Model27R BlackQueen
・全長 108cm
・重量 4kg
・口径 10mm(10mmケルダボ9.6g)
・ゴム #40平ゴム折返し13cm(固定部分含む)片側2本ずつ テーパー50%
・ゴム引き伸ばし率 5.2倍
・弾受け重量 2.4g(5mm綿金剛打)
・初速 60.4m/s(10℃実測、25℃推定75m/s)
・装弾数 5発(自動給弾機構搭載)
・シアロック方式のセーフティレバー搭載
私の最初の自動給弾スリングライフル、Model19Rベンガル及びブラッククイーンの後継機として自動給弾機構搭載10mmダボ仕様スリングライフルとして設計したのがこいつです
それでは各部を紹介していきますね
ストック
まずは息子製スリングライフル一番のウリである木製部品から見ていきましょうか
ブラッククイーンはウェザビー マークVのようなマグナムライフルをモデルに徹底的に黒に拘った仕様になっております
ストックは北米産ブラックウォルナットをベースにフロントとグリップエンドにカメルーンエボニー、ウォルナットとエボニーの接合部に自作のリネンマイカルタを差し色にしております
それに松煙(松を燃やして作った煤、和墨の原料)と赤との粉を混ぜたボイル油でオイルフィニッシュを施し、ウォルナット部分は8000番、エボニー部分は15000番の精密研磨フィルムで磨き上げております
バットプレートは分厚い黒ラバー製になってますね
このストックは元々一体型で設計していましたが、マガジン納める吹き抜け構造がどうしても強度不足になりそうだしフライスだと彫り抜けないのでかなり手作業せねばなりません
ここを作れるかどうかで1年近く遅延しておりましたが、結局安全策をとり勇気の切断、息子製スリングライフルっぽさ溢れる分割ストックとなり、私は満足しております
フレーム
フレームはガチ塗りプライマーで下処理した後いつものラッカーつや消し黒塗装面
従来の私のスリングライフルではメンテナンス性重視で上フレーム前後をネジ留めして取り付けてましたが、今作はたるみ防止のためメタルロックで接着しています
完全接着したおかげでよりフレームの短いラグドールやレオパルドよりも上フレームを押さえつけた際のたるみが軽減、剛性アップしてます
上下連結プレートは前部が2.4mm厚、後部が3.2mm厚になっており、後部を厚くして重心バランスをより良くしてます
レールはフレームに前後2点をネジ留めで、マズルから差し込んでネジ締めて取り付けです
レールは前部連結プレートの途中で途切れており、加速後の弾に余計な摩擦を与えない構造になってます
画像のゴム後端付近の六角ボルトまででレール途切れています
このボルトはレール取り付けネジが緩んだときに弾と一緒にレールが飛び出すのを防止するとともに、前部連結プレートの接着が剥がれたときの脱落防止も兼ねています
上フレーム後端のボルト(リアサイト直下のやつ)も接着剥がれ時の脱落防止ネジであるとともにコッキング時に親指かけて最後のふんばりをする足場(?)になってます
いつもはヨークを前部連結プレートとフレームに貫通させることで接着剥がれ時の脱落防止策としているのですが、フレーム先端までレールが伸びて無い関係上、フレーム内側に貫通させてしまうと滑空中の弾にブチ当たってしまうので外に配置してます
機関部
機関部は塗装ではなく黒染めです
これについては言う事特に無いですかね
完全にいつものフックシアトリガーの3パーツ構成です
自動給弾機構とマガジン
これも特に言う事なくて、レオパルドとほぼ同じ
ダボの自動給弾機構はレオパルドで完成してますからね
あえて書くならスライド蓋が鉄板切り出しから鉄ステー製になってるのとアルミの10mmコ型モール使って5発クリップ作ってます
元々作成予定なかったので軍用ライフルみたいなクリップ差込口とかは無くて、給弾口に押し当てて弾だけダララララッと流し込みます
レオパルド方式のマガジンは一発ずつ弾込めするとマガジン内で弾が横転しやすいのでクリップ装填のほうが楽です
リアサイト
