回だった。
黒渚哲子本人が笑い転げてたよな
普段の黒渚哲子とは全く違う顔だったからビックリした。
最後に二人でハモリながら終わってクソワロタ
「いや、あの黒渚哲子の前で全く緊張せずに、あの態度を取れるアキラ君に私はビビったよ。私には絶対に無理だよ。」
「昭和の時代には、貴方みたいなクソガキが一杯居たのに、最近はみんな良い子ばかりで寂しかったわ。これからは私の事を哲子おばちゃんって呼んでね。ってすごく仲良くなったんだ。セットの後ろで控えていたアリサママは、真っ青になって胃のあたりを押さえていたけれども、あんなに番組が盛り上がって、哲子おばちゃんとも仲良くなったのに、どうしてかな?」
ついにアリサママの胃まで破壊し始めるアキラ君w
まさに因果応報
アリサママも黒渚哲子相手だとさすがになぁ
多分、その後のアリサママは頭痛も痛かったと思うぞ
明らかに黒渚哲子のお気に入りになっていたぞ。アリサママへの復讐は万全だな
「だから、サンダーバードのペネロープの声まねも得意だよ。」
「ねぇパーカー。後ろの悪人達がうるさいからちょっと黙らせてくださる?」
「かしこまりました。お嬢様。」
うめぇ。
超にてる。パーカーの声真似もすげぇ
優雅に紅茶飲んでそう
これには、サンダーバードファンもニッコリ
「サンダーバードって何? アキラ君ってちょくちょく知らないネタしゃべるよね。」
「えっ? サンダーバード知らないの? サンダーバード5号がこの放送を聞いているかもしれないのに、驚愕なんだけど。」
「いちごお姉ちゃんは今、盛大にフラグを立てたよ? 帰る時に乗っている車が崖下に転落して国際救助隊を呼ぶ羽目になっちゃうよ?」
「物騒な事言わないでくれる? 本当に知らないんだけど。」
「まじで!? じゃぁこの曲は聞いた事ない?」
僕は急いで、ピアノでサンダーバードマーチを弾き始める
「ああ。この曲は聞いたことがあるわ。なにかすごい機械が映る時に必ず流れるよね。」
ぎゃぁっぁぁぁジェネレーションギャップがあぁぁぁっぁ。
サンダーバードって何?まじで知らないんだけど。
むしろ何でアキラ君、サンダーバード知っているの?
まぁ50年ぐらい前のテレビ番組だしなぁ
アキラ君のピアノでサンダーバードマーチが聞けて感動
「やばい。いちごお姉ちゃんとジェネレーションギャップを感じる」
いや、いちごちゃんが正常。アキラ君がおかしい
アキラ君、皮の中身はおじさんだよね?
ぜったい脳みそに団塊の世代の記憶がインプットされていると思うぞ
実は学生運動とかしてたんじゃないの?誰にも言わないからおじさんにちょっと教えなさい。
まぁ、実際には僕も前世で曲だけ知っていて、家で同名のDVDを見つけて見たらハマっちゃっただけだけどね。 50年前のテレビ番組なのに男心をくすぐりすぎるでしょ。
「話がそれちゃったけど、いちごお姉ちゃん。本当に来てくれてありがとう! また会えて超うれしいよ」
「初めてのゲストが私で良かったの? てっきり百城千世子ちゃんだと思っていたわ。」
「千世子ちゃんはマネージャとアリサママが全力で止めに来るから、まだ出演させられないんだ。でもいずれは僕がスターズを乗っ取るつもりだから、そうしたらバンバン出演してもらうつもりだよ。」
「千世子ちゃんの出演を止める理由はなんとなく判る気がする。でもアキラ君がスターズを乗っ取ったら、スターズはお笑いで天下を取りそう。」
「やっぱり僕にとって大切なお姉ちゃんが初ゲストに来てほしかったから、来てくれて本当にうれしいよ。」
「私も、あんなに可愛くて真っすぐ私を支えてくれた弟が、こんな悪ガキになって会えてうれしいわ。」
「ぐはっ」
アキラ君がダメージ受けていて草
いちごちゃん、何気にツッコミが的確
魔法のいちごちゃんではあんなにやさしい弟だったのに
いちごちゃんも大きくなって、ちょっとドキっとする
いちごちゃんとアキラ君のからみがまた見られるとかうれしい
「いちごお姉ちゃんとは2年前まで「お願い!魔法のいちごちゃん」で一緒に共演していたんだよね。」
「そう。私は芸能界に入って1年ぐらいで初めての主役の番組で、アキラ君はそのころすでに芸歴4年目の大先輩だったのよね。」
「年下なのに大先輩とはこれいかに。でもいちごお姉ちゃんに先輩って呼ばれてみたい。」
「アキラ先輩♡」
「ぐふっ」
これはアキラ君がうらやましい
いちごちゃんに先輩呼びをしてもらうなんてうらやまけしからん
いちごちゃん。意外に魔性の女
今のいちごちゃんすごく可愛かった
やばい。いちごちゃんでいけない扉が開きかけたわ
「でもアキラ君、あれから2年経つけどあんまり背が伸びている感じがしないね。」
「成長期はまだだからね。女の子で成長が早い千世子ちゃんとほとんど同じぐらいの身長だね。」
「おいでっ。前みたいに抱っこしてあげる。」
いちごお姉ちゃんの驚愕の行動。思わず、いちごお姉ちゃんの膝の上に座っちゃったよ。
「よしよし。こうして喋らないと可愛いのに、どこで道を間違えてこうなっちゃったのかしらね?」
うわっ。素直によちよちされるアキラ君かわいい☆
アキラ君が借りてきた猫みたいになっている。
真っ赤になっちゃってかわいい☆
確かにこうしてみると、普通のかわいい男の子だよな。喋ればクソガキだけど。
「いちごお姉ちゃんは背も伸びて、美人になったけど、胸はあんまり成長していないよね。ぐはっ」
「やっぱり姿は前とあまり変わらなくても、邪悪な意思が宿っているようね。お尻ぺんぺんしてしつけてあげるわ!」
「ちょっ、ちょっといちごお姉ちゃん!それはまずいって!」
wwwwwwwwお尻ぺんぺんされとるwwwww
完全に放送事故wwww。
涙目のアキラ君かわいい☆
これは素敵。もっとアキラ君をいじめて欲しい☆
そういえば、魔法のいちごちゃんは必殺技が結構バイオレンスだったよなw
面白すぎるw最高のシーンだろwwww
「女の子にデリカシーの無い事言っちゃだめよ。わかった?」
「はい。・・・・わかりました・・・・。」
アキラ君、完全にわからされていて超草生える。
これだよ!この放送に足りなかったのは。このクソガキのしつけなんだよ。
いちごちゃん、グッジョブ!www
わからされたアキラ君かわいすぎる。もっとわからせてあげて♡
ついに好き勝手やっていた天罰が落ちてすっきりwww
これは完全な神回ですわwww
これは何か新しい扉を開きそう☆
☆しょぼーんとするアキラ君かわいすぎ☆
「本当に酷い目にあったよ。いちごお姉ちゃん。これ完全に放送事故だよ。」
「視聴者さん達が喜んでくれたみたいだからいいじゃない。視聴者さん達もアキラ君にわからせたくてうずうずしてるし。」
「でも僕はいちごお姉ちゃんの胸が無いって真実を言っただけだよ。真実をもみ消そうなんて、報道の自由に対する挑戦だよ!」
「景ちゃん!あれをちょうだい!」
「はいっ。いちごさんどうぞ!」
「マジカル ストロベリー シュート!」 スパーーーーン。
「ぐぇぇぇぇぇ。」
ハリセンw
入ったーーーーw
すんげー良い音したw
アキラ君に天罰入って草
そういば魔法のいちごちゃんは魔法が苦手で物理で解決していたよなぁ
この感じ懐かしいわ。ニチアサで良く見ていたわ
あれから2年だけど、いちごちゃんの演技も磨きがかかっていていいね。
誰もアキラ君の心配をしないの草すぎるんだけどwww
さすがに天罰だと思うの☆
「景ちゃん。ハリセンなんてどこから持ってきたの?」
「アリサさんがアキラ君が変な事をしたらこれで容赦なく殴れって。」
「アリサママ、なんつーモノを景ちゃんに渡しているんだ。」
「魔法のいちごちゃんの前では、悪は滅びるという事よ。」
いちごお姉ちゃん、超どや顔で草
ついにアリサママw ハリセンとかw もしかして自分でツッコミ入れたいのかw
魔法のいちごちゃんとか言っておきながら、結局最後まで物理でなんとかしてたからな。
町内を乗っ取ろうとするゴット魔王の最後を思い出したわw
いちごちゃん、キレッキレで草
いちごちゃん、面白すぎw
この掛け合い、2年前ぐらいだったはずなのに、懐かしすぎて涙が出てくるw
・・・・・・
「そんな訳で、そろそろお時間です。最後に音楽の時間で終わりにしましょう。」
えーーーっ。もっと続けて欲しいよ。
ぶぅ━━q( ̄(oo) ̄)p━━っ!!
あっという間に時間がすぎたぞ
もっといちごちゃんを見せるんだ!
いちごちゃん!いちごちゃん!
深刻ないちご成分不足!
「今回は、いちごちゃんの好きな映画、『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン』より、メインテーマの東京タワーのテーマです。」
僕は、おもむろに事前に調弦してあった、ヴァイオリンを取り出す。
「えっ、ヴァイオリン? ピアノじゃないの? 確かに原曲はヴァイオリンっぽかったけれども・・・。」
えっまじで?ヴァイオリンも弾けるの?
ドッキリじゃないの?
うそ。ピアノ以外も行けるの?
いや、ピアノとヴァイオリンじゃかなり違うだろ
一応、両方とも弦で音を鳴らしているぞ(白目)
僕はおもむろにヴァイオリンで弾き始める
ヴァイオリンの生演奏でこの曲は反則だろ
映画を思い出して涙が出る
うわーーーん。おかんーーーー涙
おかあちゃーーーん。
ヴァイオリンと映画を思い出してダブルで感動。
マジで心に染み入る。
なんでこんなに伸びが良くて清らかな音が出るのよ。
演奏が終わった。いちごちゃんは俯いていた。
「いちごちゃん?」
「ひっく。ひっくっ。本当に感動した。こんなクソガキがこんなに心に染み入る音楽を奏でるなんて、本当に反則だよ。配信でもすごかったけど、生だと何倍もすごいね。」
「たとえ配役であっても、アキラ君が弟で良かった。お姉ちゃんにこんなすばらしい演奏をしてくれてありがとうね。」
「いちごお姉ちゃん。僕も来てくれて本当に嬉しかったし、本当に楽しかった。」
「また来てくれるかな?」
「いいとも~って感動が台無しだよっ」
「それじゃまたねーーー。」
ばいばーーい☆
いちごちゃん。最高だった。お姉ちゃんは大切だと思うの。
アキラ君のわからせ最高だった。夢がかなったよ☆
いちごちゃんも是非また来て欲しい
最高に神回だった。
いちごちゃん、マジで面白かった。
最高だったよ☆
まさに記念にふさわしい配信だったな。
いちごちゃん、まったね~。
バイバーイ☆
さよなら~☆
☆ばいびー
アキラ君が弾いた曲のイメージが付かない方は、映画『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』の予告編の冒頭で流れる曲になりますので、Youtubeで検索して見てみると良いかもしれません。
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朝野いちごちゃんの話1
大人しそうな子だな。
それが初めてアキラ君に会った時の印象だった。
アキラ君の印象はずっと静かに台本を読んでいるような男の子だった。
初めて会った時も台本をじっと見ていた。
初めて会ったのは撮影前の控室であった。
姉と弟の関係を考えて同じ控室にしたようだった。
「いちごお姉ちゃん!」
じっと台本を読んでいたアキラ君は、私を見るなりぱっと顔を輝かせて寄ってきた。
何?この可愛い生き物は?
私は訳も分からずに、お姉ちゃんと慕ってきたアキラ君をそのまま甘やかした。
その時、私に付いていたマネージャさんは少し厳しい顔をしていた。
今なら判る。台本を隅々まで読んだ上で、弟としての性格や心情を理解して、きっちりと魔法のいちごちゃんの弟としての役作りをしてきたアキラ君と、素のまま訳も分からずに寄ってきたアキラ君を甘やかす私。
スタート時点で、ものすごい差が付いている事は明白であった。
撮影は順調だった。
芸歴1年では、主役は微妙と思われる私ではあったが、子役としてこのぐらいの芸歴で番組に付ける子役も多いらしく、他の子役もそのレベルだったので、あんまり気にしなかった。
私もNGを出したけど、他の子役も良くNGを出しており、まぁこんな感じだろうという感じで番組の撮影は進んでいった。
アキラ君はその中でかなり異質な子役だった。NGはまず出さないし、私の稚拙な演技にもきっちりとフォローを入れてくれていた。
時には、弟が取る行動と違うと感じた場合には、脚本家に聞いたり、監督さんに意見を言うこともあった。
その時の私は、能天気にもこんな良く出来た弟を持って、私は幸せだわぐらいで感じていた。
「私もアキラ君ぐらい芸歴が長くなるとこんな感じになるのね。」みたいにふんわりと考えていた。
アキラ君が私のフォロー役として配役されていたことに気が付いたのは、私が主役だった「お願い!魔法のいちごちゃん」が終わった後に、2歳年下の子役に仕事を奪われて、自分の仕事が激減した時だった。
その頃の私は2歳年下の子役に仕事を奪われて塞ぎこんでいた。対照的にアキラ君はコンスタントに売れ続けており、常に子役として呼ばれ続けていた。
私は、アキラ君が出演するドラマを見ていた時に不意にアキラ君に嫉妬した。
「なによ。親が星アリサだからって、みんな贔屓にしちゃって。」
その時の私の認識は、アキラ君と私とではそんな能力に差が無いという感じだった。
なんて言っても、「お願い!魔法のいちごちゃん」では私は主役で、アキラ君はレギュラーとは言え格下。
主役を射止めた私に対して、アキラ君の能力が自分よりも優れているとは思っていなかった。
王賀美陸のような大きな流れを生み出すスターならともかく、アキラ君と自分は能力的に差は無くて、ただ単に親が星アリサかどうかだけで、差が付いていると考えていた。
そこで久々に「お願い!魔法のいちごちゃん」のビデオを引っ張り出してきて、第1話から見ることにした。
視聴理由は、アキラ君の粗探しという非常に下らない理由で、私はアキラ君とそんなに演技に差が無い事を見て、安心するつもりであった。
そういう視点で久しぶりに見た、「お願い!魔法のいちごちゃん」を見て私は愕然とした。
私がわちゃわちゃと意図が良く分からない演技を繰り返している中で、アキラ君は姉のフォローをして、姉の欠点には目が行かないよう配慮した芝居をしつつ、スマートに物語を回していた。
「お願い!魔法のいちごちゃん」の物語は、ボケで周りを引っ掻き回す自由な魔法使いの姉に対して、大人しいけれどもしっかり者の優しい弟が姉をフォローしていくという感じで物語が回っていた。
魔法のいちごちゃんを撮影している時には、全く気が付いておらず、自分は主役としての仕事が良くできていると思っていた。
でも今見直してみると違った。おそらく魔法のいちごちゃんの主役は私ではなくても成立したけれども、アキラ君は絶対に替えが効かない。
おそらく、この時のアキラ君は自分を殺してでも番組を成功させようと献身していた。
だから、周囲の我の強い子役の欠点を隠して、引き立てようと、かなり地味な役回りとフォローをこなしており、アキラ君はかなりの貧乏くじを引いていた。
あの撮影の時に、私がいつも、出来が良いアキラ君がフォローしてくれた事を褒めるとマネージャさんが厳しい顔をしたり、番組のスタッフさん達にアキラ君が気を使われて、贔屓されていた理由が全て解った気がした。
番組のスタッフさん達にアキラ君が贔屓されていたのは、星アリサの子供という訳ではなく、貧乏くじを引かせて物語のフォロー役へ回させてしまったアキラ君への負い目だったのだと思う。そしてマネージャさんが厳しい顔をしたのは、そういったアキラ君の立ち位置を私が全く理解していなかったからだろう。
「お願い!魔法のいちごちゃん」を見終わったときに、私のアキラ君の印象は180度変わっていた。
同時に、今の私の演技力は7歳のアキラ君にすら到底及ばない事実に気が付いてしまった。
私はそれから、一生懸命、演技の勉強やレッスンをこなした。
確実に能力や演技力は向上したが、一旦激減した仕事は戻って来なかった。
アキラ君と共演していた時に、このことに気が付いていればまだ間に合ったかもしれなかったが、もう遅かったのかもしれない。
私は、多くの子役たちと同じように、「お願い!魔法のいちごちゃん」を最後に子役だけで芸能活動を終えるのかもしれない。
今、ちゃんとした仕事をもらえれば、大きく変わった私を見せられるのに!
私はフラストレーションを貯めつつも、芸能活動を諦めようとしていた。
そんなある日のこと、マネージャさんからYoutubeの星アキラチャンネルへの出演依頼が来たという連絡を受けた。
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朝野いちごちゃんの話2
アキラ君のYoutubeチャンネルは、開始1か月で世間や芸能界に旋風を巻き起こしていた。
動画をアップする他のYoutuber達に対して、ニフ生のように生放送で配信していくスタイルは非常に珍しかった。
視聴者のコメントを元にそのまま対話して変化していく、双方向で予測のつかないストーリーと一体感は新しいコンテンツとして多くの芸能関係者が注目していた。
特にテレビの視聴率が低下し始めており、同時に長引く不況でスポンサー料の落ち込みも大きくなっている現状で、各芸能事務所は新しい収益の方法や、ネット時代を迎えるこれからのメディア露出方法について積極的に論議していた。
そこに突然、謝罪会見でお茶の間の話題をかっさらい、売れっ子となった星アキラのYoutubeの放送開始。
このYoutube放送は芸能関係者からは、謝罪会見以上に注目を浴びている放送だった。
特に注目を浴びている点は、他のYoutuberと同じように動画を撮影/編集して、それをアップしていく方向ではなく、視聴者と共に双方向で盛り上がり、その結果をまとめ動画として逆に動画化している点。先に動画を作成するのではなく、視聴者と共に盛り上がり、時間の無い人はそこから抜き出したまとめ動画で面白いポイントだけが見られると言う、かなり斬新な放送となっていた。
もちろん、ニフニフ生放送の焼き直しじゃないかという批判は一部あったが、特定のゲーム専門やおしゃべりするだけのニフニフ生放送と違って、毎回企画を決めて飽きさせない工夫や、スターズ所属の俳優やイベントを紹介したりと、単純な個人活動ではなく、芸能事務所が今後Youtubeなどの動画サイトとどう向き合うのか?というヒントがふんだんに盛り込まれていた。
私も、アキラ君の生放送は欠かさずに見ていたりする。Liveとして見れなくても、動画としていつでも見られるから便利だし、放送自体も、まさかあのアキラ君があんなに陽気で明るいキャラクターを作ってくるとは思わなかった事や、ピアノが上手い事にも驚いていた。
実は私も何度かチャットを打って、視聴者たちと一体となって盛り上がっていたりもした。
そんな訳で、放送を開始して1か月でチャンネル登録者数は50万人を超えてもまだ勢いは衰えず、Liveの同接数は2万人というとんでもない成長を見せている星アキラチャンネルから、初めてのゲストとして、まさかの私が指名される事となった。
撮影はスターズの事務所で行われる事になっていた。いつもはアキラ君の自宅で撮影しているみたいだけれども、今回は私がゲストということでいろいろ配慮してくれたようだった。
久しぶりに会ったアキラ君であったが、身長とか姿とかの印象は2年前とそんなに変わっていなかった。
おそらく自殺未遂で寝たきりだった期間とかもあったから、その辺もあって成長が少し遅れたのかもしれない。
しかし、雰囲気は前とは全然違っていた。なんというか、身に纏うオーラが違うとか、そんな感じ。
「いちごお姉ちゃん、久しぶり。この前、東京食堂ものがたりで、店に来た家族づれの子供の役でちょっと出ていたよね。」
「あっうれしい。見てくれていたんだ。」
「演技の能力や技術が上がったのは判ったんだけど、周りの目を気にしているみたいでイマイチだったなぁ。ねぇ今役者していて楽しい?」
いやらしい顔をして、私の気にしている部分を的確に突いてくるアキラ君。私はムキになって反論した。
「そんな事言ったって、アキラ君みたいに仕事が無いんだから仕方が無いでしょ。失敗しちゃったらもうお終いなんだから。」
「魔法のいちごちゃんであんなに周りを振り回していた、いちごお姉ちゃんからそんな言葉は聞きたくなかったなぁ。あんなに努力していたのに、周りに認められなくて悔しくないの?」
2年ぶりに会ったアキラ君は、かなり辛辣になっていた。もしかしたら昔フォローさせて貧乏くじを引かせた事を恨んでいるのかもしれない。
「悔しいに決まっているじゃないっ。私も前みたいにめいいっぱい演技して、みんなに認めてもらいたいよ。」
「なら僕の放送で、めいいっぱい演技してみない? どうせこのまま子役をやっていても仕事無くなっちゃうんでしょ?」
アキラ君は二ヤつきながら言った。安い挑発だ。ちょっと見ないうちに、相当なクソガキに育った事は間違い無いようだ。私はあえてこの安い挑発に乗ることにした。
「面白いじゃない。クソガキに育っちゃった弟をしつけるのは、このいちごお姉ちゃんの役割だものね。クソガキアキラ君を躾けてあげるわ!」
私のテンションは完全に「お願い!魔法のいちごちゃん」をやっていた頃に戻っていた。正直なところ、このままやっていても仕事が無くなるのは事実だったから、もうアキラ君の放送とか気にせずに、全力でやる事にした。確かにこの放送が、役者としての私を見せられる最後の放送になるのかもしれない。それなら全力でやってアキラ君を食ってやる!!
私は子役としてあきらめモードで腐っていたが、それでもこのまま終わるのはいやだった。クソガキになったアキラ君を見ていたら、芸歴の最後に派手に爆散して爪痕を残すのも面白いのではないかと思った。この時の私は、目の前のクソガキのせいで、だいぶテンションがおかしかった。
放送内容の事前の取り決めはほとんどなかった。最初に目薬を差して、感動の再会を装うと言う、うさんくさい芝居をするのと、最後に演奏して欲しい好きな曲を聞かれただけだった。
後は自由。気の向くまま。やったろうじゃない。朝野いちご、最後の舞台になるかもしれないけど、こんなクソガキに負けたとなったら私の人生台無しだ。
せめて、星アキラには私をゲストとして呼んだことを後悔させたい。
放送前から私のテンションはかなりおかしくなっていた。そして放送に入るとさらにおかしさに磨きがかかった。
そういえば、昔はこんな風に何も考えないで演技していたっけ? 何も考えないで自分を表現するのってすんげー楽しい!
私はやたらハイテンションでアキラ君にからみまくった。
そして、最後にアキラ君はピアノで私の好きな『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』の曲を弾いてくれるのかと思っていたら、サプライズで突然ヴァイオリンを取り出して演奏を始めた。
私の脳裏にはヴァイオリンの音と共に、映画の情景と一緒に、初めての芸能オーディションの時のお母さんの顔を思い出していた。
そういえば私が「なんで勝手にオーディションに応募したの?」って聞いたら、お母さんは「市子ちゃんの笑顔が誰よりも素敵だったから」って答えていた。
演技をしていて、心の底から笑ったのっていつ以来だろうか?
仕事が激減して以来、かわいい笑顔は作れるようになったけれども、笑顔のシーンでも心の底から笑っていなかった気がする。
私はそんなお母さんとの情景を思い出して、自然と涙を流していた。
最後にこんなのずるい。反則だ。正直、あのクソガキアキラ君に完敗だった。
この放送の後、前に「お願い!魔法のいちごちゃん」をやっていたプロデューサーさんがこの放送を見ていたらしく、新しい魔法少女の師匠兼お姉さん役として番組に出て欲しいと依頼を受けた。
プロデューサーさんには、「前にアキラ君にフォローさせていた自分では力不足です。」と断ろうとしたんだけど、プロデューサーさんからは「だからこそ君にやってほしい。アキラ君がこなしていた役割を今の君であればできるはずだ。」と口説き落とされてしまった。
そうして現場に行ってみたら、新しい魔法少女の子には「ファンだったんです。」って言われて、放送が始まってからは沢山のファンレターをもらった。
私は全然意識していなかったけれども、魔法のいちごちゃんは、全国の子供達にいっぱい夢を与えていたようだ。
そして、この生放送を思い出して、精一杯のびのびと演技したら、まず受からないと思っていた朝ドラのオーディションも受かってしまった。
ちょっと前までの私は、努力とか才能とかじゃ絶対敵わない本物たちには太刀打ちできないと思っていた。
でもアキラ君を見ていて思う。アキラ君は、自殺する前まで本物では無かった。でも自殺を実行するまで思い詰めて、そこまで努力したアキラ君はいつのまにか本物になっていた。
もしかしたら、私も努力してがんばれば、本物にはなれないかもしれないけど、肩を並べる事ぐらいはできるようになるかもしれない。
私はその後、自分の演技を磨きつつ、自分と映画の事をもっと知るために、阿佐ヶ谷芸術高校に進学したのだった。
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子役スレ Part342
545名無し@子役好き
Youtubeのアキラ君といちごちゃんの生放送見た?
546名無し@子役好き
見た見た。いちごちゃん、久しぶりだったけどすごく面白かった。
547名無し@子役好き
いちごちゃんのぶっ壊れっぷりが最高だった。
548名無し@子役好き
最近、いちごちゃんも出番が少なかったみたいだけど、また出番が増えて欲しいな。
549名無し@子役好き
アキラ君がわからされていて最高だった。私が求めていたのは、これだったわ。
550名無し@子役好き
アキラきゅんのわからせステキ。もっと見てみたい☆
551名無し@子役好き
その☆って流行っているの?
552名無し@子役好き
単純に星アキラ好きを識別するマークみたいなものだぞ。
ファンの子たちは、お互いに判るようにトイッターの名前欄とかに入れ始めている。
553名無し@子役好き
あの星アキラ、自殺未遂して吹っ切れたのか何なのか、怖いものが何にも無い感じだな。
キャラクター変わりすぎだろ。
554名無し@子役好き
まぁ、死ぬ恐怖に比べたらもう怖いものなんて大して無いんじゃないの?
星アリサとの関係ももう本人は全然気にしていない感じだし。昔のいい子ちゃんキャラよりもずっと好感が持てるぞ。
まさに珍獣。時代を超えて現れた、昭和のクソガキアイドルだよな。
555名無し@子役好き
こっちのラインを弁えた、節度あるクソガキ感がたまんないのよ。
ライン越えの部分で綱渡りしている感覚。うわっ。クソガキ煽りでむかつくとか思いながらも、ついつい見てしまう。
そして最後のピアノで満たされて、今日もいい放送だったよなとか思うあの感覚なんなの?
556名無し@子役好き
視聴者との一体感はすごいよね。良くライブであれを回せるわ。
557名無し@子役好き
この前、有名Youtuberがあれと同じことをしようとして、回せないで盛大に爆死していたからな。
558名無し@子役好き
生放送で回そうとすると、焦った表情とか如実に出るからな。
動画メインの人にはきついだろうな。動画の人は星アキラみたいに生放送の時間中、ずっとおもしろく回す事も難しいだろうし。
559名無し@子役好き
しっかりと役を演じつつ、あんなふうに放送を回しきるとか、星アキラは化け物すぎるわ。
560名無し@子役好き
他のYoutuber的にはどうなの? 100万人突破!!とか喜んでいる横で、1か月で50万人とか稼がれるといやな感じなんじゃないの?
561名無し@子役好き
それについては、星アキラだから仕方が無いと言う感じ。
あるYoutuberさんが動画で話していたけれども、別にがんばって開拓した自分の視聴者をかっさらっていった訳でもないし、星アキラの視聴者層はほとんどが外部からの新規流入組で、むしろそこからYoutubeが認知されてチャンネル登録者数や動画再生数の伸びがすごいから、実は歓迎だって言ってた。
562名無し@子役好き
星アキラとコラボしたいYoutuberさんもかなり居るみたいだね。
563名無し@子役好き
Youtuberで太刀打ちできるのか?星アキラ?
564名無し@子役好き
生放送じゃなくて、動画で面白い部分を切り取れば行けるんじゃね?
生放送はたぶん地力が出るから爆死の可能性が高そうだけれども。
565名無し@子役好き
ニフニフ生放送の方はどうなの?
566名無し@子役好き
そっちも星アキラの生放送形式で興味を持ってくれて、来てくれる人が多くなって歓迎らしい。
567名無し@子役好き
でも星アキラと同レベルが求められるパターンもあるから、それはきついって言っていた。
568名無し@子役好き
ニフニフ生放送の方は、わりと星アキラと同じような企画を取り入れる生主も増えているよな
569名無し@子役好き
あの企画の発想力はすごいよな。さすが芸能人って感じ。多分プロデュサーとかでも食べていけるんじゃないのか?
570名無し@子役好き
アリサママは、星アキラの才能がすごすぎて、自分では才能を計り切れなかったという説が現状では濃厚だからな。
571名無し@子役好き
星アリサの目、節穴説w
572名無し@子役好き
いや、あんだけの女優で、あんだけの芸能事務所を成功させていおいて、それは無いだろ。無いよね?
573名無し@子役好き
でもあの哲子の部屋で暴れまくったクソガキっぷりを見ていたら、普通にありそう・・・。
574名無し@子役好き
あれは、完全に黒渚哲子に好かれまくっていたやん。
昭和からの大女優と昭和のクソガキは惹かれあうんやで。
575名無し@子役好き
なお、アリサママの精神は無事に破壊された模様w
576名無し@子役好き
こうなってくると、やっぱりアキラ君の演技を見て見たいな。
577名無し@子役好き
・・・・アキラ君の演技・・・・。役があるのか?
578名無し@子役好き
Youtubeの生放送を見ていて、良く演技を披露するから、すげぇのは判るんだけど、あの年であれは逆に配役が無いよね。
579名無し@子役好き
当たり役としてはデスノートの夜神月みたいな感じ?
580名無し@子役好き
あれも高校生だしなぁ。アキラ君にはまだ早いよね。
581名無し@子役好き
正直、今のアキラ君だと、いじめられっ子の役とかしても、自力でいじめっ子を社会的に抹殺するようなイメージしかないからなぁ。
582名無し@子役好き
それは判るw
たぶん、そんなドラマ見たら、いじめっ子超逃げてーーーーー。って画面の前で叫んでいると思う。
583名無し@子役好き
本人は、その辺の役者の仕事はアリサママにお任せしているらしいぞ。
584名無し@子役好き
何かいい役が回って来ないかな。子役好きとしては、そろそろバラエティーではなく、星アキラのガチの演技を見てみたいぞ。
585名無し@子役好き
大ニュース!大ニュースだよ。
高畑小次郎 第3シーズンの年末スペシャルの犯人役に星アキラを抜擢するって、三木谷貢がトイッターでつぶやいてた!
586名無し@子役好き
高畑小次郎か。これは絶対面白いだろ。
587名無し@子役好き
野球選手やアイドルもあったし、これはかなりありだな。
588名無し@子役好き
アキラきゅんの演技が見られる♡ これは楽しみ。
589名無し@子役好き
これならアキラ君の本気の演技を見られる。どんな演技を見せてくれるんだろう。
590名無し@子役好き
今から期待が高まリング
591名無し@子役好き
これは盛り上がりそうだ。
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巌裕次郎はドラマを見る1
その日は、劇団天球のメンバーの若手団員と共に、俺の家で忘年会をしていた。
みんなと飯を食っていると、青田亀太郎が夜の9時になったらテレビをつけ始めて、高畑小次郎を映した。
「今日はあのアキラ君が犯人役なんです。年末2時間スペシャルですっごい楽しみなんですよ。」
「私も見てみたいっ」と入ったばかりの三坂七生も同意する。
阿良也は興味無さそうに飯を食っていた。
テレビでドラマが始まった。
高畑小次郎。俳優の田町和正が演じる、警部補、高畑小次郎が毎回ゲスト役の犯人との心理的な攻防戦をするドラマだ。
ドラマ自体は倒叙ものと言われる方式で、一番最初に犯人の殺害動機と殺害現場が映り、トリックなどを明示した上で、高畑小次郎が登場して犯人を突き止めるという推理劇である。
最初に犯人が視聴者に判っているので、殺人を誤魔化す犯人としての心理描写を重視する演技が求められ、他の推理ドラマよりも本来は役者の演技の難易度が高い。
しかし、実際には、高畑のコミカルな演技にフォローされて、お笑い芸人や落語家、野球選手やアイドルグループなど様々な有名人が犯人役を務めて、ライトに楽しめる所もこのドラマの特徴であり、高い視聴率を獲得していた。
ドラマが始まって、星アキラが現れた。
星アキラは一生懸命、子役として演技をしている様子が写されていた。
その演技の様子は、自殺前の星アキラの華の無い実直な演技そのままだった。
「アキラ君、子役の演技上手い!」
「マジで年相応の子役にしか見えない」
劇団員のみんなが何を褒めているのか全く分からなかった。
実は俺は、自殺未遂を起こした後の星アキラを見たことが無かった。
記者会見やYoutubeなども話題になっていたが、彼が回復したというニュースを聞いた後は、意図的に彼の記事や動画などを避けていた。
それは、俺がアキラ君に対して深い負い目があるためだ。
実際、アキラ君が自殺して意識不明の重体になったとうニュースを受けた時に、俺はものすごいショックを受けていた。
なぜなら、アキラ君こそが、俺のせいで星アリサの心を壊したことによる被害を、代わりに一身に背負された一番の被害者であったからだ。
星アリサは元々、あんな性格では無かった。女優業は多忙であったが、生まれてきた息子に愛情を注ぐ普通の母親であった。
しかし、アキラ君が3歳の時、俺の舞台で星アリサが自分の心を壊して、役者としての人格しか無くなって以来、アキラ君に対して優しく愛情を注いでくれていた母親が反転し、アキラ君を他人を見るような目で接するようになったのを見て、俺は人生最大の衝撃を受けた。
それ以来、3歳のアキラ君にとって優しかった母親は居なくなり、彼女が立ち上げた芸能事務所の敏腕社長を演じる星アリサだけが残された。
星アリサは、自分の息子に愛情をかけずに、他の子役と同列に扱った。
今まで母親の愛情を受けてきたわずか3歳のアキラ君にとって、どれだけの衝撃であったのだろうか。
彼は4歳の時に、母親の作った事務所の子役として働く事を決断した。
なぜそういう決断をしたのかは、痛いほどわかる。なぜならアキラ君は、もう自分を見てくれなくなってしまった母親との繋がりを、なんとしても切りたくなかったからだ。
星アリサは、アキラ君に対して母親としての時間は取らなかったが、演技指導であれば、星アリサはアキラ君に対して、いくらでも時間を取った。
星アリサのアキラ君に対しての指導はかなりスパルタだった。
元々アキラ君は気が弱く、演技に向いた性格ではないと周囲も思っていた。それでも、アキラ君は厳しい母親の指導に対して弱音を吐くことも無く、一生懸命努力していた。
それこそ、ひたすら演技の技術を磨くことだけを目的に生きていたように見えたぐらいだった。
この頃のアキラ君はかなり痛々しかった。4歳の体で精神はふらついており、ちょっと触れたら壊れてしまうのではないかと思うぐらい弱々しかった。
それでも事情を知る周囲の人間は、向いていないので子役を辞めた方がいいよとは言えなかった。
なぜなら、それはアキラ君に対して、母親に捨てられろと言うのと同義であったからだった。
結果、演技の技術だけは化け物級だけど、いまいち人に感動を与えない役者という、ちぐはぐな子役が育つことになってしまった。
彼の演技が人に感動を与えない理由は明白だった。なぜなら彼は、母親の愛情は3歳までしか受け取った事が無いし、父親や兄弟も居なかった。
子役として求められる演技のほとんどが、家族がらみの演技となる。
誰よりも家族の愛に飢えて、その幸せを与えられない彼が、幸せな家族を演じられるだろうか?
どんなに技術で取り繕っても、最後の一線までは騙しきれない。
そして、アキラ君はどんな役でも卒なくこなすけれども、華や突出する所が無い器用貧乏な子役という評価が定着してしまった。
俺の前で、「星アリサの子供なのに華が無いよね」とか話されると、必ずその人間とは口論になった。
「違う。星アキラは、当たり前に与えられるはずの幸せを、俺によって奪われたせいなんだ。」と俺はいつも口論をしながらそう叫びたかった。
そんな事をしているうちに、俺の前で星アキラの話題に触れるのはタブーとなった。
元々事情を知る人間は、星アリサの事にも触れなかったので、結果として俺や劇団員たちは星アリサと星アキラのニュースから遠ざけられた。
今、劇団員の子たちが高畑小次郎を見ているのは、そういった経緯を知らない若手の子達ばかりだからだ。
その後月日が流れて、アキラ君の自殺のニュースを知った俺は、猛烈な後悔が再び押し寄せてきた。
結局、昔の俺が星アリサを舞台に迎えて、「どんな物を犠牲にしても必ず、最高の舞台を成功させたい」というエゴによって、アキラ君が犠牲になって彼の人生を終わらせる事になってしまったからだ。
昔の俺のエゴによって、アキラ君を殺したのと同じだった。
息子が自殺したにも関わらず、心が壊れたままで、息子に情も示さずに、毅然とした態度で記者会見の対応している星アリサを見て、俺の罪の意識はより深まった。
そして今、俺は実に何年かぶりにアキラ君の演技を見ていた。
アキラ君の演技は、昔俺が見た演技と同じで、「演技は上手いけれども、いまいち人に感動を与えない役者」という演技から全く変わっていなかった。
しかし、俺は大きな違和感を覚えた。外面や仕草は全く変わっていなかったが、何か本質的な部分が大きく違うような気がする。
そしてシーンが切り替わり、俺はさらなる衝撃を受ける事になる。
『アキラ、帰ったのね。』
あの星アリサが母親役として登場したからだ。
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巌裕次郎はドラマを見る2
『アキラ、帰ったのね。』
星アリサが母親役として出ていたシーンを見て俺は固まっていた。
「これって、星アリサだよね?」
「絶対に女優に復帰しないって言っていたのに、どうして? アキラ君のため?」
久しぶりにTV画面に女優として映った星アリサは、母親としてのエゴを押し付ける、非常に強烈に狂った毒親としての演技をしていた。
まともな出演者が居たら絶対に食われる、そんなブランクを全く感じさせない強烈な演技だった。
いや、久しぶりに見たせいかもしれないが、引退前よりも存在感が強力になっている気がする。
星アリサがTVの画面に映っているだけで全てが支配されるような強力な存在感。それを久方ぶりに感じていた。
「すっごいプレッシャー。見ているこっちまで息苦しくなるみたい。」
若い劇団員たちには、星アリサという本物が放つプレッシャーに当てられていた。それも当然だろう。俺も画面を見たまま動けなかった。
阿良也も呆然として視線がTV画面に釘付けになっていた。
『僕ががんばって手に入れた役を、勝手に降板させるなんてひどいよ!』
そんな強烈な存在感を見せる星アリサのプレッシャーを受けながら、星アキラはライオンの群れに立ち向かう子犬のような演技を行う。
息子に対して強烈なプレッシャーを与える母親に対抗して、なけなしの勇気を振り絞ってなんとか抵抗する子供、やたらとリアルな芝居だった。
『あなたはもっと人の目を引く役をやるべきだわ。昔の私のように。』
『母さんが僕の人生を勝手に決めないでよ!』
『聞き分けの悪い息子ね。』
そして、母親からの酷い虐待を受けながら、アキラ君が心を曇らせて行く様子がわずか10分ぐらいの芝居に凝縮されていた。
そしてアキラ君は自分が虐待から逃れて生きるために、星アリサを殺す。
星アリサの出番はここまでだった。わずか10分程度の短い芝居。しかしここだけで、これまでの母子の人生を感じられる濃厚な芝居であった。
俺は、星アリサが壊れた心を取り戻している事に気が付いていた。あんなに何年も壊れたままで、アキラ君が自殺した時ですらも治らなかったのに、どうしてだ?
『千世子ちゃん。悪いんだけどちょっと遅れちゃいそうなんだ。スタジオ入りは僕の方が早いからちょっと代役をしてもらえないかな?』
アキラ君は百城千世子に電話すると、百城千世子はアキラ君に変装してアキラ君の代わりにスタジオ入りする。
「千世子ちゃんすごい。アキラ君になりきってる。声もおんなじだし、アキラ君と全然見分けが付かない。」
「これは打ち合わせをしているスタッフさんでも分からないよ。」
そしてアキラ君も百城千世子に変装してスタジオ入りして、控室でお互いの衣服を交換する。
これでアキラ君のアリバイが完成した。
そして、大女優の密室殺人が世間を騒がし、高畑小次郎が登場する。
そこからアキラ君の芝居が崩れ始める。
対照的に、打ち合わせにアキラ君ではなく、千世子ちゃんが参加している事を見抜いて、愉快犯的に面白がる環蓮の存在感が増していく。
「アキラ君、もっと演技上手いと思っていた。すごくがっかり。演技が完全に崩れて、完全に主役を環蓮に持っていかれているじゃん。」
「千世子ちゃんにもフォローされているけれども、全然上手く行っていないじゃないですか。確かに高畑に疑われなきゃいけないとは思うけれども、これはわざとらしすぎてバレバレですし、環蓮がかく乱して、なんとかシナリオの破綻を防いでいる感じじゃないですか。」
「あんな風に、役者に復帰したからすっごく期待していたのに、すごく残念。やっぱり星アリサの目は正しかったんだね。」
「話題性はあったかもしれないけれども、化けの皮がはがれた感じ。アキラ君のキャストは番組的に完全に失敗でしょう。」
「お前達には、これが下手糞な芝居に見えているのか?」
「何を言っているのですか? 巌さん。もうボロボロじゃないですか。一般の視聴者にもアキラ君のキャストが失敗したって伝わっていると思いますよ。完全にアキラ君は蚊帳の外で、高畑小次郎 VS 環蓮になっているじゃないですか。」
「阿良也はどう思う?」
「わかんない。すんごく下手糞に見える。でもなんか気持ち悪い。上手いのか下手なのか匂いが混ざりすぎて解らない。」
この様子からすると、本当に環蓮は撮影時に気が付いていなかったのかもしれない。幼い頃から一緒に居る百城千世子は気が付いているのだろう。だから星アキラの演技のフォローをしている。
俺も、アキラ君の幼い頃の化け物染みた演技の技術を見ていなければ、劇団員と同じ感想だったかもしれない。
「はははっ。面白れぇじゃねえか。 お前ら全員、星アキラに騙されているぞ。」
「巌さん、何を言っているのですか? 星アキラは犯人だってみんな判っているじゃないですか。」
俺はすごく愉快だった。あの演技の技術しか持たなくて、器用貧乏と称された不幸な少年が、どこかで本当の心を手に入れて、ついに本物の役者に成長したみたいだ。
ドラマは佳境に入り、ついに高畑小次郎が犯人を指摘する場面になった。
『犯人は・・・・。この中に居ません!』
「えっ?どういうこと? アキラ君が犯人じゃないの?」
混乱する劇団員達。そこからが怒涛の展開だった。
下手糞な演技の皮を破り捨てた星アキラと、高畑小次郎の息詰まる応酬。
本当にさっきまで下手糞な芝居をしていたのとは思えない存在感を焼き付けながら、星アキラは高畑小次郎と丁々発止のやり取りを続ける。
そして明らかになる事件の本当の真相。
クライマックスのシーンが終わるのと同時に、うちの若い劇団員達はみんな魂が抜けたような表情をしていた。
そして、同時に画面の中の環蓮も同じ表情をしていた。
おそらく台本が2冊あって、こりゃあ環蓮は完全に騙されていたな。ご愁傷様。
「いやー。愉快!愉快! お前達はまだまだ修行が足りないな!」
「なんで巌さん、そんなに機嫌がいいんですか?」
「そりゃ、あの星アキラと星アリサが立派な役者になって戻ってきたからに決まっているだろ!」
俺は、このドラマを見ていて、ここ何年も溜まっていた胸のつかえが取れた気がした。
そして最後のシーンで星アキラが見せた表情を見て、俺の背筋に電撃が走った。
もしかして、星アキラは星アリサすら超える役者になるかもしれない。
俺の脳裏をそんな予感がよぎった。
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高畑小次郎 亡き女優のレクイエム 実況スレ
20名無し@推理ファン
今回の年末2時間スペシャルの犯人役はあの星アキラだよね。すごく楽しみ
21名無し@推理ファン
あのクソガキの演技はどうなんだろう?
22名無し@推理ファン
解らん。Youtubeとかを見ているとすげーなとか思うけれども、子役としての評価はいまいちだったんだよな。
23名無し@推理ファン
的確に話題の人を入れてくる三木谷貢
24名無し@推理ファン
どうしても期待は高まるよね
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95名無し@推理ファン
始まった。アキラ君が一生懸命演技しているw
96名無し@推理ファン
まじでがんばる10歳の子役にしか見えない。
97名無し@推理ファン
これがあのクソガキw
98名無し@推理ファン
10歳の子役の演技うめぇ
99名無し@推理ファン
年相応の演技をして褒められるとは、これいかに?
100名無し@推理ファン
中身はあのクソガキだからなぁ
101名無し@推理ファン
えっ星アリサ!?
102名無し@推理ファン
星アリサ!?なんで!?
103名無し@推理ファン
もう女優はやらないって言っていたのに
104名無し@推理ファン
息子のために出演か!?
105名無し@推理ファン
星アリサの演技すげぇ。まじでプレッシャーなんだけど
106名無し@推理ファン
こんな母親居たら、俺ならすぐに壊れられるわ。
107名無し@推理ファン
アキラ君、よくこんな母親の前で演技出来るな
108名無し@推理ファン
まじでオオカミに襲われる子供だろう。
109名無し@推理ファン
とんでもない毒親だな
110名無し@推理ファン
これは、アキラ君に殺されても仕方が無い
111名無し@推理ファン
これ、下手したらアキラ君、殺しても正当防衛じゃね?
112名無し@推理ファン
まじやべぇだろ。どんだけ狂ってるんだよ。星アリサ。
113名無し@推理ファン
久々に星アリサの演技が見られて、鳥肌がすげぇ
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187名無し@推理ファン
千世子ちゃんに電話している。いつものように身代わりって何だろう?
188名無し@推理ファン
あっ、ソファーの後ろから、こうやってロープで首を絞めて殺すのね
189名無し@推理ファン
鍵を閉めて部屋と家から堂々と退出。完璧な密室殺人w
190名無し@推理ファン
密室殺人。(犯人は鍵を持っています)
191名無し@推理ファン
いや、見た事が無いくらい完璧な密室トリックだな。これには俺もびっくり(白目)
192名無し@推理ファン
千世子ちゃんすげぇ。まじで星アキラじゃん。
193名無し@推理ファン
声も仕草も、星アキラにしか見えない。これは本当に現場に居ても全然分らないよ。
194名無し@推理ファン
もしや、最初から映っている星アキラも千世子ちゃんなのでは?
195名無し@推理ファン
まぁ、実際そのレベルに見えるよね。すんごく注意深く見ないと千世子ちゃんだって分からない。
196名無し@推理ファン
アキラ君の千世子ちゃんの変装もすごい。
197名無し@推理ファン
こっちもわからないw
198名無し@推理ファン
これは完全犯罪ですわ。
199名無し@推理ファン
千世子ちゃんはアキラ君としてアリバイを作り、アキラ君は千世子ちゃんとして入って、控室で元に入れ替わるんだ。
200名無し@推理ファン
2人ともすげぇ。子役って怖えぇ。本当に10歳かよ。
201名無し@推理ファン
千世子ちゃんはアキラ君の犯行に気が付いて、協力するんだな。
202名無し@推理ファン
まぁそりゃそうだろ。そうじゃないと、アキラ君は即落ち2コマで逮捕だからな。
203名無し@推理ファン
世間は、忘れ去られていた大女優が密室殺人された事で大騒ぎだな
204名無し@推理ファン
まぁ、犯行時刻にはみんなで舞台の打ち合わせしていたからな。アリバイは万全だろ
205名無し@推理ファン
高畑小次郎が出てきた
206名無し@推理ファン
いつもの高畑小次郎だ(笑)
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375名無し@推理ファン
環蓮に気づかれとるw
376名無し@推理ファン
まぁ、本職の女優からしたらバレバレなのかもな
377名無し@推理ファン
微妙に脅されるアキラ君と千世子ちゃん
378名無し@推理ファン
結局、環蓮も協力するんかいw
379名無し@推理ファン
これは愉快な役者チーム
380名無し@推理ファン
子供の犯行に突然大人が参入w
381名無し@推理ファン
この後の展開が読めねぇw
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545名無し@推理ファン
うーん。アキラ君イマイチじゃない?
546名無し@推理ファン
犯人だっていう、演技をしなきゃいけないのは判るんだけど、ちょっとあからさまというか違和感があるんだよね。
547名無し@推理ファン
環蓮と百城千世子の演技がすごいから、逆にすんごく劣って見える
548名無し@推理ファン
完全に環蓮が主役でアキラ君はどんどん押しやられているよね
549名無し@推理ファン
主人公の影が薄いのは、天才バカボン以来の伝統だから・・・。
550名無し@推理ファン
環蓮が完全に星アキラを喰いに行っとる
551名無し@推理ファン
Youtubeの配信とか見ていてすごいとか思っていたから、すごく残念。
552名無し@推理ファン
そんなに悪くないんだけど、なんていうか、完全に二人に劣るんだよね
553名無し@推理ファン
高畑小次郎の指摘にあからさまに動揺しとる。バレバレじゃねぇか
もうちょっとマシな演技しろよ!
554名無し@推理ファン
もはや、高畑小次郎じゃなくても犯人が判るw
555名無し@推理ファン
年末スペシャル楽しみにしていただけに、すごく残念。
556名無し@推理ファン
10歳の子供なのは判るけどさぁ、もうちょっとがんばってよ
557名無し@推理ファン
最初の殺害シーンまではすごいって思っていたんだけどなぁ
558名無し@推理ファン
メッキが剝がれてきている感じ
559名無し@推理ファン
星アリサが才能が無いって辞めさせようとしたのも判るw
560名無し@推理ファン
今のことろ
環蓮 > 百城千世子 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>> 星アキラ だな
561名無し@推理ファン
星アキラだっさ
562名無し@推理ファン
やべぇ。星アキラにNDKしてぇ
562名無し@推理ファン
これは最後も、高畑小次郎 対 環蓮だな。
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729名無し@推理ファン
いよいよクライマックスの推理シーンだね
730名無し@推理ファン
いや、犯人バレバレだし。星アキラのせいで興ざめだよ。
731名無し@推理ファン
えっ ええええええええええっーーーー?
732名無し@推理ファン
まじで!?
733名無し@推理ファン
犯人はアキラ君じゃないの!?
734名無し@推理ファン
えっ、最初のシーンは?
735名無し@推理ファン
星アリサは自殺だったの!?
736名無し@推理ファン
急に牙を剥き出す星アキラ。今までの下手くそ演技は何だったのかw
737名無し@推理ファン
やべぇ、高畑小次郎と星アキラの対決シーン、すげぇ緊迫する
738名無し@推理ファン
冷や汗がダラダラ垂れて、震えが収まらない
739名無し@推理ファン
本性を出し始めた星アキラやべぇ。中盤のダメなやつ全部演技だったんだ・・・。
740名無し@推理ファン
怖え、星アキラ、マジ怖え、マジで何なの!?この展開。
741名無し@推理ファン
覚醒した星アキラやべぇ、これは主人公ですわ。
742名無し@推理ファン
星アキラはまだ自分が殺したと主張している。
743名無し@推理ファン
緊迫感がやべぇ
744名無し@推理ファン
別の部屋で首つりした母親を星アキラがリビングに運んできて、殺人を偽装したんだ。
だから、母親のヘアピンが廊下に落ちていたんだ。
745名無し@推理ファン
首つりした部屋がすでに調べられていて、隠していた遺書が見つかっているから決まったな。
746名無し@推理ファン
なんで、殺人なんて偽装したの?
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856名無し@推理ファン
うわわーーーーーん。๐·°(৹˃̵﹏˂̵৹)°·๐
857名無し@推理ファン
これは泣ける。
858名無し@推理ファン
このままひっそりと母親が忘れ去られるのがいやだったんだ。(´•̥ ω •̥` )
859名無し@推理ファン
お母さんの死を寂しい自殺じゃなくて、最後の大舞台にしたかったんだ。( ;ㅿ; )
860名無し@推理ファン
あんなに酷い目に遭わされても、お母さんが大好きだったんだ。˚‧º·(´ฅωฅ`)‧º·˚
861名無し@推理ファン
あれだけの事をされても、母親の事を思うアキラ君の不憫な姿に涙が止まらない。
862名無し@推理ファン
題名の「亡き女優のレクイエム」ってそういう意味だったのね(´•̥ ω •̥` )
863名無し@推理ファン
高畑小次郎でラストがこんな感動の展開になるとは思わなかった。
864名無し@推理ファン
これは、最高傑作ですわ。
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979名無し@推理ファン
ああっ、アキラ君がパトカーで連行されていく。
980名無し@推理ファン
まぁ、実際に殺人を犯したわけじゃないから、刑罰は軽いもんやろ。未成年だし。
981名無し@推理ファン
倒叙ものとは一体・・・。犯人じゃ無いじゃん!
982名無し@推理ファン
刑事コロンボでも、倒叙と思わせておいて、どんでん返しする展開とかたまにあったじゃんw
983名無し@推理ファン
見ごたえがあったな。最後の星アキラの演技もすごく良かった。
984名無し@推理ファン
見終わってみると
星アキラ > 百城千世子 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>> 環蓮 だな
環蓮はただ単に、星アキラに踊らされただけだった。
985名無し@推理ファン
環蓮は最後のシーンで本当に真っ白になっていたからなぁ。
986名無し@推理ファン
みんな手のひらクルクルすぎる
987名無し@推理ファン
お前らの手のひら扇風機、相当やべぇな
988名無し@推理ファン
えっ、何?あのパトカーに入る瞬間に一瞬浮かべたアキラ君の嫌らしい笑みは?
989名無し@推理ファン
まさか、アキラ君が星アリサを本当に殺した可能性があるって事?
990名無し@推理ファン
あのシーンわざと入れたんだよね? どうなんだろ?
991名無し@推理ファン
これだけ母親のことで世間を騒がせたんだからもう満足って意味じゃね?
992名無し@推理ファン
でも、本当に星アキラが殺していて、高畑が推理を間違えたとしたら?
993名無し@推理ファン
うわぁぁぁぁぁぁぁっ、最後になんちゅー爆弾を落としていくんだ、星アキラ。
994名無し@推理ファン
眠れねぇ、もう一回見直さないと。
995名無し@推理ファン
もしかしたら、星アキラが殺せるトリックがさらに裏にあるのかもしれん!!
996名無し@推理ファン
まさかの三重トリック。検証班はよ。
997名無し@推理ファン
俺、裏番組を録画していて、今回の高畑小次郎は録画してねぇぇぇぇよ。
998名無し@推理ファン
TV局だ! TV局にメールや電話をして再放送をお願いするんだ!
999名無し@推理ファン
ぎゃーーーーーーーーーー。
1000名無し@推理ファン
みんな阿鼻叫喚で草
1001名無し@推理ファン
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドで推理してください。。。
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高畑小次郎の脚本家の話
高畑小次郎の脚本に行き詰っていたある日、気分転換にテレビを付けたら、星アキラの単独謝罪会見がやっていた。
僕は、彼の大人の演技と共に、大衆の心理状況を上手く掴む才能に感心した。彼は暴れ牛である大衆の心理を闘牛士のごとくひらりと躱して、自殺や過去のマイナス評価を全てプラス評価に変えてしまった。
そして、謝罪会見の最後の星アリサとのシーンを見た時に、僕の脳裏に新しい高畑小次郎の脚本が浮かんだ。
いびつな母子の関係にまつわる、愛のある殺人偽装事件。
さっそくプロットを書き上げた僕は、プロデューサーさんに連絡入れる。
そしてメインキャストはもちろん、星アキラ。
このプロットで星アキラ以外をキャストしたら、世間からのブーイングがすごいだろう。
プロットを見たプロデューサーさんは、プロットのすばらしさは理解したが、最初は難色を示した。話題の人物とは言え、わずか10歳の子供に犯人役をやらせるのは、かなりリスクが大きいからだ。
そこで、僕は、星アキラが全面的に活躍するA案と、周りの人間がフォローして星アキラを助けるB案を提示した。
B案は星アキラがこけた時のために、保険で環蓮にトリックスターの役割をしてもらう構成になっていた。
プロデューサーはまだ考えていたが、星アキラのYoutube放送などを見て腹を決めたようだ。スターズに星アキラを打診してOKをもらった。
そして母親のキャストだが、僕はどうしても星アリサにやってもらいたかった。僕とプロデューサー、そして監督は、そろってスターズの事務所に出向き、星アリサに出演の直談判を行った。
星アリサは悩んでいたようだが、ため息を吐くと、「そうね。私はアキラに返しきれない恩があるわ。不出来な母親である私だけれども、息子の出世作に出演して息子の助けになるのであれば、恩返しをする必要があるでしょう。」と言い、出演を許諾した。
星アリサは、アキラ君が失敗することを全く心配していないようだった。
撮影が始まると、星アリサは往年の輝きどころか、輝きに磨きがかかっていた。そしてアキラ君はそれをものともせずに、演技を続けた。
殺されるまでのわずか10分のシーンではあるが、星アリサが女優として全く衰えていない事を強烈に世間に印象付ける演技であった。
撮影が終わると、アキラ君は演技を解いた星アリサに抱き着いて心配顔で、「大丈夫?」と聞いた。
星アリサは、アキラ君の髪を撫でながら「大丈夫よ。もう前のようにはならないわ。」と言ってそのまま事務所に帰ってしまった。
何の事かよく解らなかったが、星アリサはやっぱり、星アキラが失敗することは心配していないようだ。これ以後の彼の撮影は見ないでそのまま事務所に戻ってしまった。
それからお互いの変装シーン。百城千世子ちゃんの変装や声真似は本当にすばらしく、ちらっと映すだけのつもりが、急遽スタッフとのミーティングシーンを追加した。
千世子ちゃん曰く「アキラ君なら幼馴染だから、姿形なら簡単に真似られます」とのこと。
アキラ君がやった千世子ちゃんの変装も見事だった。完全に千世子ちゃんとしか思えなかった。
この頃の子供の体格は男女でそんなに違いが無く、身長も近かったから確かに真似られるとは思うんだけど、お互いに雰囲気や仕草まで似せられるとは思わなかった。
僕は、このドラマが傑作になる予感が沸々と湧いていた。
中盤から、アキラ君の演技が崩れ始める。入れ替わりに、環蓮の存在感がどんどん増していた。
僕の目には、アキラ君が意図的に演技を崩しているのか、本当に崩れているのか全く解らなかった。
実は、アキラ君と高畑小次郎役の田町君には、A案、B案両方の台本を渡していた。対して他のメンバーにはB案の台本のみを渡していた。
A案は、母親が自殺で実は偽装殺人という本来のシナリオ、B案は星アキラが高畑小次郎に追い詰められて、クライマックスで協力者全員で対峙というシナリオだった。
仮にA案が成功した場合には、最後の最後で登場していた役者達をも驚かせる展開になるだろう。僕は素で驚く役者達をカメラに収めたかった。
アキラ君は、僕が思っていた以上の演技を中盤見せた。環君は、アキラ君の演技が崩れていると見るや、畳みかけるように主役の座を奪いに来る。
途中、環君は積極的に監督などにも意見を言って、自分の出番や存在を増していった。
対して、アキラ君は役をこなせなくて、そんな環君を止められない自分にショックを受けている・・・・ように見えた。
これは、僕が考えていた以上の出来だった。
もしもこれが、本当にアキラ君の演技であった場合には、環君は演技の外でも完全に騙されている事になる。その可能性を感じて僕は背筋が寒くなった。
アキラ君が本当に演技をしていたかどうかが判るのは、クライマックスの推理シーン。
ここで、アキラ君と田町君に、1回目はA案で行き、NGだったらB案で行くことを説明した。
アキラ君には絶対に失敗が許されない1発撮り。もしもここで失敗してしまったら、アキラ君の株が下がって、環君主役のドラマになってしまう。
まさしくアキラ君の役者人生をかけたと大勝負とも言える緊迫のシーン。
・・・・アキラ君は僕の期待以上の演技を見せた。
彼はこの難しいシーンをNG無しの1発撮りで成功させた。
やはり、中盤のアキラ君は全て演技だったようだ。
環君は、アキラ君と田町君のやり取りを見て、真っ白になっていた。アキラ君は最後の最後で視聴者に大逆転を見せるために、中盤にわざと自分の株を下げたんだ。
まさしく、生粋のエンターティナー。
アキラ君は、このドラマを120%面白くするために、20代の実力派女優として頭角を現しつつある環蓮を騙しきったのだ。
これだよ。これ。僕は環君の、この素で驚いた表情をカメラに収めたかったんだ。
僕はいたずらが成功して、最高に気持ちが良かった。
最後のシーンの撮影を終えた後に、VTRのチェックをしていた監督から僕と田町君は呼ばれた。
星アキラは、これまでほとんどアドリブをしてこなかった。そして問題なく撮影を終えたと思っていた。
しかし、監督からパトカーに入る瞬間にカメラ目線のにやっとした笑みを浮かべるアキラ君のシーンを見せられた。
やられたと思った。星アキラは環蓮だけではなく、高畑小次郎も騙しに行っていた。
もしもこのシーンをそのまま使う場合、高畑小次郎の推理が間違っている可能性がある事を視聴者に伝える事になる。
もちろん、単純に殺人罪で捕まらずに、母親へのレクイエムが成功して喜んでいると考える人もいるだろう。
このシーンだけで、今後おそらくネットなどでは激論が繰り広げられるだろう。
でも同時に僕は、このシーンを使いたかった。脚本には無かったけれども、このドラマの終了シーンとしてふさわしい気がしたからだ。
監督が確認したのもそういう意図だろう。
このシーンを見ていた田町君は爆笑しながら、「聞きしに勝るクソガキだな。これは最高のクソガキだ! これは使うべきだよ。このシーンを入れる事で、このドラマが将来のスターである星アキラの出世作になるか、ただの出演作に成り下がるかが決まるんだから、絶対に入れるべきだよ。」と言って、入れる方の意見を言った。
これで最後のシーンは決まった。
このシーンを入れる事で、視聴者にはこのドラマが「もう一度見たいドラマ」から、「絶対にもう一度見なければいけないドラマ」に変わった。
放送終了後、TV局には再放送を願うリクエストが多く寄せられ、急遽1月3日の夜の10時から再放送を行うことになった。
初回よりも、視聴条件が悪い時間帯にも関わらず、再放送の視聴率は、初回放送時を上回り、ものすごい反響だった。
また、SNSや掲示板でも盛り上がり、星アキラが母親を殺害できそうなトリックがいくつか推測されていて、すごく面白かった。
星アキラは、まさしくクソガキだった。世間が彼をクソガキと表現する理由が判った気がする。
僕は再放送の最後に、にやりと笑みを浮かべる星アキラを見ながら爆笑していた。
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【Live】高畑小次郎の撮影現場を見せちゃいます
動画準備中。もうちょっとで始まるよ。
高畑小次郎面白かったな。
あの撮影の裏話聞けるとか胸熱
今日は環蓮がゲストって話だけど本当かな?
高畑小次郎のアキラきゅん超かっこ良かった☆
「おはこんばんにちは。役者なのにみんなのアイドル。わからせたい子役ナンバーワンの天才俳優 星アキラです。今日も僕の生放送に来てくれてありがとう!!」
「みんなは、僕が出演した高畑小次郎は見てくれたかな?」
見た見た!
アリサママが出ててびっくりした☆
あれはマジで驚いた。
ラストの展開もびっくり☆
マジすごかったよ
「そんな訳で今回は一緒に共演してくれた環蓮さんをお迎えしました。わーーーー。ぱちぱちぱち。」
「アキラ君に一杯食わされた環蓮です。よろしく。」
「うわー。ご機嫌斜めじゃないですか? 何かあったんですかー?」
「このクソガキが・・・。」
「ぐわーーーー。頭ぐりぐりしないでっ!痛いっ痛い痛い。」
アキラ君、野原しんのすけみたいコブシで頭ぐりぐりされていて草
いきなりわからせられとるw
これは新しいアキ虐☆
貴重なアキラいじめのシーン。ステキ☆
環蓮さん、あきらかに不機嫌なんですが、どうやって出演依頼したんですかね?
「ちなみに、環お姉ちゃんは、あの撮影の後に行きつけのバーでヤケ酒で酔っ払ってグデグデになっている所に侵入して、その際に出演許可をもらったよ。」
「マジ最悪のクソガキ。酔っ払った状態での約束なんて覚えちゃいないぞ。」
「大丈夫。環お姉ちゃんがそう言うと思って、ちゃんとスマフォに録画しておいたから。」
「やっぱりこのクソガキむかつく。」
「ぎゃぁぁぁっ、また頭ぐりぐりしないでっ。中身出ちゃう。脳みそ出ちゃうっ。」
やっぱりアキ虐は素敵☆
環さんもっとやれーーー。このクソガキに正義の鉄槌を!
環蓮にぐりぐりされる星アキラとか、撮れ高すごすぎなんですが。
もっとこの珍獣をちゃんと躾けてあげて。
アキラ君、最近調子に乗っているから、躾けは大切だと思うの☆
でも何でこんなにアキラ君が環蓮に恨み買っているの?
「実はあの高畑小次郎は、台本が2冊あって、1冊目はあのドラマの通り、2冊目は僕が実際に殺していて、環お姉ちゃんにかばってもらうシナリオで、環お姉ちゃんには2冊目しか渡していなかったんだよ。」
「突然、田町さんが犯人がいないとか口走り始めて、焦ったわよ。田町さんとこのクソガキに完全に騙されたわ。」
「うりうりうりうりっ」
「頭痛いっ、痛い痛いよっ。」
「天罰よ。もっと反省しなさい。」
ああ。それはアキラ君と撮影スタッフが悪い。
途中まで環蓮がやたら輝いていた理由がそれか・・・。
あっちゃー。最後のどんでん返しは環さんも知らなかったのね。
それはアキラ君を恨むわ
天罰受けまくって草
「という訳で、1枚目の写真。僕とアリサママが演技をしている写真だね。」
「この時は、私は現場に居なくて、テレビ局での打ち合わせのシーンからの合流だったのよね。事前にこの現場を見ていれば、もっと警戒感が出たのに、完全に失敗したわ。」
「別の現場で撮っていたからね。スタッフさん達もそういう目的だったし。」
「田町さんに、「昔何回か共演しているから、顔合わせは大丈夫だよね。」とか言われて信じちゃったのよね。流石にあのクラスの役者さんに面と向かって誤魔化されちゃたら解らなかったわ。」
「あの純真爛漫なアキラ君が、こんな悪ガキになってるなんて、思わないじゃない! オラオラ。」
「痛いっ痛いってっ、環お姉ちゃんっ、許してっ」
「許せる訳ないでしょ。このクソガキが。」
恨み買っていて草
完全に姉弟
これはいいアキ虐☆
アキ虐に目覚めました。環さん。もっとお願いします。☆
でも良く、アリサママが出てくれたよね
アリサママの出演はびっくりした
「うん。アリサママも思うところがいろいろあったみたいで、愛情出演してくれたんだよね。やっぱりアリサママは僕のことが大好きなんだよ!」
「大好きはともかく、私もあのシーンを見てびっくりしたよ。流石は星アリサって感じで圧倒されちゃった。私も生で星アリサの演技を見たかったわ。」
あれはすごかった。
星アリサの力をマジで実感した。
すごい毒親の演技だった。存在感半端なかった。
あれなら、アキラ君が殺害を考えるのも仕方ないと思った。
星アリサって、まさか普段からあんな感じじゃないよね?
「そんな訳ないじゃん。昔は厳しかったけど、今は僕のことを溺愛する可愛いママです。」
「アリサさんは普段はどんな感じでアキラ君に接しているの?」
「最近はけっこう楽しくご飯食べたり、いろいろ嬉しそうにしているよ。最近は、お手伝いさんの赤ちゃんの面倒を良く見て、可愛がっているね。」
「教育方針としては、演技以外はかなり放任主義かな。」
「闇が深そうだから、放任主義の部分は突っ込まないでおくよ。でも、もしかしてアキラ君がこんなクソガキになったのは、アリサさんがこの珍獣を放牧しているせいでは?」
放牧wwwwもはや家畜扱いw
まさに芸能界の珍獣ww
アリサママは、この珍獣のしつけをちゃんとしてもろてw
アキラ君がクソガキになったのはアリサママの教育方針にあった!?
アリサママはいろいろ反省してねw
「みゅーみゅー。こんなにかわいい僕をいじめるなんて、みんなひどいみゅー。」
「なまじ可愛いから余計にむかつく。」
「痛い痛い痛い。それ反則だよ!」
「アキラ君をいじめるのがなんか楽しくなって来ちゃった。今度、四の字固めとかでひーひー言わせたいわ。」
わかる。アキ虐はこれからもっと発展するコンテンツだと思うw
小動物の演技をするアキラ君かわいい♡
かわいいアキラ君をもっといじめてほしい。(*´Д`)ハァハァ
アキ虐はみんなのストレスも一緒に解決できる素敵なコンテンツ。
これからはアキ虐の時代だと思う
アキ虐の切り抜きはよ。
「やばい。話が進まない。続いての写真はこちらです。僕に変装した千世子ちゃんの写真と、千世子ちゃんに変装した僕の写真です。」
「お互いに仕草を見て、お互いになりきっているかチェックしています。」
「実際に会ったけれども、なり切っていて、びっくりしたわ。確かにぱっと見じゃ解らなかったわね。」
「実は普段の演技の練習でお互いに、役の交換とか入れ替えを頻繁にやっているので、なんとかなりました。でも千世子ちゃん以外だと無理かも。」
「千世子ちゃんとは幼馴染なんだっけ?」
「そうだよ。最近、演技と容姿に磨きがかかってきて、マジでやばいよね。仕事もすごいし。クソガキとか珍獣とかの謂れない風評被害を浴びている僕とは大違いだよ。」
「もう突っ込まないわよ。」
千世子ちゃんとアキラ君の変装マジですごかったよね。
幼馴染のあうんの呼吸があったのか
最近の千世子ちゃんの売れっぷりもすごいよね
あのドラマ見て、千世子ちゃんのすごさが良く分かった
アキラ君もマジですごかった☆
「次の写真は、環お姉ちゃんとの演技シーンだね。」
「あのドラマで私が一番輝いている時の写真ね。この時の私はアキラ君を踏み台に主役に躍り出る気満々だったのに、まさかこのクソガキにしてやられるとは思わなかったわ。」
「実際、アキラ君があんなボロボロの演技でNGが出なかったからおかしいとは思っていたのよ。でも昔のアキラ君そのままで失敗しちゃった時の演技だったから、時間が迫っているのと、だからこそ、周囲にフォローさせている台本になっているんだって思っちゃって、全くわからなかったわ。」
「ぎゃーーー。首の後ろの肉を摘ままないでっ。」
「昔はあんなに可愛がってあげたのに、恩を仇で返す悪い子ね。」
「今、この瞬間、別の意味で可愛がっているじゃないか!!」
アキラ君、かわいがられて草
環蓮に可愛がられているのに、全くうらやましくねぇw
まぁこれは仕方が無いよね
実際には、あの環蓮を騙せたアキラ君もすごいと思うぞ
環姉さんを騙すって中々できないよね
「アキラ君は、役に入り込むタイプでも反射的に役をこなすタイプでもないから、本当に失敗しているのか、演技なのかわかりにくいのよ。」
「アリサさんみたいなメソッド演技法でも無ければ、千世子ちゃんのようなマイズナーテクニック系の客観視タイプとも違うのよね。強いて言えばマイケルチェーホフ・テクニック系の変形版よね。場とか視聴者が感じる感情を察知する感覚、つまりアトモスフィアが研ぎ澄まされていて、その場でその感覚に合わせて演技をちゃっちゃっと想像して、いい感じにアレンジしてまとめちゃう感じなのよね。だからその場で変わるから、演技なのか、素面なのか非常に見分けが付きにくいの。」
なるほど。全然わからん。
高度な説明すぎて置いてきぼりです
専門用語が多すぎて全然わかりません
日本語でOK
場の雰囲気に合わせて演技を変えている様子は判る
「つまり、アリサさんはメソッド演技法と言って、自分の体験を役として表現する演技法で、乱暴に言えば、自分が役の人物と同じ体験をして、役の人物になり切ることで、自然な演技を行うのよ。」
「千世子ちゃんは他動的な刺激から役を作るタイプ。例えばカメラ視点とか観客の視点とか、そういう他動的な視点を元に、他人からどう見えているか、それによって、どういう自分の感情を取り出せば良いのかなどのを判断して、それを条件反射として体に教え込む事で、演技をしているわね。だからカメラに自分がどう映っているのかについて異常にこだわるの。」
「対して今のアキラ君は、自分が演技することで、他人がどういう反応を示すんだろうという想像力を元にそれを予知した演技を行うわ。つまり空気を察してその空気に合う演技をする感じ。演劇の素人が演技法の前知識なしに、演技を考えると多分これを一番最初にまず試すと思うわ。つまりごく普通の考え方。非凡なのは場の空気を読む才能とそれを表現する演技力の方。」
「素人がやっても、場の空気とはずれるし、場の空気と一体化するような演技の技術も無いわ。だから空回りして、素人臭い演技になる訳。対してアキラ君は場と完全に一体化するから、みんながアキラ君を操っているとも言えるし、アキラ君がみんなを操っているとも言える状態。その結果、外から見ると完成した場の黒幕でありながら、場の空気の一部となって、歯車のように演技しているアキラ君しか見えないから、演技が非常に見分けにくい感じ。」
でもそうなると、アキラ君には演技の才能があったんじゃないの?
私もそう思う。アリサママに役者を辞めろって言われるほどじゃないと思う。
環蓮を騙せるぐらいだし、やっぱりアキラ君って才能あるよね?
アリサママの目が節穴なのかが気になる。
うん。私もアリサママがなんでそんな判断をしたのかが気になる。
「私の推理では、多分こういう感じだと思う。」
「アリサさんはメソッド演技の天才で、それで役に入り込みすぎて痛い目を見ているから、千世子ちゃんを外界からの刺激に対して反応する形で、自分を俯瞰視する役者として育てているんだと思うんだ。」
「その結果、千世子ちゃんは非常に上手く行ったけれども、息子も同じ教育方針で育てて見たら、いまいち結果が出ない。かといって、主観的な感受性も弱く、自分が極めたメソッド演技の才能も無さそうだ。つまりアキラ君は演技の才能が無いと考えていた。」
「ところが、アリサさんは、実は、アキラ君が主観的な感受性が弱い代わりに、客観的な感受性がものすごく高い事を見落としていて、自分のイマジネーションを元に、場を回して役を表現する才能があった事に気が付かなかった。」
「そんでアキラ君は、子供の頃からの長い演技訓練でテクニックや表現力を身に付けた上で、あの自殺未遂で何も怖いものが無くなって、ありのままの自分を表現した結果、一気に才能が花開きました・・・てな感じかな。」
「どうだろう?アキラ君?」
「うっ。環お姉ちゃん、かなりいい線ついているね。推理ドラマの探偵役もやれると思うよ。」
「でもあのアリサさんが、アキラ君が客観的な感受性が高い事を本当に見逃すのかが、かなり疑問なのよね。どう思うアキラ君?」
「わかんない。」
「あっ、今嘘ついたわね? 何か隠しているんでしょう?」
「うっ。鋭い。でも極秘情報だから教えられないよ。」
「今なら、アキラ君が大分見えてきたから嘘も見破れるのに、悔しいわ。」
「環お姉ちゃん、怖すぎだよ!」
----------------------
「そんな訳で、写真も一通り紹介し終わったし、最後に曲演奏して終わりましょう。」
えーーー。もっと環お姉ちゃんの話聞きたかった。
早いよーーーーー。
ぶぅ━━q( ̄(oo) ̄)p━━っ!!
もっとやってほしいの☆
もっと聞きたかったな。
「景ちゃん。あれの用意をして。」
「はい。ビールとおつまみですね。」
「環さん、どうぞ。」
「景ちゃん、気が利くね。どっかのクソガキにも見習わせたい。」
「いや、準備をお願いしたの僕なんだけど・・・。」
「そんなわけで、リクエストの曲を聞いたら、酒の肴になる曲とのことでしたので、ここはやはりジャズで行きます。」
「環お姉ちゃんのお酒の準備もできたのでそれでは行きましょう。環お姉ちゃんのカッコよさを表現した曲、Take Fiveです。」
「いいねぇ。すんごく雰囲気がいい。これがあのクソガキが演奏しているとは思えないね。酒が進むよ。」
かっけーーー。
これ聞いたことある
ジャズが流れているとたまに聞くよね
これは酒が進む٩(ˊᗜˋ*)و
いいねぇ。
「パチパチパチパチ。すっごく良かった。私を騙したんだからもう一曲行っとこ」
「しょうがないな。それじゃ2曲目は、C Jam Bluesになります。」
これもいいね。
すっごくノリがいい。
これは酒ががぶがぶですわ。
泥酔待ったなし
マジでジャズバー。今度ジャズバー配信してよ。
これは良いおじさんホイホイ。
「アキラ君はクソガキだったけど、ピアノは最高だよ。」
「あれ?まだ何かやるの?」
僕はシンセサイザーとヴァイオリンを取り出す。
「これから2曲演奏しようと思います。1曲目は高畑小次郎といえば、これ!! 高畑小次郎のメインテーマです。それでは行ってみましょう。」
これだよ!これ!
ドラマの冒頭で流れる時の高揚感と緊張感がたまらない。
これぞ高畑小次郎
最初のヴァイオリンの入りでもうわかる
これぞミステリードラマの代表的なテーマ曲だよね
犯人が逮捕されて終了時に流れる寂しさもまた良い。
曲を聴いているだけで高畑小次郎が浮かんでくる
「やっぱり、高畑小次郎と言えばこれだよね。私も最後はあれだったけど、高畑小次郎に出演できてすごく誇らしいよ。」
「続いては刑事ドラマ繋がりということで、去年(2011年)に亡くなった刑事コロンボ役のピーター・フォークさんを偲んで、ラストに刑事コロンボのテーマ曲をやろうと思います。」
「これは、けっこう有名な話なんですが、実はピーター・フォークさんの右目は子供の頃から義眼で、俳優としてはとんでもないハンデなのですが、逆にこれを利用してあのコミカルな表情を作り出しているというすばらしい名優です。今回共演していただいた田町さんと共に、僕も将来はこんな俳優になりたいです。」
「それから日本で有名な刑事コロンボのテーマ曲ですが、この曲も実は刑事コロンボのテーマ曲ではなくて、NBCミステリー・ムービーというテレビドラマ枠のテーマ曲だったりします。ですので刑事コロンボのサウンドトラックを買ったりしても、この曲は入っていないです。このため、この曲を聞きたい方は、作曲者のヘンリー・マンシーニさんの曲集とかに入っています。」
義眼だって知ってたw
コロンボって右目が義眼だったの?
ああ、だから演技するときに斜視してたんだ
あのとぼけた表情は義眼からも来てたんだ。すげぇ。
刑事コロンボのテーマじゃなかったのか
これは懐かしい
金曜ロードショーとかのテーマと一緒だったのか!?
最後に刑事コロンボのテーマ曲とか胸熱
「それでは、シンセサイザーの打ち込みとヴァイオリンの生演奏で刑事コロンボのテーマになります!」
「うちのかみさんがね・・・。」
うぉぉぉぉコロンボ警部。
子供の頃、家族みんなで見たなぁ(´;ω;`)
もうコロンボの新作は見られないのか 。゚(゚´Д`゚)゚。
子供の頃にこたつに入りながら、家族みんなで見た記憶が・・・。
俺は夏休みのお昼の再放送。
昔は刑事コロンボはかなりの頻度で再放送してたよな
ピーター・フォークさん、天国で安らかにしているのだろうか・・・。
天国でも殺人犯を追いかけてそうw
なにその地獄のような天国はwww
懐かしすぎて泣ける 。・゚・(´^`*)・゚・。
「ピーター・フォークは間違いなく名優だったね。私も子供の頃によく観ていたよ。最後に思い出に残る曲を聞けて良かったよ。ありがとう。」
「ありがとう環お姉ちゃん。 それじゃまたねーーー。」
環お姉ちゃん最高だった。
さすがは実力派女優だった。
環お姉ちゃん、また来てね~!
おもしろかった☆
またねー。☆
またねーーーー。☆
バイバイ☆
さよなら―。ばいびー☆
刑事コロンボ役のピーター・フォークさん、古畑任三郎役の田村正和さん、すばらしい作品を沢山残してくれたお二人を偲んで献杯! (*>∀<)o(酒)
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星アキラはかくし芸を考える
年末が迫ってきたころ、僕はアリサママに呼び出された。
「アキラ、正月かくし芸大会でプロデューサーさんがかくし芸を披露してほしいという依頼が来ているわよ。」
「ふーん。スターズは、前の正月ではみんなでミュージカルしてたよね。僕もスターズのメンバーと一緒にかくし芸をしてほしい感じ?」
「いや、10分程度時間を取るから1人で何かしてほしいそうよ。」
「最近視聴率が低迷しているから、今までの録画じゃなくて、今年は緊張感を持たせるために生放送で行くんですって。それで生放送でかくし芸をできる芸能人をさがしているらしくて、アキラにも是非って来たわよ。」
正月かくし芸大会。正月恒例のテレビで年末の歌合戦と同様に、長い期間続いている恒例のバラエティ番組だ。
登場した芸能人の人が、かくし芸を披露して点数を競う形式になっている。
ただし、娯楽が多様化した現在では視聴率は低下の一途をたどっている。それで、今年は久方ぶりにVTRではなく、生放送に変えていくようだ。
「なるほどね。確かに僕のために10分取ってくれるのはうれしいし、それにいろいろな意味でかなり美味しい。」
「スターズとしてもなかなかの宣伝や出演料になるから、積極的に出したい所だけど、アキラ何かかくし芸あるの?」
「ピアノやヴァイオリンは披露しちゃっているから無いけど、とっておきのが一つあるから、その仕事を受けるよ。」
「何をやる気なの? 何かすごく嫌な予感がするんだけど。」
「今言っちゃったら、かくし芸にならないじゃん。大丈夫だよ。アリサママもビックリすると思うから楽しみにしていてよ。」
「びっくりしたくないんだけど、これ以上私に心労をかけないわよね?」
「ナンノコトでしょうか? 僕には心当たりがないですね。」 (口笛ぴゅーぴゅー)
「あっ、そうと決まったら、さっそく番組のプロデューサさんや構成作家さんとかと話さなきゃ。」
「アリサママ、それじゃーねー。 バイバイキーン!」
僕はドアを開けて逃走を図った。
星アキラが逃亡した後、星アリサは社長室で頭痛に襲われていた。
「・・・・・・スミス、何かすごく嫌な予感がするんだけど・・・。」
「清水です。その予感は当たっていると思います。」
「アキラのマネージャからあそこの漢方が胃に良いって聞いたから、時間を見つけて買いに行こうかしら。」
「心中お察しします。」
------------------------------------
番組のスタッフさん達と打ち合わせの日時を決めた後に、スタイリストさんに連絡を入れて、かくし芸の準備を行った。
このスタイリストさんは2人の子持ちのお母さんであり、非常に腕が良くてパワフルなスタイリストさんだ。
今度、ある企画で僕のYotubeチャンネルにも出てもらおうと交渉している。
そんな訳で、スタイリストさんにお願いした出来は注文以上に仕上がった。
「これが僕?」
僕は鏡に映った自分の姿にうっとりとした。僕はかくし芸の成功を確信した。
そして、そのままの恰好で、プロデュサーさんや監督さん、構成作家さん達との打ち合わせに出ていき、かくし芸を披露した。
番組スタッフさん達にも非常に好評で番組のコアタイムで披露することになった。
そんなこんなで、正月かくし芸大会の本番を迎える事となった。
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正月かくし芸大会 実況スレ Part 8
213名無し@かくし芸奉行
今回の生放送は、VTRと違って芸能人の力量とかが判って面白いね。
214名無し@かくし芸奉行
さっきのアイドルのもろ失敗はやばいだろw
失敗後のキョドリ具合も面白かった。
215名無し@かくし芸奉行
そう考えると生放送は怖いよね。でも確かに面白いかも。
216名無し@かくし芸奉行
多分すごく練習してきたんだろうけど、本番の空気に飲まれたのかな?
217名無し@かくし芸奉行
でも売り出し中とは言っても芸能人だしなぁ。この辺はピシっと決めて欲しいな。
218名無し@かくし芸奉行
さっきの失敗とスタジオのフォローで不穏な空気が流れているけど大丈夫かな?
219名無し@かくし芸奉行
次の芸能人可愛そうw
220名無し@かくし芸奉行
次は星アキラか。・・・これは大丈夫かもしれん。
221名無し@かくし芸奉行
あのクソガキならこういう空気でも何の問題も無さそう。
222名無し@かくし芸奉行
これを予期して番組の構成を組み立てていたスタッフは凄腕w
223名無し@かくし芸奉行
歌? 確かに星アキラは歌った記憶はないけど、かくし芸になるの?
224名無し@かくし芸奉行
わからん。でも歌を披露っていっているし、何かかくし芸的な要素があるんじゃないの?
225名無し@かくし芸奉行
ピアノ生歌とか? 確かにすごいけど、今更そんなに驚かないかも。
226名無し@かくし芸奉行
カメラが切り替わるゾ。
227名無し@かくし芸奉行
ん?
228名無し@かくし芸奉行
んっ?
229名無し@かくし芸奉行
ん?
230名無し@かくし芸奉行
んんっ?
231名無し@かくし芸奉行
ん?
232名無し@かくし芸奉行
みんなどうしたの?
233名無し@かくし芸奉行
ん?
234名無し@かくし芸奉行
アイマスかな?
235名無し@かくし芸奉行
アイマスだろ、俺ぁ詳しいんだ。
236名無し@かくし芸奉行
アイマスかな?
237名無し@かくし芸奉行
俺は詳しいんだ、これはアイマスだ
238名無し@かくし芸奉行
アイマスにこんな曲は無いよ。何を言っているんだよみんな!
239名無し@かくし芸奉行
コブラじゃねーか!
240名無し@かくし芸奉行
コブラじゃねーか
241名無し@かくし芸奉行
コブラじゃねーか!
242名無し@かくし芸奉行
コブラじゃねーか!
243名無し@かくし芸奉行
コブラじゃねーか!
244名無し@かくし芸奉行
コブラじゃねーか
245名無し@かくし芸奉行
どうなっているんだよっ。全然付いていけないよ。
246名無し@かくし芸奉行
なんだアイマスか…
247名無し@かくし芸奉行
アイマスだな
248名無し@かくし芸奉行
なんだアイマスか
249名無し@かくし芸奉行
だから、コブラって言っているじゃん。おまいらどうしたんだよ!
250名無し@かくし芸奉行
いや待て、この孤独なsilhouetteは…?
251名無し@かくし芸奉行
いや待て、この孤独なSilhouetteは…?
252名無し@かくし芸奉行
いや待て、この孤独なSilhouetteは・・・?
253名無し@かくし芸奉行
いや待て、この孤独なSilhouetteは…?
254名無し@かくし芸奉行
ヤツ…?
255名無し@かくし芸奉行
ヤツ?
256名無し@かくし芸奉行
ヤツ・・・?
257名無し@かくし芸奉行
コブラじゃねーか!
258名無し@かくし芸奉行
やっぱりコブラじゃねーか!
259名無し@かくし芸奉行
コブラじゃねーか!
260名無し@かくし芸奉行
コブラじゃねーか!
261名無し@かくし芸奉行
やっぱりコブラじゃねーか!
262名無し@かくし芸奉行
だから、コブラって最初から言っているじゃん。どうなっているんだよこれ。
263名無し@かくし芸奉行
2回も言ったぞ!
264名無し@かくし芸奉行
2回も言ったぞ
265名無し@かくし芸奉行
2回も言ったぞ!
266名無し@かくし芸奉行
3回も言ったぞ!あのやずやでさえ2回なのに!
267名無し@かくし芸奉行
3回も言ったぞ!あのやずやでさえ2回なのに!
268名無し@かくし芸奉行
くっ
269名無し@かくし芸奉行
くっ
270名無し@かくし芸奉行
くっ
271名無し@かくし芸奉行
くっ!
272名無し@かくし芸奉行
千早は皆勤賞だな
273名無し@かくし芸奉行
千早は皆勤賞だな
274名無し@かくし芸奉行
千早は皆勤賞だな
275名無し@かくし芸奉行
千早の胸はワシが育てた
276名無し@かくし芸奉行
↑育ってねーじゃねーか!このタコ!
277名無し@かくし芸奉行
お客様!電磁サイリウムを投げるのはお止め下さい!
278名無し@かくし芸奉行
お客様! 電磁サイリウムを投げるのはお止め下さい!
279名無し@かくし芸奉行
PさんLOVE!
280名無し@かくし芸奉行
PさんLOVE
281名無し@かくし芸奉行
Pさんラブ
282名無し@かくし芸奉行
Pさんって誰だよ
283名無し@かくし芸奉行
Pさんって誰だよ
284名無し@かくし芸奉行
マジで元ネタがわからん。助けて!
285名無し@かくし芸奉行
俺もわからん。突然掲示板が乗っ取られた。
286名無し@かくし芸奉行
みんな息ぴったりで草
287名無し@かくし芸奉行
まぁPさん一派も一枚岩ではないからな
288名無し@かくし芸奉行
まぁPさん陣営も一枚岩ではないからな
289名無し@かくし芸奉行
まぁPさん派も一枚岩ではないからな
----------------------------------------
355名無し@かくし芸奉行
いやー。楽しかった。これぞかくし芸だったな。
356名無し@かくし芸奉行
まさか女装して、コブラの曲を歌うとは思わなかったw
357名無し@かくし芸奉行
星アキラ面白すぎだろ
358名無し@かくし芸奉行
ネタがわからない人には、ただのアニソンだものな
359名無し@かくし芸奉行
アキラ君、美少女すぎるw
360名無し@かくし芸奉行
歌も超上手かった。ビブラートやミックスボイスみたいなテクニックをふんだんに使っているのに、歌声がピュアで綺麗だった。
361名無し@かくし芸奉行
星アキラの隠し玉すごすぎだろう。
362名無し@かくし芸奉行
女装した星アキラは、若い頃の星アリサにそっくりな所がまたw
363名無し@かくし芸奉行
こうやってみると、親子だよね。間違いなく星アリサの血を受け継いでいる。
364名無し@かくし芸奉行
若い頃の星アリサは、こんなクソガキじゃなかったがなw
365名無し@かくし芸奉行
これはアリサママ、胃痛不可避w
366名無し@かくし芸奉行
面白すぎるw
367名無し@かくし芸奉行
あっアキラ君のインタビューが始まる。
368名無し@かくし芸奉行
声かわええええぇぇっぇぇっぇぇ。
369名無し@かくし芸奉行
地声はまさかのアニメ声w
370名無し@かくし芸奉行
可愛すぎる。
371名無し@かくし芸奉行
アニメのキャラクターと勘違いするわw
372名無し@かくし芸奉行
歌っていた時の、オペラ歌手のような年上を感じさせる、伸びやかで明瞭な声と、地声が大違いだなw
373名無し@かくし芸奉行
これは地声なのか!? でもこれは声優でも行けるw
374名無し@かくし芸奉行
星アキラは、役者よりも声優の才能があった!?
375名無し@かくし芸奉行
星キアラw
376名無し@かくし芸奉行
星アキラの双子の妹w
377名無し@かくし芸奉行
アキラ声「おなか痛くなっちゃったから代わりに出てよ」
キアラ声「と言われて思わず出ちゃったの ꉂꉂ(๑˃▽˂๑)」
声の切り替えすげぇ。
378名無し@かくし芸奉行
やべぇ、マジで星アキラと星キアラの2人が同じ場所に居るって錯覚するわ。
379名無し@かくし芸奉行
これはまごう事なき、かくし芸。
380名無し@かくし芸奉行
アキラ君が放送で今まで歌を歌わなかった理由が判った気がする。
381名無し@かくし芸奉行
黒渚哲子のものまねもこの辺から来てたんだな。
382名無し@かくし芸奉行
星キアラ、可愛い。可愛すぎる。中身が男でも推せる。
383名無し@かくし芸奉行
究極のロリショタ。攻めか誘い受け思われていたアキラ君が実は総受けも行けるの!?
384名無し@かくし芸奉行
まちがいなくリバ有でしょう。これは新展開だわ!
385名無し@かくし芸奉行
┌(┌^o^)┐ホモォ...
386名無し@かくし芸奉行
唐突なBL談義やめいw
387名無し@かくし芸奉行
これが男の娘。これは新しい扉が開きそうだ・・・。
388名無し@かくし芸奉行
ちょっと可愛すぎでしょう。千世子ちゃんや景ちゃんとか美少女と並んでも何ら遜色が無いゾ
389名無し@かくし芸奉行
美少女好きのワイ。星キアラで新しい世界が見えてしまう。
390名無し@かくし芸奉行
お巡りさん、こっちです。
391名無し@かくし芸奉行
通報した。
392名無し@かくし芸奉行
やばい。星アキラとかいう、ロリショタ男の娘とか言う魔性の属性ホイホイ何なの?
393名無し@かくし芸奉行
えっ、星キアラがお兄ちゃんの放送を乗っ取る予定なの?
394名無し@かくし芸奉行
これは楽しみ。
395名無し@かくし芸奉行
キアラちゃんにまた会えるとか、その放送気になります。
396名無し@かくし芸奉行
キアラちゃんの写真集はよ。
397名無し@かくし芸奉行
これは薄い本が厚くなりますわ。
398名無し@かくし芸奉行
アキラ×キアラとかいう新しい世界。
399名無し@かくし芸奉行
アリサママ愕然 「私は双子を出産していた!?」
400名無し@かくし芸奉行
アリサママ、身に覚えが無さ過ぎて笑うw
401名無し@かくし芸奉行
アリサママの頭痛の原因がまた一つw
402名無し@かくし芸奉行
これはさらなるアリサママの胃痛不可避ですわw
403名無し@かくし芸奉行
星キアラ、これからの芸能界を席巻しそうですわw
404名無し@かくし芸奉行
しかも、なぜか星キアラは演技もすごく上手い気がするwww
405名無し@かくし芸奉行
多分、星アキラ並みに星キアラの演技もすごいと思うぞww
俺の予想は良く当たるんだwwww
406名無し@かくし芸奉行
これは芸能界に新たなる旋風が巻き起こりましたわw
407名無し@かくし芸奉行
星キアラのYoutube放送絶対に見に行く!
408名無し@かくし芸奉行
やばいw星キアラ、魔性の美少女すぎる。頭から離れねぇw
409名無し@かくし芸奉行
歌も上手い、なぜか演技も上手い気がするし、なぜかピアノやヴァイオリンも上手い気がする。
こんな完璧な美少女子役がかつていただろうかw
410名無し@かくし芸奉行
なにげにお嬢様っぽいキャラ作りも笑えるわw
確かに社長令嬢だものなw
411名無し@かくし芸奉行
これは楽しみが増えましたなw
412名無し@かくし芸奉行
アリサママの心労も明らかに増えたがなwww
元ネタがわからない人は『コブマス』で検索をかけるといいかも?
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【Live】星キアラが放送を乗っ取ります
放送準備中。もうちょっとで始まるよ。
あの星キアラが生放送するという噂のチャンネルはここですか? す朝野いちごch
いちごちゃんワロタ。
はいここです。
芸能界に突如現れた期待の新星、星キアラとは一体何者なんだ・・・
年始早々、星キアラが気になりすぎる。
このまえのかくし芸大会はやばかった。かくし芸のレベルが違った。
いやー放送楽しみ
おっ始まる。
「皆様ー、初めましてっ。星アキラの双子の妹、星キアラですっ。皆さんとお会いできてうれしいですわ。」
キタ――(゚∀゚)――!!
キアラちゃーーーーーん。
キアラちゃんステキ♡
☆キアラ推せる☆
かわえええぇぇぇぇぇ
可愛すぎる
まじで可愛いな
♪v( ̄(││) ̄)v♪ブヒブヒ
「今日は兄の星アキラに変わって放送させていただきますわ。よろしくお願いします。」
声がかわいすぎる
まじで声がいい
アニメキャラと話しているみたいでドキリとする
容姿、声、まさに完璧美少女。なお中身は・・・。
↑中の人などいない
☆キアラきゅん可愛すぎ☆
「それでは、今日は皆様との質問に答えさせていただきますわ。最初の質問はこれです。」
処女ですか?
|
「はい。処女です。たぶんずっと処女ですから、皆様安心してくださいね。」
ぎゃーーーーー。またこのパターンかよ。
さすがは兄妹。
まさかこの展開は予想していなかったw
誰だよ、こんな質問をしたヤツ
そしてこれも1番目に書き込まれている・・・。
まさか・・・おい止めろ!
後ろの穴は処女ですか?
|
「はい。処女です。ちなみに私とアキラ兄さんは、ちゃんと女の子が好きなのでこっちも安心してくださいね。」
ぎゃあぁぁぁぁやっぱり放送事故だぁ!!!
これはまごう事無き兄妹
この容姿でこの声でこの回答は衝撃的w
アリサママも胃痛必至
あれ、キアラちゃんも女の子が好き?
まさか、これは実はキマシタワー?
キマシタワー来たこれは勝つる
これは百合百合ですわ す朝野いちごch
いちごちゃんw
「おーーーほっほっほっほっ。みんなをからかった所で、真面目に質問に答えましてよ。」
急にバカお嬢様になった
バカお嬢様の演技もステキ☆
アホ嬢様うめぇな
マリーアントワネットの名言を言って欲しい
これはまごうことなきバカお嬢様
「マリーアントワネット?良いですわよ。」
「パンが無ければケーキを食べればいいじゃない。」
うめぇ
これは良いマリーアントワネット
これは舞台のベルばらのアントワネット役も行ける
予想にたがわぬステキお嬢様
頭ゆるそう
すっごくポジティブそう
「ちなみに、マリーアントワネットのこの名言?は濡れ衣らしいですわよ。これ豆知識ですわ!」
「さて声を元に戻して、それでは行ってみましょう。」
今までどこに居たの?
|
「もちろん、アキラ兄さんとアリサママの家です。ただアリサママは双子が同時に1か所に存在するとタイムパラドックスが発生して世界が消滅するとか言う、デマ情報を信じて、私はずっと閉じ込められていたのです。」
なんて悪いやつなんだアリサママ
こんなかわいい子を閉じ込めるなんて、とんでもないママだw
アリサママ許すまじ!
さすがにそれな無いやろ? 無いよね?
アリサママに勝手に風評被害が行って笑うw
多分アリサママは心当たりが無いと思うぞw
アリサママもある意味被害者だなw
でもそれならどうやって出てきたの?
「私は思いついたのです! 双子が同時に1か所に存在すると、タイムパラドックスが発生するというのであれば、アキラ兄さんを代わりに閉じ込めればいいという素晴らしいアイデアを。」
「そんな訳で、アキラ兄さんを今は私の代わりに閉じ込めているのです。」
アキラ声「キアラの様子を見に行ったら、キアラに閉じ込められちゃったんだ!。みんな助けて!」
お前は、しばらく閉じ込められていていいぞ。
キアラちゃんが居ればいいから、アキラ君はいらないからなぁ
珍獣は素直に檻に閉じ込められてもろて
☆アキラきゅんの事は好きだけど、今はキアラちゃんがいればいいや☆
クソガキはしばらく反省してもろて
アキラ声「みんな酷いよ~。うわーーーん。」
意図せず、アキ虐が成立してしまったw
アキ虐もステキ
アキラ君はまた今度よろしく☆
今日のアキ虐達成
「そんな訳でアキラ兄さんは本日はおやすみです。」
「それでは次の質問に行ってみましょう」
社長令嬢ってマジ?
|
「マジマジのマジです。スターズ社長であるアリサママの娘。つまり私は社長令嬢。生まれも育ちもサラブレッドです。」
サラブレッドw
生まれ、美貌、声、演技、演奏、財力、すべてを兼ね備えたサラブレッドだなw
なお性別wwww
これは圧倒的なお嬢様ですわw
性別以外は完璧なお嬢様だなw
男の娘でも俺は許せる
「次の質問です」
タチですか?ネコですか?
|
「タチ?ネコ?なんのことですか?ちょっとわからないのですが?にゃんこちゃんは好きですよ。」
これ何の事?わからん
腐女子やめろw
BL用語w
☆これは気になるw☆
┌(┌^o^)┐ホモォ...
やおいw
「ちょっとわからないので飛ばしますね。でも私は役者なので、総攻め、総受けどちらでもいけます。」
完全にわかっているじゃねぇかw
これは確信犯w
まさかの全カップリング制覇w
これは強者w
アリサママの心労度MAXwww
「ちなみに、個人的にはアキラ兄さんは誘い受けがとても似合うと思いますわよ。」
それは判るw
強がっていても本番は・・・(*´Д`)ハァハァ
これは薄い本が厚くなる
キアラ×アキラはよ
いや、ここはアキラ×キアラでしょう。
┌(┌^o^)┐ホモォ...
腐女子どもヤメロw
キアラちゃんと他の女の子との絡みも行ける。むしろそっちが本番
┌(_Д_┌ )┐レズゥ
もう、しっちゃかめっちゃかだよ~!
----------------------------------------
「そんな訳でそろそろ最後の音楽の時間です。」
もっとキアラちゃんとお話ししたい!
ぶぅ━━q( ̄(oo) ̄)p━━っ!!
時間が短すぎる
もっと美少女成分を俺に
キアラちゃんもっといいじゃん
「私はたびたび出演する予定ですわ。」
「それじゃ、最後に景ちゃんとツーショットを取りましょう」
「はいっ。キアラお姉ちゃん。」
キマシタワー!!!
スクショ
●REC
録画中
(v^ー°) ヤッタネ
これはかなりの記念
キアラちゃんの次の出演に期待!
これは最高の美少女2人ですわw
片方は美少女(笑)だけどな す朝野いちごch
2人ともレベル高すぎ
「そんな訳で、今日はマリーアントワネットの物まねをしたことですし、ピアノの弾き語りでベルサイユの薔薇から『薔薇は美しく散る』になります。」
これは期待。
非常に楽しみ
これはかなり素晴らしい選曲
歌嬉しい
期待しかない
「それでは行きます。」
すっごい綺麗な歌声。
普段のアニメ声とは全く違って、すっごくピュアな声
ビブラートが気持ち良すぎる
音程から全くずれない完璧な歌なのに、機械っぽくもないし、純粋な歌って感じ
これは歌姫ですわ・・・。
歌と曲が綺麗すぎて、ありし日のベルばらの思い出が・・・
純粋に歌と音楽だけが脳に響いてくる
すっごい涙が。
(´•̥ ω •̥` )
。°(°´ω`°)°。
ベルばらを思い出してしまった
オスカルの人生が頭をよぎって涙が止まらない
.˚‧º·(ฅдฅ。)‧º·˚.
オスカーーーーーーール
「そんな訳で、近々また放送を乗っ取る予定ですのでお楽しみに!」
最後にこれは反則だった 。°(°`ω´ °)°。
まじで感動した
涙がボロボロ出ているわ す朝野いちごch
絶対にまた来てね。
もっとお話し聞きたい☆
ばいびーー☆
またねーーー。☆
バイバイ☆
最高だったよ。またね~☆
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【Live】星キアラに案件が来ましたわ
放送準備中。もうちょっとで始まるよ。
星キアラに案件・・・・。
案件を出したメーカーは星キアラに、どんなイメージを付けて欲しいのか?
キアラちゃんに案件とかやばい匂いしかしないんですが・・・。
ネタになるとしか思えねぇ・・・
いやー。案件はめでたいんだけど、こんなに不安になる配信は初めてだ。
あっ始まる。
「星アキラの双子の妹、星キアラですっ。今日も皆様とお会いできてうれしいですわ。」
「今日はなんと、私に初めての案件が来たんですの。その案件とはなんとお菓子」
やめてあげて
キアラちゃんが宣伝するお菓子とか嫌な予感しかしない・・・。
スポンサーさんのご機嫌を損ねちゃうw
スターズの仕事無くなっちゃうw
キアラちゃんやべぇだろ
どうしてメーカーはキアラちゃんなんかに案件を出したんだ!?
「皆様ご安心ください。この案件を受けるにあたり、好き勝手に素直な感想を言っても良いという契約を快諾してくれましたわ。おーーーほっほっほっほっ。」
「ちなみに、マネージャーはこの案件を受けるのを止めまくっていましたわ。」
出た。バカお嬢様モード
社長令嬢で間違いが無い事は間違いないんだが、すべてが間違っている気がする。
アリサママとマネージャさんに敬礼
ビシッ(*`・ω・)ゞ
アリサママの胃に穴が開いちゃう~
まじでやりたい放題だな。もっとやれー。
アリサママもこの双子を生んだことを絶対に後悔しちていると思うぞwww
↑アリサママは絶対に双子を生んだ記憶が無いと思うんだ・・・。
「今日のお手伝いも、我らが最強のアシスタント景ちゃん!」
「スターズ所属の夜凪景ですっ。みんなよろしくね!」
景ちゃんだーーーー。
♪v( ̄(││) ̄)v♪ブヒブヒ
( ̄(∞) ̄) ブヒィ~
萌え豚どもが騒ぎまくって草
景ちゃんも可愛い
景ちゃーーーーん。こっち向いてーーー!
「そんな訳で、私達でスターズの事務所からお菓子の案件を始めちゃいます。」
この美少女2人が同時にカメラに映るとやばい
天然美少女の景ちゃん、キアラちゃんは清楚なお嬢様・・・・なんだよね?
キアラちゃんは間違いなく、美少女お嬢様だろうが!
☆キアラちゃんは一番好きだよ☆
一人性別が違う人が混じっているはずなのに、何の違和感も無いのがやばい。
これは目の保養ですわ。
「さて、今回は案件なので、もちろんスポンサーさんもご登場ですわ。」
「ジュピター製菓の営業部長の石城さんと営業担当の井塚さんですわ。」
「石城です。よろしくお願いします。」
「井塚です。よろしくお願いいたします。」
偉い人だー。
これは楽しみ。
まさか、今日の犠牲者じゃないよね? す朝野いちごch
やばい。案件を受けて大丈夫なんだろうか・・・。
まじでキアラちゃんがどんな反応を示すか判らなくて恐ろしいぞ
どうしてこんなヤバイ人に案件を出しちゃったんだ!
キアラ「今回の案件では、忖度無しで好き勝手な感想を言っていい事になっていますの。」
キアラ「そして、こんな危険人物に案件を提案した勇者は、なんと井塚さんですわ!」
井塚「キアラちゃんのファンなので案件一番乗りを目指して提案させていただきました!」
キアラ「こんなイメージダウンになるかもしれないやばい案件を提案するなんて、井塚さんはかなりの勇者ですわ!」
本人がやばい案件とか言っちゃってるw
確かにヤバイ
井塚さんに敬礼! ビシッ(*`・ω・)ゞ
キアラちゃんにこれから案件が来るかどうかの瀬戸際なんだからお手柔らかにね す朝野いちごch
キアラ「いちごちゃん、心配要りますわ。私に任せておけば、泥船に乗ったも同然でしてよ!!」
心配要るのかよw
もうだめだーーー!
本人がやばいって言っている案件って一体・・・。
絶対に任せたくねぇ
ジュピター製菓さんはこれで売り上げが上がるとか思っているんだろうか?
キアラ「石城さん、井塚さんというこんな勇者が働いているジュピター製菓はかなりすばらしい会社ですわね。」
石城「いまごろ営業部は大爆笑で、ジュピター製菓のみんなも喜んでいると思います。」
キアラ「ちなみに石城さんは、きのこ派でしょうか? それともたけのこ派でしょうか?」
おいっw
他社のお菓子じゃねぇか!
いきなりケンカを売っていて草
星キアラって何なの? 切れたナイフなの?
まじで最後の案件になるかもな
案件で火遊びをする女、星キアラ
石城「断然、私はたけのこ派ですね。キノコの方は型に溶かしたチョコレートにいしずきの部分のクッキーを差し込むだけですが、タケノコの方はチョコレートとクッキーを一体化してチョコがはみ出さないように加工が必要なんです。ですから技術料を考えると、やはりたけのこ派になりますね。」
キアラ「お菓子メーカーさんらしい素晴らしい視点ですわ! この星キアラ感服しました。 ちなみに私はきのこ派ですわ。」
ジュピター製菓さん、すごく大人。
星キアラのファンを辞めて、ジュピター製菓さんのファンになります
お菓子メーカさんらしい視点が新鮮
石城さんの落ち着きっぷりに驚いた。流石は部長さん
最後にやっぱりさらっとケンカを売っていて草
なぜか上がって行くジュピター製菓の株と、暴落する星キアラの株w
キアラ「それではお菓子の試食と行きましょうか。井塚さん、最初は何ですの?」
井塚「はい。まずはこのチョコパイを試してください。ふわふわのチョコレートをパイで包んだ一品です。」
キアラ「それではいただきます。」
キアラ「蕩けるチョコに、周りのパイ・・・。こっこれは、パイの実、パイの実の味ですわ!!」
他社製品の名称をだすなw
ひどすぎるw
たとえ味がそうであっても、他社の製品の名前を出すなw
マジで案件無くなるw
こんな最悪の食レポってある?
キアラ「ごめんなさい。つい、わかりやすい食レポをしようと焦ってしまって・・・。 反省しています。」
キアラ「つまり、平家パイのレーズンの代わりにチョコレートを入れた味、もしくはホームパイをサクサクにしてチョコを入れた味ですわ。」
キミ全然反省していないよね?
案件でこんなにやりたい放題の人初めて見たw
TV局なら即死だったwww
あまりにも正直すぎて草
確かに味のイメージはばっちり付くけどさぁ・・・。
さすがにお金をもらってこれはまずいと思うの す朝野いちごch
キアラ「でも、これだけ美味しいのが、これだけの量入って、この値段は相当お得ですわよ? サクサクもぐもぐ。」
キアラ「結局、みんな美味しければ幸せですよね? 難しい事を考えないで、美味しければいいのではないの? サクサクもぐもぐ。」
それは正しいw
キアラ嬢が美味しそうに食べていると、食べたくなってきた・・・。
まぁ確かに食べたくなるわw
ツッコミで疲れた。甘い物が欲しい。ちょっと、このパイ買ってくる。
味は凄く分かるので、ちょっと買ってくることにする。
一周回ってこれでいい気がしてきた
↑みんな感覚がマヒしているぞw大丈夫か?
井塚「続いてはお煎餅です。うちは東北地方の企業で米粉のお煎餅には特にこだわりがあるんですよ。」
井塚「こちらは特に特におすすめ。プレミアム厚焼きせんべいです!!」
この状況でなんとかフォローする井塚さんw
井塚さんマジで勇者だw
キアラちゃんは井塚さんに迷惑をかけてなんとも思わないの?
スポンサーにフォローさせると言う斬新すぎるスタイルw
これもうどっちがスポンサーだかわからんねぇなw
キアラ「うん。安心して飽きの来ない味ですわね。バリッ、ボリボリボリ。」
キアラ「厚焼きせんべいって味ですわ。バリッ、ボリボリボリ。」
うわぇ、食レポの語彙力ねぇ・・・。
もっとあるでしょ? みんな食べたくなるような表現とか?
せんべいって事しかわからん
せんべいなのは正しいんだけどさぁ・・・。 す朝野いちごch
味の想像は付くよ味の想像は。でも違うでしょ?
役者なんだから、味皇様ぐらいの表現力は無いの?
キアラ「役者でもできる事とできない事がありますわ。美味しすぎて巨大化して大阪城から手足を付きだしたり、ふんどし一丁で海の上を走ったりできませんわ。」
キアラ「そもそも、おせんべいを食べて巨大化したり、海の上を走ったりして美味しさが伝わりますの? ちょっとやってみようかしら?」
キアラ「あははははっ、このおせんべい、美味しいですわっ」
私はせんべいを食べながら踊ってみましたわ
全く、美味しさが伝わらねぇw
何だこの絵は?シュールすぎるだろw
踊る対象がせんべいw
せんべいを食べて嬉しいのは判ったw
確かに、せんべいを食べて踊るほど嬉しい人はいない気がする・・・。
踊りは綺麗だなw
キアラちゃんのダンス動画とか今度みてみたいw☆
結局なんにも美味しさが伝わらんwww
キアラ「食レポって難しいですわね。あっ、でも海原雄山の真似ならできますわ。」
海原雄山「なんだ、この合成調味料や着色料でギタギタのせんべいはっ、薬品臭くて舌が馬鹿になるわっ、女将、女将を呼べっ!」
井塚「あのっ、すいません。それはプレミアムせんべいでして、化学調味料や着色料は不使用で、厳選した地元天然素材だけで出来ているんです。」
バカすぎるwwww
お金もらってネガキャンはやめろwww
ひどすぎるwwww
大失態だろうw
商品を宣伝する気が無くて大草原w
最悪の商品宣伝で草生えるwww
海原雄山の演技がなまじ上手すぎて、草が森になるw
キアラ「やばいっ、やばいですわ。ちょっと失言を取り消す方法をググってみますので、お待ちください。」
えーっと、スマフォを出して、「失言 取り消す方法っと・・・。」
キアラ「えーと、なになに? 失言を取り消す方法はありません。素直に謝りましょうですって。勉強になりましたわ。」
キアラ「ジュピター製菓さん、ごめんなさい。つい勢いで間違った事を言ってしまいましたわ。」
井塚「あっあのっ、判ってもらえればいいんだんだども、これがら気付げでけせね?」
ついに、井塚さん耐えられずに方言にもどるwww
井塚さん、可愛すぎるw
テンパって方言に戻る井塚さん、すごくかわいい☆
星キアラひでぇwww
これで許すジュピター製菓とかマジで聖人かよw
キアラちゃん、謝ればなんでもOKとか思っていないよね?
謝って済む問題だけじゃないんだから今度から気を付けてね
井塚さん、切羽詰まって真っ青になってフォローしていて草
それを見た後ろの石城さんが大爆笑で草
キアラ「厳選天然素材だけのおせんべいでしたのね。どうりで子供舌かつ合成調味料で舌がマヒしている私には分からないはずですわ。」
やっぱり全く反省していなくて草w
なぜジュピター製菓はこんな人物に案件を頼んだのかw
キアラちゃんはもって反省して す朝野いちごch
ジュピター製菓の心が広すぎてもう聖人すぐるw
スポンサーさんにこんな態度を取れるキアラちゃん凄すぎだわ す環蓮Ch
環さんwwww
大物女優もキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
井塚「つっ続いては定番のチーズおかきになります。」
うーん。食レポって難しいですわね・・・。そういえば前世の私の大先輩として尊敬するVTuberさんに食レポが話題の人がいましたわ。その人を真似れば良さそうですわね。
キアラ「今まで失態ばかりでしたけど、今度は本気で食レポしますわ!」
井塚「よっよろしくお願いしあんす!」
井塚さん、切羽詰まってて草
半分方言に戻りかけてて草すぎるwww
まぁ、商品の宣伝になっているかというと・・・
ジュピター製菓は、完全なる被害者だからな
テンパっている井塚さん見て、後ろで石城さんの爆笑が加速していて草
石城さん大物すぎるだろw
キアラ「うーん。これは・・・。2か月前の事になりますわ。千世子ちゃんが出るドラマの撮影の応援に行ったときに、千世子ちゃんがファンの方から、花束と一緒にクマのぬいぐるみをもらったんですの。それでそのぬいぐるみなんですが、茶色くて丸っこくてすごく可愛いんですの。」
?????突然なにか語り始めたぞ?
どういうこと?
マジでわからん。
謎すぎる???
??????しか浮かばん
キアラ「千世子ちゃんもそのぬいぐるみを気に入っていたんですが、私は千世子ちゃんに意地悪をしたくなって、そのぬいぐるみの方が千世子ちゃんよりかわいいよって言ったんですの。そうしたら、千世子ちゃんがブち切れて、馬乗りになってそのぬいぐるみを私の顔に押し付けてきたんですの。私は窒息しそうになったんですけど、味としては、その時に口の中に入ったクマの味ですわ。」
キアラ「あと、チーズの触感は水酸化マグネシウムと炭酸水素ナトリウムを足して2で割った感じですわね」( ̄∇ ̄)v ドヤッ!
キアラ「我ながら完璧な食レポですわ!」
えっ大丈夫かこいつ?
マジでやばい人じゃねこの珍生物?
やっぱり、兄妹そろって珍獣だったね
そっか、珍獣には人間の食レポは難しいよねw
意味わからな過ぎて脳が理解を拒んだわ
的確なのかすら判定できねぇ
全く共感できねぇw
この食レポやばすぎんだろwww
あっれーーー? 偉大なる大先輩で、ほかの方のチャンネルに呼ばれて食レポをせがまれるぐらい、食レポでも有名なVTuberさんをリスペクトしたのに、どうしてこんなに不評なんですの? やっぱりその場のノリで考えたまがい物では、あの大先輩を超えられないということですの? でも確かにそうかもしれない。わたしごときが表面だけ真似ても、あの大先輩に敵う訳が無かったのですわ・・・。
キアラ「ごめんなさい。やっぱり星キアラには、食レポは難しかったですわっ」
キアラ「結局、みんなで楽しく食べるのが一番な気がしてきましたわ。景ちゃん、みんなに座ってもらって、お茶を用意してちょうだい。」
景「はいっ。キアラさん、わかりましたっ」
景ちゃんにお茶をいれてもらって、テーブルの席に4人全員で座って、お菓子を自由に食べ始めますわ。
キアラ「やっぱり薄焼きせんべいが食べやすいですわね。パリッポリポリポリ。」
キアラ「景ちゃんも好きなのたべて良いですわよ。ボリボリボリ」
景「それじゃいただきますっ。」
キアラ「景ちゃんは結構、甘いのが好きなのね。」
景「そうですっ。甘いのを食べると幸せな感じになってしまって。ダメですか?」
キアラ「子供なんだから太りすぎない限り良く食べるべきですわ。ガリッ。ボリボリボリ」
キアラ「厚焼きせんべいとか食べてみませんの?」
景「食べて見ますっ。ガリっ、うっ」
キアラ「ちょっと苦いのが苦手っぽいですわね。」
景「せっかく、お仕事をいただけたのに、申し訳ないです。」(。•́ - •̀。)シュン
井塚「やっぱり、厚焼きせんべいとかは、表面の醤油が焦げた苦みが少しありますからね。ある程度大人になってから、急に良さに目覚めて買ってくれる人が多いんですよ。」
石城「私達の会社でも、ちょっと苦いせんべいは子供達には人気が無くて、成人の方が買っていく場面が多いですね。」
キアラ「仕事によっては、どうしても、不味いのを美味いと言わなければいけない場面もありますけど、今はその時ではありませんわ。不味いものを美味いと嘘をつき続けるレポーターが信用される訳がありませんもの。素直が一番ですわ。バリッボリボリボリ。」
井塚「それでは、こちらはどうでしょうか? 私たちの郷土せんべいである、南部せんべいです。」
景「あっ、このピーナッツが入ったおせんべい、すごく美味しいっ。」
井塚「南部せんべいは蕎麦、あわ・ひえなどの雑穀を食べやすくするための保存食だったんですよ。」
石城「せんべいは元々、弥生時代あたりからお団子状のお餅を焼いて食べていたのが始まりで、元は主食兼保存食だったんですが、室町時代ごろから間食用のお菓子の性格が出て来て、江戸時代に改良されて完全にお菓子になったんですよ。」
キアラ「さすがは石城さん。博学ですわ。楽屋とかの差し入れとかにもおせんべいは重宝されますわ。冷蔵庫が無くても保存が効きますし、必ずしも甘い物が好きな人ばかりでは無いのですが、そういう人でもおせんべいは好きですもの。もぐもぐ、パリッポリポリポリ。」
石城「華が無くても、誰からも安心して食べてもらえる。それがお菓子として一番大切な事かもしれませんね。参考になります。」
すっごく勉強になる
石城さんが博識すぎるw
さすがは部長さん
っていうか、せんべいが食べたくなってきた
わかる。普通にせんべいを美味しそうに食べているのを見ると、すっげー食いたくなる
キアラちゃん、すんごく美味しそうに沢山食べて素敵☆
まぁ中の人は男だからな。食べ盛り、育ち盛りだろ
↑中の人などいない!!!!
せんべい食いてぇ。明日絶対にせんべい買う
俺も俺も!
結局、変な事をせずにひたすら食べるのが正解なのね。 す朝野いちごch
-------------------------------------------
キアラ「今日は楽しくお話しできましたわ。石城さん、井塚さん、ありがとうございました。」
石城&井塚「こちらこそ、ありがとうございました。」( ᵕᴗᵕ )
キアラ「それでは最後にピアノの時間です」
もっとお菓子の話聞きたい!
ぶぅ━━q( ̄(oo) ̄)p━━っ!!
もっと食べている所を見たい!
キアラちゃんもっといいじゃん
もってお話聞いてたかった!
キアラ「それでは、最後はジュピター製菓さんにちなんでホルストの惑星より木星(ジュピター)です。それではどうぞ!」
聞いた事があるような無いような?
なじみがあるような無いような不思議な感じ
すごく壮大な曲
これぞ宇宙って感じ
あっ、このメロディー
途中にこの部分が挟まるんだ
ここはすごく有名。
いい感じ。スペースオペラとかにも普通に使われてそう
すごく心に残る
星空を眺めたら、この曲を思い出しそう・・・。
キアラ「それじゃ今日も放送を見てくれてありがとう! みんなバイバイ~。」
ばいびーー☆
またねーーー。☆
バイバイ☆
ジュピター製菓さんにはまた出演してもらいたい
楽しかった!
ちょっとコンビニ行ってせんべい買ってくる
俺も俺も
今日の夜食はせんべいだな
またね~☆
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ジュピター製菓の井塚さんの話
星アキラのYoutube放送に宣伝をお願いしてみたらどうか?
私がそう提案したのは、定期営業会議での話だった。
ジュピター製菓は東北地方で戦後まもなくできた企業で、地方に根付いた企業であり、現状では黒字経営であったが、少子高齢化の波がこの企業にも来ていて、せんべいやおかきなどを中心に、比較的年齢が高いお菓子を扱っているこの会社でも、昨今は売り上げの減少が始まっていた。
もちろん、根強いファンはいるものの、そう言ったファンをいかに広げていくのかが営業部の課題であった。
正直な話、せんべいやおかきなんかは、差別化が難しいし、地元素材にこだわるうちの会社は、質には絶対の自信があるものの、価格競争力が優れている訳ではない。
なによりもラインナップが若者向けじゃない。もちろん、若者向けのお菓子も開発はしているけれども、煌びやかなパッケージと最新技術を投入して作られた大手製菓会社と比較すると、どうしても商品力は落ちる。
質の高いうちのせんべいを食べてもらえれば、きっとファンになってもらえる。
とは思うものの、せんべいを食べる習慣の無い若者にうちのせんべいを食べてもらえる機会も限られていた。
ミーハーな私は、星アキラのYoutube放送を良く見ていて、私も良くチャットを書き込んでいた。
一緒に放送を見ているリスナーさん達に、うちのせんべいを食べてもらう機会が出来れば嬉しい。アキラ君やなんとなく同志になっているリスナーさん達にうちのおせんべいを食べてもらって、喜んでほしかった。
とは言っても、自分でもこの提案が受け入れられるとは思っていなかった。なぜならうちは、地方のお堅い企業。広報も地域密着型の物が多いし、広報費も近所の花火大会やローカルテレビ局へのコマーシャルなど、かなり保守的な物が多かった。
また、こちらから提案してもアキラ君側が受け入れてくれない可能性もある。地元コネ入社3年目の私は、とりあえず提案してみただけだった。
営業部の石城部長は、私の提案を聞いた後に、星アキラ側に連絡を取って実際に案件を受けてもらえるか確認するように指示を出して来た。
私はアキラ君にDM(ダイレクトメール)を送ると、スターズのマネージャさんを紹介されて、そこで価格や広告内容の交渉を行った。
この辺の交渉はスターズの方で一括でやってもらえたので、事務手続きも問題なく、安心して交渉出来た。
スターズ側が提案してきた料金は、安すぎる訳でもなく、高すぎる訳でもない絶妙な料金設定だった。
すんごく安いわけではないけれども、東京キー局のTVコマーシャル代や番組制作費用を考えるとはるかに安い。そんな価格設定。
うちみたいな会社でも、広告効果がちゃんとあるならいいかな?って検討できるぐらいの金額。
しかし、問題はその広告効果であって、契約内容には放送内での提供商品への誹謗中傷も自由に許す契約となっていた。
最悪の場合、わが社の製品が誹謗中傷されて、売れなくなる可能性もある訳だ。
他のYoutuberさんへ案件を出している企業もあるみたいだけれども、どれもニッチな商品が多く、売り上げのアップにつながっているかと言えば、良く判らない物が多かった。
つまりうちみたいな企業の案件放送、しかも生放送なんて他にはなく、広告効果は未知数。本当に博打。
お堅いうちの上層部ではこれは却下かな?と思っていたら、意外にもOKが出た。
理由は意外な物で、社長が星アリサのファンだったので、鶴の一声でOKとのこと。放送されたら星アリサのサインを取ってきてほしいとのことだった。
あのお堅いと思っていたうちの社長がかなりの星アリサマニアである事を知って、私は脱力していた。
そうこうしているうちに、世間では星キアラが大爆誕。アキラ君に案件はどっちで受けて欲しいと聞かれたので、迷うことなく星キアラと答えた。
東北のミーハーな女ば舐めるんでね。(突然の方言)
そうして、受けてもらった、案件当日。私と石城部長は宣伝してもらうお菓子を持ってスターズの事務所を訪れていた。
初めて生で見た、キアラちゃんは、本当に絶世の美少女で何かオーラが違った。中身は男の子だって判っていても、すんごく良い香りがしそうな美少女にしか見えなかった。
景ちゃんと野次馬に来ていた千世子ちゃんも居た。
純白の天使の千世子ちゃん、天然美少女の景ちゃん、そして黙っていれば、清純お嬢様のキアラちゃん。タイプが違うウルトラ美少女がそろい踏みで、クラクラした。
これが芸能人。一般人とはまるで違う・・・。カメラで見るよりも、みんなこの世の物とは思えないほど可愛いとか、まじでやばすぎる。
私達は、ちょっと商品の説明をするだけかと思っていたら、がっつりと出演することになって、びっくりした。
そして、私はキアラちゃんにぐわんぐわんに振り回されて、テンパりまくりで気が付いたら放送が終わっていた。
終わった時に、アキラ君がアリサさんを呼んできてくれて、アリサさん、アキラ君、キアラちゃん、景ちゃん、千世子ちゃんの直筆サインが入った色紙を3人分もらい、みんなで記念撮影をして、気が付いたら、東北新幹線に乗っていた。
帰りの新幹線で我に返った時に、私は放送でテンパりすぎた自分の所業を思い出して頭を抱えていた。
私の企画した広告企画は完全に失敗してしまったかもしれない。ヤバイ。
近くに座っていた石城部長に「広告失敗しちゃいましたよね?」と恐る恐る聞いたところ、「大成功だよ。工場には増産を指示しておいた。明日から忙しくなると思うから、覚悟しておけよ。」とニコニコしながら言われた。
私の頭にはハテナマークが一杯だった。
私は放送の影響を知りたくて、トイッターでジュピター製菓のページを開いたら、昨日までは数百人のフォロワーがなぜか1万人近くまで増えていた。
そして、トイッターのトレンドには「ジュピター製菓」の名前と、「うちのキアラがほんとごめんなさい」というワードがランキングに入っていた。
翌日からは、お菓子やおせんべいの売り上げが大増加。
特に関東地方や都市部への出荷が異常に増えた。
そして関西や九州からも取引の連絡があり、工場は増産を続けた。
正直な話、関東のキー局にテレビCMを流す以上の広告効果で、うちのお菓子が売れた。
これを機に沢山の若者がうちのおせんべいを手に取ってくれて、多くの人がリピーターとなってくれた。
えっ? TV広告を出したり情報番組に取り上げてもらうよりも、すごく宣伝効果が高いじゃん。
社長にはサインを渡して喜ばれたけど、みんなで撮った写真をすごく羨ましがられた。
これ以後、新商品が出たり、アキラ君の放送で良い事があればお祝いにお菓子を送り続けた。
たまにアキラ君の放送に出演させてもらったりもして、アキラ君はジュピター製菓の売り上げに貢献し続けてくれた。
後年、あの時に何気なくもらったサインと写真は、とんでもない超プレミアムお宝となり、我が家の家宝に認定されることとなったのであった。
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【Live】景ちゃんとお芝居しよう
最近は星キアラがやばいほどブレイクしていて、チャンネルの方向性を見失いそうなので、少し通常放送をしたいのよ。
ちなみに、星キアラの歌声は前世の私の声だったりする。入院している時に屋上で前世の声をイメージして出してみちゃったら、出ちゃったからすごくビックリした。
魂が覚えているとか? なんかそういう感じ。
僕は意図せずに両声類になっていたようだ。(両声類は男も女も両方の声が出る人の事)
ちなみに、キアラの地声のアニメ声なんだけど、これは完全に作っているよ。
今世の僕 <――> 前世の私 の間の声域を自由に行き来できるようになったから、アニメ声も普通に出せるようになっちゃったんだよ。
これは、今後VTuberに転生しても問題無くやっていけそうだね!
そんな訳で、今日のライブは、通常放送に戻るべく、景ちゃんとお芝居をしてみようと思う。
何といっても僕は子役歴7年の大ベテラン。景ちゃんに僕の演技テクニックを見せつけて、景ちゃんに尊敬してもらうのだ!
景ちゃんも僕の演技の凄さを見て、「アキラさん素敵!!今度からアキラお兄ちゃんって呼ばせてくださいっ。」とかキラキラした目で僕を見てくれる事に違い無い。
決して、最近は景ちゃんの僕を見る目が生温かくなってきているとか、完全に珍獣として見られているとか、そんな理由では無い! 断じて無いんだ!
そんな訳で、景ちゃんに予備知識無しで台本を渡して、お芝居のイロハを教えながら、どういう風にお芝居するかをみんなに見てもらう配信をすることにしたよ。
景ちゃんに僕のカッコいい所を見てもらうんだ!! (例によって特大フラグ)
放送準備中。もうちょっとで始まるよ。
今日は景ちゃんとのお芝居か
景ちゃんの初芝居すごく楽しみ
景ちゃんは私の物 す朝野いちごch
いつものいちごちゃんw
役者さんがどうやって演技しているのとかすごく気になる
これは演劇部の私、歓喜の配信
おっ始まりそう。
「おはこんばんにちは。役者なのにみんなのアイドル。わからせたい子役ナンバーワンの天才俳優 星アキラです。今日も僕の生放送に来てくれてありがとう!!」
「今日は皆さんにお芝居の面白さを知ってもらうために、どうやってお芝居を進めていくかをアシスタントの景ちゃんと共に進めていきましょう。」
「スターズの子役でアシスタントの夜凪景ですっ。よろしくお願いします。」
景ちゃーーーん
頑張れー景ちゃん
景ちゃんのお芝居見守っているからねー♡ (・ω<)☆
景ちゃんファンも一杯だな
かわいい!
これは素敵。
アキラ君、ちょっとそこ変わって。
「まずは役者さんの最初のお仕事は、役を取ってくることを除けば、台本に目を通す事から始めます。」
「今回は演劇と言えばこれ。もはや定番すぎてただのギャグか、ラブコメのキスシーンのための舞台装置としてしか使用されていない、『ロミオとジュリエット』です。とはいえ、ガチの舞台演劇でもまだまだ現役で、巌裕次郎とかも得意な舞台だよね。」
「景ちゃん。台本は読んできた?」
「はい。読んできました。」
「何回ぐらい読んだの?」
「120回ぐらいですかね。」
「そうそう。初心者の人は2~3回ぐらいで、全然台本を読み込む量が少ないんだよ。・・・えっ!・・120回!!」
「はいっ。がんばりましたっ」
「えっ、そんなっ。僕ですら30回ぐらいなのに・・・・ヤバイ。」
アキラ君、いきなり暗雲で草
ワロタ。どっちがプロだか判らなねぇな
景ちゃんすごい!
これは演技に差がでますわ
いきなりピンチじゃねぇかwwww
「え、演技は台本を読んだ量じゃ決まらないんだよっ。それじゃ読み合わせ行ってみようか。」
「まずはそれぞれの役で読み合わせを行います。それぞれの役者の呼吸合わせや、自分では気が付かない発音やイントネーションなどを他の人に見てもらったりします。」
「それじゃやってみましょう。」
--------------------------------
「ぐはっ、景ちゃんうめぇ・・・・。」
景ちゃんすごい!! す朝野いちごch
完全にジュリエットになり切っとるwwww
セリフもすらすらで、完璧w
それに比べて、棒読みしまくるアキラ君はなんなんだw
景ちゃん >>>>>>>>> アキラ君
アキラ君やべぇ
先輩の面目丸つぶれじゃないですか?
「こっこれは、素読みって言って、相手に合わせて、とりあえず役を感じ取るために、わざと棒読みしているテクニックなんだ!! ホントダヨ!」
「演じる役とずれちゃっている場合には、修正が効かないから、役者さんとの最初の対面はこういった感じで感情を入れずに読むんだよっ。」
「左手はそえるだけなんだよ!」
でも景ちゃんはすでに完ペキに見えますが?
明らかに強がっているアキラ君
よちよち。かわいいねアキラ君w す朝野いちごch
偉そうにしているメッキが剥がれてきて(笑)
最初の勢いが無くなって、アキラ君が段々弱ってくるのが笑えるw
「つ、次は立稽古だよっ。台本を持ちながらどう動いたら良いか、これで決めるよ」
--------------------------------
やっぱり、景ちゃんすごい。まるでジュリエットが憑依しているみたい。
景ちゃん凄すぎ。景ちゃんの演技に引き込まれる。
こんなに可愛いジュリエットがいたら、絶対にお持ち帰りされる。
それに比べてアキラ君は・・・。
景ちゃんと比べちゃうと、アキラ君はねぇ・・・。
いや、アキラ君は役者から見てもハイレベルだよ。景ちゃんがおかしいだけ! す朝野いちごch
いちごちゃんがそういうのであれば、そうなのかも・・・。
もしかして景ちゃんってすごいの?
「うっ、景ちゃんの威力に師匠の面目が丸つぶれだよーーー。うわーーーん。」
「安西先生・・・・・演劇がしたいです!!!」
アキラ君、弱っていて草
もう練習の時点でボロボロじゃねぇかw
アキラ君、雑魚説w
星アキラ最弱伝説w
これはもう、アキラ君ちょっとダメダメな感じですわ。
☆アキラきゅんに失望しました。アキラきゅんのファンを辞めます☆
「こっ、こうやって、それぞれの呼吸に慣れてきたら、最後に本番だよっ。」
「まっまだあわてるような時間じゃない。」
「本番はちゃんとした衣装に着替えてくるからちょっと待っていてね。」
--------------------------------
スポットライトが当たった。
おっ始まる
2人ともかわいい~。
アキラ君のロミオと景ちゃんのジュリエット、かわいすぎる
ショタロリ最高すぎる
アキラ君のショタと景ちゃんのロリが混じって最強に見える!
「私の胸は張り裂けそうだわ。 貴方はどうしてモンタギューのロミオなの?」
「ジュリエット・・・」
「ロミオの声が聞こえる」
「ジュリエット」
「確かに聞こえる!お庭から私を呼んでいるわ!」
「会いたかったジュリエット!!」
--------------------------------
「おお、ジュリエット、本当に死んでしまったのか! 僕は君の優しい声をずっと聞いていたかったのに!」
「なんて美しい顔なんだ。この愛らしい顔、素敵な唇、優しい瞳、どうして君は僕を残して死んでしまったんだ!」
「ジュリエット待っていてね。僕もすぐにジュリエットの元へ旅立つよ。」
--------------------------------
「どうしよう、ロミオ!ロミオが死んじゃってる。ロミオっ返事をしてっ」(半狂乱)
「ああっ、私が仮死状態でいる間に、あなただけ毒を飲んで死んでしまうなんて。私もロミオの剣で逝きます。神様、私達の魂を天にお導きください!」
キアラ声「モンタギュー家とキャピュレット家の両家は、2人の死を悲しみ、自分達の愚かさを知り、そしてようやく和解するのでした。」
パチパチパチパチパチ
88888888888888(拍手の音)
うわーーーーーん。。゚゚(*´□`*。)°゚。
ロミオ―、ジュリエットーーーー。°(°´ᯅ`°)°。
これは涙なしにはいられない
ロミオとジュリエットってこんなに切ないお話だったんだ。
ギャグ漫画とかのシーンでしか見た事が無かったから、こんなに良い物語だった知らなかった!
二人ともすごい!すごすぎる! 感動した 。゚(゚^ω^゚)゚。
☆アキラきゅん、失望するなんて言ってごめん。またファンになります☆
アキラ君も本番はすごかった。雑魚とか言ってすまんかった。
本番で完全に株価を取り戻すアキラ君。
景ちゃんもアキラ君も二人ともすごかったよ。゚(゚இωஇ゚)゚。 す朝野いちごch
2人とも本当に良かった。やっぱり役者って違うんだな。
演劇部とレベルが違った。すごかった。ものすごい感動した。 。゚(゚^ω^゚)゚。
みんなからの賞賛とは裏腹に、僕の背筋には冷たい汗が流れていた。景ちゃんのジュリエットはなんなの? 演技中は完全にジュリエットとしか思えなかった。
完全に役に入り込んでいる。まさかメソッド演技?
景ちゃんがメソッド演技法を練習しているとも思えない。これはナチュラルにメソッド演技しちゃっているとしか思えない。
天然物のメソッド演技者さん? まさか景ちゃんって、天才さん?
それとも北海道の苗穂工場に搬入されて、他の迷列車と同じく景ちゃんも魔改造されちゃったの? (されていません)
僕の脳裏に魔改造のマーチが流れる。
「それでは、最後に音楽を一曲。ヴァイオリンで、プロコフィエフの「ロミオとジュリエット」より『モンタギュー家とキャピュレット家』です。」
確かにロミオとジュリエットだけどさぁ・・・・。
なぜこの曲を選んだしw
魔改造のテーマじゃねぇかwww
食パン顔の電車が思い浮かぶwww
これは魔改造されまくりですわ。
鉄道ホビートレインが思い浮かぶw
JR西「私を甘く見ない方がいい」
あの感動を返せ!!!
これは悪意のある選曲www
僕は魔改造のマーチで平静を装いつつも、演技が褒められて無邪気に喜んでいる景ちゃんを見ながら、アリサママに相談が必要だなと思った。
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夜凪景は役者を目指す
アキラさんとロミオとジュリエットの演技をした日、私は演劇の楽しさを知って、なかなか寝付けなかった。
何よりもアキラさんの役であったロミオが頭から離れなかった。自分が死ぬまで愛したロミオが愛おしくて仕方が無かった。
私は部屋を抜け出して、視聴室に行き、私の好きな映画である『カサブランカ』を見る事にした。
私が映画を見ようとしていると、部屋にアリサさんが入ってきた。
「景ちゃん、何か映画を見るの?」と聞いて来たので、「カサブランカです。」って答えた。
「それはいいわね。私も一緒に見てもいい?」と聞いて来たので、「もちろんです。」と答えてアリサさんと一緒に映画を見た。
カサブランカは、第二次世界大戦中のヨーロッパでナチスドイツの侵略から逃れた人々が、フランス領モロッコのカサブランカで旅券を手に入れて、アメリカに亡命しようとしていた人たちの物語。
ひょんな事から旅券を手に入れた酒場を経営するリックは、そのすぐあとに反ドイツのレジスタンスの一員である、ラズロとその妻のイルザがその旅券を手に入れるため、酒場に来店する。実はラズロの妻のイルザはリックがパリに居た頃に、お互い愛し合って一緒に逃げる事を約束した女性だった。
そこから始まるラブロマンス。
私は古い映画だけれども、このアクションあり、恋愛ありのこの映画が好きだった。
アリサさんと映画を見終わった時に、アリサさんが突然リックの役を演じだした。
私は楽しくなって、イルザになり切って、役を演じる
アリサ「愛しているから。だから君に行ってほしい。君こそ彼の一部なんだ。」
景「そんなリック、あなたを置いて行けないわ。」
アリサ「君の瞳に乾杯」
そしてアリサさんとのカサブランカを元にした即興の演劇は幕を閉じた。
興奮冷めやらない私にアリサさんは言った。
「ねぇ、景ちゃん。ロミオの事好き?」
「あっ?えっ?」
私は混乱した。私の頭の中では、今は元恋人のリックと、夫であるラズロの事で頭が一杯で、さっきまで身が焼けるほど恋焦がれていたロミオの感情が全く無くなっていた。
「さっきまであんなにロミオの事が大好きだったのに、今は何も感じなくて混乱しているでしょう。だって別にイルザはロミオの事は好きではないものね。」
「景ちゃん。あなたはメソッド演技の才能があるわ。」
「メソッド演技? メソッド演技って何ですか?」
「自分の経験や感情を元に、物語の中の人物になり切って演技する方法ね。」
「あなたは、かなりの部分、いや完全に映画の中の人や周りの人になり切ることができるわ。」
「そして、その才能は多くの役者が欲しいけれども、ほとんどの人が手に入れることができない、稀有な才能だわ。」
「でも、それは同時にあなた自身を壊す可能性がある、とても恐ろしい才能だわ。」
「私を壊すってどういう意味ですか?」
「私もあなたと同じようにメソッド演技の才能があったの。だから沢山の演技をしたわ。」
「毎日のように別な人物になり切り、その人生を楽しむことができて、そして演じれば演じるほど、私を見てくれた人が喜んでくれる。」
「あの頃は役者をやっていて本当に楽しかったわ。」
「そんな時にアキラが生まれたの。アキラが生まれたのは嬉しかったんだけど、そのうち、私は苛つき始めたわ。」
「私は演技をずっとしていたいのに、アキラは私に母親としての義務を負わせてくるの。」
「そっ、そんな事は・・・。」
「景ちゃんも母親になったら判るわ。自分から生まれた子供は、可愛いし、自分の命と引き換えにしても守れるぐらい愛しているわ。でもそれと同時に、今まで自由であった自分への枷でもあるの。」
「もちろん、普通の母親はそう言った事にちゃんと折り合いをつけて、本当の母親になっていくわ。景ちゃんのお母さんのように。でもその時の私はただ単に、未熟な母親であっただけ。」
「ちょうどその頃に、演出家の巌裕次郎が自身の人生をかけた一世一代の舞台に立つことができたわ。」
「舞台の名前は、狂った一頁。原作は大正時代に作成された映画で、それを舞台化したもので、私は精神病棟に入っている狂った母親を演じたわ。」
「舞台の期間は1ヶ月。私は毎日精神に異常がある狂った母親になり切り、そして舞台が終わった時には、もう自分に戻れなくなっていたわ。」
「その時の私は、狂った母親の演技が自分の精神を壊した事が判ったわ。それからしばらくは狂った母親役が抜けなくて、アキラにも本当に酷い仕打ちをしたわ。」
「自分でも止めたかった。アキラに優しくしたかった。アキラを愛したかった。」
「でも私自身が役に飲まれてアキラへの仕打ちを止められなかったの。」
アリサさんは涙をボロボロこぼしながら自身の経験を語った。
私はそんなアリサさんの独白を聞きながら、胸が締め付けられるようだった。
「しばらくすると、私の心は壊れたまま戻らなかったけど、自分の心はそのままでも、役であれば切り替えられる事に気が付いたわ。」
「そうして私は、芸能事務所を立ち上げて経営者の役をずっと演じたわ。」
「でもあくまで演じている役だったから、アキラの母親では無かったわ。アキラはただの子役の一人だったの。」
「アキラさんがそんなっ。」
「でも景ちゃんなら判るでしょ? 役に入り込みすぎるとそうなっちゃう事が。本当の自分を忘れてしまいそうになる事が。あなたなら実感できるはずだわ。」
「たっ、確かにそうですけれども・・・・。」
「私はこれ以上、私と同じように壊れた役者を作らないために、メソッド演技法に頼らない芸能事務所を作ったわ。それがスターズ。」
「そして百城千世子はそんな私の最高傑作の役者であり、感受性が弱くて役者の才能が無かったアキラも、ちゃんと活躍ができる芸能事務所となったの。」
「アキラさんが才能が無いなんて事はありません!!」
「そうよね。今の私もそう思うわ。」
「前までの私は芸能事務所の敏腕社長を演じていただけ。社長を演じているただの役者であって、その狭い常識の中で演じた目でしか息子を見ていなかったわ。」
「でもあのアキラの謝罪会見の時に判ったの。才能が無いと思って見限っていた息子は、実は誰よりもスターズの理念を表していたの」
「俳優は大衆のために在れ」
「それが私の作ったスターズの理念。でもアキラは私が考えもしなかった方法でその理念を体現したわ。」
「そして同時に、あの謝罪会見の中でアキラは、あんな目にあっても、ずっと私を必要としてくれていた事が判ったの。」
「あんなに、私はアキラに酷い事をしておきながら、私はまだアキラに必要とされて、アキラに母親として愛されていたのよ!」
「あの時に私は理解したわ。役が抜けないというのは言い訳であって、実は役が抜けなくて傷ついた自分自身の心から逃げていたことを。」
「一番傷ついていたのはアキラだったのに、私は本当に勝手な母親だわ。」
「そうして私は、自分の心をやっと取り戻したの。でもアキラに対する仕打ちはこの先も決して消える事は無いわ。」
「ねぇ景ちゃん、役者を続けると私と同じか、もっと悪い人生を歩んでしまうかもしれない。役者をやる事であなたの人生が壊れてしまうかもしれない。それでも役者をやってみたい?」
「私はやってみたいです! 確かにそういう危険もあるかもしれないけれど、でも世の中には不幸な役者しか居ないわけではないと思います。」
「私は不幸な役、幸せな役、いろんな人の人生を演じてみたいです。」
「そうね。景ちゃんはお母さんやルイちゃんやレイちゃん、そしてアキラみたいに、貴方自身を必要としてくれる人が一杯いるもの。私のように、自分を失う事にはならないかもしれないわね。」
「私もアキラさんみたいに、アリサさんと一緒に出演したいです。」
「アリサさん、私もアキラさんと同じようにアリサさんの事が大切です。お母さんもルイもレイもみんなアリサさんの事が大好きなんです。千世子ちゃんもアリサさんの演技を見ていた沢山の人たちも、みんなアリサさんの事が大好きなんです。アリサさんは、アキラさん以外にも沢山の人に愛されているんです。」
「ありがとう景ちゃん。」アリサさんは涙を流しながら微笑んだ。
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星アキラは驚愕する1
ロミオとジュリエットの配信をしてから少し経ったある日、演技の練習をしようと千世子ちゃんと一緒に、スターズのレッスンルームに行った僕は驚愕の光景を見ていた。
「景ちゃん、いいわよ。声も通っていて、すごくいいわ。でもアピールが足りないわ。」
「確かに今のあなたは美女と野獣のベルだわ。でもそれはあなたにしか判らない。もっと内に秘めたベルを外に解き放って、観客に自分がベルであることを伝えるの。」
「観客にあなたがベルであることを伝えるにはどうしたらいい? そうよ。もっと心の内側からにじみ出るベルの心を増幅して身振り手振り、話し方であなたがベルであることを観客に見せつけるのよ。」
景「私はどこかですごく大きな冒険をしたい、私はそれを誰よりも望んでいるわ。...そしてそれを誰かに理解してもらうのは素晴らしいことかもしれないわ。でも私は誰かが計画した冒険よりもずっとずっと壮大で素敵な冒険をしてみたい!!」
「いいわね。ベルの心が外に出て来て動作に現れているわ。現実のベルはこんなにオーバーな表現はしないでしょう。でも沢山の観客たちに、あなたがベルであることを知ってもらうためには、ベルが取る行動や言葉を大きく見える形にして伝える必要があるわ。」
アリサママが景ちゃんに熱心に演技の指導をしていた。
「アっ、アリサママ、こっこのシチュエーションはやばいよ。ヤバすぎるよ。大人の事情で漫画の名前を出すことはできないけれども、アリサママが景ちゃんを指導しちゃうと、どっかの少女漫画みたいになっちゃうじゃないか!!」
「ガラスの仮面の事? そういえば、景ちゃんが北島マヤで私が月影千草と考えれば、似たようなシチュエーションとも言えるわね。」
「ぐわっ。僕が様々な面を配慮してボカして言った事を容赦なくダイレクトに答えないでよ!!」
「でも、私は月影千草みたいな演劇キチガイじゃないわよ?」
「それは確かに、演劇キチガイじゃないとは思うけれども、サイコパス度はいい勝負だと思うけど・・・。」
「まさかとは思うけど、アリサママは幻の舞台の上映権とか持っていないよね?」
「ガラスの仮面の紅天女の事? その理屈だと、貴方の父親はお・・・・もごもご・・・。」
「ネタバレは流石にまずいっ、まずいんだよ。アリサママ! あの伝説的な金字塔漫画をネタバレしたり、パクるのは様々な人を敵に回して、すごくまずいんだよっ!!」
「突然、口を塞がないでくれる? 相変わらず意味が判らない子ね。そんな訳の分からない上映権なんてある訳がないじゃないの。そもそも月影千草みたいに上映権を寝かせちゃったら、みんなが紅天女の事なんて忘れちゃって、紅天女の価値自体が落ちちゃうじゃないの」
「うわぁ、大手芸能事務所の敏腕社長らしいひどく冷静なマジレス。そんな夢の無い話は聞きたくなかったよ。」
「でも、そっか。ガラスの仮面か。ふふっ。」
アリサママは、僕や景ちゃん、千世子ちゃんを見まわして笑った。
「アリサママが突然笑うとか怖いんだけど・・・。そもそもアリサママはガラスの仮面を読んだことがあるの?」
「もちろんよ。何を隠そう、私はガラスの仮面の北島マヤに憧れて役者になったのよ。」
「えーーー?あの冷酷無比なアリサママが、ガラスの仮面に憧れて? そんな訳ないよね。北斗の拳とか、男塾の間違いじゃないの? 民明書房に地獄徐雄(じごく女優)とか言う男を殺しつくす最強の職業が書かれていて、それを極めようとして役者になったんじゃないの? ぐはっ」
僕はアリサママの正拳突きを直に食らった。これぞまさしく撲針愚(ボクシング)の技。アリサママは古代ローマ帝国の奥義すらも極めていたのか・・・。
「あなたが、私をどういう目で見ているのかがよ~くわかったわ。」
「アリサママ、ごめん。続けて。」
「私は、北島マヤに憧れて役者の門を叩いたの。それで演技も北島マヤの方法を真似てその人になり切る事にしたの。当時はメソッド演技法なんて全然知らなくて、他のみんなもそんなの漫画だから無理だって言ったけれども、私は当たり前に北島マヤの演技法ができたわ。そしてそのうち、この演技法がメソッド演技法だって知ったの。」
「げっ、あれだけいろんな演技法にうるさいアリサママの演技法が実は漫画ベースの自己流だったの?」
「もちろん、役者になっていろいろ勉強したわよ。でも私の演技法のベースは北島マヤで、それを見習っていたらそれがメソッド演技法に分類された感じね。」
「アリサママ、天才すぎるよ。それって巨人の星を見習って、大リーグボールを練習してたら、そのまま大リーガーになって活躍しちゃうみたいな話じゃないか。」
「それ以上に、アリサママは女優の頂点を極めて、今は芸能事務所を立ち上げて社長だよ? 漫画の北島マヤよりもよっぽど成功しているじゃないか!」
「そうやって調子に乗っていたら、ああなっちゃったわけよ。だから私は景ちゃんをちゃんとしたメソッド演技法をマスターした女優として育てたいの。」
「話が繋がらないんだけど。 景ちゃんがメソッド演技法に手を出すと、ああなっちゃう危険性が高いよね? だから僕はアリサママに相談したんだけど?」
僕はアリサママをにらんだ。
「アキラ、よく考えてみなさい。 おそらく景ちゃんは私以上の天才だわ。 放っておいても遅かれ早かれ自分のメソッド演技法を確立して、自己流のメソッド演技を始めるわ。 メソッド演技の危険性を誰よりも知る私が直接指導するのと、自己流でメソッド演技を身に着けるのと、どちらの方が危険だと思う?」
「うっ、それは自己流の方だと思う。」
「そうよ。 だからメソッド演技の経験と知識がある私が景ちゃんを壊さないように育てるの。 私以上の適任者は他に居る? メソッド演技の知識しか無い人間に任せた所で、本当の意味で景ちゃんを理解できないで、最終的に景ちゃんの心を壊すに決まっているわ。」
「アリサさん、変わりましたよね。 前はメソッド演技をあれだけ毛嫌いしていたのに。」
今まで黙って僕たちの話を聞いていた千世子ちゃんが口を開いた。
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星アキラは驚愕する2
「アリサさん、変わりましたよね。 前はメソッド演技をあれだけ毛嫌いしていたのに。」
今まで黙って僕たちの話を聞いていた千世子ちゃんがアリサさんを睨みつけながら口を開いた。
「メソッド演技で心を壊したご自身の経験を元にメソッド演技に頼らないスターズを作ったんじゃなかったんですか?」
「そうね。その通りだわ。 メソッド演技で演じる人物の内面をいくら演じた所で観客には判らない。 観客が見ているのは役者の姿であって、決して役者の内面では無いの。だから内面だけを演じても無意味だわ。 そう思ったから、外面の表現を重視した役者を育てる事で、自分自身にダメージを与える事がない役者を育てたかったの。 私みたいに苦しまないように。」
「でもそれは同時に外面だけで演じるのを肯定するものでは無いわ。 外面を演じるのに内面の充足が必要であれば、役者は内面も演じるべきだわ。」
「千世子、今の貴方は本当に外面だけを演じているの? 違うでしょ? 観客の視点から見た視点を元に、あなたは客観的に演じているけれども、結局それを認知して演技を見せているのはあなた自身のはずよ。」
「例えそうだとしても、アリサさんが今さらメソッド演技の指導をするのは納得いきません。」
「そうね。あなたにはメソッド演技の指導や内面の指導は全くしてこなかったものね。そこに突然、自分には与えられなかったメソッド演技を得意とするライバルの誕生、納得が行かないのは判るわ。でも千世子、よく考えてみなさい。」
「あなたは、いま百城千世子のすばらしい演技はできるわ。でも百城千世子以外の演技はできるの? 確かにアキラを真似られるわ。でもそれはアキラの外づらを真似ているだけで、別に星アキラを演じられる訳ではないでしょう? あなたが今演じられるのは百城千世子だけであって、百城千世子から外れた役を演じる事はできないでしょ? 千世子、あなたは本当にそれでいいの? あなたはそれで満足しているの? それはあなた自身が一番良くわかっているはずよ。」
「そういう風に私を育てたのはアリサさんじゃないですか! そのためにアリサさんは私をスカウトしてここまで育ててくれたんですよね! どうして今さらそんな事を言うんですか!」
千世子ちゃんは激高していた。こんなに激高している千世子ちゃんを演技以外で見たのは初めてだった。
「千世子、あなたは勘違いしているわ。メソッド演技法は数ある演技に対する考え方の一つにすぎないわ。別にメソッド演技法は演技する上での絶対的な方法論でも無ければ、銀の弾丸でも無いわ。」
「演技に対する役者のアプローチは千差万別で、数多くの役者は自分で学んで自分に合った演技法を取り入れていくの。そこに優劣は無いわ。」
「景ちゃんはこれからどんどん演技力を上げて、様々な役を演じて強いライバルとして、何度もあなたの前に立ち塞がるでしょう。 だから百城千世子、あなたは夜凪景を喰いなさい。あなたが夜凪景を喰えた時、あなたは本当の意味で百城千世子以外の役を演じることができる役者になれるわ。」
「俳優は大衆のためにあれ。これは私がスターズを立ち上げた時の考えだわ。今でもこの考えは間違っていないって、自信を持って言えるわ。」
「期待しているわよ千世子。スターズを立ち上げた時の私の考えが正しいって、証明してちょうだい。」
下を向いて黙って聞いていた千世子ちゃんは顔を上げて、アリサママを睨みつけるとそのままレッスン室の扉を開けて、外に駆け出して行った。
「アキラ、千世子のそばに居てやりなさい。千世子には少し時間が必要よ。」
「わかったよ。でもこれだけは言わせて。 やっぱりアリサママって、月影千草に負けないぐらいの役者キチガイだと思うよ。」
僕は呆然としている景ちゃんを横目に、千世子ちゃんを追ってレッスンルームを飛び出した。
「それにしても、ガラスの仮面か・・・。ふふっ。いい事を思いついたわ♪」
千世子ちゃんを追って飛び出した僕は、その後にアリサママが邪悪な笑みを浮かべている事に気が付かなかった。
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黒山墨字は仕事を受ける
その日、黒山墨字はやる事も無く、事務所でぼーとタバコを吸っていた。
「相変わらず辛気臭い表情をしているのね。仕事もろくに無いのに。」
事務所のボロいドアを開けて、元国民的大スターだった女が訪ねてきた。
「あんたがここに、直接来るなんて珍しいな。いつもは俺を呼びつけるくせに。」
「あなたに一つ仕事を頼みたいの。舞台の仕事よ。大まかな企画はこちらに書かれているから、これを元に脚本と演出を行って欲しいの。」
「スターズが舞台なんて珍しいじゃねぇか。報酬は大丈夫なんだろうな?」
「今回の仕事はかなり大きい仕事よ。成功すればあなたも1本映画を作る費用ぐらい捻出できるはずよ。」
「それは豪勢な話じゃないか。星アキラも大人気でよっぽど儲かっているみたいだな。」
「違うわ。儲かりすぎてまずいのよ。このままじゃ私の経営責任が問われるぐらい儲かっていてまずいの!」
「はぁ? 意味が判らないんだが?」
--------- 数か月前 ---------
【Live】スマフォのクソゲーで遊ぼう!
「なんだよ!このクソゲー。確かにクソゲーで遊ぼうって企画だけど、クソゲーすぎるだろ!」
ゲームに弄ばれてワロタ
ゲーム下手杉ワロリン
それは操作が悪すぎる定期
どうして最悪の行動を常にするのかw
ある意味、神引きの連続だがな。逆方向にw
でももうちょっとでクリアか?
「ぎゃぁぁぁぁぁ。最後の落とし穴に落ちたーーーー。」
アホすぎワロタ
ある意味、撮れ高すごくて草生えるwww
いうて、これ、そんなにクソゲーじゃないぞ?
アキラ君がダメなだけで、普通に遊べるからね。
ゲームにアキ虐される男、星アキラ
☆アキラ君の絶叫すごくスキ♡
「こんなのクソゲーすぎるじゃん。メーカーに文句を言いに行くよ。」
いや、さすがにこれで文句はないやろ・・・。
そんな文句を言った所で、メーカは聞く義理は無いしな
アキラ君の操作がダメすぎるだけだからな
さすがにメーカーもアキラ君の操作がダメな事は想定していないと思うの
アキラ君って、何気にゲームは下手だよね
「くっそーー。なんとかしてこのクソゲーメーカーに一矢を報いたい。」
「あっ、いい事考えた。手元に僕の番組制作費があるんだけど、あんまり使っていないから2億円ぐらい貯まっているんだよね。」
「これ全部このクソゲーメーカーの株を買えば、株主として僕の意見を聞かせられるじゃん。」
バカ、止めろ
それはマジで損するwwww
10歳で株で破産する男、星アキラwww
まぁ言うて、スターズのお金であって、アキラ君のお金じゃないけどなw
史上最もくだらない理由でえげつない金額で購入される株w
やめとけって
絶対損するゾwww
「決めたもんね。早速購入。ポチ~っと。」
うわっ、こいつ本当に買いやがった。
ドン引きなんですけど。
突然、何の脈略も無く、株価が8%ぐらい上がっていて草生える。
一気に売り方の板がスカスカになっていて草
謎の株価上昇(なお理由)
「これで、この会社も僕の意見を聞いて、まともなクソゲーを作ることになるだろう」(`・∀・´)ノ
いうて、2億円ってすごいけど、この会社の時価総額の0.2%程度にすぎないからなぁ
0.2%じゃあなぁ
大株主ってわけでもないし、意見は流されて終わりだと思うゾ
さすがにこんな理由で2億円ぶっこむのはびっくりだわ
とは言っても、自分のお金じゃなくて、いわば会社で余った予算だからな・・。
お役所仕事といえば、お役所しごとだけど、売れっ子はスケールが違うわw
まぁ、余った予算で株を買ってみようとかいう謎の番組を制作したわけで・・・製作費2億円www
「なんだつまらないの。ならすぐに売っちゃおうか。」
それはダメ~。
それはまずい。証券監視委員会に捕まる。
突然株価を上昇させているから、この状態で売ると不正な株価操作で捕まる。
今売っちゃうと明らかに相場操縦行為だから犯罪になっちゃう~。
さすがに相場を荒らす愉快犯はまずいと思うの
「みんな株とか、なにげに詳しいよね。わかった。しばらくほっとくよ。ところでみんなは最近儲かっているの?」
リーマンショック・・・。リーマンショックさえ無ければ・・・。
ぼちぼちかなぁ
円高とデフレで日本株はヤバイ
失われた30年やばいよ~。
デフレがなぁ・・・。下落圧力にしかならん。
日経平均がやっと1万だからな・・・。厳しいだろ。
「さてさて、みんなの断末魔を聞いたところで、じゃあ次のクソゲーをやろうか。」
--------- 数か月後 ---------
【Live】雑談をしよう
「そんな訳で、アリサママと千世子ちゃんは双六バトルでキュウリを食べた訳だ。」
その話を聞いても全く意味がわからん。
どうして服を選ぶ話から、双六してきゅうり食べたの?
キュウリに蜂蜜でメロン味とか純情な小学生かよwww
なんで双六バトルすることになったのかが良くわからん
流れがさっぱりなんだが
アキラ君、そういえば前に買った株もう売った?かなりやばいぞ
「前に買った株? そういえばクソゲーメーカーの株買ったよね。ついに潰れた? すごく嬉しいんだけど。」
「僕の言うことを聞かないでクソゲーを作りまくった罰だね。潰れたなら株主だった僕の鼻も高いよ。」
損失出すつもりで草
アリサママが胃潰瘍になっちゃうwwww
すっごいくだらない理由で番組制作費用をすり潰して草
まぁ、あの配信は楽しめたよ
本当に斬新な番組制作費用の使い方だったよなw
アキラ君、スターズ継いだら、会社潰すんじゃね?
おバカ二代目かwwww
バカ殿wwww
いや、そうじゃなくて株価確認してみ?
「そんじゃ見てみるよ・・・・・。んっ? あれ? 買ったときに500円ぐらいだった株価が15000円になってる・・・。」
「一十百千万、十万、百万、千万、一億、十億・・・・? 60億円? ナニコレ?」
「なんか良くわからないけど、ヤバそうだから、全部売っちゃうね。ポチ~。」
「・・・・・・あっという間に売れた・・・・。まずい。番組制作費用が60億円に増えちゃった・・・・。」
爆益で草www
面白すぎるwwww
アキラ君が呆然としていて草wwww
いなごタワー中だったかwwww
スマフォゲーバブルで草
神タイミングwww なお、株を買った理由w
やっぱりスターは神がかっているんだって判ったわ
なんかまともに財務諸表とか見て、頑張っているのが馬鹿らしくなってきたわwww
面白れぇ。そして自分のお金じゃない所も面白れぇww
「こっこれはまずいよ。くだらない事にお金使っちゃったならまだしも、こんなくだらない理由でお金増えちゃったら絶対アリサママに怒られちゃうよ~!」
アリサママwwww
超くだらない理由でお金を激増させる息子www
斜め上すぎるwww
アリサママ大困惑wwwww
アリサママの胃が、胃が持ちませんw
怒られる方向が面白すぎるwww
「そっ、そうだ、ぜっ税金だ!税金で半分ぐらい持っていかれるよね?」
今は、株式譲渡益は軽減税率適用で10%だな
とりあえず税金対策だと10億円ぐらい残しておけば安心だと思う。
残り50億円か・・・・。
↑4億円ぐらいどんぶり勘定でまじで笑うwww
まじでどうするんだ?
番組制作費用が増えるとか前代未聞だろwww
その番組制作費用もYoutubeチャンネルでほとんど使っていなかったやつだしなぁ・・。
「こっこれは・・・。そっそうだ!!アリサママ、アリサママが悪いんだ! 子供にこんな大金を任せるアリサママが悪いんだ! 責任を取ってもらって半分なんとかしてもらおう。」
僕はスマフォを取り出した
「あっアリサママっ。大変なんだ! 大変なんだよ!」
「アキラどうしたの? なんかまずい事でも起きたの?」
「僕の番組制作費用が2億円から50億円に増えちゃったんだ! 大変なんだよ!」
「全く意味がわからないんだけど? あのお金はあなたの方で使い切って良い費用よ? ちゃんと放送内で使われている事が証拠として映っていれば、税理士さんが処理してくれるわ。」
「違うよ! 逆に増えちゃったんだよ! 増えちゃって困っているんだ!!」
「何を言っているの? 全く話が通じないんだけど?」
「とりあえず、アリサママに半分の25億円返すね。それじゃバイバイーン。」
「ちょっとどういう事? アキラっ アキラ!」
アリサママ大困惑wwww
クソワロタwww
バイバインwwwww
バイバインとか、トラウマひみつ道具やめろw
栗まんじゅうみたいにお金増やすのやめろwww
倍々どころじゃないんだよなwwwwww
これは投資の神様大爆誕ですわwww
絶対にアリサママの胃に穴が開いたぞw
お金を稼いで胃に穴を空けるとか斬新すぎる復讐方法だろww
「ふーっ。酷い目にあった。クソゲーメーカーはちゃんと潰れてもらわないと困るんだよ。僕は悪くないぞ!」
「でも手元に25億円残っちゃった。どうしよう?」
「もうこれ、見なかった事にしよう。 意識高い系の夢だけ語って、潰れちゃう夢のある会社に投資しちゃおう。なんかいいの無い?」
日本企業は生き残りに必死で、あんまり夢があるのは無いなぁ・・・。
今、日経平均は1万円行くか行かないかやぞ。碌な投資先は無いゾ
バイオテックとか興味が無いだろうし。
今は1ドル80円の円高だからアメリカ株がいいと思うぞ
アメリカ株のハイパーグロースとかならいいのあるかも
ハイパーグロースでアミューズメント関係がいいんじゃないの?
この情勢でハイグロのアミューズメント分野に投資とか、絶対にお金捨てに行っていますやんw
お金を捨てたい(切実)www
「おっ、ネッコフリックスだって。郵便のDVDレンタル事業から始まって、ストリーミングサービスを初めて、ゆくゆくは自前で映画を作りたいんだって。夢があっていいねぇ。」
「ここでいいや。ポチ~。」
また謎の株価上昇で草www
まじでお金捨てに行ってて草生えるwww
まぁ、そこそこ堅実そうだから潰れはしないかな? 株価は下がるかもしれんが。
でもなぁ、アキラ君だしなぁ
なんか嫌な予感がするんだよね
--------- 後日 ---------
「ネッコフリックスから連絡が来たよ。出資ありがとうございます。会社が軌道に乗ったら、是非一緒に映画を撮りましょうだってさ。」
夢があっていいなwww
まぁ、でも投資って本来こういうものだよね。
ネッコフリックスとか潰れないといいな
仮に上手く行っても、どっかの大手に買収されて消滅して終わりって感じだろうな
夢がある会社に投資するのはいいね。
どうしても将来の夢よりも現実の収益に目が行っちゃうからなぁ
アキラ君は将来の社長だし、この年で投資について知っておくのもいい社会勉強だろ。
将来、アキラ君のオリジナル映画とか作られたらいいな
「それじゃ次の話題に行こうか!」
--------- 現在 ---------
「そんな訳で、意味不明な収益が上がっていてすごくまずいの。 利益の未達も経営責任が問われるけれども、利益の大幅超過も経営責任が問われるの。」
「爆益稼いでくるとかできた息子じゃねぇかwwww」
「うっ、胃が・・・。」
「薬を飲むからお茶をちょうだい。」
「入れてやるよ。ほらよ。」
薬を飲み終わった星アリサは、黒山墨字の肩をがくがく揺らしながら言う。
「確かに、私はアキラにとって不出来な母親だわ! でもこんな復讐の方法って無いでしょ! 反抗期? 反抗期なの? 反抗期の息子を持った母親って、みんなこんな悩みを抱えているの!?」
「落ち着けっ、落ち着けって! こんな訳の分からない反抗期の息子なんて、他に居ないから安心しろ!」
「そんな訳で、利益が上がりすぎていて、まずいのよ。うちは非公開の株式会社だったから影響は少なかったんだけど、うちの株式の時価総額の約50%分の利益が突然湧いてくるなんて、上場株式会社だったら大問題だったんだから! もう同じ事は無いとは思うけれども、アキラには反省して欲しいわ。」
「息子が破天荒すぎて笑うw。まじで斬新な復讐方法だなww。育児放棄したツケが来て自業自得じゃねぇかwww。」
「大体、お金が有り余っているなら、とっとと沢山タレントを雇って、会社をでかくすればいいじゃねぇか。」
「あなたバカなの? マネージメントが行き届かない状態でタレントを増やしたところで組織が崩壊するだけだわ。まずは身の丈に合った形でマネージメントを強化してタレントを受け入れられる余地を作ってからでしょう? 強引に組織を拡張した所で、誰も幸せにならないわ。」
「わかった。わかったよ。じゃあどうするんだよ。」
「もちろん、あのお金は事務所や人材の強化には使ったわ。でもまだ全然余っていたから、老朽化して廃業しそうだった近くの劇場を買ったのよ。」
「ああ、あそこの事か。劇場が無くなりそうだからって、反対運動とかもあったから、あんたが買ったなら良かったじゃねぇか。」
「あそこは、元々黒字だったし、設備が老朽化した関係で続けられなかっただけだから、設備の刷新と従業員の継続雇用を条件に、格安で譲ってくれたわ。あそこのオーナーも元々芝居好きが高じてあの劇場を立てた訳だし。」
「あそこの劇場をスターズで所有すれば、スターズのメンバーの練習や催し物も行えるようになるわ。今まであそこを使っていた劇団もそのまま使える訳だし、みんなが納得する買い物で文句も出なかったわ。 アキラが稼いだお金の処理のせいで、私がストレスで頭痛と胃痛になる以外は。」
「それで、あの劇場の改装が夏に終わるから、こけら落としはスターズのメンバーを中心に演劇を行いたいのよ。」
「あなたにはその演劇の脚本と演出をお願いしたいって訳。企画書はここに置いておくわ。報酬はかなり良いから期待してもいいわよ。」
「わかった。そこに置いといてくれ。」
この時、俺(黒山墨字)はすぐに企画書を確認しなかった事を死ぬほど後悔することになるのであった。
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黒山墨字は行き詰まる
俺は星アリサから渡された演劇の企画書を見て悩んでいた。
演劇企画
演目:若草物語
出演者(決定済み)
星キアラ
百城千世子
夜凪景
星アリサ
・・・なんだ?この地獄のようなメンバーは? なぜこのメンバーで若草物語をやろうと思ったんだ?
若草物語
19世紀のアメリカ、南北戦争中のアメリカで暮らす、マーチ家の物語。
マーチ家では父が戦地へおもむき不在のなか、優しい母と四人姉妹(メグ、ジョー、ベス、エイミー)は手を取り合ってつつましく暮らし、立派な「小婦人(リトル・ウィメン)」になるべく、姉妹は様々な経験を通して、失敗しながらも奮闘し、成長していく家族の物語。
主な登場人物は以下だ
メグ: 四姉妹の長女。非常に女らしくて美しく、家庭的で金持ちの家庭教師としてマーチ家の家計を助けている (キャスト未定)
ジョー: 四姉妹の次女。 作者自身がモデルで、男勝りで直情型の性格。男の子のように生きることを望む (星キアラ?)
ベス: 四姉妹の三女。 非常に内気な性格で病弱なため、学校には通わずに自宅で勉強している (百城千世子?)
エイミー: 四姉妹の四女。 金髪の巻き毛が自慢のおしゃまな女の子。 ベスと仲が良いが、ジョーと張り合っている(夜凪景?)
マーチ夫人: 四姉妹の母親。 良妻賢母で娘たちを適切に導く存在 (星アリサ)←良妻賢母とか笑えるw
俺は、このメンバーで若草物語をやろうとしている事に頭痛を覚えた。
また、メンバーに入っている、夜凪景の実力もわからなかったので、スターズの事務所に行って確かめながら、星アリサを問い詰めることにした。
「若草物語にした理由? そんなの決まっているじゃない。私はガラスの仮面が好きだから、劇団を作るなら最初の演目は若草物語って決めていたのよ。」
「長い女優生活でも若草物語は演じた事が無くて、今回は楽しみにしているわ。」
「そんな理由かよっ。」 俺は頭痛を覚えた。 頭痛の元凶である星アリサによく効く頭痛薬を聞こうかと思った。
その後、夜凪景のレッスンを見せてもらった。この年でメソッド演技を行う夜凪景に俺は衝撃を受けた。
星アリサが彼女に入れ込むのもわかる気がする。彼女は、百年に一人の天才だ。 間違いなく星アリサを超える。 星アリサもそれをわかっているんだろう。
俺の映画に彼女を出演させたい。俺は衝動が体を駆け巡った。
とはいえ、まだ小学4年生という年であり、演技も粗削りで安定性も乏しい。
安定した役を任せるのはまだ難しそうだ。
彼女が俺の映画に出演してもらうのも、もっと先の話になるだろう。
俺は星アリサに聞いた。
「俺にこの出演者たちをどうして欲しいんだ?」
「別に興行的に成功する必要は無いわ。ただ出演者の成長をサポートさせたいの。ガラスの仮面の劇団つきかげのようにね。」
俺はスターズの事務所から自分の事務所に戻ってきた。そこでまたメンバーを考えてみた。
星キアラ : 自由人。おそらく型にはまったつまらない芝居も出来る。でも観客は型にはまらない彼女を見たい。しかしどう動くか全く予測が付かない(危険人物)
百城千世子: 通称天使。絶対的なカメラ映りと100%の演技をする天才。しかし120%の演技はできない。意図した通りに動くだろうが、それで見せ場は作れない(危険人物)
夜凪景 : 突如現れた天才子役。圧倒的なメソッド演技でどの役もこなしそう。でもまだ若く、役に入り込みすぎる。(危険人物)
星アリサ : 言わずと知れた大女優。 彼女が舞台に戻ってくるとか大ニュースすぎて社会的混乱が起こるだろう。そしてあの性格で良妻賢母な母親役とか片腹痛い(危険人物)
・・・・常識的な役者が誰も居なくて、ほぼ危険人物しか居ないじゃねぇかこの演劇! そしてこのメンバーが一堂に会して舞台をするなんて、社会的な注目度が高すぎる。
なのに演目は若草物語。このメンバーでほのぼの日常系? このメンバーが家族? やばいだろ。 これは若草物語じゃなくて、毒草物語の間違いじゃないのか?
いっその事、父親を殺しちまって、この家族内で血で血を洗う遺産バトルでもさせるか。 演目は若草物語じゃなくて、犬神家の一族になっちまうが。
俺はどんどん行き詰まって行った。
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黒山墨字は相談する
行き詰った俺は、巌裕次郎のおやっさんに相談することにした。
「はははっ。そんな理由で星アリサは若草物語を演目に選んだのか。これは笑える。」
「おやっさん、笑いごとじゃねぇんだよ。このメンバーでどうやって若草物語をするんだよ!」
「あの劇場がスターズ所有になって、改装される事は知っている。星アリサがうちに連絡してきて、うちの劇団の劇場使用の便宜を図るので、お前がここに来たら協力してくれって星アリサから頼まれているからな。」
「もっとも、星アリサが突然演劇をやるという理由が判らなかったが、ガラスの仮面が原因とは。はははっ。事実は小説よりも奇なりっていうのは、こう言うことを言うんだな。」
「ちくしょう。あのババァにはお見通しかよ!」
「はっはははっ。まだ40代でババァ呼ばわりとは、星アリサもかわいそうだな。」
「どれ、お前の考えた配役を見せてみろ。」
メグ: 四姉妹の長女。非常に女らしくて美しく、家庭的で金持ちの家庭教師としてマーチ家の家計を助けている (キャスト未定)
ジョー: 四姉妹の次女。 作者自身がモデルで、男勝りで直情型の性格。男の子のように生きることを望む (星キアラ)
ベス: 四姉妹の三女。 非常に内気な性格で病弱なため、学校には通わずに自宅で勉強している (百城千世子)
エイミー: 四姉妹の四女。 金髪の巻き毛が自慢のおしゃまな女の子。 ベスと仲が良いが、ジョーと張り合っている(夜凪景)
マーチ夫人: 四姉妹の母親。 良妻賢母で娘たちを適切に導く存在 (星アリサ)
「確かに、大衆が考える役に対する適正で考えると、こういう配役になるだろう。 時代の流れに反して世間の目を顧みずに、男として振舞おうとしている生きるジョーと、自由人の星キアラは生き方や考え方が似ている。おそらく、大衆もぱっと見ると、そう思うだろう。でもしっくりと来ない。そうだろう?」
「その通りだ。男勝りで直情型の性格なのに、星キアラが自由に演じられるとは思えねぇ。何かが違う。」
「ジョーと星キアラの動機が違いすぎる。星キアラは、星アキラが多くのしがらみから解き放たれて、自由に振舞いたいために作られたキャラクターだ。 それに対してジョーはどうだ? ジョーがマーチ家の息子として振舞おうとしているのは、そんな風に自由に振舞いたいからか? 違うだろう。」
「ジョーが息子として振舞おうとしているのは、男手が居ないマーチ家のためだ。 四姉妹の精神的な支柱として男になろうとしているんだ。だから、動機が180度逆だ。星キアラにジョーの役をキャストしても、表面的には演技できるだろうが、観客が考えている以上の出来にはならないだろう。」
「つまり、『サプライズ無しで思っていた感じだったね。』程度の演劇になる。見る人が見れば面白いだろうが、名作じゃねぇ。」
「星キアラはもっと自由を望む抑圧された役にキャストするべきだ。この中だとわかるか? ベスだ。」
「ベスは学校にも通わずに、体も弱く、鍵盤が黄ばんで古びたピアノを更新したいけれども、それもできない。四姉妹の中で最も自由を望む人間だ。 同時に、星キアラは最も自由を望むとともに、自由が抑圧されるストレスを最も表現できるキャラクターだ。 星キアラはベスにキャストするべきだろう。」
「エイミーは夜凪景で構わない。末っ子という意味もあるし、体格的な面もある。ジョーとも張り合ってもらう必要もある。 ジョーが星キアラの場合、星キアラは夜凪景の恩人だろ? いくらメソッド演技の天才でもまだ幼い夜凪景では、100%の演技はできねぇ。 ベスを星キアラに配役した場合には、エイミーは夜凪景で決まりだろう。」
「そうすると、百城千世子をメグかジョーにキャストする訳だが、もちろんジョーにキャストする。」
「ジョーというのは、作者自身のモデルで、ある意味若草物語というのはジョーの視点で展開される物語だ。ジョーは四姉妹の中では最も革新的で、最も自分自身を変化させたい人物となる。 突如現れた夜凪景のライバルであり、演技を客観視した上で、今の演技には飽き足らずに演技を成長させたい百城千世子にはうってつけの役だろう。」
「見てきたように、各役者の特性を言い当てるんだな。」
「正直な話、お前に若草物語の仕事を依頼する前に、星アリサから相談を受けていて、いろいろ話を聞いている。お前が相談に来るだろうから、相談に乗って欲しいと頼まれていたよ。」
「けっ、あのババァ、相変わらず意地が悪いな。」
「マーチ婦人は星アリサで決まりだ。確かに性格的にはどうかと思うが、母親らしい事ができなかった自分を鑑みて、誰よりも星アリサがマーチ婦人を演じたいだろう。そこは理解してやれ。」
「それで最後は長女のメグだが、四姉妹の全員が舞台未経験ではまずいだろう。うちの明神阿良也を貸してやろう。星アリサにも許可はもらっている。」
「俺の考える配役はこうだ。」
メグ: 四姉妹の長女。非常に女らしくて美しく、家庭的で金持ちの家庭教師としてマーチ家の家計を助けている (明神阿良也)
ジョー: 四姉妹の次女。 作者自身がモデルで、男勝りで直情型の性格。男の子のように生きることを望む (百城千世子)
ベス: 四姉妹の三女。 非常に内気な性格で病弱なため、学校には通わずに自宅で勉強している (星キアラ)
エイミー: 四姉妹の四女。 金髪の巻き毛が自慢のおしゃまな女の子。 ベスと仲が良いが、ジョーと張り合っている (夜凪景)
マーチ夫人: 四姉妹の母親。 良妻賢母で娘たちを適切に導く存在 (星アリサ)
「ちょっと待て、何で明神阿良也なんだ!? 四姉妹中二人が男とかヤバいにもほどがあるだろう? ギャグでもやる気かよ!」
「別におかしい事は無かろう? シェイクスピアが演劇を書いたエリザベス朝の時代は舞台では、女性の役を演じるのは声変わり前の少年俳優の役割だったぞ。この頃のイギリスでは女優が職業として認められていなかったからな。だから俺の得意なシェイクスピアの舞台でも女装男優を使う事があるのは知っているだろう?」
「それは、知っている。知ってはいるが、シェイクスピアの演劇をする訳じゃないんだぞ! こっちは児童文学で道徳を説くんだ! 道徳を説くやつが半分は女装した男とかおかしいじゃねぇか!」
「別におかしくは無いだろう? お前若いくせに頭固いな? 道徳は時代と共に移り変わっていくんだ。 もちろん19世紀から今にも通用する道徳も沢山あるだろう。しかし、19世紀のまま今には通用しない道徳もかなりの部分あるはずだ。」
「今は、人が人として自由に自分を表現できる時代だ。お前も星キアラを見ていれば判るだろう。19世紀のカビの生えた道徳にやみくもに拘る必要は無いだろう。」
「それに、星アリサは今回の演劇で儲けを全く考えていないぞ。あいつが望んでいるのは、舞台に参加する役者達の成長だ。 阿良也が女装して舞台に立てる機会なんて、今後はほとんど無いだろう。俺は阿良也に今回の舞台で役の幅を広げてさらに成長して欲しいし、他のメンバーも阿良也に影響を受けて成長するだろう。」
「そもそも、このメンバーに埋もれないで長女ができるやつが居るか? 下手な配役をしても食われるだけだろ? 毒を食らわば皿までだ。」
「でも星キアラはともかくとして、明神阿良也は男という事で反発もあるんじゃないのか?」
「別に四姉妹の半分が男の舞台が嫌なら観に来なければいいだけだ。チケットを買うか、買わないはお客さんの判断だ。 しかし考えて見ろ。歌舞伎の女形も当然男だ。男だからこそ、男が考える理想の女性像を体現できる。お前が考えている以上に世論の反発は無いと思うし、反発があっても多くの擁護が成されるはずだ。もちろん反発があれば俺も擁護する。」
「一番根本的な話だが、お前はこの舞台を観てみたくないか?」
「わかった。わかった。降参だよ。俺もこの舞台を見てみたいよ。ほとんどの人間がそう思うはずだ。 特に、普段から舞台を観ている観客なんかは、なんとしてもこの舞台のチケットを手に入れたいと願うはずだ。」
「星アリサの許可もあって、そこまで話が付いているのであれば、これで決まりだろう。」
こうして若草物語のメインキャストは決まった。
しかし、後々、冷静に振り返ってみると、巌裕次郎のおやっさんに上手く丸め込まれただけで、実は危険人物が増えて、余計に心労が増しただけだったことに気が付いて悶絶した。
昨日の感想で、この長女が明神阿良也という配役を当てた方がいました。
感想の返信は誤魔化したのですが、この配役をやっぱり当てちゃう人も居るんだと思いました。
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【Live】アリサママに認知してもらう方法募集〈星キアラ〉
放送準備中。もうちょっとで始まるよ。
やばい。もう題名だけで面白いw
これを本人がネタにしてくるのは草が生えるww
これに巻き込まれるアリサママ面白すぎるwww
あの兄にして、この妹だからなぁ・・・
まじで難問だからなぁ・・・。
これをネタにしてくるのは草w
「星アキラの双子の妹、星キアラですっ。今日も皆様とお会いできてうれしいですわ。」
「今日はわたくし星キアラがアリサママに認知してもらうための作戦をみんなにご相談したいのですわ。」
「この前、アリサママがお手伝いさんの双子の赤ちゃんと遊んでいるところに、忍び込んで、わたくしがアリサママにお母様の娘として雑な扱いをされていることを抗議したところ、お前のような娘はいないと言われて、すごく傷つきましたの。」
実の娘に何たる仕打ち、アリサママ許すまじ!
やはり、アリサママはひどいママだったんだな。
アリサママはキアラちゃんの事を娘って認めていないの!?なんて酷い母親なの
アリサママひどいなw
言うて、アリサママはキアラちゃんの心当たりは無いと思うなw
アリサママもその抗議には困惑だろw
アリサママの言っていることは正しいんだよなぁwww
「そんなわけで、本日は、わたくしの母親ではないとしらを切っているアリサママにわたくしを娘として認知してもらう必要があるのですわ!」
なんて悪いアリサママなんだ!
こんなにかわいい娘がいることを認めないなんて!
そうだ!そうだ!アリサママはキアラちゃんを認知しろ!
こんなかわいい娘をしらんぷりなんてアリサママ許すまじ!
アリサママの風評被害で草生えるw
実は一番の被害者はアリサママなのではww
最近アリサママが不憫に思えてきたわw す朝野いちごch
「今日は助っ人としてアキラ兄さんにも電話がつながっております。」
アキラ「もしもし、こんにちは、星アキラだよ。今日は僕が閉じ込められているので、電話出演だよ。」
アキラ君キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
こういう出演形式もありなのか。 す朝野いちごch
2人が会話を繰り広げていて笑えるわw
これゲストが簡単に呼べていいなwww
キアラちゃん、アキラ君がしゃべっているときに口が動いていますわよww
これは一粒で二度おいしい
「さて、アキラ兄さん、アリサママに私を娘として認めてもらうためにはどうしたら良いと思いますの?」
アキラ「うーん。判らないなぁ。そもそもキアラって出生届すら出されていなくて、秘密裏に家に閉じ込められていたからなぁ。」
「そうですわ! 出生届けすら出してくれないなんて、アリサママは酷いですわ!」
出生届すら出されていない!?
マジで!それは大問題だよ!
アリサママ、そこまで娘に非情だったのか。
なんという横暴!
やはりアリサママは悪い文明!
いや、キアラちゃんの出生届けが受理される方が超大問題なんだよなぁ・・・。
まぁ、出生届を出していないのは日本の法律的に正しいと思うよ
キアラちゃんの出生届は公文書偽造になっちゃうからなぁ・・・。
アキラ「でもどうして、そんなに娘として認知して欲しいの? 別に認知してもらっても対応は変わらないと思うけど・・・。」
「アリサママが死んだときに遺産として、アリサママが演歌歌手の北国一郎にもらった北海道のクマの置物が欲しいのですわ。居間に飾ってありますの。」
アキラ「やはり、キアラもあれが狙いなんだね。やはり双子の兄と妹、欲しいものも一緒なんだね。」
アキラ「あのクマの置物は、アリサママが昔、北海道での撮影中に特に欲しくも無かったのに、酔っ払った北国一郎さんにおみやげ物屋さんで買ってもらって、重くて持って帰るのにすごく苦労した一品らしいよ。そして北国一郎さんからのもらい物なので、捨てられなくて、仕舞っておくわけにもいかずに居間に飾られている、星家の家宝だよ!!」
「この熊の置物には、シャケの色に7色の色違いがありまして、全部そろえると、どんな願いもかなえてくれるという伝説がありますの。」
「あの居間にあるクマさんってそんなすごい伝説があったんですか!?」
景ちゃん、騙されているwww
ただのお土産品じゃねぇか!
アリサママは、完全にそのクマの置物の扱いに困っているぞwww
景ちゃん、素直に信じちゃダメ―!
家宝なのか?
かなり怪しい一品www
アリサママは北国一郎に可愛がられていたからな。そりゃ捨てられんだろうw
「わたしも聞きましたわ。北国一郎さんがわたくし達の家に来て、クマの置物を見て、『こんなに大切にしてくれているなら、色違いもいろいろ売っていたからもっと買ってやろうか?』って言っていましたわ。でもアリサママは他の色が揃うと、レッドリボン軍に狙われる事が判っていますから、すごい勢いで固辞していましたわよ。」
アキラ「これは、僕とキアラの間で血で血を洗う遺産バトルの予感だね。すごくドキドキするよ。」
「愛する兄妹同士だからこそ、絶対に譲れない遺産狙いのお家騒動の勃発ですわ。これは派手に炎上させる必要がありそうですわね。」
いや、たぶん欲しいって言えば、遺産関係なく、くれると思うぞ。
アリサママ的にはもらって欲しいんじゃないのかな~
こんな遺産争いされるアリサママが不憫すぎるwww
せめてもうちょっと価値のある物で争おうよw
星家骨肉の争い(クマの置物)
これは、遺産争いでバトルアクションもありますぞ!
アキラ「レッドリボン軍とバトルアクションで思い出したけど、まさかキアラって銃を持って人格が変わるって事無いよね? ドラマの撮影とかでそうなると困るんだけど。」
「そっ、そんなことありませんわ。あら? こんな所に拳銃が・・・。」
アキラ「これは、この前、僕がシティーハンターごっこで遊んでいたモデルガンだね。コルトパイソン357マグナム。なんかすごそうに見えるけど、火薬を増量したマグナム弾を撃てる設計になっているだけで、実は日本のお巡りさんが使っている拳銃と同じ38口径(薬莢の直径が0.38インチ)で、普段使う弾も同じって言うちょっとがっかり拳銃だね。まぁマグナム弾の時の火薬の威力は3.5倍ぐらい違うけど、これでグリズリーとかバイソンを止められるかというと、非常に微妙なので、後発の大口径拳銃にその地位を追われて今は生産中止になっちゃった感じだね。護身用ならもっと小さいので良いし。」
「はっくしゅんっ。」
キアラちゃんのくしゃみかわいい~♡
☆これはいいくしゃみ☆
これはキアラちゃんのかわいさ倍増
さらっと、語られるアキラ君の謎の拳銃説明ww
アキラ君、実はガンマニアだろwww
そういえば、俺くしゃみをすると人格が変わるキャラに心当たりがあるわ
奇遇だな。俺もだ。
あっ・・・(察し)
ランチ(キアラ)「おらおらっ、なに遺産相続とか甘っちょろい事言ってんだ!! 今は世紀末! 男ならアリサママから、クマの置物を力で奪い取って見せろや! パンパンッ、パンッ(火薬の音)」
「くしゅんっ。あら? わたくしは一体何を・・・・。」
ドラゴンボールのランチさんじゃねぇか!
今時、ランチさん覚えている人居る?
人格変わった演技うめぇwww
まじでランチさんかと思ったw
世紀末はとっくに終わっているんだよなぁ・・・。 す朝野いちごch
こんな理由で命を狙われるアリサママは不憫すぎるだろw
別人格インストールすげぇ
アキラ「キアラはちょっとやばいよね。 映画とかで銃を拾って犯人と対峙するような時に、犯人に『お前に俺が撃てるのか?』とか言われたら、まず弾を外さないように、体の中心に3発確実に命中させて、犯人が倒れた所に犯人が防弾チョッキを着ている可能性を考慮して、脳天に2発。それから残りの1発はさらに不測の事態が発生した時用に、冷静に取っておくぐらい、何の躊躇もなくやりそうで怖いよね。」
それはわかるw
キアラちゃんならやりそうw
そんな映画観てたら、シリアスなシーンでぽかーん( ゚д゚)としそう
逆に気分爽快になりそう。
せっ正当防衛ですからっ(汗)
念入りに犯人殺害はすごくやりそうw
普通は、引き金が引けなくて葛藤するんだけどなぁ・・・。
『お前に俺が撃てるのか?』(、´・ω・)▄︻┻┳═一 ( ゚д゚)・∵. ターン
「こほんっ。話が逸れましたわ。わたくしが遺産相続に拘るのには訳があります。実はアリサママの健康状態が思わしくないようなのですわ。」
まじか!?
アリサママ体調悪いの!?
それは心配
星アリサの体調不安は大ニュースだよ
スターズの行く末が・・・。
「最近は良く家に居るようになって、お手伝いさんやその双子の子供と楽しそうに遊んでいるのに、仕事で一緒になったりとか、マネージャさんと一緒の時に、良く頭とか胃のあたりを押さえておりますの。だいぶ体調が悪いようで心配ですわ。」
ああ、そりゃねぇ~。
確かに体調は悪いと思うゾ
あっ・・・察し・・・・。
それ理由は、鏡をみるとわかるとおもうな す朝野いちごch
病は気からって言うしなぁ・・・。
アキラ「この前なんて、『アリサママ、お医者さんとか人間ドックに行った方が良いいよっ』って言ったんだけど、『お医者さんには行っているわ。治すにはストレスの原因を潰す事って言われているのよ。』って言って、理不尽に殴られたんだけど、情緒不安定でやばいよね。」
いや、理不尽を受けているのはアリサママだと思います。
それは、アリサママが正しいじゃないのかなぁ・・・。
そう考えるとアリサママ、大分お疲れだよね。
なぜこの兄妹を生んでしまったのか・・・。
そもそもこんな双子を生んだ記憶すら無いだろうしなw
「やはり、健康面で不安があって、それが情緒に影響しているのかもしれませんわ。もしかしたら、重大な病気が宣告されているのかも・・・。」
アキラ「まさか!? 胃ガン?そんな嫌だよ。アリサママが死んじゃう!!」
「お手伝いさんの赤ちゃんたちの前では、あんなに楽しそうにしていて、実の子供である私達がなぜこんな理不尽な思いをしているのか解らなかったのですが、これで謎が解けましたわね。」
アキラ「実の子供である、僕たちにだけ、そう言った弱い面を見せていたんだね! やっぱり僕たちとアリサママは血の繋がった家族なんだ!」
感動的なシーンで申し訳ないのだが多分、理由は違うゾ
ドラマのワンシーンのようだが、アリサママは全く感動しないと思うゾ
家族の絆とはいったい・・・
ツッコミ不在の恐怖www
血の繋がった家族(苦笑)
キアラちゃんとアキラ君がアリサママの寿命を縮めているんですね。わかります。
「ああっ、なんて不憫ですのアリサママ! きっと、あの木の葉っぱがすべて落ちる時にアリサママの命も終わってしまうんですの。」
アキラ「あの木、すごく青々としていて、葉っぱが落ちる気配が全く無いんだけど・・・。そもそもあの木は冬でも葉っぱが落ちているのを見た事が無いんだけど。」
アキラ「ネームプレートにセコイアって書かれている・・・。詳しい人、どのぐらいで葉っぱが落ちるのか情報プリーズ。」
セコイアは常緑針葉で落葉しないぞ
セコイアは樹齢600年~2200年以上生きるみたいだな・・・。
やばいアリサママの寿命はあと2200年だw
アリサママの寿命すげぇな
アリサママってエルフかなんかじゃねぇの?
確かにエルフっぽいww
でも2000年生きるならハイエルフかなぁ
アリサママはハイエルフだった!?
ハイエルフは納得w
まぁキアラちゃんとアキラ君が除草剤をばら撒いているから葉っぱが落ちるはワンチャンある
アキラ「やばい。キアラがあんなことを口走っちゃったからアリサママの正体がバレちゃったじゃないか!」
「アリサママがハイエルフなのは、星家の国家機密だったのに、これは聞いた人をコロコロしちゃう必要がありますわね。」
いやだwこんな理由でコロコロされたくねぇw
コロコロw
何万人の人が生放送で見ていると思っているんだwww
「星家の国家機密」とかパワーワードだろw
星家の国家機密ww家なのか国家なのかはっきりしろw
アリサママすんげー生きるじゃねぇかw
でもそうなると、アキラ君とキアラちゃんもハイエルフなんじゃないの?
アキラ「僕たちは違うよ。だって、この前、有名俳優の人に良く似たローマ人のお風呂屋さんと一緒に銭湯に行ったら、僕のことを指して、平たい顔族って言ってたもん。 僕たちは平たい顔族だよ! あのローマ人が言っているんだから間違いないよ!」
テルマエ・ロマエじゃねぇかwww
そのローマ人の人ってあの有名俳優だよね?
まぁアキラ君ならあの人とお風呂に行ってもおかしくないw
絶対にアキラ君から誘ったよね? 銭湯に行くのw
普通にあの人と銭湯に入っている光景が目に浮かぶわwww
あの人と銭湯に行けるのすごく羨ましい す朝野いちごch
そのローマ人に対する厚い信頼はどこから来るの?w
結構な非日常の光景のような気がするけど、普通に想像できるのが笑えるw
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「そんな訳で、結論といたしましては、DNA鑑定をしてアリサママとの親子関係を証明して認知を迫る事になりましたわ。」
まぁ妥当な線だよね
アリサママの胃痛の歴史がまた一ページ・・・。
キアラちゃんのDNAだとちゃんと親子関係は出そうだしなぁ・・・。
なお、性別wwww
いや、さすがにそろそろアリサママの胃に穴が開いちゃうと思うんだw
アリサママに敬礼 ビシッ(*`・ω・)ゞ
これはアリサママに同情せざるおえないw
「綺麗?にまとまったところで、最後に音楽の時間ですわ。」
ええーーーー!もっと話してたい!
ぶぅ━━q( ̄(oo) ̄)p━━っ!!
もって続けてよ~。
ぶうぶうっ
時間が過ぎるのが早いw
もう終わりか
「今日はシティーハンターの話題が出ましたので、ピアノの弾き語りで、TM NETWORKさんの『Get Wild』を弾きますわ。そして歌の方は電話越しにアキラ兄さんが歌いますわ。」
なつかしいw
アキラ君が歌うのか!
これは楽しみ
途中で面倒になって忘れてたみたいだけど、電話で通話している設定はまだ生きてのねwww
アキラ君うめぇ
カッケェ
シティーハンターと言えばこれだよね
キアラちゃんと違って、すごく男の子っぽい声
ちゃんと男性ボーカルなんだな
すんげいい
静止状態からのエンディングと言えばこれだよね。
アキラ君の声に感激
「それじゃ今日も放送を見てくれてありがとう! みんなバイバイ~。」
バイバイ~☆
バイビー☆
バイバイ☆
歌すごく良かった☆
楽しかった☆
またねーーー☆
バイバイ☆
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星アキラ達は演劇を見に行く1
アリサママから劇団天球のペアチケットを2セットもらった僕たちは劇団天球の舞台を見に来ていた。
チケットを僕に渡したアリサママはニコニコしてた。なにか嫌な予感がする・・・。絶対になにか企んでいるよ。あの顔は。
演目は「セロ弾きのゴーシュ」。宮沢賢治の児童文学が元で、子供にも安心して見せられる舞台となっていた。
今日はその舞台の千秋楽(最終日)の日曜日。
舞台を見に来たメンバーは僕と千世子ちゃん、そして景ちゃん。ペアチケットを2個もらっているから1人分余っていた。
そんな訳で、劇場の前に行くと、柊雪こと、雪ねぇちゃんが待っていて合流し、4人で観劇することになった。
雪ねぇちゃんは、いつも朝にジョギングしてる公園で、いつもブランコでぶらぶらしていた。
ブランコで一人寂しくしている様は、前世の私を思い出す感じだったので、この前話してみると、母子家庭という関係と、家に居られない事情があるとのことだった。
そして、映画が好きで映画を撮る事を目指して阿佐ヶ谷芸術高校への入学を目指している事を聞いた。
僕は、カメラを任せてみるとかなり撮り方のセンスが良かったのと、雪ねぇちゃんが阿佐ヶ谷芸術高校の授業料を自費で賄いたいとの希望から、子役の契約を結んでカメラマンや編集などをやってもらう事になったんだ。
最近は景ちゃんがアリサママの演技レッスンで忙しくなってきたので、雪ねえちゃんの加入はすごく助かった。景ちゃんも面倒見が良い雪ねぇちゃんに良く懐いてるからいろいろ良かったよ。
そんな訳で、雪ねぇちゃんも誘って合計四人で劇団天球の舞台を見に来ていたのだ。
「えーーポップコーン無いの!? そんなっ、僕っ、ポップコーン食べたかったよ~。うわーーん。」
「アキラ君、映画館じゃないので席での飲食は禁止だから、ポップコーンも無いんだよ。代わりにフライドポテトとか食べよ。ね? ね?」
「アキラちゃんは、雪ちゃんをからかって遊んでいるだけよ。嘘泣きだし。」
「景ちゃんは何か食べる? ケロッ」
「私は大丈夫ですっ。お芝居の舞台すごく楽しみっ!」
「じゃあ、席に行こうか?」
「えっ? えっ? えええーーーっ!」
僕達の席はS席でも前の方の席で非常に良い席だった。これは楽しみ。
僕達4人が席に着いたら、周りの席がざわざわって、ざわめいた。
僕は劇が始まるまで席でパンフレットを見ながら大人しく座っていた。
今日の演目である「セロ弾きのゴーシュ」は、次のような物語である。
町の楽団でセロ(チェロ)を担当してるゴーシュは下手なままで楽団の団長からいつも叱られていた。
ゴーシュは家でチェロの練習をしていると、ネコがやってきてシューマンの『トロイメライ』を弾いて欲しいとリクエストする。しかし、からかわれたと思ったゴーシュは『印度の虎狩』という曲を演奏して、ネコを追い出してしまう。
次の晩にチェロの練習をしていると、かっこうがやってきて「音階を学びたい」とねだる。ゴーシュは繰り返し音階を練習して、音階の感覚を掴んだがかっこうもまた追い出してしまう。
さらに次の晩にはタヌキがやってきて「愉快な馬車屋」という曲を一緒に演奏しようと言い、彼は申し出を受けてセッションをし、リズム感を得る
最後の晩は、野ねずみの親子がやってきて、お母さんねずみが子ネズミの病気を治して欲しいとお願いし、子ネズミのためにチェロを弾き、誰かのために音楽を奏でるという意味を知る。
そしてゴーシュは演奏が上達し、聴衆を魅了して、楽団の団長や仲間たちから賞賛されるという物語。
ゴーシュがいろんな動物たちに演奏を聴かせる事でゴーシュの演奏技術がステップアップして、最後は大団円な物語だね。
演出はもちろん、巌裕次郎。
キャストは、ゴーシュ役は劇団天球のベテランの団員さんで、ネコの役が巌のじっちゃんの秘蔵っ子である明神阿良也、かっこうの役が三坂七生、たぬきの役が青田亀太郎と劇団が子供向けに作っただけあって、役者も若手が揃えられていた。
劇が開幕した。ゴーシュ役の役者さんは、ベテランらしい安定した芝居で気難しいゴーシュをコミカルに演じながら舞台を回した。
そしてネコ役の明神阿良也。彼の役は音楽を愛する大きな三毛猫。擬人化したネコでありながらも、表情、仕草などちょっと動くだけでネコと判る素晴らしい芝居だった。まさにネコが乗り移っているようなそんな芝居。おそらくこの芝居のために、ネコをじっくり観察して、ネコの気持ちも理解したんだと思う。 巌のじっちゃんが彼を気に入る訳だ。まさしく、演劇界の麒麟児にふさわしい圧巻の演技だった。
かっこう役の三坂七生は、愛嬌のあるかわいいかっこうを演じた。音階を体いっぱいで表現し、何度もゴーシュと音を合わせる。前日はネコで怒ったゴーシュだったが、かわいいかっこうの前に、一緒になって音階を弾いていく演技がすごく楽しかった。
たぬき役の青田亀太郎はコミュカルな演技をしてタヌキ役をみごとに演じた。彼の演じるタヌキ役は観客一体となって小太鼓で演奏し、観客と共に盛り上がった。
最後は、席の観客をゴーシュの演技を聞く実際の観客に見立てて、演技を行い大団円で幕を閉じた。
子供向けながらも、涙あり、笑いあり、シリアスありで巌裕次郎らしい舞台でみんな大満足だった。
劇が終わって帰ろうとしたところで、劇団の人が来て巌裕次郎が会いたいとのことだった。
これはまぁ、アリサママと巌裕次郎が仕組んでいたんだろうな。
僕たちは了解を伝えて、舞台裏の楽屋になっている大部屋に移動した。
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星アキラ達は演劇を見に行く2
楽屋になっている大部屋に着くと、中には劇団員が揃っていてびっくりした。
僕たちは劇団員にじろじろ見られていてアウェー感がすごい。うーん。何を企んでいる事やら。
「巌のじっちゃん久しぶり! 5年ぶりぐらいだね。」
「アキラ君、いや、アキラ、本当に久しぶりだな。」
巌のじっちゃんとはアリサママが心を壊すまではすごく仲が良かった。
僕も巌のじっちゃんの孫みたいに可愛がってもらったが、アリサママが心を壊したら暗転。
アリサママは巌のじっちゃんに連絡を取る事も無くなり、僕が子役の仕事を初めて少し経った時に、TV局で会ってちょっと話したきりだった。
そんな訳で、巌のじっちゃんと話すのは本当に久しぶりだった。
舞台のチケットをもらった時から気が付いていたけれども、おそらくアリサママは巌のじっちゃんと連絡を取り合っている。別にケンカしていた訳でもないので、和解したとかそういうのとはちょっと違うニュアンスなんだけど、この事はアリサママが自分の人格を壊したトラウマを乗り越えた事を示していた。
「ところで、僕達をこんな所に呼ぶなんて、アリサママと巌のじっちゃん何を企んでいるの?」
「なんだ。アリサから聞いていないのか? お前達は、4か月後の夏休みにみんなで舞台をやるんだぞ? だから、うちの団員も一緒に出演して、レッスンもするから、その顔合わせだぞ。」
「げっ、なんつー事を考えているんだ。アリサママ。僕たちを舞台に立たせるなんて、やっぱり最近はガラスの仮面の月影千草をライバル視して、演劇狂いでも競う気になったのかな? サイコパス度は間違いなく勝っていると思うんだけど、それだけじゃ物足りなくなっちゃったの?」
「ちなみに、舞台をやる事にしたのは、アキラが株で儲けすぎた事で処理が大変すぎて心労が溜まった時に、そのアキラへの腹いせで思いついたらしいぞ。」
「うわっ、最悪じゃん。アリサママにはママとしての自覚が必要だよ! ママなら大いなる愛で子供を包み込むぐらいの優しさが必要なんだよ! こんなふうに子供に腹いせをするママなんて最低だよ!」
「いや、話を聞いていると、アリサのストレスの原因はほとんどお前だからな。ちょっと話すだけでも、ものすごいクソガキに育ったなお前。星アリサが普通の母親なら、お前のやらかす事一つ一つに、間違いなく卒倒して救急車で運ばれていたぞ。胃の不調や頭痛ぐらいで済んでいるのは、かなりの精神力だと思うぞ。」
「わんぱくでもいい、たくましく育ってほしいってみんな言ってるじゃん。僕はちょっとわんぱくなだけだよ! みんな失礼だな ヽ(`Д´)ノプンプン」
「お前どうして、そのキャッチフレーズ知っているんだ? そもそも今は昭和じゃないぞ。平成何年だと思っているんだ? マジでお前は昭和のクソガキだな。(´∀`*)ワハハハハハ」
「それじゃ劇団員を紹介するぞ。まずは三坂七生だ。今回はかっこうの役を演じていたぞ。」
「三坂七生です。よろしくお願いします。」
「続いて、青田亀太郎。今回はたぬきの役だ。」
「みんな、よろしくーっす。」
「こっちが、明神阿良也。今回はネコの役だな。そして、お前達と一緒に舞台に出演することなる。」
明神阿良也は、僕たちに近づいてきて顔を寄せてきた。
「この子はすごく匂うのに、他の3人は全然匂いがしないんだね。」
「えっ匂い?」
匂うと言われた景ちゃんは服とかに鼻を突けてクンクンとしている。すごくかわいい。
「巌のじっちゃん、匂いって何? 多分物理的な意味じゃないよね?」
「役に入り込む役者の匂いだ。こいつは野性的なカンで役にのめり込むので、そう言った役者を匂いで表現しているんだ。だから、役に入り込む演技スキルの高い人間が臭いって表現されて、役に入り込まない人間は匂わないって事になる。」
「初対面の人間、特に女の子に匂うとか言っちゃうのかなりやばいよ。巌のじっちゃんもちゃんと教育した方がいいんじゃないの?」
「自由人のアキラにそんな事を言われるなんて、阿良也も相当ヤベェな。ワッハハハハ」
「この子は見た事は無いんだけど、そこの君とこの君は特に匂いもしないで演じているよね。どうして?」
明神阿良也は本当に不思議そうに首をかしげる。おそらく役に入り込まないで役を演じられる事が本当に不思議なんだろう。
「君というよりも星アキラかな?よろしく。 こっちが百城千世子ちゃんで、こっちが夜凪景ちゃん。 それで、この子が柊雪ちゃん。雪ねぇちゃんは監督とか映像作家をめざしているから役者じゃないんだよ。」
「ならアキラって呼んでいい?」
「いいよ。僕も阿良也って呼んでいい?」
「もちろん。」
「それで僕と千世子ちゃんが匂わない訳だけど、聞く感じだとおそらく、演技の方向性かな。ざっくりというと、僕と千世子ちゃんは自分自身が演じている訳では無くて、観客の視点が演技に落とし込まれているせいだと思う。つまり、自分が役を演じているんじゃなくて、観客が見たい役を見せているんだ。だからおそらく匂わないんだと思う。もっとも僕と千世子ちゃんでもかなり演技の考え方は違うけどね。」
「うーん。良く判らない。自分自身は演じていないんでしょ? アキラはそれでいいの?」
「いいよ。別に。僕は楽しいし。演技の考え方や方向性は人それぞれなんだから、阿良也は同族の演技者を匂いで見分けているだけじゃないのかな?」
「やっぱり良く判らない。じゃあ、今回俺が演じていた『セロ弾きのゴーシュ』のネコはどういう感想だったんだ?」
「阿良也のネコは素晴らしかったと思う。きっとネコの役を演じるために毎日猫を観察して、ネコの気持ちになり切っていたんだろうね。そしてゴーシュの『印度の虎狩』を聞いた時の表現も素晴らしかった。音楽を愛する知的なネコという表現。非の打ちどころが無かったね。」
「ありがとう。」
「でも同時に僕はこう思うんだ。『印度の虎狩』を嫌ったネコは音楽が好きなくせに、すごく残念だなって。」
「どういうこと?」
「シューマンのトロイメライは実際の曲だけれども、『印度の虎狩』は存在していない曲だよね。なんで宮沢賢治は存在していない曲名をわざわざ童話の中で出したんだろう? もしかして宮沢賢治が本当に聞きたかったのは、トロイメライではなく、『印度の虎狩』だったんじゃないかと思ったね。」
「それじゃ、宮沢賢治が聞きたかった『印度の虎狩』を弾いみてよ。君はピアノが上手いって聞いたよ。」
部屋にあったグランドピアノを指さしながら、阿良也は僕を挑発した。
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星アキラ達は演劇を見に行く3
「それじゃ、宮沢賢治が聞きたかった『印度の虎狩』を弾いてよ。君はピアノが上手いって聞いたよ。」
部屋に合ったグランドピアノを指さしながら、阿良也は僕を挑発した。周りの劇団員は阿良也を止めようとおろおろとしていた。
「いいけれども阿良也、ちゃんと責任取ってよ?」
阿良也は意味が解らないようで、首を傾げていた。
「うーん。そのまま弾くのもいいけれども、せっかくだからYoutubeチャンネルのネタにしたいな。ビデオとかある?」
「ちょっと待っていて、今用意してくるよ」
青田亀太郎さんがビデオを取りに別の部屋に行った。
僕はピアノの前に座って、屋根を持ち上げると、鍵盤をぽこぽこ叩いて音を確認した。案の定、ほんのちょっとだけど音がずれている鍵盤があった。
このピアノは本来は、演劇が行われた大ステージで演奏するときに置かれているもので、今はこの部屋に退避してきたようだ。だから移動した際にいくつかのキーで少し音がずれているようだ。
大ステージに戻した時に調律するためか、ピアノの近くの棚に調律用のハンマーレンチが入っていたので、それで気になった音だけを調音した。
このピアノはほんのちょっとだけピッチを上げた音でチューニングされているようだ。この辺は煌びやかな音出すためか、それとも本来設置されるホールの特性とチューナーさんの感覚なのか、はたまた次にホールに持って行った時までにピッチが下がる事を見越してその分わざとピッチを上げておいたのかは何とも言えなかった。
僕は全部の音を調音する時間も無かったし、別にそこまでこだわりは無いので、気になる音だけ調音した。
それに僕が考える『印度の虎狩』には、このチューニングはちょうど良かった。
それで、青田さんはまだ戻って来なかったので、僕は音の確認と指慣らしのためビル・エヴァンスの『ワルツ・フォー・デビー』を弾きながら待っていた。
ジャズを聞きなれていない人でも耳に残る美しい旋律に、みんな黙って静かに曲を聴いてくれた。実に良い雰囲気だ。この曲が罠だってみんな気づいていないだろう。すまし顔で演奏しながら、僕は心の中でにやけた。
「持ってきたよ。これでいい?」
曲が終わるころに青田亀太郎さんが、S社の最新式のビデオカメラを持ってきてくれた。劇団で使っているだけあって、高性能な外付けマイクも付けられている。
これならYoutube動画の撮影も問題ないだろう。
僕はいつも持ち歩いているコンパクトカメラからSDカードを抜きだし、ビデオカメラに入れて、ビデオカメラの設定を変更。試し撮りを行った後に雪ねぇちゃんにビデオを渡した。
「これで僕の演奏を撮影してくれる?」
「いいわよ。」
「それじゃ行きます。」
「こんにちは。星アキラです。今日は劇団天球さんの『セロ弾きのゴーシュ』を観に来ています。今回は素晴らしい舞台を見せてくれた劇団天球の皆さんにお礼として、僕の考える『印度の虎狩』の曲を聴いてもらおうかと思います。みんなも楽しんで聞いてね!」
「Hi! My name is Akira Hoshi and I am an actor in Japan.~」
僕は日本語の紹介の後に、英語、フランス語、中国語の自己紹介と曲の説明を入れた。
英語とフランス語は前世で話せたけれども、中国語についてはVTuberの中国公演や中国展開の時に簡単な日常会話ができる程度だけ覚えた。
チャンネルも軌道に乗って来た事だし、そろそろ、前世みたいにグローバル展開も考えてよい頃だ。
僕は海外の人向けに、自己紹介がてらの動画を取る事にした。
「それじゃ行きます。」
僕はトロイメライの和音をアルペジオに変換し、さらにアンティシペーションとディレイドアタックを同時に組み入れ、そこに振動比が調和しない不安を掻き立てる不協和音でボイシングさせるというとんでもないアレンジを組み入れたトロイメライを演奏する。というか、これがトロイメライだって認識している人はほぼ居ないだろう。
うん。最悪の曲だ。我ながら瞬時にこれが演奏できるのはすごいと思う。うん。これはまさにジャイアンリサイタル。最悪のメロディーだ。
『ワルツ・フォー・デビー』の美しい旋律から一転。劇団天球のメンバーはドン引きで、みんな僕をクソガキを見る目で見ている。
これは「ネコ」も逃げるだろう。あまりの不協和音にみんな耐え切れなくなって腰が引け始めている。これはすごく楽しい♪
素人が訳も分からずに、適当に鍵盤をたたいているのはまるで違う。純然たる不協和音の塊。
適当に鍵盤をたたいて、和音から音が外れているのが不協和音じゃない。それはただの下手な和音。
ドレミファソラシドはそれぞれ決まった周波数を持っている。ドは261.6Hzでレは293.7Hz、そして次のドは前のドの倍の532.2Hz。
それぞれの波が一定の周期で調和が取れて重なる物が協和音。そして全く調和がとれずに、ぐちゃぐちゃなタイミングで波が重なる音が不協和音。
僕はこの不協和音をボイシング(コード構成音として音を重ねるテクニック)でわざと重ねた。
多くの文化圏では、協和音が調和が取れて美しいとされていて、不協和音を楽しむ文化は多分そんなに多く無いだろう。
そして、音楽は音の調和と規則性を楽しむ文化だ。 しかし、こんな不協和音の連続のくせに、ベースがトロイメライのため、メロディラインに規則性が保たれる。
規則性の取れたメロディから放たれるえげつない不協和音の塊。
人は自分の価値観が全く受けられられない状況になると、体と心を守るため、自己防衛を行うようになる。
そうして自己防衛のために刺激されるのは、、恐怖、不安、悲しみ、怒りと言ったネガティブな感情
僕を挑発した阿良也は、挑発の方向性が完全に失敗した事を悟って、目を白黒させて耳を押さえている。顔色が真っ青になって来た♪
やつは感受性が高いからこの不協和音攻撃には耐えられないだろう。僕は他の劇団員を見渡す。
ふーん。この中で劇団員の中で感受性が特に高いのは阿良也で、後はそうでも無いのか。でも、なにか大切なことを忘れているような?
あっ、景ちゃんが真っ青になってしゃがみこんでいる。ヤバイっ。マジでやばい。
そうだ。阿良也よりも景ちゃんの方が感受性が高かったんだ!やばい。ちょっと軌道修正。
僕は、ボイシングした不協和音を転調して少しずつ少しずつ協和音へと変え、さらにドレミファソラシドで循環しながら「かっこう」の音感が判るように変調していく。
曲調が一緒なのに、とたんに不協和音が収まり、音に調和が生まれていく。曲調が変わらないはずなのに、劇団員の頭にハテナマークが付き始める。
徐々に、未知の音楽への「興味や好奇心、関心など」が刺激される。
しばらくそれを繰り返した後、ベースラインを加えてセッションさせる。
途端にジャズ調のノリの良いリズムに変わるトロイメライとおぼしき「たぬき」とのセッション。
音楽が共感され、「喜びや幸せ、楽しさ」が刺激される
そして、僕はアレンジで入れた各種テクニックをベースライン→ボイシング→アンティシペーション→ディレイドアタック→アルペジオの順に止めていく。
そして、最後に残った音楽が、シューマンの『子供の情景』第7曲 トロイメライ ヘ長調。
僕は「野ねずみの親子」に聞かせるように優しく、子ネズミの病気が治るように演奏していく。
みんなは名曲の本当の姿に「安心感や安らぎ、平穏」を覚えていく。
演奏を終えた時、劇団員達と一緒に来てくれたみんなは、万雷の拍手をしてくれた。
不要和音からの音楽は、不安、悲しみから始まり、楽しさ、安らぎに至るまで、人間の様々な感情を刺激した。
ある程度の年齢になれば感情が行き過ぎないように、そう言った物はフィルターでカットするけど、逆に感受性を研ぎ澄ましている役者は別だ。
景ちゃんは感情のコントロールが付かなくなって、ボロ泣きしていた。千世子ちゃんが景ちゃんを慰めていた。
阿良也も感情の処理が追い付かなくて涙を流しまくっている。
劇団員の何人かも同様に涙を流していた。
僕は阿良也に聞いた。
「ねぇ阿良也? ゴーシュが猫に弾いた『印度の虎狩』は、本当にダメな曲だったのかな? 僕にはそうは思えないんだよ。 だってゴーシュが猫に弾いた『印度の虎狩』は世界で唯一、ゴーシュしか弾けなかった曲なんだから。 そんなすごい曲を聞いて、それを認められなかったネコはそんなにかわいそうなのかな?」
「確かに、演奏が上達したゴーシュはみんなに好かれて共感されるようになったよ。 でもその代わり、ゴーシュは世界でただ一つのオリジナルであった自分自身の個性を失ったんじゃないかな?」
「ねぇ阿良也? 世界で唯一、自分ただ一人の個性があるけど理解されない人間と、他人に評価されるけれどもアイデンティティを失って代わりが居る人間。どっちの人間が幸せなんだろうね? 僕にはわからないよ。 君には答えがわかるかい?」
阿良也は戸惑ったまま何も答えなかった。
「はっははははっ。アキラ、阿良也をからかうのはそのぐらいにしたらどうだ? お前が演じているのは阿良也には判りにくいんだからな。」
「ちぇっ、せっかく、阿良也にマウントを取ろうとしたのに、巌のじっちゃんはなんでネタばらししちゃうのさ!」
「何の役を演じていたんだ?」
「新世紀エヴァンゲリオンの渚カヲルだよ。とりあえず哲学的な事を言っておけばそれっぽく聞こえて便利だから。声まで似せるとバレちゃうからせっかく地声でやったのにっ。」
「相変わらずのクソガキっぷりだな。なまじ技量があるからタチが悪いな。ハッハハハッ。」
巌のじっちゃんは僕の演奏と演技を観れた事でご満悦のようだ。
「さてと、」
僕は景ちゃんを慰めている千世子ちゃんの前に行った。案の定、千世子ちゃんは泣いてなかった。僕は千世子ちゃんの凄い所を撮ってみたくなった。
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星アキラ達は演劇を見に行く4
雪ねぇちゃんからビデオカメラを受け取った僕は、録画状態を継続したまま千世子ちゃんに話しかけた。
「ねえ、千世子ちゃん。僕の弾いた曲の感想を知りたいな。僕の曲の感想を演技で表現して見せてよ。」
「いいけど、私の演技料は高いわよ?」
「今度、お昼をご馳走するよ。」
「楽しみにしているわ。それでどうやって撮るの?」
普通の人はこの質問を受けたら、「ビデオカメラを持っているんだから、このカメラに決まっているじゃないか!」って言うと思うんだけど、この場合は違う。
「焦点距離は50㎜、F値はF1.8、ISO400、素子サイズ1/2.88、彩度調整0、コントラスト-1、ホワイトバランス+1、露出補正0、シャッタースピード1/100かな」
「見せて」
僕はビデオカメラの絵が映る液晶部分を千世子ちゃんに見せる
「カラープロファイルはあるの?」
「家庭用だから無いっぽい。多分S社らしい色使いの動画になっていると思う。」
「それだと、彩度強めのグリーンもちょっと強めね。 なら、ホワイトバランスは+2、彩度調整-1、露出補正-1って感じかしら。」
「こんな感じでいいね。シャッタースピードは1/100でいい? 1/60にも設定できるけど。」
「蛍光灯のフリッカーが怖いから1/100でいいわ。」
「どこで撮る?」
「50㎜だからそこに立って、こっちからそっちで撮って。」
僕がカメラを構えると、千世子ちゃんが自分で移動してポーズを決める。
ちょうど、胸から上。顔が中心になって、バストアップが映る構図になった。
窓から入った光はぼんやりとした逆光で、千世子ちゃんを後ろから照らす感じで入った。逆光だけど蛍光灯や外光の照り返しで彼女の顔が暗いという事は無い。
ビデオカメラの液晶画面を見るだけで判る。完璧な構図だ。彼女はレフ版や補助照明無しで、室内の光の配置関係からこの構図を作って見せた。
化け物染みた技術とセンスだ。さすがは千世子ちゃんとしか言いようが無い。
「OK。それじゃ行きます。」
「スターズ所属の百城千世子が先ほどの曲の感想を演技で表現して見せます。それでは3, 2, 1, スタート」
千世子ちゃんが演技を始めるのと同時に、少しざわついていた部屋の空気が、急に山奥の神社の境内のような、静かで厳かな空気に変わった。
洞窟の中の美しい泉に、女神様が降臨するとかそんな感じの神秘的な雰囲気。
周囲の人たちは突然の女神様の降臨に驚き、だんまりになり室内の空気が一変する。
彼女の芝居は、ただ胸に手を置いて、ちょっと上を見上げて一筋の涙が頬を伝う物だった。
ただそれだけ。
でもすべてを計算しつくして撮った彼女の演技はこの世の物とは思えない美しさがあった。
まさしく天使。 その演技は涙を流すという人間らしい感情の発露でありながら、人間を超越した美を感じさせた。
しーんと、部屋が静まり返る。
その中で、ひっくひっくと言った、景ちゃんの鳴き声が響き渡る。
僕はその後に、まだひっくひっくと泣いている景ちゃんの元に向かった。
「アキラさん、私、私っ」
「ねぇ景ちゃん、僕は景ちゃんの演技も見て見たいな。景ちゃんも曲の感想を演技で表現して見せてよ。」
「私頭がぐちゃぐちゃになって、それに誰を演じたらいいか判らなくてっ。ひっく、ひっくっ」
「それじゃ、夜凪景を演じてよ。いま夜凪景が感じた曲の感想をめいっぱい表現してみてよ。役者さんなのに、そんな風に感情を閉じ込めようとするのは良くないよ。」
「私? 私自身が感じた感想? 感覚? 上手く行かないかもしれないけれども、やってみます。」
「それじゃ、スターズ所属の夜凪景が先ほどの曲の感想を演技で表現して見せます。それでは3, 2, 1, スタート」
「うぁぁぁっぁぁぁあああああぁっぁぁぁぁぁっぁぁああああぁっぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁっぁぁあぁあ!!!!」
彼女は絶叫した。恐怖、不安、悲しみ、怒り、興味、好奇心、関心、喜び、幸せ、楽しさ、安心感、安らぎ、平穏、すべての感情が複雑に絡み合って混乱を来した叫びだった。
実に、野性的な叫びであり、何よりも理性的な叫びでもあった。
ケモノではない、様々な感情を持つ人間の叫び。人間を超越した演技を見せた千世子ちゃんとは全く逆の、自分が人間である事を見せつける演技だった。
僕はこの瞬間の二人の演技を撮影できた幸運を、存在するか判らない神様に感謝した。
叫んだ後、彼女は呆然として、パタンと膝をついた。思いっきり叫んだ事で、中に溜め込んでいた感情が発散したんだろう。
「景ちゃん、今はどう感じる?」
「お腹が空きました。」
「はっはははっ。最高の感想だよ。そうだよ。怒っていても喜んでいても、お腹は空くんだよ。最高だよ!景ちゃん。」
「巌のじっちゃん、これからみんなで打ち上げに行くんでしょ? 当然、可愛い子供の僕たちはただ飯でいいんだよね?」
「俺にただ飯をたかるとか、お前マジでクソガキになったな。そうだな。片付けは明日でいいし、それじゃみんなで打ち上げに行こうか!」
「わぁぁぁぁぁっぁ!」
劇団員から歓声が上がる。
「そんなわけで、僕達はこれから打ち上げに行きます。この動画が気に入ってくれたら、チャンネル登録といいねをしてくれたら嬉しいな。 それじゃまた!」
続いて、英語とフランス語、中国語の終わりの言葉を入れる。
そうして動画は終わった。
その後、みんなで屋形船の打ち上げに行き、劇団員との親交を深めつつ、僕たちはただ飯にありついた。
劇団員にも千世子ちゃんや景ちゃん、雪ねぇちゃんは大人気だった。
ちなみに、僕には阿良也がまとわりついてきた。
「やっぱり、君はあんな演技をするくせに、匂わないんだよね。うーん。不思議だなぁ・・・・。」
「人をクンクンしないでくれる? すごく変態くさいよ?」
「ワハハハハハッ。阿良也に気に入られて良かったじゃねえか! しかしあのアキラがこんなに元気なクソガキになっちまうとは。アリサは自分の行いにものすごい後悔しているだろうな。」
後日、動画をアップするとたちまち、3000万回再生に到達して、テレビの芸能ニュースやワイドショーでも大きく取り上げられる事になる。
狙い通り、海外の人の視聴回数が鰻登りで、まだ多くても1000万回再生に届かない多くの国内動画を大きく引き離す事になった。
やっぱりグローバルを狙った動画が当たるとすげぇ。
そして世間の注目が僕たちに集まった所で、『若草物語』の舞台公演が発表されるのであった。
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子役スレ Part382
203名無し@子役好き
そういえば、アキラ君のピアノ演奏の動画見た?
204名無し@子役好き
見た見た。いろいろ情報が多すぎてまじでやばかった。
最初はどんなクソ曲だよって思ったら、最後に聞いた事のある名曲になってビビった。
205名無し@子役好き
なんで劇団天球で演奏しているのかとか、多国語での自己紹介とか、千世子ちゃんと景ちゃんの演技とか、インパクトとツッコミ所がすごすぎた。
206名無し@子役好き
あのピアノ演奏、プロの人でも楽譜無しの即興演奏とか無理ってテレビで検証しとったで
207名無し@子役好き
あの曲は様々な感情が刺激されてやばかった。最初の入りとか最悪なんだけど、ただ、聞いた後にストレスが無くなってスッキリするんだよね。
208名無し@子役好き
わかる! いらいらとストレスをためている時に聞くと最高の曲。
逆に環境音楽として聞くと最悪の曲w
209名無し@子役好き
あの不協和音はすごかった。逆にあそこまでやられると、芸術ってこうなんだって思った。
ピアノが下手人間では絶対に出せない、純粋な不協和音の曲とかすごすぎだろ。
210名無し@子役好き
最初の自己紹介だと、セロ弾きのゴーシュの印度の虎狩のイメージなんでしょ?
でも最終的にトロイメライになるという神編曲w
211名無し@子役好き
音楽評論家の人がワイドショーで言っていたけど、編曲内容もセロ弾きのゴーシュの物語をなぞっているらしい。
ネコ(不協和音)→かっこう(音の循環)→たぬき(ジャズセッション)→ネズミの親子(トロイメライ)という物語を即興で弾いたらしくて、ものすごい技量だって言ってたw
212名無し@子役好き
アキラ君のピアノはまじですごいからな。
213名無し@子役好き
あの英語とかフランス語とか中国語の挨拶の意味が解らなかったけど、その後の再生数と書き込まれたコメントを見てやっと意味が解った。
214名無し@子役好き
世界の力はすげぇな。日本では1億2千万人でも全世界だと70億人も居るもんな。
普段日本語だけでしかやっていなかったから気が付かなかったけど、全世界にも発信しているんだな。
215名無し@子役好き
星アキラ、多言語ペラペラでやばすぎだろw
まじでビックリ箱だな
216名無し@子役好き
あの世界展開のアイデアはどこから来るのか
217名無し@子役好き
もう再生数が3000万回超えたからな。他の動画が1000万回とかイキっているのが悲しくなるわ
218名無し@子役好き
アキラ君の演奏の後の千世子ちゃんの演技もすごかったな。
219名無し@子役好き
どう撮るのか、話している時はさっぱり意味が解らなかったけれども、演技した映像を見て鳥肌が立ったわ
220名無し@子役好き
あれが判るアキラ君もすごいw
千世子ちゃんが演技を開始した瞬間に、部屋の空気が変わったのは凄すぎだった。
221名無し@子役好き
千世子ちゃんは本当に天使だった。この世の者とは思えなかったもの
222名無し@子役好き
ただ涙を流しただけだったのに、女神が降臨したのかと思ったわw
223名無し@子役好き
瞬間的に周囲の雰囲気が変わるのが天才すぎた。
224名無し@子役好き
景ちゃんの方もすごかった。
225名無し@子役好き
千世子ちゃんとは対照的だよね。あんな鳥肌物の演技をする子が普段アキラ君の放送のアシスタントをしているのが信じられんw
226名無し@子役好き
千世子ちゃんは圧倒されたけど、景ちゃんの演技はすごく共感した
227名無し@子役好き
あの叫びは本当に魂に響くようなすごい叫びだった。
228名無し@子役好き
悲痛とか喜びとかいろんな感情がごっちゃごっちゃになった叫びだったな
感情をそのまま表現しているだけなのに、すごく人間っぽかった。
229名無し@子役好き
そもそもあれは、最初の自己紹介やピアノ演奏の開始から景ちゃんの演技まで全部ノーカットだったから臨場感がすごかったw
230名無し@子役好き
千世子ちゃんと景ちゃんへの演技の依頼とか、アキラ君が渚カヲルの演技で阿良也を騙す所とか全部ノーカットでそのまま流したもんなw
231名無し@子役好き
アキラ君の演奏に感動して涙を流す阿良也君を煽る悪魔、星アキラw
232名無し@子役好き
さすがにあれは、やらせじゃないって判るわ。過程が全部ビデオに写っていてすごく新鮮だった
233名無し@子役好き
一発撮りで、あんな撮り方して成功させて、無編集で動画化するなんてプロの役者じゃないと本当に無理。
その辺のユーチューバーとかじゃあんな感じの動画を撮れないだろw
234名無し@子役好き
アキラ君、千世子ちゃん、景ちゃん、それぞれタイプが違う役者をかかえるスターズまじですげぇな
235名無し@子役好き
この子達、本当に子役なのに化け物じみているよね
236名無し@子役好き
実際、その辺の大人の役者とかでもよっぽどの人物じゃないと対抗するのは難しいだろ
237名無し@子役好き
アキラ君は両手に花でうらやましいゾ
238名無し@子役好き
アキラ君は、自分で花に変身できるから・・・。
239名無し@子役好き
キアラちゃんは、間違いなくこの二人に対抗できちゃうからなぁ。
両手に花って言われてもな~
240名無し@子役好き
なお、アリサママは相変わらず、キアラちゃんを生んだ記憶が無い模様w
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335名無し@子役好き
スターズからまさかの演劇のアナウンス。そしてメンバーがw
336名無し@子役好き
ちょっ、おまっ、なぜこのメンバーで若草物語をやろうとしたしwww
337名無し@子役好き
星アリサも息子(娘?)に洗脳されて、ちょっとおかしくなっている気がするゾ
338名無し@子役好き
祝!キアラちゃん公式デビュー!
そして公式デビュー先がいきなりのこの演劇wwww
339名無し@子役好き
いや、星キアラを話題に出すのであれば、明神阿良也だろww
なぜ長女にしたしww
340名無し@子役好き
脚本家と演出家の名前は知らないけど、演出協力:巌裕次郎の文字が強すぎるw
341名無し@子役好き
脚本家と演出家は、ヴェネチネ映画祭に入賞している監督だぞ。あんまり有名じゃないけど・・・。腕は確かなんじゃないかな?
342名無し@子役好き
巨匠・巌の秘蔵っ子、明神阿良也。 なお、全く秘蔵する気が無い模様w
343名無し@子役好き
巌裕次郎はシェイクスピアの演劇好きで女装男優も良く使うから、絶対にノリノリで阿良也を入れただろwww
344名無し@子役好き
母親・星アリサ、長女・明神阿良也、次女・百城千世子、三女・星キアラ、四女・夜凪景
全く死角は無い完璧な布陣だなw
345名無し@子役好き
>>344
死角しかないんですが、それは・・・。
346名無し@子役好き
スターで4番を集めた野球チームって強いんじゃね?とかいうツッコミ所満載の劇をマジでやりやがったw
星アリサ、中二病説w
347名無し@子役好き
遅れてきた中二病遺伝子が星アリサで覚醒?
