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保育士の話

「男性保育士目指してるの!珍しいね!」
僕が大学時代何十回もかけられた言葉。何なら就職してからも
「男性保育士なの!珍しいね!」としばらく言われ続けました。

でも、最近はこの言葉をあまり聞くことが少なくなってきた気がします。良い変化です。僕が資格を取得して保育士として就職した時はまだまだ男性の保育士の分母は少なく、「男性保育士」というだけでイロモノ扱いを受けていました。でもだんだん男性の保育士の数も増えてきて、それほど珍しい存在ではなくなってきたのだと思います。次は看護婦が看護師に、スチュワーデスがフライトアテンダントになったように、「男性保育士」というワードがなくなったら良いなと思っています。

今回は僕が保育士になって感じたこと、知ったことをいくつか綴っていこうと思います。



①自分に合った職場探しはなかなか大変

できれば自分の思いにあった保育方針や風通しの良い園に就職したいと思うのは当然のことだと思います。でも他業種と同じく、入ってみないとわからないことが多いのも事実です。ホームページは可愛いくて目を輝かせた子ども達が自由に遊んでいたり、真剣に何かに取り組む姿が映し出され、福利厚生の充実、残業や持ち帰りの軽減をうたうことはどのサイトでも行っているので判断することは難しいと思います。

気になった園は実際に園見学や就職説明会に行くのはマストだと思います。でも数時間だけではなかなか本質が見えないことがほとんどです。「ここに就職したい!」という強い気持ちがある方はアルバイトやボランティアを希望する園が募集していないかを探してみてください。もし募集がなさそうでも、勇気がある方は直接電話して「ボランティアを募集していないでしょうか?」と直接伺ってみるのも良いかもしれません。基本、人出が充足しているという園でもボランティアは嬉しい提案になることが多いと思います。本来はアルバイトの方が良いに決まっていますが…

これくらい園に近づいていかないと実情を見ることはなかなか難しいと思います。口コミサイトもありますが、個人的には自分と合うか合わないかなので、決め手にはならないかなと思います。


②給与問題

保育士を目指している方は特に気にしている方が多いと思います。確かに平均的な月収で言えば決して高いとは言えない保育士の給与。でも年々、改善してきているんです。保育士を雇っている法人、団体はもちろん、地方自治体や国をあげて給与をあげてくれようという流れになっています。僕が新卒で保育士になった時の初任給よりも現在の新卒初任給の平均は3~5万円ほどあがっています。子ども庁ができるとさらにその動きが加速してくれるかもしれません。一重に、ずっと低賃金の改善を訴え続けてくれた先人たちの努力の賜物です。この流れが止まらないように僕も頑張っていきたいと思います!!


前置きが長くなりました。ちょっと恥ずかしいですが、僕の社会人一年目の生活を例にしてみましょう。
・一人暮らしのため家賃6万円(6畳の1K、トイレ風呂別)
・光熱費2万円
・通信費1万5000円
・食費2万円
・交際費3万
・貯金2万
大体このくらいでした。これに年間に2回賞与をもらっていたので、その時期に海外旅行に行ったり、大きな買い物をしたりしていました。人並みの文化的な生活は不自由なくできていたように記憶しています。
今は場所によっては家賃補助が出たり、元々のベースが上がったりしているのでもう少し余裕があることがほとんどではないかと思います。


③子どもと関わるだけが仕事じゃない

保育士ってどんな仕事をしているのかのイメージを聞くと大概最初に出てくることは「子どもと遊ぶ」「子どもの面倒をみる」というワードです。これは保育士業務のほんの一端でしかありません。もちろん大切な部分ではありますが、ただ単に遊んだり面倒を見ている訳ではありません。でもこの話をするとまた長くなってしまうので今回は割愛します。「子どもと関わること」このこと以外にもたくさん業務はあります。

