【連載7年を振り返る】文化の盗用と多様性 大坂なおみから「リトル・マーメイド」まで

文=堂本かおる
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GettyImagesより

 とうとう最終回となってしまった。2016年11月にmess-y.comにて連載を開始し、のちにwezz-y.comに移行。どちらのサイトでも主にアメリカとニューヨークにおける文化的、社会的な出来事を書き続けた。あれから7年、書いた記事の数は約240にもなる。

 取り上げたテーマには「文化の盗用」「多様性」「BLM」「ポリティカル・コレクトネス」といったアメリカの社会文化に根ざすものが多かった。折しも大坂なおみ選手という、多様性をまさに体現するスーパースターや、ディズニー「リトル・マーメイド」など多様性を前面に押し出した映画作品の登場を通し、日本でも大きく語られる話題となった。

 以下、それぞれのテーマから時代を振り返り、かつ社会の現在と今後を考える材料になり得る記事を抜粋し、再紹介する。

「文化の盗用」とは?

 2017年、当時の日本では「文化の盗用」という言葉と概念は馴染みがなく、「外国の人が日本の着物を『綺麗だね』と着てくれたら嬉しい。何がいけないの?」という反応がほとんどだった。

 ことの起こりは、ファッション雑誌のヴォーグ(アメリカ版)だった。多様性特集号で白人スーパーモデルに芸者ファッションをまとわせたため、文化の盗用がすでに重要な通念となっていたアメリカで激しく炎上した。しかし米国と日本では人種構成と歴史が全く異なるため、日本の読者に困惑が広まった。そこでこの件を取り上げたのが以下の記事だ。背景を詳しく説明し、日本でも繰り返し行われるブラックフェイス(黒塗り)との関連も記した。この記事は広く読まれ、文化の盗用についての認識を広めるのに一役買ったように思える。

 以後、wezzy では「文化の盗用」と「多様性」、および「ポリティカル・コレクトネス」について繰り返し書いていくこととなった。

白人モデルのゲイシャ写真が炎上した本当の理由〜「文化の盗用」と「ホワイト・ウォッシュ」

ファッション雑誌『ヴォーグ』(USA版)3月号に載ったアメリカの白人スーパーモデル、カーリー・クロスの芸者風ファッションが大炎上し、カーリーが謝罪する騒…

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アリアナ・グランデのタトゥ「七輪」は文化の盗用か?

 アリアナ・グランデが自身のヒット曲『7 Rings(七つの指輪)』にちなんで手のひらの指の付け根に漢字で「七輪」とタトゥを入れた。このタトゥが大論争を…

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ブルーノ・マーズは「文化の盗用」? 黒人音楽を演る「カラオケ歌手」? ~アメリカで大炎上

 今月半ば、「非黒人のブルーノ・マーズが黒人音楽をやるのは文化の盗用!」「彼は才能のかたまりで、黒人音楽をリスペクトしているだけ!」という論争が巻き…

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日本人に「多様性」を考えさせた大坂なおみ

 日本の人口の圧倒的多数は日本人であり、日本における民族マイノリティの多数派もコリアン、中国系と東アジア系。したがって近年まで日本で肌の色の異なる人を見かけることは少なく、アメリカの人種問題はよそ事だった。そこへ日本人であり、黒人であり、アメリカ人であり、ハイチ系でもあり……というスーパースター、大坂なおみ選手が彗星のように登場した。

 日本の大企業もこぞって大坂選手をCMに起用するなど、日本中が「日本人の世界的スーパースター」にエキサイトしたが、実のところ、複雑な背景を持つ大坂選手をどう取り上げていいのかわからないのが実情だった。それが理由で、のちに大坂選手がBLM活動を始めると「日本人なのに!」といった、アイデンティティの多様性を理解できない人々からの批判が巻き起こった。こうした背景があり、大坂なおみ選手についても何度も書くこととなった。

大坂なおみを白人にした日清CM~ブラックフェイス  vs. ホワイトウォッシュ

 日清の新しい広告は衝撃だった。アニメ『テニスの王子様』とのコラボレーションによってアニメ化された大坂なおみ選手が、どこからどう見ても大坂選手に…

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大坂なおみ選手のアイデンティティ~「ハイチ系の家庭で育ちました」