やはり息子が明らかに中二病患者だから、中二病が感染したんだなwww
348名無し@子役好き
>>347
あの息子(娘)は中二病患者というか、中二病を現世にリアルに降臨させた存在と言うか・・・。
中二病は妄想の中だけで能力を発揮するだけで、リアルに外部に能力を発揮し始めたら別の病気だと思うのwww
349名無し@子役好き
誰が生き残るんだ? この若草物語? これは最後に生き残ったやつが勝者なんだよな?
350名無し@子役好き
仲良し四姉妹から始まる仁義なき演劇バトル。わたし、気になります!
351名無し@子役好き
ジョーは星キアラかと思っていたら、百城千世子とかすごく意外。でもどういう演技をするのか本当に見て見たい。
352名無し@子役好き
これ本当に児童文学なのか? 演目をバトルロワイアルと勘違いしていないか?
353名無し@子役好き
ひっこみ思案で心優しい三女が星キアラw
絶対に笑わせに来ているわwww
354名無し@子役好き
お前達は、四姉妹のうち半分は男だって事に違和感は無いのか?
355名無し@子役好き
もう、星キアラがしれっと混じっている時点で今更でしょうw
356名無し@子役好き
星キアラがあれなので、明神阿良也の女装も見て見たいとしか思えんwww
357名無し@子役好き
明神阿良也(女)VS星キアラ
真の女優はどっちだ!?(なお性別www)
358名無し@子役好き
スターズ発表のHP見てて、キャスト見たらお茶ふいたわww
359名無し@子役好き
明神阿良也なら、女役も問題なく出来そうで笑える。
カメレオン俳優の異名をここでも発揮して欲しいwww
360名無し@子役好き
対決なら、百城千世子VS夜凪景も見逃せない
天使の異名を持つ女性ナンバーワン子役と彗星の如く出現した天才子役とのバトルも気になりすぎるw
真の女性枠ナンバーワンを決めるバトルに胸がwktkするわ!
361名無し@子役好き
もはや、女性が女役を演じる方が違和感が出て来たわwww
362名無し@子役好き
母親・星アリサ(ツッコミ所満載)VS四姉妹(ツッコミ所満載)
の無差別級バトルも気になるわw
絶対に大惨事だろこれw
363名無し@子役好き
このメンバーで若草物語を題材にしたドリフでもやる気なんですかね?
8時だよ全員集合とか言われた方がまだ納得できるんですが・・・。
364名無し@子役好き
星アリサの復帰も大ニュースすぎるw
ワイドショーとかだと、こっちの扱いの方が凄いぞ
365名無し@子役好き
まぁ、ここは子役スレだから星アリサの復帰の扱いは小さいけれども、これも大ニュースだよな・・・。
366名無し@子役好き
どんだけ注目を集める舞台なんだw
そしてなぜこのメンバーで若草物語をやろうと思ったんだw
謎が謎を呼びすぎるw
367名無し@子役好き
やばい、801板で明神阿良也×星アキラ派と星アキラ×明神阿良也派、明神阿良也×星キアラ派、星キアラ×明神阿良也派、星キアラ×星アキラ派の戦いで内紛が発生してるw
368名無し@子役好き
>>367
めっちゃくちゃ、ややこしくて草
369名無し@子役好き
┌(┌^o^)┐ホモォ...
370名無し@子役好き
VIPPERを返り討ちにしたあの板が内紛は草
371名無し@子役好き
あいつら解釈が違うのはしょっちゅうだから、別に年中内紛しているゾw
372名無し@子役好き
舞台のチケット手に入れたいけど、チケット手に入るかな?
373名無し@子役好き
間違いなくプレミアムチケットだと思うぞ
374名無し@子役好き
是非私も見に行きたい!
374名無し@子役好き
これは期待が高まりまくりだな
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黒山墨字は台本作成に悩む
俺は配役が決まって、方向性も決まったがそもそも舞台の台本と構成をどうするかで悩んでいた。
若草物語のあらすじは前に話した通り、以下の内容だ。
19世紀のアメリカ、南北戦争中のアメリカで暮らす、マーチ家の物語。
マーチ家では父が戦地へおもむき不在のなか、優しい母と四人姉妹(メグ、ジョー、ベス、エイミー)は手を取り合ってつつましく暮らし、立派な「小婦人(リトル・ウィメン)」になるべく、姉妹は様々な経験を通して、失敗しながらも奮闘し、成長していく家族の物語。
この物語は、四姉妹のありきたりな日常を通して家族の絆や自分の生き方、お互いを助けあう大切さなどを説く物語になっている。
小説自体は、章で構成された小話の集合体で、それぞれの章はなんてことも無い四姉妹の日常が綴られている。
父親不在の1年の間の出来事を元に四姉妹の成長が書かれていく。
問題は、これが起承転結のような物語になっていない点だ。
小説の各章を読むと、四姉妹それぞれの性格や考え方が分るようになっており、それがまとまって1つの本となっている。
俺は、印象に残る話をピックアップした台本を書いていた。
しかし、全く持って筆が進まなかった。
しばらくした頃に俺の事務所に星アキラと一人の少女が訪ねて来た
「黒山さん、こんにちは~。アリサママから様子を見てこいって言われて冷やかしに来たよ♡」
「それで、こちらが最近、僕のチャンネルの映像制作を手伝ってくれている柊雪ちゃん。僕は雪ねぇちゃんって呼んでいるよ。今後監督とか映像作家を目指しているから連れて来たんだ。」
「始めまして。柊雪です。よろしくお願いします。」
「それで台本はできたの?」
「だめだ。行き詰まっている。」
俺は書けている部分をアキラ達に見せた。
アキラ達は二人でパソコンの画面をスクロールしながら台本を読んでいた。
「うーん。駄作だね。」
星アキラは俺の台本を一刀両断にした。
「それは判っている。それをどうすれば改善するかだ。」
「雪ねぇちゃん、どう思う? 原作の小説は読んでるんだよね?」
「はい。正直に言っちゃっていいんでしょうか?」
「いいよ。ここでオブラートに包んでも、誰も得をしないし。」
「なんていいますか、すごく薄い感じになっちゃっていると思います。原作だと文字なのに、美しい彩色が付いた絵のように姉妹の心情や動作が生き生きと浮かび上がるのに、この台本だと、ただあらすじをなぞっているだけに見えます。」
「それは台本だとセリフだけで、小説と違って地の文や心情の説明も無い。特に心情の表現は役者に任されるところが大きいから、簡素に見えるのは仕方がないと思うが。」
「確かにそうかもしれません。でも若草物語は150年も読み続けられてきて、今でもファンが沢山居る物語ですよね。小説を読むと、なんていうかただの日常的な話ではなくて、彼女たちの生き方に共感して、強烈に引き込まれる魅力があるんですよね。この台本だとそれがイメージできないというか・・・。」
「そうか! 共感か! 若草物語は少女のための物語だ。 俺から見ると、「こいつらめんどくせー」みたいな話でも女性から見ると、全く違った見方や考え方があるのか!」
「おい、アキラ、こいつを借りるぞ!」
「貸してもいいけど、ちゃんと遅くならない時間に家に帰す事と、送迎することを約束してね。無いとは思うけど雪ねぇちゃんを襲ったりしたら警察呼ぶから。雪ちゃんも、何か怪しい事されたら、すぐに僕か警察に電話してね。約束だよ!」
「わかった。わかった。それじゃお前はとっとと帰れ!」
星アキラは帰って行った。
それで俺は残った柊雪に原作の小説を見せて、それぞれの文でどういう感想を抱くのかを聞いて行った。
当初の俺の台本は、俺は四姉妹の家庭生活を介して、家族との絆を劇の中心にするつもりだった。だからガラスの仮面と同じく、ベスの病気をクライマックスとして家族の繋がりを表現するつもりであった。
だが、柊雪の感想を聞いているうちにむしろ、個性豊かな四姉妹を、それぞれを自立した正当な一人の人間として扱い、お互いに協力し、または意見をぶつけ合って、家族として、それぞれの立場を認め合うと言う、四姉妹それぞれの大人の女性への成長と、対になるように、少女のままでいたいという心情や心の葛藤という描写が劇のキーとなる事が判った。
そして、そういった大人への成長や自分の置かれている立場の制限に、いつの時代でも数多くの少女が共感するからこそ、若草物語は150年以上も読み続けられた偉大な物語となっていたのだ。
最大の問題は、四姉妹の参加メンバーの誰一人として、大人の女性なんて理解しておらず、そのうち二人は女性ですらないが、あのメンバーなら何とかするだろう(笑)
さっきまでの行き詰まりは解消して、俺は脚本に集中した。
俺が脚本を書いている最中に、柊雪はお茶を出してくれたり、いろいろ手伝ってくれた。
監督や映像作家を目指しているのであれば、高校生になったらうちでバイトしないかな?
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百城千世子は苦悩する
私は台本を受け取ってからジョーの役作りにずっと悩んでいた。
ジョーは愛称で、正式な名前はジョセフィン。
全世界の女性に、そのままジョーの愛称で親しまれているこの女の子は、型破りでボーイッシュ、直情的な性格で意地っ張りと私とは正反対の女の子だった。
そして若草物語で最もキーとなる女性。
私は台本を元に鏡の前でジョーを演じて見た。
鏡の中では天使が美しい流れるような演技をしている。しかしこれはジョーでは無いと直感で判ってしまった。
ジョーはもっと人間臭くて沢山の欠点を持った等身大の女の子でありながら、社会に反発し、男を目指して自立を重んじる人間という、難しい大役を私は持て余していた。
何度も若草物語の原作小説を読んだり、台本を読んだりして考えた。
ジョーという人間は穿った見方をすればすごく偏屈に見えるけれども、同時に物語を読む少女達に強烈な共感を与える不思議な魅力にあふれたキャラクターだった。
私はこの魅力を役として表現できていなかった。
まさしく今の私は、前にアリサさんが言った通り『百城千世子』の演技しかできていない状態だった。
いくら役作りに悩んでも時間は経過していく。そして台本の読み合わせの日が来てしまった。
そして読み合わせの日に私はショックを受ける事となってしまう。
アリサさんが完璧で、アキラちゃんは先入観を持たないで周囲に合わせて役を調整するために相変わらず素読みだったのは予想の範囲内であったが、阿良也君と景ちゃんの二人も完璧に役を仕上げてくるとは思っていなかった。
阿良也君なんて、男でありながら女の私でも見惚れるほどの演技を見せた。いや、男だからこその倒錯した感情を利用して、女性としてのメグの魅力が増していた。
そして景ちゃんもエイミーを完全に仕上げていた。
おそらく、最近のアキラちゃんを見ていると、アキラちゃんも本番ではベスの役を完璧に仕上げてくるだろう。
ジョーとエイミーは二人とも癇癪持ちで、何かとお互いに張り合う間柄だ。
台本の読み合わせの時点で、私と景ちゃんの完成度は全く違った。
景ちゃんはすでに完全なエイミーを演じていた。エイミーを演じながらジョーである私に張り合う景ちゃんに私は押されていた。
私の台本の読み合わせは最悪の出来だった。
アリサさんや周囲の人もそう思ったのかもしれなかったが、特に何も言わなかった。自分で乗り越えて見せろということ事だと思う。
でも私にはどうすれば良いのか、判らなかった。
綺麗なだけの自分を演じてきた私には、ジョーの役が掴めなかった。
私がアキラちゃんと私の机がある隠し部屋の隅で膝を抱えて固まっていると、アキラちゃんが来た。
「うゎーーー。千世子ちゃん、悩んでいるねー。」
アキラちゃんはジョーの役が掴めなくて、本気で悩んでいる私を見て能天気なコメントをしてきた。
むかつく。普段ならなんとか許せたかもしれないけど、今は心底むかついた。
私は殺気が宿った目でアキラちゃんを睨んだ。
それを見たアキラちゃんが私に言った。
「すっごくいい表情をしているよ。まるでジョーみたいだ。」
アキラちゃんはそういうと、机の上にある手鏡で私に私の表情を映して見せた。
そこには普段の演技で見せる極上の天使は映っておらず、ブサイクに睨む私自身が映っていた。
「ねぇ千世子ちゃん、自分で見てジョーっぽいとは思わない?」
「ふざけないで、こんなの全然ジョーなんて演じてないじゃない!」
「そうなの?でも今の千世子ちゃんは誰よりもジョーを演じていると思うよ。」
「アキラちゃん、酷いっ、私をからかうのも大概にして欲しいのっ。」
「ジョーというのは、今の何倍も女性の生き方が決められていて、みんながそのレールから外れられない時代に、男であったり自立を望んだり、女性としても求められる価値観にとらわれない自分に対して、悩み抜いているよね。」
「そして、その中で自分との関係、つまり社会や家族、友人たちとの間に折り合いをつけていく事での葛藤や成長が沢山の人たちに共感されているんじゃないかな?」
「若草物語の四姉妹の中で圧倒的に人気があるのはジョーだよ。人間は生きる上で他の人たちと関わるのに少なからず葛藤があるんだよ。多感な少女であればなおさらだと思う。そんな少女に、葛藤しながらも自立して生きるジョーという人間は、どんな時代であってもすごく魅力的に映るんだ。」
「今の千世子ちゃんは、スターズの子役として敷かれたレールと、沢山の期待の中でジョーという役を演じられない自分にプレッシャーを受けるジョー自身や、若草物語の読者そのものじゃない?」
「ねぇ?今の千世子ちゃんから見て、ジョーはすごく魅力的な人間に見えないかな? 千世子ちゃんはそんなジョーを演じてみたくは無いの?」
アキラちゃんから手鏡を受け取って、私は自分の顔を見た。
アキラちゃんから話を聞いた後の私の顔は、演技をしているわけではないのに、自然に口角が上がって笑顔になっていた。
自分が普段、演技をしている天使じゃない人物が、こんなに自然で魅力的な笑顔を浮かべるのを見て、私は衝撃を受けた。
私は常にカメラ映りや、観客の目を見てそこに映る演技をしている姿こそが、これまで最高の自分だと思っていた。
でも今手鏡に映っている自分は違う。観客の目なんて気にしていないのに、今までより何倍も自然で人間臭い笑顔をしていた。
今までの私なら、自分が演じている最高の笑顔を見せるべきで、こんなふうに素の自分が浮かべる笑顔を観客に見せるべきでは無いと思っていた。でも今の私はこの顔を観客に見てもらいたくなった。
「ありがとう。アキラちゃん。何か掴めた気がするわ。やっぱり持つべきは頼りになる幼馴染よね。」
「どういたしまして。」
「でもアキラちゃん、ジョーをそんなに語れるって事は、キアラちゃんにジョーが配役されると思っていたから陰で練習していたんでしょう?」
「ちぇっ、千世子ちゃんなら判っちゃうよね。そうだよ。僕にジョーをやらせてくれれば、若草物語史上、最高に自由なジョーを見せられたのに、千世子ちゃんに役を取られてすごく悔しいよ。」
本気で悔しがるアキラちゃんを見て、私は自然に笑った。
「若草物語で後世に語り継がれるような最悪の汚点を残すわけにはいかないわ。私が最高のジョーを演じてみせるわ。」
「それでこそ、千世子ちゃんだよ。でも千世子ちゃんを焚き付けすぎて、僕はちょっと怖いよ。」
この後、アキラちゃんと少しお話した後に、私はアリサさんの元へ行き、あるお願いをするのであった。
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星アキラは疑似家族を形成する
数日後の夕食時に帰ってきた僕は驚く事となった。
「阿良也と千世子ちゃん、何で僕の家に居るの?」
「阿良也君と私は、この家で家族としてしばらく暮らすことにしたからよろしくね。」
「俺も同じく。アキラのお兄さんになるのでよろしく。」
「ちょっとアリサママ! どういう事なの!?」
「千世子が役を作りたいって言うから、阿良也君を誘ってしばらく暮らしてもらう事にしたのよ。」
「千世子ちゃん、それでいいの!?」
「私は一人っ子だったし、今まで大家族での生活経験も無いので、そもそもちゃんとした役作りができていない事に気が付いたの。だからアリサさんにお願いしてしばらく一緒に暮らす事にしたのよ。」
「これなら舞台の練習の時間も取れるし、役作りもできるし理想的な環境だわ。」
「私も子供が沢山増えたみたいで、すごく嬉しいですよ。」
夜凪ママが言った。
「みんなで家族になるのすごく楽しみですっ」
景ちゃんも同意した。
あれ?おかしいのは僕だけなのかな? みんな役作りでこんな風に一つ屋根の下、家族で暮らすのは当たり前なのかな?
「・・・・いや、阿良也と僕が千世子ちゃんや景ちゃんと一緒に暮らすとか大スキャンダルじゃないか!!」
「別に? そもそもあなたと景ちゃんが一緒に暮らしている時点で今更でしょう。」
「それに千世子の寝る場所は夜凪さんの所の離れになる予定よ。マセガキの貴方が心配する事態にはならないわよ? そもそもあなた千世子を襲うつもりなの?」
「うっ、そんな事ある訳ないじゃん!」
「精通も終えていない純情チェリーボーイが千世子を襲う勇気なんてないものねぇ。」
アリサママはニタ~と笑った。
「あっ、アリサママ!? どうして僕のトップシークレット情報を? 思春期の僕が非行に走るぐらいのショックを受けたんだけど!」
「トップシークレットも何も、放送であんなに大っぴらに言ってたら分るに決まっているじゃない。ちなみに、本当に千世子や景ちゃんに手を出したら事務所の屋上から簀巻きにして吊るすので忘れない事ね。 阿良也君も同じよ!」
「はーい。わかりました。」
「ぐはっ。僕の純情が!!」 僕は口から魂が抜けだして、真っ白になった。
「それじゃおいしいご飯にしましよう。」
「相変わらずアリサママが仕切っているけれども、ご飯を作ってくれているのは夜凪ママなんだからね。」
そんな訳で、僕達は疑似家族として一緒にご飯を食べ、TVや団らんの時間を過ごし、舞台の練習をした。
しばらくそんな家族生活をしていると、みんなで若草物語の配役の演技をしたまま日常生活を送るようになった。
・・・こいつらどこまで役者バカなんだ・・・。
食事の時なんて、決まってジョーとエイミーのバトルが始まる。
「ジョーそれ取って。」景ちゃんが千世子ちゃんに要求した。
「エイミー自分で取れるでしょ? 自分で取らなかったら体を動かさなくなって、ブクブク太るわよ。」
「ジョーの馬鹿! レディーになんて口を利くのよ! そんなこと言うなら、今度お風呂に入った時に、ジョーの大切にしているシャンプーを使い切ってやるんだから!」
「まぁ何て事を言うのかしら!この子は!」
「二人とも静かにしなさい。お母さまがご不在の状態でもリトル・ウィメンとして、相応しい態度を取らないとだめよ!」
「あっ、あのっ二人とも、ケンカは良くないと思うの! みんなで美味しく食べましょう?」
「「ベスは黙っていて!」」
僕は特に千世子ちゃんがジョーの演技をしたまま日常を過ごす事に、僕は驚きを覚えた。
「千世子ちゃんが、日常的にジョーの演技をして過ごすとは思わなかったよ。どう言う心境の変化なの?」
「私も今まではそう思わなかったわ。 私はこれまで他の人を客観的に観察して、他の人の目を通して演技をしていたわ。だから自分の演技とメソッド演技は相容れないものだと思っていたわ。でも違ったのよ。」
「確かに私は、阿良也君や景ちゃんみたいにメソッド演技を極める事は出来ないわ。 でも自分の演技にメソッド演技的な物の考え方や技術を生かすことはできる。そしてそれを生かして、客観視してフィードバックすることで、自分の演技として落とし込めれば良いのだわ。」
「私はメソッド演技をする役者にはなれないけれども、だからと言ってメソッド演技の手法を否定する必要は無かったの。 役になり切る経験は私の演技に伸びしろを与えてくれる事に気が付いたの。」
「多分、アリサさんが前のままだったら、絶対にこんな事できなかったし、これを教えてくれたのはアキラちゃんだよ。だからアキラちゃんにはすごく感謝しているの。」
「うーん。 感謝してくれるのはいいんだけど、僕は千世子ちゃんと言う眠れる獅子を起こしちゃった気がするんだよね・・・。」
「アキラちゃん、覚悟しておくことね。 私達の若草物語は最高の舞台になるわ。 アキラちゃんもそう思うでしょ?」
「うん。そう思うよ。」
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【ハロウィン記念】ちょっと未来のハロウィンのお話
時は十月末、つまりハロウィンだ!
前世の私は、アメリカでもハロウィンを楽しんでいたが、日本に戻った後もコスプレをして日本独特のハロウィンのお祭りを良く楽しんでいた。
ちなみに、前世の私はVTuberのコスプレを良くしていたが、今はまだ存在しないので今世の僕は何か新しいコスプレを考える必要がある。
今世でも日本でハロウィンが徐々に盛り上がる時代に入りつつあるんだ! 僕も楽しむべきだよ!
日本のハロウィンの特徴はただの悪魔の仮装ではなく、コスプレになること。ハロウィンの仮装と日本人のマニアックさが融合した結果、コスプレチャンポンの謎のお祭りが爆誕することになったんだぞ。
今年は、池袋ハロウィンコスプレフェスの第一回目ということで、僕も参加することにしたよ。
池袋ハロウィンコスプレフェスは、コスプレをしたまま池袋の街を散策できるっていうイベントで、有料だけど街ぐるみで理解があるイベントだね。
公式にコスプレをしたまま街を散策できるので、安全性も高いし。
渋谷ハロウィン? 知らない子ですね。 数年後に軽トラが倒されて大炎上するんだろうな・・・。(遠い目)
それで、今回のモチーフは子供らしく『オズの魔法使い』でまとめる事にしたよ!
そんな訳で僕達の正体が判らないように、仮装して一緒にハロウィンで遊んでくれるイカれたメンバーを紹介するぜ!
ドロシー:千世子ちゃん(百城千世子)
臆病なライオン:景ちゃん(夜凪景)
脳の無いかかし:阿良也(明神阿良也)
心が無いブリキの木こり:僕(星アキラ)
トト(ドロシーの子犬):いちごお姉ちゃん(朝野市子)
オズの魔法使い:七生姉さん(三坂七生)
北の魔女:夜凪ママ(保護者)
東の魔女:蓮姉ちゃん(環蓮)
西の魔女:アリサママ(保護者)
カメラマン:雪ねぇちゃん(柊雪)
・・・・どうしてこうなった!?
最初はちょっと正体が判らない被り物とかで1人で参加するつもりが、千世子ちゃんにバレて千世子ちゃんも一緒に行く?って聞いたら、景ちゃんにバレて、そして芋づる式に・・・。
なんでこんな人数が集まるの!? こんなメンバーで正体がバレちゃうと、すごくヤバいよ!
まさか蓮姉ちゃんやアリサママまでコスプレしてついてくるとは思わなかったよ。
そして別の所で集まって、現地に行き、指定された着替えエリアでコスプレをしてみんなで集まった時に僕は後悔した・・・。
なんていうか、完成度が違った。仮装している中に本物が混じっているような、そんな違和感がする。
ヤバいよ。
「ちゃんと私だって判らないようにしてきたわ。」
・・・千世子ちゃん、千世子ちゃんだって判らないかもしれないけど、可愛すぎるからね。 もう普通の女の子の水準とか遥かに超えちゃっているからね。実物のドロシーも、たぶんこんなに可愛く無いからね?
「あっ、アキラさん、私はどうでしょうか? うっビクッ」
景ちゃん、確かに着ている服は可愛いライオンをモチーフにした服だけど、コスプレなんだから臆病なライオンを演じなくてもいいんだよ? 可愛いすぎてヤバいし、別の意味ですごい存在感だよ?
「二人とも、そんなに可愛いと目立っちゃうわよ、ちゃんと目立たないようにしなきゃね。」
いちごお姉ちゃん、大変残念なお話なんだけど、トトはドロシーの子犬なのは判るんだけどミニスカ、ケモミミ、しっぽ、肉球手袋とか完全に狙っているよね?『けものフレンズ』はまだ先の話だけど普通にフレンズで居てもおかしくないからね? どうしてそんなマニアック路線で攻めて来たのさ。
そもそも、このメンバーで目立ちにくいだけで、君も相当に可愛い事を忘れているよね?
「・・・・・・・・・・・」
阿良也・・・。だからカカシになり切らなくていいんだからね。衣装も気合が入っているし、カカシのパントマイムも不要だよ。
道行く人たちが阿良也が動くたびにビクッってしているじゃないか。衣装だけでもカカシなのに、中身までカカシになり切ったら他の人と空気感が違いすぎるよ。
阿良也なら劇で木の役をやっていても、主役を差し置いてみんなの注目を集められるんじゃないかな。今は全く不要な技術だけど。
「やあやあ、みんないい感じで来たわね。これぞコスプレって感じよね。」
七生姉さん、その気合の入った魔法使いの衣装は何? 他の人達と明らかに完成度が違うよ。 明らかにコスプレガチ勢が参入していて、一人で立っているだけでもカメラを持った人たちが寄ってくる完成度だよね?
あと、みんなに対抗して、演技する必要も無いからね? 明らかにコスプレ上級者だし判っていてやっているよね?
「アリサさんの舞台衣装を手直ししてみたんです。どうでしょうか? 景の衣装も私の手作りなんですよ。」
夜凪ママ・・・。そういえば景ちゃんはこのお母さんの血を引いているんだよね。景ちゃんと仲睦まじく一緒にコスプレ衣装を作って楽しそうだったよね。親子仲良くすごく良い光景だったよ。
北の善き魔女の衣装が優しい夜凪ママとマッチしていて、すごく素敵だよ。・・・素敵すぎるんだよ。 やっぱり水準を大きく超えているんだよ。
景ちゃんの美貌は夜凪ママから継承された事を忘れていたよ。景ちゃんと手を繋いで歩いていてもみんなガン見か、振り返って二度見しているからね? 昔のやつれている時と違って今は美人すぎるよ。
ちなみに今日はルイ君とレイちゃんは近所の保育施設に預けてあります。夜凪ママも用事がある時に良く預けている施設なので安心だね。
「みんな気合が入っていいじゃないか。今日は楽しめそうだね。」
環お姉ちゃん、何? ピチピチ女王様風の悪そうな魔女は? 確かに悪い魔女だよ? でも戦隊ものの悪役として出て来て、そのままTV出演できるぐらい違和感が無い完成度はまずいでしょ?
コスチュームというよりも、全体の雰囲気づくりで悪の魔女として違和感が無さ過ぎなんだよ。
ほら、案の定、仮面ライダーや戦隊もののコスプレをしている人に声をかけられて写真をねだられているよ。まぁ、楽しそうだからいいけど、一緒に写真を撮っている人も環蓮だって気づいていないからいいのかな?
「みんな見分けが付かないし、本物っぽいからこれなら安心ね。」
・・・・アリサママ、保護者だって付いて来たけど、絶対に楽しみにしてたよね。コスプレは本物っぽければいいって訳じゃないんだよ。
もう悪の魔女そのものなのよ。 確かに西の魔女は、オズの物語のラスボスだよ? アリサママだって判らない完成度だよ? でも警察を呼ばれるぐらい邪悪な魔女になり切るってどうなの?
正直な話、僕は一緒に歩きたくないんだけど。 なんていうか、睨むだけで人を殺せるぐらい邪悪な感じがして、アリサママを見た子供が泣いているんだけど・・・。なんで本気を出しちゃったのさ? もう気配や雰囲気が実物を超えているのよ。
こんな西の魔女に挑んだドロシーはすごすぎるよ。こっちもたぶん、本物の方がもっと優しい雰囲気だと思うよ。
ドロシーの千世子ちゃんと西の魔女のアリサママが手をつないで歩いていると、事案としか思えないんだよ。
「思い出の写真やビデオは任せてください!ばっちりと撮影しますよ!」
雪ねぇちゃんも気合を入れている。このメンバーを前に映画製作者を目指す彼女の魂に火が付いたのだろう・・・(遠い目)。
「そういうアキラはなにかがっかりな感じなのね。みんなコスプレをがんばって来たのに、そんなダンボールとアルミ箔で作ったブリキの木こりで恥ずかしくはないの?」
「違うんだよ! コスプレにはある程度のがっかり感が必要なんだよ。 本物に似せたい欲求はあるけれども、本物を超えちゃダメなんだよ!」
「周りの人たちを見てよ! 確かにコスプレをしているけれども、例えば悪人のコスプレをしていても中の人は悪く無さそうでしょ? 好きなキャラクターに仮装して楽しむ感じなんだから、中のキャラまで似せなくていいんだよ!」
「アキラ君もコスプレに興味があるんだと思って一緒に来たけど、中の人がみんな非凡だと本物よりも本物っぽく見えるから不思議ね。これはコスプレの域を超えているわね。」
「そもそもコスプレって、衣装だけが立派で演技が伴わないって意味もあったりするけれども、衣装と演技が伴うとこうなっちゃうのね。 本当に別の意味で浮いているわ。」
「七生姉さん、これまずくない? これで正体がバレちゃったら大騒ぎだよ。」
「大丈夫よ。公園とかの撮影ポイントにでも行かない限り、これだけ極まっちゃったメンバーで街を散策していて声をかけられるほど、勇気がある人は少ないと思うわ。」
「ある意味、ここまで本物志向で周りに浮けるのがすごいわ。 このグループはコスプレをして家族連れのレジャーに来ているって誰も思わないだろうけど、実はそれが正解なんだからすごく笑えるわ。」
僕達は、アリサママを先頭に立たせて池袋の街を散策した。 アリサママが歩くとモーゼのごとく人混みが真っ二つに分かれていくので、すごく歩きやすかった。
左右に人が分かれるので後ろに付いている僕は、パレードか何かに参加しているような気分だった。確かにこれは僕たちに声をかけられない(笑)
なんやかんや言って、コスプレをしての街の散策はすごく面白かった。
普段の街の散策もマスクやメガネなんかで変装して歩くけれども、みんなコスプレをして歩く非日常の風景を見て楽しんでいるようだ。
みんなでふざけ合いながら、街を一回りした。
考えてみれば明らかに未成年+大人の組み合わせ。 メインのゾーンとなる20歳前後の年齢ラインを見事に外しているこのやばい集団に声をかけられる人など居なかった。
そんで散策もすんでみんなで写真でも撮って終わろうと思っていたら、そんな僕たちに声をかけてくる人が居た。
「こんにちは。ニフニフ動画なのですが、こちらでニフニフ生放送のコスプレステージをやっているのですが、皆さんご出演されませんか?」
「えっ、でも僕たちは遊びに来ただけなので、そういうのは・・・。」
「アキラやるわよ。役者なら演技を見せられてなんぼよ。せっかく衣装を着たんだからちゃんと演技するのよ?」
「アリサママ、そんなにやる気にならなくても・・・。大騒ぎになっちゃうじゃん。素直に帰って楽しい思い出で終わろうよ。ねっねっ?」
「アキラ君、やるわよ。」
みんなやる気になっていた。衣装だけを着て演技をしないのは、役者として逆にフラストレーションが溜まる面もあったことに、僕は遅まきながら気が付いた。
役者魂に火が付いてしまったらしい。
そして、アリサママはプロデューサさんの元に行くと、特別ゲストとして10分間の出演時間をもぎ取ってきた。
いや、遊びできているんだから、敏腕社長の手腕を発揮しなくていいんだからね。
司会者「それでは、次のチームです。えーと、特別ゲスト?のチームオズの魔法使いです。それではどうぞ!」
東の魔女「我は東の魔女、今日も東のマンチキンランドの民たちを虐げてあげるわ!」
ドロシー「竜巻で巻きあげれて、きゃぁぁぁぁっぁあ」
東の魔女「ぐぇぇぇっぇっぇ。」
北の魔女「悪い東の魔女をやっつけてくれてありがとう!」
司会者「えっ?えっ? これは一体・・・。」
そこから始まる10分間のオズの魔法使いをモチーフとした即興劇。
事情を知らされていなくてオロオロする司会者をしり目に、プロの演技を見せる謎集団。最後は圧倒的な存在感を誇る西の魔女に水をかけてやっつけて大団円。
「それじゃ、劇を見てくれて、ありがとうございました~。」
みんな( ゚д゚)ぽかーんとする中、即興劇が終わった後、誰一人、名乗りもせずに、みんなで礼をして、僕達はそそくさとその場を逃げ帰ったのであった。
「みんなノリが良すぎるよ。これは絶対にバレちゃったよ。でも面白かった!」
そして案の定、この後。ニフニフ動画や匿名掲示板、SNSなどでお祭りが開催されるのであった。
こうして、僕たちの楽しいハロウィンは終わりを告げた。
なお、このお祭りのおかげか、まだ日本のハロウィンの知名度がまだそう大きくない時代に、ハロウィンと言えばこのメンバーというまでに知名度が上がり、これ以後ハロウィンが来るたびに一緒に劇をやったメンバーには、毎年様々な仕事の依頼が舞い込むことになるのであった。
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【ハロウィンおまけ】ハロウィンステージ視聴スレ
523名無し@ハロウィン視聴者
うーん。池ハロは初回だけあって、まだ有名なレイヤーさんとかも少ないのかな?
524名無し@ハロウィン視聴者
でもチケットとかは結構売れたみたいだぞ
525名無し@ハロウィン視聴者
ニフニフが完全バックアップだからな。ある程度のコスプレイヤーさんとかも出ているみたいだ
526名無し@ハロウィン視聴者
現地ではニフニフスタッフが声をかけてステージに誘導しているみたいだし、ステージに出てくれる人はまだ少ないみたいだな。
527名無し@ハロウィン視聴者
まぁ、いきなりステージとか厳しいよな
528名無し@ハロウィン視聴者
基本的に、コスプレが趣味の中の人たちは陰キャが多いからなぁ・・・。
529名無し@ハロウィン視聴者
ドラクエのコスプレだw
530名無し@ハロウィン視聴者
勇者の鎧とかすごく柔らかそうだけどいいな。魔法使いの子もかわいいし。
531名無し@ハロウィン視聴者
やっぱりこういうのわいわいと友達作って来ると楽しそうだな
532名無し@ハロウィン視聴者
見ているこっちもホッコリするわ
533名無し@ハロウィン視聴者
おおっ、エヴァの被り物だ
534名無し@ハロウィン視聴者
こっちは気合が入っているな
535名無し@ハロウィン視聴者
ハロウィンとはいったい・・・・
536名無し@ハロウィン視聴者
今更だろw
537名無し@ハロウィン視聴者
結局コスプレしていろいろ楽しむお祭りだからな
538名無し@ハロウィン視聴者
フレディ・マーキュリーwww
539名無し@ハロウィン視聴者
タンクトップにムキムキで熱唱w
540名無し@ハロウィン視聴者
これはムキムキ野郎の定番wwww
541名無し@ハロウィン視聴者
すごいインパクトだwww。そして下手な歌を熱唱で大草原w
542名無し@ハロウィン視聴者
英語喋れねぇのかよwww。なんだよそのカタコトの日本語はw
543名無し@ハロウィン視聴者
この残念な感じがたまらない。まさにコスプレwwww
544名無し@ハロウィン視聴者
こういう事を恥ずかしげもなくできる大人になりたいわw
545名無し@ハロウィン視聴者
あー面白かった。
546名無し@ハロウィン視聴者
次は、オズの魔法使いか。 特別ゲストってなんぞ?
547名無し@ハロウィン視聴者
司会者さんも、いきなり後ろの人に紙を渡されて読んでいるみたいだから、判ってないみたいだな。
548名無し@ハロウィン視聴者
東の魔女すげぇ、マジで本物臭い。 声や雰囲気が違う。
549名無し@ハロウィン視聴者
えっと、これコスプレなの?
550名無し@ハロウィン視聴者
ドロシーかわええっっ、誰これ?
551名無し@ハロウィン視聴者
カメラアップでこの目線、もしかして百城千世子じゃないの?
552名無し@ハロウィン視聴者
そんな馬鹿な、こんな所に出るはずが・・・。
553名無し@ハロウィン視聴者
トトwww
554名無し@ハロウィン視聴者
子犬wwwww
555名無し@ハロウィン視聴者
顔とほくろで判る。これ絶対に朝野いちごちゃんだw
556名無し@ハロウィン視聴者
いちごちゃんかわいすぎるw
557名無し@ハロウィン視聴者
そしてレイヤーどもに見せつける子犬の演技www
558名無し@ハロウィン視聴者
子犬うめぇwww。完全に擬人化して出てきた愛玩動物じゃねぇかwww
559名無し@ハロウィン視聴者
じゃあ、ドロシーはやっぱり千世子ちゃん!?
560名無し@ハロウィン視聴者
えっ、じゃあこの東の魔女ってやっぱり環蓮なの!?
561名無し@ハロウィン視聴者
どうなっているんだ、このメンバーは!!
562名無し@ハロウィン視聴者
顔をアップで映さないとだれか判らないけど、逆に声と顔アップがされると判るな。
563名無し@ハロウィン視聴者
さっきまでのほのぼの雰囲気が一変、カメラさんも本気モードにwwww
564名無し@ハロウィン視聴者
明らかにカメラアングル違うだろwwww
565名無し@ハロウィン視聴者
いきなり劇場と化してて草
566名無し@ハロウィン視聴者
北の魔女は誰? すんげー美人なんだけど。
567名無し@ハロウィン視聴者
判らん。でもこれだけ綺麗なら関係者じゃね?
568名無し@ハロウィン視聴者
誰なんだろう?でも見覚えもある気がするんだよな
569名無し@ハロウィン視聴者
かかしwww
570名無し@ハロウィン視聴者
かかしすごすぎwww
571名無し@ハロウィン視聴者
正直カカシにしか見えない
572名無し@ハロウィン視聴者
カカシが動いているのがすごい不気味
573名無し@ハロウィン視聴者
顔のアップで判ったwwww
574名無し@ハロウィン視聴者
明神阿良也、こんなところで何しているんだよ!!
575名無し@ハロウィン視聴者
みんなアップにしないと判らないけど、続々と有名人出てくるこのチームなんなの?
576名無し@ハロウィン視聴者
油の切れたブリキの木こりwww
577名無し@ハロウィン視聴者
油の切れた機械っぽい動きがすげぇ
578名無し@ハロウィン視聴者
コスプレは残念な感じなのに、マジでブリキの人形みたいだ。
579名無し@ハロウィン視聴者
あっ、声で判ったww
580名無し@ハロウィン視聴者
こいつ星アキラだろwwww
581名無し@ハロウィン視聴者
マジか、星アキラと愉快な仲間たち御一行だったかwww
582名無し@ハロウィン視聴者
こいつら、まじで何やっているの?
583名無し@ハロウィン視聴者
このドッキリは絶対に星アキラのせい。
584名無し@ハロウィン視聴者
臆病なライオン超かわいいww
585名無し@ハロウィン視聴者
かわいすぎだろ!! 千世子ちゃんとタメを張っているぞ!
586名無し@ハロウィン視聴者
演技もすげぇ、絶対に夜凪景だこれ!
587名無し@ハロウィン視聴者
アップで判った。やっぱり景ちゃんだww
588名無し@ハロウィン視聴者
まさかのあの伝説の若草物語オールキャストwww
589名無し@ハロウィン視聴者
オズの魔法使いは三坂七生かよwww
590名無し@ハロウィン視聴者
豪華メンバーすぎるだろこれwww
591名無し@ハロウィン視聴者
魔法使いのコスチュームが気合はいりすぎだろw
コスプレにプロの仕事を持ち込むなw
592名無し@ハロウィン視聴者
この西の魔女はまさか・・・・。
593名無し@ハロウィン視聴者
星アリサだーーーーー!
594名無し@ハロウィン視聴者
星アリサ超ノリノリで草
595名無し@ハロウィン視聴者
西の魔女怖えぇぇっぇっぇ
596名無し@ハロウィン視聴者
西の魔女まじやべぇ
597名無し@ハロウィン視聴者
ドロシー御一行がんばれ!
598名無し@ハロウィン視聴者
すげぇ、目が離せねぇ。これが本物の役者達・・・。
599名無し@ハロウィン視聴者
小学生の草野球の試合に突如プロ野球選手団が参戦www
600名無し@ハロウィン視聴者
いや、これはプロ野球のオールスターチームだろwww
601名無し@ハロウィン視聴者
うわっ、プロやべぇ、さっきまでのほのぼのな雰囲気はどこ行ったんだw
602名無し@ハロウィン視聴者
この場でこんな演劇を見られるとは思わなかったwww
603名無し@ハロウィン視聴者
ドロシーがんばれ! カカシがんばれ! ブリキがんばれ! ライオンがんばれ!
604名無し@ハロウィン視聴者
やったーーーーーーー!
605名無し@ハロウィン視聴者
西の魔女を倒した!!!!!
606名無し@ハロウィン視聴者
これは大団円
607名無し@ハロウィン視聴者
もう映画1本見終わった気持ちだぞwww
608名無し@ハロウィン視聴者
これは楽しかったw
609名無し@ハロウィン視聴者
そうして、インタビューも受けずにそそくさと退散www
610名無し@ハロウィン視聴者
現地は( ゚д゚)状態だぞww
終始テンパってた司会者がウケるw
611名無し@ハロウィン視聴者
やべぇ、なんでこの人たち、コスプレして出て来てんの?
612名無し@ハロウィン視聴者
俺も現地で生で見たかったwww
やっぱり姿だけを真似てもプロの役者には全く敵わないんだな。
613名無し@ハロウィン視聴者
いや、アイドルとかなら素人でもワンチャンあるかもだけど、今回のメンバーは相手が悪かったw
614名無し@ハロウィン視聴者
絶対に星アキラの差し金だろwww
615名無し@ハロウィン視聴者
間違いないww。 ぜったいあのクソガキがドッキリ企画でやりやがったw
616名無し@ハロウィン視聴者
振り返っても、メンバー豪華すぎワロタ
617名無し@ハロウィン視聴者
オズの魔法使いなんて全く興味が無かったのに、すごく楽しかった。
618名無し@ハロウィン視聴者
アニメキャラとは全然違うけど、ハロウィンだし、むしろこっちの方が正当か
619名無し@ハロウィン視聴者
まぁ、このステージの最後だったし、見事にトリを決めてくれたな。
620名無し@ハロウィン視聴者
後で、もう一回観ようっと。
621名無し@ハロウィン視聴者
こりゃ、トイッターや掲示板で祭り開催だな
-----------------------------------
子役スレ Part620
231名無し@子役好き
星アキラ御一行のオズの魔法使いでネットではお祭り状態だなw
232名無し@子役好き
動画、見た見た。とんでもないハロウィンのサプライズプレゼントだった
233名無し@子役好き
相変わらず千世子ちゃん可愛かった。ドロシーの役とかハマりすぎだよ。
234名無し@子役好き
景ちゃんの臆病なライオンも良かった。 もう雰囲気から役に入り込んでた。
235名無し@子役好き
アキラ君と阿良也君のブリキの木こりとカカシも本当に凄かった。
他のコスプレの人と存在感が違いすぎたよ。
236名無し@子役好き
それを言ったら、いちごちゃんは可愛すぎでしょう。犬耳とかマニアックすぎるw
237名無し@子役好き
三坂七生、環連と星アリサの魔女トリオも存在感ありすぎだったでしょw
238名無し@子役好き
結局あの北の魔女の人は誰だったの?
239名無し@子役好き
景ちゃんのお母さんだってアキラ君の放送で言ってたよ。
240名無し@子役好き
アキラ君の話だと、普通にみんなで遊びに行ったら、ニフニフの人に声をかけられてああなったってw
241名無し@子役好き
そうはならんやろ・・・困惑・・・。
242名無し@子役好き
アキラ君たちって、あんなメンバーで遊びに行くんだ。いいなぁ~。
243名無し@子役好き
実際に俺らがあのメンバーに混ざったら、緊張してまともにしゃべれないと思うゾ
244名無し@子役好き
みんなで正体が判らないようにコスプレして街を散策とか面白すぎるwww
245名無し@子役好き
コスプレの中の人が有名人とかラノベかよw
246名無し@子役好き
ラノベならまだまし。1人や2人だから、でも今回は大量に居るからww
247名無し@子役好き
アキラ君の家族レジャーのつもりだったって話が超面白かった。
248名無し@子役好き
あれで家族レジャーは無いだろwww
249名無し@子役好き
絶対に間違っているよねw
250名無し@子役好き
でも普通に街中を散策していたみたいだし。
251名無し@子役好き
街中の人たちは気が付かなかったのかな?
252名無し@子役好き
アップで見ない限り、判らないようにコスプレしてたから気が付かなかったみたい。その辺はプロの役者さんだし。
253名無し@子役好き
あの演技を見て初めて気が付くもんなw
254名無し@子役好き
ニフニフ生放送の再視聴の視聴率がすごい事になっているぞw
255名無し@子役好き
プレミアムじゃないと再視聴できないから、プレミアムの人数が急速に増えたみたいだね。
256名無し@子役好き
ニフニフも笑いが止まりませんなw
257名無し@子役好き
また来年もやってくれないかな?
258名無し@子役好き
豪華メンバーすぎて、やってくれるかは判らないけど、やってほしいな。
259名無し@子役好き
この放送がワイドショーとかに取り上げられて、日本で急速にハロウィンの知名度が上がってワロタ
260名無し@子役好き
今までハロウィンはネズミの国しか関係がなかったしな。
261名無し@子役好き
舞台に登場したみんなが、それぞれワイドショーとか情報番組でインタビューを受けててワロスw
262名無し@子役好き
アキラ君がコッソリと参加しようとして、それに悪ノリしてみんながくっついて行った経緯が面白すぎるからなw
263名無し@子役好き
そして、星アリサが舞台をやる気満々で、星アキラが止めようとしたとかいうのが最高に笑える
264名無し@子役好き
普通は逆だもんなw
265名無し@子役好き
ついにアリサママにまでアキ虐されててウケる
266名無し@子役好き
ハロウィンは今後、日本でも盛り上がりそうだから今後もこのメンバーから目が離せないなw
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【Live】チャンネル100万人記念配信。千世子ちゃんが来ます!
放送準備中。もうちょっとで始まるよ。
いや、チャンネル100万人記念って・・・。
もう300万人に届きそうなんだよなぁ。 す朝野いちごch
いちごちゃん、いつもお疲れ様です。ビシッ(*`・ω・)ゞ
100万人ぐらいまではまぁ、常識的な増え方だったんだけど、あのピアノ動画を出してからのワールドワイドな人たちの登録が激増したからな。
そして今でも激増し続けている恐怖。
日本でチャンネル登録者数一位になるタイミングとか、みんなドキドキで見守るはずなんだけど、瞬殺で終わっていてぽかーんとしたわ。
気が付いた時には日本のチャンネル一位になっていたからなw。そして動画ばっかり注目して誰もニュースにしないと言うw
明日200万人記念やるのかな?
マジでその勢いじゃないと飽和しそうw
あっ始まる。
「おはこんばんにちは。役者なのにみんなのアイドル。わからせたい子役ナンバーワンの天才俳優 星アキラです。今日は僕の100万人記念の生放送に来てくれてありがとう!!」
「そんな訳で、今日は100万人記念ということで特別ゲストを呼んであります。特別ゲストはこの方!」
「スターズ所属の百城千世子です。今日はアキラちゃんの恥ずかしい秘密を何でも答えちゃうからよろしくね!」
千世子ちゃんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
可愛すぎる!
まさに天使!
待ってた!
アキラ君はいいから千世子ちゃんを映して!
「雪ねぇちゃん、コメントに乗らなくてもいいから! 千世子ちゃんだけを映さないでよ!」
「今日は私だけを映してくれてもいいのよ?」
雪ねぇちゃんもノリが良いよね
映像制作の雪ねぇちゃんが増えて放送が安定したよね
今日はアキラ君よりも千世子ちゃんを映してほしい☆
やっぱりこの二人を並べると千世子ちゃんかなぁ?
キアラちゃんなら二人で互角だったけど、アキラ君じゃね~ す朝野いちごch
「うわっ、みんな酷いよ!」
「アキラちゃん、コメントの皆さんはやっぱり私を見たいみたいね σº∀º)σドヤ」
「こんな所で千世子ちゃんに負けるのは悔しすぎる!」
「さて茶番はこのぐらいにして、話を進めましょうか?」
「うゎ、さらに千世子ちゃんに仕切られているよ。これは星アキラチャンネルの危機だよ!」
千世子ちゃんはアキラ君の幼馴染だけあって、アキラ君の扱いに良く慣れてるw
ボケるアキラ君としっかり者の千世子ちゃんだったんだね
千世子ちゃん、やっぱり見た目通りクールで良い
もうこの画面を見ているだけで幸せ
千世子ちゃんはこの珍獣のしつけちゃんとしてちょうだい
やっぱり男女の幼馴染っていいよね。 す環蓮ch
環さんもキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
環さんも良くドラマで二人と共演していたもんね。
言うて二人とも美男美女だから画面映り最高だよね
「環お姉ちゃん、いらっしゃい!」
「環さんも見ていただいてありがとうございます。」
「そういえば、アキラちゃん、チャンネル登録100万人おめでとう!」
「千世子ちゃん、ありがとう。これから200万人を目指して頑張るよ。」
いや、もう200万人到達しとるやろ!
200万人記念はよ!
このままじゃ今週末に300万人行っちゃう~。
最近の増え方が異様だからな
ワールドワイドのチャンネル登録者がすごいからな
一気に全世界の人たちが登録し始めたから伸びがヤバいゾ
「そのうち、動画メインだけど英語のチャンネルの開設を考えているよ。」
「そんな訳で、今日は千世子ちゃんにいろいろ質問して行きたいと思います。」
「やっぱり最初に処女かどうか聞かれちゃうの?」
「いや、そのネタを千世子ちゃんにやると流石にアリサママと千世子ちゃんのマネージャが飛んできて、脳天を叩き割られるから、今回はパスするよ・・・。」
「そんな訳で、最初の質問はこちら。」
いつアキラ君と出会ったの? 出会った時のお互いの印象は?
|
うん。安心できる。
アキラ君もやればできるじゃないか!
この質問が続くならなら大丈夫だな
質問ヨシ!
さすがにアキラ君も千世子ちゃん相手だとはっちゃけられないみたいだね。 す朝野いちごch
大切な幼馴染を傷つける訳にはいかないものね。 す環蓮ch
「初めて出会ったのは、私が四歳でアキラちゃんが五歳の時かな。 私がアリサさんにスカウトされてスターズに行った時が最初ね。」
「その時のアキラちゃんは、すごく大人しくて物静かで優しい感じだったわ。この辺は今でも変わらないわね。」
うっそだーーー。この珍獣がそんな訳ないじゃん!
物静かなアキラ君、信じられん。
えーーー? このクソガキが物静で優しい?噓でしょ?
完全に営業妨害w
そう来たかwww
千世子ちゃんにだけ見せるアキラ君の幼馴染の表情。胸キュンですわ! す朝野いちごch
「千世子ちゃんは、すごく不思議ちゃんだったかな。じっと僕や他の人を観察するんだよ。演技のレッスン以外は僕以外とは話をせずに一日中、人を見ていたかな。こういう部分が今の千世子ちゃんに繋がっているんだろうね。」
へー。そんな女の子だったんだ。
その辺が演技に活かされているのか
子供の頃から仲の良さが伝わってくるね
幼馴染尊い
「続いては、こちらの質問!」
千世子ちゃんとキアラちゃんの百合ップルってどう思います?
|
おいっ!
安心していたと思ったらこれか!
どうしてこれを拾ったし!
キアラちゃん、百合ップルになりたいのか!?
これは酷い
フェイントだった。
「そもそも、私とキアラちゃんが付き合った場合って百合っプルになるの? 一応性別は男女になるとは思うんだけど?」
「千世子ちゃん、マジレスはまずいよ。キアラちゃんに中の人なんていないんだよ!、キアラちゃんは僕の妹で女の子なんだから!」
「ああ、そういう設定だったわよね。」
「設定って言うな!」
千世子ちゃん、ある意味怖えぇ
マジレス怖えぇ
お約束が通じていないぞ!
アキラ君が振り回されとる
めずらしい展開だよね
「普通にアキラちゃんと付き合うのと一緒だと思うわ。もっともアキラちゃんと恋愛関係になるかは全く判らないけど。」
「小学生で幼馴染かつ子役同士だから、付き合うのはハードル高いよね。」
「アキラちゃんと私が付き合うのは、そんなに驚かれないとは思うけれども、今の所そう言った関係ではないわね。」
「強いて言えば、アキラちゃんよりもキアラちゃんの方が付き合ったら面白そうだから、今ならキアラちゃんの方が脈があるかも。」
「うっ、すごく複雑な気分。それって男としてどうなんだろう?」
見ている感じ、完全に幼馴染だな
そばに居ると当たり前で離れた所で嫉妬して恋心を・・・。
この二人に限ってそれ系の鈍感な心理描写あるかなぁ?
付き合う場合には、この二人なら堂々と付き合いそう
友情と恋愛、男女の永遠のテーマだな
でもこのぐらいの年頃なら、付き合っている方が稀かなぁ・・・。
この二人なら軽率な付き合いは無さそうだし、恋愛はまだ先そうな感じ。
「それでは次の質問に行ってみよう」
普段、どうやって演技の練習をしているの?
|
「他の人と一緒で、演技の先生に演技のレッスンしてもらったり、自分の演技をビデオに撮ってそれを見たりしているわね。」
「そうだね。千世子ちゃんは観察能力が高いから、普通にレッスンしているだけでもかなりの技術が身についているよね。」
「あと、違いがあるとすれば練習をするときは、アキラちゃんとペアになって練習することが多いかしら。」
「僕と千世子ちゃんは演技に対する考え方が似ているからお互いに演技して感想を言い合ったりしているね。」
いいコンビなんだね。
お互いに練習するのはいいね
これだけの技量を持った二人が一緒に練習するのはエモい
こういう幼馴染の関係ってすごくいいね す朝野いちごch
「それじゃ、次の質問も行ってみよう!」
ぶっちゃけお互いの演技をどう思う?
|
「千世子ちゃんは控えめに言って、天才だね。メソッド演技で完全に役になり切る景ちゃんはもちろんすごいけれども、自分を俯瞰視して、価値基準を観客に置いた上で、観客が見たい最高の演技を見せる役者さんなんて、他に居ないよ。その意味では景ちゃんとは全く別ベクトルで天才だね。」
「最近はますます演技の技術も磨かれて行って、さらにどんどん進化しているね。」
「多分、百城千世子という役者は子役の時期が終わって、子役以上の年齢の役を演じた時にみんなも千世子ちゃんの本当の凄さが判ると思うよ。今でもみんなすごいと思っているかもしれないけど、大人になった千世子ちゃんがスクリーンに映ったら、もう目を離せなくなるはずだよ。 千世子ちゃんの演技は本当に、怖いほど美しいよ。」
「アキラちゃんは、良く判らないわ。 付き合いが長いけれども良く判らない。 最近は特にそういう感じ。 演技をしているのは判るけれども、演技の仮面と自分の素顔の境界も曖昧で掴みどころが無いの。」
「でも役を演じていれば、すごくハマる。初めからそこに当たり前に存在するような感じで、すごく自然なの。 役に入り込んで心情まで再現するとかそう言う人工的な感じじゃないの。 役を演じていると、その役への向き不向きとかを感じるよりも、その役を演じるのがすごく自然でなんの違和感も無く役を演じているって感じになるの。 だからすごいとかじゃないの。自然なの。」
「伝わりにくいかな? 例えば、『笑っていいとも!』はタモリさんが居るのが当たり前で何の違和感も無いでしょ? みんなも番組にタモリさんが居る事に何の疑問も抱かないわよね? アキラちゃんが役を演じているとそんな感じになるの。 アキラちゃんが本気で演じた時には、映画や舞台と一体化して演技に違和感が全く無くなるの。 だって、そこに居るのが当たり前なんだもの。だから環さんや阿良也君も騙されるのよ。」
「アキラちゃんはその気になれば主役もできるけど、それ以上にどんな脇役でもこなせる万能俳優ね。 昔はこのせいで器用貧乏とか散々な評判だったけれども、今ならアキラちゃんがどんなに凄いか、みんなも判るでしょ?」
すごい。お互いをちゃんと理解しているんだね。
かなり尊い関係かも
この二人が幼馴染同士って考えて見ればすごいよね
やっぱり千世子ちゃんとアキラ君でも演技のベクトルが違うんだね
というか、このレベルの11歳と10歳はかなりヤバいと思う
二人とも子役でもすでに日本を代表する役者になりつつあるからな
千世子ちゃんの演技方法は絶対に真似できないわw天才すぎるwww
アキラ君もやばい。みんな気が付かないレベルでナチュラルに演技しているって相当ヤバい。
お互いに才能を認め合っているのはいいね す朝野いちごch
-----------------------------------------------
「そんなわけで、そろそろ終わりの時間なので、ピアノの時間になります。」
ええーーーー!もっと千世子ちゃんの話を聞きたい!
ぶぅ━━q( ̄(oo) ̄)p━━っ!!
もって続けてよ~。
千世子ちゃんLOVE!
ぶうぶうっ
もっと聞いていたいゾ
「今日の曲は千世子ちゃんの好きな映画『時をかける少女』(1983)から原田知世さんが歌う主題歌の『時をかける少女』になります。ちなみに作詞作曲は松任谷由実さんになります。」
「今回は、歌声だけキアラを召喚してピアノの弾き語りになります。」
「それでは行ってみましょう。」
キアラちゃんのクリアな歌声が時をかける少女に合っていて良い!
初めて聞いたけど、いい曲
作詞作曲はユーミンだったのか!
歌詞が映画と合っていてまたいいからな。
ピアノの落ち着いた感じとキアラちゃんの声が完全にマッチしていて良き良き
キアラちゃんがこの歌を歌ってくれて感動!
原田知世さんもキアラちゃんも千世子ちゃんもそれぞれすごく個性的で魅力的だよね
いい歌だな~。聞き入る。
映画のエンディングが・・・。映画を見た時の思い出を思い出して泣けてきた。
千世子ちゃんもステキな映画が好きなんだね
「いずれは千世子ちゃんもきっと『時をかける少女』みたいな映画に出演できると思うよ。そうなったら僕も劇場で千世子ちゃんを観に行って応援するよ。」
「アキラ君はそのうちハリウッドでアキラ君が好きなアメコミ映画に出演すると思うわ。私もそうなったら劇場に観に行ってお祝いしてあげる。」
本当にいい幼馴染の関係だよね
お互いが最大の理解者なのはすごく尊い
ライバルかつ親友ってすごくいいわね。 す環蓮ch
このままの関係がずっと続いて欲しいわ
二人とも推せる
「そんな訳で千世子ちゃんまた来てね!」
「もちろんよ。アキラちゃんも今後も放送がんばってね。」
「それなみんな、バイバイ~!」
「バイバイ~」
またね~☆
バイバイ☆
千世子ちゃん、最高だった
歌すごく良かった☆
楽しかった☆
バイバイ~☆
千世子ちゃんまた来てね~。
またねーーー☆
バイバイ☆
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星アキラは演劇の配信をたくらむ1
さて、僕たちの演劇である若草物語の公演が3ヶ月後に近づいて来た。
疑似家族で日々を暮らしているせいか、演劇の練習も申し分なく、完成度も高まってきていた。
そんな訳で演劇のチケットの販売なんだけど、これが超プレミアムチケットになる事が発売前から判っていて、非常にまずい事態だった。
チケットの売り上げがすごい事になるのは判っていたので、若草物語の公演は3週間と当初の2週間よりも伸ばしたのだけど、みんなの疲労もあるから連日は無理で、土日以外は1日おきの日程が組まれていた。
とは言っても、スターズが購入した劇場は大劇場ではなく、比較的中規模程度の劇場。観客の数も限られておりチケットを入手できない観客が転売ヤーから購入したり、チケットを買えなかった人がスターズの悪い噂を流す可能性もあった。
そもそも、こんな美味しいコンテンツを人数限定で公開する方が間違っている。
そんな訳で、僕はYoutubeとニフニフ動画に連絡を取り、担当者をアサインしてもらってその担当者と一緒に若草物語を話し合う経営会議に顔を出す事にした。
僕のマネージャが僕の番であることを連絡して、Youtubeとニフニフ動画の担当者を連れて会議室に入った。
僕が会議室に入った瞬間に議論していた話し声はパタッとやみ、みんな僕に注目していた。
「やあやあ、会議中の皆さん。スターズ二代目社長予定でかわいいボンボン息子のアキラ君がみんなに素敵な提案を持ってきたよ!」
「アキラ、あなたの場合は、みんなの胃を痛めつける提案じゃないの?」
上席に座っているアリサママが言った。
会議のメンバーは社長であるアリサママ、専務さんや執行役員の面々、そして謎の収入(笑)によって新しく拡充されたイベント担当部署の部長さんや若草物語の担当者などが居た。
スターズはこれまでタレントの派遣業がメインで、イベントや舞台製作などは他社に依頼する事が多かった。
しかし、アリサママは突如もたらされた謎資金(笑)で制作会社系の人員の拡充を行い、中途採用などで部署を拡充していた。
そんな拡充した部署の最初の仕事として持ち込まれた超ヘビー級の案件、それが僕達の舞台『若草物語』であった。
「それでアキラ君、今回はどんな面白い提案を持ってきてくれたのかな?」
話しかけてきたのは専務さん。
実質的にスターズのNo.2で、アリサママがスターズを設立した時には、会社経営なんて右も左も判らないただの役者だったアリサママが、スターズをここまで大きく出来たのはこの人の力でもある。
別業種だけど、自らの起業したベンチャー企業がいろいろ不運な目にあって潰れて、一家路頭に迷って人生絶望していた時にアリサママと出会って、スターズをここまで大きな芸能事務所に育て上げてくれた恩人でもある。
人生の必要な時に必要な人材に恵まれるとか、アリサママ天運ありすぎでしょう。そんな話をアリサママにしたら、「その天運もあなたを生んだことで尽きたみたいだけど・・・・。」胃を押さえながら、遠い目をしていた。こんなに会社に貢献する僕を見て、そんな事を言うなんて全く解せないゾ。
スターズの従業員数は300名ぐらいの会社なのでそこまで役員数も多くない。副社長とかの役職も無かった。そんな訳で、専務さんがNo.2で今回のキーマン。
アリサママは大まかな会社の方針と、タレントの採用、キャストの配役などを主に行うけれども、会社の実務的な面はこの専務さんが見てくれている。
今回の話に限ってだけど、正直な話アリサママが僕の提案に反対しても、専務さんがOKしてくれれば僕の提案は通ると思う。
実際の話、専務さんが会社を相当分フォローしてくれているから、アリサママは現場に行ったり、景ちゃんにレッスンをしたりできる訳で、アリサママが自由に経営できているのは、この人のおかげでもある。
今日の僕の恰好はブランド物のチノパンにTシャツ、それにスーツの上着に袖を通した、かなりカジュアルな服装。
IT系のできる営業さんやエンジニアってイメージをしてくれればいいと思う。
子供が会議でスーツをビシッと着込んで行っても滑稽なだけだからね。
一緒に来てくれたYoutubeとニフニフ動画の担当の人はちゃんとスーツだね。この辺は別業種の会議に行くというTPOをちゃんと弁えてくれて僕も頼もしいよ。
僕やアリサママ、専務さんは砕けた感じで話しているけれども、他のメンバーは固唾をのんで僕を見ている。
僕が入った後の会議室の緊張感はかなり高まっていた。
何人かの人間、特に現場担当の人とかは、僕を見ただけで胃のあたりを押さえていた。失礼な! ε=(`・д・´)プンプン!!
そんな感じで、アリサママや専務さん以外が緊張しながら僕を一点に見つめている中で、僕は提案した。
「この舞台、ネットで無料配信しようと思うんだけど、みんなどう思う?」
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星アキラは演劇の配信をたくらむ2
「この舞台、ネットで無料配信しようと思うんだけど、みんなどう思う?」
僕がこの発言をした瞬間、会議室は静まり返った。
「いや、無料配信なんてしたらみんなチケットを買ってくれなくなるじゃないですか!」
イベント関係部署の部長さんが発言した。
「そうなの? だってスターズが買った劇場は1200席ぐらいの中規模の劇場だよ? 満員でも14日分の公演でのべ16800人しか見れないんだよ? 今のチケットの倍率を分ってて言っている?」
「それは分かっていますけれども、もっと別の方法が・・・。」
「そりゃ、チケットの価格を不当に高くすれば、チケットの倍率は落とせるけど、スターズの評判も悪くなるし、お勧めしないなぁ。」
「そうであっても、舞台の無料配信なんて前例がありません! DVDやBlu-rayの売り上げはどうするんですか! それに無料で配信しちゃったらわざわざ舞台に観に来てくれる観客にも失礼じゃないですか!」
「その分は考えているよ。舞台の初日から最終日前日までの公演はYoutubeとニフニフ生放送の有料放送で放送して、千秋楽の最終日だけ生放送のみの無料放送だよ。それで気に入ってくれた人はさらにDVDやBlu-rayも買ってくれるよ。最終日以外に舞台を見てくれた人で舞台を気に入ってくれた人は無料配信も見てくれると思うよ。そして最終日の人はその配信を生で見られたというプレミアムが付くことになるよ。」
「それでもTVではなく、ネットで配信するなんて・・・。」
「逆に確認するけどさ? 舞台のカメラマンや現場監督なんかはどうするつもりなの? 結局は制作会社に外注するんでしょ? その費用はネット配信をすることで無料になるよ。 配信部分の製作費はYoutubeとニフニフ動画が持って、代わりにこの二社は有料放送を見る視聴者から新規会員とプラットフォーム使用代が入るという寸法だよ。そして有料生放送の収益はスターズに入る。」
「もちろん、TV放送してもいいよ? TV局を入れれば動画の製作費はあっち持ちで、それなりのお金が取れるよね? でもそれって無料放送で録画自由だよね? それこそ本末転倒じゃないの?」
「であっても、有料放送だけで良くて、最終日に無料放送する理由は無いんじゃないですか?」
「あるよ。 そもそも若草物語の舞台は僕達の成長を促すための舞台だし、少なくともチケットが買えない人にスターズの不手際を責められたり、評判を落とすための舞台ではないはずだよ。」
「現状の方針だと舞台上演して、DVDとBlu-rayの発売だよね? メディアの発売までは舞台を見た人だけしか舞台の内容を知らない訳だ。 舞台を見たごく少数の人と舞台を見れなかった大多数の人たちが出来て、その大多数の人たちが貯めたフラストレーションはスターズに向かう訳だ。そしてメディアの発売時にはもう熱が冷めてしまっている。大多数の人には、若草物語は舞台を見れなかった苦い思い出しか残らない訳だ。 少なくとも今のままだと、収益はともかくとして、この舞台がスターズのためにはならないって言い切れるね。」
「僕たちにいま必要なのは、いかにみんな共通の体験をしてもらうのかと言うのと、いかに話題になるかという事だよ。」
「例えば、家族の中で一人だけ生で舞台を見て来た人が居たとする、その人は家族に舞台が面白ければ、感想をしゃべるだろう。 家族も行ってみたいと思うかもしれない。でもこの舞台のチケットは入手困難で期間限定だ。 だけど最終日に無料生放送があればどうだろうか? 家族みんなで舞台を見てくれるかもしれない。そうすれば舞台を生で見れた人はわずか、16800人かもしれないけど舞台を体験した人はその数十倍、数百倍に膨れ上がる訳だ。そして家族全員が共通の体験を共有する。そして間違いなくスターズを肯定的に捉えられるはずだよ。」
「でも無料にしてしまうと、これ以外の舞台をやっている人達も無料でやるように圧力がかかって、迷惑をかけるんじゃないですか?」
「そのための有料放送だよ。僕は演劇の有料放送は新しい取り組みだけどかなりの収益になると睨んでいる。今回の若草物語であれば最終日が無料であっても、最終日以外の日でかなりの収益が上がるんじゃないかな。」
「舞台の有料放送で収益があげられるってわかれば、追随する劇団なども出てくると思うよ。ただ、無料放送が定番化するのはまずいね。劇団の収益が下がる可能性があるから死活問題だよ。」
「僕達の若草物語は14日間しか公演しないから、最終日を無料にしても大した影響は無いけど、季節毎に同じ演目を公演している劇団などは、不味い事になるよね。」
「そこで、今回の無料放送はアメリカのスタンフォード大学と総務省傘下の公益法人が共同で行う研究として、有料放送と無料放送が両立した場合の、収益率と満足度や感想などを調査する目的の社会実験を建前として、無料放送を行う事にするよ。」
「この辺はネッコフリックスの創業者とゴーグルのHQの人たちに話したら、すごく興味があるみたいで、ノリノリで大学の研究室を紹介してくれたよ。教授の方も是非やってみたいってさ。公益法人の方は、スタンフォード大からの協力要請で、まぁ、天下り組織だし仕事をやっている風に見えるので、肯定的にとらえてくれたみたいだねぇ・・・。税金をもらう実績になるし・・・。この辺については、僕は世間知らずのかわいい子供だから、良く判らないや(  ̄3 ̄)~♪」
「この関係で、有料放送と無料放送終了時に任意でアンケートを取る予定だよ。そしてこのアンケート内容はスターズの今後の経営戦略上の大きなノウハウになるはずだよ。」
「どうだろう? これだけのメリットがあってもダメかな?」
「もういいだろう。今回はアキラ君の勝ちだ。そこまで考えているのであれば、有料放送での配信と最終日の無料放送をやる方向で検討しても良いだろう。」
専務さんが言った。
「それに、イベント担当の君も大変になるかもしれないけれども、これは日本の演劇界や芸能界としても非常に先進的で刺激的な取り組みだ。新しい時代にふさわしい野心的なプロジェクトを自分の手で成功させて見たくはないかね? 君もこういう事をしたくて古い体質の芸能事務所ではなく、スターズに入ったんだろ?」
「そうですね。もしかしたらこの舞台は、日本の芸能史に残る舞台になるかもしれません。歴史に残る仕事を自分もやってみたいです。」
「さて、アキラ君のインターネット配信のプランは判った。 でもYoutubeとニフニフ動画の2社両方で配信するのはなんでだ?」
「理由は3つあるよ。 1つ目はリスク分散のため。1社だけだと片方がこけると終わりだけど2社協力の形だと、片方が辞めても対応できるよ。また両社にとっても制作費用が半分ずつになって、リスクが減るんだよ。」
「2つ目はシェアの問題。こういった有料放送のノウハウはニフニフ動画が一日の長であるけど、Youtubeも追い上げているよ。この二社が水面下で争う方が放送のクオリティが上がるね。」
「3つ目はリソースの問題。特に最終日の生放送はアクセスが集中して配信が止まる危険性があるんだよね。 両社で分散すればアクセスも分散して放送が止まるリスクを減らせるんだ。また最悪の場合片側が止まった場合には、もう片方に誘導するように話は付いているし、 両社ともにこれは汚点になるので意地でも止まらないように頑張ると思うよ。」
「この辺を考慮して、2社で協力するように依頼したんだよ。」
「両社にとっても、絶対に見逃したくないコンテンツと実績だろうからな。あい分かった。それではそこにいる2社の担当者と具体的な話をさせてもらおう。」
「しかし、大方の予想とは違って、アキラ君が二代目社長になっても実はスターズは安泰そうだな。」
「え~。実は社長って面倒くさそうでいやなんだよね。専務さんがクーデターをしかけて僕とアリサママをスターズから追放してくれない? その後に僕達が小さい芸能事務所に拾われて、その事務所を大きくしてスターズに復讐して、ざまぁ見ろって言うのはどう? 面白そうじゃない?」
「おそらくその話は世間的にはものすごく面白いだろうけど、僕がクーデターを起こすメリットや動機が全く無いじゃないか。 周りの事務所やテレビ局が勝手に気を利かせて干してしまった王賀美君と違って、アキラ君とアリサさんは普通にそれができる力があるから、二人を追放しちゃったら、スターズのみんなは二人に付いて行ってスターズの方が先に終わっちゃうよ。それに僕も、もう社長はこりごりだよ。」
「アキラ、専務さんをからかうのはいい加減にしなさい。 アキラの提案は判りました。 後はこちらのお二方と話すからアキラは戻っても良いわよ。」
「は~い。それじゃ帰ります。 お二方、それではよろしくお願いいたします。 (o_ _)o ペコリ」
「「こちらこそよろしくお願いいたします。m(_ _)m」」
こうして僕は目的を達成して会議室から退室した。
「あれが星アキラ・・・。まじでヤバいな。本当に11歳か?」
イベント担当部長の独り言に、会議に出席していた現場担当のスタッフたちはしきりに頷いていた。
こうして、僕達の舞台は前代未聞のインターネット配信が行われる事となった。
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星アキラは若草物語に出演する
8月のある日、いよいよ若草物語の舞台が始まる。
みんな今日のために練習を積んできたし、一緒に暮らして家族としてがんばってきた。
僕や千世子ちゃん、景ちゃんには初舞台だけれども、みんな良い意味での緊張だけで、緊張で演技が鈍ると言う事も無さそうだ。
客席の照明が落ち、舞台の幕が上がる。
ジョー「贈り物が無いクリスマスなんて、クリスマスって言えやしないよ。」
観客にどよめきが起きる。今までイメージされた、千世子ちゃんとは全く違う血の通った人間としてのジョーの演技。
綺麗どころのジョーをイメージしていた観客も、千世子ちゃんを一目見て、違いに気が付いてどよめきが起きる。
ベス「本当に貧乏っていやよね~。なんとかならないのかしら?」
ため息を付きながら、僕こと星キアラがステージに上がる。
観客からざわめきと歓声が上がる。
エイミー「綺麗な物をいっぱい持っている娘もいるのに、なにももらえない娘もいるってのはすごく不公平な世の中だよ。」
景ちゃんの登場と共に好意的な歓声があがる。今日は夜凪ママも観客席から応援に来ている。景ちゃんも人一倍気合が入っていた。
メグ「みんな、不平ばかり言うものじゃありません! 私達にはお父様とお母様がいるわ。それに姉妹だってみんな居るじゃない!」
一番どよめきと歓声が上がったのは阿良也だった。阿良也は男である事を生かして、女性ではできない倒錯した色気を持ったメグを演じていた。
単純に女性と見分けが付かないのでは無い。女性では絶対にできないユニセックスで、理想的かつ魅力的な女性像のメグであった。
メグ「このクリスマスに贈り物を辞めようってお母様がおっしゃったのは、兵隊さん達が戦争で苦しい思いをしている時に私達だけ自分の楽しみでお金を使うのは良くないと考えているからよ。」
ジョー「そんな事を言っても、私達のわずかなお小遣いなんて何の役にも立たないと思うわ。」
四姉妹の小鳥がさえずるような、女の子同士の会話が続いて行く。
全員に血が繋がっていないとは思えないほど、違和感は全く無く、まさに正しく姉妹だった。
「さあさあ、みんな今日はどうだったの? ベス、メグ、風邪はひいていない?、ジョーはすごく疲れているみたいね。エイミーは元気そうで良かったわ。」
マーチ婦人を演じるアリサママが登場した。アリサママの演じるマーチ婦人のすばらしさに観客のため息が漏れる。
まさに良妻賢母。普段のアリサママから考えると笑いすら起きるが、アリサママの性格とは正反対の人間を演じ切り、本番でさらに磨きがかかるアリサママの切れ味に僕達は恐ろしさを感じた。
かしましい四人の会話劇と共に、僕には特別に舞台装置としての役割も与えられていた。
それはベスが得意なピアノの演奏。
僕が出演していない時の舞台の間隙や姉妹の心情を表すバックミュージックとしてベスの恰好でピアノを弾いた。
この辺の心理描写の表現や、話の間にも観客を飽きさせないための工夫や演出が、黒山墨字の凄さのいったんを垣間見せていた。
最初はかしましいだけの四姉妹も、徐々にそれぞれの性格が舞台で強く表れ出し、それぞれがぶつかり合っていく。
姉妹だからこそ、誰よりも大切で、姉妹だからこそ誰よりも遠慮が無い。
観客を前に四姉妹を演じているみんなのテンションが上がって行く。
四姉妹どうしが、それぞれの一番を競い合うように、己の演技力や技術をぶつけ合って舞台の上で連続的に化学反応が起きる。
実は、この劇のセリフなどは最低限の指定があるだけで、かなりの部分がアドリブで成り立っていた。墨字さんは、わざと細かいセリフの指定はせずに、僕達役者に状況に合わせた会話を丸投げした。
だから僕達はその場に合わせて、それぞれが演じている役の心情や声をそのまま届ける。
この劇は14回の公演になるけど、おそらく毎回セリフが変わるはずだ。
複数回見ている人は、セリフや、場合によっては展開が変わる事に驚く事となるはずだ。
そして、みんな姉妹でありながらもバチバチに演じている中で、ひときわ印象的なのが千世子ちゃんが演じるジョーと景ちゃんが演じるエイミーであった。
それぞれが姉妹として大切でありながら、二人とも癇癪持ちであり、エイミーはジョーをじらし、ジョーはエイミーを怒らせる。
千世子ちゃんのジョーは、今まで彼女が演じていた天使のような役とは違い、感情をむき出しにしてすごく人間臭いけれども、目を離せない魅力で溢れていた。
これは、彼女自身が自分を美しく魅せる以外の方法でも、目を引く存在として役を表現できる力を得て、レベルアップした事を示してた。
対して、景ちゃんはしぐさ、表情、気配、全てがエイミーだった。
おそらく、本物のエイミーであっても彼女ほど輝く存在では無いのかもしれない。しかし彼女はエイミーであると同時に、年相応の女の子として、そして新進気鋭の役者としての輝きに満ち溢れていた。
この二人が舞台の上で次世代の最強の女優を決めるがごとく、フルスロットルでバチバチにやり合う。
観客は息を吞んで、二人の芝居に魅了され続ける事しかできない。
僕は二人の演技を見て、観客が芝居に飲み込まれるという事がどういうことなのか、身をもって知る事が出来た。
そんな二人に張り合うように、阿良也が一番年上の女性として、四姉妹の長女でありながら倒錯した美を持って、残りの三姉妹を挑発する。
僕は阿良也の挑発を受け流しながら、優等生でありながら屈折した思いと弱い体と精神、自由への渇望に溢れたベスと言う役を演じ切る。
そして四姉妹がそれぞれ演技で競っている中に放り込まれるマーチ夫人という名の、アリサママが演じる魔王。
四姉妹が独占していた観客からの視線と感情を登場しただけで全てかっさらう。
僕達はマーチ夫人が現れた時には、主役が誰であるかわからせるために、姉妹のように四人全員で協力してマーチ夫人に立ち向かった。
結果として、みんなが手加減無しでバチバチに演技の火花を散らせて、それぞれが持てる力を出し切ってひとつの家族を演じたこの若草物語は大成功に終わり、世間の声に押されて夏だけではなく、冬にもアンコール公演されるぐらいの社会現象となるのであった。
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若草物語実況スレ1
254名無し@若草姉妹
いやー。まさか最終日に無料放送をしてもらえるとは思わなかった。
255名無し@若草姉妹
かなり先進的な試みだよね。
有料生放送だけでも結構な試みだったのに
最終日は無料とかすげぇ
256 名無し@若草姉妹
スタンフォード大と総務省が組んだ社会実験だって。無料と有料の同一コンテンツが提供された場合の収益性云々での例外措置だって話題だからな。
257名無し@若草姉妹
みんな見たかったからな。社会実験でもスターズも良くこんなの決断したな
258名無し@若草姉妹
無料があるって事前にアナウンスされていたから、有料生放送なんて誰も買っていないんじゃないの?
259名無し@若草姉妹
そうでも無いみたい。やっぱり最初に見たい人もいるし、お金を持っている人は何度も見ている人とかいるらしい
260名無し@若草姉妹
チケットを買ってすでに見た人にも、別の日を有料放送で見れるから好評らしいな
261名無し@若草姉妹
有料放送自体も間違いなく大好評で、すでに何万人も見られているし、この社会実験は大成功じゃないかな
262名無し@若草姉妹
料金が抑えられているというのもあるけど、劇場で見た人数よりもはるかに多い人数がすでに見ているからな。
そして儲けたお金で本日の無料放送か
263名無し@若草姉妹
他の劇も無料で見れないかな・・・。
264名無し@若草姉妹
無理だろう。社会実験で例外的に無料にするってアナウンスされているからな。でも無料で提供しても有料コンテンツも売れるのであれば、他でもやってみる劇団とかが出るかもな。
265名無し@若草姉妹
なににせよ、見たかった劇が無料で見れるんだ。オマエラせめて最後のアンケートぐらいは答えろよ。
266名無し@若草姉妹
はーい。( ̄□ ̄)
267名無し@若草姉妹
劇場のチケットを買った人は放送されたら嫌じゃないのかな?
268名無し@若草姉妹
別に? 野球だって放送されているけど球場に観に行くじゃん。
やっぱり生は格別だと思うゾ。最初から無料と有料放送があるってアナウンスされていたしな。
いやなら買わなきゃいいんだ
269名無し@若草姉妹
逆にこんなに注目されている中で、生で見られるなんて一生の思い出だろ
劇場で見られるなんてネットで見ている俺らからしても羨ましいぞ
270名無し@若草姉妹
肝心の劇の方はどうなの?
271名無し@若草姉妹
もちろん大評判だな。見た人はものすごい賞賛の嵐だったな
272名無し@若草姉妹
特に千世子ちゃんがすごいって、みんな話しているからすんげー楽しみ
273名無し@若草姉妹
千世子ちゃんがやるジョーか。全く想像が付かないけど、楽しみだな
274名無し@若草姉妹
ネタバレはこのぐらいにして、もうすぐ始まるよ
275名無し@若草姉妹
劇場が暗くなってきたな
-----------------------------
301名無し@若草姉妹
千世子ちゃんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
302名無し@若草姉妹
これ?千世子ちゃん? 本当に? なんていうか天使じゃなくて、すごく生々しい感じ。
303名無し@若草姉妹
今までのイメージとは全く違うよな。
304名無し@若草姉妹
天使ってイメージじゃないのに、キラキラと輝いているわ
305名無し@若草姉妹
何て言うか、今までは浮世離れしたイメージだったけど、これはラノベのファンタジーで近所に居る快活な美人って感じ
306名無し@若草姉妹
すんげー表現しにくい。表現しにくいけれども明らかに今までの千世子ちゃんとは違う。
なんていうか天使から人に近づいて、魅力がぐっと増したような、うがーーーっ。表現できねぇ
307名無し@若草姉妹
とにかく、予想していたイメージと全然違って驚くわこれ
308名無し@若草姉妹
キアラちゃんもキタ━━(゚∀゚)━━!!
309名無し@若草姉妹
こっちもイメージと全然違う。深窓の令嬢ってイメージかと思っていたら、病弱で儚い美少女って感じ。
310名無し@若草姉妹
演技に全く違和感がねぇw
311名無し@若草姉妹
病弱だけど、声は通るし芯がある感じ。大人しいタイプだけど千世子ちゃんとも違って、こっちもすごい魅力的。
312名無し@若草姉妹
元気で明るくしようとするけれども、ちょっとだけ影がある感じがすごくいい。
313名無し@若草姉妹
これが、あのキアラ嬢・・・、いや珍獣・・・。すごすぎる
314名無し@若草姉妹
景ちゃんかわいいっ!
315名無し@若草姉妹
まじで生意気な末っ子って感じ。
316名無し@若草姉妹
これは素直にイメージ通り
317名無し@若草姉妹
普段のちょっと落ち着いた景ちゃんとは比較にならないぐらいのおきゃんな感じがすごくいい
318名無し@若草姉妹
若草物語の本の中から出てきたぐらい可愛すぎる
319名無し@若草姉妹
ついに阿良也がキタ━━(゚∀゚)━━!!
320名無し@若草姉妹
まじでこれ阿良也か?
321名無し@若草姉妹
色気がやばい。キアラちゃんと全く違って健全な大人の色気っていうか、成長した少女の色気にクラクラするわ
322名無し@若草姉妹
キアラちゃんファンのワイ、アラヤちゃんでさらなる高みに目覚める。
323名無し@若草姉妹
俺、アラヤちゃんなら全然いける
324名無し@若草姉妹
↑お巡りさん、こっちです
325名無し@若草姉妹
通報した!
326名無し@若草姉妹
なに?このすんごい女子は。女性が演じるよりも女性らしいってどうなの?
327名無し@若草姉妹
キアラちゃんはかわいい年下の妹ってかんじだけど、こっちは年上のお姉さまでやばい。
328名無し@若草姉妹
女の私から見ても、ヤバイ。惚れてまう。 そして声もヤバい。
329名無し@若草姉妹
これは逆宝塚w
330名無し@若草姉妹
この四姉妹がお喋りするだけで、もう天国に行けそう。
331名無し@若草姉妹
みんなそれぞれ、超個性的なんだけどちゃんと姉妹って感じもしてすっごく不思議!
332名無し@若草姉妹
これは初っ端から引き込まれる。
333名無し@若草姉妹
アリサママご登場!
334名無し@若草姉妹
動画チャット欄の弾幕がすげぇw
335名無し@若草姉妹
ナニコレ? 良妻賢母っぽいけど、存在感がすごすぎるw
336名無し@若草姉妹
絶対、四姉妹を喰おうとしているよww
337名無し@若草姉妹
星アリサやっぱりすごすぎw
338名無し@若草姉妹
自分が手塩にかけた子供達に全く容赦しないサイコパスの極みw
流石はアリサママw
339名無し@若草姉妹
アリサママ登場で、急に空気がピリッとして、四姉妹が殺るか殺られるかの雰囲気になるのすんごく笑えるw
340名無し@若草姉妹
星アリサが一番楽しそうでなによりw
341名無し@若草姉妹
アリサママ VS 四姉妹の演技バトルがすげぇw
342名無し@若草姉妹
なんだろう・・・、なんていうか、すごく人間くさいんだけど、みんな人間ってレベルを超えた存在感だよな・・・。
343名無し@若草姉妹
全員全力じゃねぇかw。マジですげぇ
344名無し@若草姉妹
若草物語のはずなのにジャンプ展開で草w
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若草物語実況スレ2
404名無し@若草姉妹
星キアラのべスの演技すごいな
405名無し@若草姉妹
なんていうか、儚いっていうか普通の女の子に見えるんだけど、すごく綺麗に見える瞬間があるっというか、一瞬ドキッとするんだよな
406名無し@若草姉妹
やばいよね。まごうことなき少女のはずなのに、一瞬だけ女を魅せるとかすごく艶めかしいよ。
407名無し@若草姉妹
どちらかというと、千世子ちゃんの観せ方に近いような気がする
408名無し@若草姉妹
絶対に千世子ちゃんのテクニックをまねしているよね。マネできるの方もヤバいけど
409名無し@若草姉妹
四姉妹の中でいろいろ屈折しつつも、健気に生きる姿に涙が止まらない ( ノД`)シクシク…
410名無し@若草姉妹
この辺はメグ役の阿良也とは全く逆の感じだよね
411名無し@若草姉妹
阿良也の方はもう完全に理想の女性って感じ
412名無し@若草姉妹
普通に居るだけで色気がすごいのよ。それなのに妖絶ってわけじゃなくて、母親譲りの性格の良い女の子だってわかるから、もう存在が完全にファンタジーなのよ。
413名無し@若草姉妹
近所にこんなお姉さんが居たら、ストーカーがすごいと思うゾ
414名無し@若草姉妹
なんていうか、同じ女なのに女じゃできない感じなんだよね。まさしく理想を詰め込んだ異世界から来た女の子って存在感だよね。
415名無し@若草姉妹
この辺が女として全く違和感がなくて、変わりに瞬間的にものすごい輝きを見せる星キアラと、常時覚醒状態で最高の女を見せつける明神阿良也の違いが見えて面白いな
416名無し@若草姉妹
祝! 星キアラピアノ入手
417名無し@若草姉妹
近所のおじいさん、いい人すぎる
418名無し@若草姉妹
ピアノ入手で喜んでいて本当に良き。すごく感動的。
こっちも本当に嬉しくなるような心情が伝わってきて、気分がいい。
419名無し@若草姉妹
新しいグランドピアノを受け取れてときめく女の子そのものなのよ。
中がクソガ・・・いや、ここで触れるのは無粋だろう。素直に喜ぼう。
420名無し@若草姉妹
横からグランドピアノ登場! これはまさか・・・。
421名無し@若草姉妹
星キアラの生演奏キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
422名無し@若草姉妹
チャイコフスキーの花のワルツだ!!! すんごくいい。
423名無し@若草姉妹
本当に舞台に花が咲いて踊っているように見える
424名無し@若草姉妹
一緒に喜ぶ姉妹もいい!
425名無し@若草姉妹
音楽に乗って、四姉妹がより華やかに見えるぞ
426名無し@若草姉妹
やっぱり星キアラのピアノすごすぎる。完全にこの舞台と一体化する生演奏の技術って多分同年代のピアノ演奏者の中でも群を抜きすぎている。
本当にこの人は誰にも師事していないの?
427名無し@若草姉妹
星アキラのピアノは小さいころにちょっとやっていたらしいけど、自殺で入院中にネットがなくて暇すぎて覚えたとかいう、化け物染みた理由で弾けるようになったものだから、本当に天才だとしか言いようが無いよな・・・。
428名無し@若草姉妹
誰かに師事すればもっと伸びるかもしれないのに・・・。
429名無し@若草姉妹
いや、師事していないからこの演奏技術ってこともあるだろうし、別に演奏家になりたい訳でも無いらしいから、もう誰かに師事するメリットはほとんど無いだろ。
430名無し@若草姉妹
もう最高!このピアノを聞くためだけに劇場に行ってもいいぐらい。
431名無し@若草姉妹
生演奏でこのピアノを聞ける人達にものすごい嫉妬を覚えるゾ
432名無し@若草姉妹
これ、劇場で観れた人たちは一生の思い出だろうな
433名無し@若草姉妹
うん。俺だったら一生自慢しまくる
434名無し@若草姉妹
舞台転換の合間とかもピアノ演奏をしてくれるんだ。すごくうれしい。
------------------------------
511名無し@若草姉妹
千世子ちゃんのジョーと景ちゃんのエイミーのバチバチ具合がすごい。
512名無し@若草姉妹
不倶戴天の敵ってわけじゃなくて、反りの合わない兄弟ってこんな感じだよなという絶妙の反目具合がたまらん。
513名無し@若草姉妹
パーティーに連れて行ってもらえないエイミー。その気持ちはすごくわかる
514名無し@若草姉妹
あっ、エイミー、パーティーに連れて行ってもらえないからって、ジョーが一生懸命に書いていた小説を燃やすのはやばい。
515名無し@若草姉妹
やばい。エイミーそれは地雷を踏むぞ
516名無し@若草姉妹
ジョーにばれたw
517名無し@若草姉妹
ジョー、怒髪天の怒りwwww
518名無し@若草姉妹
こんなに綺麗な女の子が感情むき出しで怒り狂うとか怖すぎるっ ブルブル
519名無し@若草姉妹
ジョーガチギレ。マジで千世子ちゃんに鬼が宿っているみたいに見える
520名無し@若草姉妹
エイミーはよくこんなジョーの小説を燃やしたなw
521名無し@若草姉妹
マジ切れのジョーに気圧されつつも、なおも子供っぽい反論をやめないエイミー
522名無し@若草姉妹
エイミー、この状態で自分が100%悪いのに良く言い返せるな。
523名無し@若草姉妹
この辺がすごく姉妹だって思える
524名無し@若草姉妹
千世子ちゃんてこんな感情的な演技ができるんだな。すごく見直した。
525名無し@若草姉妹
感情的だし、すごく人間っぽいよね。
526名無し@若草姉妹
凄く人間っぽいんだけど、カメラ映りや人への見せ方が物凄く良い部分は変わらないんだよね。
本当に良い所は残して演技の幅を広げた感じ。
527名無し@若草姉妹
景ちゃんのエイミーもすごいんだけど、やっぱり場数を踏んでいる千世子ちゃんは別格だね。
でもこの力量の差がそのまま姉妹の年の差にも見えるから、不思議。
やっぱり演技じゃなくて家族に見えるよ。
528名無し@若草姉妹
正直、千世子ちゃんの演じるジョーは見た目だけの薄い演技になるのかと思っていたから、千世子ちゃんがこんな人間っぽい演技をしてくるとか良い意味で裏切られたよ。
529名無し@若草姉妹
ジョーとエイミーのバトルは続く。今のジョーはまじで魔王アリサの幹部だわ。
530名無し@若草姉妹
ここで星キアラのピアノが入るのか。
531名無し@若草姉妹
ショパンの子犬のワルツだな。急に二人のケンカがコミカルになって、世界の存亡がかかったバトルから、ご家庭の兄弟喧嘩のレベルに落ちたわw
532名無し@若草姉妹
すんげー軽やかなタッチでピアノを弾くのな。こんな軽いタッチで子犬のワルツを弾く人初めて見た。そして、それが劇にすごく合う。
これは曲を聴かせるための演奏じゃなくて劇の演技に合わせた演奏だな。星キアラはマジですごい演奏家だな。この演奏なら劇場で生で聞きたかった。
533名無し@若草姉妹
エイミーすねるw
534名無し@若草姉妹
むしろこの状態ですねるぐらいですんでいるエイミーがすげぇ
535名無し@若草姉妹
エイミーもすんごく可愛い
536名無し@若草姉妹
マジでちょっと生意気な末っ子を体現している
537名無し@若草姉妹
ぶりっ子にみえつつ、嫌われない魅力的で絶妙なラインを保っとるw
538名無し@若草姉妹
確かに生意気だけど、将来ものすごい美人になりそうな予感・・・
539名無し@若草姉妹
素直になれないけど家族思いなところもまた良い。
540名無し@若草姉妹
そして、ケンカが継続だな。ジョーの怒りも冷めないし。
541名無し@若草姉妹
切れまくったジョーが気分転換にスケートにGO!
542名無し@若草姉妹
スケートの演技うめぇw
その場で留まっているのに本当に滑っているみたい
543名無し@若草姉妹
友達役の子と比較しても千世子ちゃんのスケートの技術はすごすぎw
544名無し@若草姉妹
本当に氷の上に居るみたいだ
545名無し@若草姉妹
エイミーも素直になりたくてスケート場に謝りに来たんだな。
546名無し@若草姉妹
ぎゃーーーー。エイミーが氷が割れて溺れてる
547名無し@若草姉妹
ジョーが身を挺して救出に行く
548名無し@若草姉妹
エイミー無事救助
549名無し@若草姉妹
エイミーが助かって、ジョーが爆泣き。あれだけ怒っていてもエイミーが大切なんだな
550名無し@若草姉妹
マーチ夫人にジョーが慟哭。
551名無し@若草姉妹
すごく、心を打たれる演技だね。千世子ちゃんすごい。
552名無し@若草姉妹
本当に千世子ちゃん、一皮剥けたみたい。このメンバーでジョーを演じても違和感が無い
553名無し@若草姉妹
天使とかそういう感じじゃなくて、人間的な魅力があって本当に目が離せない
554名無し@若草姉妹
千世子ちゃんはジョーを演じるのにふさわしいな。
最初はどうかなと思ったけど、今はジョーは千世子ちゃんしか居ないって思えるわ
------------------------------
694名無し@若草姉妹
ベスが猩紅熱でぶっ倒れた
695名無し@若草姉妹
このやばいメンバーの癒し兼ピアノ担当が!!
696名無し@若草姉妹
みんなバチバチ・キラキラですげぇからな。メインディッシュ満載って中に、星キアラの演技で癒される事があるとは思わなかったw
697名無し@若草姉妹
実際のところ、このやばい四姉妹を星キアラのベスが上手く接着している所はあるからな
698名無し@若草姉妹
全員主役の中で存在感を出しつつ、ちゃんと演技をまとめるとかすごすぎだろ!
699名無し@若草姉妹
ベスはベッドでぐったり
700名無し@若草姉妹
メグが来室してきたな
701名無し@若草姉妹
ぐったりするベスをメグが慰める
702名無し@若草姉妹
こっこれは、まさか
703名無し@若草姉妹
(┌^o^)┐ホモォ...
704名無し@若草姉妹
これは、ボーイズラブなのかガールズラブなのか、ノーマルなのか非常に判断に困るw
705名無し@若草姉妹
メグが女の魅力でベスにぐいぐい行くぞ
706名無し@若草姉妹
ベスは病気でぐったりしているはずなのに、メグは絶対にベスを狙っていやがる・・・。
707名無し@若草姉妹
これはカップリング論争がまたも勃発!
708名無し@若草姉妹
なんという家族愛。でも家族愛に見えない気も・・・。
709名無し@若草姉妹
メグは絶対に危うい部分を狙ってやがる
710名無し@若草姉妹
メグがものすげぇ倒錯した魅力があるからな
711名無し@若草姉妹
ものすごい魅力的な姉なんだけど、役によっては稀代の悪女も行けそう
712名無し@若草姉妹
星キアラとのからみとか、女じゃ絶対に出せないやたら背徳的な魅力がする
713名無し@若草姉妹
このカップリングはまた世間を騒がせそう
714名無し@若草姉妹
いや、星キアラには星アキラが居るから!
715名無し@若草姉妹
そのカップリングは物理的には絶対に成立しないんやでw
------------------------------
806名無し@若草姉妹
病気で苦しがるベスが峠を越えて復活!
807名無し@若草姉妹
ベス回復!
808名無し@若草姉妹
そして夫のお見舞いに行っていたマーチ夫人も帰って来たぞ
809名無し@若草姉妹
家族そろってマーチ夫人を迎えて大団円だな
810名無し@若草姉妹
もうすぐ終わりか
811名無し@若草姉妹
ベスがピアノに
812名無し@若草姉妹
峠の我が家だ
813名無し@若草姉妹
エンディングだな。
814名無し@若草姉妹
うわーーーーー。すんげーーー良かった。
815名無し@若草姉妹
四姉妹、みんな個性がばらばらだったけど、みんな自立した家族だったな
816名無し@若草姉妹
お互いの個性を尊重して家族を築けるとかすごく素敵だね
817名無し@若草姉妹
ワイ超感動!!! 演劇を見るのは初めてだったけど、すごく良かった。
他の劇団の演劇とかも見て見たい!
818名無し@若草姉妹
DVDが出たら絶対に買う
819名無し@若草姉妹
終わった
820名無し@若草姉妹
すげぇ拍手喝采
821名無し@若草姉妹
みんな総立ちだな
822名無し@若草姉妹
ものすごい音圧。拍手で何も聞こえない
823名無し@若草姉妹
あっ、また出演者が出てきた
824名無し@若草姉妹
カーテンコールだな
825名無し@若草姉妹
ベスがまたピアノに
826名無し@若草姉妹
これの入りはもしかして・・・。
827名無し@若草姉妹
カントリーロードだ!!!
828名無し@若草姉妹
星キアラのカントリーロードに合わせて出演者が挨拶している
829名無し@若草姉妹
キアラ嬢の生演奏でカーテンコールとか良すぎる
830名無し@若草姉妹
うわー、キアラちゃん、まじ本気でカントリーロード弾いている
どんどん超技巧を織り交ぜながら引いているのにメロディーラインはこんなに綺麗なの?
831名無し@若草姉妹
涙で画面が見えない。
今回の素晴らしい舞台の出演者に幸あれ
832名無し@若草姉妹
なんか歴史的な舞台を見た気がする。
この感動を誰かに伝えたい
833名無し@若草姉妹
この舞台を生で観た人が羨ましすぎる。本気で嫉妬している。
834名無し@若草姉妹
最後の余韻をカントリーロードでさらに増幅させるのは卑怯だろ
835名無し@若草姉妹
こんなすごい舞台を生放送で観れて良かった
836名無し@若草姉妹
明日は、この話題で持ちきりだろうな
837名無し@若草姉妹
Youtubeとニフニフ合わせて最大同時接続数が500万人超えているんだけど・・・。
838名無し@若草姉妹
日本だけじゃなくて、世界中から見られているからな。特にYoutubeがすごいみたいだな
839名無し@若草姉妹
最後にベスが挨拶して終了!!! 良かった――――。
840名無し@若草姉妹
明日からまた頑張ろうって思える。
841名無し@若草姉妹
お前ら、無料でこんないい劇をみせてもらったお礼にちゃんとアンケートを書いて行くんだぞ。
842名無し@若草姉妹
はーい。(*´∀`*)ノ
843名無し@若草姉妹
大満足! 若草物語は本当に大成功だな。
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【Live】チャンネル200万人記念配信。ゲスト明神ラーヤ
放送準備中。もうちょっとで始まるよ。
200万人記念のゲストの明神ラーヤとはいったい何者なんだ!
心当たりがあるような無いような・・・。
明神阿良也の兄弟かな?
ネタはなんとなく想像できる気もするんだが、展開が全く読めない
200万人にふさわしいゲストな気もするけれども・・・一体誰だ?
あっ始まる
「星アキラの双子の妹、星キアラですっ。今日も皆様とお会いできてうれしいですわ。」
「そして今日はチャンネル200万人到達記念で超スペシャルゲストが来てくれました。明神ラーヤちゃんですわ!」
「初めまして。明神ラーヤです。みんなよろしくね!」☆(´ゝ∀・`)ノシ
かわいい!!
なにこの素敵な子
まるでラノベから出てきたようなアイドルやっている女友達って感じ
陽キャなんだけど、オタクにすごく理解のありそうな美少女
まじで可愛いんだけど、これは女である私の危機のような気がする。 す朝野いちごch
男だって全く判らん。
ラーヤちゃんとキアラちゃんが同時に画面に映るとインパクトがすごいわね す環蓮ch
「明神ラーヤちゃんは、わたくしと一緒に若草物語の長女であるメグ役を演じてくれましたの。」
「そうね。キアラちゃんとの舞台はラーヤもすごく面白かったわ。四姉妹みんなで魔王アリサを倒した物語は素敵だったわ。」
「最後は白馬に乗った王子様が迎えに来てくれて、ハッピーエンドでしたものね。ステキな舞台でしたわ。」
オマエラ、記憶がおかしいぞ大丈夫か?
明らかに間違った内容を話している気がするんだけど、これでいいような気もする
すんごく雑だけど大体あってる。
いや、今話題の児童文学の内容がこれじゃまずいでしょ
若草物語は魔王と四天王の内紛劇だった!?
星キアラがやられたようだな
ふふふ・・・奴は四天王の中でも最弱
魔王アリサごときに負けるとは役者の面汚しよ
↑みんな息ぴったりで草www
星アリサは明らかにラスボスだろw
「そんな訳で、今日は若草物語のお話を聞きつつ、みんなから来たラーヤちゃんへの質問に答えさせていただきますわ。」
「はーい。みんなよろしく~♡」
ドキッ。可愛い!
ちょっとカワイすぎてやばい
あざとかわいい
これはクラスに居てもヒエラルキー天元突破
この溢れる魅力、私も出せないかしら。 す朝野いちごch
「それじゃ最初の質問から」
処女ですか?
|
知ってた!
これが定番の質問とか相当ヤバいと思うの
天丼すぎるだろw
これが普通の質問に思えてきている俺らってかなり毒されていると思う
この質問に驚きが無いのがヤバイ
「もちろん処女よ! 私はこんなに魅力的なのに、みんな私の処女を奪ってくれないのっ。誰かいい男は居ないの?」
「ちょっと可愛いふりをすれば、男がダースで手に入りそうなのに、この返しは予想していませんでしたわ。」
「ラーヤちゃんは誰か付き合いたい男の子とか居ませんの?」
「ラーヤ、実は最近ちょっと気になる男の子が居るの~♡。星アキラ君って言うんだけど、キアラちゃんのお兄さんだよね? 紹介してくれない?」
「うわっ、最悪の展開ですわ。アキラ兄さんとラーヤちゃんが付き合ったら、関係性が意味わからなくなりますわ。そもそもこんなカップリングは誰が歓喜しますの?」
┌(┌^o^)┐ホモォ...
ヤオイ民総歓喜だぞ!!
レズ民も行けるぞっ
処女厨の俺大歓喜!
ノーマルのカップリングなら私も行ける
┌(_Д_┌ )┐レズゥ
百合が王道!これは百合!間違いない!
やっぱり阿良也×アキラじゃないと
それはないわ。ラーヤ×キアラよ
キアラ×アキラ以外は認めないわ!
どのタイプでもいいわ。でも阿良也×キアラは解釈違いね
オマエラ、こんなところで変な論争するなwww
「歓喜しすぎる人が多すぎワロタ」
「やっぱりラーヤの魅力にみんなメロメロね。これならアキラ君も私に振り向いてくれるわ!」
「とりあえず、ラーヤちゃんがヤバイ人だって事は分かりましたわ。それでは次の質問に行ってみましょう。」
後ろの穴は処女ですか?
|
「これはごめんなさい。興味があって1年前に後ろの穴の処女は捨てちゃったの。」
「え゛っ…。 ちょっ、ラーヤちゃんちょっと!」
「役作りのために男同士の付き合いにも興味があって、ゲイバーで知り合った男の人に・・・。」
「わーーーー!わーーーーーーーっ! なんでもありませんわ! これは激やばですわ。ヤバすぎるので、ここでこの質問は終わりですわ!!」
「えっ?私は正直に答えているだけだから、なにもやましくは無いわよ?」
「やましいのですわっ!!!! ちょっと、超核爆弾級の発言しないでくださるっ?!!!」
「キアラちゃん、圧が強くて怖いわ。ラーヤビックリしてブルブル震えちゃう。」
「こいつ、ここまでゲロやばな人だとは思いませんでしたわ。童貞とか聞かなくて良かったですわ。」
「童貞?童貞は2年前に・・・・。ふごふごっ」
「このバカ、喋らせると本当に碌なことになりませんわね。私の質問も悪かったですけど、正直すぎるのも困りものですわ。」
「突然口を塞がないで欲しいわ。ラーヤは正直に答えただけなのに・・・。」
「正直に答えるのがいけないんですわ!!! 少しはTPOを弁えなさい!!!」
キアラちゃんの貴重な常識人シーンwww
キアラ嬢からTPOが出て来て大草原w
ラーヤちゃんは超危険人物だったw
キアラちゃんが常識人に見えて草生えるw
ラーヤちゃんヤバすぎ。ラーヤちゃんも属性ありすぎだろw
これで本当にアキラ君と付き合ったら魔境すぎて笑うw
アキラ君、後ろの穴が危機だぞwww
これにはキアラちゃんも突っ込まない訳にはいかないw
アキラ君とはある意味お似合いのカップルだと思うの す百城千世子ch
千世子ちゃんもキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
「ヤバいですわ。これ以上この辺の話題をしゃべるとこっちの身が危ないですわ。質問を変えさせていただきますわ。」
若草物語で一緒に共演した人たちはどうだった?
|
「まずは千世子ちゃんなんだけど、演技がすごいんだけど、やっぱり演じている時には匂いが無いよね。」
「その匂いから入る役者の感想やめい!」
「えっ? 役者の感想って匂う、匂わないしかないよ?」
「こいつ、野生児すぎますわ。 直感とか感覚は役者にとってすごく大切ですけれども、それしかないのも相当ヤバいですわね。」
明神阿良也は、こういう天才肌な所あるよね
さすがはカメレオンの異名をとる天才俳優
いや、感覚以外に何かコメントが欲しい
これはなんとも言いにくい
うーん。天才なのかな?
「それじゃ、千世子ちゃんは匂わなかったんですのね。」
「うーん。そうじゃないかも。稽古を始めた最初の内は匂わなかったけれども、稽古を進めていくうちにどんどん匂ってきたかも。」
「やっぱり演じている時の匂いは弱いんだけど、あの匂いの弱さであれだけ圧巻の演技をするなんて不思議だったね。」
「ラーヤの匂うは同じメソッド演技者に対しての同族への嗅覚みたいなところがあるから、演技に別のアプローチをする人にはその匂い検知は弱いですわよね。」
「おそらくラーヤが一番匂ったのは星アリサと景ちゃんじゃないのかしら」
「そうね。星アリサの匂いは強烈だったわ。一緒に舞台に立てたのは一番の思い出よね。それから景ちゃんの匂いも強いよね。舞台が進むにつれてどんどんエイミーの役に入り込んで行って、匂いがすごく強くなったわ。」
「まだ星アリサの匂いがずっと強いけれども、そのうち景ちゃんも追いついてくるんじゃないのかな」
「うーん。女の子の恰好をしているからまだマシなのですが、男の恰好でこの匂いについて語られるとかなり危険ですわね。」
ラーヤは景ちゃんに匂うとかそのまま言っちゃってそう
確かに男の姿でこれを言うと事案の可能性が・・・。
将来セクハラで訴えられそう・・・。
役者の評価が匂いだけはやばすぎだろ
キアラ嬢はどういう匂いがするのか気になる
「キアラちゃんは、千世子ちゃんとは逆だったね。最初はちょっと匂ったんだけど、練習中に匂いが無くなって行って、本番になったら無臭になっちゃったわね。」
「無臭になると舞台から気配が薄くなるんだけど、必要な時には急に存在感が出るんだよね。」
「後はみんなが好き勝手に演技している時にちゃんとバランスを取ってくれるから、安心して演技に集中できたわ。」
「みんなのバランスを取らなきゃいけない私の苦労もわかってほしいですわ。」
「でもそんな事をしても演技では主役級の演技をするから全く気が抜けなかったわ。」
「スキを見せたら取って喰おうって思いましたのに、みんなやる気全開でダメでしたわ。」
微妙な役者間のエゴが見えて草生える
キアラちゃんも病弱なふりをしてスキを伺っていたんだね
まさに演技甲子園だったなw
あの舞台はみんなスロットルMAXだったから
キアラちゃんが舞台トータルのマネージメントをしていたのは判った
キアラ嬢が居なかったらあの舞台はスターばかりでバラバラだったろうな
でもキアラちゃんも間違いなくスターの存在感を出しながらあれが出来たのはすごい!
次の質問ですわ
ラーヤちゃんとキアラちゃんは付き合わないの?
|
「さっきの経緯があるからすごく嫌な予感がしますわ。常識的な回答をお願いしますわ。」
「キアラちゃんなら全然オッケーだよ。一緒に居て全然苦にならないし。仮に阿良也とアキラでもゲイバーの人にテクニックを教えてもらったから・・・・もごもご。」
「こうなるのはわかっていましたわ。やっぱりこいつに、こういうネタで発言させるのはまずいですわね。」
「どうしたんだい。子猫ちゃん? 急に僕のお口を塞ぐなんて、なんてわるいいたずら子猫なんだ。」
ラーヤは急にキアラを抱き寄せながら言う。
「君のかわいいお口を情熱的な僕の唇で塞いであげるよ。」
きゃーーーーーーー!
キマシタワーーーーーーーー!
これは宝塚展開!!!
超展開にワクテカが止まらない。
これは巨大な百合の塔が立つ。
いや、これこそ理想のヤオイよっ
まちがいない。究極のBLね
関係性が非常に複雑で笑うw
「まぁ、ラーヤ!ラーヤ!なんて素敵なお方なのかしら。 キアラの胸もときめきますわ。」
「でも野郎は趣味じゃないんですのっ。 勝手に人の唇を奪おうとしないでおくんなマシ! どかっ☆」
キアラちゃんの頭突きキターーーー
完全に入ったな。
まあ流石にこうなるよね
嫌よ嫌よと言っておきながら体は実は・・・。
そのまま行ってくれても良かったのよ。目の保養になるし。 す百城千世子ch
絶対にこの後に二人でホテルに行っちゃうよ
(┌^o^)┐ホモォ...
┌(_Д_┌ )┐レズゥ…
この場合はどっちに分類されるんだろうな?
属性が多すぎて笑うwww
これが禁断の恋! 素敵! す朝野いちごch
「千世子ちゃん、いちごちゃん、あまり倒錯した世界にのめり込まない方が良いですわよ。」
「いたた、キアラちゃん酷い! 私があんなに情熱的な演技をしたのにっ」
「あの演技に乗ったら、わたくしは絶対にホテルにお持ち帰りをされてしまいましたわ。童貞もまだ捨ててないのにいきなりこれはヤバすぎますわ。」
「どちらにせよ、ラーヤちゃんはわたくしの貞操を狙う超危険人物としてインプットされましたわ。」
「キアラちゃん、これって誘い受けって言うんだっけ? 私を誘惑しているの?」
「星キアラ、本気で貞操の危機ですわ、皆さん助けてくださいっ! っていうか、巌のおじい様! こいつの役者以外の教育をちゃんとして! こんな危険人物を世に放たないで!!」
貞操の危機ワロリンw す百城千世子ch
キアラちゃんが焦っていてウケるwww
こんな逸材を育てた巌裕次郎はやっぱりすげえな。
巌裕次郎の恐ろしさを肌で感じたわ。
やっぱり演劇界の巨人は違うな
巌さんってやっぱりすごかったんだ! す朝野いちごch
巌のじっちゃんも大満足だろうな
「なんでこの展開で巌のおじい様の株が上がっていますの!? 全く意味不明ですわ!」
「キアラちゃんは、ボケが多いかと思っていたけれどもツッコミもすごいんだね☆彡」
「誰のせいでツッコミをする羽目になっていると思っていますの!!!」
------------------------------
「つっ疲れましたわ。それに胃がちょっと痛くなってきましたわ。 それじゃ終わりの時間なので最後の音楽の時間ですっ。」
ええーーーー!もっとラーヤちゃんとお話ししたい
ラーヤ!ラーヤ!ラーヤ!
ラーヤたん最高!
ぶぅ━━q( ̄(oo) ̄)p━━っ!!
もって続けてよ~。
ぶうぶうっ
時間が過ぎるのが早いw
ラーヤちゃんはレギュラーメンバーに欲しいわね す百城千世子ch
「千世子ちゃん、こんな危険人物をレギュラーメンバーにしたら、わたくしが様々な意味で死にますわ。」
「そんな訳で、ピアノの時間です。ラーヤが好きな映画、『サウンド・オブ・ミュージック』から『My Favorite Things』ですわ。この曲は映画で使われた後に、ジャズのスタンダードにもされたぐらい有名な曲ですわ。」
「おそらく原曲のマリアが歌うバージョンよりも、ジャズとして演奏されたのを聞いたことがある人が圧倒的に多いはずですわ。」
「今日はジャズアレンジしつつも、原曲を歌ってみますわ。それではどうぞ」
ピアノの入りが渋すぎる
これは有名な曲だね
英語の歌かっこいい
キアラちゃんのクリアな声にジャズピアノがすごいマッチしている
CMで聞いたことがある
これ、映画の曲だったんだ
歌も雰囲気もすごくいいね す環蓮ch
ピアノと歌が良すぎる
「マリアが嵐の中で子供たちを安心させるために歌うのもいいけど、こういう大人なアレンジもぐっとくるね。すごくよかったわ。」
「なんとか、終了まで持っていけましたわ。ラーヤを呼ぶのは地獄だって判りましたわ。」
「そんな事を言わないで、また呼んでね。ウィンク( •◡-)♡」
「ラーヤのヤバさが判りましたので、今度はもうちょっとまともな企画の時に呼びますわ。それでは皆さんさようなら~!」
バイバイ~☆
バイビー☆
バイバイ☆
ラーヤちゃんすごかった!
予想していたよりも何倍もヤバい放送だったなw
楽しかった☆
キアラちゃんの
またねーーー☆
キアラちゃんの胃痛姿が新しくて面白かったよ☆ す朝野いちごch
バイバイ☆
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若草物語の社会研究スレ
1名無し@社会研究員
このスレッドではスターズが公演した『若草物語』の社会的な影響やマーケティングなどについて論議するスレです。
2名無し@社会研究員
やっぱり最終日のWebでの無料生放送が革新的だったよな
3名無し@社会研究員
少なくとも、あれは無料放送しても、DVDやBlu-rayなどのメディアの売り上げに影響がないって言う自信が無いと無理
4名無し@社会研究員
逆に言えば、無料放送してもメディアを買ってもらえるという自信があれば、すごく良い手だな
5名無し@社会研究員
考えて見れば、アニメのDVDと一緒だよな。放送した後にも買いたい人は買うんだから
6名無し@社会研究員
そうだろうけど、舞台公演の有料放送と無料放送をやるというのはかなり新しい
7名無し@社会研究員
有料放送の収益はどうなの?
8名無し@社会研究員
舞台に行くのよりも三分の二の値段で1日平均すると5万人ぐらい。
実際の舞台は1000人ぐらいしか入れないから、スターズは超ぼろ儲け。
9名無し@社会研究員
とんでもない動員力だよな。有料で放送を見た人だけでも14日間でのべ70万人か
10名無し@社会研究員
もののけ姫の観客動員数が1400万人だからその二十分の一だけど、演劇の舞台って意味だと衝撃的な数値だよね。
11名無し@社会研究員
千と千尋の神隠しの観客動員数が1週間で227万人。その意味で言えばそう大した数では無かったけれども、今まで行く人が限られていた演劇において、同時にこれだけの人が有料でチケットを買って視聴すると言うのはすごく驚異的。
12名無し@社会研究員
演劇ってコンテンツの潜在的なマーケットを掘り起こしたな。
後は他の劇団がこの波に乗ってこの顧客を獲得して、演劇って分野がもっと広がるかどうかだ。
13名無し@社会研究員
実際、演劇がブームになってきているから他の劇団の売り上げもすごく上がっているみたいだ
14名無し@社会研究員
確かにあれは、生放送で見ていて、実際に劇場に行きたくなった
15名無し@社会研究員
やっぱり近いのはプロ野球とかサッカーだよね。TVでも見られるけれども、現地にも行きたい。
16名無し@社会研究員
TVの場合には放映する、しないがTV局任せになって、コンテンツ提供側もTV局の都合に振り回されるけれども、インターネット放送だとコンテンツ提供側でコントロールできるからな。新しい時代が来たな。
17名無し@社会研究員
この若草物語は、演劇って言う映画も無い時代の古い表現方法が、インターネットによって表舞台に乗りなおした歴史的な舞台だったのかもしれない
18名無し@社会研究員
この成功を見て、他の劇団もインターネット配信を考えているみたいだ
19名無し@社会研究員
劇団天球も日数を限定してだけど、インターネットの有料配信にチャレンジしてみるみたいだな。
20名無し@社会研究員
巌裕次郎は若草物語の製作協力もしていたし、無料配信は怖いけれども、有料配信ならチャレンジする価値はあるだろうな。
21名無し@社会研究員
実際に他の劇団にとっても、突如転がり込んだビジネスチャンスだからな。みんなこのチャンスを生かしたいだろ。
有力な劇団はみんな検討していると思うぞ。
22名無し@社会研究員
有料放送だけで元は十分だったのかもしれないけど、無料放送のインパクトは絶大だったな。
23名無し@社会研究員
あの舞台はみんな見てみたかったけれども、チケットは争奪戦だったし、舞台に興味はあってもお金を払ってまでも見たいという人ばかりじゃないけど、無料なら話は別だからな。
24名無し@社会研究員
そして、みんな無料放送を見て、舞台を生で観たかったっていう感想を持つと。
演劇界全体を底上げする上手いマーケティングだよね
25名無し@社会研究員
たぶん、歴史的な舞台になるって感想はみんな薄々感づいていただろうからな。
特に無料放送が行われる最終日のチケット争奪が一番すごかったって言うんだから面白いよな。
26名無し@社会研究員
そりゃ、あの舞台を生で観たとか言ったら、一生の思い出だろうからな
27名無し@社会研究員
DVDメディアを持つのと、生の思い出じゃ全然違うからな。
その意味では、演劇もライブとかと同じく、今後もどんどん発展していきそうだな。
28名無し@社会研究員
無料放送の同時接続数が500万人というのも驚異的だったな。
29名無し@社会研究員
とんでもない動員数だよね。半分以上がが海外からっていうのも意外だった。
30名無し@社会研究員
YoutubeのTopページのお勧めとかに出て来たみたいだね。
星アキラのファンとかも居るし。
31名無し@社会研究員
無料放送の方はYoutubeが試験的に英語なんかのリアルタイム字幕を入れて放送したらしい。
それで海外の人たちも楽しめたみたい。
32名無し@社会研究員
Youtube全面協力かよw。スターズすげえな。
33名無し@社会研究員
実際の視聴数は日本だと200万人ぐらい。対して海外が300万人と言うwww
34名無し@社会研究員
そりゃ、海外の方が人が多いもんな。
当たり前の事だけど、日本に住んでいるとあんまり気が付かなかった事だな。
35名無し@社会研究員
それに題材が若草物語だからな。全世界にファンが居て馴染み深い題材だったから、海外ニキも思わずぱっと見で視聴して、そのままずっと引きこまれて、ファンになっちゃった人も多いらしいぞ。
36名無し@社会研究員
DVDとBlu-rayはマーケティングもせずに、いきなり海外展開決定だってw
37名無し@社会研究員
まさかの海外売り出しwww。これは国内出荷だけで想定していた売り上げよりも、すごい事になりそうだな。
38名無し@社会研究員
ワールドワイドのマーケティングはワロタ。確かにインターネットなら世界中どこでも見られるからな。
39名無し@社会研究員
あのメンバーの海外デビューはテラワロス。特に星キアラと明神阿良也w
40名無し@社会研究員
絶対に男だって気が付いてない海外ニキも多いだろw
41名無し@社会研究員
実際の性別を知って愕然とするだろうなwww
42名無し@社会研究員
こうして日本のHENTAI文化がまた一つ輸出されて行くのか・・・。
43名無し@社会研究員
スターズの成功はすごいんだけど、TV局は苦々しく思っていないのかな?
44名無し@社会研究員
内心は苦々しく思っているかもしれないけれども、今回の件に関してはかなり協力的だと思うぞ。
スタンフォード大学と総務省の外郭団体が協力した社会実験って事だから、下手にスターズに圧力とかをかけて親方に睨まれたくないだろ。
45名無し@社会研究員
下手に圧力とかかけて、総務省の大臣なり、アメリカの高官なりが日本のテレビ局の閉鎖性についての発言でもしたら、テレビ局側は致命傷だからな。
逆にTV局側がかなり気を使って報道していると思うぞ。
46名無し@社会研究員
ワイドショーや情報番組とかでもハブったり、否定もせずに、正確に情報や感想を伝えているから、かなりニュートラルな報道をしているよね。
47名無し@社会研究員
ライブドアのニッポン放送の株式取得事件と違って、今回の件は親方が守ってくれないどころか、メンツを潰されたって言って怒り狂う可能性もあるから、報道の正確性に気を使っているように感じるな
48名無し@社会研究員
ホリエモンが考えていた時代が来つつあるのか・・・。感慨深いな。
49名無し@社会研究員
ホリエモンはともかくとして、TV局の上の方の人や株主は今回の結果に興味津々だろ。
50名無し@社会研究員
スターズとYoutubeとニフニフがデータを出して、それがスタンフォード大学と総務省の方から論文と報告書にまとめられて公表されるからな。
51名無し@社会研究員
ライブドアや楽天のTV局買収事件にせよ、ネットとのメディアミックスはTV局にとっても今後の試金石となるから、その辺のノウハウやデータが学術的な意見を入れられた上で公開されるのは、非常に価値が高いだろ。全世界のTV局や映画会社なんかも、この論文や報告書はみんな確認して、経営戦略を練り直すんだろうな。
ここでも一番利益を上げているのは、生のノウハウが手に入ったスターズだろうが・・・。
52名無し@社会研究員
スターズ、すげぇな。今回の若草物語で完全に上手く立ち回ったな。よっぽどすごいインターネット軍師が居るんだな。
53名無し@社会研究員
インターネット軍師w。なんというパワーワードwww
通信教育の軍師とどっちが強いのかな?
54名無し@社会研究員
まぁ、居るっちゃ居るよな。 ネット配信の先駆者でトップリーダーの配信者兼役者が居るからな。
しかも、社長の息子だし・・・。
55名無し@社会研究員
あのクソガキか・・・。でもそうだろうなこの無料配信は絶対にあのクソガキのアイデアだよな。
56名無し@社会研究員
星アキラは、配信でみんなに見てもらいたかったら無料配信を提案したって言ってたよ。
どこまで周りがフォローしたかは判らないけれども、ネット関係の動きは星アキラのアイデアがかなり入っているだろうな。
57名無し@社会研究員
星アキラ、スターズ二代目の社長としての能力があるのか、無いのか・・・。
58名無し@社会研究員
能力は間違いなくある。でもやる気があるかは知らん。
普通に社長以外でも食べていけるだろうからな。
59名無し@社会研究員
11歳であれは異常。星アリサはどう教育したらああなるんだ?
60名無し@社会研究員
育児放棄したらああなるんじゃない? 褒めて伸ばす昨今の教育方針に真っ向からケンカを売っていてワロスw
61名無し@社会研究員
偉人を見習えというのは、異常者を見習えって言うのと同義っていうのが良く分るよなw
62名無し@社会研究員
厳しく躾けるよりも、育児放棄の方がはるかに酷いからな。
63名無し@社会研究員
あの育児放棄の話はマジっぽいからな。それで頭が良すぎて自殺か・・・。
64名無し@社会研究員
あの才能が世に出て本当に良かった。あそこで終わっていたら、この若草物語は絶対に見れなかった。
65名無し@社会研究員
あそこがターニングポイントになって色々変わり始めたよね。クソガキで珍獣で女装する謎の生命体だけど、星アキラと星キアラからは目が離せないよね。
66名無し@社会研究員
インターネット時代にふさわしい新世代の俳優、星アキラと星キアラ。次はどんな活躍を見せてくれるのか、すごく楽しみだな。
いつもこの小説を読んでいただいて、ありがとうございます。
若草物語が一息ついたのと、いろいろ忙しくて、だいぶ書き溜め分のバッファが無くなってきましたので、すいませんが2週間強ほどお休みをさせていただきます。
再開は11月27日(日)を予定しております。
ただ、11月13日と20日の日曜日には閑話を投稿する予定ですので、よろしくお願いいたします。
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夜凪ママの一日
夜凪ママの朝は6時頃に始まる。
朝起きて身支度をすると、朝食の準備から始める。
星家の朝食は和食が中心で、ご飯、魚、サラダ、お味噌汁、煮物などが中心となる。
また同時にお弁当と双子の幼児食の作成も行う。
夜凪ママはこれらのメニュー作成をテキパキと行っていく。
6時30分ごろになると景が起きて来て、食事の作成と配膳を手伝ってくれる。
またアリサさんもこの時間に起き出す。
7時になったらお寝坊のアキラ君を景が起こしに行って、アキラ君が起きてみんなで食事が始まる。
「アキラまた夜更かししたの? 若草物語が終わってしばらく経つけど、だいぶ弛んでいるじゃないの? いい加減にしたら?」
「仕方が無いじゃないか。阿良也と夜遅くまで一緒にモンハンをやっていたんだから。 夜までモンハン配信を垂れ流した後にも延長戦で、昨日は大変だったんだよ。」
「阿良也君もあまり夜更かししないようにね。仕事のコンディションを整えるのもプロの仕事よ。」
「はーい。」
「阿良也、うちに泊まって行って、朝食を食べて帰るの普通に馴染んでいるよね・・・。」
「巌さんにも独り暮らしするよりも、はるかにいい物を食べてるから、健康の面でもアキラの家に泊まった方がいいって言われてる。」
「阿良也君と友達なのはいいけど、禁断の関係とかの変な雑誌記事とかを上げられないように注意するのよ。」
「とっくの昔に掲載されているから手遅れじゃないかな。」
「朝から頭が痛くなるような事を言わないでちょうだい。」
「ありさままーーー。まんまーーーー。」「まんまーーー。」
「はいはい。ルイちゃん、レイちゃん。まんまですからねー。ばぶーっ。」
「まんまおいちぃ。もっと」「あぅっ。もっと。ほちい」
「もっとあげまちゅからねー。たくさんまんまたべれてえらいでちゅねー。」
朝食の時は食事の対応で忙しい私に変わって、アリサさんが双子にごはんをあげてくれる。
私達を優しく受け入れてくれて、いろいろ双子や景達の面倒も見てくれている、アリサさんの存在はすごく助かっている。
「夜凪さん、今日は打ち合わせがあるので、夕食は不要です。」
「僕は配信があるから、夕食は家で食べるよ。雪ねぇちゃんも今日は家で食べるから。」
「私も夕食は家ですっ。」
「夜凪さん、私も明日はロケなので今夜も泊っていいですか?」
「もちろんですよ。千世子ちゃん。」
「千世子ちゃんも普通に馴染んだよね。」
「千世子は郊外に住んでいるし、ここの所はドラマのロケが続くからしばらくはこの家に泊まった方が良いわね。もともとご両親も忙しくて、ほとんど家に居ないんだし。」
「アリサさん、夜凪さん、ありがとうございます。」
「これ、みんなの分のお弁当になります。」
「「「「夜凪ママいつもありがとう!!!」」」」
朝食が終わると、みんなはそれぞれ仕事や学校に出る。
「お母さん、行ってきます!」
「気を付けて学校に行くのよ!」
「はーい。」
8時になると景が小学校へ行く。
アキラ君や千世子ちゃんは芸能系の私立学校なので、学校には行ったり行かなかったりする。
ただ、景には子供のうちから芸能活動ばっかりをやらせるのは将来を狭めるようで気が引けた。
なので、景は近所の公立小学校に通わせている。
星家のお手伝いさんを始める前の景は本当にやせ細っていて、目に隈がでてきていて本当に酷い状態だった。
前に景が通っていた学校でもそんな景を見て、いじめは無かったけれども遠巻きにされていて、友達とかも居なかった。
今は学校も変わって、健康状態も改善して見違えるほど明るくなった景は、学校にも沢山友達が居て人気者だって、景自身や近所の同じ世代の子供をかかえる奥様たちに聞いている。
ただ、アキラ君や千世子ちゃんを身近に見ている景には、学校の友達たちは子供すぎるように感じるらしい。
景の男の人の基準がアキラ君にならないかが本当に心配だ。正直に言ってアキラ君は魅力的過ぎる。将来、彼氏ができた場合に、彼氏にアキラ君レベルを求められても、対応できる男の人なんてほとんど居ないだろう。
私は朝食の後のゴミ出しをしながら、景の将来について少し考えていた。
・・・もっとも私が、こう言った景の将来を考えられる事自体が、すごく幸せな事なんだけど。
ごみを出して家に戻ると、双子を近所の保育園に連れて行く。
この保育園は、アキラ君が小さい時にも預けられたらしく、保母さんや園長さんはアキラ君やアリサさんとも顔見知りらしい。
徒歩で行ける距離にあるため、すごく助かっている。
お手伝いさんを始めてしばらくは、ルイとレイは、私と景で面倒を見ていたけれども、収入と生活が安定して、景がスターズの仕事が忙しくなっている今は、お昼は保育園に双子を預けるようにしている。
私は特にシングルマザーだったので、区から保育園の使用を優先的に認められている事も大きかった。
子供達を保育園に預けたら、いよいよ家事に取り掛かる。
まずは朝食の食器洗いと洗濯。 食堂、リビング、トイレなどの掃除。
音楽室とか映像室、放送部屋みたいな使用頻度が少ない部屋は、日を分けて掃除していた。
庭については、いつも仕事をお願いしている庭師さんが居るので、その庭師さんに連絡を入れて定期的に庭を手入れしてもらっている。
家事中はアキラ君が録音してくれたピアノやヴァイオリンの曲を聞きながら作業している。
アキラ君は楽器の演奏が本当に上手い。心が落ち着いて仕事に集中できる。
アキラ君の演奏は世界に通用するレベルらしく、CDを出さないか何度も問い合わせが来ているらしい。
掃除、洗濯を終えて1時頃に適当な残り物を料理して遅めの昼食を取った私は、近所のスーパーや商店街に食材の買いだしに行く。
最近は千世子ちゃんと阿良也君も良く家に来てくれているので、食材の消費量も非常に多い。
私は前後に大きい籠付きの自転車で商店街に行って、帰りは食材を乗せて押しながら帰ってくる。
「夜凪のママさん、今日も綺麗だね。おまけしちゃうよ。」
「ありがとうございます。」
商店街の馴染の肉屋や八百屋で買い物をする。今日の夜は人数も多いし、景の好きなすき焼きにするつもりだ。みんなが食べる牛肉の他に、景の好きな豚肉も買っておく。買い物が終わると、良い時間になるので倉庫の整理などを行いながら夕食の準備をする。
今日のメインはすき焼きなので、野菜を切っておいて、肉を並べるだけだのでそんなに大変ではない。
他に酢の物やおひたし、お味噌汁などを用意する。
16時頃になったら、保育園に子供達を迎えに行って家で遊ばせておく。
この間は食事の用意をしながら、子供達の面倒を見る事になる。
またこのぐらいの時刻に柊雪ちゃんの学校が終わって家に来る。
雪ちゃんは家に居れない事情があり、星家に居る事が多くなっていた。
雪ちゃんはアキラ君の生放送のセッティングが終わると、子供たちの面倒を見てくれる。
私はその間に食堂で夕食をテーブルに並べる。
雪ちゃんが子供達の面倒を見てくれるので、すごく助かっている。
また、雪ちゃんは動画の編集なども行うので、子供を見ていない時にはお茶やお菓子などを出してあげる。
18時過ぎになるとスターズでレッスンを受けていた景や仕事か学校を終えたアキラ君、千世子ちゃん、阿良也君がそろって食事が始まる。
「今日はすき焼きなのねっ。大好物ですっ。」
「相変わらず景ちゃんはすき焼きで豚を食べるのね。普通に牛でいいと思うけれども。」
「もちろん、牛さんも食べますが、豚さんも美味しいですよ。千世子ちゃんもどうですか?」
「私は牛でいいわ。」
「今日の放送なんだけど、今日はキアラの歌配信だからピアノと音源をセッティングして・・・。」
「それだったら、ピアノに座りながら、カメラはピアノと顔、全身ですね。」
「そう。後は、全身で映す部分に別のマイクを用意しておいて、音源再生で立って歌えるようにしておいて。」
「了解です。」
「景ちゃんはマイクの位置のセッティングとかをお願い。 あと、カンペを渡すから、曲の説明なんかを僕に変わってやってくれるとうれしい。」
「了解ですっ。がんばります。」
「千世子ちゃんや景ちゃんも歌わない?」
「キアラちゃんと一緒だと歌はどうしても劣るからまだいいわ。」
「私もまだ、歌はあんまり・・・・。」
「今度みんなでカラオケでも行こうか?」
「いいね。それ。」
「なんで阿良也がそんなに行く気満々なのさ?」
アキラ君の生放送がある夕食の日は、雪ちゃんと景とのミーティングを兼ねた話し合いがある。
雪ちゃんも最初は遠慮していたけれども、今はみんなに馴染んで一緒に夕ご飯を食べるようになっていた。
「まま、まんまー。あーーーー。」「もぐもぐする。まんまーーー。」
私はルイとレイに幼児食を与えながら食事を続ける。
そして、食事が終わるとアキラ君の生放送の準備になり、阿良也君と千世子ちゃんはそれぞれの部屋に行く。
私は携帯でアキラ君の放送を見ながら洗い物や残りの家事、子供たちの面倒を見る。
アキラ君の放送が終わると、日によってはみんなでリビングに集まって映画を見る。
今日はレ・ミゼラブルの映画のBlu-rayが手に入ったらしく、みんなで見ることになった。
リビングには、景、アキラ君、千世子ちゃん、阿良也君、雪ちゃんが集まる。
双子は後ろに置いてあるベビーベッドでスヤスヤ寝ている。
アキラ君の左右には千世子ちゃんと景、ちょっと離れた所に雪ちゃん。
座る位置はいつも決まっている。
ちなみに阿良也君は私の膝枕の上にクッションを置いて、その上に頭を乗せて見ている。
おっきい子供ができたみたいで可愛くて、髪を撫でながらつい甘やかしてしまう。
「阿良也、夜凪ママの膝の上が落ち着くのは判るけれども、相変わらずやばいよね。 可愛がられて餌付けされて、完全に夜凪ママに調教されちゃっているじゃん。」
「いいじゃん。落ち着くし。」
「景ちゃん、このままだと阿良也にママを取られちゃうよ?」
「ママはママですよ? 取られるってどういうことですか?」
「うっ、意味がわからなければいいや。そういう事態にはまずならないとは思うけれども、そう言ったヤバい事態に発展しないように気を付けよう。」
「あっ映画が始まりますよっ。」
映画を見終わると、みんな解散してそれぞれの部屋に戻る。
雪ちゃんにタクシーを呼んで家に帰して、そうして私もお風呂に入って寝ることになる。
ベッドで横になりながら、今日の出来事を思い出していた。
私の星家での生活は、アリサさんや沢山の子供達に囲まれて、すごく楽しい。
景やルイ、レイも幸せに育って、私の生活はすごく充実していた。
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胃痛仲間
若草物語のミュージカルも大成功に終わり、星アリサは慰労のため黒山墨字、巌裕次郎、専務、アキラのマネージャ、千世子のマネージャ、イベント担当の部長などを料亭に呼んでもてなしていた。
「墨字君、裕次郎さん、今回の舞台を成功させてくれてありがとう。そして舞台のマネージメントや運営お疲れ様です。」
「今日は日ごろのストレスを忘れて大いに飲みましょう。乾杯!」
「「「「「「「乾杯」」」」」」」
「墨字君、ありがとう。あなたの脚本や演出で若草物語は成功したわ。特にインターネット配信のカメラ配置などは見事だったわね。」
「あんたに素直に褒められると、こそばゆいな。何か別の事を企んでいそうだ。」
「特に今回の舞台の成功であなたにも沢山の報酬を払う事が出来そうだわ。」
「はっ。今回の稼ぎのほとんどが星アキラの采配じゃねぇか。あのクソガキは一体どういう教育しているんだ?」
「別に楽しそうだから好きにさせているだけよ。あの子は自分の欲望を叶えるためにとんでもないウルトラCを連発しているだけで、いたずら好きの普通のかわいい子供よ?」
「あれのどこが普通の子供なんだ! あんたの子供を見る目は節穴すぎるだろ!!」
「子役をやっている子はちょっと大人びて見えるだけで、あんなものじゃないの?」
「そうだね。アキラ君は前まですごく頭が良かったけど、ものすごい影を抱えていて生きているのが辛そうで心配してたけど、今は年相応にはっちゃけてすごく楽しそうで僕も嬉しいよ。」
専務さんが言った。
「いや、おかしいだろ? スターズの子役ってあれが標準なのか?」
「あんなものじゃないの? アキラの場合は、ちょっとおいたがすぎて私の胃や頭が痛いけど、反抗期の子育ては大変って本で読んだこともあるから、こんなものじゃないかと思っているけど。」
「うん。王賀美君の時は反抗でスケジュールに穴を空けたり、週刊誌で報じられたり大変だったけど、アキラ君とかは別にスケジュールに穴を空けないし、仕事もちゃんとやるから全然問題ないね。」
「そうね。勘違いして仕事に穴を空けまくる我儘し放題の子供よりも、大分かわいいものよ。 キアラも驚いたけど可愛いいし。 キアラの恰好の時に頭を撫でると、猫みたいにゴロゴロ言うのよ?」
「いや、アリサさん、専務さん、アキラ君はかなりおかしいと思います。あの年齢にして精神年齢が高すぎると思います。」
「そうです。うちの千世子もアキラ君の影響を多分に受けてどんどんおかしくなっているので、ちょっと気にした方がいいと思います。」
星アキラと百城千世子のマネージャが言った。
「何か困る事あるの?」
「いや、無いですけれども・・・。自分の欲望に素直なのはわかるのですが、普通はその欲望は現実の前に挫折していくはずなのですが、アキラ君の場合には毎回とんでも無い方法でその欲望を実現しているので・・・。しかも大人でもできないぐらいの文句を言いにくい形で・・・。おかげで怒る訳にも行かず、ストレスが溜まって胃が・・・。」
「千世子も似たような感じです。アキラ君が自殺未遂を起こす前はここまでじゃなかったんですが、最近のアキラ君に影響されて、精神年齢がすごく高くなっています。」
「千世子はアキラと組んで普段エチュードをしたり、一緒に居る事が多いからアキラの影響を受けてそういう考え方になるのは判るわね。」
「そうだな。役者というのは複数の役を演じる時にいろんな人間の考え方も一緒に学習するから、子役でも精神年齢が高い人間が多いぞ?」
「もちろん、それは分かっていますけれども、それを考慮した上でも精神年齢が高すぎるって言っているんです。」
「そもそも、入院中に暇すぎてピアノとヴァイオリンをマスターして英語をしゃべるようになるとか明らかにおかしいだろ?」
「別に? 私もおかしいとは思って先生に相談してけれども、性格がちょっと変わっただけで精神的に落ち着いているし、社会性もあるから問題ないって言ってたわよ?」
「ピアノもヴァイオリンも子供の頃の情操教育として習わせていたし、英語もしゃべれなかったけれども、レッスンはしてたし、あの子が自殺未遂する寸前に部屋に籠っていた時には、スタニスラフスキー・システムの英語の本とか普通に読んでいたわよ?」
「アキラ君は元々、ものすごく頭の良い子供だったからね。そうじゃなければ、アリサさんのあの子育てで完全にグレてたと思うよ。頭の良さ以前に、アリサさんにこんなに素直な子供が生まれた事自体が奇跡だよ。」
「専務さんの言う事が正論だから、何も言い返せないわ。そもそも、私も子供の成長は早いって言ってたから、あまり気にしなかったわ。」
「それが余りにも早すぎるからどうなんだって聞いているんだが・・・。」
「私もあの年で無料放送をしたいがために、スタンフォード大学とか総務省の外郭団体を引っ張り出してくる手腕が恐ろしいです。普通、あのぐらいの年齢であれば、無料放送をしたいって言っても、ろくにプランが無くて、大人に問題点を説得されて挫折するものじゃないんですか? それなのに逆にぐうの音も出ないぐらいに外堀を埋められて、日本の大物芸能人が可愛く見えるぐらいの人脈に恐れおののくばかりだったのですが・・・。」
イベント担当の部長さんが言った。
「結果論だけれども、それも成功しているからいいと思うよ。成功すると分かっているからみんなぐうの音が出なくなっている訳で、さらに現実にも成功しているわけだから全く批判の余地は無いね。僕は問題が無いと思うよ。僕は将来的にアキラ君にスターズのどっかの部署でも見てもらいたいんだけど、役者の方でも成功しているから悩ましいんだよね。もっとも君が今回の仕事で大分ストレスを抱えているのも、その理由も分っているので、今日は楽しんでくれ。」
「ありがとうございます。みんなが星アキラのせいで胃が・・・。って言っているのを今回は実感しました。完全に怒ってキレるような愚か者とかそう言う事ではなくて、ツッコミ所満載のくせに怒るに怒れないから、みんなストレスが溜まっていくんですね。」
「部長さんにも私達マネージャの苦労が分ってもらえたようで良かったです。」
「しかし、それにしてもアキラは化けたな。昔は分かる人にしか分からないぐらいの芝居だったんだが、今は舞台や役者間のバランスを考慮した全体のマネージメントをしながら、自分の存在感を示していやがる。」
「確かにそれは言えるな。アキラの野郎は普段はあんなに我が強いくせに演技になると、途端に存在感を調整しやがる。演技にのめり込むとか、演技した瞬間に変わるとかはよく聞くが、状況に合わせて存在感を調整するやつなんて初めて見たぞ。」
「アキラは脇役向きの役者だな。もちろん主役もできるが、それよりも脇役や悪役だな。それに本人も影から周りを操るのが好きで、主役とかにも全然こだわりが無いだろ?」
「アキラは何か知らないうちにあんな愉快犯に育っちゃったのよね。とりあえず存在感を出して周りがフォローすれば良い主役をさせる方針で演技を指導したんだけど、それでもあんまりで才能が無いと思っていたら、自殺未遂の後に気が付いたら、主役を手で転がすような愉快犯になっちゃったのよね。完全に育成方針を間違えていたわ。」
「あんたの目は完全に節穴じゃねぇか。」
「そうね。でも自殺前のあの子の演技見ていて、この状態を見抜けた人なんて居るの? 自殺前のあの子は本当に我が弱くて主人公どころか、脇役でも存在感を出すのが微妙だったのに、それが今これよ? あの状態で唯一才能があるって言ってくれたのは、裕次郎さんだけじゃないかしら?」
「そりゃそうだ。昔のアリサは演技指導や技術を押し付けるだけで、なんでアキラが存在感を出せないのか、考えていなかったからな。今なら分かるだろう?」
「私のせいね。」
「そうだ。アキラは確かに役者に憧れていて役者をやってみたいとは思っていた。だがそれ以上にアリサに母親としての心を取り戻して欲しかったんだ。だから子供の頃のアキラの演技は星アリサへの献身が大きくて、役者としての自己がほとんど無かったんだ。逆にその自己が無いくせに、子供のアキラは自分の技術だけで、あの演技をやってのけていたんだ。そんな子供が自己を確立して自分の技術を好きに使い出したらどうなる? 化けるに決まっているだろ。」
「はははっ。それで周りの人間が胃を痛めることになるのか。本当に因果応報だな。あの星アリサが息子のことで胃薬を飲むようになるとはな。」
「私の周りに胃を痛めている人間が多いんだから、笑いごとじゃないのよ!」
「そうです。若草物語も無事にひと段落したので、スターズの30歳以上の人と20歳以上の希望者は、みんな会社持ちで人間ドックに行くことになったんです。」
「芸能界は規則正しい生活が送りにくい業界だからね。毎年会社持ちである年齢以上の人間ドックはやっていたんだけど、今年は少し精密検査をするタイプの人間ドックにすることにしたんだ。僕もちょっと怖いんだけど専務だし、率先して行く事にしたよ。」
「そういえば裕次郎さん、墨字君、ちゃんと健康診断しているの? 全然病院とか行っているイメージ無いんだけど?」
「アリサ、そんなの行っている訳無いだろ? 俺の体は俺が一番良く知っているんだ。」
「なにそれ? それって昭和の時代の重大な病気を持っている時のドラマの前振りよね? これは一度ちゃんと診てもらわないとだめね。」
「何を言っているんだ? 俺はそんなの行かなくったって・・・。」
「だめよ。行きなさい。あなたが倒れちゃったら劇団はどうなるのよ? ただでさえ、不摂生しまくりなんだから、体に悪い所が無くても一度ちゃんと診てもらった方がいいわ。」
「うっ、わかった。 しかしアリサが胃を痛めたと思ったら、俺が道連れで人間ドックに行くことになるとか、人生って本当にわからないものだな。」
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・・・後日・・・
「巌裕次郎さんですね。健診の結果なのですが、超音波検査で膵臓に初期のガンの可能性があるポリープが見つかりました。膵液細胞診検査と内視鏡検査が必要です。」
「ただ、治療が難しい膵臓ガンであっても、幸運なことに1cm以下の非常に初期の段階で見つかりましたから、腹腔鏡による手術でガンを切除して完治できる可能性が非常に高いです。とりあえず精密検査をお願いします。」
この後、巌裕次郎は膵臓癌の手術に成功して完治し、彼の寿命を大きく伸ばす事になるのであった。
「結局、あの時の胃痛仲間で一番症状が重かったのは、裕次郎さんだったわね。」
「俺のは胃痛じゃねぇ!」
そしてその事を星アリサにネタにされて、からかわれる事になるのであった。
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星アキラは通訳する1
若草物語も終わって、しばらく経った秋の日。ゴーグルのCEOのテリー・ペイザさんが来日するので、会いたいと僕にアポイントを入れて来た。
僕もOKだったので、会いに行ったらあった場所は日本の公共放送の控室だった。
夜のニュースに出演するんだけど、時間がちょっと開くので僕に声がかかったようだ。
普通の人なら公共放送の中で会うなんて難しいんだけど、俳優で入館証を作ってある僕であれば普通に入れるからね。
守衛所でマネージャと一緒に入館証と要件を伝えて、担当者に確認の後に対象の控室を聞いて入室する。
控室は大きめの会議室で秘書さんとゴーグルのマネージャ、ボディーガードさん達が居た。
僕はテリー・ペイザさんと握手しながら挨拶を交わした。
「こんにちは。アキラ君。メールでやり取りは何回かしているけれども、直接話すのは初めてだね。テリー・ペイザだよ。」
「こんにちは。Mr.ペイザ。星アキラです。」
「君の出演した若草物語を見たよ。すごく感動した。特にジョーと君が演じたベスのピアノが素晴らしかった。君がYoutubeのプラットフォームで日本のTop Youtuberとして降臨してくれて嬉しいよ。」
「Mr.ペイザのバックアップもあって、無料放送が成功しました。すごく光栄です。」
「君みたいな歳でそんな畏まった言葉使いしないでくれ。テリーって呼んでくれ。」
「じゃぁ僕もアキラで。」
最初のうちはお互いに畏まっていたけれども、テクノロジーの話でだんだんと崩れて来て、最後の方にはくっそくだらない話をしてお互いに爆笑していた。
テリー・ペイザは内向的で恥ずかしがり屋で人付き合いが苦手なタイプって聞いていたからこの反応は意外だった。
イメージ的には、神経質で人付き合いが苦手な天才数学者ってイメージだったんだけど、シャイな普通のお兄さんって感じだった。
そもそもこの辺の理由でインタビューも滅多に受けないのに、インタビューできるとか日本の公共放送もすごいな。
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「テリーの兄者、そんな感じで、顔の動きに合わせて、画面のカートゥーンの表情が動くシステムが欲しいんだ。多分そろそろ、どっかで開発していると思うんだけど、フェイストレッキングは機材が重すぎて、簡単にできないんだ。」
「カートゥーンでお喋りできれば僕みたいなシャイな人間でも顔を見せなくてもいいから便利だね。でも沢山のカメラやセンサを付けるのだと、すごくコストがかかるね。」
「そこでディープラーニングだよ。トロント大学のヒントン教授達が去年(2012年)のIRSVRCで優勝したDeep CNNだよ。カメラに映った人の顔の表情を学習させればいいんだよ!」
「なるほどね。眉毛の角度のベクトル演算とかのプログラムを作っても死ぬし、誤検知もすごそうだけど、コンピュータにいろんな顔の特徴量を抽出して、それぞれのパーツに連動させて学習させればいいのか。計算機の処理能力向上と共に顔認識とかにも使えそうだね。ディープラーニングはゴーグルでも研究中だよ。」
「するどいね。スマフォとかで顔認識用のAIプロセッサが現れてそれを流用すれば、カートゥーンでお喋りする放送が簡単に出来る時代が5年後ぐらいに来ると思っているんだ。」
「どうだい?アキラ君、うちでプロジェクトやってみないか?アキラ君なら普通にゴーグルでサービスを完成させられると思うんだけど。」
「ゴーグルも去年、ディープラーニングの教師無し学習で猫の認識に成功しているもんね。でも、うーん。まだハイスクールも出ていないし止めておくよ。それにテクノロジーの流れから考えると、僕が作らないでもそのうち出来そうな気がするんだよね。出来そうに無かったらまた考えるよ。」
「なら、うちのAI研究のチームを紹介するよ。今度アメリカに遊びに来ないかい? ラボの人たちも君の話を聞きたがると思うよ。」
「行く行くっ。」
「多分、ディープラーニングで翻訳とかの他に、囲碁とかチェスとかも研究しているんだよね。」
「アキラはすごく鋭いよね。」
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「そういった感じで、僕はシャイで人の前で話すのが苦手なんだ。アキラは役者だろ?何かいい方法は無いのかな?」
「場数を踏んでリラックスして望めればいいんだけど、難しいよね。やっぱり仲の良い人じゃないと人前でうまくしゃべれない人は、それなりに居るよね。でもテリーの兄者は僕と初対面で喋れるよね。どうしてだと思う?」
「それは、匂いって言うか、君が親しみやすい感じがするからかな?」
「それじゃちょっと面白い実験をしてみようか? 後ろのボディーガードの人に演技をするからテリーの兄者を守るのはいいんだけど、僕に襲い掛からないように伝えてもらえる?」
「いいよ。」
僕は気配を変えて、テリーを下からのぞき込むようにして、軽くニヤっと笑った。
それだけで、後ろのボディーガードの人はテリーの前に立ちはだかった。
「やっぱり、テリー兄者のボディーガードってすごく優秀だよね。襲い掛からないようにお願いして良かったよ。」
僕は前の状態に戻って、おちゃらけて言った。
「一瞬の表情だけで、すごい寒気したよ。どうやったんだい?」
「羊たちの沈黙のハンニバル・レクターを一瞬演じただけだよ。こんな人の前で饒舌に喋れるかい?」
「どんな人でも無理だろうね。」
「僕も彼を表面だけ真似ているだけで、あの映画史に残る名演までは出来ていない訳なんだけど、それでも同じ人間なのに、話かけやすさが全く変わるよね。結局は程度の問題なんだよ。テリーの兄者が僕に普通に喋れるのは、僕がテリーの兄者を精神的に傷つけないという事をおそらく理解しているからだね。波長の合う人間との会話と言うのは楽しいものさ。」
「君は僕と波長が合うように演技しているの?」
「もちろんだよ。そして逆にテリーの兄者も僕と波長が合うように演技をしている。後ろの秘書さんもマネージャさんもボディーガードさんも多かれ少なかれ、みんな演技をしているんだよ。」
「僕はそんな演技をしている自覚なんて無いんだけど。」
「人はみんな場面に合わせて演技をしているんだよ。嘘と同じく、相手のためを思ってやる演技もたくさんあるね。 演技でもいいから人付き合いが上手い人を演じて見るのも一つの手だね。 別な人間を演じるのはドキドキしないかい?」
「確かに、自分を見て欲しいとか頑張るよりも、ずっと面白そうだ。」
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しばらく話し込んでいると、秘書さんがテリーの兄者に話しかけてきた
「アキラ、すごく困ったことになったんだ。夜のインタビューは生放送だったんだけど、僕達の方で用意していた通訳の人が電車の事故で足止めを食らって間に合わなそうなんだ。代わりに通訳をしてくれないかな?」
連載再開しました。
ディープラーニングを筆頭に2012年頃から始まった第3次AIブーム。
その勢いはすさまじく、機械翻訳や自動運転などに瞬く間に応用され、5年後の2017年にはiPhoneXに、AI動作するニューラルエンジンを実装したバイオニックチップが搭載され、高価な機器が無くても、iPhoneX以上があればVTuberとして活躍できる時代になりました。
この辺の技術で飛躍したのがにじさんじさんですね。
こう言ったAIもわずか10年の間に各段の進歩を遂げています。
次の10年はどんな新しい技術が私達を楽しませてくれるのでしょうか。
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星アキラは通訳する2
「アキラ、すごく困ったことになったんだ。夜のインタビューは生放送だったんだけど、僕達の方で用意していた通訳の人が電車の事故で間に合わなそうなんだ。代わりに通訳をしてくれないかな?」
「えっ? 通訳なら公共放送の人に頼めば、すぐに手配してくれると思うんだけど。」
「それだと、公共放送の人の都合が良いニアンスで伝えられちゃうじゃないか。それに見ず知らずの人に通訳してもらうなんて、内気な僕には無理だよ!」
「うーん。確かに。テリーの兄者の通訳にはゴーグルの技術とか戦略に通じていないと難しいかも。」
「ゴーグルの日本法人の社員さんとかはどうなの?」
「今からだと間に合わないよ。呼べるのであれば、とっくに呼んでいるし打ち合わせ無しでTVの前でいきなり喋るなんて普通の人には無理だよ。僕も無理だけど・・・。」
「それじゃ、まともなインタビューにならなさそうだし、コメディーで乗り切っちゃおうか。せっかくだからテリーの兄者も楽しもうよ。」
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「こんにちは。ニュースビジョン21の時間です。今日は、巨大IT企業ゴーグルのCEO、テリー・ペイザさんをお迎えして、情報産業における世界戦略についてお話をお伺いしようと思います。」
「まずは、今日のニュースです。」
夜9時のニュースが始まった。僕はスタジオのゲスト席のセットがあるテリーの兄者の横ですまし顔で座っている。テリーの兄者は緊張しているのか少しそわそわしていた。
ちなみに、僕が通訳としてスタジオに入った時に、公共放送の職員さん達は非常に動揺していた。
「別に取って喰われるわけじゃないんだから、リラックスしていればいいよ。自分の部屋だと思えばいいんだよ。ほらリラックスして、ソファーにもたれかかろうよ。」
「アキラのその強心臓を見習いたいよ。なにか、君を見てたらこんなに緊張するのが馬鹿らしくなってきた。こうなったら僕もソファーにもたれかかって寝ようかな。」
「流石、巨大IT企業のCEO。諦めも肝心だよ。もうどうしょうも無いんだし、一緒にソファーにもたれかかってリラックスしようよ。」
本番、生放送中に自分の家のように、リラックスし始める二人。カメラはニュースを読んでいるキャスターを映しているものの、スタジオに動揺が走る。
15分ぐらいニュースを読むと、テリーの兄者のインタビューに切り替わる。
「こんばんは。Mr.ペイザ、お会いできて光栄です。」
「こんばんは。こちらこそこんな素敵なインタビューに招いていただいてありがとうございます。」
社交辞令の挨拶から始まり、いよいよ通訳の本番が始まる。
「ゴーグルはMr.ペイザが学生の時に起業された会社ですが、どのような目的で起業されたのでしょうか?」
ものすごい南部なまりの英語「テリーん兄者!兄が学生ん時になんで起業したんか聞かれたちゃ?」(アキラ)
超かしこまった場面で、突然の僕の、ものすごい超南部なまりに吹き出すテリーの兄者や英語がわかる公共放送の職員達。アナウンサーも笑いをこらえてプルプルしている。
ものすごい南部なまりの英語「検索自動化ん話ぅしちくりい」(テリー)
「インターネットの黎明期には、検索は非常に重要なサービスでありながら、人の手で分類され非常に恣意的に運用されていました。ゴーグルはこれではインターネットユーザーの不利益になると考えて、ユーザーが欲しい情報を客観的に入手できる仕組みとして、私が学生時代に開発したページランクという考え方と、検索の自動化を推進しました。このように真に人間が必要とするテクノロジーを重視する姿勢がゴーグルとして、非常に重要なポリシーとなって、今に生き続けています。」(アキラ通訳)
「なっなるほど。人に必要とされるテクノロジーを使ってもらいたくて起業したんですね。(汗)」
通訳が来れないごたごたなどで、まともな打ち合わせなどが一切できていないために、事態が全く呑み込めずにあからさまに動揺する公共放送のアナウンサー。
「ゴーグルはYoutubeを始め、ダブルクリッコやモトロールなど巨大な買収を足早に進めていますよね。どのような意図で進めているのかを教えていただけないでしょうか。」
ものすごい南部なまりの英語「何でこげえいろいろ買収しちょんのか聞かれたちゃ。まじいちゃ。警戒されちょんちゃ。」(アキラ)
ものすごい南部なまりの英語「アメリカでは買収は普通じ、お互いにウィンウィンの関係なんちゃ」(テリー)
「ゴーグルは企業買収を通じて、進出していない分野での事業展開を迅速に行うのと同時に、ゴーグルが持つテクノロジーと元の企業が持っていたテクノロジーをコラボレーションして、お互いの価値を最大化する事で、収益性を上げてユーザーに便利なシステムを提供するためです。例えばYoutubeの例では、ユーザー毎に見たい動画をカスタマイズしてお勧めに出すなど、ユーザーの価値を最大化するサービスを展開できる事がゴーグルの企業価値を生み出しています。」(アキラ通訳)
「うっ、しっしかし一部にはそう言った個人情報をまとめて取り扱う事で、個人情報を占有する事への懸念なども出ていますよね。」
ものすごい南部なまりの英語「個人情報ぅ占有するんな企業としち不味いんやねえんか聞かれちょんちゃ」(アキラ)
ものすごい南部なまりの英語「企業としち法令順守はしっかりやっちょんちゃ」(テリー)
「もちろん、各国政府や各個人の方にもゴーグルが個人情報を収集する事に対する懸念があるのは理解しております。ゴーグルはワールドワイドにビジネスを展開する国際企業であり、個人情報の取り扱いなどは、各国の法令に基づいて厳しく準拠しております。これは国際的な個人情報保護の方針とも合致しており、ユーザーが安心してユーザーエクスペリエンスを実現できる環境をゴーグルは整えています。」(アキラ通訳)
「ゴーグルは厳しい基準で個人情報を取り扱っているという訳ですね。(これは一体、どういう状況だよ・・・・。誰か説明して! 誰か俺を助けて! こんなのアナウンサー生活で一度も無いんだけど! 俺、超困惑!)」
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「今回は、巨大IT企業ゴーグルのCEOである、テリー・ペイザさんに巨大IT企業の戦略についてお話をお伺いいたしました。(;´ρ`) グッタリ」
「Mr.ペイザ、ありがとうございました。」
「アリガトウゴザイマシタ。」
インタビューをしていたアナウンサーがなぜか満身創痍になっていたけれども、生放送のインタビューは無事に終わった。
そして、このインタビューはなぜか大好評で、この日本語訳を英字幕に直したインタビュー動画をテリーの兄者が上げて、Youtubeでバズる事になるのであった。
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海外の反応 星アキラ通訳の反応
星アキラの公共放送での通訳出演、生で観ていた日本人も驚きでしたが、星アキラの日本語に字幕が付いた動画がYoutubeに掲載されて、海外でもお祭り騒ぎになっております。
そんな海外の掲示板からの反応をどうぞ。
1海外の反応
この動画クソ笑ったんだけど、どうしてテリー・ペイザがこのボーイに日本の国営放送で翻訳を頼むことになったんだw
2海外の反応
南部なまりで通訳をし始めるボーイとそれに悪ノリするテリー、そして笑いをこらえるアナウンサーと笑っちゃいけない雰囲気がマッチして最高にシュールだったわ!
3海外の反応
だんだんとお堅いアナウンサーが動揺して、疲れてぐったりしてくる所が最高に面白かった。
4海外の反応
どうしてこうなったんだ!っていうシチュエーションそのものだったからな
5海外の反応
あの、シャイでもほとんどしないテリー・ペイザがあんないたずらを日本の公共放送に仕掛けるのが、本当に笑ったわ。
6海外の反応
あの南部なまりのくだらないやり取りの後に、あの少年が日本語で超まともな回答をしているのがバカウケで、電車の中で笑い転げちまったよ
7海外の反応
あのギャグみたいなやり取りの回答が、すごく立派なのが本当に面白かったわ。あんな回答大人でも難しいもの。
あのシャイで話下手なテリー・ペイザがリラックスしてインタビューしてて衝撃的だったわ。
8海外の反応
英語の字幕をみて牛乳フイタよ。
9海外の反応
あのボーイだけ居ればいいじゃねぇかって笑ったwww
10海外の反応
あれをテリー・ペイザ本人がYoutubeに投稿するのにも笑ったよ
11海外の反応
テリー・ペイザのトイッタ―には、頼んでいた翻訳の人が来れなくなって、親友である彼に代役を頼んだって言っていたな。
12海外の反応
ゴーグルのCEOがあのボーイと友達かよw
何者なんだ、あのボーイは。
13海外の反応
あの子は日本で有名な子役だよ。Youtubeでも英語の動画を何本か出しているよ。そして一番有名なのはこのピアノの動画だね。
http://Youtube.xxx/xxxxxxx
14海外の反応
この動画見たとこある。ピアノとその後の友達の女の子の演技が凄かったよね!
15海外の反応
あの時もイングリッシュをしゃべっていたけれども、Bubbonics(南部なまりのこと)にまで詳しいとは思わなかったw
16海外の反応
彼は生粋のコメディアンじゃないの!? ピアノまでこなすとか何者だよ!
17海外の反応
いや、彼はコメディアンとかいうレベルに収まらない恐ろしい俳優だよ。まさに天才だ!
この動画を見てごらん http://Youtube.xxx/xxxxxxx
この素敵な女の子が彼なんて思わないだろう・・・。
18海外の反応
えっ、この子ってあのボーイなの!? 日本人どうなっているんだよ!
19海外の反応
そんな事無いよね!? この子はあのボーイのシスターとかだよね!?
20海外の反応
声とか、仕草とか全然違うじゃん! この子があのボーイと同じ人物な訳ないじゃん!
21海外の反応
この子かわええ。ファンになりそう。
22海外の反応
この動画を見てもそれが言えるのかな?
http://Youtube.xxx/xxxxxxx
23海外の反応
げっ、この子があのボーイの声で喋っているw
24海外の反応
本当に、あのボーイの変装した姿なの!?
25海外の反応
この可愛い子に憧れていたからすんごいショックなんだけど!
26海外の反応
いいえ、この容姿で男の子なんて全然イケるわ! むしろ素直に女の子というよりも全然エキサイティングよ!!
27海外の反応
確かに、なにか倒錯したすごい魅力がある。
28海外の反応
これが日本人なのか・・・。
29海外の反応
やはり日本か。
30海外の反応
日本は本当に俺たちの世界の何十年も先に行っているんだな。
31海外の反応
ちなみにこの子はあのYoutubeで話題になった若草物語のベスの模様・・・。
http://xxxxxxxx
32海外の反応
あのベスってこの子なの!?
33海外の反応
あの若草物語の舞台は楽しくてDVDも買ったんだけど、ベスがこの子だった知らなかった!
34海外の反応
あのベスが男の子だったなんて、すごくショックなんだけど、この胸の高まりは何!?
35海外の反応
むしろ、男の子だってわかった後の方がもっと楽しめるような。
36海外の反応
あの純粋な女の子が男の子・・・。
37海外の反応
男の子に女の子の恰好をさせたがるマザーの気持ちが昔は良くわからなかったけど、これを見て人生で初めて納得した気がする。
38海外の反応
これはこれでそそられる。これが日本のカルチャー!
39海外の反応
なお、メグも男の子らしい・・・。
http://xxxxxxxx
40海外の反応
Ahhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh!
41海外の反応
日本人いいかげんにしろ!
42海外の反応
これが日本のHENTAI文化か・・・。
43海外の反応
僕のママンがこのメグとベスをすごく気に入っていた理由がこれかーーーーーー!!!
44海外の反応
日本文化恐るべし!
45海外の反応
これにはステーツも完敗だぞ。
46海外の反応
グレートブリテンもダメかもしれん。
47海外の反応
文化大国フランセーズならこの倒錯した文化に対抗できるかも・・・、いやダメだw
48海外の反応
我らイタリアーナならジャポンの文化は余裕w
49海外の反応
ブラジゥルも行ける。
50海外の反応
メキシコもOK
51海外の反応
世界は日本から置いて行かれすぎだろwww
52海外の反応
あいかわらず日本だけHENTAI文化が極まっていやがるな。
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1日本の反応
あの珍獣が海外ニキにバレているじゃねかwwww
しかも星アキラの活動が日本のせいにされているじゃねかwwww
2日本の反応
あの放送、公共放送で星アキラが通訳している所だけ見たら、おかしな雰囲気だったけど、ちゃんと通訳できてすごい!!
とか思っていたら、英語の字幕が付いた後に別の人が上げた日本語字幕を見てフイタ。
3日本の反応
意味がわかったら、ものすごい笑った。
4日本の反応
公共放送で生放送 → Youtubeで英字幕が付けられる → それを見て日本語で字幕が付けられる → 日本人大爆笑
の流れが本当にシュールでスキ。
5日本の反応
まさにクソガキ、星アキラの本領発揮だからな。公共放送のニュース史に残る珍インタビューだろw
6日本の反応
あのお堅い公共放送のアナウンサーが、笑ってはいけないシリーズを素でやっていた所が最高だった。
7日本の反応
ドリフのギャグみたいなのを本当のニュースの時間に素でやりやがったからな。
8日本の反応
あのニュースを生で観ていて、星アキラが出て来て?????だった。
そして終始、インタビューの中で星アキラに触れられていないのもシュールでクソワロタ。
9日本の反応
まぁ、普通は通訳の人なんて紹介しないからな。でも公共放送のアナウンサーがそのルールを守って、何で居るのかを最初に確認しなかったから、その後のインタビューがものすごくシュールになったw
10日本の反応
インタビューで通訳した内容自体はすごく良かったよね。文句無しだった。
11日本の反応
テリー・ペイザが言った以上の事を星アキラが大量に補足していたがなw。でもテリー・ペイザ側が文句が無ければ問題無しだろw
12日本の反応
星アキラはしごくまともに通訳しただけだから、誰も怒れないと言うwwww
13日本の反応
インタビュー自体の出来が良かっただけに、星アキラを怒れないんだよなw。まさにクソガキの本領発揮ww
14日本の反応
公共放送側も、話題になって苦笑いだしな。
15日本の反応
公共放送が批判される内容でも無いし、公共放送としてはそのままスルーだなw
16日本の反応
容赦なくテリー・ペイザがYoutubeに動画投稿したがなw
17日本の反応
生放送以外のインタビューの著作権はテリー・ペイザが持っていた契約だったみたいだね。
テリー・ペイザが自分で動画をアップした事を考えると、テリー・ペイザも面白かったんだろうな。
18日本の反応
テリー・ペイザって内気な人だったらしいし、思い出に残るインタビューだったんじゃないかな。
19日本の反応
星アキラの人脈すげぇ。これは大物芸能人なのでは!?
20日本の反応
大物なんだろうけど、なんていうか、普通の芸能人の人脈と何かずれているだよね・・・。まさしく珍獣というか・・・。
21日本の反応
星アキラは大物芸能人じゃないよ。大物珍獣だよ!!!
22日本の反応
大物珍獣wwwww
23日本の反応
巨大珍獣wwwwww
24日本の反応
巨大珍獣ヤメロwwww。ウルトラ仮面の怪獣かよwwww
25日本の反応
今度、ピグモンか快獣ブースカの役でウルトラ仮面に出演して欲しいwwwww
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星アキラはハリウッド俳優を観光案内する1
あの通訳事件?から僕に主にハリウッド俳優などの通訳の仕事がよく入ってくるようになった。
どうも、大物相手に物怖じしないところと、同じ俳優として通訳対象に対してきめ細やかな配慮ができること、キャラクターが気に入られていること、子役としてスキャンダルを避けられることなどが理由であるらしい。
アリサママも先輩の俳優として、勉強になるだろうからということで積極的に通訳の仕事を入れるようなった。
もちろん、本業の俳優業?もやっていたけれども、そもそも最近の僕に昔みたいな子供Aとか、クラスメイトのいじめっ子Cとかの便利なチョイ役で呼ばれることが無くなっていた。
これが後輩に役を取られるということだろうか。ぐぬぬぬぬっ。
そんなわけで、最近の子役業は、結構大きめのドラマの役とかティーン向けファッション雑誌の撮影なんかに呼ばれたりすることが多かったりする。
特にティーン向けファッション雑誌は、キアラが大人気で千世子ちゃんとツーショットで掲載された回は、書店という書店からその雑誌が消えて、何度も増刷される騒ぎになった。
千世子ちゃんも、僕が一緒に写ると視点が分散して自分の存在感が薄まるから、歓迎しないと思うんだけど、最近はキアラと一緒の撮影とかノリノリなんだよね。この辺の変化がよくわからん。
今度、僕とキアラ、千世子ちゃん、景ちゃんが一緒に写った写真集を出すらしい。超有名なカメラマンさんに撮ってもらうことになり、みんな張り切っていた。
キアラはいいんだけど、二人と一緒に僕も出ちゃっていいのかな?
千世子ちゃんとか男の影があるとそろそろ人気に影響して来る頃だと思うんだけど、みんな気にしていないんだよね。
アリサママとかにこの辺の事を聞いても、「別に、あなたと千世子の仲がいいのはみんな知っているんだし、逆に仕事で距離を置いて不仲が噂される方がマイナスだわ。確かに男女の関係を勘ぐる人もいるかもしれないけど、今の状況だと騒ぎ立ててもあんまり面白く無いし、逆に思春期になっても友人関係が継続している事を羨む人も多いから、そこまで気にする必要はないわ。」
とあんまり気にしていないようだ。
話を通訳の話に戻すと、僕は通訳をしながら日本を案内したりする。
案内する場所はゲストの要望による。今日はハリウッドスターのキヌス・リーガスを秋葉原に案内していた。
キヌス・リーガスは日本で撮る映画のために来日しており、今はその映画を撮る前の観光といった感じだった。
変装したキヌスと僕は、容赦なく地下鉄に乗って秋葉原に行く。
あんな所は車で乗り付けるような所じゃない。地下鉄や電車を乗り継いで目指すところだ。僕は現地日本人の体験を容赦なくハリウッドセレブ達にさせた。
この僕の容赦ない庶民観光ツアーは実は割と好評だったりする。
ハリウッドスターたちもスーパー役者ぞろい。変装するぐらい訳なかった。
ということで、変装して希望を聞きながら秋葉原を探索。
お昼はメイド喫茶で食事をすることにした。
外人と子連れのデコボココンビ。でもワールドワイドな観光地になっている秋葉原ではそんなに変でも無いらしく、メイドさんがオムライスにケチャップで絵を書いてくれるサービスを受けながら、キヌスの兄貴もご満悦だった。
「アキラ、アキラは女装が得意だろ?俺もアキラの女装を見てみたい。」
僕はキヌスの兄貴から突然、謎のリクエストを受けたのであった。
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星アキラはハリウッド俳優を観光案内する2
「アキラも女装が得意だろ?俺もアキラの女装を見てみたい。」
「げっ、キヌスの兄貴も僕が女装するのを知っているんだ。」
「もちろんだよ。僕も若草物語を見たし、この前、メリー・ライエンが来日した時に女装したアキラに日本を案内してくれて、姉妹みたいに楽しんだって言って、すごくうらやましかったんだ。ハリウッドスターが女の子と街を堂々と歩ける機会なんてほとんど無いからね。」
「そりゃそうだろうね。うーん。ここは秋葉原だし行けるかな?」
僕は秋葉原にあるコスプレショップにキヌスの兄貴を案内した。
秋葉原でコスプレをレンタルする所もあるらしいけれども、レンタルの場合には返しに来なければいけなくて、汚したりしたら大変だし、変な噂が立つのも嫌なので、素直に全部買うことにした。
平日のお昼ということもあり、秋葉原のコスプレショップも閑散としていた。
僕は美人のお姉さんに、僕に似合うメイド衣装とウィッグをお願いした。
あと、コスプレ用の化粧品。
「僕、コスプレ初めて? やっぱりキアラちゃんに憧れちゃったの? キアラちゃんすごくいいよね。私も大ファンなんだ。 最近はキアラちゃんに憧れて、女の子のコスプレに興味がある男の子が増えてすごく嬉しいんだ。 私もキアラちゃんとラーヤちゃんの絡みでご飯何杯もいけるのよ。」
このコスプレ店員のお姉さん、本人を目の前になんて事を言うんだ!
今の僕は髪型を変えて、演技で性格と気配も変えて、内気で大人しそうな男の子を演じているので、お姉さんは僕が星アキラだって気が付かないようだ。
年齢的に意味が分からないと踏んでいるんだろう。ちょっとヤバい匂いがする。
いや、秋葉原に勤めていてヤバくない人なんて居ないか。(偏見)
キヌスの兄貴と一緒に衣装を選んでいると、別のお客さんが入ってきた。
「琥珀姉さん、咲夜のコスプレ出来上がりました?」
「七生さん、いらっしゃい。昨日衣装作家さんから上がってきましたよ。」
僕は七生姉さんと目があった。
「げっ、何であんたがこんな所にいるのよ?」
「七生姉さんこそ、どうしてここに?」
「私は注文していたコスプレの衣装を取りに来たに決まっているじゃない。衣装作家さんに直接オーダーメイドで注文しているんだから。」
「七生さんのお知り合いなの?」
「知り合いも何も、あなたの憧れの姫君よ、こいつ。」
「えっ。まさか星キアラ!? 何でうちの店に!?」
「いや、キヌスの兄貴を観光に連れまわしているんだけど、キヌスの兄貴のリクエストでキアラと観光したいっていうので、この店で衣類とメイクをそろえようかと・・・。」
「キヌスの兄貴、こちらは三坂七生姉さん。知り合いの劇団員で友達なんだ。」
「キヌス・リーガスです。よろしく!」
「うわっ、ハリウッドの大スターがこんな所に!! 気配を変えていたから全然わからなかったわ。 ハリウッドスターをこんなコスプレショップに連れてくるとか、相変わらずあんたって、とんでもない事しているのね。」
「そんなわけで、キアラの衣類とメイクセットが欲しいんだ。」
「メイクセットは私も持っているから、貸してあげるわ。琥珀姉さん、こいつお金は沢山あるから、表に出ているような安い生地のやつじゃなくて、作家さんが作ったようないい生地の衣装が余っていないの?」
「ちょうどキャンセルになった、水銀燈の衣装があるわ。裏からとってくるからちょっと待っていて。」
「これね。ちょうどフィットして良い感じね。」
「ゴスロリとか狙いすぎていて恥ずかしいんだけど。」
「今更何を言っているの? ちゃんと観光をしているなら、キヌス様にサービスしないと。」
「ウィッグはこれがいいわね。普段は黒髪ドリルのお嬢様だけど、ブラウンのストレートも似合っているじゃない。星アリサも外人の血が混じっているんだっけ?」
「アリサママはクォーターだね。もっとも外国の親戚には会ったことはないけど、アリサママの美貌はそんなところからも来ているみたいだね。」
「それじゃ、メイクをしてあげるわ。普段はナチュラルメイクだけど、今回はコスプレ用の流行に沿ったマットなメイクにしてあげる。」
「七生姉さん、化粧を手伝ってくれるのは助かるよ。」
「私も手伝うわ。キアラちゃんの化粧ができるなんて夢みたい!!」
「なんかこのコスプレショップのお姉さん、ちょっと危ない感じがするんだよね。BL?」
「BLと可愛い女の子は不変の真理よ!!」
「だめだこりゃ。」
「アキラ、男のくせになんてキメの細かい綺麗な肌しているのよ! そこらへんの女の子よりもトゥルントゥルンじゃない!」
「さすがキアラちゃん、存在自体がファンタジーだわ!」
二人の手であっという間に僕の化粧が完了する。
最後にウィッグをセットして星キアラ爆誕!
「お二人ともありがとうございますわ!お陰で滞りなく変身できましたわ。」
普段のナチュラルメイクとは違った、コスプレ用の2.5次元メイクを施して、ゴスロリ服でコスプレした星キアラが誕生した。
コスプレメイクすげぇ。自分で見てもファンタジーな女の子だわ。
「なんていうか、2.5次元を離れて本当に、北欧の妖精みたいになっちゃったわね。もはや綺麗すぎて現実感が無いわ。」
「きゃぁぁぁ。キアラちゃん素敵! 素敵すぎるわ! 写真撮らせて! 店内に飾らせて!!」
「別にいいですけど、店内に写真を飾ったり、トイッターに上げるのは明日以降にしてくださいね。今日はキヌスお兄様とデートなので騒ぎになって欲しくないのです。」
「もちろんよ!」
「Kiara looks absolutely fantastic. I like your style!」
キヌスお兄様も大満足の出来でしたわ。
「それじゃ、みんなそろって、はいチーズ!! パシャ☆」
「もうちょっと綺麗に撮らせて!!!」
中から一眼レフカメラが出てきて、軽い撮影会が開催されましたわ。
キヌスお兄様とのサービスツーショットももちろん撮りましたわ。後で写真を送ってもらいます。
「それではキヌスお兄様、デートに行きましょうか。」
ちなみに、衣装代やその他諸々の代金はキヌスお兄様が全額ポンッと出してくれましたわ。 アメリカンエキスプレスのブラックカードぇ。コスプレショップのお姉さんも手が震えていましたわ。
こうしてわたくしは、キヌスお兄様とデートをすることになりましたのよ。
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星アキラはハリウッド俳優を観光案内する3
さて、秋葉原観光もひと段落がついたので、タクシーを拾って浅草に移動ですわ。
さすがに秋葉原をこのコスプレ姿で徘徊するのは目立ちすぎてやばすぎですわ。
もっとも浅草もヤバいですけど、年齢層や嗜好が違うのでまだましでしょう。
そんなわけで、タクシーを拾って浅草へ行って、雷門とか浅草寺とかの観光スポットを見て回りましたわ。
そして、浅草寺を見たら、下町の商店街の食べ歩きをして、そのままかっぱ橋商店街に行って道具を見て観光しましたの。
いろいろな道具の説明をしながら街を回るのは面白かったですわ。
わたくしの存在感がすごすぎるせいか、通行人は二度見をしていきますが、キヌスお兄様はわたくしのインパクトに隠れてみんなスルーして行きましたわ。
どうも周囲にはコスプレした外国人観光客の親子に見えているみたいで、日本語で話しかけられても、フランス語で返したらみんな退散していきましたわ。
これはこれで面白いですわね。
「君のような美人とエキゾチックな日本の下町を回れて面白いよ。」
さて、日本観光も満喫した事ですし、良い時間になってきましたので、キヌスお兄様の泊まっている帝国ホテルに戻って、そこでディナーをする事にしましたわ。
さて、ドレスコードが要求されるホテルのディナー。水銀燈のコスプレをしたまま入れるのでしょうか?ドレスと言えばドレスなんだけど・・・。
結果的にはボーイさんは顔を引きつらせたものの、隣のキヌスお兄様を見てそのまま席に案内してくれましたわ。ドレスコードぇ。
それで二人でディナーを食べていると、見知らぬ男の人が話しかけて来ました。
「キヌス、すごい美少女を連れているんだな。スキャンダルは勘弁してくれよ」
「監督、問題ないよ。この子はこう見えても男の子だよ。今日は彼に通訳と観光案内をしてもらっていたんだ。」
「キアラ、こちらは今回の映画の監督さん」
「こんばんは。星キアラです。初めましてですわ。」
アキラ声「そして普段は星アキラです。よろしく!」
私がアキラお兄様の声で話すと監督さんは目を丸くしていましたわ。
その後は監督さんも交えて楽しくお話をしてこの日の観光案内は幕を閉じましたわ。
なお、その後キヌス・リーガスと謎の美少女の熱愛発覚!?とか言うニュースが一瞬芸能ニュースを騒がせましたが、謎の美少女の正体が判ると、さぁーーーーと潮が引くように熱愛報道が無くなりましたわ。なぜに?
あと、私にコスプレをさせたコスプレショップは私とキヌスお兄様の写真をトイッターと店内に載せて、お客さんが増加したって喜んでいましたわ。
私の服を作ってくれた衣装作家さんもわたくしのコスプレ姿に感激して、今度新しい服を作ってくださることになりましたの。こちらも楽しみですわ。
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【悲報】キヌス・リーガスの恋人にとんでもない事実が発覚
1名無し@通りがかり
星アキラだったわ・・・。
http://xxxxxxxxx/xxxxxxxx
2名無し@通りがかり
珍獣なら仕方が無い
3名無し@通りがかり
>>2
これでスレ終了
4名無し@通りがかり
あっさり終わるなw
5名無し@通りがかり
いや、星キアラはトラップすぎるだろw
コスプレで髪型と化粧を変えていたら全然わからんw
6名無し@通りがかり
結局、映画の撮影に来ていたキヌス・リーガスをアキラ君が観光案内していたってオチかよw
7名無し@通りがかり
最初、騒動の元になったトイッターの写真でも、道を歩いている美少女のインパクトが強すぎて、横の人がキヌス・リーガス? 言われてみればレベルだったからな
8名無し@通りがかり
あんな美少女と一緒にいるキヌス・リーガスに嫉妬を覚えたあの時の俺をどうしてくれるんだ!
9名無し@通りがかり
別にいいじゃん。 容姿は美少女なのは間違いないんだし。
10名無し@通りがかり
普段でも星キアラになれば、トップレベルの美少女なのに、メイクと髪型を変えてコスプレをすると、さらに別ベクトルの美少女になるとか反則だろw
11名無し@通りがかり
そして、中身はあのクソガキという・・・・。
12名無し@通りがかり
キヌス・リーガスに喜んでもらいたくて、コスプレをして観光案内・・・・。 別に怒る要素は無いな。
13名無し@通りがかり
外野が事情も知らずに勝手に写真を撮って勘違いしてただけだからなw
14名無し@通りがかり
いや、あの星キアラは本当に美少女だったわ。髪色が違ったけど水銀燈が現世に降臨したのかと思った。
15名無し@通りがかり
【悲報】アニメキャラと見間違うほどの美少女に一目惚れしたワイ。中身を知って性癖をこじらせる。
16名無し@通りがかり
>>15
お巡りさん、こちらです。
17名無し@通りがかり
>>15
通報した。
18名無し@通りがかり
>>15
気持ちはわかるが、一線を越えたら帰ってこれなくなるゾ
19名無し@通りがかり
正体が発覚する前までの腐女子どもは、「ケッ、美少女がぶりっ子しやがって!」みたいな態度だったのが、正体が判明したとたんに祭りになるのがすんごく笑ったw
20名無し@通りがかり
キヌス×キアラとか、やつらに明らかにガソリンレベルの燃料投下だろwww
21名無し@通りがかり
あいつらも、ラーヤとの絡みが一段落ついて、やっと最近大人しくなったなと思ったとたんにこれか
22名無し@通りがかり
キヌス・リーガスよりも、星キアラのコスプレ姿の方が関係各所に衝撃を与えている模様。
23名無し@通りがかり
結局、昨日報道しちゃった熱愛発覚はどうなるの?
24名無し@通りがかり
ワイドショーなんかは、スルーして沈静化確実だな。
もう報道するメリットがまるで無いし。
25名無し@通りがかり
強いて言えば、星キアラのコスプレを話題にするぐらいか。
26名無し@通りがかり
星アキラが、コスプレとキヌス・リーガスのツーショット写真をトイッターにアップしたぞ
27名無し@通りがかり
うわっ、中身が珍獣だと判っていないと、マジで超美少女だな
28名無し@通りがかり
コスプレメイクは、普通顔の人でもそれなりに美人になるのに、元がいい人間が本気でコスプレメイクしちゃだめだろw
29名無し@通りがかり
コスプレショップの店員さんに撮ってもらった写真って書いてあるな。
コスプレショップの方でも写真が沢山アップされている
30名無し@通りがかり
これ、もうアニメから出てきたって言っても、全然疑問に思わないレベルだな
31名無し@通りがかり
アニメキャラがリアルに降臨するとこんな感じになるんだな
32名無し@通りがかり
こういうのコスプレって言うのか? なんかそのレベルを超えている気がするんだが。
33名無し@通りがかり
コスチュームを着て、キヌス・リーガスと遊んでいるんだから、間違いなくコスチュームプレイだろ。
34名無し@通りがかり
まぁ、突っ込み所は満載だけどコスプレだなw
35名無し@通りがかり
こういう所が、あのクソガキのクソガキたるゆえんだよな。
36名無し@通りがかり
元が、百城千世子と一緒に写っても見劣りしないレベルの美少女?だったからな。本気でコスプレをするとこうなるだろw
37名無し@通りがかり
このコスプレ衣装を作った衣装作家さんが、感激のトイートを上げているゾ。
38名無し@通りがかり
そりゃ、自分の作った作品(服)が中身が珍獣でも、容姿だけは超美少女の有名人に完璧に着こなしてもらえるとか、感激するだろう。
39名無し@通りがかり
衣装作家さんのトイートがいろいろ暴走していてウケるw
40名無し@通りがかり
これは完璧に性癖を拗らせましたわ
41名無し@通りがかり
あのクソガキがまたやらかしたのか!
42名無し@通りがかり
ただでさえ、百城千世子と映ったティーン向けファッション雑誌が大人気すぎて、手に入らないというのに、新たなるネタを投下するなw
43名無し@通りがかり
あのファッション雑誌は空前の売れ行きらしいからな・・・。
44名無し@通りがかり
あの表紙、実は男女なのに全く違和感が無い所が恐ろしいよな
45名無し@通りがかり
あれを男女と考えてはいけないw。 珍獣と美少女と考えるんだw
つまりプリキュアリーと同じく、マスコットと美少女だな。
46名無し@通りがかり
プリキュアリーのマスコットに嫉妬するやつは居ないように、実際にそういう心境だよな。
47名無し@通りがかり
ワイ百城千世子の大ファン。 千世子ちゃん大天使。 なのに星アキラが傍に居ないと寂しくなるこの謎心境。
48名無し@通りがかり
百城千世子はアイドル路線じゃなくて、演技派女優路線だし、今の状態だと、外野が騒いで星アキラとの友人関係が途切れる方が、マイナスにしかならんだろ。
49名無し@通りがかり
百城千世子は別に、アイドル活動をして勘違いのファンを沢山作っているような状況でも無いし、ファンならファンらしく、優しく見守ってやれよ。
50名無し@通りがかり
もちろん、ワイら千世子ファンたちはみんな判っとるわ。
51名無し@通りがかり
キアラの写真にローゼン閣下がいいねしててワロタ。
52名無し@通りがかり
うわぁ、ローゼン閣下とかに頼まれたら、普通に遊びに行きそう。こいつ。
53名無し@通りがかり
相変わらず、この珍獣の交友関係は謎だよな。
54名無し@通りがかり
まぁ、実際には秘書官さんとかが代わりにいいねしているだろうけど、面白いね。
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星アキラは映画撮影の現場に行く
さてさて、今日は映画撮影の現場にキヌスの通訳として来ているよ。
今日撮影されている映画は、『ナショナルクリミナル4』という映画だね。
この映画はインターポール捜査官であるキヌス・リーガスが世界中の観光地を回りながら、国際犯罪を解決していく推理あり、アクションありのライトなサスペンスだね。
アメリカで撮った1作目はトントンと言った感じで、そんなにヒットしなかったんだけど、2作目で舞台をフランスにして観光地めぐりを前面に出すと大ヒット。3作目のバリ島でリゾートをしながら犯罪を追うのはちょいヒット。そして4作目の舞台が東京。
まぁ、4作目ともなるとマンネリ感も結構あるね。今回の4作目が振るわないと映画のシリーズとしては打ち切りじゃないかな。
この映画はド派手なアクションシーンが売りって訳でもなくて、キヌスがいい旅夢気分をしながら犯罪を追いかけつつ適度なアクションという、ハリウッド映画らしからぬほのぼの感がなぜかウケていて、この特性のため製作費はハリウッド映画としては低めで、規制が厳しい日本みたいな場所でも撮影できるのが強みかな。
あとは007みたいに、映画毎に現地のヒロインが出てくるね。
今回の映画は、日本の芸能界や映画スタジオ、そして観光でインバウンドを狙いたい日本政府も全面バックアップで、スターズからも何人か脇役を出しているよ。ヒロインも大手芸能事務所の新進気鋭の女優さんで、かなり気合が入っているね。
僕? 僕は黒幕議員の子供の役としてちょい役をもらっているよ。
そんなわけで、撮影は順調に進んでいた。そして三分の一ぐらい撮影が終わったところでアクシデントが発生した。
撮影を終えて、セットから降りていたヒロインの女優さんが足を『ぐきっ』とやったのだ。『ぐきっ』と。全治2ヵ月の重症。おそらく難しいシーンの撮影を終えて、気が緩んでいたんだろう。まだまだ出番があったのに、大変な事になってしまった。
彼女のケガの状態が判明し、撮影が続けられない事がわかると、監督や作家さんなどのスタッフ、主要な俳優さんなどを集めて対策会議が開催される事となった。
そして、その対策会議のマスコット兼現地情報提供者として僕も呼ばれた。
僕の席はキヌスの兄貴の横だった。
会議の席で監督さんや脚本家さん、構成作家さん、スケジュール担当のスタッフなどが軒並み頭を抱えていた。
実際、三分の一が撮り終えているというのが曲者だった。もっと前なら代役を充てればいいし、もっと後ろなら撮影が終わったシーンを強引に繋ぎ合わせればフォローできる。でも三分の一だと、もう戻れないし、進めない。非常に難しい状態だった。
対策会議は良い案が見つからずに、堂々巡りを繰り返していた。
「キヌスの兄貴、こりゃあ大惨事だね。対策も決まらなそうだし、近所の遊園地にでも遊びに行こうか?」
「アキラの他人事感はすごいな。日本人なんだから、他の日本人と同じように空気を読んで深刻な顔をしたらどうだ?」
「ふふん♪。深刻な顔をして解決するなら、いくらでも深刻な顔をするよ。でも僕は子供なんだから深刻な空気も読めないで、こんな辛気臭い会議をしている部屋から抜けて、ぱーーーと遊びに行きたいんだ!」
「アキラのそういうところ本当に尊敬するよ。能天気なアキラを見ていると、映画の進捗で悩んでいる僕やスタッフたちが馬鹿らしく見えるね。」
「大体、この映画はだんだん人気も無くなってきて、しりすぼみで次があるかも分からないんだから、難しい事なんて考えないで、ぱーーーと予算を使い切って面白おかしく作っちゃえばいいんだよ。あっやばっ。」
堂々巡りで激論を交わしていた監督さんや脚本家さん、構成作家さんや他のスタッフたちがいつの間にか論議を止めて、僕とキヌスの兄貴を見ていた。
「あっ、やばい会話を聞かれちゃったかも。キヌスの兄貴。なんとかフォローして!」
僕はキヌスの兄貴をつんつんと突っついてフォローを促す。
その時、監督が口を開いた。
「これだ!!これだよ!! アキラくんをヒロインの代わりにすればいいんだ!」
「この子なら演技は間違いないし行ける!」
「そうか!このまま映画に出させてアドリブでしゃべらせればいいんだ!」
「ヒロインはずっと誘拐されている事にしましょう。最後に救出すれば良いでしょう。誘拐シーンと救出シーンは後で撮ればいいだけですし。棒立ちならケガをしながらでも撮れるでしょう。これならスケジュールも大丈夫です。」
何の話?と僕は監督の方を見て首を傾げた。
「アキラ君、君がヒロインの代わりにキヌスのパートナーになるんだ。」
「はぁ? 意味が分からないんだけど?」
僕は首を傾げた。
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星アキラは会議の行方を見守る
この映画はハリウッド映画であり、映画を撮るにもハリウッド撮影のシステムが採用されている。
ハリウッド撮影のシステムというのは、簡単に言うと監督のリテイクを何度も繰り返して納得が行くまでシーンを追い込んだ映像を撮るというものだ。
当たり前?
いや、規模が違う。監督の納得が行く映像が撮れるまでのリテイクの回数が日本映画とはそもそも数が違うし、各シーンで撮る映像を事前に検証しておくためのセカンドユニットが存在して、セカンドユニットの監督さんが、仮の役者さんで事前にそのシーンを演じておき、監督が事前にそれで映像の出来やカメラアングルを確認して、ファーストユニットにバトンタッチして、本番の役者さんに演じ直してもらうような事もしている。
これとは別に、セカンドユニットとして、脇役さんだけのシーンの撮影や、スタントマンが演じるアクション専門に撮るようなユニット別の分業体制なども、もちろん存在する。
ハリウッド映画は、とにかく監督が納得行くまでシーンを撮る手法がシステマチックかつ、桁違いに行き届いている。
このため、とにかく日本の映画とはかける予算が違う。日本映画の平均的な制作費は5000万円程度だけど、ハリウッドでは低予算で50億円程度、大作だと数百億円。こちらもまさに桁違い。
これによって、世界に名だたるハリウッドの映画の品質を確保している。
伊達に世界一の映画を作り続けている訳では無いのだ。
この映画はハリウッドではわりと低予算な部類だけど、それでも過去3作分の貯金もあり、60億円近いお金が動いていた。
そして、このハリウッドのシステマチックな部分は、映画のコールシートと呼ばれる香盤表(撮影予定表)にも及び、非常に綿密かつ大量の情報量で撮影場所、俳優、撮影クルー、小道具の配置などがかなり多くの情報が書かれており、非常に多くの予定が厳密に決められていた。
現状、監督を始め制作陣が大きく頭を悩ませているのは、ヒロイン役の女優さんが突如居なくなったために、このコールシートに修復不可能な巨大な穴が開いたという事だった。
今日は銀座の寿司屋を貸し切って撮影の予定だったんだけど、ヒロイン役が居なくなってそれもキャンセル。
非常に重要なシーンがキャンセルされ、映画撮影の進行に赤信号が灯っていた。
突然監督さんが宣言した。
「セカンドユニットは解散。ファーストユニットと合流。 カメラを2倍にする。 セカンドユニットの監督は、監督の判断でセカンドユニットのカメラの配置や撮る画を決めろ。」
「コールシートは大まかな役者の予定だけを揃えろ。脚本家は元の脚本を元に大体何をやってほしいかだけを指定して、セリフ等は全部俳優のアドリブに任せろ。そして、滅多な事では撮り直しはしない。俳優たちは全てのシーンを一発で決めろ。」
当然、会議の場は大混乱に陥った。
監督さんは意図を説明した。
「確かに納得が行く画が撮れるまで何度もリテイクができるハリウッドのシステムはすばらしい。だが、それがみんなの緊張を弛緩させる事になって、最近のハリウッド映画全体がマンネリ化していい映画がなかなかできない原因の一つではないかと思っている。」
「現場で何度もリテイクできるからと、中途半端な演技で来る俳優や弛緩したスタッフ、そしてそれを良しとする俺たち映画監督。 それらの態度が映画の緊張感を弛緩させて、画一的なハリウッド映画を生み出す原因になっているんじゃないかと、俺は考えていた。」
「昔は高価なフィルム代がかかるから、納得が行くまで何度もリテイクなんてそうそう出来なかった。でもリテイクができなかった昔の映画が今の映画に劣るか? デジタル化してフィルムのコストが無くなって手軽に撮れるようなった弊害がこの辺に現れてきているんじゃないかと思うんだ。」
「特に今回は、慣れたスタッフで慣れた映画の4作目だ。 ただでさえ、かなりマンネリ化もしているし、この映画が売れないとシリーズはここで打ち切りだろう。 もしこのままヒロインが居て撮影が順調でも、まあまあの出来で落ち着いて、売り上げが振るわずに打ち切り決定が決定する未来だっただろう。」
「だから今回、もしかしたらシリーズ最後になるかもしれないけれども、俺のエゴで昔みたいなピリピリとした緊張感のある映画を撮ってみたいんだ。 仮にこれがシリーズ最後の作品になっても、俺は後悔するような映画を撮りたくないんだ。」
「監督の思い描く画を俳優に強いるのではなく、俳優がアドリブで監督が考える以上の画を見せてもらえる所を撮ってみたい。 これも一つの映画の理想の形じゃないのか?」
「セカンドユニットのメンバーにも頑張ってほしい。セカンドユニットの撮影した主役のシーンが映画本編に使われる可能性があるんだ。」
「そしてファーストユニットもセカンドユニットという強力なライバルを迎える事となる。ファーストユニットに所属しているプライドを見せてほしい。」
突如撮影スタッフや俳優達に、とんでも無い緊張感とやる気が漂い始める。
ちょっと前までは、ちょっと弛緩した雰囲気だった会議室が、突如プロフェッショナル達のプライドがぶつかりあう場へと変化した。
各スタッフ間で激論が繰り広げられて、ギアがかみ合い、ハリウッド映画という巨大な機関車が前進を始めた。
この映画の監督さんは映画業界のたたき上げで、ハリウッド的な金銭感覚的での話だけど、比較的低予算でヒット作を撮る監督として定評があり、ハリウッドのプロデューサーさんなどからも、非常に評価の高い人物だった。
監督さんなりに、この映画がシリーズ最後の作品になるのであれば、自分が納得の行く方法で映画を撮りたくなったのかもしれない。
明日からハリウッド映画のシステムを捨てたプロ達による、前代未聞の映画撮影が始まる事となった。
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星アキラはハリウッド映画に出演する1
翌日から撮影が再開された。
父親である黒幕議員の情報を垂れ込んだ僕は、キヌスと意気投合して捜査に協力しながら東京巡りをするという、ケガをした女優さんの代役を務めるシナリオになっていた。
今日は、葛飾区の下町での撮影だ。
渡された台本はとんでもないものだった。
アキラ&キヌス『面白い話をしながら下町を歩く』
セリフの指定が無しかいっ。バラエティーの撮影じゃないんだぞ!
仕方がないので、僕とキヌスの兄貴は普段通りのジョーク満載のくだらない会話をしながら下町を歩いた。なぜか監督さん達にはバカ受けで、評判が良かった。
アキラ&キヌス『面白そうな店で一緒にご飯を食べながら事件の話をする。』
途中でスケジュールがご破算になったからって、店の許可とか段取りとかはちゃんと取っといてよ! 演じている最中の役者に店まで決めさせるなんて、完全にぶらり旅じゃないか! 確かヒロインが居た時には銀座の寿司屋とかでの撮影だったよね? ちょっとアドリブで開き直りすぎだよね?
事件の話もどこまで進めて話せばいいの? 100%アドリブのせいで、役者の演技が監督さんからアウト・オブ・コントロールじゃないか!
仕方がないので、僕は良い雰囲気の駄菓子屋さんを見つけると、そこに撮影交渉。無事OKをもらった。ついでに遊びに来ていた子供たちにもエキストラで出演してもらう。
僕は駄菓子屋の軒先の鉄板に腰をかけて、キヌスと一緒にもんじゃ焼きを食べる。
なんだろう・・・・。ハリウッド映画じゃなくて、自主製作映画でも撮っている気になってきたよ・・・。周りの撮影スタッフはプロ揃いで、さすがハリウッドって感じはするんだけど。
晴天の秋空に、軒先の季節外れの風鈴がマッチして非常に良い味を出している。
奥では駄菓子を食べる子供と、駄菓子屋のおばあさんの昔ながらのやり取りが行われていた。
「まず具材を載せてちょっと炒めて、こうやってわっかを作るんだ。そしてこのベビースターって言うこのヌードルもどきのお菓子をわっかに入れて、このスープを流し込むんだ」
「なるほど。こうやってスープを入れるんだね。」
「ああっ、液がわっかから漏れちゃっているよ。キヌスは意外に大雑把だね。」
「こんなの初見じゃわからないよ」
「結局ぐちゃぐちゃに混ぜちゃうから、一緒なんだけどね。」
「じゃあ、最初っから全部混ぜちゃえばいいじゃないか」
「まぁ、ちょっと煮詰めて粘度を高くしたいからだろうけど、謎の伝統だよね。生地が鉄板に広がるのが嫌なんだろうね。ほら。一緒にもんじゃを作っているけど、僕のもんじゃと結合しちゃったじゃないか。」
「なるほどね。しかしこれ、混ぜ合わせた後はあまり食欲をそそる見た目をしていないね。」
「ゲロみたいな見た目?」
「これから食事をするから、俺が配慮したのにダイレクトに言うなよ。」
「日本人もみんなそう思っているから大丈夫だよ。」
「何が大丈夫なんだ!?」
「ほら、一緒に食べるサラダせんべいによっちゃんイカ、あんず棒も買ってきたから機嫌を直して。最後にお好みでこの薄くて怪しいソースで味を調整して食べるんだ。」
「見た目に反して意外に美味いな。」
「まぁ、この食品添加物で舌が麻痺するほどのジャンク度は最高だよね。たまにフラッシュバックして食べたくなる。」
「アキラの食レポは全然美味しそうに聞こえないな。」
「そう?もんじゃ焼きにヘルシーさを求める日本人なんてほとんど居ないんだろうし、共感してくれる人も多いと思うよ。」
「ところで、君の父親の議員の事なのだが・・・。」
「あの不倫して、母親と離婚した挙句、犯罪の片棒を担ぐまでに堕ちたあのおバカ議員の事?」
「君は父親に対してすごく辛辣なんだな。」
「あれは血は繋がっているけれども、別段思い入れは無いかな。立派な職業に就いていても、子供に見切られているようじゃもうお終いだよ。」
「君の父親が逮捕されるかもしれないんだぞ?」
「逮捕される理由があることをしたからでしょ? 賄賂とかならともかく、人身売買の片棒をかつぐなんて、堕ちる所まで堕ちたね。」
「待て、君は父親が国際的な人身売買の犯罪に関わっている事を知っているのか?」
「前は賄賂ぐらいで満足していたのに、最近は明らかにヤバい外国人なんかが周囲に増えたからね。そりゃちょっと調べるってものだよ。」
「証拠はあるのか?」
「不正な口座のお金の動きは押さえているよ。でも父親は不正な口利きをして圧力をかけているだけで、直接的に人身売買や麻薬の販売をしているわけではないからね。間接的に推測はできても、直接関与した証拠はないかなぁ。」
「今追っている犯罪組織との接点が必ずあるはずなんだ。協力してくれないか?」
「いいよ。親の間違いを正すのは子供の役割だ。悪いことをしたならちゃんと報いを受けさせないとね。」
「普通は逆じゃないのか?」
「古い伝統だね。時代は常に変化しているのさ。」
こうして僕たちはアドリブで協力関係になるように、シナリオを持って行った。
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星アキラはハリウッド映画に出演する2
いろいろあって、キヌスとの協力関係は進んでいった。
「やつらに協力する暴力団が経営するキャバクラで、やつらと取引をするって情報が入ったんだけど、どうやって侵入したらいいんだろう?」
「暴力団が経営しているキャバクラか。まぁやつらもそれなりに警備しているよね。怪しまれないために、一般客が入場している中での取引だから、一般客として侵入するのが一番だろうね。」
「俺なんかが行って、やつらに怪しまれないだろうか?」
「自分で鏡を見て見たら? キヌスのどこに怪しくない要素があるの?」
「一番は誰かの常連客の案内で入るのが一番だろうけど、常連客に知り合いは居ないしなぁ。」
「アキラ、俺がインターポールの捜査官だって、判らなければいいんだ。」
「そのままの姿で行ったら怪しまれるだろうね。それなら女連れが一番じゃないの? 連れの女がキャバクラに興味があって、入ってみたというシチュエーションだね。 女を侍らせて、さらに女を求めて豪遊するインターポールの捜査官とか想像が付かないでしょ。日本の警察とかに誰か一緒に行ってくれる人は居ないの?」
「日本の警察は融通が利かないし、どこに君の父親の手が及んでいるのかわからない。協力を頼むのは難しいよ。大体、日本警察に協力を頼めるのであれば、キミに協力をお願いしていないよ。それに、俺が一人で入っても日本語が判らないから、女性とまともなコミュニケーションができないよ。」
「インターポールの捜査官に子供が協力するとか、世も末だよね。仕方がない。僕が一肌脱ごう。ちょっと待っていて。」
「何をする気だい?」
「ちょっと変装してくるよ。」
--------------------------------------------
「キヌス、お待たせしました。それじゃキャバクラに行きましょう!」
「えーと、誰? キミ?」
アキラ声「ん? アキラだけど。インタポールの捜査官が判らないなら大丈夫そうだね。この格好の場合には偽名でキアラでよろしく!」
僕は年上の遊んでいるような女性の衣装を身に着けて、年上らしいゆっくり目のしぐさと演技を行った。もちろん見た目もメイクさんのテクニックで20歳過ぎの女性に見えるように改造されている。
身長も160cm前後で、大人の女性として十分通用するレベルだった。
ちなみに、このシーンは元々ヒロイン役の女優さんが演じる予定だったんだけど、スケジュールやセットをそのままに、キアラを代役としての撮影となる。ヒロイン役の女優さんは、今頃病院で血の涙を流しているかもしれない。
僕たちは店の前に立っている黒服の前に行った。
「ポール(キヌスの偽名)、ここに行きたいわ。一度キャバクラに入ってみたかったの。」
「キアラ、君のような可憐な女性が入るところじゃないと思うよ。」
「いやよ。ポールは女一人でここに入らせる気なの? 別に男性同伴なら女の人も入ってもいいんですよね?」
店に立っていた黒服同士、目を見合わせる。
彼らには、店の前で痴話げんかをされる方が面倒だと思ったのだろう。
店は営業中で、キヌスとキアラは共に、良い身なりでお金を持っていそうだった。
「もちろんです。レディ。こちらにお入りください。」
「キアラにはかなわないな。それじゃ楽しもうか!」
僕たちは案内されて店の中に入る。
「ゴージャスなのに、落ち着きがあるとても素晴らしい店内ね。 お店に興味がありますから、見晴らしの良い席に案内してもらえる?」
「畏まりました。」
取引が行われるのは、端の方の目立たない席だろうけど、見晴らしが良い席ならある程度様子が見えるだろう。そもそも映画の撮影なんだから、どうやっても強制的に取引が見やすい席に案内されるのだ。(メタい話)
「いらっしゃいませ! あらあら、可愛い子がいらしたのね。」
「素敵な方ですね! キャバクラに興味がありまして、無理を言ってポールに連れてきてもらったの。こちらはポール。男友達なのよ。」
「まだ付き合っていらっしゃらないの?」
「俺からアプローチをしているんだけど、キアラが首をなかなかふらないんだ。」
「まだまだ恋愛未満の関係を楽しむべきよ。今がすごく楽しいから。」
「そんな事を言っていると、あっという間に年を取ってしまいますよ。素晴らしい殿方はすぐに捕まえるべきですわ。でもあなたならこのキャバクラに入って上を目指せそうですわね。」
「そうなの? 考えてみようかしら?」
「キアラ、やめてくれ・・・。」
「キャバクラで働かなくても、キャバクラに興味がある女性とか、結構多いんですよ。このように女性連れで来るお客さんも多いです。その場合、男性の方よりも女性の方が積極的なんですよ。」
「へーそうなんですね。」
そんな話をしているうちに取引が進んでいき、キヌスの追っている国際指名手配犯が席を立ってトイレに向かった。キヌスも同じく席を立ち、一緒にトイレに入って逮捕しようと大立ち回りを演じる。
任務を果たした僕はその間に隠れる。
そして、見事にキヌスは敵の反撃にあい、敵の手に捕らえられそうになっていた。
ちなみにこの後の映画の脚本は以下
アキラ『なんとかしてキヌスが捕らえられるのを防ぐ(アドリブ)』
元のシナリオはヒロインの女優が大立ち回りを演じて、キヌスを救うのだが、脚本家さんや監督さんは、格闘技等の経験が無い僕がキヌスを救う方法を思いつかなかったらしい。
もう完全に丸投げになっていた。まぁ、一般人の男の子が大立ち回りを演じてキヌスを救う方がおかしいものね。
でもさぁ、バットマンのジョーカーみたいに役が深すぎて脚本家さんが書けないから、ジョーカーを演じている役者さんにお任せするのはわかるけれども、台本を修正する時間とアイデアが無いからって丸投げはやばいと思うんだ。
そんな感じで大立ち回りもひと段落し、眼前ではキヌスが取り押さえられて大ピンチで、僕がなんとか救出しなければいけない場面になっていた。
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星アキラは主役のピンチを救う
僕が主役のピンチを救うシーンの台本は以下である
アキラ『なんとかしてキヌスが捕らえられるのを防ぐ(アドリブ)』
ハリウッドの脚本家さんをもってしても、僕がこのシーンでキヌスを救う方法が思いつかなかったようだ・・・・。
頭はともかく、特に武術等を習得しておらず、華奢な設定の僕が大立ち回りを演じる訳にもいかない。僕はこのシチュエーションと状況をとっさに判断して演技を行った。
僕はテーブルの下に隠れながら、店のアナウンスをするマイクに近づいた。
カメラはしっかりと迫力のあるアングルで僕を追跡してくれた。流石はハリウッドのカメラマンさん。
そこで、おもむろに店のマイクを取ると電源を入れて音が出るのを確認してから、ピストルの音と同時に外から警察のパトカーが来た音を声帯模写した。
一瞬、呆気に取られて固まる俳優たち。
ポリスアカデミーという映画を見たことがあるだろうか?
前世の私は、恵まれた絶対音感と発声技術を持って、日常の音を声帯模写するのにハマっていた。
そしてリスナーさんにその声帯模写を披露したのだが、ガラスを引っかく音も、発泡スチロールを潰す音も、陶器をこすり合わせる音もみんなリスナーさんに不評だった。ウケたのは音叉の音ぐらいだった。
そしてリスナー達にこう言われた。『不快な音が完璧な女』
そして年上のリスナー達には口をそろえて「ポリスアカデミーを見て勉強しろ。」と言われた。
ポリスアカデミー? なにそれ? 前世の私はネット配信サービスでポリスアカデミーを見て、マイク・ウィンセローにハマってしまった。
私も、偉大なマイク・ウィンセローと同じように声帯模写しようと練習した。
しかし、前世の女の私では、低音部分の模写に限界があり、再現ができなかった。
しかし、男として生まれた今世は違う。生まれ変わってから日々ポリスアカデミーをバイブルに、憧れのマイク・ウィンセローを目指してひそかに練習をして、実用的なレベルに達していた。
そしてあの有名なシーンが(完全にパクリだけど)今よみがえる。突然聞こえた銃撃戦の音と、パトカーの音に動揺する犯人達。
彼らはもちろん、後ろ暗い取引をしていたのだ。
彼らの店に警察が踏み込んで来るのは時間の問題だった。
彼らは対応するのがめんどくさいキヌスを残して、我先に退散していった。
さすがは、演技の先輩たち。空気を察して見事にアドリブに合わせてくれた。感謝感謝。
僕はキヌスを助け起こすと、どさくさに紛れてキャバクラを脱出した。
「アキラあれは何だったんだ?」
「声帯模写しただけだよ。ポリスアカデミーのマイク・ウィンセローを見たことない? 僕は彼が大好きで練習していたんだよ。 それよりも、敵地の中単身で突っ込んでいくのは無いよ。銃を使われなかっただけ本当に良かったよ。」
「日本人は暴力団でも銃を持っていないって言ってたから行ってみた。本当に銃が無かったんだな。」
「それ、デマ情報だよ。暴力団でもちゃんと持っているよ。ただ発射したのが警察にばれると大ごとだから使わないだけだよ。」
「げっ、マジか。俺は運が良かったのか。」
「単身乗り込んでいって逮捕しようとか頭まで筋肉でできているんじゃないの? いつものクレバーな捜査官はどこへ行ったのさ。」
「いや、面目ない。あれで大体なんとかなっているんだが・・・。」
「よく今まで生きているね。ジョー・マクレー警部(ダイ・ハード)の真似をするのはキャラが違うと思うんだ。まさか普段はあのノリで鉄砲の撃ち合いとかしているの?」
「射撃には自信があるんだ。」
「これは付ける薬が無いね。」
その後も僕はいろいろ変装しながらキヌスの捜査に協力したり、ぶらり旅を楽しんだ。
そして、指名手配の犯人とキヌスが再び大立ち回りを演じて逮捕した後の、クライマックスで黒幕であるアキラの父親との対決シーン。
各役者には、ヒロインが居たままで全く変更されていない、以前の状態の台本が渡された。
それには、
『ヒロインの代わりにアキラが演じて、あとは適当にアドリブで。』
ヒロインが途中退場したせいで、スケジュールが詰まっているからと言って、酷すぎる。 実際に、ほとんどアドリブで今までなんとかなっているので、脚本家が味を占めたらしい。本当にハリウッドぇ(笑)。
僕たちは、ほとんど存在しないような台本をもとに、設定だけを生かして演技を開始した。
「父よ。もう証拠が上がっているのだし、もう申し開きしないで、素直に投降するんだ。国会も閉会中だから悪い事をしたら普通に逮捕されるよ。」
「アキラ、誰のために、がんばってお金を稼いでいたと思っているんだ!」
「自分のためでしょ? 少なくとも国会議員というのは、イリーガルな事をしなくても、国民から生活できる費用を十分に恵んでもらえていると思うよ?」
「お前に俺の何が分かると言うんだ! 俺は自分の地位を必死に守ってきたんだぞ! もうすぐ総理の椅子に手が届くんだ!」
「テラワロス。 総理になっても犯罪の証拠が出てあっという間に失脚だよ。 こんな権力に頼った雑な誤魔化し方して、バレないとでも思っているの? 申し訳ないけど、犯罪者に高い給料を払うほど、日本の財政に余裕はないんだよ。 財務大臣も務めた事のあるお父上ならお分かりでしょ?」
「お前は俺が逮捕されてもいいのか? お前の将来は真っ暗だぞ。その刑事を説得して俺を逃がすんだ。」
「何を言っているの? このままほっといても、いずれ悪事が露見して同じことだよ。 むしろ子供の時の方が日本国の保証をいろいろ得られて、やり直しが利くだけリーズナブルだよ。だから僕のために素直に捕まってちょうだい。 本当は自首してほしかったけど、自首して殊勝な態度を見せて罪が軽くなると面倒だから、このまま逮捕されてよ。」
「お前は一体誰に似たんだ!」
「離婚したママじゃないの? パパの政治力も意外にあるかもね。まがりなりにも、こんなんでも大臣を務められているんだし。」
息子の斜め上の容赦のない返しに動揺する議員の父親。
「父よ、もう年貢の納め時だよ。 あと、後ろの秘書さんやボディーガードさん達もお疲れ様。 犯罪に手を出した父は失脚するので逮捕される前に辞めておいた方がいろいろ面倒が無くておすすめだよ。」
「私は先生と共にあります! 私たちも最後まで先生とお供します。」
「あーあ。こんなに素晴らしいスタッフに囲まれていたのに、父よ、何をしていたのさ?」
「仕方が無かったんだ。 最初は軽い選挙応援時の賄賂からで、それを元に脅されてずぶずぶと泥沼に。 アキラよ。私を笑って欲しい。 自分でもダメだとはわかっていたんだ。」
「それでも国際的な人身売買とか麻薬密売組織に肩入れはまずいでしょう。事なかれ主義を大きく超えすぎているよ。素直に罪を白状して、同じことが起こらないように国民に知らせるのが、議員としての最後の仕事じゃないの?」
「アキラ、お前に教えられるとはな。仕事を理由にお前から逃げた私を許してほしい。」
「いいよ。僕も自由にやっていたし。親の間違いを正すのは子供の役割だよ。」
「普通は逆じゃないのか?」
「古い伝統だね。時代は常に変化しているのさ。」
こうして、黒幕議員との対決は終わった。
本来のシナリオは、正義感満載のヒロインが議員の圧力に屈せず、己の信念を貫き通して、議員を逮捕しようとして、取り巻きのボディーガード達との派手なアクションを経て、逃走を計った黒幕の議員を捕まえて事件を解決するという、アクション主体の派手なシーンが一転して、斜に構えた子供との会話劇で、推理ドラマのように事件が終焉を迎えることとなった。
そして、映画の最後のシーン。
成田空港に入ったキヌスの前に、旅行鞄の上に乗っかって、足をぶらぶらさせているアキラが現れる。
「キヌスのせいで、父親が捕まっちゃって身寄りが無くなっちゃったよ。 一緒に連れてってくれるよね?」
アキラは、クレバーなキャラクターを見せずに、年相応の不安げな顔で言った。
キヌスは苦笑いをしながら言った。
「もちろんだよ。相棒。」
その時アキラ笑顔がぱっーーと輝いて、一緒に飛行機に乗り込んで映画が終わり、スタッフロールに入った。
どうも、四作目でマンネリ感と打ち切りの危機を考えていた制作陣は、キレた演技とアドリブをしまくる星アキラを気に入ってしまったらしい。
そして、本作が売れて次回作が作られる場合には、また僕をキャストとして加えたくなったようだ。そんなわけで、キヌスと一緒に旅立つ最後のシーンが撮影された。
『ナショナルクリミナル4』はシリーズ4作目というマンネリを打破して、シリーズ最大の大ヒットを記録。以後も多くの続編が作られ、僕も犯罪分析の専門家かつ、変装の達人というキヌスの相棒として、この映画のシリーズに長く出演し続ける事になるのであった。
なお、余談だけど、これ以後のシリーズでは、女装した僕とゲストヒロインとの、「どっちがヒロインにふさわしいのか対決」が毎シリーズ恒例で行われ、映画のファンたちが毎作大盛り上がりする事になるのを、この時の僕は知らなかった。
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星アキラはキャンプに行く
時はちょっと遡って、無事に若草物語の舞台が終わった僕達は、阿良也が行きたいと言う事もあって夏休みの残りを利用して、北海道の奥地でキャンプに行っていた。
阿良也は次の役作りのため実際の熊撃ちの猟師さんに同行して、猟師さんの心境を理解しようとしていた。
劇団天球では次の宮沢賢治のシリーズとして、「なめとこ山の熊」の企画が進んでいた。
そして、阿良也はついに主役として猟師役の小十郎を務めることになった。
そんな訳で阿良也は現地の猟師さんに着いて行き、役作りのために北海道の山奥まで来たのだ。
僕達はそんな阿良也に付いてきて、山の麓でキャンプという流れである。
数日前に阿良也は、電話で連絡していた猟師さんに会うと、猟師さんや猟犬と共にさっそく山の中に入って行った。
僕達は麓のキャンプ場にあるバンガローでキャンプを満喫していた。
テント? ドキュメンタリーの撮影でも無いのにテントを張って、固い地面で背中が痛くなりながら寝る必要も無いじゃないか!
昔、ボーイスカウトの撮影で遭難しかけた時は最悪だった・・・。マジで固い地面の上で蚊と戦いながら不安な一夜を過ごして、大自然に対するトラウマを僕は大量に植え付けられていた。
・・・・大自然の前に人間なんてちっぽけな存在なんですよ(遠い目)
僕はバンガローのソファーにグデッとして休暇を満喫してた。
夏とはいえ、北海道の山奥は涼しく、そよ風が窓から入ってきて最高だった。
一緒に来たのは、阿良也の他に、アリサママ、千世子ちゃん、景ちゃん、夜凪ママ、レイ君+ルイちゃんの双子といういつものメンバー。
バンガローは3つ借りていて、それぞれ、アリサママと千世子ちゃん、夜凪一家、僕と阿良也の3組で分けて泊っている。
とはいえ、阿良也は猟師さんに付きっ切りで山に入っているので、このバンガローには僕一人しか泊まっていなかった。
「風がさわやかで最高ね。ここではアキラも問題行動を起こさないし、胃が癒されるわ。」
アリサママもハンモックに吊られて、普段のストレスから解放されていた。
確かにここでは僕は問題行動を起こさない。ここで問題行動を起こすのはどちらかと言うと・・・・。
「アキラちゃん。薪割り場でいっぱいカミキリムシの幼虫を採ってきたの。いっしょにおやつにしましょうよ。」
「幼虫さんが薪割りしている木とか薪の中にいっぱい居たんですよ。」
千世子ちゃんと景ちゃんがやってきた。
普通の女子は虫を怖がるはずなのだが、千世子ちゃんは厄介な事に、絶滅寸前の希少種である虫好き女子なのだ。そしてそんな千世子ちゃんに洗脳されて、景ちゃんも虫が大丈夫になっていた。
景ちゃん、千世子ちゃんを目標にがんばるのはいいんだけど、そんな所まで見習わなくてもいいんだよ?
千世子ちゃんが持っているボウルの中には白くて、一部黄色いカミキリムシの幼虫達が沢山うねうねと動き回っていた。
おやつにしようとか言っていたけど、まさか・・・・。いや、そういう事なんだろう・・・。
「アキラちゃん、火を起こして。」
僕は千世子ちゃんに言われるままにバーベキュー台で炭火を起こした。
もちろん炭を積み上げて、着火剤に点火しただけだ。
炭に火を着けるテクニック? 火おこしで苦労するのがキャンプの醍醐味? 何の事ですかね? 文明の力は偉大だ。
千世子ちゃんは、うねうねと動くカミキリムシの幼虫たちをアルミホイルに入れると、バターと一緒に包んで金網の上に置いた。
「やっぱり、北海道と言えばバターよね。」
「カミキリムシの幼虫さん。どんな味がするのか楽しみですね。」
キミたち? うねうね動く虫さん達がかわいそうじゃないのですかね? なんの躊躇もなく食べようする君たちに、僕は衝撃を受けているよ。
しばらくすると、幼虫のホイル焼きが焼きあがった。
やたらと甘くて美味しそうな匂いが広がる。
逆に美味しそうな匂いすぎて、トラウマになりそうだ。
千世子ちゃんは箸で幼虫を掴むと容赦なく口に入れた。
「美味しい! すごくまったりして濃厚で甘みがあって最高! 幼虫界のフォアグラは伊達じゃないわね。」
すごい食レポだね。食レポに定評の無い僕が見習いたいぐらいだよ。食材が幼虫じゃなければ・・・。
「甘くて、木の実みたいな味がして美味しいですっ。」
こちらはスタンダードな食レポだね。でも本当に美味しそうに食べているからすごく絵になるね。幼虫を食べていなければ・・・。
「アキラちゃんも食べてみて。美味しいわよ。」
やはり来たか。虫を食べるなんて、前世で同僚のVTuberに罰ゲームでゲジゲジを食わされて以来だ。僕はあれでやたらと虫にトラウマを持っていた。
僕はバター焼きでやたら香ばしい匂いで焼きあがっている幼虫を箸で掴むと、箸を持つ手が震えた。でも僕は逃げる訳にはいかない。
女の子2人が美味しい、美味しいって食べている虫を、男の僕が虫が苦手だからという理由で拒絶して空気をぶち壊す訳には行かない。
男には戦わなければいけない時があるのだ。
僕は意を決して幼虫を口に入れた。
「美味しいっ」
まずいと思っていた幼虫は木の実のような香ばしさはありつつも、すごく濃厚でトウモロコシのような甘みもあるし、ミルクのような風味も付いていた。
幼虫の味をピーナッツバターみたいに例える話を聞いた事があったけれども、確かにピーナッツバターっぽいところもあるけれども、それよりもずっと豊かな風味で独自の美味しさがあった。
僕は、カミキリムシの幼虫の美味さに唸っていた。
ふと千世子ちゃんを見ると、彼女はにやっと口角を上げると、どや顔で僕を見ていた。
千世子ちゃんは、僕が虫を食べるのが苦手なのを見抜いていたのだ。
前世でゲジゲジを食べた時もその苦さと気持ち悪さに衝撃の体験であったが、幼虫の美味しさもまた、僕にその価値観を転換させるほどの衝撃を与えた。
今の僕には千世子ちゃんが美味しんぼの山岡士郎に見えていた。山岡士郎にしてやられた登場人物たちは、こんな心境だったのだろう。美味しんぼの登場人物の心境をこんな所でリアルに体験するとは思わなかった。
僕たちはカミキリムシの幼虫を食べながら話が弾み、楽しいおやつの時間となった。
「あらあら、いい匂いがするわね。 何を食べているの?」
「アリサママ!! カミキリムシの幼虫だよ! すごく美味しいんだ。 アリサママも食べてみてよ!!」
僕が差し出した調理済みのカミキリムシのつぶらな瞳とアリサママの目が合った。
アリサママは真っ青になると、胃のあたりを押さえながら外に出てしまった。
「うーん? どうしたんだろう? こんなに美味しいのに?」
「アリサさんにはちょっと強烈だったかな?」
「幼虫さん、美味しいのですけどね?」
しばらくだらだらした後に、夕食の準備をしていると、阿良也が熊に襲われたという情報がもたらされるのであった。
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明神阿良也は役作りをする
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役作りとは生まれ変わる事だ。
時に国境も時代も世界すらも超えた別人になる。
”死せず生まれ変わる”
その常軌を逸した現象を作り出すのが役者だ。
役者を名乗るにはそれ相応の覚悟が必要だ。
”人の道を外れる覚悟”
コツは今まで築き上げてきた人生観を壊すほどの強い体験を意図的に作る事。
つまり演じるために"何を"喰らうか
(株式会社 集英社 発行 アクタージュ vol.4 scene30. 読み合わせの字幕より引用)
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熊撃ちの猟師さんと共に、山の中を進んでいると、猟師や猟犬の間に突然緊張が走ったのを感じた。
俺は猟師さんの指示に従って、木の陰で隠れた。
辺りは静かで物音すらしない。しかし、とんでもない緊張感が支配する世界だった。何も起きないのか? 緊張が緩もうとした瞬間、突然、巨大なヒグマが草の影から飛び出してきて、猟師さんに襲い掛かった。
猟師さんは眉間を狙って1発撃ったが、頭蓋骨を貫通できなかったようでヒグマの勢いは止まらずにそのまま猟師さんを押し倒した。
ヒグマが猟師さんに一撃を入れようとした所で、パートナーの猟犬が飛び出してきて、熊に嚙みつき熊の注意を逸らす。
ヒグマからなんとか抜け出した猟師さんは、怪我を負いつつも、ヒグマにもう一撃入れる。 しかしヒグマは倒れる事は無かった。
ヒグマは猟師さんを威嚇すると、突然俺の方に襲い掛かってきた。
この中で一番弱いのは間違いなく俺。 ヒグマは自分が助かるために一番弱い俺に襲い掛かって活路を開こうとしているのだ。
背中を向けてヒグマから逃げたら、ヒグマに追いつかれて俺の人生は終わりだろう。
小十郎ならどうするだろう?
宮沢賢治の童話、「なめとこ山の熊」では、小十郎は熊撃ちの名手で、熊撃ちには絶対の自信を持っていた。
でも小十郎は最後に打ち損じた熊に襲われて命を落とした。
猟師さんが熊撃ちに失敗した時点で、俺も小十郎と同じく死ぬ運命であったのかもしれない。
ああ、俺は小十郎の最後のシーンを実際に体験しているのか。
俺は小十郎と自分の死を重ね合わせて奇妙な感動に囚われていた。
自然界での死とはドラマチックな物ではなく、こんなに唐突で瞬間的にやって来るものなのなのだな。
小十郎は熊達とこんな命のやり取りをずっと繰り返して来たんだ。
なめとこ山の熊達は、小十郎に撃ち殺されるのは迷惑であったが、彼に親近感を抱いていた。
俺はこの理由がずっとわからなかった。
俺はずっと考えていた。
熊達は小十郎の強くても慈愛がある所に親近感を感じたのだろうか? それとも熊の会話を理解できる事に親近感を感じたのだろうか? それとも熊を殺す時に申し訳ない気持ちで一杯になる人間らしい部分なのだろうか?
でも俺はこの瞬間に、熊達が小十郎に近親感を覚えていた理由を理解した。
小十郎は熊達とこんな命のやり取りをずっと続けていたのだろう。 熊達はこんな戦いを続けて、なめとこ山の王者として君臨する気高い小十郎に対して、敬意と親近感を感じたのだ。
小十郎が熊達に親近感を覚えられていた理由は、童話のような可愛らしい理由では無くて、ずっとずっと血なまぐさい、原初からの野生動物が持つ力と暴力に基づく尊敬だったのだ。
そんな事を考えながらも、ヒグマはどんどん俺に迫って来る。
俺はこれから命を落とす。まさしく人生最後の瞬間だ。
「へぇ、足がすくむ。少し後悔しているかもしれない。 自分から死ぬような危険に飛び込んでおきながら、それでも死ぬのは怖いんだ。 これはなかなか面白い発見だ。なるほど。」
ヒグマは立ち上がり、俺に対して手を上げ、その凶悪な爪を俺に振り下ろした。
「次は・・・ヒグマに殺されて、自分の死を喰ったら・・・どんな気持ちになるのかな?」
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明神阿良也は母親の愛情を喰う
「次は・・・ヒグマに殺されて、自分の死を喰ったら・・・どんな気持ちになるのかな?」
俺は、目前に迫りくる死を前に、自分にどういう変化が訪れるのかを確認した。
迫りくる巨大なヒグマの爪の挙動。 俺は特に避ける気が無くぼーと見ていると、自分の心理状態を考える理性に反して、体が爪の挙動を避けるように反射的に動いて、爪を躱した。
「すごい。 理性は生きるつもりが無くても、本能は体を守ろうとするんだ!!」
俺は理性と本能が相反する場面に遭遇して感動を覚えた。
しかし、ヒグマの巨大な爪を躱したのは良かったものの、倒れ込んだ俺はヒグマに見下ろされる形となった。 もう俺に逃げ場は無い。
再度、ヒグマは俺を見上げると俺に対して爪を振りかぶった。
感情を映さないヒグマの大きな真っ黒な目を見た俺は、観念して落ち着いた気分になった。
突然、今までの人生の思い出が溢れかえってきた。
両親に虐待された幼少期、巌さんとの出会いと劇団で舞台に立つ俺と、仲間の劇団員達、そしてアキラとの出会いと星家での奇妙な共同生活。 最後に思い浮かんだのは夜凪ママの笑顔だった。
「ははっ。本当に走馬灯って死ぬときに見えるんだ。 自分が死ぬときってこんな気持ちになるんだ!」
自分が死ぬ瞬間を体験できて、俺は役者として大きく成長できた気がする。 悔しい。 俺にもっと時間が残されていれば、みんなに成長した俺の演技を見せられるのに。
その時俺は、理不尽に迫りくる自分の死に対して、初めて反骨心を覚えた。
俺は熊を下から睨みつけた。 演技とか役作りとかそう言うものじゃない。 ただ生物が持つ生きたいと言う意志を巨大なヒグマにぶつけた。
ヒグマは爪を振り上げたまま、俺と睨み合った。 ヒグマが爪を振り下ろせばすぐに俺の人生は終わりを迎えるというのに、俺の殺生与奪の権利を握るこのヒグマは、俺にその巨大な爪を振り下ろす事を躊躇した。
睨み合う俺とヒグマ。
時が止まったと錯覚するぐらいの静寂があたりに充満する。
ぱーーーーんっ。
その静寂を破ったのは、猟師さんが撃った鉄砲の音であった。
猟師さんに背を向けて俺と睨み合っていたヒグマは、猟師さんに後ろから延髄を打ち抜かれて、爪を振りかぶったまま俺の横に倒れ込んだ。
今まさに俺の命を喰おうとしていたヒグマは、猟師さんから放たれた銃弾によって自分の命を散らしたのだ。
倒れ込むヒグマの目を見ながら、俺はこのヒグマにシンパシーを感じた。
そう。 なめとこ山の熊達が小十郎に近親感を覚えるのと同じように。
こうしてヒグマとの闘いは終わった。 俺は幸運にもこのヒグマを先生として役を喰う事ができた。
でも俺の胸に宿ったのは、役を理解した役者としての充足感ではなくて、命をかけた戦いで死んでいったヒグマに対する哀悼だった。
---------------------------
ヒグマをなんとか倒したものの、猟師さんは大きな怪我を負っており、一刻も早く病院に運ばなければ命が危なかった。
俺はリュックサックから、アキラが遭難した時のために渡してくれたイリジウムの衛星携帯電話と自分の座標を知ることができるGPSシステムを取り出して、アキラに連絡を入れた。
こんなの過剰装備だよって、もらった時に笑ったけれど、本当に役に立つとは思わなかった。
アキラは俺がヒグマに襲われた事に対して半狂乱だったが、即座にキャンプ場の人に話を付け、山岳救助隊に連絡してヘリを派遣してもらえた。 アキラは相変わらず、頼りになる親友だ。
ヘリに救助された猟師さんと俺、そして猟犬の一行は麓から少し離れた街にある総合病院に搬送された。
猟師さんは足と手に怪我を負っていたものの、命に別状は無かった。
ただ出血は多かったため、そのままだったら命が危なかったらしい。 駆けつけてきた猟師さんの奥さんから、俺はものすごく感謝された。
そして、病院の椅子に座っていると車で駆けつけてきたアキラや、アリサさん、千世子、夜凪家の人たちも到着した。
擦り傷だらけの俺を見た夜凪ママは、突然俺に抱き着くとしくしくと泣き始めた。
「ばかっ、阿良也君、何をしているのよっ。 心配したんだからっ。 でも無事で居てくれて本当に良かった。」
俺は、夜凪ママの涙が首筋に当たり、人の涙ってこんなに熱いものなんだって、初めて知った。
そして、無償で純粋に俺の事を心配してくれる人が居る事と、その体温に安堵と感動を覚えた。
泣いている夜凪ママを見ていると、俺の目からも意図していないのに涙が自然にこぼれた。
すごく温かい気持ちだった。 これが母親の愛というものなんだって、その時に俺は気が付いた。
子供の頃からずっと親に虐待され続けて、正しい感情を持てなかった俺にとって、今まで母親の愛情というのはファンタジーであり、現実に存在する物だとは思えなかった。
家族の愛情なんて物は、仲良く暮らすための方便で、実際には空想の産物だと思っていたのだが、泣きじゃくる夜凪ママの顔を見てそれが現実に存在する事を知った。
「すごく心が温かくなって、すごく安心する。 母親の愛情ってこんな風に感じるんだ。 すごく、すごく、すごく大発見だよ!」
俺は今日の体験で感じた様々な感情が爆発して、子供のように夜凪ママに抱き着きながら盛大にわんわんと泣いた。
俺にとって母親の愛情を感じた事は、ヒグマとの体験と同じぐらい得難い大切な経験となった。
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星アキラは熊鍋を食べる1
阿良也を病院に迎えに行った翌日、別の猟師さんと村の青年団の一行が山に入り、阿良也達を襲った熊を持ち帰ってきた。
体重400キロ以上あるとんでもない大きさのヒグマで、僕はその大きさに圧倒された。
このヒグマは周囲の牧場の牛を襲いまくっていた有名なヒグマで、今まで動物用に仕掛けたカメラにしか映った事が無く、どんなに罠や猟師が追っても見つかる事の無かった恐怖のヒグマだったらしい。
阿良也と一緒に居た猟師さんは、周辺の牧場に現れては家畜に膨大な被害をもたらすこのヒグマをずっと追っており、今回はそれをついに仕留めたのだ。
ヒグマを回収しに行った、別の猟師さんが足の形とサイズでそのヒグマだって言って、実際に石膏で取ってあった足形同士を比較して同じヒグマだって事の確証が取れた。
周辺一帯の地域を恐怖に陥れていた恐怖の巨大ヒグマが駆除されたというニュースは日本全国を駆け回り、沢山のTV局や新聞社が村に集まり倒されたヒグマの撮影が行われた。
そして、猟師さんと共にこの恐怖の巨大ヒグマに立ち向った阿良也は一躍時の人となり、取材が殺到した。
ついでに阿良也の友達という事で、一緒にキャンプに来ていた僕達も取材対応に追われる事となった。
「もうバカンスに来ていたはずなのに、取材対応でへとへとだよ。」
「いや、アキラ達が居なかったら、俺一人で大変な事になっていたよ。」
「仕方が無いわ。 でも阿良也君も取材対応に慣れている私達が居て良かったわね。 一人で来ていたら報道陣にもみくちゃにされて、大変な事になっていたわよ。」
「アリサさんもありがとうございます。」
阿良也達が倒したのが有名なヒグマで、日本全国から取材が殺到すると判った時点でアリサママの対応はすばやかった。
村の人に話して村の集会所の一室を貸し切り、そこを取材室として、倒した熊を置き、阿良也、アリサママ、僕、千世子ちゃん、景ちゃん、そして村の関係者を配置して、主要報道機関を1社ずつ受け入れて行った。
受け入れ順は、一番は公共放送、二番目以降は民放主要各社TV局の代表にじゃんけんをさせて順番を決めさせ、それ以降は全国紙と地元新聞社という流れだった。芸能関係の報道については、東京に戻ってから取材を受けるという事を関係各社に周知した。
全体統括はアリサママ、熊に襲われた緊迫の状況を説明する係が阿良也、僕は阿良也のフォロー役、千世子ちゃん、景ちゃんは熊の大きさに驚くリアクションと、阿良也を心配する係。 村の人たちは事件の感想。 熊の撮影と同時に主要人物の撮影も一回で終えられた上に、報道に必要な画も沢山取れて話がスムーズに進むと、報道各社の方々にも非常に好評だった。
アリサママに、千世子ちゃんや景ちゃんが僕達と一緒に居るのは、邪推されるんじゃないの?って質問をしたんだけど、「二人がキャンプ地に泊まっている事は村の人たちに知られているし、隠した方が後ろめたい憶測を生むわ。 なにも後ろめたく無いんだから、こんなのはオープンに堂々としていればいいのよ。」という流石の対応だった。
阿良也とヒグマの取材は、放送各社の夜のニュースでトップニュースとなった。
そして、そこで同時に阿良也が『なめとこ山の熊』の舞台で主役を務める事と、その役作りのためにヒグマ猟に同行していた事も合わせて報道され、多くの人が天才役者『明神阿良也』の役作りを知るきっかけとなるのであった。
「はぁ、疲れたよ。 休暇に来ているはずなのにこんなに疲れるなんて・・・。」
「アキラちゃん、今日は熊鍋らしいわよ。 あっちで熊の肉を捌くんですって。行ってみましょう!」
やたらハイテンションな千世子ちゃんに、熊肉を捌く所を観に行きたいって誘われた。
「あれ? あのヒグマは剥製にされて、村の観光資源になるんじゃないの?」
「別の熊肉だって。 村であのヒグマが狩られた事と、報道対応が終わった事のお疲れ会をやるって言って、私達も呼ばれたのよ。」
村の集会場の調理場では大きな熊の肉が捌かれており、鍋の準備を夜凪ママと阿良也や景ちゃんなども手伝っていた。
「アキラちゃんっ! 見て!! 旋毛虫が熊の肉から這い出しているわ! こんな寄生虫が体の中で繁殖したら大変な事になっちゃう!!」
彼女は歓喜の表情を浮かべながら言った。
そう。百城千世子は絶滅寸前の希少種である虫好き女子であったが、さらにその中でウルトラレアの寄生虫好き女子なのだ。
「旋毛虫は腸で繁殖すると、筋肉組織の間や皮下組織の下に潜り込んで、体中ミミズ腫れになってしまうのよ。なんて素敵なのかしら!!」
常人には全く理解できない理由で歓喜する千世子ちゃん。
死んだ熊の肉から抜け出して、うねうね動く旋毛虫の前に彼女のテンションは上がりっぱなしだ。
この子、この寄生虫を生で食べるとか言い出さないよね?