リアサイトはLCT製AK12のものを載せているのでピープサイトを上下左右に調整できます
初速は気温によって大幅に上下するため、調整幅の大きなリアサイトは必須です
家の周りに住宅増えて屋内でしか撃てなくなったので的まで近すぎてサイト覗く必要ないんですけども
安全装置
で、最後にアップルヘッドで失敗して以来の搭載となるセーフティの紹介を
こいつはコッキング後のシアの動きを阻害するタイプの安全装置ですね
操作はAK系列と同様でレバー上げるとオン、下げるとオフになりまして、コッキングしてフックが起きた状態にならないとオンにできない作りになってます
オン
オフ
構造はレバーの軸に切り欠きがあるだけのシンプルなもので、オフだとこの切り欠き部分までシアが下がるのでフックが開放されますが、回してオンにすると切り欠きがタテになってシアが固定されフックが開放できなくなります
図のためパーツデフォルメして回転角度も誇張して書いてますが、実際は回転角15度ほどです
この構造だと安全装置掛けとけばフックとシアの切り欠きがえぐれて機能しなくならない限りは安全ですね
フックを固定する方式より少し安全性劣りますが、トリガーのみ固定する方式より遥かに安全です
トリガーのみの固定だとシアの動きは阻害されてないので落下の慣性とかでシアが動いてしまうことが考えられますからね
……前に安全装置不要論の記事書いといてなんなんですけど、ストックが分割になったせいでマガジン部分の余白が寂しくなったんですよ
なんか作れそうだったし完全に技術マウントです
各部の紹介はこれくらいですね
最後に初速を見ていきましょう
初速は10〜12℃での測定で60m/sほど
1℃につき1m/sの上昇と考えて25℃では推測値75m/sです
この上昇幅はこいつでプロット取ったわけではなく別のライフルでの記録なので、またこいつでもプロット取らねばなりません
しかしこの初速は旧ブラッククイーンことModel19Rと同一か少し速いくらいです
※アドビのFlashPlayer終了したせいでブログに動画貼れないのでYouTube用の動画完成するまでは私のTwitterの動画参照してください
新旧ブラッククイーンのサイズ差はこうなってます
旧ブラッククイーンは長大なフレーム長にものを言わせて初速を伸ばしていましたが、フレームの剛性不足により上下レールが並行にならず、少し垂れ下がっていまして、プリテンション化することでそれを改善しておりました
レールも下面だけなのでレール間隙間は広く、弾受けの掛かりをよくするために重く太い6mmクレモナ金剛打ロープ弾受けを使わねばなりませんし、それも弾の芯からズレたところを押してしまい、レールへ弾を押し付けながら加速させる要因となっていました
さらにプリテンション後に通るレールは長大で完全にエネルギーロスになっていました(それでもプリテンション無しよりは高初速でしたが)
新ブラッククイーンは上下レールによりレール間隙間は5mmなのでより細く計量な弾受けを使用でき、フレームを短くし上下を完全に接着することで上フレームのたるみを無くし、更に弾の加速終了後のレールを無くして摩擦やレールへの弾の押し付けによるエネルギー損失を可能な限り少なくして効率化しています
それがこのサイズにも関わらず同等以上の初速を発揮できる要因です
新ブラッククイーンより少し長い程度だった10mmダボ仕様の初期レッドタロンはこれより更に低初速(6月の暑い時期に平ゴム仕様58m/s)だったことを考えると、むやみやたらとフレームを伸ばすよりもエネルギー効率を高める方がより高性能なライフル開発に繋がりそうですね
……10mでのグルーピングは屋内でしか撃てない環境になったので測定不可能です
フレーム剛性上がってたるみ無くなってレールもほぼ完全に平行になってるし上下レールで弾のガタツキもないので円柱弾にしては高精度だと思うんですけどね
撃てないんだから知らんけど
初速測定や水入りアルミ缶の射撃なんかは現在YouTube投稿用動画を撮影中なのでそっちを待っていてくださいね
それではまた