
「失読症で文字が読めない...」ハンデを乗り越え”人間国宝”を目指す21歳:家、ついて行ってイイですか?(明け方)
10月1日(月)に放送した「家、ついて行ってイイですか?(明け方)」(毎週月曜深夜 4時放送)では、上野駅前で出会った鏡味仙成さんのおうちにお邪魔しました。

仙成さんは21歳の太神楽師で、太神楽とは、傘の上で物を回す芸などを指します。都内にも30数人しかいないそうで、その中でも仙成さんは最年少。勉強ができない学生時代を過ごし、「お祭りごとが好きだからそれを仕事にしたい」と考えて中学卒業後から稽古を始めたといいます。

18歳の頃から住んでいる部屋には漫画がたくさん置いてありました。普通の本を読むのは苦手。彼女いない歴=年齢で、自炊もしないので冷庫の中はほぼ空っぽ。

壁には師匠と曲芸をする仙成さんの様子を描いてもらった切り絵が飾られていました。横笛や咥えばち(口に咥えた棒に物を乗せる芸に使用する道具)を作る彫刻刀など、お仕事に使うものもたくさんあります。傘を広げてそこにあったパンダのぬいぐるみやお茶碗なども回してくれました。
太神楽は落語と同じ舞台で行なうことが多く、「落語で寝てしまったお客さんを起こして、次の落語を目が覚めた状態で見てもらう」という役割があるそう。

仙成さんが中学2年生のとき、太神楽協会のホームページを通して「太神楽の道に進みたい」という旨のメールを父親に送ってもらったことが始まり。お給料は、1公演につき1円50銭×動員数+援助金で決まる仕組みだといい、動員数によってかなり変動するようです。

そこまで大変な仕事を若くして続けている理由を聞くと、仙成さんは「失読症で文字が読めないんです」と話しました。書いてある文章を頭の中で上手に理解することができず、本を読むことだけではなく電車の到着駅や数学の設問など、様々なところで支障が出てしまうそう。
成績も上がらず、周囲からはバカ扱いされてきたといい、太神楽師として活躍する原動力には「周りを見返したい」という気持ちも大きくあると話します。

仙成さんにとって太神楽という芸能は「覚えたことを評価してもらえる」という魅力的な職業。「この人なら大丈夫」と言われて仕事を頼まれるときは、「自分がやってきたことをちゃんと見てくださっている」と思えるそう。中学卒業と同時に入った太神楽の世界は、仙成さんにとって天職だったようです。

「将来は人間国宝になりたい」と語る仙成さん。「成績が1とか2とかだったのに人間国宝になれたら、それこそかっこいいじゃないですか」と大きな夢を抱いていました。また、「こういう道もあるんだ!」という人生の道しるべにもなりたいそう。ぜひ、太神楽で笑顔を与える仙成さんの姿を観に行ってみては?
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