景ちゃんはこんな千世子ちゃんを見てスルーしている。 この子も、この年でスルースキル強すぎじゃないですかね?
阿良也はこの話を聞いて、固まっていた。
「どうしたの阿良也?」
「・・・・ヒグマを狩ったら、ヒグマの命を感じるために、自分でその場でさばいて生で食べるつもりだったんだ・・・。」
「バカだね。阿良也。本当にバカだ。 ヒグマ猟に同行するって聞いた時もバカだと思ったけど、こんな寄生虫いっぱいの肉を生で食べるつもりだったなんて、バカすぎるよ。」
「確かに熊の生肉を食べるのはバカだと思うけれども、何でヒグマ猟に同行するのがバカだと思うのさ? 君も役者なら僕の気持ちが分かるだろ?」
「そりゃ、演じる役と同じ体験をしたいというのはわかる。 でもさぁ、『なめとこ山の熊』の舞台は岩手県花巻市の山って言うのが定説だし、十中八九、北海道じゃないよ。」
「えっ?」
「小十郎が相手にしていたのは体重100Kgに満たないツキノワグマだ。 こんな400Kgを超えるような巨大なヒグマじゃないぞ? つまり阿良也は無駄死にしかけたという貴重な体験をして来た訳だwwww」
僕は阿良也を笑った。
「何でもっと早く教えてくれなかったんだよ! おかげで死にかけたじゃないか!!」
「僕もこんな事になるとは思っていなかったよ。 でもいい体験ができただろ? 阿良也の役者としてのレベルが上がったのが僕にもわかるよwww」
「このクソガキがっ!!!」
怒った阿良也は僕と追っかけっこを演じた。
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星アキラは熊鍋を食べる2
しばらくすると熊鍋の準備も整い、村の集会場で食事となった。
村長さんのねぎらいの挨拶の後に、いよいよ熊鍋を食べる事になる。
阿良也と一緒に居た猟師さんと奥さんはまだ入院中なので本日は欠席だね。
熊鍋の味は非常に美味だった。
生の熊肉は想像以上に脂肪がある。 そこでまずは丁寧に下茹でされた熊肉で灰汁を取りながら出汁を取り、そこにあく抜きしておいたゴボウやニンジン、こんにゃく、大根などの根菜類を追加する。
そして根菜類が煮えあがってきたら、味噌と共に白菜、しめじ、ナラタケ、長ネギ、シイタケなどを入れて、最後に薄切りにした熊肉を入れていただく。
プロの猟師さんが取ってきた熊肉は血抜きも万全で、それでもちょっと獣臭い部分もあるけれども、それがアクセントとなってすごく野性味が溢れる味に仕上がっていた。
味噌による味付けも秀逸で、熊の獣臭さを上手く美味に仕立て上げており、ご飯が進んだ。
他にも近所の牧場で取れた生ラムによる本場のジンギスカンなども振舞われており、僕たちは北海道の地場の食材達を堪能した。
アリサママは、村の人たちにお酌してまわっていた。この辺は年の功だろう。
アリサママは北海道を舞台にした映画やドラマにも数多く出演しており、とりわけ地元の人達に大人気だった。
普段は見れない有名人を間近で見れて、北海道の人たちもテンションも上がっていた。
ちなみに、僕がヴァイオリンを伴奏に歌で「北海盆唄」を歌うと地元の人たちは大好評だったよ。
「阿良也がヒグマに襲われた時は大騒ぎだったけど、結果的に地元の人とも仲良くなれて、すごく実りの多い旅になったね。」
「そうね。 アキラちゃんもカミキリムシの幼虫がどれだけ美味しいか判ってもらえたし、とても良かったわ。」
「幼虫さん、美味しかったですね。」
「げっ、お前達って俺がヒグマに襲われている間にそんな事をしていたの!?」
「うん。これがすごく美味しかったんだ。 今度阿良也にも作ってあげるよ。」
「い、いやっ、俺はいいっ!」
「んっ? 阿良也、もしかして虫を食べるのが苦手なの?」
「そっ、そんな事は無いぞ! 俺がそんなのを嫌がる訳が無いじゃないか!」
「それなら明日の朝食はカミキリムシの幼虫にしようか! 朝起きてみんなで幼虫を取りに行くんだ。」
「いいわね。それ。」
「やっ、やめろ! やめるんだ! カミキリムシの幼虫が可愛そうじゃないか!」
「いや、ノリノリでヒグマを狩ってた人にそんな事を言われても・・・。やっぱり苦手なんじゃないの?」
「そんな事ないぞっ!」
「僕も虫を食べるのが苦手だったんだけど、カミキリムシの幼虫は別格だったよ。 虫って美味しいって初めて思ったから。」
「あのグロテスクな物が美味しいなんて、逆にいやだ!!」
「正体を現したね。 やっぱり虫を食べるのが嫌いなんだ。 これはちゃんとカミキリムシの幼虫を食べてもらわないとダメだね。」
「そうね。阿良也君にも虫食のすばらしさを知ってもらわないと。」
「お前達やめろ~! やめるんだ~っ。」
翌日の朝食でカミキリムシの幼虫がメニューに出されて、阿良也は真っ白になるのであった。
なお、アリサママもなぜか阿良也と一緒に誤爆ダメージを受けていた模様であった。
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【Live】ラーヤが巨大クマに襲われました!! そんな餌で俺様が釣られクマ――
放送準備中。もうちょっとで始まるよ。
酷い題名だwww
思わず釣られた人は名乗り出ろ!
(*´▽`)ノ ハーイ♪
(*・ω・)/ハーイ
ハ━━ヽ(*´∀`*)ノ━━ィ♡ す朝野いちごch
いちごちゃんwww
ラーヤがクマーに襲われるとは!!大丈夫なのか?
大丈夫(ネタバレ)
あっ、始まる。
「星アキラの双子の妹、星キアラですっ。今日も皆様とお会いできてうれしいですわ。」
「今日は、緊急ニュースですわ。 あの明神ラーヤちゃんが巨大クマに襲われたらしいですの。 その時の状況をさっそくラーヤちゃんに聞いてみたいと思いますわ。 あれ? でもラーヤちゃんが居ませんわね?」
私は、おもむろに超巨大な釣り針(ぬいぐるみ製)に夜凪ママ特製のクッキーを結びつけて、釣り竿でクッキーの付いた針を投げる。
「そんな餌で俺様が釣られクマ――」
ラーヤが釣り針にかかる。 釣り餌を口に咥えて餌にかかる、あのアスキーアートを演じる仕草がやたらと可愛い。
「見事にラーヤが釣れましたわね。」
「ねえ? この茶番必要なの? すごく滑ってシュールな感じがするんだけど。」
「もちろんですわ。様式美は重要ですわ。 滑って周りが静かになればなるほど面白いですわ。」
「そんな面白さは、全く理解できないわ。」
あまりのシュールさに固まった。
キアラちゃんの笑いのセンス上級すぎw
ラーヤちゃんの可愛さに失笑が漏れた。
釣り針にかかる仕草が可愛すぎ♡
こんな茶番に付き合ってあげるラーヤちゃんすごくいい子
相変わらずすごくかわいい。まさにアイドル。
なんか前よりもラーヤの可愛さに磨きがかかっている感じがする。 す朝野いちごch
「ラーヤはクマクマに襲われたおかげで役者のレベルが上がりましたの。当然ラーヤの可愛さにも磨きがかかりますわ。」
「そうよ。役作りは役者全体のレベルアップに繋がるんだから、当然ラーヤもパワーアップするのよ♡」
そんなRPGのレベルアップみたいなのある訳ないじゃんw
あのニュースでやっていた役作りがこれに生かされるの?
巨大ヒグマに襲われた修羅場はラーヤレベルアップのためだった!?
まじでラーヤちゃんの輝きがすごすぎる。もうトップアイドルの輝きに到達している。
ラーヤちゃんのレベルアップに驚愕!!
本当なの? すごく怪しいけど。 私もクマさんに襲われないとダメかな?す朝野いちごch
「いちごちゃんはそのまま純粋でいてね。 ラーヤからのお願いよ。」
「いちごちゃんはすごく騙されやすそうですわね。」
「そもそも何でラーヤちゃんが巨大クマクマに襲われそうになったんですの?」
「ラーヤは次の舞台で主役に抜擢されたので、修行に行こうと思ったの~。 それで猟師さんに付いて行って熊狩りを実際に見ていましたの。」
「舞台は宮沢賢治の『なめとこ山の熊』でしたわね。 それで主役の小十郎を演じるのですわね。」
「もちろんよ。こんな大役を演じられるのはラーヤしか居ないわ。 」 <o( ̄^ ̄)o> エッヘン!!
「さすがラーヤですわ! それで小十郎と同じ体験をするために北海道の山奥に行ったのですね。」
「そうよ。そうしたら物陰からクマさんが、がお~って飛び出してきて、襲われちゃった。」 (・ω<) てへぺろ
「ラーヤ、無事で何よりですわね。」
「もちろんよ。 アキラちゃんも心配してくれたかな?」
「もちろんですわ。 アキラお兄様もすごく心配されていましたわ。」
「きゃ~♡ ラーヤうれしいっ。」 Happy ❥❥⸜(ू•◡•)໒꒱
「なんでしょうか? お尻の穴がムズムズしてきましたわ。 何か嫌な予感がしますわね。」
「なんでも無いわよ。 でも後でラーヤと一緒に行って欲しい所があるの♡」
「これは絶対に一緒に行ってはいけない場所ですわ。」
これは貞操の危機w
絶対に付いて行っちゃだめだからなw
┌(┌^o^)┐ホモォ...
これはラーヤちゃん本気では?
この後の展開が気になるから、是非一緒に行ってもらってレポートして欲しいわ。 す百城千世子ch
千世子ちゃんww
千世子ちゃん、鬼畜杉www
「千世子ちゃん酷いですわ。 こんな可愛いわたくしを危険な目に遇わせようとするなんて、鬼畜ですわ。」
「千世子ちゃん、最近良く本性が見えるようなってラーヤもうれしい。」(っ’ヮ’c)
「何が嬉しいのですの!?」
「そういえば、巌じいじがアキラちゃんも出演させたいって言っていたわよ。」
「まあ! アキラお兄様を! それはすごく光栄ですわ!! それでどんな役ですの?」
「森に生まれたボーとしている白熊の役で、大ちゃんって弟とイノシシのうり坊と一緒に登場するのっ」
「勝手にシロクマじゃない! こんな古い漫画、リスナーさんみんな置いてきぼりですわよ!!」
マジか。シロが出るのか!?
勝手にシロクマって何? す朝野いちごch
漫画なの?
いや、シロとかすぐに狩られるだろ・・・。
アキラ君のシロとか適役じゃね?
全く知らない。何? そのキャラクター?
「ああっ、もうっ、古すぎてみんな分からない漫画のキャラクターとか巌のおじい様はなんで登場させる気になったんですの?」
「昔流行っていた漫画をクマつながりで思い出したらしいよ。」
「勝手にシロクマとか登場させちゃったら、なめとこ山の熊が完全にギャグになってしまいますわ! 大丈夫ですの?」
「ベテランの団員さん達が全力で止めてたわ。仕方が無いから、アキラちゃんには別の役をオファーする事にしたみたい。」
「それはそうでしょうね。結局アキラお兄様にはどんな役になるんですの?」
「小十郎と一緒にいるパートナーで、白くてかわいいの♡」
「という事は、白い猟犬ですわね。 小十郎と狩りを共にする純白の猟犬。 素敵ですわ。」
「えっ? 違うわよ? 小十郎と一緒に居るマスコットのゴマフアザラシでゴマちゃんって言うの~。 キュ~キュ~言ってすごく可愛いのよ♡」
「少年アシベじゃない! ネタがいちいち古いんですわ! しかもそのキャラクターは本当にキュ~キュ~言っているだけじゃないの!!」
「え? 嫌なの? でもキアラちゃんはダメでも、アキラちゃんは良いって言うかもしれないわ。」
「そんな事ありません! アキラお兄様も嫌って言うのに決まってます!」
「中の人は同じだものね~」(*・v・)ニヒヒ
「なっ中の人など居ませんわっ」
「その元ネタを知っている人なんてもう居ないんだから、ゴマちゃんでも大丈夫よ♡」
「謝って! 吉田戦車先生に謝って!」
ゴマちゃんとかどんな演劇にするつもりなんだ・・・。
巌裕次郎。鬼才すぎて舞台がどうなるのか展開が読めん。
ラインナップが謎すぎる。
本当に舞台にゴマちゃん出すの?
勝手にシロクマとゴマちゃんが出る舞台・・・。楽しいかも す環蓮ch
「巌じいじは、ゴマちゃんでも断られた場合には、仕方が無いからチョイ役でもいいか聞いて欲しいって言ってたわ。」
「もうこの際チョイ役でいいですわ。」
「それなら、小十郎をハワイに誘う、かわうそ君の役をやって欲しいって言ってたわ。」
「なぜ、かわうそ君! しかもハワイとか世界観ぶち壊しですわ!」
「巌じいじは、やっぱりアキラちゃんには珍獣の役をオファーしたいって。」
「もう、目的が珍獣を出す方にシフトして、完全に舞台の内容とかぶち壊しになっていますわ!!」
「そもそも、アキラお兄様はパートナーの猟犬とかでも良いのですわよ?」
「ごめんなさい。猟犬の役はベテランの役者さんですでに決まっているの。 やっぱり小十郎と一緒に戦うから強い猟犬じゃないと。」
「まぁ、確かにそれは言えていますね。アキラお兄様では少し迫力不足かもしれませんわ。」
「猟犬の名前はのらくろで、猛犬聯隊の二等兵ですの。 すっごく強いのよ。」(❛ᴗ❛ و)
「まさかの、のらくろ二等兵! しかもファンシーなやつじゃなくて、本当に戦争している方のガチのやつ! 小十郎は一体何と戦っていますの!?」
「えっ? クマ帝国じゃないの?」
「クマ帝国!? 何でクマが帝政を布いていますの!?」
----------------------------------------
「なめとこ山の熊のあらすじの結論としては、クマ帝国の将軍の息子、小十郎はクマ帝国と戦う反乱軍に身を投じて、ゴマちゃんやのらくろ二等兵を仲間にしつつ、月光仮面やリボンの騎士とともにクマ帝国に立ち向かっていく壮大な物語なのですね・・・。」
「そうよ。 今回の舞台は9部構成で、最初の舞台のクライマックスは、入手した設計図を元に、細い通路を武装した乳母車で走って、イゼルローン要塞を爆破するの!!」
さすがは演劇界の重鎮、とんでもないストーリーだ
ものすごく壮大で奥深いストーリだ。常人では思いつかない・・・。
とんでも無い大舞台になりそうだな。
これは大ヒット間違いなしだな。
巌裕次郎の構想力、まさに鬼才(おにさい)と呼ぶにふさわしい。
国民栄誉賞をもらった舞台演出家は本当にすごいな。
全く老いを感じない完璧なストーリー。聞いてて背筋が寒くなるぐらいすごい!
アキラ君も是非この舞台に出演するべきよ!! す環蓮ch
「環お姉様・・・・。 聞いていると、ものすごい残念臭とパチモノ臭が漂っていて、絶対に失敗しそうですけど、ここまで突き抜けていると怖いもの見たさで、逆にこの舞台を観てみたいですわね。」
「でもアキラお兄様はこの舞台の出演は遠慮させていただきたいですわ。」
「え~っ、キアラちゃんどうして!? こんなに歴史的な舞台なのに!!」
「様々な意味で歴史的な舞台になるとは思いますわ。様々な意味で。 そのやばい歴史にアキラお兄様を巻き込まないでおくんなまし!」
「キアラちゃんってこういう所はすごく冷たいよね。 ラーヤがクマさんに襲われてまで役作りを頑張っているっていうのに!!」ε=(`・д・´)プンプン!!
「そもそも、このストーリーのどこに、ヒグマ猟に同行して役作りを行う必要があったんですの!?」
「あっ、そういえば、ラーヤ間違えちゃったかも~♡」
「かわいいふりをすれば全部許されるわけじゃないんですのよ!!」
「天才」明神阿良也の役作りがこんなオチだったとは・・・。
あのニュースの裏側がこれ~?
クマに立ち向かった阿良也、すごくかっこいいと思っていたのに。
幻滅しました。アキラ君のファン辞めます。
えー。アキラ君かキアラちゃんもこの舞台に出ようよー。
世の中には知らない方が良い事もあるわよね す百城千世子ch
俺はこの舞台を絶対に見に行く!!
「そんなわけで、ちょうど良い時間ですし音楽の時間です。」
ええーーーー!もっとラーヤちゃんとお話ししたい
ラーヤ!ラーヤ!ラーヤ!
ぶぅ━━q( ̄(oo) ̄)p━━っ!!
もって続けてよ~。
ぶうぶうっ
時間が過ぎるのが早いw
深刻なラーヤ不足
もっと、もっとラーヤ×キアラを!!
「とりあえず、かなり疲れましたわ。 ラーヤが出演するといつもこうなっていますからね。 ラーヤ、恐ろしい子ですわ。」
「そんなわけで、今日はあのなめとこ山の熊のあらすじを聞いていて思い出した曲ですわ。 スターウォーズより、『やる気の無いダースベイダーのテーマ』ですわ。」
私は、ヴァイオリンで気が抜けるダースベイダーの曲を熱演する。
上手ぇ。上手いけど何か違う。
なぜこれに全力を尽くしたのか・・・。
すばらしい曲。しかし評価していいの?これ?
スターウォーズならもっといい曲が合ったじゃん。なぜこれなの?
なんかニフニフやYoutubeの残念な話をする動画を見ているみたい。
今日の話に合っていると言えば、合っているけどさぁ・・・・。
誰よりも超技法で弾いた残念な曲
この残念な気持ちを音楽で表現できているのはすごいんだけど・・・。す朝野いちごch
いろいろ残念な回だった。
「そんなわけで、それでは皆様ご機嫌よう!」
「それじゃキアラちゃんはラーヤと一緒にいい所に行きましょうね~」⁽⁽ (♡ˊᵕˋ♡) ⁾⁾
「ちょっと、ラーヤ、やめて、たっ助けてっ!!」
ブチっ。 こうして星キアラの本日の放送は無事に終了したのであった。
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星アキラ声優にチャレンジする1
紆余曲折を得た「ナショナルクリミナル4」だけどついに映画が出来上がり、舞台が日本ということもあり、日米同時公開の流れとなった。
さて、この映画はすべて英語なので日本公開の前にやることがある。そう吹き替え作業である。
日本には世界有数の声優文化があるので、映画の吹き替えで僕の声を誰がやってくれるんだろう?ってわくわくしていたら、僕の声は僕がやることになってしまった。僕の声だからいいのか?
声優の中で明らかに新人ぺーぺーの僕は、お菓子などを用意して、収録スタジオに一番乗りで乗り込み、入ってくる声優さんに一人一人挨拶をした。
「本日、初めて声優のお仕事をさせていただく、スターズの星アキラと申します。よろしくお願いいたします!」
僕はドアを開けながら新人らしく、先輩声優たちに挨拶をした。
「アキラ君! びっくりしたよ。どっきりカメラかと思ったよ。 いや、君は声優業界では新人かもしれないけど、芸能人としての芸歴はすごいんだから、そんな事をしなくてもいいと思うよ。」
「いえいえ、こういった業界の慣習はちゃんと理解しておかないと後で痛い目にあいますので、ちゃんとリスペクトさせていただいております。」
「さすが役者としての芸歴が長いだけはあるね。そういう所をちゃんと理解していないと、一瞬ブレイクしても勘違いして消えていく人間が沢山いるからね。アキラ君のそういう姿はすごく好感を持てるよ。」
「ありがとうございます。」
しばらく扉の前で挨拶をしていて、あらかた挨拶が終えると、キヌス役の声優さんに声をかけられた。
「アキラ君、挨拶はそろそろいいだろう。台本でキヌスの演技のニュアンスが判らない所があるんだけど、教えてもらえないかな?」
「はい。よろしくお願いします。」
台本は英語を日本語に直した形なので、英語特有の言い回しなど、ニュアンスや表現がわかりにくい所がある。普段はいろいろ推測したり、その場でアドリブで対応したりするんだけど、僕は撮影の現場にずっと居たので、その時の状況やセリフの意味などの質問に答えて、解説していった。
いつしか、参加者みんなから質問を受けて、大質問大会となっていた。
みんなすごく仕事熱心だ。僕もセリフをしゃべった状況や感想などを交えて説明して行った。
「ねぇ、キアラの声でしゃべってくれない?」
女性のベテラン声優さんにお願いされた。
「いいですわよ。こんな感じでよろしいでしょうか。」
「きゃーーーっ♡」
新人、ベテランさんを含めて、謎の黄色い歓声がスタジオに上がった。喜んでもらえたようでなによりですわ。
「初めてなので、教えていただきたいのですが、わたくしの使うマイクはどれを使ったら良いのでしょうか?」
「四本あるうちの右の二本はベテランさんが使うから、左の二本の空いている方をつかっていいよ。でもアキラ君なら出番も多いし、右の二本もベテランさんが使わないシーンであれば、使って大丈夫よ。ただ、音量調整なんかがあるから、テストと同じマイクを必ず使ってね。」
「教えていただいてありがとうございます。助かりますわ。」
「生で聞いても本当にいい声だね。やっぱり声優としてもやっていけるよ。」
「お仕事があれば、是非お願いいたしますわ。」
そして、会話も盛り上がって、撮影に入ろうとしたときに映画でケガをした、ヒロイン役の女優さんが入ってきた。そして、ぐるっと見回して、人が揃っているのを見ると、ばつが悪そうに「収録開始はもうすぐですよね」って言った。
げっ、この人も声優が初めてなのに、収録開始時間ちょうどの一番最後に入ってきたよ。
スタジオが凍り付いた。
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星アキラ声優にチャレンジする2
そんなわけで吹き替えの収録開始。ディレクターさんの挨拶と一緒に、今回の収録の特別ゲストとして僕とヒロイン役の女優さんが紹介される。
僕たちは軽く挨拶をしつつ、スタッフさんからの質疑応答などを挟んで、リハーサル開始した。
ヒロインさんは、主に映画の前半部分に出演が集中。 ヒロインさんが出るシーンは映画全体の1/4ぐらいかな。そして、ヒロインさんが誘拐されて退場して、僕の出番が来る感じ。
最後の救出シーンも僕は外にいて、キヌスを援護しつつ、キヌスは建物の中で大立ち回りを演じてヒロインさんを救出するので、救出後に僕とヒロインさんで二言、三言セリフがあるだけで、今回の映画で僕とヒロインさんとの絡みはほとんど無かった。
台本は4部構成で分割されていて、最初に音声を収録するのがヒロインさんのパートで、2部以降は僕の収録となる。
ヒロインさんは4台並べてあるマイクの入りとかに戸惑いながらも、たどたどしくなんとかリハーサルをこなしていく。
そして、リハーサル音声のチェックをして、ディレクターさんからの指示。
その指示内容を入れて、本番収録の流れ。
みんなディレクターさんからの指示を台本に素早く書き込んでいく。
僕もディレクターさんの方向性を確認するために、台本に注釈を書き込んでいく。
筆記用具を用意していないヒロインさんはオロオロしていた。ドラマの撮影とかだと、脚本を持ちながら演技することなんて無いから、事前に自分のメモ書きはあっても、ディレクターさんや監督さんの指示をその場で脚本にメモ書きする事なんてほとんど無いからね。ましてや、シーンの撮り直しはあっても、ある一つのセリフだけ抜き出して別撮りとかも無いからね。
台本を持ちながら、本番も収録する声優さんならではかもしれないね。
そして、ヒロインさんは本番で別のマイクを使ってしゃべり、ミキサーさんのこめかみをピキピキさせ、別撮りの指示があったセリフをそのまましゃべり、リハーサルでみんながアドリブを入れているのを見て、本番でリハーサルと違うアドリブを入れてしまうという、あるあるな事をやりまくって、ディレクターさんにダメ出しを食らっていた。
ヒロインさんの演技はだんだんと委縮して行った。こうやって安易に声優業に手を出すとやけどする俳優さんが出来てしまうのか・・・。
僕は彼女をフォローしようとするけれども、彼女の方から僕を避けているみたいで、フォローも難しかったし、僕が言っても彼女は僕のフォローを素直に受けられる精神状態じゃないだろう。
僕も前世でスマフォゲーのゲストVTuberキャラやコンテンツで音声収録をしていなかったら、同じミスをしていたかもしれない。
もっとも、僕も前世でヒロインさんと同じミスをしてたから良くわかるよ。
体や表情を使って役を表現できる俳優と違って、声しか表現ができない声優さんの演技は、俳優の演技とはまた違った難しさとプロフェッショナルさが求められるお仕事だね。
ヒロインさんはその辺の準備がまだ出来ていなかったようだ。
しかし、こう言った部分のフォローは本来はマネージャさんのお仕事なのに、マネージャさんは何をしているのさ?
収録部屋の外でマネージャさんを見ると、まだ若くて経験の浅そうなマネージャさんが付いていた。おそらく、ヒロインさんがケガでしばらく入院をしていてしばらく仕事を休止していたせいで、ベテランのマネージャさんが外れて、若いマネージャさんが一時的に入っているのだろう。
最初の部でヒロインさんの録音が終わると、後の部は僕の出番となる。
僕とほかの声優さんとの絡みはすごく上手く行った。
特にリーガス役のベテラン声優さんとの掛け合いは最高で、映画で実際のリーガスとの掛け合いとはまた違った、アドリブの利いた日本人向けの絶妙な掛け合いが楽しかった。
日本語吹き替えもまたすごく良い出来になる予感がした。
事件が起こったのは、父親である議員との対決を終え、誘拐されて奥に捕らえられていたヒロインとリーガス、そして僕が再会するシーンだった。
リーガス役の声優さんとヒロインさんと僕が本番の吹き替えを録音していると、ヒロインさんが何度目かのNGを出した。
人生最大の役に抜擢されて、人生最大のチャンスが回ってきたと思った瞬間、彼女は自分のミスでケガをして降板し、僕に役を奪われ、ケガから回復してやっと復帰したと思ったら、吹き替えでも慣れない声優の仕事にミスを連発して、自分の演技ができない。
彼女のフラストレーションは溜まりに溜まっていてた。
そして、僕の吹き替えで役を僕に奪われた事を実感して、僕と一緒に映るシーンで、NGを出してキレた。
「どうしてこうなるのよ!!」
フラストレーションのあまり、自分の行動に自制が効かなくなって、彼女は持っていた台本をばさっと僕に投げつけてきた。
そんなに強く投げつけた訳じゃなかったけど、彼女の投げた台本は僕の鼻に当たって、僕は大量の鼻血を出してぶっ倒れた。
「きゅ~ヾ(⌒(_×ω×)_バタン」
収録現場は大騒ぎとなった。
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星アキラは飲み会に行く
慌てて近所の大学病院の緊急病棟に担ぎ込まれた僕だけど、実際のところ症状は大したこと無かった。
学校なら普通に保険室で鼻血が止まったら開放とかそういうレベルのお話。
ただ、俳優業の僕は顔が命ということもあり、鼻血が止まった後にレントゲン撮影されて鼻の骨にも異常が無い事が確認された。
僕ぐらいの年齢の男子は、鼻の毛細血管が弱くて当たり所が悪いと、思ったよりも多くの鼻血が出てしまうのだ。 エロシーンで鼻血が出るのは昭和の漫画のお約束だけど、これには根拠もあって、実際に年齢的に鼻血が出やすいのである。
鼻の頭がちょっと切れていたので、そこに絆創膏を貼られると、絆創膏の位置が、あまにもレトロすぎる悪ガキの容姿に、自分でも昭和のクソガキかよって突っ込んだ。
傷の方も問題が無く、血が止まればファンデーションとかでごまかせるだろう。
収録の方は、ほぼ終わりで最後のシーンだけが残っている感じなので、別日にキヌス役の声優さんと僕が残りを別撮りで収録して終了となるとの事だった。
ヒロインさんのセリフはもう別撮りしてあるので、僕とヒロインさんが顔を合わせる事は無いらしい。
意図しないで仕事に穴を開けてしまったけど、これは仕方が無いね。
ヒロインさんは、僕に台本を投げつけた後に、自分の仕出かした事の重大さに気が付いて真っ青になって、マネージャに連れ出されそうになった所を、ディレクターに呼び止められて、半泣きになりながらも音声を別撮りされたらしい。
ディレクターさん鬼だ・・・。
ある意味、救出されて涙を流しながら、歓喜に震えているように聞こえなくもなくて、それなりに、リアリティがあったらしい。
ちなみに、僕のマネージャさんを除いて、一番キレていたのがこのディレクターさんで、この瞬間まで非常にいいペースと流れで会心の仕事が出来ていたのに、全部ぶち壊してくれたヒロインさんに怒り心頭で、彼女の事務所にまでクレームを入れたらしい。ご愁傷様です。
いろいろ面倒な事態になりそうだったけど、病院を出たころには収録が終わって、飲み会が始まる時間だったので、僕もおみやげを持って飲み会会場に行った。
僕は、迷惑をかけたということで、飲み会の参加者たち分のカステラを買って、飲み会の会場に行った。そこで熱烈な歓迎を受けて、いろいろなテーブルをお酌して回る事となった。ちなみにヒロインさんはさすがに居なかった。
「アキラ君、本当に災難だったよね。」
「はい。まさかあそこで台本が飛んでくるとは思いませんでした。」
「アキラ君に役を取られて、声優の仕事も上手く行かないでフラストレーションが溜まる状況はわかるけど、そういう状況を作ったのは本人なんだから、さすがにアキラ君に当たるのはお門違いだね。」
「彼女にとっては、一世一代の大チャンスだったのでしょうから、気持ちはわかるのですが、役以外の部分でああやって、感情に縛られて自分を制御できなくなるのは、役者としてはまだ未熟ですね。」
「さすがアキラ君、君ぐらい芸歴と実績がある人間がそう言うと、すごく重みがあるね。彼女芸歴2年ぐらいだっけ? 大先輩のしかも売れっ子にケガをさせるとか無いね。」
そう。これが今回の話の一番面倒な部分だった。
役者の世界や声優の世界は年齢で判断される面もあるけれども、それ以上に芸歴で判断される面も多い。芸歴の長さから、中高生ぐらいの子供が先輩って敬われる事もある。
僕の芸歴は4歳からだから10年近くに達するけど、彼女の芸歴はまだ2年に満たない。
それでも実績が彼女の方が大幅にあれば、まだ大目に見られる面もあるんだけど、残念ながら実績も僕の方が上だった。そして、極めつけは、僕はスターズの社長の息子だった。
そもそも、先輩で実績があるからって後輩に台本を投げつけても良い話では無いのだけど、表面上は仕事のフォローをしてもらった先輩に対して台本を投げつけてケガをさせる行為は、彼女と所属事務所の立場を著しく悪くしていた。
結果、任侠映画風に言うと、それなりの規模の暴力団の若頭が別の組の鉄砲玉に襲撃された事態となっている。
さすがに芸能事務所は反社会団体ではないので、そこまで面子に命をかけている訳ではないけれども、スルーして良い問題でも無かった。
「で、どうするの?」
「事務所に任せます。」
「へー。アキラ君なら安易に彼女を許したりするかと思った。」
「彼女の気持ちもわかる部分はありますが、もうここまでこじれちゃうと、僕が下手に動くよりも、事務所に丸投げして、事務所間で話をつけた方が良いです。下手な考えで動くと余計に面倒なことになります。」
「アキラ君のそういう所、すごく大人だよね。 結局のところ、彼女は役で負けた以前に人間性でもアキラ君に大きく負けていたんだね。」
「その辺はノーコメントでお願いします。浮き沈みの大きい業界なので、僕がいつ彼女の立場になるのかはわからないので。」
「はははっ。 そういう事をちゃんと理解しているうちは大丈夫だよ。今回の件についてはプロデューサーとディレクターが、外に漏らさないように緘口令を出しておいたから、お互いの事務所が公表しないと外に出る事はまず無いはずだよ。」
「一人の女優の人生がかかっているレベルの事態だけに、外に漏らしたのが誰かバレた場合には、声優の仕事が無くなるだろうしね。流石に制作会社や、スターズと彼女の事務所なんかに睨まれるのは声優でもまずいよ。」
「いろいろ配慮してくださって、ありがとうございます。」
----------------------
近所のテーブルの新人声優たち
「怖っ、アキラ君とベテラン声優さんの会話怖すぎっ。アキラ君って本当に私達の5歳以上年下なの?」
「アキラ君って破天荒でめちゃくちゃな人かと思っていたけど、気配りができて話しやすい人なんですね。」
「放送とか演技で見せている顔と今見ている顔とイメージが違うね。 ベテラン声優さんでもいい人そうに見えて、普段の態度が悪い人とかいるけど、アキラ君の場合は逆なんだね。」
「それも演技かも」
「環漣でも、明神阿良也でも見分けが付かないのを、私達が判断するのは無理だよ。」
「星アキラ、奥が深すぎる。」
「でも本当にキアラちゃんの声可愛かったよね。」
「放送とかでいい声っておもっていたけど、生で聞いて本当にヤバかった。」
「アキラ君は絶対に声優できるよね。」
「あの声は反則だと思う。聞く人を虜にする。 それに声域も広すぎる。 女性で男役をやる人は多いけど、逆に男性で女性よりも女性っぽい声を出す人なんて初めて見た。」
「後で好きなセリフを言ってもらうようにお願いしてみようか?」
「いいね。それ。」
なお、その後キアラ嬢のセリフをリクエストして堪能した後、帰りに騒動のお詫びのカステラ詰め合わせをもらって、飲み会代と二次会代を全額ポンと出した星アキラに新人声優たちは恐れ慄くのであった。
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星アキラは謝罪を受ける
吹き替えの収録が行われた翌日、事務所の社長さんとヒロイン役の女優さんが菓子折りを持ってスターズの事務所に謝りに来た。
ちなみに、謝りに来た社長さんの事務所は、最大手の芸能事務所だった。
とはいっても、別段、抱えるタレントとスタッフ数が最大手ってだけで、業界シェアの半分を取っているとかの優位的な地位にある訳でも無く、単純に人員が多くて最大手って感じだった。
なので、別段スターズに対して高圧的な態度に出られるような立場でも無く、素直に社長さんがスターズに来て謝罪した。
正直に言って、こんなくだらない事で事務所間の仲が悪くなるのは、この大手芸能事務所にとっても、スターズにとってもマイナスでしか無かった。
基本的に芸能事務所1社で、番組制作に必要な人員を全部揃えることはできない。
ゲストとして別事務所の人を呼びたいときもあるし、単純に人員が足りなくて応援を頼むこともある。『ナショナルクリミナル4』だって、沢山の芸能事務所が映画製作のためにタレントやスタッフを派遣していた。
このように、狭い業界内で、必要なタレントなどを融通しあうことで、それぞれの芸能事務所の業務が成り立っており、確かにライバル同士ではあるけれども、横のつながりも多かった。
だからと言って、謝罪を受けただけで無罪放免とは行かない。落としどころが必要だった。
「先輩のタレントに手を上げるなんて、あなたの所のタレントの教育はどうなっているの?」
「それについては、本当に申し訳ないとしか言いようがありません。 彼女も自分の不甲斐なさを嘆いていて、その感情の行き場がなくて、こういった暴挙に及んでしまいました。彼女の心もくみ取ってなんとかお許しいただけないでしょうか。」
実際のところ、ここでアリサママがキレて、この騒動の情報を週刊誌にでも暴露したら、ヒロイン役の彼女の芸能人としての活動は終了する。彼女にとっては芸能界に残れるかどうかの瀬戸際だった。
まぁ、僕が警察に被害届を出したら彼女は芸能人どころか、社会人としても終了だけど・・・。
そして、謝罪に彼女を連れてきたということは、所属事務所として彼女にこれからもがんばってもらいたいという期待の現れでもあった。
彼女は一言もしゃべらずに、頭だけ下げているが、それは正しい態度だった。
「彼女も反省しているみたいだし、良いでしょう。 役者生活でままならない事もたくさん起きるものよ。 これを糧にがんばりなさい。」
「はい。」
意外なことに、アリサママはあっさりと彼女を許した。
「それで、来年作られる映画、伊豆の踊子の主役を百城千世子にやらせたいんだけどどう?」
「それは私達事務所の必死の営業活動でなんとか、主役を決める権利を得られたもので主役も内定済みです。今更主役を変える訳には行きません。 それはご勘弁ください。」
「いいわ。それならどうやって落とし前を付けてくれるの?」
アリサママこうやってさりげなく交渉のラインを見せていた。社長さんは必死に考えていた。
「それならこう言うのはいかがでしょうか。 私達と映画制作会社の間で幼少のお市の方と信長の交流を描いた邦画の企画が持ち上がっています。その主役のお市の方の役を百城千世子さんにお願いできないでしょうか。信長役には渡戸剣が内定しております。」
「その辺が妥当な所ね。 わかりました。 でもこういう事はお互いに無いように気を付けたいわ。アキラは確かにうちのタレントだけれども、それ以上に大切な私の家族なんだから。」
「心得ております。今回は申し訳ございませんでした。」
「本当に申し訳ございませんでした。そしてアキラ君、ごめんなさい。 謝って許される問題じゃないけど、自分を許せない憤りをアキラ君にぶつけてしまって、本当に自分の未熟さを思い知らされました。 申し訳ございませんでした。」
「いいよ。僕のケガも大した事無かったし、ヒロインさんの憤りや後悔もわかるし。今度からは仲良くやろうよ。」
こうして、千世子ちゃんの映画出演の打ち合わせの後に大手芸能事務所の社長さんとヒロインさんは帰っていった。
「千世子の初主演映画が決まったわ。あの制作陣であれば千世子の演技や魅力も存分に引き出せるでしょう。 アキラ、よくやったわね。」
「あれ? 僕は大切な家族じゃないの?」
「もちろんかわいい息子よ。 でもツバを付けとけば治るようなケガで千世子の主演作を引っ張ってくるなんて、いい仕事したわ。 アキラに怪我をさせるなんて最悪だけど、起きてしまった事はもうどうしょうも無いわ。 あちらも反省しているし、今回はアキラも軽症で本当によかったわ。 アキラの顔に傷でも残ろうものなら、どうした事か・・・・。」
「うわぁ。 サイコパスもここまで来るともう清々しいよね。 今回の件は、僕の方が悪人なんじゃないかと思えてきたよ。」
「少なくとも、あのヒロインの女優さんにとっては、あなたは悪役よ。」
「善役、悪役なんてものは多くの場合、シチュエーションや立場によって変わる物なのよ。 アキラは彼女にとって、自分が成功するために乗り越えるべき壁として立ちはだかる悪役ね。 もちろん、アキラが犯罪者とか悪意があるとかそういう意味ではないわ。 でもあの女優は今回の件では本当に運が無かったわね。」
「ただ、彼女は心から反省しているし、見込みもあるわ。 彼女はタレントを始めてまだ二年だし才能もあるわ。 癇癪を起して行動を止められなかったのは良くないけど、まだ20歳だし彼女の置かれた状況を考えてもう一度チャンスをあげる必要もあるわ。 結局、ここでこんな理由で彼女を辞めさせるのは誰にとっても本当に良くない事なのよ。 向こうの社長さんもそれが分かっているから頭を下げに来たのね。 アキラ、あの子に会ったら優しくしてあげるのよ。」
「アリサママ、わかったよ。」
「いい子ね。」
その日の夕ご飯では、初主演の映画が決まってご機嫌な千世子ちゃんは替え歌を歌っていた。
「赤い靴はいてた千世子ちゃん~♪ アキラちゃんに連れられて行っちゃった~♪」
「千世子ちゃん、嬉しいのはわかるけど、その替え歌はやたらと物騒だよ。」
千世子ちゃんも最近、演技以外でも素直に喜怒哀楽が良く出るようになって、ちょっと変だけど、彼女自身がすごく魅力的な人間へと少しずつ変化していた。
自然に僕に微笑んだ表情に僕はドキリとした。演技もしていないのに彼女の魅せる表情が彼女の存在感を大幅に底上げしていた。
千世子ちゃんも大きく成長しているのだった。
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星アキラは舞台挨拶をする
さて、いよいよ本日が『ナショナルクリミナル4』の公開初日。
僕はヒロイン役の女優さんと都内の映画館で舞台挨拶をする事になったよ。
『ナショナルクリミナル4』は年末・お正月枠の映画として公開で、もちろん日本でも大注目の作品だね。
日米同時公開なので、米国では監督さんとキヌスの兄貴が舞台挨拶で登壇して、日本は僕とヒロイン役の女優さんとなっている。
ヒロイン役の女優さんは少し委縮していたけれども、もう解決した事だから水に流して楽しくやろうよと言っておいた。 この女優さんの心境も凄く分かるしね。
会話の内容なんかもいろいろ打ち合わせした。
冗談なんかを言って、彼女の緊張を解きほぐすと彼女も明るい表情をしてきて、本来の調子が出て来た。 本来はナショナルクリミナル4でヒロインになるぐらいの逸材。 調子を戻せば彼女とは楽しく話せた。
ちなみに、会場にはアリサママの他に千世子ちゃんや景ちゃん、夜凪ママや阿良也なども観に来てくれている。
二人で上映前のスクリーンに登壇。
司会者が居て映画のエピソードなどを楽しく話す。
「そんな訳で、当初撮影は順調だったのですが、セットから降りる時に私が足を捻って重症になってしまい、アキラ君が急遽代役として回してもらう事になったんです。」
「その後は凄かったよ。 もう予定全部がご破算になっちゃったから、僕がヒロインさんの代役に抜擢されたんだけど、台本の修正も間に合わないから台本そのままで全部アドリブ。 映画出てくる駄菓子屋のシーンなんて、僕が見つけてその場で撮影の交渉したんだから。 本当に旅撮影のバラエティー番組かと思ったよ。」
「でもアキラ君、それですごくいい役が回って来たんだから最高じゃないですか。 アキラ君が幸せそうなのを横目に、私はベッドの上で血の涙を流していたんですからね。」
会場に笑いが起こる。
「まさに僕はシンデレラボーイだね。」
「ボーイなんですか? 普段の行いから考えてもシンデレラボーイと言うよりも、珍獣デレラでは?」
「そんな怪獣みたいな名前やめてよ!」
「キアラちゃんは珍デレラ姫でも行けますよね?」
「キアラは赤塚不二夫の漫画に出てくるみたいなギャグキャラじゃないよ!」
会場のお客さんに爆笑が巻き起こる。
「吹き替えなどもお二人が担当したんですよね」
「そうなんです。それで私は吹き替えが初めてで、怪我から回復したばかりで、アキラ君に役を取られてキレ気味になっていて、横で仕事が出来るアキラ君のすごさが身に沁みました・・・・本当に・・・。」
「そうだよ! 芸歴は僕が8年ぐらい上なんだから、僕を先輩って敬ってよ!」
「アキラ先輩♡」
「ぐはっ。 素敵なお姉さんに先輩とか敬われるの最高!!」
笑いに包まれて、会場の雰囲気がどんどん良くなっていく。
「そういえば、生キアラちゃんの声、近くで聞いていて本当に素敵でした。」
「こんな声でしょうか?」
「そう、その声! 映画の中でも吹き替えで出てきますので、皆さんも楽しみにしていてください!!」
「映画の中でわたくしが年上の女性としてキヌスをリードするのですわ! 是非楽しみにしていてくださいね!」
「ヒロインは私なのに、キアラちゃんに負けたって病院のベッドの中で絶望していました。」
「当然だよ! なぜならキアラは僕の双子の妹。 僕と同じレベルの演技力があるからね! 実は傷口に良く効く塩があるんだ。 今度塗りこんであげるね。」
「染みる以外、何のメリットも無いじゃないですか!」
「もちろんだよ!」
映画を観に来てくれたお客さん達も僕達の会話をすごく楽しんでいるのがわかる。
「ヒロインさんとの仲はどうなんですか?」
「やっぱり自分のミスで役を取られたっていうのがあるから、一時は複雑な気分で、回復後に顔を合わせた時はギクシャクしたかな。」
「そうですね。私にとって一世一代の大チャンスだったので・・・理性で判っていても、感情はダメでした。 でもアキラ君の対応と完成した映画を見ると、私では敵わなかったって今では素直に思えます。 おそらく私ではこの映画の面白さは出せなかったと思うので、その意味ではアキラ君に代役をしてもらった事は私にとって最高に幸せでした。」
「やっぱり役者としては、自分の役を他人に取られるって言うのはすごく辛い事だよね。 僕もそういう経験をしているから分かるよ。 でも今は仲直りして、僕の持ってきた福岡(東京)銘菓のひよ子ちゃんで餌付けしている最中だよ。」
「お菓子ありがとうございました。美味しかったです。」
「僕としては、ヒロインさんの周りをNDK(ねぇねぇ今どんな気持ち?)して回りたいんだけどね。やらせてくれない?」
「やっぱりアキラ君は鬼畜な珍獣なんですね! 幻滅しました!!」
会場の笑いが最高峰だね。
「ところで逆に僕に何かお願いがあるんだっけ?」
「そうです。お願いですから今度、キアラちゃんの恰好で私と写真を撮ってくださいっ!」
「いいよ。せっかくだから映画雑誌の表紙とかに載る形で一緒に写ろうか?」
おおおおっーーー。と会場にどよめきが起きる。
「それじゃ、僕達が出演した『ナショナルクリミナル4』、みんな楽しんで行ってね!」
「それでは、皆様お楽しみください!」
こうして、舞台挨拶を終え、日本とアメリカで一斉に映画が公開された。
原作では千世子ちゃんに記者会見の挨拶を取られてしまった可哀そうなアキラ君。
こちら世界ではアキラ君は羽ばたいて行きます・・・・・・・珍獣として・・・。
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ナショナルクリミナル4を語ろう
1名無し@映画好き
みんな見た?
今回は日本が舞台ですんごい面白かった。
2名無し@映画好き
星アキラが珍獣のまま出ていてワロタw
3名無し@映画好き
どうしてこうなったって展開だったからな
4名無し@映画好き
ヒロイン役の女優さんが痛恨のケガだったからな
でもそれがこの映画の面白さに繋がったとか、ヒロイン役の女優さんもすごく複雑だろ・・・。
5名無し@映画好き
芸能情報とかスポーツ新聞で映画撮影中のケガのニュースが大きく伝えられていたからどうなるかと思ったら、あのクソガキが代役になっていてワロタw
6名無し@映画好き
あの女優は、クソガキに役を奪われるヒロインという伝説を残してしまったからな。
7名無し@映画好き
でもアキラ君のおかげで映画はすごく面白かった。
8名無し@映画好き
実際のところ、あの女優が健在でヒロインをやっていても、この面白さは絶対に出なかったと思っている。
9名無し@映画好き
あのヒロインの役割はいつもの、ちょっとラブロマンス + キヌス・リーガスのアクションパートナーだっただろうから、面白さは安定だったろうけど、今回みたいな斬新な面白さは無かっただろうからな。
10名無し@映画好き
あの女優がリタイヤして、台本そのままにヒロインレスで星アキラとキヌス・リーガスや他の俳優さん達もみんな全部アドリブになったってマジ?
11名無し@映画好き
マジだよな。 だからあの面白さが出ているんだと思う。
12名無し@映画好き
ハリウッドでもこの撮影がすごく話題になっているらしくて、スケジュールがご破算になるような大問題をかかえても、撮影を遅延させないでヒット作を撮った監督の株が上がりまくりらしいぞ。
13名無し@映画好き
プロデューサーや関係者にとっては、遅延や予算超過せずにヒット作を撮ってくれる監督とか、喉から手が出るほど欲しいだろうからな。
14名無し@映画好き
俺は、星アキラがキヌス・リーガスとしゃべりながらもんじゃ焼き食っているシーンが大好き。
15名無し@映画好き
あのシーンは、何とも言えない味があるよな。 ハリウッド映画なのにすごく邦画くさい。 寿司でもすき焼きでもなく、さらにお好み焼きですらなくて、駄菓子屋の軒先でハリウッドスターともんじゃ焼きとかいい味出しすぎていた。
16名無し@映画好き
あのもんじゃ焼きの微妙に美味しそうじゃない所もくっそリアルだったな。
17名無し@映画好き
あれ、星アキラがその場で見つけて、撮影許可もらって撮ってたから、本当に駄菓子屋が普段出しているもんじゃ焼きなんだろうな。
18名無し@映画好き
映画放映前の直前スペシャルで、アキラ君が出演交渉したり、本番一発撮りしているシーンがあってクソワロタ。
19名無し@映画好き
あの駄菓子屋は映画の聖地になるなw
20名無し@映画好き
あそこでもんじゃ焼きを食べたいやついっぱい居るだろw
21名無し@映画好き
キャバクラのシーンも伝説だよな
22名無し@映画好き
ついに、星キアラが世界に放たれてしまったからな
23名無し@映画好き
俺、年上変装の星キアラに不覚にもぐっときちゃったんだが・・・。
24名無し@映画好き
中身があのクソガキと判っていてあれはヤバかったな。
25名無し@映画好き
相変わらず、星キアラになると完全に別人だよな。
26名無し@映画好き
あの年上の演技すごかった。普段の星キアラでもなくて、年上の精神的に成熟しているキャラを演じられてすんごい化け物かと思った。
27名無し@映画好き
あの演技ができる星アキラはマジでヤバいよな。
28名無し@映画好き
もう、キヌス・リーガスと星アキラ/キアラとの相性が良すぎてな。
打てば響くみたいなジョークや言葉遊びが本当に面白かった。
29名無し@映画好き
あの変装は黒服さんでも男だって見破れないわw
30名無し@映画好き
俺も判っていても無理w
31名無し@映画好き
あれがICPOの捜査官とクソガキとか疑うのは不可能ですw
32名無し@映画好き
声帯模写でキヌス・リーガスを救うシーンはぽっかーんとしたわ。
33名無し@映画好き
あれ、今年のかくし芸でやって欲しかったw
34名無し@映画好き
合成音声かと思ったら本当にやっていてすんげー笑ったw
35名無し@映画好き
ポリスアカデミーとか言われて、あっちの映画を見たらあっちもすんげー面白かった。
36名無し@映画好き
あれだけでかくし芸行けただろwwww
37名無し@映画好き
まぁ、かくし芸出演どころじゃない出演料はもらったと思うがなw
38名無し@映画好き
日本は大ヒットだけど、アメリカとか他ではどうなのかな?
39名無し@映画好き
初週は4作目なので、これまでの延長で想定通りの売り上げ。ところが面白さが口コミやSNSで広がり、2週目以降が激増。
今はどんどん売り上げが上がっている状態で、全世界で劇場が放映本数を増やしている感じ。
40名無し@映画好き
リピーターもすんごく居るらしいな。
41名無し@映画好き
何だか知らないけど、あれは何度も観に行きたい魅力がある。暇だからまた見ようかな? みたいな謎の中毒性が・・・。
42名無し@映画好き
そう。なんかふと暇になって何しよう?って思うと映画館行って、見ちゃうんだよなw
43名無し@映画好き
年末年始映画のまさかのダークホースで大穴だからな。
日本だけの興行収入でも100億円を超える可能性があるらしい。
44名無し@映画好き
海外でも初週以降の失速が緩くて、むしろ口コミで売り上げがどんどん上がっている状態だから結構すごい事になるかもしれない。
45名無し@映画好き
これで星アキラもハリウッドスターか・・・。
46名無し@映画好き
この年でハリウッドスターって誰かいる?
47名無し@映画好き
古いとホームアローンのマコーレー・カルキンとかで、後はハリーポッターシリーズのあの面々だな。でも星アキラみたいに、純粋に演技で評価されるのはほとんど居ないかも。
48名無し@映画好き
今年は王賀美陸主演のアクション映画も当たったし。ハリウッドでの日本人の活躍が面白い。
49名無し@映画好き
王賀美陸のは、古き良き香港映画の匂いがする体を張ったアクション映画であれも良かったよな。
50名無し@映画好き
あの監督はジャッキーチェンに憧れて作ったらしいから、王賀美のキャラと合ってすごく良かったよな。
51名無し@映画好き
スタッフロールのNGシーンまで再現されていて、まじで良かった。
52名無し@映画好き
王賀美陸は今年のアカデミー賞の主演男優賞にノミネートされるんじゃないかという噂があるね。
53名無し@映画好き
元スターズのスター VS 現スターズの珍獣と言う恐ろしい対決だ。
54名無し@映画好き
星アキラは、王賀美陸にとってある意味、アリサママに復讐してくれる頼もしい味方だから・・・。
55名無し@映画好き
味方(あじかた)と読んで味方ですね。わかります。
56名無し@映画好き
王賀美陸 VS 星キアラ・・・・。そもそも争いになるのか?
57名無し@映画好き
星キアラがヒーローの王賀美陸に助けられるイメージしか無いwwww
58名無し@映画好き
悪役お嬢様でワンチャンw
59名無し@映画好き
星キアラ起用で悪役お嬢様とか、明らかに主役ヒロインにざまぁする展開しか浮かばないんですが・・・。
60名無し@映画好き
とりあえず興行成績的には、ナショナルクリミナル4が圧勝だけどな。
61名無し@映画好き
王賀美陸の方も結構な黒字だから大した物だろ。 ナショナルクリミナル4みたいに想定の5倍を超える成績とか訳の分からない事態と比較するのはかわいそうだぞ。
62名無し@映画好き
ナショナルクリミナルシリーズのファン + 新規ファン大量獲得だからなw
63名無し@映画好き
ナショナルクリミナル4は反則だろw。映画の内容自体が面白すぎるし、そもそも予算も違うぞ。
64名無し@映画好き
いや、予算の話をすると、ナショナルクリミナル4の何倍も予算をかけている映画が大コケているのを見ると・・・。
65名無し@映画好き
まぁ、ナショナルクリミナル4も比較的低予算で、シリーズ物のマンネリ化した難しい状態からの大ヒットだから話題になっている訳で・・・。
66名無し@映画好き
そう考えると星アキラすげーよな。 想定の数倍の売り上げって正直に言って星アキラの力だろ。
67名無し@映画好き
絶対に、ハリウッドの他の監督さんからもオファーが来るわ。
68名無し@映画好き
星アキラとキヌス・リーガスが上手く嚙み合ったっていうのがあるんだろうけど、星アキラが居なければ、ここまでヒットしなかったのは事実だろうね。
69名無し@映画好き
珍獣はすごいんだな
70名無し@映画好き
これからは珍獣様として御祭り申し上げなければ
71名無し@映画好き
やっぱり、新興宗教の神様になるような謎の珍獣じゃねえかwwww
72名無し@映画好き
ナショナルクリミナル4も珍獣の神通力で大ヒットだったのかww
73名無し@映画好き
これからは珍獣神として、学問の神様の菅原道真みたいに、役者の神様として神社に奉納されるなwww
74名無し@映画好き
珍獣神wwww。やべぇwww。バカ野郎www。星アキラの顔を見たら珍獣神しか思い出せなくなるじゃないかwww
75名無し@映画好き
結論。星アキラは珍獣神だったw
76名無し@映画好き
珍獣神なら仕方が無いwww
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【Live】ナショナルクリミナル4の裏側をヒロインさんと話すよ
放送準備中。もうちょっとで始まるよ。
あの大人気映画、ナショナルクリミナル4の裏話が聞けるとは!
普通は、大人気(残念感)なんだけど、本当に大ヒットしているからなw
まさか正月映画の覇権をこいつが取るとは思わなかったw
実際、すんごく面白くて何回か観に行っている。
俺も3回見た。 アクションがすごいとかじゃないのに、何度見ても良い感じがする。
今回は、ヒロイン役の女優さんを招いてのトークか。
あっ、始まる。
「おはこんばんにちは。役者なのにみんなのアイドル。わからせたい子役ナンバーワンの天才俳優 星アキラです。今日はゲストのヒロインさんを呼んで、『ナショナルクリミナル4』の裏話とかをやっていくよ。」
「はい。ヒロイン役で出演していたのに、ヒロインの役をアキラ君に奪われて、末代までの恥を残した女優です。ヒロインさんって言ってください。」
うわっ。実物見るとすごくかわいい。
もともと、実力でメインヒロインだったからな
ヒロインさんの映画バージョンも観たかったな
しかし、真のヒロインは隣にいる男だったのだ!
これにはヒロインさんも絶望
いいなー。ハリウッド映画。いつか私もヒロインで出演したい す朝野いちごch
いちごちゃんもアキラ君にヒロイン役を奪われるに一票w
「それじゃ、質問から行ってみようか。 ちなみに事務所からNG出ているので、いつものテンプレ質問は無いよ。」
そりゃそうだろ!!
あの質問は完全にセクハラだからな。
あれがテンプレになっているは相当ヤバいゾ
あの質問がテンプレになっている事態にちゃんと反省しろ!
さすがに他事務所なら止めるよね。
それでは最初の質問。
ヒロインに抜擢された時はどう思った?
|
「天にも昇る気持ちでした。 ヒロイン役はオーディションで選ばれたのですが、自分がヒロインに選ばれてすごく嬉しかったです。」
「日本では芸能活動を始めたばかりで無名に近かった彼女がヒロインに選ばれて、ものすごい反響だったよね。 ハリウッドという事もあって、すごくフレッシュな女優さんが選ばれたって僕達の間でも話題だったよ。」
「私もこの大役を絶対にこなすつもりでした・・・。うっうううっ。うわーーん。」
泣かないでっ。
かわいそう。
そりゃそうだよな。
それは悔しいよな。
確かに気持ちは解る。
アキラ君、ちゃんとフォローしてあげてっ! す朝野いちごch
「今度、泣く演技と悲しい演技が必要になった時には、今の気持ちやこの心境を思い出して演技するといいよ。 おそらく、いつでも泣けると思うから、すごくいい経験をしたね。」
ぎゃーーーーーーっ。
フォローになってねぇ!!!
やっぱり傷口に塩を塗りこんでいくスタイル
さすがの珍獣アドバイス
斜め上のフォローだったw
これは酷い
アキラ君の立場を考えるとこういうフォローになるのはわかる。 す環蓮Ch
環さんきたーー。
「環お姉ちゃん、そうだね。 結局のところ、意図しないにせよ、僕は彼女から役を奪ったライバルだからね。 下手に優しい言葉で彼女を慰めても偽善にしかならないし、彼女のためにもならないよ。 だからちゃんと、役者としてこの経験を活かすアドバイスになるね。」
「でも、シーンは少なくなっちゃったけど、演技している所はすごく輝いていたし、流石ヒロインとして選ばれた女優さんだって、僕も撮影を見ていてすごく感心しているよ。」
「ぐすっ、本当に?」
「今回は途中までの出演だったけど、ちゃんとヒロインさんの演技を見てくれている人も居るし、この映画を見てヒロインさんを使いたいって言う監督さんも、沢山居るだろうから、今回ヒロイン役を射止めたみたいにちゃんと頑張っていれば、これからまた新しいチャンスが来て、きっと良い結果になると思うよ。」
「ありがとうっ。 アキラ君にそう言ってもらえると、すごく救われます。」
役者の先輩としてのアドバイスだったか
なかなか、アキラ君の先輩って表情を見ることが無いから新鮮
確かに、起きちゃった物は仕方が無いからね
ヒロインさん、これからもがんばって!
是非これからも映画に出演して欲しい
ヒロインさん、がんばって!
「皆さん、ありがとうございますっ。」
「沢山の人が応援しているから、これからもがんばってね。」
「はいっ。」
「それじゃ、次の質問。」
アキラ君の演技を見てどうだった?
|
「衝撃でした。私には絶対にできないって。この演技が先輩とは言え、6歳も年下の男の子ができるって信じられませんでした。」
「どういう所が衝撃だったの?」
「役を演じているって不自然さが全く無い所です。 普通は子役に役を演じさせると何かしらの無理が出て、不自然な所が出てきます。普通の役者さんでも長時間の撮影ならそういう部分が出てきます。 でもアキラ君にはそんな所が全く無い。本当にそういう人物が居て、それをカメラで撮っているだけみたいな、そんな自然な演技をしていた所です。」
「しかも、それだけだと自然すぎて目立ちにくくなるはずなのに、エッジが効いて面白いとか反則すぎます!! 変装や声帯模写もビックリ箱だし! しかもあの会話内容が全部アドリブの本番一発撮りとか、私には絶対に無理でした。」
「おおっ、そんなに素直に褒めてくるなんてうれしいね。」
「正直な話、映画を全編見た時に完全に敗北を悟りました。 私が台本通りにヒロインを演じても絶対にあの映画の面白さは出せなかったです。」
「まぁ、破れかぶれになったら全部が奇跡的に噛み合っちゃったみたいなヤバイ映画だから、計算してもあの面白さは出ないんじゃないかな?」
「でもヒロインさんの演技もすごく良かったよ。 特に表情と行動に説得力を持たせる勢いかな。 出番は少なかったけど、絶対にヒロインさんに惚れた人はいると思うよ。」
「ありがとうございます。 でもキアラちゃんに惚れた人の方が多いかもしれないけど・・・。」
「キアラは僕の双子の妹なんだから仕方が無いよ」
出番は少なくなっちゃったけど、ヒロインさんもすごく良かった
そうだよね。フレッシュで勢いがあったよね。
キアラちゃんに惚れるのは仕方が無い。
一応中身が映画でバレているだけ、まだ事故らなくてマシ。
やっぱりアキラ君はこんなんでも、すごいんだな。
珍獣がそのまま出演した映画だからな。そりゃ自然だろ・・・。
珍獣は自然に居るからな。
「続いて、次の質問。」
出演料はどうなったの?
|
「出演料なのですが、ちょっと複雑な気分になっていまして・・・。」
「ほうほう。どうなっているの?」
「元々、先払いはそんなに多く無くて、成果報酬多めの契約でした。私は女優としての実績も少ないですし、向こうとしても映画が失敗した場合に払うギャラは抑えたかったと思います。こういった事から赤字なら、先払い分以外ほぼもらえなくて、黒字になって想定通りの売り上げならそこそこ。成功しても億にとどくかどうかってぐらい。 少なくともハリウッドの大スターみたいに何十億も稼ぐような契約になっていませんでした。でも知名度向上を考えるとこれでもかなり良い契約です。」
「今回、私が怪我をしたと言う事で、映画の出演時間で割って、成果報酬はアキラさんが3/4、私が1/4となりました。これは別にいいんです。 怪我をした私が悪いんですから。」
「ところが、映画が想定外の超大ヒットになります。 成功報酬が想定していた物よりはるかに多くなりました。 結果、私は怪我で寝込んでいて、1/4しかもらえないはずなのに、当初映画が成功した場合に想定していた金額よりも、何倍ものお金が成功報酬として入る見込みになってしまいました。」
「いいことじゃん。 お金はもらえるにこした事はないよ。」
「私は病院で寝ていて、映画が成功したのはアキラ君の力なのに、私がお金を沢山もらえるとか、すごく罪悪感があって・・・。」
「うん。ヒロインさんは、運が良かったね。」
「それだけですか? 私がアキラ君の上前を撥ねたような物なのに。」
「別に? 僕が一番最初の配役通りの議員の息子役の報酬だけだったら、さすがに怒っただろうけど、正当な報酬はもらっているから大丈夫だよ。」
「むしろ、成果報酬多めの契約を事前にしてくれていてありがとう。って感じだよ。 固定金額だと、どんなに大ヒットしても報酬は変わらなかったけど、ヒロインさんが事前に結んでいた、成果報酬の契約のお蔭で僕もすごく儲かったよ。」
「ヒロインさんも怪我はしたものの、映画がヒットしてちゃんと出演料をもらえたんだし、僕もいろいろ儲かったし、金銭面ではみんなハッピーで良かったじゃん。」
「アキラ君にそう言ってもらえるのであれば、助かるんですけども・・・。」
なるほど。確かに5億ドル行きそうだってニュースがあるからな。
これは複雑な気分になるわ
自分の力が認められてギャラが増額したわけじゃないからな
まさに宝くじに当選状態w
成功報酬で比率決めならそういう事態になるのか
って事はアキラ君が今回稼いだお金は・・・。
アキラ君はすでにハリウッドのスターの出演料w
ってことは、またスターズに謎の収益がもたらされるのかwww
アリサママ、再び胃痛不可避wwww
スターズは劇場の次は何を買うのかなwww
アキラ君、今度いちごお姉ちゃんをごはんに連れて行ってくれない? す朝野いちごch
「いいよ。今度いちごお姉ちゃんと一緒にもんじゃ焼きを食べに行こうか。」
絶対に違うwww
そんなの一緒に食べに行きたくねぇwww
あのゲロみたいなのはいやなのっ! す朝野いちごch
かわいそうな、いちごお姉ちゃんwww
「続いての質問。」
負けヒロインになった気分はどうだった?
|
「うがっーーーーっ!! さっ最悪すぎます!! なんで私が男の、しかもよりにもよって、クソガキに負けるのよっ!! 私は本物の女なのよ! キヌス・リーガス様の横で甘い雰囲気になるのは、私だったはずなのに!! キ―――――ッ、悔しいっ、悔しい!!」
「うん。最高のリアクションだね。 今日の放送で一番いいリアクションだよ。 そうだよ!! ヒロインのお姉ちゃんは、男の僕にヒロイン役を奪われて完膚なきまでに、女としての威厳をへし折られちゃったんだよっ! 悔しい? 悔しい? ねぇ今どんな気持ち?」
「このクソガキっ、こうしてくれるわ!!!!」
「うがっ、痛い痛い痛いっ、その技は環お姉ちゃんのこめかみぐりぐり攻撃!! なぜその攻撃を知っているんだっ!!」
「環さんにアキラ君を問題にならない形でいじめるにはどうしたらいいのか聞いて来たのよっ。 これでもアクション女優なんだからクソガキを懲らしめるのにはわけないわ!!」
「喰らえ、環さん直伝アイアンクロー!!!」
「痛いっ痛いっ、頭蓋骨が割れる、脳みそ潰れちゃうっ、いたっ止めてっ、やめてくださいっ。」
「まだまだっ!」
「ぼっ、僕が悪かったですっ。 煽ってごめんなさいっ、もう言いませんからっ、お願いですっ。 ぎゃーーーーっ」
-------------------------------------
「仕方が無いわ。この辺で許してあげるわ。」
「死っ、死ぬかと思った。 久しぶりに三途の川を見たよ・・・・。」
アキラ君、完全に涙目wwww
最近、ビックになってアキ虐が少なかったけど、これは良いアキ虐
クソガキはもっと反省して。
やはりアキ虐は実家のような安心感
素敵な技だったわ。もっとアキラ君を虐めて欲しい。 す百城千世子ch
千世子ちゃんwwww
これには千世子ちゃんもニッコリ
大天使チヨコエルはもっと血をお望みだぞ!
もっとアキ虐をするんだ!!
-------------------------------------
「はぁ、大変な事になっちゃったよ。 ヒロインさんにこんな才能があったとは・・・。僕は完全に涙目だよ。」
「なんか、アキラ君を虐めたら、今まで悩んでいた事がバカらしくなって来て、すごくスッキリしたわ。 やっぱりストレス発散って大切よね。」
「僕でストレスを発散しないで欲しいよ!!!」
「いや、アキラ君がクソガキすぎるのがいけないと思うの。」
「ウワァァ━━。゚(゚´Д`゚)゚。━━ン!!」
「そんな訳で、良い時間になってきましたので、最後に音楽の時間です。」
もっとヒロインさんのお話を聞きたいっ
ぶぅ━━q( ̄(oo) ̄)p━━っ!!
もっと続けてよ~。
ぶうぶうっ
ヒロインさん素敵だった。
もっとヒロインさんの話聞きたかった
今日はアキ虐成分を補充出来て満足
ヒロインさん良かった。また活躍して欲しい。
「ということで、本日は悲劇のヒロインさんをモチーフにベートーヴェンのピアノソナタ第八番「悲愴」第二楽章 を演奏してみようと思います。」
「悲愴は深い悲しみを意味しており、悲しみに揺れ動く人間の感情そのものを表現しています。ただ、これは3楽章の構成で、第一楽章で悲しみに絶望し、第二楽章は悲しみの後の立ち直る時の透明な気持ちを表現しています。 それでは行ってみましょう。」
すごく落ち着く・・・。
感情が落ち着いて自然な気持ちになる。
辛い事から癒される感じ
透明感があって、澄んだいい音
やさしさと一瞬の切なさを感じるようないい曲
音が綺麗で魂が癒されるみたい
俺の煩悩が浄化される~。
すごく優しい気分になる
「ひっく、ひっく、すごく嬉しい。こんな素敵な曲を弾いてくれてありがとう。 アキラ君大好き。」
「良かった。それじゃみんなまたね~。」
バイバイ~☆
まともな放送で良かった。
ヒロインさんにはこれからも頑張ってほしい!
アキ虐を見れて嬉しかった。
楽しかった☆
バイビー☆
ヒロインさん良かった。放送もすごく楽しかった。
バイバイ☆
さよなら~またね☆
今日の放送も良かったありがとう。
またねーーー☆
バイバイ☆
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星アキラのクリスマス1
時は2013年のクリスマスの前。
今年もクリスマスのシーズンがやってきた。
そんな訳で僕はクリスマスを満喫するべく様々な準備をすることにした。
まずは、重要なことはクリスマスツリーの飾りつけである。
「阿良也、そっち持って!」
「これ結構重いな。」
注文していたもみの木が届いたので、僕はリビングルームにクリスマスツリーを飾る。
日本では珍しい生もみの木だ。
根元から切り落とされているので、クリスマスが終わったらいつも庭を管理してくれている造園業者さんにお願いして、処分することになるね。
アメリカだとクリスマスツリーを捨てる指定場所ができて、みんなそこに捨てるんだけど、さすがに日本では無理だね。
クリスマスツリーのために、もみの木を切るのはかわいそう?
うん。でもそれで経済が成り立っているし、そもそも普通の森でも木を間伐しているからね。ちょっとかわいそうな気もするけれども、生のもみの木の香りがリビングに漂うのは別格で、クリスマスが来たって感じがするから一般のアメリカ人と同じく、僕も生もみの木でクリスマスツリーを作るのが最高に楽しみだから仕方が無いね。
そんなわけで、リビングにもみの木を立てて、僕、阿良也、景ちゃん、千世子ちゃん、雪ねぇちゃん、夜凪ママ、ルイ君、レイちゃんのみんなで飾りつけを行う。アリサママは仕事中なので欠席。 アリサママ、まじでアリサパパ。
飾りつけ自体もみんなで選んで来た物だ。
みんなで楽しく飾りつけして、見事なクリスマスツリーが完成した。
「飾りつけなんて面倒だと思っていたけど結構楽しいな。」
「みんなで飾りつけってすごく楽しいですっ。」
「こういうのもいいわよね。」
「私、クリスマスツリーの飾りつけなんて初めて!」
「本物のもみの木のクリスマスツリーなんてすごく贅沢ね。でも綺麗だしすごくいい匂いね。」
「かざるの~。」「ぷとぷとする~!」
クリスマスツリーの飾りつけに参加してもらったメンバーにもすごく好評だった。
さて、クリスマスプレゼントだけれども、ぶっちゃけて言えば双子を除いて、みんなそれなりに収入がある人間ばかりだった。
だからこのメンバーは一般の親子みたいに一方的に親から子へプレゼントをあげるという関係ではなかった。
このため、各自が各メンバーにクリスマスプレゼントを選んでプレゼントをあげる人の名前を書いてクリスマスツリーの下に飾る事にした。
そしてクリスマスイブ当日。 みんなが買ってきたクリスマスプレゼントがクリスマスツリーの下に溢れんばかりに置かれていた。
クリスマスイブ当日は、クリスマスパーティー用の料理を準備する。
ちなみに、実はアメリカではキリスト教徒以外はクリスマスパーティーという名称を用いずに、一般ではホリデーパーティーと言われる。
アメリカでもキリスト教徒ばかりじゃないからね。
それでパーティーの掛け声も「メリークリスマス!」ではなく一般ではキリスト教徒以外の人を考慮して「ハッピーホリデー!」になる。もちろん、キリスト教徒だけのパーティーなら「メリークリスマス!」だよ。
でも日本での名称はクリスマスパーティーで、掛け声もメリークリスマスでいいと思う。逆にキリスト教徒が少ないのに、この辺にこだわりが無い日本のおおらかさを僕は気に入っている。
僕たちは夜凪ママと一緒に商店街にお願いしていたクリスマスパーティー用の食材を取りに行く。
まずは、鶏の丸鳥。 七面鳥とかも良さそうだけど、あまり食べなれていない食材を注文して失敗すると面倒なので、無難に丸鳥にしておいた。
続いてケーキ屋さんに注文していたスポンジケーキや生クリーム、中に入れるフルーツ類。 これは台座のスポンジだけで生クリームや飾りつけなんかはみんなでやるつもりだ。ケーキ屋さんからも忙しい時期に手間がかからなくて良いって言われて遠慮なく注文した。
他に魚屋さんで手巻き寿司セット。 日本のクリスマスの謎伝統である手巻き寿司だね。
なぜ手巻き寿司?って思うけれども、こういった伝統もリスペクトしたい。
第一、肉々しいクリスマス料理ばっかりだと飽きるからね。手巻き寿司は良いチョイスだよね。
他にみんなクリスマスで食べたいお菓子や食材などを好き勝手に買った。
こうして家に帰ったら料理の準備。
夜凪ママは丸鳥の下ごしらえをするとガロニと共に、ガスオーブンで丸鳥を焼き始めた。そのあとは酢飯を用意する。
手巻き寿司の具材は魚屋さんで一括してカットしてあるから、酢飯を用意して並べるだけだった。
後はみんなが買ってきた食べたい食材を調理して並べる。
僕たちは台所に備え付けられているスタンドミキサーで生クリームを泡立てると、みんなでわいわいとクリスマスケーキの飾りつけを行う。
余った生クリームや具材のつまみ食いはすごく美味しかった。普通に食べる以上に謎の背徳感による美味しさが・・・・。
料理の準備が整い、アリサママも帰ってくると、いよいよクリスマスパーティーのスタートだよ!
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星アキラのクリスマス2
「メリークリスマス!」
「「「「「「メリークリスマス!!」」」」」」
メリークリスマスの掛け声とともにパンッ、パンッとクラッカーを鳴らしてクリスマスパーティーが開始された。
みんな思い思いの料理を食べ始める。
僕もチキンの丸焼きを切り取って食べる。
夜凪ママの味付けは塩コショウと香辛料のシンプルなものだったけど、逆にそれが鶏の味を引き立ててジューシーで美味しかった。
景ちゃんと千世子ちゃんはお互いに手巻き寿司を巻いて食べさせあっていた。
そして、阿良也はクリスマスケーキを食べようと・・・。
「いや、阿良也ちょっと待って! いくらなんでも初手いきなりクリスマスケーキは無いよ! クリスマスケーキはみんなで最後に食べるものだよ!」
「えっ?そうなの? みんな好きなもの食べていいって言ってたからいいのかと思った。」
「やべぇ、まぁ、最初に食べちゃいけないって決まりは無いけど、デザートを兼ねているから最後の方にみんなで食べるのが多いね。」
「こういうクリスマスパーティーが初めてだから分からなかったよ。」
「・・・阿良也、不憫な奴・・・・。」
「なに、せっかくのクリスマスパーティーでしんみりしているのよ。 みんなで楽しくやりましょうよ。」
「千世子ちゃんがみんなの雰囲気を大切にするとか、すごく成長したよね。」
「うわっアキラちゃん、いろいろひどいわ。レディーにいう事じゃないわよ。」
「ごめんごめん。 それじゃ楽しくやろうか!」
ちなみに、千世子ちゃんの両親は今日は忙しいため、先週末に千世子ちゃんと一緒にクリスマスパーティーを兼ねた食事会をすでにやっている。このため、千世子ちゃんは心おきなく今日のクリスマスパーティーに参加している。
「ところで、千世子ちゃんは何を食べているの?」
「ナマコとこのわた入り手巻き寿司よ。コリコリしていてすごく美味しいわ。」
「うわぁ、ナマコの硬さと、このわたのねばねばさが手巻き寿司のシャリにマッチしていなさそう。なんか具材とシャリの一体感が皆無って感じがするんだけど・・・。魚屋さんに特別にナマコを注文していたんだよね。」
「もちろんよ。高級な赤ナマコを取り寄せたの。うま味が強くて酢の物の味が格別ね。 お寿司に入れるのはメジャーじゃないけど、好物だから別にいいのよ。」
そう、ナマコとこのわたは千世子ちゃんの非公式な好きな食べ物だ。 ちなみに公式はビスケットやマシュマロというすごく無難なものになっている。だが、好きなナマコの事になると種類や鮮度、調理法などいろいろ饒舌なのに、好きなはずのビスケットのメーカーとかは特にこだわりが無いので、どちらが本当の好物なのかは、言うまでも無いだろう。
千世子ちゃんは、将来は、女優としてはワインを片手におしゃれなフランス料理ってイメージになるのだろうけど、家に帰ったら清酒と塩辛で晩酌をして、「かっーーーー。今日もよく働いたわ。」とか絶対にやっていると思う。ワカコ酒の主役としてドラマに出演していても僕は驚かない。
「アリサママ、おにく~!」「おにきゅ~!」
「はいはい。おにく沢山あるから、たくさんたべるんでちゅよ~♪」
アリサママは、丸鳥を砕いてやわらかいごはんと一緒に双子に食べさせている。
すごく幸せそうだ。 僕も子供の頃はこんなふうに子育てされたんだろうか?全く記憶が無い・・・・。でもこの光景を見ていると僕も子供の頃はこんな風に面倒を見られていた気がする。
なんにせよ、アリサママが幸せそうなのは良い事だ。
来年はもっと胃痛が加速するだろうし・・・。(見えてる伏線)
「こんな豪華な料理を食べれるなんて、素敵すぎる。これが本当のクリスマスパーティーなのね。本当に素敵。」
雪ねぇちゃんはテーブルの上に並べられる豪華な料理と豪華な参加者を前に、料理を食べながらも、一生懸命スマフォやカメラで撮影している。
雪ねぇちゃんもだいぶ映像作家として、逃れられないカルマが蓄積している。
みんなでクリスマスパーティーをするというのは、放送で言ってあるのでこの写真がインセタグラムやトイッターに上がるかもしれない。
雪ねぇちゃんの写真や映像は、プロの写真家やカメラマンなどの仕事を僕たちに付いて来て生で見ているせいか、どんどん上達しており、今では素人目にはプロと遜色が無いレベルになっていた。
彼女は阿佐ヶ谷芸術高校への推薦入学もすでに決まっている。
いちごちゃんも入学するって言ってたから同級生になるみたいだ。
彼女が阿佐ヶ谷芸術高校に進学して、映像作家や監督として働き始めるのは時間の問題だろう。
高校に入学したら黒山墨字さんの所にアルバイトに来ないかって誘われているけれども、彼女の夢をかなえるために、是非行ってみるのがいいと思う。ただ給料面では圧倒的に僕の方が良いらしいけど・・・。大丈夫なのだろうか?大黒天。 腕は確かなんだけども、お金を稼いているのかと聞かれれば・・・。うーん。
「こんな素敵なクリスマスパーティー、すごく感激ですっ。ぐすっ」
一時は食べる物にも困っていた景ちゃんには、このクリスマスパーティーは刺激が強すぎるらしい。去年の年末もやったんだけど、まだ家に慣れていなかったからケーキを買って、ちょっと豪華な料理にしただけで、こんなに大きなパーティーはしていなかった。
今年は僕が本気を出したクリスマスパーティーだ。参加者も阿良也と千世子ちゃんと雪ねぇちゃんが加わって盛大なものになっている。
景ちゃんは映画を見て仮想の体験だったクリスマスパーティーを今リアルに体験しているのだ。映画の中で繰り広げられていたクリスマスパーティーを彼女自身が仮想で体験していたとしても心のどこかでは、うらやましく思っていたことだろう。
「ママッ、鳥さんをもっとくださいっ」
景ちゃんは涙をふくと元気よく食事を沢山食べている。たっぷりとお食べ。
料理を食べながら、景ちゃんと千世子ちゃんも仲良くお話ししている。
家族がみんな楽しそうな所を見て、夜凪ママもすごくうれしそうだ。
料理が終わって、みんなでクリスマスケーキを食べたらプレゼントの開封だ。
僕は、アリサママに万年筆、夜凪ママにブランドもののエプロン、千世子ちゃんと景ちゃんにイタリア製の文房具セット(色違い)、阿良也にちょっと高めのジャージ、雪ねぇちゃんには若者用のブランドのトートバックをプレゼントした。
プレゼントのラインナップが普通? いや、奇をてらってプレゼントなんてろくな事にしかならないので、無難に普段使うものでちょっと背伸びした感じの物が一番だよ。
高額な商品とかは、自分の給料で自分が気に入った物を買うべきだよ。
ちなみに、高額すぎる贈り物は送られた側に贈与税がかかるので、気を付けてね。
僕もアリサママから有名な神社の厄除けのお札、夜凪ママからオルゴール、千世子ちゃんから昆虫図鑑、阿良也からブランド物の帽子、景ちゃんから「アサガヤ」と言うデカデカとした謎の文字が書かれているTシャツ、雪ねぇちゃんから手作り星アキラ写真集をもらった。
ちなみに、雪ねぇちゃんのは阿良也、千世子ちゃん、景ちゃんもそれぞれ手作りの写真集でみんなすごく感激していた。
こういう心のこもったプレゼントって嬉しいよね。
アリサママはいったい、どんな心をこめて僕にお札なんて送ったんですかね?
クリスマスプレゼントで神社のお札。 クリスマスのコンセプトガンを無視。 アリサママは僕を浄化しようとしていないかな? 気のせいかな? 僕は邪悪な珍獣じゃないよ。ホントダヨ。
そんな疑問を残しつつも、クリスマスパーティーは楽しくみんな大満足で終了するのであった。
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星アキラはレッドカーペットを歩く1
新しく年も明けた2014年の3月、僕はロサンゼルスに渡米していた。
なんと、僕がアカデミー賞の助演男優賞にノミネートされたからである。
ちなみに、今年は王賀美兄さんも主演男優賞でノミネートされているので、日本人のダブルノミネートとして日本でも、すごく話題になっているみたいだね。
アカデミー賞というのは、「アメリカ映画の祭典」と呼ばれる映画賞で、基本はアメリカ映画を対象とした賞だ。
ノミネートの基準は、ロサンゼルス郡内の映画館で7日以上の期間で、1日に3回以上上映されていて、有料で公開された40分以上の長さの作品が対象となる。
ちなみに、映画芸術科学アカデミー(AMPAS)による賞だからアカデミー賞。
選考場所がロサンゼルスって地域で偏っている? いや、これはアメリカ映画の発展を目的に、キャスト、スタッフを表彰して、成果を苦労を讃えるための賞だから、偏っているのは当然。アメリカ映画の中心はハリウッド(ロサンゼルス)だからね。
映画賞の歴史としては、カンヌ ベルリン ベネチアの3大映画祭よりも古くて、一部の国際賞を除いてアメリカ映画に関わっていなければ、ノミネートされる機会すら無いのだから、ノミネートされるだけでも、とても栄誉な事だね。
僕がノミネートされた理由は、もちろん『ナショナルクリミナル4』の演技が評価されたからで、この出たとこ勝負で作成した映画は、最終的にハリウッドに巨大なインパクトを与えて、アカデミー賞にノミネートされるまでになった。
ちなみに、僕は助演男優賞でノミネートされているけれども、他に監督さんが監督賞と撮影賞もノミネートされていた。
一時は脚色賞という話もあったみたいなんだけど、撮影の仕方が広まると自然と立ち消えになったね。あの脚本ではこれは仕方が無いね。
『ナショナルクリミナル4』は、比較的低予算で作成した映画が大ヒットした他に、ハリウッドの常識を打ち破った斬新な撮影方法や、チーム編成、マーケティング手法など、古くて新しい風をハリウッドに吹かせた事が高く評価されたみたいだ。
やっぱり、膨大な予算をかけて、何度も撮りなおしするハリウッドのシステムを快く思っていないアカデミー会員さんも結構居るみたいで、その撮影手法なども広く評価されてのノミネートとなった。
他の理由としては、NC4 meetsというミームを生み出した事も高く評価されている。
これは、『ナショナルクリミナル4』はなぜか暇になると観に行きたい映画となっている事に起因する。
『ナショナルクリミナル4』を観た人たちは、面白い映画だなと思いつつ、映画に満足して終了。と思いきや、暇になると何かの拍子でまたこの映画が観たくなるみたいなんだ。
これは個人差があるみたいなんだけど、日々のストレスと、安心して楽しめるというちょうど良いほのぼの感が合わさって、この映画を観ること自体がリラックスして、ストレスを解消して脳の報酬になるらしい。
おそらく、子供が『となりのトトロ』や『魔女の宅急便』なんかを何度も観るのと変わらない感じじゃないのかな。
この辺は、心理学者の先生たちが盛んに調査していて、ハリウッドも大注目の研究だね。
それで、暇になると、この映画を観たくなって、つい映画館に足を運び、この映画を観て満足する人が多かったんだけど、ある日カリフォルニアの男性が、「何度見ても楽しいし、なにかスカッとするんだよな。この映画」って劇場で独り言を言ったら、近くに座っていた人も「そうなんだよな。不思議な魅力があるんだよな。」って言って、映画そっちのけで、映画館で映画談義を始めて、それが周りの人を巻き込んで大盛り上がり。付近の人間も、みんな何度も観ていたらしい。 そしてその体験をこの男性がSNSに投稿したら、各地の映画館でも同じような事態が続出。
『ナショナルクリミナル4』を観ながら映画談義をするのがスタンダードになりそうなところで、流石に上映中に観客が好き勝手に喋るのはどうか?ということで、ロサンゼルスの映画館が、NC4 meets用の上映と、普通の上映に分けて上映を実施。
そしたら、うわさを聞き付けた映画ファンたちが、NC4 meets用の上映に殺到して、上映をそっちのけに映画談義を実施。
結局のところ、SNS全盛のこの時代、ネットの繋がりの他に、リアルな人の繋がりを求めている映画ファンが多かったという事だ。
とは言っても、映画サークルとかに縛られるのもご勘弁。ちょっと映画好きな人とライトに映画談義をしたいって人達にマッチしたみたいだね。
このロサンゼルスの映画館では、館長が観客に混じって、ポップコーンやジュース片手に映画談義をする事態になり、この流れが全米に波及。
そして映画と全然関係ない所で、意図せずに、『ナショナルクリミナル4』は映画好きの集いの場を提供する事になった。
上映後は一期一会で、気があった人達とバーや喫茶店などで映画談義の延長戦をやるという流れが定着していた。
アメリカの映画関係者にはこのミームも肯定的に捉えられていた。
そもそも、映画館に来るお客さんが増える事も歓迎だし、映画ファンが増加する事も歓迎なのだ。
そして、映画を作っている人はみんな映画オタクである。
ハリウッド関係者もNC4 meetsを体験する人が爆増して、良さを確認した後に、この流れをいかに次に繋げるかが模索され始めていた。
そんなわけで、芸術性があるとか、技術がすごいとか、脚本が素晴らしいとかじゃなくて、脳に緊張を強いないで適度にだらだらと面白くて爽快という、謎のラインにぴったりと収まったこの映画は、内容以上にハリウッドで評価される事になってしまった訳だ。
もちろん。売り上げも想定以上に落ちていない。 製作費が6千万ドルなのに、すでに全米で4億ドル以上の興行収入を上げていて、5億ドルは確実で、もしかしたら6億ドルに届くかもという話まで出ていた。
そんな、いろんな方面から注目の映画を作った助演男優として、僕がアカデミー賞の助演男優賞にノミネートされたのだった。
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星アキラはレッドカーペットを歩く2
さて、このアカデミー賞の助演男優賞なんだけど、最年少候補者がジャスティン・ヘンリーさんで8歳の時にノミネート。
また、助演男優賞の最年少受賞者はティモシー・ハットンさんで20歳の時に受賞。というわけで、今年の2月に14歳になった僕はノミネートはされたものの、僕が受賞したら最年少受賞者になってしまう。
アカデミー賞はアメリカの映画業界で働く約9500人のアカデミー会員の投票で決まる。このため、米国人ではない僕は非常に不利だった。
実際の所、期待とは裏腹に僕が受賞するのは期待薄だった。
ただし、アカデミー賞は、実はノミネートされて選ばれない場合には、残念賞でOscar Swag Bag と呼ばれる高額福袋がもらえるのだ。
これは洗剤やシロップから始まり、上は外国旅行などが当たって非常に楽しみだ。
こういう経緯から、僕は福袋をもらいに気軽にアカデミー賞の会場に行くことにした。
でも、僕が普通の恰好で行くとか言うのが許されるのだろうか? やはり僕をアカデミー賞にノミネートしたと言う事はアカデミー賞の審査員たちも僕にアカデミー賞の傷跡を残してもらいたいと思ってノミネートしたに違いない。
僕にはみんなを楽しませる義務があるのだ!!(注:そんな義務はありません!)
そんな訳で、僕は秋葉原のコスプレショップの店員さんと衣装作家さん、七生姉さんに授賞式の恰好を相談する事にした。(もちろんアリサママには内緒で)
そしてなんと、コスプレショップの店員さんと衣装作家さん、七生姉さんはロサンゼルスに付いてきてくれる事になったのだ。
僕は喜んで、三人の旅費を出した。三人も本場ハリウッドで観光できるということで、すごく喜んで付いて来てくれた。
そして、同時に、これなら満足という出来の衣装やメイクをしてもらう事ができた。
ちなみに、アカデミー賞ではノミネートされた人は、1人につき、最大3名までしか同伴者を連れていけない決まりがある。
アリサママは同伴したい?って聞いたら、「私はいいわ。 それよりも若い子の刺激になるべきだわ。」という回答で、アリサママは仕事も忙しかったので日本に居残り。
夜凪ママも流石に幼い双子をアメリカに連れて行く訳にも行かず同様に日本から僕を応援してくれる事になった。
代わりに、千世子ちゃん、景ちゃん、阿良也の3人が僕と同伴する事になった。
そんなわけで、アカデミー賞の発表当日。 コスプレショップの店員さんと衣装作家さん、七生姉さんに僕達四人の衣装と化粧を整えてもらった。
「これが俺?」
「綺麗。本当にアニメから飛び出して来たみたい。こんな化粧の方法もあるのね。」
「これが私? 信じられません。 カラーコンタクトも綺麗ですっ。」
そして支度が整うと、僕達はリムジンに乗りこんでアカデミー賞が発表されるロサンゼルスのドルピーシアターに向かった。
----------------- ある日本のTVリポーターの視点 -----------------
「ここ、ハリウッドではアカデミー賞の発表を前にレッドカーペットの上を歩くゲスト達を一目撮影しようと、沢山の報道陣が詰めかけています。」
「また一台のリムジンが止まりました。降りて来たのは王賀美陸! 今年アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされた王賀美陸です!!」
「堂々とした佇まい、きっちりとタキシードを着こなし、歩く姿はヒーローそのもの! 日本を脱出してハリウッドスターとして認められた王賀美陸です!」
主演男優賞候補の一人、王賀美陸の登場に一斉にフラッシュが炊かれる。
「見てくださいこの沢山のフラッシュを! まさにハリウッドでも注目のスター、世界の王賀美です!! 世界中の報道機関が王賀美陸に今注目しております!」
王賀美陸は天性のカリスマを見せながら堂々とレッドカーペットを歩く。
早朝ながらも日本で番組を切り盛りしているアナウンサーとゲストの芸能リポーターも興奮気味だ。
「王賀美陸はすごい注目度ですね!」
「あまりのカリスマゆえに、日本の芸能界では収まりきらずに、日本を出て世界に打って出た王賀美陸ですが、これで名実ともにハリウッドスターとなりましたね。 主演男優賞の発表が待ちきれません。」
----------------- 王賀美陸の視点 -----------------
俺は一人でリムジンを降りると、レッドカーペットの上を支配しながら歩く。報道陣達も俺の仕草の一個一個に視点が釘付けになっているのがわかった。
そして次のリムジンが入ってきて、中の人達が降りた次の瞬間、先ほどまで煩いぐらいだった喧騒が静まり返る。
そして感じる感情は困惑。周りがし~んと静まり返る中、英語で能天気な声が俺にかけらた。
「あっ、王賀美兄さんだっ!! 久しぶり~♪。 元気だった? 主演男優賞にノミネートされたんでしょ? おめでとう! 一緒に頑張ろうね!!」
それは見た事の無い、金髪碧眼の美少女だった。
そして連れとして、連れている三人もとんでも無い美少女だった。
「お前誰だ!? お前のような知り合いなんて居ないぞ!!」
俺は場の空気とかを完全に忘れてツッこみを入れてしまった。
アキラ声「何言ってんの? 星アキラだよ。 星アキラ。 子供の頃はホテルの部屋で一緒に寝た仲なのに、僕を忘れちゃったの?」
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星アキラはレッドカーペットを歩く3
----------------- 王賀美陸の視点 -----------------
アキラ声「何言ってんの? 星アキラだよ。 星アキラ。 子供の頃はホテルの部屋で一緒に寝た仲なのに、僕を忘れちゃったの?」
「はぁ?星アキラは男で内気で静かな男の子だろ!? お前のような金髪碧眼の女じゃないのだが!」
「大体、何だ!その恰好は!! ウイッグにカラーコンタクトで授賞式に望むなんて聞いたことが無いぞ!!」
星アキラが『ナショナルクリミナル4』で活躍したと言う話は聞いていたし、助演男優賞にノミネートされた事も知っている。
だが俺はビッグになってスターズを見返すために、喧嘩別れしたスターズの動向はなるべく耳に入れないようにしていたし、芸歴では先輩ではあったものの、実質的には弟分であった星アキラが活躍したと聞いても、あまり注意を払っていなかった。
そもそも、ビッグになってスターズを見返すと言うのは俺の役者人生のモチベーションそのものだ。 この体験がハングリー精神となって今の俺を支えている。 俺の中では、スターズは常に悪役であってもらわなければいけなかった。
だから、当然俺は星アキラが活躍したという、『ナショナルクリミナル4』も意図的に避けていた。 しかし、その不勉強さがここで俺を苦しめるとは・・・。星アキラに何があったんだ?。
「見てっ! 日本のトップクラスの衣装作家さんの作品なんだよ! TYPE-MOON 10周年記念のセイバーのロイヤルドレスのコスプレなんだよ!!」
星アキラは自分が着ている純白のロイヤルドレスを見せつけるようにくるりと一回転して、いたずらが成功した子供のような魅力的な笑みを俺にうかべた。
報道陣は俺たちの会話で、この美少女が星アキラだってわかると、「アキラ・ホシ!」「アキラ!」「ホシ!」などと群衆に情報が伝播するように口々に呟くと、回転して衣装を見せつけている星アキラに怒涛のフラッシュや中継をしているテレビカメラの焦点が一斉に合う。
それはまるで津波のような光景だった。 俺が降りて注目を浴びるのとは種類が全く違う、何倍もの驚きと、とんでもない注目を周りの記者や観客から引いている。
星アキラは、すごく女性的な、しなやかな動作をしつつ、瞬間瞬間に闘争を生き抜いてきたようなスキのない男性的な凄みが入り混じり、会ったばかりなのに、とんでもない魅力的な人物に見えた。
全員の視点が星アキラに釘付けになった。
この瞬間、舞台の主役は俺から星アキラに移った。 星アキラは俺がカリスマによって記者や群衆の注意を引くのとは対照的に、記者や群衆を興味と感嘆、そして熱狂の渦にぶち込んだ。瞬発的に熱せられた人の感情が、音のように自分の肌にぶつかって振動していくのを生まれて初めて体感した。
周囲で取材している記者や観客、TV関係者などのアカデミー授賞式前のお祭り気分は最高潮になり、興奮して前に出ようとしている記者や観客たちを警備員が必死に取り押さえている。
「ちょうどいいから、僕達の同行者を紹介するね!」
星アキラはこの周りの熱狂を何も感じていないように、ただ世間話のように俺に同行者を紹介してくる。
「まずは百城千世子ちゃん。 スターズの後輩で、今日は両儀式のコスプレをしてくれているよ。 この桜色と黒の着物は西陣織の特注品だね。 今回、唯一衣装作家さんの作品じゃないよ。」
「王賀美先輩。よろしくお願いします。 私も王賀美先輩を目指してスターズで育てられてきました。 このような場でお会いできてすごく光栄です。」
半身は派手な桜色、もう半身は黒の下地に桜色の見事な花の刺繍が入った着物を着て、落ち着いた佇まいを見せる、まさしくザ・日本の美少女が俺に挨拶をしてくる。
星アキラとは全く違ったタイプの美少女。 これだけの美少女を俺はハリウッドでも見た事が無かった。
「ああ、よろしく頼む。」
俺はあまりの状況に飲まれて、ついて行けなくなっていた。
「続いては、同じくスターズの後輩の夜凪景ちゃん。 メソッド演技の天才でアリサママから直々に指導を受けているよ。今回はアルクェイドの活発な彼女らしい白色のドレスを着てくれているよ。」
「私は原初の真祖アルクェイド・ブリュンスタッド。王賀美君の映画もなんども観たわ。 今回の映画も素晴らしかったわね。 是非主演男優賞を受賞してね!」
「おおぅ。」
このイカレタ女は、完全に役に入り込んでいた。 こんな状態で役に入り込むとか相当な危険人物だ。
真祖とか言っていたから、おそらく吸血鬼かなんかの役なんだろう。 やさしい会話とは裏腹に人外の気配がビンビンして、その演技を見破るために赤い目の奥を覗きこもうとすると、物理的に喰わるような原始的な恐怖を俺は感じた。
(注:景ちゃんは真っ赤なカラーコンタクトと金髪のウイッグをしています。)
「最後に明神阿良也だね。 あの舞台演出家の巌裕次郎の秘蔵っ子で、この年で巌裕次郎の舞台の主役を任されるぐらいの逸材だよ。 今回は蒼崎青子のドレスで、青色で一番大人っぽいドレスを着てくれているね。」
「ちなみに、男だから惚れちゃだめだよ。」
「本当にマジで男なのか!?」
「本当です。イギリスでは僕ぐらいの年の子が女優として女装するのは常識って巌さんが言っていました。」
「絶対に違うだろ!!」
もはや我を忘れて、俺はツッコミしまくっている。 誰よりもグラマラスで男を吸い寄せそうなこの女が男!? もう意味不明だった。
このウルトラハイエンドな美少女達の中で誰が一番好みかと聞かれれば、おそらく1番に上がるであろう、男性の理想像を凝縮したような、この美女が男!? どうなっているんだ!?
俺の頭はパニックを起こしかけた。
「そんな訳で、王賀美兄さんが居なくなった後でも、僕達スターズは元気にやっているんだよ!」
「元気って何だ!? 俺が居ない間にスターズに何があったんだ!?」
「いろいろあったんだよ。いろいろと。」
「いろいろってなんだ!? 何があったらこうなるんだ!?」 あまりのツッコミ所の多さに、俺のツッコミは全く追い付かなかった。
俺は星アキラ御一行と一緒にレッドカーペットを歩き会場の中に入る。
星アキラ御一行はカメラマンや記者たちの注目の的だ。
アカデミー賞のメインカメラマンも星アキラ御一行を追っている。
おそらくスイッチャーもディレクターの指示で、星アキラ御一行の一挙手一投足を全世界に放映しているだろう。
こんなんで無ければまさにVIP扱いなのだが・・・。理由が理由だけに・・・・。
そして、ハリウッドですら見た事の無い美少女四人を男一人で引き連れている俺へ、男たちの激しい嫉妬の視線が大量に刺さる。
いや、ハリウッドセレブの女ですら俺に嫉妬の視線をよこしてくる。 女でもこの集団とお近づきになりたいのだろう。
本当に勘弁して欲しい。この連中のうち二人は男だ。 つまり、この集団は男三人に女二人という、ごく一般的な人口比率の集団なのだ。
俺がなぜこんな目に遭わなければいけないんだ!?
俺はアカデミー賞の授賞式を前にストレスで頭と胃が痛くなっていた。
まさか、このショックで俺がハゲるなんて事は無いよな・・・?
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星アキラはアカデミー賞授賞式に臨む
授賞式の会場に着いた僕達は入り口で少し足止めを受けた。
理由は服装がどうたらという理由では無く、席替えをしている最中なので、少し待って欲しいとのことだった。
そんなわけで、入り口で一緒に待っているハリウッドセレブさん達と一緒に、お互いに自撮り撮影などをしまくって時間を潰した。
今年は、撮影賞と監督賞にもノミネートされているので、監督さんや『ナショナルクリミナル4』のスタッフさんなども来ていたので、みんなで挨拶や記念撮影などもした。
席替えが終わったら、僕たちは前の方のすごくカメラ映りが良い席に案内された。
アカデミー賞の席は現場のカメラマンさんとディレクターさんによって決定されるんだけど、おそらく初参加の僕達に良い席を与えてくれたんだろう。
僕たちはすごく良い席からアカデミー賞の授賞式を満喫できそうだ。
隣の席には『アメリカン・ハッスル』で主演男優賞にノミネートされたクリスチャン・ベーレさんが居た。
僕が隣の席に座ると目を丸くしたけど、星アキラだって判ってアカデミーが始まる前にいろいろ話した。
特に隣にいた奥さんとの出会いが映画若草物語である事から、僕達が若草物語の四姉妹だって知るとすごく歓迎してくれた。
僕の方からは若草物語の舞台の話や『ナショナルクリミナル4』の裏話、ベーレさんの方からは天才詐欺師を演じるために激太りした話や、『マシニスト』で4ヶ月の間、1日ツナ缶1つ・リンゴ1個だけの食事で撮影した後に、バットマンのために今度は食事を増やして86キロまで戻した話などを聞いて楽しかった。
特に僕は、大好きなバットマンの裏話などを聞いてすごく興奮した。
阿良也と景ちゃんはベーレさんの役作りについての真剣さや、プロ意識について真剣に話を聞き、奥さんはジョーを演じた千世子ちゃんが大のお気に入りでいろいろ話して、楽しい時間を過ごし、あっと言う間にアカデミー賞の授賞式が始まる事となった。
正確にはアカデミー賞の放送開始の90分前からプレショーが始まって、ホスト役の人の話や、各賞のノミネート者などへのインタビューなどが放映されるんだけど、あまり気にせずに一緒にひたすらお話をしていた。
そして僕がノミネートされている助演男優賞なんだけど、実は一番最初の発表である。
この辺はマイナーな賞ばかりだと、間が持たないので適度に注目する賞を間に挟む事になっており、助演男優賞は例年1番手の発表になる訳だ。
助演男優賞にノミネートされているは僕を含めて5人。 今回は助演男優賞と主演男優賞にそれぞれ日本人がノミネートされている事もあり、日本でも月曜日の朝、午前9時からの発表開始ということで、朝の情報番組などでは、各局が中継を入れているみたいだね。
席に座るノミネート者にスポットライトが当てられ、顔をカメラにアップで撮影され、司会者はノミネートされた各人のプロフィールや映画の出演シーンなどを順次紹介されていく。
僕の順番は一番最後だった。緊張の表情を見せる他の4人とは対照的に、僕は最初っから選ばれないのがわかっていたので、ニコニコしながら観光気分でカメラに手を振る。
おそらく世界中のお茶の間に映画での役の紹介と、ドレスを着たセイバーのコスプレをした僕が写っているはずだ。
ニコニコしながら手を振る僕がアップで会場の画面に映された時、会場はにこやかな笑いに包まれた。
「変装の達人は、今日は素敵なドレスで参戦してくれました。」と司会者さんもニッコニコで会場を盛り上げる。
そして最後の受賞者の発表時、受賞者を発表する司会者とノミネートされた僕達5人の表情が同時に画面に映し出される。
助演男優賞のタキシードを着た男性達の中で、ドレスを着た美少女が混じるシュールな光景。
会場の笑いとざわめきが最高潮に達する。
これこそが僕が狙っていた光景だった。 やはり僕はこういう面白い画を作って、撮れ高を提供しなければいけない!!(超無駄な使命感)
そして受賞者が発表される。
「アキラ・ホシ! 『ナショナルクリミナル4』おめでとうございます!!」
「え゛っ!? マジで!? いやいやおかしいでしょ! 僕が最年少受賞者になったらダメじゃん!」
僕は、僕の名前を読み上げた司会者に真顔でツッコミを入れる。
しかし、会場は溢れんばかりの拍手だ。
隣のクリスチャン・ベーレさんから舞台に上がるように促された。
やべぇ、受賞した時の事なんて何も考えていないよ!
僕はものすごい動揺の中、気高くて微妙にポンコツなセイバーの演技をしつつ、舞台に上がる。
皮肉なことに、この瞬間の僕を支えたのは10年以上培ってきた、器用貧乏と言われた演技の技術だった。
僕はプレゼンターの人から、にこやかにオスカー像のトロフィーを受け取る。
そして、僕にスポットライトが当てられて、45秒のスピーチが始まる。
「すいません。まさか選ばれるなんて思っていなかったので、スピーチの内容なんてまるで考えていませんでした。」・・・なんて話すわけには行かない。これでは他の4人のノミネート者に余りにも失礼だ。
僕はマイクの前に行くと、今の心境と喜びを英語で素直に話すことにした。
キアラ声「皆様。ありがとうございます。 今回助演男優賞を受賞した星アキラの双子の妹の星キアラです!!」
突然の双子の妹の登場に会場は困惑の空気が流れる。
「今回のアカデミー賞の助演男優賞受賞を、アキラお兄様も大変喜んでおります。 それではアキラお兄様の声をお届けしたいと思います。」
アキラ声「やったっ!、やったよーーーーー! アカデミー賞の審査員の皆さん! 僕を選んでくれてありがとう!!!」
「アリサママ、夜凪ママ、みんな見てる~? 僕はやったよーーーーー! みんな応援してくれてありがとう!! 最高に幸せだよ!」
「キヌス、ヒロインさん、監督さん、助監督さん、撮影スタッフさん、映画のファンの皆さん、映画に関わった皆さんの力で僕が助演男優賞を取れたよ。みんなありがとう!」
「僕のファンのみんな、リスナーのみんな、スターズのみんな、日本のみんな、アメリカのみんな、全世界のみんな、僕を助けてくれて僕に人生の道しるべを与えてくれたみんな、本当にありがとう! 僕は最高に幸せだよ!!!」
僕は、持てる演技技術を使って自分の感情に任せるままに、全身で喜びを表現する。 勝手に涙も流れていた。 会場が笑いと喜びと共感に埋め尽くされているのがわかる。
キアラ声「以上がアキラお兄様の喜びの声ですわ。 アキラお兄様を支えてくれた皆様、本当にありがとうございました。私からも皆様にお礼を申し上げさせていただきますわ。」
僕はスピーチの締めとして、会場の人たちに深々とお辞儀をする。そしてスピーチ時間はきっかり45秒。
会場は総立で、割れんばかりの拍手が鳴り響いていた。
この時僕は実感した。僕がアカデミー賞の助演男優賞を受賞したんだって。
なお、この瞬間を日本からTVで見ていたアリサママは、胃痙攣(けいれん)を起こして救急病院に搬送された事を後で聞いた。もちろん軽症で命に別状はないらしい。
アリサママも感激で胃が痙攣したんだね。(違う)
いつも読んでいただいて、ありがとうございます。
この小説も皆様に支えられて今回で100話目という節目を迎える事ができました。
最初は人生に絶望していたアキラ君も、100話目にしてついにアカデミー賞の助演男優賞の栄冠を手に入れる事となりました。
これからもアキラ君達は活躍していきますのでよろしくお願いいたします。
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アカデミー賞実況スレ1
302名無し@アカデミー賞
うわっ、ディカプリフだ! エイミー・アダムも居る!!
303名無し@アカデミー賞
セレブがレッドカーペットを歩くだけでも華やかだな。
304名無し@アカデミー賞
こんなふうにアカデミー賞の授賞式を見るのは初めて。
305名無し@アカデミー賞
確かに、星アキラと王賀美陸が出ていなかったらみんな見ていないからなぁ
306名無し@アカデミー賞
おくりびとの外国語映画賞の受賞が2009年だけど普段は生放送もされないし、こんなに注目されていないからな。
307名無し@アカデミー賞
監督とか受賞してもあんまりって感じだし。
308名無し@アカデミー賞
海外の国際映画祭で監督とか映画とかが受賞してもへー。って感じだけど、今回の授賞式は楽しみすぎる。
309名無し@アカデミー賞
それだけ日本人の俳優二人がノミネートされるというのがすごいという事だな。
310名無し@アカデミー賞
日本人の俳優が受賞したのっているの?
311名無し@アカデミー賞
1958年に助演女優賞でナンシー梅木(梅木美代志)さんが1回受賞しただけだな。
312名無し@アカデミー賞
星アキラが受賞したら最年少になるの?
313名無し@アカデミー賞
そう。今まで助演男優賞の最年少が20歳だから、圧倒的な最年少受賞になる。
でも残念だけど、受賞は難しいだろうな。
314名無し@アカデミー賞
でも、星アキラならやってくれる! 俺は期待しているぞ!
315名無し@アカデミー賞
星アキラ、どんな格好で来るんだろう?
316名無し@アカデミー賞
流石にタキシードだよね。 ねっ?
317名無し@アカデミー賞
非常に同意しにくい。
318名無し@アカデミー賞
クソガキのいつものパターンなら、ドレスコードを守ったといいつつ女装を・・・。
319名無し@アカデミー賞
いいのそれ?
320名無し@アカデミー賞
知らん。ただ、男が女装しての出席がNGとか主催者側が言うと、大論争になるし下手すると様々な男女平等を考える団体から訴訟沙汰になるのは間違いないから、おそらく楽しむかみんなスルーだと思う。
321名無し@アカデミー賞
映画で表現の自由を謳うハリウッドが性差別論争の引き金を引くのはまずいだろうから、おそらくスルーだろうな。 そして、あのクソガキならそれをわかっていてやるだろうなw
322名無し@アカデミー賞
うわっ、クソガキだ。でもそんなクソガキを見てみたい。
323名無し@アカデミー賞
王賀美陸との対決も見てみたい。
324名無し@アカデミー賞
ノミネートされている賞が違うから対決なんて無いゾ
325名無し@アカデミー賞
主演男優賞 VS 助演男優賞
326名無し@アカデミー賞
主演男優賞の方がすごそうだけど、役割が違うしなぁ・・・。
327名無し@アカデミー賞
別に主演男優だけで映画を撮っている訳じゃないからな。
328名無し@アカデミー賞
助演男優賞の方が星アキラにはしっくりと来るな
329名無し@アカデミー賞
そうだな。アキラ君は面白珍獣枠だから、助演男優賞の方が持ち味が出ている感じだな。
330名無し@アカデミー賞
主役もできるだろうけど、やっぱり脇役でアクセントを利かせたいよな
331名無し@アカデミー賞
アクセント(超飛び道具)
332名無し@アカデミー賞
星アキラが無茶苦茶しているのに、バランスが取れる感覚ってなんなの?
333名無し@アカデミー賞
見ていると無茶苦茶なのに結果オーライがすごすぎて、超高度な演劇テクニックに見えつつも本人は何も考えていなさそう。
334名無し@アカデミー賞
こんな感じ?
「あれ~? また僕何かやっちゃいました?」
335名無し@アカデミー賞
多分、星アキラはこっちだな
(自分がやったことを自覚しつつ)「あれ~? また僕何かやっちゃいました?」(確信犯&放火魔)
336名無し@アカデミー賞
クソガキのクソガキたるゆえんだなw
337名無し@アカデミー賞
でも王賀美陸の映画すごくかっこ良かった。
338名無し@アカデミー賞
これぞ王道のスターって感じだったからな。
339名無し@アカデミー賞
あのアクションをワイも鏡の前で真似したゾ
340名無し@アカデミー賞
王賀美陸は本当に存在が目に焼き付くよね。
341名無し@アカデミー賞
日本で活躍できないのが、本当に悔やまれる。
342名無し@アカデミー賞
元は、王賀美陸のしょうもない我儘から始まっているからなぁ。あの騒動・・・。
343名無し@アカデミー賞
たしかに、自由に演じたいだっけ? それを他の共演者の演技を潰すから止めろと星アリサに言われたのが発端だっけ?
344名無し@アカデミー賞
それでスターズ脱退で自分は日本の芸能界に居られなくなるとか言う、誰も得していない騒動・・・。
345名無し@アカデミー賞
さすがにあの騒動は、ワイもアリサママに同情したゾ。
346名無し@アカデミー賞
星アリサ自体は間違った事を言っていないからなぁ・・・・。別に才能を発揮させないように意地悪をしていた訳でも無いし。
347名無し@アカデミー賞
あれで自分の主義を変えずにスターズ脱退とか、まさに猛獣の名に恥じないよね。
348名無し@アカデミー賞
この二人は元スターズの猛獣と現スターズの珍獣だよね。
絶対に何か軋轢があるよね?
349名無し@アカデミー賞
周りの観客は、それで煽りたいよね。
350名無し@アカデミー賞
実際にあるかは微妙だと思うけど・・・・。
351名無し@アカデミー賞
王賀美陸がスターズを抜けた時のアキラ君の年齢を考えると、軋轢がある方がすごく微妙なような・・・。
352名無し@アカデミー賞
王賀美陸はスターズには恨みがあっても、星アキラの方はどうなのかな?
353名無し@アカデミー賞
坊さん憎けりゃ袈裟まで憎い
354名無し@アカデミー賞
あのスターズ脱退騒動で王賀美陸がスターズを恨んでいる可能性は高そう。
355名無し@アカデミー賞
スターズの方は恨みを買っているのは間違い無さそうだけど、星アキラが恨みを買っている事にはつながらない気がする。
356名無し@アカデミー賞
あの騒動の時も、星アキラの事なんて一言も話題に出なかったしな。 強いて言えば、星アキラを王賀美陸は弟分として可愛がっているけど、今後はどうするの? ぐらいの報道だったよな。
357名無し@アカデミー賞
元スターズの猛獣 VS 現スターズの珍獣
358名無し@アカデミー賞
王虎とミーヤキャットがにらみ合っている光景が浮かんだw
359名無し@アカデミー賞
争いになるのか?
360名無し@アカデミー賞
シリアス漫画のキャラ VS ギャグマンガのキャラみたいなものだからな。
シティーハンターにこち亀の両さんをぶち込むようなものだから争いにならんぞ。
361名無し@アカデミー賞
シティーハンターは100トンハンマーで殴られても無傷だろ・・・。
362名無し@アカデミー賞
逆にバチバチに骨肉の争いになるところを見てみたい。
363名無し@アカデミー賞
星アキラ側は特になにも無さそうだし、王賀美陸側が今の星アキラをそこまで恨めるかというと無理じゃね?
364名無し@アカデミー賞
日本の芸能界に居られなくした星アリサを恨んでいるだろうから、その息子も一緒に恨んでいるでワンチャン。
365名無し@アカデミー賞
無理を通して道理を引っ込めようとしたのが王賀美陸、無理を通さずに道理をめちゃくちゃにするのが星アキラ。
366名無し@アカデミー賞
王賀美がアキラ君に、「お前なんて絶対に認めねぇ」とか言って欲しい
367名無し@アカデミー賞
認めるも何も、アキラ君的にはだから何?って感じだろうしなぁ・・・。
368名無し@アカデミー賞
王賀美陸に認められなくてもアキラ君的にはノーダメージだろうしな・・・。
あの騒動以来、交遊関係も切れていそうだし。
369名無し@アカデミー賞
ヒデェwww
370名無し@アカデミー賞
でもハリウッドに旅立って主演男優賞にノミネートされるぐらいにビッグになるなんて、王賀美陸はすごいよね。
371名無し@アカデミー賞
やっぱり王賀美の才能は本物だよ。 自分の主張を貫いてハリウッドで才能を開花させた所も過程はどうであれ、男として本当に痺れる。
372名無し@アカデミー賞
王賀美さんの生き様は真似できない恰好良さがある。
373名無し@アカデミー賞
王賀美陸こそ、天性のスターだな。
ちなみに星アキラは天性の珍獣。
どちらも他に追随を許さない。
374名無し@アカデミー賞
珍獣の文字の圧力すごすぎだろwww
375名無し@アカデミー賞
これ王賀美陸の車?
376名無し@アカデミー賞
王賀美陸が降りてきた
377名無し@アカデミー賞
すげぇ空気が変わった
378名無し@アカデミー賞
これが王賀美陸。 本当にすごい俳優だな。
379名無し@アカデミー賞
カリスマ? 天性のスター? どちらにしても会場が王賀美を中心に回っている気がする。
380名無し@アカデミー賞
久しぶり映画以外で見ると、あの存在感もひとしおだな。
381名無し@アカデミー賞
とにかく存在感とプレッシャーがすごい。
382名無し@アカデミー賞
ガンダムで例えるとどうなるの?
383名無し@アカデミー賞
ニュータイプのスーパーエース(アムロ or シャア)が戦場に到着。
384名無し@アカデミー賞
シロッコのジ・オがカミーユと干渉してジ・オが動かなくなった。
385名無し@アカデミー賞
同じ人間とは思えないぐらいの存在感だな。
386名無し@アカデミー賞
日本の中継カメラや、アカデミー賞のメインカメラも王賀美陸を映しっぱなしだな。
387名無し@アカデミー賞
これはすごい注目度。 やっぱり主演男優賞は違うんだな。
388名無し@アカデミー賞
アカデミー賞の巨大オスカー像の前で立ち止まって見上げるw
389名無し@アカデミー賞
一つ一つの動作がマジで絵になるな。
390名無し@アカデミー賞
王賀美陸、カッコ良すぎだろ。 もう嫉妬する気にもなれん。
391名無し@アカデミー賞
陸様! すてき! 素敵すぎる!! もう姿を見るだけでダメになる。
392名無し@アカデミー賞
あっ、王賀美ファンが乱入・・・。
393名無し@アカデミー賞
すまん。そっちは王賀美スレでやってくれ。
394名無し@アカデミー賞
やっぱりアルミの肌が最高だと思うんだ。 あの硬質なのに輝く肌。 碌な装甲にはならないけど、やっぱりアルミの輝きはそそる物があるよ。 クロム推しは反省するべきだと思うよ。
395名無し@アカデミー賞
すまん。2窓開いていたら誤爆した。
396名無し@アカデミー賞
誤爆wwwww
397名無し@アカデミー賞
何のスレだよwww
398名無し@アカデミー賞
これはひどいw
399名無し@アカデミー賞
おっ、次の人が降りてきた。
400名無し@アカデミー賞
えっ?
401名無し@アカデミー賞
マジ?
402名無し@アカデミー賞
えっ? えっ?
403名無し@アカデミー賞
セイバー!?
404名無し@アカデミー賞
なんでこんな所にセイバーが!?
405名無し@アカデミー賞
ちょっと待って、意味わからない。
406名無し@アカデミー賞
セイバーだよね? この人?
407名無し@アカデミー賞
これは間違いなくfateのセイバー
408名無し@アカデミー賞
この衣装はTYPE-MOON10周年記念のセイバーじゃない?
409名無し@アカデミー賞
まじか!! こんな事をするのは・・・・。
410名無し@アカデミー賞
セイバーが王賀美陸を見つけて、ぴょこぴょこと挨拶に行った!!
411名無し@アカデミー賞
まじでぽんこつセイバーだ。 アニメやゲームから出てきたんじゃないの?
412名無し@アカデミー賞
姿や仕草まで完全にセイバーww
413名無し@アカデミー賞
星アキラwwwww
414名無し@アカデミー賞
やっぱりやつかwwwww
415名無し@アカデミー賞
星アキラは何か騒動を起こさないと死んでしまう体質なの?www
416名無し@アカデミー賞
星アキラwww
417名無し@アカデミー賞
今、英語でさらっと王賀美陸とホテルで一緒に寝たとか言ってたwwww
418名無し@アカデミー賞
王賀美陸大困惑wwwww
419名無し@アカデミー賞
これは笑えるw
420名無し@アカデミー賞
この展開は全く想像していなかったわwwww
421名無し@アカデミー賞
リアルドッキリカメラ始まったw
422名無し@アカデミー賞
これは良いドッキリカメラwww
423名無し@アカデミー賞
しょっぱなからアキラ君の攻勢に王賀美陸が大困惑www
424名無し@アカデミー賞
まさかのアカデミー賞本番でどっきりカメラwwww
425名無し@アカデミー賞
どうなるんだこれ!?
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アカデミー賞実況スレ2
432名無し@アカデミー賞
やべぇ、星アキラのセイバーに全米が注目w
433名無し@アカデミー賞
さっきまでの王賀美陸で盛り上がりがMAXかと思っていたら、星アキラ登場で何倍も盛り上がっていて草w
434名無し@アカデミー賞
カリスマの雰囲気どこ行ったw
435名無し@アカデミー賞
王賀美さん困惑しまくりw
436名無し@アカデミー賞
星アキラの登場で会場の熱気すげぇ。
437名無し@アカデミー賞
王賀美陸がトップスターとか思っていたけど、王賀美陸が支配していた会場を星アキラが爆発させたな。
438名無し@アカデミー賞
なお、爆発させた本人は爆発させただけで、全く責任などを取らない模様・・・。
439名無し@アカデミー賞
外人の人達が口々にアキラ・ホシの名前を呼んで熱狂しているの超ウケるww
440名無し@アカデミー賞
まじで星アキラは大スターなんだな。
441名無し@アカデミー賞
ん? さらに人が降りて来た。
442名無し@アカデミー賞
えっ!? 両儀式!?
443名無し@アカデミー賞
両儀式だよね。この人!
444名無し@アカデミー賞
ピンクと黒の着物が似合いすぎる。 このコスプレはまさか千世子ちゃん!?
445名無し@アカデミー賞
アキラ君が千世子ちゃんだって、紹介している。
446名無し@アカデミー賞
これ千世子ちゃんかよwwww
447名無し@アカデミー賞
百城千世子、美人すぎる
448名無し@アカデミー賞
千世子ちゃん、和服似合いすぎ問題。
449名無し@アカデミー賞
コスプレ用の化粧でぱっと見で分からないけど、元が凄すぎるので破壊力がヤバイww
450名無し@アカデミー賞
ザ・大和撫子。 まさしく日本を代表する美少女
451名無し@アカデミー賞
アキラ君、友達に何を着させているんだwww
452名無し@アカデミー賞
友達にまでコスプレさせるなんてけしらん。もっとやれ!!
453名無し@アカデミー賞
お前がもっとやれとかいうからさらにでてきたじゃねぇか!
454名無し@アカデミー賞
アルクだ。これ間違いなくアルクェイド・ブリュンスタッドだw
455名無し@アカデミー賞
完全に気配から何から、まごう事無きアルクェイドw
普通のお姉さんっぽい雰囲気なのに瞳の中に狂気を宿しているwww
456名無し@アカデミー賞
コスプレなんだから、中身まで真似る必要は無いんやでwww
457名無し@アカデミー賞
カラーコンタクトとウィッグで判りにくいけど、背格好から言って、これは景ちゃん!
458名無し@アカデミー賞
アキラ君が夜凪景って紹介しているwww
459名無し@アカデミー賞
景ちゃんwwww
460名無し@アカデミー賞
こんな所で、コスプレしてアカデミー賞に出撃www
461名無し@アカデミー賞
これは様々な意味で一生の思い出wwww
462名無し@アカデミー賞
まじでアルクェイドだ。月姫から出て来たみたいだ
463名無し@アカデミー賞
喜べ月姫難民ども! アルクェイドは現実に存在したぞw
464名無し@アカデミー賞
うゎあ、自己紹介まで役に入り込んでいる。
465名無し@アカデミー賞
景ちゃんが天才だってアキラ君が言っていたけど本当なんだな・・・。
466名無し@アカデミー賞
景ちゃんがアルクで実写版月姫やるなら絶対に映画を何度も観に行く!
467名無し@アカデミー賞
このメンバーのパターンならもう一人居るよな・・・。
468名無し@アカデミー賞
もう一人は・・・。
469名無し@アカデミー賞
やっぱり出やがった! 明神ラーヤ!!!
470名無し@アカデミー賞
案の定、青崎青子のコスプレだーーーwww
471名無し@アカデミー賞
まじで輝きが凄すぎる。
472名無し@アカデミー賞
このトップアイドルってオーラが本当にすごいよな
473名無し@アカデミー賞
中身は男なんだがな・・・。
474名無し@アカデミー賞
まじで美人すぎるw やっぱり星アキラと明神阿良也が本気で女装をすると、千世子ちゃんや景ちゃんに全く引けを取らないなw
475名無し@アカデミー賞
みんな美少女すぎるw
476名無し@アカデミー賞
千世子ちゃんや景ちゃんに対抗できる女なんて居ないのに、これに対抗できる男たちってどんな化け物ぞろいなんですかね?
477名無し@アカデミー賞
全員、完璧にドレスコードを守っているからツッコミ所は無いな。
478名無し@アカデミー賞
これに公式で文句をつけると、もれなく全世界のLGBTの団体から訴訟の嵐が待っているからなw
479名無し@アカデミー賞
星アキラひでぇwww
480名無し@アカデミー賞
あきらかに王賀美陸がツッコミに疲れてキレが無くなっているw
481名無し@アカデミー賞
授賞式を前に何気に覇気を失っているんだがwww
482名無し@アカデミー賞
明らかに疲れていて草www
483名無し@アカデミー賞
とんでもないトラップを仕掛けて来たな。星アキラw
484名無し@アカデミー賞
周囲のお客さんや記者たちはものすごく盛り上がっていて草
485名無し@アカデミー賞
王賀美陸とアキラ君達は一緒に会場に行くのか
486名無し@アカデミー賞
ハイスペック美少女を引き連れる大賀美陸の図w
487名無し@アカデミー賞
美女をエスコートする絵柄だけを見ると、王賀美はまさにスターなんだけどな・・・。
488名無し@アカデミー賞
連れているのが珍獣様ご一行だから、美少女の中身はスターと言うか、ハムスターだからな・・・。
489名無し@アカデミー賞
こんなの、完全に初見殺しだろwww。 王賀美陸も回避できんわw
490名無し@アカデミー賞
元スターズと現スターズの確執とは何だったのかw
491名無し@アカデミー賞
これは斜め上の確執が生まれた瞬間じゃね?www
492名無し@アカデミー賞
猛獣も珍獣の前には形無しだったw
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673名無し@アカデミー賞
なかなか、会場に入らないね。
674名無し@アカデミー賞
今、席替えの最中らしい。
675名無し@アカデミー賞
へー。寸前まで席替えするんだ。
676名無し@アカデミー賞
登場した参加者を見て、カメラ映りや話題性を考えて席替えされるらしいよ。
677名無し@アカデミー賞
これは珍獣を映したくなって、席を変更しているに一票!
678名無し@アカデミー賞
どうかな?
679名無し@アカデミー賞
あっ会場が開いた。
680名無し@アカデミー賞
みんな続々と席に着いて行くな。
681名無し@アカデミー賞
アキラ君達は、前から2番目の席で、すごくカメラに良く映る席だな
682名無し@アカデミー賞
絶対に星アキラを見て前の方の席に変えただろw
683名無し@アカデミー賞
うわっ、アキラ君のとなりがクリスチャン・ベーレだ。
684名無し@アカデミー賞
それぞれの連れを含めてみんなで楽しそうに話している
685名無し@アカデミー賞
すごすぎ。
686名無し@アカデミー賞
主演男優賞のノミネート者と助演男優賞のノミネート者同士だから何らおかしくはないんだけど、本当にすごいな。
687名無し@アカデミー賞
星アキラがハリウッドスターになったって感じがする
688名無し@アカデミー賞
千世子ちゃんとか景ちゃんもベーレの奥さんと話して楽しそう
689名無し@アカデミー賞
明神阿良也と星アキラもクリスチャン・ベーレと話し込んでいるな
690名無し@アカデミー賞
クリスチャン・ベーレも役者として、プロ中のプロだから話も参考になるだろう。
691名無し@アカデミー賞
すごい。なんかアキラ君が助演男優賞を取れるんじゃないかと思ってドキドキしてきた。
692名無し@アカデミー賞
俺もすごくドキドキする。
693名無し@アカデミー賞
本人は、全く緊張してい無さそうなのにwww
694名無し@アカデミー賞
クソガキは逆にリラックスモードだな
695名無し@アカデミー賞
この状況でリラックスできる星アキラ、本当にすげぇ。
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848名無し@アカデミー賞
いよいよ助演男優賞の発表だ
849名無し@アカデミー賞
助演男優賞は一番最初の発表なんだな
850名無し@アカデミー賞
主演男優賞はほぼ最後だから、星アキラが最初で王賀美陸がほぼ最後になるな
851名無し@アカデミー賞
一番最後は作品賞だけど、その一個前が主演男優賞だからな
852名無し@アカデミー賞
ノミネートされた俳優の紹介だ。
853名無し@アカデミー賞
みんなかっけえ。まさに名優。
854名無し@アカデミー賞
このメンバー中の星アキラの存在感www
855名無し@アカデミー賞
この濃いメンツの中にセイバーが混じるのは完全に反則だろw
856名無し@アカデミー賞
絵ずらがもう面白すぎるwww
857名無し@アカデミー賞
星アキラの紹介で司会者もノリノリだなw
858名無し@アカデミー賞
まじで面白いんだが。
859名無し@アカデミー賞
最初っからクライマックス来たw
860名無し@アカデミー賞
横のコスプレしたヒロインズも良い味を出しすぎwww
861名無し@アカデミー賞
星アキラの紹介もいいな。
862名無し@アカデミー賞
明らかに他のメンバーとも引けを取らないどころか、かなり行けそう。
863名無し@アカデミー賞
紹介VTRも力は入っているし、もしかしたら行けるかも!?
864名無し@アカデミー賞
カッコ良く紹介されているVTRと本人の落差よwww
865名無し@アカデミー賞
本人は、完全に物見遊山でリラックスしまくりw
866名無し@アカデミー賞
いよいよ発表!
867名無し@アカデミー賞
おおおっーーーーーー!!
868名無し@アカデミー賞
おーーーーー!
869名無し@アカデミー賞
まじで!?
870名無し@アカデミー賞
アキラ君おめでとう!!!
871名無し@アカデミー賞
あのクソガキが受賞!
872名無し@アカデミー賞
これはすごい!
873名無し@アカデミー賞
おめでとう!!
874名無し@アカデミー賞
まじでハリウッドで認められていたんだな。星アキラ本当に凄い。
875名無し@アカデミー賞
これは快挙。号外はまだか!?
876名無し@アカデミー賞
日本人初で最年少のアカデミー賞助演男優賞の受賞か!
877名無し@アカデミー賞
日本の役者でアカデミー賞受賞はすごすぎる!
878名無し@アカデミー賞
アキラ君おめ!
879名無し@アカデミー賞
アキラ君呆然wwww
880名無し@アカデミー賞
本人、絶対に本人は受賞するとか思っていなかっただろこれwww
881名無し@アカデミー賞
やばい。アキラ君が真っ白になっているw
882名無し@アカデミー賞
そりゃそうなるだろw
883名無し@アカデミー賞
アキラ君がぴょこぴょことステージに上がる。
884名無し@アカデミー賞
みんな笑いながら拍手している
885名無し@アカデミー賞
絶対に参加者も楽しんでいるだろこれww
886名無し@アカデミー賞
こんな状態でもちゃんとセイバーなんだな
887名無し@アカデミー賞
プロの役者根性を見たw
888名無し@アカデミー賞
これはスピーチが楽しみ。
889名無し@アカデミー賞
頼むから変なスピーチはしないでくれ!
890名無し@アカデミー賞
黄金のオスカー像をもらった。
891名無し@アカデミー賞
まじで受賞したんだ。 ドッキリじゃないよね?
892名無し@アカデミー賞
スピーチが始まる。
893名無し@アカデミー賞
初手、星キアラwww
894名無し@アカデミー賞
いきなり双子の妹から来たw
895名無し@アカデミー賞
同時通訳の人も戸惑いまくりwww
896名無し@アカデミー賞
星アキラに同時通訳させろよw
897名無し@アカデミー賞
事情を知らないと、同時通訳の人も本当に通訳が合っているのか不安だろうなw
898名無し@アカデミー賞
アキラお兄様の声?
899名無し@アカデミー賞
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
900名無し@アカデミー賞
超大喜びwww
901名無し@アカデミー賞
見てるこっちも嬉しくなる
902名無し@アカデミー賞
見事な喜びよう。マジでアキラ君がアカデミー賞受賞したんだな
903名無し@アカデミー賞
みんなにお礼を言うのがいいね。
904名無し@アカデミー賞
ただし画面は、超喜んでいるセイバーwww
905名無し@アカデミー賞
これは実質、TYPE-MOONが受賞したという事でいいのでは?
906名無し@アカデミー賞
アキラ君おめでとう!☆
907名無し@アカデミー賞
これはめでたい。
908名無し@アカデミー賞
今日はいい日だな。
909名無し@アカデミー賞
あの星アキラがハリウッドのトップ俳優に。マジですげぇ。
910名無し@アカデミー賞
本当に見事な喜びようだwww
911名無し@アカデミー賞
おめでとう!!
912名無し@アカデミー賞
最後は再び星キアラ嬢で締めか
913名無し@アカデミー賞
キアラ嬢もおめでとう!!
914名無し@アカデミー賞
キアラちゃんおめでとう!
915名無し@アカデミー賞
めちゃくちゃなスピーチなのにすごく感動した。
916名無し@アカデミー賞
本当に喜びが伝わってきて、いいスピーチだった。
917名無し@アカデミー賞
変なカッコつけたスピーチよりも素直ですごく良い。
918名無し@アカデミー賞
会場もスタンディングオベーションだな。
919名無し@アカデミー賞
まじで盛り上がっている。
920名無し@アカデミー賞
すげぇ。ハリウッドに星アキラが認められている。
921名無し@アカデミー賞
絶対にこのスピーチの場面、アカデミー賞の名珍場面で受け継がれるよ。
922名無し@アカデミー賞
ニュースだと、このスピーチの場面が何度も放映されるんだろうな。
923名無し@アカデミー賞
日本アカデミー賞よりも先に本場でアカデミー賞を取った男、星アキラ
924名無し@アカデミー賞
日本アカデミー賞さんにはやさしくしてやれよw
925名無し@アカデミー賞
あれは男なのか!?
926名無し@アカデミー賞
これなら助演女優賞もダブルで行けたかもなw
927名無し@アカデミー賞
会場も本当に盛り上がっているな
928名無し@アカデミー賞
この瞬間の視聴率すごそうw
929名無し@アカデミー賞
日本のスタジオの方も大盛り上がりだな。
930名無し@アカデミー賞
これは日本の芸能界でもビッグニュース!
931名無し@アカデミー賞
キノコがトイッターで大歓喜していてウケるwww
932名無し@アカデミー賞
実質的に型月の大勝利だからなw
933名無し@アカデミー賞
型月がハリウッドに送り込んだ刺客、星アキラ御一行www
934名無し@アカデミー賞
型月ヒロインズもみんな喜んどるwww
935名無し@アカデミー賞
まじであの四人って友達なんだなw
936名無し@アカデミー賞
ノリでみんなでコスプレしてくれるとか、いい関係だよね
937名無し@アカデミー賞
俺もあんな友達が欲しいw
938名無し@アカデミー賞
あっ、
939名無し@アカデミー賞
うっ・・・。
940名無し@アカデミー賞
痛い。
941名無し@アカデミー賞
ぎゃぁぁぁ!
942名無し@アカデミー賞
もっとリア充を満喫したかった・・・ガクっ
943名無し@アカデミー賞
何気ない一言がボッチ共に激しく刺さるww
944名無し@アカデミー賞
別に彼女って訳でも無いからいいだろw
945名無し@アカデミー賞
相手は童貞のアカデミー賞受賞俳優なんだから大目にみてやれよww
946名無し@アカデミー賞
何にせよアキラ君おめでとう!
947名無し@アカデミー賞
これでアキラ君もハリウッド珍獣だ!!
948名無し@アカデミー賞
また変な属性が追加されてるwww
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アカデミー賞実況スレ3
209名無し@アカデミー賞
アカデミー賞の授賞式って結構淡々と進んでいくのな
210名無し@アカデミー賞
アキラ君の受賞部分がおかしかっただけで、普通は紹介→発表→トロフィー渡し→45秒のスピーチを繰り返すだけだからな
211名無し@アカデミー賞
そのために注目の賞を散りばめているんだけど、あの珍獣のインパクトがすごすぎて全部持って行ったw
212名無し@アカデミー賞
確かにその後の賞ではそこまで会場が盛り上がっていないからな。 逆にあれが異常だったのか。
213名無し@アカデミー賞
衣装賞とか作曲賞とかは興味が無いと基本は地味だからな。
214名無し@アカデミー賞
この辺だけを見ても、星アキラは本場にも認められるエンターティナーだな。
215名無し@アカデミー賞
放送的にも助演男優賞受賞部分の視聴率がウハウハで、星アキラは確実に役割を果たしただろw
216名無し@アカデミー賞
何度もあの場面がリプレイされているからなw
217名無し@アカデミー賞
途中までのハイライト動画でも全部持っていってるw
218名無し@アカデミー賞
次は撮影賞か。 『ナショナルクリミナル4』がノミネートされているんだよな。
219名無し@アカデミー賞
紹介を見ていると、ナショナルクリミナル4の撮影シーンが他と違いすぎて笑えるw
220名無し@アカデミー賞
出た。もんじゃ焼きのシーンwww
221名無し@アカデミー賞
あのシーンってこんなカメラ配置だったのね。
222名無し@アカデミー賞
まじでぶつけ本番だw
223名無し@アカデミー賞
さすがにこれじゃ、脚本賞は無理だったな。
224名無し@アカデミー賞
碌な脚本が本当に無いからな。この映画w
225名無し@アカデミー賞
来た。ナショナルクリミナル4が受賞。
226名無し@アカデミー賞
助演男優賞に続いての二つ目の受賞! すごい!
227名無し@アカデミー賞
監督さん、助監督さん、チーフカメラマンが舞台に上がる。
228名無し@アカデミー賞
アキラ君も誘われて一緒に舞台に。
229名無し@アカデミー賞
アキラ君が一緒に舞台に上がると、本当に華があるな。
230名無し@アカデミー賞
みんな嬉しそう。
231名無し@アカデミー賞
みんなで抱き合っとるw
232名無し@アカデミー賞
監督さんが代表で歓喜のスピーチ
233名無し@アカデミー賞
これにはスタッフたちも大満足だろう。
234名無し@アカデミー賞
みんな嬉しそう。
235名無し@アカデミー賞
そりゃ、アカデミー賞の栄冠を受けるとか一生に一度あるか無いかだからな。
236名無し@アカデミー賞
これはスタッフたちは、今夜は集まって飲み会ですわwww
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392名無し@アカデミー賞
なんか星アリサが救急搬送されたらしい。
393名無し@アカデミー賞
えっ、マジで!? 大丈夫なの?
394名無し@アカデミー賞
今、病院から中継が行われている。
395名無し@アカデミー賞
息子の受賞にびっくりして、胃痙攣を起こしただけで、命に別状は無いってさ。
396名無し@アカデミー賞
これはwwww
397名無し@アカデミー賞
息子のどの部分にびっくりしたんでしょうかね?
すごく気になりますねw
398名無し@アカデミー賞
息子が助演男優賞を受賞してうれしさのあまり、胃痙攣を起こしたなw
399名無し@アカデミー賞
育児放棄をしていた息子が非行に走って、アカデミー賞の授賞式にセイバーのコスプレで出演した挙句、思わず助演男優賞を受賞とか、それは心身に負担がかかりますねぇwww
400名無し@アカデミー賞
斬新すぎる非行だろww。 盗んだバイクで走り出すよりも、はるかに難易度が高すぎるだろw
401名無し@アカデミー賞
反抗期の子供を持つ親は大変だなw
402名無し@アカデミー賞
こんな反抗期の子供なんて見た事が無さすぎて草生えるwwww
403名無し@アカデミー賞
なお、クソガキ本人は非行とか社会への反抗とかは全く考えていない模様w
404名無し@アカデミー賞
星アリサ伝説に新たなる(不名誉な)一ページが加わってしまったwww
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584名無し@アカデミー賞
さあ、監督賞。
585名無し@アカデミー賞
こちらは「ナショナルクリミナル4」が最有力だけどどうかな?
586名無し@アカデミー賞
でも他の監督さんもすごいな。
587名無し@アカデミー賞
監督紹介のVTRもカッコええ。
588名無し@アカデミー賞
「ナショナルクリミナル4」の監督さんは映画を沢山作っているけれども、監督賞のノミネートは初なんだ。
589名無し@アカデミー賞
紹介された映画は、みんなそこそこのやつだけど、確かに賞をもらうほどではないからなぁ
590名無し@アカデミー賞
ヒロインさんがケガしたからって、全部アドリブの一発撮りとかよく決断したよな。
591名無し@アカデミー賞
こういう決断ができる所が生え抜きなんだろうね。どちらにせよ、今回の映画で評価を大きく上げた事は間違い無いよ。
592名無し@アカデミー賞
結果的に撮影が間に合って、予算内に収まり、映画が大ヒットで星アキラも助演男優賞と本当にいろいろ恵まれたからな。
593名無し@アカデミー賞
是非この監督さんにも監督賞を取ってほしい。
594名無し@アカデミー賞
発表来るね。
595名無し@アカデミー賞
来たっ。『ナショナルクリミナル4』
596名無し@アカデミー賞
3冠来たな。
597名無し@アカデミー賞
監督さん、超うれしそう。
598名無し@アカデミー賞
また、助監督さんと、チーフカメラマンさんと、アキラ君が舞台に立つw
599名無し@アカデミー賞
嬉しさのあまり、監督さんがアキラ君の頬にキスwww
600名無し@アカデミー賞
これは監督さんも性癖こじらせましたわw
601名無し@アカデミー賞
ナショナルクリミナルシリーズの最強ヒロインが誕生した瞬間であるwww
602名無し@アカデミー賞
今年のナショナルクリミナル5のヒロインはセイバーで決まりだなw
603名無し@アカデミー賞
やめてっ。物理攻撃が万能すぎてキヌスの出番無くなっちゃうwww
604名無し@アカデミー賞
敵もサーバントを召喚してきたらワンチャン。
605名無し@アカデミー賞
完全に別の映画じゃねぇかwww
606名無し@アカデミー賞
シナリオをキノコに書いてもらえよw
607名無し@アカデミー賞
美味しそうにごはんを食べるからいいんじゃないの?
608名無し@アカデミー賞
大飯ぐらいのポンコツキャラだから映画の主旨に合っていると言えば合ってる。
609名無し@アカデミー賞
監督さんが我を忘れて大歓喜w
610名無し@アカデミー賞
そりゃ、自分の仕事が評価されたんだから気持ちはわかる。
611名無し@アカデミー賞
スピーチが始まるね。
612名無し@アカデミー賞
アキラ君が助監督さんに何か言っている。
613名無し@アカデミー賞
助監督さんとアキラ君が監督さんの横に来たな。
614名無し@アカデミー賞
右手に撮影賞を持った助監督で、左手に助演男優賞?を持った星アキラが控えて、すごく絵になる。
615名無し@アカデミー賞
これはスクショポイント。
616名無し@アカデミー賞
オスカー像が3個ですごく絵になる。
617名無し@アカデミー賞
流石はアキラ君。カメラ写り最高。
618名無し@アカデミー賞
監督さん、監督人生を振り返っての大歓喜スピーチ
619名無し@アカデミー賞
本当にうれしそうだな。
620名無し@アカデミー賞
会場も再度スタンディングオベーション。
621名無し@アカデミー賞
監督さんも幸せの絶頂だな。
622名無し@アカデミー賞
後でアキラ君もスタッフ達と記念撮影とかするんだろうな。
623名無し@アカデミー賞
本当に良かった。
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831名無し@アカデミー賞
次が主演男優賞か。
832名無し@アカデミー賞
またワイドショーとか各局が生中継入れ始めてる。
833名無し@アカデミー賞
星アキラ受賞は号外が出ているからな。王賀美陸も受賞するととんでも無い騒ぎだろうな。
834名無し@アカデミー賞
是非、王賀美陸にも主演男優賞を取ってほしいな。
835名無し@アカデミー賞
いや、それは無理ゲーだろ・・・。一緒にノミネートされた人たちの名前見た?
836名無し@アカデミー賞
レオナルド・ディカプリフ、クリスチャン・ベーレ、マリュー・マコノヒー
うん。これはチャンスがあるとか考える方がおかしい。
837名無し@アカデミー賞
むしろ、この人たちと一緒にノミネートされただけでも、本当にハリウッドで評価されたって事だぞ。
838名無し@アカデミー賞
ディカプリフですら、まだ主演男優賞を受賞した事が無いからな。
839名無し@アカデミー賞
本当にこれで取れたらすごいね。
840名無し@アカデミー賞
アキラ君の場合は、年齢的な部分以外は基準を満たしていて、年齢部分だけがネックだったからチャンスがあったけど、これは無理だな。
841名無し@アカデミー賞
発表来る!
842名無し@アカデミー賞
頼む王賀美陸にもアカデミー賞を!
843名無し@アカデミー賞
お願いっ!
844名無し@アカデミー賞
マリュー・マコノヒーかぁ・・・。
845名無し@アカデミー賞
残念だな。日本人としては王賀美陸に受賞してほしかったが。
846名無し@アカデミー賞
王賀美さんダメだったかぁ・・・。
847名無し@アカデミー賞
このメンバーでは仕方が無い。
848名無し@アカデミー賞
『ダラス・バイヤーズCr』でHIV患者を演じるために17Kgも減量したからね。この人・・・。本当のプロフェッショナルだよ。
849名無し@アカデミー賞
うわぁ。明神阿良也とかも将来こうなるのかな?
850名無し@アカデミー賞
今回の授賞式でアキラ君やハリウッドの俳優達を間近に見ていろいろ刺激を受けたから、将来は明神阿良也が主演男優賞を取る未来もあるかもな。
851名無し@アカデミー賞
明神阿良也もマジ物の天才だから将来に期待だな。
852名無し@アカデミー賞
今年もディカプリフ落としちゃったか。
853名無し@アカデミー賞
ディカプリフはアカデミー賞と本当に相性が悪いな。
854名無し@アカデミー賞
まぁ、正直な話他のメンバーを押しのけて王賀美陸が受賞しちゃったら、このメンバーだと何で?って感じになるから、仕方が無いね。
855名無し@アカデミー賞
むしろ、星アキラの方がその意味ではミラクルすぎたな。
856名無し@アカデミー賞
それだけハリウッドに衝撃と新しい風を吹かせたんだろうね。
857名無し@アカデミー賞
会場の盛り上がりもアキラ君の方がすごかったからね。
858名無し@アカデミー賞
スピーチ後のあの時は全員が立ち上がってに熱狂しながら拍手してた。 助演男優賞を落とした俳優すらこれは仕方が無いなって表情で微笑みながら拍手していたからな。
859名無し@アカデミー賞
アキラ君は主役じゃないけれども、人を熱狂させる才能があるよね。
860名無し@アカデミー賞
まだまだ王賀美陸もチャンスがあるし、アキラ君にも、阿良也君も千世子ちゃんも景ちゃんも全員にチャンスがあるから、日本を飛び出して頑張ってほしい。
861名無し@アカデミー賞
新しい時代が始まる瞬間を目撃した気がする。
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星アキラの初詣
時はちょっと遡って2014年のお正月。
いつものメンバーがそろって大晦日でお蕎麦を食べて、紅白歌合戦を観てそのままゆく年くる年を観て僕たちはお正月を迎えた。
ちなみに、千代子ちゃんは両親と一緒に大晦日を迎えた後にお正月は僕たちの家で過ごすことになっていた。
いつものメンバーと一緒に夜凪ママが用意してくれたおせち料理を食べた後に、アリサママと夜凪ママから常識的な額のお年玉をもらって、僕たちは近所の神社に初詣に行くことにした。
ちなみに、収入がある僕たちは、ルイ君とレイちゃんにお年玉をあげたため、ルイ君とレイちゃんはプチバブルに沸いていた。とはいっても、もうすぐ3歳児ぐらいなので、お金の使い方はよくわかっていなさそうで、夜凪ママが将来の学費として管理することになったけどね。
小学校に入ってお金を自分で使えるようになると、正月は豪遊するようになるんじゃないかな? もっともお金で苦労した夜凪ママが、双子を甘やかすほどお金を与えるとは思えないけど・・・。 むしろ要注意人物はアリサママかもしれない。 双子におねだりされたら、すぐにいろいろ買ってあげそうだ。
僕たちの行く神社は街中にひっそりと建つ神社で、近所の人が中心の参拝客もそんなに多い神社じゃなかった。
正直な話、僕たちは都内の有名神社に何時間も並ぶ気にもなれなかったし、並んでいる最中に僕たちだって気づかれたら面倒なことになるので、人が多い神社には行く気が無かった。
有名神社の神様もあんなに正月はたくさんの参拝客に参拝されて多忙だろうしね。
僕たちは普通の格好で、伊達眼鏡とか帽子とかを被って外出した。
一緒に行ったのは、僕、阿良也、雪ねぇちゃん、千世子ちゃん、景ちゃんの五人で外出する事にした。 夜凪ママと双子、アリサママについては後で参拝に行くらしい。
髪型のセットをちょっと変えて、顔の輪郭を隠して、人の波に溶け込みやすい彩色の服装で行けば、意外に僕たちだってバレない。
ただし、そんな生活の結果、芸能人として世間一般で想像される派手な生活とは裏腹に、僕たちは私用のおしゃれな服装というのをそんなに持っていなかった。
もちろん、おしゃれな服装もあるにはあるけれども、完全に仕事に着て行く用だった。
番組とかに出演する場合には、私服ではなくスタイリストさんが持ってきた服であることが多いし、仕事用の服と私服は似ているようでやっぱり違った。
ただ、目立ちにくい私服といえども、どこで写真を撮られるか判らないのでそれなりに質の良いものを着ているよ。
特に阿良也はこの辺のバランスが非常に良くて、割とシンプルだけど目立ちにくいわりには、よく見るとおしゃれというラインを野生の勘で着ていた。
ちなみに僕の服選びはそこまでセンスが良いわけではなく、千世子ちゃんからは「無難で及第点なんだけど、そこまでのセンスでは無いわね。」という評価を得ていた。
僕も目立ってもいいならそれなりの服を着こなせると思うんだけど、こういう事情を抱えた服選びは本当に難しかった。
そういえば、景ちゃんも稼ぎも結構なものになるけど、倹約家だし普段着も質素なものか、安くて人気が無い、怪しいTシャツが多いかな?
景ちゃんの弱点はお洒落が壊滅的なので、仕事の際には必ずスタイリストさんが付いて服装のセッティングを行っている。
ちなみに、メソッド演技で別人の演技をしているときは、ちゃんとその別人が選ぶような服装を着るので、景ちゃんは天才すぎると思う。
景ちゃんはアリサママの演技指導のおかげで、自分の自意識と演じている人物の意識を完全に切り分けて演技ができるようになっていた。 こんな器用な真似は大人になって演技指導を始めても絶対に無理だろう。 この辺にアリサママの演技指導の効果は如実に表れていた。 アリサママに英才教育を受ける景ちゃん・・・。 将来が末恐ろしい。
僕たちの放送時に景ちゃんは、僕とか夜凪ママ、雪ねぇちゃんなんかが服を確認しているね。
景ちゃんも今は変なセンスを披露しなくても、売れているんだから無理に変な色を付ける必要も無いしね。 それが息苦しくなってきたら、その時にどういう服を選ぶかを自分で考えればいいと思うよ。
雪ねぇちゃんは沢山の映画を観ていて、今年高校に入学する年齢のせいか、かなりファッションセンスは良かった。僕たちのアルバイトで収入も結構あるので、ファッション雑誌とかも買っているらしい。
千世子ちゃんも、もちろんセンスが良かった。
撮影された自分をあそこまで俯瞰視する人物が、自身のファッションセンスが悪い訳が無かった。 千世子ちゃんのファッションは女性にも人気があった。
ちなみに、千代子ちゃん曰く「アキラちゃんは、男性の服を選ぶよりも、キアラちゃんの服を選ぶ方がはるかにセンスが良いわ。」という事で、僕は景ちゃんと一緒に千世子ちゃんの買い物に付き合わされる事が多くなっていた。
その時に一緒に放送用のキアラの服も買うから丁度いいけどね。
景ちゃんは千世子ちゃんの買う服の値段に目を回すことも多かったけど、ぶっちゃけ仕事着だからねぇ。 私用でも使える関係上、経費では落とすのは難しいけれども、自分のブランドを保つための文字通り必要経費だから、無理に贅沢をする必要はないけれども、必要十分な質の良い服は購入する必要があるんだ。
そんな感じで僕たち5人はファッションの話題とかをだらだらと喋って、道を歩きながら近所の神社に到着する。
入口で町内会の人たちが甘酒などを配っていたので、僕たちは挨拶を行うと鳥居にも一礼して鳥居をくぐり抜けて神社の境内に入った。
そして手を洗って、お賽銭を入れてお参り。
「今年もみんなで幸せに過ごせますように。」
僕たちはみんなでお参りを済ませると、社務所に寄っておみくじを購入した。
僕と千代子ちゃんは大吉、景ちゃんと阿良也は中吉、雪ねぇちゃんは吉でみんな概ね運勢が良かった。
最後に入口で甘酒を美味しくいただいた後に、バトミントンをしたり、羽子板をしたり、双六で楽しんだりして、僕たちはのんきにだらだらと楽しくお正月を過ごした。
えっ? オチが無い? 平和すぎる? 別にいいじゃん。
こうして正月をみんなと一緒に、平和にだらだらと過ごせる事が何よりの幸せだよ。
なお、アリサママの今年のおみくじは大凶で、今年はストレスと胃腸に気を付けるように書かれていたらしい。
この二か月後のアカデミー賞の授賞式でアリサママが胃痙攣で救急搬送される事になるので、ここのおみくじは良く当たるみたいだね。
今年もよろしくお願いいたします。
皆様にとって良い一年になりますように。
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【Live】祝!アカデミー賞受賞記念放送 ゲストも居るよ!
放送準備中。もうちょっとで始まるよ。
アキラ君のアカデミー賞記念。すごく楽しみだ。
あの授賞式はすごかった。
まさに歴史に残る授賞式だったなw
アキラ君がアカデミー賞受賞者なんてまだ信じられない。す朝野いちごch
これは記念すべき放送。
ゲストは誰なのかな?
あっ始まる。
「おはこんばんにちは。役者なのにみんなのアイドル。わからせたい子役ナンバーワンの天才俳優 星アキラです。今日は僕がアカデミー賞の助演男優賞を受賞という事で、アメリカから緊急生放送だよ。」
助演男優賞受賞おめでとう!!
アキラ君おめ!
本当に感動した!
これでアキラ君もハリウッドスターだなw
マジですごかった。
ところで、すごくセンスがいい所から配信しているね。
どこなの?
ホテル?
すごくモダンな部屋だよね。
「俺の家だ。」
王賀美陸!?
王賀美さんナンデ!?
えっ? どういうこと!?
何が起きたの!?
マジでなにがどうなったの!?
意味不明すぎる。
なんでアキラ君が王賀美陸の部屋で配信しているの!?
「細かい事はどうでもいいじゃないか。 それよりも僕のアカデミー賞受賞をもっと喜んでよ。」
どうでも良くない!
なぜこうなった!?
何をどうしたらこうなるの?
意味不明すぎる
説明を求む!
過程が謎すぎる!
さすがに説明を要求します!!す朝野いちごch
「いや、単純に僕が助演男優賞を取れたら、王賀美兄さんが僕の放送にゲスト出演してくれて、王賀美兄さんが主演男優賞を取ったら、アリサママが土下座で謝罪するっていうのを賭けたら、僕が勝っただけだよ。」
「このクソガキが受賞会場で会ったときに挑発してきて、あの王賀美陸が主演男優賞を取る自信が無いの? そんなヘタレに育っちゃったんだ。 へぇー ( ゚∀゚)ω とか挑発してくるから、思わず賭けに乗ったらこの始末だ。」
「二人とも受賞できる可能性は低いとは思っていたけど、とりあえず無駄そうでも僕にとってノーリスクなら賭けておくべきだね。 見事、王賀美兄さんの部屋に入って、ケータリングでもてなされながらの配信だよ。 タダ飯で食べるフォーチュンクッキー(゚Д゚)ウマー」
「このクソガキが!! どうやったら、あのアキラからこんなクソガキになるんだ! うおりゃっ」
「痛い痛いイタイ。コブラツイストは反則だよ!? ぎゃぁぁっっっ。」
合掌。
これはひどいw
アキ虐成立w
息子に勝手に賭けの対象にされるアリサママ、不憫すぎるだろw
これはクソガキすぎるw
さすがにこれは王賀美陸に同情するかなぁ・・・。
なぜこんな賭けに乗ってしまったんだ。
王賀美兄さんって思いのほか抜けているよね。
この話を聞いたとき、さすがに私もびっくりしたわ。 す百城千世子ch
千世子ちゃんw
千世子ちゃんもキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
「王賀美兄さんとは2年ぐらいの付き合いだったけど、まさにスターというのを体現した人だったね。 主演した映画はみんな大ヒット。 いろんな俳優賞を総なめで向かうところ敵なしだったね。」
「アキラはその時は事務所の先輩だったけど、すごく静かな男の子であんなにしっかりしていて優しかったのに、なぜこんなクソガキに・・・。」
「いろいろあったんだよ。 いろいろと。 僕がクソガキになったおかげで、アカデミー賞を受賞したんだから結果オーライだよ。」
「意味が全然わからん。」
王賀美兄さんは頭を左右に振って、現実逃避をしているみたいだ。
「そんなわけで、みんなが気になる質問をしていくよ。」
いまだにスターズに恨みがあるの?
|
「お前すごいな。 よく俺にこんなダイレクトな質問をしてくるな。」
「僕を見直したでしょう! まさに天才配信者だよね。」
「何が天才だ。何が。 お前は天災の間違いだろ!!」
「ぎゃーーっ。痛い痛いイタイ。 キャメルクラッチはダメだって。 背骨折れちゃうっ。」
「はぁ、はぁっ、くそっ。 なんで俺がこんな珍獣に弄ばれているんだ。」
「王賀美兄さん、何かお怒りのようですね。ストレスを貯めるのはよくないよ。」(o゚∀゚)ノ
「お前はゾンビかよ!?」
「というわけで、僕は王賀美兄さんのスターズへの恨みに興味しんしんなんだよ。」
「恐ろしすぎる。 これが星アキラ。 アメリカの友人すらこの話に触れないのに、当事者の一味がダイレクトアタックで突貫してくるとは・・・。」
「実は、日本の芸能界でのくだらないしきたりとか出来レースに飽き飽きしていただけで、スターズ自体はそんなに恨んでいねぇ。」
「なんやかんや言っても、ただの非行少年だった俺を見つけ出して、俳優という天職の基礎を教えてもらったし、スターの道を示してくれた訳だからな。」
「ただし、意見の相違で俺はスターズを辞めた訳で、俺の意見が正しかった事を証明して、スターズを見返してやりたい気持ちは誰よりもある。」
「王賀美兄さんはもう、十分にスターズを見返していると思うけどね。」
「日本の芸能界のしきたりについては、くだらない村社会の慣習とみるか、様式美とみるかで、大分意見が分かれるだろうね。」
「アキラはあんなに、なあなあで事務所の意向に沿った活動しかできない日本の芸能界に満足しているのかよ?」
「別に? そんなことを考える事自体が無駄だね。 活動できるのであればどこでもいいし、日本の芸能界の枠に息苦しくなったら、王賀美兄さんがやったように、フロンティアを開拓すればいい。 そもそも何で、日本の芸能事務所があんな風に村社会っぽい慣習が残っていると思う?」
「知るかよ! おおかた既得権益にしがみつくジジババどもの意向だろ。」
「まぁ、ぬるま湯だからそういう面もある。 確かにそれが生み出す非効率的な部分は、親方日の丸ほどでは無いにしても、あるにはあると思う。」
「でも多くの理由は、日本という限られた環境の中でのリソースの最大化と優しさの表れだね。」
「俺に業界の見せしめを考えるような、あんなやつらに優しさとかある訳が無いだろ!」
「それがあるんだよね。 逆の立場に立つとちゃんと存在している。 そして度合いが違うだけで、アメリカにもちゃんとある。」
「王賀美兄さんが言うように、みんな自分の力を100%発揮して演技するとしようか。そうすると、才能の無い人間は挫折する。」
「当然だ。 才能の無い人間が残れるほど甘い世界じゃない。」
「そして、残った才能のある人間を比較して、相対的に才能の無い人間が挫折する。」
「それは役者としての能力を競い合っているんだから当然じゃないのか?」
「そして、さらに残った才能のある人間を比較して、相対的に才能の無い人間が挫折する。 それを繰り返すと、俳優自体がどんどん減少していく。」
「そんな事は無いだろ。 新しく俳優を目指す人間が入ってきて競争をすればいいだけだ。」
「スマフォゲームの上位ランカーみたいな重課金者クラスばっかりになってしまった魔境の芸能界に、新しく俳優を目指す新人が入ってきて勝負になると思うの? 鎧袖一触で敗れて挫折だよ。 もしくは何年に一度かの本当の天才だけが生き残るかもね。 でもそれはごく少数だ。」
「こうなると、芸能界のパイはどんどん縮小していく。 そして芸能界を目指す人間も居なくなる。 なぜなら芸能界はリスクが高すぎる職業だからね。 少なくとも実態が伝わると、若かりし頃の王賀美兄さんみたいに、芸能界に夢を見る人間はほとんど居なくなる。」
「だから日本の芸能界は、限られた人員と才能の中でパイを最大化するのと同時に、俳優を守るために、ああいった事務所の意向が強くなるし、アリサママのいう通り、将来有望だけど今は力のない俳優と組むことになったりする。 その煽りを受けて、王賀美兄さんも力をセーブしなければいけない場面が出てくる訳だ。」
「確かにバカバカしいしきたりとか、考え方だし、かなり不条理な一面もある。 でも同時に自分の意見を尊重してもらいたいのであれば、彼らなりの生存戦略についての意見も聞いてあげるべきだと僕は思うな。」
----------------- 王賀美陸の視点 -----------------
突然、星アキラが訪ねてきて、なし崩し的に始まったYoutubeの生放送。
俺は、アカデミー賞の会場でこんな賭けをした事を心底後悔したが、俺の意見に真っ向から堂々と反論してきたアキラの意見を聞いて、なるほどと思った。
そういえば、アキラは俺より俳優としては先輩で、才能が無いといわれていたような環境でしぶとく生き抜いてきて、今回、助演男優賞を受賞するまでに至った訳だ。
昔の俺であれば、アキラが共演者であればアキラを潰すことは簡単であっただろう。 しかし、そこで潰してしまったら、今のアカデミー賞を受賞したアキラは存在しなかった訳だ。
星アリサは、別の事務所の俳優であっても相手を潰さないようにいつも気を配っていた。
そういった所がスターズという事務所を一代で大手芸能事務所へと発展させた一因であるのだろう。
確かに、共演した俳優を潰すような芸能事務所と組みたい芸能事務所なんて存在しないだろう。 俺はこういった事を理解しないで、我儘を言っていたのか。
「ありがとう。 昔の俺もちゃんとアキラや白石さんの言う事に耳を傾けるべきだったな。」
「そうでしょう。 そうでしょう。 王賀美兄さんと違ってアカデミー賞を受賞した僕が言うんだから間違い無いよ。」
「でもお前はムカつく。」
尊敬したのも一瞬のことで、わざと俺の気に障るような、発言をして見事なドヤ顔をするアキラに心底ムカついた俺は、サソリ固めをかけることにした。
----------------- 王賀美陸の視点終わり -----------------
「ぎょええええっ。 関節がミシミシ言ってる。 サソリ固めは反則だって。 ギブっ、ギブだからっ!」
「ふざけるな。 お前がちゃんと反省するまで技をかけてやるからな。」
途中までイイハナシだったのにな~。
なぜ、いい感じで終わらせようとしないのか。
これは王賀美陸が感動して、和解する流れだったんじゃないの?
こんなことで争いが無くなるなら人類はもっと平和。
論破したところで、恨みは残っているんだから現実はこうなるよね。
王賀美陸に、こうも喧嘩を売れるアキラ君がすごすぎる。
アキラ君、超涙目でウケルwす朝野いちごch
しかし、サソリ固めをかけながらも、意外に兄弟っぽくて仲は良さそうだな。
王賀美陸×星アキラの絡みに感動。
↑この絡みは本当に一緒に出演という意味の絡みなんでしょうかね・・・。
┌(┌^o^)┐ホモォ...
また出やがった。どこにでも出るな。こいつら。
アキラ君に絡むと、腐女子のエサが増えていくw
腐女子どもにエサを与えるなwww
------------------------------------
「今日は何回プロレス技をかけられたか判らないよ。僕のアカデミー賞受賞の記念配信なんだから、王賀美兄さんもちゃんと配慮してよ!」
「反省もせずに、俺の気に障る発言を何度も言うアキラが悪い。 そもそもお前、助演男優賞の受賞についての話なんて全然していないじゃないか!」
「アカデミー賞の話をしなくても、ネタを提供する王賀美兄さんが悪い。 ちゃんと反省してよね!」
「俺が悪いのかよ。 なんかすごく頭が痛くなってきたわ。」
「そんなわけで、僕はアカデミー賞の助演男優賞を受賞したんだよ。 みんな祝って!」
わー。おめでとう(棒)
すごいねー。すごいでちゅねー。
エライエライ
今度またよちよちしてあげるね。す朝野いちごch
すごいねー(棒)
アキラ君ならデキルトシンジテイタヨ。
何が”そんなわけ”なんだ?
こんな状況でお祝いのメッセージを要求する強心臓よ。
偉業を達成したはずなんだけど、なんか素直に祝いたくないなぁ。
アキラちゃんおめでとう! す百城千世子ch
ほら、優しいチヨコエルからお祝いが来たぞw
千世子ちゃんw
アキラちゃん。おめでとう! 今度一緒にホテルに泊まりましょうね。す明神ラーヤch
ラーヤwww
明神ラーヤwwww
ラーヤでYoutubeチャンネル持っていたのかよwww
これは笑えるw
まじかよw
「最後に音楽の時間だね。 今日は同じアカデミー賞で歌曲賞を受賞した『アナと雪の女王』の『レット・イット・ゴー』だよ。 日本での愛称はレリゴーで去年、超有名な曲になったね。」
「王賀美兄さんの気が利かないせいで、王賀美兄さんの家にグランドピアノが用意されていないので、仕方が無いから持ってきたヴァイオリンとキアラの歌と、打ち込みのピアノだね。」
「普通の家にグランドピアノなんて用意出来るわけが無いだろ!!」
えーーー。もう終わりなの!?
もっと王賀美さんの話聞きたかった。
ぶぅ━━q( ̄(oo) ̄)p━━っ!!
アカデミー賞の話もしてよ~。
これはもっと続けてほしい
もっとこの絡みを見たかった。
是非、王賀美兄さんには日本の芸能界にも復帰してほしい。
「それでは行きましょう。」
ヴァイオリンとキアラちゃんのストレートな歌声がマッチして素敵。
ヴァイオリンの響きがいい。
ありの~ままの~♪
サビ来た。
だってもう自由よ~。
やっぱりいいな。
自分を試したいの~♩
すごく勇気づけられる曲だよな。
一緒に歌ってしまうw
「アキラって、こんなに歌とヴァイオリンが上手かったんだな。 感動した。」
「ありがとう。 人っていろんな面があるから楽しいよね。」
「それじゃ、またね~。」
バイバイ~☆
バイビー☆
バイバイ☆
まさか、王賀美陸が登場するとは。
またねーーー☆
家にアキラ君が押しかけていたのがウケル。
バイバイ☆ す明神ラーヤch
さよなら~☆
さいならー☆
今回のお話で、アキラ君のアカデミー賞受賞のお話もひと段落となります。
ただいま、お正月で実家に戻っていてちょっと忙しいのと、お正月休みをいただきたいので、次回の更新は1月9日(月)からを予定しております。
次回の更新までちょっとお待ちください。
それでは。
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海外の反応 星アキラ、アカデミー賞受賞の反応
星アキラのアカデミー賞助演男優賞の受賞。
受賞も驚きでしたが、コスプレも海外の人たちに大きなインパクトを与えたようで、これまたお祭り騒ぎになっております。
そんな海外の掲示板からの反応をどうぞ。
1海外の反応
アキラ・ホシのアカデミー賞受賞、マジで笑ったんだが。
あの変装は『ナショナルクリミナル4』で見せた変装の一環なのかな?
2海外の反応
あれはジャパニーズの若者で流行っているCostume playだな。
MangaとかAnimeの格好を仮装して楽しむ遊びだ。
3海外の反応
アメリカのConventionとかでもコスプレされる事があるけれども、やっぱり日本ほど盛んじゃないな。でも男の子が女の子に変装してあんなに美少女になるなんて驚きだよ!
4海外の反応
アキラ・ホシはfateのセイバーのコスプレで受賞式に行ったんだろ?
あの恰好で堂々と授賞式に出られるとかすごいよな。
5海外の反応
あの王賀美陸がひたすら困っていて笑った。
6海外の反応
アキラ君の格好はすごくキュートだったわ。
あのノミネートされた人たちの中で断然アキラ君が良かったわ。
7海外の反応
アキラ君と友達もみんなコスチュームを合わせてきて良かったね。
8海外の反応
あの子たちは、若草物語の舞台で四姉妹を演じた友達同士なんでしょ?
みんな仲が良くて素敵よね。
9海外の反応
あの中だと、青いドレスを着た子が最高に美人だったな。
俺、ファンになっちゃったよ。
10海外の反応
あの子、男だぞ・・・・。
11海外の反応
ええええええっ。
12海外の反応
Oh my god!
13海外の反応
本当に!?
14海外の反応
これを見ろ
https://www.youtuexx.com/watch/xxxxxxx
15海外の反応
げっ、若草物語のキャスト紹介で、メグが男・・・。
この男があの青いドレスの美人なの!?
16海外の反応
アキラも美少女すぎるけれども、アラヤも美人すぎるだろ!
17海外の反応
二人ともこんなに美少女になるのか日本人おそるべし
18海外の反応
流石は、アカデミー賞で最年少の助演男優賞受賞者。 友達も本人も半端ないぜ。
19海外の反応
アキラ・ホシの助演男優賞はマジかと思ったけど、功績を考えればすごく妥当なんだよな。
20海外の反応
年齢だけが問題だっただけで、『ナショナルクリミナル4』をあそこまでヒットさせたのはアキラ・ホシの功績だからな
21海外の反応
実際、『ナショナルクリミナル4』はアキラの力でアカデミー賞の3冠を取得したからな。 それを考えると受賞はすごく妥当だろう。
22海外の反応
アキラ君自体の演技もすごく良かった。 女装もあったけど、それだけじゃないんだよね。
23海外の反応
俺も何度も映画館に観に行ったよ。
24海外の反応
キヌスとの掛け合いが最高だった。あの小粋なジョークも素敵だった。
25海外の反応
安心して見ていられるのに面白いんだよな。
26海外の反応
あの活躍であれば、助演男優賞をもらうのも納得だね。
27海外の反応
考えてみればあの年齢であの演技は本当にすごいよな。
28海外の反応
ほとんどアドリブであれだからな。 現時点でもトップレベルの俳優だろ。
29海外の反応
逆に他の人が選ばれた方が何で!?ってなりそうだったからな。
30海外の反応
商業面と演技面の両方でベストだったから、年齢面のハンデを吹き飛ばしたな。
31海外の反応
実際大人顔負けの演技だったからな。助演男優賞を受賞してもそこまで反発は無かったしな。
32海外の反応
あの子役が演じているんじゃなくて、そういう人物が居る感じの演技はすごいよな。
33海外の反応
スピーチも本当に良かった。全身で喜びが伝わってきたね。
34海外の反応
あのスピーチはアカデミー賞の全部のスピーチの中で一番良かった。
変に恰好つけずに素直に気持ちを表現していていすごく好感が持てた。
35海外の反応
一番リプレイされていたスピーチだったからね。
36海外の反応
それどころか、一番視聴率を取った瞬間だったらしい。
37海外の反応
すげぇな。確かにあの瞬間は視聴率は取れるkkk
38海外の反応
タキシードを着た4人に紛れて完璧な美少女が助演男優賞を競っていた画がアカデミー賞の歴史の中でも珍シーンすぎたな。
39海外の反応
アキラに決まった瞬間に、他のノミネート者がこれは仕方が無いって表情をしてたのが印象的だった。
40海外の反応
まぁ、いろいろとあれには対抗できないからね・・・。
41海外の反応
どんな教育をしたらあんな天才俳優が生まれるんだ!?
42海外の反応
母親の名前はアリサ・ホシ。 カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞したことがあるこれまた天才女優だな。 アキラ・ホシに似てものすごい美人でとんでもない役者だよ。
43海外の反応
日本中心の活動だったけれども、海外の映画も何本か出ているな。
アメリカで暮らしていたこともあるらしい。
44海外の反応
ボンドガールとして出演した事もあるから、その意味でもすごく有名な女優だよ。
45海外の反応
母親がボンドガールで息子がナショナルクリミナルのヒロイン?か。
これは間違いなく母親の血を引いているな。
46海外の反応
ただ、この母親は演技バカで子育てを完全に失敗したらしい。child neglectしていたのはJapanでは有名な話みたいだね。
47海外の反応
俺は日本に居るんだけど、残念だけどアリサ・ホシはJapanでは女優と社長としての人気はものすごいけど、息子を天才俳優に育て上げた偉大なマザーとしては全く尊敬されていないね。
48海外の反応
lol
49海外の反応
星アキラが天才すぎただけかkkk
50海外の反応
でも、今は和解してすごく仲はいいらしいな。
だから家庭環境は充実しているみたいだ。
51海外の反応
それは良かった。アキラが幸せなら俺もうれしい。
52海外の反応
しかしこれだけの美少女はそう居ない。それなのにあんな美少女4人のうち、2人が男なんて信じられない。
53海外の反応
着物美人の子は綺麗すぎて近づくのも恐れ多いほどだった。
54海外の反応
千世子ちゃんだね。日本ではエンジェルの名前で親しまれている超絶美少女らしい。
55海外の反応
黒と桜色の着物本当に綺麗だったよね。 さすがJapanって感じだった。
56海外の反応
あの伝統の佇まいと奥ゆかしさが伝統を感じさせるね。 彼女の記念撮影したトイッターの写真が私のお気に入りなのよ!
57海外の反応
赤目の子もすごかったよね。
58海外の反応
ケイ・ヨナギだね。 ヴァンパイアのCostume playらしいけど、可愛いけどちょっと狂気があるような雰囲気がすごかったよね。
59海外の反応
その辺もチャームポイントで本当に可愛かったわ。
60海外の反応
演技の天才らしいから、今後に期待だね。
61海外の反応
授賞式の後のアフターパーティーで沢山のセレブやスター達と記念撮影をねだられていて、沢山の写真がトイッターに上がっていたからね。
62海外の反応
俺、アキラ達の女装もっと見てみたい
63海外の反応
あれが半分は男の子だっていうのはやっぱり反則よ。ママは最近、翻訳されている星キアラと明神ラーヤの放送をみるようになったわ。
64海外の反応
星アキラと星キアラ、百城千世子と夜凪景が同時に写っている写真集が急遽アメリカでも発売される事になって予約だけで大フィーバーらしいぞ。
65海外の反応
そんな写真集が!! 絶対に買う!!!
早く本屋に行かないと!
66海外の反応
アキラ・ホシが女装したキアラ・ホシが写った雑誌とか写真集は結構あるみたいだな。
67海外の反応
アキラ君たちの写真集をもっと欲しいわ。 こんなかわいい子が男の子なんて反則よ。 アキラとラーヤは私とママとグランマのお気に入りなの。
68海外の反応
アカデミー賞のコスチュームを作った衣装作家さんとコスプレショップに今回のメンバーの沢山の写真が上がっているぞ
69海外の反応
今回のCostumeを作った衣装作家さんはマジ神だな。
70海外の反応
衣装作家さんとコスプレショップの店員さんもトイッターで歓喜していてうれしくなる。
71海外の反応
この衣装作家さんのCostumeを私も買いたいわ。すごく斬新なデザインなんですもの。
72海外の反応
アニメのデザインが多いけれども、世界的にすごく人気が出るだろうね。
73海外の反応
アカデミー賞の受賞者の中でも随一の歴史的なドレスを作った作家ですもの。間違いなく世界中から注文が来るわね。
74海外の反応
アキラ君たちにはもっとコスプレしてほしいわね。
75海外の反応
アキラ・ホシの次回作はどんなのに出演するんだろう?
76海外の反応
判らない。 Japanの映画かもしれないし、ハリウッドでの出演になるかもしれない。
77海外の反応
ゴーグルやネッコフリックスと仲がいいから何かあるかもね
78海外の反応
アキラ・ホシと仲間の活躍はこれからも楽しみだな。
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1日本の反応
コスプレなんてけしからんとか言われるかと思っていたから、好意的に受け止められていてすごく意外。
2日本の反応
こんなに好意的に受け止められているとは思わなかった。
3日本の反応
日本でも伝統あるアカデミー賞にコスプレなんてけしからんとか言われるのかと思ったけど、そういう論調は少ないみたいだな。
4日本の反応
超絶に似合っていたからな。あそこまで突き抜けていると批判しにくいだろw
5日本の反応
日本もアメリカも、突き抜けきると思考停止で批判できなくなるんだなwww
6日本の反応
日本は出る杭は叩かれるけど、出すぎる杭は放置だからな。HENTAI大国は伊達じゃない。
7日本の反応
当のアカデミー賞もまだ86回で伝統もそうあるわけじゃないしな。
8日本の反応
伝統とかドレスコードよりも、星アキラのキャラクターと美少女さがすべてを上回ったって感じだな。
9日本の反応
規定もドレスコードを守るだけで女装はダメとか無いし、その文言を入れた瞬間、昨今のLGBT問題に巻き込まれて大爆死は見えているからな・・・。
10日本の反応
日本だと、粋がってアカデミー賞の会場にコスプレして参戦するなんて、アカデミー賞の団体に失礼だ云々言ったコメンテーターが盛大に爆死しただけか。
11日本の反応
あれは見事な爆死だったわ。 アカデミー賞の委員会自体がこれを問題視せずに、沢山の写真やGIFを張り付けて、新しい時代が来た!ってお祭り騒ぎをしている中で、日本から部外者がこんな発言をしても批判されるのは当たり前だろ。
12日本の反応
逆張りを狙ったんだろうけど、勢いとか状況を見ような。という話だよな。
13日本の反応
これの非常にタチが悪い所は大御所なりが批判すればするほどメッキが剥がれる所なんだよな。
14日本の反応
批判しても別に構わないんだけど、その大御所さんはどんな実績があるんですか?って話だからな。
15日本の反応
それでしたら、あなたはアカデミー賞にコスプレして行くような勇気はありますか? という質問を逆にされて、誤魔化してもただのヘタレとしか思われなかったからなぁ・・・。
16日本の反応
黒渚哲子は歓喜していてワロタ
17日本の反応
哲子の部屋にアカデミー賞受賞記念でまた呼ばれるらしいな。
18日本の反応
是非キアラちゃんで来てくれとかトイッターに上げられていて草
19日本の反応
絶対に黒渚哲子は星キアラ大好きだろw
20日本の反応
かわいいもの大好きだから絶対に間違い無いと思うww
21日本の反応
海外の星キアラ人気も爆発しそうだな。
22日本の反応
星アキラ以上に有名になっている説www
23日本の反応
星キアラと明神ラーヤは海外の新たなる市場を開拓しただろw
24日本の反応
まさにブルーオーシャン。 そして圧倒的に少女から祖母に至るまでの全年代の女性人気が高い事に草生えるwww
25日本の反応
かわいい + 男の子 という夢の属性の掛け合わせだからな。男の娘文化に耐性の無い海外には刺さりまくりだろw
26日本の反応
男の子を女装させたいって欲は海外の女性でもかなりありそうだからな。
27日本の反応
この分だと、今度発売される、星キアラと明神ラーヤの写真集とかは全世界に展開されて爆売れしそうだなwww
28日本の反応
それは間違いない。
29日本の反応
女性支持が強い対象は海外でも批判は難しいからなぁ・・・。本当にタチが悪いな。あのクソガキは。
30日本の反応
別に露出が高いとかセクシャルとかじゃなくて、純粋にかわいいコスプレをしているだけだから、男が女の恰好をするなって批判以外には、特に批判内容が無い所がいろいろ計算されているよね。
31日本の反応
そして、その批判をすると頭が固い人としか思われないという恐ろしいトラップが作動するからな。
32日本の反応
あの体当たりっぷりが本人たちはどんな役でもやりますよってアピールになっていて、仕事の幅が広がっているのに本当に草が生えるwww
33日本の反応
衣装作家さんのトイッターを見てきた。 受賞が決定した瞬間に歓喜して言葉になっていないのクソワロタ。
34日本の反応
ある意味、今回の授賞式で一番有名になった衣装作家さんだからなw
35日本の反応
推しに自分の作ったドレスを着てもらってアカデミー賞受賞の歴史的瞬間を観られるとか一生に一度あるかないかの瞬間だからなww
36日本の反応
衣装作家さんもコスプレショップの店員さんも、推し達に完璧に着こなしてもらってこんな幸せな事は無いだろ。
37日本の反応
今回の受賞で、阿良也君や千世子ちゃん、景ちゃんの知名度も世界的に上がっていてすごいな。
38日本の反応
星アリサの育児放棄もばれてしまっているなwww
39日本の反応
まぁ、そりゃ教育方法が気になるだろうけど日本で星アキラの教育方法は完全に禁句だからなw
40日本の反応
でも今回の件で世界的な知名度は母親を超えたんじゃない?
41日本の反応
そうかもね。結果として星アリサの血はすごかったという事だな。 血だけは。
42日本の反応
ほとんどアキラ君の努力と実力で獲得したアカデミー賞だしなぁ。
43日本の反応
アキラ君の少年時代は全く羨ましくないからな。
44日本の反応
これほどまでに親の威光が全く輝かない2世俳優も珍しいよな。
45日本の反応
アキラ君が和解してみんな幸せになって本当に良かった。
46日本の反応
あの子達は本当に世界的に有名な俳優になりそうだな。
47日本の反応
あのメンバーはみんなアキラ君に英語を教えてもらっているらしいし世界での活躍が楽しみだな。
海外の反応を読みたいというリクエストがありましたので、今回追加で投稿させていただきました。 楽しんでいただけると嬉しいです。
アカデミー賞を受賞したアキラ君。今後はどうなっていくのでしょうか?
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星アキラはVTuberの準備を始める1
アカデミー賞を受賞した僕は数か月間は超忙しかった。
アメリカでいくつかのインタビュー番組に出た後に日本にトンボ返り。
記者会見と沢山のインタビュー、そしてアカデミー賞に一緒に云った四人と雑誌や写真集の撮影とかをして、夜の便でアメリカへ。 そんでまた向こうの取材とかを受けるような生活が数か月ほど続いた。
そして、最近またやっと自分の時間が持てるようになった。
・・・なんかこのくだり、僕の単独記者会見の後にも見た気がする。
今日はアメリカで久々にオフを楽しむところだよ。
とはいっても、ごろごろして過ごす訳では無く、ゴーグルのテリーの兄者から研究所に遊びに来ないか言われていたので、遊びに行くことにした。
僕がアメリカで滞在してたカリフォルニア州のハリウッド地区から同じカリフォルニア州シリコンバレーへ飛行機で遊びに行ったんだけど、同じ州なのに距離が500km以上あるんですが・・・。 アメリカでは500Kmが近場なんですかね?
いつ来てもスケールがまじでヤバいんですが。
伝説のジャスコ釧路店の直進110kmは正しい看板だったんや。
アメリカに居ると本当に距離感がバグるよ。
さて、2014年現在、2D VTuberに必要な技術やソフトがだいぶ出てきている。 Life2Dもあるし、今年の年末にはフェイスリガというVTuberを始めるのに重要なソフトの初版が出てくるためだ。
Life2Dはそれ以前から開発が進められていて、ゲームのミドルウェアとしてはすでにリリースされているソフトで、平面の絵を表情を付けて動かす事ができるね。
フェイスリガは顔の表情を読み取って、3Dのアバターにその表情を反映させることができるソフトだね。
2018年以降はiPhone Xの登場でこのフェイスリガの機能をTrueDepthカメラのフェイストラッキングで代用できるようになって、みんなに馴染みのある2DのVTuberが爆発的に広まっていくんだよね。
とりあえず、この2つを組み合わせると2DのVTuberができるようになるけれども、まだそれぞれのソフトが初版という段階では環境も整備されていないし、ある程度お金を持っていても、見られるレベルの2D VTuberを作るにはまだ技術的に難しいね。
ちなみに、WEATHEROID Type A Airiさんが2012年から活動しているので、VTuberという言葉がまだ無いだけで、技術的にはできるんだけど、使用する機材やスタジオなどの設備を考えると、個人で気軽にって訳にもいかなかった。
僕もさすがに個人でスタジオを用意する気も無かったし、VTuberの配信にそこまで気合を入れる気にもならなかった。
いや、前世の私をここまで育ててくれたのはVTuberのお陰だよ? でも前世でVTuberがずっと出来ていたのは、iPhoneとパソコンで気軽に配信できるって環境があるお陰であって、配信するために気合が必要な環境は違うと思うんだ。
ハリウッドスタジオレベルの機器を揃えれば、今でもかなり高品質な配信ができるとは思うけれども、そこまでしてVTuberで食べていかなくても、現状はお仕事を一杯もらえているからね。
3Dで始めてもいいんだけど、3D→2Dへのバージョンダウンはいろいろ物議を醸すことが多いからなるべく避けて、最初から2Dで行きたいんだよね。
2Dスタートからなら3Dになってお披露目する時にリスナーさんとも感動を分かち合えるしね。
だから僕にできることは卓上で配信できる環境を整える後押しをして、あとはそれとなくVTuber文化を発信して土壌を整える事が目標だね。
僕がゴーグルの研究所に行くと、テリーの兄者が出迎えてくれて、実際の研究員を交えながら、ゴーグルで研究中のいろいろなテクノロジーを紹介してくれた。
「量子コンピュータはいいよね。 ロマンがあるよ。 現状は暗号解読してインターネットなんかの社会基盤を根本的に破壊して、大混乱をもたらす以外に碌な使い方が無い所もいいよね。」
「アキラは相変わらず辛辣だね。 ロマンは間違いなくあるね。 組み合わせ問題の最適化には特効があるんだけど、スケジューラ以外の用途は微妙なんだよね。」
「将来的には都市の交通や物流なんかの管理とかで根幹を担うことになるかもしれないけど、まだ、こんなに信頼性が無い状態の研究段階だと大仕事を任せるには厳しそうだね。」
「将来的にこれが実用化しても、これ単体ってシステムよりも、GPUやAIプロセッサみたいにコンピュータアーキテクチャの一部として組み込むのが一番便利な使い方かもね。」
「CPUの分岐予測とかに使われて、性能は劇的に上がるのかもしれないけど、量子コンピュータって言う夢のある看板に対して、使い道はあんまりロマンが無いよね。 僕はナイトライダーのキットみたいな素敵なパートナーが欲しいんだよ。」
「キットはどちらかと言うと、人工知能の方だから、そちらのラボに行こうか。 アキラ君の目的のやつもそこにあるよ。」
僕たちはAIの研究棟に向かうことになった。
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星アキラはVTuberの準備を始める2
人工知能ラボで、囲碁のAIプログラムとか会話をするAIやチャットボットを見学した後に僕はお目当ての研究部署に来た。
研究所で見せてもらったのは、Webカメラで表情を読み取って2次元のアクターを動かすシステムでまさしくVTuberのシステムそのものだった。
「2D部分の表情変化はアキラ君の言っていた通り、Life2Dのライブラリを使用して、フェイストラッキングのシステムはゴーグルのAI技術で仕上げたシステムだね。どうだい気に入ったかい?」
「テリーの兄者、本当にすごいよ。 ちゃんと表情を読み取って2Dのピクチャに反映されているよ! もうこの時点で十分実用的だよ!! どうやっているの!?」
「Googleの検索エンジンに保存されている膨大な顔の写真をベースに、ディープラーニングで顔の各パーツの位置や変化を数値化できるニューラルネットワークを構築して、その数値をAPIを介してLife2Dのライブラリにリアルタイムで入力することで人物の表情をそのまま2Dのピクチャに反映できるようになっています。」
このシステムを作ってくれた研究員さんが説明してくれた。
「研究員さん、天才すぎるよ! まさに人類の救世主だよ!!」
「アキラ君がこんなに喜んでくれるのはうれしいのですが、やっぱりまだ表情や動きが固い感じがして不気味な気がするんですよね。」
ここに表示されているVTuberシステムの出来は最初にブームが来た2018年初旬ぐらいの出来で、2020年代に何度もVerUPされて洗練されていったシステムに比べると確かに見劣りした。
特に横を向いたりとか首から上の自由度とかがすごく低かったけれども、それは2018年ぐらいの初期のシステムでもそうだったので、2014年現在として見ると破格のシステムだった。
「僕にやらせて! 是非是非是非!!」
「はっはいっ」
引き気味な研究員さんを横に避けて、さっそく僕が使ってみる。
「ドナルドは嬉しくなると、ついやっちゃうんだ! ☆M みんなも一緒にやってみようよ。 らんらんるーーー☆」
「ドナルドの靴って何㎝? ハンバーガー4個分くらいかな?(40㎝)」
「ホモ茶じゃないよ!(空耳)」
「てりやきマックバーガーはポーク100ぱーせんとですっ☆M」
「らんらんるーーー☆」
「流石は俳優のアキラ君だね。 研究員さんよりも表情が生き生きしていて、本当にカートゥーンの人物と話しているみたいだ。」
「いや、CEO、他にツッコム部分が一杯あると思うのですが。」
研究員さんがうろたえる。
「研究員さん、アキラ君が楽しそうにやっているんだからいいじゃないか。」
「いや、あそこに映っているキャラクターはM社のキャラクターじゃないのですが・・・。」
「流石はアキラ君だね。 すごくいいよ。」
「突っ込み不在の恐怖やべぇ。」
研究員さんは盛大に爆発しつつも、僕はVTuberシステムに大満足だった。
「やっぱり、アキラ君みたいに本職の俳優さんが表情を作ると画面のカートゥーンも生きているように動くんだね。」
「僕が一番、ガンダムをうまく使えるんだ。」
「流石はアキラ君だね。」
「うわっ、こいつら、話が嚙み合っているみたいに見えて、全然嚙み合っていないよ。 どうすればいいんだ。こいつら!? 逆に一周回って意思疎通ができているのか!?」
盛大に混乱する研究員さんを横目に、僕はテリーの兄者や研究員さんに生き生きと動くって驚かれた理由を考えた。
やはり、これは転生特典のチート能力に違いない。 VTuberの表情が生き生きと見える程度の能力・・・。 これはしょぼい。 非常にしょぼい。
そして、画面のアバターの動きもお世辞にも、前世で見た数々のVTuberさんを超えるとは思えなかった。結果、考えられる結論は一つ。
初期のアバターの表情は結構硬くて、操り人形を操作するように自然な表情をさせるのにはちょっとしたコツと練習が必要だった。
純粋に前世で何万時間も配信をしていた配信者に素人が敵うわけが無いという話だろう。
そして、動かし慣れていない人がアバターを動かすと不気味の谷に落ちて、表情が違和感どころか忌避感が出ている感じだね。
おそらくこういったシステムが普及した暁には、僕を追い抜く人なんていっぱい出てくるだろう。
とはいえ、現時点でこの世界では、間違いなく僕はVTuberのトップ集団に居た。 そしてキーになるテクノロジーも手に入れた。
これなら僕の中で密かに計画していた『VTuberで早期にデビューして、Vtuberのみんなに先輩♡って呼んでもらってぐへへとなる作戦』。通称『V作戦』が実現可能になった瞬間だった。
もしこれがギレンの野望であれば、この作戦が提案された瞬間にレビル将軍も全力で作戦を許可するに違いない。
「ところで、アキラ君、このツールの使い道は考えているのかい?」
「もちろんだよ。 テリーの兄者。 ゴーグルとYoutubeのPublic relations(広報部)に話を通さなければいけないけれども、ゴーグルにもYoutubeにもプラスになる良いアイデアがあるんだ!」
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星アキラはVTuberの準備を始める3
ゴーグルのVTuberシステムが出来てから、僕はVTuterの絵師として今後も流行りそうな絵師さんにVTuter用の絵を3セット発注した。
前世でママだった絵師さんが居れば良かったんだけど、残念ながらその絵師さんは今世では見つからなかったので、アニメータ経験のある絵師さんの中で条件を出してエージェントに頼んでピックアップした後に、僕の方で選んでイラストを発注した。
アニメータ経験の有無については、VTuberとして絵を動かすときにアニメータとしての経験から動く絵を修正するのが得意だからだ。
この時点で超売れっ子の絵師さんにお願いしても良かったんだけど、なにぶん新しい技術なので拘束時間が多くなるのと、今後の衣装バリエーションなどを含めて長い付き合いになるので、そう言った面を考慮して、才能はあるけれどもそんなに売れていない絵師さんを選んだ。
すでに有名で、この仕事が無くても食べていける絵師さんと、この仕事によってブレイクした絵師さんとでは、僕が依頼したアバターに対する愛着や対応も全然違う物になるだろうからね。
この絵師さんの絵を見たのは、エージェントにリストアップしてもらった絵師さんリストの中で補欠として参考用に入れられていた人だった。
僕はこの人の絵を見た瞬間にイナズマが落ちるような衝撃を受けた。
沢山のVTuberや、ファンアートを描いてくれた神絵師さんの絵を前世で沢山見て来た僕ならわかる。この絵は売れる。
VTuberが流行していない2014年時点の絵としては色調が流行と違うかもしれないけれども、存在感があって嫌味が無くて色彩と線が綺麗。 造形も男女ともに好感を持たれる造形だった。
VTuber流行後の2020年ぐらいの絵としては、間違いなく売れっ子となっているような絵であり、僕は背筋が震えた。
普通は、絵師さんの方が流行を研究して自分の絵に反映させていくんだけど、すでに自分の感性で未来に流行するような絵を描いている事に恐ろしさを感じた。
・・・その結果、現時点では売れていないみたいだけどね。 逆を言えば、この絵師さんはすごくお得という事だと思う。
この絵師さんは勤めていたアニメーション制作会社が経営危機で解雇された後に、フリーランスのアニメータとしてアニメ制作や絵の仕事を請け負っていたんだけど、仕事に行き詰っていて僕の依頼が無ければ、絵師を辞めて田舎に帰ろうかと考えていたらしい。
間違いなく才能はあるし、今はそこまでウケる絵じゃないけれども、この先、間違いなく売れる絵なので、今回の仕事でかなり多めの報酬を払って引き止めた。
そんな訳で、絵師さんと面会して仕事を依頼して、絵を何度も調整して、4ヵ月。ついに納得の行く今世の僕のアバターが出来上がった。
アバター、そのうちガワとも呼ばれるようになる僕の分身を作るための、ノウハウも環境も整っていない中では、絵師さんの力によって調整してもらう部分も多くあり、そういったアニメーション作成経験のあるこの絵師さんの力がすごく役に立った。
多分、これらのガワも今後沢山の衣装バリエーションが出来ていく事になるんだろう。
僕はガワが出来上がったら、自宅にハイエンドパソコンとマルチモニタ、Webカメラなどを用意してVTuberの配信環境を整えた。
おそらく今後出るであろう3D VTuberとは比較にならないほどシンプルな配信環境だ。
僕は自室に来たハイエンドパソコンを見て感慨に浸った。
僕はたまに、思い出した前世はただの夢だったんじゃないかと思う事もあった。でもVTuberの環境を整えて、アバターを操作すると、やっぱり前世も現実だったって言う確かな実感が湧いてきた。
僕はパソコンを立ち上げてアバターを表示させて、モニター上に映るアバターとして表示される自分と僕自身が見つめ合った。
「今世もよろしく! 僕の半身。」
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【Live】アキラお兄様が大変ですの!?
放送準備中。もうちょっとで始まるよ。
アキラ君が大変とな?
なにがあったんだろう?
でもキアラちゃんが配信しているのでそんなに大変じゃないとは思うんだけど。
あのアキラ君が大変になる事態って・・・。
何がどう大変なのか全然わからん。
キアラちゃんに大変って説明されてもねぇ。
まさかついにラーヤと・・・・。
それはありえるwwww
確かにそれは大変だw
あっ、始まる。
「星アキラの双子の妹、星キアラですっ。今日も皆様とお会いできてうれしいですわ。」
「大変!大変なんですのよ! なんとアキラお兄様が最近仕事が忙しすぎてストレスが溜まって現実逃避をしてしまったのですわ。」
現実逃避?
現実逃避とな。
ついにメンヘラになったかw
それは心配だなw
アキラちゃんが現実逃避するなんていつもの事じゃない。す百城千世子ch
千世子ちゃんwww
そうなのかw
あっさりとアキラ君のプライベートを暴露www
千世子ちゃんって何気に鬼畜だよねw
「千世子ちゃん、今回はいつもと違いますわ。 本当に大変ですの。 アキラお兄様が現実逃避をして本当に大変な事になってしまいましたの!」
「直接皆様に見てもらうのがいいと思いますわ。 アキラお兄様出てきてください。」
アキラ声「はーい。おはこんばんにちは。役者なのにみんなのアイドル。わからせたい子役ナンバーワンの天才俳優 星アキラだよっ。 ちょっと仕事が忙しくて現実逃避しちゃったら、こうなっちゃった♡」
おっ、おまっ、マジでどうしたんだ!?
アニメ化しとるwwww
すげぇ。
アニメ化して絵がアキラ君みたいに動いとる
いちごお姉ちゃんもびっくりよ。す朝野いちごch
謎の超技術!
まじでどうなっているんだ!?
画面にアニメのアキラ君がいるみたい!
なにこれ!? どうなっているの!?
「いや、そんな超技術じゃなくて、現実逃避をするとみんな僕みたいにアニメになれるんだよ! みんな現実を見てよ!!」
そんな訳ないじゃん。
だってキアラちゃんの顔と声も動いているじゃん
キアラちゃんの表情がアキラ君と全く同じだぞ
絶対に現実逃避してもそんな事にはならないぞ
嘘乙
現実な訳ないじゃんw
「君たち、僕にそんな態度を取ってもいいのかな? もしかしたらアニメの世界で君たちの嫁と会えるようになるかもしれないのに。」
いや、まじですごい。どうやっているのか教えて!
さすがはアキラ様です。なにとぞわたくしめにその秘訣をお教えください。
アキラ君、本当にすごいと思っていたんだよね。だからどうやったら嫁と会えるか教えて
アキラ様、素敵です。なにとぞわたくしにもその力を
嫁、あの一度もあった事が無い嫁に会えるのか!
わたくしも、生き別れた嫁に会いたいのです。 嫁に会った事はありませんが。
みんな下手に出まくっていてワロタw
嫁とか言う割に誰も会った事が無くて草生えるwww
みんな切実だなw
「アキラお兄様。 現実逃避しただけでそんなアニメ化するとは思えませんわ。 何か特別な出来事があったはずです。」
「うーん。確かに。 でもちょっと思い出してみても心当たりが無いんだよね。」
「この前、リンゴと間違えて悪魔の実を食べちゃったけど、そのせいかな?」
「アキラお兄様なら、悪魔の実なんて何の問題も無く消化しますわ。それは違いますわね。」
「うーん。 ならこの前、ウィングマンのドリームノートだと思ってヒーローになりたいって書いたら、よーく見たらデスノートだった事かな?」
「とりあえずその怪しげなノート収集は止めた方が良いですわよ。」
「そうかな? でも些細な間違いだから問題無いんだよね。」
「そうですわね。 その程度でアキラお兄様がアニメ化するとは思えませんわ。」
「そういえば、昨日はほうれん草のおひたしが出たからそのせいかも。」
「ポパイですわね。 ほうれん草を食べたら力が強くなる設定なんて今の時代、誰も知りません事よ。」
最後の1個はあれとしても、その前の2個は致命的では?
ドリームノートとデスノートを間違えるなよw
悪魔の実って消化できるとかできないの問題なの?
どれも違うけど、どれも致命的だw
最後の1個がかわいいのがまたwww
ポパイはほうれん草でパワーアップする原理が未だに良くわからんw
理由がどれも適当すぎるw
間違いなく全部違うゾ
「そんなわけで、ゴーグルの研究所にこの前遊びに行ったら、アニメ化するソフトをもらって遊んでいたんだ。」
結局それじゃねぇかw
最初っからその答えで良かったと思うぞw
それが答えじゃねか!
ゴーグルの技術か!
かなりすごいな!
いろいろ面白そう。
絵もゴーグルの技術なの? す百城千世子ch
絵もいいよね。
「絵の方は僕の方で絵師さんを見つけてお願いしたんだ。 安原絵麻さんって言うお姉さんの絵師さんなんだよ! つまり僕のママだよ!」
ママww
絵を作ったからママかw
アリサママの地盤沈下が著しいなwww
本当のママよりもママ味があって草w
このアキラ君の絵を作るためにものすごい愛情をかけたのは良く判るw
聞いたことが無い人だけど、なんか新鮮な感じの絵だよね。
アキラ君は本当のママを放っておいて、ママ作りに忙しいなw
でも線もすっきりしていい画だよね。
アキラ君、絵師さんを見る目あるね。
「実は、僕を生んでくれた絵師さんも今日は僕の放送を見てくれているんだよ。 」
みなさん・・・・。私の絵を褒めていただいてすごく・・・嬉しいです。す安原絵麻ch
すごくいい絵だよ。
線がすっきりしていて色彩がいいよね。
新しい色彩だけど、目立つ塗りでいいよね。
さすがはアキラ君のママだね。
新しい時代にマッチした絵だね。
ぐすっ。みなさんありがとうございます。 。゚゚(*´□`*。)°゚。す安原絵麻ch
泣かないでっ。
みんなに褒められて良かったな。
これはこれから売れっ子になるな
いい絵だね。
「絵麻ママにはこれからも、いろいろお世話になる予定だから、みんなよろしくね!」
はーい。
トイッターフォローしました。
これからもがんばってね!
私もフォローしたわ す百城千世子ch
これは一夜にしてバズったなw
千世子ちゃんのフォローはすごい。
これはシンデレラガール
珍デレラにならないようにね・・・。
みなさん本当にありがとうございます。す安原絵麻ch
絵麻ママさんはこれからブレイクしてほしい。
アキラ君にまた新たなるママの誕生か
ママに不満があるなら新しいママを作ればいいじゃない
沢山のママを作る男、星アキラ
絵麻ママは私の母になってくれるかもしれなかった女性だ(すでになっています)
------------------------------------------------
「さて、2次元アキラお兄様のお披露目もできた事ですし、そろそろ・・・」
「あっ、キアラちゃん! 面白そうな事をしているじゃない!」
「らっラーヤっ、まだ生放送中ですわよ! 今日は大切な二次元アキラお兄さまのお披露目なのですわよ!」
「二次元アキラお兄様ってこれよね? さっきまで生放送を見ていて面白そうだったからラーヤも来ちゃた♡」
「ラーヤ、恐ろしい子。 フリーダムすぎますわ。」
「このWebカメラに表情を作ればアキラちゃんを操作できるのね。 ラーヤにもやらせてっ!」
「ラーヤちゃん、ダメですわ。他人のキャラを操作するのはルール違反ですわ!」
「そんな事を言っても、やっちゃうもんねー。」 Ψ( Φ∀Φ)Ψ
ラーヤ「やあ。 僕は星アキラ。 星キアラの双子のお兄さんだよ!」
うーん。ちょっと表情が硬い感じ。
何か動かされている感が出ている。
アキラ君が操作するのに比べて違和感がある感じかな
アニメで良く見る偽物キャラみたいな感じ?
本人が本人のキャラを操作すると違和感が無いんだけど、ラーヤちゃんだと違和感があるかな?
けっこう、動きに差が出るんだな
違和感が結構あるよね。
「なるほど。 アキラちゃんを演じればいいのね。 こんな感じかしら?」
おおっ良くなった。
違和感が少ない感じ。
さすがはカメレオン俳優。
役者同士だとこういう事もできるんだね。
さすがは天才俳優。 星アキラの表情の作り方も真似られるのか。
まじやばい。
「ラーヤ! なんて恐ろしい子なのっ! こんなくだらない事に超無駄に才能を発揮していますわ!」
ラーヤ「これなら行けそうね。」
ラーヤ「僕の名前は星アキラ。 職業は俳優なんだけど、最近友達の明神ラーヤちゃんがすごく気になるんだ。」
「ちょっと、ラーヤ! 嘘はいけませんわ!」
ラーヤ「だから告白したらOKで、一緒にホテルに行って、XXXXXしてYYYYYしてZZZZZZだったんだ!」
「ぎゃーーーーっ。 完全に放送事故ですわ! アキラお兄様の姿で何を発言してくれやがりますの!」
ラーヤ「もうラーヤ抜きじゃ居られないんだ。 ラーヤとは恋人同士だよ!」
「こっこれは! NTR(寝取られ)ですわ! 2Dのアキラお兄様が催眠NTRでラーヤに寝取られてしまっていますわ! アキラお兄様! 目を覚ましておくんなまし!」
そんなっ! アキラ君はキアラちゃんと純愛関係なのに!
ちがうわ。 アキラ君は王賀美陸と恋人同士なのよ!
脳が爆発する!
私のアキラ君が~!
(┌^o^)┐ホモォ...
レズ坊の俺大歓喜w
私はアキラ×ラーヤ派だからOK
ラーヤ×キアラ派の私はゆるませんわ!
王賀美×ラーヤじゃないとやだ!
これは大混乱だなw
「コメント欄が大変な事になっていますわ! カップリング過激派と純愛過激派の人達の脳が破壊されていますわ。 このままラーヤを暴走させたら大変危険ですわ! どうすればいいんですの。 もう私も現実逃避したくなって来ましたわ。 あら?」
キアラちゃんもアニメ化しとるwww
やっぱり現実逃避でアニメ化するんじゃないかw
2Dキアラちゃん、大爆誕w
キアラちゃんはすんごくかわええw
アキラ君もいいけど、キアラちゃんも抜群にいいね
やっぱり女性キャラは見栄えがいいね
これは2Dでもはかどりますなw
ただでさえ厚くなっていた本がさらに厚くなるw
またしても様々な分野にあらたなるエサが投入されてしまったw
キアラちゃんもすごく可愛いわね。私も2Dが欲しいわ。 す百城千世子ch
「私も2D化した所で、収拾が付かなくなりましたので、音楽で終わりですわ。」
「私はまだ大丈夫よ?」(*´꒳`*)
「勝手に乱入してきて、したり顔で場を仕切ろうとしないでください!」
えーーー! ラーヤちゃんも出て来ていい感じなのに!
もっとやってよーー!
ぶぅ━━q( ̄(oo) ̄)p━━っ!!
ラーヤ!ラーヤ!ラーヤ!
もっとアニメ化アキラ君とキアラちゃんを見て見たい
もっと続けてよ~。
ぶうぶうっ
ラーヤちゃんの出現は予想外だったw
「今回は10秒のディレイを入れて繰り返し再生をされると、10秒毎に声が再生されますわ。 そうすると合唱ができますの。 そういう訳で私とアキラお兄様でカエルの合唱をやっていきますわ。」
カエルの合唱ww
突然、児童音楽w
幼稚園みたいw
これはウケる
なぜこのラインナップ?
「それでは行きますわ。」
アキラ「かえるのうたがー 聞こえてくるよー クワックワックワッ・・・」
キアラ「かえるのうたがー 聞こえてくるよー クワックワックワッ・・・」
:
:
これはかわいい♡
幼稚園みたいですごくかわいい
アキラ君もキアラちゃんもすごくキュート♡
二人ともアニメ絵でかわいい。
:
:
:
:
ぎゃーーーーっ 何度も繰り返されて頭がおかしくなるーーー!
合唱する度にアバターを増やすなw 画面がアキラ君とキアラちゃんで埋め尽くされているだろwww
アキラ君もキアラ嬢も全員同じ動きするなwww
何これ!? カオスすぎるよ!
洗脳されるw カエルに洗脳されてしまうwww
これは酷いwww
画面上を埋め尽くす大量のアキラ君とキアラちゃんでマジでカオス。
すいませんでした。 許してください。
これが2次元の洗礼。 マジで恐ろしいwww
アキラ君の生放送史上一番のカオスな画面が生まれているw
頭がおかしくなる~。す朝野いちごch
「このぐらいで良いですわね。」
「画面上にアキラちゃんとキアラちゃんが溢れて大変な事になっているわね。これにはラーヤもドン引きよ。」(;・∀・)
「そんなわけで、2Dになったアキラお兄様とわたくし星キアラを今後もよろしくお願いします!」
ばいびーー☆
またねーーー。☆
バイバイ☆
まじでカオスだったwww
楽しかった!
2Dのアキラ君とキアラちゃんに今後も期待☆
バイビー☆
バイバイ☆
またねーーー☆
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星アキラの2Dアバター動画スレ
1名無し@2Dアバター
星アキラの動画マジでビビったんだが。なにあれ?
2名無し@2Dアバター
生配信でのデビューはまじで鮮烈だったよな。
3名無し@2Dアバター
なんていうか、星アキラと星キアラのCGがそのまま動くよな。
4名無し@2Dアバター
あれがゴーグルの技術? すごいよね。
5名無し@2Dアバター
星アキラが別に作ったゴーグル非公式案内人チャンネルの動画ワロタ。
6名無し@2Dアバター
ゴーグルから技術協力とギャラは貰っていて、ゴーグルとYoutubeの宣伝はするけど、非公式キャラは草が生えるw。
7名無し@2Dアバター
ゴーグルの広報的な役割に見えつつ、別段ゴーグルの公式キャラじゃないからな。
8名無し@2Dアバター
あっちの動画の内容はYoutubeの便利な使い方とか、ゴーグルの開発したテクノロジーやサービスの紹介とかの他に、Youtubeやゴーグルのサービスとかの担当者への直接インタビューみたいな内容だよね。
9名無し@2Dアバター
ゴーグルのCEOの二人が気軽に動画へ遊びに来ているのがクソ笑う。
10名無し@2Dアバター
あっちの動画の方だと、アキラ君とキアラちゃんはインタビューが上手いよね。
11名無し@2Dアバター
台本とかも用意しているとは思うけれども、相手をのせるのが上手いよね。 インタビューワーの才能もあるとは思わなかった。
12名無し@2Dアバター
話の振り方とか聞き方がすごく上手いからな。 特に夢を語れるように話を持っていくのがすごく上手い。
13名無し@2Dアバター
メイン言語は英語だけど、フランス語、中国語、日本語は本人がちゃんと声あてをしているな。それ以外は別の人もしくは字幕だね。
14名無し@2Dアバター
いやいや、ここは星アキラSugeeeeeスレじゃないから。それよりもあのCG技術だよ。
15名無し@2Dアバター
あの技術の紹介の時にアキラ君の表情に合わせて、CGのアキラ君やキアラちゃんが動いていてすんごく驚いた。
16名無し@2Dアバター
あれを使うと、アニメキャラのCGで声優さんが直接話すことができるようになるんじゃないの?
17名無し@2Dアバター
そうだよな。 俺のラムちゃんと直接話せるようになるかもしれない。 何十年待った事か・・・。
18名無し@2Dアバター
よりにもよってうる星やつらかよwww
19名無し@2Dアバター
いまどきラムちゃんなんて知っている人ほとんど居ないゾ
20名無し@2Dアバター
最古参のアニオタワロタ。
21名無し@2Dアバター
昭和からの夢wwww
22名無し@2Dアバター
さすがにもう、うる星は古いと思うけど、アニメキャラが自分に語り掛けてくる可能性はあるよね。
23名無し@2Dアバター
これは楽しみな技術だな。
24名無し@2Dアバター
実際にアニメキャラクターのCGを作って、これで販促する企業とかでてくるんじゃないの?
25名無し@2Dアバター
そうなったら面白そう!
26名無し@2Dアバター
アニメーター要らなくなるのかな?
27名無し@2Dアバター
さすがにそれは無いんじゃない? アニメ自動生成ツールとかじゃないし、普通に声優の表情に合わせてCGが表情を付けてくれるだけだから。
28名無し@2Dアバター
このツール公開されるの?
29名無し@2Dアバター
今、ゴーグルの方で公開するかとかサービスの内容を検討中らしい。だたツールを使える方向で話は進んでいるみたい。
30名無し@2Dアバター
すごいツールなんだけど使い道はあるのかな?
31名無し@2Dアバター
電話で話すときに表情とか判れば便利じゃね? カメラで映すと寝癖があったり、化粧していなかったりで面倒だけど、アバターが表示されていれば声と表情が判っていいじゃん。
32名無し@2Dアバター
なるほど。 いい使い方だね。
33名無し@2Dアバター
俺ゲーム実況者だけど、普段はゲーム画面と音声だけを入れていたけれども、このツールを使ってアバターを表示させるともっと人気が出るかもって思った。
34名無し@2Dアバター
そういうのも面白そうだな。 女性実況者とかすごく人気が出るかもな。
35名無し@2Dアバター
やはり女性実況者なのか!! ぐぬぬぬぬっ!
36名無し@2Dアバター
それが嫌なら、星キアラみたいな声で実況すればいいと思うぞ。
37名無し@2Dアバター
星キアラみたいな声は絶対に無理だろ!! そんな声が出せるならゲーム実況者なんてやっていないわ!
38名無し@2Dアバター
あれは、変声機無しであの声が出ているからな。 コナンも見習えよ。
39名無し@2Dアバター
コナンはあれが無いとおもちゃが売れないだろwww
40名無し@2Dアバター
テレビのナレータとかも使い始めるかもね。
41名無し@2Dアバター
同じく情報番組のキャラクターとかもこれで表情が付き始めるかも。
42名無し@2Dアバター
ポン子の亜種がこんな所で出てくるなんて・・・。
43名無し@2Dアバター
ウェザーロイドのアイリか。初期は2Dで今は3D化したけれども、初期の2D表情よりもこちらの方が大分表情は豊だよね。
44名無し@2Dアバター
特別な機器が不要でWebカメラだけで良いっていうのが差別化ポイントかな。
45名無し@2Dアバター
トークができれば、表現の幅が広がるな
46名無し@2Dアバター
自分の顔を晒さなくて良い分、ニフニフ動画とかの生主に良いかも。
47名無し@2Dアバター
この技術が広がってくればいろいろ使えそうだな
48名無し@2Dアバター
アキラ君以外にもブームが広がりそうだな。この技術。
まさかうる星やつらが、令和になって復活するとは思いませんでした・・・。
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星アキラはひっそりと生配信を始める
ゴーグルが開発してくれた2D VTuberツールは、世間からの評判もものすごく良く、『VTuberで早期にデビューして、Vtuberのみんなに先輩♡って呼んでもらってぐへへとなる作戦』。通称『V作戦』も予想以上の成果を収めそうだった。
これなら、これから繁栄を極めるであろうVTuberにも「スターズのVTuberは化け物か!」って驚いてもらえるだろう。
ちなみに、僕は自分の活動に際してVTuberの名称を出すことはしていない。 ヴァーチャルユーチューバーの名称を前世で作ったのは僕では無いし、その命名に対する栄誉を今世で僕が掠め取るのは良い事では無いと思うからだ。
おそらくVTuberの活動が認知されていけば、自然とこの名前になるかもしれないし、今はニフニフ生放送の勢いが強いのでこの世界では、VTuberとは呼ばれずに、ヴァーチャル生主やV生主とか言われるようになるかもしれない。
ただ、ユーチューバーの名称は今でも世間に認知されているし、ニフニフ生放送では中々食べて行けないので、最終的に活動がYoutubeに移って自然とVTuberの名称になるかもしれないね。
後は、開発してもらったゴーグルの方でも役に立つように、2Dアキラ君とキアラちゃんを使って、Youtubeの便利機能の紹介や、ゴーグルの技術紹介、開発者インタビューなんかの動画を作ってYoutubeにアップした事で、ゴーグルの広報さんも大満足。
社内でも僕にインタビュー動画を上げて欲しいって言うゴーグルの開発者さん達も沢山居て、再生数もうなぎ登りで、同時に裏では真の目的でもある、VTuberの全世界への認知も進んでいるね。
そうして、僕の2Dアバターをお披露目した数週間後、僕はひっそりと別のキャラクターの配信を始めることにした。
絵麻ママにお願いしたアバターは3セット。 2セットは僕とキアラがモデルのアバターで、最後の1セットが初代デザインの秋色ダリアのアバターだった。
前世で私が死んだ後に、私の半身だった秋色ダリアのアバターがどうなったのか、知る由は無い。
おそらく、演者の死と共に秋色ダリアも前世で死んでしまったと思う。
寿命や死の概念が無いアバターが死ぬというのは可笑しな話だけれども、現実問題として私の死の後に、私の代わりの魂(演者)を得た可能性は極めて低いと思う。
いくら人気があったからって、別人を入れて人気が継続できるとは思えないし、私が入っていたアバターを見る事で私の死を思い出して複雑な感情になる人が居るのも目に見ている。 VTuber事務所の方でもそんなリスクを取るとも思えない。
結局みんなの思い出の中に残るだけで、前世の未来では秋色ダリアのアバターも死蔵されてしまったというのが真実だろう。 その意味で私の死と共に秋色ダリアも前世の世界で死んでしまったのだ。
でも私は何の因果か、星アキラとして今世に転生した。 ならばおそらく私と共に死んでしまった秋色ダリアも今世に転生してあげるべきだろう。
僕は絵麻ママにアバター制作をお願いするときに、アキラとキアラは僕自身をベースに絵麻ママにデザインや色彩を含めて全部お任せで発注したけれども、秋色ダリアはアクセサリーに至るまで細かい指定をした上で、絵麻ママの絵だって判らないようにタッチを変えた絵で依頼した。
絵麻ママの絵って判らないようにという依頼は、すごく絵師の人を馬鹿にした失礼な依頼だったけれども、絵麻ママは快く引き受けてくれた。
絵麻ママは僕の細かい注文にも嫌な顔一つせずに、何度も修正してくれたけれども、ある日絵麻ママが持ってきた絵を見て僕は驚いた。 前世の秋色ダリアと寸分違わぬ絵が出来て来たからだ。
秋色ダリアをデザインしたママは男性の絵師だった。 確かに、顔や年齢、目の色、髪の色、輪郭、プロフィールなど細かく指定はしたけれども、いくら言葉で正確に伝えた所で、こんなに前世と寸分違わぬ物になる訳が無かった。
僕は動揺する心を隠しながら、どうやってこの絵を描いたのかと聞くと、夜に電気を付けた瞬間に、天啓が降りたようにこの絵が頭の中に浮かんできたらしい。 そして素直にそれを清書して、良かったので僕にそのまま見せてくれたのだ。
おそらく、これは文字通り秋色ダリアも僕の元に転生してきたと言う事だろう。
因果とか運命とかを言う気が無いけど、僕はこの素敵な幸運に感謝した。
そして僕の元へ戻ってきた秋色ダリアで今日から配信を始めるのだ。 とは言っても、僕は秋色ダリアを今世では別にブレイクさせるつもりは無かった。
VTuberの世間への下地作りや認知などの支援については2Dアキラ君とキアラちゃんで十分だったし、現状でも売れっ子の僕が今さら秋色ダリアをヒットさせるメリットを特に感じなかった。
だから僕は、前世で売れなかった時代の放送内容を元に、前世の声でひっそりと秋色ダリアの放送を始めた。
放送内容は主にクラッシックをBGMとした雑談。 雑談の内容も音楽とか話題や、視聴者さんとのやり取り、日常会話。
放送は22時過ぎあたりが中心で、週に数回だけ。 特に面白い企画とか、視聴者へのサービスなどもやらなかった。そして宣伝なんかも何もしなかった。
僕がこの放送をしている事を知っているのは、僕と絵麻ママだけだ。
税務面が面倒なので、この秋色ダリアチャンネルは収益化などもしない予定だ。
秋色ダリアの放送は、今後雨後の筍のようにたくさん出てくる個人VTuberに隠れて目立たずにひっそりと放送されていくと思う。
初回の放送も最大同接数は10人ほど。
数回の放送を経て、8人ぐらいの常連さんが出来た。 チャンネル登録者数が世界トップレベルである星アキラチャンネルに比べたら、ちょっと息を吹くだけで吹き飛ぶような数だ。
酒次郎: ダリアちゃんも忙しくて大変だね。
絵ママ: ダリアちゃん。 私も最近急に仕事が増えて来て大変なんだよ。
絵ママ: 今も仕事しながら聞いているんだよ。
「絵ママさんはイラストレイターさんですよね。 お仕事が増えて良かったじゃないですか」
絵ママ: 単価が上がって嬉しい悲鳴なんだけど、やっぱりお仕事は大変なんだよ~。
冷奴ピース: 仕事は求められているうちが華なんだから、実績を積み上げる今が大切な時期だぞ。
「仕事は楽しいけど大変なんですよね。 私も判ります。 私も明日は朝からアルバイトです。」
秋色ダリアは異世界から現代に迷い込んだ吟遊詩人。 中の人は音大の学生をロールプレイして配信していた。
今日も秋色ダリアの配信は、BGMとして流れる優しいクラシックの響きと共に静かに終わるのであった。
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安原絵麻は風に順いて呼ぶ1
2014年の初詣で引いたおみくじは大吉だった。 私は今年こそ仕事が上手く行くように神様にお祈りをした。
私の勤めていたアニメーション制作会社の経営が悪化したために、そのあおりを受けて退職する事になってはや二年。 経営悪化の理由は、アニメの権利関係でごたついて、費用を回収できなくなったためだったのだけど、それまでの仕事が快調だっただけに、すごく不運だったと思う。
私は、なんの準備も出来ていない状態でフリーランスのアニメーターとなって、なんとか原画の仕事をもらって食いつないでいるものの、私の経済状態は年々悪化して、どんどん追い詰められていた。
前の会社で後輩だった久乃木さんとルームシェアをしてなんとか生活費を切り詰めてはいるけれども、アニメータの中でも原画の年収は低くて、がんばっても私の年収は200万円に届かなかった。
このままじゃダメということで、去年から中古のパソコンとタブレットを買って、友人のみーちゃん(藤堂美沙)に教えてもらって、勉強しながらCGのイラストを描く仕事も始めたけど、そちらの仕事もスマフォのキャラクターを描く仕事が数点あっただけで、収入アップには至っていない。
もちろん。原画マンとしては、原画を描くスピードを上げて、沢山の原画を描いて収入アップを目指すべきだけれども、原画自体の単価が安くて、がんばってもなかなか収入増にはつながらなかった。
前のアニメーション制作会社に入社した時とは違って、今では原画とアニメーションの仕事は業界の水準レベルでできるようになったけれども、原画担当のアニメータの年収水準自体が低いので、普段やっている仕事量のわりには、生活が苦しい状態がずっと続いている。
いつものように、受注した原画の仕事をやっていた三月初旬に、私は原画を描きながら、何気なくTVを付けてると、アカデミー賞の中継がやっていて、アキラ君が助演男優賞を受賞した所をぼーと観ていた。
その時に、私のアキラ君を見た印象は、なんて輝いている人なんだろうという月並みの感想だった。 スターの輝きっていうのかな? 私はスピーチで無邪気に笑うアキラ君から目が離せなかった。
私は、描いている最中の原画の紙を横にずらして、セイバーのコスプレをして無邪気に喜ぶアキラ君を無心で鉛筆が動くままにサラサラと描いていた。
仕事じゃない形でこんな風に絵を描くのは本当に久しぶりの事だった。
何も考えずに、体が動くのに任せて描いたアキラ君の絵は、自分で描いたとは思えないほど生き生きとした表情の絵だった。
私はこの線画をPCに取り込んで、ペン入れと彩色を行って、受賞おめでとうのメッセージと共に、大してフォロワーの居ないトイッターに絵をアップした所、これまで見た事無いぐらいリツイートやコメントが付いて、ぷちバズってそのイラストを見たアニメーション会社の人から新しい仕事をもらう事ができた。
「珍獣様ありがとうございます。」
私はこの体験から、密かに幸運の珍獣としてアキラ君を崇める事にした。
実は珍獣の着ぐるみを着たマスコットアキラ君のイラストを勝手に作って机に飾っている。このイラストを飾ってから仕事も少し順調になった。
とは言え、やっぱり生活は苦しい。 今年で状況が好転しなければアニメーターとしての夢をあきらめて、故郷の山形に帰る事になるだろう。
そんな生活を続けていて、季節は夏へと移り変わったある日。 私の仕事用のメールアドレスにアキラ君本人から仕事の依頼が舞い込んだのだった。
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安原絵麻は風に順いて呼ぶ2
アキラ君は面会を求めて来たので、スターズ近くのファミレスで会う事になった。
仕事依頼のメールはスターズのマネージャや事務さんではなく、星アキラ本人を名乗る人物から直接依頼があって怪しいものだった。 私は正直な話、誰かの悪戯、最悪は詐欺だろうと思っていた。
ただ、ちゃんとした仕事の依頼である以上、完全に無視する訳にも行かなかった。 なので大しておしゃれもせずに、ほぼ仕事着でファミレスに来て先に席に着いていた。
人を待っていて暇な私はボーと外を見て人の動きを観察してたので、席の前にその人が来た時に特に大きな気配は感じなかった。 気配を消しもせずに、たぶんファミレスの雰囲気に紛れていたんだと思う。
「安原絵麻さん?」
「はっはいっ。そうです!」
私は、わりと小心者の大人しい性格だ。 気が付いていなかった人から、突然声をかけられて心臓が跳ね上がったかと思った。
私に声をかけたその人は私よりも年下の中学生ぐらいの男の子で、よーく見るとちょっとお洒落なストリートファッションだった。
「良かった。 今回仕事をお願いしようかと考えている星アキラです。 今日は打ち合わせに来ていただいて、ありがとうございます。」
少し幼い容姿とお洒落なファッションとは裏腹に繰り出された、安定の社会人対応に私は混乱した。 私はピーンと立ち上がって、名刺交換を行った後に、ファミレスの席でそのままアキラ君と雑談をした。
野球帽を被った顔を何度覗き見ても、やっぱり普段から拝んでいる幸運の珍獣、星アキラだった。 絵描きの私が幸運の珍獣を見間違えることなんてありえない。
意外な事に、アキラ君との話は弾んだ。 私は話下手で大人しい性格だけれども、アキラ君は私の話を良く聞いてくれて、普段の私とは思えないほどに、良くおしゃべりをした。 アキラ君はもっとハチャメチャな人かと思っていたら、かなりしっかりとした人だった。
ある程度私の緊張がほぐれて来たのを見たのか、アキラ君は場所を移すように言ってきて、私は素直にそれに従って移動すると、スターズの事務所内にある会議室に案内されて、そこには弁護士の人とアキラ君のマネージャーが待機していた。
私とアキラ君はそこでまずはNDA(秘密保持契約)を結ぶことになった。 正直、NDAなんて形だけかと思っていたから、厳密に内容の説明と確認がされて、いろいろと驚いた。 これはかなり重要な仕事なのかもしれないと思い、だいぶ緊張した。
NDAの締結に続いて、私のお仕事の説明。 ゴーグルの開発したシステムで、アキラ君の表情に合わせて動くアバターのデモにも私は本当に驚いた。 すごい。 こんな技術があるんだ。
そして、私の仕事はこのアキラ君とキアラちゃんのアバターの絵を書くことだったんだ。
最後に発注価格の確認と、知的財産権の帰属や範囲、制限についての契約。
弁護士さんとマネージャーさんは、知的財産権の契約を終えると、すぐに部屋から出て行ってしまった。
私はこの仕事の具体的な発注内容とその発注価格にビビった。 キャラクター1セット分の価格で私の半年分の年収だった。 それが3セット分。 つまり私の年収の1.5年分以上・・・。
発注した絵については、権利はアキラ君に帰属するけれども、アキラ君とキアラちゃんについては、アキラ君が発表後には、アキラ君とキアラちゃんの絵での同人活動やトイッターへの掲載は自由だった。
この絵を使った商業活動については、アキラ君とスターズに相談だけど、これは当然の事だ。
契約内容は、常識的な範囲、もしくはちょっと緩いぐらいで問題は無かった。
アキラ君とキアラちゃんは、わりとすぐにデザインが通ったんだけど、ダリアちゃんだけはちょっと特殊で、演じているのがアキラ君だって判らない限り、絵師である私が作成した事の公表を不可だったり、私がファンアートを描くのも制限されていた。 代わりに、実はダリアちゃんの価格は、これらの事情を考慮したためか、一番高い値段が付けられていた。
ダリアちゃんは何か訳アリだと思った。 でもその訳についてはいずれ判る事だろうし、そこを詳しく聞くのは止めた。 だけど、一番の難産はやっぱり、この秋色ダリアちゃんだった。 どうもアキラ君の中で明確なイメージがあるらしく、何枚かラフを描いて行っても中々OKが出なかった。
自分の絵と判らないようにするって点も難しさに拍車をかけていて、何度もラフを起こしたけど、納得が行く物はできなかった。そんな悩んでいた深夜に、私が寝室の電気を付けた瞬間に脳裏に天から降りて来たような、明確なイメージが浮かんだ。 私は眠気が吹き飛び、脳裏に焼き付いたイメージをそのまま紙に描きだした。
多分これだろうという確信の元、私は恐る恐るアキラ君にラフを見せると一発OKで、イメージのままに彩色をして、動かすやり方を聞いて、アキラ君から借りたパソコンで何度も動きを調整して、納得が行くものができたら納品した。
作り方の習熟などを含めて、全部の納品に4ヶ月はかかったけれども、自分でもとても良いものが出来たと思う。
そして、2Dアキラ君とキアラちゃんのお披露目配信の日。 アキラ君が動かすアバターは、私がテストで動かすのよりも何倍も魅力的な表情を放送で視聴者に魅せていた。 このアキラ君の絵が自分が描いた物だなんて信じられなかった。
私は放送内で楽しく動くアキラ君に目が釘付けで、アキラ君や視聴者の方から私の絵を褒められて泣いてしまった。
故郷の山形からアニメータの仕事に憧れて上京してはや5年。 アニメータとしてでは無いけれども、私の絵をこんなに沢山の人に見てもらって、褒めてもらえる機会が来るなんて思って無かった。 私がパソコンの前で泣いていると、ルームシェアをしている久乃木さんが不器用に肩を叩いて慰めてくれた。
私はこの時、自分の仕事を成し遂げた達成感に満たされていて、私が星アキラのママになったと言う事がどう言う事なのかを全く理解していなかった。
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安原絵麻は風に順いて呼ぶ3
アキラ君の配信の翌日、昨日の夜は何度もアキラ君の放送をリピートして見ていたので、私はかなり遅く起床した。
そして、自分のトイッターアカウントを見たらビビって固まった。 前日まで百人ぐらいだったフォロワー数が突如数万人に増加していた。
フォロワーの中にはアキラ君の他に千世子ちゃん、景ちゃん、阿良也君のアカウントも含まれており、私のトイッターはとんでもない状態になっていた。
それだけではなく、お仕事用のメールアドレスには千世子ちゃん、景ちゃん、阿良也君、ラーヤちゃんのアバターを作る依頼の他に、沢山の依頼が入っていて、頭がパニックになってた。
この時の私は全く冷静じゃなかったけれども、あとでこの時のことを冷静に振り返ってみると、実は私は、一晩にして生活に困窮するアニメーターから、星アキラのアバターを作成した日本トップクラスのイラストレーターに全く意図せずに変身していたのだ。 とは言っても異世界物のライトノベルみたいに部屋の風景が変わった訳でも無ければ、別人になった訳でも無い。 ただ何が起こったのか脳の理解が全く追い付いていなかった。
私は呆然として言葉が出なくなって、一緒に住んでいる久乃木さんと一緒にあうあうしていると、ピンポーンって玄関のチャイムが鳴った。
「こんにちは。 昨日のアキラ君の放送見ていたわよ。 本当にいい絵を描くようになったのね。」
入ってきたのは前のアニメーション制作会社で総務担当だった興津由佳さんだった。 前のアニメーション会社の経営が悪化してからは非常勤になってたはずなんだけど、何で?
