知恵蔵 「ガラスの仮面」の解説
ガラスの仮面
貧しい家庭に育った主人公の北島マヤは、往年の大女優である月影千草に見いだされ、彼女が旗揚げした「劇団つきかげ」の奨学生として指導を受けて頭角を現していく。月影は、かつて自身が主演した舞台「紅天女」の上演権を持ったまま引退し、自身の後継者を探していたのだった。マヤは、劇団の存続の危機、母の死など様々な試練やいじめなどを受けながらも役者として成長していく。一方、有名映画監督を父に大女優を母に持つ女優、姫川亜弓とのライバル物語や、「劇団つきかげ」と敵対する大都芸能社長の速水真澄との恋愛模様も、ドラマを盛り上げる。
再三にわたって舞台化され、マヤを1979年のミュージカル版では香坂みゆきらが、88年の坂東玉三郎演出による作品では大竹しのぶが、2008年、10年に上演された音楽劇では大和田美帆が演じている。14年8月の舞台はマヤを貫地谷しほり、亜弓をマイコ、月影を一路真輝が演じた。作中でマヤの一人芝居として描かれた「女盗賊ビアンカ」についても07、13年に一般公募による出演者によって舞台化された。
テレビアニメ版は1984年4月から9月までは日本テレビ系で、2005年4月から06年3月まではテレビ東京系で放送され、テレビドラマ版は1997年にテレビ朝日系で安達祐実の主演により放送された。ラジオでは1982年にニッポン放送の「夜のドラマハウス」で放送、ライトノベル化もされている。2006年には劇中の架空の戯曲「紅天女」を基にした新作能が、美内すずえの監修により制作・上演された。少女マンガの金字塔として息の長いファンを獲得しており、登場人物が白眼になる表現がパロディー化されるなど話題を集める作品である。
(若林朋子 ライター/2014年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報