2020/12/23
【寄付月間】2020年、フローレンスが希望を感じた3つのこと。決意したたったひとつのこと。
「2020年」。
この年のことは、これから特別な意味をもって様々な文脈で語られることになるのかもしれません。
世界が同時に等しく危機に直面し、たちまち普段の生活を失いました。
戦争でもないのに、外に出られなくなり、身近な人がいなくなっていく。
そんな世界同時多発の緊急事態を、去年の今ごろは世界中誰も予想していませんでした。
今もわたしたちは、生活も働き方も価値観も一瞬で変わる出来事の、只中にいます。
新しい価値観のなかで生まれた、希望
しかし、新型コロナ感染症の拡大により変化した柔軟な働き方やあたらしいコミュニケーション様式、そして新しい価値観に基づくアクションに、希望を感じた年でもありました。
私たちフローレンスが現場で実感している”希望”は3つあります。
<オンラインツールがもたらすインパクト>
まず一番の変化として、保育現場や福祉支援の現場において「オンラインで繋がることができる可能性」を見出すことができました。
フローレンスでは、訪問型・施設型の病児保育事業、障害児保育園の運営、自宅訪問型の看護師・保育士の障害児家庭支援サービス、経済的に厳しいご家庭やひとり親家庭のサポート事業を運営しています。
障害児訪問保育アニーや障害児保育園ヘレン、認可保育園の各現場では、コロナ登園自粛期間中に「オンライン朝の会」や「オンライン保育」を実施しました。登園自粛が解除されたあとも、障害児訪問保育アニーの現場では、オンライン朝の会を継続し、複数のお子さんが同時にご自宅から朝の会に参加しています。
感染症に弱い医療的ケア児の安全を守りながら、障害児の子どもたちが、たくさんのお友達や先生とコミュニケーションできる機会となっています。
おうち保育園、みんなのみらいをつくる保育園(認可保育園)では、「オンラインでの入園説明会」の実施や保育士による手遊び動画などを配信しました。
また、ソーシャルワークの現場でも、オンラインの可能性を大いに感じました。
生活の厳しいご家庭に食品を無料宅配する「こども宅食」事業では食品宅配だけではなく、コロナ禍で家庭が孤立しないようLINE等のツールで繋がり続けました。必要な情報や「お困りごとはないですか?」といった声がけをLINEで発信し、双方向にコミュニケーションをする中で「助けてほしい」という声を拾えた事例もありました。
また、コロナ禍の出張型支援モデルとして「こども宅食」が注目され、「支援対象児童等見守り強化事業」の一環として国の予算に入りました。それを受けて、全国の自治体や社会福祉協議会、NPOなど民間団体向けに「こども宅食事業に関する勉強会」をオンラインで開催したところ、全国から320名以上の参加がありました。
通常なら、草の根的に市区町村単位で啓蒙普及を実施していく前例も多い福祉・行政業界にも、オンラインツールで風穴が開きました。
赤ちゃん縁組(特別養子縁組)の現場では、コロナ禍で不安を抱えるプレパパ・ママに向けた「オンライン両親学級」や、「特別養子縁組オンライン講座」が大変好評でした。
<従来のあたりまえを、変える機運>
ふたつめに、「従来のあたりまえが、変えやすくなっている」ことも希望です。
フローレンスはコロナ禍においても、みなさんと共に「#助けて多胎育児」「#保育現場の性犯罪をゼロに」「#ノーセーフティネットひとり親家庭を救え!」「医療的ケア児小1の壁」といった数々のソーシャルイシューに取り組み、制度化への成果を残すことができました。
私たちフローレンスがこれらの署名やアンケート、記者会見、SNSでのコミュニケーションを実施するなかで感じたのは、社会の潮目の変化です。コロナ禍で全国子育て中の家庭向けに実施したアンケートも数日で1万人以上から回答が集まりました。
また記者会見では、当事者として生の声を社会に訴えたい、と何人もの方が共に壇上に立ってくれました。
コロナ禍では、SNSなどで多くの人が意見や気持ちを発信しました。声をあげれば思いのほか情勢は速く変わることがある、という実感を持った方も多いかもしれません。
人任せで愚痴を言うのではなく、見たい未来を自分たちでつくろうと、アクションする機運が高まった年だったのかもしれません。
フローレンス社内でも新しいニーズや変化に対応するための新規サービス、事業が次々に生まれています。
フローレンスの病児保育の現場では、「学校が休校となったため、子どもを自宅で預かってほしい」といった切実なニーズに対応するため、病児に限らず健康児にも保育サービスを提供しました。
また、ひとり親家庭への支援を強化するため、病児保育だけではなく食品や生活用品をお届けする「こども宅食ひだまり便」を実施中です。
医療的ケア児家庭に看護師を派遣する「医療的ケアシッター ナンシー」では、「療育センターが閉鎖され、リハビリ面が心配。」という声を受け、看護師と共に理学療法士の派遣も実施しました。
双子や三つ子など多胎児を子育て中の親御さんを助ける、多胎児専用の訪問サービス【ふたご助っ人くじ】のトライアルも都内で始まりました。