「何で?って顔をしているわね。 原因としてはあなたが二次元アキラ君のママになったからかしらね。」
「アキラ君が私のことをママって言ってくれたのは嬉しいですけれども、別にアリサさんと違って本物のママって訳でも無くて、放送中の冗談みたいな物ですよ?」
「私はムサニ(武蔵野アニメーション)を非常勤になった後にエージェントに頼んで、並行してできるマネージャや事務の仕事を探してもらっていたの。 それがアキラ君の目に止まったみたいで、私とあなたの関係をちゃんと調べて、アキラ君と面会した上であなたのマネージャとして働くように、ここに派遣されて来たって訳。」
「私に興津さんを雇えるお金なんて無いんですが・・・。」
「アキラ君から1年分の費用はすでにもらっているわ。 別にフルタイムで働くわけでもないし、ムサニと掛け持ちだからそこまで高額って訳でも無いんだけど、ちょっと付き合いの出来たイラストレーターのために、1年分の給料をポンって出すアキラ君は本当に凄いわよね。」
「アキラ君にそこまでしてもらう訳には行かないのですが・・・。」
「してもらうも何も、私の1年分の給料はすでに支払い済みよ。 あなたも、来年には私を余裕で雇えるぐらい稼いでいるだろうから、来年以降の私の契約はその時になったら考えようですって。 アキラ君は今後もあなたに仕事を頼みたいみたいだから、あなたがこのまま失敗するのを望んでいないのね。」
「失敗するも何も、私にそこまでの仕事は・・・。」といいかけて、さっき見たお仕事用のメールアドレスの事を思い出した。
「あなたよりも、アキラ君の方がずっと現状を理解しているのね。 面会した時も思ったけれども、あの子っておちゃらけているように見えても、そこら辺の大人よりもずっと大人よね。 さてと、まずはあなたに来た仕事の仕分けをしましょうか。」
そういうと、興津さんは私の今抱えている仕事を確認した後に、私の仕事用メールに来た仕事のうち、優先的に受けるもの、期限を確認して合うようなら受けるもの、お断りする物をテキパキと仕分けして、お断りする仕事は角が立たないメールを書いて片っ端からばっさりと断って行った。
「おいちゃん(宮森あおい)の仕事を断るのはまずいんじゃ・・・・。」
「私もムサニに務めているから、内心ではこの仕事は受けて欲しいわ。 でもこの仕事は1カット4000円。 口パクだけだと1~2時間ぐらいで終わるけれども、このシーンは1日~2日はかかるわよね? 正直な話、この仕事を受けても最低賃金にも全く届かないわ。 対して、アキラ君が発注してきた千世子ちゃんのアバターは、多く見積もっても3週間ぐらいの仕事で百万円近くよ? そして原画の仕事は、その他大勢のスタッフロールの中にあなたの名前が載るだけだけども、アバターの方はあの百城千世子のアバターを作った絵師として、日本中から尊敬と賞賛を集められるのよ? どっちの仕事の方が重要かなんて比べるまでも無いじゃない。」
「でもずっとお付き合いしている訳ですし・・・。」
「イラストレイターの仕事は今の機会を逃したら、おそらく今後やって来ないわ。 対してアニメータの仕事なら、あなたの技術があればいつでも仕事を取って来れるわ・・・業界の単価は安くて生活は苦しいけど・・・。 それなら今しかチャンスが無いイラストレイターの仕事をやってみるべきじゃないの?」
「分かりました。 でもおいちゃんの方には私から電話を入れて断っておきます。」
「だめよ。 そんな事をしたら宮森さんに絆されて仕事を受けちゃうに決まっているじゃないの。 この件は私の方から断りを入れておきます。」
興津さんを雇ったアキラ君の采配は実に見事だった。 今なら珍獣軍師を名乗ってもいいと思う。 おそらく私だけだと、仕事を断り切れずにダラダラと色々な仕事を受けて、期限を守れないか、中途半端な納品になって、そのまま信用を失って、このチャンスを生かすことができなかっただろう。
興津さんがクリエイティブな作業以外の自営業にまつわる諸々の作業をやってくれたお蔭で、私はイラストやアバターの仕事に集中できて、やった仕事が認められて、また新しい仕事が来るという好循環へと突入して行った。 久乃木さんも私の仕事を手伝ってくれるようになった。
そして、ほどなくして私はアキラ君、キアラちゃん、千世子ちゃん、景ちゃん、阿良也君、ラーヤちゃんと言った、日本をときめくこの世代のトップ俳優達のママとなったのと同時に、私の子供達(イラスト達)を良くテレビとかYoutubeで見るようになった。
この子達の使われ方は、Youtubeの動画に出る事も多かったけれども、それ以上にテレビのちょっとした番組宣伝やコーナーなどの用途に使われる事が多い。
例えば景ちゃんと千世子ちゃんは、朝6時からのニュース番組で1コーナーを持っており、6:40分頃から私が作ったアバターを使って、二人でお洒落アイテムを紹介するコーナーを持っていた。
録画らしいんだけど、そのままの姿でやると撮り貯める時も、毎日分の放送の度に別の服を着て収録しなければいけないのが、アバターを使うと着替えなくてもいいし、商品をアップで映して商品紹介に集中できるのと、キャラクターが受け入れられやすくてすごく好評だって言ってた。
最近ではスタジオに入れない時も、代理でこのアバターを使ってテレビなどに出演する事があって、それぞれのメンバーの第二の顔として私の作った子供達が活躍していた。 最近の私はテレビで見る自分の子供達の活躍に興奮して、完全に親バカになっていた。
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星アキラはキャラクターグッズ販売をたくらむ1
VTuber化した僕やみんなは大ブレイクしていて、VTuberというよりもTVのゲストとかちょっとしたコーナーを任される事が多くなった。
これには、スタジオで拘束して出演させるよりも僕達の出演料が安かったっていう大人の事情もあるけれども、逆に僕達もスタジオに行かなくても沢山の仕事をこなせるようになったので、Win-Winだった。
その結果、露出が増えた僕達のアバターは僕達を超えてテクノポップの象徴としての新しいアイドル像として急速に認められるようになった。
本人たちは役者であり、別にアイドル活動はしていないんだけど、気が付いたらアバターは勝手にアイドルになっていてびっくりだよ。
アイドルの語源は礼拝の対象として神様を模して造られた像の事。 僕達のアバターは文字通りのアイドル(偶像)となったのであった。
ちなみに、アバターの語源は、インドのサンスクリット語のアヴァターラ(avataara)で、「神様の化身」って意味なので、アイドルのアバターは語源的にはとてもご利益がある存在だった。・・・そんな事を気にする人は誰も居ないだろうけど・・・。
VTuberを前の世界以上にブレイクさせたいって思って始めたアバター放送だったけれども、これによって僕達自身の仕事の幅が広がるとは思っていなかった。
特にこのVTuberのアバターを一番可愛がっているのが千世子ちゃんだ。 千世子ちゃんはてっきり現実の自分の容姿や存在を大切にして、2Dのアバターなんて作らないと思っていたんだけど、何かが琴線に触れたのかすごく積極的に自分からアバターを作りたいって言いだして、このアバターでアクセサリーの紹介やインタビューなど、積極的にいろいろな仕事を取っているよ。
しまいには化粧会社のイメージキャラクターまでやっている。アバターは化粧なんてしないのに・・・。 ただ生身よりも女性受けは間違いなく良いようだ。 そして2D千世子ちゃんを気に入ったファンが普通に千世子ちゃんのファンにもなっていた。
彼女が一番僕らの中でVTuberのアイドル活動を積極的に進めている人物で、本人は演技派の女優、アバターがファンサービスをするアイドルとしての顔を見せて、仮面を上手く切り替えている。
だから世間の認知は 百城千世子 ≠ 2D千世子ちゃん と同一人物だけど同一人物ではないような評価を、彼女自身が上手くコントロールして獲得している。
その結果、一定数は嫉妬で獲得できない女性人気を幅広い年齢層から獲得する事に成功していた。
彼女が考えるアイドルとしての仮面。 自分の持つ一面を増幅して見せて、彼女自身の演技を客観視して見る能力の実体化。 それが2D千世子ちゃんであり、彼女が培ってきた役者としての能力が、2D化したアバターを演じる演者としての彼女の新しい才能を見事に開花させていた。
千世子ちゃんは同年代の女優として間違いなくトップを走っているけれども、VTuberの演者としてもトップを走り始めているね。
対して、ちょっと苦戦しているのが景ちゃん。 彼女はメソッド演技の天才で他者を演じるのがとてつもなく上手かった。 でも逆を言えば自分のキャラクターを演じるのが下手だった。 まさに天性の役者。 役者になるために生まれたような存在。 でも自分自身を容器に他者を受け入れて演じている関係上、自分をモチーフにしたキャラクターを演じる時には中身は結構スカスカだったりするわけだ。
彼女自身は実は我が強くないから、すごく良い子なんだけど、自分自身のキャラクターは現状ではそこまで立っていなかった。 他のキャラをインストールする事も出来るんだけど、自分モチーフのキャラだとキャラ設定がブレブレって事になる。
でもアリサママは積極的に千世子ちゃんと組ませてアバターでの仕事を入れさせていた。
景ちゃんが苦戦しているって言っても、アバターに関しての事だけで、女優としては間違いなく景ちゃんは千世子ちゃんのすぐ後ろまで来ていた。
今後は、企業のCMやイメージキャラクターなどを務める仕事も沢山入って来る事だろうし。 そうなると、単純に役者としての才能だけでは立ち向えない局面が出てくる。
だから、アリサママはまだ出始めで、評価が定まり切っていなくて、火傷しても大して重症にならないアバターを使った仕事を、多く入れさせているんだと思う。
もっとも、景ちゃん自体も即興劇とか普通にやって会話回しも上手いので、アバターの使い方が苦戦しているのは、千世子ちゃんと比べての話であって、同世代では圧倒的に強者だった。
千世子ちゃんと景ちゃんは今度一緒に、このアバターを使ったYoutubeチャンネルを立ち上げるらしい。
ちょっと面白い使い方をするのが阿良也で、阿良也は劇団の幕間とかに、2D阿良也君とラーヤちゃんを使った寸劇とか茶番を演じていた。
これがとてつもない大人気で、これ目当てに劇団天球の劇を観に来る人も増えたし、最近は漫才番組にゲストとして呼ばれる事すらある。
わざと対応するアバターを間違えたり、キャラクターの言い間違えをするのが定番のお約束で、時間が空いている時は良く僕もゲストとして呼ばれたりもする。
舞台衣装やメイクが不要な部分と、僕もヴァーチャルなのでその場に居なくてもゲスト出演ができる所が強みだね。
そんな訳で、僕達の2Dアバターは大人気で世間にも普通に受け入れられ始めていた。
TVも深夜帯でも無いし、マニアックな番組でも無い一般の番組から普通にオファーが来るほど、一般の人達に受け入れられている現状に驚いているんだけど、これは中身が保証されている所から入った部分が大きいのかもしれない。
前世のVTuberは顔出しをしたくない人達でも配信できる新しい形として提案されていたので、中の人をリスナーが知るのは禁忌に近いお約束となっていた。 だから顔出し配信とかも一部の例外を除いてほとんど無かったし、そういうクローズドな文化が形成された関係で、地下アイドルに近いマニアのためのコンテンツとしてVTuberが発展してきた歴史がある。
逆に今世は僕が中の人を保証した上で、表現の一つとして僕達が、エンタメ系のメインストリームに紹介したおかげで、2Dのアバターが市民権を得たみたいだね。他の事務所のアイドルとかもアバター導入を考えているみたいだし、VTuberっぽい活動もちらちらと見られるようになって来たので、前世よりもVTuberは活動しやすくなって、メジャーな存在になって行く可能性がすごく大きいね。
僕は今世でのVTuberの未来に満足しつつ、衣装バリエーションやイベントイラストの依頼のために、最近引っ越した絵麻ママのオフィス兼アパートを訪れていた。
絵麻ママの生活は変わってきたようで、1DKの小さなアパートでルームシェアしていた生活から、ちょっと大きめで部屋数が多い普通のアパートに最近引っ越して、オフィス兼仕事場として僕達クライアントを応対できるスペースが出来ていた。この辺は彼女のマネージャをお願いした興津由佳さんの影響もあるんだろう。 久乃木さんとのルームシェアは引っ越した後も続いている。
そのうち、もう少し貯金が出来たら、マンションにグレードアップするかもね。
内装は、彼女らしく物が少ないけど、アニメーターやイラストレイターとしての能力を生かして、中が広く見えるような視覚効果を生かしたセンスの良いモダンな仕事場となっていた。 アニメーターや漫画家のぐちゃらとした仕事場を想像して入ると虚を突かれるかもしれない。
この辺は、明らかに生活が困窮しているアパートの主に依頼するのと、一般水準レベルのアパートであっても、ちゃんとしたモダンなオフィスを備えて社会人として一定レベルの応対ができる人物に依頼するのでは、クライアントの対応も色々変わってくるので、彼女にとっても大きくプラスになるだろう。
そんなモダンなオフィスに場違いな神棚が置いてあった。 絵麻ママに「あれ何?」って聞くと、「あれは幸運の珍獣様をお奉りしているの」って返ってきたので、中を覗き込むと、珍獣の着ぐるみを着た僕がお奉りされていた。
僕はそのイラストを見て電流が走るような衝撃を受けると同時に、新たなるアイデアが浮かんだ。
アキラ君のいる世界では、現実で存在するVTuberの市場にプラスアルファで、実在のアイドルや声優さん達が、自分の分身であるアバターを使ってお仕事をする、新しい市場が追加されて、同時に立ち上がる感じですね。
アキラ君達の働きで、世間一般つまり、メインストリームのエンタメ市場でVTuberが受け入れられているので、初期からの視聴者数も多く、VTuberの市場や種類のパイが最初から数倍になっている感じです。
もちろん、中の人が判らない普通のVTuberも今後一杯出てきます。
こういう状況になると、声優さんなども積極的にアバターを活用し始めるのではないでしょうか?
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星アキラはキャラクターグッズ販売をたくらむ2
僕達四人は、世間的には子役、役者、俳優の職業をしている事になっている。 ・・・最近、僕は世間ではYoutuberと勘違いされている気がするけれども、実は俳優なんだよ。ホントダヨ。
俳優は主にドラマ等の出演料などで生計を立てて、グッズ収入などは付随して作られるポスターとかパンフレットぐらいしかない。 対してアイドルは歌と踊りでライブ収入やCD収入、そしてライブ時やアイドルコーナーでアイドルグッズが売られて彼らの収入となっている。
そう考えた場合、僕達の年齢ではトップ俳優とトップアイドルを比較した場合には、基本的には俳優や子役として出演料をメインとして稼ぐ俳優業よりも、アイドル業の方が稼ぐ金額は多い傾向があった。
ただし、これも傾向というだけであって、例えば千世子ちゃんの場合には女優だけど、圧倒的な人気をバックボーンに、アイドル並みのグッズは作られていたし、下手なアイドルよりも数字を持っているために、出演料の単価が高くて彼女の世代のトップアイドルよりもはるかに稼いでいた。
彼女がCDを出せばさらに売り上げが上がるんだろうけれども、女優としての仕事がおろそかになるから、その辺のアイドルっぽい仕事を彼女はやらなかった。
俳優もグッズを出せばいいじゃないとか言うかもしれないけれども、俳優というのはアイドルと違って、役を演じて初めて評価される存在だ。 演じた役によってキャラクターがセットされることになる。 この辺が単独でキャラクターが存在するアイドルとは大きな違いだね。
そうなると、俳優個人のグッズというよりも、演じた映画なり番組のグッズとなって、番組や映画を離れた俳優個人のグッズというのは扱いが難しい事になる。 それこそファンクラブ内々の受注生産のグッズぐらいの扱いとなって、そこまで本人の収入にはならないのだ。
対して、アイドル化した僕達のVTuberアバターであれば事情が変わってくる。 キャラクターなので、実写のアイドルなんかよりも、ずっと広い範囲の商品やキャラクターグッズを出すことができる。
例えば前世では、名前が似ている事から、納豆業者さんに自分で突撃して、社長と仲良くなって、自分の名前が入った納豆を売り出してもらったVTuberの先輩を皮切りに、沢山種類のVTuberカードが入ったポテトチップス、シャチハタ、ベビースターラーメン、チロルチョコ、ジュエリー、化粧品に至るまでコラボや商品展開の幅がどんどん広がっていった。
僕はそれぞれのアバターを使って、そういった商品展開を考えていたんだけど、絵麻ママの神棚に飾られていた珍獣の着ぐるみを着た僕を観て、さらにアイデアが浮かんだ。
僕はさっそく、絵麻ママに2.5頭身の珍獣の着ぐるみを被った生意気な表情のアキラ君をベースに、天使の恰好をしてどす黒い千世子ちゃん、 見習いドジっ子悪魔の景ちゃん、 カメレオンの着ぐるみを着てマイペースな阿良也、 アホお嬢様のキアラ、 ぶっ飛び自由人のラーヤのキャラクター案を紙に書いてもらった。
絵麻ママはアニメーターらしく、僕の注文に答えて紙にさらさらと、注文したキャラクター達を想像以上のクオリティーであっと言う間に描きだしてくれた。 さすがはアニメーター。 絵を描く速度が段違いだ。
クライアントも絵を注文してこんな速度でイメージ案の絵が出来上がって来るのであれば、安心して依頼できるだろう。 絵麻ママはアニメーターの能力も色々な部分で役に立っているんだね。
出来上がったキャラクター達は、今世の僕が見ても、前世の私の視点でも素晴らしい出来だった。 つまり男性にも女性にも両方にウケるキャラクターという事だ。
僕は本来の依頼内容の打ち合わせを終えると、その日の夕食時にみんなにこのキャラクターを見せた。
「いいわね。 純粋で清らかな天使ってイメージじゃなくて、裏で邪悪な事を考えていそうな表情がいいわ。」
「この見習い悪魔ちゃん、一生懸命なのにドジですごく可愛いですっ。」
「何にも考えてい無さそうなところがいいね。 俺のキャラクターに合っているよ。 ラーヤも目を離すとどっかにぶっ飛んで行きそうでいいね。」
みんなにも大好評で、さっそくこのイラストをスターズの商品企画の部門に持って行って、商品化を依頼した。
その結果、僕達のアバターとは別にキャラクターとして独り立ちして、グッズが大人気に。 海外からも問い合わせが殺到する事態となるほどの人気となった。 さらに、その後アニメ化するなんて、この時の僕でもさすがに想像していなかった。
その後、このキャラクターグッズのイラスト使用料として、絵麻ママにキャラクターグッズの1%がロイヤリティとして支払われるんだけど、振り込まれたその金額に、絵麻ママがキュ~って目を回してぶっ倒れる事態になったのは、絵麻ママ以外の人にとっては予定調和だった。
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百城千世子はVTuberとして活動する
自分を清らかな天使として売り続けるのはまずい。 そう思ったのは、すっかり吹っ切れて謎の双子の妹であるキアラを演じる幼馴染を見たのと、そのフリーダムな幼馴染をさらに振り回す、ハイパー自由人なラーヤを見た時だった。
完全にネタ枠な二人だけれども、容姿は私や景ちゃんと同一水準だし、四人で写真に写ったらどの子が一番好きかって答える時に、個人の好みレベルでしか差が生まれないの。
そうすると中身が重要なんだけれども、清純な天使である私とメソッド演技全振りの景ちゃんに対して、あの二人のキャラクターは強すぎた。 あれで中身が男の子とかは反則だと思うわ。
そんな訳で、どんな人も魅了する清らかな天使として売り出して来た私は、とんでもない所で斜め上のライバルを迎える事になったわけなの。
正直な話、清らかな天使のキャラクターであの二人に対抗するのはすごく難しかった。 例えば、アキラちゃんのYoutubeチャンネルで私がゲスト出演した回とラーヤがゲスト出演した回では、どっちが面白いかと聞かれれば、間違いなくラーヤだったと思う。
別にあそこと勝負に行く必要は無い事はわかっているんだけど、私が背負っている美しい清らかな天使の看板は、逆に私の演技の幅を狭める足枷にもなっているって気が付いたの。
例えば私が悪役を演じたとして、イメージと違う演技をすることで、評価をしてくれる人も居るだろうけれども、今の私では、大半の人はイメージと合わないって思って敬遠すると思うの。 それが演技の幅を狭める原因。
対して、アキラちゃんはアカデミー賞の授賞式をあえて、女装したコスプレで出演する事で、どんな役でもこなせることを多くの人に見せつけた。 今のアキラちゃんであれば、悪役をはじめとして、いじめっ子だろうが、ヒーローだろうが、コメディーだろうがなんでも役が来ているだろうし、意外性のある役者として、イメージに合わない役でも世間はちゃんと評価してくれるだろう。
アキラちゃんは自分の力で演技の幅を広げたんだ。 私は自分の能力を卑下する気も無いし、アキラちゃんに自分が負けているとも思わない。 ただ、このまま天使から脱皮できないと、私はたぶん20歳過ぎたあたりで賞味期限が切れると思う。
アリサさんに、賞味期限の話を聞いたら、逡巡しながらもやっぱり同じ回答だったから間違いない。
だからと言って、すぐに天使の皮を脱ぎ捨てて脱皮するのも違う。 突然キャラクターが変わった百城千世子を世間では受け入れてくれないだろう。
そもそも、今の天使も別に演じている訳でもなく、素に近いのだから。
そんな感じで、アキラちゃんに毒されて自分のマーケティングに悩んでいた私は、ある日アキラちゃんがアバターで自分のキャラを放送しているのを見て、これだって思った。
百城千世子の外見や配役は変化できないけれども、アバターの千世子ちゃんであれば、百城千世子と切り離したキャラクターの演技ができる! そして、演じているのが百城千世子だってみんなわかっているから、百城千世子の変化を自然と受け入れることが出来る。
百城千世子 ≠ 2D千世子ちゃん だけど実は 百城千世子 ≒ 2D千世子ちゃん。 そんな関係。 2D千世子ちゃんを使う事で、天使として凝り固まっている世間の百城千世子のイメージを変化させることができると思うの。
私はすぐにアキラちゃんに私のアバターを頼むと、絵麻ママから想像以上のアバターが出来上がってきた。
そしてそのアバターを使って、私は積極的に仕事を入れ始めた。
アバターを使っていて気が付いた事は、想像以上に中身である百城千世子を見てくれるって事。 アバターで素顔を出していないのにって最初は思ったんだけど、素顔を出さないからこそ中身で評価される。 アバターは一定だから、中身が重要になって、その結果、世間の目は百城千世子の中身を見てくれるようになった。
アバターで百城千世子のイメージを壊さない程度のぶっちゃけ話をすると、意外にも世間の評判は良くて、百城千世子としても番組宣伝以外には、今まで呼ばれる事の無かったバラエティー番組とかにも呼んでもらえるようになった。
それと同時に、アバターと合わせて化粧品やグッズなどの広告の仕事も増えた。
アバターを介して、百城千世子は、血の通わない天使だけではなくて、人間的な部分も評価されていったの。 そしてそれは私の配役へも影響していった。
少しずつだけれども、前では絶対に来ないような配役が私にオファーされるようになってきたの。
私はそんなアバターをとても可愛がっているわ。 アバターのグッズは実際に自分で買って使ってみて、その感想や欠点などをフィードバックしてたりする。
千世子ちゃんのアバターは第二の私であり、そして私の子供でもあった。
そんな感じで活動していると、私もアキラちゃんと同じようにYoutubeの放送をしたくなった。 自分の情報を自分で発信するのにこれほど便利な方法は無い。
でも、私はアキラちゃんほど放送が面白い自信も無かった。
景ちゃんに話すと、景ちゃんもやってみたいと言う事で、二人でYoutubeチャンネルをやってみる事にした。
放送内容は、アバターをメインにした物にする予定なんだけど、千世子ちゃんのアバターを使うと私と近すぎて失敗した場合に、ダメージが大きすぎる。
だからと言って、完全に千世子ちゃんから離れるのは、ただの別人になってハンデが大きすぎる。
そうやって構想を考えていた時に、アキラちゃんが私達をベースとしたキャラクターのイラストを持ってきてくれた。可愛いけど邪悪そうなキャラクターだった。 これだって思ったわ。
私はこのキャラクターベースのアバターをアキラちゃんを介して、すぐに絵麻ママに発注したの。
可愛いけど、考えている事が天使なのにブラックな大天使チヨコエルと、可愛いくて善良なポンコツ見習い悪魔のケイティ。
アキラちゃんが前にキアラちゃんとアキラちゃんのアバターが一緒に居る時に、一緒にいても大丈夫なの?っていう視聴者のツッコミに対して、「ここはヴァーチャルの空間だから大丈夫なんだよ!」って苦し紛れに答えていたのを思い出して、私達の活動をヴァーチャル空間で活動するユーチューバーという事にして、現実の百城千世子や夜凪景とは関係が無いというお約束を作ったの。
こうして、ヴァーチャルユーチューバーって名付けた私達の活動は、アキラちゃんの放送ともリンクしたりして、ブームを巻き起こしていく事になっていくのだった。
最終的に千世子ちゃんと景ちゃんがまさかのVTuberデビューというオチでした。
そしてこの世界のVTuberの名付け親は千世子ちゃんになりました。
VTuber編はちょっと長くなってきたのでここで一時停止して、次回からウルトラ仮面編に入ります。 ウルトラ仮面の後に、またVTuberのお話が再開する予定なので、お楽しみに!
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星アキラはウルトラ仮面のオーディションを受ける1
僕がVTuberを始めてから2年が経過して、この世界では千世子ちゃんが名付けたVTuberって活動は日本を席巻していって、世界に羽ばたき始めていた。
当然、これを商機と見てVTuber事務所も作られて一気にVTuberという存在が日本でブレイクする事になったよ。 今ではVTuberというのが単独の職業として認知され始めているね。
当然、その先駆けである、僕達はその中でも高い評価を保ち続けているよ。 特に景ちゃんの演じるポンコツ悪魔のケイティは設定をちゃんとつくってロールプレイしているせいか、いい悪魔すぎるキャラクターが面白くて、大天使なのにやたらとサイコパスで邪悪なチヨコエルとのコンビで大人から子供まで大人気だよ。
僕も良く、珍獣君やアホお嬢様としてゲスト出演させてもらっているよ。 こう言ったロールプレイで彼女たち自身の演技力についても、世間の評価が高まっているね。
そんなある日、食事前にルイ君とレイちゃんがやってきて、リビングのテレビで一緒にウルトラ仮面を見ていた。
ウルトラ仮面は昭和の時代から続く特撮シリーズで、宇宙から来る怪獣達をウルトラ仮面とウルトラ警備隊の面々が協力して倒す、ヒーローものの番組だね。
もちろん、ヒーローが大好きな僕も大ファンだよ。
「いっけー! ウルトラ仮面!!」
家では僕の他に、特にルイ君がウルトラ仮面の大ファンだ。 そんなルイ君を見て後ろでレイちゃんを抱っこしているアリサママもニコニコだ。
「そういえば、そろそろ新しいウルトラ仮面のオーディションがあるらしいわね。 アキラ、受けてきたら? 最近暇なんでしょ?」
「そこまで暇って訳じゃないけど・・・。 確かにウルトラ仮面をやるぐらいの時間は取れるかも」
最近の僕は、ナショナルクリミナルシリーズや、ハリウッドの連続ドラマの配役がひと段落して、仕事を入れる余裕があった。Youtube放送の方にそのリソースを割こうかと思っていたんだけど、ウルトラ仮面をやってみるのもいいかもしれない。
「アキラ兄ちゃん、ウルトラ仮面になるの!?」
ルイ君とレイちゃんがキラキラした目で僕を見る。
「うっ、まだウルトラ仮面になれるかどうか分からないけど、ウルトラの星のテストを受けてみるよ。」
とは言っても、ウルトラ仮面のオーディションなんだけど、そんなに簡単な物じゃない。 なぜならウルトラ仮面は若手俳優の登竜門として、ウルトラ仮面に合っているかどうかで公正に選ばれる事で有名で、知名度や人気は考慮されないからだ。
だから、ウルトラ仮面を足掛かりとして芸能界でキャリアを積み上げていく俳優さん達が多くて、彼らにとってもウルトラ仮面を演じたというのは誇りでもあった。 その意味で言えば、逆に知名度や人気がある僕は今回のオーディションではその分、若手にチャンスを与えるためにマイナス評価をもらってしまうかもしれない。
そんな事をうだうだと考えていても仕方が無いので、阿良也や千世子ちゃん、景ちゃんとウルトラ仮面のエチュードをして、ウルトラ仮面として仕上げてオーディションに臨んだ。
書類選考は問題なく通り、案内された日時に間に合うように、オーディション会場にあるビルの会議室に入る。
オーディション会場では、200人ぐらいの椅子が用意されていて、すでに100人ぐらいが着席していた。
僕がオーディション会場に入ると、一瞬会場がシーンとなった後に、ざわついた。
「えっ、マジで!? 星アキラもこのオーディション受けるのかよ!」 「俺、星アキラに勝てる自信がねぇ。どうしよう!?」 「とりあえずやれるだけの事をするだけだ。」「本当に星アキラも受けるの!? ドッキリじゃないの?」
僕はオーディションが始まるまで、ノートパソコンを開いて夜にやる配信の準備をしていた。
「アキラ先輩もオーディション受けるんスね。」
見るとスターズの後輩の堂上竜吾君が声をかけて来た。
「堂上君か。そうだね。僕もウルトラ仮面の役をやってみたいんだ。 ここでは先輩、後輩も関係ない。 お互いに選ばれるようにがんばろう。」
「あっ、ああ、そうっスね。 俺も頑張ります。」
彼は動揺しながら去って行った。 最初っからあんなので大丈夫なのだろうか?
「うわっ、事務所の後輩君かわいそう。」「まじで化け物級の先輩と同じ役を競う事になるのか。」「いや、ライバルに星アキラはキツイだろ。」「完全に俳優モードで来ていやがる。オーラが違う。」「これが星アキラじゃなければ、まだなんとかなったんだが・・・。」「ちょっと絶望感が・・・。」
周りから何か聞こえて来たけれども、僕は無視をした。 こんな事で動揺するようなら僕が居ても居なくても、オーディションの雰囲気に飲まれるだろう。実際の所、ここまで来たら集中してやれる事をやるしか無い。
ウルトラ仮面のオーディションが始まろうとしていた。
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星アキラはウルトラ仮面のオーディションを受ける2
今回のウルトラ仮面は28作目で、昭和から続く歴史ある特撮ヒーローのシリーズである。
日本人の男であれば、スーパー戦隊シリーズ、仮面ライダー、ウルトラ仮面のどれかに憧れない事は無いと言い切れる、日本人の中の真のヒーロー像として根付く特撮シリーズだね。
今回のウルトラ仮面イリュージョンは、今まで一貫してプロデューサーをし続けていた名物プロデューサーに変えて、新しいプロデューサーを抜擢して、制作陣も一新したフレッシュな新シリーズとして制作される予定だよ。
200人居た候補者は面接の一次選考で50人まで絞られて、そこから演技を見る二次選考を経て、最終選考は僕を含めた3人に絞られた。
僕は持てる技術と情熱を駆使して、最終選考でウルトラ仮面の演技を全力で行った。 会心の出来だった。
結果は後日郵送される事になり、ワクワクして待っていると、郵便が届いて、緊張しながら封を開ける。
オーディションの結果は見事に『落選』。
えーーーっ。 あれだけの会心の演技だったのに!
「ところがどっこい‥‥‥‥夢じゃありません‥‥‥‥! 現実です‥‥‥! これが現実‥!」
頭の中で一条の声が再生されつつ、落選してがっくりしていた。_| ̄|○ まぁ落ちたものは仕方が無い。 次の機会を目指しますか。
ネットでウルトラ仮面イリュージョンの製作発表会を見ていると、主役に抜擢されたのが、想像していたもう一人の人ではなくて、一番ダメそうな人だった。
なんでこの人が上がって来れたんだろう?って思っていたんだけど、確かアクションはもう一人の人よりも良くて光るものがあった。 そう言った面で制作陣なりの考えがあるのだろう。
制作発表会の記者からの質疑応答の時に記者から「あの星アキラを退けての堂々の主役抜擢ですが、自分が主役に選ばれた時の気分はどうでしたか?」という質問が飛んで、僕がオーディションに参加した事がバレてしまった。
普通はオーディションで落選した人の事を話題に出すのはご法度なんだけど、僕を退けて主役になったというのは、それだけ大きなマーケティングの価値を持っているんだろう。 案の定、これは大きな話題になり、星アキラを退けて主役を演じる俳優には、大きな注目が集まった。
僕は完全にダシにされてしまった。 まさに序盤のヤラレキャラ。
でも、この質問を受けた時にプロデューサーは大きく動揺した表情をしていた。 もしかしたら、このプロデューサーはこういったマーケティングは考えていなかったのかもしれない。
とは言っても、僕が落ちた事でウルトラ仮面のオーディションが完全に実力主義で決まる事が世の中に認知されて、これはこれで良かったのかもしれない。
そして、今日、新シリーズである、ウルトラ仮面イリュージョンの第一話の放送日だ。
「ルイ君、僕はウルトラ仮面になれなかったよ・・・。」
「えー! アキラ兄ちゃんでもダメなの?」
「ごめんね。ルイ君」
「ルイ。 アキラお兄ちゃんはがんばったんだから、いい子いい子してあげるのよ。」
しっかりもののレイちゃんがそういうと、ルイ君は僕にいい子いい子してくれた。 すごく癒された。
「アキラちゃんのメッキが剥がれて、見事に落選したウルトラ仮面が始まるのね!」
最近の千世子ちゃんはわりと毒舌がすごい。 でも憎めないレベルをちゃんと弁えてくるから恐ろしい。 VTuterの視聴者からは『毒舌サイコパス天使』の異名をもらっている。 ちなみにサイコパス部分はボス天使、アリサママエルからの直伝らしい。
なんて悪い天使なんだ! アリサママエル! (風評被害)
「そんな事ありません。 アキラさんの実力を見抜けない制作陣が悪いんですっ」
景ちゃんはちゃんと僕を優しく擁護してくれる。 普段は悪魔っ子のキャラクターでVTuberをしているけれども、視聴者からは『慈愛の悪魔』の異名をもらっている。
ちなみに、とてもやさしく慈愛に満ち溢れているんだけど、よくドジをやらかして、チヨコエル以上に事態を悪化させる事が多々あるので、そういう時には「流石は悪魔」「ただのポンコツ悪魔なんだよなぁ」ってみんなに喜ばれている。
ロールプレイは彼女の得意とする所なので、見事にキャラクターを演じて千世子ちゃんに匹敵する人気だ。
「あーあ。 あんなに練習していったウルトラ仮面のオーディションに落ちちゃうとか、クソださアキラちゃんの悔しがる所が見られるなんて、今日はゴハンが美味しそうね♪」
阿良也がラーヤの声で僕を煽って来る。
僕達はいつものメンバーと一緒に新しく放送される、ウルトラ仮面イリュージョンの第一話を視聴した。
「オンドゥルルラギッタンディスカー!」
「アンダドゥーレハ、アカマジャナカッタンデェ…ウェ!」
「ナズェミデルンディス!」
「パンツハワタサン!」
「ウゾダドンドコドーン!!」
「何を証拠にズンドコドーン!!」
第一話を見終わった時には、全員無言だった。 宇宙猫のような表情をしていたかもしれない。
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オーディションを落選したもう一人の俳優のお話
「僕がウルトラ仮面だ!」
その演技を見た時、自分の演技の順番が星アキラの後ろじゃなくて本当に良かったと思った。
星アキラはまごう事無き、ウルトラ仮面だった。 星アキラの演技によって、星アキラの見せたい部分に自分の視線が強制的に誘導されていくのを感じる。 星アキラの息づかいから、ヒーローなんて言う虚構の存在が、現実としてそこに実在するのが判る。
俳優の専門学校を出た程度では全く埋められない差を実感した。 彼の生い立ちを考えると、天性の才能という事では無いんだろうけれども、幼少からの努力の差は間違いなく如実に出ていた。 ここまでの差を見せつけられると、自分が落選しても清々しく思える。
後日郵送されてきたオーディション結果は見事に落選。 俺もウルトラ仮面には人一倍の執着があったが、でもあれは仕方が無いと思える。 最終オーディションまで残れた事だし、今回は事故にあった物だと思って、別のオーディションをがんばろうと心に決めた。
星アキラも落選していたって事を知ったのは、電気屋の店頭で流れていたワイドショーの放送を見てからだった。
選ばれたのは、もう一人の人物で、それを見た時に俺は何かの間違いでは無いかと思った。 その人は演技をするときに、俺よりもアクションは良かったが、だいぶ滑舌がヤバかった。
もしかして、星アキラに別の仕事が入って辞退したから、この人が選ばれたのかな? それなら俺に声をかけてくれればいいのに!
自分に声がかけられない事に俺は苛つきつつも、でもそれなら星アキラをオーディションで破った天才新人俳優なんて持ち上げられ方はしないなと思った。
オーディションで星アキラを破るというのはそれだけのニュースだ。 額面通り、あのハリウッドで引っ張りだこな星アキラから、実力でウルトラ仮面の役を勝ち取ったのであれば、まさに新たな天才俳優の誕生として日本中でニュースになるのは分かる。 本当に実力で勝ち取ったのであれば・・・。
俺はオーディションの審査員達に疑惑の目を向けた。 ウルトラ仮面のオーディションは実績を見ずに実力で判断するというのは有名な話だった。 審査員の目が節穴だったのだろうか? それとも本当にあの俳優に星アキラ以上のポテンシャルがあって、自分が見抜けなかっただけなんだろうか・・・。 それともまさか裏で・・・。
俺は、悶々としながら、日本中で注目されているウルトラ仮面イリュージョンの第一話を視聴した。
・・・・。
ウルトラ仮面イリュージョンは案の定、大炎上した。 星アキラに勝った天才俳優みたいな扱いだったから尚更だった。
天才俳優として持ち上げられる事がプレッシャーだったのか、ウルトラ仮面本人の滑舌は余計に悪化していて、動きもぎこちなく、もはやネット上のネタとして扱われるぐらいだった。
俺は逆に、『ウルトラ仮面イリュージョン』で星アキラを退けて主役にならなかった事を感謝した。 俺があの立場なら間違いなく耐えられない。
この騒動の全貌を理解したのは、ウルトラ仮面イリュージョンの半年後に放映される事になった、別のウルトラ仮面の脇役の仕事をもらった時だった。
そのウルトラ仮面の名前は『ウルトラ仮面Black』。 日本に上陸したネッコフリックスが日本市場のコマーシャルを兼ねて作成する特撮ドラマで、主演が星アキラで、助演は日本を代表する実力派俳優に加えて、百城千世子、夜凪景、明神阿良也というとんでもない面々。
製作費は60分枠で、1話2.5億円でそれが全12話。 既存のウルトラ仮面の製作費が30分枠で2000万~3500万って所なので、ハリウッドドラマの製作費がそのまま日本にやってきた形だ。
ドラマの放映時間は、日本の民放で土曜日の22:00~23:00のゴールデンタイムの大人のドラマ枠。 ネッコフリックスなら無料開放。 全世界同時放映。
まさに日本の特撮の力を全世界に知らしめる大チャンスであり、いつもの名物プロデューサーはネッコフリックスとの交渉を含めて、こちらの仕事を取り仕切っていて、『ウルトラ仮面イリュージョン』のプロデューサーや制作陣の交代は、このためであった。
プロデューサーは制作発表の場でアキラ君に、『ウルトラ仮面Black』での主役として考えていたために、ウルトラ仮面イリュージョンの主役にはできなかった事と、情報管理が甘くて、オーディションで落ちた事が漏れて、名誉を傷つけてしまった事を正式に謝罪した。
アキラ君は、「代わりにスターズの俳優を沢山『ウルトラ仮面Black』に出演させる事ができたので、安いものです。」と邪悪な笑みを浮かべて会場を笑わせていた。
情報管理とは言っても、実際には沢山のオーディション参加者が星アキラを見ていたんだから、そう言った情報が洩れるのは仕方が無かった。 星アキラに負けるのであればまだ納得が行くだろうけれども、星アキラ以外に負けるのが納得ができない人も沢山いただろう。 そういった人達から情報が漏れてしまうのも仕方が無い事だった。
アキラ君が『ウルトラ仮面イリュージョン』のオーディションに参加できてしまったのは、秘密裏に進められていた『ウルトラ仮面Black』情報を知らされていなかった事務側との連絡ミスだった。
『ウルトラ仮面Black』の契約が纏まっていなかったので、この事情を公表する訳にも行かずに、制作会社が世間の話題を止められなかったのも理解できる。まぁ、話題になるからいいかと放置していた可能性の方が高いと思うけれども、あの第一話の出来は制作会社にとっても、予想外だったのだろう。
星アキラへの『ウルトラ仮面Black』の主役打診は、まだネッコフリックスとの交渉が纏まっていなかったために、内々定として『ウルトラ仮面イリュージョン』の落選通知と同時にスターズへ行っていたそうだ。 ただ、主役はネッコフリックスからの意向で、やるのであれば最初から星アキラに決まっていたらしい。
星アキラは、「『ウルトラ仮面Black』の仕事を打診されなくても、自分からウルトラ仮面のオーディションを受けるぐらいにウルトラ仮面が好きな俳優」という評価を世間からもらって、『ウルトラ仮面Black』への主役抜擢は好意的に受け止められた。
俺も、今回は『ウルトラ仮面Black』のウルトラ警備隊の隊員という脇役だけれども、これを期にスタッフに顔を覚えてもらって、次のウルトラ仮面では主役になってみせると意気込んでいる。
こうして世間は丸く収まった。 いまだに人気が低迷しているウルトラ仮面イリュージョン以外は。 ウルトラ仮面イリュージョンについては、オーディションの疑惑も消えた事だし、もう実力で世間に認めてもらうしか方法はないだろう。 どん底からの再スタートだけど、がんばってほしい。
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ウルトラ仮面Black放送前スレ
213名無し@特撮ファン
星アキラ主演で、この豪華な出演者達、そしてハリウッドドラマ級の予算と日本の特撮を支える有名人たちの全面協力。
これはもう期待しかない。
214名無し@特撮ファン
事前の情報だと、新しいウルトラ仮面のデザインが出ているんだけど、ブルーベースなんだよね。
何がブラックなんだろう?
215名無し@特撮ファン
玩具メーカーガン無視の完全に大人ターゲットのウルトラ仮面で、放送時間も土曜日の22時からとかもう完全に攻めまくっていて期待しかない。
216名無し@特撮ファン
大きいお友達専用のウルトラ仮面w
217名無し@特撮ファン
子供の頃にウルトラ仮面のファンだった大人に贈る新たなるウルトラ仮面とかもう期待しかできない。
218名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面イリュージョンで、なぜ星アキラを主役にしなかったんだ!! って何度も思っていたからこれは嬉しいサプライズすぎた。
219名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面イリュージョンは第一話が始まるまでは期待値が最高だったんだけどな・・・。
220名無し@特撮ファン
あの演技を見ちゃうと、みんななぜ星アキラを落としたのか疑問しか無かったからな。
221名無し@特撮ファン
俺、オーディションの審査員が買収されていたのかと思ってたw
222名無し@特撮ファン
実は俺もそう思ってたwww
223名無し@特撮ファン
こういう事情であれば納得だったんだけど、それなら先に星アキラに言っとけって感じだったよな。
224名無し@特撮ファン
制作側もまさか星アキラがオーディションに来るとは普通思わないだろうよww
225名無し@特撮ファン
実際のところ星アキラにとっては採算度外視でオーディションを受けていたんだけど、それだけウルトラ仮面をやりたかったって事だからな。
226名無し@特撮ファン
星アキラはアメコミ大好きで、日本のヒーロー達にもすごい憧れがあるから、ウルトラ仮面の演技も期待できる。
227名無し@特撮ファン
設定とキャストで今判っている事ってある?
228名無し@特撮ファン
突如、日本に怪獣が現れるようになって、怪獣から防衛するための組織、MDG(Monster Defense Guardians)を設立。
その候補生として、星アキラと、夜凪景が居て、朝野いちごが先輩隊員、白石宗がMDGの隊長で、星アリサがMDGの局長らしいな。
229名無し@特撮ファン
絶対にMDGの隊長と局長は水と油だろwww
230名無し@特撮ファン
星アリサがラスボスでも俺は驚かないw
231名無し@特撮ファン
俺には見える。 星アリサが嬉々として星アキラを窮地に追い込むシーンが今から見えるwwww
232名無し@特撮ファン
百城千世子が星アキラの幼馴染で、明神阿良也は星アキラの友達???って感じだけど、扱いを見るに悪役。 他に環蓮が刑事の役で出るって言っているけど、端役な訳が無いからこれもすごい楽しみだわ。
233名無し@特撮ファン
他にも明神阿良也繋がりで青田亀太郎や三坂七生もゲスト出演するらしいな。
234名無し@特撮ファン
まさか特撮の世界に巌裕次郎の演出が来るのか!?
235名無し@特撮ファン
その辺も楽しみすぎる。
236名無し@特撮ファン
制作陣も今回は会社の枠を超えて、ゴジラ、戦隊モノ、仮面ライダー、ウルトラ仮面の名だたる人達がオールジャパン体制で協力しているから期待が持てる。
237名無し@特撮ファン
その力の一部をウルトラ仮面イリュージョンさんに分けてあげてください(泣
238名無し@特撮ファン
うん。 ウルトラ仮面イリュージョンさんはいいやつだったよ。
239名無し@特撮ファン
いいやつを亡くしたな。
240名無し@特撮ファン
(´;ω;`)ブワッ
241名無し@特撮ファン
あいつは、オンドゥル星の王子だから大丈夫だ!
242名無し@特撮ファン
見捨てられてて草ww
243名無し@特撮ファン
だけど何でネッコフリックスが日本でドラマをやっているの?
244名無し@特撮ファン
去年上陸したネッコフリックスの日本市場の宣伝のためだな。
245名無し@特撮ファン
元はネッコフリックス放送用のドラマコンテンツだけど、日本市場での宣伝のためにこのドラマで本腰を入れて来た感じだね。
246名無し@特撮ファン
ネッコフリックスのドラマなら、民放でやらなければいいじゃん。
247名無し@特撮ファン
それだとネッコフリックスを見ないとだめだから誘導にはならないからな。
だから民放にやってもらって、それを呼び水に顧客を引き入れる感じだな。
248名無し@特撮ファン
Windowsでゴーグルクロームをインストールするためにインターネットエクスプローラーを使うような感じだぞ。
249名無し@特撮ファン
微妙な例えで草www
250名無し@特撮ファン
逆に民放だとライバル会社への宣伝になるからダメなんじゃないの?
251名無し@特撮ファン
でも視聴率とスポンサー費用が取れるからなぁ・・・・。
252名無し@特撮ファン
そんな文句を言ったら別の民放に取られてスポンサー費も無くなってお終いだゾ。
253名無し@特撮ファン
日本のテレビ局もネットに押されて大分弱っているよなぁ・・・。
254名無し@特撮ファン
テレビ局側もオンデマンドでの著作権料とか色々入るから単純に敵対関係でも無いしなぁ。
255名無し@特撮ファン
テレビ局のCMでゲームのCMを流すような物に近いかもね。
256名無し@特撮ファン
どちらにせよ、俺たちはハリウッドクオリティーで、日本制作のウルトラ仮面を観ることができるんだから、喜ばしい事だろ。
257名無し@特撮ファン
それは間違いない。
258名無し@特撮ファン
マジでウルトラ仮面Blackには期待しか無い。
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星アキラはウルトラ仮面Blackを撮影する1
前回の話で、幼馴染を景ちゃん、候補生を千世子ちゃんと書いたのですが、後の話を書いていて、配役がしっくりと来なかったので、幼馴染を千世子ちゃん、アキラ君と同じ候補生を景ちゃんとして配役を修正しました。
すでの前回配役部分を修正していますが、前回から読んでいただいた方はご容赦ください。
制作発表に前後してウルトラ仮面Blackの撮影が始まった。
なんでネッコフリックスでウルトラ仮面の特撮を作るかって? それはライバルのアマズンが仮面ライダーアマズンズを新ドラマとしてやる事になって、特撮として対抗するために、ウルトラ仮面のドラマを作る事にしたらしい。
ちなみに、スーパー戦隊はアメリカでパワーレンジャーとして昔から放送されているので、元々検討されていなかったよ。
僕はMDG(Monster Defense Guardians)の候補生で、ひょんな事からウルトラ仮面に変身する力を手に入れて、ウルトラ仮面として活躍する感じだね。
初回、2話目ぐらいまではいつものウルトラ仮面って感じで、怪獣が出て現場に行ってウルトラ仮面に変身して大団円って感じだね。
2話目以降は結構すごい展開になるけれども、基本的に導入部分はテレビでやっているウルトラ仮面だった。 ・・・導入部分はね。
景ちゃんは僕より年下の入りたての候補生で、いちごちゃんが先輩隊員。そして白石さんが部下思いの隊長役で、アリサママが合理的な判断を優先する局長。
隊員がピンチになると、アリサママが冷徹な判断を下そうとすると、白石さんがなんとか部下を救おうとして奮闘する感じだね。
そして、ウルトラ仮面が登場して大団円。 基本はこのパターンなんだけど、これは大人向けのウルトラ仮面Blackなんだよね・・・。
なにがBlackなのかは今は秘密。
そんなウルトラ仮面な僕を支える幼馴染として千世子ちゃんと阿良也が居る。
初回で怪獣から千世子ちゃんと阿良也を助ける関係上、千世子ちゃんと阿良也には僕がウルトラ仮面である事がバレていて、親友として僕をサポートしてくれるよ。
でも阿良也は意味深な事をしたり、怪獣をけしかけたり、裏で宇宙人と繋がっている描写があったりして、本当に僕の親友なのかは怪しい所なんだ。
今日はそんな阿良也との撮影。なんやかんやあって、第四話のエンディングで、怪獣を倒した後にビルの屋上から夕焼けの街を見ながらの会話だね。
「ほら見てごらん、君が守った街だよ。 君ががんばったお蔭でまだこの街が存続しているんだ。」
「ああ。 僕が守ったんだ。 絶対にみんなを守り切って見せる。」
本来はここで終わるはずだった。 でも阿良也がここでアドリブを入れてきた。
「でも、いつもまでもこの街を君が守れるわけじゃないよ。 そもそもこの街の人間は君を邪魔するだけの存在じゃないか。」
阿良也はそう言うと、僕を金網に押し付けてきて、まるでキスをする前ぐらいまで顔を近づけながら言ってきた。
「それでも、僕はヒーローなんだ。 みんなを見捨てられる訳が無いだろう!!」
こいつ、壁ドンの体勢を取って来やがった。 しかもカメラの位置まで正確に計算していいアングルで撮影させている。
「君は、ずっとこの街を守り続けられるとでも思っているの? この後も何度も怪獣は来るだろう。 いつも今回みたいに上手く防衛できるとでも思っているの? MDGも協力してくれないのに? 」
「そんな事を言っても、街の人達を守れるのは僕だけなんだ! 僕しか居ないんだよ!! 」
「でもそれって、ただの延命処置だよね? 結局アキラがここで頑張っても、最終的にこの街が破壊される事には変わりないんじゃないの?」
こいつ・・・、この展開はまだ先のはずなのに、アドリブでここにぶっこんで来やがった。
「じゃあ、阿良也はどうしろって言うんだ!!」
「こんな奴らを見捨てて俺と逃げないか? アキラの力なら余裕だろう? 千世子を連れて行ってもいい。」
さらに阿良也は見惚れるような、妖艶な笑みを浮かべて僕に密着してきた。
間違いない。 阿良也は僕を演技で喰おうとしてる。
主役を奪おうとか、僕を喰って名を上げるとかそういうのであれば、いくらでもやりようはある。
でもこいつ、心底、役を演じるのを、楽しんでいやがる。
自分が暴走して、ドラマを破綻させないようにするギリギリの綱渡りと演技を本気で楽しんでいやがる。
阿良也はハイになって、狂気に満ちた表情で僕に迫ってきた。こんなの台本にまるで無い行動だ。
これが、ウルトラ仮面ではない、何かの映画であれば、話題作りにちょうど良いだろうけど、流石に男同士がベタベタするのは普通のテレビドラマで流すのはまずい。
アドリブなので、突然平手打ちをすると阿良也が口の中を切ったり、舌を噛んだりする可能性があるので、僕はスローでポふっと、阿良也を平手打ちした。
阿良也は意図を察したのか、派手にすっ転んで、僕を見上げる形に殺気をみなぎらせて、僕を睨みつけた。
このシーンは少し早回しにして、効果音を後付けすればちょうど良くなるはずだ。
「見くびるなよ。 それでも僕は街のみんなを守って見せる。 なぜなら僕は正義のヒーローウルトラ仮面だからだ!!」
僕はアドリブでセリフを綺麗に決めて、夕日をバックに逆光でのカメラの位置、画角、レフ版の位置を考慮して、完璧な構図で宣言して見せた。
決まった。 完璧に決まったけど、内心では心臓がバクバクだった。
あの天才俳優、明神阿良也が周りを気にせずに僕を本気で喰いに来ている。 それは物語が佳境に入るこれからの撮影で、才能で生きる阿良也に対して、僕が技術だけで喰われずに生き残れるのだろうか?
綺麗な夕日をバックにしつつも、僕の心の中では暗雲が立ち込めていた。
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星アキラはウルトラ仮面Blackを撮影する2
前回から、物語の中の俳優名と役名は別にして欲しいというご要望を感想欄で多くいただいているのですが、こちらの対応は、名前が沢山出て来て混乱しないための配慮として、そのまま役者名=俳優名として対応させていただいております。
今回の話では登場人物は10人に渡るため、俳優名と役名を分けると20人分の名前が数話で出てきてしまいます。そうすると、俳優名と役名間の対応関係をいちいち覚えながら文を読まなければいけないため、人名が混乱して、読みにくい文章になる事を防ぐために、こちらの小説では役者名=俳優名をお約束として、書かせていただいております。
セリフなどで俳優名を言う事で、違和感があって大変申し訳ございませんが、こう言った考えで、役者名=俳優名という対応をさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
阿良也のアドリブは回を追うごとに多くなっていき、完全に台本を逸脱し始めていた。
そしてそのアドリブが良いため、監督は止めなかった。
しかし、ウルトラ仮面の話を破綻させないようにするための僕の負担は高まった。
結果として、阿良也をフォローするために、僕が損な役回りをする羽目になっていた。 主役なのに。
台本を無視して自由に演技をする阿良也を止めるように監督にも抗議したんだけど、明らかに阿良也のアドリブは面白い方向だったので監督たちも止めるのを渋った。
結果、阿良也が全力で自由に振舞いすぎて、僕がフォローする羽目になっていた。 この構図だと、視聴者から見たら明神阿良也が星アキラを喰うように見える流れができている。
僕がフォローしているのは見る人が見ればってレベルであって、大半の視聴者には関係が無い話だった。
正直な話、ウルトラ仮面の主役というのは、元々そこまで演技が求められる訳でも無いから、淡泊な役であった。
直情的な熱血漢な主人公。 ヒーロー物の主人公はテンプレ的で、個性的な悪役に喰われる事は度々ある事だった。 悪役の方が自分の理屈で動けばいいから、正義の枷なんて無いからね。
僕は主役としての責任があるから、物語を破綻させないように頑張るというのも違うような気がしてきた。
そんな感じでストレスが溜まって、僕は大分限界に近づいていた。 そもそもなんで僕は阿良也のフォローをしているんだ?
普通はフォローさせるのは脇役の仕事であり、主役である僕の仕事では無い。
僕は主役なんだぞ! 僕が周りにフォローされるべきなんだ!!
主役と言うのは、誰にも邪魔されず、自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんだ。 僕の心の師匠である井之頭五郎が僕に呟く。
「そんなになるまでして、ヒーローなんてやる意味あるの? だって今の君はボロボロじゃん。」
そうだよ。 ボロボロだよ。 誰のせいだと思っているんだ? おかげで精神的にボロボロな主人公の気持ちが分かって、迫真の演技だよ。
なんで僕に、昔ながらのステレオタイプの主人公をやらせるんだよ。 そういった役をやらせるのであれば、ちゃんとそう言った事を考慮してフォローできる脇役を配置してよ。 昔ながらの主人公をリスペクトしない阿良也のお蔭で、ウルトラ仮面の主人公像では、もう限界に来ちゃったじゃないか。
もうフォローの限界だよ。 確かに正義感に溢れる主人公というのは、多様な正義が入り混じる現代には古い、カビの生えた存在だよ。 でも僕はこう言った時代にこそ真っすぐに正義を貫き通せる主人公を演じたかった。
でも、どうやら僕は主人公の器じゃなかったみたいだ。 僕の力が足りないばかりに、誰よりも憧れたウルトラ仮面の主人公像を、僕自身が殺すことになるみたいだ。
ごめん。 ウルトラ仮面。 僕のために死んでくれないかな?
「阿良也、やっぱり僕にヒーローを辞めさせたいの?」
「そうだよ。 こんな国のやつらなんて守ってやる必要なんてないじゃないか。 これ以上守れないし、もう辞めるべきだよ。 」
相変わらず、親友を演じつつも視聴者に判る程度に邪悪な笑みを浮かべて、僕に体を密着させて来る。 阿良也は僕に対する執着心を示すように、一線を踏み越えて、日本人では全く行わないようなスキンシップを取って来る。
これは、僕の心に言葉を届けて、僕の心の内に入り込み、僕を迷わせようとするための演技だ。 でも、このドラマは絶対にBLの聖典としても歴史に残るだろう。 迫真の演技だから監督もとめないけどさぁ、もうさぁ。 いいよね? 誰も止めないなら行くところまで行くよ。 みんなそれが見たいのだよね?
本来なら、阿良也の甘い言葉にもめげずに、ヒーローとして戦う誓いをする場面だけれども、台本が薄っぺらいんだよ。 こんな薄っぺらい台本でアドリブ全開の天才俳優、明神阿良也を止められる訳が無いだろ!
いくらMDGの候補生だったからと言って、突然ヒーローに当選して、怪獣と戦えるからって、この境遇で自分の命を進んで投げ出すような覚悟があるやつなんて、居る訳が無いじゃん。
そんな事を言うやつはただの狂人だよ。 狂人。 なんで、みんなはヒーローが狂人だって思わないんだろう?
「くっくくくくくっ、くくっ、はははっはは!」
僕は突然、気が触れたように、笑いだす
全く台本にも無い、何の脈略も無い唐突な演技に、阿良也が戸惑った表情を見せる。
僕は主人公なんだから別にフォローなんてしなくてもいいよね?
「阿良也? 阿良也は僕がそんな事でヒーローを辞めると思っているの?」
狂気じみた笑いをして、アドリブ全開で気が触れたように見える僕を、阿良也は呆然と見つめる。
「前にも言ったよね? 僕がヒーローで戦って平和を守っても、それは延命措置で、いずれは限界がきて終わるって。」
僕は狂人染みた笑みを表情に貼り付けながら、阿良也に言った。 大人向けのドラマで無ければ、間違いなく子供達のトラウマになる事だろう。
「その通りだ。 アキラはどんどん追い詰められて、こんなに傷ついて、これ以上、この街も国も守れないじゃないか!」
ついにぶっ壊れた僕を見て、我に返って正論ムーブをぶちかます阿良也。 その常識論はこの場合、悪手だよ。
「それでいいんだよ。 阿良也。」
「突然、何を言っているんだアキラ!」
僕も阿良也を見習って、台本を捨てて全てアドリブで行くことにした。
「阿良也、考えてごらん? 僕が居なかったら、この国はどうなるのかな?」
「MDGの対策も上手く行っていないし、ウルトラ仮面が居なかったら、怪獣に滅ぼされるだけだろ!」
「そうだよ。 でも考えてごらん? このままだとウルトラ仮面もいずれ負ける。 そうすると怪獣に滅ぼされる訳だ。 つまりウルトラ仮面が居ようが居まいが、結果は変わらないだよ! 阿良也!」
「だから、一緒に逃げようって俺は言っているんだ!!」
「違うよ。阿良也。 結局滅ぶのであれば、どこに逃げても一緒さ。 だからウルトラ仮面は無価値なんだよ。 ウルトラ仮面が戦う事で、みんなちょっと生き延びる時間が増えるだけで、けっきょく結果は変わらないんだ。」
「何を言っているんだ? それが判っているなら、アキラがやっている事が無駄な事だって判っているって事だろ!」
「無駄じゃない、無駄じゃないんだよ阿良也。 あんなに僕を迫害しているこの国の人間は、僕が変身したウルトラ仮面をヒーローとして崇めているんだよ。 滑稽だよね? みんなが希望のヒーローだと思っているウルトラ仮面は、寿命が迫っている末期がん患者を延命するためのただの劇薬でしかないんだ。 」
「完全に無駄じゃないか!」
「そうだよ。 ウルトラ仮面は無価値なんだよ。 阿良也。 もう終わりなんだよ。 死が迫っているんだ。 みんな死ぬんだよ阿良也。 ねえ? 自分が死ぬってわかっている時に阿良也は何をしたい?」
「そんなの考えた事も無いよ!」
「僕はヒーローとして死にたいんだ。 死んだら終わりだ。 全てが無価値だ。 だから僕は、あえて最後にヒーローとして死にたいんだよ!」
「ヒーローとして死ぬのであれば、みんな悲しんでくれるだろう。 次はみんなが死ぬ番なのにね。 だからこそ僕はみんなの希望のヒーローとして、無駄に死にたいんだ。 だからウルトラ仮面は無価値でも、これは僕にとって無駄じゃないんだよ。」
「狂ってる。 そんな事、何にもならないのに狂ってるよアキラ!」
「ハハハハハハ! その通りさ。 僕は狂っているんだよ。」
阿良也の正面に見据えて、今度は逆に僕が阿良也にキスをするぐらいに顔を近づけて、狂気の表情を阿良也に見せつける。
「正義感のためとか、平和のためとか、みんなのためとか、僕はどうだっていいんだ。 みんな死ぬんだ。 その中で僕は、僕のためにヒーローとして死ぬんだ。 ねぇ、僕の夢は本当にすばらしいだろ? わかってくれるかい? 阿良也?」
「本当に狂っていやがる」
「それは僕にとって、最上級の誉め言葉だね。 ハハハッ!」
演技が終わっても、監督さんは何も言わなかった。 僕が狂った迫力にみんな呆然として、頭が真っ白になってたらしい。
少ししたら、我に返った監督さんがカットと言って、収録が終わった。
撮り直しは無かった。
阿良也に続き、僕が台本から降りてアドリブになった事で、この先の膨大な台本が書き直しとなった。
僕と阿良也が暴走してアドリブに走ったけれども、撮った内容は誰が見ても元の脚本よりも面白かった。
そして脚本家は頭を抱えて、もう自由に演じてくれって言ってさじを投げた。
結果として、僕は主役としての自由を手に入れた。
次回、阿良也の視点です。
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明神阿良也の視点
アキラが主役のウルトラ仮面が決まったある日、俺の元にもウルトラ仮面Black出演の依頼があった。
俺は舞台ばかりで、ドラマの撮影なんて数えるほどしか無かったけど、巌さんは何事も経験だって言うのでやってみることにした。
アキラは俺がこの役を受けるのを聞いたらゲッって顔をしていた。 アキラはスターズ以外の配役は聞いていなかったらしい。
なので、劇団天球経由で俺達に依頼があったのが意外だったようだ。
「阿良也はヒーロー物わかるの? ただ単に役を演じればいいって訳じゃなくて、ちゃんとしたお約束を守らなきゃいけないんだよ?」
「お約束は判らないけれども、台本はちゃんと読んできたから大丈夫だよ。」
「うわっ、嫌な予感がビンビンにするよ。 阿良也って絶対に、正体不明のヒーローと会話するシーンとかで、お約束を守らないで、あれ? アキラそんな格好で何をしているの? とか言っちゃいそうな危険な予感がするんだよなぁ・・・。」
アキラにそう言われて、読んだ脚本だったけれども、確かに内容が薄い以外になんでこんな事に気が付かないんだ? とか、このウルトラ仮面の登場人物ってバカじゃないのか? とか思うシーンがいくつかあって、子供向けならともかく大人向けとしてはどうよ? って部分が沢山あって、実際どうかと思った。
役を演じていて、その違和感はどんどん大きくなって行った。 お約束とは言え穴が大きすぎる。 これでは大人向けに作った意味がほとんど無い。
ほとんどが子供向けウルトラ仮面のオマージュが多すぎて正直、マニアとしてなら面白いかもしれないと思ったけど、ドラマとしては失格だと思った。
アキラはそんなお約束によって成り立っている、ウルトラ仮面に縛られていた。 ウルトラ仮面は古くから続くシリーズだ。 こうあるべきだって言う確固たるステレオタイプが存在して、制作陣もアキラもそれに縛られていた。
俺は素直に、この巨額の製作費をかけて、豪華俳優をそろえたこのシリーズが台本通りでは、駄作になる予感を感じていた。
巌さんにも相談したけれども、やっぱり脚本がチープでマニアはそれで良いだろうけど、一般受けはあまり良くないだろうという回答だった。 巌さんは今回、演出協力だったので、監督とも巌さんを介していろいろ話した。
この脚本なんだけど、面白く無いのは理由があって、実はプロットまで別の脚本家が作っていたんだけど、ウルトラ仮面をBlackとイリュージョンの平行で二本作ると言う激務がたたって入院。 それで、別の脚本家が受け継いだんだけど、この脚本家自体が経験があまりなく、ウルトラ仮面の脚本しかやった事が無くて、子供向けのウルトラ仮面のイメージを守った結果、プロットは先進的なのに、子供向けの保守的な演出になるという、微妙な脚本だった。
ただでさえ、時間が迫っている中で、プロットしか無い中での、経験の少ない別人へのバトンタッチ。
他の脚本家はメインの脚本家が倒れたせいで負担が増した、ウルトラ仮面イリュージョンの仕事に忙殺されて、他社の脚本家にお願いする方法もあったのだけど、どちらにしてもウルトラ仮面の経験が無い人間がこの脚本を書くのは無理だった。
監督はこの事情を留意して、台本に矛盾が多い事が判っていても、そのまま撮る事にしたけど、これだけのキャストをそろえた上で演じる脚本としては力不足な事は否めなかった。 壮大なプロットに対して、明らかに小さくまとまった脚本だった。
このままでは、後半に行くに従い、矛盾が大きくなって、失速するのは目に見えている。 その証拠にベテラン俳優たちも場面場面でこの台本に対して、積極的に意見を言って、内容を書き換えさせていた。
監督や脚本家、アキラも頭を悩ませていた。 何度も読み合わせやリハーサルなどで意見を言い合っていたが、俺にはみんなウルトラ仮面に囚われすぎていて、泥縄式に矛盾の穴を塞いでいるけれども、それはどんどん大きくなっているように見えた。
代打の脚本家は、己の力不足を恥じていた。でもこれは仕方がないと思う。
こんな大役を急遽の代わりでなんとかできるものでは無いからだ。
監督は悩んでいた。 巌さんは俺にアドリブさせる事を監督に提案した。
「ウルトラ仮面に全く囚われていない阿良也だからこそ、ニュートラルな視点で演技できて、みんながウルトラ仮面として常識だって思いこんでいる事を打破できるんじゃないのか?」
監督はすごく悩んだ末に、あえて俺のアドリブによる暴走を許した。監督は巌さんにも説得されて、俺にかける事を選んだ。
でも、この話はアキラにはしていない。 この話を知ればアキラも早い段階から、アドリブ全開でぶち込んで来るだろう。 でもそれでは面白くないし、ヒーローの正しい姿とは思えなかった。 アキラには限界まで理想のヒーロー像を演じさせた方が良い。 そして限界を超えた時のアキラの演技を見てみたい。 それが俺が巌さんや監督と出した答えだった。
こうして、俺はこの脚本を逸脱する事にした。 あの親友であれば、俺の本気の演技についてくることが出来るだろう。
ただ、最初のうちは俺の企みは全く上手く行かなかった。 俺のアドリブによる暴走をアキラが上手くフォローして物語として破綻させないように上手く立ち回っていた。
まさしく、アキラは脚本を守る正義の味方。 台本のピースメーカー。 明らかに問題がある点は、ちゃんと監督と交渉してその部分を修正させていたけど、それでもがんじがらめになったウルトラ仮面の檻を抜け出す事はできていなかった。
俺は回を追うごとにアドリブの強度を上げて行った。 アキラにはちゃんとウルトラ仮面をリスペクトしろと、言われたがあえて無視した。 絶対にアキラはこの脚本だと駄作になる事に気が付いている。 ただ、ウルトラ仮面への憧れが強すぎてそれを認められないだけだ。
俺はアキラに絡むウルトラ仮面への呪縛を解き放つように、どんどんアドリブで物語を逸脱させた。 もう、いくらアキラであっても、ステレオタイプなウルトラ仮面のキャラクターでは矛盾が大きくなりすぎてフォローしきれない。 俺は子供の頃は全くヒーローになんて憧れていなかった。 ヒーロー物のお約束なんて現実には全く役に立たないからだ。
ヒーローのキャラクター像と実際のリアリティの矛盾に苦悩するアキラ。 でも気が付いているんだろう? 空想のヒーローなんて空虚な物で、現実に引っ張り出せば矛盾の塊でしか無い事を。 大人になるってそう言う物じゃないのかい? だから大人向けのウルトラ仮面も現実の壁の前に苦悩するべきだ。 子供向けのお約束なんて現実の前にはなんの効力も無いんだよ。
そして、物語が中盤に入るころについにアキラがキレた。 キレたタイミングはまさに絶妙だった。 視聴者にアキラがウルトラ仮面としての理想のヒーローだってキャラクターの評価が定まり切る瞬間。 中盤の中弛みのはずだから、しばらくは安心して見ていられるって視聴者が気を抜く瞬間にぶっこんできた。
よく、人がキレる時の擬音として、プッチンとかプツンとかあるけれども、アキラがキレた瞬間に本当にそう言う音が幻聴として聞こえた。 本当に惚れ惚れするほど見事な演技だった。
現場に居た他の俳優達やスタッフですら、アキラが俺の言葉によって唐突にキレたように見えただろう。 でも俺には判る。 アキラはこう言う事態を見越して入念に準備していたはずだ。 だからアキラからは相変わらず匂いがしない。
アキラは、演技に感情を利用するけれども、絶対に感情に飲まれない。 やつは舞台を最大効率で稼働させる最強の舞台装置だ。 千世子が視聴者の視点で演技をするように、アキラは視聴者の感情で演技を行う。 キレたように見えるけれども、それは演技で、逆に視聴者を操っているだけだ。 やつが主役の舞台であれば、物語を破綻させる事は絶対に無いって言い切れる。
ウルトラ仮面の束縛を逃れて、アキラが出して来た答えは『狂人』だった。
興味からウルトラ仮面の皮を破いてみたら、最狂の主人公が出て来てしまった。 俺は、これからこの最狂の主人公を相手に演技をして行く事となる。 緊張で背筋に冷たいものが走った。
いいねぇ。 それでこそ喰いようがある。 俺は本気を出したアキラを喰うために舌をなめずりまわした。
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ウルトラ仮面Black第2話 実況スレ
133名無し@特撮好き
第一話はすごくウルトラ仮面だった。 でもCGや特撮部分、出演陣なんかは本当に凄かったな。
134名無し@特撮好き
見事な導入だったな。
135名無し@特撮好き
阿良也と千世子ちゃんのピンチに星アキラがウルトラ仮面に変身する力を手に入れて、二人のピンチを救って怪獣撃退。
MDGの人達も活躍して大団円という、子供にも安心して見せられる内容だったな。
136名無し@特撮好き
キャストの紹介とウルトラ仮面のこれからの活躍に期待させる内容で満点だったな。
137名無し@特撮好き
ずっとこんな感じで続けばいいのに・・・。
138名無し@特撮好き
どうなるのかね? ずっとこんな感じだと大人向けドラマじゃ無いだろ。
139名無し@特撮好き
おっ、今回からオープニングが入った。
140名無し@特撮好き
オープニングかっけぇ。 星アキラはマジで主人公。
141名無し@特撮好き
星アキラ、大丈夫かよ?って思っていたけれども、安定の主人公で大安心だ。
142名無し@特撮好き
同じ候補生の景ちゃんが超かわいい。 あんな子と一緒に働きたい。
143名無し@特撮好き
それを言ったら、千世子ちゃんも同じく超かわいいぞ。 あんな幼馴染を持つなんて、前世でどれだけ徳を積んだんだ。
144名無し@特撮好き
阿良也の動きがちょっと怪しいんだよな。 まぁそういうようにフラグを見せているから何かあるんだとは思うけど。
145名無し@特撮好き
環蓮とか刑事とか、どんな役割なんだ?
146名無し@特撮好き
殺された怪獣の犯人追跡だろw
147名無し@特撮好き
適当すぎるwww
148名無し@特撮好き
怪獣に人権はあるのかな?
149名無し@特撮好き
日本国民でも無いし、条約の対象でも無いから無いゾ
150名無し@特撮好き
今日は、先輩隊員の青田亀太郎にスポットが当たっているな。
151名無し@特撮好き
ムードメーカーですごく頼りになるアキラの先輩って感じだな。
152名無し@特撮好き
今日の怪獣はゴモラか。
153名無し@特撮好き
化石発掘時に見つかるのは、本家のオマージュだな。
154名無し@特撮好き
ゴモラ、スヤスヤでワロタ
155名無し@特撮好き
これはかわいい。
156名無し@特撮好き
絶対に寝ぼけているだけだゾこれ。
157名無し@特撮好き
みんな判っているが、ネタバレはいけない!
158名無し@特撮好き
万博に展示wwwww
159名無し@特撮好き
アホすぎるwwww
160名無し@特撮好き
初代と同じ展開w
161名無し@特撮好き
いや、ロストワールドでも同じようなネタあったし、みんな考える事は一緒では?
162名無し@特撮好き
MDGがゴモラの輸送任務www
163名無し@特撮好き
隊員と国民の安全を考えて反対する隊長と、上からの命令で強引に通そうとするアリサ局長w
164名無し@特撮好き
アリサ局長、組織の論理として、言っている事は正しいけれども、無能では?
165名無し@特撮好き
輸送任務には絶対の安全性があるwww
166名無し@特撮好き
どんだけフラグ立てるんだよ。こいつらw
167名無し@特撮好き
こんな事に税金を使うなw
168名無し@特撮好き
これは酷い。 ツッコミ所しかねぇwww
169名無し@特撮好き
これはこれで面白いw
170名無し@特撮好き
お役所仕事がリアルなのがまたw
171名無し@特撮好き
マジで今の日本みたいに超グデグデだなww
172名無し@特撮好き
政治家も官僚も、局長もみんな無能で、ある意味リアルすぎるw
173名無し@特撮好き
こんなグデグデのお役所仕事を見せられるなんて、まさに大人向けウルトラ仮面www
174名無し@特撮好き
お役所の手続きめんどくせえw
175名無し@特撮好き
子供じゃ絶対にわからない、お役所手続きの面倒くささ。
176名無し@特撮好き
妙に縦割りすぎて、お役所の利益云々で揉めている所がどんだけリアルなんだよ。
177名無し@特撮好き
膨大な製作費をかけて、こんなリアルさは求めちゃいないw
178名無し@特撮好き
こんな怪獣が普通に現れているのに、日本終わっているよな。
179名無し@特撮好き
危機感が無さ過ぎ問題
180名無し@特撮好き
平和ボケしすぎwww
181名無し@特撮好き
これ、ダチョウ倶楽部並みに、会場に到着したら暴れる展開になるよね?
182名無し@特撮好き
これは予定調和すぎて逆に面白いw
183名無し@特撮好き
逆に暴れなくて普通に展示されている話を観て見たいw
184名無し@特撮好き
アキラ君と景ちゃんはあらかじめ、青田さんと一緒に万博の会場で警備か。
185名無し@特撮好き
主人公がここに居れば、これは万博の会場まで暴れませんわ。(フラグ)
186名無し@特撮好き
景ちゃんがアキラ君に差し入れ。
187名無し@特撮好き
これは間違いなく惚れていますわ。
188名無し@特撮好き
アキラ君は王道主人公だから仕方が無いね。
189名無し@特撮好き
千世子ちゃんもライバルだけど頑張ってほしい。
190名無し@特撮好き
景ちゃん、本当に素敵な女の子役で出演したら輝くよな。
191名無し@特撮好き
んっ? 警備中の青田さんが何か見つけたな。
192名無し@特撮好き
怪獣を入れる檻の方に走っていく。
193名無し@特撮好き
何を見たんだ?
---------------------------------
345名無し@特撮好き
青田さんと連絡が取れなくなって周囲を探すアキラ君。
346名無し@特撮好き
万博会場のセット作ったんだろうな。
347名無し@特撮好き
すごくお金がかかっていて草
348名無し@特撮好き
扉が開いている。
349名無し@特撮好き
死っ、死んでる---!
350名無し@特撮好き
青田亀太郎死亡wwwww
351名無し@特撮好き
死因は鈍器のようなもので頭を殴られて・・・。
352名無し@特撮好き
青田さんを確認しようとしている所を見られる星アキラw
353名無し@特撮好き
これは、まずいんじゃ・・・。
354名無し@特撮好き
えげつなく呼ばれる警察。
355名無し@特撮好き
速報:星アキラ逮捕されるw
356名無し@特撮好き
アキラ君、警察にお持ち帰りwww
357名無し@特撮好き
こんなお持ち帰りはいやだ。
358名無し@特撮好き
逮捕されて、事情聴取。 ここで環蓮が出てくるのか。
359名無し@特撮好き
刑事役として環蓮がすごくいい味を出している。
360名無し@特撮好き
もちろん、無罪を主張するアキラ君。
361名無し@特撮好き
環蓮も、状況と事情を聞き取って、アキラ君が犯人じゃないって思っているみたいだ。
362名無し@特撮好き
完全に冤罪で草w
363名無し@特撮好き
拘置場で檻に入る星アキラw
364名無し@特撮好き
悲報:ウルトラ仮面逮捕!
365名無し@特撮好き
拘置場でブルーなアキラ君。
366名無し@特撮好き
そりゃブルーになるだろうよ。
367名無し@特撮好き
冤罪だからなぁ・・・。
368名無し@特撮好き
冤罪を晴らしてくれると仲間を信じて熱いな。
369名無し@特撮好き
この辺の演技はすごく上手いよね。さすがは星アキラ。
---------------------------------
511名無し@特撮好き
ゴモラが暴れ出して檻大破wwww
512名無し@特撮好き
知ってたw
513名無し@特撮好き
これだけフラグを立てていれば、ゴモラに逃げられるのは当たり前。
514名無し@特撮好き
もう予定調和すぎるw
515名無し@特撮好き
そりゃ、壊れますよね。
516名無し@特撮好き
この世界の人達はバカじゃないのかな?
517名無し@特撮好き
檻が壊れる事に驚くMDGの面々。
518名無し@特撮好き
いやぁ・・・。驚く事じゃないんだよね。
519名無し@特撮好き
むしろ檻が壊れて驚く方に驚くわ。
520名無し@特撮好き
怪獣を攻撃するために緊急閣議を実施www
521名無し@特撮好き
閣議が終了するまで攻撃できないMDGw
522名無し@特撮好き
これは酷いwww
523名無し@特撮好き
無能すぎるw
524名無し@特撮好き
大阪城の敷地に近づいたゾ
525名無し@特撮好き
これは大阪城が大ピンチだw
526名無し@特撮好き
これは、初代のオマージュ来るか?
527名無し@特撮好き
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! 大阪城大破www
528名無し@特撮好き
見事な破壊だ10点。
529名無し@特撮好き
お金をかけているだけのことはある。 すばらしい破壊だ。
530名無し@特撮好き
やたらCGと模型でお金をかけて念入りに破壊される大阪城w
531名無し@特撮好き
これは気持ちいい壊しっぷり。
532名無し@特撮好き
大阪城が大破しているのに責任を擦り付け合っている政治家や官僚どもwww
533名無し@特撮好き
アリサ局長も責任逃れ。
534名無し@特撮好き
檻を用意した地方自治体の責任www
535名無し@特撮好き
いや、お前ら全員に責任があるだろw
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635名無し@特撮好き
ようやくMDGに攻撃命令が。
636名無し@特撮好き
遅せえw
637名無し@特撮好き
すでに大阪がヤバいんですけど
638名無し@特撮好き
白石隊長、渾身の攻撃命令。
639名無し@特撮好き
そんなっ、MDGの攻撃が効かない!
640名無し@特撮好き
知ってたw
641名無し@特撮好き
うん。俺もわかってたw
642名無し@特撮好き
怪獣に普通の攻撃が効かないって事だけを見せつける組織MDGぇ・・・。
643名無し@特撮好き
上から下まで無能組織MDG。
644名無し@特撮好き
MDGの攻撃で通天閣が倒壊ww
645名無し@特撮好き
もうこれ、どっちの被害の方が多いのか判らねぇなw
646名無し@特撮好き
悲惨すぎるw 俺、この世界の住人じゃなくて本当に良かった。
647名無し@特撮好き
ここまで無能だと、逆に清々しいな。
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826名無し@特撮好き
アキラ君がゴモラが来るから護送されている最中に逃げ出して、ウルトラ仮面に変身してゴモラを倒したけれども、どうなるのこれ?
827名無し@特撮好き
完全にアキラ君が犯人だって思われるよなぁ・・・。
828名無し@特撮好き
本人は殺人容疑で逃亡生活か。
829名無し@特撮好き
ゴモラの檻が壊れたのもアキラ君が細工した事になっとるw
830名無し@特撮好き
そんな訳無いだろww
831名無し@特撮好き
本当に酷いな。怒りがわいてくる。
832名無し@特撮好き
檻が壊れたのは元々強度が足りなかっただけで、アキラ君の責任では無いと白石隊長や、いちご隊員、景ちゃんが猛抗議!
833名無し@特撮好き
そりゃそうだろう。
834名無し@特撮好き
怪獣が暴れまわって、これだけの被害を出したのに、これ以上政府の信用を落とすような事はできないとアリサ局長が一蹴とか終わってんぞ。
835名無し@特撮好き
むしろ政府の信用を無くすわw
836名無し@特撮好き
これぜったい、後でバレてろくでもない事になるぞ。
837名無し@特撮好き
アキラ君には犠牲になってもらうって、酷すぎ
838名無し@特撮好き
こんなに無能なウルトラ警備隊初めて見た。
839名無し@特撮好き
現実に政府主導で公務員のウルトラ警備隊を作るとこうなるんだなw
840名無し@特撮好き
ウルトラ警備隊は基本的にウルトラ仮面あってのサポート組織だからなぁ。
ウルトラ仮面が居ないと案外、こうなのかも。
841名無し@特撮好き
MDGのお役所仕事がまた泣けるw
842名無し@特撮好き
保身だけはやたら一丁前って言うね・・・。
843名無し@特撮好き
まじで最悪な局長だなw
844名無し@特撮好き
流石はアリサママ。 息子を追い詰められてすごく嬉しそうw
845名無し@特撮好き
日ごろのストレスの恨みだなw
846名無し@特撮好き
悪役の演技がすごく生き生きしているwww
847名無し@特撮好き
まじでノリノリだよなw
848名無し@特撮好き
最大の悪の組織はMDGだな。
849名無し@特撮好き
悪の組織MDGの首領、星アリサw
850名無し@特撮好き
アキラ君は、逃亡生活か・・・。
851名無し@特撮好き
アキラ君が捕まったら、ウルトラ仮面も居なくなって日本終わりだしなぁ。
852名無し@特撮好き
どうなるんだ?
853名無し@特撮好き
もう2話目にして詰みじゃないのこれ?
854名無し@特撮好き
これからどんどん怪獣が来るだろうに、日本終わったw
855名無し@特撮好き
こんなダメな大人ばかりのウルトラ仮面とか、ある意味子供には見せられないwww
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ウルトラ仮面Black第6話 実況スレ
286名無し@特撮ファン
怪獣を倒して逃亡生活、予想以上に厳しいな。
287名無し@特撮ファン
よくアキラ君はこんな孤立無援の状態でもヒーロー続けているよな。
288名無し@特撮ファン
まじで本当にヒーローだと思う
289名無し@特撮ファン
阿良也と千世子ちゃんが居なかったら絶対に破綻していたぞこれ。
290名無し@特撮ファン
でも限界が近いよな。
291名無し@特撮ファン
逃亡生活で弱っているアキラに対して阿良也がぐいぐいと行くからな。
292名無し@特撮ファン
完全に明神阿良也に星アキラが喰われているからなw
293名無し@特撮ファン
今回あたりで物理的にも喰われるかもなぁ・・・。
294名無し@特撮ファン
アキラ君はなにげにヤバイ阿良也を止めようとしているだけだから。
295名無し@特撮ファン
ちょっと主人公の存在感が阿良也に比べて薄いんだよな。 星アキラがどうとか言う感じじゃなくて。
296名無し@特撮ファン
正義の味方の主人公だから、あの性格を演じて、フリーダムな阿良也を止めるのは苦しいだろ。
297名無し@特撮ファン
アキラ君は阿良也君に演技で負けているというよりも、配役で負けている感じなんだよね。
298名無し@特撮ファン
アキラ君は主人公と言う最強のポジなのになぜ!!
299名無し@特撮ファン
魅力的な脇役が居る場合、主人公ってそんなに人気が無かったりするからなぁ。
300名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面の主役ってポジションが星アキラを使うのがもったいない感じ。
301名無し@特撮ファン
元々、ウルトラ仮面の主役ってそこまで演技力を求められなくてもできるポジションだからな。 演技力の差が出にくいんだろう。
302名無し@特撮ファン
でも、ちょっと脚本もやばいよね。
303名無し@特撮ファン
そうだな。 これだけの豪華俳優をそろえてこの脚本はなぁ・・・。
304名無し@特撮ファン
普通のウルトラ仮面の話 + グダグダな政治劇 + 逃亡生活で話がごちゃっとして大惨事だからな。
305名無し@特撮ファン
いろいろな要素を混ぜすぎて駄作になるって、あるあるだと思います。
306名無し@特撮ファン
ちょっと6話までで中弛みかつ、駄作の匂いがプンプンするんだよな。
307名無し@特撮ファン
そうだよな。 なんていうか盛大な設定のB級映画のような・・・。
308名無し@特撮ファン
B級映画よりも、ものすごい予算をもらっているはずなんだけどな。
309名無し@特撮ファン
個々の俳優の演技もすごいんだけど、纏まっていないって言うか、なんだろうな?
310名無し@特撮ファン
これだけの予算をかけて駄作って痛いよな。
311名無し@特撮ファン
このままだと、二度と日本の特撮にハリウッドから声がかからなくなるぞ
312名無し@特撮ファン
それはつらい。 星アキラにもっと頑張ってもらわないと。
313名無し@特撮ファン
正義感一直線で自己犠牲精神が強い主人公に対して、トリックスターで自由に振舞える明神阿良也はどんな役者でも厳しいだろ。
314名無し@特撮ファン
でもこのままだと、アキラ君の存在感もどんどん無くなっているからな。
315名無し@特撮ファン
大丈夫だ。問題ない。 阿良也×アキラの関係もどんどん深まっているからなw
316名無し@特撮ファン
BL界隈で、ものすごい話題だよな。
317名無し@特撮ファン
別の意味の存在感はすごいよなw
318名無し@特撮ファン
結局、阿良也って何なんだ?
319名無し@特撮ファン
敵と思わせるような、思わせぶりな描写はすごいけど、イマイチポジションが判らないんだよね。
320名無し@特撮ファン
お約束を屁とも思わないBlackな描写はすごいけどな。
321名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面Blackに嘘偽りは無いなw
322名無し@特撮ファン
生きるか死ぬかって状況だから、恋愛なんてしている暇は無いしな。
323名無し@特撮ファン
本来は恋愛は、千世子ちゃんか、景ちゃんの仕事だろwwwって思うんだけど、あの二人もな。
324名無し@特撮ファン
でも千世子ちゃんのサポートもすごい。 マジで天才ハッカー。 怪獣の行動を分析したり、MDGのコンピュータに侵入して情報を引き出すとか、MDG(無能 ダメダメ ガーディアンズ)に爪の垢を呑ませてやりたい。
325名無し@特撮ファン
正直、千世子ちゃんのサポートでなんとかなっている面もあるからな。
326名無し@特撮ファン
感情の起伏が少ない天才ハッカーを演じているから、恋愛って絡みとは違うけれども、すごい演技力だよな。
327名無し@特撮ファン
天才ってオーラが本当に出ている。
328名無し@特撮ファン
物静かで口下手なんだけど、返しとかちょっとしゃべるだけで、猛烈に頭が良いって伝わるのは完全に反則だわ。
329名無し@特撮ファン
本当に、演技で皮を被っている感じじゃなくて、天才としか思えないもんな。
330名無し@特撮ファン
天才の演技できるとか、想像の範囲外だわ。
331名無し@特撮ファン
アキラ君は千世子ちゃんの演技は恐ろしいって言ってたけど、本当なんだな。 俺、マジで実感している。
332名無し@特撮ファン
環蓮、夜凪景、朝野いちごの3人のデコボコトリオが事件の核心に迫るサスペンスもすごいよな。
333名無し@特撮ファン
星アキラの冤罪を晴らすために、MDG内部の汚職や不正に切り込む緊張感でここの部分は別のドラマかと思う。
334名無し@特撮ファン
環蓮のキレっぷりもすごいけれども、景ちゃんの演技もすごい。 MDG内部でスパイ大作戦しているからなw
335名無し@特撮ファン
完全にこいつらスパイ映画だよねw
336名無し@特撮ファン
すごい推理力とかいうよりは、スパイアクションで全部なんとかしちゃう脳筋仕様だからなwww
337名無し@特撮ファン
そして、景ちゃんのアクションのキレっぷりが凄い
338名無し@特撮ファン
この子がこんなにアクションできる娘なんだって初めて知った。
339名無し@特撮ファン
どう言う運動神経しているんだ?って感じだからな。
340名無し@特撮ファン
このデコボココンビと天才ハッカーの千世子ちゃんが組めば最強で、アキラ君の冤罪を晴らせそうだとは思うんだけど、どうなのかな?
341名無し@特撮ファン
わからん。合流できればいいんだけど、どう転ぶんだろ?
342名無し@特撮ファン
よしっ、放送が始まる。
---------------------------------
617名無し@特撮ファン
なんとか、タイラントを倒したけど、星アキラはもうボロボロだよ。
618名無し@特撮ファン
そこまでして、ウルトラ仮面を続けるのか!?
619名無し@特撮ファン
俺じゃ無理。 こんなの投げ出してる。
620名無し@特撮ファン
何でこんなに次から次へと怪獣が来るんだよ!
621名無し@特撮ファン
アキラ君がどんどん傷ついて行く。
622名無し@特撮ファン
お前はがんばったよ!
623名無し@特撮ファン
折り返し地点もまだなのに、この傷つきようならもう無理だゾ。
624名無し@特撮ファン
アキラ君がんばって!
625名無し@特撮ファン
なぜそこまでして戦うんだ!!
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739名無し@特撮ファン
やっぱり阿良也、ここでもぐいぐい来る
740名無し@特撮ファン
これは、腐女子ども大歓喜w
741名無し@特撮ファン
傷ついたアキラ君に優しく寄り添う阿良也。 これはヒロイン待ったなしですわwww
742名無し@特撮ファン
まじで狙っているとしか思えねぇwww
743名無し@特撮ファン
最近、このウルトラ仮面の女子人気が凄いってこういう事かw
744名無し@特撮ファン
こいつら、ノーマルの恋愛しないの?
745名無し@特撮ファン
優しくアキラ君の心をへし折ろうとする阿良也。 これは鬼畜ですわwww
746名無し@特撮ファン
まぁ、普通は阿良也の方になびくよな
747名無し@特撮ファン
んっ? 突然どうした?
748名無し@特撮ファン
星アキラ壊れた?
749名無し@特撮ファン
ついに壊れちゃった?
750名無し@特撮ファン
こえええ。 ヒーローが出していい笑い声じゃないぞ
751名無し@特撮ファン
目が座っていやがる。
752名無し@特撮ファン
キレた人間特有の怖さがある。
753名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面がキレるとかもう絶望しか無いんですが・・・。
---------------------------------
909名無し@特撮ファン
これは壮絶だわ。
910名無し@特撮ファン
ヒーローの裏側を見てしまった・・・。
911名無し@特撮ファン
そうだよな。並みの正義感でこんな事できないよな
912名無し@特撮ファン
もう、星アキラはすでに狂っていたんだ・・・
913名無し@特撮ファン
すんげー演技。 こんなの子供に魅せたらギャン泣きだぞ。
914名無し@特撮ファン
間違いなくトラウマになる。 これは子供には絶対に見せられないシーンだ。
915名無し@特撮ファン
俺、背筋に寒気が出て震えが止まらない。
916名無し@特撮ファン
狂った星アキラの顔が夢に出てきそう。
917名無し@特撮ファン
怖えええ。 正義のヒーローがマジ狂うと怖えエ。
918名無し@特撮ファン
本当に狂気を感じる。 これが素で無くて演技なら、星アキラってマジもんの役者だな。
919名無し@特撮ファン
下手なホラー映画よりも怖わいゾ。
920名無し@特撮ファン
とんでも無い演技だ。 このシーンは明神阿良也が霞んで見える。
921名無し@特撮ファン
みんなを守る正義のヒーローがこんな自殺志願者の狂人だったなんて・・・。
922名無し@特撮ファン
これならこんな目にあっても戦い続けるのは納得。
923名無し@特撮ファン
歴代のウルトラ仮面の裏側の心境もこんなんだったのだろうか・・・。
924名無し@特撮ファン
いや、こんなの星アキラだけだと思うけど、この演技は本当にすごいな。圧倒された。
925名無し@特撮ファン
正義のために戦うヒーローがこんな気持ちで戦っていたなんてすごくショック。
926名無し@特撮ファン
これは星アキラは報われて欲しい。
927名無し@特撮ファン
でも、こうなったら、星アキラって死ぬ以外の未来が見えないんだけど・・・。
928名無し@特撮ファン
それ以前に日本も終わる未来しか見えないぞ。
929名無し@特撮ファン
ここまでして戦っているのに、報われないのが歯がゆすぎる。
930名無し@特撮ファン
これは急激に期待が高まる
931名無し@特撮ファン
そうだな。 これからの展開がすごく気になりすぎる。
932名無し@特撮ファン
たとえ狂っても、自分のためであっても、絶望的な状況の中で自分の信念と正義のために戦う。 星アキラ、お前こそ本当のヒーローだ!
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星アキラはドラマの挽回に取り組む
第6話で僕がアドリブで爆発した次の日、僕達俳優陣と制作陣が一堂に会議室に集められた。
「やっほー。主役のアキラ君が来たよ。」
僕は元気よく挨拶すると、阿良也も横でペコリとお辞儀した。
「アキラ、阿良也来たわね。 あなた達のために、特別席を用意してあるわよ。」
「流石アリサママ。 わかっている~。 主役の僕にふさわしい席だよね。どこ?」
「ここよ。」
会議室には、なぜかアリサママの横の席に一畳の畳が置いてあった。
「あなた達は、そこの畳に正座して反省していなさい。」
「ひっ酷いよアリサママ! この畳に座布団すら敷かれていないじゃないか! こんなのに正座したら、足がしびれて大変な事になっちゃうよ。」
「そうだ!そうだ! 俺とアキラはこのドラマに欠かせない大切な俳優なんだから、こんな畳の上で正座させられたら今後の演技に響くよ。」
「二人とも、三下のやられ役の演技をどうもありがとう。 それじゃ、ここに正座しなさい。」
「あっ、アリサママ本気なの!?」
「もちろん、本気よ。 あなた達が正座して苦痛に歪む表情を見れるかと思うと、気分爽快よ。」
「こっこの鬼ママが! こっ、こんなの可愛いアキラ君の大虐待だよ!! これが芸能記者とかにバレると、あの星アキラが虐待されているって大スキャンダルだよ!」
「そうだ!そうだ!」
「いいから、二人ともここに正座しなさい。」
「はい。」
「はい。」
僕と阿良也は、畳の上で正座しながら会議に参加する事になった。トホホ・・・・。どうしてこんな事に・・・。
「スターズ社長の星アリサです。 今回は私の呼びかけによって、お忙しい中、お集りいただき本当にありがとうございます。」
アリサママは、会議冒頭のあいさつを始めた。
「今回お集りいただいたのは、この横で正座して居るバカ二人のアドリブによって、ドラマの筋書きが大幅に変わった事への対策と同時に、無理が来ていた今後シナリオ展開について、話し合う場が必要だと考えて、この場を設けさせていただきました。 確かにこの二人は愚かにもアドリブでシナリオを破綻させたのは事実です。 私は芸能事務所の社長として、この二人の暴走を止められなかった事をここで謝罪させていただきます。 大変申し訳ございませんでした。」
そうして、アリサママは頭を下げた。
居心地が悪かったので、僕と阿良也も一緒に頭を下げた。
「ただ、この二人もシナリオを破綻させたくて破綻させたわけではなく、元々の脚本にかなりの問題があった事は事実です。 また脚本の方でも、もう対応が難しい状況である事を聞いています。 そこで、この会議でディスカッションを行い、問題点を洗い出して、このバカ二人が破綻させたシナリオのフォローと今後のシナリオの修正や改善を行いたいと考えています。」
アリサママは続けて言った。
「今回のシナリオ修正にあたって、スターズの方で声をかけさせていただいて、お忙しい中で手を貸していただける6人の脚本家の先生を用意させていただきました。」
アリサママが今回用意した脚本家の人達が順番に挨拶をする。 ドラマとかで有名な脚本家や、アニメや特撮経験のある脚本家など、よくこんな短期間でこれだけの脚本家をそろえたものだ。 まさしくアリサママの人望が成せる業だろう。
「こちらの脚本家の先生達と共に、今回のウルトラ仮面における今後の問題点や、それをどう修正していくかについて論議していきたいと考えております。」
「今回の司会として、弊社企画部部長の後藤にこの会議を仕切らせていただきます。」
後藤さんはスターズで謎資金が入った時に作られた企画部の部長をしている人だ。 若草物語の舞台企画以来、社内では切れ者としてパトレイバーの隊長さんをなぞらえて『カミソリ後藤』の名前で通っている。 パトレイバーみたいに昼行燈じゃないけど・・・。 僕もグッズ販売やイベントの時など、良くお世話になっている。
「皆さんこんにちは。 スターズ企画部の後藤と申します。 今回はウルトラ仮面のシナリオ改善という事で、皆さんといっしょに改善策を導き出したいと思います。よろしくお願いします。 まずは、皆様が考えているウルトラ仮面の問題点を自由にご発言ください。 ただし、1回の発言で話せる時間は1分以内なので、頭の中で話す内容を良く整理してから、発言をお願いします。 それではスタートです。」
そういって、後藤さんは皆から問題点を聞き取り、ロジカルシンキングでロジックツリーにその問題点をまとめた。
会議室には、どこからか持ってきた、大量のホワイトボードに問題点が整理されて記述されていく。
みんな口々に好きな事を言っているのに、ちゃんと情報は整理されていき、ウルトラ仮面の脚本がかかえる問題点を見事に整理しきった。
続いて、問題点がひと段落したら、各問題点についてブレインストーミングをしてその問題に対する解決方法や、興味を引くシナリオ展開や矛盾解消のためのアイデアなどを書き出していった。
そして、台本修正の方向性が決まると、それをブロックに分けて、用意した脚本家にそれぞれ担当部分の振り分けを行った。
ウルトラ仮面の経験が無いと書けないと思っていた脚本だったけど、要素をわけてみたら見事な切り口で分業が可能になって、本当に特撮の技術が必要なコアな部分だけ、ウルトラ仮面の制作陣の仕事となり、他の部分はスターズが用意した脚本家で分担できた。
そして、アリサママは、このスターズが用意した6人の脚本家と、元から担当していた1人を加えた合計7人の脚本家をまとめて、高級ホテルで缶詰めにした。
7人の脚本家はお互いに話ができる状態で缶詰めとなり、脚本の内容をお互いにアドバイスし合い、高級ホテルの料理やサービスを使って容赦なく飲み食いを行って、親交を深めて、急速に新しい脚本が完成していった。
脚本家の人達も高級ホテルでの缶詰は初めてらしくて、普通のアパートとかに閉じ込められるよりもずっと良いと好評だった。
そこで順にまとめられた脚本を監督や俳優さん達がチェックして、問題ない話から撮影していった。
脚本の出来は劇的に向上した。 これならアドリブでぶっ壊れた部分や矛盾も修繕されて、完成度も高くてすごくワクワクする展開となった。
アリサママに後で「どうしてここまで脚本に介入する事にしたの?」って聞いたら
「元々、私もこの脚本は良くないと思っていたわ。 アキラやスターズのメンバーをこんな駄作に出演させるなんて、かなりの不満だったのよ。 でもこの脚本は制作会社側が用意するものだから介入ができなかったわ。 ただ今回のアキラのアドリブで制作会社側の脚本家がキャパシティーオーバーでさじを投げた事で介入できることになったのよ。 それに、ここで介入する事で他の俳優や制作会社側にも恩を売る事ができたわ。 アキラと阿良也は一緒にいい仕事したわね。」
「ねぇ、今回の黒幕って、てっきり巌のじっちゃんが裏で阿良也を焚き付けていたんだと思ってたんだけど、そもそもこんなに短期間で沢山の脚本家とかホテルの準備とかできる訳が無いよね? 真の黒幕ってもしかして・・・・。」
「アキラのような勘のいいガキは嫌いだわ。」
アリサママは僕がドン引きするような邪悪な笑みを浮かべていた。
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【Live】緊急ライブ! アキランとアラヤンを懲らしめろ!
放送準備中。もうちょっとお待ちください。
アキランとアラヤンとな!? 一体何者なんだw
すごく心当たりがある名前だなw
一体何をしたんだwww
緊急ライブで一体なにを?
何をするつもりなんだろう?
これは楽しみ。
展開が気になりすぎる
始まる。
「こんにちは。 ピュアピュアな清純天使のチヨコエルです。」
「みんなっ、こんにちはっ。 見習い悪魔のケイティですっ!」
「今回は、悪い事をしてアリサママエルに捕まった、ワガママ珍獣のアキランと、KY怪獣(空気読めない怪獣)のアラヤンを懲らしめていきたいと思います。」
私は画面に畳の上で正座をさせられている、アキラちゃんと阿良也君を映す。
二人して正座しとるwwww
なにがあったwww
本当に何をしてこうなったんだw
状況が飲み込めないのだがw
BL界隈で話題の二人が畳に正座させられていて笑えるw
まさか、ついに一線を越えたのか!?
それは反省させられるw
たしかにそれは反省不可避www
┌(┌^o^)┐ホモォ…
「なんとこの二人は、とあるドラマの役でアドリブをしすぎて、ボス天使アリサママエルに捕まって懲らしめられている最中なのです!」
「でも、アキランとアラヤンの演技はすごく良かったので、アリサママエルも大目に見てほしいのですっ。」
「そうだよ! 僕は主役なんだぞ! こんなふうにお仕置きされる謂れなんて無いんだ! 主役はワガママな物なんだよ!」
「そうだそうだ!」
「二人とも全く反省の色が見られないようね。 こうなっては仕方がありません。 このお仕置きは止めるつもりだったのだけど、やらざるをえないわね。」
「アリサママ! 一体何をするつもりなんだ!」
「やめて! アリサさん、まじでキチガイじみた目で俺を見ないで!!」
うろたえる、アキラちゃんと阿良也君。
アリサママエルキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
特別出演、アリサママエル
まさにボス天使の風格
アリサママエル、なんてノリノリなんだ―wwww
この緊急放送、なんて豪華メンバーなんだwww
アキランとアラヤンがマジで震えててウケるw
これは酷いwww
素晴らしいすぎて、笑いが止まらないwww
「アキラン、アラヤンの二人とも、正座を解いていいわ。」
「えっ? いいの? ぐわっ、三時間も正座をさせられていたから、もう足の感覚が無いよっ!」
「ううっ、酷い目にあった。 俺も足がしびれて歩けない・・・。」
「チヨコエル! ケイティ! 今です! このツンツン棒でアキランとアラヤンの足をツンツンするのですっ!」
アリサママエルは、なぜか諸葛孔明が持っているような扇子を持ちながら、ノリノリで策を発する。
「ボス天使の命令だから仕方が無いの。 アキランごめんね。」
「アラヤンさん、ごめんなさいっ」
「ぎゃぁぁぁっぁぁぁっぁぁぁぁ、足がっ足がっ止めてっ、止めてっ、死ぬっ、死んじゃうーーーーー。」
「いたいっ、やめろ!、止めろ!、いまそんな棒でツンツンされると死ぬっ、死ぬ世界が見えるーーーー!」
面白すぎるwww
天罰って、本当にあるんやなって思ったw
断末魔の叫びがまじで地獄すぎて笑えるwww
天使公認の天罰www
リアクションが面白すぎるw
知っているか? この二人って、この世代のトップ俳優なんだぜ?
天才俳優二人が懲らしめられとるwww
この画は面白すぎるだろw
撮れ高しかないwww
「面白そうな事をしているじゃない。」
「これは、すごく楽しそう。 私達も混ぜて!」
いちごちゃんに環蓮まで参戦www
これは、熱い展開www
さらに豪華メンバー追加w
豪華すぎるwww
みんな、アキラ君と阿良也君をいじめるの楽しそうw
これは楽しいw
俺も、ツンツンしたいww
「みんな酷いよっ! アリサママ、かわいい、かわいい息子がこんな風にみんなにいじめられているんだよ! ママとして良心が痛まないの?」
「すごく快適な気分だわ。 今日はぐっすりと眠れそうね。 みんな、アキラはこんな戯言を言うほど余裕があるわ。 もっとツンツンするのよ!」
「ごめんねアキラちゃん、ツンツンするのすごく楽しくて止められないの。 もっと苦しんでくれる?」
「ぎゃぁぁぁぁっぁっぁぁっぁぁぁ!」
さすがはボス天使アリサママエルwww
サイコパスな所は他の追随を許さないなw
チヨコエルもアリサママエルの影響を受けまくっているなwww
アリサママエルの影響なのか? どちらかと言えば素のような・・・。
下手なコントよりもずっと面白いwww
こんなになるなんて、どんなアドリブをしたんだww
ウルトラ仮面だろ? すごく楽しみだぞwww
環蓮といちごちゃんもノリノリで楽しんでいるぞw
「千世子ちゃん、かわいい幼馴染をこんなにいじめるなんて、酷いよ! 酷すぎるよ!」
「千世子ちゃんって、誰の事? 私はピュアピュアな清純天使のチヨコエルよ? そんな悪い間違いをするなんて、お仕置きがたりないようね?」
「こんないけない間違いをするなんて、悪い珍獣さんですねっ。 もっとお仕置きしないと。」
「うぎゃあ!」
こうして、アドリブを暴走させてシナリオを破壊したワガママ珍獣のアキランと、KY怪獣のアラヤンは見事に成敗されたのであった。(もちろんネタです)
なお、ツンツン攻撃を受けた二人は、あたりまえですが全く反省しない模様。
まぁ、今回の経緯では特に反省する必要もありませんが。
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ウルトラ仮面Black第9話 実況スレ
149名無し@特撮ファン
第7話からちょくちょく現れるようになった黒いウルトラ仮面はどう考えても阿良也だよな。
150名無し@特撮ファン
そうだと思う。 助けたり、逆にウルトラ仮面に怪獣を焚き付けたりしてイマイチ、何がやりたいのか良く判らないんだよな。
151名無し@特撮ファン
その前から怪獣と話をしたりしていたけど、完全に黒幕って訳でもないんだよな。
152名無し@特撮ファン
でも何か星アキラと関係がある事は確かだと思うぞ。 あのアキラへの執着はまじで半端ない。
153名無し@特撮ファン
あの黒いウルトラ仮面がウルトラ仮面Blackなら、主役は阿良也だと思うのだが・・・。
154名無し@特撮ファン
そんなそぶりは無いし、引っ掻きだけ引っ掻き回して、愉快犯なかんじなんだけど、アキラ君への執着がやばい。
155名無し@特撮ファン
星アキラがキレて狂人になってから、余計にヤバくなった。 もうアキラ君の気を引かずにはいられないみたいな。
156名無し@特撮ファン
阿良也の雰囲気と執着がやばいよな。 もう完全に星アキラを監禁したいみたいな言動も飛び出してきて、完全に猟奇犯なんだが・・。
157名無し@特撮ファン
もう、阿良也のアキラ君への殺気がやばいのよ。 可愛くって殺したいみたいな猟奇っぷりがゲロヤバ。
158名無し@特撮ファン
それに対して、「いいね。 阿良也が僕を殺してくれるんだ。 是非お願いするよ」って狂いまくっている、アキラも相当すげぇぞ。
159名無し@特撮ファン
星アキラは絶対に黒いウルトラ仮面の正体に気が付いているよな。
160名無し@特撮ファン
星アキラと明神阿良也が両方おかしくなって、狂人と狂人の会話で戯れている時に、千世子ちゃんが、それを見て「今日も平和ね。」という一言で済ませているのが一番やべぇぞ。
161名無し@特撮ファン
千世子ちゃんの狂気にまみれたパソコン操作と、主人公でヒーロー願望が強い自殺志願者の狂人と多分悪役で執着に狂った猟奇犯に囲まれて、「狂気が足りないわ。 あなた達はもっとドロドロになるべきよ。」とか、狂った表情で焚き付けまくる千世子ちゃんも、相当おかしい。
162名無し@特撮ファン
狂人は狂人をよぶんやな・・・。
163名無し@特撮ファン
狂人しかいない集団では、狂人がスタンダード。
164名無し@特撮ファン
そんなスタンダードは嫌だwwww
165名無し@特撮ファン
誰か、この狂人幼馴染軍団の暴走をとめてよ!
166名無し@特撮ファン
アキラ君がキレてから急速に脚本が面白くなったな
167名無し@特撮ファン
お約束でマンネリ化しつつあった雰囲気を一気に打開して、全く先のわからないストーリーになったからな。
168名無し@特撮ファン
途中からこんなにかわるとは思わなかった。
169名無し@特撮ファン
マジで面白すぎて毎週楽しみ
170名無し@特撮ファン
本当にジェットコースターだな。 前半はじりじりと登って行って油断させたと思ったら、第6話から直滑降でどんどん話が加速して面白い
171名無し@特撮ファン
でも相変わらず、MDGは無能だよなwww
172名無し@特撮ファン
主人公たちの狂人幼馴染陣営が狂いすぎて、MDGが無能な所を見ても、最近は逆に安心する。
173名無し@特撮ファン
MDGの無能は癒し。
174名無し@特撮ファン
MDGが怪獣の対処に失敗するのが最近はすごく楽しみ。
175名無し@特撮ファン
MDGは癒しキャラだった!?
176名無し@特撮ファン
MDGにも、景ちゃんとかいちごちゃんとか居るから・・・。
177名無し@特撮ファン
逆に言えば、景ちゃんとかいちごちゃんぐらいしか有能なのが居ないんだよなぁ・・・。 環蓮は警察官だし。
178名無し@特撮ファン
この狂人集団に日本の未来がかかっていると思うと絶望しか無い。
179名無し@特撮ファン
でも、面白すぎてドラマから目が離せない。
180名無し@特撮ファン
第9話が始まる。
181名無し@特撮ファン
オープニングはいいんだよな。オープニングは。
182名無し@特撮ファン
もう、完全にオープニング詐欺だよね。
183名無し@特撮ファン
このオープニングの頃の希望に満ち溢れた時代を返して!!
184名無し@特撮ファン
すんごく面白いんだけど、このオープニングとはだいぶかけ離れちゃったなぁ・・・。
---------------------------------
479名無し@特撮ファン
ああっ、ウルトラ仮面がバードンにやられる!
480名無し@特撮ファン
山の中だから誰も助けに来れないぞ!
481名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面が完全に終わる
482名無し@特撮ファン
日本も終わる・・・。
483名無し@特撮ファン
もうカラータイマーが・・・。
484名無し@特撮ファン
それでも立ち上がろうとするウルトラ仮面。
485名無し@特撮ファン
涙がっ、涙で画面が見えない。
486名無し@特撮ファン
もうだめだ・・・。
487名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面が死ぬ?
488名無し@特撮ファン
黒いウルトラ仮面!
489名無し@特撮ファン
黒いウルトラ仮面がウルトラ仮面を助ける!
490名無し@特撮ファン
やっぱり黒いウルトラ仮面は阿良也だったのか!?
491名無し@特撮ファン
二人でバードンを倒した!
492名無し@特撮ファン
これは熱い展開だ!!
493名無し@特撮ファン
黒いウルトラ仮面! やっぱり阿良也がウルトラ仮面Blackだったのか!!
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■劇中アキラ視点
バードンを倒してした後、僕は阿良也を呼び出した。
「ねえ? 阿良也? いつから別の阿良也になったの?」
「俺は俺だった。 昔ウルトラ仮面としてゼットン星人を追い詰めた時に、ゼットンゾーンで巻き込まれて次元を超えてこの世界に飛ばされてきたんだ。 その時になぜか俺の体は昔の体に戻っていたんだ。」
「ふーん。 そういう事か。 という事は元居た阿良也の世界でも僕は死んでいるんだ。 どうやって死んだの?」
「・・・・今と同じだよ。 怪獣から人々を守ろうとして最後には力尽きたんだ。」
「なるほど、それで僕はウルトラ仮面の力を阿良也に譲ったのか。」
「やはり判るんだな。 このウルトラ仮面の力がアキラと同じ物である事に。」
「当然だよ。 僕のウルトラ仮面の力と阿良也の力が惹かれあっているからね。 それで、僕の後釜としてヒーローを強要した僕を恨んでいるんだ。 素敵だよ阿良也。 なんて素敵な展開なんだ!」
「そうだよ。 俺はアキラが嫌いなんだ。 なぜ俺だったんだ! なぜ俺がアキラの代わりに怪獣と戦って傷つけられなければいけなかったんだ!! 誰よりも苦しんだのに! なぜ俺がアキラは俺に力を託したんだ! お前のせいで前の世界でどれだけ俺が傷ついたと思っているんだ!」
阿良也は僕にとんでもない殺気を向ける。
「すばらしい! すばらしいよ阿良也! だからこそだよ。 阿良也を好きでも無いヒーローと言う立ち場に追いやった僕をずっと恨み続けてくれたんだね。」
「アキラ、最後の提案だ。 俺と千世子、二人で逃げないか?」
「無駄だよ。 だって、この世界に来る前の阿良也も逃げられたはずなのに、律儀にヒーローを続けたんだよね? 僕たちが逃げたらこの世界は終わる。 逃げてもどうにもならないって、誰よりも阿良也が判っているよね? ウルトラ仮面でいるかぎり、怪獣と戦う宿命なんだよ!」
「こんなに言ってもウルトラ仮面を辞めないなら、俺の手でウルトラ仮面を殺してやる!」
「僕をそんなに恨んで執着してくれるなんて、なんて素敵なんだ! そうだよ。 僕が欲しかったのはヒーローとしての賞賛なんかじゃない! 僕は最高の舞台でヒーローとして死にたいんだ! ありがとう阿良也、こんなにも僕を恨み続けてくれるなんて最高だよ。 僕は別の世界でも本当に正しい選択をしたみたいだ。 君こそ本物のヒーローだ! 君に殺されるなんてすごく嬉しいよ! お願いだよ阿良也! 僕を殺してよ!」
僕たちはお互いに変身して殺し合いを始める。
---------------------------------
■掲示板視点
843名無し@特撮ファン
どうしてこうなった。
844名無し@特撮ファン
壮絶すぎて、今呆然としている。
845名無し@特撮ファン
二人で助け合えばいいだろう!
846名無し@特撮ファン
俺、この二人の気持ち判る。 ここまで来たら殺しあった方がしっくりくる。
847名無し@特撮ファン
昭和の時代でも殴り合いで終わっていたのに、ガチで殺し合いとか、やばすぎる。
848名無し@特撮ファン
阿良也のあの狂気と執着は前の世界でのアキラへの恨みからだったんだな。
849名無し@特撮ファン
でも、本当に恨みしか無かったのかな? 私にはそう思えないわ。
850名無し@特撮ファン
絶対にアキラに複雑な感情があるよな。
851名無し@特撮ファン
阿良也は単純に恨んでいる訳じゃなくて、アキラ君に執着しまくっているよね。
852名無し@特撮ファン
もうこれは、ある意味で愛だな。
853名無し@特撮ファン
恨み続けるのにもエネルギーがいるし、それだけアキラに執着しているって事だろう。お互いに裏側のドロドロした部分が全開だな。
854名無し@特撮ファン
もう昼ドラも真っ青な展開だな。
855名無し@特撮ファン
ガチでお互い殺し合う昼ドラ・・・。マジキチすぎる。
856名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面同士のガチの殺し合い。 見たことが無いけど、本当にすげぇ。
857名無し@特撮ファン
アクションも全開だけど、そんなに頑張らないでほしい。
858名無し@特撮ファン
アキラ君、やっぱりこれまでの戦いの傷が・・・。
859名無し@特撮ファン
もうやめろよ!
860名無し@特撮ファン
どうしてっ、どうしてこんな事にっ!
861名無し@特撮ファン
壮絶すぎる。 アキラと阿良也の気持ちも判るけれども、このやり場のない怒りを見ている俺も抑えきれない。
862名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面はボロボロじゃないか! たとえ死ぬためであっても、自分の身を犠牲にして、ここまでみんなを守り抜いてくれたのに!
863名無し@特撮ファン
駄目だ阿良也! ウルトラ仮面をここで殺すと一生後悔するぞ!
864名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面は、動機が狂人であっても、みんなのために戦ってくれていたんだ。 殺しちゃ駄目だ!
865名無し@特撮ファン
お願いだっ、阿良也やめてくれっ! ウルトラ仮面を殺さないでっ!
866名無し@特撮ファン
ああっ、Blackのスペシウム光線が・・・・・。
867名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面消滅・・・。
868名無し@特撮ファン
主役死んじゃった・・・・。
869名無し@特撮ファン
これから奇跡の復活だよね? ここで死んじゃうとか無いよね?
870名無し@特撮ファン
あれだけ、がんばってみんなを守っていたのに。
871名無し@特撮ファン
なんだろう? このやり場のない怒りと虚無感は・・・。
872名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面から戻ったアキラ君が川に流れていく・・・
873名無し@特撮ファン
アキラ君は目を開けたままピクリとも動かない。 終わった。 すべてが終わった。
---------------------------------
874名無し@特撮ファン
阿良也が千世子ちゃんがアキラ君の誕生日に渡したキーホルダーと共に、アキラ君を殺したことを報告。
875名無し@特撮ファン
千世子ちゃんの「いつかはやると思っていたわ。 それで気はすんだの?」って言葉で阿良也が号泣
876名無し@特撮ファン
俺もさっきから涙が止まらない。
877名無し@特撮ファン
阿良也の号泣がまじでヤバい
878名無し@特撮ファン
胸が詰まる。 でも、もっと別な方法はあったよね? ねぇ? ねぇ? ねぇ! 何か言ってよ!
879名無し@特撮ファン
千世子ちゃんも、無表情で涙を流し続けるのヤバイ。
880名無し@特撮ファン
こっちまで涙が止まらなくなる。
881名無し@特撮ファン
バカだ。バカすぎる。 なんで二人で殺し合っているんだよ!
882名無し@特撮ファン
アキラは阿良也に殺されて満足なのかもしれないけど、これじゃ阿良也と千世子ちゃんが報われないよ。
883名無し@特撮ファン
本当にバカな行動だけど、この行動に共感できる俺が居る。
884名無し@特撮ファン
俺も、怪獣と戦って無残に死ぬよりも、ここで死んでアキラ君は幸せだなって思える。
885名無し@特撮ファン
アキラ君、死んじゃったんだ・・・。
886名無し@特撮ファン
主人公が死んだ・・・。
887名無し@特撮ファン
でも、川に流れて行ったからワンチャン生存・・・。
888名無し@特撮ファン
川流れは生存フラグ
889名無し@特撮ファン
このBlackなドラマだから本当に死んだ気がする。
890名無し@特撮ファン
生存フラグとみせかけての死亡フラグとかのような気がする。
891名無し@特撮ファン
これまでの展開からすると、夢も希望も無いから、普通に死んだんじゃないのか?
892名無し@特撮ファン
でも本当のヒーローならここから復活する
893名無し@特撮ファン
本人は死にたがっていたからなぁ・・・。
894名無し@特撮ファン
生きていて欲しい。
895名無し@特撮ファン
二人ともヒーローなのにどうして!
896名無し@特撮ファン
子供の頃、ウルトラ仮面で泣いたけど、大人になってからもまた泣くとは思わなかった。
ウルトラ仮面が二人居て、片方がBlackならもう殺し合うしかないですよね。
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ウルトラ仮面Black第12話 実況スレ Part1
181名無し@特撮ファン
アキラ君が死んでから怒涛の展開だな
182名無し@特撮ファン
さらに狂ったウルトラ仮面Blackと押しかける怪獣達、そしてMDGの怪しい行動。 今回が最終話だけどどうなるんだろう?
183名無し@特撮ファン
今までのまとめ
・アキラと阿良也が戦ってアキラ死亡
・ただし、アキラが水から引き揚げられたシーンあり。(生存?)
・阿良也はさらに狂って、ヒーローを放棄。
・千世子ちゃんは阿良也を見限って外に出て景ちゃん達と出会う。
・アキラ君の死を知って、号泣する景ちゃんといちごちゃん。
・気持ちを新たにして、MDGの暗部を探る
・千世子ちゃんと景ちゃん達で、MDGがゼットン星人と関わりがある証拠を掴む
・バキシムが来襲。 なんとか海に追い返すも、街の被害が甚大すぎてMDGが痛烈に批判される。
・千世子ちゃんが、MDGのゼットン星人との繋がりを示す証拠やアキラ君冤罪の証拠を全世界に拡散。 全世界の人々がMDGの不正を知る。
184名無し@特撮ファン
まとめありがとう。
最終話でどうなるか楽しみだな。
185名無し@特撮ファン
やっぱりMDGは悪の組織じゃないか!
186名無し@特撮ファン
ゼットン星人と来れば、あの怪獣の出番だよな。
187名無し@特撮ファン
あの怪獣が出て来て、阿良也が倒されてしまうのか、それとも別の展開があるのか? すごく楽しみ。
188名無し@特撮ファン
アキラ君が死んでからの展開がもう神がかっているよね。
189名無し@特撮ファン
アキラ君が死んで号泣したけど、もしかしてまだ生きているかもって思ったら、少し立ち直れた。
190名無し@特撮ファン
本当に俳優たちの演技もすごい。 まさしく大人向けのウルトラ仮面。
191名無し@特撮ファン
海外でもすごい人気らしいな
192名無し@特撮ファン
ネッコフリックスの全世界の視聴ランキングでも1位らしいし、向こうでもとんでもないブームになっているみたいだな。
193名無し@特撮ファン
日本のウルトラ仮面が海外にも認知されて、すごく誇らしい。
194名無し@特撮ファン
やっぱり海外のヒーローから見てもすごく新鮮なんだろうな。
195名無し@特撮ファン
まぁ、今回のウルトラ仮面Blackは大人の俺達でもすごく新鮮だから・・・。
196名無し@特撮ファン
今日の終わり方次第では、セカンドシーズンあるかもしれないな。
197名無し@特撮ファン
・・・このままだと、人類破滅エンドだけどな・・・・。
198名無し@特撮ファン
頼むから、人類に希望が残っていてくれ!
199名無し@特撮ファン
MDGがまさかのガチで悪の組織っぽいからな
200名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面なんて、子供向けだろって思っていたけど、大人になってから、こんなにドキドキさせらるなんて思わなかった。
201名無し@特撮ファン
毎週楽しみでしょうがなかったけど、今日で終わりか・・・。
202名無し@特撮ファン
そして、いつものオープニング詐欺開始。
203名無し@特撮ファン
この幸せだった頃に戻して!
204名無し@特撮ファン
アキラ君が不憫でならないからな。
205名無し@特撮ファン
いよいよ本編が始まる。
206名無し@特撮ファン
アリサ局長の証人喚問のシーンからか
207名無し@特撮ファン
景ちゃん達が見つけ出したMDGの数々の証拠の前にアリサ局長はしどろもどろだな。
208名無し@特撮ファン
アリサ局長にも手錠がかけられている。
209名無し@特撮ファン
そりゃ、自分達を守るための防衛組織だと思っていたら、ゼットン星人の侵略組織だったとか、完全にアウトだろ。
210名無し@特撮ファン
アキラ君も冤罪で、元々檻の強度計算を改ざんして弱く作らせていたとか最悪だものな。
211名無し@特撮ファン
もう出るわ出るわ。 とんでもない不正のオンパレードだな。
212名無し@特撮ファン
本人達は日本を破壊するのが目的だから、痛くも痒くも無いしな。
213名無し@特撮ファン
青田亀太郎は日本政府側の内部調査官だったから、殺されたのか
214名無し@特撮ファン
ゼットン星人との関わりはどうなんだろう?
215名無し@特撮ファン
ゼットン星人の話になったら、アリサ局長が笑い始めたぞ。
216名無し@特撮ファン
怖い。 これ人間がしていい表情じゃないぞ。
217名無し@特撮ファン
すげぇ、星アキラや明神阿良也を上回るマジキチ笑い。
218名無し@特撮ファン
流石は、星アキラの母親。 戦後の映画の歴史に伝説を刻んだ女優、星アリサ。 背筋が凍る。
219名無し@特撮ファン
画面越しに震えが止まらない。
220名無し@特撮ファン
これは、星アキラや明神阿良也でも喰われるかも
221名無し@特撮ファン
ラスボスにふさわしいマジキチぶりだ。
222名無し@特撮ファン
このドラマにはキチガイか狂人しか出演できないんですかね?
223名無し@特撮ファン
本物のキチガイの方がまだまともだと思う。
224名無し@特撮ファン
声が宇宙人声に・・・。 愚かな人間達よって、ついに正体を現した!
225名無し@特撮ファン
やっぱりアリサ局長はゼットン星人だったのか!
226名無し@特撮ファン
要約すると、人間達の予算を使って、破壊工作。 (゚д゚)ウマー
227名無し@特撮ファン
要約しすぎだwww ここで笑かすなよwwww
228名無し@特撮ファン
ゼットン星人の地球侵略の準備がもう整うのか!
229名無し@特撮ファン
ヤバいゼットン星人が攻めてくる。
230名無し@特撮ファン
おや、アリサ局長の様子が・・・・。
231名無し@特撮ファン
ゼットン星人になるのか?
232名無し@特撮ファン
いや、これは・・・・。
233名無し@特撮ファン
ぎゃぁぁぁぁぁアリサ局長の皮が剥がれて、ゼットンになったじゃねぇか!
234名無し@特撮ファン
アリサママはゼットンだった!
235名無し@特撮ファン
ゼットンママwwww
236名無し@特撮ファン
国会議事堂が一瞬で大破wwww
237名無し@特撮ファン
流石はゼットンママwwwとんでもない威力だ!
238名無し@特撮ファン
さらに海から、バキシムが来襲とか終わってんぞ!
239名無し@特撮ファン
怪獣大決戦www
240名無し@特撮ファン
阿良也、もう阿良也しかいねぇ!
241名無し@特撮ファン
でもバキシムがゼットンに襲い掛かる!
242名無し@特撮ファン
????どういうこと?????
243名無し@特撮ファン
鎧袖一触でゼットンがバキシムを殺害!
244名無し@特撮ファン
えっ? 怪獣って味方同士じゃなかったの?
245名無し@特撮ファン
ゼットンママ強すぎw
246名無し@特撮ファン
MDGじゃなくて、最初からゼットンママだけ居れば良かったんじゃ・・・。
247名無し@特撮ファン
地球人の足を引っ張って侵略をしやすくすることが目的だから・・・。
248名無し@特撮ファン
ただ単に、ゼットン星人が侵略を開始するまでの時間稼ぎをしたかっただけだから。
249名無し@特撮ファン
宿敵の登場にもはや廃人と化した阿良也が立ち上がる。
250名無し@特撮ファン
目と隈がやべぇ。 もうヒーローって顔じゃないぞ。
251名無し@特撮ファン
完全に目が充血して、目がランランとして、瞳孔が開いてゲロヤバ。
252名無し@特撮ファン
アキラに続いて、阿良也も死んじゃうの!?
253名無し@特撮ファン
ゼットンがMDG本部に接近!
254名無し@特撮ファン
MDG本部からゼットンに指令を出しているこの女って、三坂隊員か!
255名無し@特撮ファン
こいつが、今回の侵略を指揮しているゼットン星人だったんだ!
256名無し@特撮ファン
まさか、三坂七生がゼットン星人だったなんて!
257名無し@特撮ファン
ゼットンにMDG本部を破壊しろって何を?
258名無し@特撮ファン
自分達の建物じゃないの?
259名無し@特撮ファン
えっ、本当に無能本部を破壊するの?
260名無し@特撮ファン
マジで!? 無能本部ごと破壊? でも三坂七生は中に居るよね?
261名無し@特撮ファン
ゼットンブレイカーで無能本部を破壊!!
262名無し@特撮ファン
無能本部が!
263名無し@特撮ファン
無能本部大破wwww
264名無し@特撮ファン
一緒に吹っ飛ばされる三坂七生www
265名無し@特撮ファン
「ばか野郎! 私が逃げてから攻撃しろ」って、完全に無能すぎて笑いが止まらんwwww
266名無し@特撮ファン
天井に潰されかけとるwwww
267名無し@特撮ファン
コントかよwwww
268名無し@特撮ファン
命からがら脱出しているじゃねぇかwwww
269名無し@特撮ファン
MDGに所属しているとゼットン星人も無能になっちゃうの?
270名無し@特撮ファン
笑えるwww
271名無し@特撮ファン
なに? この破壊された無能本部の地下から出てきた虚数空間みたいなやつ・・・。
272名無し@特撮ファン
これがゼットンゾーン?
273名無し@特撮ファン
MDGの地下にゼットンゾーンが隠されていたのか!
274名無し@特撮ファン
マジでこれに他の隊員が気付かないとか、無能組織の極み!
275名無し@特撮ファン
面白い展開だけど、本部の地下にこんな物があるなら、気づけよ!
276名無し@特撮ファン
さすがは、Munou Damedame Guardians
277名無し@特撮ファン
無能な味方ほど怖いものは無いってはっきりわかんだね。
278名無し@特撮ファン
これを使って、ゼットンのエネルギーでゼットン星人の侵略軍を呼び出すのか!
279名無し@特撮ファン
ゼットンゾーンに落ちた阿良也がこの世界に流れ着いた理由がこれか!!
280名無し@特撮ファン
人類オワタ\(^o^)/
281名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面Black キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
282名無し@特撮ファン
阿良也!
283名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面Black! 来てくれると信じていたぞ!
284名無し@特撮ファン
頼む! ウルトラ仮面Black! お前だけが頼りだ!
285名無し@特撮ファン
がんばれウルトラ仮面Black
286名無し@特撮ファン
アキラが居ない今、お前だけしか居ないんだ!
287名無し@特撮ファン
頑張れ! 阿良也! 頑張れウルトラ仮面Black!
---------------------------------
424名無し@特撮ファン
だめだっ
425名無し@特撮ファン
ゼットン強ええっ
426名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面Black、あっと言う間にボロボロじゃん。
427名無し@特撮ファン
だいぶ弱っているし、そもそもアキラが居た時のような覇気が感じられない。
428名無し@特撮ファン
阿良也、お前も死ぬのか・・・・。
429名無し@特撮ファン
アキラに続いて、阿良也も死んだら終わりじゃねぇか!
430名無し@特撮ファン
頑張れ、阿良也!
431名無し@特撮ファン
うわぁ、ボロボロだ・・・。
432名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面Blackも終わるのか・・・。
433名無し@特撮ファン
人類に救いは無いんですか?
434名無し@特撮ファン
阿良也! それでも立ち上がるのか!
435名無し@特撮ファン
そんなにボロボロになってまで何で!
436名無し@特撮ファン
完全にアキラが死んで破れかぶれだ。
437名無し@特撮ファン
そんなところまでアキラを見習う必要なんてないのに!
438名無し@特撮ファン
ゼットンが阿良也を持ち上げてゼットンゾーンに・・・。
439名無し@特撮ファン
また阿良也はゼットンゾーンに落とされるのか!
440名無し@特撮ファン
ゼットンやめろ!
441名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面Blackが落ちる!
442名無し@特撮ファン
ああっ
443名無し@特撮ファン
えっ?
444名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面?
445名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面が手を繋いで引き上げた!
446名無し@特撮ファン
アキラ君?
447名無し@特撮ファン
どう言う事?
448名無し@特撮ファン
?????
449名無し@特撮ファン
アキラ君死んだんじゃないの?
450名無し@特撮ファン
なんだ? 画面が暗転する。
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ウルトラ仮面Black第12話 実況スレ Part2
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■劇中アキラ視点
僕は阿良也に殺してもらって、人生を閉じたはずだった。
ウルトラ仮面Blackにスペシウム光線を撃たれて、意識が暗転して気が付いた次の瞬間、夕日が射す四畳半の部屋の中に立っていた。
部屋の中にはちゃぶ台と古いブラウン管テレビ、洗濯紐に吊られた洗濯物・・・。 凄く古いアパートの部屋だってすぐにわかった。
ちゃぶ台の向こうには、見た事が無い宇宙人が居た。
「まあ、掛けたまえ」
「はい。」
僕は言われるままに、宇宙人の対面に腰を掛けて、ちゃぶ台を挟んでその宇宙人と対面した。
「あなたは、どなたですか?」
「私はメトロン星人。 とでも言っておこうかな。 まぁ、地球では別の名前があるが、それを詮索されるのも面倒だ。」
「あなたが僕を助けてくれたのですか?」
「そうだね。 君は死にたがっていたから助けると言うのは変な話だが、ゼットン星人にこの星域に進出されるのは面倒なので、我々の都合で生き返らせてもらったという事かな。」
「何か聞きたい事はあるかね?」
「怪獣とは何なんですか?」
「この地球がある星域にある様々な星での生体兵器であったり、原生生物であったり、いろいろだね。」
「どうしてそんな怪獣が地球、いや日本を襲うんですか?」
「君も疑問に思っているようだね。 なぜ怪獣が日本だけを襲うのか。 それはさっき言った通り、ゼットン星人がゼットンゾーンを使って、この星域に次元侵略を企てているからだね。」
「やつらの生物兵器ゼットンは非常に強力な怪獣だ。 やつらが多数押し寄せると、我々の星域で力を合わせても対抗が難しい。 だから奴らが次元侵略を試みる特異点である、ゼットンゾーンを我々は破壊したいのさ。 このために様々な星から多数の怪獣が送り込まれたって訳だ。」
「僕が怪獣を倒していたって言うのは、他の宇宙人にとっては迷惑だったって事なんですか?」
「そうでは無い。 あんな怪獣をゼットン星人にぶつけた所で、結局返り討ちにあっていた事は間違いない。 そうなったら日本は今頃、この程度の被害では全くすまなかっただろう。」
「だから君の行いは、すごく正しい。 君には人間として抗って、戦う権利がある。 君はその権利を行使しただけだ。 そして君の行いは沢山の同胞を救っているんだ。」
「ウルトラ仮面の力って何なんですか?」
「我々と同じ星域内にある、正義の味方を気取るいけ好かない宇宙人たちが、こう言った問題のある星の現地民に与える力だ。」
「やつらは、正義を信念として存在していて、その正義の心に答えられる人物にその力を渡すことで、正義の名のもとに問題解決を計っているわけだ。 アキラ君、君はそんなやつらに選ばれた、やつらにとって都合が良い正義の味方という訳さ。」
「なるほど。そういう事だったんですね。」
「君はそこまでショックを受けている訳では無さそうだね。」
「動機はどうであれば、僕はこの力でヒーローとして死ねた事は確かですから。 もっとも死に損ねたみたいですが。」
僕は恨みがましい目でメトロン星人を見つめた。
「でも君には、また選択肢が与えられたわけだ。 ゼットン星人とゼットンゾーンを消滅させる事で地球に真の平和を取り戻すか、せっかく蘇ったのにヒーローでもなんでも無く無意味に自殺するか。」
「もうすぐゼットン星人の侵略が始まる。 我々メトロン星人や他の宇宙人達は、ゼットン星人の侵略が始まったら、この星を丸ごと消滅させるつもりだ。 アキラ君、君はヒーローなんだろ? 狂ってまでヒーローを続けた君なら、この場面で絶対にまた戦う事を選ぶはずだ。 違うかね?」
「メトロン星人さんありがとう。 僕はやっぱりヒーローなんだ。 見捨てておけない。 これから戦いに行くよ。 ねぇ最後に教えて? どうしてそんなに僕達、人類に優しくしてくれるの?」
「私はこの星やこの生活が気に入っているんだ。 なによりも、私にはこれからパチンコへ行って、昨日負けた3万円を取り返すという崇高な使命がある。 今日こそ取り返して、帰りに商店街の肉屋でコロッケを買って、夜にビールで祝杯を上げなければいけないんだ!!」
「ギャンブルはほどほどにね・・・。」
僕はそう言って、アパートを離れてウルトラ仮面に変身して、阿良也を助けに向かった。
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■掲示板視点
608名無し@特撮ファン
怪獣が日本に来た理由ってこんな理由だったのか!
609名無し@特撮ファン
やたら日本の生活に馴染んているメトロン星人に草生えるwww
610名無し@特撮ファン
メトロン星人はパチンカスだったww
611名無し@特撮ファン
このメトロン星人のダメなおじさん感すげぇwwww
612名無し@特撮ファン
アキラーーーーー! 戻ってきてくれたんだ!
613名無し@特撮ファン
信じていたぞアキラ君!
614名無し@特撮ファン
さっきまで悲観に暮れてたのにアキラ君復活でみんなも急に復活して草www
615名無し@特撮ファン
死んだとか言ってたのにwww
616名無し@特撮ファン
これでこそヒーロー!
617名無し@特撮ファン
アキラ君、マジ主人公! これだよ! 主人公に欲しいのはこの熱さだよ!
618名無し@特撮ファン
阿良也を助け起こして二人で戦うなんて、熱い! すごく熱い展開だ!
619名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面とウルトラ仮面Black、二人のチームワークでゼットンを翻弄している!!
620名無し@特撮ファン
でもゼットン強えー!
621名無し@特撮ファン
だめだ! 二人がかりでもゼットンを倒せない!
622名無し@特撮ファン
何て言う怪獣だ!
623名無し@特撮ファン
流石はゼットンママwww
624名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面がなんか言っている三坂七生を掴んだ---!!
625名無し@特撮ファン
これは、まさか!
626名無し@特撮ファン
出たー! 人質作戦wwww
627名無し@特撮ファン
卑劣だぞウルトラ仮面wwww
628名無し@特撮ファン
ウルトラ仮面の手の中で切れまくる三坂七生wwww
629名無し@特撮ファン
キレ芸まじで面白いw
630名無し@特撮ファン
こいつだけ、なんかギャグ時空に生きているんじゃないかな?
631名無し@特撮ファン
ゼットン星人の三坂七生が人質にされて、ゼットンが攻撃できないwwww
632名無し@特撮ファン
ゼットンに指示を出しているゼットン星人はこいつだからな・・・。
633名無し@特撮ファン
後ろから、Blackが蹴りを入れるwww
634名無し@特撮ファン
急速にウルトラ仮面側が優勢にwwww
635名無し@特撮ファン
そうか、MDGって無能なんだから、三坂七生も無能だよな・・・。
636名無し@特撮ファン
MDGが無能すぎて、影の黒幕も無能だったwww
637名無し@特撮ファン
やっぱり最後まで無能組織MDG
638名無し@特撮ファン
無能ダメダメガーディアンズは伊達じゃなかった
639名無し@特撮ファン
ゼットン星人にまで組み込まれる無能遺伝子。 怖っ。
640名無し@特撮ファン
あっ、三坂七生がゼットンゾーンにポイってされたww
641名無し@特撮ファン
負け惜しみまで完璧すぎるwww
642名無し@特撮ファン
そして二人でゼットンを攻撃!
643名無し@特撮ファン
行け!行け!ウルトラ仮面!
644名無し@特撮ファン
圧倒的優勢!
645名無し@特撮ファン
二人の蹴りでゼットンをゼットンゾーンに!
646名無し@特撮ファン
そして来るか!
647名無し@特撮ファン
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! Wスペシウム光線!!!!
648名無し@特撮ファン
見事に決まったーーーーー!!!
649名無し@特撮ファン
ゼットンゾーンごと破壊!!!
650名無し@特撮ファン
やった! ヤッター!
651名無し@特撮ファン
ゼットンを倒した。
652名無し@特撮ファン
おおおおおおおおっ
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841名無し@特撮ファン
はぁ、終わった・・・。
842名無し@特撮ファン
凄く見ごたえがあった。
843名無し@特撮ファン
とんでもないウルトラ仮面だったけど、俺は今、猛烈に感動している。
844名無し@特撮ファン
さよならゼットン。 さよならMDG。
845名無し@特撮ファン
ゼットンママ。顔芸を含めてあなたの活躍は忘れないよ。
846名無し@特撮ファン
最後は、景ちゃんや千世子ちゃん、いちごちゃん、環蓮とも合流して大団円か・・・。
847名無し@特撮ファン
綺麗に終わったね。
848名無し@特撮ファン
本当に見ごたえがあった。 それでちゃんとハッピーエンドですごく満足。
849名無し@特撮ファン
本当に良かった。(大破しているMDG本部から目を逸らしつつ・・・。)
850名無し@特撮ファン
MDGは自業自得だから仕方がないね・・・。
851名無し@特撮ファン
アメリカでもすごい人気だって言うけど、これはセカンドシーズン来るかな?
852名無し@特撮ファン
ヨーロッパ、南米、アジア、その他の世界的に盛り上がっているみたいだからな。 このエンディングは大満足だろ!
853名無し@特撮ファン
本当に良かった。
854名無し@特撮ファン
スタッフロールも終わる・・・・・!?
855名無し@特撮ファン
特報?
856名無し@特撮ファン
セカンドシーズン制作決定!?
857名無し@特撮ファン
セカンドシーズン来るのか!!!!
858名無し@特撮ファン
やったーーーー!!!!
859名無し@特撮ファン
セカンドシーズンありがとう!
860名無し@特撮ファン
俺、絶対にネッコフリックスに入る。
861名無し@特撮ファン
俺も!
862名無し@特撮ファン
みんなネッコフリックスの策に嵌っていて草生えるwww
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【Live】ウルトラ仮面打ち上げ会1
放送準備中。もうちょっとで始まるよ。
ウルトラ仮面打ち上げ会楽しみ!
みんなで打ち上げ生放送とか楽しみすぎる
ウルトラ仮面最終回放送の次の日にこの放送は良すぎる
ゲストも豪華メンバーすぎる
環蓮といちごちゃんも参加とかすごすぎ
これは、生放送界隈もざわつきますわ。
ウルトラ仮面も本当に面白かったからな
楽しみすぎる
始まる!
「おはこんばんにちは。役者なのにみんなのアイドル。わからせたい役者ナンバーワンの天才俳優 星アキラです。今日はウルトラ仮面の打ち上げ会をみんなでやるよ。今日のゲストはこちら!」
「ウルトラ仮面Black役の明神阿良也です」
「幼馴染の天才ハッカーだった百城千世子よ」
「MDGの候補生、夜凪景ですっ。」
「同じくMDGの隊員、朝野いちごです。」
「MDGを追いつめる刑事役の環蓮よ。」
「最強のMDG局長の星アリサよ。」
メンバーが超豪華すぎるwww
アリサママが来てくれてうれしい。
まぁ、打ち上げ会って言っても、アキラ君の家だから。
みんなで手巻き寿司会か。すごく楽しそう。
いちごちゃんや環蓮まで来てくれてすごくいい。
本当にお宝級の放送だね
アリサママ、最強のMDG局長って正しすぎるwww
この中でMDG局長の存在感w
敵方のゼットン星人が混じっているけどいいのかよw
このメンバーが一同に会してわいわいやっているだけでうれしい。
「今日は、みんなで僕の家に集まって手巻き寿司パーティーだよ! さらにウルトラ仮面大成功!!って事で今日は豪華に、具材にはキャビアやフォアグラなどの高級食材も揃っているから、みんな楽しく食べようね!」
「私、キャビアなんてちょこっと上に乗っているだけの料理しか食べた事が無かったから、手巻き寿司でこんなに豪華に入れられるなんて、すごくうれしい! プチプチしていてすごく美味しい!」
「いちごお姉ちゃん、それはキャビアじゃなくて、とんぶりだよ。 秋田名産の食材でホウキギの実なんだ。 手巻き寿司にする以外にも納豆に入れてもすごく美味しいよ。」
「・・・・・・・・なんでそんなトラップ食材置いているのよ!!!」
クソワロタ。
ひでぇwww
どうりで色が緑がかっていると思ったんだw
わが県の名産品が紹介されて鼻高々。
確かに、キャビアだけ買って食べるなんて事は無いから味が判らんw
まぁ、キャビア言っても魚卵の塩漬けだからな。 とんぶりの方が健康的だろ。
これはいちごちゃんに同情する
秋田県出身の俺、郷土の味を久々に思い出す。 とんぶり食べたくなってきた。
「仕方がないわ。 それならこっちのフォアグラをいただくわ。」
「うん。 まったりとして濃厚な味わいね。 舌の上でとろっと蕩けるようですごく美味しいわ。」
「ありがとう。いちごお姉ちゃん。 でもそれはフォアグラじゃなくて、大洗から直送されたあん肝だよ。」
「・・・・こんなの判らないわよっ! ちゃんと札とか付けといてよ!! しかも分かっていて食べて感想を言うのを待っているわよね?」
「そうだよ。 いちごお姉ちゃんのリアクションが良くてつい、いじめたくなっちゃうんだ。」
美味しんぼかよっw
これは見分けが付かないかもwww
確かにフォアグラは食べる機会が無いかなぁ・・・。
酷いトラップを見たwww
どちらも高級食材だけどさぁ
似た場所に置いている所に悪意を感じるw
美味しんぼ的にはあん肝の方が美味しいんだよね?
「私的には、あん肝の方が清酒に合っていいな。 フォアグラの方はちょっと油がきつすぎる感じだよ。」
「流石、環お姉ちゃん。 わかっているね!」
「ひっく、ひっくっ、みんな私の事をいじめる! 私はゲストなのにっ! うわーーーーんっ」
「いちごも嘘泣き上手くなったよね。 嘘泣きだけで役のオファーが来るんじゃないの?」
「うん。 リアクションといい、嘘泣きのタイミングといい、最高だね。 これは撮れ高すごいよ。」
「・・・・・・・・・・・。」
まぁ、わざとらしすぎたからね・・・。
これは良い泣きタイミング。
このタイミングでちゃんと涙を流せるとかすげぇww
いちごちゃんもやっぱりガチで役者だよね。
嘘泣き上手いな
そのうち、バラエティー番組とかのゲストで呼ばれそう
最近、いちごちゃんの人気もすごいよな
ウルトラ仮面であれだけ活躍していればな。
「アキラ、ゲストをいじめてはだめよ。」
「アリサママはたまにとんでもない行動をしたり、サイコパスだけど、普段は良い人だよね」
「普段からいい人よ。 いい人じゃないと芸能事務所の社長なんてできないわ。」
「そういえば、アリサママに質問が来てたよ。」
どうしてゼットン役なんてやろうとしたの?
|
「理由は2つあるわ。 1つ目はこれまで自分が演じた事が無い役だから。 私の女優時代は星アリサのイメージから脱しない物ばかりで、今回のような、悪役の局長で最後は怪獣になるような役なんて絶対に回って来なかったわ。 今、芸能事務所の社長になった事でやりたい役を自分で決められようになったの。 だから、昔では絶対にできないような役にチャレンジしているわね。」
「2つ目の理由は、今回の撮影でスターズのメンバーを大量に出す事になったのと、劇団天球のメンバーの面倒も見てくれるように裕次郎さんから頼まれたわ。 それで私は現場に付きっ切りになる訳だけど、基本的にマネージャや制作者達が仕事をするから、私が必ずやらなければいけない仕事というのは、そう多くは無いわ。 だったら、なにかの役をもらおうと思ったわけよ。 その中で演技力が必要で面白そうな役が局長の役だったって訳ね。」
「なるほど。 アリサママもちゃんと考えて役を選んでいるんだね。」
「何よ? 何にも考えていないみたいな言い方をして。」
「だって、あんな風に、アリサママの皮がベローンとなって、ゼットンになっちゃうとか、身内の僕でも衝撃的だったし。」
「あのシーンは、本当に面白かったわ。 あんなSFX(特殊撮影)のシーンなんて撮った事が無かったし、すごく良い経験になったわ。」
「ゼットンの声や叫び声も自分でやっているんだよね。」
「そうよ。 さすがにスーツアクターは出来なかったけど、自分の演じた役であれば、できる所は全部やったわ。 ゼットンはすごくいい経験だったわ。 ゼットンが可愛くて、最近は書斎にゼットンのフィギュアを飾っているのよ。」
「ゼットンじゃなくて、かわいい息子が演じたウルトラ仮面にしてよ!」
「アキラ、大丈夫よ。 フィギュア職人の方にお願いして、ウルトラ仮面を虐めているゼットンのジオラマを注文してあるの。 ちゃんとアキラも飾られるわよ!」
「その飾り方は絶対におかしい!」
クソワロタwww
ゼットンがアリサママのお気に入りw
さすがはゼットンママww
アリサママのサイコパスな感性にゼットンがベストマッチw
あのゼットンの声も星アリサだったんだ。
やっぱり、俳優って演じた役に愛着があるんだな。
演じた事が無い役や声優まで積極的に挑戦するチャレンジ精神はすごいな。
フィギュア職人にまで注文www
そして、シチュエーションがひでぇwwww
日ごろのストレスの元をこうやって退治するのかw
アリサママが異次元すぎて草生えるwww
「景ちゃん、食べてる?」
「もちろんですっ! すごく美味しいですっ!」
「沢山食べれてエライ!」
美味しそうに食べれてえらい! \1000
可愛く食べれてエライ! \3000
もぐもぐできてえらい。 \5000
かわいくてエライ! \3000
急にスパチャ祭りが始まってワロタ \500
沢山食べられてえらい \2000
みんなノリがいいなw \1000
「わっわっ、お金は大丈夫ですから、皆さんが楽しんでくれれば大丈夫ですからっ!」
「うーむ。 やっぱり景ちゃんはすごい人気だな。」
しかし、VTuberのえらい文化が今世でも存在するとは・・・。 もしかして次元を超えて浸透したのか? 恐るべしVTuberの文化力。
「景ちゃんにも質問が来ているんだよ。」
「どんな質問ですか?」
スパイアクションが凄かったけど練習したの?
|
「特に練習とかはしませんでしたね。」
「そうだね。 むしろ、もっと穏やかなアクションだったけど、景ちゃんが提案や実演して、どんどん派手になって行ったよね。」
「アキラさん、頑張りましたけど、そこまで派手なアクションをしたつもりはありませんでしたけど?」
「景ちゃん、本当に恐ろしい子。 まさにフィジカルお化けだね。」
「景ちゃんは、フィジカルが凄い以上に、アクションですごく見栄えが良かったね。 きっとこれからアクション映画とかドラマで引っ張りだこだね。」
「環さん、ありがとうございます。 でも環さんもすごかったですっ。」
「MDGに侵入した時のワイヤーアクションとか本当に凄かったね。」
「ありがとう。」
「ねぇ、私は? 私は?」
「いっ、いちごお姉ちゃんは可愛かったかな?」
「いちごは三人の中で、癒しとギャグ要員だったからねぇ。」
「二人とも酷いっ。 うわーーーーん。」
「いちごさんも、すごく良かったですっ。 MDGで局長の部屋に追い詰められた時に、机の下に逃げたアクションとか凄かったですっ。」
「景ちゃんありがとう。」
「やっぱり、いちごさん、嘘泣き上手いですね。」
いちごちゃんの嘘泣きはもはやネタになりつつあるなw
嘘泣きワロタ
景ちゃんにも嘘泣きバレていて草生えるwww
しかし、景ちゃんのフィジカルすごいな。
絶対に今後アクション女優としての頂点に君臨するぞ。
景ちゃん主演のアクション映画とか見てみたい!
アクションが強いとか、すごい特技だよな。
そのうち、景ちゃんがアクションの女王とか呼ばれるようになるんだろうか?
机の下に逃げたアクションwww
いちごちゃんは演技がコミカルだったからな。
俺、いちごちゃんの演技はあのドラマでは癒しだったわ。
次回に続きます。
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【Live】ウルトラ仮面打ち上げ会2
「千世子ちゃんも食べてる?」
「もちろんよ。 ナマコの手巻き寿司とか、やっぱり良いわね。」
「とりあえず、変な珍品手巻き寿司じゃなくて安心したよ。」
「変な珍獣が何を言っているのよ?」
「くぅっ、相変わらず毒舌がすごいね。」
「大丈夫よ。言う人を選んでいるから。 それで?」
「千世子ちゃんにも質問が来ているんだ。」
天才の演技ってどうやってやるの?
|
「今回は幼馴染でコンピュータの天才って役だったから、まずはコンピュータ業界での天才について調べたわね。」
「例えば、フォン・ノイマンだったり、アラン・ケイだったり、日本だと池田敏夫だったり、後は有名なハッカーの言動や動画なんかも観たわね。」
「その上で、人に強烈に印象を与えたっていう、天才的な行動やエピソードなどを見て、なんでそれが、天才だって人に印象付けたのかを客観的に分析して、それを演技として行動や言動に落とし込んでいるわね。」
「別に私は天才じゃないけれども、他人が見てなぜその人を天才だと感じるのかのエッセンスや要素は客観的に分析して、演技する事が出来るわ。 そう言った視点で演技をしているから、みんなが天才に見えたって事ね。」
「どちらにしても、私の演技が意図した通りに、天才の幼馴染のように見えたのであれば、すごく嬉しいわ。」
「今回の千世子ちゃんは、今回の役に本当に気合が入っていて、いろいろ拘ってキーボードやモニター、デスクトップなんかも自分でカスタマイズしたのを演技で使っているものね。」
「例えばキーボードの音一つにも普通の人と、有名なハッカーではやっぱり違いがあって、有名なハッカーと同じリズムでキーボードを打つ練習とか、ハッカーと同じ目線の動きをする練習もしたわね。 ドラマの中で使っていたキーボードとかにも拘っているのよ。」
「そういえば、千世子ちゃんが劇中でカスタマイズして使っていたキーボード、問い合わせが凄くて千世子エディションとして発売するらしいね。 たしかに、あのカラフルなキートップとかポスカとマニキュアで書いたフレームとか女の子っぽくて、センス良かったものね。」
「そうなのよ。 こんな所からコラボ商品が出来るとは思っていなかったし、メーカーさんに公認で作ってもらえるとか、すごく嬉しいわ。」
「千世子ちゃんの演技はすごく天才的だと思うよ。 特に今回は千世子ちゃんが天使な女の子ってだけじゃなくて、演技の幅がすごく広い事がみんな分かったんじゃないかな。」
「アキラちゃんも、ヒーローの狂気に染まった演技すごく良かったわ。 前半の馬鹿正直にみんなの手のひらでコロコロ転がされるような、熱血ヒーローも良かったけど、アキラちゃんはやっぱり後半の狂気に染まったヒーローの演技が良かったわね。」
「ありがとう。千世子ちゃん」
なるほど。陰でこんな努力を
そう言った仕草とかを練習であの演技ができるのすごい!
あの天才幼馴染の演技は本当に神がかっていたよね。
今までの千世子ちゃんの中でも最高の演技だったかも。
単純に綺麗な演技ってわけじゃなくて、すごく個性的で良かったよね
演技でも天才の役なんて普通はできないからなぁ
今回の千世子ちゃんの演技、普段のイメージと全然違ってすごく良かった。
天才って演じるには難しそうだけど、そんな努力をしていたんだ。
千世子エディションのキーボード絶対に買う!
あのキーボードはすごくセンスが良くて、俺も欲しい。
デスクトップの画面も凄かったよな。分かる人だけ分かる感じで・・・。
プログラマーの俺、あのデスクトップ画面を見て目が点になったわ。
X-Window SystemとかGNOMEとか、KDEの時代に久々に見たよ。
検証班が出るぐらい、マジで天才ハッカーだった。
「阿良也、美味しそうに食べているね。 どんな具材が好きなの?」
「夜凪ママのカレーを巻いて食べているんだ。 すごく美味しいよ。」
「・・・・夜凪ママのカレーは美味しいけど、手巻き寿司の具材じゃないんじゃないの?」
「美味しければいいんじゃないの?」
「高級手巻き寿司パーティーが突然、闇手巻き寿司パーティーになった気分だよ。 そもそもカレーなんて手巻き寿司にしなくても、味一緒だよね? 美味しいのはわかるけど。」
「それなら、千世子を止めた方がいいんじゃないの? あいつ、いまバッタの佃煮を手巻き寿司で巻いているぞ?」
「ぎゃぁぁぁ、千世子ちゃん、そのバッタの佃煮どっから持ってきたの!?」
「冷蔵庫に入っていたわよ。 面白かったから巻いてみることにしたの。 それにこれはイナゴの佃煮よ。 バッタの佃煮は苦くて食べれないとおもうわよ。」
「確かに今回のパーティーのために珍味を沢山取り寄せたけど、それはネタ枠だったけど、グロイから止めたんだよ。 千世子ちゃん、こっ好奇心ありすぎだよっ! 千世子ちゃんの天使なイメージが大変な事になっちゃう!」
「大丈夫よ! 天使でもイナゴの佃煮ぐらい食べるわ。」
そう言って、千世子ちゃんはイナゴの佃煮を咥えて、カメラにゾクっとする猟奇的な笑みを浮かべた。 当たり前だけど、カメラ映りが途轍もなく良い。
ゾクっとした。
背筋が凍ったよ。
この世の物とは思えないような笑顔だった・・・。
そうだよな。天使って人間じゃないものな。
口に咥えたイナゴと残虐な天使の顔との対比が完璧すぎる
俺、千世子ちゃんのファン。 あのイナゴになりたい。
↑通報した
↑お巡りさん、こちらです。
喰われるのに通報する必要は無いじゃんwww
変態ですなwww
こういう千世子ちゃんもいいと思う。
最近の千世子ちゃんって、昔みたいな可愛いだけの女の子じゃなくて、すごく好き。
千世子ちゃんって意外にチャレンジャーで個性的なんだよな。
千世子ちゃんがどんどん魅力的になって役の幅も広がって嬉しい。
私も娘も千世子ちゃんの大ファンなのよ。
なにげにバッタとイナゴに詳しくて草www
躊躇なく、イナゴの佃煮を食べる天使・・・すごくイイっ。
「なんか、みんな喜んでいるからいいや。 それで阿良也にも質問が来ているんだよ。」
最初からウルトラ仮面Blackの役だったの?
|
「そうだよ。 俺は最初からウルトラ仮面Blackだった。 ただ、だいぶ最初の台本と違う方向にはなったけどな。」
「そうだね。 実は阿良也のウルトラ仮面Blackは最初の脚本だと、ただの悪のウルトラ仮面だったんだ。」
「正直、何で悪に走ったのか良く解らなくて、ただ単に悪いウルトラ仮面だった。それでアキラの正義のウルトラ仮面との対比になるはずだったんだ。」
「ただ、最初の脚本だとただ単に悪い事をしたいだけのウルトラ仮面Blackって、今振り返ると何だかなって感じだったね。」
「明らかに初期案のウルトラ仮面Blackは中盤からのテコ入れの役だったからな。」
「それなのに、初期から阿良也がアドリブで僕への執着心をぶち込んできてびっくりしたよ。」
「俺も、それで最終的にはそのアドリブでアキラがキレて狂人になってびっくりしたけどな。」
「それで、僕もキレてアドリブに走って、脚本が滅茶滅茶になって、沢山の脚本家の人達と一緒に立て直したのが今のBlackだね。」
「そうだな。 だから、Blackがウルトラ仮面を殺す話なんて、そもそも無くて、最終回ではゼットンと共にMDG本部を破壊に来たBlackがやられるはずだったんだ。」
「でも阿良也と僕のアドリブで、ウルトラ仮面Blackがそんな単純な悪役では無くなって、そんな簡単に使い捨てる事ができなくなって、こうして改変されたのが今の話だね。」
「最終的にはすごく綺麗にまとまって良かったよな。 改変後の台本を読んだ時には俺もすごく胸が躍った。」
「結果的には、Wヒーローになっちゃって阿良也にかなり美味しい所を持って行かれちゃったけどね。 主役は僕なのに・・・。」
へー。ウルトラ仮面Blackは最初は悪役だったんだ。
悪のウルトラ仮面でウルトラ仮面Blackだったのか!
確かに聞いているだけでも安直な設定なような・・・。
ただの中盤からのテコ入れ要員だったのか
確かに、そんな安直な設定だとアドリブでなんとかしたくなる
途中から急に面白くなった理由がこれか!
悪のウルトラ仮面か。 ぱっと見、面白そうだけど、聞く限り最初の脚本だと駄作っぽいな。
単純な悪でもちゃんとした動機がないとね・・・。
ただ悪い事をしたいってだけだと、その辺の不良と変わらないからな。
脚本書き換えになって本当に良かった。
最終的には名作になったんだから、良かった。
あのウルトラ仮面にこんな裏話が
セカンドシーズンもすごく楽しみ!
「実はもう一個、阿良也と僕に質問が来ているんだよね・・・。」
阿良也とアキラ君ってやっぱりカップルなの?
|
ネタにしてもいいけど、本人に直接聞くなwww
これは酷い腐女子ネタ
これを本人に質問してきたメンタルもすげぇ
妄想は妄想の中だけにしておけ!
┌(┌^o^)┐ホモォ...
質問として取り上げる方も取り上げる方だと思うがな・・・。
まぁ、ある意味大歓喜だった人は大勢居たからな。
でも気になるw
実は俺も気になるwww
「残念だけど、阿良也とは何もないよ。」
「そうだな。 冗談でホテルとかに誘っても全く来る気無いしな。」
「当たり前じゃん。 何で童貞すら捨ててないのに、いきなりそんなヤバイ所に行かなきゃいけないのさ。」
「アキラはやっぱり女の子が好きなの?」
「もちろんだよ。 かわいい女の子と仲良くなって、一緒に遊園地デートとかドキドキしながら、少しずつ関係を深めて行ってそれで・・・・。」
「童貞の妄想キモッ。」
「千世子ちゃん酷いよ。 童貞の妄想って言うよりも少女漫画の王道展開じゃないか! 明らかに女の子にキモっとか言われる筋合いはないよ。」
「私はすごくいいと思いますっ。 遊園地デートとか憧れます! ディズニーランドとか行くんですか?」
「いや、ディズニーランドは東京に無いし、浅草花やしきかな?」
「セコすぎワロタw。 それになにげに千葉県民まで敵に回していてワロタw」
「いちごお姉ちゃんまで酷いよ! 浅草花やしきのどこがいけないって言うのさ!」
「全部よ! 女の子をエスコートする気が全然ないじゃない。」
「僕ぐらいの年齢の子は、ディズニーランドなんてホイホイ行けないんだよ! 」
「アキラ君はいっぱい稼いでいるんだから、ディズニーランドのホテルとかに泊って、豪華な料理とか食べさせてあげればいいじゃないか。」
「そんなのお金があれば、誰だってできるじゃないか! 僕は青春の甘酸っぱいピュアピュアなお付き合いをしたいんだよ!」
「「「「「童貞の妄想キモッ。」」」」」
「みんな酷いよ! 僕のピュアピュアな心が傷ついたよ!」
「そうだよな。アキラ。俺は男としてアキラの心が解るぞ!」
「ありがとう。阿良也! 僕の夢をわかってくれるのは親友の阿良也だけだよ!」
「じゃあ、傷ついたアキラの心を慰めるために、今からホテルに行こうか?」
「だから、それは最悪の展開じゃないか!!」
阿良也に狙われている事は確かっぽいなw
夢を見るアキラ君と、現実主義の女性陣www
まぁ、ここに居る女性陣は全員、夫の収入なんて気にしなくていい人ばっかりだからなw
綺麗にオチが付いて草生えるwww
傷ついたアキラ君がこのまま阿良也君によってホテルに・・・。
┌(┌^o^)┐ホモォ...
ただでさえ厚い本がますます厚くなるな。
とりあえず、アキラ君が童貞だって事はわかった。
マジで下手なコントよりも面白いなw
なにげにみんなキャラが立っているよねwww
さすがはトップ俳優達。 話が面白すぎるw
---------------------------------
「みんな手巻き寿司も沢山食べた事だし、そろそろお開きにしようか。」
もっとみんなの話聞きたいよー!
えーーー。もう終わりなの!?
ぶぅ━━q( ̄(oo) ̄)p━━っ!!
ウルトラ仮面の話をもっとやってよーー!
もっと続けて欲しい。
これだけのゲストなんだから、もっとやってよー!
このゲスト達が仲良くワイワイやっているだけで、嬉しかった。
今日の放送も面白かった。
「それじゃ、今日はウルトラ仮面に敬意を表して、初代ウルトラ仮面の歌をみんなで歌います。」
僕はピアノに行って、ウルトラ仮面の演奏を始める。
チャン、チャラララ~、チャラララ~。
「「「「「「「胸~につけてるマークは流星!」」」」」」」
自慢のジェットで敵をう~つ~♪
名曲だな。
すっごく楽しい。
終わりにすごく相応しい曲だね。
今回のウルトラ仮面Blackもすごく面白かった。
素敵な打ち上げまで見せてくれて最高!
面白かった。
超豪華ゲストだった。
みんなの合唱も最高。
いいね。
これはみんな楽しそう。
「「「「「「「それじゃみんなバイバ~イ!」」」」」」」
バイバイ~☆
バイビー☆
超豪華メンバーで楽しかった!!
バイバイ☆
またねーーー☆
みんな素敵だった。
さよなら~☆
さいならー☆
ばいび~☆
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海外の反応 ウルトラ仮面Blackの反応
ネッコフリックスで全世界放映をしたウルトラ仮面Black。
海外でもとんでもない人気になっております。
それでは海外の掲示板の反応をどうぞ。
1海外の反応
ウルトラ仮面Black、本当に面白かった。 ウルトラ仮面って知らなかったけど、俺はファンになったよ。
2海外の反応
俺もフレンドに勧められて、見たら面白すぎてハマりまくっているよ。 今度は俺が別のフレンドに勧めまくっているよ。
3海外の反応
私達もファミリーみんなで見ていたのよ。 確かに大人向けの描写もあったけれど、ファミリーで見ても楽しめたわ。
4海外の反応
俺はアキラ・ホシのクレイジーな演技が凄く好きだ。 クレイジーでもヒーローであり続けたヤツは真のヒーローだ!
5海外の反応
私はアラヤが好きね。 あの好きとも嫌いともつかないアキラへの執着心が最高ね。
6海外の反応
アラヤの演技はほんとうにシリアスですばらしかったな。
7海外の反応
アキラとアラヤの関係は最高だったわ。 あの親友とも敵ともつかない微妙な心理描写が私のハートに直撃したわ。
8海外の反応
パワーレンジャーとかでもそうだけど、ジャパンの敵は巨大化するのが普通なのか?
9海外の反応
いや、仮面ライダーとかは巨大化しないし、巨大化するのとしないので大きく別れるみたいだな。
10海外の反応
俺は、最終話で出たメトロン星人が大好き! あの容姿でTokyoで馴染んで暮らしているとか笑いがこみ上げてくる。
11海外の反応
メトロン星人は面白かったね。 最初は宇宙の真理を話すような態度だったけど、段々ダメダメな緩い雰囲気になって行くのが良かった。
12海外の反応
最終話までどうなるかハラハラしていたけれども、最終話でハッピーエンドになって良かった。
13海外の反応
あの最後に出たゼットンとかいう怪獣すごかったな。 しかも局長だったなんて!
14海外の反応
あの局長は、アリサ・ホシでアキラの母親だよ。
15海外の反応
親子で俳優なんだな!
16海外の反応
むしろ、今までアリサ・ホシの方が有名で、女優は引退していたんだけど、アキラ・ホシの活躍でまた女優として復帰して、いろいろ活躍し始めているみたいだな。
17海外の反応
俺、アリサ・ホシの大ファンだったからまた女優に復帰してくれてすごく嬉しい。
18海外の反応
ボンド・ガールとか、カンヌ映画祭の女優賞を取ったりとか、とてつもなく偉大な女優だよ。
19海外の反応
日本だと、アキラ・ホシよりも有名だね。
20海外の反応
ただ、最近はやっぱりアキラの人気もすごいらしいよ。
21海外の反応
アキラ・ホシのYoutubeチャンネルは良く見るよ。 生放送をしたり、Youtubeでアバターを流行らせたり、いろいろ新しい事にチャレンジするパイオニアだよね。
22海外の反応
アキラは最近だと、FBI:科学捜査班に犯人役のゲストで出ていたり、THE FLASH ARROWSとかでも脇役として活躍していたから、脇役専門かと思っていたら、主役をもできてビックリだった。
23海外の反応
これまでどちらかと言うと、すごくコミカルや役や、ものすごい個性的な悪役って感じだったから、こんな熱血主人公の役とかすごく新鮮だったね。
24海外の反応
この熱血主人公は、熱血すぎてついには狂人まで堕ちるけどね。
25海外の反応
それがすごく良かった。 アメリカのヒーローみたいに正義を守るための自己犠牲というよりも、自分の生きた証として戦い続ける姿にすごく心を打たれたよ。
26海外の反応
巨大化したヒーローとそれに支えられる人々、人間ドラマやアンチテーゼなど、すごく考えさせられるドラマでもあったね。
27海外の反応
ヒーローに変身すれば、人々から感謝されるのに、変身前は犯罪の濡れ衣で逃亡者っていう、光と闇の二つの顔の対比が見どころだった。
28海外の反応
アキラはあれだけ社会に虐げられていたのに、それでもみんなを守るために、自分の心が狂ってまでも正義を貫き通した所に俺は痺れたね。
29海外の反応
ウルトラ仮面の困難に達しても諦めない心と克服する勇気には本当に共感した。 この辺のテーマはアメコミのヒーロとはまた違った面白さだったよな。
30海外の反応
ヒーローとして活動する中で、社会問題や環境問題ともぶつかって、怪獣に対する中で葛藤する普通の人達のドラマもすごく良かった。
31海外の反応
でもあのMDGって組織はかなりバカだったがな・・・。
32海外の反応
あの組織は最終的には敵と繋がっていたんだし、仕方が無いかな。
33海外の反応
スパイダーマンとはまた違った感じのヒーローだよな。 もちろん、スーパーマンやバットマンとかとも違う。
34海外の反応
突然ヒーローの力をもらったとして、普通に考えて自己犠牲をかえりみずに戦うなんて事無いからな。 そう言った心理的な葛藤とかが新鮮だった。
35海外の反応
アキラはアメコミの大ファンだけど、こういった日本らしいヒーローとしての活躍もいいな。
36海外の反応
私は、あのチヨコ・モモシロが最高にスキになっちゃった。 あの天才なのにあんなに可愛いなんて反則よ!
37海外の反応
可愛いだけじゃなくて、演技や雰囲気も凄かったな。
38海外の反応
本当に。 あの美貌だけじゃなくて、ハッカーとしても雰囲気もすごかった。
39海外の反応
あの子も是非、アキラと一緒にアメリカのドラマとか映画に出て欲しい。
40海外の反応
俺は断然、ケイ・ヨナギだな。 あのアクションシーンとかすごすぎだろ!
41海外の反応
ケイのアクションは本当にすごかったな! あれだけで映画作れるだろ!
42海外の反応
たぶん、ハリウッドでもケイ・ヨナギには注目している監督やプロデューサーも多いんじゃないのかな。
43海外の反応
あの運動神経はとんでも無いもんな。
44海外の反応
俺は少数派だけど、イチゴ・アサノだな。 あのコミカルで愛らしい演技がたまらない!
45海外の反応
イチゴの演技は良かったよな! おれもあの子の演技は大好きだ!
46海外の反応
レン・タマキの本格的な演技と、イチゴ・アサノのコミカルな演技の対比がまたいい味を出しているんだよね。
47海外の反応
シリアスで重厚なタマキと、かわいくてエンターテイナーのイチゴ、そして演技とアクションのケイか。 すごいバランスだったよな。
48海外の反応
アキラ、アラヤ、チヨコ、ケイの四人はbestie(best friend)なんだろ。 アカデミー賞の授賞式にもみんなで仮装して来てたものな。
49海外の反応
あんな子達がみんな仲が良いとか驚きよね。
50海外の反応
まさしく、Birds of a feather(類は友を呼ぶ)だな。
51海外の反応
あの子達は良く、Youtubeで一緒に生放送をしているわよ。 最近はアバターを使うのが多いけれども、私はドジっ子悪魔のケイティのファンなの!
52海外の反応
それは面白そう! 俺も観て見たい。
53海外の反応
英語の字幕が出るから、過去動画を見るのがいいよ。 ゲームとかで会話がすっごく楽しいんだ!
54海外の反応
チヨコエルとケイティは俺も知っている! 娘があの放送とグッズの大ファンなんだ!
55海外の反応
レアアニマルのアキラとカメレオンのアラヤ、セレブリティ令嬢のキアラ、free-spirited(自由奔放)のラーヤも含めてあのグッズは四人がモデルだね。
56海外の反応
キアラとラーヤがアキラとアラヤの女装なのがすごく笑えるよね。
57海外の反応
私はレアアニマルのアキラと令嬢キアラのグッズを持って、ハリウッドのドラマ撮影で来ていたアキラにサインを書いてもらったわ。私の一生の宝ものなの。
58海外の反応
いいなぁ~。 私も欲しい!
59海外の反応
あのキャラ達がアニメ化したら絶対に見る!
60海外の反応
日本ならアニメ化してくれるだろう!
61海外の反応
ウルトラ仮面以外にも楽しみが増えたな。
62海外の反応
日本の特撮はハリウッドとはまた違った面白さだったね。 セカンドシーズンもあるし、ウルトラ仮面と出演した俳優達の活躍に今後も期待だな!
掲示板には、この他にもウルトラ仮面の恰好良さや、怪獣と戦うアクションの良さなど、いっぱい書き込みがあって関心の高さがうかがえました。
またこれ以外にも沢山の掲示板が立っており、その人気の高さが伺えます。 また、アキラ君達のグッズや、ウルトラ仮面のグッズなども世界的に売れているようで、これからの活躍に期待が持たれています。
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1日本の反応
ウルトラ仮面、海外でも大人気だったんだな。 過去のウルトラ仮面のオマージュとかあってマニアックじゃないかと心配していたんだけど。
2日本の反応
たぶん、オマージュの部分は日本でもマニアにしかわからないけれども、それを抜きにしても、ドラマ性が高くて面白かったよね。
3日本の反応
やっぱり、星アキラはハリウッドでも良く脇役としてドラマとかに出ているから有名なんだな。
4日本の反応
星アキラを主役にしたのは英断だよ。 日本人の誰?っていう俳優よりもはるかに有名だし、星アキラだけで海外でもファンが居て数字を取って来れるからね。
5日本の反応
珍獣も本当にビッグになったな。 もっとも、普段の放送とか見ていると珍獣クソガキに全く変化は無いけどな。
6日本の反応
あの憎めない所がいいよね。 完璧超人のスパダリだったらみんなドン引きで多分ここまで人気が出なかったんじゃないかな?
7日本の反応
星アキラの出る海外ドラマや映画の脇役だと、コミカルな役か、三枚目もしくは存在感抜群の悪役だったから、こういう正統派の主人公ってすごく新鮮だった。
8日本の反応
役の幅広いよね。 それに感化されるように、阿良也君や千世子ちゃん、景ちゃんなんかも役の幅をどんどん広げているのが驚き!
9日本の反応
いちごちゃんも良い演技をするようになったよね。 環蓮や夜凪景と一緒に共演しても全然遜色ないし。
10日本の反応
いちごちゃん、なにげに本格女優路線だよね。 子役って雰囲気を完全に脱出しつつあるものね。
11日本の反応
アキラ君、千世子ちゃん、景ちゃんとかはすでに子役の枠に収まりきらないけれども、いちごちゃんも一時期は子役から女優になるのに苦労してたみたいだけど、今はもう完全に売れっ子の女優になったね。
12日本の反応
いちごちゃんはアキラ君のYoutube放送に最初に呼ばれた時ぐらいがどん底だったかな? あの放送で再注目されてから上手くチャンスを掴んだよね。
13日本の反応
子役で消えていく子も多いけど、大きくなってもいちごちゃんを見れて幸せ。
14日本の反応
しかし、ウルトラ仮面は海外でもすごい人気だな!
15日本の反応
空港にウルトラ仮面の看板が置かれたり、外国人がグッズを爆買いしている所を見ると、相当な人気だよ。
16日本の反応
外国人用のパンフレットの表紙にも使われていて、大好評らしいからな。 まさしく日本の顔になったね。
17日本の反応
アメリカ以外にも、中国やアジア諸国、中東、ヨーロッパ、南米なんかでも人気に火が付いたみたいだね。
18日本の反応
合理的なアメリカンヒーローとはまた違った魅力があるからね。
19日本の反応
ウルトラ仮面らしい正義の貫きかたっていうのが、アメコミのヒーローとはまた違った感じで、世界的に新鮮だったんだろうね。
20日本の反応
元々ウルトラ仮面はアジア圏では人気があったし、日本でも人気が出る話であれば、アジアでも受け入れられやすいんだろうね。
21日本の反応
子供の頃に見ていたウルトラ仮面が、大人になって見れて、そして子供の時と同じように感動して最高だった。
22日本の反応
セカンドシーズンもあるし、これからも楽しみだな!
いつも小説を読んでいただいて、ありがとうございます。
また、感想や評価などもいつも大変励みになっております。
今回のお話でウルトラ仮面編は終了となります。
それで、大変申し訳無いのですが、また仕事や確定申告などで忙しくなりそうなので、1か月ほどお休みをさせていただきたいです。 3月5日あたりから再開予定と考えております。
例によって、お休みをいただいている間の、2月12日、19日、26日の各日曜日には閑話を投稿させていただく予定です。
2月12日の投稿では、ウルトラ仮面イリュージョンの閑話となる予定ですので、よろしくお願いいたします。
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ウルトラ仮面イリュージョンの主役のお話
俳優をやってみませんか? そう言われて、大学生だった俺は街で俳優のスカウトを受けて、そのまま芸能事務所に所属した。
俺は学生時代、ひたすら空手に打ち込んで、ろくに芸能活動なんてやった事が無かったけれども、普通の会社員として勤めるなんて想像も付かなかったので、この提案は渡りに船だった。
俺は中規模の芸能事務所に入って、いくつかオーディションに参加したがいずれも落選で、大したコネの無い俺の芸能活動と言うものは順調には行かなかった。
ただ写真写りが良いのと、空手をやっていた肉付きの良さから、メンズやいくつかのファッション雑誌などで掲載される事もあった。 しかし、芸能界というのはトップになれば沢山儲けられるが、俺のようなペーペーの人間は食べていけるほどの収入を得るのは中々難しい。
俺はアルバイトをしながら、オーディションを受けて落選する日々を過ごしていたが、ウルトラ仮面イリュージョンのオーディションを受けた時に風向きが変わった。
俺は最終選考まで残り、なんとあの星アキラを退けて俺が主役を獲得したのだ! さらにこの事を報道され、星アキラを超える天才俳優としてもてはやされて、幸せの絶頂だった。
数々の報道をバカ正直に信じ切って、自分自身が星アキラを上回る俳優なんだって思い込んでいた。
星アキラがどれだけすごい俳優で、どれだけ自分との実力差があるかなんて考えもしなかった。 この時の俺は、事務所で演技のレッスンなども受けていたけれども、冷静に考えて見れば、養成所上がりの俳優達と比べてさえも、明らかに演技が劣っていた。 そんな人たちを簡単に蹴散らせる星アキラの演技力なんて全く想像すらできていなかった。
俺が採用されたのはアクションの良さと、将来性からだったのに、この時の俺はそれを全く理解しておらず、まさにこの時の俺は根拠のない自信に満ち溢れていた。
しかしそんな自信はウルトラ仮面イリュージョンの撮影が始まると、あっという間に打ち砕かれた。
撮影はNGの連発。 監督や制作陣の厳しい言葉に心が折れかけて、どんどん俺の演技は委縮していった。
そしてなんとか撮影を終えたウルトラ仮面イリュージョンの第一話が放送された。
俺はイリュージョンの第一話を見て震えが止まらなかった。 自分ではあんなにはっきりと発音しているつもりの声がボソボソに聞こえて、明らかに滑舌が悪い。 そして肝心のアクションの方も度重なるNGによって、委縮した動きをしていて最悪だった。
ウルトラ仮面の演技は、ある程度の演技能力があればそれなりに見えるような構成になっている。 でも、だからこそ水準に到達していない俺の演技能力では、逆にダメな所がはるかに目立って見えた。
もちろん、評判は最悪で、俺の滑舌の悪さは、完全にネットのおもちゃとなっていた。 というよりも茶化して面白がるよりも、熱心なウルトラ仮面のファンから、おもちゃにする以外に全てがダメで評価に値しないというコメントの方が心に刺さった。
ウルトラ仮面イリュージョンは当然、視聴率が低迷して行く。 俺は毎日重い足取りでなんとか撮影所に通ったが、撮影の雰囲気もどんどん悪くなっていった。
俺は主役としてなんとか事態を挽回したかった。 だから事務所が用意したレッスン以外に、滑舌のレッスンを毎日自費で受けて、夜遅くまで台本のセリフと滑舌の練習をした。
3ヶ月過ぎた時には俺の滑舌も大分改善していたが、最初に付いたイリュージョンの悪い評判は全く返上されずに、視聴率も低下の一途を辿っていた。
そしてウルトラ仮面Blackの製作発表。 俺は星アキラから自力で役を勝ち取った訳では無かった。 星アキラに大役をオファーするための代わりとして俺が選ばれただけだった。
俺は心の支えを失い、がっかりして心が折れかけていた。 そしてウルトラ仮面Blackの放映が始まると星アキラとの差に愕然とした。
もちろん製作費の違いはある。 でも星アキラがどれだけすごい俳優であるのかは、実際にイリュージョンの主役を演じている今の俺なら痛いほどわかった。
周りの俳優たちに気を使われてフォローされている俺に対して、星アキラは逆に周りをフォローしている上に、周りの俳優たちも星アキラを信頼して全力で演技を行っている。 これがどれだけすごいのかは、同じ立場に居てもがき苦しむ俺だからこそ誰よりも強く痛感した。
掲示板や芸能ニュースで日々掲載される、ウルトラ仮面Blackとイリュージョンの比較でも自信を喪失して、メンタルもどんどん悪化して行った。 ちゃんと主人公を演じられていない事は誰よりも俺自身が良く解っていた。
そんな俺を支えてくれたのは、小さい子供や、こんな状態でも俺を応援してくれるファン達だった。 俺の撮影現場まで来て応援してくれたり、こんな俺のサインを喜んでくれるファン達。
こんなダメな主人公であっても、こんなどん底でもまだ俺を応援してくれるのだ。 ファンや子供達の俺を見つめるキラキラした目を見ると、俺がウルトラ仮面の主役を投げ出すのは絶対に違うって思えてきた。
ウルトラ仮面は俺だけの物語じゃない。 シリーズを連ねる沢山の歴史、沢山の先輩達、そしてウルトラ仮面に夢を与えられた沢山の子供たちや、大人になっても見続けてくれるファン達。
確かに俺は星アキラよりも、演技でも、面白さでも、魅力でも全て負けているかもしれない。 でもだからと言って、ウルトラ仮面の主役を俺が投げ出していい訳じゃない。 ウルトラ仮面イリュージョンは俺が主役の物語だ。 主役の俺の心が折れてしまったら、ウルトラ仮面イリュージョンは本当に終わってしまう。 星アキラに負けていてもいい。 俺は子供たちに正義のヒーローとして夢を与えるために、この逆境の中で奮い立った。
滑舌が悪いから何だと言うんだ! 星アキラよりも演技ができないから何だと言うんだ! ウルトラ仮面Blackに負けているから何だと言うんだ!
逆境のどん底で俺のハングリー精神に火が付いた。 人間、どんな状況でも自分が諦めなければ絶対にやり直せる。 ウルトラ仮面Blackに負けている事を理由に諦めかけていた昨日までの甘ったれた俺に別れを告げて、ウルトラ仮面イリュージョンに俺の全てを投じた。
ウルトラ仮面イリュージョンは俺が主役で、今度は俺がヒーローとしてファンや子供たちに夢を見せるんだ!
覚悟の決まった俺は、何度も台本の練習をして、誰よりも早くスタジオ入りをして、セットの大道具さん達を手伝いながら、ウルトラ仮面イリュージョンを文字通り全力で演じた。
本気で奮い立った俺を見て、何かを感じたのか、他の出演者や監督、制作陣も熱を入れて撮影するようになった。
あいかわらず掲示板などでは、ウルトラ仮面Blackの面白さとイリュージョンのダメさを比較されたが、そんな事に心を揺さぶられるよりも、いかにしてウルトラ仮面イリュージョンを良くしていくのか。 俺はそれだけに集中して、夢中になった。
そして転機は、その比較対象だったウルトラ仮面Blackによってもたらされた。
ウルトラ仮面Blackは大人向けに作られた物語だ。 きつい描写もあって、素直に子供たちに見せる訳には行かない。 そうすると、ウルトラ仮面Blackを見て昔の夢を思い出した大人たちは、代わりに子供と一緒にイリュージョンを見てくれるようになった。
ウルトラ仮面Blackが回を追うごとにどんどん面白くなって、話題となって視聴率がうなぎ登りになるのと同時に、ウルトラ仮面イリュージョンの視聴率もどんどん伸び始めた。
俺にもう一度チャンスが巡ってきた。
その頃には、滑舌の悪さも克服しており、持ち前のアクションを発揮して、俺の演技も主人公として見れるレベルに達していた。 初期で見なくなったファン達も、再び俺を見てくれて再評価してくれるようになった。
そして、ウルトラ仮面Blackが12話で終わると、ウルトラ仮面Blackの制作陣も合流して、制作陣が大幅にテコ入れされてシナリオも面白くなり、クライマックスに向けて盛り上がって行く。
ウルトラ仮面イリュージョンの最終話では、高い視聴率を獲得して、最終的には名作として高い評価をもらう事ができた。
最終話の撮影が終わると、俺は監督や共演した俳優達から花束をもらった。
そして監督から、「やはり俺の目は間違っていなかった。 君ならこの厳しいウルトラ仮面イリュージョンの逆境に屈せずに、成長してくれると信じていた。」という言葉をもらい、男泣きをしてしまった。
ウルトラ仮面は、俳優達の登竜門。 俳優と共にウルトラ仮面も成長していく。 俺は、この気高い志を持ったウルトラ仮面の主役を演じられた幸運に感謝した。 本当につらい仕事だったけれども、だからこそやり遂げた事で自分に自信を持つことができた。
かくして、ウルトラ仮面イリュージョンは終わった。 後任の新しいウルトラ仮面は、俺と一緒に最終審査に残って、星アキラと共に落ちたもう一人の俳優だった。 彼は再びあのオーディションを受けて勝ち上がったのだ。 彼であればまた新しいウルトラ仮面の歴史を作ってくれる事だろう。
あれから、数年。 俺の芸能活動は順調だった。 そして今、劇場版で公開される『ウルトラ仮面大集合』の試写会に歴代の主役を務めた俳優達と共に、一緒に並んでいた。
同じようにウルトラ仮面のシリーズをやり遂げた先輩たちと一緒の舞台に立てる事に誇りを感じる。
舞台の上で、ウルトラ仮面でヒーローとして成し遂げてきた数々の経験を元に、絶対の自信を持って言葉を発する。
「俺こそがウルトラ仮面イリュージョンだ!」
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阿佐ヶ谷芸術高校映像科 3年A組 朝野市子
「雪ちゃん、おはよう。」
「おはよう。市子ちゃん。」
アキラ君のチャンネルでウルトラ仮面の打ち上げをやった私は、翌日に自分が所属している阿佐ヶ谷芸術高校映像科に出席した。
「昨日もアキラ君のYoutubeの撮影大変だったでしょう。」
「ほんとに。 昨日はあれだけの豪華俳優を集めての打ち上げパーティーだったから、墨字さんに助っ人に来てもらって、さらに夜凪ママにも手伝いをお願いしたけれども、本当にぎりぎりだったわよ。墨字さんにスイッチャー(複数カメラでどの映像を使うかを切り替える係)をやってもらおうかと思ったら、この放送では、お前がディレクター兼、映像作家なんだからお前が切り替えろ。 俺はカメラマンをやるなんて言って、てんてこ舞になるし。」
雪ちゃんはいろいろぼやいていた。 昨日のウルトラ仮面打ち上げ会はアキラ君の家で開催されたから、簡単に人を雇う訳にも行かず、普段は手伝ってくれる景ちゃんも出演していた事から、沢山のカメラやマイクを操作する裏方の作業は大変だった。
ウルトラ仮面打ち上げ会の放送の時に、私はそんなテンパっていた雪ちゃんを見ながら和やかにみんなと話していたのだ。
「これから、打ち上げ会の切り抜き動画とか大変じゃないの?」
「切り抜き配信の編集は私がカット割りを指定して外注に出すだけだから大した手間じゃないけど、次のウルトラ仮面関係の企画とVTuberの企画があるから、そっちの方が忙しいかも。 あと、週末は墨字さんの所に応援に行かないといけないし。」
雪ちゃんは中学生の時に、映像科の講師を務める黒山墨字さんとすでに知り合いであり、アキラ君のYoutube放送の裏方をお手伝いしながら、墨字さんに弟子入りしてスタジオ大黒天でアルバイトもしていた。
なので、雪ちゃんは見方によってはバイト三昧な訳だけれども、すでに映像制作の最前線でプロとして活躍するフリーランスと言えなくもなかった。
ちなみに、雪ちゃんは几帳面で真面目な性格なので、学校の成績もよくて、今後の進路を映像関係の大学に行くか、このままスタジオ大黒天に就職して、アキラ君の手伝いをしながら自分の映画を撮る夢を目指すのかを迷っていた。
私から見ると、彼女はすでに沢山のプロ達と仕事してきた事もあって、大学に行ってもそんなに学べる事は無いんじゃないかな?と思っている。
でもスタジオ大黒天への就職もどうだろうか?とは思う。 黒山墨字の監督としての腕は本物だとは思うけれども、あそこは儲かっているとは言い難いし、苦労しながら身銭を削って映画を撮るというのは結構辛いものになると思う。
というか、すでにスタジオ大黒天とアキラ君の所で働くのとでは時給格差が酷すぎる。
スタジオ大黒天の方は普通の高校生アルバイトの時給なのに対して、アキラ君は技術職としてちゃんと労働契約を結んだ上で、その2倍以上の時給と夜遅くなるから、タクシーの送り迎えや食事等の諸々のサービスが付いていた。
アキラ君と墨字さん。 年齢が倍近く違うのに、どっちが大人なのかを聞かれたら間違いなくアキラ君だろう。
雪ちゃんが大学に行こうかどうかを迷うのも、アキラ君がちゃんと彼女の技術の対価を支払っていて、彼女がそれを貯めていて資金的に進学の目途が立っているからであって、アキラ君の元でのアルバイトは確実に彼女の未来の選択肢を増やしていた。
ちなみに、雪ちゃんは実はもう一つの進路をアキラ君から提示されている事を知っている。 スターズの映像制作部への就職で、手塚由紀治監督たちと一緒に映画を作らないかというお誘いだった。 このお誘いは大学を出た後でもいいってアキラ君は言っているから、私の目算だと、スタジオ大黒天やアキラ君の元でアルバイト継続しつつ、映像学科がある美術系の大学に進学して、その後に就職先を考えるって所かな。 雪ちゃんのお母さんも大学に行く事にすごく賛成らしいし。
こうやって見ると、アキラ君はなにげにスパダリじゃない? 「スパダリ」とは、「スーパーダーリン」の事。 高学歴・高身長・高収入のハイスペック。 これをアキラ君に当てはめると、
高学歴(高校1年生(笑)) ×
高身長(165cmただし成長中w) ×
高収入(収入はヤバイw) ◎
ごめん。 全然スパダリじゃなかったw。 あのクソガキはただのスパダリ風珍獣だったわw。
「そういえば、市子ちゃん、課題の方はどうなの?」
「もうすぐ、山田君の脚本が上がるところよ。 そうしたら撮影の日取りとか決めて文化祭に間に合わせる感じ。」
雪ちゃんと私、そしてSFオタクの山田君と一緒に1年の頃から班を組んでいた。 そして三年生の今、その総決算として三人で20分ぐらいの映画を撮って文化祭で発表する事になっていた。
山田君が脚本を書いて、雪ちゃんが監督と映像、私が演技と演出でバランスの良い組み合わせだった。
「二人とも朝早いね、おはよう。」
ちょうど山田君が入ってきた。
「脚本できた?」
「うん。 はい。 これでどう?」
「普通高校で映画監督を志す女の子が、クラスメイトの反発を受けつつも、みんなで協力して卒業記念として映画を作る作品か。」
「なんで彼女がこんな事を言い出したかっていうと、この後、戦争でみんな死んでしまうんだけど、死んだはずの彼女は高校生に戻ってやり直しているんだ。 だから今回も死ぬかもしれないけれども、死ぬ前の生きた証としてみんなと一緒に映画を残すことにしたんだ。」
「なんか、山田君にしてはすごく現実路線だよね。」
「私も、もっと訳の分からないSF要素満載なのかと思ってたわ。」
「現実問題、二人は忙しいし、SFのセットなんて僕一人では作れない。 何よりも僕の自己満足で、すでに活躍している二人に汚点を残すわけにはいかないからね。」
「うわ、意外。 あの山田君が大人になっている。」
「僕だって、君たちの活躍を見て何も感じない訳じゃないんだ。 今僕達が使えるのは学校ぐらいな物だし、朝野さんが演じたウルトラ仮面を見ていると、へっぽこで自己満足満載なSFに朝野さんを出演させる訳にはいかない事は僕にもわかるよ。」
阿佐ヶ谷芸術高校で学んだ日々は、確実に山田君も成長させていたみたいだった。でも、あの無鉄砲に情熱だけでSFの夢を追い続けていた山田君が変わっていくのもまた寂しい思いがあった。
「学校の使用許可はすでにもらっているから、それじゃ、出演してくれる知り合いを集めて2週間後の土曜日に撮影開始ね。」
--------------------------------------------
「で、集まった知り合いがこれなの?」
「いじめっ子Aの役の星アキラです。 よろしくお願いします。 子役としていじめっ子を演じた経験は豊富ですから安心してください。」
「いじめっ子Bの役の三坂七生です。 いじめっ子役は初挑戦ですががんばります。」
「クラスのカースト最上位で嫌な女の子役の百城千世子です。 私も子役の頃にこういった役をやったことがありますのでその経験を活かしてがんばります。」
「ひょうきんなクラスメイト役の青田亀太郎です。 ノリ良くがんばりますので、よろしくお願いします。」
「主人公の妹役の夜凪景ですっ。 今回はがんばりますので、よろしくお願いします。」
「主人公の親友役の明神阿良也です。 よろしくお願いします。」
「学校の教師役の環蓮です。 ドラマでも何度か教師役を演じた事があるから安心してね。」
「主人公の母親役の星アリサです。 今回はこの子たちの引率役も兼ねているのでよろしくお願いします。」
「ねぇ? 二人ともさぁ、 確かに演技を出来る人を呼んでくれっていったけどさぁ、これは無いんじゃないの?」
私も雪ちゃんも薄々気が付いていたことに対して、山田君が的確にツッコミを入れる。
私と雪ちゃんが知り合いで、ノリが良くて卒業制作に付き合ってくれそうな役者を選んだらこうなってしまった・・・。
改めて見ても、集まった役者達がスーパーハイエンドすぎる。 本当にガチで友情出演だけど、これ本当にいいのだろうか?
他のメンバーは映像科のクラスメイトや関係者ばかりの素人で中間層がスポッと欠けていて、演技者のレベルの差がえぐいほどに違う。
映像科のクラスメイト達もガチで本物の俳優のオーラに当てられてビビりまくっている。
そもそもこのメンバー相手に私が主役って、確実に私、美味しく喰べられちゃうよね? いちごだけに。 (ハイエンドいちごギャグ)
そんなのを危惧していた撮影だったけれども、撮影自体は5時間ぐらいであっと言う間に終わった。 その後にみんなで打ち上げに行って、アキラ君のお金でみんなで飲み食いをした。 ご馳走様です。
アキラ君達と一緒に出演して、食事も奢ってもらった映像科のクラスメイト達も大満足だった。
元々20分ぐらいの自主制作の短編映画で、この人たちがNGを出す訳もなく、逆に経験の無いクラスメイト達を優しくフォローしてくれて、自分でも拍子抜けするほどあっさりと撮影が終わった。
普通は素人ゆえの手際の悪さから、ぐだぐだするんだろうけど、私も雪ちゃんも実際の撮影現場で鍛えられていたからそんな事もなくて、テンポよく次々とカットを撮影して行った。
正直、このメンバーを相手に演出担当の私は、ほとんど仕事は無かった。 怪しい部分は、各々のアドリブで綺麗に修正されていた。
最後に雪ちゃんがプロの手際とクオリティーで映画を仕上げると、なんか、とても卒業課題の自主製作映画とは思えない短編映画が完成した。
みんなのアドリブの結果、話がすごく良くなって、最後は感動して泣いちゃったけど、普通はみんなで夢を語って、ものすごい苦労をしたのに、クオリティーが低い物が出来上がって、青春の思い出か黒歴史になるものじゃないの?
何かコレジャナイ。 私達3人の中で何かが違うと思いつつも、出来ちゃったものは仕方が無かった。 自主製作で頑張っている他の班のみんな。 本当にごめんなさい。
私達は、出来上がった課題を恐る恐る講師の墨字さんに提出すると、墨字さんは頭を抱えて胃のあたりを押さえていた。
「星アリサまで俺の胃を破壊しに来るなよ・・・。」って呟いていたのが印象的だった。
文化祭で公開した私達の自主製作映画は、それはそれは大反響でもう笑うしかなかったwww
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安原絵麻は騙される
アキラ君のアバターのママになって以来、私の仕事はすごく順調だった。
アキラ君達のイラスト作成やアバターの衣装追加の仕事もあるし、イラストレイターとしてライトノベルの挿絵も何本か持つことが出来た。雑誌や出版社、ホームページなどの媒体からイラストを頼まれる事も多い。
そして幸運なことに、その挿絵をしたライトノベルがアニメ化の企画まで持ちあがって、私がアニメーターとしての能力を生かしてキャラクターデザインを依頼されるまでになっていた。
アキラ君達のグッズに関してのイラストの権利料は、考えたくない額になっていて、仕事用の口座の額を見るといまでもビビるので、私は仕事用の収入をまとめた銀行口座と生活用の銀行口座の2つを作って、定期的に一定額を生活用の銀行口座に移し替えて、普段は生活用の銀行口座の残金だけを見るようにしていた。
その生活用の銀行口座だけでも、私の年収はかなりの物となっているのに、刻々と増え続ける仕事用の銀行口座の金額は考えたくなかった。
まぁ、確定申告時に嫌でもその金額と向き合う事にはなるんだけど・・・。
そんな話をアキラ君にしたら、「うーん。 これは仕事用の収入口座のお金を自分のお金とは思えなくて、知り合いに投資話を持ち掛けられちゃって、それを信じて騙されて財産を失っちゃうパターンか、銀行の窓口でろくに儲からない詐欺まがいの投資商品を買わされちゃうパターンだね」って言って本気で心配された。
それで、「銀行の口座にこれだけの資産を置いとくのは、今の低金利時代にもったいないよ。 せっかくだからお金の勉強して資産運用するべきだね。 あらかじめ運用しておくと変な投資詐欺とかに騙される事も無いだろうし。」というありがたいお言葉をもらって、興津さんと私にレイダリオさん?のオールシーズンズ戦略っていうの?を説明されて、それを日本版にカスタマイズして、さらに今後の金利上昇?に耐えられる形で余っているお金を運用することにした。
って言うとすごい事しているみたいだけど、アキラ君がフリーランスのファイナンシャルプランナーさんを紹介してくれて、その人が言った投資商品と比率でネット証券で運用しているだけだった。
「本当は絵麻ママの年齢なら全世界株の一本で投資した方が運用益はいいんだけど、絵麻ママが暴落とかの一時的な含み損の増加で真っ青になっちゃったら可哀そうだから、この戦略がいいと思う。収入の波が大きいイラストレイターの仕事のバッファにもなるし。」ってアキラ君は言ってた。
そんな私だけど、実の所、アキラ君が紹介してくれた本やファイナンシャルプランナーさんの詳細な説明を聞いても素人の私にはなんのこっちゃ、さっぱりだった。
アキラ君は、数年かけて勉強して行けばいいよって言ってたけど、やる事と言えば、年に一度の入金と、その時に投資した商品の比率をバランス調整をするだけで、特定口座で運用すればやり方は全然難しくないので、ファイナンシャルプランナーさんに教えてもらった通りに作業して過ごしている。
興津さんにやってもらおうかと思ったけれども、「そのお金はちゃんと安原さんが運用しないとだめよ。 人に任せてはダメ。」って言って断られてしまった。
そんな興津さんだけど、アキラ君の言う通り、本当に私は翌年には興津さんを雇えるほどの年収となってしまった。 もちろん、契約更新をお願いして今も働いてもらっている。
正直、興津さんが居ないと、私と久乃木さんは仕事が回らなくなって大変な事になってしまう。 興津さんは完全に私達の生命線だった。
久乃木さんは私と一緒にルームシェアしながら、私の仕事を手伝ってくれる他に、アバターの作り方を覚えて何人かのVTuberのママになっていた。
彼女にとっても子供になったVTuber達がすごくかわいいらしく、彼女の子供たちのVTuberの放送が始まると、仕事をしながらでも必ずiPadとかで放送を見ていた。
私もiPadでアキラ君達の放送を見ながら仕事している。 前はiPadなんて絶対に買えなかったけど、今は絵の作成用として経費で買って、この他にもいろんな機材を揃えていた。 最近は半額シールが貼られていないお弁当や食材達を買うのも抵抗が無くなってきてしまった。 もうあの年収200万円だった頃の貧乏生活に戻れないかも・・・。 私は贅沢を覚えてしまった自分に少し恐怖している。
前は割引されていない時に、容赦なく買えたのはもやしだけだったけど、今は白菜やキャベツなども割引されていない物を買ってしまっている。 みかんやリンゴみたいな贅沢品も・・・。
ちょっと前までは極貧生活で仕事の事しか考えられなかったので、画材は紙と鉛筆ぐらいで、経費を突き詰めてあと買うとしたら100均の色鉛筆ぐらいだったけど、最近は純粋に絵を描く楽しみが出来て、CGの他にも油彩画や水彩画なども描いている。
近頃は好きだった、ボブの絵画教室のDVDを買ってしまって、ボブ・ロスに憧れて油彩画の画材を揃えて、仕事以外に趣味として絵を描いていたりもする。 油彩画の画法はアニメータの鉛筆画とは全く技法が違ってとても面白いけれども、考えてみればすごい贅沢をしていた。
少し危険かもしれない。 このバブルが終わって、もう一度年収200万円の生活に戻る事を考えたら、私は身震いした。
とはいえ、そんな危惧をよそに、私の仕事はとても順調だった。そんな順調に仕事をしていたある日、アキラ君が私の家に来て私にお願いをしてきた。
「絵麻ママに是非僕の放送に出て欲しいんだ。 もちろん、顔は出さないで声だけでいいから。 お願いっ!」
「なっ、なんで!?」
「お絵描き伝言ゲームで、予定していた人が出られなくなっちゃったんだ。 もう頼めるが絵麻ママしか居ないんだよっ。 お願い!」
「そんなの、千世子ちゃんや、景ちゃん、阿良也君でいいじゃない。」
「四人でそれぞれ別の企画をやって、誰が一番面白い企画だったかを視聴者の投票で決めるバトル企画だから、だめなんだよ。 もう頼めるのが絵麻ママしか居ないんだよっ。 お願い! お願い!」
「そっそれならスターズの子達にお願いすればいいじゃないの?」
「そんなの、社長のボンボン息子のゴリ押しで出演させたみたいで、全然面白くないじゃないか! 絵麻ママお願いだよ!」
「そもそも、なんでそんなに必死なの?」
「これに負けちゃうと、罰ゲームで珍獣の着ぐるみを着て、動物園の檻に入って展示されなきゃいけなくなっちゃうんだよ!」
「それは見てみたいかも・・・・。」
「うわーーん! 絵麻ママは僕がどうなってもいいんだ! 」
「ごめん、ごめん、泣いちゃうほど嫌だったんだ。 でも私なんて話下手だし、出ても全然面白くないよ?」
「ひっく、ひっく、絵麻ママは、声もすごく綺麗だし、話下手じゃないし、ちゃんと話を聞いてくれるし、なによりもお話はすごく面白いよ?」
「そっ、それならちょっとお絵描きするだけなら出てあげるからっ、泣き止んでっ。」
「ひっく、ひっく、本当?」
「本当よ。」
「本当に本当?」
「本当だからっ。」
「絵麻ママありがとう! 当日迎えにくるからよろしくね!」
アキラ君はケロッと泣き止んで、元気に出て行ってしまった。 ・・・騙された・・・。 残された私は呆然としていた。
「アキラ君が詐欺師だったら、安原さんは簡単に騙されていたわよ? 相手は世界レベルの役者なんだから、情に訴えるなんて本当に簡単なのよ?」
興津さんはあきれていた。
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当日はアキラ君がタクシーで迎えに来ると、そのままアキラ君の家へ。
初めて来たアキラ君の家は、まさしく豪邸だった。 まさしく芸能人が住むってイメージのお洒落な豪邸。
それで、まずは夕ご飯をご馳走してくれるって言うので食堂に通されてまっていると、ぞろぞろと人が入ってきた。
「あっ、絵麻ママじゃん。どうしたの?」
阿良也君が言うと、
「まさかアキラちゃん、絵麻ママを今日の放送に出させる気じゃ・・・。」
千世子ちゃんが推測して、
「絵麻ママと一緒にご飯を食べれるなんて嬉しいですっ。」
景ちゃんが元気に喋る
「えっ、みんなどうして!?」
もちろん、みんなのママである私は、アバターやイラストの打ち合わせなどでみんなと面識があった。 でもここでみんなと顔を合わせるのは意外すぎる。
「みんな良く、僕の家に泊まりに来ているんだよ。 僕の家は交通の便もいいし、ご飯も美味しいから、翌日撮影に行くのとか便利だからね。」
「そうなんだ。みんな仲が良くていいわね。」
そういえば、私の住んでた田舎でも、こんな感じで友達が泊りに来ることはよくあった。 私はさして疑問を持たずに食事をご馳走になった。
夜凪ママが作ってくれた今日の料理はしゃぶしゃぶで、普段は絶対に食べることができないA5の牛肉、大変美味しゅうございました。
そして、スターズの事務所へ移動して問題の放送が始まる。
「みんな、今日は何と! 僕のために絵麻ママが来てくれたんだ! そしてさらに伝説の画伯も多数駆けつけてくれているよ。」
「まずは絵麻ママ、挨拶をお願い。」
「アキラ君達のアバターを担当させていただいています、イラストレイターの安原絵麻です。 よろしくお願いします。」
声かわええええ~~~~~~。
素敵すぎる。
これが絵麻ママ。
まじで声が綺麗だな。
素敵すぎる。
絵麻ママかわええええ。
アキラ君、君はもういいから、絵麻ママだけを出演させたまえ。
本当に清楚だな。 とてもこの珍獣のママとは思えん。
アリサママよりママ味があって草w
やばい、声だけで絵麻ママのファンになりそう。
これはVTuber化不可避。
「さらに本日は豪華ゲストが出演しまくりだよ。 まずは公共放送で伝説のキャラクター、プースのイラストを作成した事で有名なうたのお姉さん、はしだきょうこさん」
「今日は頑張ってイラストを描きます。」
「犬のイラストで有名な芸能界一の画伯、山辺誠二さん」
「イラストでは有名なので、任せてください!」
「そして、声優界のレジェンド、大林ゆおさん」
「最近、よくイラストを描いてくれって頼まれるので、今日も頑張ります。」
「なお、大林ゆおさんには、黒いマジックの他に赤いマジックも用意してありますので画伯の力を存分に発揮してください!」
そして地獄のようなイラスト伝言ゲームが始まった。 そして私はインスピレーションありまくりの、イラストとは形容しがたい謎の物体を、なんとか見れる絵に仕上げていった。
ちなみに、私はカメラアングルで顔が映らないようにちゃんと配慮されている。 こういう場で絵を描いて遊ぶのはすごく楽しかった。
笑いすぎて腹がよじれるwwwww
俺、スマフォで見ながら床で丸まって笑い転げているwww
マジ面白れぇw
最初が絵麻ママ以外の人の場合、1人目で伝言ゲームが破綻するのが面白すぎるwww
ゆおさんの絵を見た、誠二さんのリアクションが良すぎるw
ゆおさんの絵、俺のSUN値が。。。
なぜ赤色を使うんだ!
ゆおさんの絵を見て何の絵か回答するときの回答者の絶望顔が笑えるw
絵麻ママの絵良すぎる。
なんでこんな一瞬で、こんなにクオリティーの高い絵が出来るんだ!
マジ、絵麻ママ神!
というか、他の人が別次元に凄すぎて・・・。
絵麻ママやばい。
絵麻ママが天才すぎてつらい。
なぜこのメンバーを揃えたしw
さすが絵麻ママす百城千世子ch
どうして、絵麻ママはゆおさんの絵で何が描かれているか解るの?
面白すぎるw
「絵麻ママはゆおさんの絵で何が描かれているか解っているよね。 どうして?」
「確かに絵の印象から、何の絵が描かれているかを当てるのは難しいわね。 でも印象ではなくて、どういう意図でこの線を引いたのか、線の一本一本の意図を理解すれば、ゆおさんの絵は素直ですごく良い絵ですよ。」
「初めて、私の絵を理解してくれる人が居た! 私、すごく感激です。 ありがとうございます。!!」
ゆおさんは深々とお辞儀をした。
「絶対に絵麻ママもおかしいと思う。」
絵麻ママすごい!
実は一番やばいのは絵麻ママという説があると思いますw
いや、理解できねぇだろw
この、前衛芸術家同士の少年漫画みたいな熱いバトル止めろwww
まさかの展開で面白すぎるwww
ゆおさんの絵を復活させても、その前段階で間違った絵になっているので無駄なんだがなw
絵麻ママの絵はすごいんだけど、結局焼け石に水な所がクッソ笑えるwww
途中の絵麻ママで持ち直しているのに、結局なんでそうなるんだって言う展開が面白すぎるw
笑いすぎて意識が飛んだw
もう放送事故のレベルだろwww
絵と一緒に演技するの止めろwwwww
もう元のお題なんとどうでもいいじゃねぇかw
絵麻ママが常識人だけど、逆に浮きすぎてヤバい匂いがするのが面白いw
全員がヤバイやつだと、ヤバイやつがスタンダードで常識人が一番狂人っていうねwww
常識人の絵麻ママも顔が隠れていて怪しすぎて面白いww
呼吸できねぇwwww
心配していた放送だったけど、ほぼ全編放送事故で、しゃべりに引っかかるとか、放送を台無しにするとかは全然なかった。
っていうか、思わず私もツッコミを入れてしまうほどヤバい放送だったけど、本当に面白かった。
家に帰ったら、久乃木さんが笑いすぎて呼吸困難になったみたいで、iPadを持ちながら床の上でピクピクしていた。
ちなみに四人の勝負の行方だけど、放送が面白かったのはアキラ君だけど、それぞれ負けた場合の罰ゲームは以下だった。
星アキラ:珍獣の着ぐるみを着て動物園の檻に入って展示
百城千世子:チヨコエルの恰好でドラマの撮影に行く
夜凪景:ケイティの恰好で募金活動
明神阿良也:カメレオンの着ぐるみを着て舞台から自宅まで帰宅
圧倒的に面白い罰ゲームはアキラ君だった・・・。
そして、誰しもがアキラ君の放送が面白いと思いつつも、お約束でアキラ君以外に投票。 結果・・・。
「どうして僕が・・・。 みんなあんなに面白いって言っていたのに・・・。 あんなに頑張ったのに・・・・。」
上野動物園の檻の中で珍獣の着ぐるみを着て、体育座りをして、うつむきながら地面にのの字を書いているアキラ君がやたらとかわいかった。
なお、その日の上野動物園の来客数はパンダが来た以上の客数で盛り上がって、アキラ君は動物園から感謝状をもらっていた。
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その後。
「そんな、アキラちゃんの放送には出ていたのに、私の放送には出てくれないの? そんなっ・・・。」
「ちっ千世子ちゃん、泣かないでっ」
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「ううっ、アキラや千世子の放送には出てくれるのに、俺の舞台の放送には出てくれないんだ。 そんな事って・・・。 やっぱり俺は・・・。」
「阿良也君、泣いちゃダメ。 そんなにショックだったの!?」
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「みんなの放送には出てくれたのにっ、私だけダメなんですかっ? そんな。 私だけ、絵麻ママに愛されていないんだっ。 うっ、うううっ。 うわーん!」
「景ちゃん、そんな事ないわ! 景ちゃんの事とても大切なのっ。」
「なら放送に出てくれますよね?」
「う゛っ」
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「最近絵麻ママの出番が多くて嬉しいんだ。 それで、絵麻ママのアバターを作りたいんだけど、お金出すから作ってくれないかな?」
「アキラ君、流石に自分のアバターを作るのにお金をもらう訳にはいかないわ。 自分で作るわ。」
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そして気が付いたら・・・・・。
あーあ、やっちまったな。
山の風景とか言ってたのに、黒い塊になっちゃったじゃん。
絵麻ママは調子に乗るとすぐこれだからな す星アキラch
さっきまでの空、こんなに綺麗だったのに台無しだよ。
黒はダメだよ絵麻ママ
せっかくここまでいい感じで来ていたのに・・・。
絵麻ママ、流石にこの絵は失敗作だよ。
真っ黒い山が空の上に浮いて、もう修正不可能だな。
いくら絵麻ママでももうダメだよね?
こんな小学生レベルのヤバイ山を書いちゃったら、もう修正が効かないよ。
「みんなの思った通りの山を書いてください。 そうしたら、乾いた綺麗な2インチの筆を使ってこういう風に慣らします。」
「続いて、チタニウムホワイトを用意して、なるべく薄く延ばしてからナイフの先で切るように絵具を取ります。」
「楽しみながら描きましょうね。 あまり力を入れないでキャンバスに軽く触れるだけです。」
こんな山、全く神々しくないわ・・・えっ?
!?
まじで!?
一瞬で、超リアルになったw
あの小学生のラクガキレベルの山が、嘘だろ!?
えっ、すごくリアルな山が・・・。
どっから霧の中にそびえたつ雄大な雪山が生えてきたんだよw
やばい、すごすぎる。
適当にちょんちょんってナイフとかで触っているだけなのに、超リアルな雪山になっていくw
すんごい。
マジで神過ぎるww
これだから神ってやつは、まったく・・・。
まさしく天地の創造主。
相変わらずすごすぎる
「真似をしても、こういう風に上手く描けない原因は、力の入れすぎか、絵の具の粘り気が少なすぎるからですね。」
絶対に違うw
何か、根本的に差があるwww
ヒント:画力
アドバイスが変な方向にずれているw
そんな理由じゃないと思うな。
絵麻ママの真似を出来る人なんてそんなに多く無いよ。す明神阿良也ch
本当に、この絵を1時間で描く絵麻ママって化け物だよな。
まさしくボブ術。
まじでボブ術の師範だなwww
ボブ術の道場をやっていると聞いて、飛んできました。
実家でボブ術の道場をやっているラッシュ。
ピヨシートwwww
相変わらず誰??
猫駆除はやめろwwww
気が付いたら、私はVTuberになって、Youtubeチャンネルで『絵麻の絵画教室』を開催していた。
CGで描く事もあるけれども、実際に紙を使ってライブで描く事が多い。 特に油彩画を描く時はすごく人気だ。
ボブの絵画教室を見ていて、ボブ・ロス師匠のすばらしい画法を広めたくて放送しているんだけど、視聴者の方もすごくノリが良く見てくれている。
最近は私のコラボ画材とかが出て、画材の展示会とかにもゲストで呼ばれたりもする。
「ね? 簡単でしょ?」
簡単じゃないよ。
魔術使って簡単とか言うのやめてwww
絶対に簡単じゃないわ す百城千世子ch
絵麻ママ神すぎる
これは推すしかないな。
簡単じゃないけど、絵麻ママいいっ。
絵麻ママすごすぎますっ す夜凪景ch
絵麻ママの絵はどこで買えますか?
この偉人がアキラ君達のママってマジ?
やっぱり絵麻ママは最高だな。す明神阿良也ch
今日も絵麻ママの絵は素敵だった。
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坂木しずかはVTuberの仕事に挑戦する1
私のマネージャさんから声をかけられたのは桜が咲いた4月の事だった。
「しずかさん、VTuberの仕事やってみない?」
「VTuberですか?」
「そう。私達、赤鬼プロダクションでもVTuberをやる企画が社内で立ち上がって、第1期生としてしずかちゃんが候補に挙がっているの。」
「VTuberってチヨコエルちゃんやケイティちゃんみたいな感じですよね? 私あそこまで話を回せるととは思えないんですが・・・。」
「日本最高峰の女優と勝負するのは分が悪いけれども、そうじゃなくて声優事務所が主催するアニメキャラに対して声付けをするような感じで、VTuber活動をしながら声優の宣伝もするようなスタイルね。だから、VTuberに対して誰が声を当てているのか事前に公開されるわ。」
「はちじくじさんみたいな感じですか?」
「そう、そういう感じね。ただ、うちは声優事務所であくまで声優がメインで、声優の仕事獲得に繋げたいから、はちじくじさんみたいに演者を非公開とするのではなくて、ちゃんと誰が演じているのかを明確にするわ。」
「VTuber活動によって、声優の知名度が上がって声優の仕事の後押しをするだろうし、VTuber活動でファンになってくれた人達は、声優としてもファンになってくれるはずよ。 しずかさんは実際に顔出しでリポーターや声優アイドルみたいな形の仕事が多いけれども、アニメに声を宛てる形の本来の声優の仕事をやりたいんでしょ? VTuberの方がそのスタイルに近いし、VTuberで人気が出れば声優としての後押しもされるわ。」
「わかりました。 やってみます。」
声優を目指して山形から上京して5年。現在の私の仕事は声優のリポーターとかアイドルみたいな顔出しでトークするような仕事が多くて、アニメなどに声当てをする仕事はすごく少なかった。
そもそも、声優関係での収入はそんなに多く無くて、メインの収入は居酒屋でのアルバイトであったりもする。そろそろ芽が出なくて夢をあきらめて、別の道を進む事も考えなくてはいけない所だったから、事務所からの提案は渡りに船だった。
正直、VTuberには興味があったし、事務所の後押しでVTuberが出来るのであればそれに越した事は無い。マネージャさんが言う通りVTuberで人気が出ればアニメの声優の仕事への道も開けるかもしれない。
千世子ちゃんや景ちゃんが火をつけたVTuberという活動は芸能界に驚きを持って迎えられて注目の的だ。本当はアキラ君が最初に始めた活動だけれども、アキラ君はYoutuberとしての活動も多くて、VTuberの名付け親という事もあって、元祖VTuberは千世子ちゃんや景ちゃんという世間の認識だった。
その後、ゴーグルからVTuberの技術が公開されて、今年の2月には、はちじくじさんというVTuber事務所から配信専門のVTuberがデビューして、Youtubeやニフニフ動画などを中心に人気が出始めていた。
おそらく、千世子ちゃんや景ちゃんと、はちじくじさんの活躍を見て、赤鬼プロダクションでもVTuber活動をやって見る事にしたのだろう。
「赤鬼プロダクションの1期生として、4人をデビューさせる予定なの。しずかさんは、その中の一人ね。」
「アバターとかは決まっているのですか?」
「アバターを描いてもらう絵師さんは、何人か候補があるわ。候補のリストを渡すからしずかさんの方でも選んでもらえる? 自分の半身になる訳だから、本人が気に入らないと活動が長続きしないでしょうからね。」
そうして絵師さんのリストをもらったけれども、いまいちこれだ!っていう絵師さんやキャラクターは無かった。全部見終わった後に、山形から一緒に上京してきた友人の顔が浮かんだ。
「知り合いの絵師さんとかに、頼むのも出来ますか?」
「アマチュアとかの絵師さんじゃ駄目よ? ちゃんと契約関係がしっかりした人なら大丈夫だけど・・・。その人の契約書と見積書、絵柄を見て事務所の方で判断する事になるわね。」
「それなら、大丈夫だと思います。ちょっと友人に確認してみます。」
連載を再開させていただきたのですが、期末に向けての仕事や家の改装などがあって、小説を書くペースを維持できなさそうなので、申し訳ございませんが、しばらくは不定期での連載とさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
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坂木しずかはVTuberの仕事に挑戦する2
「なるほど。それで私の所に来たのね。」
「そうなの。私のアバターを絵麻に作ってほしくて・・・。」
「ちょっと待ってね。確認してみるから。」
絵麻はそう言うと、Lineを打った後に誰かに電話をかけたみたいだ。
私達は山形の上山高校でアニメーション同好会をやっていた親友同士で、メンバーは5人居たんだけど、みんな上京してそれぞれの道を歩んでいる。
絵麻はその中で一番の出世頭だった。絵麻があの星アキラのアバターを作ったって聞いた時には本当に驚いた。
そこから、千世子ちゃんや景ちゃん、阿良也君と言った今を時めくスター俳優たちのアバターを次々と作成して名を上げると、今は何作品かのライトノベルの挿絵やいろいろな催し物のイラストなども担当している。
東京駅で列車会社や旅行会社とコラボした、絵麻の描いたアキラ君達のキャラクターの巨大なイラストを見た時には、本当にびっくりした。
絵麻も記念撮影したらしいけれども、通路に延々と絵麻のイラストが張られていて、絵麻の絵が評価されてうれしいのと同時に、絵麻が遠くに行ったみたいで、少し寂しかった。
私が引っ越した後の絵麻の家に来るのは初めてだった。引っ越した後の絵麻の家にはちゃんとした応接室が出来ていて、すごくスッキリとした部屋に、絵麻の担当したキャラクターのグッズなどがセンス良く飾られていた。
「うん。そうなの。高校の時に一緒にアニメ同好会をしていて、一緒に上京してきた親友なの。うん。うん。わかったわ。」
「アキラ君に許可が取れたから、一応お仕事は受けられると思うわ。」
「えっ、今の電話の相手は星アキラなの!? それにアバターの仕事ってアキラ君の許可が必要なの? っていうか、アキラ君とそんなに気軽に話せるんだ!」
「契約上の許可とかそう言うのじゃないんだけど、やっぱりアキラ君の妹ができる可能性もあるんだから、ちゃんと伝えとかないといけないと思って。 アキラ君とは良くプライベートとかでも良くお話しているわよ。 お話がすごく面白いの。」
「話が面白いのは間違いないと思うけれども、絵麻すごすぎ。 アキラ君にはアバターの依頼を受ける度に確認しているの?」
「そんな事ないわ。 私はそもそもアキラ君達以外のアバター作成の仕事を受けていないから。」
「えっ、そうなの!?」
「アバターの作成の依頼が儲かるからって、責任の持てない人に作ってその人が問題行動とか起こしたりしたら、間接的にもアキラ君に迷惑がかかるわ。 だから今の所は新規の人のアバター作成の仕事を受けていなかったの。 でもずかちゃんのアバターなら私も作りたいって思ったから、仕事を受けてもいいと思ったの。」
「絵麻ありがとう!!」
「それで見積もりなんだけど、このぐらいね。」
「げっ、高すぎない!? 私の所に来ている他の絵師さんの見積もりの2倍~3倍ぐらいするんだけど・・・。」
「ごめんなさい。 これについては負ける訳には行かないわ。 アキラ君達のアバターや新衣装はこれぐらいもらっているし、親友のずかちゃんだからって、負けちゃったら、私の恩人であるアキラ君達に対して、すごく失礼だもの。」
「うっ、この値段だとダメかもしれない・・・。」
「その辺は事務所の人と良く話し合ってみて欲しいわ。」
「解ったわ・・・。」
------------------------------------
私はこの値段だと絶対に無理だと思いつつ、マネージャさんに絵麻の見積もりを提出した。
「これ、本当にあの安原先生の見積もりなの!? 本当に安原先生がアバター作成を受けてくれるの!?」
「どの安原かは、判らないのですが、アキラ君や千世子ちゃんなどのアバターを担当している安原絵麻ならその見積書の人です。」
「安原先生は今担当している人以外には、絶対にアバター制作を受けないのにどうやったの? うちも一応、一度依頼して断られているんだけど・・・。」
「絵麻は私の高校の時に一緒に同好会をやっていて、その時の縁がずっと続いていて・・・。 やっぱり値段が高すぎますよね・・・。」
「そう言う事なのね。 後で上の人にも確認するけれども、ほぼ間違いなくOKよ。 安原先生で行きましょう。」
「えっ? でも値段が高すぎるんじゃないですか? 他の人の2~3倍以上しますよ。」
「そんなの、広告費や人気のための投資と考えれば全然高く無いわ。 安原先生の作ったアバターでデビューするVTuberってだけで注目度は間違いなく段違いよ。しずかさんのVTuber活動のスタートは成功したって言っていいわ。」
「そんな大げさな・・・。」
何も文句も言われずに、この値段でもお願いしたいって話を聞いて、絵麻の凄さを改めて実感した。
そしてVTuberになるのに、2ヶ月ほど準備をして、絵麻にお願いしたアバターも届いて、ついに私のVTuber初配信が始まった。そして絵麻のアバターの凄さと言うのをすぐに実感するのであった。
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坂木しずかはVTuberの仕事に挑戦する3
私のVTuber配信生活は予想以上に上手く行った。絵麻のアバターは凄い威力で、1期生4人の中でもチャンネル登録者やトイッターのフォロワーで私がダントツだった。
赤髪で犬耳の付いた私のアバターはすごく可愛くて、同期の中でも良く目立ったし、アバター作成の経験の豊かさと絵麻のアニメータとしての能力からか、表情の豊かさや動きなども全然違った。
とは言っても、人の興味は移ろいやすい。アバターだけすごくても肝心の中身が伴っていなければ人気は続かない。絵麻のアバターでスタートダッシュを決められたうちに、熱心なファンを獲得してゲーム実況やレポなど視聴者を楽しませるコンテンツをいろいろ悩ませながら、VTuber活動も1か月を経過してなんとか軌道に乗ってきた。
最初から台本があって、映像を見ながら役に没頭して演じる声優とは全然違って、VTuberはその場の切り替えしやコミュニケーションが重視されて面白い対応が求められる。
もしくは視聴者を囲い込める他に無い独自コンテンツで勝負するとか。絵麻は最近VTuber活動を始めて、絵を描いて視聴者を集めていて後者の独自コンテンツになると思う。
私には声優と言うコンテンツ以外に楽しくおしゃべりしたり、ゲームする感じだったけど、いずれ限界が来る事は見えていた。私はVTuberとしての方向性に悩んでいた。
実際にVTuberをやってみればわかる。星アキラや百城千世子、夜凪景、明神阿良也の四人は化け物だ。コミュニケーションお化けで俳優や役者という他に無い独自コンテンツを持っている。アキラ君が最初に始めたYoutube活動だけど、役者っていうのは、それぞれの役が持つ人の生きざまをコミュニケーションを通じて本物と錯覚させる訳だし、それを世代のトップ俳優達がコンテンツとして放送すれば、それは面白い訳だわと、自分がコンテンツの提供側になって初めてあの四人の凄さが解った気がする。
そんなある日、あるとんでも無いコラボのお誘いがやってきた。私はそのコラボメールを見た時に固まってしまったが、すぐに再起動してマネージャに相談してOKをもらうのであった。
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「それでは、安原家家族会議を始めます。 司会は安原家長男の珍獣アキランと、」
「安原家長女のキアラが担当しますわ。それで今日の議題は、なんと私達に妹が出来たそうですの。その真相を妹を呼んで確認するのですわ。」
「それでは絵麻ママから順番に自己紹介をお願いします。」
「安原家でママを務めさせていただいている安原絵麻です。」
「安原家長女のチヨコエルよ。」
「安原家次男のカメレオン阿良也です。」
「安原家、次女のラーヤですわよっ。」
「安原家、三女のケイティですっ。」
「えーと。安原家で四女に加わらせていただきました、赤鬼プロジェクト1期生の坂木しずかです。ずかちゃんって呼んでください。よろしくお願いします。」
常識人が来たwww
四女はまともな常識人だった事についてw
みんな最初は常識人だったんだよなぁ・・・。
チヨコエルですら最初は清楚な常識人だったからな。
まぁ、ずかちゃんでもこのメンバーには緊張するよね。
妹が加わるとか、すごく羨ましい。 す朝野いちごch
ずかちゃん。応援しているぞ。ずかちゃんならこのメンバーでも行けるはずだ!
最高の舞台なんだからがんばれ!
メンバーが濃いんだよなぁ・・・。
なにげにずかちゃんのファンが多くて草w
ずかちゃん、1ヶ月でかなりファンが居るよね。
自分の推しが有名な人とコラボするって嬉しいものだよ。
なお、アキラ君のコラボ先・・・。
アメリカ大統領を表敬訪問した際の漫才については忘れるんだwww
なんでや、ウォーキン・パフェットとのコラボ面白かったやろ!
ビルド・ゲイツ本人に幼少期のゲイツシリーズを見せて知り合いかを聞く電波少年的企画の件は忘れてやれよw
「ずかちゃんは、VTuber活動を始めて1か月ですけど、ファンも付いてかなりの人気ですわね。」
「私に妹が出来てすごく嬉しいですっ。ずかちゃんは赤毛に犬耳のアバターなんですね。」
「そうよ。ずかちゃんの性格も考慮して本人のイメージに似せて作成したの。どう? そのアバター気に入ってくれてる?」
「もちろんよ。このアバターのお蔭ですごく人気も出てすごく嬉しいわ。」
「絵麻ママとずかちゃんは高校の同級生で同じ同好会だったんだよね?」
「そうなの。おいちゃんっていう子が私とずかちゃん、みーちゃん、りーちゃんの5人でアニメーション同好会を作ったの。その5人と一緒に上京して、私は原画、ずかちゃんが声優、おいちゃんがアニメの制作進行、みーちゃんがCG、りーちゃんがアニメの脚本家でがんばっているの。」
「そうなんだ。アニメーション同好会ってどういう事をしていたの?」
「私達5人でアニメを作って文化祭で放映したの。一生の思い出よ。」
「うわっ。思った以上に本格的な活動。僕も絵麻ママ達が作ったアニメ見て見たいな。」
「さすがに高校生の時のだから、あまり見れたものじゃないけれども、いつか5人でまた集まって商業アニメを作るのが夢なのよ。」
「そうなんだ。それはすごく良い夢だね。」
そう言いながら、アキラ君はニヤリとしていた。絶対に何か企んでいると思う。
「ずかちゃんは、声はすごく綺麗よね。流石は声優さんね。アニメの役とかは何かやっているの?」
「ありがとうございます。第三飛行少女隊のルーシーとか、アクエリオンロゴスの綺声神心音や最近ではハルチカの成島美代子などをやらせてもらっています。」
「本当に声優さんなんだね。声も綺麗だし絵麻ママが推すのも分かるよ。」
「ずかちゃんはレポーターとか、声優アイドルとかもやっていてオールマイティーに活躍しているのよ。」
絵麻ママはどや顔をしながら言った。
「絵麻っ、このメンバーを相手に自慢するのは止めてっ!」
絵麻ママのどや顔いい!