 テニス全米オープンで優勝した大坂なおみ選手の記者会見が9月13日に横浜市内でおこなわれた。その際にハフィントンポストの記者が発した「アイデンティテ…

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大坂なおみと7枚のマスク〜在米日本人にとってのBLM

 過去6カ月、アメリカは甚大なコロナ禍とそこから派生した深刻な経済ダメージに加え、BLM(ブラック・ライヴス・マター)および人種問題に密接に結び付く大統…

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「リトル・マーメイド」vs. 原作原理主義

 ディズニーの実写版「リトル・マーメイド」も日本に大きな波紋を呼んだ。黒人マーメイドを「原作の改変」として受け入れられないファンが猛烈なアンチを唱えたのだった。反対派の中には、おそらく原作の童話もディズニーのアニメ版も知らず、「白人の役を黒人に置き換える」ことに腹を立てているように見える声もあった。日本における「西洋=白人」の刷り込みの根強さを示すものといえる。

 ディズニーが実写版の主役にR&Bシンガーのハリー・ベイリーを抜擢したのは2019年。この時点でアメリカでの炎上が日本にも波及したが、コロナ禍のために撮影は延期された。2022年にようやく予告編が公開された時、そして2023年の劇場公開時と繰り返し、炎上した。その都度、炎上の規模とアメリカと日本での受け入れの様相を執筆することとなった。

『リトル・マーメイド』批判と、人種置き換え陰謀論

 4年前のキャスト発表時から幾度も炎上を繰り返したディズニーの実写版『リトル・マーメイド』だが、いざ公開されるとアメリカでは初週末は2019年に大ヒット…

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日本人がなぜ黒人アリエルに「ノー」と言う?~『リトル・マーメイド』をめぐる3度目の紛糾

 「黒人の人魚」がまたも紛糾している。3月12日のアカデミー賞にディズニーの実写版『リトル・マーメイド』の主役であるアリエル役のR&Bシンガー、…

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黒人マーメイド拒絶の理由~実写版『リトル・マーメイド』

 黒人マーメイドを巡って3年振り2度目の大論争が起きている。ディズニーが9月初頭に公開した実写版『リトル・マーメイド』の予告編が発端だ。主役アリエルを演…

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黒人の人魚はあり得ない?~ディズニー実写版『リトル・マーメイド』炎上の理由

 ディズニー実写版『リトル・マーメイド/人魚姫』の主役、人魚のアリエル役にR&Bシンガーのハリー・ベイリーが抜擢された。このニュースが流…

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「ポリティカル・コレクトネス」とは何か?

 「文化の盗用」を防ぎ、「多様性」を浸透させるために必要となるのがポリティカル・コレクトネスだ。日本では「ポリコレ」と略され、さらには「ポリコレ棒で殴る」といった独特の用法も生み出されてしまったが、本来の意味とは異なってしまっている。

 人種民族であれ、ジェンダーであれ、性的指向であれ、社会階層であれ、マジョリティ側はマイノリティの社会的な弱さに気付きにくい。それを放置すると、社会をコントロールする側にまわりやすいマジョリティが無意識のままマイノリティを片隅に、もしくは底辺に追いやったままとなってしまい、多様性は広がらない。それを防ぐ社会的ツールがポリティカル・コレクトネスだ。

ポリティカル・コレクトネスはなぜ必要か~セサミプレイスと国土交通省

 日本ではポリティカル・コレクトネスが「ポリコレ棒」などと揶揄され、正しい理解が進んでいない。ポリティカル・コレクトネスは差別を減らすために必要な社会的…

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アメリカのアジア系

 アメリカは人種の多様な国であるがゆえに、あらゆる人種・民族が差別の対象になり得る。2020年のコロナ禍の際、当時大統領だったトランプと、トランプ政権の国務長官が公の場で「チャイナウイルス」「武漢ウイルス」を繰り返し、アジア系へのヘイトクライムが急増した。

 以下の記事には2020年のコロナ禍発生直後に起こったアジア系へのヘイトクライムを列挙しているが、その多くがアジア系への罵倒語、脅迫電話といったものだ。しかし翌2021年にはジョージア州にてアジア系のスパで乱射事件が起こり、6人のアジア系女性が殺害されている。2022年にはニューヨークの地下鉄駅でアジア系の女性が背後から男に押されて列車に轢かれて亡くなり、別のアジア系女性は後を付けてきた男にアパートに押し入られ、刺殺されている。

 人口が少なく、社会的なプレゼンスも多くないアジア系の、分けても女性は、いとも簡単にヘイトクライムのターゲットとなり得る。こうした事態を防ぐためにも、社会全般による常日頃のポリティカル・コレクトネスによってマジョリティとマイノリティの立ち位置のバランスを取る必要があると言える。

