元衆議院議員の金子恵美さんと、身近な話題から政治を考えていく連載の第15回目は、日本の政界を揺るがしている「パーティー券をめぐる裏金」問題について。現役の閣僚や、自民党の重役たちが相次いで辞任するなど、それだけでは終わらなそうな様相を見せているこの問題について、金子さんに伺いました。そもそも、なぜ政治にはお金が必要なのでしょうか。
これまでの金子さんの連載を読む→「こどもも大人もわかる政治」入門
(以下、金子さんのインタビューを夫の宮崎謙介さんがライターとして寄稿してくれました)
なぜ議員の活動にはお金が必要なのか
連日、メディアで取り上げられているのが「政治とカネの問題」です。世の中が揺れに揺れています。これまで議員個人単位での問題が取り沙汰されることは何度もありましたが、今回は一つの派閥の「裏金疑惑」です。しかも疑惑の核となるのが自民党最大派閥の安倍派だというのでさらに驚いてしまいます。
私もテレビでこのことについてコメントすることが多いのですが、「政治にはなぜお金がかかるのですか?」「そもそも政治資金パーティーって何ですか?」など素朴な疑問を寄せられることが多々ありました。今回は今話題のど真ん中である「政治とカネ」について基礎的なことからお伝えし、なるべくわかりやすく具体的にご説明したいと思います。
最も多い質問である「政治にはなんでお金がかかるの?」に対する答えは、「真面目に活動していればかかるのです」としか言いようがありません。「国会議員なんてお金をいっぱいもらってるし、その上なんでさらに資金を集めようとするんだ、充分だろ!」と思われることでしょう。確かに、活動しない議員はそんなにお金がかからないかもしれません。私は政権与党である自民党の元国会議員で、かつ衆議院議員を小選挙区で預かっていたので、その視点からお話をしたいと思います。
そもそも衆議院議員と参議院議員では性質が異なります。参議院議員は6年間選挙がありません。衆議院議員は任期は4年ですが、私が国会議員をやっていた当時は2年も経たずに衆議院が解散されました。つまり突然選挙がやってくる、常在戦場なのが衆議院なのです。常に全力を尽くしていないと次の選挙の時に、「あいつは仕事をしていない議員だから、次は投票するのをやめよう」とか「全然地元に顔を見せないじゃないか、あいつは一体何をやってるんだ」と言われてしまうのが衆議院議員です。参議院議員より選挙区が狭いので、有権者の皆様からのチェックの目も厳しいのです。
裏を返せば参議院議員はエリアも広いし、「きっと今日はここにはいないけれど別のところで活動しているんだろう」と有権者の皆さんが勝手に思ってくれたりするのです。だから、衆議院議員は全方面にいつも全力投球で臨まなければならないですし、地元の要望を細かく聞かなければならないのです。
議員は永田町での活動もあり、1人で選挙区全体のお声を聞くのはどうしても限界があるため、地元に秘書を置きます。この秘書の人件費を、3人まで国が全額出してくれます。政策秘書、公設第一秘書、公設第二秘書の3人です。この3人だけで事務所運営が回せるのであればお金はかかりません。しかし、私の知る限り、自民党の衆議院議員でこの3人で収まっている事務所はまずありません。