地震で露呈したX（旧Twitter）の問題

1日午後4時過ぎに石川県で大規模な地震が発生し、日本海側各地に津波警報が出ている。お正月から地震・津波と大変な事態になっているのだが、同時に一昨年秋にイーロン・マスク氏に買収されたX（旧Twitter）の問題も露呈することとなった。

災害情報発信も制限される

　新年が明け仕事を休んでゆったりと過ごしていたかったはずの1日だが、午後4時10分頃に石川県の能登半島付近でマグニチュード7.6の大規模な地震が発生。石川県の一部では震度7を記録するほどの揺れとなった。

　この地震のために1日夜になっても上越新幹線や北陸新幹線が日本海側の一部区間で運転を見合わせており、正月から日本列島全体が騒然となっている。

　そして今回の地震により、短文投稿サイトX（旧Twitter）の買収以降の仕様変更により発生した諸問題が露呈した。XはTwitter時代には、他国よりも日本人のユーザーがかなり多いSNSとして知られていた。しかしXは2022年10月にテスラのイーロン・マスク氏によって買収。ここから経営方針が大きく変わっていった。

　今回の地震で出てきた問題点とは、まず自動で災害情報を次々発信することができなくなったこと。最近立ち上げられた「特務機関NERV」というXのアカウントは、災害時にテレビなどより早く情報を発信するアカウントとしてかなり重宝されていた。

　しかしXは2023年になって、閲覧や情報発信に制限をかけるAPI制限を実施。この制限のために今回の地震発生の約2時間後の午後6時過ぎに特務機関NERVが「APIの使用回数が上限に達した」との理由で情報発信を停止した。

　制限されたことでしばらくは特務機関NERVからの災害情報がなかったのだが、さらに3時間後の午後9時頃には「緊急措置として緩和されました」との発表があり、今回は災害時の特例として制限が緩和された模様だ。

　さらに昨年夏には、投稿が多く表示されることで収益になる仕組みが導入された。その仕組みを利用して今回の地震中に、フェイクの「助けて下さい」などというメッセージと住所を掲載することで表示数を稼ごうとするアカウントが続出。そのため本当に助けを求めるメッセージとの区別がつかない事態となっている。

　また以前はタイムラインの表示順が時系列になっていたのだが、現在では時系列ではないため最新の投稿が見つけにくいという問題も指摘された。

　このようにイーロン・マスク氏による買収後、昨年行われた変更のため災害時の使い勝手が以前よりかなり悪くなったとの声が多い。マスク氏による買収後、一時「認証バッジ」を有料化したがそのためなりすましアカウントが激増して有料化を取りやめた件もあった。

　X買収直後はマスク氏自身がCEOになったが、直後の2022年12月には早くもX上で「私はCEOから退任した方がいいと思うか？」との投票を実行し、そう思うとの結果が過半数だった。そのため23年5月には退任してリンダ・ヤッカリーノという人物が新CEOになった。

　買収後のXはかなり迷走しており、今回の地震で迷走の結果発生した諸問題が露呈したようだ。