この国でオンライン診療を盛り上げようとしているけれど苦戦してる話
こんにちは。マーガレットこどもクリニックの前田晃平と申します!クリニックのオンライン診療を盛り上げるべく仲間たちとせっせと企画運営するのが仕事です。
なぜ今私たちがオンライン診療に力を入れようとしているのか。それにはいくつか理由があります。
まず何より、患者さんのニーズの高まりがあります。新型コロナウイルスが依然として猛威をふるうこの状況で、体調の優れない患者さんが他人と接触するリスクはできる限り避けた方が良いと思うのです。
患者さん、特に小さいこどもにとって自宅でストレスなく受診することができるのもポイントです。実は私、自分の娘と実際に体験したのですが、すごくよかったです。その時の体験は下記の記事( ↓ )でまとめておりますのでぜひご笑覧ください。
また、現在話題になっている緊急避妊薬(アフターピル)など、女性の心と身体を守るのにオンライン診療はとても役立つのではと考えています。迅速な対応が可能ですし、何よりプライバシーを守ることができます。ゆくゆくは、地方、あるいは世界中の医療施設にアクセスするのが難しい方々のお役に立つことができれば… なんて妄想もしています。
そんなわけで、オンライン診療の企画を始めた時には夢と希望で溢れかえっていた私たちの会議室。それがまさか、数ヶ月も経たないうちにこんなことになるなんて、あの時の私たちには知る由もなかったのです…(大袈裟)
実際にオンライン診療を始めてみると、数々の壁にぶち当たることになりました。
まず、何をさし置いても診療報酬です。安すぎぃ!!ひとりの患者さんあたり、初診で3500円、再診1400円です。なのに、普通のリアル診療は初診6,000円、再診で4,000円です。(※概算)
おまけに!実はオンライン診療の方がリアル診療より時間がかかるんです。というのも、リアル対面なら普通に診て完了ですが、例えばオンラインでこどもを診るとなると「はい、ここみせてねー」 → 保護者がこども移動&画面に写す → 「はい、じゃあこっちもお願いします」→ 保護者がこども移動&画面に写す → (繰り返し)となるわけです。しかし、どんなに時間をかけても診療報酬は変わりません。
加えて、処方箋の発行が地味に大変。リアル診療なら窓口で渡しておしまいですが、オンライン診療では場合によって患者さんの指定する薬局にFAXを送信します。非常に細かい話ですが、その際に薬局に事前に電話する必要もありますし、なんなら、その薬局が休みだったり処方薬が置いてないこともあります。そうなるとまた薬局探しからです。ぴえん。
ここに追い討ちをかけるのは、国の方針が定まらないことです。現在、新型コロナ対策の一貫して、「一時的に」オンライン診療の規制緩和がされている状態です。今までは、オンライン診療を初診から使うことができなかったのですが、現在は可能になっています。
ところが、これがいつまで続くのかわからないのです。新型コロナが収束したらまた規制が元に戻るって話もありますし、継続する可能性もゼロではない、という…
本来、オンライン診療を受診する患者さんの利便性や体験をよりよくする為に、導入すべきシステムや設備はたくさんあります。が、こんな状況では思い切った投資はできません。いつ使えなくなるかわからないんだもの。
これでは、どう考えても経営的にオンライン診療を積極的に推進しようとはなりません。できる限りリアル診療にしようよ…ってなるのが道理です。実際のところ、せっかくオンライン診療を始めたのに採算が取れないので撤退したクリニックは少なくありません。
ただ、冒頭に記載させていただいた通り、本来、オンライン診療を推進することによって得られるメリットはたくさんあります。既存の患者さんの利便性だけでなく、女性の安全、医療格差の解消、等々…。このままでいいはずがないのです。
私たちマーガレットこどもクリニックは、この状況に風穴を開けたいと思っています。そのためには、オンライン診療が如何に患者の皆さまにとって有用か、エビデンスを行政に提示していかねばなりません。
もしまだオンライン診療未体験の方がいらっしゃいましたら、機会があれば(ないに越した事はないのですが)ぜひご活用ください。気になることなどあればドシドシご意見ください。
微力ながら、この社会の新しい医療をつくるため、挑戦していきたいと思っています。これからも定期的に情報発信していきたいと思っていますので、フォローいただけると嬉しいです!
よろしくお願い致します。
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