風邪
冬に向かい寒くなってくると風邪が流行ってきます。 たかが風邪とあなどってはいけません。 合併症に陥らないために、風邪はしっかり治したいものです。 風邪の予防法と治療についてご紹介します。
実は「風邪」という病名はありません
風邪は、鼻や喉など呼吸器でおこる急性の炎症の総称で、 鼻づまりや鼻水、くしゃみ、喉の痛み、咳、発熱、頭や関節の痛みなどの症状が現れます。 風邪の大部分は主にウイルスの感染によるものですが、ウイルスに対する特効薬はまだありません。
風邪には、普通感冒とインフルエンザがあります。 特にインフルエンザは、気温が低く、空気が乾燥してくる1~2月に大流行します。
風邪は万病のもと
風邪から体調を崩し、肺炎、中耳炎、急性腎盂炎や脳症などのさまざまな合併症を起こすことがあります。 また、風邪にかかると、糖尿病、心臓疾患、肺疾患、腎臓疾患などの いわゆる「生活習慣病」の方の病状が重症化しやすいこともあります。 風邪による免疫力の低下で、本来ならばかかることのない重度の感染症にかかり、 体内の免疫系が暴走を始めてしまうことがあります。 風邪が治った後、免疫組織が今度は自分自身の体内組織を間違って攻撃し始める 「自己免疫反応」と呼ばれる症状が時々起きてしまうことがあります。
日頃から生活に気をつけて風邪にかからないように予防するのが一番です。
予防
風邪の予防には、ウイルスに対する抵抗力がポイントです。 そこで日頃からバランスのとれた食事と適度の運動、休養に心がけましょう。 そして極端な厚着や薄着を避け、衣服の調節をこまめに行いましょう。
また、風邪にかかっている人のくしゃみや咳を直接浴びないように気をつけ、 外出から帰ったときの「うがい」と「手洗い」を習慣づけましょう。 ウイルスを含むくしゃみや鼻水などがついた物に触れた手で鼻や口に触れて感染することも多いため、 手洗いは大変有効です。
それでも風邪にかかったら
風邪の治療は、症状を改善する対症療法をとりながら、自然治癒力を早く高めることが大切です。
- 部屋を暖かくして早く寝て十分な睡眠をとりましょう
- 加湿器などで室内が乾燥しないように気をつけましょう
- 入浴は控えましょう
- 食事は温かく、消化のよいものをとりましょう
- 水分、ビタミンCを十分に補給しましょう
- マスクでウイルスは防げませんが、冷たい外気を直接吸い込まないため、喉の乾燥を防ぎ温める効果があります
食事療法
熱があるときは、代謝は進んでいるものの消化能力が低下しています。 温かく、消化吸収のよい、高エネルギーの食事をとりましょう。 温かいものは、身体を心から温めて発汗させ熱を下げる効果があります。 お薦めは雑炊、煮込みうどん、シチュー、豚汁など。 また高熱のときはビタミンの消耗も激しいので、ビタミン類を多く含んだ野菜や果物を十分にとりましょう。
喉が痛いとき、食欲のないときは、薄味にし、刺激が少なく、水分が多く、栄養価の高いものをとりましょう。 喉ごしのよい、卵どうふ、おじや、ポタージュ、プリン、ヨーグルト、アイスクリームなどがお薦めです。
咳の激しいときは、からし、わさび、カレー粉など、刺激性の強い香辛料は控えましょう。
内科 吉井和也