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ぼくらの100日間戦争~最終章:2021年をサバイブするヒントはこれだった…

※このブログはNPOの広報スタッフが新型コロナ緊急事態下でおこった緊急支援活動現場での様々なドラマ、裏舞台を個人的記録として1話1テーマ形式で残すものです。

(前回まで:プロローグ第一章~たたかいの定理第二章~あなたの声が爆速で国を動かす第三章~命がけの最前線と経営陣の涙第四章~人はいかにして救われるのか第五章~NPOなのにお金受け取るの?と言われる日本

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気づけば仕事納め。フローレンスの保育現場も支援現場も、光速の変化に挑み続けた濃ーーーーい2020年を終えました。

通常の濃さが鉛筆のHBくらいだとすると、そうですね、6Bくらいの体感で濃い。

いや、毎年カルピスの原液程度には濃いな〜と思うのですが、今年はアルコール度数96度を誇るスピリタス程には危険でした。除菌できるレベルだよ、と。


年末を迎えて、個人的に2020やり残したことを考えた時、このnoteの最終章が書けていなかったことは心残りでした。


このブログは、「ぼくらの100日間戦争~100days against COVID-19」と題し、2月27日の「全国一斉休校要請」から「緊急事態宣言」発動、そして緊急事態宣言解除後のおよそ100日、認定NPO法人フローレンスという児童福祉団体の現場で起こったことをスタッフ目線で記録しておきたい、という超個人スコープでのnoteでしたが、それでも心の隅っこにありました。

<最後のまとめを書くことができなかった理由>

実は、最終章は締めくくりとして、フローレンスのコロナ禍での保育現場の取り組みや、支援活動で新たに可能性を見出したことなどを残しておきたいなと思っていました。

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近代ひとの歴史に残る一年となり、あらゆる企業、どんな人にとっても変化の非常に大きかった2020ですが、フローレンスの現場でも新しい希望や試みがそこかしこで生まれていたことを記録しておきたかったのです。

↓↓フローレンス公式サイトのNEWSではその中の一部を紹介してみました!


広く社会においても、既成概念や前提が揺らいで価値観の再編成が起こりやすくなったことは一番の希望だと感じています。

例えば、シンボリックだった首都圏の通勤ラッシュが今ではなくなったように、リモートワークや時差出勤があたりまえとなった環境の変化により、日本の働き方に関する価値観は光芒一閃の変革期を迎えました。

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男性の長時間労働、出社の意味、出張や転勤の必然性、夫婦の家事育児分担、居住地の選択肢…これらを一から考え直してみるきっかけにもなったと思います。

ローランドさんの「俺か、俺以外か?」とのお言葉ではないですが、「シゴトか、それ以外か?」の二者択一ではなく、ライフとひと続きである多様な要素のひとつとして”仕事”や”職場”、”働く仲間”を捉える価値観が一気に市民権を得ていく機運を感じます。

しかし、こうしたことを無邪気に記録してハッピーエンドとするほど、この2020年は簡単ではありませんでした。

経済的に不安定な女性の自殺率は増加し、新しい生活様式に家庭内のストレスも高まっています。家庭の経済的、精神的リスクがダイレクトに子どもの環境に影響しています。

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子ども達はコミュニケーションを制限され居場所も閉塞していく一方、オンラインや性のトラブルに巻き込まれています。進学や就職前線にも混乱が生じています。

もちろん、新型コロナウイルス感染症そのものの脅威も全く衰えていません。

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企業の倒産が相次いでいるように、全国のボランティアやNPO団体など支援現場でも対面の支援ができず縮小したり、資金や人員体制が滞り運営継続できない団体もでてきています。

フローレンスは課題解決モデルを開発し現場運営しながら、国の制度を変えて全国スケールで成果インパクトを出すことを目的とした団体ですが、それが正解でも勝ちでもありません

持ち場として精一杯そこにコミットしていますが、「社会をより良くしたい」という気持ちは全国のどの団体とも違わないと感じています。

私が所属する広報と寄付の部門も含め、フローレンスの各現場も様々な変化と負荷の大波に手足をがむしゃらに動かした2020年でした。

良いことばかりでは決してなく、団体設立以来の危機に瀕した場面さえありました。

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新型コロナ感染症拡大に端を発する戦いは終わりではなく、むしろスタートだったし、

光と影が混ざり合う今、希望とか成果にフォーカスすることは、誰かを辛くすることと表裏一体でもあるような気がして、書けませんでした。

<チームの仲間が教えてくれたこと>

でも今年の締めくくりとして、一年をかけて学ばせてもらったことがあるので、そのことを書いて終わろうと思います!

●1人じゃできないことに挑戦する時は、言葉通り"1人で走らない"こと。
「チームじゃないと、できない」

●チームの力が足し算ではなく掛け算になるには"お互いを知る"こと。
「知らないと、チームにならない」


働き方はオンラインが主流の環境になる中、私が所属する「みんなで社会変革事業部」では広報と寄付の業務が通常の2.5倍になりました。こんなことはもちろん、初めてのことです。当然、全員野球で対応していましたが、緊急モードが続き、スピードを重視して意思決定や裁量が偏ったこともありました。

また、テキストコミュニケーションは加速度的に増えましたが、日々情報や会話に溢れているはずなのに、1人ひとりがどんな状況でどんな気持ちで働いているかが、見えにくくなりました。
特に、言葉にしにくいこんな気持ちについて。

