うおっ乳デカいね♡ 違法建築だろ   作:珍鎮

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おっおっうおっウオッカっおおっ

 

 

 そうだ、セクハラしよう──そう思い至るのに特別な理由は存在しなかった。

 ふと気がつけば理性を押し留めていた杭がブチ飛んでいたのだ。

 クリスマスから長い期間抑圧され続けた欲望は爆発というよりは漏れ出る感覚でヌルッと脳を変質させていった。

 ──冷静に考えて俺は禁欲をし過ぎている。

 三週間だ。

 ほぼ一ヵ月の間普通の男子高校生が日常的に行うであろう営みの一切を禁止し続けてきた。

 そろそろ比喩抜きに肉体が爆発四散してしまう。

 これをどうにかする為には、とにかくエロいことを──故にセクハラの決行を心に決めたわけである。

 

「よかったマーチャン……! あ、ほら、お礼っ」

「はい。ヒーローさん、送って頂いてありがとうございます」

「……あぁ」

 

 眼光は鋭くたわわなおっぱいだけを注視している。

 もはや世間体を健気に守ろうとしていた紳士くんはどこにもおらず、いるのはそこはかとなく視姦してあわよくば触れないかなと熟考するだけの十七歳の男子のみであった。

 いまの俺は──ケダモノだ。ひょひょ~いおっぱいたゆんたゆーん! ふざけるのも大概にしておけ。

 

「……?」

 

 黙って胸を睨み続ける俺を前に、なにも分かってなさそうな笑顔を浮かべるアストンマーチャン。そしてまたぽよよんとそれは揺れた。

 

「ヒーローさん?」

 

 うおすっげナイアガラの滝じゃん……。

 

「せ、先輩? 大丈夫っすか?」

「──あっ、あぁ。……ごめん、平気」

「なんか顔色が優れないような……」

「いやほんと問題ないから、あのウオッカちゃん、ちょっと近い」

 

 マジでボーッとコートの上からでも分かるでっかでっかーを眺めてしまっていたようだ。とりあえずこの場だけは収めねば。おい芳醇なメス・スメルを漂わせながら近づくな後輩! シンプルにキレそう。

 

「アストンさん、ちょっといいか」

「あ、はい」

「きみの身に何が起きているのかは俺も正直分からない。こっちもこっちでいろいろ調べてみるから、暫くは君を認識できる友達のそばを離れないでくれ」

「……ウオッカやスカーレットに引っ付いていろ、という事ですね。それなら得意です。このように」

 

 言いながら俺のかわいい後輩の腕に引っ付きやがるほわほわさん。ちょっと脳破壊されたかも。

 

「何が得意だよ……いっつもすぐどっか行きやがるくせに」

「ふふふ~」

 

 ちょっと百合の間に挟まる男になってもいい? 二人の熱が籠るあそこに住みたい。かまくら。

 

「それじゃあ俺はこれで……」

「あっ、先輩!」

「うん?」

 

 あと一歩で挟まりに行っていた自分を押し留め死ぬ気で踵を返した俺の努力を察することなく、後ろからウオッカが声をかけてきた。じゃあもう本当にセクハラするからな。こんな千載一遇のチャンス、奇跡のバックホームだぞ!

 

「マーチャン、俺少し先輩と話があるから先に屋敷の中に戻っててくれ。あとお前ちょっと冷えすぎ。俺のマフラー巻いとけ」

「ほぇ、もふもふ……ウオッカもかちんこちんになる前に戻ってきてくださいね」

「すぐ戻るよ。……先輩になんか伝言あるか?」

「では今度デートしましょう、と伝えてもらえますか」

「ッ゛!!? ……い、いやっ、それはメッセージか何かで後で自分で伝えろ。とにかく風邪ひく前に中へ戻っとけ、な」

「はぁい」

 

 俺を呼び止めた彼女はアストンの顔に自分のマフラーをグルグル巻いて屋敷へ向かわせてから、バイクに跨っている俺の方へパタパタと駆け寄ってきた。

 

「す、すんません、お待たせしました」

「大丈夫だけど……ウオッカちゃんも寒いでしょ。今夜マイナス二度らしいよ」

「走り回ってたんで平気っす! ……それより」

 

 言葉を続けるよりも先に──彼女は勢いよく頭を下げた。

 しっかり腰から曲げている綺麗なお辞儀だ。一瞬ビビった。

 

「マーチャンのこと、本当にありがとうございましたッ!」

「……」

 

 心根の通った気持ちの良い声だ。

 真冬の静寂な深夜ではよく響く。

 もしかしたら止めるべき過剰な礼の仕方なのかもしれないが、ウオッカ本人がこうまでして感謝を伝えるべきだと考えたのなら、やめろというのも失礼な話だ。

 

「……どういたしまして」

「っ! ……へへっ」

 