なかなか見れない貴重な絵麻ママの貴重などや顔w
絵麻ママの子供自慢に焦るずかちゃん、すごく(・∀・)イイ!!
このメンバー相手にずかちゃんが持ち上げられてウケるw
ずかちゃんは明らかに、このメンバーの中では一番清楚なんだよなぁ・・・。
反応が擦れていなくて逆に新鮮ww
可愛すぎる。ずかちゃんのファンになります!
幻滅しました。アキラ君のファン辞めます。
↑なんでやwww
「ずかちゃんは、まだちょっと固いみたいね。ここは一つ処女かどうか聞き・・・・ふごっふごっ」
「ラーヤ!! 清純なゲストの人には踏み越えていけないラインと言う物がありましてよ! ただでさえ、すでに青い顔をしているずかちゃんのマネージャさんの胃壁をぶち破るのはやばいですわ。強引に話題を変えないと! そっ、そうですわ。高校の時のずかちゃんと絵麻ママってどういう感じでしたの?」
取って付けたような質問で草生えるww
キアラ嬢の貴重な常識人シーンww
実は一番常識がヤバいんだよなキアラ嬢w
ラーヤは相変わらず自由人すぎるw
流石に経験があるかは、答えてくれないと思うなw
相変わらず放送のラインを平気で超えていくラーヤはすげぇ
ラーヤの爆弾率は何なの?
キアラ嬢の声がうわずっていてウケるw
最近はあんまりラーヤもキアラ嬢も実写では出ないけど、二人とも女装するとすらっとした超美人になってヤバいよね。
「絵麻は、絵が好きなすごく大人しい子だったわね。それに責任感もすごく強かったわ。夏休み前にアニメを作成していたパソコンを絵麻が壊しちゃった事があったんだけど、みんなでバイトしてパソコンを買い直した時もすごく思い詰めたりもしていたわ。けど、最後には無事にアニメもできてすごく良かったわ。そして今はこんな立派なイラストレーターになって成功してすごく嬉しいの。でもたまにエンゼル体操とかして、かなり変な一面もあるわね。VTuberになってその一面がさらに磨きがかかっている気がするわ。」
「ずかちゃん! エンジェル体操の事は秘密にしているんだから言わないで!!」
「えっ、そうなの!?」
「エンジェル体操ってなんですの!?」
食い気味にキアラが質問する。
「肩に効く体操であり、終わった後天使のような気持ちになる体操なんだけど・・・。」
「「「「「「やって見せて!!!!!」」」」」」
みんな食い気味に絵麻ママにリクエストする。
「日本語、ドイツ語、中国語、イタリア語の1~8までの数字を数えてリズムを取って、体操を行うの。」
「こんな感じ。 いち、にー、さん、し、ごー、ろく、しち、はち、アインス、ツヴァイ、ドライ、フィーア、フュンフ、ゼクス、ズィーベン、アハト、イー、リャン、サン、スー、ウー、ロー、チー、パー。」
「ははっははははっ。 絵麻ママ、すっごくいいよ! VTuberだから、みんなにこの体操を見せられないのが残念だよ!」
「今度3Dでみんなでやりましょうよ!」
「そうだねチヨコエル! 是非みんなで3Dでやる事にしようよ!」
「そんな事に3Dなんてしなくていいわよ!」
「これは3Dでやる価値がありまくりだわね。(*´∇`*)」
エンジェル体操・・・。どんな体操なんだ・・・。
安原家でいきなり3D化wwww
ずかちゃんが1か月で3D化はクッソ笑えるwww
こんな理由でずかちゃんが3D化w
3D化の感動もくそも無いなwww
エンジェル体操。ブームになる予感がw
これは気になる体操ですねwww
「それじゃずかちゃんの3D化も無事に決まった所で、次はずかちゃんって高校生の時はどんな感じだったの?」
「えっ、えっ? アキラン君、3D化ってまだ全然計画も無いんだけどっ。」
「大丈夫だよ。腕のいい3Dモデラーさんと経費はこっちで出すから安心してね!」
「私のマネージャさんが真っ青になって胃のあたりを押さえているんだけど・・・。」
「僕のマネージャさんなんてしょっちゅうだから安心していいよ。」
「全然安心できないわ!」
アキランの前についにずかちゃんの地が出たwww
ずかちゃんの方が正論www
いいツッコミだ!
ずかちゃんのツッコミは俺が育てた!
さすがはずかちゃん。
アキランにも負けないいいツッコミだ。
ずかちゃんの後方兄貴の人達、オッスオッス。
後方兄貴大杉でウケるw
ずかちゃん、やっぱり人気だな
「それで高校の時のずかちゃんってどういう感じだったんですか?」
「高校の時から本気で声優を目指していて、すごく努力家だったわ。最初は同好会の活動も本気でやっていないからって断られたんだけど、同好会のメンバーでアニメーションの企画を作って認めてもらった感じね。中学生の頃から声優の練習をずっとしていて、高校を出て声優事務所に所属して今ではアニメやリポーター、ついにはVTuberデビューしてがんばっているわね。しかも歌もすごく上手くて、何曲か歌も歌っているのよ。」
「ずかちゃんは歌もすごくうまいよね。それに頑張り屋さんなんだね。」
「ずかちゃんは、ふだん声優の演技をするときにはどうやって役作りをしているの?」
「先輩の声優さんとかと同じで、まずは原作を読んでキャラクターのイメージ作りを行って、そこからキャラクターの性格や家族構成、ものの考え方、セリフの抑揚の付け方、体格から出る声の太さや明るさなどを調整して、ボイスレコーダーに声を吹き込んで何度も確認しますね。ただ、声優の場合にはオーディションまでの時間が少ない事が多いので準備に1日~2日という事も多くて、こういった事が間に合わない場合も多くて、ざっとプロフィールを見ただけで声を当てる事も多いですね。」
「なるほど。本番までに2~3ヵ月ぐらい準備する僕達俳優さんと違って、仕事がぱっと振り分けられる声優さんならではの役作りの方法で面白いね。」
「アキラ君達の役作りって、どんな感じなんですか?」
「うーん。ここに居る人の演技法は、全員がまるで違うからねぇ・・・。強いて言えば似ているのは阿良也と景ちゃんかな? この二人も役作りに対する考え方は大分違うんだよね・・・。」
「まず、阿良也と景ちゃんなんだけど、この二人はメソッド演技法と言われる現代では一大勢力の演技方法に分類はされているよ。 メソッド演技法というのは、物語の中の役の人物と同じ経験を通して、役の人物になりきって、本物の役の人物と同じように気持ちを動かす感じかな? 演じている役の人物と同じ感情になる事で、すごいリアリティが出るんだ。」
「その上でこの二人なんだけど、同じメソッド演技なんだけど、役作りの方法がまるで違うんだ。」
「阿良也は、実際に役と同じ状況を体験する事で、役作りをすることが多いね。『なめとこ山の熊』の舞台の時に北海道で実際に猟師さんに同行して、熊狩りを体験してやばいヒグマを狩ってニュースになったのを覚えている人も多いとは思うんだけど、実際に役の人物が置かれた環境に自分も置かれて、役の人物の行動や心情に共感する事で、役の人物と同じ気持ちや行動様式を身に着けて自然な演技を行っているね。」
「そうだな。俺は実際に体験してみることが多いかな。この前は炎に焼かれる演技を体験するために、自分の体に火を点けたら劇団員の仲間に消火器をかけられたぞ。」
「相変わらずアホすぎる。よく火傷しなかったな。」
「すぐにプールに飛ぶこむつもりだったんだけど、何かを察した劇団員にすぐに消火器をかけられたぞ。」
「劇団員さんグッジョブ。」
「裕次郎さんに怒られなかったんですか?」
「巌さんには褒められたけど、顔にやけどしたら大変だからちゃんとマスクとかして顔にやけどしないように注意はされた。」
「流石、劇団天球。演技バカ揃いよね。」
「ちなみに、メソッド演技者は役になり切るためにこういう頭のネジが振り切れている人が多いのが特徴だね。演技の内容によっては延々と自分のトラウマをほじくり返さなければいけなくなることがあって、精神が正常に保てなくなる危険もあるね。アリサママもそれで一時女優を引退していたし、ダークナイトでジョーカーを演じたヒース・レジャーさんもメソッド演技の影響で精神が不安定になって処方薬を飲みすぎて亡くなったって言われているね。 ただ、この説はご家族が否定しているみたいだけど。」
「次に景ちゃんなんだけど、景ちゃんは役の人物もしくは、役の人物に近い人物を観察する事で、それを模倣して自らの経験に落とし込んで、役の人物と同じ気持ちや行動に映しているね。普通は外から見てそれをメソッド演技に落とし込む事とかは難しいんだけど、それができる景ちゃんがまさしく天才って事だね。」
「褒められてはずかしいですっ。」
「うん。外から観察するだけで主体的な経験に落とし込める景ちゃんはまさに天才よね。」
「まぁ、これは誰にも真似できないから、景ちゃんが演技の指導者とか先生になったら、長嶋茂雄と同じ状態になるのは目に見えているんだけどね・・・。その辺も天才だよね・・・。案外景ちゃんは将来、アリサママと同じように自分の主観に頼らない演技指導をするようになるかもね。」
「それで千世子ちゃんと僕は、阿良也と景ちゃんとは全くの逆だね。演技の主体を自分の内面や経験に頼るのではなくて、自分の演技を見ている他人にどう見えるか、どう感じるかに重点を置くね。これを話すと演技をやっていない人にはけっこう首をかしげられるんだけど、結局のところ僕達役者が何のために演技をしているかを考えて見ればいいと思う。」
「僕達は観客の人達を楽しませるために演技をしているんだ。たとえメソッド演技によって役を演じている本人以上に本人を演じられたとしても、役を演じる事で伝えたい事が伝わらなければ、何の意味も無いという事なんだ。だから僕と千世子ちゃんは、自分の演技が他者にどう見えているのか、どう感じるのかを中心において演技を行っているね。」
「それで千世子ちゃんは、他者の視点。つまり他者に自分がどう見えるのかを客観視して、観客にリアリティを与えるように演技を行っているね。」
「そうね。私の場合には主観的な演技は参考にはするけれども、基本は観客に自分がどう見えているのかという事を中心に演技するわね。」
「千世子ちゃんは撮影現場で、シーンの緊迫感とかをまるで無視して、これでいいの?って演技をしたりする事もある。 周りの人も、『え?シリアスなシーンをこんな簡単に済ませていいの?』って感じ。 でもカメラを通して見えた視点は全然違う。実際に撮影現場を見た時と出来上がった映像を比べたら、出来上がりが良すぎて鳥肌が立つ感じ。一部ではこの現象の事を百城マジックって呼ばれたりもする。カメラ以外の視点とカメラを通して見る視点がイコールじゃないんだよね。これはカメラに自分がどう映っているのかを全部計算できる千世子ちゃんならではの匠の技だね。」
「でも、それだけじゃなくて、そもそもちゃんと役を演じられる基本の演技力は必ず必要よ。あくまで演技の考え方の中心が他者の視点だって事ね。基本が一番大事よ。」
「最後に僕の場合だけど、僕の方は観客の人達がどう感じるのか、観客の人達の感情面を中心にして演技しているね。つまり、こういう演技をすれば観客は面白がってくれるし、こういう演技をすれば観客は悲しんでくれる。そういう観客の感情を想像しながら、観客から見える役を表現する事で、観客が望むキャラクターを演じている訳だね。その結果、四人の中では僕は一番リアリティは重視していないかな。」
「アキラの場合には、観客の感じ方がわかっているせいか、観客の想像を超える演技をとんでもない場面でポンポンと躊躇なくやるのがヤバいよな。」
「アキラさんみたいに、大胆な演技をしながら場面やシナリオを全く壊さないで質だけ上げるって真似は絶対にできないですっ。」
「昔のアキラちゃんは、個を殺して映画やドラマなんかのトータルの出来栄えのために、フォロー役に回って自分を犠牲にしていたから器用貧乏で有名だったけど、最近は本当に周囲の役者や監督ですら想像を超える演技をして、タチが悪いわよね。」
「いや、みんなの期待値通りの演技をしても、みんなが想像している程度の出来にしかならないから、結局はみんなの想像を超える演技をしないとみんなが面白いじゃんって感じないからそうしているだけだよ。」
「それを言うアキラちゃんも相当ヤバいわよ。普通はそれをやるとただ単に浮いちゃうだけだから。」
「ごほん。そんな訳で、僕と千世子ちゃんの役作りは、見ている観客の視点を想像しながら、その場に合わせてアレンジしている面が多いかな。」
「結局、役者の中でも演技方法や役作りは千差万別だね。結局は自分に合う演技法で演じるのがいいって感じだよね。それが役者の個性にもなるし。」
「アキラ君の話を聞いていると役者さんって本当にすごいのね。」
「アキラさん達の話を聞いていて圧倒されました。自分ももっと練習しないと・・・。」
「声優と俳優ではやる事も違うんだし、業界や状況に合っていて、自分で納得できる練習をして行けばいいんじゃないかな。演技法ばっかりは人によって違うし、演技法が上手くなっても、人に共感を与えられなければ何の意味も無いよね。だから、他人の役作り方法は参考になる事はあっても、そのまま自分には適用できない事が多いね。」
演技法の話、奥深いな。
やっぱり役者の数だけ演技法があるんだな。
それぞれの役者の個性が演技法にも出ていて面白い。
アキラ君には、天性のコメディアンの才能があると思うw
でも、アキラ君達4人は全員天才だけど、全員狂人だよねw
ずかちゃんが、狂人達の演技法を真似しないかが心配んだww
純粋なずかちゃんをアキラ君達の魔の手から守るんだ!!
でもずかちゃんは安原家で四女だから手遅れでは?
ずかちゃんが毒されていく~。
変態俳優達からずかちゃんを守るんだ!
もう守れないと思うな・・・。
ずかちゃんファンの兄貴達、手遅れだからあきらメロンww
こうして清楚なずかちゃんもどんどんヤバくなっていくんだろうな。
お前達! 絵麻ママですら、最初は清楚で常識人だった事を思い出すんだ!
なんでや! 絵麻ママは今でも清楚で常識人だろうが!
絵麻ママファンの内ゲバで草www
絵麻ママはどちらかというと本人よりもファンの方が濃いよなw
このメンバーに混じって、ボブ術を自在に操る絵麻ママは本当に濃くないんですかね?
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「いい時間なので、最後に音楽の時間です。」
もっとずかちゃんの話ききたいよ。
ぶぅ━━q( ̄(oo) ̄)p━━っ!!
もっと続けてよ~。
ずかちゃん、ずかちゃん、ずかちゃん。
せっかくずかちゃんが来てくれたんだから、もっとやろうよ。
もっとずかちゃん成分を!
「ずかちゃんは安原家の四女として度々出演してもらおうと思うので今後もお楽しみに!」
「そんな訳で、今日はずかちゃんの持ち歌、琴浦さんのエンディングテーマ、希望の花です。」
歌が綺麗。
アキラ君のピアノと合って、すごくクリアな歌声。
本当に澄んだ歌声でいい。
俺中学生の時、良くみていたわ。
琴浦さん、思い出して来た。
エンディングの曲いいね。
染みわたる~。
あかん煩悩が浄化されてまう。
ずかちゃんはこのままずっと清楚でいてほしい。
↑叶わぬ願いだなw
こうして、私とアキラ君達のコラボは幕を閉じた。放送中から私のチャンネル登録者やトイッターのフォロワーはとんでもない伸びを示していた。
絵麻のアバターは本当にすごい価値だった。絵麻も簡単に仕事を受けない訳だと実感した。
私のためにアバターを作ってくれた絵麻に、私は心の底から感謝している。
この後も私はアキラ君達と何度もコラボをしている。そして視聴者の予想通り、回を追うごとに私は清楚が抜け落ちて行って、どんどんヤバイ女を演じて行くのであった。
まさか自分にこんなヤバイVTuberを演じる才能があったとは驚きだったが、放送を見ていたおいちゃん達にはドン引きされたのであった。
ちなみに、ずかちゃんの希望の花や他アニメ作品の仕事などは声優さん繋がりで勝手に捏造していますw。
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星アキラは記者会見の挨拶を練習する
ちょっと時は経って、僕は18歳になって無事に車の運転免許を取った。
車はポルシェを買おうかと思ったんだけど、みんなでディーラーに見に行ったら、助手席にしか人がまともに乗せられないとみんなから不評で、購入を断念した。
なんでや。 ポルシェ博士最高じゃないか! 第二次世界大戦中の物資が欠乏していたドイツ軍でガソリンエンジンで発電機を回して電気モーターで進む戦車を作ったウルトラマッドエンジニアなのに!
ポルシェ博士は「ユーザーの立場で考えた場合、多少でも不利となりうる要素は決して採用すべきではない」
とかいうすばらしい名言を残していて、乗用車や軍用車はくっそ真面目で素晴らしい設計するのに、たまに血迷って頭のネジがどっかに飛んでいく変態設計の魅力がみんなには判らないらしい。
とは言っても、ポルシェを買ったとしたらスポーツカーを乗り回す芸能事務所のボンボンバカ息子の絵が完成するので、僕の評判も悪くなりそう・・・。
かといって、プリウスやカローラとかを、一応成功しているカテゴリに入っている芸能人として乗るのもちょっと微妙だろう。プリウスの変態ハイブリッド機構もポルシェ博士に勝るとも劣らなくて、結構好きなんだけど。
そもそも、免許取りたての1台目で、東京都内で乗るとか廃車にしてくださいと言わんばかりの車になるんだから、ボディーがガリガリ傷ついてもすぐに直せる車がいい。
結局、そういった要素を考えた結果、消去法で他のみんなを乗せても体裁を保てるレクサスLSになってしまった。こっちはみんなで見に行ったら普通にOKをもらえた。みんなが車を見てわいわいやる中、僕はディーラーのカウンターでやさぐれながら、オレンジジュースをぐびぐび飲んでいた。
もっとも僕は前世で免許を持っていた訳で、前世のアメリカでは女だてらに中古のマスタングに乗っていて、日本に戻ったらランエボというかなりあれな趣味だった。
この趣味を今世で発揮したらみんなドン引きだろう。そもそもこんな車に千世子ちゃんや景ちゃんを乗せる訳にはいかない。・・・阿良也は別にいいけど。
こうなったら車の趣味は隠して、とりあえず免許取りたての純粋無垢なアキラ君を装う事にしよう。僕は演技は得意なんだ!(自虐ギャグ)
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ところで、最近、特に変わった事と言えば、何といっても景ちゃんが墨字さんのスタジオ大黒天に移籍?した事だ。
事の発端は、墨字さんが景ちゃんが主演の映画を撮りたいと言い出した事で、景ちゃんもそれに賛同。 アリサママは少し考えると、景ちゃんのスタジオ大黒天への移籍を条件に認めた。
僕は、景ちゃんをこんな簡単に手放すアリサママに驚いた。アリサママはこんな回答だった。
「景ちゃんはあなたや千世子と違ってメソッド演技が主体の女優よ。 確かに景ちゃんは映画や台本でメソッド演技の経験を補える稀有な才能を持っているわ。 でもそれだけじゃ黒山墨字が撮る夜凪景の初主演作を演じるには全然経験や能力が足りないわ。」
「私は黒山墨字が撮影する夜凪景の初主演作を最高の作品として見たいの。 だから景ちゃんには墨字君のそばに居て、彼の考えや映画を撮るという事がどういう事か学んでもらう必要があるわ。 このまま周りの環境でなし崩し的に役者になった所で、夜凪景が才能を十全に発揮するとは思えないわ。 結局景ちゃんには一度スターズを出て役者と言うものをちゃんと考えて欲しいのよ。」
「・・・言っている事は判るけれども、スタジオ大黒天じゃ景ちゃんのマネージメントは上手くできないんじゃないの?」
「景ちゃんのプロデュースとマネージメントはうちでやるから安心していいわよ。」
「その辺はちゃっかりしているんだね。」
「そうよ。夜凪景は最高のダイヤの原石よ。 世界一のダイヤになるためには研磨が必要だけど、別にダイヤを研磨師にあげる必要も無ければ、自らダイヤの価値を落とす必要も無いわ。 ただ預けて磨いてもらうだけよ。 景ちゃんに何かあってもうちがちゃんとサポートできる体制にしてあるから安心しなさい。」
「いつものサイコパスなアリサママで安心したよ。」
ちなみに、夜凪ママもこの対応には賛成していた。 彼女もなし崩し的に景ちゃんが芸能人になるのは不安だったらしく、ちゃんと自分を見つめ直す機会があればそれをするべきだと、景ちゃんに自立を促した。
そんな訳で、景ちゃんは僕達の家を出て、セキュリティのしっかりしたマンションで一人暮らしをしている。ちなみに同じマンションには僕が家賃補助をして雪ねぇちゃんにも住んでもらっている。 この辺は過保護だけど保険の意味もある。 いくら本人のためとはいえ、メソッド演技者を一人にして気が付いたら廃人になっていましたとか、シャレにならないからね。
雪ねぇちゃんは阿佐ヶ谷芸大の映像研究科に進学して、勉強とスタジオ大黒天の仕事をメインにしつつ、バイトで僕達のYoutubeの映像関係の仕事もしてもらっている。
雪ねぇちゃんは、大学進学とスタジオ大黒天への就職に迷っていたみたいだけど、僕は迷う事無く大学進学を推した。
理由は極めて単純。 最低賃金に近いスタジオ大黒天へ就職するよりも、大学に進学しながら僕達のバイトを掛け持ちした方が収入が多いからだ。 自分の映画を撮りたいという夢を見るのは結構な事だけど、その夢に向かいつつも、潰しが利く道があるのであれば、そちらを選ぶべきだ。
最悪、大学を中退して大黒天へ就職すればいいじゃんと言ったら、雪ねぇちゃんは素直に大学へ進学する道を歩んだ。 大学とバイトの両立は大変だけど、彼女の持ち前の勤勉さと才能で留年する事無く、見事に両立している。このままいろいろな経験をしながら大学を卒業できれば、たとえ彼女が映画監督になると言う夢に破れたとしても、彼女にはまだ沢山の物が残る事だろう。
・・・あれ? でもこの理論を展開すると、役者一本で高卒になりそうな僕はヤバくないですかね? 役者の夢が破れた時のために、大学の経営学部とか行っといた方がいいのかな? でも別に将来のニート生活の資金はすでに確保してあるから、役者の夢が破れたらニートにでもなって気楽なVTuber生活でも始めるか・・・。
そんな事を考えながら、今日、僕はスターズ主催の映画『デスアイランド』の記者会見冒頭の挨拶のスペアとして、劇場の控室に居た。
「スターズ主催の映画『デスアイランド』は人気コミックが原作で、現在のキャストに加えて残り12名はオーディションから募り、計24名の若手俳優・・・・。」
「うーむ。固いなぁ・・・。こんな挨拶なんてくっそ面倒だから千世子ちゃん撮影終わって来ないかな・・・。」
「アキラ」
「んっ?アリサママ? 何?」
「記者会見の挨拶であなたの出番は無くなったわ。」
「おおっ。という事はプランAで行くんだね。」
「そうよ。デスアイランドにあなたが出演するというのは今後は極秘よ。」
「はーい。ところで千世子ちゃん、よく映画の撮影をこんな短期間で終わらせたね。」
「アキラちゃん、映画はNGを出すから時間がかかるんだよ。私はリテイクさせないから私のシーンはすぐに終わるわ。」
17歳になって空前絶後の美少女になった千世子ちゃんが控室に入ってきた。
「千世子ちゃん、その当たらなければどうということはない理論はなんとかならないの?」
「私のカメラ映りは完璧なんだから、リテイクなんて無いわ。」
「キャラクターを作っているのは判るけれども、その三下っぽい若さゆえの過ち感が半端無いよ。この後挫折するフラグがビンビンだよ。」
「そうね。肝に銘じるわ。それじゃ行ってくるわね。」
「行ってらっしゃ~い。」
こうして、スターズが主催する映画『デスアイランド』のプロジェクトが開始されるのであった。
142話にしてやっと原作突入なのです。
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星アキラはオーディションの審査員をする
千世子ちゃんのデスアイランドの記者会見から1か月後、今日はデスアイランドのオーディションの開催日で、僕もオーディションの審査員として並ぶことになったよ。
今回のオーディションは1次は書類審査、2次は映像審査、そして3次として今日は演技審査だね。
今日の参加者は500人。 この中からまずは単独の演技審査で200人に絞った後に4人のグループを作ってグループでの演技審査を経て12人に絞られるね。
まずは単独の演技審査。 10人ずつ悲しみの演技をしてもらうよ。
僕は演技を見て演技者の評価項目をテキパキと記入して行く。判断が難しい部分や、実力が判り切らない人については、どのような悲しみを表現してとか、どのように表現してなどを具体的に指示してそのリアクションを見たりもしている。
演技審査時に審査員として僕が並んでいるのを見るとぎょっとする人が居るけれども、最初の驚きはいいんだけど、それが演技に後を引くようなら僕は低めの評価をしている。僕はわりと俳優寄りの演技技術なんかの評価を期待されているとは思うんだけど、実際の所、僕の評価基準はこの人を加える事で映画が面白くなるか、ならないかで判断している面が大きいから、僕の場合には個性的な人の点数が良くて、演技技術にはあまり拘っていなかったりする。
なので、僕はけっこうアバウトな審査内容の審査員だね。
対して、僕の横の墨字さんなんかは、イメージとは違ってそれぞれの演技者を詳細かつ客観的に評価していて、注釈を入れてかなり信用がおける審査表を作成していたりする。 うーん。映画監督ってすごいんだねと僕は完全に他人事で審査を続けていた。
そんな審査をしていると、景ちゃんが入ってきた。今回、景ちゃんはスターズではなく一般枠としてスタジオ大黒天から参加している。
「それでは悲しみの演技をしてください。」
司会の清水さんがそう言うと、演技者は思い思いの悲しみの演技をする。 そんな中にぼ~と突っ立っているように見える景ちゃん。
うん。本当に悲しみの中に居るのもわかるし、悲しみによって硬直する表情筋なども完璧だ。 見る人が見れば判る繊細で非常にリアルな演技だ。
でもこの映画は映画通向けの作品じゃなくて、大衆向けの映画なんだよ景ちゃん。 否定されるのを覚悟であえて言うのであれば、天然物の質の高い材料と調理技術による繊細な薄味ではなくて、がつんとインパクトがある味がウケるんだ。質の良い材料による薄味と、本当にただ味が薄いだけの料理の差を、君と審査を受けている年頃の子の全員が見分けられる訳じゃない。
まぁ、審査員は全員映画通だからこの演技は多分伝わっている。 でも周りで演技をしている人から見たらどうかな? ただ突っ立っていただけで合格した景ちゃん。 落ちた他の参加者からは、明らかに依怙贔屓でオーディションを受かったようにしか見えないだろう。 正直に言ってそんな噂はスターズとして損失でしかない。
立たなくても良い悪い噂を自分から進んで立てる必要は無いだろう。だから僕は言った。
「夜凪景君、課題は悲しみのはずだ。 僕の席からは突っ立っているようにしか見えない。 ちゃんと全員に伝わるように演技して欲しい。」
「私は真剣ですよ?」景ちゃんは首をかしげた。
「真剣なのは判るけど、全員に伝わるようにやってもらえないかな?」
「夜凪、バカでもわかるように演じろ。」
墨字さんがフォローを入れてくれる。
「こうですか?」
景ちゃんは少し大げさに涙を流すと、全員に悲しみが伝わるようにすこし大げさな演技をした。 悲しみで胸が締め付けられるようでみんな景ちゃんから目を離せなくなった。 演技の格が違うのがみんなに伝わる。 そんな演技に他の参加者がざわつく。
景ちゃんと同じ組に入ってかわいそうだけど、このオーディションの合格者は1人だけじゃない。12人だ。ここで自分の演技を止めるようであれば、落選しても仕方が無いし、この参加者は景ちゃんが依怙贔屓で受かったとも思わないだろう。 どちらにせよ、残りの9人の中にはこの夜凪景を喰ってやろうという人は居ないみたいだった。
僕はこの後もオーディション参加者の演技審査をテキパキとこなして行って、グループ演技の審査に残った200人が発表された。
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夜凪景はグループ演技の審査を待つ
夜凪景視点
「順番にオーディションを受けていただきます。 名前が呼ばれるまでこちらでお待ちください。」
3次の演技試験に受かった私は翌日、グループ演技の控室に案内されて、指定された席に着いた。
「えっと、もしかしなくても夜凪景ちゃんやよね?」
「はい。夜凪景です。」
「私は湯島茜。よろしくね。」
「よろしくお願いします。」
「俺、鳥山武光よろしく。」
「源真咲だ。よろしく。」
私は、グループ演技で同じグループとなる、同じテーブルの人達と挨拶をした。
「てっきり景ちゃんはスターズ側からの出演だと思っていたんやけど、どうして一般のオーディションを受けているの?」
「今、私は役者として自立するために、スタジオ大黒天っていう別の事務所に所属しているんです。」
「それって、スターズをクビになったって事?」
「いえ、そういう訳では無くて、マネージメントとかプロモーションとかはスターズがやってくれているのですが、こういった役者としての仕事を取るのにちゃんといろいろな経験をして自分の力で仕事をしたらどうかとアリサさんから言われまして、それで今事務所を変えている感じです。」
「いつも千世子ちゃんと仲良くVTuberの放送をしているわけだから、そんな所だろうね。 でもやっぱり星アリサって獅子の子を崖から落として育てるって本当だったんやね。 アキラ君の話とか壮絶だものね。 逆にあそこまでやるからあんな化け物みたいなハリウッドスターになるんだって思うけれども。」
「アキラさんは例外中の例外なので、参考にならないとは思いますが、アリサさんはすごく役者の事を考えてくれている優しい人ですよ。」
「そういえば、最初の演技審査に星アキラが居たのがびっくりしたな。」
「おちゃらけているかと思ったらしっかりと審査していたね。」
「アキラさんは基本的に仕事はしっかりとしますよ。」
「もしかしてアキラ君のYoutubeとかキャラ作ってたりするの?」
「いや、あれも素だと思います。アキラさんはかしこまった場で怒られるギリギリの綱渡りするのが、もともと大好きですから。あれもアキラさんですね。ただ仕事を受けたら内容にもよりますけれども、仕事の方はかなり真面目にこなしますよ。ああ見えても、アリサさんと同じように信用第一に考えている人ですし。」
「へぇ、意外。 でも景ちゃんは合格はほぼ確定だろうけど、私達は判らないからね。」
「簡単に受かるようなオーディションじゃないと思います。私も3次の演技審査でもアキラさんに注意されましたし。」
「注意されたって何を注意されたの?」
「私が演技をしていたら、『僕の席からは突っ立っているようにしか見えない。 ちゃんと全員に伝わるように演技して欲しい。』って言われました。」
「えーーっ。景ちゃんが? どんな演技をしたの?」
「こんな演技ですけど・・・」私は審査の時と同じ悲しみの演技をした。 心が悲しくなって涙が出そうになるのを必死にこらえる。
「うわっ、すごっ。すごく繊細に悲しみが伝わってくる。これを見て注意する星アキラの目って節穴じゃないの?」
「多分、アキラさんに伝えるんじゃなくて、他の参加者の人達に伝わるように演技するのが大切だったみたいで、墨字さんには『バカでも伝わるように演技しろ』って言われました。」
「確かに、繊細すぎてその演技だと、人によっては突っ立っているだけにしか見えないから、10人居る審査の中じゃ埋もれちゃうかもね。」
「ところで、みな同じ本を読んでいるみたいですが、流行っているのでしょうか?」
「はっ?お前自分が何のオーディションを受けに来たのか知らねーのかよ?」
源真咲さんが言った。
「千世子ちゃんが演じる映画?」
「ミーハーかよ。主演の事じゃねぇよ。 デスアイランドの原作コミックを読まないでオーディションに挑むとか流石にナメているだろ。」
「俺も読んでいないぞ。俺たちは演技力と人柄で勝負するべきだ。作品に媚びても仕方が無い。」
鳥山武光さんが言った。
「原作を読まねぇのは怠慢だ。貸してやるから読め。」
「そんな物を読んだら芝居が引っ張られるじゃねぇか!」
源さんと鳥山さんは二人で口論を始めた。芝居に対する考え方が二人で180度違うのかもしれない。
「ねぇ、アキラ君とか千世子ちゃんはこういう時に原作を読んだりするの?」
湯島さんが私に聞いて来た。
「千世子ちゃんとアキラさんは台本と原作を両方読むと思います。特に千世子ちゃんは、原作漫画のコマ割りからカメラのカットやアングルを考える感じで、その他には共演者の情報とかシーンの見せ方に重点を置くと思います。 アキラさんは台本、原作を共に熟読した上で、必要なら原作者や監督、演出家の人などの関係者に話を聞いて準備万端で臨むと思います。」
「へー。アキラ君も下準備をしっかりやるんだ。これも意外。てっきりその場の雰囲気でアドリブとか入れまくりかと思った。」
「アキラさんは問題が無ければ基本に忠実な演技をしますよ。ただ、基本に忠実に演技をした結果、自分が求められている役や期待とは違う演技になった瞬間に、その入念な下準備を容赦なく切り捨てて、見ている人を驚かせる演技をするだけです。」
「この辺の場の持って行き方は誰も真似ができませんね。突然アドリブで滅茶苦茶な会話をしているのに、相手方の会話の内容や台本上の展開はそのまま修正の必要が無くて、全員の目が点になった事とか何回も経験しています。千世子ちゃんは逆で、台本の通りに演じているのにカメラ映りや演技の内容が極上すぎて、1発でOKされる感じです。」
「流石すごいね。星アキラと百城千世子。それで、景ちゃんは原作を読んでこない派だったんやな。」
「アキラさんに聞いたら、『12人の誰がどんな役をやるかなんて決まっていないんだから、原作なんて読んでキャラを決め打ちするような無駄な準備をするぐらいなら、何も考えないで出された課題を上手く演じた方がいいよ。そもそも課題自体が秘密なんだから対策を立てようが無いし。』って言っていたので、そのアドバイスに従って、何も準備してきませんでした。 まだどの役とか決まっていませんし・・・。」
「作品に必要なら受かって、不必要なら落ちる。やっぱりそれだけの話なんやな役者なんて・・・。」
「私は、私の事さえ知れたらどんなお芝居も出来るはずだから。それが私の最大の武器だから。」
「自分の事さえ知れたら、どんな芝居も出来る。夜凪は面白い事を言うんだな。」
鳥山さんは私に言った。そんな事をしているうちに係の人が私達のグループを呼びに来た。
「そちらのテーブルのグループの方、こちらにどうぞ。」
「無人島に漂流した24人の生徒達が最後の一人になるまで殺し合うのが、『デスアイランド』よ。景ちゃんの演技楽しみにしているわ。」
「楽しみだわ。私、無人島に漂流した事なんて無いから。どんな自分が待っているのかしら。」
私はみんなとお話をしながら、グループ演技の会場に向かった。
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星アキラはグループ演技の審査を行う1
前の演技試験で500人から300人が脱落して残り200人。 翌日に残った200人はグループ演技の審査に移る。
今回の審査内容は無人島のセットで、修学旅行中の飛行機が落ちて無人島に流れ着いた4人が5分以内に殺し合いを始める演技をしてもらう。
演技の台本などは特に無くて、その場のアドリブで演技してもらう感じ。つまりエチュード(即興劇)を突然組んだ4人のグループでやってもらう感じだ。
グループのメンバーとは事前に立ち話をした程度の相手に対して、どのぐらい切り込んで殺し合いという極限状態にまで持って行くのかすごく楽しみだね。
と審査に移ったんだけど、手塚由紀治監督はざっと見で1分ぐらいで演技を切って、次々の順番に移らせようとした。
流石に1分は短すぎる。確かに1分もあればある程度力量は判る。 でも演技者にとっても突然組んだグループで1分で相手の力量を推し量って即興劇に移るのに必要な時間でもある。
まぁ、1分も見ればある程度、力量は分かるけれども、このオーディションの参加者たちは、並々ならぬ熱意と時間をかけて準備して来たのだ。それを1分ぐらいしか劇を見ないで落としていくとか失礼すぎるし、こんな事を続ければ、能力のある人でも今後、スターズのオーディションに参加してくれる事が無くなるだろう。
僕は1分程度で演技を止めようとした手塚監督を止めた。
「監督、1分ぐらいで演技を切るのは、オーディションの参加者の人達に失礼です。 最低3分ぐらいは見てください。 このままではスターズは上辺の演技しか見ないで、気分次第でオーディションを落とす傲慢な芸能事務所という噂が立ちます。」
「分かったよ。 アキラ君。 でも1分もあればある程度の力量がわかるんだけどね。」
「それはある程度でしかありません。 ちゃんとポテンシャルを評価するのであれば、3分ぐらいは必要では?」
「アキラ君がそう言うのであれば、そうさせてもらうよ。」
手塚監督は、自分を拾ってくれたアリサママも同じことを言うだろうと思ったのだろう、スターズの事務所を考えた意見に対して素直に従ってくれた。
今回のキャスティングは最終的には手塚監督に全て任されている。今日の僕の立場は審査員というよりも、今日は千世子ちゃんの撮影に付き添いをしているアリサママの代役って所だった。
今回の審査は200人で4人ずつの50組。 50組程度であれば1組に3分程度かけても、十分に今日の午後には終わる。
僕は次々に来る参加者の即興劇を審査員ではなく、エンタメとして楽しんだ。
これまでで面白かったのは、イケメンの佐藤一と面白キャラの小寺童子の組で、イケメンの佐藤一に嫉妬全開の小寺童子がイケメン死ねと開始10秒で殺しに走る芝居が一番面白かった。
そんな参加者の芝居を楽しんでついに景ちゃんの番が来た。
「すごい。無人島だわ。」
すかさず町田リカさんから芝居の説明が入る。
「制限時間5分以内に四人が殺し合いを始める演技をしてください。」
「それって、人を殺す人間になれって事ですか?」
「はいそのように演じてください。デスアイランドですから。」
景ちゃんの質問の意図をリカさんは分からなかったみたいだ。 メソッド演技で殺人者を演じろというのは、とても心身に負担がかかるものだ。景ちゃんに殺人者の人格を受け入れるんですか?って意味なんだけど、まさしくその通りなのでそのままにしておいた。
景ちゃんにとって、殺人者を演じるというのは、自分の良心や信義に反した人間最大の禁忌を犯せる人格を景ちゃんが受け入れて、心が完全にその人間になるということだ。
もちろん、彼女は殺人の経験など無い。
この状況でどういう殺人者を演じればいいのか、景ちゃんはとても悩んでいるだろう。でもだからこそ、僕は景ちゃんに原作を読まないでオーディションに行く事を勧めた。
原作の人物の誰かを演じられたりしたら、そのキャラを完璧に演じるだろうけど彼女の成長には繋がらない。
メソッド演技の天才である彼女は、殺人という人間最大の禁忌に対して、自分が本来持つ良心の呵責を乗り越えて殺人者を演じられるのだろうか?
殺人者を演じた後の彼女は、アリサママが指導したように心のコントロールが出来るのだろうか?
僕は彼女の演技をつぶさに観察した。
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星アキラはグループ演技の審査を行う2
景ちゃん達の組の即興劇が始まった。
墜落した飛行機から砂浜に流れ着くメンバー達。
景ちゃんは砂浜で倒れながら、墜落する飛行機から海に落ちて溺れたシーンを追体験しているんだろう。まどろんでいるみたいで、他のメンバーよりも動き出しが遅い。
一番体力のありそうな鳥山武光君が起きて、冷静そうな源真咲君が無人島にたどり着いた状況を説明する。うん。いい流れだね。
突然、湯島茜さんが鳥山君の胸ぐらをつかんで、脱出時に鳥山君のせいで機内に水が入ってみんなが溺れた事を責め始める。
ヒートアップする参加者たちの口論。 徐々にボルテージが上がって行き、このまま殺し合いに行く感じかな? でもこんな口論ごときで日本の道徳教育を受けた高校生が殺し合いまで発展するかな? これからの過酷なサバイバル生活を生き残るのに必要な仲間かもしれないのに? これだったら、鳥山君がハイジャック犯だったって方がまだ殺す動機があると思うんだけど、どうなんだろう?
「生きてる」
景ちゃんが起き上がった。 墜落した飛行機から九死に一生を得たように放心状態で肌はその時の緊張感からか汗でびっしょりだ。
「みんな? 何を言っているの? 奥に人里があるかもしれないのに。」
「歩いてもいないのにどうしてここが無人島だって知っているの?」
「勝手に決めつけて喧嘩して、あなた達どうしたの?」
これまでのお芝居の流れを完全にぶった切った景ちゃんに、他の参加者は完全に戸惑う。
景ちゃんの言っている事は正論だけに、他のメンバーが積み上げていた設定がご破算になって完全に固まる。
「いい加減にしいや! さっきから訳の分からん事ばかり何のつもりやねん!!」
おおっ、湯島茜君が逆上した人間を演じた。それに怯える景ちゃん。 いいねぇ。 みんな虚を突かれて、自然な感じになってポテンシャルが見えて来た。景ちゃんはこっからどうやって殺し合いに持って行くんだろう?
「茜、お前さっきから変だぞどうしたんだ?」
源真咲君が暴走する湯島さんに対してフォローを入れる。いいコンビネーションだ。
「あなた達、おかしいわ。 何でこんな事で口論しているの? どうしちゃったの?」
明らかに不自然な3人に怯えた景ちゃんは、森の中に走って逃げようとする。しかしセットの端にぶつかり、盛大に音を立てて逃げ場がない。
「来ないでっ!」
景ちゃんは怯えた渾身の演技をする。
やっぱり同年代の所にポンと放り込むと力量が違いすぎて景ちゃんの方が逆に浮くね。
「くくくっ、そうだよ夜凪、皆を殺したのは俺達だ。他の人間はみんな引っかかたのに、お前だけ察するとはな。でもお前にも死んでもらう。」
鳥山君が機転を利かせて、見事に殺し合いに持って行く。設定的に苦しいけどいい機転とコンビネーションじゃないかな。ツッコミ所は満載だけど、ちゃんと殺し合いになる展開だよね。
僕は景ちゃんの様子を良く観察した。 そして目つきと雰囲気が変わった事がわかる。
今、彼女は原初の衝動によって心の憶測に閉じ込めていた生存本能に動かされて、自分の身を守るためにこの状況で殺人を厭わない覚悟を決めた。自分の身を守るために人を殺せる目つきに変わる。
「いいねぇ。」
僕は人殺しができる人間になっている景ちゃんの演技を素直に賞賛した。確かにこれなら自分が生きるために他人を殺さなければいけないという究極の選択において、流れが自然で見ている人の共感も得られやすいだろう。 この劇は景ちゃんを中心に回っている。 ただし、周りは景ちゃんについてこられるかな?
「なんでこんなめちゃくちゃできんねん! 皆必死やのに! 真剣なのに! 人の気持ちが分からんのなら役者なんて辞めてまえ!!」
突然、湯島茜さんがプッツンして景ちゃんに覆いかぶさって、彼女の首を締めながら景ちゃんを責め始める。
まぁ、彼女にとってはみんながオーディションに受かるための必死のお芝居をぶっ壊されたって感想なんだろう。力を発揮する前に自分の芝居をぶっ壊されて不本意なままオーディションに落選するのが耐えられなかったんだろうね。
僕も必死に人生を賭けた努力をして甲子園に出たのに、一人の身勝手な選手によって何の実力を発揮できずにボロ負けでもしたら同じ感想を抱くだろうし、殺意も沸くだろう。
でも最初のままの芝居を続けていた所で、平均点で結局落選だったけどね。その意味では、このチームのメンバーは景ちゃんと組めて非常に幸運だったね。
「あー終わっちゃった。」
町田リカさんが気の抜けた感想を言った。
「いや、これはこれでいいんじゃないかな? 僕はこの即興劇を十分に楽しめたよ。」
僕はみんなを賞賛してパチパチと拍手をした。
「すごく面白い劇だったよ。 最初は予定調和の胡散臭い立ち回りから始まったけど、最後は本当の殺し合いになった。 そして湯島茜さんは特に良かった。 湯島さん。 君は我を忘れて本気で景ちゃんを殺そうとしたよね。 自分の夢に立ちはだかる邪魔者を、夢を実現のために排除するのを厭わない。 殺人は禁忌でいけないことだ。 でもその殺人をしない理由は千差万別で、殺人に至る動機も千差万別だ。 自分の夢のために邪魔になる人を消す。 湯島さんはそれだけ自分の夢にかけているという事だし、その動機は僕もすごく共感できたよ。」
僕がそう言うと、湯島さんは真っ青になってガタガタと震えていた。 自分が我を忘れて本当に景ちゃんを殺そうとしていた事に気が付いたのだろう。
景ちゃんは絞められていた首を開放されて、ごほごほっと咳をしながら起き上がった。
「景ちゃん、のど大丈夫?」
「大丈夫です。」
僕は景ちゃんの状態を確認すると、手塚監督とアイコンタクトをした。
「まだ全員が終わっていないから結果を伝えることはできないけれども、このチームは現時点ではかなりの好成績だったって事は伝えておくよ。それでは後が詰まっているので、次の人達に譲ってもらえるかな?」
この後に景ちゃんと他の参加者にしこりが残らないように僕はフォローを入れた。
湯島さんは景ちゃんに支えられて退出して行った。湯島さんは焦点の当たらない目で景ちゃんにしきりにごめんなさいって呟いている。
まぁ、今回は景ちゃんが周りの力量を考えずに暴走しぎたね。湯島さんの言う通り、ちゃんと周りの俳優がどうしたいのか意図を考えてあげるべきだったね。
ただ、周りに合わせるだけだったら、僕はこのチーム全員を落選の方向で審査したけどね。その意味ではあそこからひっくり返した景ちゃんの演技は数少ない勝ち筋で結果オーライだった訳だ。景ちゃん一人が突出して全然スマートな劇じゃなかったけどね。
景ちゃんはこれまでは、僕達のように ある程度良く知っている人か、力量の高いベテラン俳優などとしか演技をしたことが無かった。
これは王賀美兄さんと同じように、力量差がある子と演技させてその子を潰さないようにというアリサママの配慮で、王賀美兄さんの場合には過去に自分の力量を抑えることができなくて、不満が爆発してスターズを抜けたので、その過去の経験を元に景ちゃんには元から極端に力量差が出る役をさせなかった。 だから彼女は僕らや阿良也達、いちごちゃんなどを除いて同年代と共演する事はほとんど無い。
今回の演技はそんな景ちゃんが初めてやる初対面の同年代の人達との演技だったからこう言う事もあるだろう。 まぁ、こう言った場の経験が無い景ちゃんに抑えろというのも無理だし、周りの人も景ちゃんの力量に合わせられるとも思えない。 その意味ではかなり良く演じていて、それぞれの参加者にとって得るものが大きい劇だっただろう。
こうやって、景ちゃんに自然と他の出演者に合わせた演技を学ばせるのが、スタジオ大黒天に移籍させたアリサママの目的か。こうして景ちゃんをパワーアップさせていくんだな。
んっ?・・・・・今恐ろしい事に気が付いてしまった。
そもそもスターズであれば、持ち前の営業力でオーディションをしないでも役を取って来れる。でもこれは景ちゃんのためにならない。今回のような経験をいっぱいさせるために、スタジオ大黒天に移籍させた。
こう言う認識だったんだけど、実は裏があるかも。
こう言ったオーディションなどの場で今回のような騒ぎを起こしたら、スターズに在籍したままだと当然スターズの評判が落ちる。 でもスタジオ大黒天であればそれは大黒天の責任で、そんな騒ぎはスターズの方には降って来ない。 その上で、今回のオーディションのように何かこじれたらスターズが仲介してその場を収める事で、双方から感謝される。 事の発端は景ちゃんに経験を積ませるためにスターズから移籍させたせいなのに、スターズは景ちゃんが元々在籍していた事務所という理由で助け舟を出して、義理堅い事務所として評判を上げられるのだ。
完全にマッチポンプじゃないか! うわぁ、墨字さんもお気の毒に・・・。そしてアリサママ怖っ。流石はサイコパスのボス天使!
僕はホラー展開になった思考を追い出して、残りの組の演技審査に集中するのであった。
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湯島茜は夜凪景と殺し合いを演ずる
デスアイランドのオーディションにうちは賭けていた。
夢やった女優を目指すために高校を中退したうちは、居酒屋でアルバイトをして女優を目指して活動しとった。
特に千世子ちゃんの口から、デスアイランドで12人分の外部メンバーによる公開オーディションが発表されてから、うちはオーディションに受かるための努力が生活の中心やったんや。
うちが所属しとるオフィス華野の先輩や事務所の人にオーディションに受かる方法や練習方法を聞いて、事務所におる間は実際にレッスン、一人の時間もずっとその練習に充てとった。 正味、アルバイトとの二重生活はほんまにきつかったけれども、このオーディションを目標に人生を賭けてやれる事は全部やった。
そして、オーディション当日、まずは悲しみの演技。審査室に入った時に星アキラが居たのはびっくりしたけれども、すぐに切り替えて私の悲しみの演技を行う。
アキラ君からは、「湯島茜さん、もっとこらえるような悲しみの表現できるかな?」って聞かれて、自分なりに「こんな感じですか?」と演じた所、「いいね。関西人らしい少しオーバーだけど義理堅い性格が演技にも出ていてすごくいいよ。」と褒めてもらった。 別にエントリーシートにも関西出身って書かんかったし、何も喋っとれへんのに何でうちが関西人やって分かったんやろ? と疑問に思いつつも、審査は好感触で無事に個人演技の審査を通過して、グループ演技に進んだ。
その後のグループ演技では、あの夜凪景と一緒のグループになった。 何で!?と思ったけれども、事情を聞いてみて驚いた。スターズの12人のキャストに景ちゃんがおらんのが疑問やったけれども、修行のために別の事務所に移籍しとったなんてびっくりやった。 景ちゃんでもオーディションに落ちるんやろか? それとも最初から合格が決まっていて実は最初から枠が11人分しか無いんやろか? この辺は考えても無駄なのでうちは自分の演技に集中する事にした。 景ちゃんに引っ張り上げてもろてオーディションに受かる道もあるはずだから。
・・・なんて、控室で気軽に考えとった自分をどついてやりたかった。
オーディションのスタジオに入ると、無人島が用意されていてそこで、制限時間5分以内に四人が殺し合いを始める演技をするっちゅう無茶ぶりな課題が出された。 ほんで打ち合わせも出来んとすぐにオーディション開始。景ちゃんを除いたうちらは5分っちゅう限られた時間を十分に活かすべく、起きてすぐに口論を始めた。
そうして、なんとか口論から殺し合いに持って行けそうだと目途が立った所で、景ちゃんが遅まきながら起き上がってセリフを言った。
「みんな? 何を言っているの? 奥に人里があるかもしれないのに。」
「歩いてもいないのにどうしてここが無人島だって知っているの?」
「勝手に決めつけて喧嘩して、あなた達どうしたの?」
うちは景ちゃんの芝居に頭が真っ白になってもうた。 今冷静に振り返ってみれば景ちゃんの言う事は正しかったし、稚拙に運びすぎたうちらの芝居では合格なんてありえんかったやろう。 景ちゃんは完全に無人島に流れ着いた人間として演技をしていて、殺し合いっちゅう結論ありきの演技で、無人島に流れ着いた瞬間に口論を始めたうちらの芝居の不自然さを根本からぶった切った。
ほんで怯えた景ちゃんはセットの奥に逃げて、追い詰められて、景ちゃんを罠に嵌めようとしたうちらと戦う決意をした。
後で考えてみれば見事な機転と演技やった。 せやけどその時のうちは3人でなんとか殺し合いに持って行けた劇を壊す景ちゃんを猛烈に拒絶した。
頭の中をよぎったのは、これまでの努力の日々と、啖呵を切って高校を中退して関東に出て来てからのバイトと事務所のレッスン、ほんでお金に困るしんどい日々。 せやけどうちは挫けんと夢に向かって努力し続けた。 なんとしてもこのオーディションに受かって、両親を安心させたい。 デスアイランドに出演して自分が夢を追う道は正しいって自分の力で証明したい!
せやけど自分の力を証明する前に、景ちゃんの演技によってうちらのハリボテの演技はぺしゃんこに潰されて、塵になりよった。
例えハリボテでも、一生懸命やったのに! 人生をかけた演技やのにどうして景ちゃんはうちらを否定するの! 景ちゃんはどうせ合格するからうちらの芝居なんてどうなってもええの?
景ちゃんにこれまでの演技を全否定されたうちは、自分の選択や自分の人生みなを否定された気分になって、目の前が真っ赤になった。
「なんでこんなめちゃくちゃできんねん! 皆必死やのに! 真剣やのに! 人の気持ちが分からんのなら役者なんて辞めてまえ!!」
うちは気が付いたら、みんなのお芝居をぶっ壊して演技なんかやのうて、首を絞めてほんまに景ちゃんを殺そうとしとった。
そんな怒りと殺意に囚われとったうちの耳に場違いな拍手の音が聞こえる。
うちははっと我に返った。 拍手をしとったのは星アキラやった。ほんで星アキラはうちの心の内をほんまに正確に代弁した。
「すごく面白い劇だったよ。 最初は予定調和の胡散臭い立ち回りから始まったけど、最後は本当の殺し合いになった。 そして特に湯島茜さんは良かった。 湯島さん。 君は我を忘れて本気で景ちゃんを殺そうとしたよね。 自分の夢に立ちはだかる邪魔者を自分の夢を実現するためには排除するのを厭わない。 殺人は禁忌でいけないことだ。 でもその殺人をしない理由は千差万別で、殺人に至る動機も千差万別だ。 自分の夢のために邪魔になる人を消す。 湯島さんはそれだけ自分の夢にかけているという事だし、その動機は僕もすごく共感できたよ。」
そのセリフを聞いた瞬間にうちは、星アキラに心臓を掴まれたような衝撃を受けた。うちはこの手で景ちゃんを殺そうとしとった。 お芝居ではなく本気で景ちゃんを。
その事に気が付いた瞬間にうちは猛烈な悪寒と冷や汗が全身から流れ出た。
うちは、ほんまに人を殺そうとしとったんや・・・・。
自分の夢のために他人を殺すと言う禁忌を犯せる自分自身に猛烈な嫌悪が湧いて来た。うちは女優になる夢が一番大切やった。せやけど人殺してまで女優になりたい訳やあれへん。でもほんまのうちはその女優の夢のためなら、人を殺せる人間やった。
自分自身に対する猛烈な人間不信によってうちは吐き気がして、オーディションのスタジオを出たら、すぐに近くにあったゴミ箱に吐いてしもうた。
そしてうちはうわごとのように景ちゃんに謝った。 涙を流しながら子供のように景ちゃんに謝った。こないな事をしても許されへんのかもしれへん。うちは本気で景ちゃんを殺そうとしたんや。
「ごめんなさいっ。景ちゃん、ごめんなさいっ。 殺そうとしてごめんなさいっ。 全部うちが悪いんや。 ごめんなさいっ。」
ぜったい許されへんやろうけど、うちは駄々っ子のように景ちゃんに謝り続けた。
せやけど景ちゃんは逆に涙を流して謝った。
「違うの。全部私が悪いの。 茜さんやみんなの事なんて考えないで、お芝居しちゃったからっ。 こんなに傷つけてごめんなさいっ!!」
もういろんな感情がごっちゃまぜになって、控室までの廊下で景ちゃんとうちは抱き合って、長時間ワンワンと泣いとった。
しばらく二人で抱き合って泣いていたら、だいぶ普通に考えられるようになってきた。
「本当にごめんね景ちゃん。」
私は最後に謝ると、景ちゃんは
「そんな事無いです。本気で殺される体験ができてすごく嬉しかったですっ。こんな経験は普通ではできないからすごく良かったです。」
「根っからの役者やね。景ちゃんは。」
うちは、景ちゃんの役者魂に呆れた。 ほんでうちらは友達になった。
その後しばらくして、うちのアパートにデスアイランドのオーディション合格通知が届いた。
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湯島茜は星アキラと百城千世子の即興劇を見る
あの後にグループになったみんなと色々おしゃべりをしとると、全員のグループの審査が終わってオーディションが終了する事になった。
ボロボロの劇やったけれども、結果的にアキラ君から好成績だと伝えられとった事から、おしゃべりしとるみんなの雰囲気もそう悪くはあれへんかった。
最後に終了の挨拶っちゅう事で、またあの無人島のセットのスタジオに入ると、審査員や事務所のメンバーの他に星アリサと千世子ちゃんがおった。
千世子ちゃんから挨拶があった。
「皆様、オーディションへのご参加ありがとうございました。 発表は後日ですがこの中に居る人と一緒にデスアイランドを撮影できるのがとても楽しみです。アキラちゃんも審査員ありがとうね。」
「もちろんだよ。千世子ちゃんとアリサママが撮影で居なかったから僕はがんばったよ。」
「置物よりも大分マシな働きはしたようね。まぁ、今回のオーディションで落ちた人は適当に審査したアキラを恨むといいわ。」
「アリサママ酷いよっ。僕はオーディションに参加するみんなのためにいろいろがんばったのにっ!」
星アリサと星アキラの漫才によってスタジオの中が緩やかな笑いに包まれる。 ほんまに普段からYoutubeでアキラ君が言うとる事をアリサさんは言うんだ。 てっきりアキラ君の作り話かと思とった。
「ちょうどいいわね。セットもあるし、目が節穴のアキラに審査されるだけじゃオーディションに参加していただいた皆様もつまらないでしょう。 アキラ、千世子、二人でオーディションの演目をやってみなさい。」
「え゛っ、アリサママ、そんなの聞いていないんだけどっ。 いきなりみんなと同じ題目の即興劇なんて僕のメッキが剥がれて星アキラなんて大したものじゃない事がバレちゃうじゃないか! せっかく実力派俳優だってみんなを騙せているのに!!」
「面白そうね。 アキラちゃん、どんなお題の即興劇だったの?」
「無人島に流れ着いて、制限時間5分以内に殺し合いを始める演技をするってお題だよ。」
「うん。問題なさそうね。 じゃ、やりましょうか。」
千世子ちゃんがそう言うと、すたすたと砂浜に歩いて行ってしまった。
「あっ、千世子ちゃん! まずいこのままでは、僕が勘違い系の主人公でみんなに誤解されて、一般人なのにすごい俳優だって持ち上げられているだけな事がバレてしまう!」
アキラ君はそう言うと、入り口にオーディションの時から用意されとった箱に近寄って、中から何か取り出すと、明らかにいやいやな感じで砂浜に行って、全くやる気が感じられへん感じで、ぐで~と倒れ込んだ。
アキラ君の嫌々な行動とか、コミカルな倒れ方でうちは笑ってもた。
「そんじゃーはじめるねーーー。」
アキラ君がそんな風に気の抜けた発言をして、さらに場の空気が緩みかけた瞬間に、ドライアイスでも投げつけられたみたいに部屋の空気が変わった。
なんていうか、場の空気が急にお化けが出るような感じで冷たくシリアスになった感じで、とたんにすごい緊張感を感じる。えっ?なんで? 二人とも倒れとるだけやのに。 見とるオーディション参加者も突然の雰囲気の落差に困惑したようでざわっとざわめきが起きる。
ほんでアキラ君はおもむろに起き上がると、真剣に千世子ちゃんを起こし始める。
「千世子ちゃん、千世子ちゃん、大丈夫? 起きて千世子ちゃん!」
さっきまでのアキラ君と全然ちゃう。 瞬間的に部屋の温度が20度ぐらい落ちたように感じた。 コメディーと感じるような緩んだ雰囲気から突然めっちゃシリアスな雰囲気の落差に放り込まれて、うちはいきなり混乱した。
「あっ、アキラちゃん、どうしたの?」
千世子ちゃんがゆっくりと目を覚ます。
「覚えていないの?一緒に乗っていた飛行機が海に墜落したんだよ。 それで海流に巻き込まれて、なんか島に流れ着いたみたいなんだ。」
「そうなの? なんか、飛行機の中で眠くてずっと寝てたから墜落って言われても、全然覚えていないわ。」
「助かったのが僕達だけなのかはわからないけれども、とりあえず千世子ちゃんが無事でよかったよ。」
アキラ君がそういうと、千世子ちゃんはおもむろにあたりを見渡して起き上がる。
「なんか、綺麗な島ね。 私はそんなに外に出歩けなかったから、こんな風に自由にできて嬉しい。私が無人島で自由に暮らすのを憧れていたのは知っているよね。夢が叶ったみたい!!」
「なに呑気な事を言っているんだい? 生きて帰れるのかわからないのに。」
千世子ちゃんは森の方に向いて歩いて行く。ほんでちょっと歩くと、振り向いてアキラ君に言うた。
「でもアキラちゃんは私を生きて返す気は無いんでしょう?」
「なんだ気付いていたのか。」
そう言うと、アキラ君は手をピストル型にして千世子ちゃんの頭に向けると、パンッって乾いた拳銃の大きな音がスタジオに鳴り響いて、千世子ちゃんは目を開けたまま、事切れたように無機質に砂浜に倒れた。
一目でわかる。百城千世子は頭を銃で撃たれて即死した。
ピストルの発砲音や情景があまりにもリアルすぎて、ほんまに星アキラが百城千世子を銃で撃ち殺したみたいで、オーディション参加者の何人かから悲鳴が上がり、みんなはさらにざわついた。
私も頭が混乱して緊張のあまり、体が震えて星アキラから目が離せなくなった。 アキラ君はすごい殺気を発しとった。 次はうちにあのピストルを向けられるかもしれへん。 自分も生命の危機を感じるぐらい星アキラの芝居はヤバかった。
全員の視線が星アキラ一人に集中する。
ほんでアキラ君は殺気を引っ込めるとそのままの表情でゆっくりと涙を流して、悲しみに満ちた表情で言うねん。
「千世子ちゃん、ごめん。 でも君が18歳を迎えると天使の因子が目覚めてしまうんだ。 僕は君のことを愛していたけれども、君を人類の敵として目覚めさせる訳にはいかないんだ。 許してくれとは言わない。 僕を恨んでくれてかまわない。」
そうして、ゆっくりと死んだ千世子ちゃんの方を振り返る。
「千世子ちゃん!?」
うちらもアキラ君に合わせていっせいに千世子ちゃんの方を見ると千世子ちゃんの死体があれへんかった。全員が星アキラに注目させられとるうちに、百城千世子の死体がのうなっとった。
驚いて焦る星アキラは反対側を見渡そうと動いた瞬間に物陰から千世子ちゃんがアキラ君を押し倒す。
目がランランでガンギマリした千世子ちゃんがアキラ君の首に噛みつく。
「ぎゃあっぁぁぁ、これは天使化している。 18歳を迎える前なのにどうして!!」
そう言いながら、千世子ちゃんはアキラ君を貪り喰い始める。
「千世子ちゃん、すまなかった、許してくれっ、うがぁぁっぁぁぁああああああああああっ!!!」
この世が終わるような苦悶の悲鳴を上げながら、星アキラが苦しみぬいて、血が飛び散る!
周りの女性参加者はうちと同じく、ガタガタと震えとる。 男性の参加者も口元を抑えて震えながら二人を見とる。
ぐちゃぐちゃと、千世子ちゃんがアキラ君の内臓を貪り喰う音がスタジオに響き渡る。 アキラ君は段々と動きが緩やかになっていて、最後は手がだらんと倒れて死んだみたいや。
ほんで、千世子ちゃんがこちらに目を向けて、おもむろに口を開く。
「アキラちゃん、あなただけは信じていたのに。 でも大丈夫。 アキラちゃんの体は私の血肉になって、魂も私に囚われてずっと生き続けるんだから。」
千世子ちゃんは下を向いたまま、独り言を言うとゆっくりと顔を上げて、うちらを見つめてきた。
うちに目があったみたいで、うちは緊張で硬直する。
百城千世子の口元は星アキラの血で赤く染まり、微笑みながらゆっくりと顔を上げて美しい表情を見せる。ほんでうちとバッチリ目が合ってしまう。
血で顔が汚れとるにもかかわらず、この世の物とは思えへんぐらい美しかった。 いや、ほんまにこの世の物では無いのかもしれへん。 もしかして星アキラが喰われたのも現実で、実はほんまに天使なのかもしれへん。
これはお芝居ではなく現実!? うちはその可能性に気が付いて悲鳴を上げそうになる。
百城千世子は、そんな私を見つめてにやりと笑う。百城千世子と目が合ってしもうた。次に殺されるのはうちとちゃうん!? うちは芝居であることを忘れて、生存本能が刺激されて、おっきな悲鳴を上げる。
「きゃああああああああああぁぁ!!!!」
「うわぁぁぁっぁぁああああああああああ!!!!」
いっせいに見とるオーディション参加者の男女を問わんとほぼ全員が悲鳴を上げる。スタジオがパニックになりかけた所で、ポクポクポク 、チーンと。場違いなギャグのオチとも思えるような木魚とリンの音がスタジオに響き渡る。
「いや、流石に千世子ちゃんにモグモグ美味しく食べられて人生を終えたくないよ。なんで僕が千世子ちゃんのご飯になっているのさ!」
死んだはずのアキラ君がむくっと起き上がって、千世子ちゃんにいちゃもんをつける。
「アキラちゃんの声帯模写って本当に便利よね。効果音いらずだわ。自分で自分の内臓を食べられる音を出すとか面白いわ。」
「それにアキラちゃん、最近成長しているしお肉が美味しそうかな?って思って。そもそも何よ?天使化って。私は致命傷を避けてアキラちゃんが注意を逸らしているうちに女手一つで襲い掛かって一矢を報いようとしたら、なんでそんな化け物設定にされているのよ! 酷すぎるわよ!」
「いや、千世子ちゃんは天使って言われているから、とりあえず天使万能論でなんとかなるかな?って僕は思ったんだよ。」
「設定がひどすぎるわ。 人を食べる天使なんて芸能活動できる訳ないでしょ!!」
「それなら、僕をもぐもぐタイムしなくても良かったじゃん。この設定を振られた時に、実は美味しいかもって思ったくせに。」
「美味しいと思ったのは否定しないけど、さすがにこの展開はびっくりしたわ。 血糊まで用意して。 よく血糊なんて持っていたわね。」
「実はオーディション参加者用として入口に最初から用意されていたんだよ。誰も使わなかったけど、必要なら持って行って使って良かったんだ。」
「なるほど。殺し合いをするまでじゃなくて、ちゃんと殺される所までが審査内容だったんだ。」
「そこについてはノーコメントで。アリサママ? こんな感じでいい?」
「まぁ、撮影向きの演技じゃなかったけど、臨場感があって見世物としては良かったわね。いきなり千世子を殺すのは意外性があって良かったわ。みんな完全に虚を突かれたもの。その後に視線誘導させて千世子から全員の注目を外して千世子を自由に動ける体制にしたのも良かったわ。 でも千世子を殺す理由がご都合主義でリアリティが無いから、5分の即興劇でももう少し考えて作り込みなさい。」
「はーい。」
「千世子もアキラに合わせて動けて良かったわ。特にいきなりアキラが千世子を撃ち殺した所は意図を汲んで即死したのは良かったわね。アキラが視線誘導をさせて注目を集めている隙に死角から襲い掛かるのも良かったけれども、その後に、襲い掛かってアキラを貪り喰う芝居は綺麗だったけど、イマイチね。 愛している人を食べて血肉とする事で倒錯した感情と美しさを出したかったんでしょうけど、単純にお肉を美味しく食べる天使にしか見えなかったわ。もう少しアキラとの繋がりや心の葛藤を表現できるように研究しなさい。」
「アリサさん、ありがとうございます。」
アリサさんは容赦なくダメ出しをしていく。 信じられへん。 うちが現実かもって錯覚したこのとんでも無いレベルのお芝居でもアリサさんには及第点レベルなん!? どれだけレベルが高いんよ!
「うわぁ、服が僕の血で真っ赤っかだよ。このまま街を歩いていると、お巡りさんに捕まっちゃうかも。すぐに水洗いしてクリーニングに出さないと。」
アキラ君は、そう言うてズボンからウェットテッシュを取り出すと、千世子ちゃんの顔の血糊を拭いてあげてた。
うちは二人の演技で腰が抜けて動けんくなっとった。目の前で繰り広げられた殺し合いが劇では無くて現実だって完全に錯覚しとった。これが二人とも全く示し合わせていない即興劇なんて今でも信じられへん。
景ちゃんは横で「やっぱりアキラさんと千世子ちゃんの劇は面白いですっ。私もアキラさんの生き血を啜ってみんなを脅かせる役をやってみたいですっ。」とかキラキラと目を輝かせながら言うとる。
レベルが違いすぎるあの芝居を見て、自分でもできると思っとん!? この娘もどれだけハイスペックなん!?
うちはその時に気が付いてしもた。 景ちゃんが、今見たアキラ君や千世子ちゃんと同じレベルの役者やったとしたら? 二人からは景ちゃんは天才と言われとる。 少なくとも景ちゃんはアキラ君や千世子ちゃんと一緒に演技をして浮いとった事なんて見た事あれへん。
アキラ君と千世子ちゃんの芝居が本当のプロのレベルだとすると、私達の芝居はただの学校でやるクラスの出し物レベルだった。
景ちゃんがぶち壊したと思とったオーディションのお芝居、せやけど実はうちらの芝居を壊されたんやのうて、うちらが景ちゃんの芝居をぶち壊しとったとしたら? うちらが景ちゃんの演技を助演しきれて無かったとしたら? うちらのレベルが景ちゃんよりもはるかに低いとしたら?
あのオーディションの場に景ちゃんと共におったのがうちらやのうて、星アキラか百城千世子なら全く違った展開になったのかもしれへん。
うちはアリサさんがここでアキラ君と千世子ちゃんの芝居を見せた理由が分かった。 オーディションに落ちた人は自分とは役者のレベルがちゃうんやなって納得できると思うし、オーディションに受かった人は、受かっただけで浮かれた気になっとると、本番の撮影でこのクラスの役者が出て来て、簡単に演技を喰われるから、それが嫌ならちゃんと準備をしておけと言うことやろう。
オーディションが終わって、スターズのビルから出る時に、オーディションの参加者たちはみんな無言やった。 みんな大なり小なり星アキラと百城千世子の芝居にショックを受けとるようや。
本番でこのレベルの差に気が付いたら、うちも立ち直れへんかったかもしれん。
これが、ハリウッドの監督から名指しで出演を要請される役者と、うちのような成りたてのヒヨコ役者の差か。 うちは自分の演技とアキラ君達の演技の差にうつむきながら自分のアパートに戻った。
翌日からうちは、これまで以上に演技の練習に打ち込んだ。 オーディションの合格通知が来た後にはキチガイ染みたぐらいにひたすら演技のレベルアップに励んだ。
そうして、あっと言う間に時間が過ぎて、デスアイランドの撮影が始まる事になったんや。
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星アキラ達はデスアイランドを撮影を見る1
デスアイランドの撮影がクランクインする事になった。
今回の撮影は伊豆の下田で行われるので、僕達もそこまで移動しての撮影開始だね。今はチャーターしたマイクロバスでの移動中だよ。
デスアイランドのストーリーはこんな感じ。
修学旅行中の25人を乗せた飛行機が嵐に遭って海に墜落。無人島の浜辺で目を覚ました12人の生徒達はスマフォを持っており、そこにインストールされたアプリ「デスアイランド」にて奇妙な指令を受けてデスゲームに発展するって言うストーリーだね。
映画の本編は飛行機墜落後に助かったオーディション組12人とスターズ組12人が森林の中に存在する、奇妙な校舎の前で出くわす所から始まるね。
ちなみに僕は友情出演で、最初の飛行機墜落時にみんなのために身を挺して出口を空けてそのまま力尽きるという役なので、出オチで終わりだね。なので、合計24人(1人死亡)から始まる物語だね。
最初の撮影の後はアリサママの代わりに撮影中にぶらぶらして、出演者のケアや監督やスタッフ達とのアドバイス、なんかトラブルが起きた場合の対処なんかの裏方をやる感じだね。
後はデスアイランド放送前スペシャル番組のナビゲーターなんかをやったりするね。
そんな訳で、俳優さん達が準備している間に、僕は手持無沙汰になったので、暇そうなカメラマンや音声さん、そして応援をお願いした雪ねぇちゃんを誘って、僕は浜辺でジャックスパロウのコスプレをしてヴァイオリンを持って、Youtube動画用の「パイレーツオブカリビアンの彼こそが海賊を弾いてみた」を収録していた。
こういうお遊びは、最初の余裕があるうちにやらないと、後になればなるほど撮影が押してみんなの余裕がなくなるからね。
流石はプロの映画スタッフと雪ねぇちゃん。 撮影はテキパキとあっと言う間に終わった。 最近は雪ねぇちゃんもカメラアングルや音声位置のセッティングなどをプロの人にも物おじせずに意見を言うようになった。 急速に腕を上げているから、現時点でも撮影監督としてやっていける力量があるんじゃないのかな?
そんな雪ねぇちゃんは、最近はプロの撮影スタッフに子供のように可愛がられたりしている。 映画監督柊雪の誕生も近いかもしれない。
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最初の撮影は校舎の前でスターズ組とオーディション組の合計24人が鉢合わせて感動の再会をするシーンからだ。
全員が一堂に集うので、24人分の俳優の衣服や髪型、化粧を整えるスタイリストさんなどは大わらわで準備にもう少し時間がかかりそうだ。
僕の撮影を終えると、丁度良い時間になって撮影チームに合流。 監督、カメラマンや撮影スタッフ達との現場のミーティング、映画監督の手塚監督が演出などを俳優などに説明し、撮影監督さんがカメラのセッティングを指示して、複数のカメラや音声さん、照明さんが撮影の舞台を整えていく。
今回の撮影は、24人全員の撮影だけれどもメインは千世子ちゃんと湯島茜さんだ。
ようやく全員の準備が整い、撮影開始。 大人数の撮影は準備に時間がかかるね。
「デスアイランド」のアプリの指令に従っていたオーディション組12人とスターズ組12人が校舎の前で再会。
「良かった。皆生きていたんだね。」
千世子ちゃんは、自然に涙を流しながら感動の再会を演出する。
これで千世子ちゃんはみんなの事を心配する優しい女の子だって、視聴者にはすぐにわかる。
「大丈夫、みんな怪我はしていない?」
「うっ、うんっ。私は大丈夫。皆は?」
湯島さんの声が緊張からか、ちょっとどもる。
「私達も大丈夫! みんなでがんばれば、きっとこの島から脱出できるよ!」
それを感じた千世子ちゃんはぱっと後ろから撮っているメインカメラに振り返り、自分自身に注目させながら湯島さんの演技をフォローする。
咄嗟に振り返って背後の人物と話す演出を加える事で、湯島さんをフォローした形になって、このカットもOKとなった。
カメラの位置や画角、監督の撮影スタイルまでも全て考慮に入れて俯瞰視点で演技する千世子ちゃんならではのフォローだろう。
こう言ったフォローでボーダーすれすれのシーンも彼女の機転によって確実にOKに引き上げられる。だから千世子ちゃんはいろんな映画監督から好まれているし、千世子ちゃんの撮影はスムーズでいつも終わるのが早い。
日本映画やドラマにそんなに多くの予算をかけられない昨今、千世子ちゃんの起用は現場レベルでもとても好まれているし、自分の行動がどうカメラに写るのかを知り尽くして、瞬時に計算して条件反射的にアドリブを入れられる千世子ちゃんの才能はものすごいと思う。だからこそ、百城千世子は世間での人気女優という評価以上に、現場では実力派俳優として認められていた。
でもこれは同時に、NGを出して同じシーンを撮りなおすのを嫌う千世子ちゃんの悪癖と言ってもいい。
僕だったら、このシーンはNGを出して撮りなおさせる。アドリブ演出を入れてまでOKにするメリットがあるシーンとは思えないからだ。 リテイクして2回目を撮れば、湯島さんもちゃんとセリフを言えていただろう。 そうすれば2回目は問題なくシーンを撮り終えていたはずだ。 いくら主役だからって無理にカメラに映る必要は無いし、こういったフォローのせいで千世子ちゃんの印象が必要以上に強くなってしまう。
撮影の歩留まりがいいのはうれしいけれども、全てを千世子ちゃんに任せていれば、いつもの千世子ちゃんクオリティー以上の映画にはならない。 さて、手塚由紀治監督は今回どういう映画を撮るつもりなのかな?
鍵を握るのはやっぱり景ちゃんなのかな。 背景のモブ役としては、やたらと存在感がある景ちゃんを見ながら、僕は考えていた。
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星アキラ達はデスアイランドを撮影を見る2
さて、翌日になって景ちゃんの撮影シーンになった。
景ちゃんの最初の撮影シーンは、友達を殺された事に逆上した和歌月千が堂上竜吾を切り殺し、それを見てみんな逃げてって景ちゃんが叫ぶ役だ。
うん。文章で説明しても大したことがないシーンだ。メインは和歌月さんが堂上君の殺害する部分。景ちゃんはそれを見て青くなって、逆上した和歌月千からみんなに逃げってって一瞬カメラに映るだけ。
でもこのシーンが景ちゃんが初めてクローズアップされて撮影されるシーンでもある。
景ちゃんの今回の役は、原作にも登場しないオリジナルキャラクター。 でもそれだけに自由に動けるキャラクターでもある。
スターズを出て貧乏芸能事務所(←失礼)でハングリー精神に溢れた景ちゃんは、絶対にこのシーンに何かをぶっこんでくる。
あのアリサママ直々に指導を受けた景ちゃんがモブのまま終わるとは思えない。
撮影場所の教室に入ると、ちょうど和歌月千が堂上竜吾を叩き切るシーンだった。
二人はスターズ所属の俳優で特に和歌月さんは半年前の新人オーディションで受かったばかりで張り切っているようだった。
「リンが死ぬぐらいならお前が死ねばよかったのに!」
「うわーーーーーっ」
「なーんて。」
和歌月さんがそう言って日本刀を振ると、堂上君はやる気のない感じでふにゃーんと倒れた。
「ちょっと真面目にやってください。竜吾さん!」
「どうせ切られるところは次のカットでやるんだからいいじゃん。」
和歌月さんに堂上君が切られるシーンなのに、まじめにやらない堂上君に和歌月さんは怒っている。
「やっているね。」
「アキラさん! アキラさんからも言ってください。映っていない部分でもまじめにやれって。」
「まぁ、それは役者としての役の考え方だからね。カメラに映る部分しか気にしない俳優もいる。ただ、この場合には堂上君も悪いけど、和歌月さんもいけないかな?」
「私がですか? 私が間違っているでしょうか?」
「言っていることは間違っていないな。でも演技は間違っているかもしれない。次が景ちゃんのシーンだから、そこにその答えがあるかもしれない。」
僕はそう言うと撮影カメラの死角に回り込んだ。
「アキラ君何を持っているの?」
撮影を手伝っていた雪ねぇちゃんが僕に聞いてきた。
「ちゃら♪ちゃら♪ちゃらちゃら♪」
「業務用ハンディカメラ!!」
「ちゃっちゃちゃーーーーん♪」
僕はドラえもんの秘密道具の効果音を声帯模写しながら雪ねぇちゃんに見せびらかす。
「なんで、ドラえもんの秘密道具紹介みたいな流れなのに、悟空の声なのよ!」
思わず突っ込みを入れる雪ねぇちゃん。
「二代目のドラえもんの声はドラゴンボールで悟空の声を演じた野沢雅子さんなんだよ。三代目があの有名な大山のぶ代さんで、四代目が水田わさびさんだね。」
僕は、おおよそ生きていく上で全く役に立たない無駄知識を雪ねぇちゃんに披露してどや顔をする。
「はぁ。わかったわ。それで何をしているの?」
「ちょうど良かったよ。雪ねぇちゃん、この角度で景ちゃんを撮ってくれる? 面白い画が撮れると思うんだ。」
「いいけど、普通に2台カメラが景ちゃんを捉えているから、景ちゃんが目線を外して意識の外にあるこの位置では、そんなにいい画が撮れないと思うんだけど・・・。」
そう言いながら、雪ねぇちゃんはテキパキとハンディカメラをセットして景ちゃんを映してくれる。撮影現場でいろいろな機材を扱っている雪ねぇちゃんは、ハンディカメラの撮影なんてお手の物だ。
そうして、撮影が始まる。
「あんた達もこいつとグルなんじゃないの?」
堂上君を切り殺した和歌月さんが景ちゃん達に叫ぶ。
「こっ、来ないでっ!!!」
湯島茜さんが叫び、そして景ちゃんのシーン。
彼女の目には本当に和歌月さんが堂上君を切り殺して、そこかしこに血が飛び散っている場面が見えているはずだ。
「ひっ・・・。みんな・・・・逃げて!!!」
真っ青になった景ちゃんは口元を抑えて、みんなを救うための義務感から、意思に反して動けない体をなんとか動かして、強引に絞り出すような声でみんなに言う。すばらしい迫真の演技だ。
そしていったん体を引いて、カメラの画角から外れると、盛大に・・・・・・ゲロゲロと・・・・吐いた。
「ゲロゲロゲロ~。」
「カット!!」
「うわぁ。撮影前に景ちゃんがお昼で食べていた物が全部出ちゃっているよ。 確かにリアルだけど、やりすぎじゃないかな?」
「景ちゃんにバケツと水早く! ああ、それから、多分使うからゲロはそのままにしておいてね。」
「アキラ君、こんな画が撮れるってわかっていたの?」
「さすがにわかっていないよ。 千世子ちゃんに対抗するために、景ちゃんがメソッド演技をした上でカメラの視点を意識したテクニックを見せると思って、そのテクニックの全容を映して、後でみんなで楽しもうと思っていたのに、カメラを考慮したうえで演技のリアルさで強引にぶん殴ってきたのは想定外だよ。まさかゲロゲロしちゃうとかリアルすぎて僕もドン引きだよ。」
「景ちゃん、大丈夫、この後演技できる?」
「はい。大丈夫です。」
真っ青になりながら景ちゃんは返事をした。
「はーい。手塚監督! 提案があります!!」
「なんだね? アキラ君。」
僕は雪ねぇちゃんがハンディカメラで撮影した映像を手塚監督に見せながら提案する。
「僕のカメラで景ちゃんがゲロった所をバッチリ撮れたので、景ちゃんがゲロった後に、みんなで教室から逃げ出すシーンを足すのはどうでしょうか?」
「「「「「「!!!!!!!」」」」」」
スタッフや俳優全員が驚きながら僕を見つめる。
「アキラ君、そんな事を言ったって夜凪君は今吐いてしまって、演技どころじゃないんじゃないの?」
「景ちゃん」
「はい。」
「吐いてダウンしたままだと、この後に動けなくなって和歌月さんに殺されるだけなんだけど、そういうつもりで演技していたの?」
「いいえ。吐いた後に身を守るために逃げるつもりでした。」
水をもらって、バケツに向かってうがいをしている景ちゃんが言った。
「そうだよね。それなら、吐いた後に和歌月さんに追われて教室から逃げる演技できるよね?」
「はい。できます。」
「やりたい?」
「はい。やらせてください。」
「他のみんなはどうかな?」
「「「是非やらせてください。」」」
「そういう訳なんだけど、手塚監督どうでしょうか?」
「それなら撮影しようか。 ここからカメラを構えて、扉の前で吐いた状態からみんなそこの扉から逃げる演技をしてくれるかな。 和歌月君はそちらから教卓に回ってみんなを追う感じで。」
「はい。わかりました。よろしくお願いします。」
「それじゃシーン43-5スタート」
カチンとカチンコの音が鳴る。
景ちゃんは吐いた跡に戻って真っ青でグロッキーなまま、嘔吐物から顔を上げて、襲い掛かる和歌月さんを見て、生命の危機を覚えて湯島さん、木梨さんと共につまずきながら、懸命に教室のドアから逃げていく。
緊迫のいいシーンになりそうだね。
シーンを撮り終えると、景ちゃんはバッタリと床に倒れた。
「あっ、電池が切れたね。 それじゃ湯島さん、木梨さん、スタッフさんと一緒に保健室から担架を取ってきて、景ちゃんをホテルの部屋まで運んでくれるかな?」
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和歌月千視点
「景ちゃん、大丈夫なんでしょうか?」
私は景ちゃんが心配になってアキラさんに聞いた。
「大丈夫だよ。演技でこうなっちゃっただけだから、夕食時には回復しているんじゃないかな。 みんなは迫真の演技のためにゲロを吐いたっていう夜凪景伝説の目撃者になったんだ。 もしかしたら一生の話題にできるシーンに立ち会ったのかもしれないよ。」
私は、一番聞きたかった事を思い切ってアキラさんに聞いてみた。
「アキラさん、私がダメだった所って・・・。」
「まず、堂上君がダメだった所だけど、手を抜いても問題無いシーンで手を抜いた場合、想定されたシーンとクオリティでしか使われない。 さっきの景ちゃんのように監督の想像以上の演技をした場合、監督やスタッフはその演技を生かして追加のシーンやもっと出番が増える可能性がある。 監督も自分の作品をもっと良くしたいんだ。 自分の作品のクオリティを上げるために監督と言うのはすごく貪欲な物なんだよ。」
「でも堂上君は演技に手を抜いたせいでそのチャンスを自ら逃した。 監督の立場であれば、どんな簡単なシーンであっても手を抜くような役者にチャンスを与えたいとは思えないはずだ。 すくなくとも、少しでも映るシーンを増やして役者としての仕事を続けていきたいのであれば、堂上君の態度はいただけない。 でも彼も去年までは普通の高校生だったんだ。 そういう経験が無いのは仕方が無い。 そう言った面で彼はこれから良く学んでいく必要があるし、スターズとしてもそういう事をちゃんと教えてフォローしていく必要があるね。」
4歳から子役を始めて芸歴14年にも達するアキラさんの言葉には、ものすごい重みがあった。アキラさんが堂上さんよりも1歳年下なんて信じられない。
「では、私がダメだった所って・・・。」
「和歌月さんは、本気で堂上君を殺そうとした? もしくは堂上君が殺されるかもしれないって身に危険を感じさせるような演技をした?」
私の背筋に冷たい物が走った。
「和歌月さんが本気で堂上君を殺そうとしているのが堂上君に伝わっていれば、堂上君は手を抜くような芝居をしなかったはずだ。その意味で言えば、堂上君の本気を引き出せなかった和歌月さんも良く考えて見るべきだ。もちろん、和歌月さんは半年前にスターズに入ったばかりで、演技のテクニックもまだ未熟な事はわかっている。きつい言い方だけど、こういった事に気が付くのは早ければ早いほどいいから、心を鬼にして言わせてもらうよ。」
「すいません。そこまでの演技は出来ていませんでした。」
アキラさんは気配を柔らかくしてニッコリとしながら言った。
「謝る必要は無いよ。 厳しい事を言ってごめんね。 まだまだチャンスはあるんだから、これから頑張ればいいだけさ。」
「ありがとうございました!!!」
本当に私の事を思って厳しい指摘をしてくれたアキラさんに自然と感謝の言葉が出て、気が付いたら腰を90度にまげてアキラさんに向かって礼をしていた。
「そんじゃ、雪ねぇちゃん、今日の夜は景ちゃんのゲロ演技鑑賞会でもしようか。」
「珍しくいい事を言ってて、ちょっと見直しかけたのに、アキラ君マジサイテー。」
そんな事を言いながら、アキラさんと柊さんは景ちゃんの嘔吐物の処理を手伝った後に、撮影場所の教室を出て行った。
この後、私は景ちゃんにも負けないように全身全霊で演技に挑むようになった。
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百城千世子はドライブに誘われる
----------- 千世子視点 -----------
今日は私の撮影が無くて、完全にオフの日。私は迫りくる景ちゃんの脅威に対応するべく、ベッドの上にノートパソコンを5台セットして景ちゃんのシーンを確認しながら、景ちゃんへの対策を立てるつもりであった。
景ちゃんの演技はグイグイと主人公である私の役を喰いにきており、このままでは百城千世子主演の映画のはずが、完全に景ちゃんに話題を攫われそうになっており、私は焦っていた。
そんな感じでなんとか劣勢を挽回するべくパソコンのセットをしていると、アキラちゃんが訪ねて来た。
「おおっ、千世子ちゃんやっているね。 でも景ちゃんの映像は昨日すでに確認済みだよね。 今さら見直したところであんまり対策は取れないと思うし、無駄だと思うけど・・・。」
「そんな事を言っても、この映画の主役は私なんだし、このまま景ちゃんに主役を喰われる訳には行かないわ!!」
私は少し八つ当たり気味にアキラちゃんに言う。
「そんな千世子ちゃんに朗報だよ!! 僕と一緒に熱海へドライブに行こうよ!!」
「今日はこれから景ちゃんへの対策を立てるから無理よ! そんな暇ある訳ないじゃない!!」
「景ちゃんに役を喰われ気味ですばらしい焦りっぷりだね。 完全に千世子ちゃんの負けフラグが立っていて僕も気持ちいいよ。」
「アキラちゃんはどっちの味方なのよ!」
「別にどちらも友達だけど、どっちの味方でもないかな。強いて言えば、外野から炎上を楽しんでいる感じ?」
「アキラちゃん、酷すぎるわ! 私がこんなに悩んで少しでも演技を改善しようとしているのに!」
「まぁ、今日部屋に引きこもってパソコン画面ばっかりを見ていても何の解決にもならない事は僕にもよくわかるよ。 そんな訳で迷える千世子ちゃんに僕が解決策を教えてあげるよ!」
「ほんとなの?」
「ホントアル! 僕を信じるアル。」
「すごく嘘くさいわ。 アキラちゃんのこのパターンは口から出まかせを言って、特に解決策なんて何も考えていないパターンだわ。」
「その通りだけど、ネタバレはいけない! 僕が単にボッチドライブが寂しすぎるので千世子ちゃんを言いくるめようとしている訳じゃないんだ!」
「ぷっ。本当にボッチドライブが寂しいだけなのね。」
私は笑ってしまった。そして気が付いたら車に乗せられて一緒にドライブに行くことになってしまった。 私の心に余裕が無いというのもあるけれども、この私が完全に言いくるめられている。 アキラちゃんは知らないうちに役者よりも詐欺師の才能を開花させているかもしれない。
「で? あんな大言壮語を吐いて私をドライブに誘った車がこれなの?」
30分後、私はアキラちゃんが運転する白い軽トラックの助手席に座っていた。
「んっ? ちょっと乗り心地は悪いかもしれないけれども、いい車だよ。」
「こんな車に今を時めくスーパー女優、百城千世子を乗せて何とも思わないの?」
「ポルシェと同じRRレイアウトで4輪独立サスペンション! 660ccの軽トラックでありながら4気筒エンジンを搭載! そしてスーパーチャージャーによって58馬力に達するおそるべき馬力とスバル特有の変態メカニズム! さらに変態のくせに意味不明な耐久力! まさに農道のポルシェ! スバルサンバー!! 千世子ちゃんならこの車の良さがわかってくれるよね?」
「全くわからないわ。」
私はアキラちゃんの戯言をばっさりとぶった切った。
「そもそも後ろの荷台に積んである巨大な物体は何なのよ!!」
「え? 見てわからない? 巨大なタコの人形だよ。 立体看板なんだ。」
「私が言っているのはそういう事じゃなくて、なんでそんなのを積んでいるのかって事よ!」
「下田のホテルの近くにあるたこ焼き屋さんなんだけど、娘さんが熱海の高校に通っているそうなんだ。 それでその高校で今日と明日で、文化祭が開催されるらしくて、出し物としてたこ焼きの道具とタコの看板を持っていくつもりだったんだけど、デスアイランドの撮影で人が押し掛けたらしくて、お店を休めなくなっちゃったんだ。 それで困っていたから、僕が看板とタコ焼き道具を持って行ってあげる事にしたんだ。」
「あきれた。誰のせいで人が押し掛けたと思うのよ。肝心の私達がたこ焼きの道具と看板を届けるんじゃ本末転倒じゃないの。」
「別に~。 今日は引きこもって暗いオタク生活をおくる予定だった千世子ちゃんに言われたくないよ。 それにデスアイランドの撮影は僕たちが居なくても今日もやっているから、やじ馬さん達もちゃんと撮影は見れるもんね。」
「でも、アキラちゃんが学校まで道具を届けるって娘さんは知っているの?」
「店の親父さんは話したらしいけど、娘さんは信じなかったって。 まぁ、普通は信じられないよね。」
「それでドッキリがてらに高校の文化祭にお邪魔しようって作戦なんだ。 このダッシュボードに付いているドライブカメラもそのための物ね。」
「そうだよ。千世子ちゃんもだいぶYoutuberの生態がわかってきたね。こんな美味しいネタなんだから、動画として逃す手は無いよ。 あと、普通に高校生活をエンジョイしたい。」
「まぁ、私たちの通っている学校は、芸能学校だから社会実習とか言う名目で出席日数は水増しされるし、たまに出席してもクラスの半分以上は居ないし、私達もほとんど学校に出ないでテストだけ受けているようなものだものね。通っているメンバーがメンバーだけに文化祭みたいのも無いし、普通高校に通っている景ちゃんが羨ましいと思うことはあるわ。そういえば、アキラちゃん、芸能科じゃなくて音楽科に来ないか熱心に誘われていたわよね。」
「僕的には楽な学校でいいんだけどね。 学校以外でやりたい事はいっぱいあるし、テストだけで卒業させてくれるのであれば、それにこしたことは無いよ。 音楽科の話は、別に将来、音楽で食べていく気はあんまり無いし、いまさら音楽科行ったって得るものがあんまり無さそうだから断ったよ。」
「あの学校の生徒も本当にピンキリだものね。 常識がヤバいレベルのアイドルも居れば、国内で賞を受賞して、留学するレベルの音楽家も居る。面白い感じね。もっとも、みんな出席率はお察しだけど・・・。」
「とりあえず、こんな感じでもちゃんと高校の卒業資格もらえるから、いいと思うよ。」
「アキラちゃん、大学行くの?」
「うーん。どうしようか考えているよ。 スタンフォード大学の教授やシリコンバレーの友達からは、こっちに来ていろいろマーケティングや経営なんかの勉強をやってみないかって誘われているんだけど、あっちの大学に入学してハリウッドで活動する手もあるんだけど、高校卒業してから1年ぐらいは俳優活動中心でちょっと考えるつもりだよ。そもそも僕が入学試験で落ちる可能性もかなりあるしね。ただ、アリサママの後を継ぐのであればMBA取りたいんだよね。」
「アキラちゃん、子供の頃から勉強がんばっているものね。撮影の待ち時間に難しい英語の本とかいっぱい読んでいるし、でもアメリカの大学は厳しいって言うし、芸能活動との両立は大変なんじゃないの?」
「それが実は、ピンキリなんだよね。 アメリカの大学の授業って実は50分が3個で3時間ぐらいしかないんだ。で、その分予習とかが大変なんだけど、僕は子供の頃からいろいろ対策していたために、大体対策済みというか・・・。後は、学費を稼ぐためのアルバイトやインターンも大変なんだけど、僕の場合には関係ないし、アメリカでは就職に影響するから成績が重要だけど、僕は良い成績を取る必要も無いし、その辺を割り切ると、両立が効きそうなんだよね。 どちらにしても、そっちの方は、調査しながらもう少し考えてみるよ。」
アキラちゃんとそんな会話をしながら、巨大なタコ人形を載せた軽トラックは潮風を含んだ空気を車内に取り込んで、伊豆半島の綺麗な海岸線を穏やかに走っていった。
こちらのお話は、『星アキラは記者会見の挨拶を練習するの』回で車の話をした時に、アキラ君には軽トラが似合うという感想をいただいて思いついたお話です。
私もアキラ君と軽トラはとても似合っていると思います。
この後文化祭にお邪魔するアキラ君達。 そして景ちゃんに主役を喰われかけている千世子ちゃんの運命はいかに!?
次回もお楽しみに!
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星アキラは高校の文化祭を楽しむ
下田から2時間ぐらい運転すると熱海に到着した。そして、僕は目的の高校の校門の裏口から軽トラを入れた。
----------------- たこ焼き屋の娘さん視点 -----------------
「10時ごろには到着するって言っていたけど、大丈夫かな?」
私は数人のクラスメイトとお父ちゃんがたこ焼きの看板と道具を持ってきてくれるのを待っていた。
「下田じゃ、千世子ちゃんがやっているデスアイランドの撮影で、人が押し寄せていてお仕事大変なんでしょ?」
「でも、父ちゃんは星アキラが代わりに荷物を運んできてくれるから大丈夫って言ってた。」
「はははは。面白いお父さんだね。」
「そろそろ届かないとお昼に間に合わないよ。」
「あっ、父ちゃん来た来た。 ちゃんと看板も持ってきてくれたみたい。」
私は父ちゃんにわかるように手を振って車を誘導する。
「おーーーい。父ちゃん、こっちこっち!!」
車が私の近くまでやってきて、運転席の窓からとんでもないイケメンが顔を出した。
「君がたこ焼き屋さんの娘さんだね。 お父さんの仕事が忙しいって事で、代わりに僕が道具を配達させてもらったよ。」
「「「「「「「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」
なんと実家の軽トラの運転席から顔を出したのは星アキラだった。
「ところでどこまで車を持って行けばいいのかな?」
「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」」
よくドッキリとかでアイドルが高校とかにやってきてみんな驚いて、キャー―――とか騒ぐシーンがあるかもしれないけど、あれは仕込みや嘘かもしれない。
こんな不意打ちで有名人に出くわした時のリアルな反応は、みんな目が点になって固まるのが正解だわ。目の前のことが信じられないもの。
私とクラスメイトは状況が呑み込めずに棒立ちしていた。
「あれ? ドッキリの番組みたいにキャー――! 星アキラよ!! とかのリアクションを期待していたのに、やたらとリアルな反応だね。」
「アキラちゃん、当たり前よ。 ああいう番組でも事前に話しているか、事前にテレビの撮影班が入っているんだからみんなある程度、期待するか察しているわよ。 本当に完全な不意打ちならこうなるわ。」
助手席の人が呆れながらアキラ君に話した。 私は助手席に目を向けるとあの百城千世子ちゃんが居た。 私はますます混乱した。 何がどうしたらどうしてこうなるの!? どうして星アキラと百城千世子が実家の軽トラックに乗っているの!?
私は千世子ちゃんの大ファンにも関わらず、現状が飲み込めずに、思考が停止して棒立ちするだけだった。
「あっ、ああ、案内しますので、あちらの裏口まで車を移動していただけないでしょうか。」
「はい。了解しました。」
クラスの学級委員長が我に返り、アキラ君を裏口まで誘導する。 車が移動した後に私達は正気を取り戻し、そして叫んだ。
「「「「「「「キャー――――――――――――――――!!!!!!!」」」」」」」
よくある、ライブで推しを見た時の歓喜の叫びじゃなくて、あまりの意味の分からなさにみんな思いっきり叫んだ。
そしてその叫びを聞いた他の生徒や先生達がやってきた。
悲鳴を聞いて駆けつけてきた友人の一人が私に聞いて来た。
「どっどうしたの!?」
「ほっ星アキラと百城千世子がたこ焼きの道具を運んで来たのよ!!!」
でもアキラ君も千世子ちゃんも裏口の前に移動した後だった。
「嘘乙。」
「本当よ! 裏口に居るんだから!!!」
私達は急いで裏口に行った。
裏口では委員長と、アキラ君と千世子ちゃんが巨大なタコ人形を降ろそうとしていた。
「あっ、来たね。 たこ焼きの道具を中庭の露店に運ばないといけないんでしょ? 手伝ってよ。」
目の前で憧れの有名人がやたらフレンドリーにたこ焼き道具を降ろしている所を見て、信じていなかった人達もみんな、固まってしまった。
「「「「「「「キャー――――――――――――――――!!!!!!!」」」」」」」
「うん。ドッキリっぽいリアクションになった。 やっぱり驚かされる側にもある程度心構えが必要なんだね。 勉強になったよ。」
「それはそうよ。事態を飲み込めないと普通は悲鳴も出せないわ。」
やっぱりあの、星アキラと百城千世子が居る!!!
全く意味不明だった。
私達の世代には星アキラと百城千世子、そして夜凪景と明神阿良也の4人は絶大な人気で、必ずこの4人のうちの誰か一人は猛烈な推しになっている。
特に歳が同じこともあって、3年生の世代には星アキラ、私達2年生の世代には百城千世子、1年生の世代には夜凪景が絶大な人気で、同じ歳というのが自慢だったりする。
演技からYoutube、女装までオールマイティーなアキラ君
この年にしてカメラの目線で同性も失神させる天才女優、千世子ちゃん
千世子ちゃんの親友にして最大のライバルで演技の天才、景ちゃん
普段は不思議君だけど、演技をした瞬間にカメレオンのように雰囲気が変わる天才舞台俳優の阿良也君
アイドル歌手に憧れる人も居るけど、そんな人達もこの4人は別枠。なんていうか、アイドルとは違った本物の輝き? この4人がみんな仲が良いという奇跡。
役者っていう厳しい世界で演技の才能を元に本当に輝いているキラキラ星!
私達じゃ絶対になれない本物のスター達!!
そんな、星アキラと百城千世子の二人が目の前でうちのお古で倉庫にあった、たこ焼き道具を運んでいた。やっぱり何度見ても私はこの状況が意味不明だった。
「どっ、どうして、アキラ君と千世子ちゃんがうちのたこ焼き道具を!!!」
「えっ?お父さんに聞いていない? デスアイランドの撮影で人が押し掛けて、たこ焼き屋さんが忙しくて道具を運べないので僕が代わりに運んで来たんだよ。」
「あれは、冗談かと・・・。」
「まぁ、冗談かと思うよね。 それじゃ文化祭、エンジョイさせてもらうよ。 後で来るからたこ焼き楽しみにしているよ。」
そう言って、道具を降ろし終えると千世子ちゃんを連れて校舎の方に行ってしまった。
----------------- 星アキラ視点 -----------------
「そんな訳で任務も完了したし、まずは文化祭のチケットで割引がある執事喫茶でも行こうか。」
「アキラちゃん、ちゃんとゴープロをセットしている所が嫌らしいわね。」
「そうだね。今回の動画のコンセプトは百城千世子といっしょに文化祭を楽しむ企画だから、そんな感じのリアクションを期待したいかな。」
「別にいいけど、アキラちゃんのパターンだとこの会話も動画内に入るわよね。」
「もちろんだよ!!」
「どんな感じがいいの? まさかアキラちゃんが男性視点で映して、甘々ラブカップルする感じ?」
「いや、それやるとインターネット検証班が出て、後始末がウルトラ面倒だから普段の僕に容赦がない千世子ちゃんでいいや。」
「最近はアキラちゃんと一緒にどこか行ってもあまり騒がれなくなったわよね。」
「正直、僕達を熱愛報道しても意外性が無くてあんまり面白くないからね。子供の頃から普通に出歩いていたし。そして騒いだところで、事実の通り友達ですで終わりだからね。」
「そうね。でもこの前、二人で渋谷にキアラちゃん用の服を買いに行ったときは、アキラちゃんのファンからもいっぱい手紙とかメールが来たわよ。」
「えっ?そうなの? 迷惑かけちゃってごめん。」
「内容は、『キアラちゃんにこんな服を着せてください。』ってやつばっかりだったけど。」
「あっ、その内容。それ、僕の方にも来たけど千世子ちゃんの方にも来たんだ。 あっここみたい。」
僕達は執事喫茶をやっている教室に入る。
「お帰りなさいませ。ご主人様、お嬢様・・・・・!?」
僕達が執事喫茶に入ると、男装した執事さんが出迎えてくれたが、僕達を見るなりフリーズしていた。共学だから、男性の執事さんと女性の執事さんが両方いる。
男性のお客が来たときは女性の執事さんが出迎えて、女性のお客が来たときは男性の執事さんが出迎えるようだね。
ただ、僕達は男女で同時に来ちゃったけどね。
「こっ、こちらにどうぞ。」
「ありがとう。」
裏からアキラ君と千世子ちゃんが来たって声がして、そんな馬鹿なって言いつつも、ダンボールで区切られている調理スペースから生徒達がチラっと顔を出して、僕達を見ると「キャー―――っ」ってみんなで喜んでいた。
「いいね。青春って感じがするね。」
「なんか実物ってすごくわちゃわちゃして、すごくエネルギッシュなのね。景ちゃんはこんな感じの高校で勉強しているんだ。」
芸能科とは全然違った反応に新鮮さを覚える千世子ちゃん。
「自分が人気があるって自覚していたけれども、こんな感じで純粋に好意として反応してくれると嬉しいわね。」
「向こうにとっては、文化祭の出し物に有名人が来て、一生の思い出になったんじゃないかな。そういった意味で純粋に僕達もうれしいね。」
「私の実家が喫茶店で、このカップとかは実家で前に入れ替えたお古を持ってきたんです。」
頼んだ紅茶とクッキーは紙コップなどではなくて、意外にもちゃんとした物が出て来て、執事さんやクラスメイトの子たちと話しながら、千世子ちゃんとお茶を楽しんだ。
最後にみんなで記念撮影をして、執事喫茶を出ると、お化け屋敷や占い部屋、輪投げ、スーパーボールすくいなんかを楽しんだ。
千世子ちゃんも、同年代の本当に普通の子達と交流してリアルな高校生活っていうのを体感してすごく楽しんでいた。
お昼を過ぎたら、たこ焼き屋さんに行ってお父さん仕込みの本格たこ焼きを楽しんだ後に、千世子ちゃんと二人で体育館に移動してクラスの出し物や演劇部の劇を楽しんだ。
手作り感がすごくイイ。 プロ野球好きでも高校野球が大好きみたいに、みんなで力を合わせて一生懸命やっている劇は、雰囲気が楽しくて長く見てられる。
千世子ちゃんも難しい事を考えないで、劇を楽しんでいるみたいだ。僕達は周りの観客一緒に、驚き、笑って、劇を鑑賞した。
「次は他校のスクールアイドルのライブみたいだね。」
「今日のメインの出し物ね。 他の高校の文化祭にまで呼ばれるとかすごいわね。」
「このライブを目的で来ている人達も沢山いるみたいだね。なんか大会とかあって、いろいろ盛り上がっているらしいね。」
なんて会話をしていてたら、たこ焼き屋さんの娘さんと生徒会の役員さん?みたいな人が来て、
「スクールアイドルの子達の到着が遅れちゃって、準備がまだ整っていないんです。アキラさん、千世子ちゃんごめんなさい。ダメ元でお願いしたいのですが、30分ぐらい場をつないでもらう事ってできないでしょうか?」
「ごめんなさい。私達は完全にプライベートで来ているから事務所を通さないでそういうのは・・・。」
千世子ちゃんは断ろうとしていた。でも、僕はやるべきだと思った。
「いいよ。そういう事であれば出演料もいらないから、是非やらせてもらえないかな?」
「アキラちゃんどうして?」
「せっかくいい文化祭なんだから水を差すのもかわいそうだよ。それに僕も楽しかったからお返しできる事があれば、やる価値はあると思うよ。」
そう言って、僕達は案内されて舞台裏に進んで行った。
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星アキラは高校の文化祭に出演する
舞台裏に行くと、スクールアイドルの子達が舞台の道具や音楽などの準備に追われていた。
まだ着いたばかりみたいで、服は制服のままでまだアイドル衣装に着替えてもいない。これは確かにすぐに始められないな。後40分ぐらいの時間は必要だろう。
文化祭の各教室や部活の出し物はほぼ終わりの時間に近づいており、出し物を撤収してみんな体育館に集まってきている。この状況で40分間観客を待たせるのは大変だし、時間になってもライブが始まらないと騒がしくなって収拾が付かなくなるかもしれない。
僕に時間を繋いでほしいという状況を察した。
僕はスクールアイドルの子の1人に声をかけた。
「ちょっと、君、忙しい所すまないけれど、僕のお願いを聞いてもらえないかな?」
その子は僕を見ると、固まってしまった。
「あっ、星アキラだっ。うそっ!! 千世子ちゃんも居る!!」
忙しく動き回っていたみんなの視線が僕に集まる。周りの子達も僕達を見て固まる。
「作業を中断してごめん。そのまま作業を続けてください。」
「申し訳ないんだけど、1曲目に演奏する予定の曲を聞かせてくれないかな?」
「はいっ、喜んでっ・・・・。あっ」
その子はスマフォを取り出そうとすると、焦って床に落としてしまう。 幸いスマフォケースのおかげで被害は無いみたいだ。
「ごめんなさい。この曲です。」
すぐにスマフォを拾うと、1曲目の曲をスマフォで再生してくれた。
「アップテンポでいい曲だね。 すごくコールも入れやすそうだし、1曲目から盛り上がりそうだね。 ありがとう。 助かったよ。 それじゃ前座は任せてちょうだい。」
「えっ、それってどういう事ですか? あっ、」
どうせ僕達が舞台で話し始めれば状況がわかるんだから、スクールアイドルの子から離れて、文化祭の実行委員の子に、僕達がトークしている間に、吹奏楽部の発表で使っていたピアノを再び舞台に出すようにと、サプライズのために舞台の幕が開くまで僕と千世子ちゃんの名前をアナウンスで出さないようにお願いした。
そして、真面目そうな生徒会長の子にお願いする。
「ねぇ、そこの生徒会長の君」
「はい。」
「すまないんだけど、君のワイシャツと眼鏡を貸してもらえないかな」
「は?」
そして僕と千世子ちゃんは、マイクを持って舞台の上に立って準備が完了する。舞台の上から観客席を伺うと、スクールアイドルのライブが始まらなくて、ざわついているみたいだね。
そして、実行委員の子がアナウンスをする。
「スクールアイドルの舞台が遅れていますので、準備が整うまで臨時で超有名人による超特別トークショーを開催します。 それではお楽しみください!」
舞台の幕が開く。そして「何だ?何だ?」と舞台の上の僕達に注目が集まる。そして、舞台に立っているのが星アキラと百城千世子だってわかると、「キャー――」と言った悲鳴や「わーーーー!」と言った驚きの声で体育館が振動したと思えるほどの叫び声で溢れかえった。
そしてその叫び声やエネルギーは僕と千世子ちゃんに集中した。
まさしく若さと青春、生命溢れる叫び、さながら僕が前世で体験した武道館でのVTuberライブみたいで、少し懐かしくなった。
ちなみに、横の千世子ちゃんは少し目を白黒させていた。千世子ちゃんも、こういう場面で舞台に登場して騒がれる事は多いけれども、同年代の子達から、こんなにバイタリティーあふれる声を舞台の上で浴びる事はほどんど無かったので、少し驚いているようだった。
出オチでいきなり盛り上がった。さて、話し始めますか。 僕は少しヒートアップしすぎた会場を少し冷やすように優しく観客に話しかける。
「こんには。 星アキラです。 今日は文化祭の舞台を見に来てくれてありがとう。 スクールアイドルのライブが始まるまでの間、僕達のトークを聞いてくれるかな?」
そして僕は観客にマイクを向ける。
「わーーーーーー!!!!」っていう歓喜の声が体育館の中を埋め尽くしていく。 うん。 出だしは好調だね。すごく若さ溢れる反応だ。
「こんにちは。百城千世子です。 ライブが始まるまで、みんなよろしくね!」
「きゃーーーーー!!!!」今度は女の子達から歓喜の悲鳴が上がる。さすが千世子ちゃん。一瞬、盛り上がった観客の圧に押されかけたけれども、場慣れしていて全く心配無い。
正直に言って、この場に連れてきたのが千世子ちゃんで良かった。 景ちゃんを連れて来ていたら、固まって何も言わないでぴすぴす(ピースピース)ぐらいしかしていないだろう。・・・演技させれば最強なんだけど・・・。
「さて、どうして僕達がこの場に居るかと言うと・・・・。」
最初の話題は状況報告。たこ焼き屋さんの娘さんのために道具を運んで来た話をする。
「出来上がったたこ焼きはすごく美味しかったわね。」
「そうだね。僕達も運んで来た甲斐があったよ。」
「文化祭も面白かったわ!」
「執事喫茶や文化祭の出し物なんて、僕達は普段なかなかできないから、すごく貴重な体験だったね。」
「私、芸能人以外の同年代の子達とこんな学園生活を送った事が無かったから、すごく新鮮だったわ!」
「僕もだよ。僕もこんな素敵な学校で、ピュアピュアドキドキな学園生活を送ってみたかったよ。」
「アキラちゃんの場合には、どこに居ても珍獣キャワキャワモキモキな学園生活を送るだけから、どこの学校でも駄目だと思うわよ。」
「千世子ちゃん、酷いよ! 僕をアフリカにいるUMAみたいな扱いにしないでよ!!」
会場から一斉に笑いが起こる。観客もだいぶリラックスをして僕達の話を聞き入ってくれている。
「そういえば、そもそも僕達が伊豆にいる理由を宣伝しないとね。」
「そうね。今、伊豆の下田では私が主演の映画『デスアイランド』の撮影中なの。 集A社の人気コミックが原作なんだけど、デスアイランドで起こるサバイバルとデスゲーム。 そして私達スターズの俳優と外部オーディションの俳優合わせて24人の豪華共演。 映画が完成したら是非観に来て欲しいわ。」
僕はタモリさんの声真似で、みんなに聞く。
「こんな風に千世子ちゃんが頼んでいるんだけども、みんなーーーー。映画を観に来てくれるかな?」
「「「「「「「「「「いいとも!!!!」」」」」」」」」」
流石高校生。ノリが良い感じで一体感がある。
------------------------------------------
「そういえば、アキラちゃん、さっき生徒会の会長さんにワイシャツと眼鏡を借りていたわよね。何に使うの?」
「文化祭、トラブル・・・。ライブ、代打。 このシチュエーションってすごく燃えない? 僕が大好きなとあるアニメや漫画のシーンに被るんだ。」
「ちょっと心当たりが無いわね。」
「じゃ、ちょっと変装するからお待ちを。」
そう言って、僕は上着を脱いで素早くワイシャツを着る。 ちなみに、中にTシャツを着ているのでご安心を。ズボンは最初から黒色だったから、学生服っぽい感じで良かった。
そして手鏡を出して櫛で髪型を七三分けの真面目な髪型にして、メガネを装着する。 この間1分10秒の早業だ。
「坂道のアポロンの西見 薫(にしみ かおる)君が完成!!」
「なるほど。西見薫君になり切って、ピアノを演奏するつもりなんだ。」
「せっかくだし、僕も文化祭で出し物をしたいんだよ。みんなーーーー!僕がピアノを弾いていいかな?」
「「「「「「「「「「いいとも!!!!」」」」」」」」」」
この高校の生徒達や文化祭の来場者はやっぱりノリが良かった。すごく喜んでもらえているみたいだった。
そんなわけで、文化祭でのトラブルの間にジャズピアノを弾いて場を繋いだ西見薫君を真似て、僕もピアノを弾き始める。
最初の曲は『My Favorite Things』 この曲は前に阿良也がゲストの放送時にも弾いたね。
元はThe Sound of Musicというミュージカルの中で主人公のマリアが子供達に歌った歌が元で、これをジョン・コルトレーンが大胆にアレンジして、今は押しも押されぬジャズのスタンダードになった名曲だね。日本では、JRの宣伝で京都に行く曲としても有名だね。
みんなが聞きやすいように、複雑でリズミカルなメロディーをなるべくクリアな和音で聞きやすく演奏する。
入りは、注意を引きつけて楽しい気分になるようにね。
曲を弾き終わると、沢山の拍手で盛り上がった。 そして拍手が弱くなる瞬間を見て次の曲に入る。
本当は坂道のアポロンのアニメで西見君はジャズのメドレーで続けていたけれども、僕は2曲目の曲調を変えるつもりだったから、曲を最後まで終わらせた。
そして2曲目は『Someday My Prince Will Come』和名『いつか王子様が』。 ディズニーの白雪姫で歌われた主題歌で、それを多くのジャズミュージシャンがカバーした元祖アニソンだね。
今回の僕が演奏するのは最強の不良中年ジャズピアニストである、ビル・エヴァンスがアレンジしたバージョンで、クリアな音質と流れるようなコード進行、そしてちょっと切ないタッチと優しい音色。
アニメではメドレーの途中で一瞬で終わっちゃったけど、僕はちゃんと弾いて観客のみんなにはこの曲でリラックスしてもらうよ。
そして、曲が終わると、さらに沢山の拍手。そして拍手が鳴り終わるとともに、最後の曲。
最初の1音節を引くだけで何の曲か判る。ジャズスタンダードの王道中の王道『Moanin』。坂道のアポロンでも劇中曲として使われているね。
この後に控えるスクールアイドルさん達の曲とはまた違った、ジャズのカッコ良さとハードボイルドな男らしさを出しながら演奏する。
そして演奏が佳境に入った時に、演奏中に舞台裏に行ってもらっていた千世子ちゃんから合図があった。
実は舞台の幕が開く前に千世子ちゃんにお願いしていたことがあった。 それはもしも演奏中に準備が間に合うのであれば、僕が前奏をするから、それに合わせてスクールアイドル達のライブを始めて欲しいというものだった。
『Moanin』を引き終わると同時に、そのまま転調してジャズのリズムで前奏としてスクールアイドルのライブ1曲目のフレーズを弾く。しばらくすると1曲目の音楽が流れ始めて、僕もそれに合わせてピアノの伴奏を行って、スクールアイドルが登場する。
「みんなーーー! ライブが遅れちゃってごめんなさい!! そしてアキラ君、千世子ちゃん、ありがとう!!」
『Moanin』の演奏から前奏を挟んでシームレスにスクールアイドルのライブが始まる。完璧に決まったね。
会場は一挙にヒートアップして、一気にライブの雰囲気一色に塗りつぶされて、地鳴りのように盛り上がる。
ここからスクールアイドルの1曲目は僕のピアノとのコラボになるね。案の定、ライブは1曲目からものすごく盛り上がる。
そして、スクールアイドルの1曲目の伴奏が終わると、万雷の拍手とともに、僕は礼をして舞台裏に引っ込んだ。
「アキラちゃん、スクールアイドルの子に1曲目を聞かせてもらった時にこれを狙っていたの? 事前の打ち合わせ無しにこんな事ができるなんて、正直凄すぎて身震いがしたんだけど・・・。」
「スクールアイドルの子に1曲目を聞いた時は、スクールアイドルの曲を潰さない流れを考えていたんだけど、『Moanin』でちょっと盛り上げて、そのままライブに繋げると、楽しそうだったからね。 駄目だったら演奏を打ち切ってしずしずと引っ込むつもりだったけど、成功して良かったよ。」
「なるほど、スクールアイドルのライブを潰さないで、お互いを高めあうか・・・。」
千世子ちゃんは、何か考え込んでしまった。
そして、スクールアイドルのライブを舞台袖から見届けると、文化祭の実行委員や生徒会、たこ焼き屋の娘さんやそのクラスメイト達にお礼を言われて、その後に帰ることにした。
帰りは正門から出る事になって、ほとんど全員の生徒さん達が僕達を見送って手を振ってくれた。
千世子ちゃんと僕も、手を振ってそれに答える。今日の休日はすごく充実した一日となった。
帰り道、夕日が照らす海岸線を軽トラで走りながら、千世子ちゃんは無言でずっと考え込んでいた。
千世子ちゃんはこうなると、外から話しかけられずに、ずっと思考していたいから、僕も特に話を振る事無くそのまま下田のホテルへと車を走らせた。
下田のホテルに着いて千世子ちゃんを降ろそうとしたら、千世子ちゃんがお礼を言って来た。
「アキラちゃん、今日はありがとう。すごく面白かったし、演技の解決策も見つかったわ。」
「え゛っ、演技の解決策とか冗談で、気分転換以外に全く何も考えてなかったんだけど。」
「でも、煮詰まっていた私を誘って文化祭に連れ出してくれたし、結果的にリフレッシュして解決策も見つかったわ。ありがとうアキラちゃん。」
そう言って、千世子ちゃんは車を降りてホテルの部屋まで行ってしまった。
千世子ちゃんの言う演技の解決策に全く心当たりが無いけど、なんか解決策が見つかったみたいで良かった。
僕は車を降りる時の千世子ちゃんの嬉しそうな顔を思い出しながら、たこ焼き屋さんに車を返却しに行った。
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熱海××高校 校内専用匿名掲示板
244匿名@一般生徒
アキラ君と千世子ちゃんが文化祭に来たの。みんな見た!?ビックリだったよ!!
245匿名@一般生徒
本当に顔小っちゃくてスタイル良すぎだった。 あの二人、本当に同じ人間なの!?
246匿名@一般生徒
千世子ちゃんとアキラ君が出し物に来たクラスとかあるの?
247匿名@一般生徒
2年X組のたこ焼き屋台と3年X組の占い部屋、あと1年Y組のお化け屋敷と2年Z組の執事喫茶、中庭の縁日屋台とかに来たみたいだよ。
248匿名@一般生徒
俺、校内とアキラ君と千世子ちゃんが歩いていて二度見しちゃったよ。
249匿名@一般生徒
確かにみんな二度見してたw
校内をアキラ君と千世子ちゃんが歩いているなんて信じられなかったし。
250匿名@一般生徒
いいなぁ。舞台だけじゃなくて、私も間近で見たかった。
251匿名@一般生徒
千世子ちゃん、本当にヤバかった。 テレビで見るよりも何倍も綺麗だった。
ますますファンになっちゃった。
252匿名@一般生徒
それを言ったら、アキラ君もヤバいじゃん。背が高いしカッコイイし、さらに女装してスタイル抜群の美女になるとか反則過ぎる。
253匿名@一般生徒
本当に、二人ともテレビから出てきたんじゃないかと思えた。
絶対に芸能人のオーラとか出てたよ。
254匿名@一般生徒
友達から星アキラと百城千世子が文化祭に来ているって聞いて、嘘だと思ったら本当だった。
みんな廊下を歩ているのを見てキャー――!とか悲鳴を上げるけど、声はかけられなかったよね。
255匿名@一般生徒
ワイ、勇気を出して声をかけようとするも、本物すぎて二人仲良く楽しんでいるのを邪魔ができずに撃沈。
256匿名@一般生徒
そりゃそうだよね。注目の的だったけど、すごすぎてみんな遠巻きに見ていただけだったものね。
本当に遊びに来ているだけだったし、そこでミーハーに話しかけるのは難易度高すぎた。
257匿名@一般生徒
うちの文化祭をプライベートで楽しんでくれていると思うと、向こうから声をかけてこない限り、こっちから行くのムリ。
258匿名@一般生徒
クラスの出し物に来てくれて、クラスのみんなで記念撮影してくれたよ!最高だったよ!
259匿名@一般生徒
えーーーーっ、いいなぁ・・・・。
260匿名@一般生徒
一応最後に校庭で全員で撮った記念撮影には入ったけど、ちゃんとした写真欲しかった。
261匿名@一般生徒
結構遊びに来た出し物で記念撮影をお願いしたらやってくれるみたいだね。 プライベートで神対応すぎるでしょ。
262匿名@一般生徒
普通に二人で遊んでいたよね。 本当に二人仲が良いんだね。
263匿名@一般生徒
付き合っているのかな?
264匿名@一般生徒
わかんない。 デートって雰囲気でも無かったし、本当に遊びに来てた感じだったから。
265匿名@一般生徒
あんなに堂々と二人で遊んでいるから、付き合っているなら言う気がするんだよね。
266匿名@一般生徒
そうだよね。 星アキラと百城千世子なら隠れて付き合うよりも、堂々と交際していますって宣言する方がカッコいいよね。
267匿名@一般生徒
でもうちの学校の文化祭楽しんでくれたみたいで良かった。舞台ですごく面白くて楽しめたって言ってくれてすごく嬉しかった。
268匿名@一般生徒
舞台で言ってたけど、二人は2年X組のたこ焼き道具を持ってきたんだよね。
269匿名@一般生徒
たこ焼き屋さんの娘さん、超グッジョブ!!
270匿名@一般生徒
たこ焼き屋台のクラスだったけど、たこ焼き道具を待っていたら星アキラが軽トラを運転してきてビックリだった。
271匿名@一般生徒
あそこのたこ焼きは美味しかったよね。中もとろとろで。タコも大きかったし。
272匿名@一般生徒
アキラ君がたこ焼き屋台でたこ焼き買って、千世子ちゃんと二人で分け合って食べていて尊みが深かった。
273匿名@一般生徒
そうそう。あのシーンだけで食べているのがたこ焼きなのに、マジでおしゃれなドラマすぎた。
274匿名@一般生徒
みんなで一緒にたこ焼きを食べて、みんなでキャーキャー言いながら写真撮ったよ。
後で姉に自慢したら、姉が血の涙を流していてウケたw
275匿名@一般生徒
そりゃ、生アキラ君と千世子ちゃんに会って写真撮ったとか聞いたら血の涙流すよね。
276匿名@一般生徒
星アキラと百城千世子が来てるって聞いて、結構な人が見に来たけど、うちの学校は文化祭のチケットが無いと入れないからね。けっこうお帰りいただいたw
277匿名@一般生徒
私も妹が文化祭なんてつまんないなんて言ってたけど、私がアキラ君と千世子ちゃんが来たって言ったら、全力でやってきて私にチケットをもらいに来て笑ったw
278匿名@一般生徒
家族知人向けに文化祭のチケット発行数が限られていたから、そこまでの混乱にならなくて良かったね。
279匿名@一般生徒
アキラ君と千世子ちゃんが舞台に立った時にぎゅうぎゅう詰めだったけど、なんとかみんな体育館で見れて良かった。
280匿名@一般生徒
あの舞台見れて本当に良かった。他の人に押し出されて自分が見れなかったら一生後悔したよ。
281匿名@一般生徒
スクールアイドルのライブが遅れてて、何だと思ったら舞台の上にアキラ君と千世子ちゃんが出て来て大歓喜。
282匿名@一般生徒
アキラ君と千世子ちゃんが舞台の上に立った瞬間から生徒全員が全力で体育館に来て草だった。
283匿名@一般生徒
そんな話聞いたら、みんな持ち場を捨てて体育館に行っちゃうよ。
284匿名@一般生徒
事実、友達が呼びに来て全員抜けて校舎はもぬけの殻だった。
285匿名@一般生徒
結局、全員が体育館に集まったから、持ち場を守る理由も無かったしなw
286匿名@一般生徒
高校の文化祭で星アキラと百城千世子が臨時でゲストトークとか豪華すぎだよね。
287匿名@一般生徒
あの話を生で聞けたなんて嬉しすぎる
288匿名@一般生徒
まじで普段、映画とかYoutubeで見ているそのままだった。
289匿名@一般生徒
あのスクールアイドルの前座が星アキラと百城千世子w
290匿名@一般生徒
もう、前座の定義が完全に崩れるwww
あのスクールアイドル達、どれだけの大物だよw
291匿名@一般生徒
いや、あのスクールアイドル達も近隣の高校ではすごく人気があるんだよ。
ただ、あのガチでハリウッド俳優達が前座するレベルでは全く無いけど。
292匿名@一般生徒
星アキラ「スクールアイドルさん達、お疲れ様です。 先輩のために場は繋いで起きましたので・・・。」
293匿名@一般生徒
高校サッカー大会の前座でFIFAワールドカップやるような愚行は止めてくれwww
294匿名@一般生徒
二人の舞台を生で観れて最高だった。
スクールアイドルさんが遅れてくれて本当に感謝だったよ。
295匿名@一般生徒
トークも良かったけど、何といってもアキラ君のピアノだよね。
296匿名@一般生徒
ジャズ格好良すぎでしょう!!
297匿名@一般生徒
まじアキラきゅん素敵すぎ☆
298匿名@一般生徒
全然クソガキの珍獣って感じじゃなかった。ただただ格好良かった
299匿名@一般生徒
坂道のアポロン大好きだったから、文化祭のシーンを再現してくれてすごい嬉しかった。
300匿名@一般生徒
本当に上手すぎだったし、雰囲気も曲も最高だよね。
301匿名@一般生徒
スクールアイドルの前の演奏で、スクールアイドルの方のライブがどうなるか心配だったけど、杞憂だった。
302匿名@一般生徒
あの、スクールアイドルのライブの入り。本当に鳥肌物だったんだけど。
303匿名@一般生徒
俺も鳥肌立った。 星アキラはスクールアイドルの曲を聞いたことがあったのかな?
1曲目のコラボが凄すぎたよ。
304匿名@一般生徒
あれって、直前にスクールアイドルの子から聞かせてもらっただけらしいよ。それだけでいきなりコラボとか本当にすごすぎ!!
今まで景ちゃんのファンだったけど、アキラ君も推しちゃいそう。
305匿名@一般生徒
それだったら、俺も千世子ちゃんを推したい。本物も可愛すぎだよ。本当に天使だった。
306匿名@一般生徒
スクールアイドルの子もすごく感激してたもんね。
307匿名@一般生徒
アキラ君の生演奏と推しのスクールアイドルとのコラボとか俺得すぎる。
308匿名@一般生徒
スクールアイドルの子もライブの後にアキラ君と千世子ちゃんにサインもらっていて微笑ましかった。
309匿名@一般生徒
スクールアイドルの子全員のサインとアキラ君と千世子ちゃんのサインが入った色紙作っていたよね。すごく羨ましい。
310匿名@一般生徒
最後は全員で校庭に行って写真撮ったよね。一生の思い出だよ。
311匿名@一般生徒
アキラ君も千世子ちゃんもすごく優しかった。
今まで以上にファンになっちゃったよ。
312匿名@一般生徒
ちゃっかり校長先生が二人の横に立った写真が校長室に飾られていて笑った。
313匿名@一般生徒
ワイシャツと眼鏡を貸した生徒会長は、ちゃっかりワイシャツにアキラ君と千世子ちゃんのサインを書いてもらってた
314匿名@一般生徒
それは羨ましすぎる。
アキラ君が実際に演奏したワイシャツに二人のサインとか一生の宝物だよ。
315匿名@一般生徒
デスアイランド絶対に観に行くよ!!
316匿名@一般生徒
デスアイランド2を撮影する時にまた来て欲しいな。
317匿名@一般生徒
本当に! アキラ君と千世子ちゃんも文化祭楽しんてくれて良かった。
また来て欲しいよ。
<次はオマケです>
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芸能掲示板 星アキラと百城千世子がドライブデートでワイ嫉妬の嵐!!
1イッチ@千世子ファン
千世子ちゃんファンのワイ。
ドライブデートする星アキラに嫉妬する
http://xxxxxxxxxxxx/yyyyyyy/zzzzzzzzz.jpg
2名無し@千世子ファン
写真クソワロタ。どこにツッコミ入れたらいいんだwwww
3名無し@千世子ファン
すごいドライブデートだなwww
4名無し@千世子ファン
まじで情報量が多すぎだろwww
どうして、軽トラで巨大なタコ人形を積んでいるんだよwwww
5名無し@千世子ファン
隠し撮りじゃなくて、二人でピースしているじゃねぇかwww
6名無し@千世子ファン
これ、アキラ君が堂々とトイッターに上げた写真じゃねぇかw
7名無し@千世子ファン
スポーツカーでオシャレドライブデートなら判るけど、軽トラドライブに百城千世子を誘う星アキラの勇気よwww
8名無し@千世子ファン
軽トラに謎の巨大人形を載せていても絵になる男女、星アキラと百城千世子www
9名無し@千世子ファン
相変わらず、二人で遊びに行くのを全く隠していねぇw
10名無し@千世子ファン
このシチュエーションに嫉妬できるイッチがスゲェww
11イッチ@千世子ファン
なんやオマエら、千世子ちゃんが男と楽しく遊んでいるんやで。嫉妬せんのか!!
12名無し@千世子ファン
いや、オープンカーの超高級スポーツカーでドライブデートとかなら多少嫉妬はあるけど、この写真じゃあなぁ・・・。
13名無し@千世子ファン
むしろ、堂々とこんな車に百城千世子を誘える星アキラがすげぇwww
14名無し@千世子ファン
やっぱり、星アキラスゲェよ。スケールが違いすぎる。千世子ちゃんをデートに誘っても、全く嫉妬心が湧かんw
15名無し@千世子ファン
俺も、これは絶対に真似できない。 付き合っているかは知らないけど、千世子ちゃんをデートに誘うのに軽トラは出来ねぇwww
さすがは、クソガキwww
16名無し@千世子ファン
そもそも千世子ちゃんと珍獣が一緒に居るのはいつもの事じゃねぇかw
こんな事で今更嫉妬できるイッチがすげえよwww
17イッチ@千世子ファン
ワイはこの前、地下アイドルに男が出来て、そのファンを辞めて千世子ちゃんのファンになったんやが、千世子ちゃんファンのみんなは、男が近くにいて気にならんのか?
18名無し@千世子ファン
ああ、ファンに成りたてなのね。 千世子ちゃんは、女優でアイドルみたいに思わせぶりな訳でも無いし、アキラ君と一緒に遊びに行くのもいつもの事だよ。 付き合っているかは知らんけど。
19名無し@千世子ファン
子供の頃から二人で友達関係を今でも続けている所がすごく尊いんだ。
星アキラファンも百城千世子ファンも両方とも納得してるんよ。
20名無し@千世子ファン
っていうか、千世子ちゃんの周りにアキラ君が居て嫉妬するファンってレアだよな?
21名無し@千世子ファン
確かに。本当に子役の頃からセットもので居たから、全然気にならん。
珍獣は完全に千世子ちゃんのマスコットみたいなもんだろwww
22名無し@千世子ファン
実際問題マジレスすると、突然、星アキラから離れて、そこらのアイドルみたいに男どもに媚び始めたら、逆に千世子ちゃんの人気は急降下すると思うゾ。
23名無し@千世子ファン
そうだよね。女性ファンとかも星アキラとずっと対等に友達関係を続けられている所に憧れている所とかもあるもんね。
24イッチ@千世子ファン
オマエラ、そうなのか? ワイが間違っているのか?
25名無し@千世子ファン
そういう感じで男の影があるのが嫌なら、千世子ちゃんのファンは絶対に無理だと思うぞ。
そもそも、そういうアイドル路線じゃ全くなくて、千世子ちゃんは完全に女優としての能力で勝負しているからな。そこがすごくイイんだ。
26名無し@千世子ファン
そうそう。他の人にはすごく丁寧だけど、アキラ君にだけは毒を吐く所とか、分かりみが深い。
27名無し@千世子ファン
今回も、どうせデスアイランドでプレッシャーを感じてた千世子ちゃんをアキラ君が連れ出してくれたとかだろ?
28名無し@千世子ファン
ありえそうw。 恋愛感情は知らんけど、少なくともマジで親友同士だからな。
29名無し@千世子ファン
そうだな。将来、千世子ちゃんがアキラ君じゃなくて、ようわからん青年実業家とお付き合いしていますとかなったら、俺もえーーーーってなるな。
30名無し@千世子ファン
なんやかんや言っても、いくら嫉妬しても星アキラには全く敵わないからな。 そのまま付き合ったって言っても納得だよね。
星アキラなら、千世子ちゃんを幸せにできるってみんな納得するし。
31名無し@千世子ファン
そういう意味では、若手トップ俳優同士が堂々と遊びに行くとか凄すぎるよなw
32名無し@千世子ファン
まぁ、この二人は外野がとやかく言えないぐらいの実績があるすごい俳優だから、今更一緒にデートぐらいじゃ全く人気は落ちないし、そもそも意外性が無くてほとんどニュースにならんわな。
33名無し@千世子ファン
でも、このシチュエーションはマジでどう言う事なの? 付き合っているとかそんな次元以前に、全く意味不明だわw
何で軽トラで巨大タコ人形を積んでいるんだよwww
34名無し@千世子ファン
これ、熱海の文化祭に行った時の写真らしいぞ。文化祭の舞台の動画が今新しく上がってる。
http://youtube.com/xxxxxxxx
35名無し@千世子ファン
なるほど、忙しいたこ焼き屋さんのお父さんの代わりに文化祭に荷物を運んできてくれたんだ。
36名無し@千世子ファン
いきなり、代打で舞台に立ってあげるアキラ君と千世子ちゃん、すごく優しい。
37名無し@千世子ファン
これは、この学校の生徒達もみんな二人のファンになりますわ。
38名無し@千世子ファン
アキラ君のジャズピアノもすごかったけど、ジャズの前奏からスクールアイドルの1曲目に繋がった所とか、見ていて鳥肌がたった。
39名無し@千世子ファン
マジで俺も。本当にすげえ。
40名無し@千世子ファン
アキラ君の生演奏とスクールアイドルとかのコラボ。 俺も生で観たかった。
41イッチ@千世子ファン
無能ワイ。有能アキラの凄さに全く嫉妬が湧かなくなった。
42名無し@千世子ファン
イッチ、元気出せwww
たしかに次元が違うし、千世子ちゃんファンでもアキラ君の演奏は生で観たい。
43名無し@千世子ファン
この高校生やスクールアイドル達、一生の思い出だろうな。 いい青春を過ごしたみたいでうらやましい。
44名無し@千世子ファン
こうやってみると、アキラ君ってやっぱり、千世子ちゃんのオプションだし、隠し味だし、香辛料みたいな所あるよね。
45名無し@千世子ファン
>>44
言いたい意味は分かるけど、その表現はわからない。
46名無し@千世子ファン
まぁ、根っからの千世子ちゃんファンは珍獣が居ないと寂しいし、珍獣ファンも飼い主の千世子ちゃんが居ないと寂しいんだよな。
47名無し@千世子ファン
考えて見ればすごく特殊な関係だけど、すごくいいよな。
ほんと、スヌーピーとチャーリーブラウンみたいな関係だしな。
48イッチ@千世子ファン
スクールアイドルを見たワイ。衝撃を受ける!! 男の影がある千世子ちゃんはダメや。
これからはスクールアイドルの時代やで!!
49名無し@千世子ファン
イッチwwwww
50名無し@千世子ファン
まぁ、そういう人も居るwww
51名無し@千世子ファン
短い間だったけど、千世子ちゃんファン卒業おめでとうwwww
52名無し@千世子ファン
このスクールアイドル達、こんなに可愛いだから彼氏居るんだろうな・・・。
53名無し@千世子ファン
正直な話、千世子ちゃん以上に裏切られると思うんだけど、まぁイッチが幸せそうだからほっとこう。
54イッチ@千世子ファン
そんな事無いで!! この子達は、純粋な子達なんだから男なんて絶対にいないで!!
55名無し@千世子ファン
イッチにこのスクールアイドル達の何がわかるんだよwww
56名無し@千世子ファン
イッチのこの後の展開が見え見えで笑えるwwww
57名無し@千世子ファン
このイッチ、来週にはまた別の嫉妬スレが立っているだろうなw
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星アキラは百城千世子と夜凪景の共演を見る
----------- 千世子視点 -----------
アキラちゃんと出会う前の私は昆虫と他人の横顔が好きな変な人間だった。
誰かに見られているなんて思いもしないような無意識の表情を盗み見るのが大好きだった。
小学校の時、そんな事を好きな事として書いたら不気味がられた。
なら私の横顔は他の人にはどういう感じで見られているんだろうか? 一度気になり始めたら他人の目が怖くなって逃げるように映画の世界に没頭した。
私にとって現実の世界はすでにすごく生きづらくなっていたから。
転機はアリサさんにスカウトされた事だった。アリサさんから「あなたは役者に向いている」って言われた時にすごく嬉しかった。
私にとって役者は天職だと思っていた。
私はエゴサーチや観客の反応を聞いて、表情の作り方や言葉の選び方、ファッション、所作、体形などを全て観客の好みに合わせた。
撮影に使うカメラの性能、レンズの特性、私を露出させる全ての媒体を知り尽くした。
私は寝る事を忘れてひたすらに観客の望む私を作る作業に没頭した。
そうして、出来上がったのが百城千世子と言う厚い仮面と観客の理想をイミテーションした、カメラのレンズを通してだけ完全に見える仮面を被ったまがい物の自分。
私はこれが絶対的に正しい方法だと思っていた。
自殺未遂をした私の
アキラちゃんはそこから大きく変わった。まず仮面と素顔の境界が曖昧になった。私が仮面を厚く塗り固めるのとは全く逆に、仮面が見分けられなくなった。
私は仮面から解放されて自由に生きるアキラちゃんが羨ましかったし、同時に憎らしかった。
同じ仮面を被っていたはずなのに、私に無い才能を持つアキラちゃんに嫉妬し続けた。 私は今まで続けてきた自分の仮面を厚く塗り固めるという行為が正しいのか、ずっとわからなかった。
でも、完全にプライベートで行った文化祭でアキラちゃんの横で同年代の高校生の子達に騒がれて、アキラちゃんと一緒に沢山の人に肯定されて、もしかしたらこの仮面も作り物じゃなくて、自分の一部なんじゃないかって思えてきた。
そして、文化祭で自分を評価させながら、スクールアイドルを立てたアキラちゃんを見て確信したの。
作り物だって思っていたこの仮面も実は自分の一部じゃないかって。 私が培ってきた仮面の力をもっと自由に引き出して使っていいんじゃないかって。
----------- アキラ視点 -----------
撮影も大詰めになり、景ちゃんが演じるケイコと千世子ちゃんが演じるカレンの共演シーンの撮影だ。
「
「分らないわ・・・。夢中で逃げているうちに離れ離れになってしまって・・・。」
「そっか・・・。それでも
「本当に良かった。
景ちゃんは、安堵する感情と
対して、
この時、二人の全身を第1カメラで撮っていたんだけど、千世子ちゃんは自然な仕草で涙を流す景ちゃんを後ろの第3カメラでバッチリ映るようにして、自分は正面のパン(水平移動)と顔をズームさせる第2カメラのアングルに合わせて、少しずつ景ちゃんと自分を動かしながら、最も彼女が美しく映るように調整した。
結果、千世子ちゃんは第1、第2、第3の全てのカメラで同時に完璧な構図と演技をやってのけると言う神がかったテクニックを見せた。
もう千世子ちゃんを『構図の魔術師』とかそんな異名で呼んだ方が良いかもしれない。
そして、この演技、もう一つ千世子ちゃんとして変わった所があった。 それは千世子ちゃんが景ちゃんをうまく生かして助演している事。
景ちゃんの感情とそれを表現する抜群の演技力。それを100%以上生かす感じで、演技は景ちゃんを立てて合気道のように逆らわないで受け流しつつ、カメラの構図と見え方を支配する事で、演技力として千世子ちゃんを上回る景ちゃんを見事に手のひらで転がして、お互いの演技で相乗効果を生んで何倍もの素晴らしいシーンになっていた。
このシーンは、もしかしたら日本の映画史にも残る屈指の名シーンになるかもしれない。そんなシーンが千世子ちゃんと景ちゃんの共演シーンで随所に生まれている。
今回のシーンでも、撮影現場で演技を見るだけなら、ぱっと見で景ちゃんが千世子ちゃんを喰っているように見える。でもカメラのレンズを通して見た観客の目には、このシーンを支配しているのは間違いなく千世子ちゃんだ。
演技内容によっては自分よりも演技や表現力で上回る夜凪景を生かして、カメラで撮影される映像全体を支配する百城千世子の構成力。
もはや、天才という表現では生ぬるいほどまでに千世子ちゃんの才能が恐ろしいレベルで開花していた。こういう能力を鬼才と言うのかもしれない。
そして、そんな素晴らしいシーンを見た手塚監督は、苦悶の表情を浮かべていた。
まぁ、ご愁傷様。 これはやっちまったなって感想しかない。
これは同時に芝居の温度と作品バランスにあれほどこだわっていた千世子ちゃんが、その制御を完全に放棄した事を意味していた。
元々、千世子ちゃんと景ちゃんは、このような対等に演技を競い合うような配役をされた事は無かった。
同じ作品に出る場合でも、ウルトラ仮面のようにウルトラ警備隊側の役と幼馴染グループ側の役というように、なるべく二人そろった演技をしないようにアリサママは配慮していた。
これは単純に二人の演技の相性が悪かったせいだ。映画全体の映像のクオリティーを重視する千世子ちゃんと、演技を重視する景ちゃん。この二人が正面からぶつかり合えばどちらかが破綻する事は目に見えていた。
事実、今回のデスアイランドの撮影で千世子ちゃんは破綻寸前だった。
景ちゃんはシーンにもよるけど、演技力で千世子ちゃんを上回りながら、映画の温度や作品バランスは考えない。
まぁ、普通の俳優もそんな事はほとんど考えないけどね。そんなのは監督の仕事だ。そんな事を考えて、ちゃんと高いクオリティーをコンスタントに達成する千世子ちゃんは、まさに別格の女優だった。
でも、それは百城千世子の出演する作品の質が一定の水準から抜け出す事が無いという諸刃の剣でもある。そして千世子ちゃんの映画が作られれば作られるほどある意味それはマンネリ化していった。
デスアイランドの撮影で手塚監督は、あえてこの二人を競わせる位置にキャスティングするという禁じ手を使う事で、このマンネリを打破しようとした訳だね。
ちなみに、今回のキャスティングについてアリサママは何も言わなかった。そろそろ、お互い共演できる
そして結果として藪をつついて、蛇ではなくて龍と虎を出す事に相成りました。 おめでとうございます!!
この二人のシーンは文句を付けようがない。 まさに三ツ星レストランの高級イタリア料理とも言えるかもしれない。
でもこの映画は24人も俳優がキャストされている。 当然ながら他の俳優のシーンも大量にある。 映像を見るに千世子ちゃんと景ちゃんのシーンが極上すぎて、サイゼリアのメニューの一部に数千円~数万円の料理が並ぶような事態になっている。
サイゼリアのメニューは間違いなく美味しい。 ただそれはこの値段であればこの味で大満足というレベルの美味しさだ。 そんなメニューに混じる異質な数千円~数万円の超高級料理。こんな感じで、二人の共演シーンだけ完全に浮き上がっている状況を手塚監督はどのように映画としてまとめるのか? ある意味とても楽しみだ。
そして、この映画を観た観客の感想は、夜凪景が百城千世子を喰ったとか、やっぱり百城千世子が夜凪景よりも演技が良いとか言う、俗な比較するような感想じゃなくて、百城千世子と夜凪景の両方ともヤベー。これは竜虎相搏ってんじゃないかって感じだろう。
他の出演者が無人島で血生臭い殺し合いを演じている最中に、この二人は宇宙で『常勝の天才』と『不敗の魔術師』としてスペースオペラで艦隊決戦をしているような事態になっていた。
当然、他の共演者も二人の明らかなレベルの違いに気が付いて動揺しているけど、もうこの二人に手が付けられる状態じゃないね。
それでも、そんな演技に全力で挑む湯島茜さんと和歌月千さんは見ていて気持ちがいいね。二人はこの映画の後にブレイクするだろうし、技術はまだ稚拙でもこの状態の千世子ちゃんと景ちゃんに全力でぶつかる姿勢を見て、自分の作品にも是非出演して欲しいって、役をオファーする監督はいっぱい居るんじゃないかな?
そんな感じで、手塚監督は日々悪化する胃痛と戦いながらなんとか撮影が終了しようとしていた。アリサママは良い胃痛薬を手塚監督に差し入れたようだ。さすがはアリサママ。サイコパス気遣いの人。
なんやかんやで手塚監督の心労をよそに撮影は順調に進んで最後のシーンを撮り終えて、24人の俳優たちは無事に解散となった。
みんな撮影終了の安堵と、映画が楽しみって言いながら帰って行く。
----------------------
そんなみんなを見届けた後に、僕は残った撮影班と千世子ちゃん、景ちゃんで秘密のシーンの撮影が始まる。
「アキラ君!? 飛行機の脱出時に死んだはずじゃなかったの!?」
「残念だったな、トリックだよ。」
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星アキラは悪役を演じる
話は、映画の企画時までさかのぼる。この集A社のデスアイランドなんだけど、大人気コミックではあるんだけど、まだ完結していなかった。
そして、犯人も分かっていなかった。 つまり映画化した時点でこの先の展開がわからずに詰まっている感じだった。
正確にはデスアイランド編は終わっているんだけど、次のデスパーク編に持ち越される感じで謎が謎を呼んで終わる感じだった。そしてコミック本編で現時点でもその謎は未だにわかっていない。
コミックのデスアイランド編では
こうすると、この映画は謎がわからないまま、感動の脱出シーンで終わる事となる。
そしてその感動の脱出シーンを先ほどみんなで撮り終えた訳だ。 原作を熟読している参加者達はここで映画が終わる事を全く疑っていない。
おそらく原作を知っていて映画を観に来る観客たちも同じことを思うだろう。
さて、冒頭の話に戻ってこのデスアイランドの企画だけど、これはスターズ主催の映画となるんだけど、実はスターズ側から集A社に映画化を依頼したのではなくて、集A社側から持ち込まれた企画となる。
デスアイランドは集A社の週間少年ジャンピングの人気漫画なんだけど、グロ多数でデスゲームという素材から、今の時代にアニメ化できなかった。子供が学校で真似して殺人未遂でも起こしたら大惨事だからね。 正確には進撃の巨人みたいに深夜放送のアニメでは行けるレベルなんだけど、週間少年ジャンピングの少年向けのアニメとしてゴールデンタイムに放映できる作品でも無いという、非常にメディアミックスが難しい漫画だった。
そんな訳で集A社としては、アニメ化できないけど、この作品を映画化する事でメディアミックスする事にしたんだけど、通常のアニメ映画はオリジナルでも無い限り、アニメ枠 + 映画という組み合わせなのに対して、いきなりアニメ映画は集客数が予測できなくてアニメ制作会社が難色を示した。週間少年ジャンピングの映画版のアニメというのは非常に高いクオリティーが要求されるから、必要な製作費に対して賭けの要素が強すぎてアニメ映画の企画は見事に流れた。
そうすると、実写という事になる。 漫画の実写化・・・。 デビルマン・・・。 うっ頭が・・・・。
とは言っても、漫画の実写化が地雷になるのは現実離れしたビジュアルの場合で、JIN-仁-であったり、るろうに剣心であったり、登場人物が現実ベースの話であれば全然問題ない。 青年漫画もよく実写ドラマ化して人気だしね。 僕の大好きな孤独のグルメなんかも広義で言えば漫画の実写化だよね。
こうして、デスアイランドの企画がスターズに持ち込まれた訳なんだけど、殺し合いして脱出して、謎を残してチャンチャン終了というのは、映画制作側として相当リスキーな構成だった。
そもそも、この映画が当たって2作目が作られるかもわからないし、映画が良くても原作の進捗によっては2作目以前に原作人気が落ちて2作目を望まれない可能性があった。
こう言った不確定要素があってもなお、アリサママはスターズ主催でこの映画を作る事にした。製作費は6億円で費用はスターズが全額持ち出し。 ただし、ロイヤリティ以外の興行収入は全てスターズが回収するという条件で。さらに映画のシナリオについてもスターズ側である程度の改変を認めさせた。これは景ちゃんがオリジナルキャラクターとして出演している事でも伺えるね。
集A社と原作者側も、脚本を事前に確認させてもらう事を条件に契約が成立して、手塚監督をメインに制作スタート。
スターズ側は、謎を残してチャンチャンの部分を、原作を邪魔しない形のオリジナルキャラクターを黒幕の一人として入れて、そのキャラクターを討伐する事で、2作目が出来てもいいし、1作目だけでもある程度スッキリと終わってもいい脚本として仕上げた。
もうお分かりだろう。その黒幕のオリジナルキャラクターこそ、僕が演ずる一条アキラだ。
一条アキラは、
そして、みんなが脱出する前に
ちなみに、一条アキラは根暗でまじめな性格で、
この話をしたら原作者さんから、好きにしてもらって良いから、是非ぶっ壊れた悪役の演技をお願いしますってリクエストされてしまった。
そんな訳で、原作者さんからもOKが出たし、アドリブ満載で見事な悪役を楽しんで演じていきましょう!!
僕達のシーンは、みんなを監視してデスアイランドのアプリから指令を出していた洞窟に
-------------------------------------
「ここは・・・。 こんな所に監視設備が。 ここからみんなを監視してデスアイランドのアプリでスマフォに指令を出していたの!?」
「そうだね。僕に屈辱を与えた君をここにおびき寄せるための施設さ!」
「アキラ君!? 飛行機の脱出時に死んだはずじゃなかったの!?」
「残念だったな、トリックだよ。」
僕は、
「・・・
「
「君のアホ面には、心底うんざりさせられる。僕はこんな女に振られて屈辱を味わったのか。」
「アキラ君! アキラ君がみんなを誘導して殺し合いをさせたの!?」
「そうだ! みんなが殺されたシーンをその目に焼き付けろ!!」
僕は、クラスメイト達が殺されていく様子を映したビデオを連続して再生する。
「見ろ! 人がゴミのようだ!!」 僕は渾身のキチ顔を披露する。
千世子ちゃんはビデオにショックを受けながらも、気丈に僕を睨んで来る。
「なんのために、こんな事をするのよ!!」
「もちろん、僕に屈辱を与えた君を絶望させて殺すためさ。」
「そんな事のためにみんなを巻き込んだって言うのっ!!」
「そうだよ。君は今まで食ったパンの枚数を覚えているのか? クラスメイトなんて朝食べたパンと同じで死んじまったらどうでも良くなるもんだよ。」
「なんて酷い事を言うの! そんな事のために沢山の友達を! 許せない!!」
「これこそ、僕の天才的な頭脳が生み出した最高の復讐劇だよ。 まさに『計画通り!』」
「このデスアイランドのアプリや設備もみんなあなたが用意したの!?」
「殺し合いをさせたい犯罪組織がポンッとくれたぜ!」
「そんなの犯罪組織にあなたが利用されているだけじゃないの!!」
「君のような勘のいいガキは嫌いだよ。」
「
「言葉を慎みたまえ。君は世紀の天才王の前にいるのだ。」
「正気じゃないわ!!」
「僕の頭脳があれば、全世界は僕の元にひれ伏す事になるのだ! そんな僕を振った
「アキラ君、その子は関係ないわ。離してあげなさい。目的は私でしょう!」
「貴方は、か弱い女の子を殺すのに銃なんて頼るの? こんなに用意して、貴方の天才的な頭脳を継ぎこんだ壮大な復讐劇がこんなに一瞬で終わっていいの?」
「私は見ての通り丸腰よ。 私を楽に殺したらつまらないでしょう? ナイフを突き立てて、私が苦しみもがいて死んで行く様が見たいんでしょう? そうじゃないのアキラ君? 来なさいアキラ君、銃なんて捨ててかかって来なさい!!!」
「てめえを殺してやる!」
「さあ、
「ぶっ殺してやる。こんな女なんて必要ねぇ! 拳銃も必要ねぇや。 誰がお前なんか! お前なんか怖かねぇ! 慢心せずして何が王か!!!」
「
この瞬間、僕は最高の顔芸を見せて
そして繰り広げられるクライマックスのアクションシーン。
そして、最後、砂をかけられて目つぶしを受けた僕はボイラーに突き飛ばされて、折れたボイラーのパイプが刺さって、中から水蒸気が噴き出して僕は終わった。
「あぁぁ、目がぁ、目がぁ〜〜〜あああああああ〜〜〜〜、ウボァーーーー!!!」
「地獄に墜ちなさい、アキラ君!!」
ちなみに、最後のボイラーのパイプのシーンは僕達のほとんどアドリブの演技を見ていた現地スタッフさん達が悪ノリして、急遽パイプとドライアイスで死亡シーンを作ってくれた。
本当は崖から突き落とされて死ぬはずだったんだけどね。
そして景ちゃんのセリフで見事に終わった。
「
そんなシーンを見ていた手塚監督は完全に泡を吹いてピクピクしていた。これは映画を編集するときに地獄が待っていますわ(笑)
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デスアイランド視聴後専用スレ
1名無し@デスアイランド視聴済み
本スレはデスアイランド視聴後の人が感想を言うためのスレです。
デスアイランド視聴前の人はネタバレになりますので、スレを見ない事をお勧めします。
2名無し@デスアイランド視聴済み
いやー面白かった。様々な意味で楽しませてもらったよ。
3名無し@デスアイランド視聴済み
近年の日本映画じゃ、中々見られないエンタメ全開の映画だったな
4名無し@デスアイランド視聴済み
まぁ、ほぼドシリアスなデスゲーム物だったんだけど、最後で見事にエンタメとして成立させたこの絶妙なバランスよw
5名無し@デスアイランド視聴済み
原作を見ていたから、どうせ謎だけ残して終了かと思っていたから、ラストの展開には超ビックリだったよ。
6名無し@デスアイランド視聴済み
でも、スッキリした。久々に邦画で映画見た―――――ってすごい満足感がある映画だった。
7名無し@デスアイランド視聴済み
そうだな。途中までゴジラVSモスラの世紀の対決かと思っていたら最後にダークライが参戦して全部持ってったw
8名無し@デスアイランド視聴済み
ゴジラ VS モスラ VS ダークライw
9名無し@デスアイランド視聴済み
ラストはなぜか抜群のバランス感覚で、デスゲームで鬱蒼として貯まっていたストレスが全部発散して最高だったわw
10名無し@デスアイランド視聴済み
あれ、そうだよね。観ている途中は百城千世子と夜凪景の名演だけど、すごい緊迫感があって、不条理とやるせなさと、死への緊張感でものすごいストレスをかけられたけど、クライマックスで全部発散して、見終わった時にはものすごい爽快だったわwww
11名無し@デスアイランド視聴済み
デスゲームものって感じで、みんな緊張しながら映画館に行って、映画を観ている時も真剣だったけど、最後の展開で一気に解放されて映画館を出る時はみんなニッコニコだったw
12名無し@デスアイランド視聴済み
ニフニフとか5ChとかYoutubeとかみんな絶賛お祭り状態だからなw。
13名無し@デスアイランド視聴済み
ネタバレはしにくい所はあるけど、オマージュは結構出ているw
14名無し@デスアイランド視聴済み
あのオマージュはオマージュのオマージュだろwww
15名無し@デスアイランド視聴済み
映画の上映が終わってDVDが発売したら、あのシーンのMADが出回りまくるんだろうなwww
16名無し@デスアイランド視聴済み
お前ら、最後の話ばっかりしないで、最初から振り返えれよ
17名無し@デスアイランド視聴済み
最初は何といっても、飛行機の墜落シーンだな。生徒の中に事前に全くアナウンスが無かった星アキラが混じっていたのはびっくりしたけど、飛行機墜落シーンで死んじゃって、なんだ友情出演かって思ったわw
18名無し@デスアイランド視聴済み
あれは、びっくりした。 星アキラ何で!?って思ったけどすぐに死んじゃったから、話題作りのチョイ役かって思ってたよ。
19名無し@デスアイランド視聴済み
俺も原作を読んでいたから25人目って何?って思ったけど、すぐに死んで納得。最後の方には存在を忘れていたわ。
20名無し@デスアイランド視聴済み
まぁ、話題作りのためのちょっとした顔出しだけだって思うよね。
21名無し@デスアイランド視聴済み
私も星アキラ出演!ってマーケティングしようとしたけど、詐欺になるから止めたんだと思ってたw
22名無し@デスアイランド視聴済み
でも、飛行機墜落シーンはお金もかかっていて、緊迫感があって良かったよな。
23名無し@デスアイランド視聴済み
その後に無人島に漂着してから始まる殺人バトルと演技バトルwww
24名無し@デスアイランド視聴済み
殺人と別次元のバトルが開催されていたよなw
25名無し@デスアイランド視聴済み
最初の方はいつもの百城千世子映画かと思っていたんだけどな・・・。
26名無し@デスアイランド視聴済み
千世子ちゃんの映画は全部質がいいけど、突き抜けたのが無かったけどこれは突き抜けすぎたww
27名無し@デスアイランド視聴済み
デスアイランドのアプリを無視して和歌月千が堂上竜吾を切り殺す時に、景ちゃんがゲロ吐いた所からだんだんおかしくなって行ったな。
28名無し@デスアイランド視聴済み
あのゲロシーンは衝撃的だったわ。 堂上竜吾が切り殺されるよりも、景ちゃんのゲロが一番衝撃的過ぎたw
29名無し@デスアイランド視聴済み
あれ、本当に吐いたらしいな。役に入りすぎていたってYoutubeチャンネルで言ってたwww
30名無し@デスアイランド視聴済み
ゲロ吐くシーンをカットしようとしたんだけど、アキラ君が良いシーンだから是非使わないかって監督を説得した話が好き。
31名無し@デスアイランド視聴済み
普通はゲロ吐く女優なんて人気降下なのに、役に入り込んでゲロで評価を上げる女優、夜凪景
32名無し@デスアイランド視聴済み
緊迫のゲロ一発で一気に評価を評価を上げるとかすごすぎだよね。
33名無し@デスアイランド視聴済み
確かに目の前でクラスメイトが切り殺されたらゲロ吐くかもね
34名無し@デスアイランド視聴済み
リアルだとそうなるかもw
35名無し@デスアイランド視聴済み
そんで和歌月ちゃんから逃げて、崖から飛び降りるシーン好き。
36名無し@デスアイランド視聴済み
あれ、本当に飛び降りたらしいな。 本当は飛び降りる予定じゃなくて撮影スタッフがすごく焦ったって直前スペシャルで言っててびっくりしたわ。
37名無し@デスアイランド視聴済み
湯島茜ちゃんも良かったよね。緊迫の中、一生懸命逃げているシーンもすごく良かった。
38名無し@デスアイランド視聴済み
茜ちゃんは景ちゃんと一緒に映るシーンが多かったけど、後半に向けてどんどん良くなって行ったよな。
39名無し@デスアイランド視聴済み
茜ちゃんもこの映画でかなりファンが出来て、人気急上昇で最近はバラエティとかでもいろいろ出演するようになったよね。
40名無し@デスアイランド視聴済み
和歌月千ちゃんも良かった。最初のうちはちょっと固いかな?とか思ったけど、どんどん良くなって行ったよね。
41名無し@デスアイランド視聴済み
あの体当たりの演技が良かったよね。
42名無し@デスアイランド視聴済み
千ちゃんは俳優オーディションでスターズに入ったばっかりで注目を集めるためにいい役になったけど、体当たりで演技してて応援したくなった。
43名無し@デスアイランド視聴済み
デスアイランドに出演した俳優はみんな注目の的だよね。バラエティやワイドショーに呼ばれて、いろいろ撮影の事を聞かれたり、いろんな役をオファーされているよな。
44名無し@デスアイランド視聴済み
この前、茜ちゃんをドラマで見た時は嬉しかったわ。茜ちゃんもブレイクしそうだもんな。
45名無し@デスアイランド視聴済み
あの大阪弁がいいんだよな。ぎこちなく標準語使っている所とか。
46名無し@デスアイランド視聴済み
デスアイランドは今、ブームの真っただ中だからな。 興行収入が初週で9億円で、話題が話題を呼んで1ヵ月の興行収入が39億円とか星アリサもウハウハで笑いが止まらないだろw
47名無し@デスアイランド視聴済み
もう2週間ぐらいで製作費を回収しているからなw
48名無し@デスアイランド視聴済み
リピーターも多いから興行収入の落ちも少ないからね。
49名無し@デスアイランド視聴済み
この映画はまだ見ていない友達に勧めたくなるよね。
50名無し@デスアイランド視聴済み
友達に勧める時はラストは言えないけど、とにかく面白いから見てみって言ってるわ。
51名無し@デスアイランド視聴済み
そして、中盤から終盤までは百城千世子と夜凪景の演技対決がすごかったよな。
52名無し@デスアイランド視聴済み
そうだね。あれが最高だった。
53名無し@デスアイランド視聴済み
百城千世子と夜凪景はここにあり!!って感じだった。
54名無し@デスアイランド視聴済み
お互いを殺し合うデスゲームがお互いを演技で喰い合う演技ゲームになっていて草ww
55名無し@デスアイランド視聴済み
あの二人、映画の中では親友同士の役のはずなのになぜ、バックに雷や嵐が見えるのかw
56名無し@デスアイランド視聴済み
普通は乙女二人が麗しく薔薇が咲くはずなのに、背景に世紀末の荒廃した風景が幻視されるのはなぜなのかwww
57名無し@デスアイランド視聴済み
俺も、演技はすごく良くて、最高のシーンだとは思ったんだけど、一瞬、ケンシロウとラオウが見えたわw
58名無し@デスアイランド視聴済み
お互いに引く気が無いのに、お互いを生かしまくっていて草生えたwww
59名無し@デスアイランド視聴済み
特に千世子ちゃんは一皮剥けたよね。
60名無し@デスアイランド視聴済み
そうだよね。千世子ちゃんって良くも悪くも品質が一定していて外れも無かったけど、すごい当たりも無かった感じだったけど、この映画はまじですごい当たりだよ。
61名無し@デスアイランド視聴済み
やっぱり覚醒させるためには、強力なライバルが必要なんだな。
62名無し@デスアイランド視聴済み
あの二人、友達で仲が良いけどバチバチのライバルでもあるからな。
63名無し@デスアイランド視聴済み
演技でお互いに全く手加減していないのが草生えるwww
64名無し@デスアイランド視聴済み
景ちゃんと共演している時の千世子ちゃんは突き抜けて綺麗だからな。
65名無し@デスアイランド視聴済み
そして、景ちゃんの現実を思わせるヤバイ芝居。本当に現実と錯覚させるぐらい目が離せない演技をするよね。
66名無し@デスアイランド視聴済み
景ちゃんは観れば見るほど味があるよね。 何回見ても観る度に発見がある感じ。
67名無し@デスアイランド視聴済み
そう。そこが千世子ちゃんと全く違った魅力なんだよな。えっ、こんなところまで演技しているんだって言うそのすごさが何回も見ていると気が付く感じだよね。
68名無し@デスアイランド視聴済み
初回からとんでもない高みへ全開で飛ばす千世子ちゃんと、噛めば噛むほど味が出る景ちゃん。キャラクターの違いも面白いよね。
69名無し@デスアイランド視聴済み
演技面で言えば 景ちゃん > 千世子ちゃん なんだろうけど、トータルの映りやテクニックは千世子ちゃんが凄すぎだよね
70名無し@デスアイランド視聴済み
結局、二人は切磋琢磨するライバルだし、ライバル無くして成長は無いというスポコン漫画を地で行く展開が凄すぎるよね。
71名無し@デスアイランド視聴済み
正直、二人の演技が飛びぬけすぎてて、他に覚えているのは和歌月千ちゃんと湯島茜ちゃんぐらいしか印象に残らなかったわ・・・。
72名無し@デスアイランド視聴済み
マジで24人を無人島に集めて演技を競い合うデスゲーム、デスアイランドだったわ。
73名無し@デスアイランド視聴済み
演技力が無い人は影が薄くなると言う・・・。
74名無し@デスアイランド視聴済み
まぁ、それ以前にあの二人に勝負するって気構えが茜ちゃんと千ちゃんぐらいしか見えなくて、後は腰が引けてたから影が薄くなっちゃうのは仕方が無いね。
75名無し@デスアイランド視聴済み
普段の千世子ちゃん映画なら、それなりに見せ場とか作れたんだろうけど、今回はライバルの景ちゃんとバチバチのバトルだったから、自力で演技を見せられないと印象が薄くなっちゃうのは仕方が無いね。
この勢いだと間違いなく、今年の日本アカデミー賞の主演女優賞は千世子ちゃんで、助演女優賞は景ちゃんだろうな。
76名無し@デスアイランド視聴済み
久々に、アニメ以外での超大当たりの邦画だからな。
77名無し@デスアイランド視聴済み
今年の日本アカデミー賞はデスアイランド一色になりそうだから、新人俳優賞は和歌月千ちゃんか湯島茜ちゃんが狙えるかも
78名無し@デスアイランド視聴済み
珍獣君も日本アカデミー賞の助演男優賞行けるんでしょうかね?
79名無し@デスアイランド視聴済み
あのクソガキは本家のアカデミー賞をコスプレ女装して受賞したという超伝説の持ち主だから、日本アカデミー賞の主演はともかく、助演は受賞しない不文律になっていると思われるからな・・・。
80名無し@デスアイランド視聴済み
千世子ちゃんは何度もノミネートされているけど、アキラ君は助演でノミネートすらされた事が無いからな。
81名無し@デスアイランド視聴済み
アキラ君はウルトラ仮面で主演を務めた後は、日本もアメリカも助演ばっかりだからな。
82名無し@デスアイランド視聴済み
本人は全く主役にこだわりが無いからなwww 今まで自分で主演やりたいって言ったのウルトラ仮面ぐらいだろ。
83名無し@デスアイランド視聴済み
最優秀悪役賞があったら、今回は間違いなく受賞だけどなwww
84名無し@デスアイランド視聴済み
正直、日本アカデミー賞が何個束になっても、本場のアカデミー賞受賞の栄誉に比べたら全く勝負にならないし、助演の方は今更もらってもって雰囲気だよね。
85名無し@デスアイランド視聴済み
でも星アキラはゲーム・オブ・アローンズとかスターワーズとかに出演しているのを見ると、マジでハリウッド俳優だから凄すぎるよな。
86名無し@デスアイランド視聴済み
海外ドラマに出ている時は普段のギャップと役の演技の差がありすぎて温度差で風邪をひくわwww
87名無し@デスアイランド視聴済み
メンタリズムで狂った知能犯を演じていた時は、その狂気に寒気すらしたわ。本当に実力でハリウッドでも引っ張りだこの凄い俳優だからな。
88名無し@デスアイランド視聴済み
今回の狂気もハッチャケすぎて、すごかったけどなww
89名無し@デスアイランド視聴済み
まぁ、星アキラ以外の俳優があれやったら多かれ少なかれ批判はありそうだけど、星アキラだからOKみたいなところもあるからな。
90名無し@デスアイランド視聴済み
その意味ではハリウッドでも主演を張れる王賀美陸と、スーパー助演職人の星アキラはキャラクターが全然違って面白いよね。
91名無し@デスアイランド視聴済み
でも日本アカデミー賞でも、千世子ちゃん、景ちゃん、アキラ君が揃った授賞式を見て見たいww絶対に何かやるwww
92名無し@デスアイランド視聴済み
それは間違いなくそう。でも、まだお堅い日本アカデミー賞が星アキラを受け入れられる余地があるとも思えんwww
93名無し@デスアイランド視聴済み
そして問題のクライマックスシーンに移る訳だ。
94名無し@デスアイランド視聴済み
原作を読んでいたからまさか犯人が出てくるとは思わなかった。
95名無し@デスアイランド視聴済み
そう。そしてその犯人がwwwwww
96名無し@デスアイランド視聴済み
キャラクターが濃すぎて、みんな超真面目に演じているんだけど、笑いが溢れていたからなwww
97名無し@デスアイランド視聴済み
あれは星アキラしかできないだろ。映画の中は超シリアスでも黒幕のキャラが濃すぎて、悪役の語録とフラグ立てすぎて笑うしか無かったわwww
98名無し@デスアイランド視聴済み
それまでが、超シリアスで千世子ちゃんと景ちゃんの名演もあって、友達がどんどん殺されてストレスばっかり貯まって行く展開で、原作通りに終わったら、そこそこは売れただろうけど、ここまでヒットしなかっただろうからな。
99名無し@デスアイランド視聴済み
ここまでザマァって思った悪役も初めてだった。
そしてアキラ君のおかげで、シリアスで暗くて鬱蒼としたデスアイランドの映画の印象が楽しい思い出に変化したわw
100名無し@デスアイランド視聴済み
悪役キャラブレブレなんだけど、星アキラのミラクル顔芸と合わせてそれがものすごいイイキャラだったからなwww
101名無し@デスアイランド視聴済み
ここで死んじゃったのがもったいないwww
102名無し@デスアイランド視聴済み
いや、一瞬でものすごい印象を植え付けて、スッキリ死んじゃうからこんな伝説を残せたんだと思う。 そして、最後に景ちゃんが言ったように、第2第3の珍獣が・・・www
103名無し@デスアイランド視聴済み
ベネットからのムスカ大佐からの、ディオ、キラ、タッカー、慢心王その他諸々、悪役キャラがチャンポンすぎて大渋滞だったわw
104名無し@デスアイランド視聴済み
あの顔芸と語録のコンボと立てまくるフラグ全開で笑いしか無かったwww
105名無し@デスアイランド視聴済み
千世子ちゃんがアキラ君の演技に乗ってたのも笑ったw
106名無し@デスアイランド視聴済み
あの悪役チャンポンでキャラブレブレなのが逆に厨二病っぽいリアルさを出して最高だったwww
107名無し@デスアイランド視聴済み
あそこまで全く同情心が無くてやられてスッキリする悪役は初めてだったわww
108名無し@デスアイランド視聴済み
最後のボイラーに刺さる死に方まで完璧だったからなw
109名無し@デスアイランド視聴済み
あの演技、全部台本だったのかな?
110名無し@デスアイランド視聴済み
いや、アドリブだったらしいぞ。展開はぼかして、ワイドショーで千世子ちゃんにクライマックスは台本なんですか?ってアナウンサーが質問してたら、全部アドリブでしたって答えていたからなww
111名無し@デスアイランド視聴済み
あれにアドリブで合わせられる百城千世子もすごすぎだろwww
112名無し@デスアイランド視聴済み
千世子ちゃんも景ちゃんも二人とも超ノリノリだっただろw
113名無し@デスアイランド視聴済み
千世子ちゃんの説得シーンと最後の景ちゃんのセリフで映画館でマジ爆笑だったわwww
114名無し@デスアイランド視聴済み
屈指の名(迷)シーンになったよなw
115名無し@デスアイランド視聴済み
完全に公式が病気タグはこの映画のために在る感じwww
116名無し@デスアイランド視聴済み
それまで凄惨で、デスゲームの中、人間の汚い面と綺麗な面の両方を見せられて、極限状態で観客にもストレスが溜まり切っている状態で、最後のシーンがあれで、アキラ君が討伐されるのを見て、笑いと一緒にストレスが全解消してスッキリだったわ。
117名無し@デスアイランド視聴済み
あれは、映画を観ている間のストレスと日ごろのストレスも一緒に解消してくれて、映画を観終わった時にスッキリして、久々に映画見た―――って充実感と満足感でいっぱいだったわ。
118名無し@デスアイランド視聴済み
そうだよな。あのストレスが一瞬で解消される感じ。便秘解消と一緒でものすごい爽快感だったわw
119名無し@デスアイランド視聴済み
あの爽快感抜きにはこの映画は語れないよね。
120名無し@デスアイランド視聴済み
DVDやBDが発売されたら、映像素材としてまたお祭り状態になるんだろうなwww
121名無し@デスアイランド視聴済み
コマンドーとの比較も観て見たいわw
122名無し@デスアイランド視聴済み
映画見た人はこの感想を共有したくなるのは良く判る。
123名無し@デスアイランド視聴済み
このクライマックスでのアキラ君の働きがあってこそのこの大ヒットだからな
124名無し@デスアイランド視聴済み
百城千世子 VS 夜凪景の ゴジラ VS モスラ対決かと思っていたら、最後に星アキラのダークライが出て三つ巴の大バトルだったわwwww
125名無し@デスアイランド視聴済み
マジで唐突なダークライだったねw
そして、それが最高だったwww
126名無し@デスアイランド視聴済み
星アキラの偉大さが良くわかった。
127名無し@デスアイランド視聴済み
今度、3人でガチ対決する映画とかも観たいな。
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【Live】デスアイランドDVD/BD発売記念
「おはこんばんにちは。役者なのにみんなのアイドル。わからせたい役者ナンバーワンの天才俳優 星アキラです。今日は千世子ちゃんが主演したデスアイランドのDVD/Blu-rayの発売記念ライブをやるよ。今日のゲストはこちら!」
「主人公 カレン役の百城千世子です」
「カレンちゃんのクラスメイトで頼れる相棒ケイコ役の夜凪景です。」
「同じくクラスメイトのアヤカ役の湯島茜です。」
「デスアイランドのアプリに惑わされて殺人鬼になる、クラスメイトのトモコ役の和歌月千です。」
「いやー。みんなの熱演もあって、デスアイランドも大ヒット。裏方でみんなのお手伝いをしていた僕も映画がヒットしてすごく嬉しいよ。DVDやBlu-rayなんかも予約数がすごくて、販売も好調だよ!!」
「「「「・・・・・・・・・・。」」」」
「あれ? みんなどうしたの? 黙っちゃっているけど・・・。」
そりゃそうだよなwww
裏方とか、アキラ君すごく白々しいw
DVDにはキャストで星アキラが明記されたよね。
あれはびっくりしたよ。
劇場公開から8ヶ月経っているし、DVDやBDの売り込みではアキラ君が全面に出ているよね。
映画公開時からみんなお漏らししていたけどアキラ君出演が大ヒットの大きなキーだったからな
アキラ君の出演を知っている人から見ると、しら~とするよなw
「アキラちゃん? 裏方って、あなた最後で全部持ってっちゃったじゃないの!!」
「そうやねん。まさか最後にあんなサプライズがあるなんて・・・。」
「そうだね。それじゃ最初の質問に行ってみようか。」
アキラ君がラスボスってみんな知っていたの?
|
「まずはこの話をしないと、話が進まなそうだから行ってみようか。」
「私は全く知りませんでした。台本にもありませんでしたし。」
「うちも全然知らんかってん。まさか台本に書かれておらんシーンがあるなんて、ビックリやったわ。」
「あの台本は別冊で僕と、千世子ちゃんと景ちゃんにしか配られなかったからね。二人ともどこであのシーンを知ったの?」
「みんなで舞台挨拶をした時の初放映時です。」
「うちも。」
「見た時どうだった?」
「目玉が飛び出るぐらいびっくりしたわ。舞台挨拶の後に両親と一緒に出来上がった映画をみてあんぐりだったわ。」
「私も原作通り別々に脱出して、沖でカレンちゃんやケイコと合流して終わりだと思っていたので、あのシーンにはすごくビックリしました。」
「あれは、クラスメイト同士の殺し合いと謎だらけで映画を終わらせると後味が悪いし、2作目を作るっていう保証も出来なかったから、集A社と交渉してオリジナル黒幕を入れることにしたんだ。 それでその対決シーンは千世子ちゃんと景ちゃんだけしか出演しなかったので、映画放映まで秘密にしたんだ。」
「なるほど、確かにあのシーンを入れたから、この映画がここまで人気になったって所もありますからね。」
「千ちゃん、騙されちゃだめや。なんぼなんでもあんなぶっ飛んだ台本になっとる訳あらへん。」
「ちょうどいいから、2つ目の質問に行こうか。」
あのラストシーンってアドリブだったんですか?
|
「完全にアドリブだったわ。リハーサルとかは本当に台本通りだったんだけど、本番を始める前に、アキラちゃんが私を見てニヤッっと笑った時点であっ、絶対に何かやるって思ったわ。」
「千世子さん、あんなアドリブにどうやって合わせたんですか?」
「元々、アキラちゃんのアドリブは、台本通りに演じていれば、話のギャップができないようにアキラちゃん側で調整するわ。 だからとりあえず台本通りに演じて、アキラちゃんの様子を見てどんな展開にしたいのかを判断して、話を合わせていく感じね。基本的に役はそのままでアキラちゃんの話に合わせておけば、アキラちゃん側で面白くしてくれるわ。でも、今回の演技は、今までの中でも一番空気を読まないキャラクターを演じたわね。」
「あのアキラ君への景ちゃんを離せって言う説得のシーンは台本通りだったんですか?」
「全然違うわ。アキラちゃんは悪役のセリフ全開で死亡フラグを立てまくる変なキャラクターを演じていたけれども、一番最初のセリフはコマンド―のベネットのセリフだったわ。それでシチュエーション的に考えてメイトリックスがベネットを説得するシーンのパロディーに導こうとしているんだと思ったから、それに乗った形ね。」
「そうだったんですか!? 私はアキラさんに銃を突き付けられながら、千世子ちゃんが突然コマンド―のセリフを言い始めてビックリしました。そんなの判断できなかったです。」
「その辺は付き合いの長さよ。アキラちゃんがコマンド―を好きなのはわかっていたし、様々な悪役のオマージュ全開で持ってきたから、その悪役の中で同じようなシチュエーションを判断すると、コマンド―の展開だったもの。」
「そうだね。僕も千世子ちゃんじゃないと、あんな無茶なアドリブ全開の演技はしなかったね。」
「あのアキラさんのアドリブに付いて行けなくて悔しかったです。」
「でも最後に景ちゃんもちゃんとゴジラのセリフを言って締めてくれたじゃん。」
「でも、アキラさんともっと合わせられたら、セリフが弾んだと思うと悔しいです。」
「景ちゃんは、完全に役になり切るけれども、ケイコとして演じている時に意味不明なキャラクターに遭遇するとそうなるわよね。 仮に現実でケイコが居たとしても、あの意味不明なアキラ君に銃を突き付けられたら全く動けなかったと思うわ。今までアキラちゃんの悪役は知能犯か性格破綻者が多かったけれども、唐突なパロディー悪役に面を喰らったわね。その意味では景ちゃんにも意外な弱点があったわね。」
やっぱりあれって、完全なアドリブだったんだ!
いきなりあんな台本無視アドリブをするアキラ君とそれに合わせられる千世子ちゃんとかすごすぎる。
本当に強烈なキャラクターだったからな
あの演技があったから今のデスアイランドがあるまである
セリフで世界観をぶち壊しつつも、やたら中二病でリアルな悪役だったな
本当に。中二病でこういうやつ居そうって妙なリアルさが笑いと映画の締めを飾ったわ。
あの悪役セリフ群はニフニフとかようつべとかに大量のパロディーが上がるからな
想定外の演技に弱いとか、景ちゃんの意外な弱点があったな。
単純にあの一条アキラが想定外に濃すぎただけだろwww
「それじゃ。次の質問に行ってみような。」
一条アキラの性格は元々どういう性格だったんですか?
|
「実はBlu-ray初回特典のアキラ君秘密ディスクと顔芸シートと一緒に最後のシーンの台本も付属しているので、是非観て欲しいな。手塚監督と僕が話すオーディオコメンタリーも必見だよ!!」
「うちは映画放映後にあの台本を見せてもろて、詐欺かって思うたわ。」
「私も映画で衝撃を受けて、スターズの人経由であのシーンの台本を見て愕然としました。元の設定は千世子ちゃんに振られて復讐心を抱いただけの根暗オタクが、犯罪組織に利用されてただけだったのに、あんなキャラクターになってビックリでした。」
「本当に。あれ演じている時に世界観をぶっ壊していいのかしら?って思ったんだけど、映画オタクで中二病になったアキラちゃんってこんなのなんだろうなって思って普通に演じられたわ。」
「あの顔芸と雰囲気に笑っちゃいましたけど、ちゃんと命のやり取りをする名演でもあるんですよね。だから実際の雰囲気はほとんど壊れなくて、ただ悪が成敗されてスッキリした感じになったのが驚きでした。」
「この辺はエンターテイナーであるアキラちゃんの絶妙なバランス感覚よね。 一条アキラの存在意義自体は、暗くて謎だけを残して終わるデスゲームから、黒幕として倒されて観客のストレスを開放するための役付けだから、上手くパロディーを織り交ぜて滅茶苦茶な演技をしながら、世界観をぶち壊さずに面白く終わるとか、普通の俳優にはできないわ。」
「そう考えると、アキラさんって好き勝手に演じているように見えましたけど、すごく高度な演技をしていたんですか?」
「千ちゃん、高度どころじゃないわ。普通にあんなキャラを好き勝手に演じていたら、映画を壊した戦犯として後世に語り継がれるわよ。それをみんなが笑って許してすごい演技だったって盛り上がるレベルを見極めて、世界観を壊さずにあんなパロディー全開のキャラクターを入れてくるなんて、蜘蛛の糸で綱渡りをするのが大好きなアキラちゃんじゃないと、絶対に無理だわ。それに、あのシーンは台本通りに演技すると一条アキラの存在意義自体が無かったし。」
「どういう事ですか?」
「一条アキラというのは、デスゲームでクラスメイト同士が殺し合った後に、謎を残して映画が終わる場合、観客の後味が悪くなるのを防ぐために入れられた悪役よ。 でも普通に根暗オタクの知能犯って設定でアキラちゃんが私達に殺されると、ただのデスゲームの延長をそのまましただけなので、凄惨な死亡シーンが増えるだけで、観客の後味が悪くなるのを防ぐどころか、犠牲者が増えて心象が余計悪化するわ。だから観客から見て、謎が未解決なのを放置したままである事を意識させずに、スッキリと死んで当然という悪役である必要があったのよ。 それで台本通りだとその目的が全く達成されない訳ね。 だから私もアキラちゃんがアドリブを入れてくるとは思ったけれども、こんな悪役になったのはビックリだったわ。てっきり私はハードボイルドな二枚目悪役路線で来ると思っていたわ。」
「千世子ちゃんの言う通りだね。役を考えると例えば、家族が人質に取られていて、苦渋の決断で良心と葛藤しながらデスゲームを指示していたなんて言う設定だと、余計に一条アキラが死んだときの同情心と不条理さから観客は心理的なストレスが増えてしまうから、この場合はカッコ良くて、観客の共感を呼ぶような悪役ではなくて、全く共感を呼ばずに気持ちよく死ぬ悪役である必要があったんだ。だから悪役パロディーのセリフオンパレードで中二病っぽいキャラクターが生まれた訳だね。」
「アキラさんも千世子ちゃんも映画の構成や観客の気持ちまで考えられてすごいですっ。私なんて役になり切るだけで精一杯でした。」
「景ちゃんの場合には、その役になり切るって言うのがとてつもなくすごいんだけどね。」
「うちはアキラさんと千世子ちゃんがそこまで考えとるって思ってへんでした。てっきりアキラさんが好き勝手に演技してただけかと思ってました。」
「茜ちゃん、どうだい僕を見直したかい?ふふん♪」
「湯島さん、騙されちゃだめよ。後付けの理由を説明したとしても、アキラちゃんがあんなやばいキャラクターを好きで演じたかったのは間違い無いわ。」
「千世子ちゃん、ネタバレはだめだよ。 せっかく茜ちゃんがアキラさん素敵とか、キラキラした目で見てくれるかもしれないのに!!」
「いや、珍獣をキラキラした目でみるのは無理やねん。」
「茜ちゃんも酷いよっ。ううううっ。」
「アキラさん、元気を出してくださいっ。このお茶菓子に出ている、柏餅の葉っぱをあげますからっ。」
「なにげに景ちゃんが一番ひどいよっ。僕は柏の葉っぱを食べる珍獣じゃないよ!!」
クソワロタwww
後輩にまで弄られる珍獣、星アキラwす朝野いちごch
天は二物を与えたけど、珍獣からは逃れられない運命なんだなww
でもこのシチュエーション、女優4人に男1人とかハーレムだよね?
ハーレムと言うか、学校で飼っているウサギに餌を与えている女子たちというか・・・。
アキラ君、現実にはモテるんだろうけど、モテてるシチュエーションが想像できないwww
そうだよな。女子に珍獣が世話をされているようにしか見えないw
でもアキラ君も良く考えて役を作っているんだな。
あんな滅茶苦茶な演技だと思っていた一条アキラがここまでいろんな事を考えて演じているとは思わなかった。
アキラ君と千世子ちゃんは構成力がすごいよね。それで景ちゃんは演技力がすごい。
あの大ヒットとキャラクターの裏にはこんな緻密な?計算があったんだ。
でもアキラ君は、結局はその緻密な計算を全部ぶん投げて好きなように演じてそうww
「それじゃ、ちょっと話題を変えてこの質問に行こうか。」
和歌月さんと湯島さんは映画に出た後に世間の反応は何か変わりましたか?
|
「千ちゃんはどうだった? 映画に出た事で何か変わった?」
「私は元々スターズの新人発掘オーディションに受かって、半年でトモコ役に抜擢されたんですけど、映画に出た後は名前を覚えてもらっていろいろなお仕事をもらえるようになりました。特にドラマとか映画とかの役に呼んでもらう事が多くなりましたし、グラビア撮影とかのお仕事にも声をかけていただけるようになりました。」
「なるほど、なるほど、いろんなお仕事に声をかけてもらえるのはすごくいい事だね。プライベートとかでは何か変わった事はある?」
「はい。高校の友達や中学校からの友達からすごく声をかけてもらえるようになりました。あと道で声をかけられるようになったり、サインを頼まれたりするようになりました。明らかにあの映画の放映後に人気が急上昇したみたいです。」
「いいね。デスアイランドの中でも千ちゃんはすごく元気があって、一生懸命体当たりで演じていた所がすごく良かったよね。クラスメイトを複数人殺して、最後には後悔して自殺するという難しい役だったけど、すごく真摯に役に向き合っていて僕も感心したよ。」
「あれは、アキラさんにアドバイスをもらったおかげですし・・・。」
「アキラさんのアドバイスってどういうアドバイスだったんですか?」
「相手を本気にさせるぐらい真剣に演じるようにって感じです。それ以来、体当たりで一生懸命演じるようになりました。」
「なるほど、アキラちゃんもたまにはいいアドバイスをするのね。」
「うわっ、僕がいつも変なアドバイスばっかりしていると思っているんでしょう? 僕もたまにはいいアドバイスをするんだよ!」
「でもアキラさん、よく私をからかって、変なアドバイスをしますし。この前なんか、バケツをかぶって歌うと歌が上手くなるとか言って、バケツをかぶるのはみんなやっている事だから、景ちゃんも音楽の時間にバケツをかぶって歌った方がいいよってアドバイスされたので、この前、音楽の時間にバケツをかぶって歌を練習したら、みんなに笑われちゃいましたし。」
「騙される景ちゃんが純情すぎるwww。 でもバケツをかぶって歌うと歌が上手くなるのは本当だよ。 反響や振動を介して聞いた自分の声じゃなくて、耳から入った自分の声を確認できるようになるから、歌の練習には特効の練習方法だよ。」
景ちゃん、騙されていて笑えるwww
本当の事と嘘を入り混じって教えるのが嫌らしいw
音楽の時間にそんな事したらそりゃみんな笑うだろwww
景ちゃんは誰も音楽時間にバケツをかぶっていない事に疑問を抱かなかったのかw
景ちゃんのクラスの状況が想像できて面白いww
でも、和歌月さんもヒットして良かったな。
デスアイランドの体当たりの演技、すごく良かったもんね。
サイン頼まれるは人気のバロメータとしてありそうだよね。
デスアイランドでのトモコの演技、すごく良かった。
あの葛藤しながら、みんなを殺していた刀で自分も自殺するシーン、すごくゾクッと来た。
デスゲームに巻き込まれた悲哀っていうのがすごく良く表現されていたもんね。
「それじゃ、茜ちゃんはどうだった? デスアイランドに出演した事で何か変わった事とかあった?」
「まず、千ちゃんと同じく、いろんな番組やドラマ、映画なんかに呼んでもらえるようになりました。それから、関西のローカル局なんやけど、アシスタントとして番組に出られるようになりました。なによりも、俳優になる事を反対していた両親が私を認めてくれて応援してくれるようになったのが一番嬉しかったです。」
「茜ちゃんは大阪弁を隠さなくなったよね。すごく個性的でいいと思うよ。」
「関東に出てきた時に東京弁で話そかと思うたんやけど、デスアイランドで個性を出すために大阪弁で話すようになったら、そのまま人気が出て大阪弁で話すようになっちゃいましてん。せやけど、そのおかげで関東でも関西から出てきた芸人さんとか先輩俳優に可愛がってもらっとりますし、関西の番組でアシスタントなんかをさせてもろとるし、こっちの方が話しやすいのでめっさ楽なんやで。」
「そういえば、アキラ君に聞きたい事があったんやが。」
「ん?何かな?」
「デスアイランドのオーディションの時に、東京弁やったし、ほとんど喋らんかったはずなんやけど、どうしてうちが関西の人間だってわかったんですか?」
「なるほど。茜ちゃんには僕がどうして茜ちゃんが関西人だって見分けられたか不思議だったんだ。 理由は簡単で、茜ちゃんの頭の中では当然大阪弁で考えているよね。だから、その考える言葉のリズムが動作にも表れているんだ。 だからすぐにわかったよ。」
「行動のリズムを見ただけで、その人の出身地がわかるんの!? 凄すぎるんやけど!!」
「いや、全員が見分けられるって訳じゃないよ。でも関西の人は少しオーバーな動きをするし、イントネーションに合わせて行動の開始と終了のタイミングがちょっと変わるからわかりやすいかな。」
「千世子ちゃん、ベテラン俳優ってみんなこんな感じなん!?」
「人の行動をリズムで見分けるのは音楽が好きなアキラちゃん特有の感じ方よね。でも役者としては普段からそういった事を観察する必要があるわね。 役を演じると言うのは、まず観察能力が必要とされるから、感覚でもいいし、理論でもいいから、普段からちゃんと人の行動を観察しておく必要があるわよ。」
「まぁ、ぶっちゃけ、この辺の見分け方とか人の観察とかは千世子ちゃんの方が上手だよね。そんな訳で、演技をするためには、対象に似せる必要があって、似せるためには日々人間観察が大切って訳だね。」
「なるほど。めっちゃ勉強になりましたわ。」
「私も人間観察大好きですっ。」
「いや、景ちゃんの人間観察はストーカーして、その人の微妙な仕草や癖まで再現するから様々な意味でゲロヤバなんだよね。景ちゃんのやつは、役になり切ると言うか、その人をコピーするって感じなんだよね。景ちゃんはそれを無意識に出来るから恐ろしいけど、景ちゃんのこそ、もろに感覚的な感じだからこれを人間観察と言っていいかはすごく微妙なんだよね・・・。」
実は景ちゃんが一番ヤバかったw
人間観察と言う名の別のナニカwww
景ちゃんがストーカー。ハァハァ。興奮します。
↑変態発見!!
でも俳優ってみんな凄いんだな
確かにちゃんと人間観察ができないと役を演じられないよな
でも、茜ちゃんもブレイクしてイイ!
俺もデスアイランドでファンになったから茜ちゃんが人気になって嬉しい!
茜ちゃんも女優で生計を立てられるようになって本当に良かったよな。
俺、茜ちゃんがアシスタントで出ている番組いつも見ているわ。
茜ちゃん、あの大阪弁がすごく可愛くていいんだよな。
マジで茜ちゃんは関西の星やで!
「そんじゃ次の質問に行ってみよう!」
千世子ちゃんと景ちゃんはバチバチの演技バトルをしてたの?
|
「バチバチの演技バトルだったわ。 最初のうちは景ちゃんの演技に劣勢で、途中から景ちゃんを上手く生かす方法を見つけて、なんとか対応した感じね。」
「えっ、千世子ちゃん、途中から演技の感触が変わりましたけど、そんな事していたんですか!?」
「景ちゃんが演技バトルをしている事自体に気が付かないは、景ちゃんあるあるだね。」
「景ちゃんは役になり切って演技するのがメインだから、そう言った心理描写とか演技技術は、役になり切った上でアリサさんに教えられて体で染みこんだ部分から出てくるから、本人はほぼ無意識よね。」
「まぁ、ある意味悟りの境地に達して演技しているから一番すごいんだけど、だからわりとリアクションがわかりやすくて、転がしやすいというのはある。」
「よく私と景ちゃんが演技に対して正反対の人間って言われるけど、実はアキラちゃんと景ちゃんの方が正反対かもしれないわね。」
「僕と千世子ちゃんはベースの考え方が似ているから基本的には景ちゃんと対極に立ちやすいけど、役になり切って演技力全開の景ちゃんと、全体の構成やカメラの映りを重視する千世子ちゃんと、全体の雰囲気や印象とか感情を重視する僕では完全に三すくみの状態だよね。」
「構成をぶっ壊して演技力で殴って新鮮な驚きを与える景ちゃんと、構成と調和を重視する千世子ちゃんは相性が悪いけど、構成に拘らないで全体の印象を重視する僕の芝居だと、景ちゃんに自由に演技させているように見せて、景ちゃんを操って誘導しやすいっていうのはある。」
「でも、僕と千世子ちゃんの場合には僕の舞台装置が千世子ちゃんにバレているから、逆に僕が千世子ちゃんに上手く使われちゃう感じ。結局突き詰めると相性ってことだけど、幸いな事に今回のデスアイランドを見てもわかるように、強いて言えばってレベルだから共演できないってレベルじゃなくて、お互いの長所を上手く生かして共演できる感じだね。」
「多分そんな感じね。でも今回のデスアイランドで景ちゃんと共演できる方法が見つかって良かったわ。景ちゃんの利点を殺さないと共演できないとか、お芝居をしていても面白くないもの。」
「今回のデスアイランドでは明らかに千世子ちゃんの演技の仕方が変わったけど、何かあったの?」
「アキラちゃんに巨大タコ人形を載せた軽トラックで拉致されて、高校の文化祭に行った時に、文化祭の舞台でアキラちゃんが見せ場を作りつつ、スクールアイドルに繋いだのをヒントに、景ちゃんを自由に演技させた上で私も自由に構成や描写をまとめるようにしたら予想以上に上手く行ったわね。」
「言うのは簡単なんだけど、それをまとめられる千世子ちゃんが化け物すぎる・・・。映画を観ると手塚監督も編集は苦労したみたいだね。 最終的には良い仕上がりになって、みんな満足で良かった。」
「アキラさん、千世子ちゃんと文化祭に遊びに行ってずるいですっ。 私も一緒に行きたかったです。」
「いや、景ちゃんは普通に撮影があったからね。なら今度、一緒にどっかに出かけようか?」
「いやですっ。アキラさんだけじゃなくて、千世子ちゃんとも出かけたいですっ。」
「えええっ~。」
「なら、今度3人で阿良也君のお芝居でも観に行きましょうか?」
「それすごく楽しそうですっ!!」
「ぼっ僕の立場は!? これでも僕は、犬や猫を退けて、彼氏にしたい動物部門第一位に輝いた日本トップクラスのトレンディー俳優なんだよ!?」
「あれは、匿名掲示板でおもちゃにされて、ネタで投票数が伸びただけじゃない。」
「アンケートの選択肢に星アキラ(珍獣)が入っていた時点で祭りやったね。あのアンケート。」
「投票結果をそのまま掲載した雑誌も凄かったですよね。あのアンケート投票のハガキがある回と、結果が載っている回の雑誌の売れ行きも良くて、販売戦略に感心しました。あと、アンケート結果のインタビューにも素直に応じて、一位になった優越感満載で他のペットにケンカを売りまくっていたアキラさんのインタビュー記事もすごくシュールで面白かったです。」
「あのインタビューの時、アキラちゃんはスターズの事務所で珍獣の着ぐるみを着て、そのままインタビュー会場の雑誌編集社に行ったのよ。それで受付で案内の女性が爆笑して動けなくなって、案内できなかったらしいわよ。」
「アキラさんの珍獣としての魅力は絶対にありますよ。絶対にものすごいですよっ!」
「景ちゃん、それ全くフォローになっていないよ!!」
あのアンケートは凄かったなw
良く、星アキラを入れる気になったよなwww
アンケートにアキラ君が入っている事を、本人が知らなかった話もワロタ
1位になったアンケート結果で珍獣姿で堂々と編集部に乗り込むアキラ君よwww
あのアンケート1位は全く参考にならなくて笑った
2位以降はすごくまともなんだけどね・・・。
やはり、千世子ちゃんと景ちゃんはバチバチだったのかす朝野いちごch
3人の演技の関係は興味深いね
全体を気にする千世子ちゃんと、演技全力の景ちゃんの差か
確かに景ちゃんに滅茶苦茶されると千世子ちゃんは弱いかもwww
二人の全力の名演があったからこそのデスアイランドだよな
千世子ちゃんと景ちゃんの共演をもっと見たい!
二人が全力って結構難しいだね。
そう言えば、この3人でお出かけは羨ましい・・・。
---------------------------------------
「そんな訳で、そろそろ音楽の時間だね。」
えーーー。もう終わりなの!?
茜ちゃんと千ちゃんの話をもっと聞きたいよ!!
ぶぅ━━q( ̄(oo) ̄)p━━っ!!
もっと続けて欲しい。
デスアイランドの裏話をもっと聞きたい!!
こんなにゲストを集めてくれてすごく嬉しかった。
今日の放送はみんなの話を聞けて嬉しかった。
「今日は、茜ちゃんの好きな映画、フォレスト・ガンプ 一期一会より、アラン・シルヴェストリ作曲のフォレストガンプのテーマになります。それじゃ行ってみましょう。」
ああ~心が落ち着くわ。
すんごくいい曲だね。
トムハンクスの名演が思い出される・・・。
心の中に染みこんで来る・・・。
なんか前を向いて生きようって気になるわ。
このちょっと切なさを感じつつも純粋なメロディーに癒される感じがいい
心が洗われる。そして俺の煩悩も洗われてしまう・・・。
。゚(゚´(00)`゚)゚。 ブヒー!浄化されるブヒー
綺麗な感想の中に、萌え豚どもの叫びがwwww
人生はチョコレートの箱だね
開けてみるまで分からないんだよな。
シンプルな曲だけど、すごく人生を感じさせるね。
「演奏が終わったよ。茜ちゃんどうだった? ・・・茜ちゃん?」
「ひっくっ、ひっくっ、フォレストガンプの曲を生で聞けてめっちゃ感動した。デスアイランドの出演もオーディションでうちを選んでくれてありがとう。デスアイランドでみんなと共演出来た事も、今日の番組も、アキラ君が弾いてくれたピアノも一生の思い出やで。女優を目指して良かった。めっちゃ頑張ってきてよかった。ありがとうっ。ありがとうっ。」
「茜ちゃんが喜んでくれたみたいで本当に良かった。それじゃいい感じで閉まったから終わるね。」
「「「「「みんなバイバ~イ。またね~」」」」」
バイバイ~☆
バイビー☆
バイバイ☆
今日は最後に感動もあって良かったわ。す朝野いちごch
またねーーー☆
さよなら~☆
さいならー☆
今日も良かった~。
さよなら~。
バイバイね~
今回でデスアイランド編終了となります。
次回から銀河鉄道の夜編を考えていますので、よろしくお願いします。
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星アキラアンチ王選手権1
「えっ星アキラアンチ王選手権、オフコラボ大会!?」
「そうなの。それで是非、星アキラアンチ王最多王者のダリ姉にも参加してもらいたくて。」
秋色ダリアで配信を始めてはや4年。完全に趣味全開の配信だけど、古参ってこともあってYoutubeのチャンネル登録者数は20万人に達していた。
ちなみに、完全に趣味なので収益化とかはしていない。
放送の内容は相変わらず、クラシックをバックにした雑談配信がメイン。クラシック好きなリスナーが集まってわりと落ち着いた放送って感じ。 クラシック好きって事もあって年齢層は高めで、女性の比率も結構ある。
今ビスコードで通話している子は、大手のVTuber事務所である、よじライブinc所属の流月芽兎(るつきめと)さん。 映画をこよなく愛する変人でよじライブincさんが出来た時にはじめてデビューした子で、チャンネル登録者数も100万人を超えていた。
きっかけはデビューしたての彼女の方から私に出演のオファーをしてきた事で、当時はVTuberがほとんど居なくて珍しい事もあったし、その時の対談でも話が弾んで、たまに彼女の企画に呼ばれる存在になっていた。
音楽の話がメインで仲間内だけで雑談をする個人勢の秋色ダリアと、今や大手となったよじライブincさんの人気VTuber。コラボしてみると、お互いに映画の話などで盛り上がって、意外と相性は悪くなかった。
そんな彼女のキラーコンテンツが「星アキラアンチ王選手権」。 B級映画をこよなく愛する彼女はメインストリームで面白くて評価される星アキラが嫌いと公言しており、星アキラアンチを名乗っていたのだけど、同じ事務所の星アキラファンの子とそれでバトルとなって、嫉妬乙と論破されてキレた彼女が開催したのが「第一回 星アキラアンチ王選手権」。
ちなみに、彼女は星アキラはアンチだけど、星キアラは大ファンだったりする。
さすがにネタが通じるVTuber界でも炎上しかねないこの企画に出てくれるVTuberは居なくて、そこで参加をお願いされたのが私。
まぁ、私は炎上したとしてもいずれ飽きられるし、放送内容が変わる事も無いので、あまり気にせずに参加した。
第一回の参加者は私と芽兎ちゃんだけ。 問題は運営がテロップで出す感じで私と芽兎ちゃんが回答するというこじんまりした放送になった。
内容は星アキラにまつわる話だったんで、まぁ、私が芽兎ちゃんに圧勝した。
ちなみに、星アキラの扱いというのは、俳優として成功して、VTuberの開祖という事でVTuber界では、珍獣師匠の名前でわりとVTuber界でも大先輩的な扱いをされていた。そんな先輩でもあり人気俳優でもある星アキラを勝手にいじるという、二重の意味でやばい企画。
でも蓋を開けてみると、放送内で星アキラがコメントしたり(自演)、その後の星アキラの放送でこの話題を出して面白かったって感想言うなど、本人から認知された事で一気に盛り上がりを見せて、彼女のチャンネル登録も大幅に増えた。
それ以降は参加してくれるVTuberも増えて大人気企画へと発展した。
そんなわけで、初代王者で何回か王者を取ったことがある、なぜか星アキラ通の秋色ダリアは、必ずこの企画に呼ばれるようになっていた。
「でも、私はオフラインコラボは断っていますし、根暗な音楽オタクである私がオフコラボでお邪魔するなんて迷惑ですよ。」
流石にオフラボはまずいので僕は当たり障りが無く断る事にした。
「ちょっと待って、聞いて驚きなさい! 今回はあのチヨコエルとケイティが参加してくれるのよ! 二人から快諾をもらっているんだからダリ姉も来てよ!お願い!」
「げっ、あの二人の前で星アキラのアンチネタとか炎上必至じゃないの! しかも堂々とオフコラボ! 私は嫌よ! 私は部屋に戻らせてもらうわ!」
「部屋で会話しているくせに死亡フラグを立てるなんて、流石はダリ姉。」
そういって僕は通信を切った。いや~流石にオフコラボはちょっと・・・。しかも千世子ちゃんと景ちゃんと一緒とかムリムリカタツムリ。
そうして断った翌日、スターズの事務所で僕に会った千世子ちゃんが、開口一番にこんな事を言ってきた。
「ねぇ? 星アキラアンチ王選手権にアキラちゃんも出るんでしょ? よじライブincさんの事務所に行くのに私と景ちゃんも送ってほしいのだけど。」
「なっ、何のことかな? 星アキラアンチ王選手権に僕自身が出ちゃったら意味が無いじゃん!!」
「いや、アキラちゃんじゃなくて、ダリ姉さんなんだけど。」
「ダリ姉!? 何の事!? 彼女は個人勢で正体は判らないはずだけど!?」
「まだバレていないって思っていたの? 結構な人にアキラ君だってバレているけど。」
「げっ。 完璧に演じていたはずなのにどうして!?」
「ものすごく完璧だったけど、逆に完璧に演じすぎていて、私たちの年代で、このクラスの演技ができる人がそう多くなかったからすぐにわかったわ。よく観察すると、結構アキラ君のアバターをうごかす時の無意識のくせとか、話のタイミングとかの個性は良く出ていたわよ。 私も第一回星アキラアンチ王選手権を見て、まさかって思ったけど何回か配信を見て確信したもの。」
「ちなみに、リスナーの地獄天使は私の事よ。」
「うわぁ・・・・。リスナーがトップ女優で僕のファンとかどこのラノベだよ! しかもそういえば同じ高校だよ! たまに行く高校で全然顔を合わせないけど。 恋と青春に胸躍る展開の素敵なラノベになるはずなのに、僕の部屋で夜凪ママが掃除中に僕の隠しているエロ本を見つけたようないたたまれなさを感じるのはどうしてなんだよ!」
「さらに、私の妹のママっ子悪魔ちゃんは景ちゃんよ。」
「あの熱心で純情な子が景ちゃん!? よく放送だけではなくて、トイッターとかでもリプをくれるのに!? 景ちゃんと全然性格が違うじゃん!? 僕と相互フォローして、すごく一般高校生っぽいトイッターの内容だから全く疑っていなかったけど、景ちゃんが裏垢で演技していると全くわからないよ!! 別の個性をインストールしてRP(ロールプレイ)するのはやめてくれないかな。」
「ついでに言うと、私たちのお母さんの渚沙ママは夜凪ママよ。当然、景ちゃんは夜凪ママから教えてもらったみたいね。」
「完全な古参のリスナーじゃないか!! 絵ママは絵麻ママだってわかっていたけど、渚沙ママが夜凪ママとかわかんないよ! 渚沙ママもRP上手すぎだよ!」
「夜凪ママはアキラちゃんの影響でクラシックが好きで、その縁でYoutubeを見ていたらダリ姉を見つけたみたいね。最初はアキラ君だって気が付かなかったみたいだけど、演奏とか聞くうちに気が付いたみたいね。 景ちゃんの観察眼や女優の才能は夜凪ママから引き継がれたものだから、夜凪ママの目っていうのはかなりすごいわよね。」
「あの観察眼もあって、パーフェクトママの夜凪ママが、なぜあんなダメ旦那に騙されてしまったのか・・・。」
「若気の至りよ。どんないい女でも血迷う時がたまにあるのよ。でも景ちゃんと夜凪ママはもうダメ男に騙されそうも無いし、いいんじゃないの?」
「うがぁ・・・・。結局僕はみんなをだましているつもりで、みんなに騙されていたのか!? こんな所でリアルに叙述トリックを喰らうとは思わなかったよ。」
「気が付いているのはごく一部で、大半のリスナーは気が付いていないから問題無しよ。」
「でも、知る人ぞ知る、隠し飲み屋的な今の雰囲気を壊したくないんだ。 秋色ダリアが星アキラだってバレると今の放送もできなくなるし・・・。」
「その辺は大丈夫よ。よじライブincさんの方にちゃんと参加者の個人情報を外部に出さないように契約書をちゃんと交わしているし、別にオフラインコラボって言ったってVTuber配信で顔出しなんてしないんだから、視聴者にはバレないわ。」
「いや、秋色ダリアが星アキラだってわかったら、みんな言いふらしたくなるんじゃないの?」
「そうじゃないの?だから何なの?別にバレても続ければいいじゃない。」
「ダメだよ。それでも今まで聞いてくれた視聴者を裏切れないよ。」
「そうね。アキラちゃんもお金のためにやっている訳でも無いのだろうし、まぁこう言われる事は判っていたわ。それじゃ運営の方に話を付けておくからプランBで行きましょう。」
「プランB?」
「そう。あの芽兎ちゃん達を驚かせちゃいましょう。今度の星アキラアンチ王選手権は盛り上がる事間違いなしよ!」
「・・・いったい何をやる気なんだ。千世子ちゃん・・・。」
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星アキラアンチ王選手権2
星アキラアンチ王選手権オフコラボ大会が開催される日、僕は愛車のレクサスに千世子ちゃんと景ちゃんを乗せてよじライブincさんの事務所を目指していた。助手席には千世子ちゃん、後部座席には景ちゃんが乗っている。
「今日、ダリ姉さんと一緒にコラボできるなんて嬉しいですっ」
「私も嬉しいわ景ちゃん。」
「ダリ姉さんの声すごく澄んでいて綺麗です。今日の放送はすごく楽しみっ。」
「放送が終わったら、みんなでどっかに食事にでも行きましょうか?」
「嬉しいですっ」
そんな会話をしていると、よじライブincさんの事務所に到着した。
事務所でスタッフさん達に通してもらって、今日の出演者に挨拶することになった。
挨拶の部屋に入ろうとすると、中からもめる声が聞こえて来た。
「だから、こんな企画じゃ視聴者が満足しないって言っているでしょ!」
「何を言っているんや! こんな企画だからいいんやないか。もっと視聴者に媚びる必要があるやろ!」
「そんなんじゃ、ダメよ。くだらないわ。そんなのに私のリスナーを巻き込まないで!! 私達は、仕事だけの付き合いなんだから、ちゃんとビジネスを考えてやってよ。」
これはやっているみたいだ。 3人が口論する中で僕たちは特に動揺をする事もなく部屋に入る。
僕たちはそのまま、全く空気を読まないで挨拶をする。
「こんにちは。本日はチヨコエルで出演させていただく、百城千世子です。よろしくお願いします。」
「こんにちは。ケイティで出演させていただく夜凪景です。今日の配信はすごく楽しみです。」
「こんにちは。初めまして。お会いするのは初めてですよね。秋色ダリアです。よろしくお願いします。」
3人は僕たちを見ると、あんぐりと顎が落ちるぐらいにびっくりして停止した。
「ダリ姉さん!? 星キアラちゃんですよね!?」
「いいえ、秋色ダリアです。声もダリアでしょ?」
「いや、明らかに星キアラちゃんじゃないの!?」
「そんなことありませんわ。 わたくしは秋色ダリアですの。」
「ダリ姉さんはそんなお嬢様言葉をしゃべらないわよ!」
「えーーーっ。そんな事言われましても、今日は秋色ダリアとして出演しますので、もちろんネタバレはゆるしませんわ。」
「えっと、本当に秋色ダリアの中の人は星キアラって事ですか?」
「好きに想像するといいですわ。放送の最後にネタバレ動画がありますから、誰が本当の秋色ダリアなのか良く推理してみるといいですわ。ほーほっほっほっほ。」
僕は星キアラの声で3人に言う。
「ところで、そちらのドッキリの撮影はもういいんですか?」
「そんなの衝撃で意識が完全にぶっとんどっとわ。」
「完全に停止していたわ。」
手前の席にいる子が、流月芽兎(るつきめと)さんで、中ほどに座って関西弁をしゃべっているのが鈴掛いずみ(すずかけいずみ)さん、一番奥に座っているのが先輩格の西谷希(にしやのぞみ)さん。3人で花の3人組というユニットを組んでいる。挨拶時に口論をしていて、放送では仲が良さそうに見えて、裏では実は仲が悪いというドッキリをするつもりが、秋色ダリアが星キアラだって言う逆ドッキリに完全にやられたみたいだね。
「私らのドッキリは全然意味が無かったみたいやな。」
「最初から言っていたでしょ? プロの女優相手に演技でドッキリは絶対にばれるって。」
「確かにバレバレでしたわよ。」
「ちらちらと目線が私たちを確認していましたし・・・・。なによりも本気で喧嘩をしていないのがわかったので・・・。」
「ケイティちゃんの微妙なフォローが塩をすりこまれたみたいに身に染みるわ・・・。」
「本物のチヨコエルも美しさが神がかっているわ。ほんまに同じ人間なんやろか?」
「ケイティも一緒よ。それにあの星キアラ嬢まで来てくれるとは思わなかったわ。3人揃うと、本当に美しさが神がかっているわ。 映画とかテレビで見るよりも綺麗とか反則でしょ。」
「おおおおおおおっ。世界が揺れているぞっ! この3人が私の場末の企画に来てくれるなんて、本当に明日は世界が滅びるんじゃないかしら。キアラちゃん!ご存じだと思いますが、私、キアラちゃんの大ファンなんです!」
「よくもまぁ、アキラお兄様のアンチ王選手権を主催しておいて、そんな言葉が出ますことね。」
「アキラ君は、売れっ子大スターのくせに三文芝居をせずに下手なB級映画よりも面白いっていう、私の天敵ですけれども、キアラちゃんは美しくて、スタイルもよくて、面白くて、国民的大スターなので無問題です。星アキラにもキアラちゃんの爪の垢を煎じて飲ませてあげてください。」
「自分で自分の爪の垢を煎じて飲むことになりかねませんわ。謎の論理展開はやっぱり芽兎ちゃんなのね。頭の構造がさっぱりわかりませんわ。」
「何回かオンラインでコラボやビスコードで会話していますけど、顔を合わせるのは初めてですね。芽兎ちゃん、私達もちゃんと挨拶をしないと。」
お姉さん役の希さんが場を仕切ってちゃんとした挨拶をするように促す。
「世界が私を呼んでいる! 私も世界を呼んでいる! 世界の管財人 流月芽兎です。よろしくお願いいたします。ビシッ(*`・ω・)ゞ」
「普通の高校2年生、鈴掛いずみです。今回は偉大な先輩たちとのコラボ、楽しみにしてまっせ!」
「表向きは高校3年生、裏では悪を滅ぼす正義の破壊者、西谷希です。よろしく!」
普通に自己紹介をした、いずみちゃん以外の二人はジョジョ立ちして、ビシッとポーズを決めて自己紹介をする。いずみちゃんは普通のポーズで普通の挨拶だ。
「相変わらず、素敵な中二病患者よね。」
「この三人を見ていると、この世界では、芽兎ちゃんと希ちゃんが常識人で、実は一番普通に見えるいずみちゃんが実は一番やべぇやつなんじゃないかと思えてきますわ。」
「そんな世界、すごく嫌なんやけど・・・。この二人が常識人に見えるとか本当に世界が終わるで。そういえば、せっかくだから私はみんなのサインが欲しいんやけど。」
ちなみに、芽兎ちゃんを嫉妬乙と論破して逆上させた相手が、このいずみちゃんだ。常識人のように見せておいて、キレた時の破壊力は実はこの3人の中でも随一だ。
「わたくしも3人のサインを欲しいですわ。それじゃ、各色紙にそれぞれ6人分のサインを寄せ書きしていくのはどうでしょうか?」
「それ嬉しいっ、やろうやろう! あと、ついでに星アキラのサインも入れて7人分のサインにしましょう!」
「星アキラアンチの芽兎ちゃんがそんな事言って良いのですの?」
「それはそれ、これはこれよ。 ハブるのは可哀そうだから、入れてあげます。 本当によろしくお願いします。 お願いですから! 何でもしますから!」
そう言って、芽兎ちゃんは必死に頭を下げる。
「ん? 今何でもするって言ったよね?」
すかさず希ちゃんが合いの手を入れる。
「上から目線なのか、腰が低いのか判断に困りますわね。そして相変わらずのクソ雑魚っぷりで安心しましたわ。」
7人分のサインが入った色紙が合計6枚出来上がり、それぞれ記念で持ち帰る事が出来た。
その後、放送の打ち合わせをして、星アキラアンチ王選手権オフラインコラボ会がついに始まる事となった。
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【Live】星アキラアンチ王選手権3
今回はチヨコエルとケイティが参戦とか楽しみすぎる
まじであの二人が花の三人組とオフコラボとか神すぎだろw
これで星アキラかキアラちゃんが居れば完璧だったな
本人は来ないだろwww
オフコラボに来ないダリ姉も参戦とか楽しみ
メンバーが濃すぎて放送事故しか起こる予感がしないw
芽兎ちゃんのクソ雑魚っぷりが試されるなw
あっ、始まる。
「世界が私を呼んでいる! 私も世界を呼んでいる! 世界の管財人 流月芽兎です。今日は私の放送に来てくれてありがとう。ビシッ(*`・ω・)ゞ」
「今日はみんな楽しみにしている星アキラアンチ王選手権オフコラボ大会!! そして余りにも豪華なゲスト達。 こんな素敵なゲスト達と一緒に星アキラをディスって行きましょう! それでは、参加者のご挨拶を。」
「純粋ピュアピュア清純天使のチヨコエルです。みんな今回は楽しい放送にしましょうね。」
「みんな! こんばんは~。見習い悪魔のケイティですっ」
「今回はオフコラボにお招きいただいてありがとうございます。秋色ダリアで↑す↓。」
「普通の高校2年生、鈴掛いずみです。今回はアキラ君のすばらしさよ~く伝えて見せます!」
「表向きは高校3年生、裏では悪を滅ぼす正義の破壊者、西谷希です。このメンバーの前でアキラ君ディス。もうVTuber生活ピンチって思っています。」
まじ豪華メンバーすぎるw
このメンバーすげえだろ。
レジェンドメンバーすぎるww
ケイティとチヨコエル。そして王者ダリ姉。完璧な布陣だ。
よじライブincもあの零細事務所から本当に大きくなったな。
こんなメンバーのオフコラボは幸せすぎる。
ダリ姉、声上ずっていない?このメンバーの前に緊張しているのかな。
内容はまぁ、星アキラアンチだけど…。
チヨコエルとかケイティとか、なぜかすんごくアンチ情報詳しそうwww
「今回は豪華スペシャルという事で、トイッターでアンケートを実施して星アキラのここが嫌い。ベスト20を用意させていただきました。回答者の方には順番に回答して、この20個を当ててもらいます。最も当てられた人が栄えある星アキラアンチ王となります。それではチヨコエルから行ってみましょうか。」
「デリカシーが無くておっさん臭い所ね。平気で下ネタを言うし。」
「ぐはっ」
「ダリアちゃんどうしました?」
「別に大丈夫よ。いきなりチヨコエルが飛ばしてくるから、驚いちゃっただけよ。」
「おっさんぽくてデリカシーが無い。さてランキングに入っているのでしょうか!?」
ドルルルルルルルルルルル。 ドラムロールの効果音が鳴り響く。
「第2位です!! 流石はチヨコエル。 星アキラを間近で見ているせいでしょうか、的確な回答です。そして仲が良いはずなのに、なんのフォローも無い回答。すごすぎです。 星アキラのデリカシーの無いエピソードとかありますか?」
「撮影とかで同じホテルとかに泊っている時には、アポなしでホテルの部屋に訪ねて来て、飯行こ。飯!とか言ってくるのよ。ごはんに行くのはいいんだけど、化粧するから待ってとか言うと、チヨコエルは化粧をするとレベルが違いすぎてバレるから、すっぴんの方が一般人に紛れやすくてバレにくいし、そっちの方がいいじゃんとか、あとお洒落な服禁止とか言って、その後に連れて行った店が、おしゃれな感じゼロの路地裏の古い焼き鳥屋さんで、すぐにホテルのクリーニングに出して大丈夫だったけど、服に焼き鳥の匂いが付いて大変だったわ。でも焼き鳥はすごく美味しかったわね。特にせせりとかいう所がうま味が強くて美味しかったわ。」
「すざまじいエピソードですね。 よくもまぁ、今をトキめくチヨコエルにそんな対応できますね。焼き鳥屋さんではアキラ君はどんなのを飲むんですか?」
「トマトジュースよ。成人していないからお酒を飲むことは無いわね。焼き鳥をトマトジュースで流し込んで、ぷはーっ、仕事上がりのトマトジュースは最高だぜ!とかやっていて、本当におじさんくさかったわ。その後はウーロン茶とコーラね。」
「あっ、アキラ君もチヨコエルを楽しませようとしてやっているんじゃないかしら。」
「おや、今日のダリ姉はずいぶんアキラ君の肩を持つんですねぇ。星アキラアンチ王の最多受賞者なのにどうしたんですか?」
「アキラ君がかわいそうだって思っただけよ。」
「もちろん、アキラちゃんには感謝しているわよ。でもそれはそれ、これはこれよ。」
あのチヨコエルを焼き鳥屋に連れていくとか、さすがは星アキラw
せめてもっとお洒落なお店に連れて行ってあげろよwww
焼き鳥屋でトマトジュースを飲んでくだを巻くアキラ君が想像できすぎるw
お洒落なホテルのディナーとか無縁すぎるwww
アポなしで女の子に部屋に行ってご飯に誘うとかアクティブすぎるw
まぁ、マジレスすると星アキラ以外は絶対に嫌われるからやめような。
実際、アキラ君以外できないだろうな・・・。こんな事。
確かにすごくおじさん臭い。
セクハラになる、ならないのレベルをちゃんと見極めているのがいやらしいw
でも、私はアキラ君みたいな友達欲しい! すっごくわくわくしそうだもの!
ただし、イケメンに限るw
イケメンでも無理だろwwww
「興味深いお話を聞けたところで、それでは続いてケイティに行ってみましょうか。」
「はいっ。それでは、男の人なのに女性よりもお化粧が上手い所が駄目だと思います。」
「あっ。確かにそれは言えているわね。」
チヨコエルもその回答に賛同する。
「それでは、化粧が上手すぎるは、ランキングに入っているでしょうか?」
ドルルルルルルルルルルル。カーーン。
「残念ですが圏外です。」
「えーーーーーっ。」
「ケイティはアキラ君のお化粧のエピソードとかあるんですか?」
「はい。初めてもらったWeb CMのお仕事で、初めてのお仕事ということで、アリサさんが忙しいので、代わりにアキラさんが付いて来てくれたんですが、本当にスタジオだけでスタイリストさんとかも居ない撮影だったのですが、家でカレーを作る設定だったので、そのままお化粧なんて不要だと思って、お化粧をしていなかったのですが、アキラさんから家で作っている設定でも商品を引き立てるために、ナチュラルメイクぐらいはちゃんとしないとダメだよって言われて、でもお化粧って言われてもリップぐらいしか持っていなかったので、戸惑っていたら、アキラさんが持っていた化粧道具を出してきて私の顔にテキパキと化粧を施して、5分ぐらいであっという間にやたらとカメラ写りの良い顔に・・・・・。お陰様で、Web CMが話題になって、そのままTV CMのレギュラーとしても採用してもらえました。」
「それはむしろ景ちゃんはもっとお化粧とかに気を使った方が良いのでは・・・。リップしか無いって・・・。」
「お金はあったんですけれども、お化粧品とか値段が高くて、お金が勿体なくて買えなくて・・・。そうしたらアキラさんに100円ショップの化粧品を紹介してもらって、その効果的な使い方とか教えてくれました。100円ショップの化粧品でも上手く使うとすごく綺麗にお化粧ができるので、すごく練習になりました。」
「アキラちゃんのお化粧の技術は本当に腹が立つぐらいすごいわ。 10歳の頃初めて女装した時にスタイリストさんに弟子入りして学んだので、生半可なテクニックじゃないわ。 自分で1時間ぐらい化粧してもスタジオとかに入るときにスタイリストさんにメイクを修正されるのに、アキラちゃんが楽屋で10分ぐらいで私に化粧すると、大抵はスルーか、微調整で終わりよ。 がっつりと直される場合には、大概スタイリストさんの方がアキラちゃんよりも腕が悪いわ。 アキラちゃんは私の好みを把握して、スタジオの照明色や外光などの色温度や照度まで計算に入れた上で、化粧を施していくから、10分ぐらいでちゃちゃっと化粧しても、出来は全然違うわ。」
「色温度とか照度まで計算に入れるってどういう事ですか?」
「例えば、今の部屋の明かりは白色の蛍光灯だから、白っぽいメイクを施しちゃうと血色が悪く見えてしまうわ。 逆に電球色みたいな黄色い光だと、太陽の下で綺麗に見えるメイクをしてしまうと、肌が濃すぎて少し暗い感じに見えてしまうわ。肌は光を反射して色を出しているので、撮影の時のお化粧は元の光の色が何色かを考えるのはすごく大切だけど難しいの。アキラちゃんは人の見え方や印象の与え方にすごく敏感で、撮影のコンディションも把握しているから、アキラちゃんにお化粧をしてもらうと、単純に綺麗ってだけじゃなくて、演色性を考慮して人に印象を与えるお化粧をしてくれるわ。特に太陽光下でのお化粧は芸術的なレベルよ。」
「なるほど。親しいからこそ出てくるエピソードですね。 でも、お化粧に注目する人は少ないらしくて圏外でした。」
女よりも化粧が上手い男、星アキラw
これはアンチネタですわwww
化粧がうまくて女性からの嫉妬がwwww
アンチネタだけれども、株が上がるのはどういう事なのか!?
10分ぐらいで綺麗にお化粧をしてくれる彼氏。私も欲しい。
アキラ君がお化粧が上手いは解釈が完全に一致www
チヨコエルをも唸らせる化粧技術の使い手、星アキラwww
これは、どうにもコメントに困るw
そうか、チヨコエルもケイティもアキラ君にお化粧してもらっているのか。
なんというか微笑ましいエピソード
芸能界で通じる化粧技術とかすごいんじゃないの?
アキラ君の意外な特技が出て来たな。
これは親しい人にしかわからないネタw
俺もチヨコエルとケイティにお化粧できるとは羨ましい。俺もやってみたい。
↑ちゃんと技術が無いとダメだからなw
まぁ、普通の男にはこんなの無理だよね。 男にお化粧してもらう事自体に抵抗があるもの。
アキラ君と千世子ちゃんや景ちゃんならではだな。
「続いてはダリ姉お願いします。」
「うーん。 未成年なのにお金を稼いでいて腹立つとか?」
「未成年なのに稼ぎすぎ。さてランキングに入っているのでしょうか!?」
ドルルルルルルルルルルル。
「14位です。」
「あら、案外順位が低いのね。」
「回答のコメントとしては、未成年なのにあんなに稼いでいて羨ましい。 俺もいいなぁって思う、ただ正当な対価なんだよね。 適当に投資した株が爆益をあげていて羨ましすぎる。 芸能界で一旗揚げて一攫千金とか夢がある。 すごく羨ましい。ただ、星アキラで稼げていないのであれば本当に日本は終わりだから仕方が無いと思う。とかですね。意外とフォロー付きで冷静なコメントが多かったです。」
「てっきり、未成年なのにお金を稼ぎすぎだバローや、ニートの敵、みたいなコメントで溢れているかと思ったら意外ね。」
「結構みんな現実的なんやと思うよ。芸能人になって、お金を稼いで煌びやかな生活っていうのはみんな夢に思う事やし、アキラ君の場合にはハリウッド俳優にもなって実力で稼いだお金やから、親から何不自由もないお金をもらって、それを見せびらかしているならともかく、自分の力で稼いだお金なら、そりゃ嫉妬はするだろうけど叩くほどの事でもないで。」
いずみちゃんが言った。
「コメントにもあった通り、逆に星アキラでも稼げないとなったら、本当に芸能界に夢が無くなってしまうし、人間は身近な人と比べるから星アキラと張り合って、私はこんなにも給料が低いとか考える人は居ないと思うわ。 単純に何億稼いで羨ましいって感情だけね。 結局住む世界が違うとこういう感じになるわね。」
希さんもコメントを入れる。
これはこんなものだろ。
プロ野球選手が何億もらって言っても別世界の話だからな。
正直、うらやましい。ただそれに嫉妬するのは違う気がする。
自分の力で稼いだお金だからなぁ・・・。
まぁ、お金持ちならアキラ君に養って欲しい。
ニートはそもそも、外出すらできないんやで。
せや外出して仕事している時点で別世界の人間や。
ニート価値観的には働いた時点で負けなので、アキラ君は負け組の王だな。
謎のニート価値観wwww
なにJとかで星アキラお金稼ぎ杉とかのスレ立ててもあんまり伸びないんだよなぁ。
別世界の人間にこう言う嫉妬をするのはやっぱり難しいね。
「お金の件で星アキラをディスると、炎上してさすがに私の身も危ないので、次に行きましょう。続いては私の番ね。」
「売れているくせに、わざとB級映画の演技をオマージュしてきやがる。お前にB級映画の何がわかると言うんだ!!」
芽兎ちゃんが言った。 私怨バリバリだ。 まぁ、僕はB級映画の話題や、演技をネタにする。B級映画っぽい脱力した迫真の演技なども持ちネタだったりする。B級映画やゲテモノ映画をこよなく愛する彼女にとって、これは譲れないアンチポイントなんだろう。
ドルルルルルルルルルルル。
「18位です。」
「なんだと! 何でそんなに順位が低いんだっ!!」
芽兎ちゃんは驚愕の表情を浮かべる。
ちなみに、順位の発表や集計は運営さんがやってくれていて、芽兎ちゃんは順位がわからない。 運営さん、いつもありがとうございます。
「それじゃ、芽兎ちゃんの代わりに私の方でコメントを読むわ。」
いずみちゃんは、運営から渡されたリスナーさんからのコメントを読み上げる。
「芽兎ちゃんがいつも言っているからファンとして仕方がなく投票。 芽兎ちゃんに脅されて仕方が無かった。 妹が芽兎ちゃんに人質に取られているんです! これが星アキラの最大のアンチポイントだって芽兎ちゃんが言っていたから。 陰キャでくそザコな芽兎ちゃんの最大のアピールポイントなんですわかってください! って、全部が芽兎ちゃんのリスナーやんけ!」
「組織票で18位とかかなり寒いわね。」
希さんのコメントも刺さる。
「そもそも、星アキラがB級映画をネタにしたところで、そんなに目くじらを立てる必要は無いんじゃないの?」
「おまえらはあんな売れっ子俳優が私の愛するB級映画をネタにして何とも思わないのか!? そんなのネタにしなくても売れまくっているんだぞ!!」
「「「「「別に」」」」」
「おまえらは揃いもそろって・・・・。」
芽兎ちゃんはワナワナと震える。
「例えば、お気に入りのVTuberさんをネタにされたらどう思うんだ!!」
「悪意が無いからいいんじゃないの?」
「せや。逆にネタにしてくれてチャンネル登録者数とか増えてくれたら御の字やな。」
「そもそも、星アキラアンチ王選手権とかでアキラちゃんをネタにしている時点で同じ穴の貉(ムジナ)なんじゃないの?」
千世子ちゃんの容赦ない毒舌が芽兎ちゃんに飛ぶ。
「そっ、そんなっ。わっわたしがアンチをしているアキラ君と同じなんて・・・。」
油汗を流して驚愕の事実に愕然とする芽兎ちゃん。僕はそんな彼女が面白くて、とどめを刺すことにした。
「本当に申し訳ない。」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁーーーー。ダリ姉がダリ姉がB級映画のネタを!!」
「芽兎ちゃん、どうしたんや?」
何の事かわからない、いずみちゃんは発狂し始めた芽兎ちゃんを見てドン引きする。
「私にもわからん。」
「うがががががががっっっっ!!!」
よりにもよって、中身が星アキラの人物によって、一番やってほしくないB級映画ネタをやられた事で、B級映画ユニコーンの芽兎ちゃんは完全に自我崩壊した。
そして、この放送主は彼女である。今彼女は、ダリ姉が星キアラ→星アキラであるとのネタバレ禁止の立場と、アンチの星アキラにからかわれたという、自分の自我をかけて壮絶な戦いを強いられており、完全にポンコツ発狂していて撮れ高十分だ。
正直、これで芽兎ちゃんがアンチになる理由がさっぱりわからん。
芽兎ちゃんリスナーでも謎だからな。
おお。よう発狂しとる。
まじでポンコツだな。
発狂しなきゃ芽兎ちゃんじゃないよね。
このポンコツっぷりがいいんだよな。
見事な自我崩壊とブーメランにワロタw
メタルマンの博士ネタとかダリ姉もわかっているな。
今日のダリ姉ちょっと変だよね。緊張しているのか、ハッチャケているのか・・・。
初オフコラボだしなぁ。
でも、ダリ姉の普段の清楚さが薄い気がするんだよね・・・。
「芽兎ちゃんは、一度アキラちゃんとディスコードで話してみる事をお勧めするわ。 たぶんB級映画の話で盛り上がれると思うわよ。 私はあれを見ても、アラとか、こうすれば良くなるのにどうしてこんな撮影をしちゃったの?みたいなのが目に付いて、映画に集中できないからB級映画の魅力が良くわからないんだけど・・・。」
「ダメだ! 私が星アキラアンチじゃなくなったらこの世が星アキラマンセーだらけになってしまうではないか!!」
「ちゃんと、星アキラが生理的に受け付けない人もこの世に居ると思うから、大丈夫よ。」
「謎の拘りと動きが面白いですっ。」
「景ちゃん、芽兎ちゃんはトップクラスの面白人間だけれども、ここで人間観察をしてはダメよ。」
-------------------------------------
「今回の星アキラアンチ王は7問正解。圧倒的な成績でチヨコエルが獲得しました!!」
おめでとーーーww
アンチ王おめ!
さすがはチヨコエル
チヨコエル優勝はは流石すぎるww
圧巻のアンチ王だったな。
千世子ちゃんは最強の星アキラアンチだった!?