まずは書類についてです。子どもの成長発達を見定め、目標やねらいを日々立てるために、週の計画、月の計画、3ヶ月ごとの期の計画、場合によっては一日ごとの計画…他にも子どもたちそれぞれの個別のねらいを立てたり、行事を行った場合はその行事の計画書を書いたり、クラスのお便りを作ったり…書くことが本当にたくさんあります。これも年々、ICT化推奨で、書きやすくなったり、重複するような内容の書類を省いたり、改善傾向ではありますが、なかなか大変な業務となっています。いつも何か書くことに追われている感覚です。

次に保護者の方とのコミュニケーションです。子どもがいれば親がいる。当たり前のことですが、学生の頃はこの意識がなかなか芽生えづらかったです。実習に行っても保護者と関わることはなかなか経験しません。しかし、年々保護者の方達に対してのフォローも保育士の仕事であるということが色濃くなってきています。それは業務をしている物理的な肌感覚でも感じますが、日本の保育の考え方の基礎となっている「保育所保育指針」「幼稚園教育要領」といった解説書的なものの中でも改定が進められていているので、オフィシャルでの変化と言って良いかと思います。

核家族化、少子化、マンション居住者の増加…いろいろな要素が絡み合って地域ぐるみでの子育てがしづらい環境になっている地域が多くなっています。そんな中、子育ての楽しさや悩みを言える場、共有する場は意識しないとなかなか作ることが難しくなってきています。そんな状況の中では、日々子どもたちの成長を一緒に見ている保育士は共有するにもってこいの存在です。面談を行ってお子さんの様子と共に、保護者の方の悩みやちょっとした愚痴を聞いたり…保護者会で保護者同士がざっくばらんに雑談できる機会を作ったり…そうすることで保護者の方が前向きに育児や仕事に向き合える。結果としてお子さんの環境改善にもつながっていく…ということでとても大切な仕事の一つとなっています。
また、地域とのつながりの場になることも保育園として重要な機能の一つです。園に通うお子さんの殆どは卒園した後もその土地で暮らし、歳を重ねていきます。そのお子さん達が地域で居心地良く過ごせるように、在園中に地域の施設を戸外遊びの中で行く機会を作ったり、地域が実施するイベントに参加したり、地域ぐるみの行事を計画したり…自分たちが住んでいる場所にどんなものがあるのか、どんな人が住んでいるのかを知ってもらう場を作ります。保育士は在園中のお子さんの姿だけではなく、その後のお子さんの成長を考えることもとても大切なことだと思っています。






ざっと保育士になって思ったこと、感じたことを書いてみました。こんなことをもっと聞きたい、質問してみたい。というニーズがあったら、またnoteに書いたり、スペースでそんな時間を作ったりしたいと思っています。

保育士になりたい、興味を持っている方が少しでも理解が広がるお手伝いができたら最高です!!感想等々お待ちしています!


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池田翔太

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verde
池田さんこんにちは😊

毎日お仕事お疲れ様です🙏✨私は保育園がなかったら働けなかったシングルマザーでした。その必要性は誰よりも身に染みて実感しているのですが、やはり常時保育士さんが不足しているという事態は給料面の問題なのでしょうか?上がってきたというのはとてもいいことだと思いますが、やはり「命を預かる仕事」という任務にはある種特別な高くて固い意志が必要だと思います。「何となくやってみたいな」では務まらないですもんね。そういった意味でも「体験してみる」と言うのは必須だと感じました。アルバイトやボランティアの入り口をきっかけにもっと仕事の楽しさや魅力を伝える手段があればいいなと思います。
池田翔太
verdeさん
こちらにもコメントありがとうございます!

保育士不足は給与面の問題も大きくあると思います。
その他にもおっしゃる通り、「体験する場」が不足しているがためにイメージしていた業務内容との違いが出やすいことや、そもそも保育士免許の取得が業務内容に対して容易になっていたり…
様々な課題が複合して今の状況になっていると推測しています。
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4歳、6歳の男児2人の父。日々生活している中で感じたこと、体験したことを書いています。
保育士の話|池田翔太