 それも功を奏してか、アメリカにおけるアジア系のプレゼンスは徐々に増えている。2018年、ハリウッド映画としてはなんと25年ぶりのオール・アジア系作品「クレイジー・リッチ・エイジアンズ(原題)」が大ヒットした。ちなみに邦題は「Asian」を省いて「クレイジー・リッチ!」としてしまい、アメリカにおけるアジア系の存在の主張がかき消されてしまったことは残念だった。

 2021年には、これもコロナ禍で公開が遅れていたマーベル初のアジア系スーパーヒーロー映画「シャン・チー/テン・リングスの伝説」が公開。主演のシム・リウは2023年「バービー」にもケン役で出演。「シャン・チー」でシム・リウと共演しているラッパー兼俳優のアクアフィーナも上記「クレイジー・リッチ!」、実写版「リトル・マーメイド」のカモメ役の声などで幅広く活躍している。そして今年3月には「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」主演のミシェル・ヨーが、アジア系として初のアカデミー賞主演女優賞獲得の快挙を成し遂げている。

全米でアジア系への憎悪広がる「アメリカに新型コロナウイルスを持ち込んだ奴ら」

 全米各地でアジア系へのヘイト・クライムが吹き荒れている。「中国人がアメリカに新型コロナウイルスを持ち込んだ」として憎悪の対象になっているのだ。 「…

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【連載7年を振り返る】文化の盗用と多様性 大坂なおみから「リトル・マーメイド」までの画像2 ウェジー 2020.05.07

映画『クレイジー・リッチ!』は「アジア人」の映画であって、婚活映画ではない!

 日本では9月28日から公開となる話題のハリウッド映画『Crazy Rich Asians(原題)』を観た。“話題の” は単なるマクラ言葉ではなく、アメ…

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優れたマイノリティ映画、その背景

 近年はハリウッド映画、子供向けのディズニー作品、シットコムにまでマイノリティを主役とした優れた作品が増え、アカデミー賞を獲得するものまで出ている。多くの作品はそれぞれの豊かな人種/民族文化をフィーチャーしており、文句なく楽しめる。

 だが、作品の行間からはアメリカ(一部カナダ)におけるマイノリティの立ち位置が見えてくるもの、時には映画作品としては優れていても白人の視点で描かれているもの、日本での紹介のされ方に消化不全を感じるものもあり、観る側次第でいくらでも深く洞察できてしまう。以下は各作品のそうした側面を解説したもの。

ディズニー『モアナと伝説の海』~ポスターは日米でなぜ異なる?

フェミニンな日本のポスター日本で公開される洋画の邦題やポスターのデザインが「なんか、違うよね?」と話題になることは多々ある。今、絶賛公開中のディズニ…

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『ミラベルと魔法だらけの家』の多様性〜リプレゼンテーション・マターズ

 ディズニーの最新作『ミラベルと魔法だらけの家』が公開された昨年、日本では主人公ミラベルのメガネをめぐり、「多様性」「ポリティカル・コレクトネス」、さら…

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韓国系一家のシットコムが大ヒット~多様化社会のツボにハマった『Kim’s Convenience』

 アメリカの映画やドラマにアジア系が登場する作品が増えている。劇中に多様性を持たせるための「主人公の親友」役、もしくは秀才、頭脳明晰というアジア系のステ…

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アカデミー賞『グリーンブック』は “白人の救世主” 映画なのか

 今年2月のアカデミー賞で作品賞を受賞した『グリーンブック Green Book』が日本で今、公開中だ。人種差別が激しかった1960年代前半のアメリカ南…

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強姦犯として地獄を体験したティーンエイジャーたち~『ボクらを見る目』ネットフリックスとSNSが米国社会を変える

 「全米が泣いた」という、非常に陳腐な映画の宣伝文句がある。もはやジョークとしてのみ使われるフレーズだが、今、アメリカは現在進行形で、文字どおりに泣き続…

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【連載7年を振り返る】文化の盗用と多様性 大坂なおみから「リトル・マーメイド」までの画像2 ウェジー 2019.06.06

BLM(ブラック・ライブス・マター)

 2020年5月、ミネソタ州で黒人男性ジョージ・フロイド氏が白人警官によって殺害された。警官は路上で衆人環視の中、フロイド氏の首を膝で8分以上も押さえ付け、フロイド氏の「息ができない」の訴えも無視し、眉ひとつ動かすことなく無表情なまま、殺してしまった。