さすがアキラ君を知り尽くしているだけの事はある。
景ちゃんのアキラ君トークもすごく面白かった。
景ちゃんは身近に見てきた人の例で上げちゃったからな
付き合いの長さだよなぁ
結局、アンチ度よりも星アキラの知識がある方が強いはある。
あれだけイキってた芽兎ちゃんが2点だからなww
そろそろ頃合いなので、僕はネタバレをする事にした。
「さて、秋色ダリアからここでみんなにお知らせがあります。こちらの動画をご覧ください。」
スタッフさんの手で画面上に秋色ダリアの動画が映し出される。
「こんばんはーーーーっ。 秋色ダリアです。 みんなはここに居る秋色ダリアが偽物だってわかったかな? 私はオフコラボをしないから、今回は別の人にお願いしました。 キアラちゃんありがとう!! みんな今回のコラボはどうだったかな? ドッキリしてくれたらうれしいな。 それから私の参加に期待して放送を見てくれた人はごめんなさい。 ダリアは事情があってオフコラボはできないんです。 オンラインコラボは随時やっているから、また誘ってくれるとうれしいな。 それじゃ、またね~。」
えっーーーーーー。
マジで!!!
キアラちゃんってどういう事!?
ダリ姉が本物じゃなかったって事!?
そういえば、違和感があったけれども、そんなのわからないよ。
まじで!?
えっ、キアラちゃん?
キアラちゃんって星キアラの事だよね?
どういうこと!?
未だに事態が飲み込めていないんだけど。
全く意味不明。
「ほーほっほっほっほ。 リスナーの皆様、完全に騙されたようですわね。 そうです。 今日の放送に出ていたダリ姉は偽物で、実は星キアラだったのですわ!」
僕はアバターを秋色ダリアから、星キアラに切り替える。
「「「「「なっ、何だってーーーーーー!!!!!」」」」」
VTuberのみんなはノリが良く合わせてくれている。
「せっかくの星アキラアンチ王オフコラボ大会なのですから、双子の妹である、このわたくしが参加しなければ面白くありませんわ!!!」
「でも、私らもキアラちゃんの姿を見ていないと、声がそっくりで全くわからんかったわ。キアラちゃん、ダリ姉の声似すぎやろ。」
「ちなみに、いずみちゃんの声真似もできますわよ。『普通の高校2年生、鈴掛いずみです。今回は私もキアラちゃんに完全に騙されましたわ。』」
「私の声に似すぎやろ。」
「芽兎ちゃんもできますわよ。『今回のオフコラボで星アキラ様の偉大さが良~くわかりました。このくそザコな流月芽兎に免じてこれまでの行いは許してください。というか許せコラ!』」
「やめろ~。私の声で私の人格をはずかしめるな~! 私の星アキラアンチのアイデンティティがががががっ。」
「もちろん、希ちゃんもできますわ。 『西谷希です。今回の放送で星アキラは完全に悪だってわかりました。今度天誅しますんでヨロシク☆彡』」
「やめて~。芽兎ちゃんじゃなくて、私が炎上しちゃう~。 私は芽兎ちゃんが炎上するのを眺めているのが趣味なのにっ。」
「希ちゃん、切羽詰まって裏の性格がはみ出していますわよ。」
「みんな、そういう訳で今回のダリ姉は実はキアラちゃんだったのです。」
まじで!?本当に星キアラだ。
星キアラ声真似上手すぎだろ!!!!
これ、三人組の放送を代わりにやってもわかないぞこれ。
すげぇ、びっくりした。
特大級のドッキリだろ!
星キアラすごすぎ!
確かにちょっと違和感があったけど、全くわからなかった。
星キアラ反則すぎだろwwww
と言う事は、アンチ王選手権に本人降臨というオチかwwww
マジで!?伝説すぎるww
そしてその本人は優勝できないというねwww
本人にあんな問題を出す芽兎ちゃんよw
驚きと芽兎ちゃんのアホさ加減に草生えるwww
「ちなみに、発案者はチヨコエルで、ダリ姉がオフコラボできなくて困っていたので、わたくしに声をかけて今回のドッキリを計画しました。 3人組のみんなは事務所で顔を合わせるまで今回のドッキリは知りませんでしたわ。ダリ姉は本当に困っていたので、ダリ姉ファンの方は許してあげてください。」
「そうね。ダリ姉と話す機会があってオフコラボで悩んでいるみたいで、事務所に行ったら、珍獣が暇そうにゴロゴロしてたから、捕獲してそのまま、よじライブincの事務所に来た感じね。予想以上にドッキリが上手く行って驚いているわ。」
「やっぱり、暇そうな珍獣さんをハントして連れてくるのは面白いですねっ。 捕獲するときはデビルマンのDVDを檻の中に入れたらすぐに捕獲できましたっ。」
「チヨコエルとケイティは酷いですわ。 やっぱりアリサママエルの影響で邪悪な心に染まっているのかしら!?」
「デビルマンはB級映画じゃねぇ!ただの酷い映画だ!!」芽兎ちゃんはB級映画マニアらしい反論をする。
「チヨコエルとケイティとダリ姉が来るって、ウキウキと事務所で待っていたら、いきなりキアラちゃんが来て、こっちは本当にビビったんだからな! マジでアンチ王にブチ切れて、本人が討ち入りしに来たんじゃないかと思ったんだから。」
「でも、芽兎ちゃんはキアラちゃんとアキラ君のサインをもらってニコニコだったやないか。」
「本当に、あの時の芽兎ちゃんは、ファッション星アキラアンチだったわね。」
「ファッション言うな~!」
芽兎ちゃん、くそザコすごてワロタ
今回、面白かったけど最後でまさかの神回だな。
最後にすごいどんでん返ししすぎだろw
どこのサスペンス映画のクライマックスだよwww
デスアイランドを思い出したよwwww
ダリ姉が違うとかわからんよw
本人登場の経緯が面白すぎるwww
珍獣は事務所でゴロゴロするのかwwww
事務所でゴロゴロしている珍獣が想像できて草生えるw
ダリ姉はオフコラボをやらないから仕方が無いね
チヨコエルもナイスフォローだし、おかげで伝説の神回になったわ。
よーく見直してみたら、確かに違和感があるな。
どうりで、ダリ姉のフォローが今回はすごいと思ったw
でもわかんなかったよ。
このメンバーと一緒にキアラちゃんが居る図を想像すると笑えるw
芽兎ちゃんは、星アキラはアンチだけど、キアラちゃんはファンだから嬉しかろう。
サインいいなぁ。私も欲しい。
騙された~! まじわからんかった。
今回は、キアラちゃん、チヨコエル、ケイティの御三家がそろい踏みだったんだ。すごすぎ。
考えて見れば超豪華メンバーだよな。
よじライブincでこんな豪華メンバーが見られるとは、よじライブincも大きくなったなー。
いや、本当に面白かった。
「それじゃ、ネタばらしも終わったし、これでお開きにしましょうか。」
「うがっ、私の放送がついにキアラちゃんに仕切られとる。それではみんなで乙Tuberで終わりますか。 せーのっ。」
「「「「「「乙Tuber~。」」」」」」
乙Tuber~
おつおつTuber
バイバーイ
乙でした。
乙Tuber~。
おつおつTube。
またね~。
またこのメンバーのオフコラボ是非観たい。
乙Tuber~
さらなるオフコラボに期待!
ばいばーい。
面白かった~。
また次回ね~。
芽兎ちゃんのポンコツっぷり最高だったわ。
バイびー!
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星アキラは阿良也の舞台を観に行く1
デスアイランドのDVD発売記念の放送からしばらくして、僕は景ちゃんとの約束を守って千世子ちゃんと一緒に劇団天球の阿良也の舞台を観に来ていた
題目は「そのマタギ」。阿良也得意のマタギシリーズだ。というか、なめとこ山の熊役作り以来、北海道の熊の件で有名になった阿良也はマタギを題材にした舞台を良く演じることになり、その舞台は常に即日完売状態だった。
もっとも、役作りで北海道で熊に襲われたのは数ある阿良也の役作りの一つであり、マタギの演技が阿良也は特に優れているとかそういった事は無いと思う。
実際に他の役も素晴らしい役作りをしているし、マタギ以上に素晴らしい演技をしている阿良也を僕はいくつも知っている。
ただ、マタギのエピソードは阿良也の役作りの中でも特に有名なエピソードであり、それで培った演技を、生で観て見たいのは観客として当然の欲求だろう。
美味しい外食というのは、ただの生きるための栄養摂取じゃない。自分の感情や楽しみのためでもある。舞台も一緒。それであれば観客がこのようなエピソード込みで阿良也の演技を評価するのは当然のことだ。
僕としては座席でキャラメルポップコーンをバリバリ、アイスティーをぐびぐびしながら阿良也の演技を楽しみたいんだけど、劇場の座席では飲食不可なので、大人しく舞台を観ていた。 まぁ映画館じゃないし、こんなところでポップコーンをバリバリしている人間が居たら周りの人間は腹が立つだろね。
仕方がないので、僕は1人で舞台に上がっている阿良也を観察した。今は舞台の序章。阿良也が扮するマタギの父親が因縁の樋熊に喰われて命を落とす場面を演技を交えて熱く語っている。
うん。すばらしく雑な動きだ。これこそまさに阿良也の芝居。 マタギとして樋熊と闘う事に人生を賭けてきた人間が、樋熊を殺す以外の事で洗練された動きをするはずが無い。 だが、役者としての演技に説得力を持たせるためには、人を惹きつける洗練された技術やテクニックが必要となる。 阿良也はそれをマタギとしての経験を演技に映し込むことでそんな技術やテクニックを見せずに、ここにいる3000人の観客全員を魅了していた。
役者とマタギ。マタギは役者ではない。でも、今の阿良也は舞台の上のマタギの演技をする役者。完全なる自己矛盾の演技。でも観客の目にはマタギとしての人生を今まで生きてきた阿良也しか映っていない。マタギになり切る阿良也には小手先のテクニックなど必要なく、彼の動きや言葉そのものがマタギとしての人生を語っており、そのマタギとしてこれまで生きてきた人物に観客は惹き込まれていた。
そんな阿良也と観客の両方を見ながら、やっぱり僕はキャラメルポップコーンをバリバリ、アイスティーをぐびぐびしながら、演劇を楽しみたいと思った。
しばらく、劇を見ていると左前の席の見える位置にちょうど、女の子が座っているのが見えた。この子はすごく阿良也の舞台を真剣に見ていて、怖いシーンでは怖がり、面白いシーンでは笑い、驚愕のシーンでは驚き、緊迫のシーンでは身を縮こまらせていた。すごく舞台が好きな子なのだろう。
大人になればなるほど、こう言った感情と言うのはどんどんいびつになって行く物だけれども、感情を素直に感じられるというのはまさしく子供の特権と言える。
今回は子供向けの演目じゃないので、子供がこんな演劇を観に来るなんて珍しいけれども、これは貴重なサンプル・・・。いや、貴重な観察対象。(言い換えられていない)
僕はこの子の目を通して阿良也の芝居を楽しむことにした。
------------------------------------
父親を殺した因縁の樋熊を倒し、舞台は大団円。
観客はスタンディングオベーションでカーテンコールを終えて舞台が幕を閉じた。
「阿良也さんのお芝居、すごく緊張して面白かったですっ」
「阿良也君の観客への魅せ方はさすがよね。あの観客の事を全く意識していない芝居で観客を虜にするとか、本当にずるいわ。」
一緒に来ていた景ちゃんと千世子ちゃんが阿良也の芝居の感想を言う。
僕は前に座っていた女の子と同じく感動で涙をポロポロとこぼしていた。
「あのアキラさんが感動で涙を流していますっ」
「景ちゃん、これはどうせ碌でもない事を考えているのよ。」
「ひどいよ、千世子ちゃん。 僕は阿良也の芝居が感動的すぎて泣いちゃったよ。」
「嘘ですっ。」
「すごく怪しいわ。あの芝居でアキラちゃんが泣くはずが無いもの。」
そんな話をしていると、僕と観察対象の子がバッチリと目が合った。その子は僕達を見て声を上げようとした。
「あっ」
僕は、しーっ。ってジェスチャーをしてその子を黙らせた。演劇を観ている最中に観察していたのでこの子は多分、これで止まるはずだ。
案の定、その子は黙った。
同じように涙を流す、その女の子と僕を交互に見た千世子ちゃんは、何かを悟ったらしく、あっ、こいつやりやがったなって目で僕を見ている。
「アキラちゃん、せっかくだからその子にサインでもプレゼントしたら? アキラちゃんはその子にサインぐらいはあげる義務があるわよねぇ? ねぇアキラちゃん?」
どす黒いオーラに包まれたチヨコエルが僕に言う。景ちゃんは意味が解らないようで、首を傾げている。
確かに勝手に、女の子の視点を観察していたなんて、すごく後ろめたい。
「うーむ。確かに。 ねぇ、僕達のサイン欲しい?」
僕はその子に聞いた。その子は盛んに首をコクコク頷き肯定した。横の保護者の母親は僕達を見て驚いていた。
僕はこういう事態に対応するために、いつも色紙とペンを持ち歩いている。
「名前は何ていうの?」
「有島あゆみですっ。」
「いい名前だね。」
僕は色紙に『有島あゆみちゃんへ』って書いて、星アキラと星キアラのサインを入れた。こういう時は星アキラと星キアラの両方のサインを入れる方が喜ばれる事が多い。しかし、よくよく考えてみれば、僕の役者としての人生はどうなっているのだろうか・・・。
「ちょっとスペースを残して、サインを書いてくれる?」
何をするか悟ったらしく、千世子ちゃんと景ちゃんもスペースを残してサインを書いてくれた。
「ちょっと待っててね。今、阿良也のサインをもらってくるから。」
そう言って、僕は劇団関係者に紛れて舞台裏に行って、阿良也を見つけると声をかけた。
「阿良也、阿良也、ちょっとこの色紙に阿良也とラーヤのサインを書いてくれない?」
「アキラっ、お前、何やっているんだ!?」
阿良也は劇団関係者に紛れて堂々と舞台裏に入ってきた僕に驚く。
「サインをもらいに来ただけだよ。」
「不審人物なのに、よく劇団員に紛れて堂々と舞台裏に入って来れるな。お前が演技で気配を誤魔化して周りに紛れると本当にわからないな。俺がマタギなら気が付いた瞬間に即座に撃ち殺していたぞ。」
「エッヘン。僕の人徳のなせる業だね。」
「お前のそういうところ、本当にすごいな。ほら、俺とラーヤのサインだ。」
「ありがとう阿良也、そんじゃ~ね~。」
「相変わらずの自由人だな。」
「阿良也に言われたくないよ。」
僕は舞台裏から戻ると、そんな僕を見ていた千世子ちゃんはさらに呆れていた。
「人混みに紛れるテクニックは本当にすごいわね。もう要人暗殺とかできるんじゃないの?」
「劇団員さんに紛れた後に誰も気が付かなくて驚きましたっ。私もあんな風にスパイみたいな事してみたいですっ。」
「いや、人の意識の隙間を意図的に利用しているだけだから、慣れれば景ちゃんでも出来ると思うよ。」
そう言いながら、僕はあゆみちゃんにサインを渡した。
「僕とキアラ、千世子ちゃん、景ちゃん、阿良也、ラーヤが揃ったスペシャルサインです。どうぞ!」
あゆみちゃんは嬉しそうにサインをもらうと、笑顔がぱ~と輝いた。とても嬉しかったらしい。
「あゆみ、ちゃんとお礼を言いなさい。」あゆみちゃんのお母さんが言った。
「ありがとうございましたっ!!」
「うんうん。」
僕達はあゆみちゃんの笑顔と元気なお礼にほっこりした。
その後、僕達はあゆみちゃん達と記念撮影をしていると、舞台から記者の質問に答える阿良也の声が聞こえてきた。
「今回の役作りのために、実際のマタギ猟に付き添って、樋熊と対決したエピソードは有名だと思いますが、阿良也さんは命の危険を伴う役作りを厭わない印象がありますが、何がそこまでさせるのでしょうか?」
「例えば、店先で切りそろえた加工済みの肉を買って、餌みたいに食って生きてきた。俺たちはみんなそうでしょ?」
阿良也の意味不明な回答が始まった。慣れている記者でもみんな困惑している。
「感謝を忘れたこの世界で生まれた俺がこの役を演じられるはずがなくて、だから自分の命のために命をかけて命をいただく体験が欲しかった。いや、そんな事を考える自分が邪魔だったというか・・・。」
記者はみんな??????状態だ。 まともな回答になっていない。 ある意味ウケる阿良也の記者会見だけれども、これを記事に起こす記者さんは大変だ。
もっとも、この回答は阿良也節と言われて、そのまま放送すると、普通にお茶の間のウケはすごくいい。このわかるようでわからない意味不明感がクセになる人が続出していた。感性で生きる変人はとても人気があるのだ。・・・自分に被害が降り注がない限り・・・・。
そんな事をしていると、回答に困った阿良也と僕の目が合った。
「ちょうど、親友が来ているので、その親友に聞いてみましょう。」
その瞬間に僕は逃げようとしたが、遅かった。
「アキラっ、ちょっと質問に答えてくれない?」
あいつ、めんどくさい記者会見を僕に押し付けてきやがった!!!
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星アキラは阿良也の舞台を観に行く2
「例えば、店先で切りそろえて加工済みの肉を買って、餌みたいに食って生きてきた。俺たちはみんなそうでしょ?」
「感謝を忘れたこの世界で生まれた俺がこの役を演じられるはずがなくて、だから自分の命のために命をかけて命をいただく体験が欲しかった。いや、そんな事を考える自分が邪魔だったというか・・・。」
「アキラっ、ちょっと質問に答えてくれない?」
記者会見で記者の質問に困った阿良也は、僕に質問を振ってきた。おまっふざけるなよ!!
と内心キレつつも、こんなところで星アキラご乱心なんて記事を書かれるわけにはいかない。 僕達がここに居る事も記者にバレたし、仕方がないので対応することにした。
「阿良也、さすがにプライベートで阿良也を応援に来ている友達を記者会見に巻き込むのは良くないと思うよ。」
僕は頭痛がするジェスチャーをしながら阿良也に言った。
「でも、なんか記者さん達が良くわからないみたいだし、アキラに振った方が楽そうだったから。」
ここで阿良也と口論をしても何も得るものが無いので、とっとと記者会見を畳んで後の余暇を楽しむことにした。
「こんにちは。スターズ所属の星アキラです。今日は阿良也の舞台を観に来ていたのですが、親友の阿良也が困っているようなので私の方でフォローさせていただきます。」
まさかの、星アキラの登場によって舞台の前に集まって取材をしていた記者達がざわめく。
「阿良也が命の危険を伴う役作りをなぜ厭わないのかという事への回答ですが、阿良也追加で言う事はある?」
「一人演じるために生まれ変わったような気分になる。そのために生きているって言うか、そんな感じ。」
「えっと、つまりどういう事でしょうか?」
やはり記者は戸惑う。
「以上です。アキラ、フォローよろしく。」
そう言って阿良也は僕に回答を放り投げてきた。
「まず阿良也の回答ですが、今回のマタギの役と普段の役作りの話が混じって少しわかりにくいですが、ある程度的確な回答でもあります。」
僕の回答に記者達が驚く。
「この辺は阿良也の演技に対しての価値観を理解する必要があります。阿良也は演技をするためにその人の人生を実際に体験して、役になり切ります。そしてその登場人物の役に生まれ変わって演じ切る事に、阿良也自身の人生の価値を認めています。そのためには登場人物と同じ状況を実際に体験するというのは、彼が役を演じる上でも、自分自身の価値感の上でも、両方で非常に重要な事です。」
「皆さんは阿良也がいつも命をかけた無謀な役作りをして、スリルを楽しんでいると考えているかもしれませんが、それは違います。因果関係が逆です。阿良也が演じる人物を理解する上で、その人物の心情を実際に知るために命の危険を冒す必要があるのであれば、そのような役作りを体験しているだけです。」
「阿良也にとって大切なのは、命をかけた役作りのスリルではなくて、演じる人物に身も心もなり切って、自分自身が演じる人物に生まれ変わる事です。こう言った阿良也の価値観を理解して阿良也の芝居を観ていただけると、別の視点からも、明神阿良也の演技を楽しめると思います。」
「なるほど。さすが大親友の星アキラさんだけの事はありますね。非常に興味深い回答をありがとうございます。」
「確かにそうだな。流石はアキラ。すごい説得力だ。俺はここまで良くわかっていなかったぞ。」
阿良也、おまえが僕に振ったくせに自分がわかっていなくてどうするんだ!! 僕は手元にハリセンがあったら、間違いなく阿良也をぶっ叩いていただろう。
「阿良也さんの役作りの秘訣はわかりました。アキラさんも同様の役作りは行うのでしょうか?」
「残念ですが、僕は阿良也とは違って見ている人の感情を重視しますので、役を演じるために、経験を追体験する事はほとんど無いですね。」
「例えば、ウルトラ仮面Blackの第六話で完全に精神的に追い詰められた演技をしましたが、あの演技はその前に、Youtubeで魔界村クリアできるまで終わりませんという放送を2日に渡ってやって、完全に精神が追い詰められて、テンパった状態で撮影しました。精神的に追い詰められていますが、これは主人公の心情とは全く違います。」
記者達に笑いがこぼれる。
「結局、心の中まで役の人物になり切っても、演技を見ている人は役の人物の心までは見えません。ですから、僕は本人ではないという意味で、偽物がやる演技であっても、演技を見てくれている人には本物よりも本物だと感じてもらえるように演技をしています。このため、僕の演技はリアルさでは阿良也にかなわない面があるのですが、役を演じる上で見てくださる方が面白いと感じたり、感情を揺さぶる要素を濃縮してより強く伝えられます。こういった部分の考え方は役者によってまるで違うので、10人居ても全員違う考えを持っていると思ってください。」
「なるほど。とても良くわかりました。ありがとうございます。」
「××新聞ですが、阿良也さんはマタギの役を演じる時にどのような事に注意をしながら演じているのでしょうか?」
「えーと。 朝起きた時に、おしっこに行くのを考える事は無いし、通いなれた駅の道を迷う事も無い。 初めて自転車に乗った時はふらふらして転んだけれども、今では転ぶことの方がすごく稀。 そんな感じかな? アキラ、フォローよろしく!」
こいつ、調子に乗って記者に伝えようと言う努力すら放棄しやがった! 当然記者たちは??????全開だ。
僕はこめかみを抑えながら回答した。
「阿良也の演技の特徴は、演じている人間に生まれ変わるほどに役になり切る事です。つまり演じている最中はその役の人物になっているので、演じている途中に注意点など考える事はなくて、体や心、動き、さらに条件反射に至るまで、すべてが役の人物になり切ります。ですから、強いて言えば役になり切るまでその人物を知るというのが注意している点です。」
「例えば阿良也が普段は武蔵野に住んでいるとして、武蔵野駅を使っているとします。 この状態で世田谷駅から通勤している人物を演じたまま帰宅すると、武蔵野には帰らずに世田谷駅で降りて、なんの疑問も抱かずに、演じている人物が普段買い物をしている、世田谷駅近くのスーパーで買い物をしてその人物の家に帰宅します。しばらくして、演技が解けると、何で俺は別の家に居るんだ?って頭を捻って考える感じです。 実際に阿良也はここまで役の人物になり切ります。ですから、阿良也の演技はリアルさが段違いなのです。」
「ちなみに、この話は駅名などは違いますが、ほぼ実話です。その後のフォローが大変だった事はみなさんわかってください。」
記者からさらに笑いが起こる。 いい感じの雰囲気だ。
「さすがアキラ、俺のことが良くわかっている。やっぱり俺が大好きなんだな。」
そう言って、阿良也は僕を引き寄せてあごクイの演技をしてくる。 客席から記者会見を見ていた女の子からキャ~!って言う黄色い声が飛ぶ。
僕は阿良也を睨みつけると、阿良也にそのまま頭突きをした。
「ぐはっ。」
阿良也はおでこを抑えてうずくまる。
「役者なんだから顔は止めろって。」
「ちゃんと髪にかくれる場所に頭突きしたから安心しろ。」
親しい者同士の寸劇に、会場全体で爆笑が起きてカメラが回りっぱなしだ。
「やはり、役者同士、大変仲が良いのですね。 ところで今日は千世子ちゃんと景ちゃんと三人でデートでしょうか?」
そうだよね。それは聞かれるよね。という質問だ。とりあえず大人の対応をしておくか。
「はい。今日は僕と景ちゃん、千世子ちゃんの三人で阿良也の応援に来たんですよ。」
僕達四人の仲の良さは周知の事実。そのまま流そうとしていた所で、意外な所から反論が来た。
「酷いわ。アキラちゃん。アキラちゃんから私達を二股デートに誘った癖に。」
「そうですっ。昨日、どっちも選べないからって両方同時にデートしたのに酷いですっ!」
千世子ちゃんと景ちゃんの二人は、芝居がかった演技で僕からのデートのお誘いを主張する。
「君たち、昨日はドラマの撮影と学校に行っていて僕と会っていないよね? しかも景ちゃんが三人でどっか行きたいって言いだしたんだよね?」
「アキラちゃん、男としてのデリカシーが無いわよね。そう言う事は真実でも女の子には言わない物よ。」
「そうですっ。アキラさんはデリカシーが足りませんっ。」
「君たち、結託してなんなの!? 僕と熱愛報道でもされたいの? ・・・何!?その嫌そうな顔は・・・。」
「珍獣と熱愛報道されても・・・。」
「ペットですからね。」
「うわぁ。僕の男としての威厳が傷ついたよ。君たち酷いよっ。よよよよよっ。」
僕は嘘泣きをする。
「アキラ、傷ついたよな。俺も男としてアキラの辛さが良くわかるぞ。」
「わかってくれるのは阿良也だけだよ。」
「それじゃ、アキラを慰めるために、今からホテルに行くぞ!」
「またこのパターンかよ! 僕を狙っているのは男だけかよ! 最悪じゃねぇか!!」
そう言って、僕達の寸劇とともに、笑いに包まれて記者会見は幕を閉じた。
翌日のワイドショーは笑いのネタとして、明神阿良也と星アキラの熱愛発覚と、星アキラ二股疑惑で賑わい、僕の行った阿良也の役作りの解説と共に、僕と阿良也の記者会見が大きく取り上げられた。
ついでに僕と阿良也のカップリングによって、801板も何回目かわからない賑わいをみせた。
そんな賑わいの中、狙っていたかのように、巌裕次郎の次の舞台として夜凪景、明神阿良也の主演と星キアラ、百城千世子の助演で『銀河鉄道の夜』の舞台が発表されて、一気に世間の注目が集まって行くのであった。
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劇団天球『銀河鉄道の夜』スレ12
325名無し@舞台ファン
やっぱり巌裕次郎が演出で、若草物語以来の4人が出演とか楽しみすぎるだろ!
326名無し@舞台ファン
俺、チケットの抽選に家族総動員で申し込んだわ。
327名無し@舞台ファン
私も!今回の公演のチケットは絶対に手に入れる!!
328名無し@舞台ファン
星アキラ出演ということで、また生配信疑惑はあるけどな。
329名無し@舞台ファン
そこは状況を見てだな。でも生で実際の劇場で観てみたい。
330名無し@舞台ファン
若草物語の時にはネットで中継されたとは言っても、あの劇を生で観た友達は、未だに話題にしているぐらいだからな。
生で観られれば間違いなく一生の思い出になるだろ。
331名無し@舞台ファン
ニートのワイ将、チケットに当選したら、外出できなくて悩んでいるンゴ。
332名無し@舞台ファン
ニートは舞台を観る前に働けwww
333名無し@舞台ファン
外出してニートを脱出できるいい機会じゃねえか。まずは舞台を観るために勇気を出してみろよ。
334名無し@舞台ファン
今を逃したら絶対にこの舞台は二度と見れないぞ。外に行ってみるいい機会じゃねえか。
335名無し@舞台ファン
わかったンゴ。チケットをゲットしたらがんばってみるンゴ。
336名無し@舞台ファン
がんばれ!! 実際に観に行ったら報告ヨロ。
337名無し@舞台ファン
しかし、あの阿良也君とアキラ君の熱愛報道で盛り上がってからの舞台発表で、ワイドショーもすごい熱を入れて報道しているからな。
338名無し@舞台ファン
あの熱愛報道は笑ったがな。 二股疑惑の方じゃないのかよ!って。
339名無し@舞台ファン
二股疑惑と熱愛報道が別々の人に出ていたけど、あれって合計三股疑惑だったよなwww
340名無し@舞台ファン
報道各社が二股疑惑の方じゃなくて、阿良也との熱愛に力を入れていて大爆笑だったぞ。
341名無し@舞台ファン
あっちの方が、ワイドショーなんかで奥様方にウケが良かったらしいぞwww
342名無し@舞台ファン
千世子ちゃんと景ちゃんの、あるんだか無いんだかわからない二股疑惑よりも正直、面白いからな。
343名無し@舞台ファン
トイッターでやっていたアンケートでアキラ君は誰と付き合って欲しいでしょうか?のアンケートでキアラちゃんが1位でお茶フイタ。
344名無し@舞台ファン
あの投稿はおれも電車の中で吹き出して、笑いを止めるのが精いっぱいだったわ。
345名無し@舞台ファン
まさに現代のハーレム主、星アキラ。
346名無し@舞台ファン
アキラ君はなろう系主人公だった!?
347名無し@舞台ファン
千世子ちゃん←毒舌、景ちゃん←天然、ラーヤ←天然で男、キアラちゃん←本人。 なろう系でも見た事が無い超個性的なハーレムだな。しかも天然キャラが被っているし。
348名無し@舞台ファン
星アキラのラノベ発売『学校のアイドルが僕のことを好きだって告白してきたけど、それは僕本人だった』
349名無し@舞台ファン
意味不明すぎるw。確かにその題名は気になるwww
350名無し@舞台ファン
そもそも、実際にはまじでこうだろw 千世子ちゃんと景ちゃん(ペット)→ 星アキラ ←(片思い)明神阿良也
351名無し@舞台ファン
阿良也の方がガチ恋で草生えるw
352名無し@舞台ファン
あの阿良也のインタビューであの二人がアキラ君をマジでペット扱いしていてワロタ。
353名無し@舞台ファン
あのインタビューは何度も再放送されて、ネタにされまくっているからなw
354名無し@舞台ファン
普通は熱愛報道は千世子ちゃんか景ちゃんとアキラ君がされるはずなんだが・・・・。
355名無し@舞台ファン
この二人と付き合ったって報道しても面白くないからなぁ・・・。阿良也との扱いを見ると本当にまだどちらとも付き合っていないみたいだし。
356名無し@舞台ファン
全く意外性が無いからな。仮に本当に付き合っていても、はい。付き合っています。とか言われて終わりだろうし。
357名無し@舞台ファン
邪推とか野暮な想像をしようがないのがなぁ・・・。
358名無し@舞台ファン
阿良也の意味不明な説明をアキラ君が、ちゃんと説明しなおして、やっぱり星アキラはすげぇ、まさに一流の俳優だよって、感動してからの手のひら返しでの阿良也との熱愛疑惑よwww
359名無し@舞台ファン
アキラ君と千世子ちゃんが付き合っても、少女漫画とかドラマの展開としてもイマイチだしな。
360名無し@舞台ファン
あれは、隠れて付き合うドキドキ感がいいのであって、別に付き合ってもノーダメ同士だと全く意味がないぞw
361名無し@舞台ファン
熱愛報道って意外性があったり、ファンが怒って話題になるのがセットだからなぁ。あの辺のメンバー同士だと、あんまりそういう反応が無さそうだし。
362名無し@舞台ファン
その点、阿良也との熱愛疑惑は様々な方面の女性のハートを鷲掴みだからな。
363名無し@舞台ファン
阿良也との熱愛報道は、奥様や腐女子、ギャルに至るまで興味津々でワロタw
364名無し@舞台ファン
女って、純愛に憧れているくせに、男同士の恋愛とか大好きだよな。
365名無し@舞台ファン
あれはあれでファンタジーだからな。オタクに優しいギャルみたいな。
366名無し@舞台ファン
オタクに優しいギャルの話題は止めろ!!!
367名無し@舞台ファン
トラウマがほじくり返されたやつが居てワロタw
368名無し@舞台ファン
ところで今決まっている役は何?
369名無し@舞台ファン
発表されているのは、主演が明神阿良也と夜凪景って事でジョバンニとカムパネルラはこの二人だろうな。助演のアキラ君と千世子ちゃんの役はわからん。
370名無し@舞台ファン
アキラ君と千世子ちゃんはオリジナルかもしれないし、登場人物の誰かかもしれないし、全くわからん。
371名無し@舞台ファン
ちなみに、アキラ君じゃないぞ。キアラちゃんだ。そこの所を間違えないように!!
372名無し@舞台ファン
確かにそこは重要。
373名無し@舞台ファン
キアラちゃんと言う事は女性の役かな?
374名無し@舞台ファン
その可能性が高いね。若草物語以来の舞台出演。胸が高まリング。
375名無し@舞台ファン
最近のキアラちゃんは、成長してスレンダーの超絶クール美人だからな。
376名無し@舞台ファン
黙っていればなww
377名無し@舞台ファン
まぁ、喋るとギャグ属性になるのはいつものことだけど。
378名無し@舞台ファン
あの超絶美少女のキアラちゃんが成長して、超絶クール美人になるなんて誰が想像できただろうか!
379名無し@舞台ファン
あの適度に付いている筋肉が超そそるんだよな。
380名無し@舞台ファン
キアラちゃんは千世子ちゃんと一緒に歩いていると、女性からの黄色い声が凄いからな。
381名無し@舞台ファン
出演回数や映画は少ないけど、ある意味、女優として見たら人気は千世子ちゃんと競うよね。
382名無し@舞台ファン
ここでも女子の圧倒的な支持率が。
383名無し@舞台ファン
女子ウケしても、なぜか星アキラには嫉妬しないんだよな。
384名無し@舞台ファン
まぁ、アイドルの男とは違って、完全に珍獣だからな。ついでに女装。
385名無し@舞台ファン
女性からも嫉妬されず、男性からも嫉妬されない最強のキャラ、星キアラ。
386名無し@舞台ファン
まぁ、最強だよね。 まじで知らないと性別間違えるし。
387名無し@舞台ファン
星キアラショックは、キアラちゃんが現れてから何万人の人間にショックを与えたのだろうか・・・。
388名無し@舞台ファン
実際に、万単位じゃすまない量の性癖を歪ませている事は確かだろうな。
389名無し@舞台ファン
マジで世界レベルで見たら何千万か、下手したら億に近い人間の性癖を歪ませた可能性がある。
390名無し@舞台ファン
もっとも多くの人の性癖を歪ませた人間としてギネスに認定されるかもw
391名無し@舞台ファン
すでに女装で最も映画の動員と売り上げた俳優としてギネス認定されているだろwww
392名無し@舞台ファン
あれには笑ったw アキラ君狙い撃ちだったからなww
393名無し@舞台ファン
あのギネス認定は、明らかにギネスの宣伝も兼ねてただろw
394名無し@舞台ファン
キアラちゃんは、アキラ君の双子の妹だけあって、アキラ君と互角の演技力を持っているから、舞台も安心だしな。
395名無し@舞台ファン
あの巌裕次郎が星キアラをどう料理するのかが楽しみすぎる。
396名無し@舞台ファン
実は巌裕次郎も星キアラに性癖を歪まされているかもしれん。
397名無し@舞台ファン
いや、巌裕次郎の女装好きは昔からだろwww
398名無し@舞台ファン
シェイクスピアの演劇で昔から女装男優使っているしなw。 明らかに巌裕次郎の性癖ど真ん中だろww
399名無し@舞台ファン
実際には、主演が星キアラでも良かったな。
400名無し@舞台ファン
でも、阿良也と星キアラの主演同士では、本当に演技バトル全開のストリートファイトが始まるから、助演にしたのは正解といっちゃ正解。
401名無し@舞台ファン
演技バトルという意味では阿良也と景ちゃんの対決も超楽しみだな。
402名無し@舞台ファン
同世代の天才同士。しかもどちらもメソッド演技の天才同士。これは一波乱ありますぜ。
403名無し@舞台ファン
それを星キアラと百城千世子の助演がどう引き立てるかだな。
404名無し@舞台ファン
助演が虎視眈々と主演を喰おうとしていそうw
405名無し@舞台ファン
本当に舞台の展開が読めないな。
406名無し@舞台ファン
巌裕次郎の時点で、超楽しみなのにそれにあの四人が出演。波乱が無いはずもなく・・・。
407名無し@舞台ファン
明神阿良也の単独公演でもチケットが即日完売なのに、あの四人が同時共演。チケット争奪戦は激しそうだな。
408名無し@舞台ファン
チケットに申し込んだ日は重要な会議だけど、俺もチケットに当選したら、会社を休んで観に行くぞ!!
409名無し@舞台ファン
ダメじゃん。ちゃんと仕事しろよwww
410名無し@舞台ファン
実際、チケット取れたら、チケット取れたんでこの舞台観に行きますって有給出して普通にOKが出そうw
411名無し@舞台ファン
確かにこの盛り上がりは、そんな感じがあるよなww
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星キアラは舞台稽古に行く1
僕達の出演する銀河鉄道の夜の発表があってからしばらくして、顔合わせの舞台稽古の日になった。
僕は車に景ちゃんと千世子ちゃんを乗せて、劇団天球の練習場に向かっている。
「キアラさん、今日は思いっきり気合が入っているんですね。」
「そうですわ。あの巌裕次郎がせっかくわたくしをご指名してくれたのですから、気合を入れて他の劇団メンバーをビビらせる必要がありますわ。」
「ビビらせると言うか、ドン引きさせるというか、脳が破壊されると言うか、とにかくすごいわね。しかもTPOを弁えた服装をしているし、正直に言って私よりも美人で目立つと思うわよ。」
今日の
足は稽古で動きやすいようにパンプスではなくて、スニーカーを履いている。
ぱっと見でそんなにオシャレな恰好じゃないんだけど、街を歩いていると間違いなくみんなの目を引きまくる。それぐらいヤバイほどの美人オーラが出ていた。
なによりも僕の中性的でスレンダー体形を生かして、黒髪女子で活動的な美人お姉さんという恐ろしい属性を全力で磨いた格好と容姿に仕上がっている。普段の放送時にもここまで気合を入れた格好はして来なかった。
お化粧が終わって全身鏡で
美人の中にほんのわずかに匂う男っぽさ。 男性は千世子ちゃんのように、可愛い女の子を守りたいという本能の他に、強くて健康的な女性に自分の子供を産んで欲しいという欲望も持っている。僕の今の恰好は、そんな男たちが求める欲望の結晶であり、男で無ければ理解できない、男にとっての理想の女性像でもあった。
千世子ちゃんとキアラが街を歩いている所を、男性にどっちがいい?と聞かれると、普段は千世子ちゃん7でキアラ3ぐらいの比率だと思うけれども、今二人で街を歩くと千世子ちゃんとキアラが半々か、キアラの方が勝っている可能性が高かった。
景ちゃん? 今の景ちゃんは、Tシャツの前面にデカデカと『アサガヤ』という名前が入ったクソダサTシャツと、ジャージのハーフパンツという、ウルトラクソダサファッションを極めていた。景ちゃんの顔がすごくいいので、そんなクソダサファッションでも目立たないし、舞台稽古であれば、動きやすい景ちゃんの恰好が正解だ。
でも、僕と千世子ちゃんと、ズボラ女子全開ファッションの景ちゃんが三人で一緒に歩いていると、景ちゃんを選ぶ人は少ないのではないかなぁ・・・・。
景ちゃんはお金が無かった子供の頃のトラウマで、ファッションとか化粧道具にあまりお金をかけないんだよね。
運動神経はいいし、健康的な美しさも、もちろん持ち合わせているんだけど、役者ならそのポテンシャルを万全に発揮できる恰好をするべきだよね。貧すれば鈍するじゃないけれども、景ちゃんも自分の立場や状況に合ったオシャレを教育する必要があるかもね。ただ、今回の舞台稽古は本来は景ちゃんの恰好が正解だけどね。
とはいえ、本当にオシャレした景ちゃんが渋谷の街とか歩いていると、大パニックになるだろうから、これはこれで本人にとっては人混みに紛れる迷彩みたいな役割で良いのかもしれない。 ただ、『星アキラと密会!秘密デート』とかの飛ばし記事が出た時に、写真を撮られた景ちゃんの服装がこれだったら、星アキラ!もっといい服を景ちゃんに着せろよ!って感じの別の批判が来そうで怖いんだよね。
「今日のキアラさん、本当にキラキラしていて眩しいです。キアラさんを見ているとぼーっ見とれて胸が高まります。 今回の舞台はそんなに気合を入れて挑む感じなんですか?」
「もちろんよ。今回の劇は巌裕次郎の人生の総決算の劇なんだから、ここで巌のじっちゃんの性癖を破壊して度肝を抜いてあげるんだから。」
「ある意味、劇団天球のホームに行く感じで、私達はアウェイなんだからハッタリは必要なのは判るけれども、今日のキアラちゃんはやりすぎよね。私も舞台稽古のTPOがわかっていない、顔だけの女優って思われるのが怖くて、おしゃれは抑え気味で動きやすい格好で来たのに、キアラちゃんはそのTPOの中で最大の好感度を狙って来たわね。まさに男子に優しい理想の女子って感じ。 今のキアラちゃんに、ホテルに行かない?って声をかけられたら、男も女もみんなホイホイと付いて行っちゃうわよね。」
「おーほっほっほ。その通りですわ。 わたくしの美貌と演技力で劇団天球の方々の性癖を軒並み破壊してさしあげますわ!!」
「・・・キアラちゃんはこれさえ無ければ、すごくいい子なんだけど・・・・。」
こんな感じで、僕達は劇団天球の練習場に到着した。
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星キアラは舞台稽古に行く2
劇団天球の稽古場に着いてドアの前に行くと、中からケンカするような声が聞こえてきた。
「俺の芝居が何だって!? もう一度言ってくれよ!!」
「独りよがりで迷惑っつったんだよ。会話のキャッチボールになっていないんだよ!」
「はぁ!?何だって!!」
「相手の言葉を聞いてから言葉を発してよ!」
「そうしているわ。バカにしているのか!?」
うわー。亀太郎兄さん(青田亀太郎)と七生姉さん(三坂七生)が芝居の事でケンカしているよ。それだけ真剣だって事だろうし、ケンカできるほど対等って訳だろうけど一発触発な状態だね。
周りも止めようとしているし、事情も良くわからないから、しばらく静観だね。稽古場を見渡すと奥に巌のじっちゃんと阿良也が居た。
巌のじっちゃんは椅子に座っていて、阿良也は稽古場の床に寝転んでゴロゴロしている。
「阿良也、てめぇ何寝てやがる、進まねぇからこいつら黙らせろ。」
「別にいいじゃん。今休憩中だし。大体これって巌さんの仕事じゃん。」
「俺は忙しいんだ。お前が何とかしろ。」
「何、殺気を出しているんだよ。そんなにイラつくなら自分でやればいいじゃん。あっ!」
「景、ちょっとそこの二人のケンカを止めてよ。」
阿良也は、僕が車を止めている間に先に稽古場に入っていた景ちゃんを見つけると、とんでもない無茶ぶりを押し付けてきやがった。
「わっ、私ですか!? 二人とも、ケンカは良くないと思いますっ。」
つっ、月並みすぎるセリフだ。 こんなセリフでこの二人のケンカが止まるとは思えん。
「景っ、横から入ってきて何よ!!」
「景ちゃん、事情がわからないなら黙ってくれないかな?」
直感派の景ちゃんに仲裁できるようなまともな演技論や人生経験などあるはずがなく、案の定、二人から集中砲火を受けて炎上を始める景ちゃん。
こんなの阿良也に任せておけばいいのに、あいつ、仲裁が面倒で景ちゃんにぶん投げたからな。こうなったら仕方がない。
「あら、素敵なお兄さまとお姉さまがいらっしゃるのね。」
僕は清潔で育ちの良い若くて魅力的な女性を演じる。
「げっ」
「誰!?(ドッキーン)」
七生姉さんはこの女性が誰だかすぐにわかったようだけど、亀太郎兄さんは僕が誰かわからないで、突如現れた謎の美女に話しかけられて目がハート状態になっている。
「こんなに真剣にお芝居の事を考えているなんて、お二人とも素敵ね。私、お二人に憧れてしまいます。」
七生姉さんにはすぐにバレたけど、亀太郎兄さんを惹きつける事に成功したようだ。逆に七生姉さんはドン引きして、ケンカの勢いが弱まっている。
僕は亀太郎兄さんをターゲットに全力で男を惹きつける仕草で演技を行う。
「私、こういう演技に情熱を注ぐ方が大好きなんです。特に男性の方は情熱的で素敵ですね。差しさわりなければ、どういう論議をしていたのか教えていただけますか?」
女には男に媚びを売っているのが見え見えの演技だ。ただし対象の男は意外に気が付かない。一触即発のケンカ中に自分を擁護してくれる可能性のある美女が出てきたらそりゃ、ペラペラとケンカの原因を語るわ。そして中身に気が付いている七生姉さんのドン引きはさらに強まっている。
「こいつが俺の演技に突然ブチ切れて、独りよがりで迷惑な芝居だっていちゃもんを付けて来やがったんだ。」
「まぁ、そうなのですね。でも突然そんな事を言うのでしたら、三坂さんにもちゃんと理由があるんですよね?」
僕は七生姉さんに向いて、理由を説明するように促す。
「こいつが、芝居を投げているようなヘラヘラした態度でセリフを言うから、真面目にやってほしいのよ。」
「なるほど。でも青田さんも当然、舐めた態度で芝居をしていた訳じゃないんですよね?」
初対面で名前を知っている事に違和感を抱かない亀太郎兄さん。僕のファンなら当然名前を知っているよねって感じだ。
「当然だ。僕はいじめっ子のザネリの役としてユーモラスに演じていただけだ。へらへらと感じるのはれっきとした演技だよ。」
「いじめっこのザネリはみんなの憎まれ役。三坂さんをイラつかせたと言う事は、その演技は成功という事ですね。今からそのステキな演技がとても楽しみです。」
「そうだよ。君はこんなやつよりも、何倍も芝居がわかっているね。もしかして僕のファンかな?」
男に好感を持っている演技をしているので、完全に騙されている亀太郎兄さん。目がハートのままスター気分だ。
「こいつが、私よりも何倍も芝居をわかっているのは認めるけど、それよりも私は亀が不憫でならないわ。」
「わたくしもそう思いますわ。」
僕と七生姉さんは二人で頷く。七生姉さんは僕の乱入によって完全に気勢が削がれたようだ。
「え? えっ?」
事情が全く呑み込めない、亀太郎兄さん。
「あんた、まだ気が付かないの? こいつ、星キアラよ?」
「そうですわ。そう言えば、自己紹介がまだでしたね。」
「今回、銀河鉄道の夜に出演させていただく、星キアラです。 皆さまよろしくお願いいたします。」
そう言って、僕は深々と頭を下げた。
「「「「「「「「「「「「「「えっーーーーーーーー。」」」」」」」」」」」」」」
僕の正体に気が付かなかった沢山の劇団員から驚きの声が上がる。
「僕は、星アキラにっ、男に迫られていたのかっ・・・・。ガクッ ううううっ。うわーーーーーーーっ。」
そして、案の定、亀太郎兄さんは好感を寄せてくれていた女性が星キアラだと知り、全力でダメージを受けるのであった。
「素晴らしいダメージの表現とリアクションですわ。まさに心の叫びを全力で体現していますわ。 亀太郎お兄様、流石の演技ですね。」
「これは演技じゃなくて、素よ。 あまり亀の傷口に塩を塗りこまないでくれる? これでも同じ劇団員なんだし、再起不能になったら困るの。」
「七生姉さん、了解いたしましたわ。 七生姉さんの劇団への愛を感じますわ。」
「しかし、よくもまぁ、ここまで化けたわね。容姿といい、仕草といい、全力で男を落としに行っているじゃない。これなら亀じゃなくても勘違いするわよ。」
「もちろんですわ。今日は巌のおじい様の性癖に全力で刺さるをコンセプトにしてきましたの。これで巌のおじい様から良い役をゲットしますわ。ね?巌のおじい様?」
「俺を女装男子好きと勘違いするな。それに俺に色目を使ったぐらいで良い役にキャスティングするなんて思わない事だ!」
流石は舞台演出に人生をかけて、文化勲章までもらった男、巌裕次郎。 威厳が段違いだ。
だが、僕は知っている。シェイクスピア時代の伝統で女装男優を舞台で使っているとか建前でいろいろ言っても、本質的に女装男優が嫌いなら自分の舞台で使う訳が無い。
「でも、好きですよね? 女装男優。」
「ごほっ。ごほっ。まぁ、確かにな。」
巌裕次郎は咳で誤魔化しながらその事実を認めた。
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星キアラは舞台稽古に行く3
「ジョバンニは明神阿良也、その友人のカムパネルラに夜凪景、この二人が主演だ。」
「なるほど。ジョバンニが景ちゃんになると思っていたから意外ですわね。」
「その意味で言えば、裕福な家に育って品行方正で優しいカムパネルラはどちらかと言えば完全にアキラちゃんだと思うけどね。」
「お前ら、俺の配役に口出しするんじゃねぇ! それに俺は感情が匂わない役者は使わないんだ。」
「その辺は特に言う事はありませんけど、と言う事は逆に、巌のおじい様にはわたくしと千世子ちゃんを匂わせる目途が付いているということですわね。」
「まぁ、そんな所だ。どちらにせよ、お前と千世子はスケジュールが忙しすぎて、稽古の時間が満足に取れないから、助演以外では出演は無理だろうが。これから3ヵ月の期間があるとは言え、千世子は主演のドラマ撮影が一本あって、アキラもハリウッドの撮影が途中入っているだろうが。」
「それは痛い所を突かれましたわね。確かにそれは一番言えていますわね。わたくし達が居なくて他の劇団員さん達にご迷惑をお掛けする訳にはいきませんし、妥当な配役ですわね。」
そんな会話をしていると、七生姉さんが反論してきた。
「私はまだ完全に納得できたわけじゃない。確かに景の演技がすごいのは認める。でも景は映画やドラマがメインだし、舞台も昔に若草物語で出演したきりでブランクも大きい。 アキラを差し置いて、いきなり巌さんの舞台で主演なんてまだ力不足じゃないんですか?」
「七生、言うようになったじゃねぇか。なら試してみたらどうだ? 別に今日は顔合わせで台本の読み合わせも無いんだ。 お前が景を喰えるものなら喰って見ろ。」
「わかりました。」
そう言って、七生姉さんはパイプ椅子を2つ引きずって来ると、景ちゃんに向かって言った。
「ここは汽車の中だよ。座ってよ景。」
七生姉さんはそう言うと、景ちゃんは何も言わずにその椅子に座った。
「すげぇ、この状況でみんなの前でやる気かよ。」
「失敗したら取り返しがつかないだろうに、肝が据わっているな。」
劇団員の人達がざわざわとざわめく。
そんな事をしていると景ちゃんはそっぽを向き始めた。
「何しているんだ?そっぽを向いて?」
「この人数に見られて怖気づいたのか?」
そっぽを向いた景ちゃんを見て、劇団員のざわめきはさらに大きくなる。
「いや、もう始まっている。」
良く目を凝らすと、景ちゃんが電車の振動で小刻みに揺れているのがわかる。雰囲気も明るくて、高校を出てからの初めての一人旅で、田舎に向かってときめきながら窓の外の風景を楽しんでいるように見えた。
そういえば、夏休みや年始などは仕事が無ければ景ちゃんは夜凪ママと一緒に夜凪ママの実家がある金沢に良く帰るようになっていた。その時には電車でいろいろな場所をめぐるのが好きだと言っていた。そんな経験をそのまま演技に落とし込んでいるようだ。
「俺でもあの動きを無意識下に落とし込むためには1日中汽車に揺られている必要がある。それを景は一瞬でやるなんてほとんど自己催眠の域だね。さすが景だね。」
阿良也は感嘆したように言う。
「いや、演技が細かすぎてわかんないから!! 細かすぎて伝わらないモノマネであっても、みんなにそれとなく分かるから面白いのに、景ちゃんの演技は高度だけど何をやっているかなんて一部の人にしか分からないから!!」
七生姉さんはそんな細かすぎて観客にほぼ伝わらない演技を見てぶすっとしていると、いきなり髪を解いて明るい女の子で演技を始める。
「隣いいですか?」
景ちゃんは戸惑ったような表情を見せる。
「七生の変貌に驚いちゃって、戸惑っちゃったみたいだな。」
「これは主演は大丈夫なのか? 七生が言う通り時期尚早じゃないのか?」
劇団員さん達は口々に七生姉さんの変貌ぶりを褒めたたえる。そして、戸惑う景ちゃんを見て好き勝手に批評していた。
景ちゃんはおもむろに口を開く。
「他にも席が空いていたから驚いてしまって。 どうぞ。」
そう言って、景ちゃんは隣の席に七生姉さんを座らせる事を促す。
「えっ、あっ、」
固まる七生姉さん。これは酷い初見殺しだ。七生姉さんが戸惑うのも無理はない。
「もう十分だろ七生。」
「景のセリフになぜ戸惑いを見せた? お前の詰めの甘さが理由だろうと、決して顔に出さずに演じ続けろ。舞台に失敗は許されねぇんだぞ!」
「・・・・はい。」
「今の景の演技が、阿良也以外に理解できた奴は居るか?」
七生姉さんがおもむろに手を上げると、ぼくと千世子ちゃんも小さく手を上げた。
「キアラ、景の芝居はどうだった?」
「ものすごくリアルで高等すぎて一部の人にしか分からないけれども、それを差し引いても七生姉さんがかわいそうですわ。そもそもパイプ椅子は2つしか用意されていないし、2つ席が用意されていたと言う事はもう片方は七生姉さんが座るって暗黙の了解が出来ているということですわ。この場面は二人で劇をやるべきだったのに、景ちゃん的には自然な状況だったかもしれないけど、景ちゃんもちょっと共演者の事を配慮してあげる必要がありますわ。」
そう言うと、景ちゃんはがーーーん。としてショックを受けたような表情をしていた。
「言うじゃねえか。それならキアラ、お前が七生の代わりに演じて見せろ。」
「仕方がないですわね。それじゃ景ちゃん、また演技してもらえますか?」
「はい。」
僕はそう言うと、ポニーテールを解いて、七生姉さんと同じようにストレートヘアになると景ちゃんの横へ行く。
景ちゃんはまたさっきと同じ演技を始めている。さっき受けたショックを微塵も感じさせず、また役に没頭している。この辺はまさにアリサママの指導のたまもので、プロフェッショナルと言えるだろう。
「あら?こんな所にこんなかわいい子が居るなんて。 お嬢ちゃん、どこまで行くの?」
「はい。富山市まで行く予定です。」
「てっきりこんな時間だとこの電車は空気輸送をしていると思っていたのに、こんなにかわいい子が乗っているとは思わなかったわ。せっかくだし隣に座ってもいい?」
「どうぞ! お姉さんは、どうしてこの電車に乗っているんですか?」
「私は電車が好きで日本全国のいろんな電車に乗っているのよ。今回はこの419系が目当てね。」
「この電車はそんなに珍しい物なんですか?」
「そうよ。特に運転席とか素敵じゃなかった?」
「普通の電車に見えましたけど・・・・。」
「この電車は元は寝台列車の583系の中間車両だったの。それで余剰で余った中間車両に強引に運転席をポン付けすると言う、ダイナミックな魔改造を施して、平らな顔の食パン電車になったのよ!」
「食パンですか! そう言うと確かに可愛らしい感じですね。」
「そうよ。すごく可愛いのよ! あなたわかっているわね! だからここの席の小さい窓わりは元々、三段ベッドの構築部分を強引に座席に直したせいでこうなっちゃったのよ。」
「なるほど! 古い電車かと思っていたのですが、そう言うことがわかると、歴史を感じさせますね。」
景ちゃんはまるで、そこに小さい窓があって、それを見て楽しむようなリアルな演技を行う。観ている劇団員の人達から感嘆の声が上がる。
「街の発展が交通機関の需要を生み、交通機関の発展が街を形作るの。 街の歴史と交通機関の歴史は切っても切り離せないものだから、それを調べながら電車に乗って歴史を満喫するの。」
「すごく素敵ですね。」
「そういえば、お嬢ちゃんはどうしてこんな電車に乗っているの?」
「金沢のおじいちゃん、おばあちゃんに会いに来たのですが、せっかくだし一人で電車に乗って旅をしてみたくて、富山に行ってみる事にしたんです。」
「素敵だわ。お嬢ちゃんにも鉄道マニアとしての血が目覚めるといいわね。」
「いえ、そんな血は目覚めないと思うのですが・・・。」
景ちゃんは少し引き気味だ。
「ちょっと窓の外の風景を撮らせてくれる?」
「はい。旅行の動画ですか?」
「そうなの。迷列車で行こうって言うシリーズの動画を投稿しているんだけど、元祖迷列車であるこの食パン号の風景は是非撮りたいのよ。」
「そっ、そうなんですねっ。熱中できるものがあるのはいいですね。」
「あきらかにドン引きしているわね。お嬢ちゃんは何か熱中できるものは無いの?」
「お芝居が好きで、演技をするのが好きです。」
「へーーー。役者さんなの?」
「はい。役者の卵なんですけど。」
「だから、そんなに線が細くて美人なのね。本当に素敵だわ。」
「でも、なかなか周りの人に上手く合わせられなくていつも迷惑をかけてばかりで・・・。」
「若いわね~。生きる限りある程度周りに迷惑をかける場面はいくらでもあるわ。大切なのは迷惑をかけない事じゃなくて、迷惑をかける事で何を学ぶかよ。」
「迷惑をかけて学ぶことですか?」
「確かに同じ迷惑ばっかりをかけ続けたら、周りから人は居なくなっていくわ。でも迷惑をかける事で何かを学んでいって行動を変えていければ、人生も変わっていくわ。」
「詳しいんですね。」
「それは当然。家を飛び出して好き勝手に趣味に生きたから、私のこれまでの人生は沢山の迷惑をかけまくったもの。だから私は人に迷惑をかけるプロだからわかるのよ。」
「そんなプロは嫌ですね。」
「そうかもね。」
そうして僕達は笑いあった。
「それじゃ、そろそろ行かないと。お話できてすごく面白かったわ。」
「ありがとうございます。私も面白かったです。」
最後に僕は思い出したように言った。
「そうそう、そういえば、この電車は2012年に解体されたのよ。」
「えっ?でも今、私はこの電車に乗っていますけど?」
「そうね。今あなたが見ているのは、30年以上走り続けた列車の記憶。そしてあなたはこの電車の最後の乗客なのよ。」
「どういう事ですか?」
「あなたはもう気が付いているでしょう?もうこの列車はこの世に存在していないの。そしてあなた自身も。さあ、帰る時間ですよ。」
景ちゃんは驚いた顔をすると、少し考えるそぶりをした後に、僕に向かって優しく微笑んだ。
「やっぱりそうなんだ。ありがとう。最後に美涼に会えてすごく嬉しかったわ。」
「私が妹だって気が付いてくれていたんだ。ありがとうお姉ちゃん。私もお姉ちゃんに会えて嬉しかったわ。来世でまた会いましょうね。」
「はい。また来世で。今度はちゃんと迷惑をかけても学べるようになります。いつも迷惑ばっかりかけてごめんなさい。最後に私を見守ってくれるのが妹の貴方で良かったわ。」
「私も素敵な体験だったわ。ありがとうお姉ちゃん。お姉ちゃんが事故に遭う前に酷い事を言ってごめんなさい。あんなことを言わなければ、お姉ちゃんは一人で富山に行って事故に遭う事も無かったのに!」
「そんなの気にする事は無いわ。私こそあなたに辛い思いをさせてしまってごめんなさい。あなたのおかげで私にもようやくお迎えが来たみたい。ありがとうね美涼。大好きだよ。」
「私もお姉ちゃんの事が大好きだったの!」
こうしてお互いに抱き合って涙を流しながら、妹の僕と6年前に事故で亡くなったお姉ちゃんは、お互いに涙でぐしゃぐしゃの顔で強引に笑顔を作って微笑合ってから、お別れをして二人の劇は終わりを迎えるのであった。
-----------------------------------
劇が終わった時には、あんなにざわついていた劇団員達が一言も発せずにシーンとしていた。そしてしばらくして我に返ると、滝の音のような大きな拍手の音。僕達の劇に全員が拍手してくれた。
そして、少なからぬ人達が一緒に涙を流してくれている。
劇団天球で初めて僕と景ちゃんが演じた劇は、劇団天球の人達に強烈な印象を植え付けたのであった。
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三坂七生は星キアラの演技を見る1
---------- 三坂七生視点 ----------
カムパネルラに夜凪景という配役を聞いた私は、思わず巌さんに反発してしまった。
最初から二人の主演は発表されていたけれども、ジョバンニは景でカムパネルラが阿良也だと思っていたから、普段は巌さんに配役の事で反発や口出しなんてしないのに、思わず自分の意見を言ってしまう。
ジョバンニというのは父親の死と母親が病気の中で辛く苦しい労働に向き合い、日々を辛く苦しく生きる子供であり、対照的にカムパネルラは裕福な家に生まれ育って、みんなの幸せのために自分の命すら捧げることができる純粋で優しい少年。
阿良也は自由人で労働なんてほど遠い人物であったし、景は、アキラ君に助けてもらうまで辛い生活をしてきて、心の裏側にそういった辛さや孤独を持っている人物がカムパネルラというのも、納得が行かなかった。
なによりも、カムパネルラには明らかにみんなが納得して誰ひとり口を挟まないであろう配役があった。 その人物が星アキラ。
アキラの育ちはカムパネルラに近いし、性格はまぁ、カムパネルラとは全く言い難いクソガキだけれども、パーソナリティーとして持っている優しさや、何よりも演技の技術、世間のイメージなど含めて完璧だった。
ジョバンニが明神阿良也でカムパネルラが星アキラという舞台のチケット発売されたら、私も関係者で無ければ、間違いなく片っ端からチケットサイトに登録して、抽選が当たるように毎日祈っていると思う。
そんな明らかな適役を外した数々の配役。 私は巌さんの考えがわからなくて、思わず反発してしまったのだ。
そんな巌さんから返ってきたのは、私に対する挑発だった。
「七生、言うようになったじゃねぇか。なら試してみたらどうだ? 別に今日は顔合わせで台本の読み合わせも無いんだ。 お前が景を喰えるものなら喰って見ろ。」
「わかりました。」
私は巌さんの挑発に乗る事にした。パイプ椅子を二つ用意して、景に電車に乗っている演技をするように促す。
景はすんなりと椅子に座って、そっぽを向いてしまった。
私が景の主演に納得していないみたいな事を言ったから、拗ねてしまったのだろうか?
しばらく、景を見ていると体が小刻みに揺れているのが見えた。景は窓の外を見ながら微笑んでいた。
一人旅の中で、見知らぬ土地でこれから何を体験するんだろうというワクワク感と、その気持ちを静めるために、初めて見る外の景色に見とれているのがわかる。
誰しもが体験した事のある、旅行や外出での一場面の心情を見事に演技していた。何ていう表現力、何て言う繊細な演技、そして極めつけに何ていう不親切な演技だ。
そばに寄って、じっと観察して初めて気が付く。 周りの人間は景が演技している事すら分からないだろう。
映画やドラマであれば、カメラの構図とズームアップで上手く表現できるかもしれないけど、舞台じゃ99%以上の人が理解できない、ものすごいリアルで繊細な芝居。
まるでわかる人にだけわかるカルト映画のようだ。
私は景の演技の完成度とその放り投げっぷりに戸惑ったが、この景の舞台の中に入り込める役として、結っていた髪をおろしてストレートヘアにして、明るい女性を演じることにした。
「隣いいですか?」
景ちゃんは戸惑ったような表情を見せる。何で戸惑っているんだ? 演技は継続しているのはわかっていたので、私は何で景が戸惑う状況になったのかが分らなかった。
私は景が戸惑った理由に疑問を抱いてその原因を考えた。 景の戸惑いに疑問を挟んで、戸惑った理由を第三者の演技者視点で客観的に考えてしまったのが、私の敗因だった。
「他にも席が空いていたから驚いてしまって。 どうぞ。」
そう言って、景は隣の席に私を誘導する。
「えっ、あっ、」
アキラや千世子ならこんな事は無いだろうけど、景は阿良也と同じく役に入り込むタイプだった。
景は進行方向に対して、右を向いて景色を眺めていた。これは地方のローカル線などに見られる座席配置だ。都内の電車であれば、特急以外は通路と並行の座席配置になるため、景は景色を見るのに正面か後ろ側を向いた演技をするはずだ。
景の演技から一人旅をしているのは分かっていた。 旅行をしているのであれば尚更、この鉄道は地方のローカル線であり、他の席はガラガラである可能性を考えるべきだった。
この時の私には、なぜ席がガラガラなのに隣の席をお願いしたのか、理由をちゃんと演技で返して物語を発展させる必要があった。でも私はこの物語の登場人物ではなくて、演技者を吟味する視点で考えてしまったために、この切り返しに失敗してしまった。
私はなぜ、席がガラガラの状態で彼女の横の席をお願いしたのか? その理由をちゃんと返えせればこの劇が破綻する事が無かったのに! 星アキラや百城千世子であれば演技者視点であっても、観客を喜ばせるような見事な切り返しをしたのがわかるだけに、私は自分の未熟さを悔やんだ。
子供の頃の知り合いであったりとか、友達と似ていたとか、いろいろ対応できたはずだ。私は自分の演技の拙さと力を出せなかった己自身の未熟さを激しく後悔した。
「もう十分だろ七生。」
「景のセリフになぜ戸惑いを見せた? お前の詰めの甘さが理由だろうと、決して顔に出さずに演じ続けろ。舞台に失敗は許されねぇんだぞ!」
「・・・・はい。」
巌さんに指摘されなくても、今の劇を自分が失敗させた事は誰よりも良くわかっていた。 だから私は、景が不親切なセリフを言ったとか、そう言った言い訳は全くしなかった。
そうしていると、意外にもキアラが反論してくれた。
「ものすごくリアルで高等すぎて一部の人にしか分からないけれども、それを差し引いても七生姉さんがかわいそうですわ。そもそもパイプ椅子は2つしか用意されていないし、2つ席が用意されていたと言う事はもう片方は七生姉さんが座るって暗黙の了解が出来ているということですわ。この場面は二人で劇をやるべきだったのに、景ちゃん的には自然な状況だったかもしれないけど、景ちゃんもちょっと共演者の事を配慮してあげる必要がありますわ。」
確かにそうだけど、自分が盲点の内容であっても、どちらにせよ景ちゃんの意図を汲んで私は演技を続けるべきだった。
反論してくれたのは嬉しいけれども、私の役者としての力不足は自分自身が一番良くわかり、落ち込んだのだった。
七生姉さんの視点が長くなったので、2回に分けさせていただきました。
次回はキアラの演技を見る七生姉さんの視点になります。
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三坂七生は星キアラの演技を見る2
---------- 三坂七生視点 ----------
キアラと景が劇をする事になった。
先ほどと同じく景が電車の座席から外の風景を見る演技を始める。
キアラは私と同じく髪を下ろして、旅行者として電車に乗り込んだという設定だ。私の時には垢ぬけた人間を演ずるために髪を下ろしたけれども、キアラが何で髪を下ろしたのかは良くわからない。
どちらにせよ、今のキアラは本当に美人だった。千世子が現実離れした美しさなのに対して、キアラは活動的で肉体美に溢れていた。・・・これで男じゃ無ければ・・・・。ある意味倒錯した美と魅力に溢れているんだけど、確かに巌さんがとても好きそうだ。芸術家肌の人間であればあるほど、キアラの事を好むのではないか。そう考えると、いろんな映画監督たちとも相性がいいのかもしれない。そのうち、ハリウッドでもアキラじゃなくてキアラに仕事が来るんじゃないかと、そんな感じがした。
キアラは演技に入ると、旅行好きな明るい女子大生を演じている。・・・訂正、旅行好きというよりも電車マニアね。どっから来たんだよあの電車の知識。
電車オタクのキアラに景は引き気味だ。でも会話は子気味良く、二人は即興で演技をしているとは思えない。パイプ椅子に座っているだけなのに、旅の情景の一場面がありありと目の前に浮かんでくる。
景の方は田舎に帰省したついでの一人旅でワクワク感が伝わってくる。キアラは変人だけど、これもまた旅の醍醐味だろう。
ふと、集中して見ていると、キアラと景が重なって見えた感じがした。キアラと景の間の境界が薄くなったような・・・。
良く観察すると、景の動きに合わせてキアラも動いている。ミラーリングという相手の仕草を自然と真似て親近感を持たせるテクニックだ。何でキアラがミラーリングなんて使っているんだ?と思った。
観客から見ると、キアラが無意識に景にしぐさを真似て、景に好意があるように見える。景の事をキアラが気に入ったという事だろう。普通の情景、旅先で交わされるちょっとマニアックだけど普通の会話。でも何か違和感を覚える。ミラーリングしつつも、キアラは景が視点を外したタイミングでほんのわずかに憂うような表情を一瞬だけ見せた。
何だろう?二人の関係は旅先で会った、一人旅同士の女子大生と女子高生のはずなのに、特別な関係があるのだろうか? さっき、ほんの一瞬見せた、キアラの逡巡した表情が頭から離れない。何か引っかかる。
ただの旅先の会話のはずなのに、演技が下手とか、演技ミスとかではなくて、見ている人もみんな私のようにちょっとした違和感を感じるのではないだろうか。
景はそんなキアラを気にする事無く、会話を続ける。そして目的地に近づき、二人の会話は終わりを迎える。
キアラが座席を立って、劇は終了だ。
さっきまでの私と景の劇があったから、みんな緊張して固唾を飲んで見守っていたけど、旅先での一場面を見事に表現した良い劇だった。
そして、見ていた観客の緊張が緩んだまさにその瞬間、キアラは爆弾をぶち込んできた。
「そうそう、そういえば、この電車は2012年に解体されたのよ。」
・・・突然何を言っているんだ? 完全に虚を突かれた観客たちは戸惑い、ポカンとする。
「えっ?でも今、私はこの電車に乗っていますけど?」
そういえば、推理ドラマで何度も観た事がある。刑事が犯人への聞き取りを終わって、犯人の緊張が緩んだ瞬間、とぼけた刑事が「そうそう、そういえば一つ忘れていたんですけどね・・・。」という感じで、核心的な事実を犯人に告げる瞬間。私はその気を抜いた瞬間にとどめを刺される心理をまさしく味わった。
これって、ただの旅先で会話するだけの劇じゃなかったの? 景も虚を突かれたような表情をしている。まるでさっきの、景に席が空いている事を告げられて驚いて言葉に詰まった私のように。
劇の終わりだと思って和らいだ緊張が急激に高まり、見ている観客もピリピリして、体に力が入りながら無口で劇に見入っている。
一瞬気を抜いたからこそ、それまでの演技を推し量るような穿った見方で劇を見ることができない。観客は完全に目の前の劇をノーガードで観ることを強いられている。
「そうね。今あなたが見ているのは、30年以上走り続けた列車の記憶。そしてあなたはこの電車の最後の乗客なのよ。」
「あなたはもう気が付いているでしょう?もうこの列車はこの世に存在していないの。そしてあなた自身も。さあ、帰る時間ですよ。」
景は考えるそぶりをした後にセリフを返した。
「やっぱりそうなんだ。ありがとう。最後に美涼に会えてすごく嬉しかったわ。」
見事な返しだ。さっき戸惑ってセリフに詰まった私とは大違い。二人の関係性はわからないけれども、キアラのちょっとした違和感を感じる演技から、知り合いである事はなんとなく察せられた。だから知り合いであることを強調してキアラにセリフを返した。だけどキアラは私の予想をさらに上回って、そこにさらに爆弾をぶち込んで来る。
「私が妹だって気が付いてくれていたんだ。ありがとうお姉ちゃん。私もお姉ちゃんに会えて嬉しかったわ。来世でまた会いましょうね。」
えっ、姉妹だったの!? しかも景が姉でキアラが妹!? どういう事よ!!
あまりの展開に私の思考は追い付かず、目の前で展開される劇をありのままに受け入れるしか無かった。
劇で見せた風景が電車の記憶!? お姉ちゃんの景は事故に遭ってすでに亡くなっていて、妹だけが歳を取って景の前に現れたの!?
なんていう構成なのよ!? 即興劇のレベルを超えているわ。
そして、姉妹が再び出会い涙を流す。私はその美しくも儚い演技にもらい泣きをしてしまった。こんな展開は反則だ。反則過ぎる。
キアラが最初に髪を解いたのも、景と同じ髪型にして未だに姉を忘れられない妹を演出するため。 途中のミラーリングや逡巡した表情で違和感を持たせたのも最後のどんでん返しのための仕込み。
なんで6年前に解体された電車の記憶が見えるのか、なんで姉がそれに乗っているのか、なんで妹が会いに来れたのか、なんで会ってすぐ妹だって言わなかったのか。わからない事だらけの不親切な芝居。
でも見ている人は、わからない部分の物語を自分で想像して、観客の頭の中でそれぞれが理想とする完璧な設定の劇が完成する。
やられた! 完全に星
そして、それに合わせられる景もすごすぎる。役に入るとかそういう次元じゃなくて、あんな無茶ぶりのアドリブを受けて見事にキアラの演技に完璧に合わせてくるなんて!
私は
私は観客の一員として、アキラに転がされた事は悔しかったが、この素晴らしい劇の余韻に抗える訳がなく、他の劇団員と一緒に涙を流す。亀や阿良也も泣いていた。
劇団員は心理描写を表現するために、意識の防壁を意図的に低くしている。今は稽古中だからなおさらだ。劇団天球の劇団員全員が星アキラの術中に嵌ってしまった。
私はそんな悔しい思いをしていても、心の中ではこんな素晴らしい芝居を見せてくれてありがとう!という歓喜に埋め尽くされているのだからタチが悪い。劇団は当然、みんな芝居が好きなのだ。こんな芝居を見せられたら、芝居好きは賞賛せずには居られない。
私が中学生の時に、巌さんの舞台では無くて、この劇を見せられていたらアキラに弟子入りしたかもしれない。それぐらい強烈な即興劇だった。
同時に巌さんがアキラをカムパネルラに配役しなかった理由もわかった。 もしもジョバンニが明神阿良也で、カムパネルラが星アキラで配役にしようものなら、天才同士がぶつかり合って、お互いがお互いの演技を喰いあう恐ろしい舞台になったはずだ。その場合は、いかにアキラと阿良也と言えども、お互いの対処に精一杯になって、他の助演の役者を立てる余裕なんて無いだろう。
舞台では、ウルトラ仮面のように他の出演者を編集で引き立てるような事もできずに、役者の力量がダイレクトに観客に伝わる。
その結果として、明神阿良也と星アキラだけが居ればいい銀河鉄道の夜が完成する。舞台を観た観客は、巌裕次郎の最高傑作との評価になるかもしれない。 でも阿良也とアキラ以外の役者は観客の印象にすら残らないだろう。えっ?他に出演者って居たっけって感じ。 劇団天球の役者でさえ、心が折れる役者が何人も出るはずだ。こんな舞台が巌裕次郎の人生の総決算な訳が無い。
私もそんな劇には出演したく無い。そんな劇に出演した所で自分がみすぼらしく感じるだけだ。
考えてみれば、阿良也とアキラがサシで対決する舞台はこの舞台を呼び水にして、また今度企画すればいい。その時の出演者はアキラと阿良也だけの劇でいい。その方がいろいろ楽しめる。私を含めた劇団員もそっちの方が幸せだろう。
アキラがカムパネルラを演じた方が良いという私の意見が、阿良也×アキラというパンドラの箱を開く事に気が付いた私は、素直に意見を撤回して巌さんに謝る事にした。
そんな感じで涙を流す劇団員達の様子を見ていたら、ひっそりと陰に隠れて、スマホで今の劇を撮影している女が居る事に気が付いた。百城千世子だった。完全に気配を消して劇を撮影している。同時に千世子は無表情でキアラと景や涙を流す劇団員達を観察していた。
私が千世子に注目している事に気が付いたのか、千世子は機械的な動きでぐるんと首を回して顔をこっちに向けると、瞳孔が開いて無表情のまま、ニッっと口角を上げた。 完全にホラー映画の怪物役だ。私は悲鳴を上げそうになるのを口を押えて必死に我慢した。
こいつ、演技と劇団員達の反応を完全に客観視して観察していやがる。自分の心情とか主観とかを完全に切り離して、ただ客観視だけするとか、完全にヤベェだろ! 人間離れした造形美を誇る千世子の、劇の一部始終の全てを見通した無機質な瞳。 あのハイライトが消えてブラックホールのような深くて黒い瞳孔が脳裏に焼き付いて、思わず夢に出そうだった。
なんでアキラの周りはこんなにヤバイやつしか居ないんだ? 類友か? 確かに役者というくくりでは類友だけど、それでもおかしい! アキラの友達は全員個性的すぎるだろ!!
私は、自分がアキラの類友に入っている事に気が付かずに、心の中でアキラにツッコミを入れるのであった。
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星アキラは景ちゃんが泣くのを見ている
全員が拍手をしてくれた後に、巌のじっちゃんが僕達の元に拍手をしながら歩いて来た。
巌のじっちゃんは78歳の年齢ながら矍鑠としており、杖を突いて歩くそぶりも無く、元気に歩いてくる。 演劇に人生を捧げた男だけあって、演劇の現場での目の輝きには全く衰えが無い。 まだ当分、舞台を続ける事だろう。
「キアラ、景、すばらしい劇だった。」
そう言って、巌のじっちゃんは僕達を褒めてくれた。
「景、キアラが妹だって気が付いたのはいつだ?」
「妹というのは、キアラさんが言うまでわかりませんでしたが、話していてなんとなく元々知り合いだったんじゃないかと思いました。」
「どうして、知り合いだってわかった?」
「いや、なんとなく仕草とか言葉尻とか、視線とかで・・・。でも間違いなく知り合いだとはわかりました。」
「単純に、お前とキアラは演技をする前から元々知り合いだったから、演技でも知り合いと勘違いしたんじゃないのか?」
「そんな事ありません。そういう事ではなくて、キアラさんとの会話に違和感というか、雰囲気に違和感というか・・・。」
「知り合いだって感じた違和感の原因に気が付かなかったか。」
「はい。すいません。」
「景のような深く演技に入り込むタイプは違和感があったり、知り合いだという事などは誰よりも鋭敏に気が付いても、具体的に言葉でなぜ違和感を感じたかを説明するのは難しいだろうな。」
「二人の会話に違和感を感じた人間はどれだけ居る?」
演技を観ていたほぼ全員が手を上げた。
「二人が元々知り合いだと気が付いた人間はどれだけ居る?」
8割ぐらいの人間が手を上げた。これについては、観ていたのが舞台を演じる劇団員という事を差し引いて、考える必要がある。
実際の舞台で一般の観客が見た場合には、5割を下回るだろう。
まぁ、残りの5割もとりあえず違和感を感じてもらえればOKなので、僕の演技は上手く行っていたと言える。
「劇を見終わった後に、結末から、劇の途中でキアラが違和感を感じる演技をした狙いを理解できた人間は手を上げろ。」
こちらも演技を観ていたほぼ全員が手を上げた。これはわざと会話に違和感を感じさせて、最後のどんでん返しで妹だった訳で、多くの人がその狙いを理解してくれたね。
「それでは、最初に七生と景が演じた時の景の演技を理解できた人間は手を上げろ」
僕と阿良也、千世子ちゃん、そして七生姉さんの四人だけが小さく手を上げた。
「これが、今回の劇でのキアラと景の差だ。お前は演技に深く潜りすぎて帰って来ない。潜るだけで表現力が足りていない。 だから伝わらない。 亀、喜怒哀楽の演技を景にみせてやれ。」
景ちゃんはショックを受けた表情をする。
「良く見ておけよ景ちゃん、この和製ジム・キャミーの芝居を。」
「ジム・キャミーに謝れ!!」
七生姉さんがすかさずツッコミを入れる。
「はい!喜ぃ!!」
亀太郎兄さんはくるくると回って、全身で喜びのポーズと喜んだ演技を行う。
「続いて怒ォォォォォ!!!」
両手を振り上げて、怒ったポーズと共に全身でオーバーなぐらい怒った演技を行う。
「哀・・・・・。」
_| ̄|○ ガクッ のポーズと共に、悲しみのあまり涙と鼻水が垂れ流される演技を行う。
「巌さん、あいつに見本やらせちゃダメでしょう。」
「別にいいんだよ」
まわりの空気を読まないあまりのオーバーなポーズと演技に呆れたのか、七生姉さんが苦言を呈する。
「最後にこれが!! エッ・・・・エクスタシ~。」
「うわぁ・・・・。」
楽の演技で全身でエクスタシーに達する演技を行う。 演技を見ていた女性陣の温度が一気に30度ぐらい下がって、部屋の気温が明らかに氷点下になった・・・。
「亀、テメェ、そこに直れ!!」
これには、巌さんも見ていられなかったのか、亀太郎兄さんを捕まえて折檻を始めた。
「嘘っ! 伝わらなかったンすか!? このすばらしい喜怒哀楽の楽の演技が!!」
「間違った方向で伝わっているのよ。マジで訴えるわよアンタ。」
「愉快な人だわ。」
当事者以外の冷めた視線が亀太郎兄さんに刺さる。
「だが、まぁ俺達を不快にした時点で"表現"として上等だ。」
「少なくとも、七生との芝居の時に景が演じた芝居よりは"表現力"がある。」
「景、お前はアリサに表現の事で何か指導された事はあるか?」
「はい。自分の感情を素直に出すようにと。特に最初のうちはそう言った表現の指導は厳しかったです。ただそれも最低限で、逆に無理に感情に反する演技や、自分の感じる感情以上にオーバーに表現すると怒られました。」
「そうだろうな。アリサは景の心が歪になったり、心が壊れないように、子供のうちから嘘の感情や心が伴わない演技をさせたく無かったんだろう。だから最低限の表現方法だけを教えて、メソッド演技者としての感情の制御や、演技で深く潜っても戻って来れるようなメンタルトレーニングを中心に指導したんだろうな。 これは千世子やアキラとは全くの真逆だな。 深く潜る所から来るリアルすぎる表現と尖った演技と、最低限の表現力と言うアンバランスな状態でも、景がここまで成功して来れたのは、周りの深いサポートがあったからだろう。」
「深いサポートですか?」
「そうだ。アリサは景が演じる役を慎重に吟味して、真剣に景を指導しただろう。アキラは今回の劇のように共演したドラマで景を引き立てて、千世子はデスアイランドの時のように表現力が足りない部分を補ったはずだ。 そして、阿良也やいちご、蓮などの共演者たちはみんな景の弱点を熟知した上で、景が失敗しないようにちゃんとサポートしてくれただろう。」
「そもそも、景に表現力を身に着けさせるために、アリサは今回の銀河鉄道の夜に景を出演させるように、俺に頭を下げてきたからな。みんなから愛されているな景。」
それを聞くと、景ちゃんは巌さんと話していた普通の表情のまま、涙が頬を伝い床に零れ落ちた。
「私、愛されていたんだ・・・・・。」
景ちゃんはそう言うと、涙をぬぐったが、涙は止めどもなく流れてくる。そのうち、床に屈みこんで、組んだ腕の中に顔をうずめて、しくしくと泣き始めた。
今、彼女の中では、子供の頃に父親を恐れて目立たないように怯えて過ごした事や、父親の蒸発後は満足に栄養も取れずに母親の死に怯える辛い日々から、僕の家に引っ越して、Youtube撮影を手伝って、演技を経験して、アリサママに指導してもらい、そして今まで彼女が演じてきた沢山の役達と沢山の思い出が頭の中をよぎっているのだろう。
そして、しばらく泣いていると、彼女はゆっくりと立ち上がり、涙を流したまま僕と千世子ちゃんの方に顔を向けて微笑むと、「アキラさん、千世子ちゃん、阿良也さん、巌さん、七生さん、亀太郎さん、そして皆さん、本当にありがとうございます。私は本当に幸せ者です。」と言って、本当に見惚れるような笑顔をした。
役を演じているのでは無い、彼女自身が感じた愛されているという自覚と幸せから来る表情。 その自然な心から出る彼女の最高の笑顔は、景ちゃんの中に眠る表現力のポテンシャルを見せつけるには十分すぎるほど、素晴らしい笑顔だった。
僕は、そんな心からの笑顔を魅せられて、それを素直に表現できる景ちゃんの才能に嫉妬した。
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柊雪は景ちゃんが悩んでいるのを見てる1
---------- 柊雪視点 ----------
大学の授業を終えた私はそのままスタジオ大黒天の事務所に行った。
「演技の時に必要な表現ができない?」
「そうです。演技の表現が伝わりにくいみたいで・・・。」
私がスタジオ大黒天の事務所に行くと、景ちゃんはそう言って膝を抱えたまま、事務所の椅子でぐるぐると回りながら悩んでいた。
「頭では分かっているんです。阿良也さんの演技は大げさだけどリアルで、動作から感情が伝わってくる感じで見ているみんなを虜にします。」
「わかっているじゃん。それだよ。それ。」
「そう思って、体を動かそうとするんですが・・・。」
「感情が付いてこないんだろう。」
「そう。そんな感じ!!」
一緒に事務所に居る墨字さんが言った。
ちなみに、このスタジオ大黒天、墨字さんが映画を撮るために作った事務所で、どちらかと言えば制作会社の色合いが強い。だからアリサさんから景ちゃんを女優として自立させるためにスターズから出して、この事務所に所属させるって話を聞いた時、すごくびっくりした。
この事務所はそもそも芸能事務所じゃないし、売れっ子の景ちゃんの仕事をマネージメントするような能力も無かったし、タレントに仕事を与えるようなコネも大した事は無かった。
景ちゃんの自立云々言う前に、そもそもスターズと言う後ろ盾を失った景ちゃんを潰してしまう危険があったんだけど、その辺は流石はアリサさん。マネージャはスターズから派遣してくれて、案件なども引き続き流してくれた。
とは言え、ベースは私と墨字さんだけの零細事務所。景ちゃんはスターズで働いていた時とは違い、零細事務所所属タレントとしての大変さや苦しさなどをいろいろ体験していた。
前に景ちゃんが、自分がスターズで育てられたというのはとても幸運だったって漏らした事があった。 その仕事の才能があるだけが天職じゃない。 才能とやりたい事が噛み合って初めて天職って言うんだ。 スタジオ大黒天に来て役者と言う職業が景ちゃんの天職となるかを試されていた。
もっとも、スタジオ大黒天に来た景ちゃんが苦労だけをしている訳では無かった。 大黒天に来る前の景ちゃんは、すごく良い子だけど役を演じていない時は、個性が薄い子だった。 こんな個性が薄い子がどうしてこんなすごい演技ができるんだろうって感じ。
でも大黒天に来てからは、家族的な付き合いで、彼女も感情を見せたり甘えてきたりもしてきた。同時に事務所の経営を考えて、自分で出演料の交渉などをしたりもする。景ちゃんの精神は自立して、確実に成長を遂げている。
ぬるま湯状態のスターズを出して、景ちゃんに社会の荒波と自分の才能を自覚させるって言うアリサさんの判断は正しいと思う。私もスターズに所属したまま、景ちゃんがなし崩し的に役者の仕事をしていくのは間違っていると思う。溢れる才能で生きてきた景ちゃんは、自分の力で努力して上がってきた千世子ちゃんやアキラ君とは違うのだ。
私は今の景ちゃんは大女優になる前の繭みたいなものなのかなって、彼女と会話しながら漠然と思った。
ちなみに、事務所の売り上げ? 私達が10回ぐらい働いても、景ちゃんの1回のCM出演料にまるで及びませんが何か?
景ちゃんの売上のお陰で、去年墨字さんがドキュメンタリー映画を撮れて、それがベルリン映画祭のパノラマ部門で賞を受賞したわけだから、景ちゃん様様だ。
「普段はどうやって悲しい表情や涙を流しているんだ?」
「役に入り込んで、その状況で演じている人物の感情のままに涙を流すけど・・・。」
「まぁ、そんな所だよな。その辺が才能だな。中にはアキラや千世子みたいに涙腺をコントロールする奴もいるけど。」
「大抵役者って言うのは、ちょっとしか感情を掘り下げられない。その代わりそれを表現しようと役を掴んで戻って来る。」
「景、お前はがっつり感情を掘り下げられるがそれを表現するために戻って来ない。」
「例えば、景が学校の生徒を演じたとしよう。リアルの世界で見ればその生徒の演技は完璧だ。 でも完璧すぎる。 普通の生徒は役者として表現する能力なんて無い。 でもその箇所までリアルに演技をしている。だからリアルであっても人に見せる演技として失格だ。それでもお前がこれまでやって来れているのは、子供の頃に星アリサから条件反射的に最低限の演技の表現方法を叩きこまれているせいだ。お前のリアルな演技と、体が覚えている反射的な演技表現が両立して今はなんとか役者として成功している。ただ、それもそろそろ限界が来ているけどな。」
「ほ・・・ほめてる?」
「褒めてねえよ。デスアイランドの台本を読んだけどずっと死から逃げているだけじゃねえか。あの手の衝動的で大胆な芝居以外はお前はヘタクソなんだよ。他の撮影でもやって来れているのは星アリサが仕事を選んだり、周りの共演者がさりげなくフォローしてくれているお蔭だ。そもそもお前、同年代との撮影でも、昔からアキラや千世子、市子や七生と言った、年齢は低くても能力のあるベテランクラスの俳優としか組んだこと無いだろ。デスアイランドで初めて同年代と一緒に演技をしたら観客のウケは良かったけど、現場では散々だったじゃねえか。」
「う゛っ」
「例えば、千世子はお前とは真逆。あいつは役の感情を掘り下げるつもりが無い。感情は参考程度でほぼ上っ面の芝居だ。ただし誰よりも自分の魅せ方を知っている。 千世子は媚びの高すぎて誰が見ても綺麗なんだよ。俺から見れば碌な考え方じゃねえが、あそこまで極められる人間は稀だ。売れる理由も良く分かる。もっとも俺は自分の映画ではあいつは使いたくないがな。」
「千世子ちゃんは、すごい役者なのっ。綺麗とか、自分の映画で使いたくないとかそんな目で見ないで!!」
「貶しても褒めても嫌なのかよ! メンドクセーな!」
「そう考えると阿良也君は景ちゃん寄りだね。深く役を掴んでそれを丁寧に説明してくれる芝居。しかも憑依型カメレオン俳優って言うだけあって役作りの幅も広い。役の感情を掘り下げてちゃんと表現する技術を持っている。」
「表現するための技術・・・。」
「まっ、お前よりも技術的な面は一歩先を行っているな。ただし、あくまで技術的な面だ。あいつは景と違って熊狩り時みたいに、役を演じるために自分で体験する必要がある。この辺は台本を読むだけで役に入り込めるお前とは大きな違いだな。」
「私に足りないのは、掘り下げた感情を表現するための技術・・・。」
「まぁ、世の中には王賀美陸みたいに全く役を演じないで、役の方を王賀美陸に合わせるみたいなタイプも居る。どう対応するかは景次第だ。」
「それならアキラさんはどういうタイプなんですか?」
「あっ、それ私も気になる。」
書いている途中で長くなってしまったので2回に分けさせていただきます。残りは明日更新予定です。
メインPCをRyzenの7000シリーズに更新したんですが、ハマってしまって、小説の更新が遅れました。
マザボとCPUを交換しても立ち上がる気配もなく・・・。
原因の切り分けで丸一日ほどハマった挙句、結局マザボから直接BIOS更新で動作しました。
CPUとメモリを取り外した状態でBIOS更新できる最近のマザボは機能豊富と思いつつ、これ前提でBIOS更新しないと起動すらしないAMDは流石すぎると思いました。
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柊雪は景ちゃんが悩んでいるのを見てる2
「それならアキラさんはどういうタイプなんですか?」
「あっ、それ私も気になる。」
「あいつは、千世子と同じく自分の感情を掘り下げる気が全く無いタイプだ。自分の感情はな。」
「なんか含みのある言い方ね?」
「アキラさんの演技は千世子ちゃんとは全然違う気がするんですが。」
「お前や阿良也とも違うだろ?」
「はい。」
「アキラは、自分の感情を掘り下げたり、その感情を観客に伝える事は苦手か、もしかしたら今は出来るかもしれないが、本人はやる気がない。子供の頃に才能がイマイチって言われた理由はこれだな。」
「でもアキラさんの演技はすごく分かりやすくて、感情をすごく揺さぶりますよ。」
「そこだよ。その点がアキラのヤバイ部分だ。 あいつはおそらく、幼少期のトラウマから自分の感情を表現するのがすごく苦手だ。感情の発露が必要な幼少期を星アリサのネグレクトが原因で感情を抑圧していたからな。だから本質的にはあいつは感情よりも、論理的に物を話したり表現する事の方が得意だ。 それはアキラの友達が、役者以外にはやたらとIT系の大物が多い事からも解る。 論理的な思考がIT系や理系の人間と波長が合っているんだろう。 そして感情を表現する事が苦手というのは役者にとって致命的な事だ。 幼少期のアキラはとても悩んだと思う。それこそ自分に役者の才能が無い事に絶望して自殺するぐらいにな。」
「でも、それじゃ今のアキラ君の演技は説明が付かないじゃない。」
「だから、ここがアキラのヤバイ部分なんだ。 普通の人間は才能が無いなら辞めるが、アキラは辞められなかった。 役者というのは母親との唯一の絆だからな。 結果、あいつは自分の感情を掘り下げて表現する才能が無い事に見切りをつけて、その表現方法を捨てた。 代わりに選んだのは見ている観客の感情を掘り下げる事だ。」
「は? 意味が分からないんだけど? 観客の感情を掘り下げるって何?」
「そもそも、何で役者が自分の感情を掘り下げて表現する必要があるかを考えるんだ。 自分の感情を掘り下げてそれを表現する事で、見ている観客にその感情を共感してもらうためだろ? つまり演技をしている自分と見ている観客とで感情を共有させるための表現なんだ。だから自分の感情を掘り下げた部分は、最終的にはその演技に共感している観客の感情を掘り下げたとも言えるわけだ。」
「それは何となくわかるけど、それとアキラ君の演技とどう関係があるの?」
「アキラは演技の最終目的は、自分の感情を掘り下げて表現する事では無くて、観客の感情を掘り下げる事だって気が付いた訳だ。 だから自分の感情を掘り下げるのではなくて、観客の感情を直接掘り下げる事にした。」
「えっ? どう言う事ですか?」
景ちゃんが驚いた表情をする。
「星アキラは、自分の感情では無くて、見ている観客の感情を元に演技していると言う事だ。 自分が演技をした結果、観客がどういう感情になるかを判断して、それをフィードバックして自分の演技に落とし込んでいる訳だ。 つまり基準が自分ではなくて、観客の感情だ。 だからアキラの演技はリアルではないが、観客の感情を激しく揺さぶる。」
「でもどうやって、観客感情を掘り下げているんですか?」
「わからん。 相手のリアクションを予想して演技をすることはできるが、バックボーンが違う不特定多数の観客の感情を掘り下げるなんて不可能なはずなんだが、実際に出来てるからな・・・。 そもそも普通は、自分の感情すら掘り下げられない人間が、観客の感情を掘り下げられる訳が無いって考えるはずだ。 でも、観客の感情を直接掘り下げられるのであれば、自分の感情云々の部分を省いて、効率的に演技ができる。 まさに合理性を重視するアキラらしいと言えば、アキラらしい演技と言える。」
「Youtubeの放送とかで不特定多数の視聴者とコミュニケーションしているから、その辺のやり取りとかで身に着けたのでしょうか?」
「その可能性はあるだろうが、これをやり始めたのは自殺の後からで、Youtube放送を始める前あたりからだからな。それだと因果関係が逆なんだよな。 どちらにしても、あいつは役者の中でも変種中の変種だ。 まさしく珍獣の名にふさわしいな。」
「流石は、芸能界一のクソガキ珍獣。並みの役者じゃないわね。それで、墨字さんはアキラ君を自分の映画に使いたいの?」
「俺は、アキラも自分の映画で使いたくねえ。というか、使ったら負けだと思っている。」
「千世子ちゃんの時と違って、歯に物が詰まったような言い方ね。」
「王賀美陸と星アキラ、どちらもハリウッドで活躍しているが、どっちがすごい俳優だと思う?」
「突然どうしたの? そんなの、墨字さんが言うように、俳優同士を比べるものじゃないわ。 どっちもすごい俳優よ。」
「そうです。 アキラさんも王賀美さんもどっちもすごい俳優です。」
「確かに、すごさや能力で俳優同士を比べるものじゃない。ましてや二人のキャラクターは全く違う。同じ役を演じる訳でもないし比較は全く意味がない。ただ、こう言いかえてみようか。 星アキラと王賀美陸はどっちがハリウッドで稼いでいる?」
「・・・・それはアキラ君ね。 アキラ君は助演だけどハリウッド映画に年5本以上は出るし、ドラマも合わせればそれ以上。 それに半分ぐらいは俳優のギャラが話題になるような超大作の映画出演だし、王賀美さんは主演が多いけれども、映画の出演は年1~2本ぐらいだから、出演料という意味ではアキラ君の方が多いんじゃないかしら。」
「そうだな。 アキラの方が圧倒的に稼いでいる。 ではなぜアキラはそんなに稼げるんだ?」
「それは、最年少でアカデミー賞の助演男優賞を受賞したり、英語が堪能で世界的に売れているし・・・。」
「世界的に売れるのは同意だ。 ただ、アカデミー賞は関係が無い。 どちらかと言えば、さっきまでの観客の感情を掘り下げる話だ。景はどう思う?」
「やっぱり、アキラさんの演技がすごくて、みんな出演してもらいたいからでしょうか?」
「演技が凄くて、みんな出演してもらいたいのは正しいが、ここで言いたいのはそう言うことじゃなくて、星アキラの商業的な価値って何だと思う?」
「商業的な価値ですか? アキラさんが出る映画はみんなヒットするとかですか?」
「そうだ。アキラが出演する映画はみんなそれなりにヒットするんだ。 では何でヒットすると思う?」
「アキラさんが良い演技をするからですか? ハリウッド映画のアキラさんの演技って、すごく面白かったり、落ち着いたり、アクセントになったり、本来は目立たないような役でも要所要所ですごく印象的なんですよね。それでいて、主役を喰うような嫌味な所もありませんし。」
「その通り。星アキラの演技はすごく印象的で、主役を立てた上で、観客の感情を揺さぶるんだ。 だから映画の世界に深みを与えて、映画全体の味付けや隠し味としてすごく優秀な働きをする訳だ。これは同時に出演させるだけで映画のレベルが上がる事を意味している。」
「柊、監督やプロデューサーの立場で考えてみろ。 ここに企画段階で成功と失敗の確率が50%程度のボーダーラインの映画が存在する。 ヒットするかどうかは微妙な映画だ。 しかし、ここに星アキラをキャストすると確実にヒットするならどうする? 星アキラに出演をオファーしないか? 別に主演じゃなくていい。 自分の使いたい役者を使ったうえで、助演に星アキラを加えるんだ。 それで映画のヒットが保証されるとしたら?」
「それはアキラ君を入れます。アキラ君の出演料が高いって言っても、助演としての話ですし、それで映画のヒットが保証されるのであれば、キャストとして加えます。 それにアキラ君は演技の幅も広いですし、実力も申し分ありませんから映画自体のコンセプトがアキラ君に壊されるような事も無いと思います。」
「そうだ。膨大な予算で作成されるハリウッド映画では、なおさら収益はシビアな物となる。 アキラを加えただけで、ヒットする確率が上がるのであれば、アキラをキャスティングするのは当然だ。 アキラはハリウッドの監督たちからの人気も高いが、それ以上にこの性質を知っているプロデューサーからの人気が高い。結果として、アキラにはひっきり無しにハリウッドから出演のオファーが来る。」
「結局のところ、星アキラと言うのは、出演するだけで映画全体の質を上げる稀有な役者だ。 つまり、言い換えれば、作った映画がヒットしたのは監督の手腕ではなくて、星アキラの力である可能性もあるわけだ。」
「つまり、墨字さんは星アキラを使って映画が評価されると、自分の力じゃなくてアキラ君の力で評価された事になって、負けた気がするから嫌だって事?」
「そうだ。」
「うわっ、墨字さんに幻滅しました。そんな理由でアキラさんを使わないなんて酷いですっ。」
「そんな事言ったって、入れるだけで美味くなる醤油や味の素みたいな俳優なんて反則だろっ。そんな俳優は星アキラ以外に見た事ねえよ。なまじ自分で感情を掘り下げないから、演技の匂いがしない代わりに、それを逆手にとってどんな役でもこなせるとかチートすぎる。 全く意味が分からんぞ。」
「匂いがしないって、良く阿良也さんが言いますけど、どういう意味なんですか?」
「感情の匂いだな。 演じている時に自分が発する感情の匂いだ。 野生児の阿良也はその匂いを人一倍感じやすいんだろうな。」
「それじゃ、ただでさえすごいアキラさんが自分の感情を掘り下げたらどうなっちゃうんですか?」
「仮にアキラの芝居に、自分の感情の掘り下げ分が加わったら、名演になるのか、その分が打ち消し合って逆に質が落ちるのか、全くわからんな。」
「自分の感情を掘り下げるアキラ君の芝居。怖いような、見てみたいような・・・。」
「アキラさんなら、きっとものすごい演技をしてくれるはずですっ。」
「景ちゃんのそのアキラ君への妙な信頼がフラグにならないといいけど。」
「どちらにしても、景は感情を表現するための修業が必要だな。」
「どうする気なの?」
「明日から公園にでも行くか。」
こうして、翌日から景ちゃんの修業が始まる事になった。
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夜凪景は感情表現の修業をする1
---------- 夜凪景視点 ----------
私が感情表現にチャレンジして1週間。 大した成果も無く撃沈して公園のベンチに倒れていた。
「景ちゃん、もう一時間だよ。こんな所で寝ていたら風邪をひくよ。」
様子を見に来てくれたアキラさんが言った。
「寝てないですっ。考えているんですっ。どうやれば感情表現の課題をクリアできるのか。」
他の人に伝えやすい感情表現が上手く行かない私は思わず、アキラさんにトゲのある言い方で突っかかってしまう。
この辺は、我ながらすごく子供っぽいとは思うけれど、子供の頃から付き合いのあるアキラさんにはどうしてもこんな感じで素の自分を見せてしまう。
「今日で7日、後3日でこの課題をクリアしないと、私は降板になっちゃうんですっ。」
「まぁ、現実問題、これだけ大々的に宣伝していて、こんな理由で景ちゃんを降板させる事なんて商業面から絶対にできないけどね。」
「そう言う事じゃ無いんですっ。」
私は自分が倒れているベンチをバンって台パンしながらアキラさんに言った。
「そんなに難しく考える事じゃないと思うけどね。」
「むぅ~。アキラさんにはわかりませんよ。」
私はフグのように頬を膨らませながらアキラさんに言った。
「いや、たぶん、景ちゃんならすぐにでも解決できるけどね。 でも人間悩む時間も必要だよね。」
そう言って、アキラさんはふらふらとまたどこかに行ってしまった。
私にアドバイスもせずにどっか行っちゃうなんて、本当に何しに来たんだろう! 私は自分が感情表現ができない焦りから、心の中で勝手にアキラさんに怒りをぶつけた。
その後に、私はまたしばらく木陰で感情表現の練習を始めた。
「ダメだ。 全然しっくりこない。」
もうちょっとで何かを掴めそうな気がするんだけど、全然つかめないこの感じ。私は1週間ほど、そんな悶々とした日々を過ごしていた。
「景ちゃん、そんな事をしても悶々とするだけで、何も解決しないよ。ねぇ気分転換に僕のコンサートを聞きに来てくれないかな?」
振り向くと、髪をオールバックにして、伊達メガネをかけたアキラさんが立っていた。手にはヴァイオリンを持っている。
服装はジーンズと裾を出したワイシャツに適当に結んだネクタイというラフな格好。
今のアキラさんは5歳ぐらい年上の二十台中盤のダンディーな男性に見えた。アキラさんは大人の男性を演じていて、完全にちょっとアキラさんに似ているだけの別人だった。このアキラさんを見て星アキラだって見破れる人は千世子ちゃんとか阿良也さんとか環さんみたいな人だけだろう。
私は伊達眼鏡とマスクを着けて、アキラさんの後について行く事にした。なんか楽しそうな事がありそうな予感がして胸が高まった。
私達は井之頭公園の人通りの多い通路に出ると、井之頭公園の池の周りをぶらぶらと歩いた。今日は土曜日だから結構人通りがある。 しばらくしていると、アキラさんに声をかける人が居た。
「あっ、居た居た! 有馬さんだ! トイッターを見て急いで来ました。今日はどこで演奏をするんですか?」
私と同じ年齢ぐらいの高校生の女の子だった。
「適当にぶらぶらとして、いい場所を探している最中だよ。」
そう言うと、その子はアキラさんの後ろに付いて来た。
「アキラさん、あの子は?」
「しーーっ。今の僕は有馬公生って言うんだ。ちゃんと公生って呼んでね。」
そう言うと、アキラさんは軽くウィンクした。私は黙るとコクコクと首を縦に振って頷いた。
ちなみに、後々、私はこの有馬公生って名前は『四月は君の嘘』って言う漫画の主人公の名前だと言うことを知った。この子達も、この名前が偽名だってみんな知っていたみたいだ。
「トイッターの告知だと、演奏するのは11時ごろからですよね。キヨっちとメグっちも来るそうですよ。 渡辺さんや山田君も今向かっているみたいです。」
その子はスマフォでトイッターを開きながらアキラさんに言う。何か他の人とも連絡を取り合っているみたいだ。
「今日はコンサートもやっていないみたいだし、野外ステージの近くでやろうかな。あそこなら多少音を出しても邪魔にならないし。」
「そちらの子は有馬さんのファンの子ですか?」
その子が私を指して言った。
「いや、いとこで、暇だって言うからついでに連れてきたんだ。」
「へー。いとこさんが来るとか珍しいですね。有馬さんの演奏がいつでも聞けるなんて羨ましいですね。」
「君のいとこがそうであるように、いとこ同士なんて、遠慮が無くてそんな感じじゃないよ。」
「なるほど。そう言う感じなんですね。」
そう言うと、アキラさんは井之頭公園の野外ステージ近くの道に陣取って、ヴァイオリンを取り出すと、ヴァイオリンケースを自分の前に開いて置いてから調弦を始める。
アキラさんが音を出し始めると沢山の人が寄ってきた。
その中にはスマフォを持ったお母さんとルイとレイも居た・・・。
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夜凪景は感情表現の修業をする2
「渚沙ママさんこんにちは。ルイちゃんもレイちゃんもこんにちは。」
「ミトンちゃん、こんにちは。」
「「ミトンお姉ちゃん、こんにちはー!」」
「渚沙ママさんも早いですね。あっ、メグっち、キヨっち、こっちこっちー!」
ルイとレイも見に来た人に挨拶をする。ハンドルネームみたいだけど、みんな顔見知りみたいだ。
お母さんは私に気が付いたみたいだけど、特にリアクションを示さなかった。ルイとレイもだ。
・・・実の娘や姉を相手にその対応はちょっと傷ついた。とは言っても、アキラさんが正体を隠している事はわかるので、私もとりあえずお互いに知らない人を装った。
私はアキラさんの後ろに立っているので、お母さんやルイやレイにも声をかけられる事は無かった。
そうこうしているうちに、あっと言う間に人が集まって、「みんな忙しい中来てくれてありがとう。」って普段のアキラさんの声とは違う、別の落ち着いた声で言うと、アキラさんは演奏を始めた。
「それじゃ、最初は創聖のアクエリオンから行くよ。」
そういうと、アキラさんはヴァイオリンで曲を演奏し始めた。クラシックじゃなくてアニメかなんかの曲なんだろう。軽快だけど、メロディーのはっきりした綺麗なヴァイオリンの音が公園に響き渡る。
井之頭公園の中だから、周りの車の音はするし、通行人の声や音も入って来る。 でもアキラさんが演奏を始めると、ここが吉祥寺の中にポツンと存在する公園とは思えないぐらい、公園の雰囲気がコンサートホールみたいに変わって、アキラさんのヴァイオリンの音しか耳に入らなくなった。観客の人はアキラさんの演奏に聞き入ってうっとりとしている。 通行人も足を止めてアキラさんの演奏を静かに聞いていた。
音楽にあまり詳しくない私でもわかる。 これはすごい演奏だ。 自分がただ単に公園の中に居るのではなくて、何か非日常の体験をしている気分になる。
そう。この感じは、阿良也さんの舞台を観ている感じに似ている。空間には阿良也さんしか居なくて、その息吹を直に感じるみたいなそんな感じ。
今、アキラさんはヴァイオリンを演奏している訳だけど、こんな大都会の公園でそんな空間を作り出せる事に驚いた。
演奏が終わると、観客のみんなは満面の笑みと、大げさなぐらいの拍手でアキラさんを称えた。
みんなアキラさんに素晴らしい演奏の感想を伝えようと、沢山の拍手とおおげさな身振り手振りで、アキラさんへの賞賛と満足感を伝えようとしている。
それぞれの顔には満面の笑みとこの瞬間に生ですばらしい演奏を聞けた幸せな表情が宿っていた。
アキラさんの演奏を聞いて幸せになって、そして幸せですばらしい演奏だったことをお礼としてアキラさんに伝えたいって、みんなそれぞれ一生懸命に体で表現している。
その時私は雷が落ちたような衝撃を受けた。
私は阿良也さんの芝居は大げさだけどリアルで、その大げさなしぐさが表現の技術だと思って、今までその技術を習得しようとしていた。
でもそうじゃないんだ。 人は本当に感動した時や感情が高ぶった時にはそれを伝えるために、大げさに相手にわかりやすい仕草や行動をするんだ。 だから阿良也さんの芝居は大げさ身振りなんかじゃなくて、人が自分の心を強く誰かに伝えたい時の衝動や行動を切り取って、それを動作として表現しているんだ。 これは人間が誰かに感情を伝えるための自然な行動で、それを阿良也さんが洗練しているだけ。 だから阿良也さんの芝居はリアルで自然なんだ!
私がこの1週間、ずっと悩んでいた事が全部繋がった気がした。
拍手が鳴りやむと、アキラさんは「それじゃ、いつもみたいにリクエストを受け付けます」って言った。
そうすると、ちょっと内気そうな中学生ぐらいの女の子が前に出て来て、「千本桜」をお願いできないでしょうかって言ってきた。
「千本桜? いいよ」
そうアキラさんが言うと、その女の子に軽く微笑みながら千本桜を演奏し始めた。
千本桜はボーカロイドの曲で、学校の友達に聞かせてもらってから私も好きな曲だった。
アキラさんはYoutube放送などで演奏するときはクラシックとか映画の曲とかをメインで演奏していたから、こんな流行りの曲を弾いてくれるとは思わなかった。
私はアキラさんの演奏に聞き入った。千本桜をリクエストした女の子も目を輝かせながらアキラさんの演奏に聴き入っている。
自分の好きな曲に合わせて、自然と体がリズムを刻んで動く。 感動する! 楽しい!
私は自分の心が思うままに衝動的に体を動かした。そして演奏が終わると私も自分の心の衝動に任せて、みんなと一緒に体いっぱいでその感動を表現してみた。
感情の表現ってこういう事なんだ! 私は自分の大げさな感情表現を違和感なく受け入れることができた。
そんな私を驚いたように観ていた雪さんを見つけた。私と一緒に来ていたんだけど、私が居なくなったので心配になって探しに来てくれたんだろう。
私は雪さんにアイコンタクトを送ると、雪さんもアキラさんの演奏を楽しむことにしたようだ。雪さんも演奏に聴き入り始めた。
その後も、みんなのリクエストを受けて演奏が続き、最後にユーモレスクってクラシックの曲を演奏してアキラさんの路上ライブは幕を閉じた。
夢のような演奏はあっと言う間に終わって、みんな口々に
みんながバラけた所で私はお母さんに声をかけた。
「お母さん、何でこんな所に居るの?」
「何でって、アキラ君の演奏を生で聞けるチャンスなんだから、都合が付けば来るに決まっているじゃない。」
「お母さんはアキラさんが路上ライブしているって知っていたの?」
「そうよ。1年ぐらい前からやっていたんだけど、段々とファンが増えて来て、最近はトイッターで場所と時間を告知してみんな聞きに来る感じね。私もトイッターフォローしている人が初期にアキラ君が演奏をしている動画を上げていて、それでアキラ君だってわかったから、そこから都合が会えば聞き行く事にしているわ。」
「お母さんってなにげにネットワークが豊富で耳がいいよね。」
「アキラ君の音楽を普段から良く聞いているだけよ。」
「アキラさん、何でこんなライブなんてやっているの? しかもお金も取らないで。 こんな事をしなくてもいくらでも大きな施設でコンサートとかできると思うんだけど・・・。」
「決まっているじゃない。 楽しいからよ。 お金をもらって沢山お客さんを呼んで聴かせるだけが価値のある事じゃないの。 人生の価値や心の充足はお金じゃ買えないのよ。 景もそのうちわかるようになるわ。」
「前から知っていたなら、私にも教えて欲しかった。そうしたら私も聞きに行けたのに。 こんな楽しいコンサートをお母さん達だけで楽しんでいたなんてずるい!!」
「最近の景はすごく忙しいし、リアルの路上コンサートだから景がドジをしてバレてアキラ君に迷惑をかけそうだったしね。」
「アキラ君の路上コンサート、本当に良かったわ。」
雪さんも感動の余韻に浸っているようだ。
そんな話をしながら、その後、私と雪さんはお母さんと一緒に食事に行った。 ルイとレイがお子様ランチを食べたいと言うので、レストランに行って、私達もメニューにあった大人のお子様ランチを食べて満足した。
アキラさんの路上コンサートも聞けて、感情表現のヒントも掴めて、お母さん達と一緒に食事も出来て、今日は本当にいい日だった。
その後に準備と練習をして、翌日から私はアキラさんを見習って路上で人形劇をすることで、表現の技術を磨くようになった。
幸せ、感謝、悲しみ、痛み、苦しみ。いろんな感情を人形劇を通して、一杯実践した。
こちらの景ちゃんは、原作と違って強烈な負のトラウマが無いため、怒りや悲しみと言った部分の感情表現は原作に劣る可能性が高いです。
家族を一人で背負うような体験も無いため、原作よりもやや子供っぽいですが、その反面、幸せな家族が居る事による、喜びや幸せなどの感情表現は原作よりも豊富で、アリサママから深く潜っても安定して戻って来れるような、精神的な指導とメソッド演技の英才教育、幼い頃からの子役の経験も合わせて、原作よりも深く役に入り込む事が可能です。 ですので、バランスの良い精神と合わせて、マイナスを伴わないで夜凪景の才能を純粋に発揮できます。
これを劣化と考えるのか、新しい可能性と考えるかは人によって変わると思います。特にこの辺は羅刹女あたりで大きな違いが出てくるかもしれません。
とは言っても、二次小説だし、この小説ぐらいは幼少期の景ちゃんや夜凪ママが救われる話として存在してもいいかなと、個人的には考えています。
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星アキラは急展開に驚く
---------- 三坂七生視点 ----------
今朝、劇団天球はざわついていた。
なんと巌さんの口から、外部の役者がさらに招聘されると聞かされたからだ。
ただでさえ今回の銀河鉄道の夜は主役が夜凪景、助演に星キアラと百城千世子という外部メンバーを入れており、異例であるのに関わらずだ。
この3人であれば、劇団天球の役者にも馴染みが深いし、技術的な問題も無い。 巌さんが新しい事にチャレンジしようとしている姿勢をみんな評価していたのだが、この読み合わせ段階でさらに新メンバー追加となれば話は別だ。
「今回の舞台、どうなっているんだ?」「俺達大丈夫なのかな?」
この巌さんらしくない采配に劇団天球の皆は戸惑っていた。
さらに戸惑いが大きい理由は、巌さんがその新しいメンバーの名前を公表しない事だった。 全く意味が分からない。 どうなっているんだろう?
まさか、劇団員の度肝を抜いた星キアラの威力が予想以上だったのに焦って、対抗して明神ラーヤを投入しようとしているんじゃないでしょね?
そうなったら、銀河鉄道の夜は、本当にカオスの
---------- 星アキラ視点 ----------
「なんか今日はざわついていますね?」
稽古場に入った景ちゃんが劇団天球のざわつく雰囲気を気にして
「どうしたのかしらね? 景ちゃんが間に合わなそうで焦っているような感じでも無いですしね。」
「今日から読み合わせなんだけど、どうしてもこんなにざわついているのかしら? 一流の舞台俳優が揃った劇団天球とは思えないわね。」
千世子ちゃんもこのざわつきに違和感を持っていた。
僕は近くの七生姉さんを捕まえて事情を聴いてみた。
「七生姉さん、どうしてこんなに皆様はざわついておりますの?」
「今しがた、巌さんからさらに外部メンバーを招聘したって発表があってみんなざわついているのよ。」
「外部メンバー? 誰ですの!?」
「外部メンバーなんて全く発表がありませんでしたよね? 誰なのかしら?」
「もしかして、私が感情の表現が上手く行かないから主役交代させられちゃうんじゃ・・・。」
景ちゃんは真っ青になってガタガタと震えた。 ある意味非常に感情豊かで、100点満点だ。 明らかに演技がレベルアップしたのがわかる。
「いや、それは無いから安心していいですわ。事前の連絡が無くそんなことしちゃうと超大スキャンダルで、劇団天球の存続が危うくなってしまいますわ。芝居以外のくだらない事で劇団天球が振り回されるような事態を巌さんが自ら作り出すとは思えませんわ。」
「そうだといいんですけど・・・。」
「でも、そうなるとますます分かりませんわね。 すでにチケットも完売で、世間の期待もどんどん上がって来ていますわ。 この状況で劇団天球に外部から俳優を招聘するメリットも良く分かりませんし、招聘と言う事は巌のおじい様が招いたという事ですよね? 現状でも話題性が十分なのに、仮にものすごい俳優でも今から入れる理由が無いですわ。 この状態で入れても問題が無い俳優・・・。はっ、まさかラーヤじゃないでしょうね!?」
「・・・それは私も想像して背筋が寒くなったわ。」
「ラーヤはまずいですわ。 ラーヤなら逃げなきゃ。 VTuberでの共演ならともかく、リアル舞台での共演は問題がありすぎますわ。」
「キアラちゃん、ネタがネタじゃ無くなりそうね。 今日の夜あたりは稽古が終わったら二人でホテル街に消えていくのかしら?」
「千世子ちゃんやめて!」
「私の事呼んだ?( ˙꒳˙ᐢ )」
「げぇっ! 関羽!!」
ミニスカートにブラウス、髪を金髪にして最近はさらに垢ぬけたラーヤがやってきた。最近のラーヤは垢ぬけっぷりが天元突破して、マジでどこぞのアイドルグループでセンターを務めているのって感じだ。私が和風の美人だとしたら、ラーヤは黙っていれば西洋美人のじゃじゃ馬お姫様。
現在、一部女子に熱狂的な支持を持つ明神ラーヤが出没した。なお、星キアラとのカップリングは推して知るべしである。正直、この事で女子にキャーキャー言われても全く嬉しくない。
ラーヤとの熱愛疑惑が報道されるぐらいなら、星アキラと星キアラの熱愛報道の方がよっぽどマシである。 もっとも僕達兄妹は一緒に居る所を激写された事が無いのだけれども・・・。逆に激写できたら、ムーとかに雑誌デビューできるかもしれない。
「まさか、本当にラーヤが出演するの!?」
「もちろんよ。この時期に巌さんに招聘される天才女優なんてラーヤぐらいよ。(`・ω・´)シャキーン」
「ええ~っ、本当に巌のおじい様に出演をお願いされたの?」
「巌のじいじはシャイだから面と向かってラーヤにお願いされなかったけど、ラーヤは空気を読める女の子なんだから呼ばれなくてもちゃんと来るわよ。( -`ω-)✧ドヤッ」
「呼ばれていないのに来ちゃダメでしょ!! それに天才女優って・・・。女優? 外部から招聘された人は女優さんなの?」
「誰かは分からなかったけど、巌さんの話を立ち聞きした所では女優って言っていたわよ。それなら私しか居ないわよね。私なら景ちゃんからもカムパネルラの役を奪えるわ!!( ✧д✧)キラーン」
「そんなのダメですっ!」
「あなたがカムパネルラをやったらジョバンニはどうなるのよ!?」
「ジョバンニは景ちゃんがやればいいわよ。┐(´д`)┌ヤレヤレ」
「それじゃ全く意味がありませんわ!!」
「ラーヤ、難しい事は良くわからないけど、今日の夜は一緒にご飯を食べに行きましょうね~(∩´∀`)∩わーい」
「ダメですわ。 こいつ馬鹿すぎて話が全く進みませんわ。 とりあえず招聘された女優がラーヤじゃない事だけはわかりましたわ。」
「そうね。このエセアイドルじゃない事だけはわかって良かったわ。こいつ舞台に上げたら、素人アイドルに役をやらせる以上の惨劇が待っているもの。 でもそうなると益々誰が呼ばれたのか分からなくなるわね。」
「とりあえず、巌のおじい様から発表があるまで待つ感じかしらね。」
「どうした、騒がしいな。」
そんな感じで騒いでいると、稽古場のドアから巌のじっちゃんが入ってきた。後ろに40代ぐらいのすらりとして美しい女性を連れている。
形の整ったブランド物のフェミニンなトップスに体の線が出ていながらも品の良いロングスカートとヒールの付いたローファー。明らかに高そうな服装だけど服に着せられているという感じは全くしない。
その女性を見た瞬間、僕達や全ての劇団員達は息を呑む。
僕はつばの飲み込みながら巌のじっちゃんの言葉を待った。
「みんな揃っているな。ちょうどいい。今から紹介する。今回の舞台に招聘した星アリサだ。」
「星アリサです。皆様、よろしくお願いします。 裕次郎さんの舞台に出演するのは16年ぶりになります。 私と裕次郎さんの関係は皆様もご存じだとは思いますが、今回は、私が一旦女優を引退する原因になった裕次郎さんの舞台に再度出演させていただき、その過去を清算したいと考えております。 舞台を離れてブランクがあり、皆様にもご迷惑をお掛けする事も多々あるとは存じますが、皆様のご指導をよろしくお願いいたします。」
そう言って、アリサママは僕達に深々とお辞儀をした。
「「「「「「「「「えええええええええええええーーーーーーーーっ!!!」」」」」」」」」」
ここに来てまさかのアリサママの出演に、その場にいた僕達や劇団員達は全員、ビックリする以外のリアクションを取れなかった。
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星アキラはアリサママの歴史に思いをはせる1
「みんな揃っているな。ちょうどいい。今から紹介する。今回の舞台に招聘した星アリサだ。」
「星アリサです。皆様、よろしくお願いします。 裕次郎さんの舞台に出演するのは16年ぶりになります。 私と裕次郎さんの関係は皆様もご存じだとは思いますが、今回は、私が一旦女優を引退する原因になった裕次郎さんの舞台に再度出演させていただき、その過去を清算したいと考えております。 舞台を離れてからブランクがあり、皆様にご迷惑をお掛けする事も多々あるとは存じますが、皆様のご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします。」
そう言って、アリサママは僕達に深々とお辞儀をした。
「「「「「「「「「えええええええええええええーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」
アリサママの挨拶にみんなびっくりして声を上げる。これはサプライズすぎる。そして話題性が高すぎる。 景ちゃんが主役とか、僕達が出演するとか、巌裕次郎の人生の総決算の舞台とかそんなレベルの話題じゃない。 この話が世に広まったら、この話題一色になるだろう。ワイドショーでもほとんどの時間はこの話題に割かれるに違いない。 それぐらいインパクトがある話だった。
なんでアリサママが巌のじっちゃんの舞台に出演する事がこれほど大きな話題になるのか。それは巌のじっちゃんとアリサママの人生と演劇界の歴史に関係する。
最初は1960年代。 まだ戦後の色が消えきらないこの時代、舞台は歌舞伎、能や狂言、雅楽と言った伝統芸能が幅を利かせており、西洋の現代的(モダン)な演劇自体は非常にマイナーなジャンルで、「新劇」と呼ばれていた。
さて、この新劇なんだけど、戦前からあったんだけど、戦中は弾圧の対象だった。 そして時は学生運動の真っ只中、世相を反映して非常にリアリズムのある作風と思想が詰まった劇がメインだった。
太平洋戦争、朝鮮戦争、東西冷戦、ベトナム戦争、アメリカに敗北した後の重苦しい時代と不条理な世の中、そして自由への抑圧とそれにレジスタンス(抵抗)するための社会に縛られた中での自由の表現。
そんなバックグラウンドで作られた劇は、プロレタリア演劇やイデオロギー優先の非常に重厚なテーマを多く扱っていた。つまりかなり政治色が強い劇だったようだ。
しかし、こんな重いテーマの劇ばっかりで、当時はきつい先輩からの指導や厳しい人間関係、学生運動と合わせて見られる世間からの冷たい目、その他諸々を含めて、当時のこんな演劇の雰囲気に耐えられない人間が居た。 それが若き日の巌裕次郎。 巌のじっちゃんだね。
巌のじっちゃんはそんな新劇から飛び出して、自由劇場と呼ばれたアンダーグラウンドの劇場(今でいう地下アイドルの劇場みたいなものかな)に所属して、政治色に囚われない本当に自由な演劇を模索し始めた。 そういった同志は多数存在して、1970年代ぐらいにはアングラ演劇ブームが始まる。
とは言っても、アングラはやっぱりアングラであって、演劇ファンという世界では注目されたけれども、世間の日の目はなかなか当たらなかった。
まさしく、それこそ今の地下アイドルのようなイメージでいいんじゃないかな。
そんな感じで、一定の成功は収めたものの、アングラ演劇はまだまだ世間でブームを巻き起こすような力は無かった。
そして、80年代初頭。 女優を夢見て16歳で上京したアリサママは、今は主宰が亡くなって存在しない、とあるアングラ劇団に所属して、天然で持ち合わせたメソッド演技の才能を元にどんどんと頭角を現して行った。
転機は日本で開催された国際演劇祭の一幕だった。 ここでとある劇の主役を務めたアリサママは、その演技の完成度と美貌で世界に賞賛を浴びて、海外にも沢山のファンや協賛者が出来て、そのまま海外公演を実施して大成功。 ブロードウェイとウェスト・エンド・シアターでの公演成功は今でも伝説になっており、当時は海外のテレビ局に混じって、日本のテレビ局でも大きく取り上げられた。
当時の日本は、長く苦しかった戦後が完全に終わりかけて、電化製品や経済力で日本は自信を取り戻し始めており、極めつけはバブル景気の前夜。
新しい日本人像を見せつけて、海外で成功を収めたアリサママを日本国民は熱狂と拍手をもって出迎えて、アリサママは一躍時の人となった。
そして、同時にアリサママがやっていたアングラ演劇も注目を集めて、巌のじっちゃんがやっていたアングラ演劇は「小劇場」という形になり、市民権を獲得してバブル景気と共に世間でブームを巻き起こす事となった。 ここから「小劇場」の第一人者である、巌のじっちゃんは演劇界以外でも有名になって行く。
そしてバブル時代に突入。 日本中が金余りと共に自由と狂乱を謳歌する狂気の時代はアリサママの時代でもあった。
アリサママは日本でも多くの舞台や映画、ドラマにも出演したけれども、同時に半分は海外での舞台出演や映画出演。 007でのボンドガール役やカンヌ映画祭での主演女優賞受賞は特に有名だろう。
当時はアリサママに憧れた少年少女は沢山いて、日本でも別格の扱いだった。戦後ずっと日本のお笑いをけん引してきた、元祖お笑いBIG3でもアリサママと番組を収録する事は緊張したし、アリサママと同年代で、体を張って何でもやったお笑い御三家の方々も恐れ多すぎてアリサママにはツッコめなかったぐらいだ。
この辺の御三家の方々は、頂点を極めた今でもTV局でアリサママに会うと腰を低くして、アリサママと話せることが栄誉であるような雰囲気を見せる。
アリサママの息子であって、当時は子役の才能が無いと見られていた僕にすら、やさしくしてくれたんだから筋金入りとも言える。
ちなみにバブル当時に一世を風靡した、いわゆるトレンディードラマにはアリサママはそんなに出演していない。
それは、当時のトレンディー俳優と言われた人達と演技レベルが違いすぎたからだ。
アリサママが出演した貴重なトレンディードラマの回を見た事があるけれども、レベルが違いすぎて、素人目にも「あっこれアカンやつや、アマチュアの中にトッププロを混ぜたらあかん。」って感じだった。
今で言うと、大谷選手が高校野球のチームを率いてプロ野球チームと対戦したら、結局プロ野球チームが大谷選手の弾を打てなくてノーヒットノーランになって、大谷選手がホームランを打って試合が決まって勝っちゃったみたいなもの。この高校野球のチームメイトがトレンディー俳優って感じ。まぁ、大谷選手の玉を取れる高校生のキャッチャーはそうそう居ないと思うし、現実はそんなに甘い物じゃないとは思う上に、プロ野球選手の人にも失礼な例えだとは思うけれども、実際にそんなイメージ。
もちろん、これらのトレンディードラマの俳優さん達は時を経て、まさしく超一流の俳優になった人達が沢山居る訳だけれども、自分の演技力だけで世界を相手に道を切り開いて来た日本最高のスターであるアリサママの相手には、若かった当時では力不足だった。
代わりにアリサママには、周囲を力のある俳優でまとめて、沢山の映画が作られた。
バブル期の有り余る予算と合わせて、まさに邦画の絶頂期として数々の名作映画が撮影された。
そして、バブルの崩壊後も彼女の人気は衰える事を知らず、むしろ日本の方が彼女にすがっていた。
バブル崩壊後の暗い世相を彼女は明るく支えた。人に影響を与えたという意味では、バブル期の活躍よりもバブル崩壊後の方がはるかに大きい。
例えば、直接職を失った人であったり、会社を失った経営者であったり、バブル期に働きすぎて家族との関係が悪くなってしまった人達、就職が決まらなくて呆然とする大学生、未来に漠然とした不安を抱えた人達。
そんな人達をアリサママは、時には優しく、時には格好良く、時には夢見がちに様々な役を通して間接的に支えて行った。
当時、どん底に居て傷ついた人の多くは、テレビから流れてきたアリサママの笑顔や輝く演技に癒されて、心機一転して、自分の置かれた不条理な境遇に立ち向って行った。
2000年のITバブルの前後から出てきたベンチャーやIT系の若手経営者や日本を出て海外で働くような意識を持った人たちの多くも、子供の頃からアリサママを見て、海外などで一旗揚げたアリサママに多くの影響を受けている。
同時に、アリサママの生き方そのものが、近年の女性の社会進出のシンボルでもあった。
そんな感じで、アリサママの人気はむしろ、バブル後の方が高まって、熱狂的なファンというのも、バブル後の不遇な時代をアリサママと共に過ごした人の方が多かったりする。
そんなアリサママだけど、30代中ごろに父親不明の子供を身ごもる。もちろん僕だ。それはそれはとんでもないスキャンダルで日本中が大騒ぎだったらしい。
アリサママは、そんな大騒ぎの日本からひっそりと逃げ出して、アメリカで僕を出産した。
それから2年ほど僕とアリサママはアメリカで過ごした。ロサンゼルスにある白い1軒屋で、幼児の頃にはアリサママに連れられてグリフィス天文台に歩いて行った記憶がある。
僕の優しいアリサママとしての記憶のほとんどは、このアメリカでの生活によるものだ。
アリサママがロサンゼルスを選んだのは映画の街であるのと同時に、日本人のコミュニティーがしっかりしているためだろう。
ちなみに僕自身、僕の父親が誰かは知らない。今さら父親を知る必要は無いので、アリサママの胸にしまってもらって、別に一生知らなくてもいいと思っている。
こんな経緯なので、僕の生まれは実はアメリカのロサンゼルスだ。それはつまり、僕はアメリカ永住権(グリーンカード)を持っている事を意味する。
だから、僕はハリウッドで仕事をする際に就労ビザは必要ないし、アメリカの大学に行くのも比較的自由だ。
ハリウッドで自由に仕事をできるのもこの辺のグリーンカードが大きく関係しているし、アメリカ生まれというのは、僕のハリウッドでの人気にも一役買ってくれていた。
特にロサンゼルスの地元生まれと言う事を話すと、ハリウッドで僕に対する態度が変わった人が何人も居た。ベッカミやヤム・クルーズが日本の生まれで、日本大好きって言ったらどう思う? 日本人なら嬉しいでしょ? 場所が変わってもそれは一緒さ。
おそらく、この経緯を知っているアリサママは、自殺未遂の後に、僕が突然英語をペラペラと話し始めても、不審に思ったけれども頭を打ったショックで幼少期の事を思い出したんだなぐらいにしか思っていないだろう。音楽については、完全に怪しんだだろうけど・・・。
どちらにしても、星アリサの女優時代というのは、まさに日本が彼女を中心に回っていた。そんな時代だった。だから今でも星アリサというのはその時代のアイコンでもある。
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星アキラはアリサママの歴史に思いをはせる2
ちょっと話が逸れちゃったので、アリサママの話に戻そう。
アメリカの生活でほとぼりが冷めたアリサママは僕を連れて、日本に帰国した。アメリカを拠点に生活を続ける事も考えたみたいだけれども、治安や教育面を考えて僕のために日本に帰国してくれたようだ。
そして、巌裕次郎の舞台への出演が決まる。子供を産んでから、新しいイメージの役を望んでいたアリサママと、脂が乗り切って人生最高の舞台を模索していた巌裕次郎の思惑が一致した形だ。
演劇界の第一人者と演劇界の立役者との共演。まさしく夢の舞台。
その舞台の題名は『狂った一頁』。 大正時代の映画を舞台化した物で、アリサママはその中で狂った母親を演じた。
この舞台はこの後の経緯から、名演だって語られる事は無いけれども、間違いなく巌裕次郎の最高傑作の舞台の一つと言えるだろう。この舞台の狂った母親の演技の素晴らしさに、舞台は超満員となり、社会現象を引き起こして開演日は延長された。
それがアリサママの精神に深い傷を負わせた。アリサママは狂った役を毎日繰り返して演じたために、本当に狂ったまま戻って来れなくなってしまった。
狂った母親の役をそのままに、アリサママに虐待を受けて、ボロボロになって児童相談所に保護された僕を見て、巌のじっちゃんは泣きながら僕に謝り続けた。
仮にアリサママが僕を生んでいなければ、ここまでの事態にはなっていなかったかもしれない。でもアリサママは僕を生んで母親の愛と言う物を知ってしまっていた。その状態で狂った母親を繰り返し演じたのは、アリサママの精神を崩壊させるには十分であった。
その時の僕は、アリサママと同じく精神に変調をきたしていて、謝り続ける巌のじっちゃんを見て、なんでこのおじさんは僕に謝っているだろうと、感情の籠っていない目でぼーと見ていたのを覚えている。
その時から僕は、自分の感情表現そのものがすごく苦手になった。感情を表現するというのが、芝居がかっていて、オーバーで嘘くさく思えるのだ。そもそも自分の感情と言う物に自分自身が共感できなくなっていた。
アリサママは本当に『狂った一頁』を地で行ってしまい、地方の療養所へ行く事になってしまった。 もちろん、なし崩し的に女優もそのまま引退である。
アリサママが居なくなって、身寄りが無くなった僕は、巌のじっちゃんの劇団に保護される事となった。
そこで、劇団員の芝居に触れて、僕も才能に目覚めれば、この話もハッピーエンドで終わる訳だけれども、現実は非情だ。
突如、僕は、あんなに優しかった母親が豹変して、自分を虐待した事実を受け入れられずに、完全に精神に異常をきたしていた。
アリサママが戻って来る半年間は、ずっと稽古場に行って、無表情に劇団員の練習を見続けたのを覚えている。
僕は、そんな劇団員の練習を見続けても、何かを得るという事は無かった。
ただ、幼い身で母親が狂い、何をやればいいかもわからずに、ただ単にぼーっと無表情に練習を見ていた。
劇団員の練習をずっと見ていたのは、おそらく僕自身の精神が刺激と救いを求めていたんだろう。
そんな僕を見て不気味がる劇団員さんも居たけれども、多くの劇団員さんは僕に同情的で、本気で僕を心配してくれた。
この練習をただ単に見ていた半年間というのは、本当に虚無の時間だったけれども、感情を切り離しても体は動くことを知った。
そのうち、僕を心配してくれる劇団員の人達の対応が面倒になって、作り笑いをして元気なふりをするようになった。
もちろん、作り笑いである事は、巌のじっちゃんを始め、劇団員さん達にはわかっていたようだけれども、特に何も言わなかった。
カラ元気であっても、無反応よりは元気なフリの方が何百倍もマシだからである。
そんな生活を続けて、半年が経った頃にアリサママが退院して、僕を迎えに来た。
アリサママは正気に戻っていた。 でも僕はそんなアリサママに虐待を受ける以上の衝撃を受けた。
アリサママがアリサママじゃ無くなっていたからだ。
アリサママは壊れたままで、正気を演じているだけだった。僕ですら気が付いたんだから、巌のじっちゃんが受けた衝撃は相当な物だっただろう。
こうして、僕は半年間の劇団生活に別れを告げて、再びアリサママと暮らすようになった。
アリサママと一緒に暮らし始めてから、案の定、アリサママは僕に愛情を注ぐような事はしなくなった。 壊れているんだから当たり前だ。 そして僕もそれについて何か感じる事も無かった。 こちらも壊れているんだから当たり前だ。
とは言っても、アリサママは僕に愛情を注ぐ事は無くても、ちゃんと親としての義務を果たしてくれて、僕に虐待をしなかった事は幸いだった。 もっとも愛情を注がない事自体が虐待ではあるんだけれどもね。
仮にアリサママが狂った原因が僕にあるのであれば、アリサママは僕を嫌ったのかもしれないけれども、幸いなことに狂った原因は完全に別の原因だったので、アリサママにとって僕は扶養の義務がある同居人が出来た。そんな感じだったのかもしれない。
しばらくすると、アリサママは何を思ったのか、芸能事務所を作る事にしたようだ。今振り返ると、自分が狂った原因である、メソッド演技に頼らない役者を生み出したかったのだろう。 狂ってしまった自分には、もっと別の正しい選択肢があった事を証明して精神の安定を得たかったのかもしれない。
世間で言われているような、メソッド演技の犠牲者をこれ以上出したくないとか、自分を育ててくれた芸能界に恩返ししたいとか、そんな崇高な事ではなくて、もっと利己的な理由からアリサママは芸能事務所の経営に乗り出していた。
同時に僕はその事務所のタレント1号として、登録をお願いした。 何でこんな事をしたかと言うと、しばらくの安定した生活で、僕の方も精神の傷が癒えてきていて、アメリカに居た頃の幸せだった生活を思い出して取り戻したくなったからだ。 こんな表面的にしか感情を出せない人間は本当の自分では無い。 きっとこの狂った母親を正気に戻せば、自分もあの頃の感情を取り戻せると考えていた。
こちらも実は世間で言われているような、親子の絆を守るために子役を目指したとか言う、どっかから湧いて来たような美談ではなくて、自分の感情がおかしくなったのは母親のせいなので、母親を正気に戻せば、自分の感情も戻ると信じていたという、非常に利己的かつ、子供的理論で僕は子役を目指していた。
前世を思い出した今からしてみると、完全にヤバイ人間である。親が親なら、子も子だ。 まさに似た者同士。 子は親に似るとかそう言う次元ではなくて、単に両方ともヤバイ人間である。
アリサママのメソッド演技に頼らない役者作りの方針は、感情の壊れた僕にはちょうど良い物であったが、イマイチ結果は出なかった。 表面だけテクニックを真似るのは上手かったんだけど、中身の感情が壊れたお子様では、いくらテクニックを磨こうがどうにもならなかったようだ。あっと言う間に、後輩の千世子ちゃんにも追い越されてしまった。
その意味ではメソッド演技に頼らない役者を作ると言うアリサママの方針は完全に失敗していたと言える。 だって、精神が壊れて感情を出せない僕をスターにできなかったんだからね。やっぱり感情の出せない人間が役者になるというのは無理ゲーだったようだ。
そして、僕は自殺未遂から前世を思い出して、一気に正気に戻って今に至り、アリサママは僕の謝罪会見でようやく正気に戻った感じ。だから、謝罪会見後のアリサママは方針を変えて、景ちゃんを自分の手で育てることにしたんだ。
同時に、アリサママの芸能事務所経営は、失敗するんじゃないの?っていう周囲の心配をよそに、意外な有能さを見せて、あれよあれよと言う間にタレントが僕一人の零細事務所から、わずか10年足らずで大手芸能事務所にまでのし上がって行った。
アリサママの芸能事務所(スターズ)が成功した理由を一言で言うのであれば、アリサママが『変なこだわりを持たなかった』と言うこの一言に尽きるんじゃないかな。 もちろん、初期から専務さんのような経営面やマネージメント面の優れた人材に恵まれた事もすごく重要だよ。
自分のメソッド演技を否定したアリサママは、皮肉な事に芸能事務所の人間なら誰しもが夢に思う、『本物の役者』を探し求めるなどと言う幻想に取り付かれる事が無かった。そして所属タレントの長所を客観的に引き出して、身の丈に合った仕事を与えて行った。精神がぶっ壊れていたアリサママは、すごくドライかつ客観的にそのラインの見極めて、常に成功し続けた。
経営者にサイコパスが多いのは、それなりに理由があるし、サイコパスになったアリサママは皮肉なことに、そう言った判断を得意としていて、その面の才能にも恵まれていた。
サイコパスの才能を褒められても、本人は嬉しくないだろうけど・・・。
芸能界というのは信用が重視される業界でもある。 その派手な業界の見た目に対して意外に保守的で、極端に成功するけれども、大失敗もする人物よりも、コツコツと失敗しないで成功を積み上げる人間の方が好まれて長期に仕事を任せられる傾向にある。
そりゃ、一発の当てると大きいけど、一発の失敗で全てを失う業界だからねぇ・・・。
極端に成功するけれども大失敗もする人間は、ものすごくブレイクするけれども、旬が過ぎるとあっと言う間に干されて終わってしまう。
スターズはその看板とインパクトのわりに、実はけっこう安定志向で固定ファンが付いてコツコツと仕事を続けられる人間が多かった。 自殺未遂を起こすまでの僕がそうであったように。
同時に王賀美兄さんのような人間には向いていない事務所でもあった。王賀美兄さんの才能を見出したのはアリサママだったけれども、アリサママのそういう経営方針に合わなくて、結局事務所を飛び出しちゃったしね。
でもスターズは王賀美兄さんが飛び出した後でも盤石な経営を行って今に至っている。そして、僕と同年代の子には、星アリサと言えば芸能事務所の敏腕社長であり、日本を代表する女性経営者として世界的にも有名だね。だから、世間的に見ると、戦後に最も成功した日本人女性は星アリサが上げられる。 本人の思惑は別としてね。
これが、業界大手の芸能事務所、スターズを経営する星アリサという人間の半生。
対して、巌のじっちゃんもまた星アリサを狂わして引退に追い込んだ事で世間から大きなバッシングを受けていた。
巌のじっちゃんが主催していた劇団は、星アリサを精神的に追いつめて引退に追い込むという最悪の事態を引き起こして、客足がどんどん遠のいて行った。
そして、僕がアリサママの元に戻ってから半年後に、巌のじっちゃんの劇団は解散する事になってしまった。それぐらい、星アリサを引退に追い込むという事を当時の人間が許せなかったという事だった。
でもそこからちょっと時間が経って、冷静になった多くの人の中には、巌裕次郎が演劇界を去るというのは才能の損失だと思う人も出てきた。
そして、2年を過ぎる頃には沢山の後援者が出来て、巌のじっちゃんはまた劇団を立ち上げることにした。
巌のじっちゃんは、今度は過去の過ちを繰り返さないようにするために、後進および、役者の育成に重点を置いた劇団天球を立ち上げる事にした。だから劇団天球には若くて情熱のある劇団員が非常に多い劇団となっている。
巌のじっちゃんにとって幸運だったのは、星アリサが引退後は第二の人生として芸能事務所を経営し始めて、表面的には元気に見える事だった。仮に星アリサが自殺でもしようものなら、日の目を見る事は二度と無かっただろう。
劇団を解散した後の2年間の月日は、巌のじっちゃんにとっても、沢山の物を失って、同時に沢山の物を得た日々であった。
劇団天球の主宰として復活した巌裕次郎は、徐々に活気を取り戻していき、演劇界の第一人者の輝きを取り戻して、舞台や後輩の育成などの功績が認められて、文化勲章が授与されるまでになる。 今や演劇界の巨匠と言えば、巌裕次郎を指す言葉である。
そして、現在の劇団天球は、明神阿良也を始めとして、三坂七生、青田亀太郎やその他の新世代の舞台俳優を送り出して再び絶頂期を迎えようとしていた。
星アリサと巌裕次郎、それぞれの人生でそれぞれ成功した二人。
でも、この二人は『狂った一頁』の舞台が終わったあの時から道を違えたままだった。
古くからの演劇ファンであれば、死ぬまでにもう一度、巌裕次郎の舞台に出演する星アリサを見たいに違いない。
戦後に生まれた演劇文化、いや日本の文化全体に多大な影響を与えたこの二人がまた一緒に舞台をやると言う事は、話題性以上に日本の演劇史にとって非常に意味がある事だった。
僕達はそんな舞台の共演者となるのだ。 いや、景ちゃんが主役とかいう話題が吹っ飛んじゃうぐらいインパクトのある話だよ。 どうしよう!?
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星アキラは戦争の準備を始める
「全員に注意事項だが、銀河鉄道の夜に星アリサが出演する事は、当然極秘事項だ。絶対に漏らすな。 星アリサが出演する事を事前に通知する事もしない。 他の人間が知るのは銀河鉄道の夜の1日目にアリサが舞台に立って初めて知ることになる。 そのために銀河鉄道の夜は1日目が無料のネット配信となってる。 舞台が始まるまでは騒ぎになる事も無いから安心しろ。」
アリサママの出演は巌のじっちゃんも良く考えているようだ。 確かに今の段階で発表してしまうと、世間で話題になっている夜凪景の主演の話なんて霞んでしまう。 景ちゃんを始め劇団員の共演者も、舞台外の場外乱闘で盛り上がるのは本望では無いだろう。
少なくとも、一番沢山の人が視聴する1日目のネット配信までは今のまま盛り上がる事になる。 星アリサを目当てに演劇を観に来るのと、演劇を観に来たらサプライズで星アリサが出演していたというのでは話が違うし、その後の話題や紹介のされ方も違ってくるだろう。 公演1日目以降は、舞台の話題が星アリサに喰われるのか、僕達が星アリサから世代交代を印象付けられるかは、僕達の働き次第だ。
この事実を知った瞬間に僕達はものすごいプレッシャーに襲われた。
巌のじっちゃんはこの舞台を人生の総決算にするって言っていた。 僕達を入れて豪華メンバーで開催するこの舞台の話題作りのためのリップサービスだと思っていたけれども、本人は至って本気だった事に気が付いた。 『狂った一頁』の舞台から実に16年の年月を経て、巌裕次郎は再び自分が考える最高の舞台を実現しに来たのだ。
巌裕次郎と星アリサという、日本の演劇史に巨大な足跡を刻み続けた巨人に対抗して主演となるのは、巌裕次郎の秘蔵っ子である明神阿良也と、星アリサの愛弟子である夜凪景、そして共演は巌裕次郎が育てた青田亀太郎や三坂七生と、星アリサが育てた百城千世子や僕、まさに日本の演劇史を刻み続けた生き証人達と、これから日本の演劇史に足跡を残していく新旧の役者達がガチで舞台の上で殴り合う夢の競演。
そしてその題材が宮沢賢治の最高傑作と名高い、生と死が交錯する幻想的な物語『銀河鉄道の夜』。 この生と死のテーマと新と旧の世代交代が観客に対比として見られる事も計算に入れているだろう。
幾重にも織り込まれた歴史と生い立ちの伏線。 それぞれのバックボーンを含めて、まさに大河ドラマとも思えるような凝縮した人間関係と配役を、巌裕次郎は舞台演出として実現して見せるのだ。この舞台が成功したら、巌裕次郎の最高傑作なんてものじゃない。 まさしく伝説の舞台となるだろう。
そして、僕達の舞台が星アリサの草刈り場になるのか、星アリサを圧倒して新旧の交代を印象付けるかは僕達の働きにかかっている。そのプレッシャーは若草物語の比では無い。
僕は呑気に景ちゃんにアドバイスを送っている場合では無かった。 僕達に今必要なのはアリサママと巌のじっちゃんに対する戦争の準備なのだ。巌のじっちゃんが僕や千世子ちゃんに感情の色を匂わせる目途が付いているのも当然だった。 だって、匂わせるぐらいじゃないとこの戦争に勝てないもの。
助演だからってピクニック気分で気軽に巌裕次郎の劇に出演するんじゃなかった。 巌のじっちゃんが蜘蛛の糸をこんな幾重にも張り巡らせた状態で待ち構えているなんて思わないじゃないか!!!
この状態になって気が付いた。 僕、巌裕次郎をナメていたわ。 日本最高の舞台演出家を軽く見てた。 だって、裕次郎自身やアリサママの歴史までぶち込んだ、こんな重厚な演出をしてくるなんて思わないじゃないか。
僕の心の中は後悔でいっぱいだった。こんな事なら、仕事が忙しい事を理由に舞台を断って、家でゴロゴロしながらポテチでも食べてのほほんと、大変だねー。とか思いながらネットで舞台配信を見ていれば良かった。
舞台を観ている人には夢の舞台だろうけど、共演する人にはプレッシャーと心労で地獄の舞台だよ!
ふと、この蜘蛛の糸を張り巡らせた構図を作り出した巌のじっちゃんがスパイダーマンと重なって見えた。 僕は無性にスパイダーマンが恋しくなり、ちょっと衝動的にスパイダーマンを演じたくなった。 今の僕には助けてくれるスーパーヒーローが必要なんだ。
アキラ君脳内選択肢
そんな事をしてはダメだ!頭がおかしくなったと思われるぞ!
➡当然やるべきだ。スーパーヒーローは理解されにくい物だからな。
「でもアリサさんが出演するパートなんて台本に無いですよね?」
「はっはっはっはっはっ・・・すり替えておいたのさ!!」
突然、僕が勢いのあるセリフを吐いた事で、一瞬でみんなの視線が僕に集まる。
「地獄からの使者 格闘技世界チャンピオン スパイダーマッ!」
僕はツッコミ所満載の東映版スパイダーマンのセリフとポーズを決めてみた。セリフの後には声帯模写であのBGMを口ずさみながら、脳内カメラのコマ割り毎に数々のクソダサポーズをとる。まさに完璧だった。その姿は鉄十字団に挑む山城拓也そのものだ。 鉄十字団に挑むスパイダーマッが巌裕次郎に挑む僕に重なって見える。
「アリサママを舞台に呼び戻す悪の劇団天球、許せる!」
「アキラちゃん、ついにおかしくなったわねwwww」
千世子ちゃんが爆笑していた。
「アキラさん、急にどうしちゃったんです?」
「しっ! 景ちゃん、見ちゃだめよ!!」
「キアラちゃんどうしたの? そんなに心労が貯まっているなら、私とホテルに行ってお休みしましょうか?(*´艸`)」
「この状況で俺よりも面白いとか反則だろwwwww」
「息子だか、娘だか良く分からない子の奇行に、うっ、胃が・・・・。私にこの言葉を言う権利が無い事は理解しているけど、やっぱり一言言わせて。 育て方を間違えたわ。」
「このシリアスなシーンをぶち壊して、東映版スパイダーマンだと!? マーベルが許しても、この巌裕次郎が、許せる!」
みんなから笑いを取れたけど、何か大切なものを失った気がする。今から家に帰って、東映版のスパイダーマンでも全話視聴しようかな・・・・。
あと、巌のじっちゃんは絶対にあのニフニフ動画を見た事があるでしょ。
三話に渡るマジ語りでアキラ君の脳に負荷がかかって良心回路が焼き切れたようです。(マジレス)
ちなみに巌のじっちゃんが見たニフニフ動画はスパイダーマッあたりでググれば出てくる可能性も・・・。
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星アキラは読み合わせをする
読み合わせを行う会議室に向かうアリサママに僕は質問した。
「あっアリサママっ、どっ、どうして、いきなり巌のおじい様の舞台に出演を?」
「景の出演のお願いを裕次郎さんにしたら、交換条件で提案されたのよ。」
「私のためですか?」
「景ちゃんのためではあるけれども、私のためでもあるわ。 この話は裕次郎さんが生きている間にケリをつけなければいけない問題でもあるもの。 それにそのお蔭で裕次郎さんにも別のお願いを聞いてもらう事ができたわ。 だって、この世紀の大スター星アリサを舞台に出演させるわけなんだもの。」
そう言って、アリサママはにやりと笑った。笑った顔が怖えぇぇぇぇぇぇぇ。 アリサママ、あと20年もしたらまじで日本を代表する妖怪ババァになるんじゃないの!?
「ぐはぁっっ」
そんな事を考えていると、アリサママが突然僕の頭に正拳突きを決めてきた。
「アリサママっ、いきなりなんですの!?」
「何か良からぬことを考えていた気がするので殴ってみただけよ。」
「可愛い娘の頭を容赦なく殴るなんて、相変わらずサイコパスがすぎますわ!!」
「あなたのような娘を持った記憶は無いんだけど、まぁ、可愛いからいいわ。」
そう言って、アリサママはニコニコしながら読み合わせがある会議室へ向かった。 機嫌はすごく良いようだ。 戦々恐々としているこっちの気も知らずに、アリサママは巌裕次郎の舞台に出演する事をすごく楽しみにしているみたいだ。 まさにサイコパスママ、 アリサママエル!! 僕以上に全部わかった上で、純粋に舞台を楽しみに来ているのだ。 やべぇ。 こいつはやべぇ。
阿良也と、景ちゃんは完全に天然物なので、なんとかなるかもしれないけど、僕のような養殖物には非常に危機的状況である。
いや、養殖だから何だと言うんだ!! 養殖の方が脂が乗っていて旨いじゃないか!! 海原雄山が何だと言うんだ! 市場で覇権を握っているのは僕ら養殖魚だ!!
僕は市場で売買される養殖魚の気分になって、養殖魚の良さを正当化した。 養殖魚の真鯛は浅い水面で育てられるため日に焼けていて赤黒いけど、天然物の真鯛は深海に居るため、美しいピンク色なのだ。当然、僕ら養殖物の真鯛よりも数倍の値段で取引される。 僕はそれを見ている養殖物の真鯛の気分になって、天然物を羨望した。 まさに気分は「およげ!たいやきくん」である。
あれ? あのたい焼きは海に逃げ出したけど、逃げ出した後は天然物のたい焼きになったのだろうか? 最後に釣られて食べられたたい焼きは、養殖物だったのだろうか? それとも天然物だったのだろうか? そもそも天然物のたい焼きって何?
読み合わせの開始まで暇になった僕は、現実逃避で至極どうでも良い事に頭を悩ませていた。 これまでのショックでだいぶ頭がハイテンションになっているらしい。
そんな事をしていたら、みんなが会議室の席に着いて台本の読み合わせが始まる。
この読み合わせってどんな物かという話なんだけど、台本を持って、役者がそれぞれのセリフを言っていくだけの稽古だ。特に演技等は必要ないけど、ある意味一番大切な稽古ともいえる。
漢字の読み方や発音から始まり、役の人物の感情や人間関係などを読み合わせに立ち会っている演出家や役者同士で確認していく。今回の舞台では本番の二か月半前の工程だね。
この辺は演劇の舞台独特とも言える。 例えば声優では本番前に軽く合わせて一発撮りだし、ドラマもリハーサルや立稽古では、本番当日にちょっとやる程度の事が多い。読み合わせ自体がやらない事もあるね。
その意味で言えば、読み合わせから入ってじっくりと役作りが行える演劇の舞台というのは、非常に恵まれているとも言えるんだけど、逆を言えば、出演者がそれだけ時間をかけないと舞台が完成しないほど、舞台と言うのは難易度が高い見せ物とも言える。ドラマのようにリテイクが効かない本番一発勝負を何日もやる事になるのだ。 舞台俳優と言うのは演技力が違うというのも良くわかるだろうし、舞台俳優をやっている人間がドラマや映画で頭角を現す人が出るもの当然と言える。 でも舞台が至上という訳では無くて、映像には映像の難しさや良さが当然あるんだけどね。
「では皆さんはこの天井にある、川だと言われたり、乳の流れだと言われたりするこのぼんやりとした白い物が何かご存じですか? ジョバンニさん、あなたにはわかっているでしょう?」
銀河鉄道の冒頭、先生に指名されて星だとわかっていても、ジョバンニが戸惑って答えられない場面、阿良也は戸惑った演技を見せる。 まだ読み合わせ初日でセリフの無い場面、しかし阿良也はすでに別人のように見えた。もうある程度役を掴んでいるのだ。
うーむ。読み合わせ初回でこの完成度か。恐ろしい。
「ふーむ。 それではカムパネルラさん。」
カムパネルラを指名された景ちゃんは、少し驚いた表情をして一瞬だけジョバンニを見ると、少し複雑な表情をして沈黙を守った。それだけで先生役や観客にはジョバンニを立ててわざと答えなかった事が伝わった。動きは少し小さいけれども、こう言った繊細な芝居は景ちゃんの得意とする所だ。 そして見る人に伝える動作の機微も格段に改善していた。 景ちゃんの動きからジョバンニの心境が良く伝わった。
「このぼんやりとした白い銀河をおおきな望遠鏡で見ますと、沢山の小さな星々から出来ている事が判るのです。 ジョバンニさんそうでしょ?」
先生役の人にも、そう言ったカムパネルラの機微がちゃんと伝わったようで、ジョバンニを立てる形で生徒に答えを教える。観客にもこの二人の関係と心の動きが、台本の読み合わせ時点で良く伝わっている。
巌のじっちゃんがどう感じるかは分からないけれども、主役二人は微調整するだけでも普通に舞台で見せられそうだ。
主役二人がいきなり高い完成度を見せるのに対して、僕と千世子ちゃんは普通に棒読みだった。まさに棒読みちゃんって感じ。 この一回目の読み合わせに関して言えば、僕に読ませても、SofTalkの棒読みちゃん(ゆっくり音声)に読ませてもそう変わりがないだろう。
これは、僕と千世子ちゃんが他の出演者との演技の解釈に相違を起こさせないための措置。 僕と千世子ちゃんは余計な先入観を入れないで周りの役作りに合わせて、自分の役を調整するために1回目は棒読みちゃんモードだ。これについて、僕達に文句を言う人間はいない。 そう言う考えなのはわかっているし、回を追うごとに改善する事がわかっているからだ。現実に同じような対応をしている役者さんは、僕ら以外にも数人居る。
僕と千世子ちゃんのセリフの部分は無難に流れていく。セリフのやり取りをしながら、どういう役作りで行くべきか大体のイメージがつかめてくる。
巌のじっちゃんも特に厳しい事は言わずに、ニコニコしている。 僕はそんな巌のじっちゃんに違和感を覚えた。 これだけ大きな伏線をぶち込んできて、最高傑作を作ろうとしている巌のじっちゃんが、果たしてこんな
その懸念が現実になったのは、アリサママと阿良也の会話シーンであった。アリサママは全開だった。 全開で阿良也を貪り
アリサママは阿良也と景ちゃんに本物の芝居を見せつけていた。 プロの役者相手にダニングクルーガー効果を感じさせてぶっ潰すなんて暴挙を止めてよ。 アリサママ! あんなにやさしかったアリサママはどこに行ったの! あっ、初めから優しく無かったわ。(←失礼)
巌裕次郎が最高の舞台にするために放った刺客、アリサママエル。 やべぇ、魔王が降臨している。 アリサママエルは味方の天使かと思っていたら、完全にラスボスじゃないか! セフィロス系のラスボスとか本当に勘弁して欲しい。 阿良也は序盤の回避不能の敗北イベント戦でボコボコにされていた。 うーむ。これはTASさんでも呼ばないとダメかもしれん。
巌のじっちゃんのニコニコは最高潮に達している。 これは巌のじっちゃんが裏ボス確定だな。
魔王軍として攻めて来たアリサママエルの前に、人間の街で平和に暮らしていたモブキャラの僕は、ベッドの中で布団を被ってガタガタと震えているしか無かった。
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星アキラは、みんなの修業に付き合う
魔王アリサママエルが猛威を振るった読み合わせの事件の翌日から数日は休みの日になっていた。
これは明らかに僕達に対策を考えさせるための時間だ。 現在、僕達は完全に巌のじっちゃんとアリサママの手の平で踊らされている状態だった。
休みになっていた僕達は、阿良也のリクエストでダイビングスクールのプールを借り切って役作りをすることにした。
阿良也以外で一緒に来たのは、景ちゃん、七生姉さんだ。 千世子ちゃんはドラマの撮影があって都合が合わなかった。
阿良也になんでプールって聞いたら、
「役作りに悩むとどうしても飛び込みたくなるでしょ? 生き物はみんな水から生まれたって言うし、原点に返りたくなるんじゃないの? 知らんけど。」
「知らんのかい!?」
僕は頭痛がしながらも阿良也のリクエストを聞いた僕は、都内のダイビングスクールを当たって、プールがある施設で、時間に空きがあった施設を貸し切りにした。
もっとも貸し切りにしたと言っても、その時間にレッスンをしたと仮定してその間の生徒さんの代金を払う形で話がついている。
ダイビングスクールのプールを借りた理由は、阿良也が溺れる体験をしたいと言ったからだ。そうすると、普通のプールでは足が付いてしまってあんまり意味がない。足が付かない状態で、前後左右水面がわからなくなって、息が出来なくてパニックになる体験をしたいのだろう。
そうすると、普通のプールを借り切るよりも、ダイビングスクールの深いプールの方が良い。 僕はドキュメンタリーの撮影とかでダイビングの講習を受けていたので、こう言った施設に心当たりがあった。
今、阿良也はダイビングスクールのプールで溺れてご満悦だ。
ちなみに、インストラクターさんと入念に打ち合わせをして、阿良也には水と同じ重量になるような重りを付けた上で、ハーネスをつけて、天井のメンテナンス用のクレーンに命綱をつけて、本当に危なくなったら、すぐに引き上げられるような対応を行っている。
実際、最悪の事態が起きても、一応応急の人工呼吸器とかAEDとかの設備があるので、まぁ助かる可能性は高いだろう。 それでも助からなかったら、運が悪かったねということで諦める形だね。正直、体を張った怪しげなテレビ撮影よりも安全性は担保されている。それでも事故は起こるけれども、対策はした上だからもう運が悪かったとしか言いようが無い。
阿良也は今、プールの中を漂いながら、役作りについていろいろ考えていた。一人雑音が入らない空間で役作りも進む事だろう。
「阿良也さん、気持ちよさそうですっ。次は私もやりたいです。」
「いいよ。 もうすぐ阿良也の息も限界だろうから、次は景ちゃんがやろう。 ジョバンニ以上にカムパネルラの方がこの体験は大切だよ。」
もっとも、気持ちよさそうに見えるけれども、阿良也はもう息が限界で現在進行形で溺れているけどね。 そろそろ引き上げるか。水を飲んで息が止まって僕が人工呼吸をやるような事態はごめんこうむりたい。
「はぁはぁはぁ、死ぬかと思った!! アキラ、上げるの遅いよ!」
そう言うと、阿良也はプールサイドにぐったりと倒れてしまった。まぁ息をしているみたいだし大丈夫でしょう。
続いて、景ちゃんが潜って行った。
「アキラって、なにげに面倒見がいいよね。こいつの戯言なんて流しちゃえばいいのに。」
ぐったりしている阿良也を横で見ていた七生姉さんが言った。
「七生姉さん、僕が断った場合の展開を考えてみるんだ。 僕が断った場合、阿良也は自分で溺れる体験をしに行くだろう。 そうするとこいつは、橋の上から飛び込むみたいな無茶な行動をする事が考えられる。 それで阿良也だけが死ぬならまだましなんだけど、阿良也が飛び込んだのに驚いて、周りの人が助けに入って、その人が道連れで溺れて死んじゃったらどうする? その挙句、実は阿良也だけ助かりましたとか。」
「うわぁ、本当に最悪の事態ね。 このバカだけが死ぬならまだしも、助けに来た人まで死んじゃったら責任なんて取りようが無いわ。それに、普段のこいつの行動から考えて、そうなる情景がありありと浮かぶわ。」
「そうなんだよ。七生姉さん。ここでちょっとのお金と時間をケチると、確実にもっとろくでもない事態になるんだ。 最低でも警察のお世話になるぐらいの事態にはなると思う。」
「・・・確かに。 流石は阿良也の親友。 良く分かっているわね。」
「七生姉さんも確実に阿良也の親友だし、理解者だけどね。 それにお金でなんとか出来る問題であれば、お金で解決するべきなんだよ。 問題が大きくなる前にちょっとのお金で安全に解決できるのであれば、それは幸せな事なんだ。」
「完全にお金持ちの思考ね。 私のような貧乏舞台女優には縁遠い話よね。」
「言うて七生姉さんも相当な売れっ子だよね。 最近もドラマの役をもらっているし、映画も何本か出演しているじゃん。 舞台からの収入とグッズの売り上げを合わせて考えると、同年代のアイドルや女優と比較してもかなり上位の稼ぎだとは思うよ。先週号のヤングジャンピングでもコスプレで表紙とグラビアに出てたよね。」
「ウルトラ仮面以降は、ドラマや映画の役をもらって刺激になるし、役作りにも使えるからすごく助かっているわ。特にアルバイトをしないで役者の収入だけで生活できるようになったのは、すごく助かっているわ。 私のマネージメントはスターズにやってもらっているから、アキラは私の収入を把握していそうね?」
「いや、流石にアリサママじゃないからタレント個人の収入の確認なんてしないよ。ギャラがおかしい事を聞いた時には確認はするけれども、基本的に上手く行っていればノータッチで余計な情報は見ないよ。タレント達もプライベート覗かれていい気分はしないだろうし。」
「そもそもなんだけど、何でアリサさんは、スターズの方で劇団天球のマネージメントや仕事の斡旋、グッズの制作/販売なんかをしてくれているの?」
「巌のじっちゃんとの個人的な繋がりが大きいかな。 巌のじっちゃんはアリサママを引退に追い込んだ負い目がある訳だけど、アリサママは巌のじっちゃんの前の劇団を解散に追い込んだ負い目があるんだ。 まぁ、お互いに負い目がある同士の関係改善が一つ。」
「もう一つの理由は、スターズのマネージャ陣の研修とレベルアップかな? 知っての通り、スターズって言うのはマネージメントをすごく重視する芸能事務所なんだ。 だからマネージャや裏方さんは他の事務所に比べてもすごく充実しているし、その人たちの教育にもかなりの資金を使っている。 それで、その人達の実地研修先としてスターズと毛色が全く違う劇団天球を利用させてもらっていると言う感じかな? もちろん、経験の浅い人ばっかりじゃ駄目だから、ベテランも派遣してOJTの形で研修してもらっているよ。」
「えっ、スターズのマネージャさんってOJTやっている人が多いなって思っていたけれど、そう言う事?」
「そうだよ。 どんなに優秀な人でも、スターズっていう組織の中でずっと留まるのは良くないからね。 ある程度毛色の違う職業や組織に入れて循環させるんだ。だから大ベテランの人が派遣される事も多いね。 劇団天球のマネージメント陣は持ち回り制だけど、必ず1人は大ベテランの人を入れて問題が起きても対処できるようにしているね。 だから、阿良也が起こす問題とか、阿良也が起こす騒動とか、阿良也が起こす失言とかに迅速に対処できているんだよ。」
「全部阿良也の問題じゃない!!」
「大体あいつのせい。」
「もっとも、阿良也がそれだけ影響力が大きい事を示してもいるから、阿良也が巻き起こす騒動はマネージャ陣には良い刺激になっているよ。 それに持ち回りで普段の仕事を離れて、劇団天球のマネージメントやプロデュースをする仕事はマネージャ陣にも好評だし。 でもなぜか僕のマネージャになるよりは、劇団天球に居た方がいいってみんな言うんだよね。別に嫌われてはいないみたいだけど、どうしてだろう?」
「外野でもなんとなく事情は察せられるわ・・・。阿良也の騒動ぐらいだと健康を害する事は無いものね。」
「まぁ、僕には昔からスペシャルマネージャさんが付いているから大丈夫なんだけどね。」
「そのマネージャさん、いつも胃を痛めているわよね。」
「そう。だから僕も心配して胃薬を差し入れたりしているよ。 やっぱり健康には一番注意してあげなきゃ。」
「胃薬よりも、アキラ君本人の行動を改めてあげた方がいいんじゃないの?」
「ナンノコトだい? 僕はスターズの二代目社長として、みんなの見本になる芸能活動をしている優等生だよ。」
「珍獣へのツッコミは控えさせてもらうわ。」
「そんな訳で、スターズにとって劇団天球へのマネージメントはそれなりにメリットはあるけれども、それでも赤にならなければいいやぐらいの、慈善事業に近いね。 業界平均だと、手数料で40%~60%ぐらい引いていく上に、スターズ以上に仕事の斡旋やサポートができる芸能事務所は無いだろうから、劇団天球の人がスターズのマネージャ陣を裏方だからって虐めて、他の芸能事務所とかに乗り換えたりしたら、その後にザマァされて、後悔してももう遅いになるから、マジで気を付けてね。 現場から『もう劇団天球のマネージメントはやりたくないです』とか言われたら、僕でも対処できないから。」
「背筋が寒くなったわ。 今の劇団員はみんな、アルバイトをしないで劇団の収入だけで生活できる事に感謝しているけれど、そんな勘違いした後輩が出ないように私もちゃんと後輩の教育をするわ。」
「うん。それがいいと思うよ。」
そんな会話をしていると、景ちゃんが合図をしてきたので、景ちゃんを巻き上げた。
「ううっ、気持ちが悪いですっ」
景ちゃんはそう言うと、プールサイドにあったバケツに走って行き、そして・・・。
「げろげろげろっ」
うわぁ、最近はデスアイランドの話題も下火になってきて、景ちゃんのゲロッパ女優のネタもみんな忘れかけてきて、汚名返上中だったのに、ここでげろげろしちゃってまた汚名挽回しちゃっているよ。まじでプールの中で吐かなくて良かった。そこは良く我慢したね景ちゃん。
でもゲロッパ女優の伝説はまた繰り返されてしまったけど。この舞台が成功したら、夜凪景の特訓としてこの話が広まるんだろうな。(遠い目)
「役者の役作りも大変ねぇ。」
「まぁあそこまで追い込む必要があるかは不明だけど、メソッド演技者なら重要なのかな? 知らんけど。」
「知らんのかい!」
今度は七生姉さんがツッコんだ。
「今度は私の番だけど、すぐに合図するから早めに上げてね。 景や阿良也のようにギリギリまで追い込む必要は無いわ。」
「了解。」
そう言って、七生姉さんは潜って行った。その間に僕は次に潜る準備をする。
七生姉さんは、比較的早く合図をして上がってきた。
プールサイドでは阿良也と景ちゃんが横になってぐったりしている。
僕はタンクを背負って、レギュレータを付けて準備万端だ。
「それじゃ、僕はプールの中で水中遊泳でエンジョイしているから、みんな溺れた余波で苦しんでいてね。」
「アキラずりーぞ!」
「アキラさん、卑怯ですっ!」
「この流れでマジかよ!? アキラ!」
そう言って、僕はダイビングプールの中に飛び込んだ。
こちらのお話、当初は原作準拠で阿良也が橋から川に飛び込んで、警察に保護されて夜凪ママが泣いちゃう話を途中まで書いていたのですが、あまりにも社会性が無さ過ぎて、役者としてしか生きていけないどころか、役者としても生きていけなさそうだったので、この話に変更しました。
原作よりも阿良也の理解者が多いので、こう言う展開もありかと。。
あと、この世界の景ちゃんのゲロッパ女優という愛称は、その前に作られて、ブルーリボン賞を獲得した偉大な映画と同じく、『Get on up』の空耳で、アグレッシブに立ち上がるという、そのようなすばらしい女優と言う事で、ゲロッパ女優という愛称になっているだけで、決して、映画でげろげろしたからそんな愛称になっている訳では無いです。 この世界の公式ではそうなっています。公式では。本当ですよ(目を逸らしながら)
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星アキラは、演技について考える
僕はダイビングプールの中に潜ってふよふよとプールの中で浮いていた。水と同じ比重になるように重りを巻いているので、クラゲのようにプールに漂っていられる。 思考をまとめるにはすごく良い環境だ。
プールの中特有の落ち着いた水の音に身をゆだねて、今回の役についてゆっくりと考える。
感情の匂いか・・・。 感情の色でもいいね。 ある意味、共感覚的な表現だね。たとえば、色聴みたいに音を聴くと、色が見えるという人は居る。 でも感情が匂うというのは、共感覚ではなくてただの比喩的な表現だろうね。 物理的に匂っているのであれば、その辺さらに駆使すればテレパシーとして相手が考えている事がわかるはずだ。 もしも阿良也と巌のじっちゃんが物理的に感情の匂いを検知出来たらどうしよう? アルミホイルを頭に巻いておくと、阿良也でも匂わなくなるのかな?
・・・思考盗聴、アルミホイル、トップバリュ・・・。 うっ頭が・・・。
考えを戻そう。 巌のじっちゃんは臭い役者しか使わない人間であることは有名だ。 子を抱く母親からは花のような匂いが、今にも死のうとしている人からは腐った匂いがするらしい。 らしいというのは、僕自身がそんな匂いを感じた事が全く無いからだ。 経験から来る第六感の一種だろうね。
暗幕の中に景ちゃんと千世子ちゃんを入れて、巌のじっちゃんと阿良也にどっちが景ちゃんですか?っていう実験とかをやってみたい。 匂いで当てられたらすごすぎる。 第六感の科学的な証明になるだろう。 視覚情報などから、経験と自分の価値観を匂いという表現に落とし込んでいる訳だから、たぶん当たんないだろうけど。
どちらにしても、そんな役者を見る目がある巌裕次郎に、舞台の出演者として選ばれるというのは、一流の舞台役者として認められたという一種のステータスでもある。
巌裕次郎の役者を見る目というのは、それだけみんなに認められているという事だ。でも、そこに必要なのは匂う役者。 感情までなり切る深い役者。 僕は無臭というか、たぶん匂いは感じないほど薄いんだろうけど、今回の場合、巌のじっちゃんが考えを改めて、無臭である僕の良さを認めて今回の舞台にキャスティングしたという線はまず無いだろう。
巌のじっちゃんが持ち出して来た舞台仕掛けを見ると、僕自身が役になり切って匂わせないとダメなんだろうね。 うーん。 役になり切って役と同じ感情を共有するか・・・。
僕は溺れる体験をしたみんなの事を考えてみた。
人はだれしも、プールの中で息が苦しくなった体験はあるはずだ。でも、そのまま意識を失うまで窒息して死の淵を漂うなんて経験をする人は0.01%に満たないだろう。
大多数の共感を得る演技するのであれば、プールの中で息が苦しくなったまでの演技で良いはずだ。 ほとんどの役者が浅い部分しか感情を掘り下げなくてもやっていけるというのは、それなりに理由がある。
リアルに溺れた芝居は、実際に溺れた体験のある0.01%の観客にはリアルだと感じるかもしれないけど、その演技を見た溺れた体験の無い99.99%の観客は『何で
ちなみに、本当に溺れるって言うのはこういう感じなので、溺れる体験をしたいって言う、一緒に来たメンバーにはクレーンの命綱を付けた訳だね。 溺れて苦しいからって、ちゃんとした知識が無いと自力では浮き上がれないからね。溺れた状態で苦しくなったら自分の力で水面に上がって来れるなんて考えるのは甘い考えだよね。 命綱を付けた所で、意識を失った人間は重いので、人の手で引っ張り上げられるかも分からないので、クレーンも必須だったし。
演技の話に戻すと、結局、お店の経営と同じく、本物の味よりも、まがい物の調味料グデグデの刺激の強いパンチの効いた味の方がウケる事が世の中にはままあるのだ。これを見て、本物の味を出しても売れないお店の店主が憤るのはもちろんだと思うし、リアルさを追求した役者を横目に、全然リアルな演技をしない僕のような人間がもてはやされているのを見て、役者によっては、本物の味を出す店主と同じような感情を僕に覚える人も居るだろう。一部の評論家の人に僕のウケが悪いのはそう言う理由だね。
そんな僕も、自殺未遂で前世を思い出す前は同じような考えに囚われていた。 自分はどうあがいても本物にはなれないという絶望感だね。 でも復活して前世を思い出して、自分がこの役者という仕事に向き合った時に僕はこう思った。『役者は所詮は役を演じている人間なのであって、別に役本人じゃない。つまり役を演じるまがい物だ。まがい物が本物を語るなんて片腹痛いだろ。』
本当に酷い言い草だ。 いくらでも反論はあるだろう。 真面目に役者を目指す人にとっては、僕は悪鬼羅刹のように見えるかもしれない。 でも少なくとも僕はこの考えで『本物の役者コンプレックス』に向き合って来た。
お気楽に生きたいをコンセプトに生きている僕からすると、『死』を始めとした感情に向き合うような、人間的でシリアスなテーマは非常に嫌なテーマでもある。 楽に俺TUEEEEEして、みんなから尊敬されて、承認欲求を満たしつつ、人生をEASYに生きる事の何がいけないんだ? 大多数の人間が喜ぶなら、そんなに深く役を演じるメリットなんてほとんど無いでしょ?
別に、強敵を相手に真正面から向き合う必要は無いじゃないか。 バグ技を駆使して楽に倒してもいいじゃない。
でも、そんな僕が今回の件で、役に向き合う必要が出てきてしまった。 いつも通りの浅い演技で巌のじっちゃんがOKを出す事は無いだろうし、巌のじっちゃんは僕が乗り越えられると考えられる程度のハードルを用意してきたはずだ。 少なくとも乗り越えられるか、乗り越えられないか、ギリギリの線を見極めて僕に配役してきたはずだ。
最悪は、舞台をバックレればいい訳だけど、それは最後の手段として、僕が自殺未遂を起こす前に渇望した感情は、蓋をした今でも僕の心の奥に燻り続けている。
今回の舞台は良い機会なのかもしれない。 おそらくハードルを乗り越える鍵は星アキラではなくて、星キアラを指定して来た事だろう。キアラというよりも、前世の私がどう向き合うのか。 巌のじっちゃんには、僕とキアラの関係がお見通しらしい。 まぁ、最終的にはどちらも僕ではあるけどね。
舞台での僕の役は、氷山にぶつかった船に乗っていた青年だ。脱出するときに最後には、水に押し流されて船と共に沈んで最後を迎える。
ちょうど、今の僕が居るのと同じような、水の中の環境で息絶えたのだろう。
ねぇ、青年? 君は死ぬときに何を思ったの? 生への渇望? 子供の心配? 今世の心残り? それとも全力で生きた事への満足感? 何を考えて死んで行ったのか私に教えてくれないかな?
僕は思考を前世の私に切り替えて、水の中に消えゆく青年の心を感じ取ってみるのであった。
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劇団天球スレ Part152 その1
143名無し@天球ファン
前回の阿良也君がやった「そのマタギ」は安定の舞台だった。
144名無し@天球ファン
あの舞台は本当に舞台俳優、明神阿良也の良さを濃縮して体験できる最高の舞台だったな。
145名無し@天球ファン
阿良也が演じるマタギのダイナミズムと、熊狩りに命をかける繊細さが舞台の上から良く伝わって来て本当に良かった
146名無し@天球ファン
父親を殺した宿敵の熊に対する執念と、自分の私怨のために、ただ自然を生きる偉大な樋熊を殺すという哀愁と心の優しさが表現されていて、すごかったもんな。
147名無し@天球ファン
やっぱり阿良也のマタギ物は外れが無いな。
148名無し@天球ファン
阿良也は、実際にはどの役でも外れは無いんだけど、役作りのエピソードが強烈すぎて観客の方が補正がかかるのはある。
149名無し@天球ファン
阿良也のマタギ物の舞台は誰でも一度は見たいからな。
150名無し@天球ファン
阿良也は本当に傑出した役者だよな。
151名無し@天球ファン
流石は巌裕次郎の秘蔵っ子。
152名無し@天球ファン
そのキャッチフレーズは昔からあるけど、いつまで秘蔵するつもりなんですかね?
153名無し@天球ファン
少なくとも今は秘蔵されていないなw
154名無し@天球ファン
あの頃は、巌裕次郎が才能を認めた天才が劇団天球に入ったって噂レベルから、あんなキャッチフレーズになった
155名無し@天球ファン
実際に天才俳優だった訳だがw
156名無し@天球ファン
確かに、阿良也の芝居に文句は付けられないな
157名無し@天球ファン
昔は本当にちょい役で、レアキャラだったから舞台ファンから、秘蔵っ子って言われたけど、若草物語以来出番も増えて今や看板俳優だからな。
158名無し@天球ファン
若草物語は巌裕次郎の演出じゃなかったけど、宣伝効果は抜群だったからね。
159名無し@天球ファン
若草物語と言えば、舞台後の記者会見で星アキラが阿良也の通訳をしていてワロタw
160名無し@天球ファン
通訳が必要な阿良也とその後の漫才には大草原だったわww
161名無し@天球ファン
普段阿良也って、こういう事を伝えたかったのねって腑に落ちたぞw
162名無し@天球ファン
天才の言う事を一般人が理解するためにはちゃんとした通訳が必要だって事がわかった。
163名無し@天球ファン
阿良也君の記者会見は、いつもアキラ君が通訳してくれないかな?
164名無し@天球ファン
阿良也よりも通訳の方がギャラが高けぇwwww
165名無し@天球ファン
なにげに千世子ちゃんと景ちゃんも見に来ていたからな。
166名無し@天球ファン
あいつら本当に仲がいいな。見ていてほっこりするわ
167名無し@天球ファン
完全に類友だからな。あの4人が仲が良くてライバル同士って言う人間関係が面白すぎる
168名無し@天球ファン
外野から見ても、互いに刺激し合っているのが見えて面白すぎるよね
169名無し@天球ファン
男二人、女二人っていうバランスも完璧すぎる
170名無し@天球ファン
・・・いや、たまに女四人になっているような気がするけど、そう感じる俺がおかしいのか?
171名無し@天球ファン
>>170
正常。
172名無し@天球ファン
いつでも男にも女にもなれるのが反則すぎるわwww
173名無し@天球ファン
そんなF4が若草物語以来、一同に会する『銀河鉄道の夜』がもうすぐ開幕だぞ!
174名無し@天球ファン
もう楽しみすぎる。私チケット取れたから今からワクワクが止まらない
175名無し@天球ファン
俺はメンバーが豪華すぎてチケットが取れんかった(泣
176名無し@天球ファン
巌裕次郎の演出で、F4が集結とかもう伝説の舞台以外ありえない。
177名無し@天球ファン
しかも公演1日目がネット配信とか自信がありすぎるのが丸わかりですごい。
178名無し@天球ファン
1日目の配信を見たら、さらに舞台に行きたくなるだろうな・・・。
179名無し@天球ファン
ところで、そのF4って何?
180名無し@天球ファン
F4は花より男子っていう少女漫画から取った表現で、[花の4人組](Flower four)の略だな。
明神阿良也、星アキラ、百城千世子、夜凪景の4人を指す愛称だな。
181名無し@天球ファン
元々は四天王って表現されていたんだけど、この表現を出すたびに四天王の配役で揉めてなぁ・・・。結局、F4になった。
182名無し@天球ファン
配役で揉めたってなにがあったの?
183名無し@天球ファン
新人さん?この掲示板はいつでも歓迎だよ。 一番最初に殺られるのが誰かで、いつも討論になって、それがネット掲示板の論議として不毛すぎてなぁ・・・。
184名無し@天球ファン
星アキラが一番最初にやられて阿良也が面汚しって言う派と、阿良也がやられて星アキラが面汚しって言う派と、千世子ちゃんがラスボス派、星アキラがやられたように見せかけて、主人公陣営に加入して面白キャラになる派などで不毛な論争が繰り広げられていて、時間潰しにはちょうど良かったんだが、あまりに不毛すぎてそのうちみんな飽きた感じだな。
185名無し@天球ファン
あの論議は、論破できるものでも無くて、本当に不毛だったな。
186名無し@天球ファン
前の三つはあれとして、最後の星アキラが主人公陣営に加入するは、よっぽど主人公陣営の俳優が凄くないと全部星アキラに喰われるから、主人公陣営をどうするかで、また揉めるんだよな。
187名無し@天球ファン
そう。結局、主人公陣営を勇者:阿良也、僧侶:千世子、魔法使い:景で、戦士枠をアキラで良いじゃないのって話でまとまるんだけど、そうすると四天王の配役が誰も居ないじゃんとか言って、振出しに戻るまでがデフォだったな。
188名無し@天球ファン
あの頃の様式美はそれはそれで面白かったなw
189名無し@天球ファン
本当に掲示板で過ごした青春の1ページだったわ。
190名無し@天球ファン
結局、腐女子どもが言っていたF4の呼び方に落ち着いて行ったんだが。
191名無し@天球ファン
あの四人は得意分野が違うから、実際に優劣を論議するのも面倒だからな。
192名無し@天球ファン
あの四人はいずれ、生い立ちがドラマ化されるだろうけど、誰のドラマでもあの四人セットで登場するんだろうなw
193名無し@天球ファン
ドラマでF4の演技をする俳優さんはハードルが高すぎませんかね・・・。
194名無し@天球ファン
確かにw
195名無し@天球ファン
そのF4がまた一堂に集まる銀河鉄道の夜。そして舞台演出が巌裕次郎。 まじで楽しみすぎる。
196名無し@天球ファン
全部が揃った超豪華セットだな。 これ以上は無い感じ。
197名無し@天球ファン
チケットを取れた人が羨ましすぎる。
198名無し@天球ファン
主役が明神阿良也と夜凪景とか楽しみすぎるだろ
199名無し@天球ファン
でも、私は阿良也君が主役ならアキラ君が良かったな
200名無し@天球ファン
アキラは、途中でハリウッドで撮影があるから主役は無理だったって言っているし、仕方がないんじゃないの?
201名無し@天球ファン
星アキラが助演として出てくれるだけでも御の字だろ。 それに元々助演職人だし、助演でどう言う活躍を見せてくれるのか、本当に楽しみ。
202名無し@天球ファン
俺、アキラの芝居はあまり好きじゃないかも。 阿良也に比べて分かりやすいけど、くどくて薄っぺらい感じがするんだよね。
203名無し@天球ファン
出たww 舞台俳優が最強派www
204名無し@天球ファン
若気の至りさん、チッーす!www
205名無し@天球ファン
映画やドラマの撮影が忙しくて、舞台の上の星アキラなんて若草物語以来全く見ていないのに、よくそんな評価ができるなww
206名無し@天球ファン
演技力 舞台俳優 >>>> 映画俳優 って考える人にありがちな思考www
207名無し@天球ファン
ある意味、星アキラって大衆演劇を極めたような人間だからな。楽しんだり、悲しんだり、怒ったり、直感的な感情や分かりやすさや観客の理解を中心に芝居を組み立てるから、ちょっとわざとらしくて、くどく感じるのはある。
208名無し@天球ファン
もっとも、それが文化的に多様な価値観を持つ、世界中の人達にも分かりやすくてハリウッドで大人気な訳だが。
209名無し@天球ファン
誰にでもわかりやすいって言うのは重要よ。 アキラ君はアラブや南米の人達にも人気があるんだからそれだけ伝わりやすい演技だって事だろ。
210名無し@天球ファン
ハリウッドの珍獣好きは異常。 マジで有名な監督たちもみんな大好きじゃん。
211名無し@天球ファン
星アキラの芝居は、すんげーわかりやすい。 悪く言えば子供向け。 でもだから余計な事を考えないでそれが直に感情に訴えて来て、感情移入しちゃうんだよな。
212名無し@天球ファン
誤魔化しが効かない、単純なストーリーになればなるほど光るのはチートだと思うww
213名無し@天球ファン
あのクソガキ、すんごく捻くれた性格のくせに、演技は分かりやすくて実は王道なんだよな。
214名無し@天球ファン
それでいて、王道のくせして、主役じゃなくて助演大好きなんだよな。 まさに珍獣。
215名無し@天球ファン
星アキラの演技力はアリサママの指導のたまもの
216名無し@天球ファン
星アキラ最大の闇じゃねぇかwwww
217名無し@天球ファン
そりゃ、一生懸命やっていて、実の母親に才能が無いとか言われたら自殺するわ。
218名無し@天球ファン
これ、笑いごとじゃないけど、アリサママの目は実の息子にはマジで節穴だったからな。
219名無し@天球ファン
星アリサ本人がアキラ君の才能を見抜けなかったって言っているから本当に闇が深い。
220名無し@天球ファン
星アリサも取り繕わずにちゃんと公言している所は評価できる。結果的に仲直りもしているしな。
221名無し@天球ファン
どちらかというと、その辺の指導をちゃんと受けていたのは景ちゃんだという噂が・・・。
222名無し@天球ファン
夜凪景が星アリサの直系はある。
223名無し@天球ファン
演技の方針的には完全に直系は夜凪景だな。 百城千世子と星アキラは完全に自分とは別の考えで育てて成功した感じ。
224名無し@天球ファン
インファイトのボクサーが、弟子を強敵だったアウトボクシングスタイルに育てたのが、星アキラと百城千世子だって個人的には考えている。
225名無し@天球ファン
百城千世子も演技が少しスカスカかなって思った時期もあったけど、最近は突き抜けて来てマジでやばいからな。 百城千世子の位置に変われる女優が誰も居ないぐらい突き抜けているよな。
226名無し@天球ファン
強いて言えば、環蓮ぐらいだけど、環蓮ともタイプが全然違うし、環蓮をもってしても千世子ちゃんぐらいの年齢で千世子ちゃんと同じ働きができるとは思えん。
227名無し@天球ファン
星アリサ、結果だけを見ると名コーチだな。結果だけを見ると。
228名無し@天球ファン
その星アリサに才能が無い子とみなされていた星アキラwww
229名無し@天球ファン
これ、マジで深刻な話なんだけど、これを笑い話にできる星アキラ、マジですごい子だよな。
230名無し@天球ファン
その辺は尊敬できる。 普段の言動を見ているとアレだけど、行動は意外に人格者なんだよな。
231名無し@天球ファン
喋らなければ人格者www
232名無し@天球ファン
でも、景ちゃんの演技を見ていると、俺は若い頃の星アリサを思い出すわ。
233名無し@天球ファン
俺も、中坊の時に見た星アリサと同じ衝撃を夜凪景から受けたよ。
234名無し@天球ファン
確かに、容姿は似ていないんだけど演技の雰囲気や役への入り込みっぷりが星アリサを感じさせるんだよな。
235名無し@天球ファン
動きとか、感情の表現が星アリサに似ているのはわかる。 師匠が星アリサなのも納得。 そして納得の演技力。
236名無し@天球ファン
巌裕次郎の秘蔵っ子 VS 星アリサの愛弟子の舞台対決『銀河鉄道の夜』
237名無し@天球ファン
役に入り込む所が阿良也と景ちゃんで似ているんだよな。
238名無し@天球ファン
演技の方向は似ているだろうけど、二人のキャラクターは明らかに違うよね。
239名無し@天球ファン
ゾーンに入り込んだ時の夜凪景の芝居は本当にすごいからな。 ドラマとかで見ていると本当にぞくぞくする。
240名無し@天球ファン
一緒に出演しているベテラン俳優さんとかがドン引きするぐらいだからな。
241名無し@天球ファン
デスアイランドの演技とか本当に凄かったからな。 周りとの演技力のギャップが素人でもわかったって友達が言ってた。
242名無し@天球ファン
あの辺の演技を見ていると、子役の頃から景ちゃんをベテラン俳優としか組ませられなかったっていう話も納得したよ。
243名無し@天球ファン
阿良也のトイッターに呟かれていたけど、今回の銀河鉄道の夜で景ちゃんが体を張って水に溺れる体験をしたら、気持ち悪くてゲロゲロ吐いちゃったらしい。
244名無し@天球ファン
やっぱりゲロッパ女優じゃないですか!!(歓喜)
245名無し@天球ファン
ゲロッパ女優の噂も消えかけていたのに、自分から上書きしていくスタイル、たまげたなぁ。
246名無し@天球ファン
やはり夜凪景はげろから離れられない運命なのか・・・。
247名無し@天球ファン
ゲロッパって、Get on upの空耳だから(((震え声)))
248名無し@天球ファン
あれは公式がどうしょうも無くなって付けた後付けの理由じゃねぇかwww
249名無し@天球ファン
百城千世子(天使) ➡ 夜凪景(ゲロッパ) どうしてこんな差が付いてしまったのか・・・。
250名無し@天球ファン
それを言ったら、みんなの愛称は
明神阿良也:カメレオン
星アキラ:珍獣
百城千世子:天使
夜凪景:ゲロッパ
だから、むしろ百城千世子が異端説あると思いますw
251名無し@天球ファン
あれは、ケロッパの言い間違えだよね(棒読み)
252名無し@天球ファン
みんな、景ちゃんは今度の劇の主役なんだからゲロッパ女優ネタはもう許してやれよw
253名無し@天球ファン
それもこれもみんな阿良也が悪い。
254名無し@天球ファン
そうだな明神阿良也許すまじ! 失望しました。 星アキラのファン辞めます。
255名無し@天球ファン
何でやw 星アキラ関係無いやろwww
256名無し@天球ファン
景ちゃんにとっては久々の舞台だろうけど、巌裕次郎の舞台でどう化けてくれるのか、今から楽しみだな。
257名無し@天球ファン
それだけでも話題なのに、さらに百城千世子と星アキラも登場。もちろん、三坂七生と青田亀太郎、そしていつもの劇団天球の面々も出演。
258名無し@天球ファン
豪華てんこ盛りセットすぎるw
259名無し@天球ファン
巌裕次郎の総決算にふさわしいキャストだな。
260名無し@天球ファン
夜凪景だけでもすごいけど、それに星アキラと百城千世子が共演するとか、スターズはどんな売り込みをしたんだよ。
261名無し@天球ファン
正確には星キアラだがな。
久々に掲示板回を書いていたら、長くなっちゃったので明日に続きます。
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劇団天球スレ Part152 その2
260名無し@天球ファン
夜凪景だけでもすごいけど、それに星アキラと百城千世子が共演するとか、スターズはどんな売り込みをしたんだよ。
261名無し@天球ファン
正確には星キアラだがな。
262名無し@天球ファン
案外、星アリサが夜凪景を売り込むついでに星キアラと百城千世子を付けたんじゃないの?
263名無し@天球ファン
その線もあると思うけど、スターズと劇団天球の関係を考えると星アリサが夜凪景を出演させてほしいって依頼したら、無条件に出演させられると思うから、やっぱり巌裕次郎が望んだんじゃないの?
264名無し@天球ファン
俺もそう思う。 正直、いくら劇団天球と言えども正面から星アキラのギャラを払えんだろうしな。
265名無し@天球ファン
スターズがマネージメントに入って劇団天球の経営に余裕が出たって言っても、限度があるからな。
266名無し@天球ファン
星アキラのハリウッドでのギャラの話を聞くとそう思うよな。
267名無し@天球ファン
ハリウッドの年収ランキングにみんな知っている超一流俳優に混じって名前が上がっているしな。 有力な劇団とか言っても、明らかに出演料は友達価格か、取ってないすらありそう。
268名無し@天球ファン
よく食事会とか弁当まで奢るらしいから、逆に持ち出しがあるまでありえる。
269名無し@天球ファン
その辺が金持ちだけど、人望がある所だよな。 あの性格で他のタレントにも面倒見が良くて慕われているらしいし。
270名無し@天球ファン
もう本人は、日本での仕事は楽しい仕事かどうかで選んでいるらしいしな。
271名無し@天球ファン
樫富みたいで笑えるwww
272名無し@天球ファン
日本の映画だと、星アキラが出演したいって言わない限り、スターズが主催か後援している映画じゃないと出演は無理だろ。
273名無し@天球ファン
でも劇団天球はスターズのマネージメントが入ってすごく良くなったよね。
274名無し@天球ファン
グッズ収入や映画やドラマ、雑誌の出演、開催場所の手配からチケットの販売まで、スターズが入って収入が増えたし、すごく改善したからな。
275名無し@天球ファン
知り合いの劇団員もアルバイトをしないで、演劇に打ち込めるってすごく喜んでいるからな。
276名無し@天球ファン
天球に知り合いが居るんだ。いいなぁ・・・。
277名無し@天球ファン
今回の劇場は収容人数が5000人の帝国国際劇場だろ。スターズクラスの芸能事務所が入らないと一劇団じゃイベントなんてできないぞ。
278名無し@天球ファン
俺、三坂七生の写真集、思わず買っちゃったんだが・・・。
279名無し@天球ファン
あのコスプレ、エセグラビアアイドルはマジですごいよな。そばかすがあって、きつい感じなのに、笑ったり、髪を下ろすと別人になると反則だろ。
280名無し@天球ファン
あのグラビアアイドルには無い一般女性感がすごくいいんだよな。 コスプレもまじですごいし。
281名無し@天球ファン
あの性格のきつそうな感じが逆にクセになる
282名無し@天球ファン
あれで舞台で役になり切ると別人の優しい少女になっちゃって俺はコロッっと行っちゃったよ。
283名無し@天球ファン
コスプレは本格的だよな。 中が実力派舞台女優だから、衣装が着せられている感は無いし、顔がいいだけのコスプレイヤーとは明らかにレベルが違うよ。
284名無し@天球ファン
スターズが運営に入って阿良也だけじゃなくて、いろんなメンバーのグッズが充実していいよな。
285名無し@天球ファン
前は自主製作した2~3人ぐらいのグッズと劇団のロゴをプリントしたTシャツとか、自分達で作成したDVDを売っているだけだったのに、今はかなりのメンバーのグッズ手に入ってすごくうれしい。
286名無し@天球ファン
俺の財布は軽くなったが、ファンが喜んで天球も儲かってWIN-WINだな。
287名無し@天球ファン
俺おもわず、がっかり亀太郎の人形を買っちゃったよ。
288名無し@天球ファン
あの人形を買ったのかwww
289名無し@天球ファン
あの亀人形はマジでがっかりだからな。
290名無し@天球ファン
名前もがっかりだからみてみたら、実物もがっかりでトイッターでさんざんネタになったじゃねぇかwww
291名無し@天球ファン
あれ、実はあの逆噴射がウケて結構人気あるみたいだぞw
292名無し@天球ファン
在庫の山かと思ったらわりと売れてるww 目の付け所が流石はスターズ。
293名無し@天球ファン
がっかりの方が売れる亀太郎www
294名無し@天球ファン
あれも計算づくだったのかw
295名無し@天球ファン
いや、担当者が想像以上に低クオリティで仕上がって来て頭を抱えたってトイッタ―で上がっていたからマジなんじゃねえの?
296名無し@天球ファン
あんなんで収入が上がるとか、亀太郎はある意味持っているなwww
297名無し@天球ファン
三坂七生写真集もグッズコーナーで売れ行きはいいらしいぞ。 もっとも劇団天球の写真集の第一位はあの伝説の明神ラーヤ写真集らしいが。
298名無し@天球ファン
あれ、まだ売れ続けているのかwww
299名無し@天球ファン
やっぱり星キアラゲスト出演の第三弾が一番の売れ筋らしい。
300名無し@天球ファン
あの写真集は、ラーヤがキアラにベタベタして、明らかにキアラが嫌がっているのがすごくいいんだよな。
301名無し@天球ファン
あれは被虐心をすごく刺激した、いい写真集だった。
302名無し@天球ファン
ある筋のマニアには伝説の写真集だからな
303名無し@天球ファン
腐女子のバイブルwwww
304名無し@天球ファン
そんな星アキラ・・・じゃなくて、星キアラが今回出演する訳だが。
305名無し@天球ファン
巌裕次郎、何で星キアラなんだよってツッコミは満載だったなwww
306名無し@天球ファン
前スレでもそのネタでだいぶ消化したから、話題としてみんなあまり触れないようにしてたけど、本当だよなwww
307名無し@天球ファン
男の役なのに星キアラだからなwww
308名無し@天球ファン
でも、それを言ったら景ちゃんもカムパネルラは男の役じゃんww
309名無し@天球ファン
中身が男で、普段から男なんだから別に星キアラで出演させるような事をしなくてもいいじゃんwww
310名無し@天球ファン
あれは、絶対に巌裕次郎の趣味だよなwww
311名無し@天球ファン
俺もそう思うww
312名無し@天球ファン
これだから劇団天球のファンは辞められないぜwww
313名無し@天球ファン
前スレは、このネタでほぼ流れたからな。
314名無し@天球ファン
それもこれも、星キアラが成長して美人すぎるのがいけないんだ!
315名無し@天球ファン
今度の百城千世子と星キアラの写真集は今からすごい予約数らしいぞ。
316名無し@天球ファン
・・・毎年恒例だけど、あの二人の写真集は絶対にはずれが無いだろ。
317名無し@天球ファン
見方によっては、前代未聞の男と女がイチャイチャしている写真集なんだけど、全くそれを感じさせないからなwww
318名無し@天球ファン
片方が男だとはどうしても思えんww
319名無し@天球ファン
星キアラと百城千世子の写真集はあのユリユリした感じが最高!
320名無し@天球ファン
星アキラと百城千世子の写真集が無い所が闇が深い所だよなw
321名無し@天球ファン
実際ところ、星アキラと百城千世子の写真集を作っても売れるとは思うぞ。 星キアラほどのインパクトが無いだけで。
322名無し@天球ファン
それぞれのファンが買うかもしれないけど、星キアラと百城千世子の写真集ほど売れる気もしないし、別に無駄な冒険をする必要も無さそう。
323名無し@天球ファン
星アキラと百城千世子は恋人っぽさよりも、兄妹とか、いとこっぽい所がなぁ・・・。
324名無し@天球ファン
星キアラと百城千世子みたいなユリユリパワーとかが全然足りないんだよね。二人で居るのがちょっと自然すぎて。
325名無し@天球ファン
毎年恒例だけど、カメラマンもそう言う百合のアングルをどんどん狙い始めているよなwww
326名無し@天球ファン
アイドルがドラマの控室に行ったら星アキラと百城千世子が座っていて、甘々の会話をしているからあの二人はちゃんと付き合っているんだなとか思っていたら、突如千世子ちゃんがヤンデレに豹変してアキラ君を殺しちゃう話がすごく好き。
327名無し@天球ファン
暇だったから二人で、「ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD」の演技をして遊んでいたんだよな。 二人の会話を聞いていたアイドルの子が、涙目になりながらバラエティーでその話をして、あのCDじゃねえかってトイッターとかニフニフで祭りになった所が最高に面白かったわwww
328名無し@天球ファン
あのアイドルが元ネタが全く解っていなくて、修羅場だった二人の状況を話すと会話の内容があのCDだったのバカウケしたwww
329名無し@天球ファン
あのアイドルも最後には演技の練習だったってオチでバラエティで話したんだけど、本気でヤンデレの演技練習だって思ってたもんなw
330名無し@天球ファン
ただでさえ面白い話なのに、そこがシュールで最高なんよ!
331名無し@天球ファン
後ろで話を聞いてた堂上竜吾が吹き出していたのも笑えたな。
332名無し@天球ファン
堂上竜吾は明らかに元ネタがわかっていただろ。
333名無し@天球ファン
事務所の偉大な先輩二人なんだけどなぁ・・・。
334名無し@天球ファン
ふっ二人とも堂上君よりも年下だしっ・・・。
335名無し@天球ファン
あの二人のキャリア相手に年齢マウントは取れないだろwwww。
336名無し@天球ファン
芸歴マウントで鎧袖一触だゾw
337名無し@天球ファン
今回の千世子ちゃんの役は子供か
338名無し@天球ファン
子供としか紹介されていないから、どんな役だかわからんな。
339名無し@天球ファン
銀河鉄道の夜は名前がある人が少ないからな仕方がないな。
340名無し@天球ファン
千世子ちゃんは映画だと無敵の活躍だけど、舞台だとどうなのかな?
341名無し@天球ファン
若草物語だと主役だった訳だし、問題ないんじゃないの? しかも今回は助演でしょ?
342名無し@天球ファン
巌裕次郎の舞台に、夜凪景、星キアラ、百城千世子が満を持して出演だからな。千世子ちゃんの演技も気になるでしょ。
343名無し@天球ファン
普通は千世子ちゃんや景ちゃんぐらいの年で巌裕次郎の舞台に出演ともなれば、シンデレラガールとして一躍話題になるんだけど、このF4が出演するってなったら、そりゃ巌裕次郎も認めるよねって感じだよね。
344名無し@天球ファン
阿良也以外は舞台のブランクが大きいからな、ちょっと不安な所はある。
345名無し@天球ファン
でも巌裕次郎だから大丈夫でしょ? そのために準備期間を3ヶ月も取っているし、そこら辺のアイドルとかと違って素人じゃないんだから大丈夫でしょ。
346名無し@天球ファン
主演の景ちゃんはこのためにずっとスケジュールを空けているからみっちりと稽古しているらしい。
347名無し@天球ファン
なににせよ、銀河鉄道の夜が楽しみすぎて眠れない!
348名無し@天球ファン
まだ開演まで1週間以上あるだろw
349名無し@天球ファン
ワロタ。夜だけでも寝ろよ。
350名無し@天球ファン
なにげにみんな優しいな。ありがとう!
351名無し@天球ファン
それじゃな。いい夢見ろよ。 おやすみ~。
352名無し@天球ファン
おやすみ~♪
そんな訳で、銀河鉄道の夜の開演も迫って来て世間の期待もすごく高まって来ている感じです。
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星アキラは激励会の幹事を行う
いよいよ銀河鉄道の夜の舞台が開演に近づいてきたある日、舞台の成功を願って激励会を開催する事になったよ。
「キアラ来たわね。」
今回乗る屋形船の前でアリサママが待っていた。
屋形船はもちろん貸し切りで、普段の乗船場所ではなくて人目が付きにくい場所を乗船場所にしていた。僕たちが集まっているだけで騒ぎになるからね。こういった気遣いのある手配はアリサママの得意とする所だった。
ちなみに今回の舞台の出演は星キアラなので、僕はもちろんキアラの恰好で激励会に参加する。
飲み会の幹事は意外なことにアリサママが引き受けた。 てっきり若手の劇団員さんあたりの仕事だと思っていたから少し意外だった。 アリサママ曰く、ここでは私たちが一番新参者なんだから当然だそうだ。
あのメンバーの中で権威は間違いなく巌のじっちゃんが一番だけど、権力的にはアリサママが一番のような気がするのだけど、驕らないでこういった事ができる所がスターズを上手く経営出来るコツなのかもしれない。
僕とアリサママは飲み会の幹事として当日の手配状態の確認や屋形船との事前の打ち合わせのために少し早く船を訪れている。 秘書とかマネージャに任せっきりという訳では無くて、幹事を引き受けた以上、現場に来て自分の目で打ち合わせや最終確認までしているのは流石だった。
「アリサママ、良さそうな屋形船ですわね。レトロだけど汚いってわけじゃなくて整備が行き届いているのがわかりますし、内装も品が良くて豪華ですわ。」
「こういった屋形船には有名人やVIP向けの接待プログラムがあるのよ。そういった事をちゃんと心得ている屋号ならいろいろ融通が利くわ。キアラも私の後を継ぐのであれば、こういった事をちゃんと学んでおきなさい。」
「アリサママ、わかりましたわ。」
「人数の確認、食材、周回コース、スケジュール等みんな問題なさそうですわね。スタッフさんたちも口が固そうな人たちですわね。」
「江戸時代から隅田川で商売をしている老舗よ。新参の業者じゃなければ、利用者のプライベートな情報を外に出さないような約束事があるのよ。ただ、経営者が変わって廃れていく屋号もあるから気をつけるのよ。そういった所は噂を聞いていればすぐにわかるわ。」
「料理人は流れの板前さんを使うのですね。」
「屋形船の料理人さんを使ってもいいのだけど、VIP用でも一般の屋形船の料理人を回すからやっぱり料理の質は一段落ちるわ。そもそもVIPならお抱えの料理人を手配する事も多いから屋号の方でそこまで腕のいい料理人は抱えていないわ。 こういう催しに招く用の板前さんが何人か居るから、その人に仕入れから料理までお願いした方が良いわね。屋形船の方もそう言った事が前提だから、必要に応じて一流の流れ板を呼べばいいのよ。」
「なるほど。料亭とかの板前さんとかに来てもらうのは駄目なんですの?」
「道具や環境が整った料亭と屋形船のような環境が整っていない所では勝手が違うわ。 料亭に頼む場合には料亭で調理された料理が来ることになるけど、その場合には時間が経って味が一段落ちるわ。 そこまでを考慮すると、ちゃんとこう言った臨時に設けられた調理場や、調理場が変わっても問題なく腕を振るえる板前さんにお願いした方が良いわ。 彼らは流れなので一カ所に留まっていないけど、常時東京には何人かはいるから声をかけることはできると思うわ。」
「わかりましたわ。でも普段劇団天球がやっている飲み会と比べるとだいぶ豪華ですわね。元々持ち出しはあるとは思っていたけれど、これは一人3千円では無理ですわね。」
「それは当然よ。少しでも費用を払うのが重要なのよ。タダよりも高い物はないからね。それに、この時期にホテルとかで開催して、記者とかパパラッチとかに紛れ込まれて会話を聞かれると面倒だわ。その点屋形船ならそもそも外部との接触も限られるし会話を聞かれる事も無いから便利なのよ。」
「流石はアリサママですわね。娘の私もいろいろ勉強になりますわ。」
「だから、あなたのような娘を生んだ記憶が無いんだけど、まぁ、かわいいからいいわ。」
「キアラの美貌はアリサママも思わず認知する美貌ですわ。」
「そうやってすぐに調子に乗る。」
「あ痛っ。」
アリサママは僕にチョップして来た。
「さて、そろそろみんな来る頃ね。キアラ、入り口に立って皆さんを船内にご案内しなさい。」
「はーい。」
「みなさーん。こちらですわ。」
「出たわね。星キアラ。 こんな裏路地から本当に屋形船が出るの?」
阿良也達と一緒に来た七生姉さんが言った。
「こちらにありますわ。」
「アリサさんとキアラが幹事をやってくれるって言うから期待していたんだけど、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫ですわ。ビックリすると思いますわ。」
そうして、僕はVIP用の屋形船にみんなを案内した。
「うわー。すごくいい船ね。 船内もすごく綺麗だし、置物とかのセンスもすごくいいわね。 っていうか、内装がものすごく高くない? 普段私達が飲み会なんかをやっていた屋形船と全然違うんだけど。」
「屋形船は平安時代からありますけれども、「屋形」っていうのは公家や武家の館ですわ。つまり天皇家に近い貴族や、朝廷の上級官僚、大名や任官した武士の住まいを意味していて、今でもそう言った方々やVIPを接待するための老舗がありますの。アリサママ曰くそういった屋形船を手配したそうですわ。」
「いや、私達はそこまでVIPじゃないんだから、いくらなんでも気合を入れすぎよ。こんなの会費の三千円とかじゃ絶対に無理じゃない!! 普通の屋形船でも5~6千円は出すからちょっと出してくれるとは思っていたけど、これは持ち出しが過ぎるんじゃないの!?」
「舞台を控えた劇団天球の飲み会なんて、記者の恰好のネタですわ。 特に今回は変な所から秘密を洩らしたく無いですので、この屋形船であればセキュリティもばっちりですわ。」
「セキュリティーがオーバーキルな気がするけど・・・。」
「お安い金額でなかなか出来ない体験をするのですから、喜ぶべきですわ。さあさあ、部屋に入ってください。 中でアリサママも待っておりますわ。」
その後、巌のじっちゃんも来て、他のみんなを案内していると、最後に千世子ちゃんと千世子ちゃんのマネージャさんが来た。千世子ちゃんは直前までドラマの撮影だったのだ。
「こっちですわ。」
「キアラさん、本日はよろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
千世子ちゃんのマネージャさんが僕に挨拶をした。
千世子ちゃんのマネージャさんはもちろん女性で、スターズの中でも百城千世子のマネージメントを任されるぐらいなので、もちろん選りすぐりの才女だ。
ちなみに僕のマネージャさんは屋形船で案内や接待をしてもらっている。僕の方は残念ながら男性だよ。
「アキラちゃん、キアラちゃんの恰好でもすごく目立つわよ。」
「薄暗いからこんな路地裏に星キアラが居るとは思いませんわ。 それに隠れていますけれど記者とか野次馬とのトラブル防止用にセキュリティーサービスも配置していますから、まぁ大丈夫でしょう。」
「その辺りの気遣いは流石はアリサさんね。」
「アリサさんはすでに中に居ますか?」
「はい。すでに中でスタンバイしています。」
「わかりました。それでは千世子ちゃん、行きましょう。」
「はい。」
ちなみに、スターズではマネージャはアリサママの事を社長では無くて、アリサさんと呼ぶように指導されている。これは社長とマネージャの間に肩書による溝を作らないようにすることと、アリサママ自身が社長と呼ばれると老けた気がするから嫌らしい。
僕的にはたぶん、後者の理由が大きいと思っている。 アリサママの片腕の主席秘書のスミスさん(清水さん)はそれでもアリサママの事を社長と呼ぶので、逆に剛の者と言えるだろう。
全員が揃ったので、屋形船は薄暗くなってきた隅田川を出航して、いよいよ劇団天球の激励会が始まるのであった。
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星アキラは幹事をがんばる
「準備が整いましたわ。 それでは巌のおじい様から乾杯の合図をお願いいたします。」
「えー。乾杯。」
「えっ、それだけですの!? これでは全然盛り上がらないですわ。」
「もっとあるでしょ? 本番まで後一週間がんばりましょうとか、亀の未来に乾杯とか!」
「巌さんはそういうのが苦手だから。」
亀兄さんが巌のじっちゃんに文句を言って、七生姉さんがフォローする。
「キアラ、裕次郎さんはこれでいいのよ。 それでは裕次郎さんの最高傑作の舞台を目指して乾杯しましょう。乾杯!」
「「「「「「「「「「乾杯!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」
ダレそうになった空気をアリサママがフォローして激励会が幕を開ける。アリサママが完全に巌のじっちゃんの役割を奪っている感じがするけど、この辺は巌のじっちゃんも気にし無さそうだし、アリサママも昔の付き合いで慣れているのかもしれない。
乾杯と同時に、豪華な料理が運ばれてくる。
今日の料理は若い子達が多いので、格式に拘らずに量を多めで板前さんに注文していた。板前さんもそれを汲んでくれて先付けも皿は少ないけど、ボリュームがある酒のつまみが提供される。
そして、順々にボリュームがあって豪華な料理が提供されていく。 メインは前沢牛のステーキとおつくりから選択できた。
「凄い料理! こんな料理は結婚式の時ぐらいしか食べた事無い!!」
劇団の人達も感激の声を上げる。
僕も職人さんの豪快だけど繊細な料理の数々に舌鼓を打つ。 調理場が限られている事を逆手に取った、意外な調理法の料理が次々と出てくる。
僕達はそれらの料理を一通り食べて満足をした。
「亀お兄様、お注ぎしますわ。」
「キアラちゃんありがとう!! キアラちゃんみたいな美人に注いでもらえるとお兄さん嬉しいな!!・・・なんでこれで男なんだ。」
僕は劇団員の人にお酒を注いで回る。
「亀、完全に酔っているわね。本音が駄々洩れだわ。」
「七生お姉様もどうぞ。」
「ありがとう。キアラは飲まないの?」
「わたくしはまだ未成年なので、この時期にこんな所でお酒を飲んだのがバレると面倒な事になりますので飲酒はしませんわ。千世子ちゃんや景ちゃんも一緒ですわね。」
「キアラぐらいの年頃なら大抵は見逃されるけど、有名人は大変よね。」
「星キアラ飲酒って記事が躍って、舞台の公演に水を差す訳には行きませんもの。それに最近の風潮で無理にお酒を勧められるのは少なくなったので助かっていますわ。」
「そうだ!キアラちゃん、なんか余興やってよ!」
「こいつ、酔っ払って何を口走っているのよ。」
「別に良いですわ。 余興用にヴァイオリンを用意してきましたの。」
僕は、ヴァイオリンを出して調弦をする。
みんなの注目が僕に集まる。
「それではパッフェルベルのカノンを・・・。」
「そんな古い曲じゃなくて、なんか流行歌やってよ!」
「あっバカっ!!」
「それでは亀お兄様のために流行歌を3曲ほど弾かせていただきましょうかね。」
亀兄さんの言葉にカチンときた僕は、ハイライトが消えた目で微笑みながら演奏を始める。
「あんた! 何で怒らせたら一番ヤバイ人間を怒らせているのよ! クラシックマニアのキアラがクラシックをバカにされたら怒るに決まっているでしょ!」
七生姉さんは亀兄さんの首を絞めてガクガクと揺すっている。
「あぐあぐあぐっ」
ただでさえ酔っ払っている亀兄さんは七生姉さんに揺すられてグロッキー状態だ。
「亀・・・よりにもよって、アキラとキアラの数少ないブチ切れポイントを的確に打ち抜くとは・・・。」
僕の前でクラシックをバカにしたらどんな目に遇うのかを、身をもって知っている前科者の阿良也は顔を青くしている。
「七生お姉さま、大丈夫ですわ。クラシックは格調高い楽曲。その良さを理解されない方も多いんですの。 そんな方にはちゃんと洗脳・・・。 いや、良さがわかるようにOHANASHIするのがわたくしの義務ですわ。」
そう言いながら、僕はヴァイオリンを構える。
「完全にキアラがブチ切れているじゃないの。このバ亀、なんて事をしてくれるのよ!」
普段キレない僕のブチ切れに、屋形船の中に戦々恐々の空気が流れる。
「それでは、1曲目は恋ですわ。」
逃げるが恥だが役に立つから、ドラマの主題歌で流行曲になった恋をヴァイオリンで演奏しながら歌を乗せる。
僕が軽快な曲を選んだのに安心したのか、会場の空気が一気に和む。
僕は軽快で伸びやかなヴァイオリンの音と共に、ノリの良いメロディーとそれに合わせた歌をつむぐ。
僕の怒りがフェイクだと思ったのか、会場に和やかな雰囲気が生まれて、ヴァイオリンと歌に合わせて音楽に乗っている。 雰囲気も明るい。
まぁ、僕もそんなに本気で怒っている訳でも無いけどね。 クラシックも元はただの流行曲だし。ただ、クラシックが古臭い曲だって思って敬遠されて、クラシックの良さがわかってもらえないのは少し寂しいので、少し仕掛けをしようと思う。
「やべぇ、ヴァイオリンもすごいけど、歌もうめぇ! まじでCD出せる。」
「当たり前でしょ! こっちの方面でもプロとしてやって行ける人間になんでケンカ売っているのよ!」
1曲目の恋を引き終えると、屋形船の中は満杯の拍手だ。
「それでは2曲目ですわ。 窓に凭(もた)れてですわ。」
「え?」
僕は昭和6年の流行小唄をヴァイオリンで演奏しながら歌い上げる。
若い頃を懐かしむ哀愁漂うメロディーをヴァイオリンと共に歌う。 まさしく戦前の懐メロといえるようなメロディーラインと表現。
ソプラノ歌手、関種子さんの美しい声と心象を合わせた素晴らしい曲だ。でも巌のじっちゃんが生まれる10年も前の流行曲である。
作曲家は古賀政男さん。 後に5000曲もの楽曲を残した偉大な作曲家だ。
この曲が流行するのもわかるという素晴らしい曲だけど、みんな聞いた事が無い流行曲に戸惑う。
ただ一人、巌のじっちゃんだけは、目が少し潤んでいた。 歌詞とメロディーに乗せられて若い頃を思い出しているのか、それともこの曲に何か思い出があるのか・・・。
曲が終わると、戸惑とまばらな拍手が出る。 でも大半は曲のチョイスに戸惑っているようだ。 その中でも巌のじっちゃんは大きな拍手をしてくれた。
みんなが知らない流行曲を演奏したつもりが、なにやらこの曲は巌のじっちゃんに特効で刺さってしまったようだ。
「それでは最後の流行曲は1720年あたりバッハが作曲して、19世紀にヒットした流行曲、G線上のアリアですわ。」
ものすごく遅れてヒットした流行曲、G線上のアリアを演奏する。
この曲はバッハが1720年頃に作曲した後に一旦埋もれて、19世紀になってドイツのヴァイオリニスト、ウィルヘルミがヴァイオリンのG線(一番低音の弦)1本で弾けるように移調した曲だね。実はそれまでは埋もれていたんだけど、このG線のアレンジで話題になって19世紀に一挙にヒットしたわけだね。
誰しもが知る神聖さを感じるような落ち着いたメロディーと、300年に渡って人間が築き上げてきた文化の重みがヴァイオリンの重みとなって僕の肩に伝わる。
僕はクラシックの持つこの歴史の重みが好きだった。これは人が音楽を愛してきた歴史そのもので、その歴史の重みが、今の演奏者である僕にプレッシャーと共に、人間の不変な息吹を語りかけてくるのだ。
演奏が終わると、みんなは呆然とした後に我に返って、全員が割れんばかりの拍手をしてくれた。
クラシックに文句を言っていた亀兄さんも、僕の演奏に満足して拍手をしてくれている。
好きな音楽は人によって違うし、そもそも流行の音楽は、置かれている環境や年代、精神状態によって変わるものだ。ただ、クラシックの曲は、名曲であるが故の不変さが存在する事も確かだった。
「亀お兄様、クラシックはなぜ名曲なのかご存じですか?」
「えっ?権威がある人とかがみんな名曲だって言っているからじゃ無いの?」
「違いますわ。 クラシックとして現在に残っている曲は全て名曲なのです。なぜなら、名曲以外の曲は全て歴史の中に消えて行ったからですわ。 その上で音楽の再生機器も無い時代に、楽譜を見て、演奏者が演奏したいと思えるぐらいのほんのわずかな曲だけが生き残って、それをみんなが名曲と言っているだけですわ。だから今でも生き残り続けているクラシックは全て名曲ですの。」
「ですからクラシックも元はただの流行曲ですわ。 ただ世代を超えて何百年も流行し続けているだけですの。どの世代の人も聞いたことがあって、愛好家がいる不変の流行曲。 亀お兄様はジャンルは違えど芸術に携わる者として、人類に永遠に語り継がれるような作品を残したくありませんか?」
これこそが僕がクラシックが好きな理由だった。どの世代の人間にも受け入れられる不変の音楽。 音楽という
「あうあう。」
亀兄さんは二の句を継げなかった。
「はっははははっ、完全に亀の負けだ。」
巌のじっちゃんは機嫌が良いようだ。
「なぁ、キアラよ。 窓の外を見てくれないか?」
僕は窓の外を見た。 東京の美しい夜景が流れている。 東京を彩るビルの明かりの一つ一つが水面に反射して映し出される幻想的な風景だった。 そんな水面を渡る船はまるで星の海を渡っているみたいだ。
「銀河鉄道みたいだろ?」
確かに言われてみればそんな感じかもしれない。ジョバンニとカンパネルラも銀河鉄道でこんな光景を見ていたのかもしれない。
「この風景に合う曲をみんなに演奏してもらえないか?」
「リクエストお受けしましたわ。電気を暗くしていただけますか?」
「はい。」
女将さんにお願いして、夜景観賞用のモードとして部屋を暗くしてもらうと、僕はドビュッシーの星の輝く夜をヴァイオリンで伴奏して、テオドール・バンヴィルが綴ったフランス語の歌詞を歌った。
Nuit d'étoiles,Sous tes voiles,Sous ta brise et tes parfums,
Triste lyre Qui soupire,Je rêve aux amours défunts.
La sereine mélancolie Vient éclore au fond de mon coeur,
Et j'entends l'âme de ma mie Tressaillir dans le bois rêveur.
Je revois à notre fontaine tes regards bleus comme les cieux;
Cettes rose,c'est ton haleine,Et ces étoiles sont tes yeux.
Nuit d'étoiles,Sous tes voiles,Sous ta brise et tes parfums,
Triste lyre Qui soupire,Je rêve aux amours défunts.
星の輝く夜、あなたのヴェールの下で、あなたのそよ風と香りの中で、
悲しいリュートはため息をつく。私は消えた恋に夢見る。
静かな憂鬱が咲き出す 私の心の奥に花開き、そして私はあなたの魂を聞く
愛する人の魂が夢見る森の中で震えているのを。
私は二人の噴水の前で思い出す。あなたの瞳は空のように青いことを。
この薔薇はあなたの吐息、 そしてこの星はあなたの瞳。
星の輝く夜、あなたのヴェールの下で、あなたのそよ風と香りの中で、
悲しいリュートはため息をつく。私は消えた恋に夢見る。
僕が歌っている間、阿良也と景ちゃんは、ずっと二人で外の風景を見ていた。
明らかに二人はジョバンニとカンパネルラとして役に入り込んで、銀河鉄道から見える外の風景を楽しんでいた。
千世子ちゃんも銀河鉄道に乗ったイメージで役になり切っている。
他の劇団員さん達も同様に、銀河鉄道に思いを馳せていた。
そんなみんなの様子を見て、僕は舞台の成功を確信した。
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星アキラは巌裕次郎と語り合う
「巌のおじい様、お注ぎさせていただきますわ。」
「キアラ、ありがとう。 キアラのヴァイオリンと歌は本当に素晴らしかった。」
「巌のおじい様がわたくしを賞賛するなんて、逆になにやら危険な匂いがしますわ。何かを企んではいませんよね?」
「そんなに警戒するな。俺は演技の事にはうるさいが、すばらしい物には嘘をつかずに素晴らしいと言うぞ。」
「そう言う事であれば、素直に受け取っておきますわ。」
「おまえ、キアラになるとちょっとツンデレくさいな。」
「当然ですわ。ツンデレお嬢様は最高のステータスですわ。」
「それを匂い無しでやる、お前の役作りが俺は一番怖いわ。」
「そういえば、窓に凭(もた)れてを演奏した時に、懐かしんでいたようですが聞いた事がありましたの?」
「もちろんだな。俺は関種子のファンだったからな。」
「え゛っ」
「初めて見たのは、12歳の時に日比谷公会堂でフィガロの結婚を見た時だ。あの時のオペラでのスザンナを演じる関種子を見て、舞台に魅入られたんだ。」
「12歳と言えば、中学一年生ぐらいですか。ちょうど多感な時ですわね。」
「そうだな。そこで舞台に衝撃を受けて、関種子のファンになって彼女の舞台を見たり、レコードを買ったりしたな。」
「子供の頃に舞台を見に行けたなんて裕福な家庭でしたのね。」
「お前の家ほどじゃないが、東京で舞台を見たいと言えば見に行けるぐらいに裕福な家ではあった。家庭教師も付いていたしな。」
「確か、その家庭教師は立教大学の元総長・・・。」
「いや、当時は近所で下宿していた苦学生だったぞ。 もちろん成績はすごく良かったがな。」
「まぁ、そんなわけで勉強を頑張る傍ら、関種子の出演するオペラを観に行った訳だ。特に魔笛は素晴らしかったな。」
「ソプラノ歌手、関種子さんのオペラ、私も見たかったですわ。」
「そういう事もあって、関種子は俺が舞台に興味を持ったきっかけだった訳だ。」
「なるほど、そこから舞台に興味を持って今の演出家への道に繋がるのですね。」
「もっとも、今の舞台演出の仕事は東京芸術大学に落ちた後に、自暴自棄になって舞台を見に行ったらそこが気に入って、そのままなし崩し的に舞台に関わるようになったんだがな。」
「その舞台を見に行ったのも、関種子さんの舞台を見ていたご縁があってのこと。 今日ここで関種子さんの歌を歌った事に運命を感じますわ。」
「俺も演劇を志した昔の時代を思い出したよ。ありがとう。」
「そのお礼、素直に受け取っておきますわ。」
「しかし、キアラ、お前は俺の予想以上に化けたな。」
「そうですか? 舞台の上で匂いますか?」
「もちろんだ。子供の頃から非凡だったお前が感情の匂いを出したらすごいと思っていたが、予想以上だった。」
「わたくしが舞台の上で死者の腐った匂いを発していると思うと、非常に複雑ですわね。」
「いや、腐った匂いというか、蓮の花やユリの花のような匂いだな。 ちょうど仏壇に供えられている花を感じさせるんだが、輪廻転生というか、死と同時に未来も感じさせる不思議な匂いだった。」
「壮絶なネタバレ演技ですわね。」
「そうだ。 お前をカンパネルラに配役しなかった俺の目は正しかった。」
「それは傷つきますわね。私も俳優。助演も良いですけれども、たまには主役もやってみたかったですわ。」
「あの演技でカンパネルラをやられると、最初から死者であることがわかって、逆にジョバンニは何で気が付かないんだって観客が思うぐらいの演技だったから、青年に配役しておいて本当に良かった。 俺も、お前の本気の演技を見た時に肝が冷えた。」
「アニメの偽ヒーロぐらいの分かりやすさでしたからね。 阿良也と景ちゃんもわたくしが初めて演じた時は、私を見てギャン泣きしましたもんね。」
「生きている者は死を恐れる。 死は本能に刻まれた恐怖そのものだ。感覚が鋭いあの二人ならお前は死そのものか、もう死んでしまったと感じてもおかしくは無い。 人間は死ぬと言う体験ができない以上、死を演じられる者はこの世に居ないはずだった。 でもキアラ、お前の演技を見て俺はその認識を変えた。 お前は死者を演じられるこの世で一人の役者かもしれない。」
「この世で一人の役者は嬉しいのですが、それが死者を演じられるというのが、あまり演技の使い道が無さそうで嫌ですわね。 はまり役としては、ゴースト/ニューヨークの幻ぐらいでしょうか? ほとんどの映画は死んじゃったらお終いなので、使い道が無さそうですわ。ゾンビ物とも違いますし・・・。 そういえば、才能が無いって評価だった子供の頃に、唯一私を評価してくれたのは巌のおじい様だけでしたわね。アリサママですらも匙を投げてたのに。」
「アリサのあれはぶっ壊れていたから仕方がないが、感情が無いのに、感情がこもった演技を見せられる人間が才能が無い訳が無いだろう。 アリサは息子がぶっ壊れている事に気が付かないぐらい重症だったから、どうしょうも無かったが、ああなったのは全部俺のせいだからな、アキラは唯一、俺が救いたいと思った俳優だった。 ・・・もっとも思っただけで何もできなかったがな。」
「結果的にはなんとかなったのですから、良かったじゃないですか。 みんな丸く収まったのですから過去の事は水に流すべきですわ。」
「ああ、みんな揃って俺の舞台に出演してくれて本当に感謝している。 老い先短い俺に、こんな最高の舞台を演出するチャンスを与えてくれて、本当に俺は幸運な人間だ。」
「ちょっと、変な死亡フラグを立てるのは止めてくださいまし。 少なくともこの舞台が終わるまでは死なないでくださいね。 今満足して成仏しちゃって、ニュースになって、舞台の開演どころじゃなくなっちゃったら、みんなの努力が水の泡になってしまいますわ。」
「お前、意外にそう言うところは辛辣だよな。」
「とりあえず、この舞台が終わったら死んでもいいですわ。 その時には喪服を着て、レポーターの前でこの話をして、巌裕次郎は満足しながら死んで行きましたって、お涙頂戴全開の演技をしてみせますから、楽しみにしていてください。」
「その渾身の演技が見れない所は、残念だが、俺が死んだ時のお前の演技を楽しみにしているよ。」
「ちなみに、葬式に行くのは、アキラお兄様とわたくしのどちらが良いのでしょうか?」
そう言いながら、僕は長い会話で乾いたのどを潤すようにジュースを飲んだ。
「もちろん、キアラだ。 でもそれよりもダリアで来て欲しい。」
「ぶっ―――――――っ。」
僕は思いっきりジュースを吹き出した。
僕は急いで、裕次郎のじっちゃんを人気の無い外に連れ出して聞いた。
「だっ、ダリアって誰の事ですの!?」
「お前が普段放送している秋色ダリアの事だが。 キアラよりもすごく自然だし、放送も必ず見ているからな。俺もファンだぞ。 アキラのYoutube放送よりも落ち着いていてずっといいぞ。」
「ちょっと!! その話、誰から聞きましたの!?」
「いや、アキラがVTuberを始めた時に、Youtubeのお勧めに出て視聴したらすぐにわかったぞ。」
「まさか、劇団員の方もみんなダリアの事を知っていますの?」
「いや、劇団員で知っているのは、俺以外には阿良也ぐらいじゃねぇか? 七生も気が付いているかもしれんが。」
僕の脳裏に嫌な予感がよぎった。
「いつもコメントしているとかありませんよね?」
「ああ、冷奴ピースは俺のことだ。 好物の冷奴とタバコのピースをかけたハンドルネームだぞ。」
「ぎゃ―――っっっ! 常連さんが10人にも満たない頃から来てくれていた超古参リスナーじゃないですの!? あの8人ぐらいの常連さんのうち、3人が絵麻ママと夜凪ママ、巌のおじい様で、ほとんど知り合いと会話していたなんて、恥ずかしすぎますわ。 その上、みんなに秘密で放送してドキドキしていたと思っていたら、全員に正体バレバレとか最悪ですわ!!」
「まぁ、いいじゃねぇか。そんな細かいことは。」
「全然細かくありませんわ! マジで死活問題なんですの!!」
「そんな訳で、ダリ公の俺は、死ぬ前に自分の舞台に秋色ダリアを上げて演出したかったわけだ。」
「だから、そのファンネームは、ダリっ子の打ち間違いですわ! たった一度打ち間違えただけじゃないですか!? みんな聞かずに悪ノリして定着しちゃって・・・。 そしてそんな私欲満載でわたくしをキャストしたとか、巌裕次郎、幻滅しましたわ!!」
「そんな事を言っても、そんな理由でお前が配役されたなんて、公表できないだろ? 」
「当たり前ですわ!! 前半の話は、わたくしの素晴らしい演技が認められたとか言うイイハナシだったはずが、どうしてこんな事に!?」
「いや―――。秋色ダリアを選んだ俺の目に狂いは無かったわ。」
「狂いありまくりですわ!!!」
ちなみに、巌裕次郎の秋色ダリアの視聴は、結構前の「星アキラはひっそりと生配信を始める」の回に伏線があるのですが、この時の感想でメタ読みで巌裕次郎じゃないかって感想を寄せていただいた方が居ました。正解です。
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黒山墨字は銀河鉄道の夜を観る1
「墨字さん~。こっちこっち!」
「別に指定席なんだから急がなくてもいいだろ!」
「おそいよー。」「おそーい。」
景やアキラなどから銀河鉄道の夜の開幕日のチケットをもらった俺達は、銀河鉄道が上演される帝国国際劇場に来ていた。
「うちの看板女優の晴れ舞台なのに気合が入っていないのはどう言う事よ。それにこんなにいい席のチケットを特別にもらったのに!」
スタジオ大黒天の助監督兼、映像・制作担当の柊雪が俺に文句を言ってくる。
「看板女優って言うか、うちに女優は1人しか居ないじゃないか。」
「席なくなっちゃうよ。」「ほんとほんと。」
夜凪家の双子もいっぱしに同調する。
「黒山さんも忙しいのだからそんなにせかしちゃダメよ。」
夜凪母はさすがに人間が出来ている。 文句を言う双子を諫めている。ただ、心なしか普段よりもそわそわしているようだ。
自分の娘がこの5000人を収容する大舞台で主演を演じるんだし、さらに普段から面倒を見ている3人も舞台に立つのだから、少しは緊張するだろう。
「もうすぐはじまるね。」
「そうね。すごく楽しみ!」
双子の席の横に、双子よりも少し年上の女の子が座っていて、双子と会話している。
「誰だ?」
「あゆみお姉ちゃんだよ。」
「よくいっしょに遊ぶの!!」
双子が答える。
「有島あゆみです。よろしくお願いします!」
「あゆみちゃんは、前に阿良也君の劇でアキラ君達に知り合ったみたいで、今はみんなと文通しているのよ。」
なるほど。景達の知り合いか。 と言う事は彼女のチケットはアキラあたりが手配したのだろう。 あいつはわりと、こういう気配りが細かいからな。
「黒山墨字だ。よろしく。」
「有島つばさです。黒山監督よろしくお願いします。」
有島あゆみの母親が自己紹介をしてきた。垢ぬけたヤンママ風な風貌に見える。でもどっかで見たような?
