今回は、ニッカウヰスキーの低価格ボトルであるブラックニッカクリアと、ハイニッカを比べていきます。
当初は品質重視で、原酒をなるべく多く使いながらも高価格なウイスキーを出していたニッカは、新たに親会社となったアサヒビールから派遣された役員から、原価率を低く抑えつつも高品質で低価格なウイスキーを作れば、多く売れるからトータルの利益が多く出るとのアドバイスにより、1956年に発売した「丸瓶ニッキー」が大ヒットしたことで、以降コストパフォーマンスを重視する戦略に切り替えました。
その後アサヒビールからの資金提供もあって、本格的なグレーンウイスキー用の蒸留器としてカフェ式蒸留器を1962年に導入、これを使ったカフェグレーンウイスキーをブレンドする新しいウイスキー作りに着手しました(実際には2級ウイスキーの基準をクリアするため、スピリットも使われていた)。
そして誕生したのがハイニッカです。当初は創業者である竹鶴政孝考案の「ハイハイニッカ」とする予定でした(ハイハイの由来は、高品質という意味のHi-Fiから)が、ラベルに残されつつも「ハイニッカ」として発売されました。
それから竹鶴政孝は晩年に至るまで晩酌用としてハイニッカを愛飲していました。多くの人が飲むボトルであるが故にその品質が落ちてしまうのを気にしていたからと言われています。
1978年に二級ウイスキーにおける原酒混和率が引き上げられたことにより、ブレンドを改めて「ハイニッカデラックス」を発売、CMも放送され、当時はイケメンのモデルとして人気のあった草刈正雄を起用しました。
1989年にはウイスキーの等級制度が廃止されたことにより、ブレンドに使っていたスピリッツをやめ、モルトとカフェグレーンのみのブレンドに改められました。
その後、ブラックニッカ クリアブレンドが登場するとその影を潜めるようになりましたが、NHKの連続テレビ小説「マッサン」の放送が始まると脚光を集めるようになりました。
2015年にはラベルを改め「ハイニッカ」に戻し、現在に至ります。
クリアブレンドでは、ニッカとしては初めてノンピートモルトを採用し、スモーキーさを減らして飲みやすさを重視したブレンドになりました。
アルコール度数も、従来のブラックニッカが42度に対して、ハイニッカよりもさらに低い37度にして、サントリーのトリスに対抗するボトルとして発売されました。
当初は丸みのあるボトルを採用していましたが、その後現在の角形瓶に改められ、2011年には「ブラックニッカ クリア」と改められました。
味わいは、アルコールの辛さがあるものの、軽いほろ苦さの後に甘みが来ます。
一方でブラックニッカクリアでは、レーズンの香りが先立ち、バニラ、リンゴ、カカオと続きます。
味わいは、甘みが先行し、多少の酸味も感じられます。
味わいは、甘みを伴いながらもほろ苦さが感じられます。
ブラックニッカクリアは、リンゴの香りが先に広がり、レーズン、バニラと香りが続きます。
味わいは、多少のスパイシーさはあるものの、その後は甘さが広がります。
味わいは、酸味が先に感じた後、ほろ苦さと甘さが半々にやってきます。
一方でブラックニッカクリアは、リンゴ、レーズン、カカオ、バニラの香りが連続してやってきます。
味わいは、甘みが先に訪れ、ほのかな酸味が続きます。
ハイニッカはどちらかといえば香りや味わいがあっさりで、水割りやハイボールでも食中酒として飲むにしても料理の味をあまりじゃましないように思えます。
案外和食と一緒に水割りというのも悪くはないでしょう。
一方でロックで飲む場合だと、そこそこにピートからのスモーキーさがあって、飲み応えはそれなりにあります。
とはいえ、近い価格帯にブラックニッカのラインナップがあることを考えると、強いてハイニッカを選ぶというのは難しいかもしれません。
居酒屋などでブラックニッカ クリアのハイボールが供されますが、比較的味や香りの強い料理でないとウイスキーの方が勝ってしまう印象があります。
別の見方をすれば、単体でロックなどで飲む場合でも物足りなさを感じることは少なく、晩酌用のウイスキーとして用意してもいいかもしれません。
コストパフォーマンスの点でみても、ブラックニッカ クリアの方が若干上とみていいと思いますが、竹鶴政孝が晩年まで大切にしていたハイニッカを簡単に捨てるわけにもいかないでしょう。
ハイニッカとは
ハイニッカは1964年に二級ウイスキーとして発売され、今年で誕生から60年を迎えます。当初は品質重視で、原酒をなるべく多く使いながらも高価格なウイスキーを出していたニッカは、新たに親会社となったアサヒビールから派遣された役員から、原価率を低く抑えつつも高品質で低価格なウイスキーを作れば、多く売れるからトータルの利益が多く出るとのアドバイスにより、1956年に発売した「丸瓶ニッキー」が大ヒットしたことで、以降コストパフォーマンスを重視する戦略に切り替えました。
