なぜ日本人はSNSで他者をバッシングし続けるのか...「日本人が世界一イジワルな理由」“強い不安遺伝子”と“正義中毒に弱い”という特徴がヤバすぎる

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広末を糾弾する人の正体

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女優・広末涼子の不倫騒動は日本人の悪意が結集した事例だと言えるだろう。不倫は犯罪ではない。にもかかわらず、まるで犯罪者のごとくワイドショーなどで糾弾し、個人的なラブレターまで何度も読み上げた。

メディアに煽られた結果、SNSでも彼女のラブレターを、悪意を持って寸評する者が多く現れ、異常な盛り上がりを見せた。

岐阜県内の高校生が大手回転寿司チェーン、スシローで迷惑行為を行った事件でも、少なくないユーザーがネットという空間で喝采を得るために、彼の住所や通う高校の特定に精を出すなど私刑を加えることに躍起になった。

有名人の不倫や未成年者のイタズラが、そこまでの社会的制裁を受けるほどの重罪とは思えないが、社会の秩序を乱す不道徳的な行動であるため、正義中毒を招きやすいのだ。

加えて、罰を加えるためのコストとリスクが圧倒的に低い上に、他のユーザーを巻き込んで、大きな規模で罵詈雑言を浴びせることができる。

 

「間違いを犯した人間を引きずり下ろそうという行為は、反支配的悪意によるものです。ですが、SNSでは自分より社会的地位の高い人間を傷つけるための書き込みをすると、しばしば『いいね!』などといった形で称賛されます。ネットという空間で正義の執行による快感が肯定され、相対的に自分の地位が上がったように感じられます。つまり、社会的正義を守るという反支配的悪意を装った支配的悪意が働いているのです。ネットで誹謗中傷をする人のモチベーションを突き詰めると、他人の承認を得ることに尽きるでしょう」(前出・ジョーンズ氏)

こうした歪んだ悪意や、そこから生じる正義中毒を防ぐためには、意地悪な行動に見返りを与えないことだ。しかし、不特定多数の人々による自由な交流を最大の目的とするSNSでは、それを制限することは難しい。

「SNSによるコミュニケーションの方法は、未成熟のまま変化していきます。SNS上での悪意にどう向き合うかは今後も我々につきまとう大きな課題になります」(前出・岡本氏)

悪意は元来、社会を維持し、成長するために進化してきた有用なものだ。ネット社会において、暴走する悪意とどう向き合うべきか。日本人は今、真価を試されている。

さらに公開記事『スシローの迷惑少年に「正義」を振りかざし「フルボッコ」にする、大人たちへの違和感』ではスシローでの迷惑行為の事件の後に起こった日本特有の現象について迫っている。

「週刊現代」2023年8月12日・19日合併号より

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