「つばささんは、世界的なチェリスト(チェロ演奏者)なんですよ。」
このヤンママがチェリスト!? あの
「やだーーっ。夜なっちゃん、恥ずかしいからバラさないでよ!」
「ごめんなさい。 つばっちが恥ずかしがるとは思わなかったから。」
しかもこいつらママ友同士で、夜凪ママとはあだ名で呼び合う仲かよ。
なんやかんや言って、景を生んだわりには夜凪ママも若いな。 ・・・そう言えば景と星アキラも2歳違いなんだよな・・・。
俺はこの二人のママ会に星アリサが混じっているのを想像して、笑いをこらえた。 ありえんだろ。
「そういえば、アリリンは今日どうしたの?」
「アリサさんは、舞台の管理が忙しいみたいで、最近はあまり家にも帰らずに舞台の裏方に入り浸っているみたい。」
「そうなんだ。せっかくならアリリンとも一緒に見たかったわ。」
「ブッ------。」
「うるさいし、汚い。バシッ。」
柊に俺の頭を叩かれた。
あの星アリサがまさか、本当にママ友で、しかもあだ名呼びだった事で俺は笑いが抑えられなくなった。しかも、アリリンって、クリリンかよ! すげぇな有島母。 あの星アリサをアリリンって呼べるとか、ヤンママどころじゃなくて、マジで勇者だ。 ヤンママみたいな印象だと思ってすまなかった。 ヤンキーじゃなくて、まさに真の豪傑だった。
俺の脳裏にクリリンの変装をした星アリサがよぎり、大笑いしそうになるのを口元に手を当てて必死にこらえる。あのババァに坊主頭のクリリンの役はすごく似合うかもしれない。
ここで俺が星アリサの事をババァと呼んで爆笑しようものなら、ここにいる女性陣に睨まれるのは間違いないので、爆笑するのを必死にこらえてプルプルしていた。双子がそんな俺の事をいぶかしげに見る。
恐るべし、ママ友ネットワーク。 俺が腰を曲げて必死に笑いをこらえているうちに、客席の照明が落ちて暗くなり、いよいよ銀河鉄道の夜の舞台が始まるのであった。
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黒山墨字は銀河鉄道の夜を観る2
銀河鉄道の夜の舞台は、ジョバンニとカムパネルラが授業を受けるシーンから始まる。
「では、みなさんはこの川のようであったり、乳の流れた後だと言われたりしていた、このぼんやりと白い物が本当は何なのかご存じですか?」
先生役の役者が生徒に質問する。たしか彼女は阿良也や七生達よりも一回り年上で、劇団天球の中でもリーダー的な役回りをする女優だ。
答えがわかっていながら、手を上げようかと戸惑う阿良也が演じるジョバンニ。
「ジョバンニさん、あなたはわかっているみたいですね。」
先生がジョバンニを指名する。
「大きな望遠鏡で銀河をよく調べると銀河は何で出来ていますか?」
内向的なジョバンニは、星であることがわかっているにもかかわらず、答えを言えずに戸惑っていた。
「ふーむ。 ではカムパネルラさん。」
困った先生は、代わりにカムパネルラを指名する。
景が演じるカムパネルラは、ジョバンニを一瞥すると、意図して答えを言わずに黙ってジョバンニを立てようとする。
「それでは、このぼんやりとした白い銀河を望遠鏡で見ますと、沢山の小さな星に見えるのです。ジョバンニさん、そうでしょう?」
ジョバンニは頷いて、そのまま授業が続く。
「もしも、この天の川が本当の川だと考えるなら、その一つ一つの小さな星は、川の砂利や砂の粒に当たる訳です。 またこれを大きな乳の流れと考えるのであれば、星はみな乳の中に細かく浮かんでいる脂油の玉であるわけです。」
「それなら、その川の水は何かと言いますと、それは真空と言う光が伝わる空間で、太陽や地球もその中に浮かんでいるのです。つまり、私達も天の川の水の中に住んでいる生き物なのです。」
元々教師であった宮沢賢治特有の、科学と詩が混じったようなロマンチックな銀河の説明がなされていく。
日常でありながら、非日常。 銀河鉄道のきっかけであり、科学と文学が同居する、不思議な銀河鉄道の世界に観客が引き込まれていく。
雰囲気と言い、流れと言い見事な導入だ。 今でも沢山の人を惹きつける宮沢賢治特有の世界観や空気感が、舞台の上から流れてくる。
舞台の開幕で浮ついた観客を一気に引き込む演出と舞台俳優の演技は、さすがは有力者揃いの劇団天球と言える。
そして授業が終わるとみんな教室から出ていき、一人残ったジョバンニは独白する。阿良也は少年としてこの世界に生きるジョバンニの役を見事に演じ切っている。そしてそれは巌裕次郎が望んだ舞台俳優そのものの演技に見える。 細かい動作一つ一つに、多感な年頃のジョバンニとしての面影を見ることができる。この舞台を見ている観客は、彼がジョバンニであることを疑わないだろう。
「子供の頃、カムパネルラの家でカムパネルラと一緒に読んだ雑誌に書いてあった。 真っ黒なページ一杯に白い点々がある美しい星の写真を二人でいつまでも見たんだ。 ・・・カムパネルラが忘れる筈が無かったのに、僕が朝も午後も仕事がつらくて、学校を出てもみんなと遊ばなくなったので、気の毒がってわざと返事をしなかったんだ。僕もカムパネルラもなんて哀れなんだ。」
そこから活版所で働き、病気の母親の面倒を見て、生きているかわからない父親を待ち続けるジョバンニの厳しい生活が舞台に展開されていく。
ラッコの上着をジョバンニに持ってくることを約束したまま行方不明の父親。 そんな父親が居なくて生活が苦しいジョバンニを、ザネリを初めとしたいじめっ子達が虐めてくる。
母親のために、自分の時間を犠牲にして日々働くジョバンニ。今日もケンタウル祭の日にもかかわらず、母のために牛乳を取りに行ったジョバンニは、川に行くザネリ達とばったり出くわしてしまう。そしてジョバンニに絡むザネリ。
「ジョバンニ! ラッコの上着が来るよ!」「「「来るよ! 来るよ!」」」
寄ってたかってジョバンニを虐めるザネリ達、そんなジョバンニを気の毒そうに見るカムパネルラ。そんなカムパネルラの視線に耐えられなくなったジョバンニは、走り出して天気輪の柱がある丘の上まで逃げてくる。
そして丘の上で草に倒れこみながら、麓を走る列車の光を見る。
天気輪の柱と丘の上から見える汽車や星々は、さっきまでの舞台セットとは打って変わって、昔ながらの影絵だ。
ただの白黒の丘と輪がある塔。 そして光だけが見える汽車。
だが、シンプルだからこそ、空間の奥行きを感じて、観客は阿良也の演技に全集中していた。
「あの汽車の中では沢山の旅人が、リンゴを剥いたり笑ったりして楽しく過ごしているのだろうか。」
阿良也のリアルな演技によって、観客の目にはそれぞれがイメージする天気輪の柱と丘が見えている。丘の上で寝転んで頬に当たる風や、寝転んだ時に匂ってくる草の匂い、そして薄暗い中で遠くに見える汽車。そんな誰にでも1度はある体験を思い出させる。
「あの白い帯がみんな星だと言うぞ。 昼に先生が言っていたようながらんとした冷たい所だとは思えないな。 まるで小さな林や牧場がある野原のようだ。」
仰向けになって空を見たジョバンニはそこから突如、煙と光に包まれて第一幕が終了した。
観客は巌裕次郎が演出した銀河鉄道の世界に没入しており、これからの物語に期待を持たせる展開だ。 第一幕が終わって、周りの観客も、期待外れだったとか、もっと○○だと思っていたみたいな否定的な感想を述べる人も居ない。
ミーハーで今回チケットを取って、普段舞台を見ていない人達も多いだろうに、そう言った声が聞こえてこない所を見ると、導入としては満点だろう。
第一部では、景の演ずるカムパネルラは一言もしゃべらなかった。 しかし、カムパネルラという人間の優しさや性格が仕草だけでクリアに伝わってきた。 夜凪景はこの舞台で間違いなく表現の技術を進化させている。
そしてそんなジョバンニとカムパネルラがいよいよ一緒に銀河鉄道で旅をする第二幕がもうすぐ始まろうとしていた。
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黒山墨字は銀河鉄道の夜を観る3
15分の休憩の後、第二幕が開幕する。
舞台の幕が開けると、いきなり真っ白のスモークとスポットライトで舞台の様子が見えない。
しばらくして、煙が晴れてくると阿良也の影が見えてくる。阿良也は椅子に座っている。ただ単に。
そう。舞台には4つの椅子しか存在しなかった。
銀河鉄道を思わせる客車のセットも無ければ、窓から見える星々も無い。 椅子に座った阿良也にスポットライトを当てられている。ただそれだけだった。
劇場が戸惑いの声で溢れる。だが、それは突然列車に乗った阿良也の戸惑いにも通じて、会場全体が軽くざわめく。
そのざわめきが収まってきたころ、舞台の袖から一人の男の子が歩いて来た。景が扮するカムパネルラだ。
「カムパネルラ!」
「みんなは、ずいぶん走ったけれども遅れてしまったんだよ。 ザネリもずいぶん走ったけれども追いつかなかった。」
「どこかで待っていようか?」
「ザネリはもう帰ったよ。 ザネリのお父さんが迎えに来たんだ。」
そう言って、カンパネルラは窓を開ける。
俺の脳裏にカシャンと音がした。
「ご覧よジョバンニ。 この汽車は銀河を走っている。」
景の手から車窓を開く幻聴が聞こえるのと同時に、俺の脳裏に銀河鉄道の客車とそこから見える星の海が飛び込んできた。
あの感情表現に戸惑っていた夜凪景が、巌裕次郎や劇団天球の指導の下に格段の進歩を遂げていた。 今の彼女の動作一つ一つが強烈に銀河鉄道を想起させる。
それと同時に、第一幕までのカムパネルラとは雰囲気が変わっていた。 今の景は明らかに浮世離れしてミステリアスな魅力を秘めている。まるで千世子の芝居のようだ。
ここに乗っているのは銀河鉄道に乗っているカムパネルラだ。 つまり今の彼はもうすでに死んでいるのだ。 死を迎えた後のカムパネルラを演じる景は、その生と別れた後の演技を、生きている事が信じられないほどの美しさを持つ百城千世子を参考にすることで、生きていた時と死んでいた時の差、生を超えた魅力持った人物を見事に表現していた。
天使と呼ばれて、浮世離れした美貌を持つ千世子は、その生を感じさせないぐらい美しさを武器に芸能界を席巻してきたが、同時に人間的な部分を彼女からそぎ落として得た彫刻のような美しさは人間らしい役を演じる時には彼女の枷となっていた。
その枷を取り払ったのは景の芝居だ。 千世子は深く役に入り込む景の芝居を観察して、ただの美しい人形から、人間をどう表現するのかを学んで、血の通った人間的な部分も持つ美しい唯一無二の女優として君臨している。
しかし、今度は逆に景が千世子の芝居を参考にして今まさに天国への旅路を歩んでいるカムパネルラを見事に表現していた。
演技を客観視する千世子と、主観で深く潜って演技をする景、二人とも演技の方向性は違うが、友人でありながら凄まじいライバル関係だ。
演技の事であればお互い一歩も引かずに、相手の強みすらも真似る。それで平然としていられる二人に、俺は女の怖さを感じた。
だが、それだけではない。今の景の芝居の真骨頂は、客観視して表面だけを真似るのではなく、あまりに繊細で異常な没入を見せる演技。深くまで潜り戻って来るような人を映す鏡のような芝居。景はもはや人格から別人と化していた。
これが夜凪景。 景の演技は完全に阿良也と肩を並べている。俺は巌のじいさんに預けたわずかな間に開花した景の持つ予想以上の才能とポテンシャルに驚いていた。
星アリサや星アキラ、百城千世子や明神阿良也などの景の親友や理解者たちが、なぜ景の事を天才と呼ぶのかをこの舞台を通して日本中の人が知ることになるだろう。 今のカムパネルラは星アキラも、明神阿良也も、百城千世子も、その他のどんな俳優であっても演じることができない、夜凪景だけのカムパネルラだ。
「おや、あの河原は月夜で光っているのだろうか?」
そういうカンパネルラの見た先には、青白く光る銀河の岸に咲いている一面の銀いろの空のすすきが風にさらさら揺られているのが自分の目にも一緒に見えるようだ。
「月夜では無いよ。銀河だから光るんだよ。」
星々を渡る列車は走って行く。
「見てっ! 天の川の水が見えるよ。」
俺には景と阿良也の瞳が天の川の水に反射した星々を映すように輝いて見えた。
そのきれいな水は、ガラスや水素よりも透き通っていて、ときどき眼の加減か、ちらちら紫いろのこまかな波をたてたり、虹のようにキラッと光ったりしながら、声もなくどんどん流れて行って、野原にはあっちにもこっちにも、燐光のように輝く三角標が優美に立っている。
俺は銀河鉄道の文章を思い出していた。 二人の芝居によって、宮沢賢治の手で描かれた美しい文章を体感できる。
椅子だけが用意された舞台で紡がれる二人の芝居。 椅子と二人しか存在しない空間にもかかわらず、観客の心の目には、宮沢賢治の想像したこの世に存在しない美しい情景が映し出されている。
「誰も銀河鉄道なんて代物を見た事がねぇ。 だからこそ誰もが見ることが出来る。 つまりセットや美術に頼る必要は無いんだよ。」
巌裕次郎が60年以上の間、人生を通して舞台の演出をして最後にたどり着いた結論。
二人の天才はその結論が正しい事をその身をもって演じていた。
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黒山墨字は銀河鉄道の夜を観る4
「もうすぐ白鳥の停車場だね」
「ああ、十一時きっかりに着くんだよ」
白鳥の停車場に着いた二人はプリオシン海岸で化石を掘る人との会話の後、一緒に発車時刻が迫っている電車に向って風のように走る。
走る二人の友情が伝わる良いシーンだ。少年二人の幸福さや、少年時代の純粋な楽しさが伝わってくる。
そして、その後乗り込んできた鳥を取る人との会話、お菓子で出来た鷺や雁を食べながら他の乗客と交流する銀河鉄道の楽しい旅路。
明神阿良也と夜凪景、二人を中心とした劇は美しい宇宙を走る銀河鉄道の情景と、楽しい旅情を感じさせて、その魅力を生き生きと描き出している。
本当に本当に美しい舞台、そして美しい物語だ。 人の優しく美しい部分だけを描いている。 人によってはこれだけで満足だろう。 だが、銀河鉄道の夜はただ美しいだけの物語ではない。
駅員さんにポケットの中から入れた覚えのない三次空間の通行券を見せたジョバンニは周りの人に驚かれると同時に褒められて不思議に感じ始める。
停止していた物語が進み始める音がする。
そして、突然、一緒に乗っていた乗客や鳥を取る人が消える。
突然、人が消えた事で戸惑うジョバンニとカムパネルラ。
「あの人達は一体どこへ行ったのだろう? 一体どこでまた会うのだろう? 僕はどうしてあの人達ともっと会話しなかったのだろう。」
「ああ、ぼくもそう思っているよ。」
カムパネルラが同意する。
もうすぐアキラ達の出番だ。 なんやかんや言って、俺はアキラが毎回出してくるビックリ箱のような演技を楽しみにしていた。 たとえ感情の匂いが無くても、役に潜っていなくても、それでも観客に強烈な印象を残すアキラの芝居は、監督や演出の立場では無くて、観客としてならエンターテイメントとして十分に楽しめる。 ましてや、今回は千世子のオマケつきだ。 外野からワイワイと楽しめる芝居をしてくれる事だろう。
この時の俺は、自分自身で知らず知らず、無意識のうちに星アキラや百城千世子を舐めていた事に気が付いていなかった。 なまじ舐めて舞台を見ていたからこの後の衝撃を真正面から受けることになるとは思いも至らない。どこかに自分の演技を客観視する俳優よりも、主観的に役に入り込む俳優の方が優れているという思い込みがあったのだろう。
「何だか林檎の匂いがする。僕は今、林檎の事を考えたのかな?」
「本当に林檎の匂いだよ。 それから野薔薇の匂いもする。今は秋だから野薔薇の匂いなんてしないはずなのに。*1 」
その時、舞台の右側にスポットライトが当てられて、星アキラ、百城千世子、三坂七生の3人が登場する。
3人は突然客車の中に来たのか、3人とも呆然としている。
俺は、この真ん中の星アキラを見てハンマーで叩かれたような衝撃を受ける。
まだ舞台がやっているにも関わらず、会場が大きくどよめく。このどよめきは、第二部が始まってセットが無い椅子の上に阿良也が座っていたのよりも、はるかに大きいどよめきだった。
舞台の上に3人の俳優が上がっただけなのに、どよめきが止まらない。
「ねぇ、あの青年の人、星アキラよね?」
「あの人、死んで無いよね? 生きているよね?」
「どうして!? 私、なんであの人が死んでいるってわかるの!?」
「アキラ君って死んで無いよね?別にニュースでも死亡したとかのニュースないよね。」
まわりの観客から話し声が上がる。舞台の公演中にこれは異例の事態だ。舞台の公演中は他の人の迷惑ならないように黙っているというのが当然のルールだ。 当然、見に来た全員がそれを理解している。 それを破ってでも周囲の人間に自分の感覚が正しいのかを確認せざるを得なかった。 スマフォを取り出して星アキラ死亡の緊急ニュースが報じられていないかを確認する人間すら居る。
姿かたちはいつも通り、傷一つ無い。 しかし、この舞台の観客はみんな星アキラが死んだことを理解した。これは演技とかそう言った物の範疇を超えている。 魂の中に刻まれた何かが明確に舞台の上の星アキラが死んでいるという判定を下していて、俺が見ているのは死んだあとの星アキラの魂を見せられている錯覚を覚える。
「アキラお兄ちゃん死んじゃったの!?」
「そんなのいやだよ!」
「そんなっ、ふぇっ。」
子供達も口々に驚きの声を上げて、目じりに涙を溜める。
星アキラ、いや星キアラが舞台に立っているだけだ。 奴が死んでいるなんて事は無いはずだ。 どうして俺は、アキラが死んでいる事を理解できるんだ? 本当にどういう事なんだ! 俺は人生で一度も体験した事が無い感覚を味わって、戸惑っていた。
ちなみに、この日本の野薔薇は野ばら/ノイバラ(ロサ・ムルティフローラ)と呼ばれて、現代の園芸種の薔薇の品種を形作った8種の重要な薔薇のうちの1種です。
現代の園芸種の薔薇に房咲の性質を与えている特別な薔薇の御先祖様ですので、春に道端で咲いているのを見かけた方はこの事を思い出して観察すると、ちょっと良い気分になるかもしれません。
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黒山墨字は銀河鉄道の夜を観る5
「あら? ここはどこなの? とても景色が綺麗だわ。」
突如千世子が沈黙を破る。 心の中では30分ぐらい経ったような感覚だったが、実際には2分ぐらいだったかもしれない。
千世子の役は、
「ここはランカシャイヤ?、いや目的地のコネクテカット州?・・・いや、そうだ。」
「ああ、僕達は空へ来たのだ!」
キアラがセリフを言うのと同時に、やっぱり生きていると思えたのか安堵の声が観客から出る。だが、俺の震えはむしろキアラがセリフを吐いた後の方が大きくなった。
「私達は天へ行くのです。 ごらんなさい、あの印は天上の印です。もう怖い事はありません。 だって私達は神様に召されているのです。」
キアラは教え子の二人に状況を説明して、二人の子供達を元気づけようとした。
セリフを吐いて動いた後も、やはりキアラは死んでいた。 セリフを吐いて動いたからと言って生を感じさせることは無かった。
ただ、その死んだキアラを見て、気持ち悪いとか怖いといった忌避感は無い。 感触的には死んで天国に行った人間の魂と交信できたとか、死んだ祖父母の夢を見たと言った感触に近い。 観客たちもゾンビを見るような目ではなくて、映画の『黄泉がえり』で黄泉返って再会した死者のような印象だ。 死者が現実に居ると言う絶対にリアルではありえないシチュエーションだが、観客は星キアラが死んでいると言う事を感性として理解し、現実として受け入れていた。
しかし、現実では存在するはずがないのに、説得力がありすぎるそのリアルすぎる芝居に、観客の舞台への視線は未だに星キアラに向いている。 そして再び観客の緊張感が高まろうとしたその時、
「あははっ、私達、天国に向かっているのね。」
そんなシリアスな舞台に突然、明るい声が木霊する。百城千世子だ。観客席の緊張が緩み、安堵の声が響き渡る。彼女特有の小悪魔染みた魅力と輝きが、まさかこの場で癒しになるとは誰も思っていなかっただろう。
いきなり舞台に現れた星キアラのインパクトで最初は隠れていたが、そこから千世子の演技が前に出てくる。 いったん千世子を意識するとその存在感に驚く。 キアラが死者であるとすれば、百城千世子は生者の輝きを放っている。 星キアラと百城千世子は、生と死、光と影、ぱっと見で対照的な役回りに見える。
しかし、百城千世子の演じるかおるもすでに死んでいるのだ。 生の輝きなどある訳が無い。 これは死んだ彼女が無理に出す生への輝き、いや生への渇望の残滓。 死者が出すいびつな生の輝きに、作り物感やまがい物感が透けて見える。 それが一層の事、彼女が花盛りの時に、無念に死んだことを強調している。
景が利用したように、千世子も自分の美しいけれども人間らしく見えない部分を利用して、若いうちに無念で死んでしまった少女を演じていた。 しかし、こちらが本家である以上、美しさや、死者として見える歪さは、景よりも何倍も完成度が高い。
そして、千世子は死の概念をばらまくキアラを利用して、自らをキアラと対比させる事で、観客に
しかも、今までの百城千世子の芝居とは全く違う。 彼女は今までの通り、観客の視点から自分を客観視している事には変わりがないが、客観視しつつも、同時にかおるとして役に潜り込んでいる。
「こちらに座っても良いですか?」
「どうぞこちらにかけてください。」
しっかりとした教育をされているカムパネルラが、紳士的に
「ほらっ、
対して、七生が演じる弟のタダシだが、まだ死んでしまった事を理解しきれておらず戸惑っている。
「僕は、菊代お姉さんの所に行くんだよぅ。」
「お父さんや菊代お姉ちゃんはお仕事があってまだまだ忙しいの。 だけど後から来るんだから早く天国へ行って、ちゃんと待っていましょうね。」
「そうです。私達はもう何にも悲しい事は無いのです。 私達はこんなに良い所を旅してじきに神様の所へ行きます。そこなら本当に明るくて匂いが良くて、立派な人達でいっぱいですよ。 さあ、もうじき到着するのですから、元気を出して面白く歌って行きましょう。」
「そういえば、君、髪が濡れているね。どうしたの?」
「私達の乗っていた船が氷山にぶつかって沈んでしまったの。」
銀河鉄道に乗り込んできた3人の乗客。 家庭教師の青年と、その教え子の姉弟。 この3人の登場によってジョバンニは銀河鉄道の乗客たちが死者であることに気が付いて行く。
キアラの口から語られていく、氷山にぶつかって沈み行く船の状況。 救命ボートに群がる他の子供達を突き飛ばして、教え子の姉弟を救命ボートに乗せれば良かったのに、良心が邪魔をしてそれができなかった、教師としての独白。 大人としての義務を果たすことが出来ずに、大切な子供達を自分の死に巻き込んでしまった事への後悔。
仕方がない事とは言え、死ぬ前に残した心残りと懺悔が観客の心を打つ。
さらに驚いたのは、あの百城千世子が助演をしている事だった。 百城千世子という女優は、カメラ映りが良すぎて他の役者を喰うため、よほどのメンバーで固めない限り、主演はできても、助演はできない女優だと俺を含めてみんな考えていた。 そんな彼女が自ら進んで星キアラの助演をしている。 しかもその助演は的確で、場の流れをコーディネートして舞台にすばらしいアクセントと余韻を残している。
これは今までアキラがやっていた役割そのものだ。 考えてみれば、同じく演技を客観視する星アキラが助演の達人なんだから、アキラと共に客観視する演技を身に付けてきた千世子が助演をするのが下手な訳が無い。今までその能力が表に出なかったのは、周りの人間が彼女に積極的に助演のオファーを出さなかったからだ。そんな彼女の秘められた才能を巌裕次郎は引き出してみせた。
そしてアキラは逆に、その死と言う存在感を見せつけて、あえて舞台の流れを調節せずに、十全とその存在感を示している。
子供の頃から一緒に居る二人の演技の相性は抜群だ。 やもすれば独りよがりになりがちな、阿良也と景と言った主観的な俳優達をあざ笑うような舞台全体の支配力。 これが星アリサの育てた俳優達。 メソッド演技に頼る事が無い、客観視する役者の極致。
これを見ている映画監督たちの中には、彼女を助演として使ってみたいと考える監督が何人も出るだろう。 千世子も今回の舞台で役の幅を大きく広げている。
星アキラと百城千世子は、天才と感じる明神阿良也や夜凪景と比較しても、全く遜色がない。 確かに役に潜るという事にかけては、景や阿良也よりも数段劣る。 しかし、その客観視を元に観客を取り込み、魅了する力は景や阿良也よりも何倍も強い。
結果として、お互いに全く異なる考えで俳優としての演技を極めたこの四人の天才が今、一堂に会して、お互い影響し合いながら1つの舞台を形作るという、伝説の舞台が生まれる瞬間をこの目で目撃している事に気が付いて、深い感動を覚えた。
だがそんな感動も、星キアラが用意していた次なる爆弾の前に吹き飛ぶこととなる。
千世子「効いてる効いてる。効果はバツグンね。」
キアラ「よし。 次弾装填ですわ!」
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黒山墨字は銀河鉄道の夜を観る6
「そちらに持っておられるのはヴァイオリンですよね。 音楽をやられるのですか?」
カムパネルラが、いつの間にかヴァイオリンのケースを手にして立っていた家庭教師の青年に聞く。
「ええ。私は姉弟の音楽の家庭教師でして、このヴァイオリンは船が沈んだ時に浮き輪の代わりとして持っていた物なのですが、私の人生詰まったヴァイオリンだったので、私を追いかけて来たのかもしれません。」
キアラは登場時にはヴァイオリンなんて持っていなかった。気が付いたら手にヴァイオリンを持っている。おそらく千世子が観客の関心を引いた瞬間に、観客に気付かれないように自然な仕草で取り出したのだろう。 まるで手品師のようだが、あいつはこう言った観客の盲点を突く技術が上手い。 ましてや共犯者に千世子が居れば、阿吽の呼吸で簡単にやってのけるだろう。
「先生のヴァイオリンは本当にすごいのですよ。 留学先で有名な賞を取ったぐらいなのよ。」
「ぼくも先生の演奏をまた聞きたい。本当にすごいんだ。」
「そんなすごいヴァイオリンなら僕にも聞かせてくれないですか。」
「差しさわり無ければ、是非演奏していただきたいです。」
四人は口々に、家庭教師の青年にヴァイオリンの演奏をせがむ。
「一度別れたヴァイオリンが再び私の手元に来たと言う事は、音楽と共にあれと言う神様の思し召しなのでしょう。 是非皆さんにも聞いていただきたいです。」
そう言ってキアラはケースからヴァイオリンを取り出すと、構えて弓で弦を弾いて調弦をする。ギコギコと不協和音が観客席に響き渡る。 キュイーンというチューニング特有の音階の変化。 しかし、音楽に明るくない俺には、ただの不協音にしか聞こえん。 そもそも舞台でヴァイオリンを披露するのであれば、最初からチューニング済みのヴァイオリンを持って来ればいいだろう。*1
調弦の後に弓を見て、もたもたと松脂を塗るキアラ。リアルだけれども、おおよそ舞台の上で行う動作では無い。そして特に急いている様子も無い。 ヴァイオリンから放たれる不協音とマイペースな楽器の調整に、見ている観客達も気勢を削がれて、大丈夫か?という表情をしている。
この時の俺は、キアラが意図して観客の精神にギャップを作っている事に気が付かなかった。 ホラー映画でも緊張状態でモンスターが襲うよりも、緊張が解けた状態で突然襲われる方が驚きは大きいのだ。この演奏に入るまでのヴァイオリンを弄る間は、観客に緊張の弛緩をもたらしていた。
そこから演奏に入るキアラ。 第一音を出した瞬間から舞台で見える世界は大きく変わる。
------------- アキラ視点 -------------
死者の演技を思いついたのは、前世の私としてダイビングプールに潜っていた時だった。
そもそも前世の私に切り替えたからと言って、別にメソッド演技として他人になり切って演技なんてできない事に気が付いた。 それはそうだ。 だって私は前世でVTuber兼、演奏家(たまに歌手)であって、別に役者だった訳でも何でもない。 ドラマにすら出た事も無かった。
つまり、前世の私に切り替えた所で、LV.1の素人状態だ。 転生時に神様に会って、すごい演技力が付くチート能力をもらった訳でも無ければ、演技力を数値化して見れるステータス画面が見える訳でもない。只の人が只の人に転生したにすぎない。 むしろこの辺の技術は、第二の人生である、僕の方が強かった。 そもそも前世の私に、阿良也や景ちゃんを超える演技の才能があるとも思えないし、今の僕でも阿良也や景ちゃんと同じ土俵で戦った所で見劣りするのは当然だ。
ではどうするのか? 水の中で死んだ青年のつもりで漂っていた時に、ふと自分と青年の間には強い共通点がある事に気が付いた。私も青年も一度は死んでいるのだ。 私はアキラとして生まれ変わり、青年は銀河鉄道の中で意識を取り戻した。
役で他人として深く潜る事は出来ないけど、自分であれば深く潜れる。 だって私なんだから。
私は演じるのではなくて、前世で刺されて死んだ自分をそのまま出すことにした。
結果、やってみたら周りが私が死んでいると誤解するぐらいのすごい演技だと賞賛されたのには驚いた。 自分的には怪獣倉庫の中に眠っていた、補修されたメトロン星人の着ぐるみを着て粋がってみたら、それが予想外にウケちゃった感じ。
この世界は俺TUEEEEモノじゃなくて、勘違いモノだったのか。
・・・いや、勘違いモノの主人公に無能力で転生とか、地獄でしかないだろう。
そんなくだらない考察はさておき、大切なのは前世で死んだ私を引っ張り出してきたら、みんなが私を死んだと認識した事。 つまりみんなの中にも魂はちゃんと存在して、前世は僕の思い込みなんかじゃなくて、私はちゃんと存在したのだ。
その事実に気が付いた時に、私は思いっきり泣いた。 ついでに私を見て私が死んだと泣いていた景ちゃんや阿良也も大泣きして、大号泣の嵐だった。 そんな私達を興味深く冷静に観察していた千世子ちゃんェ・・・。
過去の私が存在しているって事が証明された事で、死んだ私から今の私に何か曲を贈りたくなった。 舞台の上での演奏を巌のじっちゃんに提案したら、ダリっ子*2の巌のじっちゃんは、二つ返事でOKをくれた。
そんな訳で、今から私はヴァイオリンを演奏する。
皆の者、聴くが良い。 今から演奏するのは、死んだ私が今の私に贈る、世にも珍しいレクイエムだ!!
------------- 黒山墨字視点 -------------
キアラが演奏を始めた。リストの愛の夢と言う曲だ。
映画やテレビなどで一度は聴いた事がある曲だろう。でも、それを真剣に聴く機会なんて今まで無かった。
美しい。 ただ美しくて甘美で優しい曲だ。 全く混じりっけの無いキアラの純粋なヴァイオリンの音が、舞台演出として穿った見方で論評している俺の心の隙間に入り込んで来る。
死者から放たれるヴァイオリンの音色。この曲はレクイエムとして指定されている曲では無いが、キアラがレクイエムとしてこの曲を弾いているのはわかる。
通常のレクイエムは、生者から死者に向けたメッセージであり、死者を慎むとともに、生者の悲しみを癒して親しい者の死を乗り越えるための曲だ。 しかし、ここで奏られているレクイエムは、死者から生者に向けたメッセージ。 死者から生者をいたわる純粋なやさしさと共に、生きている苦しみで傷ついた魂が癒されていくのを感じる。
とつぜん、ポタッと太ももに何かがぶつかったような感触を受けた。
「俺、泣いているのか?」
自分の涙が垂れて太ももに涙の雫がぶつかった感触だった。 太ももに涙が落ちるまで俺は、自分が泣いていた事に気が付かなかった。
死者が奏でる美しいメロディーは純粋な優しさだけで出来ていて、天国や来世という物が実際に存在する事を実感させる。 そしてそれは生者の魂に希望を与える演奏でもあった。 キアラが死んでいると認定した俺の中に眠る魂のような何かが歓喜しているのがわかる。
「主よ、今この瞬間に、この素晴らしい演奏に立ち会えた奇跡に感謝します。」
有島母が涙を流して、神に祈りながら演奏を聞いていた。 こいつ、クリスチャンなのかよ・・・。
ヤンキーで、アダ名呼びのママ友でチェロ奏者なのに、さらにクリスチャンとかどれだけキャラが濃いんだよ。
だが、クラシックの名演奏を沢山聞いているはずの有島母が、神に感謝の祈りを捧げながら聴いている所を見ると、やはりこの演奏は奇跡の演奏なのだろう。
音楽なんて嗜好品であって、演奏が人生を変えるなんてマクロスじゃないんだから、実際にはあり得ないと考えていたのだが、本当に人生を変えるような演奏に立ち会うと、そう言うことがあり得ると実感できる。 おそらくこの演奏を舞台やネット配信で聴いた人の中では、実際に人生が変わる人が何人も出るだろう。
音楽に初めて触れたゼントラーディ人もこんな衝撃を受けたのだろうか。 子供の頃にマクロスが好きだった俺は、ふとそんな童心を思い出した。
------------- アキラ視点 -------------
私が演奏曲にリストの愛の夢を選んだのは訳があった。
ピアノの魔術師と呼ばれたフランツ・リスト。愛の夢も当然ながらピアノによって演奏される事がほとんだ。ピアノによるメロディー、ハーモニー、ベースを調和を持って弾くことがすごく難しい曲だ。
でも、私はそのメロディーをあえてヴァイオリンによって演奏する事にした。 このメロディーには特別な意味があるからだ。
この愛の夢というのは、元々、ドイツの詩人、フライリヒラートの詩が歌詞として付いている。
この詩が死んだ私からのメッセージとして重なるからだ。
愛しうる限り愛せよ
愛したいと思うかぎり愛せよ
墓場にたたずみ なげきかなしむ
時が来る 時が来る
なんびとか、愛の真心を
温かくお前のために注ぐとき
お前は胸に愛を抱いて暖め
ひたすらにその炎を燃やすがよい
胸をお前のために開く人を出来る限り愛せよ
いかなる時もその人を喜ばし
いかなる時もその人を嘆かすな
わが舌をよく慎めよ
あしきざまの言葉をふと口にしたなら
ああ それは決して悪意からでは無かったのに
けれど その人は去り そして悲しむ
愛しうる限り愛せよ
愛したいと思うかぎり愛せよ
墓場にたたずみ なげきかなしむ
時が来る 時が来る
日本評論社 1948| フライリヒラート詩集 井上正蔵訳より引用。
私は、前世での死を実感しながら、今を生きる人に愛の夢を届けた。
------------- 黒山墨字視点 -------------
キアラ達の出番が終わると、第二部の終了のアナウンスと共に20分の休憩時間に入った。
俺達観客は深く椅子に寄りかかって、本当に休憩していた。
周りの観客もそうだ。 トイレに行く観客以外は、みんな黙って目をつぶって舞台の余韻を楽しんでいる。
普通は幕間の休憩時間というのは、次の舞台のための舞台裏の準備時間なわけだが、この舞台では、本当に観客のための休憩時間だった。
とんでもない舞台だった。あの四人が一堂に会して、巌裕次郎が演出をするとこうなってしまうのか。
特にキアラの演技と演奏は素晴らしいという言葉だけでは言い表せない。 魂が歓喜した事を感じる。 この舞台は、すでに巌裕次郎の最高傑作という言葉では生ぬるい。 翌日の新聞やワイドショー、ネットなどはこの舞台が話題で持ちきりだろう。
だが、キアラ達の出番も終わって山は越えた。 後はカムパネルラとジョバンニの別れと、エピローグ、そしてカーテンコールだ。
カムパネルラとジョバンニの別れの芝居も素晴らしい物になるだろう。 そうして舞台が終わったら、良い酒を買って帰って、この舞台をつまみに一杯やるか。
キアラの演奏に圧倒された俺だったが、20分という休憩時間によって大分回復していて、今後の予定を考えるぐらいの余裕が出来ていた。
だが、なぜ巌裕次郎がこのタイミングで20分の休憩を入れてきたのかという意図を考える事が無かった。 この休憩も一息つくための巌裕次郎の演出であった。
この後の俺は、巌のじいさんの驚愕の演出に再び震える事になる。
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黒山墨字は銀河鉄道の夜を観る7
「ルイ、レイ、おトイレ大丈夫?」
休憩で10分ぐらい経った頃、放心していた夜凪母が我に返り、双子にトイレの確認をしてくる。
「ルイ、どうしたの?」
あんなすざまじい劇を見たせいか、子供たちになにか影響が出ていないかを確認する夜凪母。
「ママ、ジョバンニはまだカムパネルラが死んじゃっている事に気が付いていないんでしょ? あの子達はみんな一緒に天国へ行けたのに、ジョバンニとカムパネルラはお別れしなきゃいけないの? あんなに仲良しなのにかわいそう。」
子供らしいルイの素直な感想は、大人として擦り切れた精神を持った人間には眩しい物であった。
「そうね。どうなるかは劇を最後まで見ないとわからないけれども、ジョバンニとカムパネルラの旅路を最後まで見届けるのよ。」
「うん。」
「その前に、念のためにおトイレに行きましょうね。あゆみちゃんも大丈夫?」
「私も行きます。」
そう言って、夜凪ママは双子とあゆみちゃんをトイレに連れて行った。
俺が巌のじいさんにやられっぱなしの銀河鉄道の夜は、本来は児童文学だ。 だが、今にも語り継がれて数々の物語の題材になっている事からわかるように、子供の情緒を育てるための児童文学の最高傑作という側面を持つ。
死と言う残酷なテーマを取り扱った児童文学であるが、だからこそ、読んだ子供に大きな影響を与えて、そこから得られる教訓と思慮で人生を渡って行くのだ。
そして、子供の頃に銀河鉄道の夜に影響された親は、自分の子供にもまた同じ本を分け与える。 こうして宮沢賢治の物語は彼の死後もずっと語り継がれていく。
生きている間には認められず、死後にその評価が高まった宮沢賢治。 生前に認められなかったのは悔しかったとは思うが、いまごろ彼は銀河鉄道に乗って銀河の星々を旅しながら子供達や舞台の中で、自分が作った物語が生き続けている事を喜んでいるかもしれない。
20分の長めの休憩は、俺や観客達に精神的に立ち直るまでの時間を与えていた。
そして始まる最終の第三幕。
母親と会話する、阿良也の一人芝居から始まる。食事をしながら、ここには存在しない母親との会話。
「母さん、僕、父さんはもうじき返ってくると思う。」
「今朝の新聞で、北の方の猟は大変良かったって書いてあったから、きっとラッコの上着を持って帰って来てくれるよ。」
「うん。みんながそれを言うよ。 父さんがラッコの上着を持って帰って来るよって、冷やかされる。」
「けれど、カムパネルラだけは言わない。」
「カムパネルラだけは。」
カッと阿良也だけにスポットライトが当たった状態から、舞台全体に照明が入り、カムパネルラの横に座って幸せそうなジョバンニの表情が見える。
一人芝居をしていた時の辛そうな表情と違って、なんて幸せそうな表情なのだろうか。
カムパネルラと居る時と、そうでない時の感情の振れ幅が危うさを覚えるほどに大きすぎる。 見ているこっちの方が不安になって来る。
「ねぇ、カムパネルラ?」
「なに? ジョバンニ。」
「僕達はまた二人きりになったね。」
「うん。そうだね。」
「ねぇ、カムパネルラ、僕達ずっと一緒にいようね。」
カムパネルラは答えない。
「・・・カムパネルラ?」
「ねぇ、急に黙りこんでどうしたの?」
「ねぇ、カムパネルラ。」
カムパネルラの死を知らないのはジョバンニだけ。 銀河ステーションを経て汽車に乗ったカムパネルラは、自分がもうすでに死んでいる事を知っている。 そして生きているジョバンニと一緒に居られない事も。
黙って動かないカムパネルラと対照的に、少年期らしい感情の起伏が大きくて素直な少年、ジョバンニ。
一人芝居によって、寂しい少年とカムパネルラと一緒に居る事で幸福な表情の二つの顔を見せた事で、阿良也の存在感が高まってきた。 ジョバンニはこのやり取りで、カムパネルラがすでに死んでいるのではないかという、否定したい疑念が大きくなっていくのがわかる。
「カムパネルラ!」
「ジョバンニ。」
「僕はもう行かなくちゃ。」
この言葉を聞いたジョバンニの絶望が舞台を覆う。
「カムパネルラ・・・。行くって一体どこへ?」
「さようなら。」
「いやだっ!!!!」
カムパネルラを引き留めてカムパネルラにすがりつくジョバンニ。 しかしすでに二人は生と死、別の世界の住人として別れているのだ。
優に30秒、ジョバンニにカムパネルラはすがりついたまま動かない。そしてジョバンニがカムパネルラの表情を見るため顔を上げた瞬間。
「僕は行くよ。 ジョバンニ、本当に楽しかった。」
そうして、カムパネルラは優しい笑顔を浮かべて去って行った。
取り残されるジョバンニ。 舞台の上にジョバンニの慟哭が響き渡る。その慟哭に観客は胸を打たれる。 今度は悲しみによって再び涙を流す観客も沢山いる。
一緒に来たメンバーもみんな涙を流しながら阿良也の芝居を見ている。
現実と芝居の狭間で危ういほどの演技を見せる役者、これが憑依型カメレオン俳優、明神阿良也。
巌裕次郎が見出した才能。 不幸も幸福も全てを自分の血肉とする怪物。
そして、照明が暗くなっていき、ジョバンニの慟哭だけが舞台に響き渡る。
こうしてカムパネルラの死をジョバンニは受け入れて物語は終わる。・・・・と俺は思っていた。観客も全員そう考えていただろう。
突然照明が明るくなって、ジョバンニとカムパネルラが座っていた席に一人の女が座っていた。
呆気にとられる観客達。
女は、黒い大きな帽子と黒い服を着ている。
「お前の友達がどこか遠くへ行ったのだろう。」
チェロのような優しい声だ。 本当に楽器を思わせる。 ジョバンニはゆっくりと顔を上げる。
とても響く声、そしてとてつもなく大きい存在感だ。
・・・俺は、この女優が誰だか知っている。 誰しもが見たいと思っていながら、絶対に巌裕次郎の舞台では見ることができないはずの女優だった。
一人、また一人とその女優の正体に気が付き、観客席のざわめきがどんどん大きくなっていく。
「あの人はね。 本当に今夜遠くへ行ったのだよ。」
銀河鉄道には存在しないはずのシーンで、巌裕次郎の舞台に存在しないはずの人物が登場している。
そう。 彼女の名は星アリサ。 戦後最高、いや戦前、戦後を通して日本最高の舞台女優が今、巌裕次郎の舞台に降臨していた。
アリサママ(愛称:アリリン) ついに登場!
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黒山墨字は銀河鉄道の夜を観る8
「お前の友達がどこか遠くへ行ったのだろう。」
「あの人はね。 本当に今夜遠くへ行ったのだよ。」
全く予想しなかったタイミングで、舞台の上に星アリサが登場していた。
「お前はもう、カムパネルラを探しても無駄だ。」
「どうしてですか!! 僕はカムパネルラといつまでも一緒に行こうと言ったのです。」
「ああそうだ。 みんなそのように考える。 けれども一緒に行けない。」
「そんな! 僕はカムパネルラと一緒に行くんだ!!」
ジョバンニが激昂する。 大切な友人が目の前から居なくなった彼は本当に痛々しい。
「確かに今、お前はカムパネルラと一緒に行くことはできない。 しかし、最後にはカムパネルラと同じ道を歩むことはできる。」
黒い帽子の女はジョバンニをしっかりと見つめて、ゆっくりと言葉を紡いでゆく。 優しくしゃべっているだけなのに、阿良也の激昂して発声した大きな声よりも遥かに劇場に響く。 まるで星アリサの声が直接、脳内に語り掛けてくるようだ。
あんなに感情的だったジョバンニが徐々に落ち着いて行く。 舞台は感傷的なジョバンニの悲愴ではなく、いつの間にか、黒帽子の女、星アリサが支配している。
演劇好きの年配や演劇関係者からは、酒の席などで星アリサがどれだけすごかったのかという話をよく聞く。 俺も子供の頃に星アリサが出演する映画を観て、そして星アリサのような女優の映画を撮りたいと思って映画監督の道を目指した。
しかし、俺は舞台の上に立つ星アリサを若草物語以外では見た事が無かった。 だから、実際に星アリサの舞台を見た事がある人間から語られる星アリサ伝説は眉唾物だと思っていた。
だが、若草物語は完全に星アリサが手加減をしていた。 本気の星アリサの舞台をいま目にすると、誤っていたのが自分だと言う事に気付かされる。 舞台の上で席に向かい合いながら阿良也と語り合う星アリサの存在感は、間違いなく阿良也を上回っている。
同時に、彼女からは知の探究者とも言えるような叡智を感じ、明らかに人間を超えた知性を備えた神のような存在では無いかと言う気配も感じさせる。 これはキアラが死んだのとはまた別の、悟りを開いて高次元の存在に解脱したような、高次の生命体のような確かな存在感だ。 キアラと同じように、アリサもまた人間ではない別の存在である事を感じさせた。
俺は、星アリサを見て震えが止まらなかった。 この震えは歓喜なのか、役者を極めた先に見える狂気に対する震えなのかが全くわからない。
演出を冷静に観察している俺を、さらに冷静に見つめていると錯覚させるような星アリサの目。 巌裕次郎はこんな化け物を、『狂った一頁』で狂った母親に配役したのか。
舞台を見て星アリサと一緒に狂った人間が居たなんて話を聞いた事があるけれども、それは当然だ。 眉唾物の伝説かと思っていたけれども、いまなら真実だとわかる。
今、目の前で理性的な人物を演じているだけでもこんなにヤバいのに、こんな風に役者を極めて、役者以外の何かに解脱しかかっているような化け物を狂った母親に配役するとか、本人が狂う以前の問題だろ! こんなの社会から批判を浴びて当然だろうが!!
昨日までは、星アリサを引退に追いやった後に、社会からバッシングを受けて劇団を解散した巌のじいさんの話に俺も同情していたのだが、今は全く異なった感想を抱いている。 自業自得だ。
本人もこの件は自業自得だと語っていたが、星アリサの引退は事故であり、自業自得と言う言葉は、巌裕次郎の舞台指導者としての人格者の言葉だと思っていた。 しかし、この舞台を見ると本当に自業自得だ。 巌のじいさんが主催していた、前の劇団が解散した話は、星アリサ引退からの社会からの制裁で、客が居なくなって解散みたいな経緯で語られていたけれども、それもかなり怪しくなってきた。
おそらく、劇団員の中でも星アリサを狂った母親役に抜擢するのを止める人間が沢山居たのだろう。 星アリサと共に歴史を作ってきた劇団員ばかりだろうから、星アリサの力量も良くわかっていただろう。 一緒に練習をしていれば尚の事だ。 しかし巌のじいさんは、最高の舞台を作るためにその意見を無視して、舞台を強行したに違いない。
結果、ああなった訳だ。 そりゃ、劇団員も辞めて、劇団も空中分解する。 完全に自業自得だ。
星アリサ引退の経緯から、『狂った一頁』のビデオも完全に禁書扱いで、販売される事も無かったが、これ、星アリサ引退とかそう言うレベルじゃなくて、見た人間が発狂するような、ホラー映画も真っ青な舞台で、とても販売できる物じゃ無いんだろ? 特級呪物を生み出してどうする気だったんだ?
今、目の前で展開されている、星アリサの本気の芝居を見ているだけで、長年、頭の隅に散らばっていたパズルのピースが繋がって行って、あの時何があったのかが明確に理解できる。 それぐらいに舞台の上に立つ星アリサは化け物で、とんでもない芝居だった。
そんな俺の発狂をよそに、二人の会話は続く。
「ああ、僕はどうやって、それを求めたら良いのでしょう。」
「私もそれをずっと求めている。 お前は、お前の切符をしっかし持って行くんだよ。そして一心に生きなければいけない。」
「僕は絶対にそうします。」
「ほら、見てご覧。 あそこにプレシオスが見える。お前はあのプレシオスの鎖を解かなければいけない。」
「鎖を解く?」
「そうだ。あの鎖はお前の人生そのものだ。 混沌としている事実を切り分け、虚構と現実をしっかりと断ち切り、真実を見つけていなかければいけない。」
「ああ、マジェラン星雲だ!」
俺達の目の前にジョバンニが見たのと同じような雄大なマゼラン星雲のイメージが浮かんでくる。
「僕は誓うよ。 僕は僕のために! 僕はお母さんのために! カムパネルラのために、みんなのために!」
「僕は! 僕はっ! 本当の幸いを探すぞ!」
この星アリサとの会話の中で、ジョバンニは精神的に成長し、少年期を脱しつつある事が見て取れる。
そして、阿良也は自らその精神的な成長を克明に演じている。
これは、感情の振れ幅が大きく、役に深く入り込める阿良也だからこそできる役だ。 阿良也もまた、星アリサというラスボスを得て大きく成長していた。
このシーン、星アリサと対等に舞台に上がるために、阿良也も悩みぬいて役を作り上げたのだろう。 アニメの主人公では無いのだが、化け物染みた強敵が化け物を生み出している。 おそるべき化け物たちの連鎖。
あの四人の格段の進化の理由がわかってしまった。 汗と青春の努力みたいな甘酸っぱいさわやかな能力向上じゃなくて、暴君王、ティラノサウルスである、星アリサに対する過酷な生存競争の末に身に着けた能力なのだろう。そしてその舞台を用意したのが巌裕次郎。
俺はあの四人に同情した。
星アリサの芝居をこの目で見るとわかる。 技術を引き継いだのは夜凪景だが、彼女は星アリサともまた違った女優だ。 星アリサのコピーという訳では無い。
むしろ、存在感が似ているのは、星アキラだ。 演技に対する考え方が全く異なる二人だが、この二人は間違いなく親子だ。 根源の部分は良く似通っている。二人が一緒の舞台に出演して、初めて気が付いた。
星アキラのアンチが多い舞台評論家の先生の中には、今回の舞台で星アキラを見直す人間が何人も出るだろう。 逆に見直せない先生は、ただの権威主義にハマって主張を変えられない人間か、頭が固すぎて自分の意見を変えられない人間だろうから、今回の件が良いテストになりそうだ。 読者もその辺は良く見ているだろう。
「さあ、切符をしっかりと持って行くのよ。 お前はもう夢の鉄道では無くて、本当の世界の火や激しい波の中を大股にまっすぐに歩いて行かなければいけない。」
「そして、天の川の中でたった一つの本当の切符を、決してお前は無くしてはいけない。」
星アリサのセリフを元に、決意を持ってジョバンニが自らの道を進んでいき、舞台から離れる。
そしてしばらくすると、残った黒帽子の女が最後に寂しく呟いた。
「私はあなたの想い出の中だけにいる女・・。私はあなたの少年の日の心の中にいた青春の幻影。さよならジョバンニ。」
こうして暴風を巻き起こした星アリサ扮する黒帽子の女はフェードアウトして行った。
・・・・巌裕次郎に完全にしてやられた。 一体この舞台でしてやられるのは何度目だ? 引退を考える歳だろうに、とんでもない舞台を作り出しやがった。
銀河鉄道の夜は、宮沢賢治が何度も推敲を重ねて、四つの形が存在する。 一般的には最終版の第4版が銀河鉄道の夜として知られている。
しかし、この銀河鉄道の夜の舞台は、カムパネルラと別れて終わる最終版ではなくて、その前の黒帽子の男が出る1~3版までの銀河鉄道の夜がベースになっている。
であれば、最後に・・・。
天気輪の柱がある丘に戻ってきたジョバンニ、そこに博士姿の人物が近づいてくる。
星アリサでも、ものすごいサプライズだったのに、最後の最後にさらにとんでもないサプライズが観客を襲う。
騒然とする観客席。
近づいて来た博士は巌裕次郎だった。
アリサママの最後のセリフは、今年亡くなられた松本零士先生に捧げます。
沢山の素晴らしい漫画やアニメをありがとうございました。
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黒山墨字は銀河鉄道の夜を観る9
舞台の袖から白衣姿の巌裕次郎が静かに出てくる。
「ブルカニロ博士!」
「ジョバンニ、ありがとう。 私は大変いい実験をした。」
78歳とは思えない、良く通る声だ。 何十年も役者から離れていたとはとても思えない。
「実験ですか?」
「そう。 私はこのような静かな場所で、沢山の人々の考えを共鳴させる実験をしていた。 君とカムパネルラが交わした言葉もみんな私の手帳にとってある。 さあ帰ってお休み。」
「あれは幻じゃ無かったのですか?」
「夢ではあったが幻では無い。 君が交流した沢山の人とは、君と意思が繋がっていたのだよ。 だから天上へと向かう機関車に君も乗る事ができたんだ。」
「カムパネルラは・・・。」
「ジョバンニ、君は夢の中で決心した通り、真っすぐに進んでいくがいい。 そして何かあったらいつでも私の所へ相談に来なさい。」
「僕はきっと真っすぐに進みます。きっと本当の幸いを求めてみせます。」
「ああ、きっと君ならできると信じているよ。 これはさっきの切符だよ。」
そう言って、ブルカニロ博士はジョバンニに切符を渡す。
ざわついていた客席も静まり返り、この切符を渡した瞬間が何を意味するかを観客も理解し始めた。
ジョバンニは大切そうに、その切符を受け取る。
そう、この切符と同じように、巌裕次郎の手から劇団天球が、阿良也や新世代の巌裕次郎が育てた劇団員に託された瞬間だった。
俺を含めた、この劇場に居る観客達は巌裕次郎からの世代交代と言う、歴史的な瞬間に立ち会っていた。 それを見た瞬間、背中に伝わる冷や汗と共に、演出に全てを賭ける巌裕次郎の恐ろしさに震えていた。
自分の進退すらも演出として舞台に生かす。 そしてラスボスと思われた星アリサはその見届け人であったのだ。 巌のジジイ、やつこそ本当の意味で舞台全部を操っていた黒幕、いや裏ボスだった。
もう、この舞台を超える舞台は今後日本には出てこないかもしれない。 本当に伝説の舞台だ。 この舞台を生で観た人間は、この事を一生語る事ができるだろう。 芝居好きな人間であれば、自分が死んだときにこのチケットの半券を自分の棺に入れて、思い出として一緒に火葬してもらうかもしれない。 それぐらい、凄まじい舞台だ。
60年以上もの間、舞台演出に人生を賭けた男、巌裕次郎。 まさしくその人生の総決算として演出した舞台は、彼の名声をさらに高めて、日本の演劇史に再び燦然とした輝きをもたらす舞台となった。
そして、俺達観客はその瞬間を目撃し、カーテンコールでブルカニロ博士を演じた巌裕次郎にその舞台人生への感謝の心と共に、直接拍手を贈れるという、ものすごい栄誉を授かったのだ。
------------- アキラ視点 -------------
決意のもとに阿良也が去って、フィナーレを終えた舞台の袖から、僕は客席を見ていた。
客席はまさしくスタンディングオベーション。 スタンディング・オベーションとはこういう状態を指すというお手本のような状態だった。 暴風雨で打ち付ける雨のような凄まじい拍手の音が劇場の中を襲って、暴れまくっている。
僕でも聞いた事が無いような恐ろしい拍手の音圧だ。 僕はこの観客の前に再びカーテンコールで姿を現す事を考えると身震いした。
近くに出番を終えたアリサママが居る。 僕は気になっていた事を聞くことにした。
「ねえ、アリサママ?」
「なに? キアラ?」
「アリサママが出演する交換条件として、巌のおじい様に対して、最後にブルカニロ博士として出演させる演出を提案したのですよね?」
「そうよ。」
「巌のおじい様は、何十年も舞台には立っていないのに、どうして最後にこんな役をやらせたのですか?」
「この劇団天球は巌裕次郎あっての劇団よ。 でも裕次郎さんもずっと天球で演出をやれる訳ではないわ。 だから劇団員にも、天球のファンにも巌裕次郎が引退して行くという自覚が必要だったの。 今の裕次郎さんにおんぶや抱っこの状態で、突然裕次郎さんが亡くなったら大変な事になるわ。 だからファンや観客を含めて、みんなに引退を受け入れる自覚を作る必要があったのよ。」
「なるほど。 確かに突然、巌のおじい様が死んじゃったら大変な事になりますわね。」
「それに、天球の俳優達もここまで立派に育ったのだから、裕次郎さん自身も天球から少し外れて、もっと自分の好きな演出をしてもいいと思わない?」
「う゛っ、その表情は、アリサママ、何か企んでいますよね?」
「もちろんよ。 次の巌裕次郎が演出する舞台はすでに決まっていて、劇団天球じゃなくて、古馴染のメンバーを集めて舞台をやるの!」
「そのメンバー、すごく嫌な予感がするのですが・・・。その主役はまさか・・・。」
「そうよ。星アリサ主演で昔の友達を集めて放浪記をやるの。素敵でしょ!」
アリサママは少女のような笑顔で言う。 しかし騙されてはいけない。 星アリサはそんな純粋な優しさとは最も遠い位置にいるサイコパスママだ。
「アリサママの方で巌裕次郎の自由が利くように、引退の自覚をほのめかして、巌のおじい様と天球の劇団員の両方をハメましたわね!?」
「そうよ。流石は、私からサイコパスの血を受け継いだキアラね。 あなたは私から演技の才能はほとんど受け継がなかったけど、サイコパスの血だけはちゃんと引き継いでくれたわね。 嬉しいわ♪」
「全員にラスボスが星アリサで、裏ボスが巌裕次郎と見せかけておいて、さらにその裏でラスボスが真のラストボスとして暗躍していたなんて、ラスボスの概念が完全にゲシュタルト崩壊ですわ!」
「そういえば、今回の銀河鉄道の公演で、今回を入れて、毎回、スターズの方で席を押さえたまま、チケットをどこにも配っていない席が200席ぐらいありますよね・・・。初回が本当に丸々空いていて、勿体ないから、私の方であゆみちゃんとか、いちごお姉ちゃんとか環さんとか、茜ちゃんや、絵麻ママの友達にまでチケットをバンバン配れて嬉しかったのですが、次回以降は空いているのに配るのが禁止で・・・。 まさかこれも・・・。」
「鋭いわね。 流石は私のサイコパスチルドレン、星キアラ。 この劇をネット配信やメディアで見た著名人や同業者、上流階級の方々から、今頃スターズの事務所は、チケットが余っていないかを確認する、問い合わせの嵐でしょうね。 そして有力な人から順にチケットを渡してあげれば、コネが作りたい放題よ。 変にチケットを売るよりもはるかに儲かるわ❤」
「巌裕次郎の引退を仄めかさせて、自分のコネづくりに役立てようとするとは、天地心一も真っ青の邪悪っぷりですわ。 そして、サイコパスチルドレンとか、エヴァンゲリオンじゃないんだから、あまりにも心外ですわ。 しかも演技の才能を引き継いでいないなんて、悲しすぎて泣いてしまいますわ。うるうる。」
僕は涙腺を緩めて涙を流す。 こういう時に役者は便利だ。
「ごめんごめん、冗談だったのだけど、上手く行き過ぎていて、少し調子に乗りすぎたわ。」
そう言って、アリサママは僕を抱きしめてから、僕の髪を撫でてよしよしとしてくれた。
アリサママに抱きしめられるのは何年ぶりだろう? アリサママが狂って精神病院に行く前でしか記憶に無い。
「勝手にこんなに大きくなっちゃって。 それにあなたの演技は、私も本当にあなたが死んじゃったんじゃないかと思って、震えて後悔したぐらいとても素晴らしかったわ。 ヴァイオリンの演奏も言葉に言い表せないぐらいステキだったわよ。 アキラ、心を入れ替えてちゃんと大切にするから、もう勝手に居なくならないでね。」
そう言って僕を抱きしめるアリサママから、花のような匂いがした。
これで、銀河鉄道の夜の劇場公演は終了となります。
予想以上に長い話となってしまいましたが、この長い話にお付き合いいただいた皆様、本当にありがとうございました。日々の感想がとてもうれしかったです。
お盆明けでまた仕事が始まってしまったので、また週に数回の投稿にペースが落ちるとは思いますが、次回以降は世間の反応や掲示板回を中心に、この劇の反応などをお伝えしていく予定です。 お楽しみに!
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銀河鉄道の夜実況スレ1
235名無し@銀河鉄道
ぐわ――――――。 チケット外れた!! 生で観ている人が羨ましすぎる。
236名無し@銀河鉄道
まぁ、仕方がないわな。
237名無し@銀河鉄道
そもそもここに居るのは、みんなチケットが外れた人間だから、みんなで仲良く舞台の配信を観ようや。
238名無し@銀河鉄道
巌裕次郎が演出するF4の舞台。絶対に生で観たかった。
239名無し@銀河鉄道
初日にネット配信してくれるだけでも御の字だろ。
240名無し@銀河鉄道
ネット配信が初日とかどうなっているんだよ!?
241名無し@銀河鉄道
初日が無料で、初日以降は有料とか絶対に自信が無いとできない。
242名無し@銀河鉄道
初日で話題になって、次の日以降に有料でも観たいという人が出る自信があるんだろうな。
243名無し@銀河鉄道
どんな舞台なんだろう? 巌裕次郎の総決算。楽しみすぎる。
244名無し@銀河鉄道
総決算に選ぶのが若手最高の役者達であるF4達とか、すごすぎ。
245名無し@銀河鉄道
チケットには外れちゃったけど、今から全裸待機しています。
246名無し@銀河鉄道
全裸待機www
247名無し@銀河鉄道
俺もスマフォ持って風呂の中で全裸待機しようかな?
248名無し@銀河鉄道
↑合法的に全裸待機ができる鬼才が現る!
249名無し@銀河鉄道
全裸待機界に新たなる旋風が巻き起こされたな。
250名無し@銀河鉄道
そうか!風呂で視聴すれば安心して全裸待機できるな。天才だ!
251名無し@銀河鉄道
銭湯でも行ける!!
252名無し@銀河鉄道
>>251
銭湯では他のお客さんに迷惑になるから止めような。
253名無し@銀河鉄道
どうして全裸待機ネタでこんなに盛り上がるんだw
254名無し@銀河鉄道
お前ら、全裸待機じゃなくて、舞台の話で盛り上がれよwww
255名無し@銀河鉄道
いや、楽しみすぎて、意識が飛んでたすまん。
256名無し@銀河鉄道
俺も、ちょっとハイになっていたわ。スマソ。
257名無し@銀河鉄道
やっぱり景ちゃんのカムパネルラが楽しみだな。
258名無し@銀河鉄道
主役だからな。 出演時間も多いだろうし、なによりもあの景ちゃんがどんな芝居を見せてくれるのか、すごく楽しみだ。
259名無し@銀河鉄道
同じ主役でも阿良也は回数が多いから、注目はやっぱり景ちゃんに行くよな。
260名無し@銀河鉄道
阿良也の舞台のチケットを取るだけでも、ものすごく大変なんだが・・・。
261名無し@銀河鉄道
阿良也、景ちゃん、千世子ちゃん、そしておまけにキアラ嬢と、見どころ満載過ぎてどんな舞台になるのか全く予想が付かん。
262名無し@銀河鉄道
キアラ嬢の扱いwww
263名無し@銀河鉄道
星アキラの双子の妹というのは伊達じゃないからな。
264名無し@銀河鉄道
一部では、演技力はアカデミー賞で助演男優賞を取った兄と互角という噂があるからな。今から楽しみだ。
265名無し@銀河鉄道
マジで互角だからなw しかも千世子ちゃんとのセット出演とか、何もないと思う方がおかしいだろ。
266名無し@銀河鉄道
百城千世子と星キアラの組み合わせは凄すぎw
267名無し@銀河鉄道
星キアラもたまにしか出ないけど、美人すぎだからな。
268名無し@銀河鉄道
千世子ちゃんの横に立って、遜色ない所がヤバすぎるw
269名無し@銀河鉄道
夜凪景、百城千世子、星キアラに囲まれるとか、阿良也はマジでハーレムだよな。前世でどんな徳を積んだんだ。
270名無し@銀河鉄道
本命は星キアラ定期。
271名無し@銀河鉄道
どちらかと言えば、明神ラーヤと星キアラ。
272名無し@銀河鉄道
出演者から見ると、ハーレムに見えなくもない。
273名無し@銀河鉄道
でも見方によっては、星アキラのハーレムに見えなくもない。
274名無し@銀河鉄道
俺には、ヴァルハラで毎日朝から殺し合って、晩には宴をしている戦友同士にしか見えんwww
275名無し@銀河鉄道
お前らがくだらない話をしているうちに、劇が始まるぞ。
276名無し@銀河鉄道
ああ、始まるな。
277名無し@銀河鉄道
画面の前でも緊張する。
278名無し@銀河鉄道
幕が開いた。 始まる。
279名無し@銀河鉄道
うわぁ、綺麗なセット。 ちょっと異世界の教室味がある。
280名無し@銀河鉄道
いきなりちょっと非日常的な感じから始まったな。
281名無し@銀河鉄道
これが、阿良也? すごくおとなしい男の子って感じ。あのワイルドなマタギはどこに行っちゃったの?
282名無し@銀河鉄道
さすがはカメレオン俳優。 役によって雰囲気をガラリと変えてくるな。
283名無し@銀河鉄道
景ちゃんのカムパネルラもいい。 すごく中性的な魅力があって素敵。
284名無し@銀河鉄道
すごくいいね。ベースが美人って所もあるけれども、カムパネルラの雰囲気にすごく合っている気がする。
285名無し@銀河鉄道
先生の説明いいな。科学の説明なんだけど、ロマンチックだ。
286名無し@銀河鉄道
早くも宮沢賢治って感じがする。ちょっと雰囲気に入ってきた。
287名無し@銀河鉄道
先生に指名されてどもるジョバンニw
288名無し@銀河鉄道
上手いな。普段の阿良也の芝居とはまた違った方向性が見える。
289名無し@銀河鉄道
こうやって見ると、明神阿良也ってすごく器用だよね。
290名無し@銀河鉄道
役によって別人になるからな。
291名無し@銀河鉄道
景ちゃんはまだ台詞がないからよくわからん。
292名無し@銀河鉄道
じきにしゃべるだろう。そっからだな。
293名無し@銀河鉄道
でもカムパネルラの優しそうな雰囲気は伝わってくるよ。
294名無し@銀河鉄道
この辺は女性の景ちゃんをカムパネルラにした演出が出ているな。
295名無し@銀河鉄道
もうカムパネルラの雰囲気だけで名作の予感。
---------------------
356名無し@銀河鉄道
ザネリwww
357名無し@銀河鉄道
ジョバンニに絡みまくりw
358名無し@銀河鉄道
これはウザいww
359名無し@銀河鉄道
見事なウザさw
360名無し@銀河鉄道
子供っぽい煽りだけど、こっちもイラっと来た。
361名無し@銀河鉄道
こういう役をさせたら、亀太郎は目立つなw
362名無し@銀河鉄道
だからがっかり亀太郎とか言われるんだよww
363名無し@銀河鉄道
いや、悪役は物語には重要な役なんだから、これは必要だろう。
364名無し@銀河鉄道
当然だよな。そういう役なんだから。
365名無し@銀河鉄道
でもちょっと純情そうで、からかっているだけで、悪になりきれない所がいいな。
366名無し@銀河鉄道
そりゃそうだ。普通のいじめっ子であって、別に世界征服を企んでいる訳じゃないからな。
367名無し@銀河鉄道
まぁ、ウザさは満点だな。近所のウザいガキ大将を思い出したわ。
368名無し@銀河鉄道
こうして、天球輪の丘に行く訳か。
369名無し@銀河鉄道
今度はさっきとはうって変わって、シンプルな感じだな。
370名無し@銀河鉄道
影絵だな。 阿良也に集中できていい感じ。
371名無し@銀河鉄道
やっぱり阿良也の演技はいいな。一生懸命だ。
372名無し@銀河鉄道
実際、父親が行方不明の中、病気の母親を支えて立派よ。
373名無し@銀河鉄道
こんなに大変なのに、ザネリもいじめる事は無いのにな。
374名無し@銀河鉄道
その辺が子供だよね。
375名無し@銀河鉄道
もっとも、ザネリはザネリでこの後、超トラウマ級の後悔をすることになるがなw
376名無し@銀河鉄道
まぁ、今頃カムパネルラはザネリを助けて溺死している訳だが。
377名無し@銀河鉄道
ネタバレ禁止!!
378名無し@銀河鉄道
お前ら、血も涙もないなw
379名無し@銀河鉄道
ザネリ以上にお前らヤバいなww
380名無し@銀河鉄道
ネットの闇は恐ろしい。
381名無し@銀河鉄道
そりゃそうよ。純朴な宮沢賢治の時代と情報過多で情緒が育たない現代と比べるなよ
382名無し@銀河鉄道
急にザネリがかわいそうになってきた。
383名無し@銀河鉄道
本当にな。なんかザネリがいいやつに思えてきた。
384名無し@銀河鉄道
ザネリもネットのオマエラに比べたら邪悪じゃないかも・・・。
385名無し@銀河鉄道
恐るべきネットの闇。
386名無し@銀河鉄道
ネットの闇と言うか、人間の闇と言うか・・・。
387名無し@銀河鉄道
そんなストレスを抱えた現代人の闇なんかに付き合わないで、素直に舞台を見ようぜ。
388名無し@銀河鉄道
そうだな。 もっと舞台を楽しもう!
389名無し@銀河鉄道
阿良也の演技は本当にいいな。雰囲気に引き込まれる。
390名無し@銀河鉄道
影絵のシンプルな背景がいいよな。物語の情景がぐっと入ってくる。
391名無し@銀河鉄道
本当に阿良也かと思わせるぐらいの、別人格で笑う。
392名無し@銀河鉄道
突然煙が・・・。
393名無し@銀河鉄道
第一幕が終了だな。想像以上に引き込まれた。
394名無し@銀河鉄道
おれ、さっきから引き込まれまくりなんだけど、かなり良い劇になる予感なんだけどどう?
395名無し@銀河鉄道
そうだな。あの四人が出る割にはずいぶん大人しい題材だなって思っていたけれども、宮沢賢治の独特の雰囲気が出てすごくいいな。
396名無し@銀河鉄道
巌裕次郎&宮沢賢治って感じ。素敵すぎる。
397名無し@銀河鉄道
すんごく綺麗だった。物語の世界観に引き込まる感じ。
398名無し@銀河鉄道
傑作になる予感はひしひしと伝わってくる。この後のみんなの出演も期待。
399名無し@銀河鉄道
でも、この静かな物語にアキラ君達4人が出演する必要があったのかな?
400名無し@銀河鉄道
たぶん、巌裕次郎だから何か考えている。
401名無し@銀河鉄道
阿鼻叫喚の舞台になるかもよ?
402名無し@銀河鉄道
銀河鉄道の夜だとそれは無いだろw
403名無し@銀河鉄道
(ヾノ・∀・`)ナイナイ
404名無し@銀河鉄道
そうだよね―。 このまま綺麗な舞台で終わるはずだよ。
405名無し@銀河鉄道
フラグにならなければいいけど・・・。
406名無し@銀河鉄道
それじゃオマエラ、第二幕もヨロシクー。
407名無し@銀河鉄道
第二幕もヨロ。
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銀河鉄道の夜実況スレ2
720名無し@銀河鉄道
第1幕はすごく良かったな。
721名無し@銀河鉄道
ほんとほんと。まさしく銀河鉄道の夜って感じで、ジョバンニの居る世界が描かれていた。
722名無し@銀河鉄道
もうすぐ第二幕がはじまるな。
723名無し@銀河鉄道
いよいよ。銀河鉄道に乗り込むのか。
------------------------------
810名無し@銀河鉄道
いきなり煙がすごいな。
811名無し@銀河鉄道
舞台が見えんwww
812名無し@銀河鉄道
実際には水蒸気だからそろそろ晴れると思うんだけど。
813名無し@銀河鉄道
晴れてきた。 ・・・・・えっ?
814名無し@銀河鉄道
マジで? セットどうした!?
815名無し@銀河鉄道
椅子だけで阿良也しか居ないんだが・・・。
816名無し@銀河鉄道
阿良也も戸惑っとるw
817名無し@銀河鉄道
戸惑っているのは俺らなんだが・・・。
818名無し@銀河鉄道
まじでセットどうしたんだ?
819名無し@銀河鉄道
俺らと阿良也、完全にシンクロw
820名無し@銀河鉄道
天球がお金無くてセットを作るのを諦めたかな?
821名無し@銀河鉄道
学級会の劇以下じゃねぇかwwww
822名無し@銀河鉄道
セットを出し忘れたとか・・・。
823名無し@銀河鉄道
それも無いだろww
824名無し@銀河鉄道
まじで、どうするんだこの状況・・・。
825名無し@銀河鉄道
意味不明すぎるwww
826名無し@銀河鉄道
会場もざわついとるw
827名無し@銀河鉄道
まぁそうなるよね。これ、巌裕次郎の演出なの?
828名無し@銀河鉄道
あっ、誰か出てきた。
829名無し@銀河鉄道
カムパネルラだ!
830名無し@銀河鉄道
景ちゃん、ちょっと雰囲気変わった?
831名無し@銀河鉄道
なんか教室とかで見たときよりも魅力が上がっている気がするんだけど。
832名無し@銀河鉄道
気のせいじゃない?
833名無し@銀河鉄道
いや、しゃべったら余計にすごい。
834名無し@銀河鉄道
うわっ、窓を開けるシーンで寒気がした。
835名無し@銀河鉄道
すごくねぇ? まじで列車の窓を開けている情景が浮かんでくるんだけど。
836名無し@銀河鉄道
ほんとだよ。二人の会話で銀河鉄道の景色が浮かんでくる。
837名無し@銀河鉄道
景ちゃんすげぇな。 それにボーイッシュな感じもしてすごくいい。
838名無し@銀河鉄道
存在感って言うのかな? 雰囲気が全然違う。 現実にも居そうだけどこの世の者とは思えない感じ。
839名無し@銀河鉄道
映画で見る千世子ちゃんに近い気もするけど、なんか不思議な感じがするぶん、俺の好みだわ。
840名無し@銀河鉄道
誰だよ、景ちゃんをF4のゲロ担当とか言ったやつは。
841名無し@銀河鉄道
お前それ、珍獣担当とカメレオン担当の前で言えるの?
842名無し@銀河鉄道
天使以外はろくな担当が居ないじゃねぇかwwww
843名無し@銀河鉄道
いや、本当にすごいな。存在感が違う。 阿良也と一緒に舞台に立って全く遜色ないじゃん。
844名無し@銀河鉄道
本当に若草物語以来、舞台に立っていなかったのかな。 一緒に舞台に立たせると存在感が際立つ。
845名無し@銀河鉄道
カムパネルラとジョバンニが舞台で演技をするたびに銀河鉄道の情景が見える。
846名無し@銀河鉄道
椅子だけとかマジかとか思ったけど、余計なセットがない分、役者の力量がダイレクトに伝わるな。セットのこととか全然気にならん。
847名無し@銀河鉄道
役者の演技で観客に情景を見せるとかマジで化け物だろ。
848名無し@銀河鉄道
こんなの普通の役者じゃ絶対にできない。
849名無し@銀河鉄道
俺の頭の中で銀河鉄道の客車内で聞こえる線路の音とか、汽笛の音まで再生されているんだけど、まじかよ。
850名無し@銀河鉄道
感受性がすごいな。 俺は真空の水をたたえる銀河の情景が浮かんだぐらいだな。
851名無し@銀河鉄道
俺、すんげぇ震えてる。 役者の演技力さえあればセットなんて要らないんだ。 これが巌裕次郎の舞台。
852名無し@銀河鉄道
もう、これだけで伝説の舞台だわ。
853名無し@銀河鉄道
こんなすげぇ舞台見れただけでもう死んでもいい。いや、死んでまう。
854名無し@銀河鉄道
でた死んでもいいニキ。
855名無し@銀河鉄道
死んでもいいニキ、オッスオッス。
856名無し@銀河鉄道
これを見て言える結論は夜凪景すげぇ、明神阿良也すげぇっていう事だな。
857名無し@銀河鉄道
特に景ちゃんすげぇ。こんな短期間で舞台の練習をしただけで、阿良也の横に立って遜色がないとか本当に天才だわ。
858名無し@銀河鉄道
アキラ君とか千世子ちゃんが景ちゃんのことを天才っていうのを納得したわ。てっきり身内びいきかと思ってた。
859名無し@銀河鉄道
いや、明らかに才能はあったぞ。じゃないとF4に入るか入らないかで論議になるはずだろ。
860名無し@銀河鉄道
まぁ、F4の中では、常識人でいい子だったけど、他があれ過ぎて常識人は目立たないっていうのはあった。
861名無し@銀河鉄道
いや、ケイティはヤバかったぞ。 VTuberになったらまじでヤバいだろ。
862名無し@銀河鉄道
VTuberはみんなヤバい定期。
863名無し@銀河鉄道
演じている時は豹変するのはあった。 普段がいい子すぎて、演じているときの落差が・・・。
864名無し@銀河鉄道
その辺の役への入り込み方が天才かと思っていたら、ガチで演技の天才だったとかみんな分からんだろ。
865名無し@銀河鉄道
アキラ君とか千世子ちゃんは天才だって言ってたじゃん。
866名無し@銀河鉄道
だから、あのクラスのスーパースターじゃないと分からないということ。天才って言ってもいろいろあるし、こんなに根底から才能の違いを感じさせる演技をしてくるとは思わなかった。
867名無し@銀河鉄道
俺らニートと、天才俳優達を比べるなよw。 俺なんて普段ごろごろしているだけだぞ。
868名無し@銀河鉄道
全員がニートじゃないだろww
869名無し@銀河鉄道
一億総ニートとか、これはもう日本終わりだなw
870名無し@銀河鉄道
ニートでもなんでもいいわ。 俺は夜凪景を見直したね。 ファンになっちゃったかも。
871名無し@銀河鉄道
でも、こうなるとこの後にアキラ君と千世子ちゃんがどんな演技をするか心配だな。
872名無し@銀河鉄道
この全開ガンギマリな阿良也と景ちゃんの演技だと喰われまくりかもw
873名無し@銀河鉄道
キアラ嬢と千世子ちゃんは二人ともどちらかというと映像系の役者だからな。舞台で一緒に見ちゃうとちょっと見劣りするかも。
874名無し@銀河鉄道
その辺、編集ができないから舞台は残酷だよな。F4の格付けが変わりそう。
875名無し@銀河鉄道
格付けも何も、アキラ君が四天王で一番最初にやられる役なのは決まっているのですが・・・。
876名無し@銀河鉄道
その論議は収拾が付かなくなるから止めろw
877名無し@銀河鉄道
あいつ、一番のザコに見えてトリッキーな強キャラポジションだからな。
878名無し@銀河鉄道
それに、アキラ君じゃなくて、キアラ嬢ですし、格付けとか心外ですわwww
879名無し@銀河鉄道
・・・お前ら元気だな。 俺なんてずっと画面に吸い込まれて今まで掲示板を見るのすら忘れていたわ。
880名無し@銀河鉄道
俺も同じ。 まじで役者の凄さに見とれていた。 舞台なんてほとんど見ないエアプなのに、画面から目が離せない。
881名無し@銀河鉄道
私もそう。舞台はたまに見るけど、今まで見たどんな舞台よりも格が違う感じ。
882名無し@銀河鉄道
そこまで集中できるのはある意味幸せ。
883名無し@銀河鉄道
俺らはみんな、実況しながらワイワイと楽しむように条件反射的にレスを付けていくのが習慣になっているからな。どんなにすごくても俺はレスが止まる事は無いな。
884名無し@銀河鉄道
いや、俺も書き込む余裕が無くてROMってた。 今回の舞台はマジですごい。 主役二人が別格だわ。
885名無し@銀河鉄道
まぁ、俺の書き込みを止められたら褒めてやるよ。
886名無し@銀河鉄道
フラグ立ちまくりwww
887名無し@銀河鉄道
児童文学でそれは無いっしょw。 でも序盤なのに、ここまでの演技で成功は約束された感じはする。
888名無し@銀河鉄道
ワイも同感や。これはごっつう凄い舞台やで。見る舞台じゃなくて感じる舞台や。 インスピレーションが刺激されまくりや。
889名無し@銀河鉄道
二人で走る、ジョバンニとカンパネルラすごくいいな。
890名無し@銀河鉄道
なんか、子供の頃に、友達と一緒に遊んでいて、夕方になって夕焼け小焼けの音楽が鳴ってちょっと寂しくなった時のことを思い出した。
891名無し@銀河鉄道
俺も、なんか子供の頃に遊んでた記憶が蘇ってきた。なんかこの舞台は、すごく子供の頃の思い出とか感性を刺激するんだよな。
892名無し@銀河鉄道
シンプルで、俳優の演技力だけで魅せているから、そういう思い出とかも刺激されやすいんだろうね。
893名無し@銀河鉄道
最高の演技なんだけれども、大人が見るとノスタルジックで哀愁も感じるよね。
894名無し@銀河鉄道
過ぎてしまった少年時代の感動を思い起こさせる。 なんか一緒に見ている息子にもっと優しくしてあげたくなる。
895名無し@銀河鉄道
優しくしてあげてお父さんw
896名無し@銀河鉄道
そうだぞ。ご子息にはこの場面も大切な思い出なんだからな。
897名無し@銀河鉄道
みんなありがとう。 意外にお前ら優しいんだな。
898名無し@銀河鉄道
もちろんだ。 俺らが厳しいのはリア充だけで、妻子持ちは関係無いからな。
899名無し@銀河鉄道
結婚するとなぜかリア充じゃ無くなるんだよなww お前らリア充以外には聖人君子だよなw
900名無し@銀河鉄道
それはもちろんよ。
901名無し@銀河鉄道
しかし、この規模の劇でセット無しの椅子だけとか見た事も無いけど、流石は巌裕次郎。 最高の俳優を揃えたんだな。
902名無し@銀河鉄道
明神阿良也と夜凪景、間違いなくこの二人は最高の舞台俳優。
903名無し@銀河鉄道
この二人の演技を見ていると、文字通り独壇場だからな。 一人じゃなくて二人だけど・・・。
904名無し@銀河鉄道
他の俳優は、本当に脇役以外では入る余地は無いよね。
905名無し@銀河鉄道
まだ星キアラと百城千世子が出て来てさえいないのに、舞台がすでにものすごくエモいのがヤバイ。
906名無し@銀河鉄道
まさか、星キアラは空気を読まないで、この最高にエモい舞台を台無しにしないよな・・・。
907名無し@銀河鉄道
デスアイランドの悪夢が蘇る。
908名無し@銀河鉄道
なんでや。 デスアイランド最高だったやろ。 実際、あれでB級感が完結して完成度が上がったやろ。
909名無し@銀河鉄道
実際、アキラ君が居なかったら、絶対にあそこまでヒットしなかったしな。
910名無し@銀河鉄道
そうだな。すくなくともデスアイランドで星アキラは映画を台無しにはしていないぞ。 逆にあのシーンであの演技ができる事がスゲェ。
911名無し@銀河鉄道
でもハリウッドで鼻がピノキオみたいに伸びているアキラ君が、空気を読まないでこの舞台で大暴れしたら・・・。
912名無し@銀河鉄道
星キアラだから大丈夫じゃね?
913名無し@銀河鉄道
乗客としてムスカ大佐やベネットが乗り込んできたら怖いんだけどww
914名無し@銀河鉄道
銀河鉄道が、天国への旅路じゃなくて、地獄への超特急になってまうwwww
915名無し@銀河鉄道
元々、存在感はあるけど、台無しした事は無いし大丈夫じゃね? でもこの状態だと、逆に存在感が無くてハリウッドスターもこんなもんかって感じになりそう。
916名無し@銀河鉄道
そうだよな。 星アキラもエモいけど、方向性が違うし、この二人に割って入れるとも思えないから、たぶん出てきて普通に演技して終わりだな。
917名無し@銀河鉄道
私も、キアラちゃんと千世子ちゃんも他の仕事も忙しかったって言うし、舞台に立たせて、妥当な芝居をして終わりって感じだと予想してる。 それでF4みんなで舞台に立って思い出にするって感じで。
918名無し@銀河鉄道
でも、巌裕次郎だからな・・・。絶対に何かを仕掛けている感じがあるんだよね。
919名無し@銀河鉄道
そうだよね。無難に終わって欲しくないっていう期待感はある。
920名無し@銀河鉄道
俺は、あえて何かやってくれると思う。 星アキラにはそんな期待がある。
921名無し@銀河鉄道
アキラ信者も大変やなぁ。 これからは夜凪景の時代やで!
922名無し@銀河鉄道
信者言うなしwww
923名無し@銀河鉄道
いくらあの珍獣でも、今回は無難な役回りだろw
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銀河鉄道の夜実況スレ3
121名無し@銀河鉄道
他の乗客との会話いいな。
122名無し@銀河鉄道
雁を食べるとお菓子っていうのが理解できんわ
123名無し@銀河鉄道
でも楽しそう。チョコレートよりも美味しいとか味も気になる。
124名無し@銀河鉄道
銀河鉄道の旅情ってこんな感じなのだろうか
125名無し@銀河鉄道
俺も天国へ行く時にはこんな感じの汽車で旅をして天国へ逝きたい。
126名無し@銀河鉄道
確かに。 こんな旅をした後に天国へ行きたいと思うわ。
127名無し@銀河鉄道
切符の確認か。
128名無し@銀河鉄道
3次元空間の切符ってなんぞ?
129名無し@銀河鉄道
ここでジョバンニの切符が3次元空間の切符でみんな驚くんだよね。
130名無し@銀河鉄道
この中でジョバンニだけが生きているからな。でもジョバンニはそれを知らない。
131名無し@銀河鉄道
なるほど。
132名無し@銀河鉄道
ジョバンニとカムパネルラにスポットライトが当たっている間に、乗務員も鳥を取る人も居なくなったな。
133名無し@銀河鉄道
また二人だけになっちゃった。
134名無し@銀河鉄道
次辺りにキアラちゃんの出番かな?
135名無し@銀河鉄道
そろそろだと思うけど、どうなんだろ?
136名無し@銀河鉄道
えっ?
137名無し@銀河鉄道
ぞわっと来た。
138名無し@銀河鉄道
ちょっと待てや・・・。
139名無し@銀河鉄道
どう言う事?
140名無し@銀河鉄道
キアラちゃんだよね?
141名無し@銀河鉄道
マジ?
142名無し@銀河鉄道
死んでるよね?
143名無し@銀河鉄道
ちょっとどうなっているんだよ?
144名無し@銀河鉄道
理解できない。
145名無し@銀河鉄道
俺も。
146名無し@銀河鉄道
どう言う事?
147名無し@銀河鉄道
アキラ君死んじゃったの?
148名無し@銀河鉄道
ぎゃーーーーーっ。
149名無し@銀河鉄道
ちょっと誰か説明を!!!
150名無し@銀河鉄道
識者求む!
151名無し@銀河鉄道
まじでどうなっているんだよ!
152名無し@銀河鉄道
俺おかしくなった?
153名無し@銀河鉄道
ねぇ、アキラ君死んでいるよね?
154名無し@銀河鉄道
ちょっ
155名無し@銀河鉄道
マジで!?
156名無し@銀河鉄道
混乱している。
157名無し@銀河鉄道
キアラちゃん・・・どう言う事?
:
:
------------------------------------------
:
822名無し@銀河鉄道
何で、アキラ君が死んでいるってわかるの?
823名無し@銀河鉄道
マジわからん。
824名無し@銀河鉄道
本当に阿鼻叫喚でワロタ
825名無し@銀河鉄道
いや、阿鼻叫喚でもワロエナイ。 まじで何なんだよ。これ。
826名無し@銀河鉄道
いや、本当にわからん。 死んでいる事は理解できるんだけど、どう言う事!?
827名無し@銀河鉄道
死んでいる事を理解できることが理解できん。
828名無し@銀河鉄道
みんな何をもって死んでるって判断しているの? 識者求む。
829名無し@銀河鉄道
スマフォ落として今復活した。
830名無し@銀河鉄道
呆然としている。星アキラ死亡の緊急ニュースが流れていないかゴグった。
831名無し@銀河鉄道
俺もニュースサイト確認した。まじでどう言う事!?
832名無し@銀河鉄道
集団幻覚を見せられているとしか思えん。
833名無し@銀河鉄道
キアラちゃん、死んでいるよね?
834名無し@銀河鉄道
ああ。死んでいるって理解できる。でも何で理解できるか全然わからん。
835名無し@銀河鉄道
隣で見ている母が仏様に祈っていてヤバいんだけど。
836名無し@銀河鉄道
死者の役をするために、死んで来たとか・・・。
837名無し@銀河鉄道
数々の役者の逸話は聞いた事があるけど、死者の役をやるために死んで来た役者は今まで居ないぞ。
838名無し@銀河鉄道
でも、そうとしか思えん。 掲示板を見てもみんなが死んでいるって理解できるのが異常。
839名無し@銀河鉄道
なんか、奥底の人間を形作る部分が死んでいるって認識している感じ。
840名無し@銀河鉄道
風呂の中にiPhone落とした・・・。今は予備のAndroidでチャットしてる。
841名無し@銀河鉄道
お前、マジで風呂で観てたのかよw
842名無し@銀河鉄道
これ、すげぇニュースになるだろ。
843名無し@銀河鉄道
マジ凄い。こんな影響を与える役者なんて見た事が無い。
844名無し@銀河鉄道
千世子ちゃんが出て来て安心する。
845名無し@銀河鉄道
千世子ちゃん単体で見ると、かなりヤバイ演技に見えるんだけど、相方がヤバすぎて超癒しだよ。
846名無し@銀河鉄道
相方はガチで死んでいるからな。
847名無し@銀河鉄道
千世子ちゃんが通路を元気に歩くだけで癒される。
848名無し@銀河鉄道
千世子ちゃんの明るさがなんとも癒しだな。
849名無し@銀河鉄道
視聴者に安心を届ける女、百城千世子。
850名無し@銀河鉄道
千世子ちゃんで落ち着く。 こんなの絶対に無いシチュエーションだと思ってた。
851名無し@銀河鉄道
この場合、相方が激ヤバなだけなんだよなぁ・・・。
852名無し@銀河鉄道
相方のヤバさを見事にやわらげていて助かる。
853名無し@銀河鉄道
こんな可愛い子が死んでいるなんて事無いよね・・・。
854名無し@銀河鉄道
まさかそんな事は・・・。
855名無し@銀河鉄道
千世子「私達の乗っていた船が氷山にぶつかって沈んでしまったの。」
856名無し@銀河鉄道
やっぱり死んでいるじゃないか。
857名無し@銀河鉄道
ウワァァ━━。゚(゚´Д`゚)゚。━━ン!!
858名無し@銀河鉄道
あの明るさは空元気かよ。(涙
859名無し@銀河鉄道
こうやって見ると、千世子ちゃんも死んでる・・・。
860名無し@銀河鉄道
全然癒しじゃ無かった(泣
861名無し@銀河鉄道
うん。キアラちゃんよりも薄いけど死んでる気がする。
862名無し@銀河鉄道
まじでどうなっているの? この人達。
863名無し@銀河鉄道
全然安心できないよ。
864名無し@銀河鉄道
そういえば、カムパネルラよりも死の感じが強い気がする
865名無し@銀河鉄道
普段は草生えたりしているのに、掲示板も全然余裕がないのだが。
866名無し@銀河鉄道
どんな舞台なんだよ一体・・・。
867名無し@銀河鉄道
ここまで来るとすごすぎて理解を超えて意味不明だよ。
868名無し@銀河鉄道
キアラちゃんも千世子ちゃんもヤバすぎる。 誰だよ。 阿良也と景ちゃんに埋もれるとか言ったやつは。
869名無し@銀河鉄道
もう手のひらがグルグルですよ。
870名無し@銀河鉄道
お前らの手のヒラのボールベアリングは高性能だなw
871名無し@銀河鉄道
七生姉さんもいいな。
872名無し@銀河鉄道
うん。他の4人が化け物すぎていて目立たないけど、見事に助演している。
873名無し@銀河鉄道
すんごくいい味出している。 むしろ他がみんなヤバすぎて安心する。
874名無し@銀河鉄道
あの四人が支える氷の上でタップダンスを踊るような芝居なのによくやるわ。 俺は絶対できねぇ。
875名無し@銀河鉄道
一緒に出てきた二人がもう人外クラスだから、むしろ観客の理解を助ける一般人役。
876名無し@銀河鉄道
本人は、この天才4人に包囲されて生きた心地がしないだろうがな。
877名無し@銀河鉄道
でも、七生の役もすでに死んでいるんだけどなぁ・・・。
878名無し@銀河鉄道
上手い。 座布団一万。
879名無し@銀河鉄道
一万枚もいらんわw
880名無し@銀河鉄道
ヴァイオリン!?
881名無し@銀河鉄道
いつの間に持っていたの? 今までヴァイオリンなんて持っていなかったよね?
882名無し@銀河鉄道
確かに。なんか手品みたい。
883名無し@銀河鉄道
この状態でキアラ嬢のヴァイオリン。 怖いけどちょっと楽しみ。
884名無し@銀河鉄道
おおっ。ちゃんと調弦しとる。
885名無し@銀河鉄道
松脂ぬりぬり。 こうやってみると生きている気がするだけど、死んでいるんだよなぁ・・・。
886名無し@銀河鉄道
ほんと、何で死んでいるって思えるのかすごい不思議。
887名無し@銀河鉄道
けっこう弾き始めるまでに時間かかるんだな。
888名無し@銀河鉄道
でも実際に弾いてくれって頼んだらこんな感じじゃない?
889名無し@銀河鉄道
確かに。それに、この世の者とは思えないキアラ嬢のヴァイオリンの曲を聞いてみたい気がする。
890名無し@銀河鉄道
ううっ、これまでの舞台だけでも死んでもいいって思ってたのに、さらにヴァイオリンを弾いてくれるなんて本当に死んでまう。
891名無し@銀河鉄道
死んでもいいニキがんばって!
892名無し@銀河鉄道
絶対にヤバい物のような気がするけれども、がんばって!
893名無し@銀河鉄道
そうだな。ここまで来て、キアラ嬢のヴァイオリンを聞かないと絶対に後悔する気がする。
894名無し@銀河鉄道
さあ演奏が始まるぞ。
895名無し@銀河鉄道
えっ、これすごい。
----------------------------------------------------
896名無し@銀河鉄道
今来た。現在仕事中で舞台を見れないんだけど、どんな感じ? 報告ヨロ。
897名無し@銀河鉄道
お前ら?
898名無し@銀河鉄道
なんだ? 掲示板のサーバーの故障かな? 反応が無い。書き込めているみたいだけど・・・。
899名無し@銀河鉄道
また後で来るわ。 それじゃ。
----------------------------------------------------
900名無し@銀河鉄道
第二幕が終わった・・・・お前ら、生きているか?
901名無し@銀河鉄道
生きている。 まじで放心状態だが。
902名無し@銀河鉄道
涙で前が見えない。 なんだこの感じ。
903名無し@銀河鉄道
悲しい訳でも無い、心の奥底の魂みたいなのが感動して私に涙を流させてる。
904名無し@銀河鉄道
なんだろう、生まれてきた事にすごく感謝している感じ。
905名無し@銀河鉄道
嬉しいのか、悲しいのか、いろんな感情がごっちゃ混ぜになって涙が止まらない
906名無し@銀河鉄道
死者から生者へのメッセージというか、生者へのレクイエムって感じ。
907名無し@銀河鉄道
俺もそう思う。 生者へのレクイエムって言葉が一番しっくりと来る。
908名無し@銀河鉄道
レクイエムって死者へ捧げる曲だと思っていたけれども、死者から生者へ奏でるとこうなるんだな。
909名無し@銀河鉄道
これ、リストの愛の夢だよね。 本当に愛の夢が見えた気がする。
910名無し@銀河鉄道
生きてこの曲を聞けて本当に良かった。 生きてて良かった。
911名無し@銀河鉄道
我が家はリビングで見ている一家総出で号泣中。
912名無し@銀河鉄道
死者からのメッセージでこれは反則過ぎる。 こんなの感動するに決まっているじゃん。
913名無し@銀河鉄道
お前ら、窓の外の景色見て見ろよ。 景色がすんごく綺麗だぞ。
914名無し@銀河鉄道
本当だ。空が青くて、緑がこんなに深い色をしていて、カラフルで光り輝いていて、何か心の奥底から笑いが込み上げてくる。
915名無し@銀河鉄道
なんか、この曲を聞いた後に世界の見え方が変わった気がする。
916名無し@銀河鉄道
うん。空気っていうか、感触って言うか、世界がすごくクリアに感じる。
917名無し@銀河鉄道
死者から生きる事への感動を教えてもらうとか、こんな演出見た事が無い。 涙が止まらねぇ。
918名無し@銀河鉄道
自分の命なんてちっぽけな物だと思っていて、いつでも死んでもいいとか思っていたけれども、生きるってこんなに感動的な事なんだな。 なんかやり直してみたくなった。
919名無し@銀河鉄道
おおっ、死んでもいい二キが改心したぞ!
920名無し@銀河鉄道
おめでとう!死んでもいいニキ。
921名無し@銀河鉄道
がんばれ! 死んでもいいニキ。 お前ならやれる。
922名無し@銀河鉄道
演奏の影響か、みんな昇天して邪悪さが薄れているな。
923名無し@銀河鉄道
生き汚いのも人間の本質だけど、愛を与えるのも人間の本質なんだなってわかったわ。
924名無し@銀河鉄道
演奏中はみんな書き込みが止まっていたし、どれだけヤバイ演奏だったかかわかるな
925名無し@銀河鉄道
あれは、止まるよ。 だって、あの瞬間に集中してキアラ嬢の奏でる曲を聞かないとか、人生の損失でしか無いじゃん。
926名無し@銀河鉄道
書き込み止まらんニキも流石にあの演奏の前にはね・・・。
927名無し@銀河鉄道
【悲報】書き込み止まらんニキのワイ、星キアラの演奏に完全敗北。
928名無し@銀河鉄道
本当に凄かった。 あのヴァイオリンを聞くだけでも舞台を観に行く価値がある。
929名無し@銀河鉄道
会場の人はこの曲を生で聞いたんだろ? 羨ましすぎるぞ。
930名無し@銀河鉄道
俺、4回目の公演に当たっているんだ。これはもう楽しみすぎる。
931名無し@銀河鉄道
羨ましすぎるぞこの野郎!
932名無し@銀河鉄道
血の涙が出るわ。
933名無し@銀河鉄道
これは素直に羨ましい。
934名無し@銀河鉄道
いや、キアラちゃんの演奏、まじですごかったな。
935名無し@銀河鉄道
キアラちゃんの死者の演技と演奏、千世子ちゃんの小悪魔的な助演とか、みんな凄い。
936名無し@銀河鉄道
F4の恐ろしさをまざまざと見た。
937名無し@銀河鉄道
キアラ嬢と千世子ちゃんは出番がここしか無いから全振りしてきた感じだったな
938名無し@銀河鉄道
本当に、キアラ嬢と千世子ちゃんが、阿良也と景ちゃんに喰われるとか余計なお世話だったな。
939名無し@銀河鉄道
完全に二人の演技を見直したわ。 映像で凄い人は舞台でもすごいんだな。
940名無し@銀河鉄道
本当に手のひら クルクルー クルクルー だなw
941名無し@銀河鉄道
お前らの手のひら扇風機の風はとても快適だわ。
942名無し@銀河鉄道
あの二人、爪痕残しすぎだろ。 感動して涙がボロボロ出ちゃったじゃないか!
943名無し@銀河鉄道
この感動、言葉に言い表せないわ。 本当にありがとう。
944名無し@銀河鉄道
感動しすぎて演奏が終わった後に呆然として、風呂の中に予備のAndroid落とした。 今は前機種のiPhoneで書き込んでいる。
945名無し@銀河鉄道
まだ風呂で観てたのかwww
946名無し@銀河鉄道
フマフォ連続水没ニキには草しか生えないw
947名無し@銀河鉄道
いくら全裸で観られるからって、無茶しやがってw
948名無し@銀河鉄道
そりゃ、あんなすごい演奏を聞かされたら呆然として水没するわ。
949名無し@銀河鉄道
いい加減に風呂から上がれよww
950名無し@銀河鉄道
俺、星アキラってここまですげぇ役者だとは思っていなかった。上っ面だけで表面的な演技が上手いだけの役者だと思ってた。
951名無し@銀河鉄道
俺も。 演技の方向は違うけど、映画はともかく、舞台では母親の足元にも及ばないと思っていたけど、生で観るとそのヤバさが良くわかった。 本当に凄い。
952名無し@銀河鉄道
アキラ君も千世子ちゃんも見た目重視とか、感情重視って所があって昔は演技が薄い感じがしたけれども、今は本当にすごいよ?
953名無し@銀河鉄道
俺は舞台好きだったから、ハリウッドで大人気でも舞台の上では化けの皮が剥がれるとか勝手に思っていたけれども、全然違う。もしかしたら星アリサを超えたかもしれん。本当に参った。 舞台でこんなに涙を流すのは何年振りだろう。
954名無し@銀河鉄道
星アキラも、百城千世子も客観的な演技をするせいか、舞台関係の評論家にはアンチも多かったけれども、もしかしたら評価が変わるかもしれないな。
955名無し@銀河鉄道
間違いなく変わるだろ。 逆に変われないと星アリサを超える目が節穴の人として扱われるぞ。
956名無し@銀河鉄道
こわ―。 舞台雑誌の評論が楽しみだわw
957名無し@銀河鉄道
評論できんのかこれ? 下手な言葉を並べた所でこの舞台の感動には敵わないぞ。
958名無し@銀河鉄道
お前ら、アリサママの節穴の目をしょっちゅうネタにするけど、あれでもスターズを10年あまりで大手事務所に育て上げたバケモンだからな? 本当に節穴だったら絶対に無理だからな。
959名無し@銀河鉄道
みんなが話題にする星アリサの芝居って凄かったんだろうな。俺も生で観たかったよ。
960名無し@銀河鉄道
星キアラも衝撃的だったけど、百城千世子にも驚いたよ。あんな相方を立たせる芝居ができるなんて。
961名無し@銀河鉄道
相方がアキラ君って事があるのかもしれないけど、衝撃的だったな。今でも千世子ちゃんの笑い声が耳の奥から聞こえてくるわ。
962名無し@銀河鉄道
星アキラも百城千世子もどちらも新しい役回りを見せつけただろ。恐ろしすぎる。 でも、今は感動をありがとう。
963名無し@銀河鉄道
ほんと、ありがとう。
964名無し@銀河鉄道
次の第三幕で終わりか・・・。
965名無し@銀河鉄道
終わって欲しくないんだけど、でもここまで本当に凄かった。
966名無し@銀河鉄道
いい舞台だった。まだ第三幕が残っているけど、かなり満足だわ。
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銀河鉄道の夜実況スレ4
210名無し@銀河鉄道
幕間の時間はずっと呆然としていたわ。
211名無し@銀河鉄道
ちょっと復活してきた。
212名無し@銀河鉄道
幕間の時間が普通よりも長いけれども、これはそのための時間だよな。
213名無し@銀河鉄道
恐らくそうだね。本当に人生が変わるような衝撃だった。
214名無し@銀河鉄道
確かに死者の演技だったけれども、なんか生きるって言う事の希望が湧いて来た。
215名無し@銀河鉄道
同意。とにかくすごい舞台だ。
216名無し@銀河鉄道
さあ最終幕の第三幕が開始するぞ。
----------------------------------------------------
357名無し@銀河鉄道
阿良也の一人芝居すげぇな。
358名無し@銀河鉄道
孤独な一人芝居からの、カムパネルラと一緒に居る時の笑顔よ。
359名無し@銀河鉄道
感情の振れ幅がすごい。まるで俺らみたいだ。
360名無し@銀河鉄道
ただの情緒不安定なお前らと一緒にするなw
361名無し@銀河鉄道
演技でやるのと、ナチュラルな情緒不安定は違うぞww
362名無し@銀河鉄道
これぞカメレオン俳優の面目躍如って感じだな。
363名無し@銀河鉄道
カムパネルラどうしたの?
364名無し@銀河鉄道
なんか、雰囲気が変わった。
365名無し@銀河鉄道
うん。 どうなっているんだろう?
366名無し@銀河鉄道
どこへ行くんだ!カムパネルラ!
367名無し@銀河鉄道
カムパネルラ(泣き
368名無し@銀河鉄道
最後にジョバンニに楽しかったって言って微笑むカムパネルラの切なさよ
369名無し@銀河鉄道
ゥヮ―。゚(PД`q*)゚。―ン
370名無し@銀河鉄道
あんなに仲良しだったのに、永遠に別れちゃうなんて切なすぎる。
371名無し@銀河鉄道
ジョバンニの慟哭でまた涙が・・・。
372名無し@銀河鉄道
さっきのキアラの芝居で涙腺の基準が下がっているからもう耐えられん。
373名無し@銀河鉄道
ずっと一緒に居れれば良かったのに。
374名無し@銀河鉄道
ジョバンニの悲しみがダイレクトに伝わってくる。
375名無し@銀河鉄道
今度は悲しみで涙がボロボロ。
376名無し@銀河鉄道
何回泣かせるんだこの舞台は。
377名無し@銀河鉄道
このまま終わるなんて切なすぎる。
378名無し@銀河鉄道
でも、これで現実に戻って終わりなんだよね。
379名無し@銀河鉄道
銀河鉄道の夜は切ないな。
380名無し@銀河鉄道
もうすぐ銀河鉄道の旅路も終わりか。
381名無し@銀河鉄道
暗くなってきた。
382名無し@銀河鉄道
現実に戻るな。
383名無し@銀河鉄道
うん。本当に綺麗な物語だった。
384名無し@銀河鉄道
!!!!?
385名無し@銀河鉄道
誰!?
386名無し@銀河鉄道
えっ、お前は誰だ!
387名無し@銀河鉄道
こんな人知らない。
388名無し@銀河鉄道
突然出て来たけど、どう言う事!?
389名無し@銀河鉄道
?????しかない。
390名無し@銀河鉄道
ほんと誰だよ。
391名無し@銀河鉄道
この声はまさか・・・・。
392名無し@銀河鉄道
えっ、嘘だよね? 出る訳無いよね?
393名無し@銀河鉄道
俺、幻覚を見ていなよな?
394名無し@銀河鉄道
まさか星アリサ?
395名無し@銀河鉄道
そんな訳無いよね?
396名無し@銀河鉄道
アップにならないと分らない。でも声は星アリサっぽい。
397名無し@銀河鉄道
マジで、これ星アリサなの?
398名無し@銀河鉄道
アップキタ━━━━(゚∀゚)━━━━
399名無し@銀河鉄道
星アリサだ間違いない!!!!!!!!
400名無し@銀河鉄道
星アリサ何で!? マジで星アリサ!?
401名無し@銀河鉄道
俺は幻を見ているのか!? 星アリサが巌裕次郎の舞台に出演するとか!!
402名無し@銀河鉄道
マジで!?
403名無し@銀河鉄道
本当に星アリサなの!?
404名無し@銀河鉄道
ええええ!?
405名無し@銀河鉄道
本当に!?
:
:
----------------------------------------------------
:
124名無し@銀河鉄道
星アリサ出演とかの情報あった!?
125名無し@銀河鉄道
無い! 完全にサプライズだ!
126名無し@銀河鉄道
この舞台、本当にどうなっているんだよ!!
127名無し@銀河鉄道
巌裕次郎の舞台に星アリサとか、本当にどんな舞台だよ!
128名無し@銀河鉄道
俺、猛烈に感動している。 今、日本の舞台史の重要な場面をリアルタイムに目撃している。
129名無し@銀河鉄道
本当に星アリサかよ! 絶対に生で観たかった!!!
130名無し@銀河鉄道
俺、また号泣。 星アリサがまた巌裕次郎の舞台に立ってくれるなんて。
131名無し@銀河鉄道
すまん。舞台に詳しくないから良くわからん。 星アリサって最近はたまに女優で出演しているよね。 若草物語でも出てたし。 巌裕次郎の舞台に立つとかそんなニュースなの?
132名無し@銀河鉄道
ニュースもニュース大ニュースだ。 なんたって星アリサが女優を一旦引退したのが巌裕次郎のせいだからな。 戦後の日本の舞台を作ってきた二人の巨匠が完全に和解したって事だぞ!
133名無し@銀河鉄道
これ、この後の芸能関係のニュースが軒並み大パニックだぞ!
134名無し@銀河鉄道
芸能ニュースどころか、トップニュースで取り上げられるぐらいのヤバイ事態。
135名無し@銀河鉄道
星アリサのファンはこの舞台を観に行けていなければ血の涙が出る事態。
136名無し@銀河鉄道
ニュース速報で字幕が出てもいいレベル
137名無し@銀河鉄道
本当に星アリサかよ! これって夜凪景と星アキラと百城千世子が星アリサと出演しているって事だよな!
138名無し@銀河鉄道
もろ若草物語だけど、劇団天球+星アリサの教え子と本人が全出演という超スーパー夢の舞台。
139名無し@銀河鉄道
オールスターの夢の共演舞台だった。そしてお祭りイベントじゃなくて、全員が本気で演技するとか、もう今後は絶対に見れない。
140名無し@銀河鉄道
びっくりしすぎて息が止まった。
141名無し@銀河鉄道
星アリサの舞台での演技、俺初めて観たけどマジですごいな。
142名無し@銀河鉄道
あの阿良也が圧されている。 阿良也に格の違いを見せてる
143名無し@銀河鉄道
阿良也もこの星アリサに食らいついてすごい!!
144名無し@銀河鉄道
化け物かよ! 完全に星アキラ+夜凪景みたいな最強キャラじゃねえか!
145名無し@銀河鉄道
しかし、星アリサは本当に声が通るな。 静かな喋り方なのに直接頭の中に声が入って来るみたいだ。
146名無し@銀河鉄道
年上の人が星アリサの舞台はすごかったって言うのがわかる。 こんなの見たら俺もそれを言いたくなる。
147名無し@銀河鉄道
阿良也の演技もすごいけれども、舞台全体の空気を支配している感じが星アキラと被るな。
148名無し@銀河鉄道
確かに凄い。マジで化け物だと思う。 でも正直、この舞台の上だと覚醒した星アキラと互角って感じがする。 たしかに化け物で存在感が半端無いけれども、星アキラのあのイカレたインパクトと比較すると互角って感じ。
149名無し@銀河鉄道
って言うか、この母子どうなっているんだよ! 両方ともおかしい!
150名無し@銀河鉄道
こうやって見ると、確かに景ちゃんに似た演技をするけれども、景ちゃんと思慮深さとか年季みたいなのが全然違う気がする。
151名無し@銀河鉄道
アリサママの正統後継者は夜凪景とか一般に言われていたけれども、良くも悪くも夜凪景とはまた違った役者だな。
152名無し@銀河鉄道
夜凪景は星アリサの純粋な部分が似ているのであって、清濁併せ吞む部分のダークさとか懐の広さは星アリサにはまだ全然敵わないな。
153名無し@銀河鉄道
その辺は、景ちゃんがこれから成長できる余地だろうから、長い目で見るべき。 今の時点の景ちゃんに要求するのは酷。
154名無し@銀河鉄道
そうだな。 たぶん、景ちゃんは星アリサから指導を受けてきたおかげで、同じ歳での演技を比較したら星アリサよりも全然上だと思うぞ。
155名無し@銀河鉄道
確かに。 17歳の星アリサが今の夜凪景に敵うとはとても思えん。 その意味では間違いなく天才だな。
156名無し@銀河鉄道
そう。百城千世子と言い王賀美陸と言い、星アリサは天才を育てる天才だと思う。(なお、星アキラは除くものとする。)
157名無し@銀河鉄道
星アキラのあれって、化け物が方向性の違う化け物を理解しきれなくて才能を見誤ったとしか思えん。
158名無し@銀河鉄道
わかる。 この舞台を見た後だと、演技の化け物が生んだ子供が化け物すぎて、自分の子供の才能を測れなかったというのが本当の気がする。
159名無し@銀河鉄道
その意味では星アキラと星アリサは間違いなく親子だよな。 夜凪景は教え子や弟子や後継者って言葉がしっくりくるけれども、あの二人は演技の方向性は違っても、影響力はまさしく母子だよ。
160名無し@銀河鉄道
一緒の舞台で生で観るからこそわかるこの感覚。 まじで伝説の舞台を目撃しているんだな。
161名無し@銀河鉄道
星アリサがセリフを言うたびに背筋がぞくぞくする。 本当に伝説的な役者なんだな。 アリサママとか言って茶化してすまんかった。
162名無し@銀河鉄道
いや、アリサママはアリサママだと思う。
163名無し@銀河鉄道
本人も嫌がっていないみたいだからいいんじゃね?
164名無し@銀河鉄道
星アリサはアリサママって呼ばれるのは嬉しいってインタビューでも答えてたぞ。
165名無し@銀河鉄道
これが舞台を支配すると言う事か。 F4全員が揃えば太刀うち出来そうだけど、阿良也一人だとやっぱり星アリサの存在感が強すぎるな。
166名無し@銀河鉄道
いや、阿良也も立派よ。 舞台を全然破綻させていないもの。 この星アリサの本気を受け止められる役者なんて、日本でも多く無いだろ。
167名無し@銀河鉄道
ほんと、ほんと、星アリサが凄すぎるから、一層のこと阿良也の凄さが引き立つ。
168名無し@銀河鉄道
そうか! 星アリサのこれ、黒帽子の男の役か!
169名無し@銀河鉄道
黒帽子の男?
170名無し@銀河鉄道
そう。初期の銀河鉄道の物語には、カムパネルラが居なくなった後に、ジョバンニと問答をする黒帽子の男とブルカニロ博士が出てくるんだよ。 これ、初期版の物語ベースの銀河鉄道の夜なんだ!!
171名無し@銀河鉄道
マジか! 銀河鉄道の夜にそんな話があったんだ! 本当にびっくりするわ。
172名無し@銀河鉄道
てっきり、巌裕次郎のオリジナル展開かと思った。
173名無し@銀河鉄道
ジョバンニを導く星アリサの役、本当にいいな。
174名無し@銀河鉄道
他のF4メンバーにも被って本当に感慨深い。
175名無し@銀河鉄道
名演ってこういう演技の事を言うんだな。 今回の舞台は名演のオンパレードだ。
176名無し@銀河鉄道
これが星アリサ。 みんなが憧れた女優を俺は今この目で見ているんだ!!
177名無し@銀河鉄道
おれも超感動。
178名無し@銀河鉄道
阿良也の決意すごくいい。
179名無し@銀河鉄道
本当の幸いを探すか。確かに、生まれた人は全員人生を賭けてみんなが本当の幸いを探すんだろうな。
180名無し@銀河鉄道
俺もこの劇を見たら心を入れ替えて、漫然と生きるのではなくて、本当の幸いを探したくなった。
181名無し@銀河鉄道
ジョバンニはこれで生涯にわたって本当の幸いを探して、最後には銀河鉄道に乗ってカムパネルラと再会するのだろうか?
182名無し@銀河鉄道
そう考えるとすごくロマンチックだな。 ジョバンニはカムパネルラとも一時の別れなのかもな。
183名無し@銀河鉄道
その解釈はすごく素敵!
184名無し@銀河鉄道
阿良也の成長が見て取れる。 まさしく劇団天球のエースだな。
185名無し@銀河鉄道
うん。今までも天才って言われてすごかったけど、今回の舞台でさらに一皮剥けた感じがする。
186名無し@銀河鉄道
星アリサの最後セリフw
187名無し@銀河鉄道
999かw 最後にメーテルまでオマージュするとは流石は星アリサ。
188名無し@銀河鉄道
最後に完全にイメージがメーテルになったわw
189名無し@銀河鉄道
スポットライトが消えて、星アリサもかき消えた。
190名無し@銀河鉄道
舞台の退場まですげえ。 魔法みたい。
191名無し@銀河鉄道
凄かった。 凄かった以外の言葉が出ない。
192名無し@銀河鉄道
星アリサ、伝説の女優の凄さに圧倒されたわ。
193名無し@銀河鉄道
今復活した。 ちょっとのぼせたので洗い場で腰かけながら、風呂桶に肘をついて視聴していたら星アリサにビックリして前機種のiPhoneを風呂に落とした。 今は読書用のiPadから書き込んでいる。
194名無し@銀河鉄道
フマフォ連続水没ニキ、まだ風呂場から出ていなかったのかwwww
195名無し@銀河鉄道
もうお風呂に入れる携帯端末が無いよ(涙
196名無し@銀河鉄道
いや、いい加減、風呂から上がれよw
197名無し@銀河鉄道
なぜそこまで頑なに風呂から離れようとしないのかwww
198名無し@銀河鉄道
とりあえず湯冷めしたからまた風呂に入るわ。
199名無し@銀河鉄道
この期に及んでまだ風呂に入るのかwww
200名無し@銀河鉄道
もう終わりだしヘーキヘーキ。湯船につかりながらゆっくりとカーテンコールを鑑賞するよ。
201名無し@銀河鉄道
せめて防水のスマフォを買おうな。
202名無し@銀河鉄道
最近のスマフォはほとんど防滴で防水じゃないぞ。 iPhoneに至っては防水だった事も無いし。風呂場の水には無力だったわ。
203名無し@銀河鉄道
死んで行ったiPhone達に敬礼。(`・ω・´)ゞ!
204名無し@銀河鉄道
今頃、落としたスマフォ達は銀河鉄道の旅を楽しんでいるんだろうから、ちゃんと追悼してやれよ。
205名無し@銀河鉄道
銀河鉄道に乗るスマフォ、クソワロタwww
206名無し@銀河鉄道
あっ、天気輪の丘に戻ってきた。
207名無し@銀河鉄道
なんか博士が出てきた。
208名無し@銀河鉄道
これ、誰? 誰かに似ているような・・・。
209名無し@銀河鉄道
ブルカニロ博士?
210名無し@銀河鉄道
このブルカニロ博士って巌裕次郎じゃね?
211名無し@銀河鉄道
俺もそう思う。巌裕次郎だと思う。 カメラのアップはよ!
212名無し@銀河鉄道
あっ、
213名無し@銀河鉄道
えっ、まじで!!
214名無し@銀河鉄道
やっぱり巌裕次郎だ!!
215名無し@銀河鉄道
ウソ、何で!? どう言う事?
216名無し@銀河鉄道
うっそーーー!
217名無し@銀河鉄道
演出家が出演するとかあるーーー?
218名無し@銀河鉄道
巌裕次郎が出演!?
219名無し@銀河鉄道
意味わからん。今俺は大混乱している!
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:
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:
836名無し@銀河鉄道
識者か検証班の人、説明プリーズ!
837名無し@銀河鉄道
何で巌裕次郎が!!
838名無し@銀河鉄道
人の考えを共鳴させる実験でジョバンニが銀河鉄道に乗ってったんだ。
839名無し@銀河鉄道
なるほど。これが初期の銀河鉄道の最後なんだ。
840名無し@銀河鉄道
でも何のために巌裕次郎が出演したんだ?
841名無し@銀河鉄道
今更役者をしてみたくなった訳でも無いだろうに。 謎だ。
842名無し@銀河鉄道
ブルカニロ博士からジョバンニに銀河鉄道の切符が・・・。
843名無し@銀河鉄道
ぞくっと来た。
844名無し@銀河鉄道
俺も震えた。 このシーンのためか!!
845名無し@銀河鉄道
すげぇ! すげぇ! 感動した!
846名無し@銀河鉄道
えっ?どう言う事?
847名無し@銀河鉄道
ブルカニロ博士からジョバンニに切符を渡すと同時に、これは巌裕次郎から劇団天球の劇団員へバトンを渡したっていう、歴史的な瞬間なんだよ!
848名無し@銀河鉄道
背筋が震える。引退って訳じゃないけれども、天球って言う劇団が、巌裕次郎の手を離れて独り立ちを始めた瞬間だよ!!
849名無し@銀河鉄道
粋だ。限りなく粋すぐる。 最後の最後でこんなメッセージを見せるなんてまた泣いちまうだろ。
850名無し@銀河鉄道
俺もこのシーンに涙が出てきた。
851名無し@銀河鉄道
下手に記者会見で表明されるよりもずっとずっと、素晴らしくて素敵な表明だよ。 こんな粋な形で劇団のバトンを渡されたら天球の劇団員はこれから奮起するしか無いだろ!
852名無し@銀河鉄道
巌裕次郎が天球の演出から一歩引くのは寂しいけれども、いつかは訪れる事。巌裕次郎は天球が自身の手を離れて新時代を迎える事を演出の形で、ファンを含めてみんなに知らせたんだよ。
853名無し@銀河鉄道
すごすぎる。 これが老いてもなお、日本最高の演出家、巌裕次郎。
854名無し@銀河鉄道
まさしく人生の総決算の舞台だ! 看板に全く嘘偽りが無い!
855名無し@銀河鉄道
素晴らしい。ファンタスティック! ファンタスティックだよ。 こんな瞬間を目撃できるなんて!
856名無し@銀河鉄道
何回泣かせるんだよ。この舞台は!
857名無し@銀河鉄道
こんなの最高傑作なんて言葉じゃ足りないよ。
858名無し@銀河鉄道
信じられない! 舞台全部が凄すぎる。
859名無し@銀河鉄道
ありがとう。巌裕次郎!! そして劇団天球やF4の俳優達!!
860名無し@銀河鉄道
終わった―――――!!!!
861名無し@銀河鉄道
8888888888888
862名無し@銀河鉄道
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863名無し@銀河鉄道
888888888888888
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314名無し@銀河鉄道
会場は、スタンディングオベーションの嵐だな。
315名無し@銀河鉄道
こんな拍手の嵐は見た事が無いよ。
316名無し@銀河鉄道
5000人の観客全部の全力拍手だからな。
317名無し@銀河鉄道
そりゃ、俺もこの会場に居たら興奮して全力拍手するわ。
318名無し@銀河鉄道
みんな心の底から立ち上がって拍手しているのがわかるわ。
319名無し@銀河鉄道
あっ、カーテンが開いた。
320名無し@銀河鉄道
カーテンコール開始だな。
321名無し@銀河鉄道
いきなりジョバンニとカムパネルラかよ!
322名無し@銀河鉄道
主役が一番最初とかマジで!?
323名無し@銀河鉄道
どう言う事?
324名無し@銀河鉄道
普通は脇役の人から出て来て、段々と重要な役の人が出て、最後に主役なんだよ。 だから一番最初に主役が出て来て戸惑っている。
325名無し@銀河鉄道
でもこれはこれでいいな。 ずっとジョバンニとカムパネルラに拍手を贈れる。
326名無し@銀河鉄道
あっザネリとその仲間たちと先生。
327名無し@銀河鉄道
ひょうきんだなww。
328名無し@銀河鉄道
最初しか出番が無かったけど良かったな。
329名無し@銀河鉄道
鳥を捕る人や車掌さんもいいな。
330名無し@銀河鉄道
千世子ちゃんと七生姉さんもキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
331名無し@銀河鉄道
二人とも美人すぎる。
332名無し@銀河鉄道
でもこれで姉妹なら可愛すぎる妹をもって比べられる七生姉さんの性格はヤバくなりそう。
333名無し@銀河鉄道
まぁ、現実ではそうなっていないからいいじゃないかwww
334名無し@銀河鉄道
キアラちゃんは一緒じゃないんだ。
335名無し@銀河鉄道
いや、このパターンはまさか・・・。
336名無し@銀河鉄道
出た! 星アリサと星キアラ一緒の登場!!
337名無し@銀河鉄道
しかも仲良く手を繋ぎながらの登場とかわかっていすぎる!!
338名無し@銀河鉄道
これだけでも今日は寝れなくなりそう。
339名無し@銀河鉄道
キアラ嬢の目が潤んでいるのもまたすごく良き!!!
340名無し@銀河鉄道
しかし、こうやって見ると星アリサと星キアラってよく似ているな。
341名無し@銀河鉄道
ああ。完全に母娘。 間違いない。
342名無し@銀河鉄道
すげえいいシーン。 みんなの期待を良くわかっていすぎる。
343名無し@銀河鉄道
娘の方が息子であることに疑問を抱く人は居ないのでしょうか?
344名無し@銀河鉄道
その疑問はもうみんな諦めた。
345名無し@銀河鉄道
アリサママが認めた以上、星キアラは完全に娘よ。
346名無し@銀河鉄道
ああ。 むしろ星アキラとかいうボンボン胃痛息子の方が抹殺されるかもしれん。
347名無し@銀河鉄道
アキラ君、強く生きて!!
348名無し@銀河鉄道
星アキラに敬礼 ビシッ(*`・ω・)ゞ
349名無し@銀河鉄道
二人が仲良く観客に礼をした後に、左右に割れて真ん中から巌裕次郎登場!!
350名無し@銀河鉄道
これか!このための主役が最初に登場なのか!!!
351名無し@銀河鉄道
和解した母娘に迎えられての巌裕次郎登場。
352名無し@銀河鉄道
カーテンコールまで演出するとか憎すぎるぞ巌裕次郎。
353名無し@銀河鉄道
拍手の音も最高潮だな。
354名無し@銀河鉄道
割れんばかりの拍手ってこんな感じなんだな。 本当に音割れしているw
355名無し@銀河鉄道
会場の音圧すごそうww。
356名無し@銀河鉄道
拍手で窓ガラスが割れんじゃ無いの? それぐらいの勢いだな。
357名無し@銀河鉄道
いいなぁ。 俺も巌裕次郎に直接拍手を贈りたい。
358名無し@銀河鉄道
ぐぬぬぬぬっ。 こんな素晴らしい舞台を生で観られて、劇場の人が羨ましすぎる。
359名無し@銀河鉄道
まさに伝説の舞台。 この舞台の事はずっと伝えられていきそう。
360名無し@銀河鉄道
いろんな意味でもう、俺の心はぐちゃぐちゃだよ。 でも素晴らしい舞台を本当にありがとう!!
361名無し@銀河鉄道
ありがとう!! 巌裕次郎、そして劇団天球やスターズのみんな!
362名無し@銀河鉄道
なお、景ちゃんは現在スターズから里子に出されている模様www
363名無し@銀河鉄道
半分スターズみたいなものなんだからいいだろw
364名無し@銀河鉄道
こうやってみんな揃うと圧巻だな。
365名無し@銀河鉄道
本当にすごい舞台だった。 いくら感謝を捧げても足りない。
366名無し@銀河鉄道
俺、巌裕次郎の登場にビックリして思わずiPadを風呂の中に落としたわ・・・。もう携帯デバイスが無くなって書斎のPCから書き込んでいる。
367名無し@銀河鉄道
iPadまで落としたのかよ!
368名無し@銀河鉄道
フマフォ連続水没ニキは厄日だな。
369名無し@銀河鉄道
こんな展開、予想しようがないだろ! そりゃiPadも水に落とすわ!! でも良い舞台を観れて良かった。
370名無し@銀河鉄道
完全に自業自得なんだよなぁ・・・。
371名無し@銀河鉄道
風呂で視聴しなければこんな事には・・・。
372名無し@銀河鉄道
お風呂で視聴は最高に気持ちがいいんだよ。 お前らにはわからんだろ!
373名無し@銀河鉄道
分らん。
374名無し@銀河鉄道
俺も全くわからん。
375名無し@銀河鉄道
銀河鉄道の歴史がまた1デバイス。
376名無し@銀河鉄道
ワロタwww
377名無し@銀河鉄道
牛乳フイタ! やばい。 書斎のPCにかかった! PCが壊れるっ! 早くふかnきゃa ぬるぽ・・・ガッ
378名無し@銀河鉄道
風呂上がりの牛乳を楽しんでいたのかwww
379名無し@銀河鉄道
フマフォ連続水没ニキに合掌
380名無し@銀河鉄道
今日の損害額はいくらになる事やらww
381名無し@銀河鉄道
だから風呂視聴はあれだけ止めておけとw
382名無し@銀河鉄道
流石は個性派スレ民だなwww
383名無し@銀河鉄道
しかし拍手が鳴りやまねぇ。カーテンコールはまだまだ続きそうだな。
384名無し@銀河鉄道
わかる。俺もずっと拍手をしていたい。 本当に最高の舞台だった。
----------------------------------------------------
996名無し@銀河鉄道
仕事が終わって今帰宅。 お前ら、今日の舞台はどうだった?
997名無し@銀河鉄道
見なければ人生の損失。
998名無し@銀河鉄道
見れなかったの? 何のために生まれてきたの?
999名無し@銀河鉄道
あーあ。 この舞台を観れなかったとか、もうダメダメですわ。
1000名無し@銀河鉄道
えっ、ちょっと、どう言う事!? お前ら説明してくれ!!
1001名無し@銀河鉄道
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。
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【Live】 銀河鉄道の裏側を突撃ですわ! その1
放送準備中。もうちょっとで始まるよ。
話題超沸騰中の銀河鉄道の夜のLiveなんて楽しみすぎる。
そしてゲストが巌裕次郎と星アリサとかヤバすぎ。
5回目の公演が終わっても全然話題が収まる気配が無いからな。
下手なTV局の番組よりもはるかに注目度が高えw
本当に巌裕次郎が出演してくれるのかな?
まぁ、巌裕次郎のふりをしたアキラ君もワンチャン。
それは嫌だwww
銀河鉄道の夜を生で観に行けた人に血の涙出る。
俺もそんな感じがするww
いや、今回のLiveはお宝すぎるすんげー楽しみ。
下手なTV局の視聴率よりはるかに高そうw
まぁ、民放の視聴率を上回っているはあるかも・・・。
銀河鉄道の夜の同時接続数は記録的な接続数だったからな。
あれ視聴率に直すと10%ぐらい行っただろww
絶対に行ってそうw
あっ始まる。
「皆様こんにちは。星アキラの双子の妹、星キアラですっ。今日も皆様とお会いできてうれしいですわ。」
キアラちゃんキターーーーーー!
相変わらず美人。
美人で話も面白くて演技も上手いとかマジで死角が無い完璧美女だな。
なお性別w
中身は男なんだよなぁ・・・しかもワルガキ。
オタクに優しい理想の美女だけに、なぜ男なんだ!
やっぱりオタクに優しい美女は幻想だってはっきりわかるね。
そんな事よりも今回のゲストだよ!
ゲストが巌裕次郎と星アリサとかマジ!?
本当なの!?
これで違ったらマジでやばいよ!
ゲストはよ!
「みんなうずうずしていますわね。もったいぶらずに発表しましょう。 今回のゲストは巌裕次郎と星アリサです!」
「キアラ、来たぞ! 巌裕次郎だ。」
「愚息がいつもご迷惑をおかけしております。 星キアラの母の星アリサです。」
「お二人ともようこそいらっしゃいました。 今回は銀河鉄道の夜の舞台の話を中心にみんなの気になっている質問に答えてもらいますわ。」
「いいわよ。」
「了解だ。」
本当に巌裕次郎と星アリサがキターーーーー。
星アリサだけでもレアすぎるのに、その上にこの時期に巌裕次郎とかすごすぎ。 す朝野いちごch
この銀河鉄道ブームの中で巌裕次郎の声が直接聞けるなんて凄げえだろ!
まじで二人が出てきてワロタ。
世間の話題をかっさらっている二人が揃って出演ですごすぎ。
質問募集の時点でマジとか思ったけど、本当にYoutubeに出演してくれるんだ。
さすがはキアラ嬢。ハンパねぇ。
これだけでもう祭りだよ。
マジですごすぎとしか言えん。
「それでは最初の質問です。」
どうして巌裕次郎の人生の総決算の舞台をやる事にしたの?
|
「いきなり核心をついてきたな。」
「でもこのメンバーをそろえて舞台をやろうとした理由をみんな知りたいと思いますわ。」
「そうだな。でも実はこの舞台はアリサから提案されたんだ。 劇団天球とアリサの教え子たち。 みんな育ってきて、俺もいつまでも舞台を続けられる訳じゃない。 引退する必要はないけれども、体の自由が利くうちに人生の総決算の舞台を演出してみたらどうか?ってな。」
「そうね。裕次郎さんが健康に舞台演出を出来ている間に、脂が乗りきった裕次郎さんの人生の総決算の舞台を観たくない? 私は観たいわ。 だから私が全面にバックアップするから、人生最高の舞台演出を提案したのよ。」
「銀河鉄道の夜の舞台は5回を終えてもうすぐ折り返しという所ですけれども、巌のおじい様はその人生最高の舞台演出には成功したのかしら?」
「それはお前たちが一番良く分かっているだろう。 成功。 大成功だ。 俺の手掛けた舞台の中でも最高傑作の一つに数えられるだろう。」
「そうね。 私もこの舞台は予想以上の出来だったわ。 それも天球の劇団員やあなた達ががんばったお陰よ。」
「なるほど。巌のおじい様も突然引退っていうよりも全然良いですものね。今回の舞台は間違いなく巌裕次郎の最高傑作として語り継がれると思いますわ。」
なるほど。星アリサからの提案か。
それでアリサママも出演したって流れなんだな。
それで景ちゃんや千世子ちゃん、キアラちゃんが出たという流れなんだね。
F4全員出演の舞台はこうして誕生したわけか。
そして日本中の話題をかっさらうとんでもない舞台になったと。
とんでもないな。
でも星アリサと巌裕次郎って不仲だったよね。その辺が大丈夫なの?
俺も不仲な二人がどうして仲直りしたのか知りたい。
「なるほど。不仲の二人が仲直りした理由ですわね。それでは次の質問に行ってみましょうか。」
巌裕次郎と星アリサはいつ仲直りしたの?
|
「これについては、知っている人も多いとは思うけれども若草物語の舞台の頃にはすでに仲直りしていたわね。」
「と言うか、別に二人とも反目し合っていた訳じゃないからな。アリサが女優に復帰する前はお互いに気まずかったが、若草物語の舞台をやる時に挨拶に来て、そこから付き合いが再開した感じだ。」
「そうね。それから度々飲み会や慰労会などを定期的にやっていたわよ。 そもそもスターズが劇団天球のマネージメントをやっているのは有名だし、私と裕次郎さんの仲が悪かったらそんな事できないはずよ。」
「元々演劇の舞台で良く顔を合わせていた仲だし、アリサが女優に復帰して疎遠になっていた理由が無くなれば良くやり取りが再開するようになった感じだな。」
「それで、お互いに芸能事務所と劇団を運営する仲だし、飲み会がてら相談し合っていたら昔の付き合いに戻るぐらいはすぐだったわ。」
「でも、巌のおじい様はアリサママに、もっと早く自身の演出する舞台に出て欲しかったのではないですの?」
「それとこれとは別よ。巌裕次郎の演出する舞台に出るというのは生半可な覚悟じゃ上がれないわ。それは今回痛い目にあったキアラが一番良く分かっているんじゃないの?」
「う゛っ。 その通りですわ。 自分の持つ全てをぶつけて、さらに昇華させなきゃ出られないような、あんなに過酷な舞台だって最初から分かっていたら、おそらく断って、視聴者と一緒に舞台の生放送を一緒に楽しんでいましたわ。」
「変にプライドが無い合理主義者のあなたならそうするでしょうね。 でも演技は良かったわ。 人生の総決算でお祭りさわぎの楽しい舞台だってハメて仕事を受けさせた甲斐があったわ。」
「あんな説明を受けたら、みんなちょっと出演してワイワイガヤガヤとお祭り騒ぎを楽しむ舞台だって勘違いしますわ。 しかもキアラ宛に仕事が来ましたし。 あんな激マジ、ゲロヤバな舞台だなんて思いませんでしたわ。」
「結果的にはキアラは最高の配役になったな。」
「のほほんと言っていますけれども、あそこまで役を作り込むのが大変でしたのよ!?」
ワロタ。騙されたのかww
まぁ、キアラ宛に来たらそんな本気の舞台だなんて思わないよなw
キアラ嬢も大変だったんだなwww
元々、二人はそんな確執が無かったんだな。
仲が悪かったら、天球のマネージメントなんてしないもんな。
確執云々は、外野が煽っていただけだしなぁ
あの舞台を観ちゃうと、確かに星アリサが出演する巌裕次郎の舞台には生半可な覚悟じゃ出演できないよね。
キアラちゃんもまじで凄かったもんな。
キアラ嬢のあれがハイライトだって思っていたら、二重三重の罠が仕掛けられていて、観ている方がビビった。
あの死の演技とヴァイオリンだけでも、劇場に観に行く価値は絶対にある。
でもなんで星キアラを出演させたのかな?
男性の役だったからアキラ君でも良かったよね。
確かに俺も知りたかった。
そうですわね。 では次の質問に行きましょうか。
なぜアキラ君じゃなくて、キアラちゃんを出演させたの?
|
「これは気になる所ですわね。 いくら舞台上で男性と女性の配役を入れ替えることが多いとは言っても、わたくしを男性の役に配役するのは前代未聞だと思いますわ。」
「簡単な話だ。 星アキラと星キアラを比較した場合、このような繊細な心情を表す役には星キアラの方が適役だと考えたからだ。」
「純粋に演技の差で考えましたの?」
「そうだ。今回のような繊細な芝居には女性の星キアラの方が良いと判断した。」
「でも、わたくしとアキラお兄様の演技力は互角ですわ。 男性の役であればアキラお兄様の方が適役だったのでは無いのかしら。」
「ちがうな。 キアラはちゃんと星キアラという人物をベースにした上で家庭教師の青年の演技ができる。 これが、ラーヤになり切るだけでそれ以上は演技ができない阿良也との大きな違いだな。 今回の演技は星キアラベースの視点になるかならないかで大きな違いが出た。そこが大きな違いだった。」
「なるほど。確かにラーヤはラーヤを演じた上でさらに別の役はできませんものね。 その辺は全く考えていませんでしたわ。」
「特にあの死の演技、あれはアキラだと直接的になりすぎて観客に衝撃が強すぎたはずだ。それをキアラの女性的な演技の柔らかさで伝説的な演技にしていたからな。そう言った部分でもキアラの配役は重要だった。」
「確かにアキラお兄様だと少し強く影響させた可能性はありますわね。」
「そうだ。そんな訳で、むさ苦しい男のアキラよりも、麗しいキアラの方が俺の好みだったのでキアラを出演させたわけだ。」
「ちょっ、今までの前振り全否定ですの!? 完全にいい話を全否定じゃないですか!? やっぱり私欲満載でわたくしを出演させましたわね。」
「ああ。適当な理由を付けて、好みで配役したら予想以上に成功して俺も驚いている。」
「酷いですわ! 」
「やっぱりアキラよりもキアラの方がいいわ。」
「かわいそうなアキラお兄様・・・。」
結局、私欲満載じゃねぇかwwww
前半までのイイハナシが台無しだw
やっぱり巌裕次郎の趣味だったんじゃねぇかwww
趣味で配役したのは知ってたww
むしろ趣味以外であそこまで計算して演出してたらビビるw
女装男優は巌裕次郎の趣味だってはっきりわかんね。
巌裕次郎の趣味に負けたアキラ君、合掌・・・。
でも、前半の話は結構真実を突いていると思うけど・・・。 す環蓮ch
確かに、かなりの説得力があった。
あの舞台を観ちゃうと、前半の話も考えている気がしますよね。 す朝野いちごch
でも、趣味でキアラ嬢を抜擢する勇気。流石は巌裕次郎。
キアラちゃんのあのシーンは本当に凄かった。
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【Live】銀河鉄道の裏側を突撃ですわ! その2
「続いては次の質問ですわ。」
死の演技だけど、どうやったの?
|
「わたくしに対する死の演技についての質問も多かったですわね。でも、ぶっちゃけて言うと、自殺未遂で3か月間ほど死の淵を漂っていた時の事を思い出しながら演技したら自然とできちゃった感じですわ。偶然できちゃっただけですから、他の人が真似をするのは全くおすすめしませんわ。」
「あれには俺も驚いた。予想以上の演技だった。 死んでいる事は認識できるが、なぜ死んでいると認識できるのかが誰もわからないものな。 この演技は阿良也や景も無理だったしな。 魂とか、人間を形作る何かが直接反応する感じだよな。」
「そうね。あんな風に魂に直接感覚を宿すような芝居は生まれて初めてだったわ。 初めて見たときには本当に心配したわ。」
「アリサママも衝撃でしたの?」
「もちろんよ。キアラが死んじゃったんじゃないかと思って、ものすごく後悔したわ。 どうせ死んじゃうなら、もっと働かせれば良かったって思ったもの。」
「アリサママ、邪悪なブラック経営者の成分が漏れ出していますわよ。イカスミなんかよりも遥かに黒いですわ。」
「イカスミは複雑な海の風味が合って美味しいのよ。甘みも磯臭さも味のうちです。 経営者なんて清流なだけではだめなのよ。 清いだけでは従業員を守れないわ。 違法なことをする必要は無いけれども、清濁併せ呑む必要はあります。キアラも私を継ぐのであれば、状況に合わせて黒くならないとダメよ。プライドと綺麗事だけでは従業員を守れないんだから。」
「スターズは芸能事務所の中でも給料はトップクラスで、労働環境も相当にホワイトなのに、胃を痛めている人が多いんですもの。労働環境に現れない心労があるはずですわ。」
「胃を痛めているのは大体あなたのせいなんだけど。 あなたが毎回騒動を巻き起こすから。今回もこの件で・・・。」
「ぎゃ---っ蛇足でしたわ!! この話題はこれでお終い! なんか死んだフリをしたら出来ちゃいましたわ。 以上。」
ひでー結論www
雑すぎるww
死んだふりで出来るのであれば、俺でもできるはずw
まじ適当で草生えるw
死の演技をするために、いろいろなドラマがある気がするんだけど・・・。 す朝野いちごch
確かに、時間が経ったら語られるのかもね。
あの演技は本当に衝撃を受けたわ。 す湯島茜ch
ワイドショーとかでも何でそう感じるのか心理学の先生とか引っ張りだこだったからな。
海外の識者を含めて大注目な演技らしいな。
いろいろ推測するんだけど、結局みんな判らなくて笑う。
5Chとかではアキラ君解剖論すら出ているからなぁ・・・。
みんな好き勝手に言えるけど、誰一人真似できない死の演技w
評論が出来る事と実践できる事は別物だからなぁ・・・。
そら阿良也や景ちゃんですら真似が無理なんだから本職の役者でも難しいんじゃね?
あの心の奥底が反応するような感覚は本当に凄かったわね す環蓮ch
死んだフリでできるならみんな出来ているんだよなぁ・・・。
続いての質問ですわ。
巌裕次郎は引退するの?
|
「これは数多くの舞台ファンが気になる話題では無いでしょうか? この舞台で引退という訳では無いと思うのですが、公式で声明等もまだありませんものね。」
「今の所引退する予定は無い。 ただ、天球は一線を引いてみて、次の舞台の演出は複数の劇団員に演出の仕事を分散して、俺はまとめ役だけをやる予定だ。」
「なるほど。確かにその方が劇団の後継者育成という意味でも良さそうですし、巌のおじい様の負担も減りますわね。」
「劇団のマネージメントの方は前々からアリサの方がサポートしてくれているし、スターズのお陰で劇団も自立して運営できるほどに収益が上がっている。 そろそろ俺が居なくても劇団天球は独り立ちできるだろう。 そう言った部分を含めて俺の影響を少なくしてみようと考えた訳だ。」
「誰が天球で巌のおじい様の後を継ぐのですか?」
「意外なんだが、阿良也がすごくやる気になってくれている。 今回の舞台で一皮剥けたみたいで、フワフワした所が無くなって、演出の部分では芸術家的な気質を残しながらも、芯が通った感じで次の舞台の企画を仕切っている。後は年長の劇団員と亀太郎や七生が演出の補助をしたり、自発的に運営や企画をしてくれている。」
「阿良也は元々、天邪鬼で気分屋の部分はありましたけれども、舞台俳優として人の機微に人一倍敏感ですわ。 今の人気を考えると俳優業をやりながら演出に片足を突っ込むという感じでしょうけれども、巌裕次郎の後を継ぐ天才演出家としての素質も間違いなく持ち合わせていますわね。」
「キアラがそう言うなら大丈夫だろう。 ただ、あいつのインタビューがすごくフワフワして分かりにくいんだが、なんとかならねぇのか? 劇団員の指導はちゃんとやるのに、インタビューがあれ過ぎて意味不明なんだが。」
「知りませんわ。 それこそ巌のおじい様が教えるべきですわ。」
「キアラの方が場数を踏んでいてインタビューも上手いだろ。 奴ならキアラの言う事を聞くと思うんだが・・・。」
「あのフワフワした意味不明な受けごたえがお茶の間にウケているのですわ。 優等生的な受け答えができる人間はこの世にごまんと居ますけれども、TVカメラの前で、個性的な受けごたえをする人間は多くありませんもの。みんなあの意味不明さが癖になっているので、あれはそのままで良いですわ。」
「流石に将来の劇団代表があれだとまずい気がするんだが。」
「そのうちなんとかなりますわ。 本当にダメなら友達としてなんとかしますわ。 ところで暇になった巌のおじい様は何か他にやりたい事があるのですか?」
「それについては、前の劇団の劇団員や一緒に小劇場をやっていた古馴染の連中のみんなで劇をやらないかとか誘われていて、そういった仲間内の舞台でもやってみようかと思っている。」
「若手主体の天球を抜け出して渋いメンバーとのいぶし銀の舞台ですわね。 舞台が形になったら是非観に行きたいですね。」
「そうだな。かなり面白い舞台になりそうだから、実現したら是非キアラにも観に来て欲しい。」
「絶対に行きますわ!」
古参メンバーの舞台とかすんごく楽しそうw
舞台ファンは大歓喜だな。
天球以外の演出が見れるとか、それはそれで新しくていいかも。
劇団天球の演出からは一線を引くけれども、まだ舞台の仕事は続けてくれるんだな。
お互いにとって、ベストな選択じゃないかな? 天球から居なくなる訳でも無いし。
天球からは徐々に巌裕次郎の影響が少なくなって行って、天球が独り立ちして行くのか。ちょっと寂しいけれどベストな選択だろうね。
阿良也が演出の仕事を買って出ているのは意外。
でも阿良也なら天球がまとまりそう。
明神阿良也の演出もすごく楽しみだな。
劇団天球の演出は巌裕次郎ありきって感じだったから、巌裕次郎から演出を受け継いだ明神阿良也の舞台もすごく楽しみ。
天球は話題がいっぱいでいいな。銀河鉄道の舞台の影響で他の舞台もお客さんが増えているし、舞台がホットになって来たな。
天球以外の劇団も注目度が上がって、チケットの売れ行きが倍増だって言うし、銀河鉄道の影響度はすごいな。
巌裕次郎も天球も新しい道を見つけて、今まで以上にワクワクする。
今年は銀河鉄道の舞台の話題で持ちきりだろうな。
岩手県の宮沢賢治記念館とか、来訪者が超絶増加らしいぞ。
花巻の温泉郷が突如大観光地になってて笑う。
そのうち岩手県から表彰されそうw
宮沢賢治も見直されて、巌裕次郎も名を上げていい舞台だな。
まじですごい舞台だからな。
生で観たヤツに嫉妬満載。
そういえば、どうやってあの演出を思いついたの?
確かにあの演出はすごく気になる。
「みんなあの演出は気になりますわよね。 それでは次の質問です。」
銀河鉄道の夜の演出はどうやって思いついたの?
|
「随所で話題をかっさらった銀河鉄道の演出、どうやってあんな演出が出来たのか、巌のおじい様に生でお伺いしますわ。」
「あの演出で俺がずいぶん持ち上げられているが、実はここまでの演出は元々は意図していなかった。こんな素晴らしい舞台になったのは、アリサと舞台に上がったみんなのお陰だ。」
「アリサママには巌のおじい様から出演を依頼したのですよね。 その時には初期版の銀河鉄道の夜の構成でやるって決めていたのですか?」
「アリサが受けてくれない場合には、最終版の銀河鉄道の夜でやるつもりだった。 でもアリサがブルカニロ博士として俺が出演する事を条件に出演を認めてもらって、初期版の銀河鉄道の夜で行くことになった。」
「なぜアリサママは巌のおじい様をブルカニロ博士として出演させるように交渉しましたの?」
「元々、天球の演出をいつまでも続けられる訳じゃないって、飲み会の席でお酒を飲んで盛り上がっていたのよ。 スターズと違って天球は後継者が決まっている訳じゃ無かったし。 そんな訳で私の出演の交渉時に、粋な形で劇団員達に天球をバトンタッチする演出を提案したのよ。 裕次郎さん自身も、短い役だったけれども、裏方としてだけではなくて、役者としてスポットライトを受けて、観客に賞賛されるべきだと思ったの。」
「老人の拙い演技だったが、本当に久しぶりに舞台の上に立って、観客に直接拍手を浴びて、演出家を志した若い頃の記憶が蘇ってきて本当に嬉しかった。」
「今回の銀河鉄道の演出は観客の予想を裏切って、どんどん盛り上がる素敵な演出でしたわね。」
「ここまでびっくりして感銘を与える演出になったのも、キアラのお陰だな。 キアラの演技が俺の予想を超えて一度舞台をぶっ壊してくれなければ、ここまでの舞台にならなかったはずだ。」
「私の演技と演奏を見た後に、台本の構成と演出ががらっと変わった時はびっくりしましたわ。 千世子ちゃんは目を輝かせていたけれども、七生姉さんの顔が引きつっていたのが印象的でしたわ。」
「亀太郎とかは序盤に居なくなる役で良かったとまで言っていたからな。 元の台本だと、キアラの出演部分が完全に浮いていて、台本負けしていた。 だから、中盤はキアラを主軸に置いて、それに向けて違和感が無くなるように、台本と演出を再構成したんだ。」
「読み合わせや舞台稽古の後に、台本や演出がやり直しになるのは劇団天球が始まって以来の珍事だったらしいですわね。」
「配役した俺でもキアラの力を見誤っていた。 良い意味で俺の予想を裏切った俳優は、星アリサに次いで二人目だ。 間違いなくキアラとアリサは親子だな。」
「そうね。 キアラの演技は凄かったわ。 私もキアラの演技にすごく感銘を受けたの。 だからあのバカ息子にキアラの爪の垢をちゃんと煎じて飲ませるのよ?」
「うううっ。 アキラお兄様、おいたわしや。 アキラお兄様の演技もわたくしと互角のはずなのですが・・・。」
「あのギャグ漫画から生まれてきたような性格とか、周りを振り回す暴風雨みたいな行動が無ければ、胃を痛めないかわいい息子なのに、最近は生んだのがアキラじゃなくて、キアラじゃないかと思い始めたの。」
「アキラお兄様にもそれとなく伝えておきますわ。 おそらく行動も性格も全く変わらないと思いますが。」
「いいのよ。 アキラにはつらい思いをさせてきたんだから、私はアキラを自由にさせるの。 アキラからの理不尽なストレスも母親として受け止めないと。 息子からの理不尽なストレスに耐え続けなればいけないなんて、私はなんてかわいそうな母親なのかしら・・・。」
「アリサママ、今日もサイコパス全開ですわね。 こんなクソくだらない事で涙を流す迫真の演技。 流石は日本の芸能界を牽引して来た大女優ですわ。」
「キアラの容赦の無さも大概サイコパスよね。」
「やっぱり、お前らは親子だな。ワハハハハ」
クソワロタww
この親子関係は草生えるwwww
サイコパス親子は笑うだろw
この母子関係が特殊すぎて面白すぎるww
アリサママの迫真の演技上手すぎるw
流石は星アリサ。 一瞬本気で泣いているのかと思った。
キアラ嬢も容赦なさ過ぎて笑うw
でも、最後の演出はアリサママの提案だったんだ。
アリサママも演出の仕事できそう。
アリサママは社長業の方もすごいから・・・。
星アリサの提案とか、途中でキアラが舞台をぶっ壊したとかさらっと凄い情報よね。 す環蓮ch
あの出演シーンを観ちゃうと普通の台本だと無理だよね。
あの演技自体が巌裕次郎の予想をはるかに超えていたというがびっくりだな。
いろんな要素が合わさって、超絶名作な舞台になったんだな。
あの舞台をこのメンバー以外の出演者でやるのは絶対に無理w
キアラちゃんと一緒に出演とか、絶対に無理。私の寿命が縮まる。 す朝野いちごch
いちごちゃんww
これフラグだろwww
これ絶対にそのうち、いちごちゃんにも声がかかるぞww
キアラちゃんかアキラ君の舞台にいちごちゃんが拉致られそうw
これはいちごちゃんの寿命が近々縮まりますわw
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「それではそろそろ、最後の音楽の時間ですわね。」
そんなー。もっと二人の話を聞きたい。
えーーー。もう終わりなの!?
巌裕次郎と星アリサの生の話とか最高なんだからもっと続けてよ!
ぶぅ━━q( ̄(oo) ̄)p━━っ!!
もっと続けて欲しい。
もっともっと舞台の話を聞きたい!!
巌裕次郎と星アリサとか超豪華ゲストなんだからもってやってよ~!
絶賛話題かっさらい中の舞台の裏話を聞けてまじでうれしかった。
これ、視聴者数がとんでもないことになっているな。
普通のテレビ局よりもはるかに視聴率が高そうw
最後の音楽は何になるのかな?
「最後の音楽ですが、絶賛話題沸騰中のリストの愛の夢ですわ。 舞台でわたくしはヴァイオリンを披露しましたけれども、本来はピアノの魔術師と言われたリストの超絶技巧曲ですの。 ですから、本日はヴァイオリンではなくてピアノの演奏をお楽しみいただきたいですわ。」
マジ!? マジで愛の夢を弾いてくれるの!?
しかもピアノバージョン!?
これは楽しみすぎるだろ。
音源化不可避w
これだけでも聞きたい人が沢山いるよ!
キアラちゃんのお陰で日本でクラシックの人気もすごく盛り上がっているしな。
あの綺麗な曲をまた聞けるなんて。
「それでは行きますわね。」
心の底から落ち着く・・・。
うっとりとする。
心に響く。また涙が出てきた。
密かに死の演技をしながらこの演奏は反則だろ。涙が止まらない。
凄く嫌な事があって、全部投げ出そうと思ったけど、舞台で観たこの演奏のお陰でやり直してみることにした。今はこの演奏との出会いに感謝している。
曲に感動して純粋に涙が流れてくる。
本当に人生を感じさせる曲だね。
このちょっと寂しい感じが銀河鉄道の夜にマッチしてすごく感動する。
転調からのメロディーの音が心に響く。
涙で画面が見えない。
生きるって事の感動を今噛みしめてる。
「以上がリストの愛の夢でした。」
888888888888888888888
888888888
888888888888888
:
みんな聴き入っていて、コメントも少なかったな。
YoutubeのLive放送なのに、世紀の名演奏の1曲を聞いたよ。
舞台での演奏も特別だったけど、このピアノ演奏もすごくいい。
本当に死の演技をしながらの演奏ってすごいな。感動しかない。
いろいろあって、この曲を聞いて号泣しちゃったよ。
心が浄化される・・・。
感動するってだけじゃなくて、明日からの生きる希望ももらえる。本当に凄い曲。
自分の好きな曲NO.1になったわ
この演奏だけでも価値がありすぎる。
俺、舞台でこの演奏を聞いてから、自分の人生に疑問を持って引きこもりを辞めて今働き始めている。
掛け値なしに、感動する曲だよ。
本当に演奏家としても超一流だな。
舞台の生放送は仕事で観れなかったけど、この演奏を聞けて本当に幸せ。 生きてて良かった。 また明日も仕事がんばろう。
仕事ニキは仕事をほどほどにね・・・。
役者としての表現が演奏に生かされている感じ。 表現はどの演奏家でも敵わないかも。
本当に美しくて、ちょっと切ない気持ちと生きる勇気をもらえる曲
また、感動で新調したiPhoneを風呂に落とした・・・。まだ画面は映っているけど・・・あっ、gamengaaaaa3agf
風呂ニキ~!
流石に、風呂ニキは反省してくれwww
風呂ニキはまた風呂で観ていたのかww
何が風呂ニキをそこまで風呂場視聴に掻き立てるのかw
いい加減、誰か防水ケースを買ってやれよw
防水ケースは音が籠るから嫌らしいwww
風呂ニキは水没したスマフォ達をトイッターに上げててマジでワロタ
期待通りの働きに大草原wwww
「キアラ、本当に良かったわ。 私も感動で涙が出ちゃった。 銀河鉄道の舞台の成功はこの曲の影響も大きいわね。」
「アリサママありがとうござます。 賞賛を受け取っておきますわ。」
「キアラ、ありがとう。 この曲のお陰で演出家として最高の舞台を作り上げることが出来た。 本当にありがとう。 俺の葬式には是非ともこの曲を演奏して欲しい。」
「そんな冗談を言えるぐらいなら、お迎えはまだ先ですわね。 お葬式にはちゃんと演奏してあげますから安心してください。」
「それでは終わりの時間です。 みなさん、楽しんでいただけたでしょうか。 それではまたお会いいたしましょう~!」
「皆さん、観てくれてありがとう。さようなら。」
「それじゃ。 これからの俺の活躍にも期待していてくれ。さらばだ!」
バイバイ~☆
舞台の裏話最高だった。
巌裕次郎には今後も頑張ってほしい!
楽しかった☆
バイビー☆
ピアノすごく良かった。放送もすごく楽しかった。
バイバイ☆
さよなら~またね☆
今日の放送も良かったありがとう。
アリサママもありがとう!!
二人の話は最高だった。
またねーーー☆
バイバイ☆
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絵麻ママはみんなで銀河鉄道を観に行く1
-------安原絵麻視点---------
みんなが出演する銀河鉄道の夜。絶対に観ると決意して沢山の片っ端からチケット予約サイトに登録して結果を待ったのだけど、全て落選・・・。
友達もみんな抽選に落ちたみたい。 恐るべしプラチナチケット。 もう舞台のチケットとは思えないぐらいの盛況だった。
それはそうだと思う。 だって阿良也君だけでもチケットを取るのが難しいのに、さらに景ちゃん、アキラ君、千世子ちゃんが付いてくる訳だ。 そんなメンバーが巌裕次郎の演出に集う訳だから、普段、舞台を観ない人でもチケットの予約をしまくっている。
結果、私の予約したチケットの抽選は全滅だった。 公表されていないけれども、年配から若者まで見たい年齢層が広いだけに、倍率が高くて有名なアイドルコンサートなんかよりも、さらに倍率が高いってもっぱらの噂だ。
確かに、みんなのファンと、天球の舞台ファン、話題好きの人達、舞台好きな人達、そんな人達とチケットの争奪戦をすれば、とんでもない倍率になる事は予想できた。
でも、勝てない勝負でもみんなのママとしては絶対に観に行きたい舞台だった。
一緒に山形から出てきた友達にもペアでチケットの登録をお願いしたけれども、いずれも全滅だった。
当然、私は凹んだ。 一瞬、やたらと銀行に貯まっているお金で高額転売のチケットを買う事も頭に浮かんだけれども、流石に転売行為に加担するのはダメだと思って、諦めた。
諦めたんだけど・・・、舞台を観に行けない悔しさは誰よりも大きい。 今回はVTuberでは無いけれども、私達の可愛い子供達が出演する舞台なのだ。舞台の開催日が近づくにつれて、私のモチベーションはどんどん落ちて行った。
そして、舞台が2週間前に迫ったある日、アキラ君から連絡があった。
「絵麻ママ、今大丈夫?」
「大丈夫よ。 舞台の練習がんばっているの?」
「もちろんだよ。 すごい舞台になりそうだから是非観に来てよ。」
「無理なの・・・。チケット全部落ちちゃったの・・・。」
「やっぱりそうなんだ。ニヤリ」
電話の向こうでアキラ君がニヤリと笑ったのが判った。
「むっ・・。チケット取ろうと頑張ったのに、笑う事無いじゃない。」
「ごめんごめん。 そう言う事じゃ無いんだ。ちょうどいいと思って。」
「丁度いい?」
「そう。ちょうどいいんだ。 初回の開演日だけなんだけど、突然SS席とS席が合わせて200席ほど余っている事が発覚して、観に行く人を探していたんだ。」
「何で!? 何でそんなにいい席が沢山余っているの? 絶対に売れ残った訳じゃないわよね?」
「もちろんだよ。 主催者であるアリサママの方で抑えていたらしいんだけど、初日は余っているからアキラ達の好きに使っていいわよって僕達四人にどっさりとチケットをくれたんだ。 完全に意味不明だよ。 何で初日だけなんだろう? スターズや天球の方で関係者や来賓用のチケットは別に抑えていて、それはすでに配り切っているから、何でこんなチケットが余っているのか全く分からないんだよ。」
「えええっっ!!!」
「それで、こんなチケットが存在することがバレちゃったら大騒ぎだし、下手にチケットをバラまく訳には行かないから、みんなで行きたい知り合いを探しているんだ。」
「それ、とんでもない事態じゃないの?」
「まさかこの僕が銀河鉄道の舞台で、売れないアマチュアバンドのライブチケットを配るような事態に陥るとは思わなかったよ・・・。それでハリウッドの友達とかにも数枚配ったんだけど、絵麻ママもどうかと思って。」
「欲しい! 絶対に欲しい!」
「素晴らしい食いつきだね。 何枚ぐらいチケット欲しい?」
「何枚って、そんなに余っているの?」
「うーん。10枚ぐらいまでならOKかな? 阿良也の知り合いは僕達以外には天球の関係者ばかりだから、元々チケットは不要だし、景ちゃんはデスアイランドの共演者とか、学校の友達にチケットを配っているみたい。 千世子ちゃんも友達や、ドラマや映画でお世話になった人達に配っているみたい。もちろん、みんなの家族分のチケットはすでに別枠で取ってあったから、その辺は心配しなくていいから。」
「こんなプラチナチケット10枚もいらないわ! そんなに持っていたら、心臓が持たないわ。 そう。それなら5人分くらい? ちょっと友達に声を掛けてみるから、その返答でいい?」
「OKだよ。 返信待っています。 そんじゃーねー!」
そう言って、アキラ君からの電話を切ると、私は急いで友達に電話を掛けた。
結果私の他には、おいちゃん(宮森あおい)、ずかちゃん(坂木しずか)、みーちゃん(藤堂美沙)、りーちゃん(今井みどり)の5人が行く事になった。
久乃木さんは残念ながら人が沢山居る所は無理とのことで、山形から出てきたアニメーション同好会の元メンバー達で舞台を観に行く事にした。
アキラ君に5人と伝えると、翌日には私の家にSS席の5枚のチケットが配達されて来た。
転売されているチケットでも転売品を買って入場できる保証すらないのに関わらず、A席で何十万ってレベルなのに、SS席のチケットとかどれだけの価値があるのだろうか・・・。 SS席のチケットは有名な版画家さんが印刷ではなくて、1枚1枚手で刷られていて、それが手にインクが付かないように、コーティングされていた。なので、5枚分のチケットを並べると、それぞれ微妙にインクの付き方が違う。
銀河鉄道をモチーフにした素敵な版画だ。 これだけで、ものすごいプレミアム感だ。 舞台を観た後に、この半券だけ飾っておく人も出るだろう。 かく言う私も、この半券に合う写真立てをネットで探していたりする。
今回は本当に運が良いとしか言いようが無い。 私は前世でどんな徳を積んだのだろうか?
モチベーションが落ちていた私は、一転して、今度は興奮してあまり眠れない日々を過ごした。
そして迎えた、開演日当日、バッチリとメイクを決めて、一番良い服を着て、私は気合を入れて、決戦の地、帝国国際劇場へと足を運ぶのであった。
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絵麻ママはみんなで銀河鉄道を観に行く2
有楽町駅で待ち合わせをした私たちは、そのまま帝国国際劇場へと足を運んだ。
「おいちゃん、よく休み取れたね。今忙しいんでしょ?」
「えまっち様、何をおっしゃるやら。そりゃ、ケイティを始めF4の方々が出演するなら、何をおいても観に来させていただきますよ。 ましてやSS席の超プラチナチケット。 ムサニ(武蔵野アニメーション)でも観に行くって言ったら、それはもう垂涎の的でしたよ。」
彼女はもみ手をしてアキラ君達に全力で媚びながら言った。
「もう、監督なんだからしっかりしてよ!」
「はいはい。でもよく5枚もチケットが手に入ったわね。 しかもSS席なんて!!」
「アキラ君達に感謝してね。 普通は絶対にこんな席で観られないんだから。」
「もちろんですよ。アキラ君様にはいつも助けてもらっております。 足を向けて寝られませんよ。」
彼女がこう言うのには理由があった。 実は、現在私たち5人は再び集まってムサニでアニメを作っている。とは言っても、今の私は本業はイラストレーター兼VTuber兼漫画家で、ムサニではキャラデザをしているだけなんだけど・・・。
きっかけは私がアキラ君の手引きで、VTuberのメディアミックスとして、週刊誌に数ページの四コマ漫画を連載し始めた事だった。
ストーリーは見習い悪魔のケイティが悪魔とは何かを知るべく世界中を旅する物語で、仲間に珍獣アキラン、超絶美少女天使(自称)のチヨコエル、カメレオンアラヤ、アホお嬢様コンビのキアラとラーヤが旅先で絡んでいくような物語だった。
私はイラストを描けても、漫画なんて無理だったから、この仕事を断ろうとしたんだけど、アキラ君は「心配ご無用」とか言って、りーちゃん(今井みどり)を連れてきた。
さらに、りーちゃんの下に監修の宗教学者の人と、パートタイムでケイティが旅する現地に詳しい人、そして私の漫画のアシスタントさん(女性)×2が加わり、あっという間に週刊連載のチームが出来上がってしまった。
原作がりーちゃん、作画が私という体制で、過酷と言われる漫画の週刊連載が始まった・・・・のだけれども、私はりーちゃんの上げてきた四コマに線画とペンを入れるだけで、背景やトーン、印刷用の調整みたいな部分は全部アシスタントさんがやってくれた。
結果、私は月に3日ぐらい働くだけのお気楽モードで週刊連載の仕事を終えていた。
これでイラストレーターの他に漫画家ですとか言うのがおこがましすぎる。
「先生、絵を描くのがむちゃくちゃ早いですね。」ってアシスタントさんからキラキラした目で言われるんだけど、ごめん。 世の中には、私よりももっと繊細できれいな絵を素早く仕上げるアニメーターさんが沢山居るのよ・・・。
そんな感じで、本当に週刊誌の漫画家なのか?と疑問に思う生活を1年ほど続けていたら、やたらと人気が上がってきて、ぼちぼちと週刊誌の表紙やカラーの扉絵を飾るようになってきた。
これはどちらかというと、私よりもVTuber活動を頑張っている景ちゃん達の影響の方が大きいと思う。私たちの漫画はそんなみんなに支えられて、人気がどんどん上がっていった。
私の絵と国民的なキャラクターが一緒に表紙になった時には本当にびっくりしたよ。
その頃になるとアニメ化の話がちらほらと出始めていた。
四コマ漫画でアニメ?って思ったけど、実際に特に日常系で四コマ漫画で成功しているアニメっていうのも多いし、サザエさんも元は四コマ漫画だ。 そして、この四コマ漫画もある意味日常系でもあった。
アニメ化の話はわりとすんなりと進んだ。 もともとこの漫画は、スターズの企画持ち込みでメディアミックスした経緯があったから、スターズ主導でアニメ化の企画が進められた。
ここでさらにアキラ君の次の一手が繰り出される。 アキラ君は私との個人的なつながりを理由に、おいちゃん(宮森あおい)を名指ししてムサニにアニメの発注を行った。
当時のムサニは、いろんなアニメの下請けなどをして、なんとか存続できていたけど、経営は青息吐息だった。 そこに突如来た大型案件に沸き立った。
アキラ君はアニメ化にあたって、まずはりーちゃんのシナリオチームの人員の大幅拡充を行う。 宗教などのセンシティブな部分を監修する宗教学者さん達の他に、ケイティが旅する国の情報やアイデアを集めるチーム、ケイティが旅する国の情報を提供する現地の人たち、宗教以外の他国の文化視点での問題点や改修点を指摘する文化学者さんや言語学者さん、脚本の体裁と配色をするサブライターさん、それらの人員をマネージメントするサブリーダーさん。 ちなみに、サブリーダーさんはスターズのマネージャ陣から研修目的をかねて派遣されていた。
こうしてりーちゃんの下に常時10人以上の人が働く事となった。当のりーちゃんは、全力でシナリオだけに集中できる体制が整って、理想の仕事環境の前に戸惑いまくっていた。 ただ、ここまでチームが整えられると、りーちゃんが脚本でミスをする事は無くなり、人物目線のシナリオを書く、彼女の持ち味が大きく引き出されて行った。
同時にアキラ君はアニメの制作現場に非常に高いクオリティを要求した。第一回目の制作会議はアキラ君も出席したんだけど、制作日数はともかく、そのクオリティでは無理だという意見の大合唱だった。
「でも値段以上のクオリティに挑戦するのがムサニなんじゃないの?」ってアキラ君が言うと、「私たちもベストは尽くしますが、値段以上のクオリティを要求されても対応できません。」渡辺社長がきっぱりと言った。
「じゃあこのクオリティを実現する値段っていくら?」ってアキラ君が聞くと、渡辺社長は業界標準の制作費の2倍を提示した。 普通はお断り価格だ。 でもこのクオリティなら、まぁ確かにこのぐらいにはなるだろうって、私も納得して見守っていると、アキラ君は「なるほど、安いね。 アニメーターさんの給料が心配になるよ。 ならこの値段でやってくれる?」って言って、その値段のさらに倍。 つまり業界標準の4倍の値段を提示した。
なんとアキラ君は52話分のアニメの制作費を13話にぶち込んだのだ。
「この値段でやってくれるなら、ここですぐに契約書にサインするけど、これで納得してもらえないなら、別の所に話を持って行くけどどうする?」
「はい・・・。これでやらせてください。」
ムサニの面々はうなだれて大人しくなった。アニメに命をかけるムサニの人たちでも、欲しいものは欲しいのだ。 別にアキラ君は彼らのアニメにケチを付けた訳でも無かった。
私は人生で初めて札束で頬をたたく瞬間をリアルに見てしまった。 札束で頬をたたくって拝金主義で否定的なイメージがあるけれども、使いどころを間違えなければ、本当に効果的なんだなと他人事ながらに思ってしまった。 でもアキラ君は百戦錬磨の役者さんなんだから、そういう心理的な効果もいろいろ計算しているとは思うけど。 そこからはアキラ君のペースで話が進んだ。
とんでもない制作費を出したアキラ君だけれども、制作の概要が決まったところで、おいちゃんに一任して、制作について特に口出しするような事は無かった。
シナリオについてもりーちゃんに紐が付いているから、変なシナリオのアニメが作られることも無いし、余計な口出しもしないから現場から反感を買うこともない。
制作の進捗や品質確認については、スターズから派遣されたマネージャさんが毎回確認していた。この人も制作費の使い道や、日程のかけ方などに特に問題が無ければ口出しをしてくる事は無かった。
こういう組織作りはアキラ君はスターズを作ったアリサさんの血を引いて本当に上手だと思う。アキラ君は最初の交渉をしただけで、人を集めて、あとは監視を含めて、できる人を雇って丸投げした。 専門の人を適材適所に投入するアキラ君の手法がわかると、ムサニの動揺も収まってアニメ制作に邁進するようになった。
そしてCGでみーちゃん(藤堂美紗)が加わり、『走れケイティ』の制作は始まる。
声優のキャストについてはスターズ側に一任されていたんだけど、新人多めでベテランが締めるというわりと安定したラインナップだった。
事務所のタレントのゴリ押しとかも無かった。 唯一の例外は、アキラ君とずかちゃん(坂木しずか)とのコラボ配信の時に、マリオカートで9連敗を喫したアキラ君は、10連敗目を記録しそうな瞬間に、「だっだめだ! 負けてまう。 もし、ゴールの手前で待ってくれたら、ケイティの居候する家の娘さんの役をあげるから待って!」「本当ですか!?」って感じで10連敗を免れ、視聴者からアニメの配役を餌に、ずかちゃんから勝利を買った卑劣な男として配信は大いに盛り上がった。
翌日のニュースサイトやトイッターには「星アキラ、卑劣な手段でマリオカート10連敗を脱する。これには、ずかちゃんファンもニッコリ。」という感じで怪しげなリーク情報とともに、炎上の話題を提供していた。
もっとも、ずかちゃんの起用はムサニとの間で同意ずみだったみたいだけど・・・。こういうメディア戦略ってアキラ君にしか出来ないよね。でも本気で10連敗したくなかっただけに見えたし・・・、絶対にわざとじゃないよね? アキラ君がおバカかわいい。
肝心のF4の声優さん達なんだけど、これがなんと本人達が声をそのまま担当した。 とは言っても、景ちゃんがやるケイティ以外は、他のメンバーは準レギュラー扱いだったので、出ずっぱりって訳でもなくて、ある程度都合が付いた。 もっとも、みんな忙しいから別録りも多いけどね。
そんな感じで『走れケイティ』のプロジェクトは順調に進んだ。 でも、アニメの第一話完成直前で私は疑問だった。面白いアニメだとは思うけれども、相場の4倍の制作費をかけるほどだとも思えない。 こんなの絶対にペイできないのにどうするつもりなんだろう? って思っていたら、関係者全員がアキラ君の販売戦略に度肝を抜かれる事になるのであった。
今回はほぼ、絵麻ママの近況になっちゃいました。
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絵麻ママはみんなで銀河鉄道を観に行く3
アキラ君が『走れケイティ』でりーちゃんに要求した事は以下だった。
1. 旅をする現地の文化を尊重して、旅先の国の文化や常識を尊重した話にすること
2. 無理に新しいことをせずにパターン化してもよい
3. 過激な表現は避けること
4.大人でも子供でも、わかりやすいシナリオにすること
5.無理に日本のアニメファンや評論家の意見にこだわらなくてもよい
6.何話から観てもわかる構成にすること
アニメ制作サイドからすると結構不思議な要求だった。 そもそもどの年齢層やターゲット層に見せるのかもよくわからない不思議な設定だ。
アキラ君は『男はつらいよ』みたいな感じの人情と笑いでパターン化してくれればいいって言っていた。新しいことに挑戦してもいいけど、先にパターン化してそこから展開したほうが楽とも言ったアドバイスをしている。
ふつうは斬新なアニメを目指すと思うんだけど・・・。
結果、第一話で出来上がってきたのは、適度に面白いけれども、日本のアニメファンからしたらちょっと物足りないアニメが出来上がってきた。
アキラ君は出来上がったアニメに喜んで、さっそく売り込みに行った。 売り込み先は日本ではなくて、ネッコフリックスとハリウッドのブローカーを伝手にした、全世界のテレビ局が対象だった。
逆に日本ではネッコフリックス独占放送で、一般のテレビ局では放送されなかった。
いや、これは無理筋でしょう。 私を始め、ムサニの面々は全員そう思った。 私たちは盛大な爆死を覚悟した。
ところが、ここから話は予想外の方向に向かった。 アキラ君は最初から日本語版の他に、英語、フランス語、スペイン語、中国語、その他のテレビ局から依頼された言語でローカライズした。
そして全世界でネタバレ無しに一斉に放映した。
日本が舞台の最初の3話は案の定、そんなに人気が出なかった。 日本ではネッコフリックスでしか放映していないので、このアニメの存在を知らない人が居るぐらいだった。
そして次の舞台はフィリピン。 なぜこんなマイナーな国に行くのかとみんな思った。アメリカとかヨーロッパとか中国とか市場が大きくて有名な国はいっぱいあるじゃんと。
私たちは爆死の確信をさらに強く持った。だが、この辺から風向きが変わってくる。
徹底的な取材と、現地の人たちの協力、りーちゃんが現地に取材をしてまで書き上げた渾身のシナリオが火を噴いた。
潤沢な予算をかけてムサニの努力で書き上げたフィリピンのカオスで混沌としていてエネルギッシュな情景と、生き生きと描かれる現地の生活、そして人情味のある人間ドラマが徐々にファンを獲得していった。
このアニメはまずはフィリピンで大ヒットし始める。 そしてその後東南アジアの国々を旅するごとにその国でヒットした。 同時に周辺国やアジア全体での視聴率が回を追うごとにどんどん上がっていく。
1クール終了時にはアジアでそれなりにヒットするようになり、2クール目が制作決定。 2クール目はなんと中東。 3クール目が南米。 ことごとく主要な国を飛ばしてマイナーな国々を回った。
でもそれがヒットの要因。 ふつうは取り上げられるはずのないマイナーな国々の旅、そして綿密な取材で描かれるリアルな現地の生活。
ケイティが旅した国は必ずヒットした。 そして2クール目には世界的な注目が集まっていく。
アニメの内容は男がつらいよと孤独のグルメを足して2で割ったような感じとなった。とにかく不思議な魅力があって、観るのに体力を使わないし、話を飛ばして観ても問題ないけど、笑いとたまに人情でほろりとくる感じ。話の内容自体も海外のアニメファン向けではなくて一般向けだった。当然、アニメファンも楽しめるけどね。
そこに、回によって交互に千世子ちゃん達のお助けキャラが絡む感じ。
あれよあれよと言う間にアニメの収益は改善していった。全世界の放送収入とメディアやグッズの売り上げがスターズに集まった。気が付いたら放映しているアニメの中で断トツの収益を上げていた。
私たちは日本だけをベースに考えていたんだけど、全世界を商売相手にすればパイが何十倍も大きい。 しかも、海外のアニメファン向けじゃなくて、一般向けの市場に流していたためカジュアルなファンがいっぱいついて、4倍の製作費などあっという間にペイできた。もっともこんな売り方はハリウッドに強力な伝手があるアキラ君じゃないと無理だろうけど。
そんな世界的なヒットを背景に遅まきながら日本でも一般に放送されて、ヒットすることになった。『走れケイティ』は製作が日本でありながら、世界から日本に逆輸入されためずらしいアニメとなった。(正確にはネッコフリックスで先に放映されていたけれど)
主人公のケイティが見習い悪魔って世界の宗教的にはまずいんじゃないの?って思っていたんだけど、彼女は見習い悪魔として世界を旅しなさいという神様の啓示を受けて旅に出ていた。 なので見習い悪魔は自称だけど、啓示を行った神様もどの神様とかいう描写もなかった。
彼女は声を聴いた神様を探して旅をしていた。彼女自身は神様は信じるけれども、どの宗教にも入っていないという不思議な話だった。だから彼女は現地の宗教や風習を偏見なく肯定していった。
彼女の生き方自体がいろんな宗教の宗教家さん達にも問題がないようで、ケイティの旅路は様々な人の注目を集めた。こういった部分が初期から宗教学者さんや民俗学者さんなんかでチームを作っていた成果が出ている。
景ちゃん達は日本語のほかに、英語の声もがんばっていた。 子供のころからアキラ君に英語を教えてもらって発音とかも良かったので、彼女は声優としてもヒットした。 英語以外の言語はさすがにそれぞれの言語の声優さんを当てているけど、彼女は人一倍声優の演技をがんばって、今では声優としても全く遜色がないし、声優としての世間の評判も上々だ。 というか、最近は景ちゃんがゾーンに入るとほかの声優さんが喰われるので手加減してあげて(泣)
そして、ヒットと共に、ムサニの収益も上がり、おいちゃんは2クール目から助監督に昇格して、3クール目には監督として何話か受け持つようになっていった。 制作進行の仕事を後輩に譲って、今では彼女がメインの監督だったりする。今、ムサニには世界各国から国際郵便で大量のファンレターが届いている。
だから今日の銀河鉄道の舞台は『走れケイティ』の声優さん達が出演する舞台でもあり、私たち5人の恩人とも言える人達の特別な舞台なのだ。
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絵麻ママはみんなで銀河鉄道を観に行く4
劇場に入ると、私たちは正面、最前列からちょっと後ろのものすごく良い席に座った。
周りにハリウッドスターが数人居てビビった。 アキラ君、友達にチケットを配ったって言ってたけども、ハリウッドスターは無いでしょ!? っていうか完全にお忍びだよね。 そもそも日本語わかんないんじゃないの?
って思っていたら、その人たちには字幕が出る端末みたいなのが配られてた。電子ペーパーで、舞台でも画面が周りの迷惑にならないやつ。 ハリウッドスターたちは字幕を元に洋画感覚で舞台を楽しんでいた。
恐るべしアキラ君、サポートも万全だった。 当日は英訳の動画も放映されるから字幕はそれを出しているんだろう。
私たちがあのハリウッドスターと同格とはとても思えないけど、超強運でもらったチケットで真剣に鑑賞させていただきます。
しばらくして舞台が開演。 みんな銀河鉄道の夜に引き込まれていった。 最初は阿良也君の演技がすごかった。 そもそも私は舞台なんて、お金に余裕ができてから2.5次元のミュージカルを数回観に行ったっきりで、本格的な舞台は初めてだった。 なんていうか、空気が全然違う。 阿良也君の呼吸の音まで聞こえてくるし、気配を間近に感じる。
目の前で集中して繰り広げられる役者の生の演技に圧倒される私たち。 映画やアニメとは全く違った、目の前でリアルに繰り広げられる役者さんの生に演技にどんどん魅入れていった。
教室の中とか絡まれるシーンとか役者さんは沢山いたんだけど、その中にいても最も光り輝くのは主役である阿良也君。 明神阿良也という役者が天才っていうのもわかる。 普段のぬぼ~としたふわふわした阿良也君しか見てなかったから、この変化に戸惑う。 完全に別人だ。 あの阿良也君がこんな風に変われるなんて、役者さんってやばい。
あんなにふわふわして普段は何を考えているかわからないのに、感受性がすごいのだろうか? 天才ってやっぱりあんな感じなのだろうか? そういえば、そんな状態でもアキラ君は阿良也君が何を言いたいのかよく分かっていたっけ。 あの4人は親友同士だけど、みんなそれぞれを良く理解していたように見えた。 役者同士通じるものがあるのかな。
そんなこんなで第一部終了。 景ちゃんのセリフが第一部では無かったけど、第二部からはもう一人の主役としてがんばるはずだ。 景ちゃんファイト! 私は景ちゃんを応援した。 もっとも、この後に私の応援なんていらないほどヤバい景ちゃん達を見ることになったのだけど。
第二部が始まると、椅子だけが置かれた舞台に阿良也君が座っていてびっくりする。 みんな戸惑っていた。 なにかの手違いかと思ったんだけど、景ちゃんのカムパネルラが普通に入ってきて、劇が続いた。
入ってきた景ちゃんはすごかった。 窓を開けるときに本当に客車の窓が開いたような音が幻聴として聞こえてきて、阿良也君の横で存在感を示している。
景ちゃんと阿良也君が二人で演技をすると、簡素なはずの舞台が光輝く銀河鉄道の旅路に変わった。 彼らが体を動かして表現する度に、私の目の前に原色のような美しさに彩られた銀河鉄道の景色が浮かんでくる。
私は、銀河鉄道の夜って古い物語だし、アンティークな印刷物のイメージがあったから、勝手にモノトーンの白黒かセピア色の情景だと思っていた。 でも二人の演技からそれが完全に覆って、本当に輝く美しい星の海が頭の中に描かれる。 私はこの情景を心にとどめて、帰ったらこの情景をイラストに描き起こすことを決めた。
景ちゃんと阿良也君、二人は舞台の上で二連星のように大きく輝いて、そして影響し合って舞台が進んでいった。 景ちゃんファイトとか勝手に応援していたのが恥ずかしいぐらい、景ちゃんの存在感はすごい。 私が応援しなくても景ちゃんの演技は半端なかった。
本当にきれい。 本当にすばらしい。 私は息をするのを忘れるぐらい舞台に集中していた。もう一緒に来たみんなの事なんて薄情にも完全に忘れるぐらいだった。 もっとも、後でみんなに聞いたら、みんなそうだったらしいので、お互い様だろう。
私は時間が経つのを忘れて、銀河鉄道の世界に吞まれているとアキラ君の出番が来て、一番の衝撃を受けるのだった。
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絵麻ママはみんなで銀河鉄道を観に行く5
アキラ君が突然舞台に現れた時に、私の心臓は止まるんじゃないかってほどの衝撃を受けた。
アキラ君が死んでいる!!
私は舞台であることを忘れて、喉の奥から声が出そうになった。
みんな我に返って、口々に聞く。
「アキラ君が死んでない?」
「でも、舞台に立っているじゃん。 でも・・・。死んでる感じがする。」
「アキラ君が本当に死んじゃったとか?」
「そっそんなのだめよ! うちがつぶれる。もうあの状態に戻っちゃったら絶対にやって行けない!」
「おいちゃん、こんな所で現実に戻らないでよ。」
「ちょっと、アキラ君が急死してないか確認してみるね。」
みーちゃんはスマフォでニュース検索を始めた。
私はというと、あまりの衝撃に震えて何もできなかった。 あのアキラ君が死んでいる? 感じたことのない親しい人の死を間近に感じて私はパニックになりそうだった。
そんな混乱の中、千世子ちゃんが動いた。
千世子ちゃんの演技で私はまた舞台に惹きこまれていく。アキラ君も動くけれども、やっぱり死んでいるって感じる。 アキラ君の死後にアキラ君の生前のドラマを観ているような気分だ。 舞台の上で生きている人間がリアルに死の感覚を振りまいていた。
ただ、アキラ君が演技を始めると、死の衝撃は和らいで、すぐに舞台に没入した。
私はただひたすらに、アキラ君が死んでいるのは演技なんだ!演技なんだ!って自分に言い聞かせた。 そうじゃないと私の精神は耐えられそうに無かった。 本当にアキラ君が死んでいて、ここに見えるのがそのアキラ君の最後の幻影なんて事が分かったら、私は今ここで発狂する自信があった。
キアラちゃんと千世子ちゃんの演技はすごかった。 死の衝撃の後の演技でも景ちゃんや阿良也君と全く遜色がない。 舞台の上で2連星が4連星になった感じだ。
4つの恒星が互いに大きな光を出しながら互いに引き寄せ合って劇を形成していく。
千世子ちゃんのその魅力的な演技に一度でも魅入られると目が離せなくなる。 魅入られるってこんな体験なのかもしれない。
普段の四人が見せない、本気の役者としての芝居とその緊迫感、そして魅力的過ぎる四人に私は溺れて行った。
夢のような空間、そして死者としての気配を纏う二人と、純粋に星々を渡る汽車の旅を楽しむ二人。
四人の会話が進むと、キアラちゃんの手にヴァイオリンが握られていた。 みんなにせがまれてキアラちゃんはヴァイオリンの準備を始める。
キアラちゃんのヴァイオリンは筋金入りの上手さだ。 ここでキアラちゃんのヴァイオリンを聞ければ、アキラ君の死の演技で混乱した私の心も一息つけるかもしれない。
そうして、キアラちゃんがヴァイオリンを弾き始めたら、あっ、これはダメだって思った。 その後は正直、記憶が曖昧だ。 死者から私に贈られる優しい愛の歌に私の魂は歓喜の雄叫びを上げて、同時に私の精神は文字通り昇天していた。
気が付いたら、第二部は終わりを告げて、休憩時間だった。休憩時間も10分を超えていた。
私は涙でバッチリと決めてきたメイクがボロボロだった。 おそらく私の今の顔はかなり悲惨な事になっている事だろう。
でも他のみんなも一緒だった。みんな大量の涙を流して呆然としていた。
悲しくて号泣するとか、嬉しくて歓喜の涙を流すんじゃない。 ただ、奇跡の曲で、心の奥底の魂みたいな人間を形作る部分が浄化された感じ。 なんて言うか、魂がデトックスされて、生きていくために我慢して貯まっていた毒やストレスが全部洗い流されて、人間として生きてきた苦労や否定的な心の傷が全部癒えて子供の頃の心と活力を取り戻した感じ。 そしてそれらのネガティブな毒や心の傷が全て涙と一緒に体の外に排出された気分。
私は今、生まれ変わったような気がしていた。
しかし、そんな流された涙で私の顔はドロドロだった。 みんなの顔も本当に酷いことになっているけれども、私の顔も酷いんだろう。
私はコンパクトを取り出して、メイクを取り繕った。 なんとかメイクの応急修理は完了した・・・と思う。
そこかしこでメイクを直す同じ光景が見える。 でもそれは仕方がない事だと思う。 その証拠に、誰一人、化粧が崩れた事に文句なんて言っていない。 普段は泣かない男の人もみんな涙を流しているけれども、みんなそれを誇らしくしていた。
そして第三部が始まり、ジョバンニとカムパネルラの別れに私は号泣し、私のメイクの応急修理箇所は再び大破し、上から修理の化粧を上塗りしていた私の顔は余計に酷い事になってしまった。
でも、黒い帽子の女性が舞台に上がると、そんな事も言っていられなくなった。
星アリサ。 日本に多大な影響を与えた伝説の女優。 その圧巻の演技に私は体が縫い付けられるような戦慄を覚えた。
景ちゃんもすごかったけど、アリサさんは本当にすごい。 アリサママとか社長とか、そう言うのを取っ払って、女優として魅せる、星アリサという女の芝居。 ちょっと見るだけでもわかる。 その芝居にかける執念と技術では追いつけない絶対の才能。これこそ、まさに天才。 日本を作ってきた一人の女優の芝居をこの目で目撃している感動を肌で感じる。
最後の極めつけは、最後の巌裕次郎の登場と、銀河鉄道の乗車切符を使った、劇団天球へのバトンタッチの演出。 私は今、この瞬間、時代の生き証人である事に気が付いて、体が震えた。 なんて舞台なの!! こんな舞台のチケットをアキラ君はタダで配っていたの!?
舞台の感動と共に、こんな歴史的な舞台に立ち会えた自分の幸運さに、身が縮む思いだった。
そして感動のカーテンコール。
カーテンコールの最中に、私はふと我に返ると、急いでカバンを漁って、いつも持ち歩いているスケッチブックと鉛筆を取り出すと、一心不乱にこの劇を見て受けた感想やインスピレーション、そして私の中の心の情景を画用紙にぶつけ始めた。
舞台の感動、そしてキアラちゃんの奇跡の演奏によってネガティブな感情や、心の傷が洗い流されて、私の中で最後に残った感情は絵への執着と、体の外に吹き出す炎のような猛烈な創作意欲であった。
アニメーターを目指して山形から上京してはや6年。 経営難からムサニを辞める事になり、フリーの原画マンになって、アキラ君に見初められてイラストレーターになり、漫画家を経て、再びアニメのキャラクターデザインをやっている訳だけれども、ずっと私の心の奥底に引っかかっていたことがあった。
それは、未だにアニメーターとして自分は未熟なのではないかという不安と、アニメーターの仕事から逃げてイラストレーターになったのではないかという後ろめたさだった。
私よりも何倍もすごい先輩達がアニメーターとして頑張っているのに、私はアニメータの技術が未熟なまま、イラストレイターとしてこんなに沢山のお金を稼いでしまって良いのだろうか。 結果的に私はアニメーションの仕事から逃げたのではないか。 それは私の心に刺さった棘であり、イラストレーターや漫画家、VTuberとして成功した今でも、ずっと刺さったまま取れない心の傷だった。
現に、アニメーター時代の私は自分で満足できる原画を描いた事が無かった。 いつも納品の時間とノルマに追われて、私の絵は常になにかを妥協していた。
他の先輩達はもっと素晴らしい原画を、私よりも短時間で描いていた。 きっと先輩達はちゃんと満足した原画を納品しているに違いない。 自分すら満足できない絵を原画として納品している自分が、とてもみすぼらしかった。
私は自分の絵に自信が無かった。 こんな私が、成功して先生なんて持ち上げられて良いのだろうか? 私の絵はすぐにみんなに飽きられてしまうのではないか。 私は、今この瞬間までそんな不安感に囚われていた。
でも、キアラちゃんの演奏に癒されて、色々なしがらみから解放された私の心に、最後に残った物は絵を描きたいという純粋な衝動だった。 だから私はその衝動のままに、舞台の感動を画用紙にぶつけた。
全員がスタンディングオベーションをしている中で一人席に座りながら、一心不乱に画用紙に絵を描きまくる私。
周りから白い目で見られているかもしれないけれど、そんな事は全く気にならなかった。 カーテンコールの拍手の音も、集中して絵を描く私の耳には全く入って来なくなった。
世界が止まって私だけが動いて絵を描いている。 こんなに集中して絵を描いた事は、今まで一度も無かった。 そんな世界の中で、私はクロッキーで1分につき1枚という、とんでもないスピードで12枚ほどの絵を描いた。
のちに私は、この時に書いた自分の絵を見直してみたんだけど、どれも1分で書いたとは思えないほど、線が生きていて、本当にわずかな線で描きたい対象や心情を的確に表現していた。
もうこれ以上は削ることが出来ないほどに、シンプルで表現力に富んだ絵だった。
私は生まれて初めてこの瞬間に、自分が本当に満足できる絵を描きあげた事に気が付いた。 わずかな線で究極に無駄を削ぎ落した絵は、まさしく私が追い求めていて、ずっと身に付けようとして努力していた、アニメーションを形作る原画そのものの理想の形だった。
そうこうしているうちに、カーテンコールも終わり、何かにとりつかれるように絵を描きあげた後に呆然としていると、私の後ろにハリウッドスターの人が来ていて、私の絵を興味深そうに見ていた。
そして、詳しく見せてくれと言うので、その絵を見せてあげると、一心不乱に絵を見て、そして涙を流していた。 私の絵で銀河鉄道のシーンを思い出しているのかもしれない。
この素晴らしい絵を貸してくれないかと言ったので、そのまま貸してあげると、なんとアメリカの展覧会で展示される事になって驚愕した。 そして12分で描かれたその絵の来歴とともに、私の絵が話題を呼んで各地の美術館を巡り、最後には、私のいくつかのキャラクターデザイン画と共に、『奇跡の12分』という題名で12枚の絵が続き絵として、ニューヨーク現代美術館で展示と所蔵がされることになるという、幸運な運命を辿る事になった。
あの絵をニューヨーク現代美術館に寄付する時に、超高額の値段で売れるのにタダであげるなんてもったいない!ってみんな言ったけれども、私は自分の描いた絵にそこまで執着する気にはなれなかった。 あの絵は、銀河鉄道の舞台が描かせてくれた絵であり、そこで描き上げた絵よりも、あの絵を描いた事で私の心の中に得られた喜びと経験の方が、私にとって何倍も価値がある物だった。
私の人生が変わった瞬間は、初めてアキラ君にファミレスで出会った瞬間だったけれども、私の心が成長した瞬間は、この舞台を観た瞬間だ。
銀河鉄道の舞台は、星々を旅する鉄道の美しい情景と共に、私の心と人生を解き放つ、鮮やかな色どりを与えてくれた最高の思い出となった。
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海外の反応 舞台銀河鉄道の夜の反応
日本で話題沸騰の劇団天球による銀河鉄道の夜の舞台。 この舞台は字幕付きで海外向けにも同時配信されたために、海外でも大きく話題になりました。
今回はそんな銀河鉄道に沸く海外の海外の反応をどうぞ。
1海外の反応
銀河鉄道の夜の舞台を観た? 本当にWonderfulだったよ。 Broadwayのミュージカルとはまた違う、夢のような舞台だった。
2海外の反応
ケイティの女優さんが出るって言っていたから、暇つぶしに見てたんだけど、暇つぶしなんてとんでも無かった。 まさにfantasticだったよ。
3海外の反応
私はアキラ・ホシが出演するって聞いたから見ていたんだけど、動画開始前の舞台の説明でケイティのモデルになった女優さんが主演ってことですごくびっくりしたわ。 アラヤンとケイティがアニメだけじゃなくて、舞台でも共演とかそれだけでも素敵よ。
4海外の反応
アラヤの演技は素晴らしかった。 あの気弱に見せつつ、動きの一つ一つで心情が伝わるあの繊細な演技は別格だった。 オーバーに喜怒哀楽をすればいいみたいな最近のYoungな俳優達にも見習ってほしいよ。
5海外の反応
あの状況によってコロコロと雰囲気を変えて劇をリードする姿は、まさしくカメレオンだよ。
6海外の反応
やっぱり何といってもケイティよ。 今回は男の子の役だったけれども、アニメで見るよりも、断然カッコ良かったわ。 あの優しい声にも痺れちゃった。 今度は走れケイティでも男の子役で登場してほしいわ。
7海外の反応
あのケイティは本当に素敵だったわ。 男の子の姿でもすごくCuteでますますファンになっちゃったわ。
8海外の反応
男の子のケイティには僕も衝撃を受けたよ。しかもそれでいて、声はあのプリティで澄んだ声のケイティのままだったからね。
9海外の反応
普段はケイティの声優もやっているものね。 声はケイティのままでびっくりしたよ。
10海外の反応
とんでもない演技だった。 椅子しか置かれていないのに、銀河を走る列車だってすぐにわかるからね。
11海外の反応
私もNight on the milky way trainって題で最初は意味が分からなかったんだけど、銀河を旅する列車の劇にすぐに魅入られて行ったよ
12海外の反応
椅子だけでできるから、息子と娘が真似をしちゃって我が家では結構大変。
13海外の反応
学校で真似をする子達も結構多いみたいよ。
14海外の反応
みんなかわいらしいな。 それだけあの舞台のインパクトが大きいんだろうね。
15海外の反応
あの二人がリアルで掛け合いをしているだけでも、本当に涙が出る
16海外の反応
でも涙と言ったら、アキラ・ホシの演技と演奏も絶対に欠かせないよ。
17海外の反応
あの死んでいる人を演じた演技には本当にびっくりした。
18海外の反応
あの青年が死者だって理解できる自分が理解できなかった。
19海外の反応
何の前知識もなく、一目見てこの人は死んでいるってわかるってどういう事かと思ったよ。
20海外の反応
流石はハリウッドスター、アキラ・ホシ。生で観ても本当にクレイジーだった。
21海外の反応
他のハリウッドスターでもあんな演技を見た事が無いよ。
22海外の反応
ただでさえ、大好きだったアキラ・ホシがますますファンになっちゃったよ。
23海外の反応
あの演技とチヨコエルの掛け合いが最高だった。
24海外の反応
確かに、あの演技だけだと、ただの単発のインパクトだけで終わったけれども、チヨコエルとの掛け合いで天国に上る死者の物語に昇華したよね。
25海外の反応
チヨコエルがアニメと同じで美人すぎるよ。 元キャラがアニメ以上の美貌とかおかしいだろ。 チヨコエルの演技が頭から離れないよ。
26海外の反応
声を当てているだけあって、声は一緒だし、美しさや雰囲気なんかは完全にチヨコエルだった。
27海外の反応
でもチヨコエルも死んじゃってたのがすごく悲しかったよ。
28海外の反応
アキラ・ホシとチヨコエルのペアは魅力を振りまいて、そのインパクトで今でも鮮明に思い出せるよ。
29海外の反応
チヨコエルは流石は美少女天使(自称)だったよな。 もう自称が取れるのでは?
30海外の反応
あの二人の登場とヴァイオリンは本当にすごいインパクトだった。 人生で観た映画や舞台の中でもトップだよ。
31海外の反応
アキラ・ホシのヴァイオリンは本当にすごかった。 あの演奏の間に天国を見たよ。
32海外の反応
あの生演奏を聴けるのであれば、私も仕事をほったらかしてJapanに飛んでいきたいわ。
33海外の反応
あんなブリリアントな演奏を聴いたのは生まれて初めてだった。 あれこそ僕が効いた音楽の中でベストだね。
34海外の反応
とんでもない演奏だった。 リストの愛の夢だよね。 演奏を聴いている間、僕は真っ白になっちゃったよ。
35海外の反応
アキラ・ホシがあんなにヴァイオリンが天才的だったなんて知らなかったよ。
36海外の反応
彼のYoutubeチャンネルを観たことが無いのかい? いつも彼はそのクレイジーな腕前を披露しているよ。 でも今回の演奏はその中でも格別だったね。
37海外の反応
私、あの演奏を聞いた瞬間に気が遠くなって、天国の両親に会った気がするの。 死後に両親に会えると思うと、今を精一杯生きようっていう気力が湧いてきたわ。
38海外の反応
僕も天国の存在を感じたね。 仏教でいう輪廻転生、つまり死んだら生まれ変わる人生もあるかもしれない。本当に今を生きることに意義を与える言葉に言い表せない演奏だったよ。
39海外の反応
レクイエムって死者から生者にも適用される事を知ったよ。あれを聞いた僕の人生も変わったよ。
40海外の反応
愛の夢がレクイエムになるとは思わなかった。 この演奏を聞いたらリストも涙を流したんじゃないかな。
41海外の反応
愛の夢は数多くの演奏がされてきた曲なんだろうけど、この演奏は間違いなく歴史に残る演奏だろうね。
42海外の反応
歴史とか、権威とかどうでもいいんだよ。 私があの演奏に感動して人生が変わったことの方が重要だよ。宗教とか興味が無かったけど、最近は教会やコミュニティのボランティアに積極的に参加して人の笑顔を見るとすごく嬉しくなるんだ。
43海外の反応
素晴らしいね。 あの演奏もあっただろうけれども、あなたの培ってきた人格がそのステキな行動をさせているんだと思うよ。
44海外の反応
確かに、大勢の人に影響を与えた歴史的な演奏だとは思うけれども、影響を受けた人にとっては権威とか名誉よりももっと重要な意味がある演奏なんだろうな。
45海外の反応
アキラ・ホシの招待を受けて、キヌスとかメリー・ライエンとかアミー・ジョーンズとか他数人のハリウッドスターも生で観ていて羨ましくなった。
46海外の反応
あれはアキラ・ホシの友達枠だろうな。 その後みんなで日本観光したみたいだけど、普段はハリウッドスターすごいって感じだけど、今はあの舞台を生で観れるなんてずるいって感情ばっかりだよ。
47海外の反応
私も、普通ならこの人が来たんだっていう箔付けかなって思っちゃうけど、今は宣伝効果とかそういうのじゃなくて、あの劇を生で観れたハリウッドスターが羨ましい。
48海外の反応
僕も、セレブなハリウッドスターに嫉妬したのは初めてだったよ。
49海外の反応
アキラのマザーもすごかったよな。
50海外の反応
ええ。 アリサ・ホシの演技は圧倒的だったわ。 演技だけで言ったらアキラ・ホシ以上かもしれないわね。
51海外の反応
あの舞台や会場の雰囲気を静粛で荘厳な雰囲気にするなんて、なんて女優だって思ったよ。
52海外の反応
アキラ・ホシのマザーは、日本の中でも有名なアクトレスらしいんだけど、演技に入りすぎて一度狂ったらしい。 そこから息子を演技に狂わないようにしたらスーパークレイジーな息子になったらしい。
53海外の反応
私はアキラ・ホシをネグレクトしたら勝手にgeniusな子供になったって聞いたけど。
54海外の反応
どちらにしても、アリサ・ホシとアキラ・ホシの関係はすごく複雑なんだけれども、今は和解してお互いを認め合っているらしいな。
55海外の反応
和解して、母娘で一緒の舞台に出るなんて素敵ね。方向性は違ったけれども、二人のインパクトは最高だったわ。
56海外の反応
まさにレア・アニマルにふさわしい猛々しい演技だったな。
57海外の反応
違うわ。レア・アニマルはすごくキュートなのよ? 今回も女性っぽい演技だったし、すごくドキドキしちゃった。
58海外の反応
最後の博士はカーテンコールでも最後に出て来たけど、何者なんだ?
59海外の反応
知らないのかい? 彼は、ユージロー・イワオ、日本最高のTheatre directorだよ。
60海外の反応
彼が舞台に人生をかけてきて、今回の舞台が人生の総決算だったんだ。 この舞台を作り上げたのは全て彼の手腕だよ。
61海外の反応
彼がこのファンタスティックな舞台を作ったのかい!? ワオ! なんてワンダフルなんだ!
62海外の反応
今回の劇でファンになっちゃった。 私は、もっと彼の舞台を観てみたいわ。
63海外の反応
もしかしたら、彼は世界最高のTheatre directorかもしれないね。
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1日本の反応
想像以上に海外にもインパクトを与えているな。
2日本の反応
日本と同じく、海外でもあの演奏で人生が変わっている人が居てワロタw
3日本の反応
あの舞台の再生数もまじでヤバいからな。
4日本の反応
巌裕次郎がいまごろ海外に発掘されていてワロえる。
5日本の反応
シェークスピアとかなら行けるだろうし、海外の舞台演出をお願いされるかもなw
6日本の反応
やっぱりあの舞台はとんでもなかったな。
7日本の反応
それ以上に『走れケイティ』の人気が高すぎw
8日本の反応
うちのF4がみんなケイティのキャラとして認識されているんですが・・・。
9日本の反応
アキラ君以外はケイティ、アラヤン、チヨコエルと認識されていて大草原ww
10日本の反応
なんせ、容姿もそっくりだし、声も一緒だからなwww
11日本の反応
どっちがオリジナルなのか、本当にこれもうわかんねぇなw
12日本の反応
星アキラは元々、レア・アニマル・アキラだから、そんなに変わんないんだよな。
13日本の反応
そう。もともとアキラ君もアキランって呼ばれる予定だったんだけど、すでに世界的に有名だったから、マーケティングの面から名称がアキラのままになって、被害を抑えられる感じwww
14日本の反応
走れケイティの元ネタメンバーが出演ってだけで日本の舞台の動画に海外の人が殺到とか、海外でどれだけ人気なんだよ。
15日本の反応
景ちゃん、絶対に海外に言ったらケイティのあだ名で呼ばれまくりだろうwww
16日本の反応
夜凪景が本名だって思われていないまであるw
17日本の反応
でも景ちゃんを始め、F4の面々はみんな英語版の声もやっているって、すごく立派だよな。
18日本の反応
子供の頃からアキラ君に指導してもらって、みんな英語ペラペラだからな。 最近は千世子ちゃんもアキラ君とハリウッドの配役をもらっているし。
19日本の反応
でも景ちゃんをケイティとしてみると、すでに世界的な人気では星アキラを上回っているのではww
20日本の反応
十分あり得る。 ハリウッドレベルでは違うかもしれないけれども、発展途上国を合わせた全世界だとかなり良い勝負するはず。
21日本の反応
どんだけ世界で人気なんだよ。走れケイティww
22日本の反応
今までのアメリカやヨーロッパのアニメなんかは文化や主張の押し付けみたいなところがあったけれども、走れケイティはそういうのが無くて、それぞれの国の文化を尊重した人間ドラマだからな。
23日本の反応
中東でケイティがアルアミラっていうムスリムの服装をしたのがびっくりだったわ。 戒律の厳しい国になったら、ニカーブっていう目だけ出ている服装になって、アニメキャラってどこへ行っても服装が変わらないと思っていたから、前代未聞だって衝撃を受けたわ。
24日本の反応
元々国によって、ケイティの服装はコロコロ変わっていたけれどもね。 でも目しか出ていないのは前代未聞だったw
25日本の反応
ハリウッドとかの映画でも、中東のシーンとかでは普通に女優が肌を出しまくりだからな。 その辺の戒律や文化を守ったうえで、笑いと人情味がある話に仕上げるのはさすがはケイティ。
26日本の反応
おかげで中東でもとんでもない人気だからな。 まさかイスラム教徒にも受け入れられるとは思わなかったわ。普通は問題を起こしたら大変だから、絶対に避けるエリアだからな。
27日本の反応
最初にケイティに啓示をしたのはアッラーの神である可能性もある訳で・・・。この辺は上手く設定を作ったよな。 神の啓示を受けて旅をするというのはどの宗教でも普遍的に受け入れられる行動だからな・・・。
28日本の反応
石油王が部屋いっぱいにケイティグッズを並べていてウケたw
29日本の反応
中東の皇太子が子供を連れて、秋葉原でケイティグッズを買いあさったとかの話を聞くと、もうね・・・。
30日本の反応
あれ、話が半分寅さんだから、山田洋次監督の実質的大勝利かも。
31日本の反応
ゴローちゃんも入っているがなw
32日本の反応
アジア、中東、南米で大人気で、その人気からアメリカ、ヨーロッパでも見る人が増えて世界的な人気に繋がっていったからな。 今では、むしろ日本が一番人気が無いまであるww
33日本の反応
走れケイティが国連親善大使に推薦されていてウケるww
34日本の反応
無形の親善大使は初めてだろw
35日本の反応
世界が日本に追いついてきたなwww
36日本の反応
文化に対する寛容のシンボルでもあるから、ありと言っちゃあり。ある意味、国連の精神を最も表しているキャラとも言える。
37日本の反応
こうやって聞くと、ケイティの人気は本当にすごいな。
38日本の反応
ケイティよりも、海外ではキアラ嬢が抹殺されていてワロタw
39日本の反応
海外用の英語の説明では出演者はキアラ嬢じゃなくてアキラ君になっていたからな。
40日本の反応
知名度で言うと、海外では圧倒的に星アキラ>>>>>星キアラだからな。 海外の映画は女装もするけれども、ほとんどが星アキラとしての出演で、必要に応じて女装って感じだから、星キアラの概念が伝わっていないっぽい。
41日本の反応
ケイティキャラのぶっ飛びお嬢様で良かったんじゃないの?
42日本の反応
あのぶっとびお嬢様はたまにしか出ないからなぁ・・・。人気もチヨコエルとかアラヤンと比較するとイマイチだし。 レア・アニマル・アキラの方ならかなり行けてたと思う。
43日本の反応
レア・アニマル・アキラはうっかり八兵衛枠だからなぁ・・・。 スナフキン枠のカメレオンアラヤンに比べると、これも微妙に人気が劣るんだよな。
44日本の反応
アラヤンはまじで人気があるだろ。かっけえもん。 テント一本で旅をして、達観した目で人生の深淵の言葉を残していくとか、男の中の男すぎるだろ。
45日本の反応
さりげなくケイティを助ける所とか、紳士でマジカッコいいんだよな。 それに対してケイティに面倒ごとを持ってくるレア・アニマル・アキラよww
46日本の反応
アキラもかっこいい事はカッコいいんだけど、ひょうきん2.5枚目キャラだからな・・・。
47日本の反応
こうしてみると、ぶっとびお嬢様と星アキラを比較すると、星アキラかなぁ。 そもそも演技が全くぶっ飛びお嬢様じゃないし。あのシーンでアホかわいいお嬢様が出てきても完全に興ざめだろw
48日本の反応
今回は青年の役だから星アキラって説明してもまぁ、大丈夫っていっちゃ大丈夫だけど、明らかに星キアラの繊細な演技だったから、星キアラとして評価されていないのがもやもや感が。
49日本の反応
今回は英語版の人の判断で俳優名が星アキラに切り替えられていたけれども、この劇を元にいずれハリウッドで星キアラの出演する映画が撮られればまた状況が変わってくるでしょう。
50日本の反応
アキラ君と同じく、キアラ嬢もハリウッドで大暴れしてほしいな。 千世子ちゃんもセットで・・・。
51日本の反応
そして全世界があの写真集に洗脳されるわけですね。わかりますw
52日本の反応
今回の舞台で注目を浴びて、海外で星キアラ主演の映画が作られれば話は変わってくるかも。
53日本の反応
そうなったらいいな。
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月間演芸✕月号 石田信也の勝手な演劇エッセイ 第100回 ~星アキラ~
この勝手な演劇エッセイもついに100回の節目を迎えた。 その間に様々な俳優や業界の慣習などをコラムとして書いてきたわけだが、今回は100回記念として、読者の皆様が今、一番聞きたいであろう、私の星アキラ評について、話したいと思う。
もちろん、このエッセイを見続けていただいた諸氏は、私が猛烈な星アキラのアンチである事はご存じの事だろう。 だからこそ、このエッセイの第100回目として、同時に銀河鉄道の夜で活躍した話題の人物でもある、星アキラについて取り上げようと思う。
私は巌裕次郎の舞台を観続けて40年、TV業界の仕事をしながらライターとして舞台や映画の批評やなどを書かせてもらって30年あまり。 若いころに巌裕次郎の舞台に衝撃を受けて、星アリサの演技に驚き、そしてその感動を伝えるために文章を書いていたら、いつの間にか大御所の舞台批評家の一人に数えられてしまった感じだ。 その間に家庭を持ち、今は孫まで生まれている。
私達家族もみんな演劇好きに育ち、今でもみんなで舞台に行ったり、わいわいガヤガヤと色々な役者さんの話をしたりする。
そんな私達の家族で論争になる俳優が一人いる。 そう。星アキラという破天荒な問題児だ。
妻や、娘、孫に至るまでみんな星アキラが大好きだった大ファンと言っていい。 対して、私は星アキラをまともな俳優として認めていなかった。 逆になぜ、あの俳優をみんな高く評価するのか全く理解できなかった。
私が星アキラが嫌いな理由は、心の中まで演技に入りきらずに、表面的な部分でしか演技を行わなかったからだ。 星アリサによって衝撃を受けて以来、心の底まで演技する対象になりきれる役者が最高の役者だと考えて来た。
目の前で怒って、ものすごく反省しているように見えても、心の中では全く反省をしていない人間を考えてほしい。殊勝な態度をしていても、心から反省していなければ腹が立つだろう?
心まで演じない役者が観客に対して真の感動なんて与えられる訳が無い。 ・・・という私の力説に対して、家族は概ね同意してもらえるものの、それが星アキラに対して適用されるとわかると、とたんに私は非難の的となった。
「はぁ? 星アキラが感動を与えられない役者? お父さんの目は節穴じゃ無いの?」
「じいじ! アキラ君をけなすなんてサイテー!」
星アキラを批評する私の家族評は最悪であり、星アキラに対して否定的な批評を書いた後には、家族からのバッシングは凄かった。 あと批評内容についても肯定が1に対して、否定が10というぐらいの比率で、正直な話、星アキラの批評を書くのは全く割りに合わない。 プロの批評家であれば正直な話、自分の感性とは違っても、それを曲げて星アキラを肯定するべきであった。
しかし、巌裕次郎の舞台や、星アリサの演技を見続けた私にとって、星アキラの演技は物足りない物だった。 なぜ、彼にここまで否定的な論評をしたかというと、簡単に言えば、不気味の谷である。 つまり、彼は表面的な仕草で大俳優達の演技を真似るイミテーションであり、高度な演技を行う際にその歪さが際立ってしまうのだ。 それが違和感となって星アキラの演技を私は評価することが出来なかった。
星アキラが自殺未遂をする前にこの話をしたのであれば、おそらくこれを読んでいる読者の7割か8割以上は賛同してもらえたと思う。 事実、彼の演技が感動するかと聞かれると、同業者の中でも同意する者は少なかった。
ただし、この意見については、星アキラが星アリサの息子である事を差し引いて考えなければいけない。 この頃の彼の演技が不評だとされた理由のほとんどが、星アリサの子供にも関わらず、その期待の水準に到達していないという理由で不評だった点だ。
正直、単純に子役として見た場合、彼の演技の技術はトップレベルであった。 だが、誰しもが星アリサと比較し、彼に将来の星アリサを超える才能があるのかという目で彼を見た場合、残念ながら多くの人のお眼鏡に叶う才能を彼は見せられてはいなかった。 大半の関係者や批評家がそうだった。 息子にプレッシャーを与えないようにするためか、星アリサ自身もそう言っているのだから。
ただ、この星アキラの子供の頃の批判については、彼自身の行いよりも、彼に対する星アリサの演技指導についての批判が、かなり含まれている事にも留意しなければならない。 この頃の星アリサの演技指導は、自身が狂った経験から、徹底的に自分を客観視する演技指導を行っていた。 表面的で空っぽな役者が生まれるのも無理が無い。 そして、当時の関係者はそれを苦々しく見ていた。
相手は星アリサの息子なのだ。 メソッド演技をさせれば、星アリサ以上に輝く存在になるかもしれない。 血を分けた自分の息子に、自分がやっても才能が無い演技手法を教えてどうするんだ!
という憤りも交えて星アキラの批判に繋がっていた。 面白いことに、実はこれは星アキラへの批判ではなくて、息子に才能の無い演技手法を強要する星アリサへの批判なのだ。
現実問題として、星アキラの演技の技術と言うのは、この頃の年頃で考えると、相当なハイレベルに到達していた。 しかし観客に感動を与えられない理由もわかっていた。 表面的にしかそれを真似ていないからだ。 それが分かっていたから、メソッド演技を指導しない星アリサに現場の人間は憤りを感じていた。 これだけ容姿に恵まれて、演技の技術を持つ彼がメソッド演技をすれば、化けられるのは目に見えていたからだ。
それらが相まって、星アキラの評価は下げられて行った。 正直に言うのであれば、星アリサの子供で無ければここまで評価も下げられなかっただろう。 この頃の星アキラにとって、星アリサの子供というのはマイナスでしか無かった。
同時にこれらの批評は、子役の星アキラから仕事を奪う事が全く無かった点も面白い。 母親から客観的な演技を強要され続けていたこの頃の彼は、尖った所が全く無かった。 これは短所でもあったが、ものすごい長所でもあった。 彼はホームランバッターでは無かったが、常に3割の打率を稼ぎ続ける頼れるバッターだった。
この頃の多くの監督がキャストに不安がある時に、バランサーとして彼を出演者に入れる事を望んだ。 この辺りは現在のハリウッドでの彼の立ち位置と全く変わらない所が非常に面白い。 この頃の彼の立ち位置は、30代~40代ぐらいのベテラン俳優の役割を子役で出来る稀有な人材であり、それが10歳以下で出来るというタレント性が、逆に彼を引き立てていた。 おそらくあのままでも、俳優としてはそれなりに成功していたはずだ。
もっとも、それはかなり地味な役回りだったので、星アリサと比べられて比較される彼の心に大きな影を落とす事となる。 そして、あの週刊誌の捏造記事と彼の成功に嫉妬する世間の視線に耐えられずに、彼は自殺未遂を起こす。 世間では彼がいわゆる親ガチャ成功に見えていたのだろう。 事情を知る関係者から見ると、親ガチャ失敗にしか見えなかったが。
彼の自殺未遂の後に、私もあの悪意の塊の記事を読んだが、正直に言って当時の事情を全く知らない素人の記事であった。 あの頃の星アキラに仕事が来ていたのは、星アリサへの忖度などではなくて、キャストに星アキラが必要だったからみんな仕事を依頼していたのだ。 スターな主人公だけが居ればドラマは完成する訳では無いのだ。 ドラマを回すための役回りをあの年齢でこなせる人間は、そう多く無かった。
ここまで読んで、なぜ私が星アキラのアンチになっているのか、読者の諸氏は分からない事だろう。 アンチになる要素がまるで無いのだから。 事実、この時点では私は星アキラに同情的で、決してアンチでは無い。
この話には続きがある。 私が決定的にアンチになったのは『若草物語』での彼の出演時である。 百城千世子が星アキラと同じだった表面的な演技を止めて、ある程度心情も写した演技をするのに対して、星アキラは、これまでの客観的な演技を何倍も洗練させていた。
映画で観る分には全く気が付かなかったけれども、生の舞台で観たら、彼は心情を全く演ずることなく、でも誰にもそれを悟らせない非常に高度な演技を行っているのが分かってしまった。 それを生で観た私は、彼の演技がたまらなく気持ち悪かった。 繊細で心情的な動きの分、それが増幅されていた。 ロボットに服を着せて舞台の上で完璧な演技をさせると皆さんはどう思うだろうか? それと同じ違和感を私は星アキラの芝居から感じていた。 まさに不気味の谷である。
しかし、99%の観客はそんな違和感を感じておらず、私の意見は異端だった。 ただ、舞台の批評家の多くは私の意見を支持してくれた。 多くの舞台を観てきたほとんどの批評家が1%の方に含まれていた。 つまり星アキラというのは、この時点で批評家と世間の評価のギャップが最も大きい役者となった。
同時に、この論調で批評を書くとその記事が炎上する可能性の高い、最も危険人物で取り扱い注意な人物でもある。 まさに異端。 星アキラは、クソガキ珍獣の名に恥じない特級の爆弾魔というのが、批評家界隈の評判である。
この星アキラの不気味の谷問題の難しい所は、不気味の谷の形は、本当に谷であり、谷を乗り越えた瞬間に、好感度が急速に上昇する点である。 つまり谷を乗り越えている一般の人達には、私の批評は完全に的外れなのだ。 アニメを想像して欲しい。 アニメ本体の映像は声優本人が演じていないから気持ち悪いだろうか? そんな批判をする人間は居ないだろう。 不気味の谷の外にあるコンテンツは全くこんな違和感など無いのだ。
そしてたちが悪い事に、星アキラの演技は歳を追うごとにさらに洗練されて行き、違和感を感じる人間が1%から0.1%になり、そして0.001%へと減って行った。 もはやまだ不気味の谷を感じている私の方が異端である。
しかし、私は自分の感性に嘘をついてまで批評記事を上げる気にはなれなかった。 だから星アキラの演技には自分の感性の通りの批評を書いた。 そして書く度に炎上した。
そんな私の批評記事なのだが、根強いファンがいるみたいで、そのファンの意向で良く対談が組まれている。 そのファンの名前は星アキラ。 この炎上の主犯が私の論評が好きな事もあって、良く雑誌に対談記事が載る事になっている。
星アキラアンチ最右翼の私と星アキラ本人、雑誌社もこの対談の話題性や人気も相まって、人気の記事となるために、読者諸氏もご存じの通り、それなりの頻度で掲載される。
そして、当人に向かって言う私の星アキラの演技に対しての辛口評のウケが非常に良いようだ。 星アキラ本人もニコニコな所が非常にタチが悪い。
正直言って、私が星アキラの批評を書いて、何度炎上してもこの業界から干されていないのは、星アキラのお陰である。
初めてやった対談時に家族が星アキラのファンである事を告げると、次回からは是非ご家族も一緒にという話になり、それ以降は対談の外で家族にサインやグッズ、記念撮影などのサービスがされて、対談時には家族はウキウキ、私は最悪のアンチ相手にローテンションだ。 星アキラは完全に家族を味方に付けていた。 未だに星アキラの批評を書いても、私が家族に無視されないのも、星アキラ本人のお陰である。
そして、私も銀河鉄道の夜を観た。 正式な批評についてはおそらく、この号と同じ号に記事を寄稿しているので、そちらを見ていただきたいが、この私も7年ぶりに生で観た星アキラの演技と演奏に感動して涙を流した。 星アキラは間違いなく、自らの努力と技術で星アリサと肩を並べる大スターとなった。
そう。星アキラはその不屈の努力によって、ついに私の中の不気味の谷すら超えてしまった。 もう星アキラの演技に違和感を持てる人間は世界にそう多く無いだろう。 まるで世界中にゾンビが溢れて終了するバッドエンドの映画のようだ。
星アキラの感染力と影響力に私は身悶えするばかりだ。 だが、私は負けない。 初志貫徹、これからも星アキラの批評を書き続けるので皆さんは安心して欲しい。
----------- この記事をエッセイを読んだ掲示板の反応 -----------
20名無し@ノラ批評家
石田のおっちゃんがついに陥落していてワロタ。
21名無し@ノラ批評家
この人はファッションで星アキラを批評するような批評家じゃなくて、昔からの筋金入りの批評家だからね。 TV業界の仕事も長いし。
22名無し@ノラ批評家
やっぱり、アンチとして批評するのはそれなりの覚悟がいるんだな。
23名無し@ノラ批評家
石田のおっちゃんは自分の感想を曲げずにちゃんと批評していたからな。 星アキラを叩けばカッコイイみたいなそこらへんのYoutuberみたいなのとは全然違うよ。
24名無し@ノラ批評家
お願い、死なないで石田のおっちゃん!あんたが今ここで倒れたら、奥さんや娘さんとの約束はどうなっちゃうの? ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、アキラに勝てるんだから!
次回、「石田のおっちゃん死す」。デュエルスタンバイ!
25名無し@ノラ批評家
奥さんと娘さんをアキラ君に人質に取られても自分の批評を曲げない石田のおっちゃんカッコイイ!
26名無し@ノラ批評家
しれっと、奥さんと娘さんがアキラ君に懐柔されていてワロタw
27名無し@ノラ批評家
流石におっちゃんでも、銀河鉄道の夜の舞台はダメだったか。
28名無し@ノラ批評家
あれは無理だろ・・・。
29名無し@ノラ批評家
真面目に批評を書いているだけに嘘はつけないよな。
30名無し@ノラ批評家
貴重な星アキラアンチの砦が陥落ww
31名無し@ノラ批評家
いや、ちゃんと最後に星アキラの批評を書き続けるってあるから、まだ期待できる。
32名無し@ノラ批評家
けっこうこの人の批評を拠り所にアンチの根拠としていた人も多かったから、御大が墜ちたのは厳しいな。
33名無し@ノラ批評家
アキラ君が石田のおっちゃんを好きすぎてワロタw
34名無し@ノラ批評家
まぁ、あの擁護があるから石田のおっちゃんも好きに批評していた訳で、好感一色で、批判は許さんみたいな状況になると揺り戻しが怖いから、こう言った批評を優遇しているアキラ君の保身ムーブはかなり凄いと思う。
35名無し@ノラ批評家
普通はできないよな。 気にくわない記事はどこぞの芸能事務所みたいに圧力をかけて余計大ごとみたいな事も多いし。
36名無し@ノラ批評家
普通の芸能事務所だと圧力をかけて報道を自粛みたいな感じになるけれども、炎上している所にガソリンをかけに行くアキラ君のスタイル大好き。
37名無し@ノラ批評家
千世子ちゃんと他事務所のAとの熱愛ガセ情報があった時に、スターズの前で報道陣に捕まってその話を聞いて、「そうなの!? 千世子ちゃんだけ彼氏できてずるい。僕も可愛い彼女を作ってリア充生活したい!!」とか言ってたら、事務所の中から千世子ちゃんが出て来て、アキラ君を蹴っ飛ばして、マネージャーさんと二人でベルトを持ってズルズルと事務所の中に引っ張って行った後に、事務所の中からアキラ君の断末魔の声が響いて来たのはクソワロタwww
38名無し@ノラ批評家
あれは親友同士なのに、全く擁護していなくて大爆笑だったわ。 最初っから出演ドラマのネタ作りのためのガセ情報だろうってみんな疑っていたけれどもw
39名無し@ノラ批評家
そのガセ情報を記者から聞いて信じちゃうアキラ君がピュアすぎて大草原だったw。 その後のお仕置きで草が森になったwww
40名無し@ノラ批評家
結果的にものすごい速度でガセ情報が沈静化したから、正しい対応だったぞwwたぶんwww
41名無し@ノラ批評家
あの瞬間、最初の恋愛ガセ情報はどうでも良くなって、消え去ったからなww
42名無し@ノラ批評家
でもスターズは批評とか批判には、わりとオープンだよね。 変な圧力とかの話もあまり聞かないし。
43名無し@ノラ批評家
盛者必衰を知るアリサママらしい経営方針だよね。違う事に対してはちゃんと記者会見するけれども。
44名無し@ノラ批評家
アキラ君はマゾだから、わりと自分を正当に批評してくれる人は好きだよね。 たとえアンチであっても。
45名無し@ノラ批評家
でも自分のアンチを正面から黙らせた星アキラ恰好いいな。
46名無し@ノラ批評家
もう星アキラアンチ勢としては、VTuberの流月芽兎ぐらいか。
47名無し@ノラ批評家
あれこそファッションアンチだろwww
48名無し@ノラ批評家
流月芽兎は星アキラがアンチすぎて自分の放送に呼んじゃうぐらいにアンチだぞw
49名無し@ノラ批評家
女装とかYoutube放送とかでいくらでもアンチは湧いてくるからアンチ不足の心配は不要だぞ。
50名無し@ノラ批評家
違うんだよ。トイッターとか、チラシの裏レベルの批評が欲しいんじゃないんだよ。 もっと骨太な批評が欲しいんだ。
51名無し@ノラ批評家
最後にまだまだ頑張るみたいな事を書いてあるから大丈夫なんじゃないの? この号が終わったらしれっとまた星アキラを批判しているよ。
53名無し@ノラ批評家
半ばプロレスみたいになっていてワロタww
54名無し@ノラ批評家
まぁ、ここまで来て、今更星アキラアンチの看板は降ろせないだろうしねw
55名無し@ノラ批評家
それでこそ石田のおっちゃんだwww
これをもって銀河鉄道の夜編は終了となります。
予想以上の長編になってしまいましたが、皆様こちらのお話にお付き合いいただき、ありがとうございました。 また、沢山のすばらしい感想をいただけて嬉しかったです。
次回から、映像研究部編が始まりますのでお楽しみに!
