朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASLDT54NZLDTUTQP01P.html
フィギュアスケートコーチ
男子フリーで演技する宇野昌磨=内田光撮影
優勝した宇野昌磨選手は、足を負傷していたにもかかわらず、それを感じさせない演技でした。力がついてきたんだなと感じました。
私が新横浜で浅田真央や小塚崇彦を指導していた頃、愛知県の中京大のリンクにも通っていたことがありました。5年ほど前の話です。宇野選手もそのリンクを拠点にしていて、当時はトリプルアクセル(3回転半)ジャンプの練習にとりかかっていました。
私が別室で休憩していると、どさっ、どさっという音が聞こえて目が覚めるんです。リンクを見ると、宇野選手が何度も何度もジャンプを跳んでは失敗を繰り返していました。10回中10回、転んでいた。正直、完成する日が来るんだろうかと思っていました。そういう選手がここまで立派に成長した。努力の結晶です。
いま日本男子を引っ張っている宇野選手も高橋大輔選手という先輩がいて、お手本にしてやってきた。いまは宇野選手が後輩たちのお手本になっている。彼のような選手がいることは後に続く選手たちにとって幸せなことです。今大会も将来が楽しみな選手が何人もいました。こうして日本のフィギュアスケート界が一歩一歩進んでいく。指導者としてこれほどうれしいことはないですね。(フィギュアスケートコーチ)
・ 2018.12.20-24 第87回全日本フィギュア選手権大会2018