給食事業者「ホーユー」の破綻で、全国の学校などの食堂の営業が止まったが、広島市内の高校では、イタリアンのシェフの奮起で、新たに生まれ変わった食堂がオープンした。その名も「学食イタリアン」。
3か月ぶりの再開はイタリアン 生徒は大喜び
広島市の広島観音高校の食堂調理場、およそ3か月ぶりに再開した厨房には、これまでとは違った雰囲気が流れていた。

食堂運営を委託されていた広島市のホーユーが突然、営業を停止したことで、業者との契約を担ってきたPTAは、新たな業者を探すも苦戦。

木村忠敬(きむら ただひろ)シェフ:
(味見して)バッチリ!

待ちに待った食堂再開を託されたのが木村忠敬(きむら ただひろ)さん。
実は木村さんは、広島市内で長きにわたり、本格イタリアンの人気店を営むシェフ。

観音高校の校長が自身の高校時代の恩師だったこともあり、「生徒たちの助けになれば」と食堂運営を引き受けることを決断した。

木村忠敬シェフ:
卒業後も30年にわたって定期的に連絡を取ってくれたり、いろいろ気にかけてくれていた先生ですので、むげに断ることもできませんから、ちょっと何とか協力はしたいという気持ちもありまして、やってみようかなと

赤字でもメニューの効率化で収支改善をめざす
ところが限られた予算の中で、高騰する原材料費など、現時点で想定されている収支は赤字。事業を進めながらコスト面の課題解決を目指すことに。

木村シェフ:
メニューを絞って効率をよくして、無駄な作業を排除する。これを厳密に追及することで値段を下げられるんじゃないか、という提案をしているところです

そんなこんなで、メニューは当面の間、トマトソースパスタをメインにおにぎりとスープを付けたランチセット1種類で価格は600円。

そして準備が慌ただしさを増す中、迎えた昼休み…。

生徒たちは、学食メニューとは思えない本格的な料理に思わず笑みがこぼれる。

生徒:
これも高校生活のひとつの思い出になると思うから、食堂はあった方が良いと思いました
木村シェフ:
これまでの経験とはまったく違う分野になりますので、いろいろ模索しながらですけれど、明るい未来に目を向けて頑張っていきたい気持ちになっている

赤字から脱することができるのか。気になる今後の運営について、コスト削減策は主に2つ。

一つは、木村シェフも言っていた、当面はメニューを1種類に絞ること。もう一つは、前売りのチケット制にして事前に人数を把握することで、食材の量や調理の手間などの効率化を目指す、ということだ。
(テレビ新広島)