「みんな頑張ってるのに、自分だけできてない気がする」

「誰がこの件意思決定したのかな・・なぜやることになったんだっけ」

「攻めと前進ばかりに感じる・・守りやメンテナンスは?」

「達成感より疲労感が大きい自分って・・」

「このスピードと業務量が恒常化するんかい!?むりやでー」

”もやっと”を、テキストに変換して即時共有することは難しく、各自がもやっとを抱えていました。

部門全体としてはトップギアで走りながら大きなチャレンジをして成果を出しているだけに、言い出しにくい。物理的にも隙間と余白が生まれにくかった2020年。質問したり問題提起したり相談したり弱音を吐くことへのハードルも、上がっていたと思います。

手応えと同時に停滞感もあり、全員でこの先何を目指すのか?霧がかかる瞬間もありました。

そういう時に、「一回止まって、自分たちのために時間が必要だと思う。自分たちのケアも、振り返りもしないで進むのはイヤだ!」と率直に声をあげてくれたメンバーがいました。

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おかげで、仕組み化や、お互いの役割の可視化、チーム内でサポートしあう体制づくりが進むきっかけになりました。意識して休んだり、やらない判断をすることもできるようになってきました。

言葉にうまくできない"もやっと"をそのままにしないで、コミュニケーションを丁寧に率直にしたい。
相手の大事にしていることを互いに知り、なにを目的にどんなことをしていくか?納得感をもって進みたい、と全員が思っていたことがわかりました。

うまく仕事が進まない時、トラブルに見舞われた時、失敗した時、体調が悪い時、家庭の悩みがある時も、率直に状態を共有することで助けてもらえることを、私自身も実感した一年でした。

 

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反対に、各自の得意なこと、キャパ、気分、やりたいこと、アイディア、経験値も知ることで、カバーし合えるどころか掛け算の連鎖が生まれます。

チームは一朝一夕にできるものではなく、情報共有の積み重ねと、ゴールのすり合わせを何度もやって、チームになっていくのだと実感しました。

※言うても、私たちのチームは、マネージャー(私)の力不足もありチームへの道は始まったばかりです・・!みんなスマン。

チームで走るとき、優先するのはスピードじゃないんだな。

二人三脚をする時、「あなたは左足からね、私は右足から一歩目」「スピードはかけ声かけて決めよう」「一歩の歩幅はこれくらいで」「カーブではゆっくりめに曲がろう」ってお互いが、合わせていきます。

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結果的に、同じ方向を見て、足並みを揃えたチームが最も速く遠くまで行けます。

二人三脚ではそこそこスピードを出せても、例えば二十人二十一脚だったら、一歩一歩互いの呼吸に意識を向け、歩幅を確認しながらでなければ、数歩先にも行けません。

(フローレンスは700人規模の団体なので、700人701脚挑戦中なのですね・・!)

<こんな時代だからこそ、チームでサバイブしよう>

フローレンスは、「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」の実現を目指していますが、一団体では到底できません。

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賛同してくれる多くの皆さんや、寄付者の皆さん、法人企業や行政や議員や他団体の皆さんとチームを組んで挑戦しています

大きな目標なので、連携チームで一歩一歩、進んでいきたいです。
先のチームの事例を当てはめれば、フローレンスだけが独走しても、成果は限定的でしょう。

2020年実際に現場で感じたことですが、企業の得意分野と、自治体のインフラと、全国支援団体のノウハウの掛け算があれば、それぞれ単独では不可能なインパクトの成果を出すことができます。

保育やソーシャルワークの現場も然り、近隣の皆さんや、保護者の方、行政の担当者や連携の施設などと地域の子どもを育むチームの中のひとつとしてフローレンスがあります。

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2020年は、全世界が一寸先が見えない不安と戦いました。先に挙げたように、国内には深刻な課題も山積しています。

前例がなく予測もできず答えは誰にも分からない、そんな時代だからこそ、1人で立ち向かうより、チームで臨もう。

転じて、一人ひとりが社会(チーム)を構成するメンバーだから、誰も独りにさせない社会をつくろう。いま助けられた人は、誰かをまた助ける側にもいる。

チームで挑むから、不可能が可能になる。

これからをサバイブするヒントは、そんなことなのかなと感じる2020年年末です。

古代の諺より:

If you want to go fast, GO ALONE.

 If you want to go far, GO TOGETHER.

(早く行きたいなら1人で、遠くに行きたいならみんなで)

<おわりに>

こうした気持ちで年が越せるのは、一年間仕事を通じて様々な場面を共に過ごしてきた「みんなで社会変革事業部」の仲間のおかげです。部門のプライベートな出来事を個人のブログで勝手に扱うことに、かなり悩みました。

でも、外側に発信している成果の裏側で、悩んだりぶつかったり、また分かり合ったり、励まし合ったりしながら仕事をしていたことが、100日間戦争に端を発した私たち現場のリアルでした。(わたし個人としては助けてもらったり教えてもらうことばかりの1年でした)

それぞれの感情、価値観、状況、得意、不得意、速度を持っているからこそ、ひとりでは行けない場所に行けるんだなと、部の仲間のおかげで腹落ちしました。

それぞれが影響し合って複雑な生態系を作る森のように、社内外の多様な関係者と連携することでどんな変化や災害にも動じない社会をつくるんだ、と教えてもらいました。

「みんなで社会変革事業部」って、ほんといい名前だな。

<終>

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認定NPO法人フローレンス広報マネージャー/准認定ファンドレイザー/保育士 11歳7歳の男児子育て中。 【職歴】出版編集・広告代理店営業・企業広報・都庁広報公聴・代表秘書・NPO広報・ファンドレイズ★誰もが安心して子育てできる社会を★※本アカウントでの発信は個人の見解です。
ぼくらの100日間戦争~最終章:2021年をサバイブするヒントはこれだった…|Emi Okamizu/岡水恵弥