No.1 ミルク&ココア

設定:ある街に、敵対する2つの家があった。互いに豪邸を持っていて、どちらも、主人に使えるメイドと一緒に暮らしていた。
シド:主人 人を優しく諭す大人。
ミルク:シドのメイド。とはいってもまだ子供っぽく、会話は親子のよう。とっても明るい。
ノット:主人 少し気性が荒い。説教がすごく怖い。
ココア:ノットのメイド。穏やかな性格。
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ミルク「お帰りなさーい!」
シド「おぉ、ただいま。いつもありがとう」
ミルク「今日は早く帰って来てくれてうれしーなー!」
シド「今日はお土産を買って来たんだ」
ミルク「お・み・や・げ!?」
シド「はっはっはっ、それだけ喜ばれると、買って来た会もあるってもんだなっ」
ミルク「で!?そのお土産ってなーにー?」
シド「待ってろー?」
ガサガサガサガサ…ゴソゴソ…
シド「ほら、クッキーだ」
ミルク「うわぁぁ!!!おいしそーう!!」
シド「ははっ、お前はクッキーが大好きだったもんな」
ミルク「ありがとうー!!」
ガチャッ
ミルク「……………。ご主人様、別の部屋に行っちゃった…。 いつもなら、寂しい……。 けど、今は……」
ガチャッ
シド「あれ…?ミルク?どこ行った? おーい??ミルク?」
ミルク「(今は……隠れるしかない…… ごめんなさい……!ご主人様……!」
ココア「あ、ミルクだー。こんばんはー。」
ミルク「ふふっ。こんばんは。まさか途中の道まで来てくれるなんて」
ココア「ミルクが来るのが待ちきれなくって。さ、今日も一緒に遊びましょ」
ミルク「でも…… やっぱり、こういうのはいけないことなんじゃないのかな…? お互い夜中に家を抜け出して、他の家のメイドと一緒に遊ぶなんて…」
ココア「私たちはそれぞれの主人に仕えないといけないの。他の人と遊ぶなんて、とてもじゃないけど、そんな機会は無いわ」
ミルク「ま、まあ、そうだけども…」
ココア「さ、ここにいたらバレちゃう。早く向こうへ行きましょう」
ミルク「う、うん…… え、えっとね? ココア、その前に渡したいものがあるの」
ココア「渡したいもの…?」
ミルク「はい。これ。クッキーだよ」
ココア「えっ…これ、私に?」
ミルク「うん」
ココア「ミルク……ありがとう 早速頂くけど、いい?」
ミルク「どうぞ、食べて食べて!」
ぱくっ もぐもぐ…
ココア「すっごくおいしいー」
ミルク「気に入ってもらえてよかった」
ココア「これ、ミルクが作ったの?」
ミルク「え?私? う…えっと……そ、そうなの。私が作ったんだよ!」
ココア「あれ…ミルク?さっきまでの笑顔が急になくなっちゃったけど…」
ミルク「いや、大丈夫だよ。私は嘘なんてついてないから! 嘘なんて… ……………嘘なんて…ううぅぅ……(だんだんと泣きながら) ……嘘じゃないもん…… 嘘じゃないもん!!」
ノット「こんなところで何をしているのかな」
ココア「ひぃぃぃッ!!ご主人様!?」
ミルク「え、えええええ!?もしかして、ココアのご主人様!?」
ココア「う、うん…」
ノット「こんな夜に一人で外へ出て、一体何をしていた?」
ココア「そ、それは……」
ノット「さあ、さっさと白状しろ!!」
ココア「え、えっと……それは……」
ミルク「ごめんなさい!全部私のせいなんです!!」
ノット「なんだ?お前は?」
ミルク「正直に打ち明けます。私、向こう側の上に住む、シドとという方に仕えているメイドなんで……す……」
ノット「あのシドのメイドだって? おい、ココア、シドと俺は敵同士だって、何回も忠告したはずだぞ」
ココア「う、うぅぅ…ご、ごめんなさい」
ノット「帰ったら説教させてやるからな、覚悟しておけ!」
ココア「え、えぇ…!?」
ミルク「ごめんなさい!!叱るならココアじゃなくて、私を…!!」
ノット「うるさい!貴様は敵だ!何をされようと、責任はココアが取らねばならん!」
ミルク「で、でも…!」
シド「ちょっと待て」
ノット「はっ!お前は!」
シド「話は全部聞いていた」
ミルク「ご、ご主人様!?」
シド「ミルク、勝手に外に出ちゃダメだろう…」
ミルク「ご、ごめんなさい、ご主人様……」
シド「でもな、今回で分かったんだ。僕も悪かった。お前はいつも退屈していたんだ、そうだろう?」
ミルク「……退屈? う、うん……」
シド「そうだな。今まで済まなかった。いくら敵同士だとはいえ、遊ぶ仲間がいないというのは、辛かったろう」
ココア「えっ…?」
シド「それに、お前がクッキーを持ち出していたのも知っているぞ」
ミルク「えっ……?ご主人様、どうしてそれを…?」
ノット「おい、何を話しているのか知らんが、さっさと帰るぞココア!」
シド「まだだ!待て、ノット」
ノット「なんだと?」
シド「それに、知ってるぞ。お前はこのクッキーを、自分が作ったと嘘をついたろう」
ミルク「えっ!?そんなこと……そんな嘘……」
シド「無理して隠し通さなくていい。今回は僕が悪いんだから」
ミルク「えっ…? はい……そうです、嘘を…ついてました」
シド「ほーら、ミルクならそうするって最初からわかってたよ」
ココア「ミルク、嘘をついていたの!?」
シド「君がココアかい? いつもこんなにこっそり抜け出してまで大変なことをさせて、すまなかった。これからはお互い、普通に会おうじゃないか」
ノット「おい!勝手に話を進めるんじゃない!大体、なぜ俺のメイドと貴様のメイドが一緒に遊ぶなんてことを許すのだ?」
シド「ノット、もういいじゃないか。僕たちだって、くだらない理由で戦っていた。それももう終わりにしよう。」
ノット「え、そ、それは……」
シド「これからはもう敵じゃない。お互い、いつでも会えるし、いつでも遊べる」
ミルク「え…… いいんですか?ご主人様…!?」
シド「ああ。それに、ミルク。自分を偽らなくたっていいんだ。自分はすごい。そんな風を装って他人から尊敬される。そんなのが楽しいかい?」
ココア「え……」
ミルク「え……」
シド「本物の実力と結果が揃ってこその感動だろう。背伸びをするよりも、自分の背をじっくりと伸ばしていく、そんな人になって欲しいんだ、わかるか?」
ミルク「は……はい」
シド「それならよかった」
ノット「しょ……しょうがない。もうこんな戦いはやめにするか。俺たちは、何のために戦ってたんだろうな」

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てつだぶろぐ

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