その後アサヒビールからの資金提供もあって、本格的なグレーンウイスキー用の蒸留器としてカフェ式蒸留器を1962年に導入、これを使ったカフェグレーンウイスキーをブレンドする新しいウイスキー作りに着手しました(実際には2級ウイスキーの基準をクリアするため、スピリットも使われていた)。
そして誕生したのがハイニッカです。当初は創業者である竹鶴政孝考案の「ハイハイニッカ」とする予定でした(ハイハイの由来は、高品質という意味のHi-Fiから)が、ラベルに残されつつも「ハイニッカ」として発売されました。
それから竹鶴政孝は晩年に至るまで晩酌用としてハイニッカを愛飲していました。多くの人が飲むボトルであるが故にその品質が落ちてしまうのを気にしていたからと言われています。
1978年に二級ウイスキーにおける原酒混和率が引き上げられたことにより、ブレンドを改めて「ハイニッカデラックス」を発売、CMも放送され、当時はイケメンのモデルとして人気のあった草刈正雄を起用しました。
1989年にはウイスキーの等級制度が廃止されたことにより、ブレンドに使っていたスピリッツをやめ、モルトとカフェグレーンのみのブレンドに改められました。
その後、ブラックニッカ クリアブレンドが登場するとその影を潜めるようになりましたが、NHKの連続テレビ小説「マッサン」の放送が始まると脚光を集めるようになりました。
2015年にはラベルを改め「ハイニッカ」に戻し、現在に至ります。
ブラックニッカクリアとは
ブラックニッカクリアの原型は、1997年に発売された、ブラックニッカ クリアブレンドになります。クリアブレンドでは、ニッカとしては初めてノンピートモルトを採用し、スモーキーさを減らして飲みやすさを重視したブレンドになりました。
アルコール度数も、従来のブラックニッカが42度に対して、ハイニッカよりもさらに低い37度にして、サントリーのトリスに対抗するボトルとして発売されました。
当初は丸みのあるボトルを採用していましたが、その後現在の角形瓶に改められ、2011年には「ブラックニッカ クリア」と改められました。
テイスティング
本来であれば、ストレート、ロック、ハイボールで飲み比べますが、この価格帯になるとストレートで飲むことが少ないため、今回はロック、水割り、ハイボールの順で飲み比べていきます。ロック
ハイニッカでは、アルコールからの刺激が強めであるものの、ピート、ナシ、バニラが続きます。味わいは、アルコールの辛さがあるものの、軽いほろ苦さの後に甘みが来ます。
一方でブラックニッカクリアでは、レーズンの香りが先立ち、バニラ、リンゴ、カカオと続きます。
味わいは、甘みが先行し、多少の酸味も感じられます。
水割り
ハイニッカは、モルトの甘い香りとカラメル、バニラ、ナシの香りが広がります。味わいは、甘みを伴いながらもほろ苦さが感じられます。
ブラックニッカクリアは、リンゴの香りが先に広がり、レーズン、バニラと香りが続きます。
味わいは、多少のスパイシーさはあるものの、その後は甘さが広がります。
ハイボール
まずハイニッカは、軽くスモーキーさを感じつつもマスカット、ナシ、カラメルの香りが続きます。味わいは、酸味が先に感じた後、ほろ苦さと甘さが半々にやってきます。
一方でブラックニッカクリアは、リンゴ、レーズン、カカオ、バニラの香りが連続してやってきます。
味わいは、甘みが先に訪れ、ほのかな酸味が続きます。
あっさり指向のハイニッカ
双方を飲み比べると、かなり違いを感じられます。ハイニッカはどちらかといえば香りや味わいがあっさりで、水割りやハイボールでも食中酒として飲むにしても料理の味をあまりじゃましないように思えます。
案外和食と一緒に水割りというのも悪くはないでしょう。
一方でロックで飲む場合だと、そこそこにピートからのスモーキーさがあって、飲み応えはそれなりにあります。
とはいえ、近い価格帯にブラックニッカのラインナップがあることを考えると、強いてハイニッカを選ぶというのは難しいかもしれません。
万人受けのブラックニッカクリア
ブラックニッカクリアは、ハイニッカよりも香りが強めでフルーティさがあり、味わいも甘みが強めに感じられます。居酒屋などでブラックニッカ クリアのハイボールが供されますが、比較的味や香りの強い料理でないとウイスキーの方が勝ってしまう印象があります。
別の見方をすれば、単体でロックなどで飲む場合でも物足りなさを感じることは少なく、晩酌用のウイスキーとして用意してもいいかもしれません。
コストパフォーマンスの点でみても、ブラックニッカ クリアの方が若干上とみていいと思いますが、竹鶴政孝が晩年まで大切にしていたハイニッカを簡単に捨てるわけにもいかないでしょう。