 その一部始終が通行人の17歳の女性によって撮影されており、それがSNSにポストされたことから再びBLM(ブラック・ライブス・マター)運動に火が付いた。全米はおろか世界各国で警察暴力への抗議デモが繰り返された。何度か店舗略奪を誘発したデモへの批判も起こったが、それはBLMが起こらざるを得ないアメリカの黒人問題の本質をはぐらかすものだった。特に日本に見られた「理由はなんであれ暴力はよくない」論は、現在の世界と日本の状況を鑑みても突き詰めて考える必要があると思われる。

 ちなみに当初、逮捕を逃れていた警官は世論の高まりもあって逮捕され、22年半の刑を受けて現在は刑務所に収監されている。今年11月、元警官は刑務所内で他の囚人に22回刺されて重傷を負い、現在は治療中のはずだ。

 盛り上がったBLMの影響化、アメリカではビジネス面における人種の多様性が推進された。大手の小売りチェーンやEコマースが「ブラック・ビジネス」商品をフィーチャーし始め、黒人の肌の色にマッチした茶色いバンドエイドが売り出されるなどした。こうしたことが今ようやく、フロイド氏の命と引き換えに成されたのだと考えると、余りにも皮肉と言える。

全米でデモと略奪「黒人に正義を!」〜ジョージ・フロイド殺害事件

 黒人男性ジョージ・フロイドが警官に殺害された事件への抗議デモが全米各地で続いている。 まずは以下の映像を観て欲しい。3 Brother…

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【連載7年を振り返る】文化の盗用と多様性 大坂なおみから「リトル・マーメイド」までの画像2 ウェジー 2020.06.04

日本にも精神を殺す黒人差別がある。無自覚に刷り込まれた差別意識とは

(※本稿の初出は『yomyom vol.63』(新潮社)です) 黒人男性ジョージ・フロイド氏が警官に「8分46秒」首を圧迫されて殺害されたのは5月2…

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【連載7年を振り返る】文化の盗用と多様性 大坂なおみから「リトル・マーメイド」までの画像2 ウェジー 2020.07.23

全米各地で大暴れ「カレン」とは一体、何者?~白人女性の特権意識

 ここ最近、アメリカのSNSには連日のように「カレン」が登場する。スーパーマーケットなどで怒り、怒鳴り、モノを投げ付けるなどする白人女性の映像がアップされ、…

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シリーズ黒人史

「バービー」とフェミニズム

 2023年、「リトル・マーメイド」と共にハリウッド映画界の話題を独占し、観客がピンクの服を着込んで劇場に行くなど社会現象とさえなったのが「バービー」だ。女児向け玩具の枠をはるかに超えたフェミニズム映画として絶賛され、同時に白人の人形を白人の俳優が演じ、白人男性社会を痛烈に風刺した「ホワイト・フェミニズム」映画との批判もされた。加えて、女性(バービー)と男性(ケン)の立ち位置や視点が複雑に交差し、観客はキラキラ・ピンクなビジュアルと、ある種の謎解きに同時に立ち向かわされたのだった。

 12月末現在、「バービー」は「オッペンハイマー」「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」と共に2024アカデミー賞の有力候補作品と言われている。

「バービー」はホワイト・フェミニズム映画なのか?~ラティーナ俳優アメリカ・フェレーラの存在

 「バービー」はもしかすると、今年最大のメガヒット映画になるのかもしれない。全米公開から1カ月が経った8月21日の時点で全世界興行収入が12.8億ドル。…

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【連載7年を振り返る】文化の盗用と多様性 大坂なおみから「リトル・マーメイド」までの画像2 ウェジー 2023.08.24

終わりに

 主に社会/文化的な記事へのリンクを掲載しましたが、他にも全米で続く乱射事件、メキシコ国境から押し寄せる難民問題、トランプの大統領就任4年間のカオス、トランプが再選選挙に落選した際の米国議事堂クーデター未遂事件、全米の保守派による黒人史/LGBTQ禁書問題、現在進行中のイスラエル/パレスチナ問題へのアメリカ国内での反応などについて書いてきました。

 いずれもアメリカ/ニューヨークの出来事でありながら、日本社会にも少なからず影響を及ぼすと思われる事柄を選んできました。冬休みでお時間のある時に1編、2編と読んでいただければ、とても嬉しいです。

 では読者の皆さん、楽しい年末年始と、充実の2024年をお過ごし下さい。

 またどこかでお会いしましょう。

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