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夜凪景は映像研究部に行く1
------------- 夜凪景視点 -------------
「えっ?お休みですか?」
「そうだ。星アリサから連絡があった。走れケイティの声優以外の仕事は1ヵ月は休みだそうだ。」
仕事をやる気だった私は、墨字さんに突然の休暇を告げられて戸惑っていた。
「どうしてですか? 今世間から注目を集めているのでしょう? アリサさんなら一杯お仕事を入れてくれると思ったのですが・・・。」
「計算はしているが、公立校で出席日数もそんなに余裕が無いだろ? それにお前は今、逆に世間の注目を集めすぎている。 この状況で下手な仕事をしたり、何か騒動を起こす方が印象が悪くなる。 別に、駆け出しの女優やアイドルって訳でも無いんだから、1ヵ月ぐらい休んでも、仕事は安定しているし、1ヵ月休暇をもらったと思ってゆっくり休んだらいいだろう。 阿良也だって1ヵ月間フリーらしいぞ。」
「なんか、阿良也さんは次の役作りのために九州に行きましたけど・・・。」
「あの役者バカが・・・。」
「どちらにせよ、失敗が許されない銀河鉄道の夜の舞台をやり切って自分が思っている以上に精神が消耗しているだろうから、素直に休むこった。」
「アキラさんと千世子ちゃんは全然休んでいませんけど・・・。」
「どんな役を演じても精神がノーダメの、あの珍獣とメンヘラ女と、お前を一緒にするなよ。 そもそもあの二人は舞台の一部にしか出ていないじゃないか。 それに、仕事って言っても、あいつらは景と違って、ざっくりと仕事を流しているだけじゃねぇか。 とりあえず1ヵ月もあるんだから、高校生らしい生活を送って休むといい。」
「そんな事を言っても、私、お仕事以外は一体何をしたら良いのか・・・。」
「友達と遊んだりしてもいいだろ。 ほら、休みなんだから出ていけ。」
「あら、景ちゃん来てたの? 今日からお休みでしょ?」
スタジオ大黒天の事務所に雪さんが入ってきた。
「雪さん! 墨字さん酷いんですよっ! 私が休みだからって、邪魔だから事務所を出ていけって言うんですっ!」
「まぁまぁ。 墨字さんも景ちゃんの事を考えてのことだから。 お休み中は学校には行くとして、何かやりたい事とか無いの?」
「演技の練習をしようかと思ったんですが、それもアリサさんに止められたみたいで・・・。」
「・・・完全な演技バカ一直線ね・・・。 景ちゃん、何か趣味とか無かったっけ?」
「映画を観る以外には、部屋の掃除とか、洗濯とか、お料理とか・・・。」
「完全に主婦ね・・・。 景ちゃんをお嫁さんにもらう男の人は幸せだろうけど、休みの期間に特別にやる事でも無いわね。 友達とどっかに遊びに行くのは?」
「前に友達と遊びに行って、見つかって大騒ぎになったので、それ以来、カラオケに行くとか、友達の家にお邪魔する以外には特に・・・。」
それを聞いた雪さんは目を細めてじっと私を舐め回すように見た。
「おかしい・・・。千世子ちゃんと共に、世代のトップ女優で、花も羨む女子高生のはずなのに、思いっきり枯れているようにしか見えない。 あなたは本当に、花の青春時代を過ごす女子高生なの? 無趣味で結婚生活に疲れた主婦にしか見えないわ。」
「酷いですっ! そんな事言ったら、雪さんだって、女子高生の頃はアキラさんの家に入り浸って、ひたすらにカメラとか撮影機材を弄っていただけじゃないですか!」
「はぁ-----!? 私は自分の家に帰りにくかったからよ! それに市子や山田君達と映画を作ったり、夢を語り合ったり、いろいろ青春していたわ。」
「そっ、そんな事言ったら、私も千世子ちゃんやアキラ君達と一緒に遊びに行ったりするもんっ!」
「あの二人+阿良也君なんて全然普通の友達じゃないじゃない! しかも、あいつら揃いも揃って、青春? 何それ? 美味しいの? とかやっているイカレタ連中ばかりじゃない。 あの辺と絡むなら、景ちゃんが公立高校に行く理由なんて全く無いよね?」
「う゛っ。 でも千世子ちゃんとかあの中でもわりと常識人だもん!」
「千世子ちゃんが常識人枠に入っているのが超絶ヤバいわ。 せめて茜ちゃんぐらいにしたら?」
「茜ちゃんは最近、関西の仕事が忙しくて、Linaで話すぐらいで東京に出てきた時に、たまにしか会えないし、そうすると実家に戻ってみんなと食事する方が圧倒的に多いですし・・・。 ご飯を食べていると、話が弾んで、そのついでに遊びに行ったり買い物するのは、アキラさんとか千世子ちゃんか、それにくっついてくる阿良也さんばっかりになっちゃったりしますし・・・。」
「本当にあなた達って、スターのはずなのに気軽に出歩きまくっているわよね。 アキラ君達はちゃんと裏でボディガードを付けているけれども・・・。 でも確かに、友達と買い物に行って騒がれた場合、一緒に普通の友達の方が写真とか撮られると面倒ねぇ・・・。」
「そうですっ! だから学校の友達と一緒に行くのはカラオケか、家に遊びに行くぐらいしか無いんですっ!」
「うーん。 友達と遊ぶのは置いておいて、何か部活でもやっていないの? たぶん幽霊部員だろうけど・・・。」
「一応、幽霊部員ですが映像研究部には入っています。 どこか部活に1か所は所属しなければいけない決まりでしたし、私が一番関係がありそうな部活だったので。 ちなみに、演劇部は練習とか部活の出席がきつくてダメでした・・・。」
「その映像研究部って何をやっているの?」
「一人だけ真面目に映画を撮ろうとしているらしいのですが、あとはそこはかとなく映画が好きな人達の緩い繋がりがある部活です・・・。 ちなみに大半が幽霊部員です。」
「なるほど。 不良のたまり場とか、治安が悪いみたいな所は無いの?」
「ちゃんとした高校ですし、流石にその辺は問題ないです。」
「なら、映像研究部って所に顔を出してみるとかはどう? 新しい出会いとかがあるかもよ?」
「わかりました! 頑張ってみます!」
「べつに休みなんだから頑張る必要は全く無いんだけど・・・。何か不安にさせるわね。 変な騒動にならないといいけど・・・。」
「そんな事にはなりませんよ。」
そんな経緯で、私は翌日にすごく久しぶりに映像研究部を訪ねてみる事にした。
そんなわけで、今回から景ちゃんの映像研究部での活動が開始されます。
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夜凪景は映像研究部に行く2
翌日、学校に登校した私は、同じ映像研究部の朝陽ひなちゃんに状況を聞いてみた。
「ひなちゃん。 映像研究部に行こうと思うんだけど、今どんな感じなの?」
「はあ!? 景ちゃん、突然どうしたのよ! まっ、まさか映像研究部にお礼参りして潰すつもりなの!? 確かに幽霊部員の景ちゃんをネタにした事はあったけれども、それはやりすぎてマジ卍よ!?」
「いや、そう言う訳では無くて、ちょっとお休みがもらえたから行ってみようかなと・・・。 って言うか、映像研究部の中で私の扱いってどうなっているのよっ!?」
「最強の威力を誇る映研の秘密兵器でありながら、永久に秘密のまま名前貸しだけで終わる豪華なハリボテ看板とか、わが映研が誇る最強の女優。ただし誰も見た事が無い学校の七不思議の一つとか・・・。」
「普通に学校に登校しているのに、見た事が無いとか酷すぎですっ! しかも学校の七不思議に数えられるような事は何にもしていないですっ! ぷんぷんっ!」
「自分でぷんぷんって言うのは何気に可愛いわね。 流石は女優。 こんな下らない会話でも絵になるわね・・・。」
「そう言う事じゃ無いんですっ! 行ってみようかなと興味が出たから聞いているのに、この扱いは酷すぎですっ!」
「だって、景ちゃんは入部届だけ出して後は音沙汰無しだったじゃない。 そもそも吉岡が映研の先輩がみんな卒業して、なんとか映研を存続させたいって事で名義貸しでみんな在籍したじゃん。 それで、景ちゃんもちょうど良いからって便乗して、放課後は芸能活動か、友達と遊んでいたじゃない。」
「たっ確かにっ。でも、ちょっと暇になって何をやったらいいか、わからなくなって・・・。」
「夜凪さん!! 映研に来てくれるの!?」
こんな会話をひなちゃんとしていると、映像研究部(通称:映研)の部長の吉岡君が私に声を掛けてきた。
「えっ、ええ、まぁ・・・。」
「すごく嬉しい! 今、僕、文化祭に向けて映画を撮りたいんだ! バイトしてカメラも買ったんだ!! 是非是非、夜凪さんも手伝ってよ! できれば夜凪さんの映画撮らせてよ!!」
「吉岡の食いつきが凄くて草w そして初対面の人にも声を掛けられないほどの根暗映画オタクのくせにグイグイ来てどちゃくそじわる。」
「えっ、ええええっ。 でっ、でも、勝手に映画に出ていいか、分からないので、ちょっと待ってください。 事務所とかに確認してみますからっ。」
「僕の映画に出てくれるんだ! すごく嬉しい! ファンタスティックだよ! あの時に勇気を出して夜凪さんに声を掛けて良かった! 必死に生きるか、必死に死ぬかの選択を、勇気を出してやって良かったよ!」
吉岡君は、我を忘れてハイテンションだ。 なんだろう・・。吉岡君に犬耳としっぽがあって、ブンブンと振られている気がする。
「あっ、あのっ、まだ出演できるって決まった訳じゃないのでっ。ちょっと待って!」
そう言って、私は速攻でアキラさんに電話した。
私はスタジオ大黒天に所属しているので、普通は墨字さんに許可を取る形になるんだけど、私のマネージメントはスターズがやっている。 なので、この辺の出演等の判断はスターズがやる事になって、私のスターズのマネージャさんに話すのが良いのだけど、このスターズのマネージャさんは、わりと仕事上の管理業務の面が大きく、このマネージャさんに話しても、結局、アキラさんかアリサさんに指示を仰ぐことになるので、急いでいた私は直接アキラさんに連絡した。 アリサさんは捕まらない事が多いし、プロの目でわりとドライな判断を下しそうだったので、この場合に聞くのは、アキラさんが最適だった。
「やっほー! 景ちゃんどうしたの? もしかして、僕が恋しくなっちゃったのかな? モテる男はつらいね。 エッヘン!」
「確かに、しっぽがモフモフの珍獣の着ぐるみを着たアキラさんは恋しくなりましたが・・・また上野動物園で展示されませんか? って違う! アキラさん、ご相談したい事が。」
「なんだい? あの展示はわりと僕にはトラウマだったんだけど・・・。 でもこの前、星アキラ モフモフパジャマが発売したから、その販促を兼ねて上野動物園でオカピと戯れるのはありかな? ちなみにパンダは可愛い容姿に騙されているけど、中身はマジで熊だから勘弁してください。」
「そうじゃなくて、私が学校で入っている映像研究部で作成する自主製作映画に、私が出演を依頼されているのですが、出演しても良いでしょうか?」
「ふーん。 景ちゃんは出演したいの?」
「はい。出演したいですっ。」
「なんで?」
「なんでって、それは・・・。私も高校で普通の体験をしたいって言うか、友達と一緒に何かやりたいって言うか・・・。」
なんで私が自主製作映画に出演したいのか、上手く説明できなくて自分自身を歯がゆく思っていると、アキラさんが口を開いた。
「いいよ。 それが景ちゃんにとって大切だと思えるのであれば、出演するべきだよ。 アリサママと墨字さんには僕の方から言っておくから、一緒にみんなで映画作りをやってみるといいよ。」
「ありがとうございます。」
「それじゃ、来週、大洗で僕と一緒にアンコウ踊りを踊る仕事忘れないでね。」
「そんな変な仕事は入れていません!!」
そう言って、アキラさんは飄々と電話を切ってしまった。
「マジ卍。星アキラとこんなに気軽に電話できるとか、すごく沸く。 景ちゃんってマジで尊い。」
「アキラさんに聞いたらOKだそうです。」
「やったーーーー! 映画を撮れるんだね! 嬉しいよ。 最高だよ! 朝のナパームの香りは格別だよ!!」
「なんで地獄の黙示録なんですか!? この人大丈夫なの!?」
「吉岡、良かったな! 景ちゃんの映画を撮れるとか超エモい!」
「どうしたの?」
大騒ぎする吉岡君の様子を見たクラスメイトが、ひなちゃんに聞いてくる。
「映研で吉岡が景ちゃんの映画を撮るのよ!」
「ま?」
「ま」
「めっちゃすごいやん! 吉岡根暗とか思ってけど、めっちゃパリピじゃん!」
「正直に感想を言いすぎてクセがスゴい。」
「もしかして、これを契機に吉岡が将来、大監督になったりして!」
「それな!」
「吉岡、意外にフッ軽ですこ。」
「すげーよ! 吉岡! マジで夜凪さんの映画撮るの!?」
「うん。文化祭に合わせて短編映画だけど頑張って撮るよ!」
「マジかよ! 応援するよ! 夜凪さんもありがとう!」
「えっ、ええ。 がんばるわ。」
「みんなで吉岡の映画手伝おうぜ!!」
「いいな!それ!」
「素敵! 景ちゃんならめっちゃ推せる!」
「よーし! 今年の文化祭は飛ぶぞ!!」
「「「「「「「「「「「お――――――――!!!」」」」」」」」」」」
普段、私を遠巻きに見て話しかけてこないクラスメイトも一緒になって、大盛り上がりとなった。 私は映画を撮る事で盛り上がるクラスメイト達の熱気に当てられて、目が回りそうだった。
クラスメイト達は、仲が良い子以外は普段大人しくて、私を遠目に見てくるだけだったから、こんなにみんなで騒ぐなんて信じられなかった。
この子達ってみんな個性的すぎない!? って思って、私は、頼まれて映画に出ると回答した場合の、身近な人のリアクションを想像した。
星アキラ「えっ! 僕の映画に出演してくれるの!? ヤッター ヤッター ヤッターマン!! これであと10年は戦える。 なお、その後2ヶ月で敗北する模様。(ツッコミ不在の恐怖)」
百城千世子「景ちゃん! 私の映画に出演してくれるの? 嬉しいわ。(天使の微笑) 景ちゃんが映研に出席しなかったせいで映研は廃部寸前だけど、最後に綺麗な打ち上げ花火と共に映研も燃え尽きる事ができそうね。(毒舌)」
明神阿良也「・・・・・・・・・・・・。 (面倒くさいのでリアクション無し)」
星アリサ「景ちゃん、映画に出演してくれるの!? ありがとう。 裏からいろいろ手を回していた甲斐があったわね。 これで断ったら分かるわよね? (ダークな微笑)」
うん。吉岡君やひなちゃん、クラスメイト達はみんな普通の常識人ね。 安心したわ。 違和感を覚えた私がおかしかったみたい。
私はこの時、自分の常識人のラインがかなりガバガバになっている事に気が付かなかった。
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夜凪景は撮影機材を調達する
翌日の放課後に私はスタジオ大黒天の事務所に居た。
「撮影の道具を貸して欲しいって?」
「そうです。」
「うーん。 学校で自主製作の映画を撮るんだよね?」
「はい。」
「うちの道具を素人が使うのは難しいと思うわよ。一応セットを持ってくるからちょっと待っていてね。」
「これが、カメラ、これがカメラレコーダー、それでこれがマイク。 このカメラでProress422のコーデックで録画して、コンピュータ処理でカラーグレーディングを適用して、好みの色合いにする形ね。」
「う゛っ、このカメラすごく重いんですが・・・。」
「ENGカメラでバッテリーを合わせて8Kgあるからね。 肩に乗せて使うの。 これでもデジタル化で軽くなったらしいわよ。 でもこの重さのお陰で大分ぶれにくいけど、長時間構えるのは本当にきついわね。 私も2時間以内の撮影に使うか、三脚を使うもの。 ニュースの現場で何時間もこれを構えてブレないプロのカメラマンさんは本当にすごいわよね。」
「三脚で支えるって言っても、この三脚もすごく重いんですがっ。」
「業務用は三脚だけでも8Kgはあるからね。ブレずに良い絵を取る事だけに特化して、使いやすさとかは二の次だからね。一般の三脚は1.2Kgぐらいなんだけどね。」
「いつも撮影現場で見ていましたが、このカメラって、実際に持つとこんなに大きくてこんなに重いんですか!? こんなのクラスメイトや吉岡君が扱えるとは思えないんですが・・・。よく雪さんってこんなのを使えますよね。」
「まぁ、4Kgぐらいのハンディカムもあるから、そっちでもいいんだけど、素人が扱うと手振れが酷くてあんまり見れた画にならないし、撮影後に動画をグレーディングできるPCとか、そんな設備があるとも思えないわ。 これらは高い機材だけど、壊しても景ちゃんのお給料なら簡単に補填できるから、貸すのは問題無いんだけど、文化祭用の映画撮影でうちの機材を使うのは、オーバースペックすぎて全くおススメできないわね。」
「そうなんですか・・・。私達の映画はできないんですか・・・。」
「いや、そうじゃないわよ。 別の所から借りた方がいいってだけ。 景ちゃんがアキラ君のYoutube放送のアシスタントをしていた時は、何で撮影していたか覚えている?」
「それは一眼レフカメラ・・・。あっ。」
「そうよ。 別にアマチュアの映画なんだからプロ用の機材に拘る必要は無いわ。 ずっとアキラ君の放送アシスタントをしていたんだから、1眼レフカメラで動画を撮るのは慣れているでしょ? アキラ君や千世子ちゃんは、趣味や経費で新しいカメラやレンズをバンバン買っているから、放送で使わないカメラはいっぱい余っていて、アキラ君の家の放送機材部屋に一杯転がっているわよ。」
私達はアキラさんの家(離れは自分の実家)で、夕ご飯がてらに撮影機材を借りることにした。
「お母さんの手作りコロッケはジャガイモがゴロゴロしていて、すごく美味しいですっ」
「一人暮らしをしているけれども、野菜とかちゃんと食べているのよね?」
「大丈夫ですよ。景ちゃんは私と一緒にご飯を作っていますし、お野菜もしっかり取っていますよ。 ・・・引っ越した最初のうちは、景ちゃんが近所のスーパーでお弁当が半額になるまで待っていてドン引きでしたけど。」
「ちょっと待てばお値段が安くなるんですからいいじゃないですか!」
「売れない女優ならいざしらず、いまや世界中の人が憧れる夜凪景が半額弁当を待つなんて、そりゃドン引きね。 雪さんも一緒のマンションに引っ越してもらって良かったわ。」
一緒にご飯を食べている千世子ちゃんが言った。
「ドンびき~!」「ドンびき~!」
「ねえ? 千世子お姉ちゃん、ドンびきってな~に?」「な~に?」
千世子ちゃんが離れに泊る事は多くて、最近は家を出て独り暮らしをする私よりもレイとルイは、千世子ちゃんに懐いている気がする。
双子の面倒を見ているアリサさんならともかく、実の姉を差し置いて千世子ちゃんにまで負けるなんて納得が行かない。 そもそもこの子達ぐらいの歳には、私は・・・・・。 いや止めておこう。 お母さんが元気で、あんな苦労を知らずにレイとルイが育つのであれば、それで良いじゃないか。 今の私はすごく幸運で、幸せなんだから。
「それで景ちゃんの自主製作用の映画のカメラを貸して欲しいんだよね。」
「そうですっ。」
アキラさんが質問してきた。
「うーん。 普通に考えるとンニーのフルサイズに単焦点レンズなんだけど、素人が扱うと、どう考えても被写体深度が浅くて、微妙にピントがボケた映像を量産する気がするんだよね。」
「そうね。ンニーのAF(オートフォーカス)の性能はいいけれども、フルサイズで被写体深度の浅いレンズなんかを使って、AFが迷ったりしたら、シーン全部がリテイクになっちゃうから、止めた方がよいわね。素人がいきなりMF(マニュアルフォーカス)でばっちりと焦点を合わせられるとも思えないし。」
カメラに詳しい千世子ちゃんも会話に加わってきた。
「そうなると、ファナソニックのGHシリーズにズームレンズって組み合わせが無難だよね。」
「そうね。 昼間であれば、マイクロフォーサーズで、F2.8~F5.6ぐらいのレンズを組み合わせて、広角から標準、望遠のズームを揃えてあげた方がいろいろな画が撮れて喜ぶんじゃないかしら。 これなら無難でピンボケもほとんど起こらないだろうし。」
「薄暗かったり、暗いシーンは撮らないんだよね?」
「はい。日常の学校の風景がメインなので、撮っても夕焼けのシーンまでです。」
「そうすると、後は手振れ防止用の三脚とジンバルか・・・。」
「マイクロフォーサーズに軽めのレンズなら、普通の電動ジンバルで大丈夫じゃないの?」
「そうだね。 素人が手持ちで手振れ無しの動画なんて撮れないだろうし、電動ジンバルをセットで付けるのがよさそうだね。 あと三脚とマイク、外部ビデオモニターの他に、照明とか、レフ板は必要なのかな?」
「クラスメイトが協力してくれるって事で、撮影に人数はかけられるとは思うけれども、レフ板は良いとは思うけれども、照明は止めた方がいいんじゃないの? 不自然な明かりが当たってシーンを台無しにする未来しか見えないわ。」
撮影に詳しい雪さんが言った。
「照明は配線したり、セットしたりで機動力も落ちるし、熟練しないと不自然な光が当たりすぎて、撮れる画も悪くなっちゃうから、自然光と、簡単なレフ板が良さそうだね。 もっとも、レフ板はレフ板ですごく奥が深いんだけど・・・。」
「プロの写真家さんじゃないんだから、顔を照らしてそれっぽく見えればいいんじゃないの?」
「確かに。白色のレフ板なら、少なくとも照明ほどの失敗はしないだろうし、そんなに不自然にならないかな。今は昔と違ってISO感度を上げても動画は破綻しないし。とりあえずISOをオートにしておいてホワイトバランスで調整すれば、大体どうにかなるからね。」
「うーん。プロの映像作家の身からすると、簡単に綺麗な画像が誰でも撮れる時代になって困るわね。」
「僕達プロの役者とYoutuberなどの一般の人達との垣根も、どんどん低くなっているからね。」
「そうね。 だって、アキラちゃんはプロの役者じゃなくて、Youtuberだってみんな勘違いしているものね。」
「ぐはっ! 千世子ちゃん、その毒舌は効くよ。 一応、僕の本職は役者なんだよ!!」
「本職は珍獣じゃ無かったの?」
「ぐおっ!!」
「ごめん、間違えたわ。 本職はクソガキだったわねw」
「アキラお兄ちゃんはクソガキ~!」「クソガキ~!」
双子も一緒にアキラさんを煽る。
「ぐふっ!!」
「千世子ちゃんの毒舌コミュニケーションの前に僕は瀕死だよ・・・。」
そう言って、アキラさんはテーブルに倒れこんでピクピクとしていた。 アキラさんってこういうギャグっぽい演技がすごく上手いと思う。 ・・・これって演技だよね? 本当にダメージ受けていないよね?
アキラさんが食事でなぜか瀕死になった後に、みんなで放送機材部屋に行って機材を貸してくれた。 1眼レフカメラが3台、レンズが6本、小型マイクに折り畳み式のレフ板、手振れ防止用のジンバルと三脚。 小型モニターとその他アクセサリ。 全部をボストンバックの中に入れると、結構かさ張ったけれども、最初に借りようとしたプロ用の機器よりはずっと軽くて、クラスのみんなでも取り扱いができそうだった。
その日は離れの実家に泊って、翌日の朝にアキラさんが車で、機材ごと私を学校に送ってくれた。
「ふーん。 ここが景ちゃんの学校なんだ。」 そう言いながら、アキラさんは学校に機材を持って行くのを手伝ってくれた。
こうして機材が揃い、私達の自主製作映画の撮影が始まる事となった。
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吉岡新太はクランクインする
------------- 吉岡新太視点 -------------
自主製作映画「隣の席の君」
世界的に有名な女優である君は、普段は学校に通い、普通の学生と変わらない生活を送っていた。
テレビで見る君とは違った、普段の君はみんなと仲良く交流しているけれども、ふとした瞬間に堂々とした女優の気配を感じる
そんな君の普通の一日を僕の目線で描いた全8シーン、15分の短編映画の撮影が今始まる・・・のだけど・・・。
「何、この大量の機材・・・。」
「事情を説明したら、アキラさんが貸してくれましたっ。」
一緒に撮影を手伝ってくれる映像研究部の部員や、同級生達もドン引き気味だ。
「カメラが3台も・・・。」
「まともに撮っても、編集時に思った画と微妙に違って、後悔するだろうから、保険で別アングルで複数のカメラで撮らせる事で、カメラをスイッチしてそれなりの感じに場面を仕上げる事ができるから、保険のカメラは大切だってアキラさんが言っていました。」
「この棒みたいな機械は何?」
「これは、電動ジンバルでここにカメラを設置して、こうやって使うんですっ。 これだと体が動いてもカメラのアングルを自動で保ってくれて、手振れとかしても大丈夫です。」
「確かに・・・。この機器すごい。 動いても全然カメラがぶれない。」
「景ちゃん、これ何?」
一緒に撮影をする朝陽ひなさんが夜凪さんに質問する。
「それはレフ板ですね。こうやってお日様を反射して顔に当てると逆光でも顔がくっきり映るんですっ。」
「なっ、なるほどっ。 さすがは景ちゃん、機材も本格的でえぐい。」
「でも、よくこんな大量の機材を学校に持ってこれたね。 重かったでしょ?」
「ああ、大丈夫です。 朝にアキラさんが機材ごと学校に送ってくれましたから。」
「え゛っ、アキラさんってまさか、星アキラ!?」
「そうですけど?」
「マジで!? 星アキラが学校に来たの!? どちゃくそきゃぱい。」
朝陽さんやクラスメート達も驚く。 そりゃ、星アキラをアッシー(死語)にして学校に来るとか驚くよ。
「それなら、サインもらいたかった。」
「アキラさん、暇だったら撮影中に見学に来るとか言っていましたら、見に来たらサインもらえるかもしれませんよ。」
「ええっ、マジで星アキラが目の前に来ちゃったらどうしよう!?」
「ひな、めっちゃ、ひよるやん!」
「そりゃひよるやろ! あの星アキラやで!」
「ひな、関西弁になっていて、ガチでウケるw」
「ねえ? 星アキラって、普段からあんな感じなの?」
「あんな感じってどう言う感じですか?」
「人を食ったというか、クソガキというか、珍獣と言うか・・・。」
「わりとギャグっぽい仕草はしますけれども、ちゃんとする所はちゃんとしていますよ。 信用第一の商売ですし、撮影現場で不真面目にやる所は見た事が無いですね。撮影現場とかでは、みんなの見本になる感じです。 普段は、珍獣というか、ペットですね。 猫じゃらしとかで遊びたい感じです。 最近は寝る時に星アキラ モフモフパジャマで寝ているらしくて、子供達(双子)に大人気らしいですよ。」
「ちょえ、景ちゃんの星アキラ像を聞いても、さっぱりわからんのだが・・・。」
「ええと・・・。 ああ見えて、わりと普通の人ですよ。」
「絶対に普通じゃない! 景ちゃんの普通の人の定義はガチで間違えとるよ!」
そんな感じで夜凪さんとクラスメート達は会話をしていた。
「それじゃ、そろそろ夜凪さんと朝陽さんとの登校シーンを撮るよ。」
「はいっ。」
「りょ。」
「それじゃ、二人は話しながら校門に入って来る感じで、僕が後ろを向きながら二人を撮るから、花井君は三脚で二人の全身を撮って、青木君は望遠レンズで校門から入って来る二人の顔を中心に撮ってね。」
「わかったよ。」
「りょーかい。」
カメラが趣味の同級生の青木君と、同じ映研の花井遼馬君が返事をくれる。
野球部で肩を壊した後に、映研の存続のために籍だけおいてくれて、いつも部室でゴロゴロしていた花井君は、今回の映画に協力をお願いしたら、素直に協力してくれた。 いまいち彼の行動パターンは分からないけれど、部の存続への協力と言い、今回の映画といい、彼にはとても感謝している。
夜凪さんと朝陽さんの会話をしながら校門に入って来る。
エキストラとして、同級生の子達も協力してくれて、いつもの登校の風景って感じになっている。
校門から入ってきた夜凪さんは、普段学校で観る表情と変わらない雰囲気なのに、カメラのファインダーから見える夜凪さんの顔は、いつもテレビや映画で観るまぎれもない女優の顔だった。
生で観るクラスメートの夜凪さんと、カメラのファインダー越しに見る彼女は全然違った。 同じクラスで授業を受けている夜凪さんと、今このカメラのファインダー越しに映る、輝かしい女優が同一人物だとはとても思えない。
ファインダーの中に映る夜凪景という女優に、僕は魅入られていた。
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星アキラは映画撮影を見学する1
銀河鉄道の夜の舞台の後の仕事をひと段落した僕は、景ちゃんからはちょっと遅れて休暇に入る事にした。
とは言っても、休暇中はYoutubeの放送以外は特にやる事も無く、ご飯以外は5時間ほど星アキラモフモフパジャマを着て、スマフォを片手にゴロゴロしていたら飽きた。
若い僕の肉体は刺激を求めているのだ。 これでアラフォーとかになったら仕事疲れで一日中ベッドの上で死んだように寝ているのかもしれないけれども、まだ若い僕の肉体は、前世と合わせて成熟した僕の精神に反して活発に動こうとしていた。
成熟した精神って言っても、前世の年齢と今の年齢を足したら・・・すでにアラフォーじゃないか!?
ケモミミとモフモフしっぽの付いた着ぐるみパジャマを着て、くたびれた休日の珍獣として、スマフォを片手にぐだぐだとダレていた僕は、精神年齢がすでにアラフォーである事に驚愕した。
アラフォー精神に18歳の体。 つまり今の僕は、軽自動車にF1のエンジンを積む感じだな。(違う)
ちなみに、今の僕は、まさしく全盛期を迎えている肉体を持て余しているのでは全く無い。 ここのところ毎日忙しかったのに、たまの休みで何をしたら良いのかわからなくなっていると言う、ブラック企業戦士にはよく見られるアレである。 つまりワーカホリックで、仕事をしていないと落ち着かないという、かなりヤバイ状態だった。
僕は18歳にして、ワーカホリックと言う不治の病に侵されている事に愕然とした。このままではブラック芸能事務所(スターズ)の社畜になってしまう!
『社畜珍獣』という言葉が僕の頭をかすめた。 畜産なのに珍獣? 会社で畜産されているなら、珍しい獣じゃないのでは? それなのに珍獣とはこれいかに?
『社畜珍獣』という言葉のラビリンスに頭を悩ませていると、僕は『社畜珍獣』の言葉が正しい日本語なのかを、どこかの先生に聞いてみるべきだと思った。 流石にこの社畜珍獣の悩みで、1日を浪費するのは無駄だというのは、精神年齢がアラフォーの僕にもわかる。
そうして時計を見ると午後3時前。 そう言えば、今日の放課後は景ちゃんが学校で映画の撮影をするとか言っていた。 僕は『社畜珍獣』の日本語が正しいのかを確認するがてら、景ちゃんの映画撮影を見に行く事にした。
思い立ったら即行動。 若くてピチピチの僕は素早く行動に移す。 精神年齢がアラフォーだった事は、三歩歩いたらすぐに忘れた。 鳥頭珍獣という新たなる珍獣ジャンルが生まれた瞬間だった。
ただ、残念なことに、そこからさらに三歩歩いたら、鳥頭珍獣が生まれた事を忘れたので、僕がこの鳥頭珍獣を思い出して、珍獣ジャンルとして世に出るのは、ここからさらに18年後の話となるのであった。
とかいう、どうでも良い妄想をしながら、服を着替えて外出の用意をして、景ちゃんの学校に行こうと玄関に向かっていると、玄関で同じく休暇に入った千世子ちゃんにばったりと会った。
「あれ、千世子ちゃん? 今日は休暇じゃないの?」
「今日の夜に、両親と待ち合わせて外食に行くから、この家でそれまで時間を潰すつもりで来たんだけど、何か楽しそうな所に行く感じね?」
まずい。 千世子ちゃんまで学校に来てしまったら、大騒ぎになってしまう! 僕は景ちゃんの学校に行こうとしているのを気付かれないように、完璧な演技で誤魔化した。
「ナッなんの事ダイ? ぼっボクには全く分からないなァ。」
完璧な演技だった。 この場合、役者として、誰にも気づかれないようなスマートな演技をするべきだとみんな考えるだろう。 たとえばこんな感じだ。
「ちょっとコンビニに行くだけで、すぐに戻って来るよ。 あっ、千世子ちゃんも何か買ってきて欲しい物とかある?」
だがしかし、それこそ素人の浅はかな考えだ。 百戦錬磨の女優である千世子ちゃんがそんな嘘を見破れない訳が無い。 であるならば、大げさに動揺して見せる事で、重要な用事なんかじゃなくて、逆にコンビニにでも行く気なんだなと思わせる作戦だ。 なんて高度な心理戦。 まるで伊藤カイジと利根川幸雄の戦いのような、超弩級の心理戦が今、僕と千世子ちゃんの間で繰り広げられているのだ!
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僕が助手席のドアを開くと、千世子ちゃんが降りてきて口を開く。
「ありがとう。アキラちゃん。 へ―。 ここが景ちゃんの高校なんだ。 まさしく普通の高校って感じね。でも文化祭の準備でみんな楽しそうね。」
「なるほど。 景はこんな学校に通っているんだな。」
景ちゃんが通っている高校の駐車場に止めた僕の車から降りた二人が、思い思いの感想を述べる。
景ちゃんの学校は来週開催される文化祭の準備でみんな慌ただしく動いていた。
あの高度な心理戦の敗者は僕だった。 それと同時に、九州から帰って来て、食堂で夜凪ママの出すおやつを食べていた阿良也も顔を出して、着いてくることになってしまった。
阿良也曰く「面白そうな匂いがした。」
お前の匂いは、演じているかどうかを判断する匂いだろうが! 匂いが万能すぎるだろ! これだから天然キャラは・・・。
結局、僕と千世子ちゃんと阿良也という、いつものメンバーで景ちゃんの映画撮影を見学する事になってしまった。 景ちゃんのクラスメート達には驚かれない事を祈ろう。 ・・・無駄な祈りのような気がするけれども・・・。
校舎を見渡すと、景ちゃんは今、渡り廊下で撮影しているっぽい。 渡り廊下に人だかりができていて、上空にマイクが飛び出ているのがわかる。 あれでは野次馬の整理が大変そうだ。
僕達三人は、そんな渡り廊下を目指して歩き始めた。
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星アキラは映画撮影を見学する2
「ご協力をお願いします。 映像研究部です。 撮影中なので10分ほどこの道を貸してください。」
見ると映像研究部の人ががんばって渡り廊下から人を避けようとしているけれども、上手く行っていないようだ。
道を貸してくれって言ってもどこに移動したら良いのか分からないからねぇ。 単純に退いてくれって言っても、興味津々の野次馬を退かせるのは難しいよね。
そんな事を考えていると、僕達が契約しているボディガード達が到着した。
「アキラさん、お待たせしました。」
「いや、突然の連絡で申し訳無かったです。 かなり急ぎで来ていただいて助かります。」
「いえ、アキラさん達の警護は楽な割にボーナスがすごくて、社内でも垂涎の的なので、是非ガンガン弊社をご活用ください。」
ボディガードさんは僕達のメンバーを事前に伝えていたために、女性一人と男性二人で来てくれていた。 急な依頼だったにも関わらず、いつもお願いしている人達で来てくれた。 女性は千世子ちゃんのボディガードだね。 この後、千世子ちゃんは両親と食事に行くので、彼女のボディガードはすでに予約済みだった。 それに急遽、空いている男性二人を追加で派遣してくれた感じだね。
この人達はSPさんと違って、四六時中、物理的に体を張って危険から防護してくれるわけじゃなくて、例えば道とかで一般の人に声を掛けられてトラブルとかに発展しそうな場合に、間に入ってもらって対応してもらう感じで、余計なトラブルの防止用に、外出する時にお願いしている感じだね。 マネージャさんとかに対応してもらう場面もあるけれども、マネージャさんも忙しいし、それよりも専門の人を雇った方が確実だからね。 状況によるけれどもこういうタイプの外出時にはいつもお願いしている。
料金は月額払い + 今回のようなケースではボディガードの人個人にお金が行くようなボーナスを付けていて、スターズの方から支払っている。そんな訳で、阿良也と千世子ちゃんは気兼ねなく利用している。
景ちゃんも同じく気兼ねなく使用するように言っていたんだけど、倹約家の彼女は中々使用していなかった。 でも友達と街で騒がれた時に懲りたらしく、最近は友達と遊びに行くときなどはちゃんとお願いするようになっていた。
ちなみに、そこそこお高くて信用度の高い所だから、腕っぷしも強くて頼りになるけれども、新宿東口の掲示板にXYZを書き込こむような、最後の砦のボディガードじゃないから、銃を持った謎の武装組織とかに襲われると、僕の命も流石にヤバいと思う。
幸いなことに、僕自身、新宿の街で攻撃ヘリに襲われた経験は無いんだけど、こんなのから守り切る冴羽獠もすごけれども、新宿に攻撃ヘリとか装甲車を持ち込める武装組織も凄いよね。 新宿に来る前に、空港の手荷物検査とか税関で、アサルトライフルとか見つかって、先に空港とかで銃撃戦とかしそうだよね。 そうなったら、依頼人を襲うどころじゃないと思うんだけど・・・。
そんなハードボイルド?な漫画の話は別として、僕はこの事態を想定して持ってきたトラ柄の規制テープをボディガードさんに渡して、野次馬の誘導をお願いする事にした。
撮影で大混乱の渡り廊下に立って、みんなに聞こえる声で話した。
「こんにちは。 撮影を見学される方は、あちらの規制テープの裏側からご見学ください。」
「あっ、アキラさん。」
「えっ、星アキラ!?」
「マジで!?」
「えっ、ウソっ」
「あっ、千世子ちゃんも居る!?」
「もしかして、あれ阿良也君!?」
一瞬にして撮影現場が混乱に包まれる。 その中を僕は、映画や舞台でならした良く通る声で対応する。
「はいはい。 みなさーん。 僕達もあそこから見学しますので邪魔にならないようにあちらに行きましょう!」
後は簡単。 そう言って、僕が見学位置に行くと、野次馬はぞろぞろとレミングスのように僕の後ろを着いて来て、ボディガードさん達が仕切る規制テープ内側の見学スペースに収まった。 後から来た子達も、ここが見学スペースだって分かるとそちらに合流した。
野次馬達も別に撮影の邪魔をしたい訳じゃない。 合法的に見学ができるスペースがあるのであれば、みんな素直にそちらに収まった。
ついでに一人の女の子がこっちに来ていた。
「ひなさん! ひなさん! ひなさんは音声ですよね!? そこから見学されちゃうと困るんですが!?」
景ちゃんが慌てて止める。
「そんな~。 私もアキラ君や千世子ちゃん達と見学したい!!」
「ダメですっ」
「ぴえん。」
「後で紹介してあげますから。」
「ほんと!? 神対応すぎてきゅんです。 景ちゃんとはずっ友だよ!」
「ひな、景ちゃんとずっ友とか言って、アキラ君に迫られたら余裕で景ちゃんを裏切りそう。」
「いや、たぶん、本人を前にするとひなは、ひよると思う。」
「それな!」
「お前ら!、さあ、とっとと撮影するぞ!」
「急にひなのスイッチが入ってウケるw」
「めっちゃ草w」
景ちゃんと友達達はそんな感じでワイワイガヤガヤと楽しそうに撮影してく。
「はい。それじゃシーン3開始します!」
監督らしき子が宣言すると、そんな和気あいあいの雰囲気で、景ちゃんと友達達は撮影を開始した。
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星アキラは映画撮影を見学する3
野次馬の整理を進めると、続いて中庭での撮影に移った。 ボディガードさん達はそのまま野次馬の整理をしている。
もっとも、僕達も野次馬なんだけれどもね。 そんな撮影風景を眺めていると千世子ちゃんが声をかけてきた。
「みんな楽しそうね。 こんなに楽しそうに友達と撮影するなんてちょっとカルチャーショックだわ。」
「そうだね。 僕達の撮影はみんな映画やドラマが好きな人達とは言っても、それを糧にお金を稼いでいる人達との撮影だったから、現場ではプロ同士でお互いに厳しい仕事をするのが当たり前だものね。 こんなふうに友達とワイワイやりながら映画を撮るのを観るのは初めてだね。」
「みんなでオズの魔法使いのコスプレをした時や、いちごちゃんの自主製作映画が似たシチュエーションだけど、あれもちゃんと撮影されるって感じで演じたから、こんなふうに映画を撮る事自体が目的として友達と楽しむ発想が無かったわ。」
「みんなに撮影されている景は、ちゃんと普段の景を演じられているな。」
「普段の自分を演じるとか、意味不明にもほどがあるけど、阿良也の言わんとしている事は分かるよ。 景ちゃんは普段の自分だけれども、ちゃんとカメラに映るように演技しているね。 だから自然だけれども、一緒に映っている友達よりもはるかにカメラ映りが良くて存在感がある。 自然な高校生活にありながら、その雰囲気をそのままに魅せる演技を行っているね。」
そんな感じで、野次馬からちょっと離れた所で僕達は景ちゃんの撮影風景を見学していた。 高校の友達と一緒に撮影する景ちゃんは、すごく楽しそうだ。 彼女は演じるのが好きだけれども、友達とこういう時間を共有すると言うのもまた大切な経験なのだろう。
中庭の撮影が終わると、教室内での撮影となって、野次馬をシャットアウトして、景ちゃんのクラスメートと話す機会が出来た。
「アキラさん、ありがとうございます。 お蔭様で無事に外の撮影をする事ができましたっ。」
「無事に撮影できたみたいで良かったよ。メンバーを紹介してくれるかな?」
「はいっ。こちらが映画研究部の部長さんの吉岡新太さんです。」
「アキラさん、初めまして!! アキラさんはヴイ・リッチー系、アニー・ボイル風、マイケル・カイ派、クリス・ノーランタ主義、アキラさんはどの辺ですか!?」
「おおぅ。」
「吉岡、アキラ君に食って掛かって、めっちゃウケるw」
吉岡君の映画オタク特有の食いつきに僕はちょっと押された。 ここで挙げられた映画監督たちは知り合いも多いので、それでどう答えようか考える。
「うーん。その映画監督さん達の中で、3人ほど映画に出演させていただいた事があるけれども、まず一番楽なのがマイケル・カイ監督かな。 とりあえず爆破してハイになっていればOKだからね。 爆薬の量が増えるような演技をするととても喜ばれるよ。」
「何よ、爆薬の量が増える演技って・・・・。」
千世子ちゃんがツッコミを入れる。
「映画の撮影が楽しいのが、ヴイ・リッチー監督かな。 イギリス人でウィットに富んでいるけれども、撮影現場では活気があって、みんなノリが良くて楽しく撮影できるね。」
「逆にクリス・ノーランタ監督の撮影はつらいかな。」
「えっ、でもクリス監督の映画にはすでに2本ほど出演されていますよね。」
「良く知っているね。 彼は緻密で深く入り込む役者が大好きなんだよ。 だから彼の元にはそう言う役者が集まる。 で、彼らの演技のバランサーと映画の温度調整として僕が呼ばれる訳さ・・・。 他の俳優さんに、本当に殺されるんじゃないのかみたいなシーンを何度も撮ったよ・・・。」
「お気に入りで呼んでもらえるだけ良いじゃない。 それにアキラちゃんもそんな撮影が大好きなくせに。」
「千世子ちゃん、僕の事を良く分かっているよね。 僕は何気にメソッド演技の人との相性が良いみたいで、いろんな監督さんに使っていただいているね。」
「なので、逆にリアリティーのあるドキュメンタリーを好むアニー・ボイル監督と僕は相性が悪い可能性があって、アニー・ボイル監督の映画に呼ばれた事は無いね。」
「なるほど。そんな理由があるんですね。」
「どちらにせよ、僕達役者は監督によって好き嫌いをするのでは無くて、役をもらったら、なるべく素晴らしく演じるだけさ。 だから、どの監督の派閥とかナンセンスだね。 そんな派閥に属しちゃうとお仕事が限られちゃうじゃない。 キャリアの若い役者であれば特に、えり好みをせずにどんな監督のどんな役でも積極的にチャレンジするべきだよ。」
「アキラ、良い事言った。 アキラって10日に1回ぐらいは良い事を言うよな。」
「やかましいわ。 阿良也のインタビューなんて異次元すぎて、365日に1回も良い事を言わないじゃないか。」
「そんな事無いぞ! 演技ではちゃんと良い事言っているぞ!」
「演技のセリフじゃないか! 台本に書いてあるんだから当たり前だろ。」
「あっあのっ。」
僕と阿良也がじゃれ合っていると、吉岡君は焦ったみたいだ。
「ああ、ごめんごめん。そんな訳で、僕はよほどのことが無ければどっかの監督に入れ込むなんて事は無いから、覚えておいてね。」
「はい。判りました。 変な事を聞いちゃってごめんなさい。 ありがとうございます!」
「おおっ。 吉岡君は情熱だけで前が見えない映画オタクかと思ったら、わりとしっかりしているじゃないか!」
「アキラさん、本音が駄々洩れですよ・・・。」
「あっ、あのっ、アキラ君、ファンなんです。」
「あっ、同じ映像研究部の朝陽ひなちゃんです。 アキラさんのファンなんですよ。」
「えっ、僕のファン!? 大体こういうパターンだと、千世子ちゃんや景ちゃんのオマケとして扱われるから、僕のファンが居るなんてすごく嬉しいよ!」
「あっ、あのっ、サインもらえませんか?」
「ひながひよっていてウケるw。 あっ、私は千世子ちゃんのファンなんです!」
「僕は、阿良也さんのファンなんです。握手してもらえ間ませんか?」
「あっ、私もっ」
「私も。」
僕達は景ちゃんのクラスの子達と交流した。 ひとしきりみんなと交流した後に景ちゃんに聞いた。
「そう言えば、この文化祭って当日の入場はどうなっているの?」
「家族とか来年受験したい人なんかにチケットを配る感じですね。」
「なるほど。」
「もちろん、家族の他に、アキラさんや千世子ちゃんや阿良也さんにもチケットをあげますよ。」
「ありがとう景ちゃん。」
一般人の入場とかは無さそうだけど、映画を撮っているのは近所で話題になっていそうだし、当日はちょっと騒ぎになりそうだね。 これはちょっと対策が必要になるかもしれない。 景ちゃんは映画以外には何をやるんだろう?
「映像研究部では映画を撮っているけれども、景ちゃんのクラスでも別に出し物をするんだよね。 何をするの?」
「今年はお化け屋敷をするんですっ。 私もお化けの役で出演するのでとても楽しみなんですっ!」
「「うわぁ・・・。」」
あまりの展開に、僕と千世子ちゃんが同時にハモった。 阿良也は事態を飲み込めずに頭にクエスチョンマークを付けて首を傾げている。
「景ちゃん、あんまり頑張ってお化けをやって、心臓発作とかを起こさせないようにね。」
「そうよ。死人とか出ちゃうと文化祭どころじゃなくなっちゃうわ。」
僕と千世子ちゃんはドン引きしながら景ちゃんにアドバイスを送る。
景ちゃんとクラスの人間は僕達が言っている意味が分からないようで、阿良也と同じく頭にクエスチョンマークを付けて首を傾げている。 みんな同時に首を傾げるとなんかかわいい。
クラスメート達は、普段テレビや映画で見ていたとしても、景ちゃんのあの演技はテレビの中の話だと思っているんだろう。 普段教室に居て一緒に勉強している景ちゃんがリアルに演技をした時の恐ろしさなんて、想像が付かないのかもしれない。
おそらく、このクラスメート達はみんな思い知る事になりそうだ。 準備万全でモチベーション全開の夜凪景が演じるお化けがどう言う物かを。 当日のお化け屋敷は、文化祭の歴史に残るような阿鼻叫喚の地獄とならないように僕は祈った。
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星アキラは文化祭を観に行く1
文化祭当日。 景ちゃんの高校の前には危惧していた通り、景ちゃんの自主製作映画を観たい野次馬やマスコミが集まっていた。
------------ ある教師の視点 ------------
校門に押し掛けた野次馬とマスコミの対策で急遽、職員会議が開催されていた。
「去年はこんな事は無かったのにどうして?」
「今年は夜凪君の自主製作映画を作ったという噂が出回っていて、それを観たさにマスコミや夜凪君のファンなどが押し掛けたようですね。」
「このままでは文化祭が混乱してしまいます。 下手をすれば中止もあり得るかも。」
「こうなってしまっては仕方がない、夜凪君達の映画上映は中止という形で対応するしかありませんな。」
「そんな!? みんな映画を楽しみにしているのですよ!」
「しかし、このままでは文化祭自体の開催が危ぶまれる。 夜凪君のために他の生徒に迷惑をかける訳には行かない。 文化祭は夜凪君のためだけにある訳じゃない。」
「やむを得ませんな。 生徒達の安全が第一です。 映画上映は中止の方向でマスコミやファンの人達には帰ってもらいましょう。」
「その必要はありませんよ。」
突然、スーツを着た女性が職員会議に乱入して来た。
「どなたですかな?」
「私、このような者です。」
女性は名刺を校長と教頭に渡す。
「東京都知事の秘書官!?」
「はい。 このような事態の調整担当をしております。 校長先生はこちらの契約書にサインをお願いします。 これで全部収まります。」
そう言って、渡された書類に校長先生は書類に目を通すと。
「本当にこれで大丈夫なのでしょうか?」
「こう言ったイベント整理などはスターズなどの芸能事務所は手慣れていますから、校長先生にサインしていただければ費用はあちらもちで全部対応いたします。」
「これをやる事でスターズにどんなメリットが?」
「夜凪景の評判を落としたくないか、もしかしたら案外、景ちゃんに文化祭を楽しんで欲しいのではないでしょうか。」
「・・・そこまで・・・判りました。 ただ、これで混乱が収まらない場合には文化祭の中止まで視野に入れて対応させていただきます。」
「はい。 もちろん学校の管理は校長先生の役割ですから、校長先生の判断が優先されると言う事で良いと思われます。」
そう言って、校長先生は書類にサインを行った。 そうしてその秘書官の人がどこかに電話を掛けると、校門の付近で一斉に動きが出た。
「あと、言い忘れていましたが、本日の文化祭は東京都知事が視察に来るので、生徒会の人と夜凪さんに案内をお願いしますね。」
「「「「「「「「はぁ!?」」」」」」」」」
秘書官のその一言で職員室は大混乱に陥った。
------------ 星アキラ視点 ------------
「連絡が来ました。 それじゃよろしくお願いします。」
「はい。 お任せください。」
スターズのイベント担当部署の担当者に僕は電話をする。
その電話と共に、マスコミや野次馬でにぎわう校門に素早く警備員が配置され、テントが運び込まれて、入口にチケット確認のカウンターと手荷物検査所が設置される。
同時に警備員さんやアルバイトの人を通じて、野次馬にチラシが渡される。
野次馬の人達には、自主製作映画は、近所の公園に設置された臨時のモニターか、新宿のスタジオアルタ、渋谷の109フォーラムビジョンなどに指定の時間に上映されるので、学校ではなくて、そちらを観に行く事。
マスコミについては、東京都知事の視察があるので、そちらに着いて行けば学校の取材は可能である事と、そのタイムスケジュールの表などを渡した。
野次馬達も最悪、映画を観られない事も考えていたため、この対応は好意的に受け入れられて、散らばって行った。
また、マスコミ達もちゃんとニュースとして撮れるということと、ずっと校門で待たなくても良いと言う事で校門の風景を撮影すると、指定時間まで大人しくしていた。
そうして、10時頃からチケットを持った一般の保護者や友達などが入場し始めて、11時頃に都知事が来て、景ちゃんと共に、学校の先生や生徒会の子と一緒に文化祭を回り、知事は生徒との交流を楽しみ、マスコミもその様子を取材していた。
このニュースの中で一番好評だったのは、景ちゃん達のお化け屋敷で、都知事と一緒に一通り文化祭を回った景ちゃんが、最後にお化けに扮して出し物に現れた。
その時、マスコミと知事たちは、景ちゃんの準備が整うまで、外で待機していたんだけど、景ちゃんのお化けが出るようになったら、とたんに遊園地のお化け屋敷もビックリというような、大量の悲鳴が教室から上がり始める。
そして、悲鳴を上げたお客さんは、出口でマスコミの取材を受けて、その恐ろしさを語り、期待を盛り上げる。 (ちなみに、泣いている子も居た。)
そして仕上げに、マスコミの各社がレポーターを連れて、一組一組順に入って行き、夜凪景が全力で扮するお化けの餌食になって行くのであった。
あまりにビックリして腰を抜かしたレポーターは、その年の報道部門のNG大賞で1位を獲得したぐらいだった。
ちなみに、都知事はあまりのヤバイ雰囲気に視察は遠慮したようだ。 君子危うきに近寄らず。 かしこい。
この様子はお茶の間で何度も放映されて、景ちゃん達のお化け屋敷は、伝説のお化け屋敷として、高校の歴史に刻まれてしまった。
さらに、この高校の七不思議に、志半ばで逝った女優の幽霊が追加されたのは言うまでもない。
こうして都知事やマスコミは午前中には帰って、午後は平穏な?文化祭となった。
「アキラちゃん、綺麗に対処したわね。」
僕の横に立っている千世子ちゃんが言った。
「まぁ、僕がすごいって言うよりも、うちのイベント部門がすごいんだけどね。 後でちょっと打ち上げ代とかを出してあげないとね。」
「よく、東京都知事とかを引っ張り出して来れたわね。」
「別に。 僕はただ単に、アリサママ経由で都知事の秘書さんに、教育委員会あたりの誰かを視察に来るようにお願いしただけだよ。 視察に都知事が来たのは自分の判断だね。」
「来るのが分かっていたくせに。」
「まあね。 夜凪景のガイドが付いてマスコミが注目している中で、教育問題にも熱心に取り組む知事を印象付けられるんだから、ここまでお膳立てされていれば、そりゃ来るでしょう。 逆にここで来られないような知事なら、次の選挙は厳しいよね。」
「アキラ君って、アリサさんに似て、人を動かすのが上手いわよね。」
一緒に来ている雪ねぇちゃんが言う。
「人を動かすって言うか、単純にWIN-WINの状況に持ち込んでいるだけだよ。」
「アキラ、こっちらからいい匂いがする。 あれ食べたい。」
阿良也は相変わらずマイペースだ。
「ボクも!」「わたしも!」
「はいはい。それじゃこの券で買いましょうか。」
双子と夜凪ママも一緒に居る。
「さてと、マスコミや野次馬も居なくなったし、存分に文化祭を楽しみますか。」
「そうね。 文化祭楽しみだわ。」
そんな訳で、平穏になった午後に、僕達はそろって文化祭へ繰り出すのであった。
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星アキラは文化祭を観に行く2
「やきそば美味いな。」
「「チョコバナナ美味しい!」」
学校の中に入ると阿良也と双子たちは校庭で良い匂いのする出店にさっそく捕まっていた。 もっとも、こういう事態を見越してお昼は食べてこなかったので仕方がない事だった。
阿良也達の気持ちは解る。 こういう出店。 特に学園祭の学生の手作りの味なんかだと、特別感で余計に美味しく感じるものだ。 まずは席を確保して僕もアメリカンドッグを買いに行った。
一応僕達は伊達眼鏡を掛けたりして変装しているけれども、周りの人達は僕達の正体に気が付き始めているようだ。 まぁ、本気で変装しようとしていないからね。 千世子ちゃんはどんな変装をしても美人すぎるから隠せないんだ。
本当に目立ちたくない場合には、マスクとサングラスだろうけど、学校内でそれをやったら完全に変質者だ。 景ちゃんに会いに行った時点でバレるのは分かっているから、どちらかというと、OFFで遊びに来たのでそっとしておいてね。って感じの変装だ。 周りの人達もある程度察してくれているようで、話しかけないように気を使ってくれている。
アメリカンドッグを買うと、売り子の子が気が付いたようで、キャ~って声と共に裏側に行ってしまった。 今頃、友達と盛り上がっている事だろう。
僕はアメリカンドッグを買って、店先で容器に入ったケチャップとマスタードをドバドバにかけて席に戻ると、アメリカンドッグにかぶりつく。
甘くて謎の油が染み出すジューシーなアメリカンドッグの衣に、パサパサのチープな魚肉ソーセージの味。 そしてその甘さをアクセントに引き立つトマトケチャップとマスタードの塩味と酸味。
うーん。 ジャンクフード。
体に悪い感じがして、その背徳感と合わさって最高に美味しいね。 文化祭の環境ならなおさら美味しい。
ちなみに、このアメリカンドッグ、当然アメリカでこの名前で呼ばれている訳じゃ無くて和製英語で、海外ではコーンミールの生地を使っているから、コーン・ドッグって名前で呼ばれているね。
そんな事を思いながら、アメリカンドッグをもぎゅもぎゅと食べていると、阿良也が僕をじ~と見ていた。
「それも美味そうだな。」
「食べる?」
そう言って、阿良也にアメリカンドッグを差し出すと、阿良也がパクっとアメリカンドッグに食いついて嚙みちぎる。 僕達を伺っていた周りから「キャ~❤」って声がする。
ええ~っ。 周りの女子はどんな妄想をしたのですかね。 いや、こんな事をやっているから阿良也と噂になって、普通の女子が僕を避けて彼女ができないのだろうか?
そんな考えをしていると、目の前で千世子ちゃんがフライドポテトを食べていた。 でも油がくどいらしく、あまり食が進んでいないようだ。
「千世子ちゃん、フライドポテトちょうだい!」
「いいわよ。」
そう言って、千世子ちゃんの持っているフライドポテトの袋に手を入れて、一つまみ取ってパクっと食べる。また、「キャ~❤」とか、「かわいい」って声がする。
うーむ。
僕は試しに、フライドポテトを宙に放り投げて口でキャッチしてみた。
「キャ~❤」「かわいい。」
うん。 なんでもいいみたいだな。
女子高生のかわいいとかキャ~とかは意味不明だからな。 普通に何でもかわいいって言うし、しまいにはゾンビとかグロイシーンにもかわいいとか使い始めるし。女の子の言葉の使い方もかなり謎だよね。
「千世子ちゃんは、女子高生のかわいいとか、キャ~❤とかわかる?」
「あれは感性で使っているのよ。 英語圏のfu〇kと一緒よ。」
「アキラお兄ちゃんこれ食べる?」
「うん。 パクッ。 おおっ! This crepe is fu〇king tasty! (このクレープなにこれ!? やべぇめっちゃうめぇ!)」
「うん。なんとなく理解が進んだ。とりあえずなんかかわいいって出ちゃう感じなんだね。」
「そうよ。 直感的な印象が大切なのよ。 だから、寄生虫もかわいいの。 アキラちゃんもかわいい寄生虫に寄生されてみない? かわいさが増すと思うわよ。 まずは初心者向けのサナダムシとかお勧めなんだけど。」
「やっぱり僕には、女の子のかわいいは奥深すぎて理解できそうにないよ。」
そんな感じでみんなで食事を終えると、さっそく景ちゃんのクラスに行ってみた。 クラスの前では、パンダの着ぐるみがお化け屋敷の案内をしている。
みんなでお化け屋敷の列に並ぶと、その着ぐるみパンダが僕達に話しかけてきた。 どこかで聞いた声がする。
「アキラさん、アキラさん、クラスのみんなが酷いんですよっ!」
「その声は景ちゃん?」
「そうですっ。」
パンダはそう言うと、着ぐるみの頭部をズボッと脱いで中から景ちゃんが顔を出した。
「今日はお化けの役じゃなかったの? まぁ、なんとなく想像はつくけど・・・。」
「みんな、私のお化けが怖すぎるって言って、お客さんが気絶しちゃうからって、お化けの役を降板させられて、パンダの着ぐるみで列の整理をさせられているんですっ。」
「でしょうね。」
「あんなにみんなを驚かせたのに、何がいけなかったんでしょうか・・・。」
「やりすぎだと思うわ。」
誰でも予想出来る答えを千世子ちゃんが言った。
「もうちょっと調整できなかったの?」
「私、演技する時には役に入り込むので、お化けの演技中は現世の人への恨みでいっぱいで・・・。」
「恰好をもっとライトな感じにしたらどう? かわいいお化けって感じならいいんじゃないの?」
雪ねぇちゃんがまともなアドバイスをする。 雰囲気で怖いのであれば、かわいい格好で紛らわせればよい・・・のだけど・・・・。
「テレビ局のレポーターさんが腰を抜かした後に、クラスの子達に強引にこのパンダの着ぐるみを着せられて、それでもがんばってお化けの役をやって、お客さんには好評だったのですが・・・。」
「夜凪さん、あれは好評じゃ無いよ。 お化け屋敷だからって驚いたら好評とか勘違いしちゃだめだよ。」
お化け屋敷の中から同じクラスの吉岡君が出てきた。
「パンダの着ぐるみを着てもダメだったの?」
「お化け屋敷の中で、おおよそ人間とは思えないような不気味な着ぐるみが急に駆け寄って来て、形だけはかわいい着ぐるみの中から、血みどろの女が顔を出すとか、一緒に居たクラスの人間でさえトラウマものでした・・・。」
「「「「「「うわぁ・・・。」」」」」」」
景ちゃんの奇行に双子を含めてみんなドン引きである。
「それは、お化けの役を降板させられるよね。」
「私には演技しかないのに・・・。」
「そのセリフはもっとシリアスなシーンで聞きたかった。」
納得の理由である。 そしてやる事が無くなった景ちゃんは、お化け屋敷の入り口で整理員の仕事をやらされている訳だ。
でもこの話を聞いて、僕の心にいたずら心が芽生えた。
「ねえ? みんなで勝負しない?」
「アキラちゃん、突然何を言い出すの?」
「一人ずつこの着ぐるみを着て、誰が一番お客さんを驚かせるかって勝負。 あくまでパンダの着ぐるみだけで、頭や体なんかを着ぐるみからキャストオフするのは反則と言う事で。」
「面白そうじゃん。」
阿良也が乗ってきた。
「是非やりましょうっ! 私も汚名挽回してみせますっ!」
景ちゃん、汚名を挽回しちゃダメだと思うんだけど・・・。たぶん、文字通り汚名を返上せずに挽回するだろうなぁ・・・。
「面白そうね。」
千世子ちゃんもやる気だ。
そんな訳で、まず最初に雪ねぇちゃんが一般人一号として、パンダの着ぐるみを着たままお化けをやって、全く驚かれずにバカにされて生き恥を晒す事を確認した後、僕達の勝負が始まった。
「アキラ君、無茶ぶりも大概にして・・・。」
生き恥を晒した雪ねぇちゃんは、着ぐるみの頭を取って、_| ̄|○ ガクッ・・・となっていた。
次はホームである景ちゃん。 パンダの着ぐるみを着たまま、現世への憎しみを表現してみせる。 まさしく王道。 これは怖い。 背筋が凍る。 ファンシーなパンダからこんな気配がするとか怖すぎる。 「キャ―――――――――――!!!!」というとんでもない音量の悲鳴が教室から響く。 リアル恐怖パンダ。 流石は景ちゃん。 パンダの着ぐるみを着たまま、演技のリアルさで勢いをつけて飛び蹴りしてきたね。
その後は言い出しっぺの僕が、死の演技で恐怖のパンダ男を演じると、お客さんからものすごい悲鳴が教室中に響く。 死んだ着ぐるみパンダが動いているとか、恐怖そのものだろう。
「死の演技はずっけえぞ! アキラ。」
阿良也は文句を言う。
続いて、千世子ちゃんがお客さんの意識の外から突然襲い掛かると、これまたとんでもない悲鳴が教室に響きまくる。
今の所、景ちゃん、僕、千世子ちゃんで互角だ。 というか、自分から言い出していてなんだけど、みんなそれぞれ個性が出ているけれども、お客さんの反応に上限があるっぽくて、みんな驚いて、ものすごい悲鳴を出すので、どれが一番怖いとか順位が付けられない。 最後の阿良也も一緒だろう。
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・・・・そんなふうに考えていた時期が僕にもありました・・・・。
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阿良也がパンダの着ぐるみを着て演じると、超気持ち悪い、名状しがたき異形のパンダ着ぐるみが降臨していた。 まさにコズミックホラーだった。 這い寄る恐怖にお客さんは悲鳴すら上げられずに固まっている。 立ったまま気絶しているかもしれない。
「これは不気味ね。 とてもかわいいわ。」
「こんな所で、かわいい感性が出てくるとは、千世子ちゃん恐るべし。 僕は夜中に一人でトイレに行けないかもしれないよ・・・。」
「私、今日は実家に泊りますっ。」
阿良也の演技を見ながら景ちゃんが言った。
「やだっ、景ちゃん、それじゃマンションに私一人になっちゃうじゃないの!」
「雪さんも一緒に私の実家に泊りましょうよ。」
「そうする!」
「阿良也君ってやっぱり演技させると上手いわね。」
「夜凪ママ、この大惨事の中、阿良也の演技を堪能しないで! 双子も夜凪ママの後ろで怯えているじゃない!!」
こんな会話の間も、恐怖のパンダ着ぐるみは、床を液体やゾンビのようで、なおかつ軟体動物みたいな形容しがたい不気味な動きで、さらに想像以上の速度でにゅるんにゅるんと縦横無尽に教室を動き回っている。
阿良也の演技で教室は大混乱に陥った。
「私が間違っていましたっ。 お化け屋敷ってお客さんを驚かせればいいって思っていましたが、限度があったんですね。」
「うん。景ちゃんがそれを学べただけでも、収穫があったよ。」
僕達は混乱する教室を尻目に、名状しがたき不定形の宇宙生物として、床でうねうねと蠢いている邪神パンダを生暖かく見つめながら言葉を交わした。
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星アキラは文化祭を観に行く3
みんなでお化け屋敷で大騒ぎをした後は、景ちゃんに校内を案内してもらって文化祭を楽しんだ。
みんな揃ってフォトスポットで撮影したり、演劇部の演劇を観たり、いろんな展示や絵画などを見たり。 景ちゃん以外はまともな高校生活を送っていないのもあって、普通の高校生活を楽しめる、とても楽しいひと時だったよ。
そして、文化祭も終わりに近づき、後夜祭になって行く。
映画は後夜祭の上映で、まだ明るいうちに時間があり、生徒会からピアノ演奏を頼まれたので、僕のYoutube動画として投稿しても良い事を条件に、体育館でピアノ演奏をしたりした。
ピアノ演奏は前座の子が上手かったので、前座の子を捕まえて二人で情熱大陸を弾いたり、フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンを弾き語ったりして、最後は菊次郎の夏のSummerで締めて、楽しい演奏をしたね。
そして、いよいよ景ちゃんの映画の上映だ。
とはいえ、その前に上映するためのスクリーンの準備が必要だね。
本日、文化祭の整理をやってくれた、イベント担当部署が校舎に巨大なスクリーンを張ってくれた。
皆さんはドライブインシアターというのを知っているだろうか?
映画でそのシーンを見た事がある人も多いとは思うけれども、アメリカでは、野原にスクリーンを張って、そこで車の中から映画を楽しむのだ。
今回の文化祭は、そこまで大規模な施設を入れる気も無いけれども、せっかくなら景ちゃんや映画制作に協力した人達にも特別な体験をしてもらいたかった。
この映画を体育館の中のスクリーンで観るのもつまらない。 でかでかと校舎にスクリーンを張って校庭で生徒全員に映画を映すのだ。
「アキラさん、こんなものでどうでしょうか。」
イベント部署の担当者が僕に出来栄えを聞いて来た。
「うん。いいね。 巨大だけど、すぐに張れる移動式のスクリーンも良いし、臨時で設置した音響もいいね。 今日のチケット整理といい、良い仕事をするね。 打ち上げ会の方はマネージャに手配をお願いしてあるから、期待してね。」
「ありがとうございます。」
「こんな巨大な所で上映するなんて・・・。」
映画を撮った吉岡君が口をあんぐりと開けている。
「特別な日に上映する特別な映画だよ。 なら特別な場所で上映しないと。」
「アキラちゃん、ずいぶん奮発したわね。」
「千世子ちゃん、そう見えるよね? でも実はこれは、この前買ったばかりの新機材のテストでもあるんだよ。 イベント会場でぶつけ本番でいきなりミスったら大惨事でしょう? これはクライアントに提供する前の事前テストも兼ねているんだよ。」
「確かに、今日ぐらい時間に余裕が無いと、この機材をテストするのは難しかったですね。 なにせ大きいので。 途中いくつかトラブルはありましたが、実戦形式で段取りが付いて助かりました。」
「うちのイベント運営も、どんどん組織力と機材がレベルアップして行って助かるよ。」
「ちゃっかりしているわね。」
しばらくすると辺りは暗くなっていき、僕達や映像研究部のメンバー、一緒に映画を撮ったクラスメート達。 みんなグランドから校舎に張られた巨大なスクリーンを観ている。
そして、いよいよ吉岡新太監督の処女作がスクリーンに投影され始める。
映画の題名は『隣の席の君』。
普通の高校に通う女子高生、夜凪景の日常を題材にした映画だ。
吉岡君の目線で見る夜凪景の一日を記録しただけとも言える、山もオチも無い映画だ。
しかし、一緒のクラスに居るクラスメートの視点で見た、夜凪景の作り物ではない、本当の日常が生き生きと描かれている。
これは景ちゃんの本当のクラスメート達だからこそ撮れる特別な映画だね。
そして、クライマックスも無く、クラスメート達との楽しい日常を過ごした景ちゃんは、夕日の中を校門から下校して映画が終わる。
実は僕は、新宿のスタジオアルタ、渋谷の109フォーラムビジョンなどで上映する関係上、事前にこの映画を観ていた。
そしてこの映画を
この映画が
映画が終わって、学校の全校生徒から拍手が起きる。
映画のエンドロールに自分の名前を見つけたクラスメート達は涙を流しながら、みんな抱き合って感動を共有している。 景ちゃんもクラスメート達にもみくちゃにされながら、自分の映画が上映される感動を嚙みしめていた。
夜凪ママはそんな景ちゃんを優しい目で見ていた。
まさしく青春だった。 いや、アオハルかな。 本当に未熟な映画。 でもこの映画が持つ若さや初々しさ、思春期のエネルギッシュさは、景ちゃんを間近に見るクラスメートでしか撮れない、この瞬間だからこそ生まれた、魅力ある映画となっていた。
この映画は上映されて終わる訳じゃない。 この映画製作に携わった人たちのアオハルの一幕として、完成した作品をみんなで共有した思い出が出来て、そこで初めて完結するのだ。
だから僕はそれが強く思い出に残るように、特別な上映場所を作ってそこで上映した。
そんな青春真っ只中の高校生達による、エネルギッシュなアオハルの一幕を間近からライブで見ていると、僕もとてもアオハルをしたくなった。
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夜凪景の文化祭スレ
550名無し@夜凪ファン
スタジオアルタの前で文化祭の映画をみたけど、うーんって感じだった。
551名無し@夜凪ファン
なんというか、日常の景ちゃんが映っているだけで、映画?って思った。
552名無し@夜凪ファン
そりゃ、高校生が文化祭で作った映画だからな。 俺も渋谷で観たけど、これぞ青春って感じですごく良かったぞ。
553名無し@夜凪ファン
あれは一個の作品として見るんじゃなくて、背景を知ってみるとすごく楽しめる。
554名無し@夜凪ファン
その後のケイティとチヨコエルのYoutubeに上がった動画と合わせて見る事をお勧めする。 あれを観ちゃうとあの映画の感動が何倍にもなる。
555名無し@夜凪ファン
映画で泣いているみんなの中で景ちゃんがもみくちゃにされているのがすごくいいんだよな。
556名無し@夜凪ファン
下手なバラエティよりも何倍も青春だった。
557名無し@夜凪ファン
文化祭で夜凪景の映画を撮れるなんて、一生の思い出だろう。
558名無し@夜凪ファン
俺も景ちゃんと同じクラスで勉強したかった・・・。
559名無し@夜凪ファン
クラスメートが夜凪景とかどんなファンタジーだよ
560名無し@夜凪ファン
クラスのみんなで映画撮影とか羨ましすぎる。 ラノベでも考えられない展開だぞ。
561名無し@夜凪ファン
俺もあんな青春を送りたかった。
562名無し@夜凪ファン
マジで、ラノベに登場するクラスメイトの一人がアイドル以上にファンタジーだろ。
563名無し@夜凪ファン
しかし、なんであの映画を新宿や渋谷で放映したの?
564名無し@夜凪ファン
当日に高校で野次馬が押し掛けたので、その対策で野次馬達が観れるようにしたためらしい
565名無し@夜凪ファン
この瞬間でしか見れない夜凪景の映画。 そりゃプレミアムだよな
566名無し@夜凪ファン
新宿のアルタの前と渋谷の109の前はそれは大賑わいだったな
567名無し@夜凪ファン
そりゃ、あんな数の人達が学校に押し掛けたら迷惑だよな
568名無し@夜凪ファン
報道陣も来てたからな。
569名無し@夜凪ファン
都知事を案内していた景ちゃんワロタ
570名無し@夜凪ファン
普段の学生姿の景ちゃんにぐっと来た。
571名無し@夜凪ファン
景ちゃんのお化け屋敷は景ちゃん怖すぎ。 なぜ一流の女優にお化けの役をやらせようとしたのか・・・。
572名無し@夜凪ファン
都知事を案内していた時にはあんなに優等生だったのに、なぜああなったのか。
573名無し@夜凪ファン
リポーターが腰を抜かすのもわかるw
574名無し@夜凪ファン
あれは仕方がない。TVを通してなのに、マジで怖かった。
575名無し@夜凪ファン
でも、景ちゃんのお化け屋敷に俺も行きたかった。
576名無し@夜凪ファン
俺も、景ちゃんがお化け役ってだけでプレミアムだよ。
577名無し@夜凪ファン
お前ら、これを見てもそんな事が言えるのか?
http://yotube/xxxxxxxxxxxx
578名無し@夜凪ファン
何じゃこれ!?
579名無し@夜凪ファン
アラヤパンダ怖すぎる。 這い寄る恐怖かよっ!
580名無し@夜凪ファン
やべぇ、阿良也の恐怖パンダのせいで怖くて寝れなくなるかも。
581名無し@夜凪ファン
なんでこんな動きなんだよw、そして、なんでF4揃ってお化けの役なんてやっているんだよwww
582名無し@夜凪ファン
景ちゃんのクラスの人が撮影したらしい。アキラ君のYoutubeチャンネルに今上がったみたい。いろいろツッコミ所が凄すぎるけど、阿良也が怖すぎだろwww
583名無し@夜凪ファン
他の3人でも身も凍る恐怖なのに、阿良也だけ異次元の恐怖すぎてワロエナイ。
584名無し@夜凪ファン
マジでクトゥルフ神話の邪神が乗り移っているだろwww
585名無し@夜凪ファン
こんな所で、恐怖映像を観る事になるとは思わなかったw
586名無し@夜凪ファン
パンダの着ぐるみがトラウマすぎるんだけど。
587名無し@夜凪ファン
って言うか、F4みんなで文化祭を楽しんだのかよ!
588名無し@夜凪ファン
流石はF4。フットワークが軽すぎるw
589名無し@夜凪ファン
F4全員で文化祭とか、豪華すぎるwww
590名無し@夜凪ファン
その後に体育館でアキラ君がコンサートしたみたいだし、もう伝説の文化祭すぎるだろww
591名無し@夜凪ファン
F4をマジで文化祭に呼んだらギャラはどうなるんだ?
592名無し@夜凪ファン
もう、億は余裕だろうなw
593名無し@夜凪ファン
やべえ。 あの超高速で這いずりながらニュルニュルするパンダが意識から抜けん。
594名無し@夜凪ファン
下手なホラー映画よりもはるかにホラーだぞ!
595名無し@夜凪ファン
あの阿良也の役で映画一本は行けるw
596名無し@夜凪ファン
あれでマジモンのホラー映画が作られたら、怖くて映画館も行けねぇよww
597名無し@夜凪ファン
適度に怖いのレベルを超えてるw これはムリwww
598名無し@夜凪ファン
邪神の演技とか、阿良也は凄いな。 これからはカメレオン阿良也じゃなくて、邪神阿良也になるのではw
599名無し@夜凪ファン
まじで邪神w
600名無し@夜凪ファン
邪神阿良也を珍獣神様の神通力で封印していただかなければ!!!
601名無し@夜凪ファン
珍獣が邪神阿良也を封印できれば、マジで珍獣教が創設されるなw
602名無し@夜凪ファン
珍獣様だ! 珍獣様ならなんとかしてくれる!
603名無し@夜凪ファン
そうかなぁ? 珍獣神なんて、すぐにパクッっと出オチで邪神阿良也に喰われる気がするんだけどw
604名無し@夜凪ファン
まぁ、邪神阿良也の前ではおやつだろうなwww
605名無し@夜凪ファン
邪神阿良也×珍獣アキラの同人誌はよ!
606名無し@夜凪ファン
高度すぎるw 人類には絶対に早すぎるwww
607名無し@夜凪ファン
お前ら、F4が普通に遊びに行っている事に対するツッコミは無いのか!? あの千世子ちゃんが文化祭に居るんだぞ!
608名無し@夜凪ファン
いや、高校に景ちゃんが居て、アキラ君や千世子ちゃんや阿良也が揃うと、もうドラマの一場面みたいで逆に違和感が無くなるなw
609名無し@夜凪ファン
動画で見ていると、現実感が無いからなぁ・・・。
610名無し@夜凪ファン
みんな楽しんでいて良かったみたいな感じ?
611名無し@夜凪ファン
あんな風に仲良くエンジョイ出来ていいよね。
612名無し@夜凪ファン
最後に曲に合わせてF4の四人でフォークダンスを踊っているのもいいね。 すごくほっこりする
http://yotube/xxxxxxxxxxxx
613名無し@夜凪ファン
楽しそう! みんな青春できているみたいで羨ましい!
614名無し@夜凪ファン
やっぱり役者が躍ると絵になる。 すんげー楽しそう。
615名無し@夜凪ファン
阿良也、まだパンダじゃねぇかwww
616名無し@夜凪ファン
パンダの着ぐるみが気に入ったのかwww
617名無し@夜凪ファン
このパンダの中身は本当に阿良也なんですかねぇ?
618名無し@夜凪ファン
実は中身はコズミックホラーの邪神が入っていて、阿良也に擬態しているのがワンチャンw
619名無し@夜凪ファン
1. 都知事が視察。景ちゃんが学生として取材を受ける。
2. 景ちゃんのお化けでレポーターやお客さんが恐怖のどん底に
3. F4が遊びに来てお化けとして出演してお客さんや生徒が発狂 (主犯:阿良也)
4. 体育館でアキラ君が緊急ライブ
5. 自主映画撮影が、アルタと109で放映
6. F4でフォークダンス
伝説の文化祭すぎるだろww 普通の都立高校だよね?
620名無し@夜凪ファン
マジでやべぇw 俺も行きたかった
621名無し@夜凪ファン
俺の知っている文化祭と違うw
622名無し@夜凪ファン
こいつら、人生を楽しみすぎだろwww
623名無し@夜凪ファン
文化祭に行くだけでも楽しすぎる。 F4は次は何をしてくれるのか。
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星アキラは青春の映画を撮る
景ちゃん達の文化祭で、羨ましい青春の一幕を見せられた僕は、青春を謳歌する景ちゃんへの激しい嫉妬の心と共に、スタジオ大黒天に居た。
「千世えも――――ん!(泣) 景ちゃんが僕に青春を見せつけてきてすごく悔しいんだよ!! アオハルで景ちゃんをメッタメタのギッタギタに見返したいんだ!(涙)」
「僕、千世えもんです。 アキ太君、それは悔しかったね。 景ちゃんを見返すのに、僕にいいアイデアがあるよ。」(ドラえもん声)
「どうするの!? 千世えもん!!」
そう言うと、千世子ちゃんはおもむろにカバンをあさり始める。
「テテテテッテテー!(効果音) 白紙の台本!!」(ドラえもん声)
「千世えもん! この台本は白紙じゃないか!」
「そうだよ! これにアキ太君がアオハルの台本を書いて自分で映画を作ればいいんだ!」(ドラえもん声)
「でもいきなり僕に映画なんて難しいよ! 僕は、青臭くて、エネルギッシュで、未熟で自己主張が強いような、そんな青春の映画が撮りたいんだ!!」
「大丈夫。 私にいい考えがある!」(コンボイ声)
「大丈夫なの!? 千世コンボイ司令官!」
「大丈夫だ! 問題無い!」(イーノック声)
-------------柊雪視点-------------
「俺らはいったい、何を見せられているんだ?」 呆れたようにツッコミ不在の寸劇を見ていた墨字さんが言う。
「千世子ちゃん、ドラえもんの声、すごく上手ですっ!」 関係ない所で景ちゃんは感激していた。
「この二人でボケると、もうツッコム隙間も無いわね。」 そんな二人を見ながら、私はため息を吐いて呆れ果てていた。
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「ねぇ、千世えもん? これ、何か違わない?」
映画の撮影に入って、監督席で俳優の演技を見ているアキラ君が言った。
「アキ太君どうして? 誰がどう見ても青臭くて、エネルギッシュで、未熟で自己主張が強い映画じゃないか!」(ドラえもん声)
「雪ねぇちゃん、これってアオハルかなぁ?」
「今さら!? もっと前に気が付くタイミングがあったよね!? こんなタイミングで私に聞かないでよ!!」
助監督として、撮影の指揮を取っている私がツッコむ。
「なんか、これ、僕が撮りたかった映画と違う気がするんだよね。」
「えっ!? そんな事を今更言われても困るでゲソ!」
アキラ君の映画で、初主演に抜擢された新名夏ちゃんがアキラ君のセリフに驚いて声を上げる。
「そっ、それは私も困ります!」
もう一人の主役の木梨かんなちゃんも同調する。
「でもさぁ、僕は青春映画として青臭くて、エネルギッシュで、未熟で自己主張が強い映画を撮りたかったんだよ。 これじゃ物理的に髪が青臭そうなだけじゃないか!」
「青臭いとか失礼でゲソ! これでも一生懸命やっているじゃなイカ?」
「確かに、青臭くて、エネルギッシュで、未熟で自己主張が強い映画だよ。 でもこれって、青臭いというよりは磯臭いんじゃ・・・。」
「私は磯臭くないでゲソ!!! これでもアイドルなんだから失礼じゃなイカ?」
「ごめんごめん。 元アイドルの夏ちゃんに言いすぎたね。」
「元アイドルとか真実でも言うなでゲソ~!!」
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特報!! あのハリウッドの天才俳優がついに映画監督としてデビュー―――!
14歳でアカデミー賞の助演男優賞を獲得! そして今も数々のハリウッド映画に出演する天才俳優、星アキラ!
そして演出は3度の日本アカデミー賞主演女優賞にハリウッドデビューも飾る天才女優 百城千世子!
そんな二人がタッグを組んで作る映画は、海からの侵略者!? 侵略の舞台は海の家!?
主演はアイドルを卒業したばかりのフレッシュな女優 新名夏と、デスアイランドで熱演を見せたシンデレラガール、木梨かんな。
今、人類への侵略が始まる!!
♪ 侵略!侵略!侵略!侵略!侵略!侵略!イカ娘☆彡 (キュー!) ♪
人類侵略の前線基地 海の家から侵略開始!
♪ 侵略 攻略 計画 成功! ♪
♪ 侵略☆攻略 侵略☆攻略 侵略☆攻略 イカ娘☆彡! ♪
この夏始まる待望の映画
イカ娘 ☆ The MOVIE!
coming soon.....
イカ娘 ☆ The MOVIE!
監督 星アキラ
助監督 柊雪
演出 百城千世子
撮影協力 黒山墨字
イカ娘 新名夏
相沢栄子 木梨かんな
相沢千鶴 和歌月千
長月早苗 湯島茜
斉藤渚 合原佐和
紗倉清美 一色笑子
嵐山悟郎 烏山武光
磯崎辰雄 源真咲
シンディー リー・チャン
お客A 星アキラ
お客B 百城千世子
お客C 夜凪景(友情出演)
お客D 明神阿良也(友情出演)
なお、映画はヒットした模様w
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星アキラは怒られる
-------------柊雪視点-------------
大方の予想を大きく裏切って、イカ娘の映画がヒットを叩き出した後に、私達は揃って、スターズの社長室に呼び出されていた。
「アキラ、私がなぜ怒っているか分るわよね?」
うわっ。 アリサさんが怒っている。 結果オーライとして、ヒットしたから良かったものの、あんなに沢山の予算をかけた映画を私物化して好き勝手に作ったんだもの。 そりゃ、アリサさんも怒るわよね。 ここでアキラ君が怒られても、自業自得よね。
私はアリサさんの怒りは、もっともだと思って、話を聞いていた。
「イカ娘の件だよね? あっ、アリサママ、あれは誤解なんだよ! あの映画は大コケする予定だったんだ! だって、アニメの実写化だけでも爆死確定なのに、さらに主役が元アイドルと、芸能活動歴が無い演劇部の高校生なんて、失敗するに決まっているじゃないか! 大赤字になるはずだったのに、化学反応が起こって面白くなっちゃうなんて予想できないよ! 僕は悪く無いよ! あれは不慮の事故だよ!」
アキラ君、何を言っているの? 私はアキラ君の意味不明な弁明に困惑した。
「アキラ、映画を作る時に言ったわよね。 僕に任せてもらえば大赤字確定だって。 だから私はアキラを信じて映画を作る事を許可したのに、何でお金を増やしてくるのよ!」
「「「はぁ!?」」」
この場にいた、私と墨字さん、景ちゃんは困惑した。 唯一、千世子ちゃんだけはニコニコしていた。
「でも、映画はヒットして、早くも続編が望まれている上に、参加した俳優や芸能事務所からも非常に好評。 続編には是非うちの子を加えて欲しいって言う依頼も一杯来ているって聞いていますよ。」
千世子ちゃんが冷静にアリサさんに言う。 私達は話に全く付いて行けなかった。
「確かに、アイドルを強引に卒業させられて評判を落としていた新名夏と、このままでは高校卒業後に芸能活動すらしなかったであろう、木梨かんなを発掘したのは見事だわ。 この映画自体、スターズの名を高める事になった事は認めます。」
「そうだよ! 白虎隊で落ちた評判と合わせると、プラマイゼロにしたんだから、僕をもっと褒めて欲しいよ!」
「だまらっしゃい! このクソガキが!」
「そもそも手塚の映画は大赤字になるって分かっていたから、許可したのよ。 手塚に予算制限なく、脚本や構成、俳優も自由にやらせたら、マニアックすぎる映画を作って、まともにヒットしないのは分かっていたじゃない。 だから、あなた達もあの映画には出演させていないの。 わかるわよね?」
うわーっ。 手塚監督フルボッコじゃない!
このイカ娘の映画の裏で、実は手塚監督が白虎隊の映画を撮っていた。 この映画を撮るために、スターズからも俳優を沢山出演させている。 結果として、イカ娘では、スターズの俳優はほとんど使えずに、デスアイランドのオーディション採用の子達を中心に配役した。 唯一、アキラ君を慕っている和歌月千ちゃんと、千世子ちゃんを慕う合原佐和ちゃんは、白虎隊のオファーを断り、イカ娘に参加してくれた。
はっきり言って、企画のスタート時点では、このイカ娘は地雷扱いの映画だった。 監督経験の無い星アキラ、演出経験の無い百城千世子、主役は元アイドルと、芸能事務所に所属していない高校の演劇部所属の女の子。 さらに、漫画やアニメの実写化。 悪材料しかない。 ヒットすると思う方がおかしい。
対して、手塚監督の白虎隊は、予算なんと20億円、最終的には予算を大幅に超過して、28億円にも達した、超巨大プロジェクトだった。 監督はデスアイランドをヒットさせた、手塚監督が撮影し、脚本家や役者も一流どころが揃う素晴らしい映画になると思われた。
スターズの事務所内でも、大半のタレントは白虎隊を選んだ。 でも、なんか話を聞くと、マネージャ陣はみんなイカ娘に参加するようにタレントに促したらしい。 Youtube放送をするアキラ君を考えると、爆死させてYoutubeのネタにでもすると思うんだけど、星アキラの経営能力やマネージメント能力を見た事がある人間なら、評価が違うのだろうか?
というか、マネージャ陣も口には出せないけれども、薄々、最初から白虎隊が大コケするのが分かっていたのね。 でもどうしてそんな事になっているの?
今の所、イカ娘が製作費4億円で、興行収入37億円。 大ヒットと言って良くて、アキラ君が出演者に、日本では珍しいインセンティブを含む出演契約をしたために、出演者に歩合制の臨時ボーナスも入ってみんなホクホク。 アルバイトしなくても良くなったって涙を流していた子も居た。 ちなみに、私もインセンティブで大儲けだ。 予算を絞った映画なら、ついに私も自分の映画を撮れるかもしれない。
対して白虎隊は、製作費28億円で、興行収入3億1000万円。 邦画としてはそこそこの売り上げだけれども、製作費を考えると、大爆死と言って差しさわりが無い。
「でも、ヒットした方が良いのですよね? なんで儲かったらダメなんですか?」
景ちゃん、ナイス質問よ! そうよ! そこが聞きたかったのよ!
「景ちゃん、会社というのは儲かれば良いという物では無いの。 儲かったら、そのお金はどこに使うの?」
「えっと、それはみなさんのお給料にするとか?」
「給料を上げるのはかまわないわ。 でも限度があるでしょう? 突然、儲かったからみんなに1億円あげますとか、どう思う? しかも大半がアキラや千世子が稼いできたお金なのに。」
「それはおかしいと思います。」
「そうよね。 給料を上げるのは構わないけれども、常識的な額にするべきだわ。 スターズでは、従業員やタレントの給料面や福利厚生を含めた待遇は日本一の芸能事務所と自負しています。 それで、お給料を上げるのはダメだとして、他にどうするの?」
「えっと、貯めておけばいいのではないでしょうか?」
「確かに、そう思うわよね。 でもそうすると、利益とみなされて、国に37%ほど税金で持って行かれるのよ。 100億円ほど稼いでも、次の年には自動で63億円になっちゃうって訳。 勿体ないと思わない? だから利益にならないように事業で使いたいのよ。 そうして、事業に使ったお金と相殺して、利益を減らすの。 だから、理想は、将来のために事業に沢山のお金を使って、ほんのちょっとだけ利益が出て黒字っていうのがちょうど良いわ。」
「スターズは非上場の株式会社で、株の大半はアリサママと僕が持っているし、その他の株主も、星アリサを援助したいって人ばかりだから、そんなにうるさく無いけれども、上場企業だと、利益が出すぎたので税金がいっぱい取られましたとかだと、株主から経営責任が問われて、社長がクビになっちゃうかもね。」
「アキラ! それがわかっていて、どうしてヒットさせちゃったのよ!」
「だって、こんな地雷だらけの映画がここまでヒットするとは思わないんだもん! 僕は自分の才能が怖すぎるよ!」
「まぁ、いいわ。 代わりに手塚が頑張ってくれて、予想以上の製作費と大赤字を出してくれたおかげで、だいぶ税引前当期純利益は削れたわ。 アキラの劇場収入は来期に入るから、税金のタイミング的には問題無いし、アキラは手塚に感謝する事ね。」
「は――――――い。」
「この子は・・・。 全く反省してい無さそうね。」
「あのっ、もしかして白虎隊って、わざと赤字を出させたんですか?」
思わず私はアリサさんに質問してしまった。
「別にわざとじゃないわ。 ただ単に、デスアイランドが当たってちょっと調子に乗り始めた手塚に、予算と内容無制限で好きな映画を作らせただけよ。 大ヒットする可能性も沢山あったわ。 だって、税金で持って行かれるぐらいなら、赤字覚悟で映画でも作った方が良くない? タレントや従業員にも仕事ができるし、スキルを磨ける上に、映画に必要なキャストを揃えるだけでも、他の事務所とも関係が良くなるわ。 何よりも、失敗した後は、手塚も殊勝な態度になって、前よりも言う事を聞いてくれるようになったわ。 元々才能はあるんだけれども、自分の作りたい映画が必ずしも大衆が観たい映画じゃないって事が分かったみたいで良かったわ。」
星アリサ怖っ。 まじでサイコパスだわ。 手塚監督、アリサさんの手の平でコロコロされてご愁傷様です。
「もしかして、スターズのマネージャさん達がみんなイカ娘の方に参加するように俳優さん達に促したのって・・・。」
「今回の件、スターズ内では、どっちに参加するのか、タレントに自由に選ばせるようにしたわ。 マネージャ陣はみんな薄々察していて、どっちを選ぶか判断するときに、まだ可能性のあるアキラの方を勧めたのでしょうね。 このぐらい察せられないと、スターズでは高給取りのマネージャなんてやっていられないわ。 タレント達はみんな、表面だけしか見えなくて、表面上は最高の予算とリソースをかけたビッグプロジェクトである、白虎隊の方に惹かれたのでしょうけれども、ちゃんと自分でこの状況を判断できたのが、和歌月千と合原佐和の二人だけっていうのはちょっと悲しいわね。 まぁ、この二人は自分でチャンスを掴み取ったわけね。」
「赤字を出したいから映画を撮るなんて、誰も想像できないから、仕方がないんじゃ・・・。」
「他のタレント達は、アキラや千世子や、景ちゃんを参加させなかったから、自分達にチャンスが回ってきたと考えても仕方が無いわよね。 でも他で映画を作るためとは言っても、何でこのメンバーを参加させなかったのか、ちょっと考えた方が良かったわね。」
「アリサママ、反省したよ。」
「映画に出演してくれる俳優達を貶めてまで、無理に赤字を出す必要は無いけれども、次はちゃんと評価される形で赤字を出すのよ。 がんばったけれども、ちょっと空回り。 でもキラリと光る部分は多くて、興行的には赤字だけれども、次の作品は期待。 ぐらいがちょうどいいわ。」
「は―――――い。 がんばりま――――す。」
「この子、本当にわかっているのかしら・・・。 私は自分の息子が一番良くわからないわ。」
結局、あの白虎隊は、どうしてこんな赤字をアリサさんがそのままにしたんだろうって、思ったけれども、変な所で謎が解けてしまった・・・。 そしてこんなダークな裏話を私達の前でしないでほしかった。 質問した私も悪いけれども・・・。 横で墨字さんが無言のまま呆れていた。
手塚監督の白虎隊は、言わば、手間暇かけた、こだわりソースのフランス料理って感じだった。 映画のシーンも手塚監督が納得が行くまで撮影したために、撮影現場では、けっこうギスギスしたらしい。 監督が作る映画って感じで、ソースが全体の調和を取っていて、役者はソースの中に溶けた材料って感じ。 あんまり役者の個性みたいなのは、見えなくなっちゃうのかな。
もちろん、映画としての完成度はものすごく高い。 それこそイカ娘なんて比べ物にならない。
対して、イカ娘は役者主体の日本料理・・・って訳じゃない。 プロの板前さんが作った素材の味を引き立てた和食ですらなくて、船の上で漁師さんがその場で釣った魚を捌いて出してくれる漁師料理って感じ。 魚の味を知り尽くしたプロの漁師さんが、船に乗った私達に振舞ってくれる、特別で豪快な船上料理。 なめろうや、あら汁、ぶつ切りの刺身みたいな感じ。 手間暇や繊細な職人技は無いけれども、不味いはずがない。
私は、アキラ君の書いた台本を見た時、すごく衝撃を受けた。 台本の中には「イカ娘第1巻、34ページ目の演技をして。」とか書かれていた。
本当に目が点になった。 漫画のシーン読ませて、それを役者に解釈させて演技させたのだ。 当然、1回目の撮影は上手く行くはずが無くて、アキラ君や千世子ちゃんも問題点をバンバンと指摘するものだから、撮影の雰囲気が本当に悪かった。 この映画は、このままお蔵入りじゃとか思ったぐらいだった。
でも2回目から、役者達の演技が物凄く良くなって行って、最後にはヒットを確信していた。 この辺の役者じゃなきゃ撮れないシーンや演出は、流石はアキラ君や千世子ちゃんだと思った。
しかし、この裏話を聞くと、白虎隊の撮影に参加しなくて良かった。 あっちも大黒天は誘われていたんだよね。 私は陰ながらアキラ君に感謝した。
-------とある映画ブログにて-------
本日の映画レビュー
本日は、同じ芸能事務所にも関わらず、同時期の公開で、見事に明暗を分けた二つの映画を紹介します。
白虎隊 2.8点
デスアイランドで評価を上げた手塚由紀治監督による大作歴史映画。
手塚節とも取れるような、濃密な人間関係や心理描写、こだわりの時代考証がふんだんに盛り込まれた作品で、主演は、堂上竜吾と若狭駆馬。 他、若手、ベテランを問わず、スターズを始め、一線級の豪華俳優達が参加している。
そして、製作費28億円で、興行収入が4億円という大コケ映画としても有名である。
映画はなにか良く分らずに、次々に人が死んで行く映画って印象が強い。 白虎隊の事前知識が無いと、わからない部分が多々出てくる。 後年、手塚監督は5時間のディレクターズカットバージョンを出しており、それを見て初めて意味がわかった人も多くて、この映画を見直す声もあるが、映画館で5時間もの映画を放映できるはずもなく、監督として撮りたいシーンがあるのはわかるけれども、構成力不足を指摘されても仕方がないとも言える。
役者の演技については、可も無く不可もなく。 逆に手塚監督のカラーが強くて、ある程度演技がまとまっている分、逆に役者の見せ場が制限されてしまったと言えるかもしれない。
そして、映画を観て主人公達に感情移入したとしても、最後は若松城から上がる煙を見て、城が落ちたと勘違いしてみんなで切腹するという全滅エンドであり、濃厚な幕末時代劇を見せられた最後にこれでは、後味の悪さはどうしても残る。
結果として、濃厚な時代劇を好む層からの評価は高いが、この層の絶対数は少ない上に、劇場に足を運ぶ人も少ない。
逆に、堂上竜吾や若狭駆馬のファンなどのカジュアルな一般層向けには、この作品は重すぎた。 全滅エンドの上に、新政府軍に負けている会津藩という事もあり、全般的に重苦しい雰囲気や、死亡フラグが随所にあり、登場人物が次々に死んで行く。 自分達の故郷を守ると言う志には共感できるものの、映画館にお金を払ってまでも見る価値があったと評価できる人は少ないのではないかと思われる。
良くも悪くも玄人向けに評価される作品であり、開き直るのであれば、興行収入が悪いのは仕方がない事だとも言える。
なによりも、この作品の同時期に上映されたのが、星アキラ監督のイカ娘 ☆ The MOVIE! だったのも不幸だったと言える。
明らかに一般向けエンタメの権化 VS 玄人向けの映画。 このような映画に多数の予算をかければ、興行面での爆死は必至であった。
とはいえ、随所にまでこだわりぬいたシーンの数々や、時代を超えて考えさせられる数々の描写に、豪華な俳優陣と、見るべき物も多く、映画をエンタメとしてでは無くて、歴史好きや、人生を考える契機にしている人などは、見る価値のある映画と言えるだろう。
イカ娘 ☆ The MOVIE! 4.5点
星アキラ監督作品の第一弾。 彼のファンであれば、これだけで見る人は沢山居ることだろう。(彼のファンでこの作品を観た事が無い人は少ないとは思うが。)
今や押しも押されもせぬ大女優となった、新名夏や木梨かんなもこの映画によって見い出された記念すべき作品。 シリーズ化しているので、観た事がある人も非常に多いだろう。
ただ、当初の前評判は、非常に低い物であった。 むしろ、白虎隊の方が前評判は非常に高かった。
それも当然と言える。 天才俳優とは言え、面白そうだったからちょっと監督をやってみましたと言わんばかりの星アキラと、ゴリ押しの元アイドルと高校生が主役で、漫画の実写化という、いろいろフラグ満載の泡沫映画であった。
だが、ちょっと待って欲しい。 監督が星アキラ、助監督が柊雪、演出が百城千世子で、黒山墨字が撮影協力をしているという、とんでもない映画である。
今の映画界を知るものであれば、超ビッグネーム揃いのメンバーが一堂に会して作った映画がつまらない訳が無い。
特に、役者に演技をする内容だけを伝えて、役者自身にシーンを考えぬかせて撮影すると言う、アキラスクールと言われる、彼独特の撮影手法はこの作品からすでに健在であり、役者の生き生きとした演技や会話を楽しむ事ができる。 こういったライブ感がある役者の演技を好んで、彼の映画を観るファンも多い。
この役者は、この役をこういう風に考えるんだ。みたいな役者自身の考えをダイレクトに観れるのが、アキラ監督の魅力である。
新人発掘マシーンや、アキラ再生工場と言われるように、無名や落ちぶれていても、彼に抜擢されて、飛躍した俳優は非常に多く、沢山の俳優に慕われているアキラ監督らしい作品ともいえる。
完全にネタ扱いだったこの映画が上映されると、当初の予想を覆して、大ヒットする事となった。
新名夏のリアルでかわいいイカ娘、引っ込み思案と思われていた、木梨かんなの容赦ないツッコミ、和歌月千の謎の達人っぷりに、湯島茜のふっとんだ変態っぷり。 実写だからこそできる、リアルな描写で実写の強みを存分に生かした、新鮮なギャグライブ映画とも言える仕上がりになっている。
大半の漫画原作の映画が、実写にも関わらずに、漫画の描写に拘り過ぎてリアル感が失われて失敗したり、逆に原作を無視して炎上したりにするのに比べると、イカ娘が可愛いければ何でも良いという原作ファンの心理を上手く見抜いて、原作準拠しつつ、リアルにするとこんな感じになるような変化が加えられている所が面白い。
結果、原作やアニメを見直して違いを楽しむファンなども多く、原作の売上にも貢献し、原作のファンにも愛される映画となった。
カジュアル層が気軽に映画館に行って、気軽に楽しめる映画。 デートで観に行っても絶対に外さない映画。
気分が落ち込んでいる時には、この映画を観て、何も考えずに元気づけられると良いと思います。 そんな笑いのエネルギー溢れる映画です。
赤字を出すために映画を撮るとか、現実にやったら関係者にすごく失礼な事だと思いますが、創作なので許してください(o_ _)o
あと、手塚監督はこの失敗の後に、反省して、自分の撮りたい映画について折り合いをつけて、興行的に成功した、すばらしい作品を何本も世に出します。
そして、大きな失敗しても許してくれて、次のチャンスを自分にくれた星アリサにものすごい感謝をするのですが、裏でアリサママがこんなに黒いサイコパスだとは、全く知らない模様ですw
裏側を知った墨字さんも、余計な事は言わずに黙っていたようです。 アリサママの思惑は別としても、手塚監督が好きな映画を好きなだけ予算をかけて作れた事は事実なので。
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新名夏と木梨かんなは演じる1
-------------新名夏視点-------------
「は~~~~~っ。」
アイドルを半ばクビになって、強引に卒業させられた私は、深いため息と共に、行きつけの喫茶店のカウンターでうな垂れていた。
私は総選挙で3位という、トップアイドルと言って良い順位ながら、17歳というどう見ても卒業には早い年齢でアイドルを卒業させられたのには訳があった。
普通、アイドルの卒業は20歳を過ぎた頃で、アイドルグループでの年齢差と、アイドルでの知名度を元に、単独での仕事を入れたい事務所側の要望がマッチして、ある程度円満に卒業するものだ。 今回の、17歳という年齢での卒業は実際、私の望んだ卒業では無かった。
直接的な原因は、博多での大規模なコンサートの前日に、父親が心筋梗塞で倒れた事だった。 もちろん、私は前日に東京にとんぼ返りをして、父親の手術が無事に終わったのを見届けて、翌日、また博多に戻る予定であった。 台風が急に本州側に進路を変えなければ、これで問題なく、コンサートに出られるはずだった・・・。
翌日、飛行機は欠航し、東海道新幹線も運休。 結果、私は大切なコンサートに遅刻する事となってしまった。
コンサートに出られなかった理由は、仕方がない面もあって、ファン達は納得してくれたんだけれども、私はチームのセンターと言う事もあって、この件にプロデューサーさんが激怒する事になってしまった。
もちろん、プロデューサーさんも理不尽に怒っている訳では無い。 父親のお見舞いに駆けつけるのは仕方がないにしても、前日の最終便で博多に戻れたはず。 当日での移動だと、チームのリハーサルをすっぽかす事になる。 それに気象庁が台風の進路予測を誤ったとは言っても、ある程度、交通の便に影響が出る事は、前日から予測できたはずだ。というのである。
全くもってその通りであった。 なるべく多くの時間父親の側に居たいという思いから、翌日の移動を選択したけれども、最年少ながら、チームのセンターに抜擢してくれたプロデューサーさんの期待を裏切る行動でもあった。 結局、私はセンターとしての自覚と責任感が足りなかったのだ。
これぐらいなら、まだ卒業という事にはならないと思うんだけど、この後、立て続けにこのアイドルグループの子達のスキャンダルが持ち上がってしまった。
その結果、アイドルグループのメンバーの入れ替えを考えざるをえなくなり、その入れ替えの目玉として私がやり玉に挙がってしまったのだ。
それを聞いた時、私は事態を理解できなかった。 ちょっとプロデューサーを怒らせたとは言っても、総選挙で3位である。 確かに、あのアイドルをするために生まれてきたような、化け物染みた1位と2位の子に敵わないとしても、持ち前の努力と根性で順位を上げて来たのに!
私は、この事態を全く飲み込めなかったが、マネージャーさんや事務所の社長さんの話を聞いてある程度、理解せざるをえなかった。(納得できるかは全くの別問題だけど。)
誤解を恐れずに言うと、アイドルグループとは、ある意味、猿山であり、プロデューサーさんは猿山のボスとして絶対的な権力を持っている。 プロデューサーさんとして、アイドル達に舐められないようにするためには、権力を見せつける必要があって、その権力の振り下ろし先に私が居たのだ。
「総選挙3位の新名夏であっても、プロデューサーさんの不評を買えばアイドルグループから追い出される。」
グループに所属していた子達は、さぞ肝が冷えた事だろう。 プロデューサーさんにとって大切だったのは、スキャンダルを起こした子を排除する事ではなくて、グループ全体の風紀を引き締めて、同じことが起こらないように予防することだった。 そして、その目論見は非常に上手く行ったようだ。
私はこの時に絶妙な位置に居てしまったのだ。
こうして、アイドルグループの立て直しに成功した敏腕プロデューサーさんだけれども、こう言う事情でグループを離れなければいけなくなった私の立場は悲惨だった。
不意の卒業、そして、グループの風紀を引き締める意味で、プロデューサーさん的には、卒業した私がすぐに成功してもらっては困るのだ。
結果、プロデューサーさんの意向で、私は卒業後に事務所から仕事を紹介してもらえる事も無くなった。 プロデューサーさんとの関係を重視する事務所から、やんわりと契約解除を勧められているぐらいである。 そして、同じ事務所の別の子を私の代わりにセンターに抜擢していた。
女優としての道を歩みたいという、表向きの卒業の理由はあったけれども、スキャンダルを起こした子との同時期の卒業ともなれば、ファン達にも、私も何か問題があって、急遽卒業する事になったって勘ぐられる事になる。
この疑いを晴らすためには、すぐに仕事をもらって元気な所を見せなければいけないのだけれど、まるでその疑いを肯定するがごとく、私は開店休業状態で、喫茶店のカウンターでうな垂れているのだ。
同い年の千世子ちゃんに憧れて、女優を目指して芸能事務所に入ったら、なぜかアイドルグループに所属して、結果を出せたと思ったら、そこからの転落劇。 もちろん、アイドルになっても女優になる夢は捨てておらず、人一倍、演技のレッスンには取り組んでいた。 でも、そのレッスンもこのままだと無駄になりそうである。
このまま仕事が無くなり、私はなし崩し的に芸能界から引退して行くのだ。 一瞬でも、チームのセンターとなって、総選挙で3位に輝けただけでも、私の芸能生活は恵まれていたのかもしれない。
「は~~~~~っ。 私の将来、お先真っ暗。」
私はカウンターでうつ伏せになりながら、ため息と共に独り言をつぶやいた。
「そうね。 アイドルグループを理不尽に追い出されて、さらにお仕事が無いんじゃ、せっかくアイドルから女優に転身したのに、何も残せずに引退でしょうね。 あっ、コーヒーもらえますか? ブラックで。」
突然、カウンターの左の席から声が上がって、私はびっくりして、がばっと起き上がって左を見た。 すると、目の前には私が女優を目指す動機となった百城千世子ちゃんが居た。
「あっ、えっ?」
今まで左右の席に全く気配が無かった。 なのに突然左の席に、千世子ちゃんが居た。
「なっ、何これ!? ドッキリ!? カメラ回っているの!?」
私は混乱しながら、数年の芸能生活の間に獲得した、芸能人らしいリアクションを見せる。
「うん。 夏っちゃんに、やる気と才能が無いなら、このまま引退も仕方が無いんだけれども、両方揃っているのに、理不尽に引退は勿体ないよね。 ねぇ、僕と契約して魔法少女(イカ娘)になってよ。 あっ、僕にはホットミルクをください。砂糖も入れてね。」
私の右の席から、聞いた事がある有名人の声が聞こえた。 私はギギギギギギギと、油が切れた機械のように力みながら首を右側の席に向けた。
「やっほー~♪ 夏っちゃん。 アイドル卒業のショックで元気が無いようで何よりだよ♬」
右の席には、芸能界で世代のトップをひた走る天才俳優、星アキラが座っていた。
「ひぇっ!!!! キャッ!! もごもごもご!!!!!」
私が悲鳴を上げようとすると、アキラ君が素早くテーブルの上のお手拭きタオルで私の口を塞いで悲鳴が出ないようにした。
「うーん。 劇的な登場を演出してみたけれども、夏っちゃんには刺激が強かったみたいだね。」
「アキラちゃん、手を放してあげないと夏っちゃんの呼吸ができなくて死んじゃうわよ?」
「あっ、そうだね。」
そうして、お手拭きタオルを外されると、私は倒れなかったけれども、ショックと酸素不足できゅ~っって目を回す事になってしまった。
「おおっ、このオーバーリアクション! これこそ僕が求めていたリアクションだよ!」
「アキラちゃん、これはオーバーリアクションじゃなくて、素のリアクションよ。」
「ますます素晴らしいね。」
私は目を回している間、そんな幻聴を聞いた気がした。
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新名夏と木梨かんなは演じる2
-------------木梨かんな視点-------------
「それじゃ、かんな、またまた明日ね~。」
「うん。それじゃまた明日。」
放課後に運動部に行く友達を見送ると、私は盛大にため息を付いた。
「は~~~~~っ。」
私も、文華高校の演劇部に所属していて、ちょっと前までは私もあの子と同じく、放課後にすぐに部活に行っていたんだけれども、今は演劇部を幽霊部員になって帰宅部状態だった。
中学の時には演劇部が無くて、わざわざ演劇部がある高校を選んでまで入った演劇部だったのに・・・。
どうしてこんな事になったのか、それはデスアイランドのオーディションの時にまでさかのぼる。
あのオーディションは、演劇部の友達みんなで一緒に応募したのだ。 結果、2/3は1次選考落ち、残った子も2次選考の悲しみの表現で落ちてしまった。
結果、私だけが3次選考に受かり、そして、3次選考で周りの人が殺し合いをする中で、怖くて身を守ってオロオロとしていた私が、「状況を飲み込めなくて怯えている自然な演技が良いね。」とか言う理由で、選考を通り、まさかのオーディションの合格をもらう事となった。
完全に棚ぼただった。 私の頭上に落ちてくるはずがないはずの、幸運のぼたもちが降ってきたのだ。
私のオーディション合格に演劇部の友達は喜んでくれた。 そしてオーディションの最後にアキラ君と千世子ちゃんのエチュードを見せつけられた私は、部活以上にがんばって演劇の練習に打ち込んで、デスアイランドの撮影本番に臨んだ。
そしてデスアイランド本番。 演技のために、ゲロを吐いて、指示もされていないのに、本当に崖から飛び降りる景ちゃんを間近で見ていたら、私にはこれはできないと思った。
景ちゃんは、その演技力と実力で千世子ちゃんの横に立つ役を手に入れたのを見て、私には女優の才能が無い事ははっきりとわかってしまった。
本物との違いって感じかな? 流石にここまでの違いを見せつけられると、清々しいまでに、私は全く敵わない事が良く分る。 デスアイランドのオーディションに受かった時には、このまま映画で活躍して女優デビュー!?とか思っていたけれども、現実には本物との差を見せつけられただけだった。
デスアイランドの撮影中には芸能事務所へのお誘いとかもあったけれども、私は演劇をやりたかっただけで、女優になりたかった訳では無い事に気が付いて、丁重にお断りして、デスアイランドの撮影後は演劇部所属の普通の高校生に戻った。
戻ったんだけれども・・・。 私がデスアイランドに打ち込んでいたのが、高校一年生で入学して、演劇部に入って、初夏から秋ごろまでだった。 つまり、高校一年生として、部活で仲間との人間関係を固める一番大切な時期を私はデスアイランドの撮影で潰してしまったのだ。
みんな演劇部でグループとなっており、私が入る隙間は無くなっていた。
いや、認めよう。 これは自分のせいだ。 あんな夢にまで見た演劇部なんだけれども、デスアイランドでプロの役者さんやプロの撮影現場に触れて、高校の演劇部が急にレベルの低い物に見えてしまったのだ。 上手く隠しているつもりだったけれども、演劇部のみんなはそんな私を見抜いていたのだろう。
結果、私は双方の同意の元、私は演劇部の幽霊部員となり、ほぼ帰宅部となってしまった。
デスアイランドのオーディション合格が無ければ、今頃、演劇部に打ち込んで青春を謳歌していただろうに、どうしてこうなってしまったのか・・・。
「は~~~~~っ。」
ため息をつくと幸せが逃げるって言うけれども、私はそんなため息を我慢することが出来なかった。
家に帰って、玄関を開けると、玄関にお洒落なローファーと革靴が置いてあった。 誰かお客様でも来ているのだろうか? そう思って警戒してリビングのドアを開けると・・・・。
「アキラお兄ちゃん、弱っわ――――い!」
「ぐぬぬぬぬっ。 ハメ技とは卑怯ナリ! 正々堂々と勝負するナリ!!」
「うふふふっ。 なんのお構いもできずすみません。」
「いえいえ、この手作りのシフォンケーキ、すごく美味しいです。」
なぜか、コロ助の声で弟とスマブラをするアキラ君と、テーブルで母親とくつろいでいる千世子ちゃんが居た。
なお、スマブラは弟にボロ負けで、アキラ君は最後に涙目になって負け惜しみを言っていた。
「卑怯なハメ技に負けただけナリ! ハメ技禁止の万全の体勢なら絶対に負けなかったナリ!!!」
「アキラお兄ちゃん、弱すぎるよ。まぁ、ゲームがプロ級の僕に負けて当然だけれどもね。」
「こんど、ブタゴリラ級のもっと強いやつを連れて来て、コテンパンにしてやるナリ!」
「あははははっ。 最弱のアキラお兄ちゃんが連れてくる人なんて弱っちいに決まっているよ。」
「くっ、悔しいナリ! 今に目に物を見せてやるナリ! 首を洗って待っているナリ!」
弟よ、あんた誰にケンカを売っているか分かっているの? あんまり挑発しちゃうと、本当にプロゲーマーが出てくるわよ?
私はアキラ君に勝って、粋がっている弟の将来を心配した。 そして、弟と同レベルのアキラ君の精神年齢も心配した。
何ていうか、リビングの中でスターがくつろいでいて、非常にカオスだった。
「かんなちゃん、そこに立っていないで、こっちに来て座ったら?」
「あっ、あのっ、これはどういう事態でしょうか・・・・。」
私はすごく緊張していた。 自分の家のはずなのに、知らない空間みたいだ。 この状況で普通に振舞える、うちの母と弟はある意味大物ではないだろうか・・・。
「くっ、これで勝ったと思わない事ナリ! 今度は絶対に負けないナリ!」
惚れ惚れするような捨て台詞を吐いて、アキラ君がリビングのテーブルに来た。
「お母さんっ、これどういう状況なの!?」
「えっ、かんなちゃんのお友達って聞いたから、お家で待っていてもらったんだけど、違うの?」
「かんなちゃん!? 私達友達じゃないの!? あんなにデスアイランドの撮影で仲が良かったのに!?」
今度は、千世子ちゃんがシリアスなボケをかました。 千世子ちゃんってこんなふうにボケるんだ。 こんな千世子ちゃんは、VTuberの放送でしか観た事が無かったから、生で見るとすっごく新鮮だった。
「デスアイランドの撮影って言っても、ほとんどモブの私と主役の千世子ちゃんが友達になれる訳が無いじゃない! そりゃ、景ちゃんとは仲良くなって連絡先を交換したし、たまにLinaで話しているけど・・・。」
「そんなっ、酷いわ! デスアイランドではあんなに仲良くしてくれて、ずっ友とか言ってくれたのに!!」
そう言うと、千世子ちゃんは美しい瞳から綺麗に一筋の涙をこぼした。
「あ―――っ。お姉ちゃんが泣かした! いけないんだ!!」
弟が私を非難する。 いや、ずっ友とか言った記憶が無いし。 でもこの状況を周りから見ると、どう考えても悪いのは私に見える。 私を一瞬で追い込んだトップ女優の演技力に戦慄した。
「さて、茶番はこのぐらいにして、僕もシフォンケーキ食べたいよ。」
「そうね。すごく美味しいわよ。コーヒーとの相性は抜群よ。」
「僕は紅茶党だから、コーヒーの良さはわからないな。 あっ、お母さん、ミルクありますか? ケーキに牛乳は最高なんですよね。」
「もう、紅茶党ですら無いじゃない。」
「午後に紅茶なんて飲んじゃうと、目がギンギンになって眠れなくなっちゃうよ。」
「相変わらずお子様ね。」
千世子ちゃんは、ケロって泣き止んでいた。 そして、アキラ君の千世子ちゃんへの雑な扱いに驚いた。
「お父さんは何時ごろに戻ってくるの?」
「いつも、夜の7時頃には戻ってきますけど・・・。」
「それじゃ、このまま夕ご飯をご馳走になって、それから家族会議かな。」
「もちろん、今日のお夕飯は腕によりをかけてご馳走するから、楽しみにしてね!」
ずうずうしく夕食まで要求するアキラ君。 それに対して、お母さんは、すごくやる気みたいだ。
その夜に、お父さんが帰ってくると、超有名人の二人を見て固まっていた。 良かった。 お父さんは正常みたいだ。 普通そうだよね。 父親に癒しを感じるとは思わなかった。
家族 + アキラ君 + 千世子ちゃんで夕食のコロッケを食べると、その後に驚愕の家族会議が始まるのであった。
ちょっと長くなっちゃったので、2回に分けます。 続きは明日投稿します。
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新名夏と木梨かんなは演じる3
-------------木梨かんな視点-------------
家族会議の内容はとんでもない物だった。 私がアキラ君が監督する映画の主演!? どうして私なんかが・・・。
「何かの間違いじゃないんですか!? 」
「いや、間違いで僕達が直接スカウトに来るわけが無いじゃないか。 面識もあるんだし。」
「でも、私、デスアイランドの撮影で景ちゃんに全然敵わないってわかったんです。 私には、クラスメイトが殺されたシーンでゲロを吐く事もできませんでしたし、和歌月さんに追いかけられて逃げるために本当に崖から飛び降りる事もできませんでした。 私にはあそこまでの演技は無理なんです。 才能の違いを思い知らされました。」
「そりゃ、景ちゃんには勝てないだろうね。 演技で景ちゃんに勝てる逸材なんて、今後数十年、下手したら一生出てこないだろうしね。 もっとも、最初の比較対象が景ちゃんだったのは、悲劇だね。 そりゃ、いきなり、努力をしている本物の天才なんて見て、自分と比較したら心が折れるよね。 でもあの景ちゃんの奇行は、真似しなくていいと思うよ・・・。 あんなのが映画撮影の標準になったら、僕は俳優を辞めているよ。」
「大体、どうして私なんですか? 私なんてデスアイランドでは、景ちゃんの陰に隠れて中盤で和歌月さんに切られて退場しちゃいましたし、映画でも特別な印象も無くて、一緒に出演していたってだけの無難な感じで終っちゃいましたので、私に才能なんて・・・。」
「才能? 才能という意味だと、オーディション組の中では、景ちゃんを除いて一番だったよ。 あの景ちゃんの横で無難な感じに終われた事自体が凄い事だよ。 あの映画では、景ちゃんと湯島茜ちゃんと一緒にトリオを組んでいた訳だけど、知ってる? 湯島さんってかんなちゃんの3つ年上だけど、高校を中退して、ずっとアルバイトをしながら芸能事務所に通って、女優を目指していたんだよ。 彼女はどれだけの時間を女優になるために捧げたと思う? 子役の頃からずっとレッスンを頑張っていた景ちゃんも一緒さ。 みんな芸能事務所に所属して、俳優の養成所なんかでレッスンを受けて、子役や子供の頃から俳優になるためにものすごい努力と、沢山の時間を犠牲にしてきたのさ。 僕や千世子ちゃんも一緒だよ。」
「対してかんなちゃんはどう? 1年で入った高校の演劇部でちょっと演劇の練習をして、高校に入学したばかりの友達と一緒にすぐにオーディションを受けて、見事にオーディションに合格。 練習も学校の先生や自分で調べた演劇の本での独学。 映画での撮影ももちろん初めて。 それで景ちゃんや茜ちゃんの横で素人臭く目立つことも無く、
「私に才能があるのでしょうか?」
「うん。1年に1人ぐらいの逸材だね。 ポテンシャルは凄いけれども、ポテンシャルにあぐらをかいていると、すぐに後輩に追い越されちゃう。 それぐらいの才能だね。すでに分かっていると思うけれども、演技で正面から景ちゃんに勝てるほどの才能はたぶん無いよ。 でもその年で最高の女優ぐらいにはなれる可能性はある。 かんなちゃんは、景ちゃんの1コ下だから、景ちゃんの次の年でトップを取れる才能はある。」
「でもやっぱり、私には映画の主演なんて無理です。 あの時はオーディションに受かって、浮かれ気分でしたけれども、今は普通の高校生に戻っていますし・・・。」
「本当に普通の高校生に戻っているの? 映画の撮影の時にあなたは気が付いたんじゃないの? 自分の中に居る演技を渇望するもう一人の自分に。 だから、もう高校の演劇部でなんて満足できないで、帰宅部になって燻っているのよね?」
今まで黙っていた千世子ちゃんが私を見ながら言う。
「どうしてそれを・・・。」
私は、千世子ちゃんに心の内を正確に見抜かれて動揺していた。
「今だってそう。 表面上は渋っておきながら、心の中のもう一人の自分は、演技の機会が得られた事に、赤子のように歓喜しているでしょう? あなたの瞳孔の奥からその心が透けて見えるわ。」
そう言って、千世子ちゃんは野性の獣のような目で私の瞳の奥をじっと見据えた。 千世子ちゃんの言う事は正しくて、私は千世子ちゃんに心臓を直接掴まれたような圧迫感を覚えた。
どうすればいいの!? 心の中ではやってみたい。 でも主演なんて怖い。
私は人生の選択に迷って、正直に自分の心を告白することにした。
「・・・・・やってみたいです。 でも、私は普通の高校生で、デスアイランドでもたまたま運でオーディションに受かっただけで、女優なんて人気次第で人生がどう転ぶかわからない職業に就くのがすごく怖いんです。 それに経験が圧倒的に足りないから、みんなの足を引っ張っちゃうかと思うと・・・。」
「確かに、かんなが主演でアキラさんの映画に出演して欲しい気持ちは親としてあります。 これはかんなにとって、ものすごいチャンスでしょう。 でも、仮にかんながアキラさんの映画に主演できたとしてもその後は? その映画で彼女が人気が出れば良いのですが、人気が出ない可能も一杯あります。 1個の映画の主演だけをして人気が出なければ、その後の彼女の人生はどうなるのでしょうか? 彼女はこの映画の後も何十年も生きていくのです。 この若さでかんなに非常にリスクの高い人生の決断を迫るのは酷だと思います。」
お父さんが私の事を考えてくれて、私を擁護してくれた。 これに対してアキラ君が口を開く。
「親御さんがそのような危惧を持つのは当然の事だと思います。 それで、こちらの契約書なんですけれども、2種類の契約書を同時に提示させていただきます。 1枚はスターズに所属してもらって、私の映画の主演を務めてもらうための契約書。 芸能事務所に所属する契約と映画出演がセットになった契約書です。 もう一つがスターズの総合職としての雇用契約書です。 こちらは、かんなさんが高校卒業、もしくは大学卒業まで有効な契約で、かんなさんが女優の夢を諦めた場合でも、スターズの一員として働いてもらうための雇用契約書です。 もちろん、別の所で働きたい場合には、この契約書は破棄してもかまいません。 あくまで女優をあきらめたかんなさんの進路としてスターズを考えていただけるのであれば、こちらの雇用契約書に従って、かんなさんはスターズで働く事ができます。」
そう言って、お父さんは提示された2つの契約書に目を通した。
「かんな、どうしたい? 映画をやってみたいか?」
「お父さん、私はやってみたい。 でも怖い。」
「将来の不安というのは誰にでもある事だ。 女優としての契約書だけだと、お父さんとしては反対するつもりだった。 でも将来の雇用契約書も提示して来たというのであれば話は別だ。 かんな、この労働条件と給与額を考えると、このままかんなが高校か大学を卒業して職を探しても絶対に得られない条件だ。 ここまでスターズの方で本気でかんなを必要としてくれるのであれば、チャレンジする気持ちがあれば、やってみたらどうだ?」
私はお父さんが賛成するとは思っていなかったから、びっくりした。
「お父さん、前に私が女優になるのを反対していたじゃない。」
「それはそうだ。 かんなの将来を考えるとすごくリスクがある選択だからな。 女優とか言う働き方でかんなの人生が成功するビジョンが見えない。 人と違う生き方をするというのは、自分で道を切り開く必要があるという事だ。 かんなにそれができるか私には分からない。 前の芸能事務所も、話題になりそうだから声をかけた程度で本気じゃなさそうだったしな。 でもここまで本気でかんなの才能を買ってくれる芸能事務所があるのであれば、話は別だ。 ここであれば、かんなの人生を試してみる価値があるだろう。」
「どうする? かんな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やってみたいです・・・・・。」
「わかりました。 こちらの契約書にサインする方向で検討したいと思います。 ただ、この契約書を事前に私の会社の顧問弁護士に確認してもらってもかまわないでしょうか?」
「もちろんです。 こちらも弁護士を介して契約書を作成していますが、娘さんの人生を変える契約書です。 ちゃんとサイン前に確認していただいた方が良いと存じます。」
弟と低レベルなバトルをしていたのとは一転して、アキラ君は大人の態度になった。 この人の精神年齢はどうなっているのだろうか? 今は演じているの? それとも素? 俳優というのは本当に見分けるのが難しい。
「ねぇ? みんな深刻な所悪いんだけど、お姉ちゃんが主演する映画がイカ娘って本当に大丈夫なの? お姉ちゃんが主演云々言う前に、アキラお兄ちゃんの映画自体が爆死する気がするけど・・・。」
弟が誰しも目を逸らして触れなかった話題をダイレクトに言う。 やっぱりこの弟が一番大物なのでは・・・。
「うん。 爆死の可能性はひっじょ――――――――――――――――に高い。たぶん大赤字。」
アキラ監督がとんでもない事を口走る。
「これ赤字だろって映画は沢山あるよね。 たぶん、放映する前から作っているとわかるよね。 どうしてそんな映画を撮るの? バカなの?」
弟! ダイレクトすぎるよ!! アキラ君に失礼じゃん!!
「税金対策。 予算が余っているから好き勝手に作るの。 だから僕が無責任に監督して、自由に出演者を集めるの。 スポンサーの意向なんて全く無い。 まじでお金を捨てるための映画。」
ヤバイっ。ブラックアキラ君が出てきた。まじでYoutubeでのぶっちゃけアキラ君だ。 これには両親もドン引きだ。
「ふ―ん。 それでお姉ちゃんはアキラお兄ちゃんのお眼鏡にかなったんだ。」
弟はアキラ君を睨みながら言う。
「うん。そうだよ。」
アキラ君は涼しげに肯定する。
「それなら安心だ。 アキラお兄ちゃん、お姉ちゃんをよろしくお願いします。」
そう言って、弟は頭を下げた。いや、さっきの会話のどこに安心する要素があったの!? 私は自分の未来に盛大な死亡フラグが立った気がして目の前が真っ暗になった。
「うん。任された。」
こうして、判断を間違えちゃったかな~。って後悔しつつも、私はイカ娘の撮影に臨む事になるのであった。
ちなみにこの後、私の弟はアキラ君のスマブラ大会の放送に呼ばれて、アキラ君やその他の参加者をコテンパンにした後、ある意味、私よりも有名なゲーム配信者として、高校に上がった後にVTuberの副業を始めるのだが、それは別の物語である。
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新名夏と木梨かんなは演じる4
-------------新名夏視点-------------
千世子ちゃんとアキラ君との衝撃的な出会いの後に、私は藁をも掴む感じでアキラ君の映画の主演のオファーを受けて、スターズに移籍した。
プロデューサーさんの件で、仕事をくれなくなった元の芸能事務所に未練は無かった。 元の事務所は私がスターズに移籍するって知ると、すごくビビっていたけれども。 そりゃ、中堅レベルの元の事務所じゃ、スターズが出てきたらビビるわ。 元々向こうが仕事を仲介しなかった事や、私に契約解除を勧めていただけあって、事務所の移籍交渉はあっという間にまとまった。
そして、私はベッドの上でアキラ監督が書いた台本を見ていた。
「・・・・・・・なんだこれ?」
『シーン1:イカ娘登場。 イカ娘と相沢栄子でイカ娘第1巻、5ページ目~11ページ目の演技をする。 4分程度』
これは台本なの? せめてセリフぐらい書いてほしい。
アイドルの時にいくつかのドラマとかで台本を見たし、女優のレッスンでも台本からの演技方法を学んだけれども、そもそもこんな台本は観た事が無い。 これなら台本いらないでしょ。 漫画本だけで良いじゃない。
私は、セットで渡された漫画本の方を見ながら、自分がイカ娘になったつもりで、どうやってこの演技をするか考えた。
「アキラ君、忙しいからって手抜きしすぎだと思う。」
撮影開始は3月の寒い時期。夏に公開なんだから仕方が無い。 でも、アキラ君などのスケジュールの関係で、1回目の撮影の後に、2回目は5月のゴールデンウィーク空けに予定されていた。なにか、やる気の無いスケジュールだと思う。 台本といい、スケジュールといい、本当に大丈夫なのだろうか? まさか爆死するために映画を撮っていないよね? 大丈夫だよね?
私は史上最悪の台本を読んで、頭痛を覚えながらも、自分なりに練習してイカ娘の撮影に臨んだ。
そして、臨んだ1回目の撮影。 この撮影は本当に悲惨だった。 アキラ監督と演出家の百城千世子は想像以上にスパルタだった。
「漫画の表現に囚われすぎ。 原作のギャグをそのままやってもダメだよ。 現実でそんなリアクションする人が居ると思うの? もっと現実を考えたリアクションしてよ。」
「イカ娘は、露骨に観客に媚びすぎね。 可愛いければいいと思っているんでしょ? 違うわよ。 あなたは海の底から地球の環境を守るために、全人類を侵略に来た侵略者のイカ娘。 可愛さはその侵略の副産物にすぎないわ。 侵略者として全人類の頂点に立とうとしているイカ娘が観客に媚びてどうする気なの?」
「笑いの狙い方が露骨だよね。 こうすれば笑ってもらえるとか思って、観客に笑いを強制するのは間違っているよ。 もっと一生懸命働いて、空回りした結果、自然に笑いが出るようにしなきゃ。」
「イカ娘を演じるのが恥ずかしいの? あなたには自分がイカ娘である事の誇りが見えないわ。 あなたはイカ娘になり切れていない。 イカ娘のコスプレをしただけの新名夏よ。 まだアイドルに未練があるの? 映画館で観客は、新名夏を観に来るのではなくて、イカ娘を観に来るのよ。」
--------------------------
「あのクソガキ珍獣とドS堕天使が!! あんな台本しか渡さないくせに、なんであんなに偉そうなんですか!!!!!」
ストレス全開の私は、ドリンクバーで注いだコーラを一気飲みすると、ドンっとテーブルにコップを置いた。
1回目の撮影終了後に、主要な出演者にファミレスに誘われて反省会をする事になった。 そこでストレス全開の私は、他の出演者の誘導に乗って、思わずぶちまけてしまった。
「あ~。これが、いい子で努力家で、だれよりもがんばり屋さんの新名夏の裏の顔か。 これぐらいの根性が無いとあのアイドルグループで総選挙3位なんて無理だものな。 星アキラや百城千世子が気に入る訳だ。」
一緒に反省会に参加していた、源真咲君が言った。
私はそれを聞いた時にさぁ~と血の気が引いて真っ青になってしまった。 やってしまった。 みんなに乗せられたとは言え、今まで誰にも見せた事が無いキチゲ解放で、ストレスフルによって豹変した私を、こんなに沢山の人の前で見せてしまった。
アイドル時代には絶対に剥がれるはずのない化けの皮だったのに、しばらくアイドルから離れたせいか、油断してやってしまった。 一緒に居るこの人達はみんな役者だと言う事をすっかり忘れていた。 誰よりも他人の心を操るのが上手い人達なのだ。 甘言に乗せられて、つい、裏の自分を開放してしまった。
「俺はいいと思うぞ。 いい子いい子してたアイドルの時よりもずっと人間らしくて好感が持てる。 あれだけ言われて、頭に来ない方がおかしい。 このまま、いい子モードで、星アキラと百城千世子は立派な人達ですとか言ってたら、本当に救いようが無いと思ったぞ。」
一緒に居た烏山武光君が言った。
「かんなちゃんは、どうだったん?」
湯島茜ちゃんがかんなちゃんに振る。
「厳しい事を言われましたけれども、間違った事は言われていませんし、次回演じるための課題もいっぱいもらいました。 それにツッコミの役って案外相性がいいみたいです。 普段と違う自分になれるのってすごく楽しい。」
「流石やな。 かんなちゃんは素直に言う事を聞いて、その場で演技を直してどんどん良くなっていったしな。」
「あんなにバキボキに演技のダメ出しをされた私なんてどうなってしまうの・・・。」
「夏っちゃんの場合には、元アイドルって部分が出すぎていたんやね。 せっかくアイドルを辞めたんやから、自由になればいいんでないの?」
「そんな事を言ったって、どうすればいいの~!」
私はこの困難の前に頭を抱えた。
「リアクションはすごくおもろいんやけど、まずは練習やね。」
「とりあえず、今回の撮影で、アキラさんと千世子さんが役者の演技を重視した撮影スタイルだって事はわかりましたから、なるべくみんなで集まって練習しましょう。 この役者に好き勝手に演技させる撮影スタイルを考えたら、結局のところ、この映画が成功するのか失敗するのかは、私達の演技にかかっています。」
スターズから来た和歌月さんがまとめる。
「だからスケジュールが一杯入っているスターズの面々じゃなくて、練習時間が取れる俺らに声をかけたか。」
「いえ、本当はスターズの方に先に声をかけていたんです。 でもみんな白虎隊を選んでしまって、私と佐和ちゃんだけがこっちを選んだ感じです。」
「千世子先輩の演出ならこっちに来るでしょう。 珍獣先輩が監督とか絶対に面白いですし。」
「私も、白虎隊じゃなくて、こっちを選んで良かったと思います。 自分の力を目一杯に発揮できますから。 白虎隊の役よりもはるかに良い役をもらえましたし、学ぶ事も多そうです。 私達ですばらしい演技をして、アキラさんを見返してやりましょう。」
「でも、練習場所とかどうするの?」
「それは、アキラさんから、私か佐和ちゃんのマネージャ経由で日時を指定すれば、スターズ持ちで練習場所を確保してくれるって話を聞いています。」
「流石はボンボン息子でやり手の2代目スターズ社長やね。 この事態もお見通しってことね。」
「だから次の撮影まで2ヶ月空いているんだろうな。 それを想定して、主演はみっちりと練習が可能な、仕事が無い元アイドルと、女子高校生って訳か。」
「あの珍獣先輩が勝算の無い映画を撮る訳がありません。 この映画が主演二人のシンデレラストーリーになるか、没落劇になるかはお二人次第ですね。」
「う゛っ プレッシャーが・・・。」
私は話を聞いていて胃が痛くなった。
--------------------------
それから、私達出演者一同は、なるべく集まってお互いの演技を見て、それぞれに意見を言い合った。 これは映画撮影っていうよりも、まるで舞台稽古みたいだった。
そして、私とかんなちゃんの実家が意外と近い事を知って、毎日、二人でどちらかの実家に泊って、夜遅くまで練習した。
本音をダイレクトに伝えるかんなの弟君が私達の演技を見て、思いっきりダメ出しをしてくれた。
私とかんなは、両方とも、元来、大人しい性格のためか、すごく相性が良くて、すぐに親友と呼べる間柄になった。
一緒に生活をして、お互いを知れば知るほど、お互いのボケとツッコミは鋭くなって行った。
それをお互いの両親は優しく見守ってくれた。
あっと言う間に、月日は流れて、明日は2回目の撮影日だ。今日はかんなの家に泊っている。
「かんな寝てる?」
「・・・まだ起きてる。 緊張で寝られないよ。失敗しちゃったらどうしよう。」
「あんなに練習したんだもの。私達なら大丈夫よ。かんな。」
「夏、明日は絶対に成功させましょうね。」
この日は、明日の撮影への緊張から、並べて布いた布団の隙間から二人で手を繋いで寝た。
「ねぇ、千世えもん。 僕よりも、夏っちゃんとかんなちゃんの方がアオハルしている気がするんだけど、どうなっているの!?」
「ははははっはは!」
「千世えもん?」
「ははははっはは! すり替えておいたのさ!」
「誰だお前は!?」
「星アキラのアオハルを情け無用に破壊する男! 千世スパイダーマッ!!」
「
柊雪「こいつら、あいかわらず仲いいな。 あと、千世スパイダーマッは女だろ。 アキラ君もそこはツッコんでやれよ。」
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イカ娘 ☆ The MOVIE!の感想を語るスレ【ネタバレ注意】
321名無し@イカ娘
爆死映画だと思って観に行ったら、イカ娘最高だった。 お前らも見ろ!!
322名無し@イカ娘
笑った。 笑いまくった。 まじで、あれ、イカ娘じゃなくて、お笑いライブショーだろwww
323名無し@イカ娘
いんや、イカ娘だった。 原作と違う部分も多いけど、これなら許せる。
324名無し@イカ娘
元々、爆死確定のネタ枠だったからな。 アニメの実写化の寒い映画かと思っていたら、友達に連れられて行ったら爆笑したわ。
325名無し@イカ娘
実写化でリアルになったメリットを最大限に生かしていて、これならアニメの実写化も許せる。
326名無し@イカ娘
映画なのに、昔のバラエティみたいな生放送っぽい手作り感が凄かったw
327名無し@イカ娘
取って付けたような、イカ娘の髪の投げやりなCGがまたいい味出しているんだな。 リアルにする気ゼロみたいな。
328名無し@イカ娘
夏っちゃんが演技していたら、アキラ君がカットを入れて、納得いかない夏っちゃんが、イカ娘のままアキラ君と口論するシーンがそのまま映画のシーンになっていて、マジで腹がよじれた。
329名無し@イカ娘
俺もあのシーンで劇場でコーラ吹いたわ。
330名無し@イカ娘
夏っちゃん「はぁ!? そんな理由でこの力演をカットなんて、納得がいかんでゲソ! 監督はもっと主役に寛大になる必要があるんじゃなイカ?」
とか、やり取りしていて、夏っちゃんが可愛すぎて激萌えだわ。
331名無し@イカ娘
もう、完全にイカ娘になり切っていたよなw あれは確かにアイドルじゃなくて、女優だねwww
332名無し@イカ娘
あれならアイドルを卒業せざるを得ない。
333名無し@イカ娘
女優というよりも、芸人に見えるw
334名無し@イカ娘
イカ娘は新名夏のはまり役すぎるだろwww
335名無し@イカ娘
かわいすぎて最高だった。 アイドルの時は興味が無かったけど、ファンになったわ。
336名無し@イカ娘
かわいいと言えば、相方の木梨かんなも良かった
337名無し@イカ娘
あのツッコミのキレ、本当に凄かった。 新名夏とのコンビでの相性が最高だったな。
338名無し@イカ娘
デスアイランドでの印象はほとんど無いけれども、こうやって、相方として主演を務めるとすごい存在感だよ
339名無し@イカ娘
新名夏がボケで木梨かんながツッコミ。 あの可愛さで漫才コンビかよw
340名無し@イカ娘
あれは、お笑いで天下を取れるで!
341名無し@イカ娘
なお、本人達は大まじめに女優を目指している模様。
342名無し@イカ娘
いや、あの役への入り込みっぷりすごい。 演技中と普段でまるで別人じゃん。 夜凪景かと思ったよ。
343名無し@イカ娘
うーん。景ちゃんほどの背筋が凍るぐらいのヤバイ雰囲気は無いんだけど、それでも相沢栄子になり切った演技は凄かったな。 漫画の本人よりもツッコミが鋭いだろw
344名無し@イカ娘
かんなちゃんの方が年下のはずなのに、あの頼れる姉御っぷりの演技が凄い。 男前ってだけじゃなくて、同時に若い子らしい溌溂とした魅力がある。
345名無し@イカ娘
大人しい普通の女の子って感じの、普段のかんなちゃんと演じている時のギャップがすごい。 ギャップで風邪をひく。
346名無し@イカ娘
なぜあんな子が今まで埋もれていたのか!
347名無し@イカ娘
アイドルで総選挙3位の新名夏の相方でも全く遜色が無いからな。 本当に高校で演劇部でやっていただけなんだろうか・・・。
348名無し@イカ娘
それはまじで本当の話らしい。 デスアイランドでも、唯一芸能事務所にも所属せずに、高校の部活だけでオーディションを通過した猛者らしい。
349名無し@イカ娘
友達と一緒にデスアイランドのオーディションを受けてみたら、自分だけ受かっちゃったとか、マジで言っているのかよwww
350名無し@イカ娘
デスアイランドの時の所属が、木梨かんなだけ高校の演劇部だから、ガチの話っぽいぞ。
351名無し@イカ娘
トップアイドルと、天然女優のコンビか。 あの珍獣はよくこんなの見つけて来たよな。
352名無し@イカ娘
二人で受けた映画のインタビューとかすごく興味深いよな。
353名無し@イカ娘
イカ娘になっていても、アイドルとしての見せ方も意識している新名夏と、演技で別人になる事を楽しむ木梨かんな。 お互いの事を親友って言っているし、良いコンビっぽいな。
354名無し@イカ娘
普段のお互いの呼び名が、夏とかんなってお互いに呼び捨てにしているのが尊い
355名無し@イカ娘
芸能事務所としての、多少の売り込み要素があったとは言っても、この二人を主演に据えてヒットを叩きだすアキラ監督は意外に敏腕監督なのかもしれん。
356名無し@イカ娘
いんや、この二人、イカ娘に出てもらうためにスターズに入ってもらったって言っていたから、スターズとして売り出したかったって訳じゃなくて、アキラ君が出演させたかっただけじゃないの?
357名無し@イカ娘
俺、アイドルの頃から夏っちゃんのファンだけど、あの引退劇にはいろいろな憶測が飛んだから、とりあえず、不祥事でアイドルを卒業したんじゃないって分かって、本当に良かった。 元気な姿を見せてくれて嬉しい。 これからも女優として応援できる。
358名無し@イカ娘
ワイは、想像以上に元気すぎて、映画を観ているあいだ、腹をかかえて笑っていたよw なんにせよ夏っちゃんが元気で良かった。
359名無し@イカ娘
新名夏ってスターズに入って女優になるために、アイドルは卒業する事になったのかな?
360名無し@イカ娘
いや、その後の進路がスターズに入るなら、あんな厄介払いみたいな感じを匂わせた卒業にはならないだろ。 アイドルグループもスターズと関係を持ちたいだろうし。
361名無し@イカ娘
スターズに入る事が決まっていたら、あの卒業のさせ方はスターズにケンカを売っているとしか思えん。
362名無し@イカ娘
スターズは育成至上主義で、他の芸能事務所からの引き抜きもほとんどしないから、かんなちゃんは別としても、夏っちゃんの方は、たぶん、噂でささやかれていたみたいに、厄介払いをされた所でスターズに拾われたんだろうな。
363名無し@イカ娘
まぁそうだろうな。 最初からスターズに移籍予定なら、新名夏をあんな形でスキャンダルを起こしたメンバーと一緒に、脈略も無く急遽卒業なんてさせないだろうから、フリーになった所を引き取ったって線が濃厚だな。
364名無し@イカ娘
つーか、総選挙3位で所属事務所がスターズになるなら、俺がプロデューサーなら、絶対に卒業を止めさせるわ。 スターズならアイドルをしながらでも女優として大成するだろうし、アイドルを卒業させる事にグループとしてデメリットしか無いだろ。
365名無し@イカ娘
普通は卒業とセットで、次の仕事が大々的に発表されるからな・・・。 それが無い時点で、夏っちゃんもなにかやらかしたのかと思ったら、やらかした話も無いし、やっぱりテコ入れのメンバー入れ替えのあおりを食った線が濃厚だよな。
366名無し@イカ娘
スターズに入れるだけでもすげえよ。 あそこは俳優発掘オーディションがメインで、毎年3万人も応募しているじゃねえか。 スカウトするのも、バックボーン関係なくて、本当に才能のある人間しかスカウトしないから、夏っちゃんの女優人生はほぼ成功したようなもんだな。 スターズに入ったってだけでも注目する芸能関係者が一杯居るはずだよ。
367名無し@イカ娘
スターズの育成・・・・。 王賀美陸、星アキラ、百城千世子、夜凪景・・・・。あかん実績がありすぎる。 その次世代に木梨かんなか。
368名無し@イカ娘
育成の成功例に星アキラを入れていいのかよwww
369名無し@イカ娘
あれは、プロトタイプとして育成に失敗して廃棄されたところを、スクラップ置き場からアリサママへの復讐のために復活したダークヒーローだから・・・。
370名無し@イカ娘
あの珍獣で、アリサママが胃を痛めるのは自業自得なんだよなw
371名無し@イカ娘
アリサママもアキラ君で反省して、育成の方針をテンプレ育成から個人の適正重視に変えたからよかったんじゃね? 王賀美陸の前のテンプレ俳優が出てこなくなったじゃん。
372名無し@イカ娘
夏っちゃんは博多公演の時にプロデューサーを激怒させたって言うから、その勢いで入れ替え人員のリストに入っちゃたんだろうな。
373名無し@イカ娘
あれは、誰が悪い訳でも無いんだけれどもな・・・。でも、あんだけメンバーが居ると、ある程度の入れ替えは仕方が無い。 ただ、総選挙3位の新名夏が入れ替え対象になったのが衝撃的なだけで。
374名無し@イカ娘
それが今や話題の大ヒット映画の主演ですよ。 あのプロデューサーは超敏腕なんだけど、夏っちゃんを卒業させた事には頭を抱えていそうw
375名無し@イカ娘
新名夏ファンのワイ。今の状況を高みの見物。
376名無し@イカ娘
何にせよ、夏っちゃんが超復活してうれしい。 結果的に夢だった女優にもなって、また俺らの前に出て来てくれただけで幸せだよ。
377名無し@イカ娘
推しの元気な姿が一番生きる気力が湧いてくるわ
378名無し@イカ娘
アイドル時はトイッターで仕事やライブの話しかトイートしていなかったのに、今はかんなちゃんと二人でしょっちゅう遊びに行って、楽しそうで微笑ましい。
379名無し@イカ娘
一緒に二人の実家で泊まりっこする仲だからな。 あの二人のお泊り会とか尊すぎる。
380名無し@イカ娘
女優の夢も掴めて、親友も出来て本当に良かった。夏っちゃんはまれにみる豪運の持ち主だな。
381名無し@イカ娘
しかし、主役の二人だけじゃなくて、他のメンバーの演技も笑えたよな。
382名無し@イカ娘
湯島茜の長月早苗が変態すぎてガチ笑った。 原作だと、イカ娘の写真を撮っているマニアだったのに、イカ娘を愛する変態紳士になっていてグレードアップして大草原だったw
383名無し@イカ娘
しまいには、木梨かんなに捕まって、ずるずると引きずられて行ったからなw
384名無し@イカ娘
あれには、かんなちゃんも流石にツッコまざるをえなかったwww
385名無し@イカ娘
あのシーンがギャグマンガ日和のクマ吉と被っていてくっそ笑った。 原作よりも変態になっちゃだめだろww
386名無し@イカ娘
湯島茜の変態演技にびっくりした。 マジで変態の神かと思った。
387名無し@イカ娘
俺、茜ちゃんが「私は変態じゃないよ、仮に変態だとしても変態という名の紳士だよ! 」とか言い出さないかハラハラしたわ。
388名無し@イカ娘
あの変態っぷりはヤバかった。 変態すぎて面白くて反則だったww
389名無し@イカ娘
あれは、存在自体が面白すぎだよwww そして誰しもがツッコミをいれざるをえない状況に持って行く才能が天才的だった。
390名無し@イカ娘
あの、場の作り方はまちがい無く、大阪の血が流れていますわw
391名無し@イカ娘
茜ちゃんであれなら、景ちゃんにあの変態の演技をさせたら・・・・。
392名無し@イカ娘
やめろwwww 想像してまうwwww
393名無し@イカ娘
景ちゃんがストーカーの変態とか絶対に無いだろwww *1
394名無し@イカ娘
俺、斉藤渚役の合原佐和ちゃんが良かったわ。 あのボーイッシュなのに小動物みたいな演技が最高だったわ。
395名無し@イカ娘
あれは、ボクっ子小心者キャラと言う新しいジャンルを確立したわ
396名無し@イカ娘
うん。あれは、ワイのSっ気が刺激されたで!
397名無し@イカ娘
お巡りさん↑この人です。
398名無し@イカ娘
なんでや! ワイは無実ンゴ!!!
399名無し@イカ娘
J民はほっといて、和歌月千ちゃんの演じる、相沢千鶴の作る料理が本当に美味そうでなぁ・・・。マジで映画館の中で飯テロだったわ。
400名無し@イカ娘
俺も帰りにデパートの飲食屋に寄って、焼きそばを食って帰ったわ。
401名無し@イカ娘
あの鉄板の上で、もあもあの大量の蒸気を上げて豪快に混ぜられる焼きそばが不味いわけが無い。
402名無し@イカ娘
あのじゅうじゅうに焼かれて、焼いた醤油の香ばしい匂いがしそうな焼きトウモロコシも良かった。
403名無し@イカ娘
千ちゃんって武術の達人っぽく、重心を安定させて料理をするところが手際も良くて、演技が上手いんだよな。
404名無し@イカ娘
途中の武術シーンやアクションシーンも凄かったけど、何と言っても料理シーンだよな。
405名無し@イカ娘
あの食欲がそそられるカメラアングル、並みのグルメドラマでも実現できないぞw
406名無し@イカ娘
F4が途中ただのお客さんで出て来て、ただ単に美味しそうに料理をもぐもぐ食べて、海水浴をエンジョイしていて、殺意が湧いたw
407名無し@イカ娘
ただでさえ、作るだけで美味しそうな料理を熱々のまま、美味しそうに食べやがって!
408名無し@イカ娘
特に、蒸気が上がる焼きもろこしを美味しそうにほおばる景ちゃんと、容赦なくみんなの料理に箸をつけて片っ端から幸せそうに食べる阿良也に殺意が湧いたわ。
409名無し@イカ娘
あれは、死ぬほど美味そうだった。 作っているだけで、あんなに美味しそうなのに、あんな美味そうに食べる飯テロシーンでF4の演技力を使う必要は無いだろ!!
410名無し@イカ娘
映画館でぐぅ~って腹が減ったわ。
411名無し@イカ娘
まじでF4は海水浴に来ているだけだったわ。 景ちゃんと阿良也が撮影を観に来たから、料理を食べるついでに、映画のシーン撮ったんじゃねぇの?
412名無し@イカ娘
どう見ても、そう見えるw
413名無し@イカ娘
トイッターで景ちゃんがみんなと砂の城を作っていたから、絶対に遊びに来ただけだよ。
414名無し@イカ娘
てっきり、アキラ監督だから、撮る映画は、F4のメンバー出して、みんなの演技でねじ伏せる映画を撮るかと思ったら、F4の連中はお客さんでちょっと映っただけだからなw
415名無し@イカ娘
主演がほぼ新人女優にあたる元アイドルと現役女子高生で、この映画を撮る気になったのがすごい。
416名無し@イカ娘
普通はもっと技術がある安定したラインナップで俳優を揃えると思うからなw あの面白さは、出演者がみんな体当たりって所があるよね。
417名無し@イカ娘
新名夏と木梨かんなは完全に当たりだよな。 よくぞこの二人を表舞台に出してくれた!
418名無し@イカ娘
でも、この映画、料理と言い、ギャグといい、カメラのシーンがライブでも迫力があるんだよな。
419名無し@イカ娘
あのカメラ演出もすごかった。 お笑いライブの固定カメラって感じじゃなくて、すごくアクティブにカメラワークが変わって行くんだよな。
まるで、あの場所に実際に自分も居たみたいだった。
420名無し@イカ娘
あのカメラワークは、演出の千世子ちゃんらしいよ。 それでその指示に従って、カメラの設置とか全体の機器構成や実際に撮影スタッフを動かしたのが、アキラ君のYoutubeでカメラマンをやっている、副監督の雪ねぇちゃんで、アキラ君は役者の演技内容を見ていたらしいよ。
421名無し@イカ娘
俺も、イカ娘映画公開直前スペシャルの特番で見た!!
422名無し@イカ娘
千世子ちゃんの指示で動くカメラマンと、実際の映画のシーンを見たら、すんげ――――っってなった。
423名無し@イカ娘
ほえ―っ。 千世子ちゃんすんげ―――っ。
424名無し@イカ娘
役者の立ち位置で判断して、その場でカメラ位置を判断して決めたらしい。
425名無し@イカ娘
事前に設置場所を決めなかったのかよwww
426名無し@イカ娘
なんか、その場の雰囲気や光の加減で千世子ちゃんが判断したらしい。
427名無し@イカ娘
それであのカメラワークかよ。すごすぎだろ!
428名無し@イカ娘
だからこそ、あんなダイナミックでライブ感あるカメラワークが実現したんだろうな。
429名無し@イカ娘
演出の千世子ちゃんの才能がこんな所で発揮されたのか。
430名無し@イカ娘
これが、演技に文句を言っているだけの珍獣と天使の違いだな。 そして実際のスタッフ統括は雪ねぇちゃんと。
431名無し@イカ娘
珍獣君はまじで何をやっていたんですかね?
432名無し@イカ娘
いや、わりと熱心に俳優の演技指導をがんばっていたみたいだよ。 アドリブのやり方とか、内容とかすごく勉強になったって、和歌月千ちゃんが言っていたし。
433名無し@イカ娘
出演者も星アキラにその場で演技指導してもらえるとか、値千金だろうよ。
434名無し@イカ娘
ちゃんと、映画を大ヒットさせたんだから、敏腕珍獣監督だろ!
435名無し@イカ娘
珍獣監督に大草原wwww
436名無し@イカ娘
珍獣監督とかいう、明らかに別ジャンルの監督やめろwww
437名無し@イカ娘
お前らも、もっと珍獣監督を崇めろよ!
438名無し@イカ娘
珍獣監督は、ウルトラ仮面の怪人で出てきそうだなw
439名無し@イカ娘
珍獣本人は、怪人じゃなくて、ウルトラ仮面なんですがww
440名無し@イカ娘
珍獣監督の今後の活躍に目が離せませんわwwww
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【Live】 イカ娘大ヒット記念! 主演の二人が大出演! おまけも居るよ1
Just a moment, please.
イカ娘の主演とな!?
マジゲストで来てくれるのか!
かなり話題の二人だから、放送に来てくれるとか楽しみすぎる。
オフラインコラボだとの話だから超楽しみだよ。
おまけとは!?
あっ始まる!
「皆さん! お待たせ―! みんな大好き、ぴゅあぴゅあ天使のチヨコエルで―――――す!」
「焼きもろこしが美味しかった、見習い悪魔のケイティですっ!」
チヨコエル Cute today too.
ケイティLove!
Cute チヨコエル & ケイティ!
今日もチヨコエルのテンションがヤバイwww
このドS天使チヨコエル最高!
Cute Cute Beautiful!
相変わらず、ケイティはまじめで安心する
ケイティが食べていたトウモロコシ、ゲロ美味そうだったからな。
「今日はスターズの会議室からオフコラボで、すごいゲストが来ています!」
「そうです。ビッグゲストなんですっ!」
「それでは、紹介しましょう。イカ娘で主演を務めて話題のお二人、新名夏ちゃんと木梨かんなちゃんです!」
「新名夏です。よろしくお願いします!」
「木梨かんなです! 本日はよろしくお願いします!」
8888888888888888
ヤッホ――!
マジで二人来てくれたよ。
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
流石はスターズwww
画面越しに見てもマジでかわいい。
二人が本当に来てくれた!!!!
ビッグゲストだよ!
相変わらず、人を呼ぶときでも、二人はVTuberのままなんだなw
↑中の人など居ない!
↑その通り!
「あとは、どうでもよいゲストなのですが、もう一人、いつもの珍獣アキランが来てくれていますっ。 アキラーん?」
「呼んだみゅ? 今日の僕は珍獣監督みゅっ。 みんなこの大監督を崇め讃えるみゅっ!」
「うん。 この珍獣はどうでもいいわね。」
「チヨコエルちゃん、黒い部分出てるっ。 だめよ! もっとぴゅあぴゅあの部分を見せないと、みんなを騙して天国へ連れて行けないわよ!」
「あっ、ごめ―――ん。 今の無し。 珍獣監督さん、今日は来てくれてありがとう。」
「わかればいいみゅっ。 ほら、ゲストの二人があまりの事態に固まっているみゅっ! もっとゲストの二人を楽しませるみゅっ!」
「このメンバーのこの空気にツッコみをいれるのは、すごく難易度が高いのですが・・・。」
「ごめんなさい。 それじゃみんなが気になる質問コーナーから行きましょうか。」
珍獣の扱いwwww
珍獣は準レギュラー枠だしな。
邪悪なマスコットキタ━━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━━!!!
相変わらず、珍獣の画像だけ貼り付けられて、雑な扱いwww
そのうち、ケイティが1分ぐらいで描いたひでー珍獣画になるからなw
絵麻ママコラボレーション企画は酷かったwww あの珍獣画は無いだろww
あの雑な画になっていないだけ今日はまだましww
前回は珍獣仙人で、今回は珍獣監督か。
その前は珍獣シェフだったからなw
あれはどう見ても、珍獣を料理するシェフとしか思えなかったw
この珍獣って、本来、こんなに気軽にゲスト枠で出て良い人じゃないと思うんだけど・・・。
雑に扱われてこその珍獣よ。
監督として聞きたい話もあるし、このゲストは嬉しい!
今日もブラックチヨコエル様が降臨していてい安心だな。
俺、いつも思うんだけど、チヨコエルの天国に行くよりも、ケイティの地獄の方が幸せな気がする・・・。
あっちの地獄は、煩悩OKで基本的人権が保障されているからな。 一方チヨコエルの天国は・・・・。
ケイティの地獄は、サブカルが豊富でニート生活をさせて堕落させようとする地獄だからな。
チヨコエルの天国で清く正しい強制労働 VS ケイティの地獄で堕落(快適ニート)生活・・・。 答えは最初から決まっているんだよね。
労働天国wwww
どっちが地獄なのかww
ケイティがいい子なのがまた・・・。
「それじゃ早速この質問ね。」
どうやってイカ娘に出演が決まったの?
|
「まずは、夏ちゃんからかな。」
「私は、アイドル引退とかいろいろあって、なじみの喫茶店に行って塞ぎこんでいる所に、突然、珍獣監督とチヨコエルがやってきて、僕と契約して魔法少女になってよって言われて、契約したら魔法少女では無くて、イカ娘に・・・。」
「そんな事もあったわね。」
「そうだみゅっ。 アイドル引退で夏っちゃんが弱っていたので、ぼくのプリティな手腕でだまして魔法少女になってもらったみゅっ。」
「珍獣監督は夏っちゃんの弱っている所に付け込んで、イカ娘に洗脳してすばらしい手腕だったわ。」
「流石は、敏腕の監督さんですねっ。 ばっちり主役をGETですねっ!」
「まさか、あの破れかぶれの契約でイカ娘になってヒットするとは・・・。本当に人生って分らない物です・・・。」
夏っちゃん、アカン! それ契約しちゃダメなやつや!
この邪悪珍獣マスコットは、QBの手先だったのかww
よく、この邪悪珍獣と契約したなw
珍獣、魔法少女のマスコット説爆誕www
一応、チヨコエルのマスコットらしいから、本職の魔法少女マスコットと言う説あり・・・。
いや、どうみてもブラックチヨコエルのマスコットってだけでも相当ヤバイwww
この珍獣、労働天国に連れて行く天使のマスコットとか、最悪じゃねえかw
実績だけ見れば、だれよりも敏腕マスコット
夏っちゃんは騙されてイカ娘になったのかww
やっぱりアイドルを急遽引退したのは夏っちゃんにとってもショックだったんだな。
いろいろ裏でありそうな話だけれども、夏っちゃんが元気な姿が見れて嬉しい。
「かんなちゃんの方はどうなんですっ?」
「私の方は、家に帰ったら、なぜか家族と珍獣監督やチヨコエルがくつろいでいて、それでみんなで晩御飯を食べたら、家族会議が始まって、イカ娘に出演する事になりました。 正直、高校から帰ったら、大スターが家でくつろいでいてビックリしました!」
「うん。 将を落とすなら、ウマからみゅ! この珍獣軍師が自ら出陣して、三顧の礼をもってかんなちゃんを迎えたみゅ!」
「軍師の方が三顧の礼とか故事崩壊ね。 実際には珍獣監督は半分遊びに行って、かんなちゃんの弟に、スマブラでボコボコにされていたけれどもね。」
「あの弟は反則だみゅ! 弟に復讐をするために、星アキラのチャンネルでスマブラ大会をしたら、まさかの優勝をされてしまったみゅ! 恐ろしい男だったみゅ!」
「あの大会、そんな理由で開催したんですかっ!? まさかの弟さん優勝で盛り上がって良かったですけど・・・。」
「弟が良く遊び相手でお世話になっております。」
「かんなちゃん! あの弟にはちゃんと、珍獣監督の偉大さをおしえておくみゅ!」
「それで、家族会議で説得してイカ娘に出演してもらうことになったのよね。」
「そうです。 珍獣監督さんが丁寧に説明してくれて、スカウトしていただきました。」
チヨコエルと珍獣監督が木梨家に馴染んでいて笑えるww
普通に光景が目に浮かぶ
あのゲームが超強い弟さんか!
あの弟さん、マジで強かったよな。 ゲーム実況者との対戦で優勝だからな
なお、アキラ君は1回戦敗退の模様・・・。
あれは様式美だから。
この二人と晩御飯食べれるとか、すごすぎ
この人達、スターなのに意外と人に馴染むからな
でも、そんなかんなちゃんも今やスターに!
かんなちゃんをスカウトする珍獣監督の目利き。 恐ろしいね。
「それじゃ次の質問に行きましょうか。」
正直な話、イカ娘がこんなにヒットすると思いました?
|
「かんなちゃんから行きましょうか。」
「最初の撮影をした時は絶対に無理だと思いました。 みんな演技がバラバラで、話も噛み合っていなかったので・・・。 でも2回目を撮るまでに2ヶ月ほど期間が空いていて、その間にみんなで集まって練習して、2回目以降はすごいチームワークになって、ちょっとヒットするんじゃと思っていました。 でもここまで大ヒットになるとは思っていなかったです。」
「夏っちゃんはどうなんですかっ?」
「私も、一回目の撮影の時、もうダメだと思っていました。 でもみんなで練習して撮影した時の、2回目の時の映像を観たら、なんかヒットする気になって来て、そこからとんとん拍子に撮影が進んで、最後は成功を確信していました。」
「やっぱり、合間の練習が効果を発揮しているのね。」
「どちらかというと、今回は映画の撮影というよりも舞台練習みたいな感じでした。 みんなで集まって漫画を読み合わせてシーンを再現して、それを空いている人が見ていろいろ意見を言い合って演技を直していく感じでした。 私もアイドルの時に、ドラマとかで役をもらった事がありましたけど、台本も全然違いましたし、撮影方法とかも全然違いました。」
「撮影方法の違いってどう言う感じなの?」
「普通の台本って、セリフや行動を書いている物だと思うのですが、イカ娘の台本は『シーン1:イカ娘登場。 イカ娘と相沢栄子でイカ娘第1巻、5ページ目~11ページ目の演技をする。 4分程度』とか書いてあって、ほとんど漫画を読んでそのキャラクターになり切る感じの斬新な台本でした。」
「私も、デスアイランドや学校の演劇部ですらあんな台本は見た事が無かったです。 一緒に漫画本をもらったんですが、漫画を読んで漫画のキャラクターになり切って演じました。 演技の際のセリフも自分達で考えて演技していました。」
「あの台本には私もビックリしましたっ。 珍獣監督、あの台本にしたのはどんな理由があったのですか?」
「吾輩は常に考えていたのだ! 役者が好き勝手に演技したら映画のバランスが崩れる。 そのために台本を用意して、台本の通りに演ずるのが役者だけれども、逆にバランスが崩れた先に何が見えるのか! バランスが崩れるのであれば、俳優に考えさせて俳優に自分でバランスを取らせれば良い! 俳優はもっと自由に演ずるべきだと考えて、俳優の自由度を最大限に高めて、俳優に演技を考えさせる台本にしたのだ!! みゅっ。」
「珍獣監督のキャラがブレブレね。 で、本当の所は?」
「そんなの言える訳ないみゅっ。 台本を作っている暇も無いし、壮大な爆死予定の映画なんだから、派手に爆死するために漫画ベースの適当な台本を書いちゃったら、なんか変な化学反応が起きて、面白くなってヒットしちゃったとか、口が裂けても言えないみゅっ。 プリンに醤油をかけたのをきゅうりの上に置いたら、うにメロンになって大ヒットとか想定外みゅっ!」
言っているじゃねえかw
これは酷いwwww
うにメロンww
確かにうにメロンがヒットは予想できないwwww
監督がヒットさせる気が無いじゃないかww
このマスコットキャラがたまにブレブレする所がたまらんw
これでヒットさせちゃう珍獣監督の強運っぷりよwww
あの映画は舞台練習みたいな感じだったんだな。
でも、最後はみんなヒットするって確信していたんだから、明らかに成功じゃね?
俺、この話を聞いても、自分がやってみて、同じようにしてヒットさせられる自信がねえよ!
こんな理由でヒットさせられるほど甘い世界じゃないっしょ。 明らかに前者の理由を狙っていたよね。
この映画の成功は珍獣監督とチヨコエルのセンスがあってこそだな
真相はわからんが、まぁ、結果が全てだしな。
他の人間が同じことをしても、ヒットはしないだろうから、珍獣監督の働きも結構あると思うぞ。
まぁ、あの映画は俳優をしている珍獣監督とチヨコエルだからできたのであって、他の監督じゃ無理だろうなw
VTuber回は次回に続きます。
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【Live】イカ娘大ヒット記念! 主演の二人が大出演! おまけも居るよ2
「続いてこちらの質問ね。」
映画の練習で二人が仲良くなったってどう言う事?
|
「映画の練習なのですが、なるべく時間が合う時にみんなで集まった他に、それぞれの実家に交互に泊って、二人で練習しました。 ですので、夏の家とは家族ぐるみの付き合いになりました。」
「そうです。 撮影までの2ヶ月間はずっとそれぞれの実家に泊って、夜はずっと、かんなと演技の練習をしていました。 特にかんなの弟さんが演技を見てくれて、ダメな所を本音で指摘してくれたので、すごく助かりました。」
「そうそう。 弟と、夏の妹さんの意見は的確で、そのお蔭で演技がどんどん上達して、ヒットする事ができました。」
「あの弟さんは、ゲームも上手いし、話も面白いから実況者向きかもしれないわね。」
「むむむ。 またしてもあの弟ナリかッピ! あの弟のせいで大ヒットとかあっしは悔しいでやんす! みゅっ!」
「珍獣監督が弟さんへの嫉妬で、キャラが大渋滞しているわね。 2回目の撮影以降は演技が相当改善していたから、弟さんと妹さんの働きも大したものね。」
「私達は、2ヶ月間、ほぼこの映画の練習をし続けました。 かんなも高校以外の時間は全部、この演技を練習していました。 から、本当に演技漬けの日々でした。」
「何か珍しい練習とかしましたかっ?」
「そう言えば、珍しい練習としては、かんながイカ娘をして、私が逆に相沢栄子の役をやるような、交換っこの練習をしました。」
「それは楽しそうね。 是非どんな感じだったのか、やってもらえないかしら?」
「えっ、ええ。 でも普通のイカ娘ですから、そんなに面白くないですよ?」
「かんなちゃんできる?」
「はいっ。いいですよ。」
「それじゃ、かんなちゃんと夏っちゃんによる逆イカ娘、3、2、1、キュー!」
(かんなちゃん、イカ娘熱演中。)
「こんな感じです。」
「かんなちゃんは、役に入り込むから、イカ娘に入り込んだ感じがいいわね。」
「うん。これもキュートな感じでいいみゅっ。 ただ、練習の多さからか、夏っちゃんのイカ娘ほどの勢いがないみゅっ。 でもイカ娘としてはかわいくて良いみゅっ。」
かんなちゃんのイカ娘かわいい♡
これは、おしとやかな感じもしつつ、実にキュート
夏っちゃんの勢いもないけれども、これはこれでいいな。
かんなちゃん版のイカ娘もいいね す湯島茜ch
茜ちゃんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
茜姉さん降臨!!
茜ちゃんもよう見とる。
夏っちゃんとかんなちゃんは毎日お泊りしていたのか
アイドルが家に泊りに来るとか信じられん・・・。
マジでラノベの世界だな
と言う事は、弟さんも夏っちゃんと一緒に過ごしたのか!
ある意味同棲w
まぁ、両親と姉も居るがな・・・。
あの弟さんは只者じゃないし、まぁ、ラノベの主人公みはある
アキラ君もラノベの主人公もびっくりのポジションに居るのに、どうしてここまで差がついてしまったのか・・・。
あの珍獣がラノベの主人公って、主人公が脇役喰っちゃうぐらい個性的すぎん?
珍獣監督は明らかにマスコットポジションだろw
主人公を悪の道に誘う邪悪なマスコット珍獣だなw
確かに、この珍獣マスコットなら魔法少女物のラノベに居そうwww
「次はこっちの質問ですっ」
イカ娘の映画に出演してから変わった事は何かある?
|
夏っちゃんはアイドルをどうして卒業したの?
|
「あっ、二個同時に出ちゃいましたっ!」
「またドジっ子ケイティがやらかしたわね。」
ケイティ、いつものお漏らしwww
相変わらずのやらかしw
クイズ回でも、答えを先に出したりしてやらかすからなww
ケイティのお漏らし、(*´Д`)ハアハア メッセージは削除されました
↑変態が居ます。
↑お巡りさんこちらです。
↑通報しますた!
お前らチームワーク良すぎだろwww
これは両方気になるwww
どうするんだこれ?
「それじゃ、夏っちゃんには両方答えてもらうとして、まずはかんなちゃんから。」
「私は、デスアイランドの時に高校の演劇部をずっと休んでしまったので、それから演劇部の幽霊部員状態だったのですが、イカ娘での主演をきっかけに、また演劇部の友達が声を掛けてくれまして、今はたまに演劇部に顔を出して、演技を教え合ったり、小道具作成を手伝ったりしています。 お仕事が忙しくて本格的な部活動はできないのですが、部の友達と交友関係が戻って良かったです。 あと、やっぱりスターズに所属したというのが大きくて、サインとかも求められる事が多くなりました。」
「交友関係も改善したみたいでよかったわね。 スターズに所属するとやっぱり違うの?」
「私は芸能事務所に所属するのがスターズが初めてなのですが、スターズに所属したってだけでみんなにビックリされました。 それでスターズでどう言う演技練習をしているのかとか、演劇部の子達にも聞かれるようになりまして、そこから演劇部の子たちと交友が再開した感じです。」
「スターズではどういうレッスンをしているのですかっ?」
「発声練習や表現の練習を始めとして、エチュード(即興劇)とか、台本の読解力の上げ方とかですかね。 他と同じように基本に忠実です。 ただ、みんなプロフェッショナルで質が高い事はわかります。」
「そうね。今のスターズならかんなちゃんを受け入れて伸ばすことができるわね。」
「スターズに入った後に初めて事務所に行ったら、星アリサさんにお会いして、色々な演技の話や好きな俳優なんかの話をした後に、私の場合にはメソッド演技専門の講師の方とメンタルヘルスの先生が付いてくれて、安全なメソッド演技の方法やいろいろな相談に乗ってくれたりするようになりました。 アリサさんって本当に素敵ですね。」
「昔のスターズはアリサママが精神をぶっ飛ばした影響から、メソッド演技に頼らない俳優を育てようとして、型にはめた画一的な教育をしていて、かんなちゃんの才能を殺した可能性があったみゅっ。 今は景ちゃんの才能マシマシ天地返しのピュアピュアビームを受けたせいで、アリサママが月影千草を超える演技狂いになって正気を失ったお蔭で、メソッド演技をする人であってもちゃんと個性を伸ばせるようになったみゅっ。」
「アリサママエルをここまでメタメタに言えるのって、珍獣監督だけね。」
「私には恐れ多すぎてだめです。でも、ちょっとお話をしただけでも本当に優しそうな方でしたよ。」
「サイコパスなアリサママを見抜けないあたり、かんなちゃんも修業がたりないみゅっ。」
「こらっ。 自分の母親を悪く言わないの。」
「は――――い。 みゅっ。」
かんなちゃんは演劇部は幽霊部員になっていたのか。
これだけ仕事が忙しいと返って部の人に迷惑をかけるからそれは仕方が無いっしょ
演劇部に所属していただけでスターズにスカウトされるカンナちゃんはすごい!
珍獣監督のアリサママに対する発言っぷりよwww
普通正気に戻る方だろww
正気を失った方がまともになるアリサママw
芸能界でアリサママにここまで好き勝手に言えるのは珍獣監督ぐらいだろうなw
普段のかんなちゃんのレッスンも気になる。
やっぱりスターズは育成が相当手厚そうだな
そりゃ、スターズは他の事務所と違って育成にかけるお金が全然違うからね・・・。
ちゃんとメソッド演技の講師とメンタルヘルスの先生を付けてくれるなんていいなぁ・・・。 す湯島茜ch
育成費が自費の茜ちゃんが・・・。
高校中退までして、バイトで頑張って泣けなしのレッスン料をねん出してた茜ちゃん・・・。
あまりの待遇の差に涙が・・。
今はそれが報われて相当売れているんだから、余裕で講師ぐらい雇えるだろ。
マジで羨ましい す烏山武光ch
所属事務所の差は冷酷だよ・・・。 す源真咲ch
私もスターズに入りたかった・・・。 す一色笑子ch
なんだここw お金に苦労している俳優で溢れかえっているぞww
でも、みんなイカ娘の収入が入ってうはうはとかトイートしているから信用できんぞ。
お金に苦労している俳優の切実さがウケるwww
この悔しさをみんなバネにしてがんばるんだw
みんなデスアイランドからイカ娘でそれなりにブレークしている俳優なんだがww
「それじゃ、夏っちゃん、二つ同時に答えてもらえる?」
「はい。 まずアイドルの卒業なのですが、これは前の事務所から突然言われた事で、ちょうどメンバーの入れ替えの時期という事もあって、女優を目指す方向でアイドルを卒業する事になりました。 ただ、私には事前に知らされていなかった事なので・・・。」
「いろいろあったけれども、悔しさをバネにしてこれから目標としていた女優を目指すみゅっ。」
「はい。 がんばります! 元は女優志望で芸能界に入ったんですし、アイドルでの活動経験も活かしてこれからもがんばって行きます!」
「流石、夏っちゃんは、はつらつとしていていいわね。 どこかの可愛いつもりの珍獣とは違うわね。」
「チヨコエル、酷いみゅっ! 」
「イカ娘の後に何か変わった所とかありますかっ?」
「イカ娘というか、スターズに入ったというのが大きいですね。 私もアリサさんと面談して、複数のマネージャさんと講師の方やメンタルヘルスの先生を付けてくれました。 仕事やスケジュール管理もしっかりしていて、前の事務所と全然違いますね。 それでスターズにスカウトされたと言う事で、周りの人達の対応も変わりました。」
「夏っちゃんは元々アイドルで人気者だったから、有名人としての生活は慣れていたものね。」
「アイドルの時からファンになってくれた人が、女優になっても推してくれているのはすごく嬉しいです。」
「これからは、アイドルから女優に華麗に転身するみゅっ。 夏ちゃんの才能をみんなに示すみゅっ!」
「はいっ。監督っ! がんばるでゲソ!」
夏っちゃん、語尾がwww
ハキハキしているのに語尾で台無しだよww
まさに生けるイカ娘w
アイドル時代に堅物だった夏っちゃんにまさかのキャラ付け成功w
夏っちゃんはイカ娘キャラだったかw
アイドルを卒業したのはやっぱり本意じゃなさそうだな。
まぁ、半ばザマァしている形になっているしいいんじゃね?
アイドルからの華麗な転身に期待している。
夏っちゃんが充実していればいいじゃないの?
夏っちゃんとかんなちゃんのこれからの活躍に大期待だよ!
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「そんな訳で、今回の放送ももうすぐ終了ね。」
ええ――――――――――――っ。
もっと時間を延長しようよ!
ぶぅ━━q( ̄(oo) ̄)p━━っ!!
二人の話をもっと聞きたい!
やだ――――っ。
これだけの豪華メンバーなんだからもっと延長しようよ。
「かれこれ2時間ほどやっていますし、そろそろお終いですねっ。」
「相変わらず景ちゃんの笑顔が眩しいみゅっ。」
「そんな訳で、今回は珍獣監督が居る事ですし、珍獣監督のピアノ生演奏で、ゲストのお二人にCDや音楽サイトで大ヒット中のイカ娘の主題歌を歌ってもらいましょう。 準備はいいわね。 それではスタート!」
「侵略!」
「侵略!」
「侵略!」
「侵略!」
「侵略!」
「「イカ娘! キュー!」」
「キラキラな海と風 輝くアトリウム」
「みんなで集まって はじめましょ はじめましょ」
これ、生で聴けるとか超うれしいわ!
二人がデュオで歌って、これもヒットしてチャート入りしているからな
この前この二人の曲が音楽サイトでトップだったぞw
まさか侵略ノススメが生で聴けるようになるとか思わんかったw
振り付けとか、夏っちゃんは流石はアイドルだよな
かんなちゃんも負けてない
二人で楽しそうに歌っていてすごくいいわ!
ドラムやベースも打ち込みだけど、ノリノリだわ
やっぱりこの歌はノリノリだなw
まぁ、アニソンでも一時代を築いた歌だからなww
元の歌もいいけど、二人がライブで歌ってくれてサイコー!!
\(^o^)/侵略!\(^o^)/侵略!\(^o^)/侵略!\(^o^)/侵略!
これは元気になる!
イーカンジ☆ムボー☆ススメ☆彡
超ノリノリだわ!
侵略攻略イカ娘☆彡
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「二人とも今日は楽しかったですかっ?」
「はいっ!楽しかったです!」
「みんなと会話できて嬉しかった!」
「それじゃ、みんなバイバイで終わりましょうか!」
「「「「バイバイ~っ! またね~!」」」」「みゅっ」
ばいびーー
超面白かった
チヨコエルバイバイ~!
またねーーー。
バイバイ
夏っちゃんのファンになりますた~。
かんなちゃんバイバイ
またね~!
ケイティまたね~!
今日の放送も超面白かった!
珍獣監督もありがとう!
豪華メンバーで最高!
歌も良かったよ~!
最高だったよ!
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新名夏と木梨かんなのその後
-------------新名夏視点-------------
小春日和の秋の日の午後、私とかんなはケーキバイキングでやけ食いをしていた。
「うううっ。 まさか弟に先を越されるとは。」
「まさかあの姉の陰に隠れて引っ込み思案の妹がこんなに大胆だったとは・・・。」
私達がなぜこんなやけ食いをしているのかは、ちょっと前に発生した出来事のためだ。
スターズに入った後の私達の仕事はとても順調だった。
イカ娘でブレイクした私達は、そのままの勢いでスプラトゥーンのイカ娘コラボCMへの出演が決まった。 それでアキラ君がそのままメガホンを取ってくれて、CMデビュー。 もっともこれは私達の出演料よりも監督さん達の出演料の方がはるかに高い気がするんだけど・・・。
Youtubeチャンネルでのコラボも普通にしているから、その辺もコミコミの契約だと思う。
そしてCMの評判も良かった事で、私達の仕事の方向性なんだけど、アキラ君は、「ここまで来たらお笑いで天下を取るんや! ワイが社長になったらスターズを最高のお笑い軍団に育て上げるで!!」とかやっていたら、後ろからハリセンを持ったアリサさんが来て、アキラ君の後頭部を強打した後に、鬼の形相でずるずると社長室まで引きずられて行ってしまった。
その後、アリサさんが戻って来て、あんな事があった後に優しい笑顔を浮かべて、「アキラが変な方向で仕事を入れてごめんなさいね。 さっきアキラとOHANASHIして、貴方たちのプロモーションは私の方で引き受ける事にしました。 ちゃんと良い仕事ができるようにがんばるのでよろしくね。」とニコニコしながら言ってくれた。 さっきの鬼の形相を知っているだけに、その雰囲気を微塵も感じさせないアリサさんの表情に、二人でドン引きした。
そんな、アリサさんが取って来てくれた仕事はなんと、化粧品のCMだった。 私がキレイめのメイクで、かんなが可愛い系のメイク。 銀座の有名百貨店の化粧品売り場に私とかんなのポスターがでかでかと張り出された時には、二人で行ってポスターの前で記念撮影をしてしまったぐらいだった。
この仕事によって、私達の世間のイメージは大きく変わった。
アリサさん曰く「コメディしかできない女優と、コメディもできる女優は違います。 ここでイカ娘で付いた笑いのイメージから、綺麗な女の子としてのイメージのギャップを世間に見せつける事で、そのギャップの虜になる人間を増やすのと、仕事の幅を広げてもらいます。」との事だった。
流石、スターズ。 伝説的な女優である星アリサが後進育成のために立ち上げて、あっと言う間に業界大手にまで上り詰めた超有力芸能事務所。
前の事務所では絶対にこんな仕事なんて取って来れないし、取って来れたとしても、私にこの仕事をくれる事も無いだろう。 ブレークしたイカ娘のイメージそのままで、賞味期限が切れるまで使い潰された可能性すらある。 アリサさんはやり手の女社長って有名だったけれども、私達にまでこんな仕事を与えてくれる社長の手腕に驚愕した。
スターズと言えば、マネージメントが凄いという事でも有名だけれども、やっぱりマネージャ陣も凄かった。 ここの事務所の特徴は、三直(さんちょく)と呼ばれる、強力なマネージメント体制およびタレントのバックアップ体制だった。
新人であれば、マネージャーが一人で複数のタレントを見るのは他の事務所と変わらない。 ただ、ここがすごいのはタレント一人あたりで複数人のマネージャが付くことだった。 結果、タレントから見ると、自分に兼任ではあるけれども、ほぼ三人のマネージャが付く事になる。 その複数のマネージャ陣をさらに統括する統括マネージャが存在して、マネージャーのスケジュール管理を行っていた。
結果、休日が安定しない不規則な芸能人相手に、雑用係のようなきつい仕事であったマネージャという職業を、通常の労働条件として安定させる事に成功している。
この事務所の笑い話として、担当の子のコンサートに自分のマネージャが観客として来ていたみたいなのが普通にある。 ちゃんと労働時間を考えてマネージャのシフトが組まれているので、こういう普通では考えられないような事態が発生するのだ。 そしてこういう体制のため、マネージャさんの配置転換も容易であるらしいし、マネージャ個人の偏った考えでタレントを潰すような事もなく、タレントをチームで支えるのがスターズの特徴だ。
私も、数年のアイドル生活だったけれども、スターズのマネージャさんはバッチリとスーツを着こなして覇気ランランなので、すぐにわかる。 他の芸能事務所のような、長時間労働でどこかくたびれたマネージャさんとは違うので、ある程度この業界に居ると、見分けはすぐに付く。
他の事務所も真似したらいいのにって思うんだけど、業界の慣習やそもそもの人件費の面でとても真似できないらしい。
そして、この強力なマネージャや組織によるタレントの育成がまた凄かった。 新人タレントを育成する事を命題としている芸能事務所なので、新人へのサポートが手厚い。 また、人材も豊富なので、過度にタレントに仕事を入れるような事も無かった。
だから、みんなスターズに入りたがるけど、入るのは非常に困難だ。 毎年開催される新人発掘オーディションは3万人以上の応募があるけど、例年契約できるのは一人だけである。 私もアキラ君と千世子ちゃんが来て直接スカウトされなければ、この事務所の敷居を跨ぐ事すらできなかったはずだ。 かんなも同じだと思う。
いや、かんなについては、意外に新人発掘オーディションで普通に入れるかもしれない。 彼女の演技力と柔軟さの才能は半端ない。 普通にオーディションに応募すれば受かりそうだ。 かんなの才能を見抜いたアキラ君や千世子ちゃんは流石だと思う。 そして、かんなを歯牙にもかけない夜凪景ってどれだけ化け物なのよ!
そんなイメージ戦略が功を奏したのか、なんと本郷監督の映画で私の主演が決まったのだ。 そして、かんなにも別の監督からオファーが来て、同じく映画の主演を務める事になっている。
今、民放ゴールデンタイムのバラエティ番組の仕事をしながら、二人で一生懸命レッスンをしている。
まさに順風満帆な芸能生活。
アイドルを突然卒業させられた時では、全く考えられないような生活を送っていた。
そして、そんな変化は私達だけでは無くて、家族にも影響を与えている。
かんなの弟は高校への進学と同時にVTuberを始めてすごくブレイクしている。 VTuberの機材等はアキラ君におねだりして中古の機材をGETしたらしい。
かんなの弟さん、アキラ君におねだりできるとか強すぎない?
それで、VTuberのイラストだけれども、アキラ君から久乃木愛さんというイラストレイターを紹介してもらって、VTuberのアバターを作ってもらっていた。
久乃木愛さんも沢山の有名なVTuberのアバターを手掛けている人で、かなりの額だったらしく、かんなが弟の代わりにアバター代を出そうとしたんだけれども、アキラ君から断られて、弟さんのアキラ君への正式な借金となった。
アキラ君曰く「本気でVTuberをやるのであれば、借金は自分で返せるようになる必要がある。 ちゃんと自覚と責任をもって活動しなければいけない。」
との事で、その話を聞いた時になるほどなと思った。
それから、私とかんなの家族。 同じ芸能人の娘を持つ家族同士と言う事もあって、イカ娘以降で家族ぐるみのお付き合いをするようになって、母親同士でお互いに相談に乗り合ったり、週末は仕事で忙しい私達を尻目に家族で外食に行くことが多いらしい。
そして、私にも妹が居た。 私に似て美少女(自画自賛)で、アイドル活動をするアクティブな姉に隠れて、大人しい性格で引っ込み思案な子だったはずだけど・・・、どうもかんなの弟さんに一目惚れをして、アタックの末に付き合う事になったらしい。 奥手かと思っていたら、付き合うときは積極的だったとか、こんな所で戦国武将、新名家の血筋が発揮されたのだろうか?
私とかんながこの話を聞いた時は、全く意味不明だった。どうしてそうなるの?って思った。 そして私とかんなが、妹とかんなの弟さんに会った時にはもうラブラブだった。
こいつらは、私達が仕事で忙殺されている間に、今から3年間のラブラブリア充の高校生活を送るのだ!
その後、毎回、家族からは妹とかんなの弟のリア充報告と、夏も良い人が居ないの?とか言う理不尽なプレッシャーを受けまくっている。
私とかんなは、間違いなく芸能界で勝ち組であるはずなのに、互いの妹と弟に完全敗北を喫して、血の涙を流していた。 そんな家族からのリア充報告にキレた私とかんなは、ケーキバイキングに来てやけ食いをしているのだ。
かんながショートケーキをフォークで串刺しにして、一口で口の中に放り込みながら言う。
「かんなも良い人を探しなさいって、そんなの出来る訳ないでしょ! 女優なのよ! 女優! そんな軽はずみに付き合っていたらスキャンダルじゃないの!」
「夢にまで見た仕事が軌道に乗ってきた時期に、男性とお付き合いなんてできる訳無いでしょ! 本当にママは何を考えているのよ!」
家族に対する愚痴を言いながら私達はケーキを食べる。 おそらくこの後しばらくはダイエットで苦しむ事だろう。
そして数年後、晴れて大学を卒業した二人は、そのままゴールイン。 私とかんなの家族は親戚関係となり、かんなは私の事をお義姉さんと呼ぶようになるのであった。
当然結婚式で、独身の私達が再び血の涙を流した事は言うまでもない。
今回でイカ娘編は終了となります。 次回からは新展開になると思いますが、その前に、年末まで忙しいので、ペースを落として閑話を何本か投稿させていただく予定です。
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閑話 夜凪ママのクリスマス
クリスマスシーズンがやってきた。 この季節になると星家はクリスマス一色となる。
アリサさんとアキラ君がアメリカに住んでいたせいか、星家のクリスマスというのはかなり欧米の色が強いクリスマスとなる。
今年もアキラ君が生のもみの木を購入して、リビングに飾ってあるし、クリスマスツリーの下に当日までプレゼントを積んでおくのもアメリカの文化だろう。
先週はみんなでクリスマスツリーの飾りつけを行い、クリスマスツリーの下には続々とプレゼントが置かれている。 当然、ルイとレイのプレゼントも大量に置かれていて、二人はクリスマスツリーの下に続々と置かれるプレゼントの前に、クリスマスの日を今か今かとワクワクしながら待っていた。
この家でルイとレイ以外はみんな働いているためか、ルイとレイのプレゼントの数はとんでもない事になっている。 正直もらいすぎかと思っているのだけれども、みんなもルイとレイにプレゼントをあげる事を楽しみにしているので、止めてとは言えなかった。
あと、ルイとレイはお年玉もみんなからもらえる。 親戚が多い家はプレゼントやお年玉が多いとは言うけれども、ルイとレイはもらいすぎな気もする。ただでさえ、アキラ君や千世子ちゃんの配信などの機材を使って、ゲームなども沢山やっているのに。
みんなが勉強を見てくれるから、まだ学校の成績は悪くないけど、来年あたりからは、ルイとレイあたりも塾とかに行かせた方が良いのかもしれない。
なにかやりたい事があれば、優先してやらせてあげてもいいんだけど・・・。 あの子達、みんなに影響されて、子役をやりたいとか言い出さないわよね?
そんな事を考えながら、今日のクリスマスパーティの準備に入る。
まずはケーキのスポンジだ。 ずいぶん前にケーキを焼くようになって、それがみんなに好評で今では、クリスマスケーキも私の手作りとなっている。
「それじゃ、分量を入れたから、これをハンドミキサーで混ぜてね。」
「「は―――――い。」」
最近、ルイとレイは私の仕事を手伝ってくれるようなっている。 今回のケーキ作りも簡単な作業なら手伝ってくれるのでとても助かっている。
星家にはスタンドミキサーもあるのだけど、今日の料理の下ごしらえが多くて間に合わないのだ。
丁度、ルイとレイのハンドミキサーの生地と、スタンドミキサーの生地が同時に仕上がったら、容器に流し込んでオーブンに入れて生地を焼く。
本日のメインの七面鳥だ。 冷凍されていた七面鳥はすでに冷蔵庫で解凍ずみで、昨日のうちにすでにお腹の詰め物と味付けを終わらせている。 10Kgの巨大な七面鳥なので、オーブンで5時間焼く必要がある。
そして、オーブンで焼きながら、マッシュポテトやクッキーなどのサイドメニューやケーキ作りを行う。
準備を行っていると、徐々にみんなが合流してきて、料理を並べたり準備を手伝ってくれる。 景も来て手伝ってくれた。
そして、最後に酢飯を作って、魚屋さんで切ってもらった手巻き寿司のセットと共に手巻き寿司を準備して、準備が終わる。 そして夜になるとみんなが揃ってクリスマスパーティーが始まる。
「「「「「「「「メリークリスマス!」」」」」」」」
アリサさん、アキラ君、千世子ちゃん、阿良也君、景、ルイ、レイが揃って賑やかなクリスマスパーティーが始まる。
みんな忙しいにもかかわらず、この日は全員が予定を調整してくれて賑やかなクリスマスパーティーだ。
こうやって見ると、本当にスターばっかりだ。 みんなの活躍する映画やドラマは必ず観るけれども、自分がテレビの中の人達にご飯を作るようになるなんて今でも信じられない。 それにその中に景が混じっているのも・・・。
あの人が居なくなって目の前が真っ暗だったあの日から、数奇な運命を辿って、アキラ君に私達家族は助けられて、今こうやって笑っていられる。
「阿良也! 僕の作った大トロ七面鳥ウニ納豆ポテトリュフグァバ寿司を勝手に食べるな!!」
「アキラ、これ互いの長所を殺しまくって、後味も悪くて最悪だぞ、これ。」
「あーあ。 阿良也が口を付けちゃったから、最後まで食べてよね。それ。」
「お前っ!まずいってわかったから俺に押し付けただろっ。 大体どうしてこんな寿司作ったんだよ!」
「いっぱい入れたら相乗効果で美味しくなると思ったんだけど、やっぱダメだったか。 犠牲になったのが阿良也で良かったよ。 僕の力作が阿良也に食べられて悲しいよ。 およよよよよ。」
「かわいそうなアキラちゃん。 そんなアキラちゃんには私の作ったこの手巻きずしをあげるわ。」
「ありがとう。 千世子ちゃん! やっぱり持つべきものはかわいい幼馴染だよ! あんなゲテモノを食べる阿良也にも見習ってほしいよ。」
「あれはアキラさんの作ったお寿司じゃ・・・。」
「じゃあさっそく。 パクっ。 ブーーーッ!」
「「アキラお兄ちゃん、きたない!!」」
「アキラ! 汚いわね。 いつでもカメラが向けられているって気構えで食事も綺麗に食べなさい! ルイとレイの教育にも良くないわ。」
「ゲホッ、ゲホッ。 みっ水・・・・・。」
「アキラさん、どうぞ!」
「景ちゃん、ありがとう! ごくごくっ。」
「なによ! 私がせっかくアキラちゃんのために作ってあげた特製手巻き寿司なのに。」
「千世子ちゃん、これ何入れたの? エビっぽいんだけど、ゲロ苦くて刺激が強いんだけど・・・。涙まで出て来ちゃったよ。」
「えっ? 私の特製の、ユムシカイモッデーンホンオフェサソリ手巻き寿司よ。」
「ちょっと待って! 何一つ夜凪ママの出してくれた料理が使われていないじゃないか! それに、ユムシとホンオフェとサソリは判るけど、カイモッデーンって何さ!」
「タイ料理のアリの卵の炒め物よ。 そんな事も知らないの? アキラちゃんは常識が足りないわ!」
「そんな常識なんてないよ! 千世子ちゃん、クリスマスだからってゲテモノに挑戦しすぎだよ! こんなんだから、バラエティで虫食とか出されて、普通に食べて食レポして、リアクションに乏しいとか言われちゃうんだよ。」
「普通に美味しいじゃない。 同じ甲殻類のエビは大丈夫なのに、昆虫がダメな方が良く分らないわ。 それに、ミカンの食レポの時とかに、まだ時期が早いみたいで、微妙に酸っぱいですとか、正直に言っちゃうアキラちゃんよりましよ!」
「どっちもどっちなんじゃ・・・。」
「食レポが上手い景ちゃんに言われたくないよ。 これだからメソッド演技の女優は。」
「私だっていっぱい食レポを見て、美味しさを伝える研究しているですからっ。 こっそりと立ち飲み居酒屋の影とかに行って、井之頭五郎さんみたいな方を見つけて、ちゃんとリアクションを研究しているですからっ!」
「景、そのストーカーみたいな人間観察は、いい加減捕まるから、止めた方がいいぞ。」
「阿良也さんに言われたくありませんっ。 阿良也さんなんて、共演の子を理解するために付きまとって、その人の家まで行っちゃうじゃないですか!」
「「どっちもヤバイと思うよ(わ)。」」
「ふふふっ。」
「お母さん! どうしたのっ!? 涙が出てる! 泣いているの!?」
「千世子ちゃん、まずいよ! ホンオフェから出るアンモニア臭のせいで、夜凪ママが泣いちゃったよ!」
「えっ!? エイを1週間発酵させただけだから、そんなに刺激が強くは無いと思っていたのに! 夜凪ママごめんなさい。」
「千世子ちゃん、違うわ。 ただ、みんなと過ごせて幸せだなって思っただけよ。」
景と私、そしてレイとルイが取り残されて絶望したあの日から、私達家族にこんなに楽しくて安らげる時間が訪れるなんて思わなかった。 そして、こんなに騒がしい新しい家族が出来るとも思わなかった。
こんな素敵な家族を持って私達はなんて幸せなんだろうか。 アリサさんと、そして沢山のやんちゃな子供達。
また来年もこんな騒がしくて素敵な日々をずっと過ごしたい。来年も良い年でありますように。
~Happy Merry Christmas~
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夜凪景は夜凪ママの実家で正月を過ごす1
大晦日が迫った年の瀬に私達家族は北陸新幹線に乗って金沢を目指していた。
理由は、今年の大みそかをお母さんの実家で年を越すためだった。
お母さんの実家に初めて行ったのは12歳の時。 それ以来、年に一度以上は金沢にあるお母さんの実家に顔を出している。 そして、今年は私のスケジュール調整が付いた事もあって、年末をお母さんの実家で過ごすことになった。
――――――――― 12歳の頃の景ちゃん ―――――――――
最初、お母さんの実家に行くときはとても抵抗があった。 私達家族が厳しい環境に置かれたときに助けてくれなかったからだ。 お母さんがあんなにつらい目にあっている時に助けてくれなかった所に行くのは、私はとても、もやもやした。 だから、私はアキラさんに相談することにした。
「景ちゃんの祖父母の家に行くのに抵抗があるの?」
「そうですっ。 お母さんがあんなにつらい時に助けてくれなかったお母さんの実家に行くのはとても、もやもやするんです。」
「う―――ん。 つらい目にあっていた時に助けてくれなかった実家が、窮地を脱したら顔を見せるように言うなんて、まぁ確かにもやもやするよねぇ。 でも、夜凪ママのお父さんは夜凪ママの窮地を知らなかったし、夜凪ママも勘当されていたんだから、仕方が無いと思うけどねぇ。」
「確かにそうなんですけど、何もなく笑って許せる事でも無い気がするんです。」
「景ちゃんの気持ちも分かるけれども、基本的には夜凪ママと夜凪ママのお父さん、つまり景ちゃんのおじいさんとの問題だからなぁ。 もちろん、間接的な被害を被った景ちゃんもいろいろあるだろうけど、一次的に悪いのは景ちゃんのお父さんであって・・・。」
「あんな人をお父さんとか呼ばないでくださいっ!」
「おおぅ。 まぁ、夜凪ママが離婚した今となってはただの他人だからね。 どちらにせよ、ご両親が反対したにも関わらず、勘当されてまでそんな人について行った夜凪ママよりも、ご両親の方がその反対した見識は正しかったわけだ。 確かに助けてくれなかったのはもやもやするだろうけど、そこまで大変なことになっていたのを知らなかったおじいさん、おばあさんを責めるのも酷だろうし、夜凪ママとその両親もそれを乗り越えて関係を修復しようとしているんだろうから。 とはいっても、景ちゃんがもやもやするのも分かるよ。」
「私が我慢して許せば大丈夫だって言うのはわかるんです。」
「我慢は良くないねぇ。 でもおじいさん、おばあさんに景ちゃんが会わないというのも違うだろうし。 うーん。 そうだね。 景ちゃんがおじいさん、おばあさんにチャンスをあげるというのはどうだろう?」
「チャンスですか?」
「そう。 まずは会うチャンスをあげる。 それで、許せないようであれば、その時にまた考えればいいじゃん。 許す、許さないなんて考えないで、まずは会うチャンスを二人にあげるんだ。」
「チャンスをあげるとか、ずいぶん上から目線で偉そうなのですが・・・。」
「夜凪ママが許すのと、景ちゃんが許すのは別問題だよ。 夜凪ママが許したから景ちゃんも許さなきゃいけない訳じゃないからね。 でも相手を理解しないで一方的に嫌うのも違う。 だからチャンスをあげるんだ。 会って景ちゃんが許せるのであれば許せばよいし、許せないのであれば、その時にまた考えればいいじゃん。 感情を棚上げしてまずは会ってみるといいよ。」
「・・・わかりました。」
そして12歳だった私は金沢に行って初めておじいさん、おばあさんに会ったのだけど、金沢駅で祖父母に会ったら謝られた後に祖父母の家ではなく、 曽祖母(ひいおばあちゃん)の家に連れていかれた。
「お前が体を壊して支援をお願いされた時に手助けをしなかったのがおっ母さんにばれてな。 それでおっ母さんがカンカンになって、お前と子供たちが来たら本家に連れてくるように言われているんだよ・・・。」
「当然、怒られるに決まっているじゃないですか。 あなただって、若い時にお母様をはじめ、親戚の方々にたくさんご迷惑をおかけしたのに、自分の子供はそれを許せないなんて狭量すぎます。 それに支援をお願いされたって話は私も初めて聞いて、私も怒っているんですからね。」
おばあさんにそう言われて、おじいさんの車でお母さんの実家ではなくて、本家に向かうこととなった。
到着した本家は、名家を思わせる立派な日本屋敷だった。 夜凪家というのは、漁をするための凪を祈願する巫女の家系で、夜の間に翌朝の凪と大漁祈願を行い、荒々しい日本海で凪を作り出していたことからこの苗字が付いたらしい。
そして、江戸時代には網元として栄えて、網元制度が無くなると金沢を中心に一家で様々な商売をしているらしい。 それで、おじいさんはそんな家の四男で、若い頃に家を飛び出してやんちゃしていたそうだ。 お母さんもこんなおじいさんの血を引いているのかな? 意外な自分のルーツを感じる。
―――――――――
私たちが夜凪本家の座敷に通されると、かくしゃくとしたおばあさんが座布団の上で腰かけていた。
「遠いとこ、よう来たじ。 あんたもしばらく見んうちに立派な母親になったじ。 それで、あんたが景ちゃんとルイとレイさね。 がんこ可愛い子だこと。」
初めて会った祖母はとても厳しい人に見えて、優しさも垣間見えた。 そして、その雰囲気や姿は私によく似ていた。 私が歳を取るとこんな感じになるみたいな感じ。 ちなみに、がんこというのは金沢弁で「ものすごく」という意味らしい。
「初めましてっ。 長女の夜凪景です。」
「景ちゃんやね。 可愛い子じ。 昔のうちにそっくりやぞ。 こんな可愛い子を辛い目に合わせるなんて!」
そう言って、ひいおばあちゃんはおじいさんをすごい形相で睨むと、
「あんた昔散々助けてあげたがに、自分の娘やこんなに可愛い孫の助けを断るなんて! あんたに人の血は通っとるのっ!」
「おっ母さん、娘がこんな厳しい状況だなんて知らなんだんだ!」
「勘当した娘が恥を忍んで頭を下げてきたんやさかい、許すのが親ちゅうもんやろが!」
「そやけど、おっ母さんもあれだけ反対しとったがに、駆け落ちしたでないけ!」
「駆け落ちした時と子供ができた時じゃ事情がちごうやろうが! 自分勝手に駆け落ちしたのと、子供を守るために頭を下げてきたのとでは事情がちごうわ! 大体、うちは勘当するのも反対やったんだ。 あんたこんなに可愛い孫たちを見殺しにしようとして、人としての情が無えが?」
「でも勘当した手前、俺にも意地が・・・。」
「何が意地け! それなら勘当した時とおんなじようにうちに相談したら良かったがに! 自分一人で誰にも相談せなはなんて狭い了見や!」
「すいません。」
「謝る相手がちごうやろ! 娘と孫に謝らんかい!」
「すいませんでした。うちが間違うとった。」
そう言って、おじいさんは、私たち家族に頭を下げた。 それを見た瞬間、私の中にあったもやもやした感情が、すっ~と消えていくのを感じた。
「景ちゃん、こっちに来まっし。」
そうやって、ひいおばあちゃんは私を近くまで手招きすると、近くに座った私の頭を優しく撫でてくれた。
「頼れる人がおらんくて、辛かったやろ? よう頑張ったじ。」
そう言って、ひいおばあちゃんから撫でられると、私の目から大粒の涙がポロポロとこぼれてきた。 同時に、アキラさんに救われてから蓋をしていた、あの頃の恐怖や辛さが私の中から溢れ出してきて、ひいおばあちゃんにあの頃の辛い思い出や、お母さんが死にそうになった恐怖などをいっぱい話して泣いた。
今まで誰にも話せないで、蓋をしていた感情だった。 そして、ひいおばあちゃんとおばあちゃんはそんな話を涙ぐみながら聞いてくれた。
もう許す、許さないなんてどうても良くて、ただ話を聞いてくれるだけでうれしかった。 そして、ひいおばあちゃんとおばあちゃんが大好きになった。
それから、金沢に行くのに抵抗が無くなり、何度も金沢に足を運んだ。 銀河鉄道の夜には、金沢からひいおばあちゃんとおじいちゃんとおばあちゃんが舞台を観に来てくれて、舞台に感動して泣いてくれた。 私も大好きなひいおばあちゃんとおばあちゃんに舞台を見せられてよかった。
今年は、私が舞台で活躍したこともあって、アリサさんとアキラさんがお正月をこっちで過ごすことを勧めてくれた。
もうすぐ金沢駅に到着する。 年末とお正月は初めてだ。 どんな年越しになるんだろうか。
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夜凪景は夜凪ママの実家で正月を過ごす2
「よう来たじ」
大晦日に夜凪本家に着いたら、床の間に案内された。 時代を感じさせる床の間には、名画を感じさせる掛け軸や小物などと一緒に、棚に銀河鉄道の時に、ひいおばあちゃん達みんなとアキラさんやアリサさんなんかの出演者と一緒に記念撮影した写真やブロマイド、そしてみんなのサインが飾ってあった。
趣のある床の間に私を初め、アリサさんや阿良也さん、アキラさんや千世子ちゃんなんかのサインが飾ってあるとなにか場違いに感じる。 でも前田利家のサインが飾ってあったりすれば、趣があると思うから、このサインも百年ぐらい経つと良い感じにこの家の歴史の一部として趣が出てくるのだろうか。
「銀河鉄道の舞台を観たおおばあちゃんが喜んでねぇ。 テレビでしか観れないスター達に直接会って、サインとか写真とかもらっちゃったものだから、年甲斐もなくハッスルしちゃって、床の間とか、おおばあちゃんの寝室もみんなのグッズでいっぱいよ。」
本家の奥さんが私に言った。
「スターにあんなに良うしてあたるなんて一生の思い出やぞ。 みんな今度金沢に来たら是非家に寄ってきまっし。」
「無理を言わないの。 景ちゃんの事も可愛いらしくて、いつも景ちゃんの出演しているドラマとか映画を見ているのよ。」
「それはうれしいですっ。」
「年越しの料理は腕によりをかけるから楽しみにしていてね。」
その後、夕方から本家で宴会になり、たくさんの美味しい料理を食べた。 特に昔は網元をやっていたこともあって、海鮮料理のラインナップもすごくて、年越しそばの外にも鱈(タラ)や鰤(ブリ)などを使った料理がふんだんに出されて舌鼓を打った。
「あっ、お注ぎします。」
「さすがは、女優だけあって、景ちゃんはがんこきれいだな。」
「本当に可愛い娘やぞ。 こりゃ、東京のテレビ局がほっとかんのもわかるね。」
「芸能人って本当にきれいなんかい。 テレビで見るよりも綺麗やね。」
「ねぇねぇ、千世子ちゃんとアキラ君って付き合うとるが? それともアキラ君と景ちゃんが付き合うとるが?」
「夜凪家の客人に無理なことを言わんの」
本家に来ていた親戚の人の突っ込みどころ満載の会話を躱しつつ、9時過ぎになると裏手の神社にみんなで集まる。
私が来るときには親戚の人が来る事が多かったけれども、こうやって親戚の人が一堂に集まると圧巻だ。
もちろん、私のおじいさん、おばあさんも来ている。
9時過ぎになると、親戚の方々と一緒に夜凪家の裏手にある神社に集まった。
裏手の神社は夜凪家のルーツにあたる神社で龍神様を奉っていて、今では年越しに、この神社の舞の舞台で舞って翌年の豊漁と水難防止を祈願するらしい。 近所の方々も続々と神社に集まってきた。
私と同じぐらいの親戚の子が年越しの時間に除夜の鐘とともに舞を踊って、龍神様に舞を奉納した。
ただ、残念なことに舞を奉納して当日の天候は悪くて、海は大荒れで陸からの強い風によって横殴りの雪が打ち付けている。 幸い、神社の方向の風向きから、建物が風よけになって舞を見るのはそこまで辛い環境ではなかったけど、おそらく初日の出は観られないだろう。神社から見る日の出は絶景らしいので、ちょっと残念だった。
親戚の子が踊っていた舞はすごく幻想的だった。 なにか魂に刻まれている感じ。 なぜか一度見ただけで心の奥に焼き付いて、舞を再現できそうだったので、ダンスレッスンに似た感じで、寒空の中で体を温めるために舞の真似事をしていると、その子と本家の奥さんがそれを見つけて、舞を踊ってみないかと誘われた。
「えっ、でも、東京から来た私なんかが踊ってもいいんですか?」
「あんたも夜凪の女でないの。 それにもう龍神様への奉納は済んどるし、龍神様も夜凪家が誇る大スターの舞を見たいに決まっとるわ。」
私は大スターとか面と向かって言われて照れたけれども、あの妙に魂が惹かれる舞の衣装を着てみたいこともあって、快諾した。
そこから3時間ほど、親戚の子や経験者のおばさんに即席レッスンをしてもらって、夜明け前に舞の衣装を着飾った。
「「お姉ちゃん! すごくきれい!!」」
「景、すごくきれいだわ。 私も昔はこの衣装を着て踊ったものよ。 景もこの衣装を着て舞を踊るなんて感慨深いわ。」
親戚のおじいさんやおばあさんなども、
「舞の衣装を着ると、本当におおばあさまに似とるな。 ねんねの頃に見た、舞を踊っとったおおばあ様を思い出すよ。」
「あの頃はおおばあ様が舞うと本当に天気が良うなったさかいな。 龍神様も景ちゃんを観れて嬉しいやろう。」
最後にひいおばあちゃんが来て、
「若い頃のわしにそっくりや。 これでも町内中から大もてやったんやさかいな。 会えんて思うとった孫の舞がみられるなんて、本当に幸せや。」
涙ぐみながらそう言って、私を舞の舞台に送り出してくれた。
舞台の上では、和楽器を演奏する親戚や町内の方がスタンバイしており、舞台から外を見ると、お母さんやルイ、レイや親戚の方々の外に、沢山の町内の方が詰めかけていた。
どうも、私が舞を踊るという噂が広がったらしく、町内からかなりの人が押しかけてきたみたいだ。 この辺は町内のネットワークという感じなのだろうか。 正直、年越しの時間にやった本番の奉納時よりも人が集まっている。
手にはそれぞれスマフォなどを持っており、親戚の人がちゃんとしたビデオカメラで撮影している他に、お母さんも私の舞を撮影するためにスマフォを構えていた。
そんな注目の中、私は大したプレッシャーを感じる事もなく、舞台の中央に進んで一礼をすると、舞を踊り始める。 場慣れ? 違う。 なぜか私はちゃんと踊れることが分かっているからだ。 沢山の人に見られているプレッシャーなんて全く感じなかった。
数時間前に見たばかりの舞のはずなのに、体が覚えているみたいに全く間違う事なく優雅に踊れる。 舞台やダンスのレッスンをしてきた私から見ても、今の私の舞はすごく綺麗に見えているだろう。
まるで自分の体じゃないみたいに、考える事なく体が動いていく。 そして、私の心の中には、舞とともに深い静粛が訪れていた。
舞を踊りながら、頭の中に水滴が落ちるような、ぽちゃん、ぽちゃんと言った音が響く。 私は演奏されている音楽ではなくて、この水滴の音をリズムとして舞を踊る。 何か背後に暖かくて力強い存在を感じる。
トランス状態とか、ゾーンに入ると言うのはこんな感じなのかもしれない。 普段、演じて役になり切るのとはまた違った入り込みの状態。 もしかしたら、私の演技の才能の根源は、こういった代々舞を踊って龍神様を喜ばせていた巫女の血から来ているのかもしれない。
私は気が付かなかったんだけど、実は踊っている間、神社の周囲にものすごい突風が吹いていたらしい。 そして、なぜか私が踊る舞台の上は無風だった。
私は極限まで研ぎ澄まされた感覚で、最後の水滴が落ちる音と共に、舞の動作を終えると神社の中をまるで竜巻にあったようなすごい突風が上に向かって吹き上げた。 まるで龍神様の歓喜のような突風だった。
みんな目も開けられないような突風だったらしい。 神社の境内にあったテントもいくつか飛ばされた。 幸いけが人は居なくて良かった。
そして、突風が吹きあげた後に静寂が訪れた。 周囲に漂う荘厳な空気と共に、あんなに吹き荒れていた風が一切無くなり無風となった。
真っ暗な闇の中で、荒れていた海が、まるで油を流したように静かになっていた。
「夜凪だ。」
しばらくの静粛の後に、ひいおばあちゃんが口を開いた。
「夜凪や!」
みんな口々に夜凪って言葉を口にする。
「これが夜凪!」
「初めて見た! 夜凪って本当にあったんだ!」
「おとぎ話じゃなくて、本当に龍神様が満足すると荒れ海から突然、夜凪になるんだ。」
それを聞いた沢山の老人や漁業関係者の人などが神様にお祈りをしている。 ひいおばあちゃんやおばあちゃん、親戚の方などもみんなお祈りしている。
そんな姿を見て、私は意味が分からずに呆気に取られていたけど、空気を読んで一緒にお祈りするポーズを取っておいた。 龍神様が居たとしたらもう帰られたと思うんだけど・・・。
そこから神社は大騒ぎになった。
1時間ぐらい後に、雲が無くなって晴天となった山から太陽が上がり、見事な初日の出を迎えたのであった。
「なんか、今年も良いことがありそう。」
神社から日の出を見ていた私は、見事な初日の出をプレゼントしてくれた龍神様に感謝して、お賽銭箱にお賽銭を入れて、お母さんやルイ、レイと共に神社でそのまま初詣を終えるのであった。
充実した(?)年越しを過ごした景ちゃんのお話でした。
珍しい彼女の苗字の意外なルーツを想像しながら書かせていただきました。
もちろん、夜凪ママの故郷が金沢というのも私が勝手に書いた妄想で、原作には無い設定になります。(すいません。 (o_ _)o)
今年一年も『星アキラは自由に生きたいっ』の連載を続けられて、沢山の人に読んでいただいて本当にありがとうございました。
来年には、別の話を挟んだ後に、いよいよ羅刹女編に入って行きそうです。
また来年も続けていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは皆様、良いお年をお迎えください!
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芸能人格付け選手権スレ
93名無し@格付け民
いよいよ正月の芸能人格付け選手権が始まるな
94名無し@格付け民
今年は星アキラと百城千世子と明神阿良也が参戦とか、どうなるんだろう?
95名無し@格付け民
あの珍獣は絶対に何かやらかす。
96名無し@格付け民
チーム珍獣とか、千世子ちゃんがかわいそう
97名無し@格付け民
リーダーは珍獣だからな
98名無し@格付け民
あの珍獣は食レポがへたくそで有名だから、1問目で画面から消えても驚かんぞ
99名無し@格付け民
この三人はチームなんだよな。
100名無し@格付け民
千世子ちゃんが道連れになって、爆死する未来が見える
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221名無し@格付け民
珍獣チームの最初は阿良也からか。
222名無し@格付け民
毎年恒例のワインだから、阿良也以外は未成年だからな。
223名無し@格付け民
とりあえず、阿良也がちゃんと当ててくれればいいんだけど・・・。すぐに映らなくなりそう・・・。
--------------アキラ視点--------------
「さあ、明神阿良也の番です。」
「舞台の上で本物の演技を見せる一流芸能人、明神阿良也はシャトー・ムートン・ロートシルトとテーブルワインの違いを見分けることができるのか!」
大御所っぽい雰囲気でおもむろに席に着く阿良也。ここまでは大丈夫そうだ。 特有のミステリアスな雰囲気と相まって、まだボロは出ていない。
そして、おもむろにワインに口を付けて、一気に飲み干したーーーーーっ!
「「「「「「「ええええっ」」」」」」」
阿良也の奇行の前に困惑するスタジオ。
そして、もう一つのワインも一気に飲み干す。
「うん。美味しかった。」
「阿良也! そういう番組じゃないから! 高いワインを当てる番組だから!」
「美味しければいいじゃん。」
「そっそれで、どちらが1本100万円のシャトー・ムートン・ロートシルトでしょうか!?」
「こっち。 こっちの方が美味しかった。」
「阿良也、香りがどうとか、味がフルーティーとか無いの?」
「ん――――――っ? こっちの方がいい匂いがした。」
「だめだこいつ、食レポ以前の問題だわこれ。」
「そういえば、阿良也君に食レポさせた事は無かったわよね。」
「阿良也、もうちょっとあるだろ? 蚊の鳴くようなスパイシーな香りとか、象の檻に入ったようなフルーティーな香りとか!」
「アキラちゃんの表現もさっぱりわからないわ。」
「そうだな。 家の階段を下りて、公園に植えられていたイチョウの木が普段は綺麗なのに、ぎんなんの実の匂いがして、うぇってなるような、でもぎんなんは美味しいから夜凪ママの所に持って行って、茶わん蒸しを作ってもらうような、そんなイメージ?」
「ツッコミが追い付かないわ!」
---------------------------------
308名無し@格付け民
こいつら、全員だめじゃねぇか!
309名無し@格付け民
やっぱり珍獣とゆかいな仲間たちなんだよなぁ・・・。
310名無し@格付け民
この勢いなのに、正解を引き当てるってね・・・。
311名無し@格付け民
美味しい→高い(正解)、これは一流芸能人ですわ。
312名無し@格付け民
まぁ、高いものは美味しいんだろうけどさぁ、阿良也君さぁ。
313名無し@格付け民
これで正解を当てられるとか、やっぱりすごい感性だなwww
314名無し@格付け民
酔っぱらった阿良也がアキラ君に絡んどるww
315名無し@格付け民
やっぱりこいつら、仲いいな。
316名無し@格付け民
阿良也君が酔っぱらったまま、介抱するアキラ君はしかたがなく、ホテルの部屋まで・・・ごくり。
317名無し@格付け民
腐女子は板違いなんだが・・・。
318名無し@格付け民
シンプルなのが一番強いよww
319名無し@格付け民
ある意味、一流芸能人の正しい姿とも言えるw
320名無し@格付け民
理屈なしで自分の感性をここまで信じられる人もいないだろうから、ある意味一流ww
321名無し@格付け民
野性に生きてんな阿良也w
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575名無し@格付け民
続いて、ヴァイオリンか。
576名無し@格付け民
これは珍獣の出番だな。
577名無し@格付け民
珍獣の独壇場だろ
578名無し@格付け民
他の芸能人は意外に外しまくっているんだよな。
579名無し@格付け民
ぱっと聞いてわからないよ
--------------アキラ視点--------------
「さあ、15億円のストラディバリウスと80万円のヴァイオリン、どっちがストラディバリウスでしょうか!」
「うん。 Aは音色、伝達性、演奏のしやすさ、反応性、どれをとっても素晴らしいね。 Aはきらびやかでセクシーな音色だよ。 対してBは演奏のしやすさと反応性に劣るかな。」
「なるほど。流石はヴァイオリンの演奏に定評があるアキラ君ですね。 それでは、ストラディバリウスはどっち?」
「Bだね。 長年チューニングされ続けたために出る正確な音階と、響くけど枯れた音。 アンティークなために湿度やコンディションによって変わりそうな気分屋な音色。 良く響かせるために修行が必要な気難しい音。 まちがいなく、値段だけバカ高くてコスパ最悪のストラディバリウスはBだね。」
「あの、ストラディバリウスに何か恨みが?」
「無いよ。 演奏家にとってストラディバリウスを演奏できるのは名誉な事だけれども、名誉なだけだよね。 湿度管理とか、メンテナンスとか文化遺産を管理する責任を考えたら、歴史がありすぎて常用は無理だね。 みんなだって、古伊万里の高価なお皿に毎日野菜炒めとか盛って食べるのは抵抗あるでしょ?」
「えっと、Aの方が良いヴァイオリンなのでしょうか?」
「何をもって良いヴァイオリンとするかは、人によって変わるだろうね。 少なくとも、音については80万円と15億円と言うほど差は無くて、どちらかというと、弦と弓の方が音に対する影響は大きいかな? この辺は演奏者の子が80万円の方の甘い音をうまくフォローしたよね。」
「アキラちゃん、それ、ストラディバリウスのフォローになっていないわ。」
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673名無し@格付け民
なんの迷いもなく当てやがった。
674名無し@格付け民
これは酷い判別の仕方www
675名無し@格付け民
この理由ならみんな外すのもわかる気がする。
676名無し@格付け民
やっぱりアキラ君ぐらい演奏できると、すぐに聞き分けられるんだな。
677名無し@格付け民
ストラディバリウスに親を殺されたかのようなコメントに草生えるwww
678名無し@格付け民
ストラディバリウスって気難しい楽器を上手く鳴らせるようになるところに価値があったりするからな・・・。
679名無し@格付け民
ひどいディスりを見た。
680名無し@格付け民
絶対にストラディバリウスに恨みがありそうww
681名無し@格付け民
あっ、アキラ君がストラディバリウスを演奏?
682名無し@格付け民
それは興味がある。
683名無し@格付け民
うめぇwwww 超すごい。
684名無し@格付け民
謎の感動。
685名無し@格付け民
最初に弾いてくれたヴァイオリニストの子が霞む。
686名無し@格付け民
この感情に訴えかける演奏がすごい。
687名無し@格付け民
ディスっていた楽器でこれよ! マジで一流の演奏家じゃないの?
688名無し@格付け民
やっぱ星アキラすげえよ。 これこそ珍獣だよ。
689名無し@格付け民
ヴァイオリニストの子が感動で泣いとるwww
690名無し@格付け民
銀河鉄道の時もそうだったけど、生で聞くとマジですごいんだろうな。
691名無し@格付け民
ヴァイオリニストの子に握手を求められるアキラ君。
692名無し@格付け民
これはマジで一流芸能人ですわwww
693名無し@格付け民
アキラ君ってコンサートとかしないのかね?
694名無し@格付け民
Youtube以外にはたまに人前で弾くけれども、本人はコンサートとか興味なさそう。
695名無し@格付け民
アキラ君はコンマスというよりも完全にソリストだからな。 ちゃんとしたコンサートだと、周囲を固められる人を探すのも大変そう。
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794名無し@格付け民
次で最後だな。
795名無し@格付け民
千世子ちゃんは、高いコーヒーを見分けられて流石だったな。
796名無し@格付け民
本人もコーヒー好きだっていうし、ちゃんと当てられてすごいよね。
797名無し@格付け民
阿良也もすげぇ、こっちの方がいい気がするとか、こっちの方が匂いがいいとかで正解を当てまくっているじゃん。
798名無し@格付け民
阿良也の感性はすごい! 本物って感じ。 本物は本物を知るみたいな。
799名無し@格付け民
結局、この珍獣チームは一流芸能人枠に残り続けているのなww
800名無し@格付け民
最後のチェックだな。
--------------アキラ視点--------------
「最後はしゃぶしゃぶ対決です。神戸牛とアメリカ牛、そして絶対にアカン食材が混じっています。 一番高い肉を当ててもらいましょう。 それでは行ってみましょう。
「それでは、一流芸能人、星アキラ行ってみましょう! まずはAです。」
「うーん。柔らかいね。 油もすごい感じ。」
「淡白な食レポですね。 味の深みとかは・・・。」
「かまぼこをジューシーにした感じ? 口の中でどろどろに溶けて気持ち悪いね。」
「全然伝わらへん。アキラ君も明神阿良也の事を笑えへんで。」
「続いてBの肉です。」
「ちょっと筋があるね。 あと、少し臭みがあるかも。でも、Aの肉よりも健康的でいいかも。」
「なるほど。 続いてCの肉です。」
「僕の珍獣センサーにびびっと来たよ! これだよ! この現代社会に見られないような野性味、そして大草原をかける豊かな筋肉質。そしてじゅわーっとしみる脂身。これこそ、最高の肉だね。」
「ええっ。 それではCの肉でいいんですか?」
「そうだよ、これこそ珍獣を名乗る僕が食べたかった肉だよ! この現代社会に見られないような、飼いならされていないワイルドな肉感。 これこそ野生の肉だよ!」
「それではCでいいんですね?」
「Cだよ! 珍獣の名にかけて、Cの肉が一番高いよ!」
「それでは、判定です! ・・・・・『映す価値無し!』」
「きゃあ、アキラちゃん、なんてことをするのよ!」
「最後の最後に外して、星アキラ達3人が脱落。 」
「えっ? Cの肉が一番高いはずだよ? 僕の珍獣センサーがビビッと来たんだから間違いないよ!」
「そうだな。Cの肉が一番おいしそうな匂いがした。」
「Cの肉はハクビシンの肉でした~。」
「おおう。 高そうなジビエの味がしたから正しいじゃん。」
「アキラちゃん、神戸牛を当てないとだめじゃない。」
「あんなに脂っぽくて半分溶けかかったようなお肉なんておいしくないよ。 無添加大自然のお肉の方がワイルドで美味しいよ!」
「アキラちゃんの好みの問題じゃないの!」
「ぎゃあっ!僕たちの体が消えていく~!」
「うーん。 アキラの言う通り、Cの肉の方が美味しそうなんだけどなぁ・・・。」
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923名無し@格付け民
あーあ。 珍獣君、自分に嘘はつけなかったか。
924名無し@格付け民
一流の役者なのに、嘘がへたくそでワロエルww
925名無し@格付け民
確かに、高級すぎる牛肉はほぼ脂だからなww
926名無し@格付け民
珍獣センサーww ハクビシンを見分けるとか正しすぎるだろww
927名無し@格付け民
珍獣が珍獣を食うとか共食いじゃねぇかwww
928名無し@格付け民
アキラ君、自分に正直すぎてワロタww
929名無し@格付け民
ストレス無く生活してそうwww
930名無し@格付け民
自分が美味しいと感じる肉 = 高い肉じゃないからな。
931名無し@格付け民
無理に選べばちゃんと当てられたんだろうけど・・・。
932名無し@格付け民
ハクビシンの肉も100gで千円~二千円って所だから、高い肉を当てろって意味だと割といい線に行っているよな。
933名無し@格付け民
最高等級の神戸牛だからこの値段であって、ブランド料が込みだから、肉自体の本当の価値じゃないしな。
934名無し@格付け民
むしろ、ここでアメリカ牛で外して二流芸能人か、三流芸能人でぎりぎり残っているほうが恥ずかしいわ。
935名無し@格付け民
一発アウトか。 残念だったな。 最後まで見たかったな。
936名無し@格付け民
このぐらいの潔さが芸能人には欲しいな。 無理に当てに行っていなくて、好感度が上がった。
937名無し@格付け民
自分に嘘をつかない所あたり、逆に一流芸能人っぽい。
938名無し@格付け民
我が道を歩くって意味だと、間違いなく一流芸能人だなww
939名無し@格付け民
珍獣はやっぱり、珍獣には抗えないんだな。
940名無し@格付け民
まさに、真の珍獣とは星アキラの事よ!
941名無し@格付け民
でも、あの肉、サシの入り方がちょっと変なんだよな~。 本当に最高級の神戸牛なのかな?
942名無し@格付け民
うん。肉屋の俺から見ても、最高級にしてはサシの入りがちょっと荒い気がする。
--------------アキラ視点--------------
僕たちは、みんなで僕の車に乗ってスタジオから帰っていた。
「で、アキラちゃん、どうしてわざと外したの?」
「いや、番組のゲスト枠だし、一流芸能人として最後まで残ると、次回も出てくれとか、レギュラーメンバーが目立たなくなって、いろいろ大変じゃん。 それなら盛大に爆死して、ゲスト枠の仕事を果たした方がいいよ。 それに番組収録に最後まで付き合わなくて良くなるし、ディレクターさん的にもこの後の優勝者を引き立てるための、良いタイミングだったと思うよ。」
「呆れた。 半分やらせみたいなものじゃない。」
「やらせじゃないよ。 空気を読んだだけさ。 ちゃんと番組での自分の役割を理解して立ち回れれば、いろんな仕事に呼んでくれるようになるんだよ。 今回もちゃんと年末のバラエティ―番組に呼んでくれたじゃん。 僕たちが上手く番組内の役をこなせば、スターズの後輩たちにもチャンスが生まれるのさ。」
「バラエティーの中の役とか、ふわふわしていて固まっていないから難しいな。」
「阿良也とか景ちゃんはそうだね。決まった役を演じるのではなくて、自分のキャラクターを出していかないといけないから、キャラクターを定めていない俳優には難しいところがあるよね。 普通のリアクションだと面白くないし。」
「でも、今日の阿良也君は十分個性的だったわよ。」
「うん。 利きワインの一気飲みとか普通の人には絶対にできないw あれはすごい撮れ高だったよ。」
「でも、最後のお肉は、絶対にアキラが言ったCの肉が一番いい匂いがしたんだけどなぁ。」
「まぁ、一番おいしいお肉が一番高いわけじゃないからね・・・。 ちょっと早く番組収録も終わったし、夜凪ママも里帰りしているから、今日は帰りに何か食べて帰ろうか?」
「「賛成!」」
こうして、僕たちは仲良く外食をして無事に家に戻ったのだった。
その後、実は神戸牛はスタジオの照明の熱で肉のサシが溶けてダメになっており、急遽、ADさんが近所のスーパーで一番高い黒毛和牛で代用した結果、100g九百円の肉であり、実はハクビシンの肉が一番高い事が発覚してちょっとした騒動になるのだけど、それはまた別のお話。
正月から重大なニュース続きで、2024年は波乱の幕開けですけれども、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
大晦日の更新分が景ちゃんが金沢に行く話だったので、元旦から石川県が地震に見舞われてすごく驚いてしまいました。
地震や事故によりお亡くなりになられた方々にご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に対してお見舞い申し上げます。
今年は元旦の芸能人格付けチェックも延期されましたが、1月7日には放送するようでしたので、それに習っていつものペースを取り戻すべく、こちらのお話を投稿させていただきました。
年の初めから波乱の年になりそうな2024年ですが、なんとか幸多き一年となりますようにお祈り申し上げます。
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柊雪はまたも二人の寸劇を見る
-------------柊雪視点-------------
イカ娘が終了してしばらく経った後に、スタジオ大黒天の事務所にアキラ君と千世子ちゃんが再び訪れていた。
「百城、どうやら第一次イカ娘計画は失敗のようだな。やはり死海文書に書かれている通り、イカ娘はヒットしてしまったようだ。」
「星、マザー機関の方針に逆らってヒットさせたのはまずかったな。 しかし、我々の目的であるエンジェルインパクトによる投影計画は一歩前進と言ったところだな。」
今日のアキラ君は明らかにダサいサングラスを付けて、机の上で肘を立てながら指を組んでいる。 千世子ちゃんはアキラ君の一歩後ろでピシッと立ちながら後ろで腕を組んでアキラ君に付き合っている。
・・・これはどう見てもエヴァンゲリオンの碇司令と冬月副司令の寸劇だ。 千世子ちゃん、あなたはどう見ても冬月コウゾウじゃなくて、綾波レイの方が似ているんじゃないの?
「イカ娘があんなにヒットするとはな。 アイドル補完計画は我々の想定を超えて進んでいると見える。 次の手を打つべきだな。」
「しかし、マザー機関の方針に逆らって、これ以上ヒットさせるのは無理があるぞ。 諮問会議の連中も動き出しているという情報もある。 星、これ以上のヒットは危険だ。」
「ロンギヌスの槍(意味深)を使えばあるいは・・・。」
「ロンギヌスの槍は危険だ、星! 様々なものを失うリスクが高すぎる!」
そう言うと、アキラ君はガクッと机に突っ伏して、両手で髪をぐちゃぐちゃにした。
「もーーーーっ。 どうしてあんなに好き勝手に作ってハッチャけた映画がヒットしちゃうんだよ~~~っ!」
あっ、アキラ君が現実逃避を止めて、我に返ってサングラスを脱ぎ捨てて葛藤している。
「アキラちゃん、まだ気が付かないの?」
「千世子ちゃん、何を?」
「アキラちゃん、シンデレラの話はどう思う?」
「絶対君主制の専制国家で、あんなお手伝いさんみたいな子が王太子妃になって上手く行くわけないじゃん。 なんで国に騒乱のタネをばら撒いているんだよ。 でも、貴族派なんかの政敵を炙り出すために、王子側がわざと隙を見せて、政敵を片付けようとしているのであればワンチャンある。」
「理由なき反抗は?」
「ジェームズ・ディーンの名演がすばらしいね。 これこそまさに伝説のスターの演技だよ。 すごくカッコ良くて憧れるよ。 でもそれを除いたら映画自体はなにをしたいのかマジでよくわからん。 みんな自滅しただけじゃん。 理由なき反抗の理由が無さ過ぎてまじヤバイ。」
「水戸黄門は?」
「あれだけ何回も全国を回っていたら、みんな黄門様の顔知っているんじゃないの? あと、悪代官と悪商人はどんだけいるんだよ。 毎回1県に1人以上居るじゃん。 世直しの旅以前に、日本中がこんだけ悪代官ばっかりの政治体制の根本がやばいじゃん。 天下の副将軍なら趣味で旅行に行く前に幕府の組織体制と規律を直そうよ。 このままじゃ、世直し以前に討幕の気配が濃厚だよ。」
「これでもまだ分からないの? アキラちゃんは面白い映画しか撮る事が出来ないの。 大衆の心がわかりすぎて、つまらない赤字映画を撮る才能が無いのよ!」
「なっなんだって------っ!」
「俳優は大衆のために在れ。 それがスターズの方針よ。 私たちはこの方針で今まで育てられてきたわ。 つまり、大衆の事を第一に考えた私たちの映画は、監督の自己満足で台無しになるようなつまらない映画を撮る事が出来ないのよ!」
「確かに! 俳優は大衆のために在れ。「どうしたいか」より「どうあるべきか」を優先してしまう僕達の呪いだ! 幼少の頃からこれを叩き込まれた僕たちは、これが枷になってつまらないクソ映画を撮る事が出来ないんだねっ! そんな事ってっ!!」
「アキラちゃん、これは大衆の顔色を窺って、自分のためでは無くて、大衆のための映画を撮ることしかできない私たちへの罰なのよ。 私たちは根本からつまらなくて売れない映画を撮る事ができないの!」
「そんなっ! こんなに頑張ってきたのに! つまらない映画が撮れないなんて!」
いや、お前らは何も頑張っていないだろ!
「アキラちゃん!」
「千世子ちゃん!」
そういって、二人は涙を流してお互いを諫めあっている。 ここだけ見ると、極上なドラマのクライマックスシーンのような見事な演技だ。 悔しいが、外面だけを見ると、間違いなく美男美女だ。 それも傾国レベルの。 ・・・中身はお察しだが。
「おい、柊、こいつら二人を摘まみだせ! 営業妨害だ!」
あっ、ついに墨字さんがキレた。
「墨字さん、酷いですっ! アキラさんと千世子ちゃんがこんな素敵な演技をしているのにっ! 私も涙が・・・・。」
「景ちゃん、これに感情移入できるなんてすごいわね。 流石は女優ね。 私には絶対に無理だわ。」
「でも、このまま映画で赤字を出せないのはまずいよ!」
「私にいい考えがある!」(コンボイ声)
「大丈夫なの!? 千世コンボイ司令官!」
「大丈夫だ。 問題ない。」(イーノック声)
あれ?このパターンってどこかで・・・。
「私達に無理なら、ちゃんと赤字の映画を撮れる逸材に任せればいいのよ。」
そう言って、ババーンというような効果音が付くようなポーズで、千世子ちゃんは私を指さした。
「そっか! 高校生の時にどんな映画を撮りたいかわからないとかテンパってた雪ねえちゃんなら、赤字映画を作る監督に最適だね!」
おい、バカ! 止めろ。 ここで私の黒歴史を掘り起こすんじゃない!
「だめよ! いきなり赤字目的の映画を撮るとか、監督として耐えられない。」
私はアキラ君に反論する。
「別に? 赤字はすでに確定しているんだから、雪ねえちゃんの好きなように撮ればいいじゃん。」
「そんなの出来る訳ないでしょ!」
「雪ねえちゃんは、なんて我が儘な監督なんだ!」
「アキラ君に我が儘とか言われたくないわ!」
「それじゃ、この3人の中でじゃんけんをして負けた人が次の監督になるって事にしようか。」
「賛成だわ。」
雑よ! 雑。 こいつら、なんて方法で次の映画の監督を決めようとしているのよ! そして、その中に私も加えないで! なんで私も加えて次の映画監督を決めることになっているのよ! しかもこれじゃ、次の映画の監督が罰ゲームみたいじゃない!
「「出さなきゃ負けよ~。じゃんけんポイ!」」
こいつら、よりにもよって、出さなきゃ負けが決まるタイプのじゃんけんをしやがった。 ここで私がじゃんけんに参加しなければ負けて自動的に監督になってしまう!
私は急いでグーを出した。 ・・・そして、アキラ君と千世子ちゃんはパーだった。
・・・・・終わった・・・・・・。
「「それじゃ、雪ねぇちゃん、次の映画の企画と監督をよろしく!」」
あの悪魔二人は見事にセリフをハモらせながら事務所を出て行った。 私はグーを出したままの右腕を呆然と見つめていた。
「柊、やられたな。」
「墨字さん、やられたって何が?」
「環蓮がじゃんけんで負け無しなのは知っているか?」
「ええ。もちろん知っているわ。 有名じゃない。」
「おそらくあの二人と環蓮がじゃんけん勝負をすると、互角か下手をすれば勝つぞ。」
「・・・つまり?」
「つまり、あの二人とじゃんけんをした時点で、お前の負けは決まっていたという事だ。」
「あのクソガキども~!」
キレた私はあの二人を追いかけて事務所を飛び出した。 「雪さん、待ってください!」そう言って景ちゃんが私の後を追いかけて来た。
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その後、事務所にて、
「柊、映画監督にとって、予算を気にせずに、自分の好きなスターを使えて、自分の撮りたい映画を撮れる機会が人生の中でどれだけあると思う? そんなチャンスが初監督の映画撮影に舞い込んで来るなんて、お前は間違い無く最高に幸運な映画監督だろうよ。」
墨字さんがそう独り言をつぶやいたのを、誰も聞くことは無かった。
原作では自分の映画を作る事ができなかった、雪ねぇちゃんが作る映画の撮影がついに始まります! 彼女はどんな映画を撮るのでしょうか? お楽しみに!
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