 以前から薄々感じていた事だがやはりウオッカは礼節を重んじるタイプなのだろう。根っからの運動部気質というか、先輩後輩の上下関係を深く意識している。たとえ俺のような他校の年上が相手であっても、だ。

 これは可愛がられるタイプの後輩ですね~おい教育的指導が必要なようだな。お前は根っからのマゾメスなんだよ。

 

「大切なんだね、あの子のこと」

「……マーチャンのやつ、目を離したらいつもどこかに消えちゃうんですけど……そのまま帰ってこなくなりそうな、そんな危うい雰囲気もあるんです。今日みたいなのは初めてですけど……だからっ」

 

 顔を上げ、再び俺のそばまで寄ったウオッカうおおっ良い匂い。

 

「秋川先輩が見つけてくれて……マジで安心しました。もう勝手にどっか消えるようなマネは絶対させません。……ほんと、ありがとうございます先輩!」

「……気にしないで。なんたって後輩の為だからね」

「わわっ」

 

 そして遂にウオッカの頭を撫でることに成功したのであった。世間体を放棄する準備は万全ってわけだ。

 うほ~髪ふっわふわでワロタ。マゾメスも悪くないかも♡

 

「いつでも頼ってくれ。……それにウオッカちゃんが探し続けてくれていたからこそ俺もアストンさんを見つける事が出来たんだ。こんな息も凍るような夜の下で……友達の為に必死なウオッカちゃん、カッコよかったよ」

「うぇっ……ぉ、俺がっすか……」

 

 照れと驚きで段々と声が小さくなってきている。今ならセクハラしまくっても雰囲気で誤魔化せそうだ。やるぞ! 歴史を躍動させるぞ! 伝説のスタフィー。

 

「……そ、その、秋川先輩のがカッケーっすよ。マーチャンがヒーローさんって呼ぶのも納得っつーか……」

「本当? ウオッカちゃんにそう言ってもらえるなんて嬉しいな。もっかい撫でちゃお」

「っ、~っ……!」

 

 ところでかなり寒いのだがそろそろ帰ろうかな。エロも眠気と肌寒さの前には無力という事かよ。

 いや違う。

 この後輩を持って帰ればいいのだ。

 温かい部屋の中でならじっくりたっぷり子作りできるだろ。わんわん!わおーん!へっへっ。マジで興奮してきた。

 

「……なぁ、ウオッカちゃん」

「は、はい?」

 

 俺は彼女の頭から手を離し、そのままハンドルを握った。

 

「ウオッカちゃんは……バイク、好きなんだっけ」

「えっ、あっ、は、はい! 免許を取れる歳になったら絶対すぐ取るっす!」

「ははっ……いいね。俺の身内さ、他にバイクが好きなやつ誰もいないんだよ」

「そうなんすか……?」

「だからウオッカちゃんともっとバイクの話が出来たら嬉しいな。よかったら今度一緒にバイク用品店とか行かないか」

「い、いいんすか! 是非お供させてほしいっす!!」

 

 普段なら絶対にできないであろうデートの約束の取り付けもこの通り。やはり煩悩……エロは全てを解決する……。

 

「最近ほんと冷えるから蓄熱インナーグローブとか気になってるんだよね」

「うおぉ……そういうのもあるんすね。俺、車体とか見てばっかで必要なアイテムを全然理解してなくて……」

「俺も似たようなもんだよ。大抵は親父からの受け売りなんだ」

 

 こちとらロクに金を持っていない高校生かつオタクには熱量で負ける一般バイク乗りなので、ドヤ顔できるほどの知識量があるわけでもなければ、後輩を驚かせられるようなアイテムなんかも持ってはいない。

 しかしバイクという共通点をもってウオッカとのスケベなイベントを発生させられる可能性のある男は現状この俺だけなのだ。なるべくぶっといパイプを繋いでおかなければ。

 

「……それじゃ、今夜はとりあえず解散だね」

 

 あっ帰る流れにしちゃった。だって女の子をお持ち帰りした事なんて無いので。なぜか女子が家に来る実績自体は解除していますが……。

 

(んん……ベルちゃんのことお持ち帰りしたことある)

 

 だってあれは大雨の中でシリアスな顔してたから……。

 

(年始にカフェも)

 

 あれも凍えるような寒空の下でシリアスな顔してたから……いや俺意外とお持ち帰りしてるな。もしかして運命を担いし王? なるか、すべてのウマ娘を掌握する最高の王に。

 

「秋川先輩、帰りはお気をつけて!」

 

 そんな無邪気に手を振っていてもお前は既に射程圏内だ。俺が孕ませてやるからなスポーツマンシップに則り天地神明に誓って。

 

 ──結局セクハラをしてもあまり好感度が下がらなかった、というただの奇跡じゃねぇド級の奇跡で自身の気の迷いをリカバリーしたその翌日、夢すら見れず玄関で寝落ちしたらしい俺は普通に風邪を引いたのであった。マジで瀕死オブザイヤー金賞受賞♡

 


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