高齢者が家族から嫌われてしまう問題について
幻冬舎は高齢者が家族から嫌われてしまうことについてのコラムを発表した。
参照:老父が家族から嫌われないうちに…ホーム入居の哀しい決断(幻冬舎GOLD ONLINE)
私自身は祖母と暮らしているのだが、祖母のことを嫌いになったことは一度もない。しかし、すべての人がそうではないだろう。
このコラムでは、認知症を患った自身の父親がが家族から嫌われてしまうことを懸念する男性の気持ちが綴られている。
確かに、病気とはいえ頻繁に警察にお世話になったり、他人に迷惑をかけてしまうような高齢者を嫌わずにいれるだろうか。もし、自分の祖母がそのような行動を犯したとして、一切ストレスを感じずにいられるかと聞かれたら私は自信がない。
自分の父親であるとはいえ、何をしても許すというわけではない。加齢によるものだから仕方がないとは思いつつも、存在がストレスになってしまう可能性は十分にあるのだ。
その結果、本来あるべきはずの家族の絆が失われてしまう。これは高齢者側からしてもつらく寂しいことだろう。しかし、高齢者は若者のように振舞うことはできない。
そのため、高齢者側にできる対策というのは存在しない。だから、家族全体で高齢者への接し方を考えなくてはいけないのだ。
この記事では、高齢者が家族から嫌われてしまう理由とその解決策について考えていく。
■高齢者が家族から嫌われてしまう問題について
高齢者が家族から嫌われてしまう理由は様々だ。幼少期から関係がよくなかったという家も多いだろう。そういった元々不仲の家庭に関しては、今回は考慮しないこととする。
今までは仲良く過ごしていたのに、加齢が進むにつれ嫌われてしまう理由について考えていこう。
・高齢者に対応する手間
若者と高齢者は同じように活動できない。非常に当たり前のことだが、高齢者の立場になったことがない身からすれば、感覚的に理解できないのも事実だ。
高齢者の動きが遅かったら、自分も遅くしなくてはいけない。高齢者の食事を用意しないといけないのであれば、休みの日でも早く起きなくてはいけないなど、高齢者の生活に自分が対応する必要がある。
認知症などの病気が進めば、こういった手間が必要になるのもわかる。しかし、加齢で運動能力が当たり前に低下すだけでも、無意識のうちに高齢者を気づかった生活になるのだ。
これをストレスに感じる人は非常に多いだろう。
・考えを共有できない
高齢者と若者では考えを共有することも難しい。古臭い考え、今時の考えという言葉を聞いたことがあるだろう。一般的な常識で比較しても、高齢者と若者では大きな隔たりがある。
自分の考えを高齢者が理解してくれない、逆に高齢者側からすれば若者が自分の考えを理解してくれないのはストレスに感じるだろう。こういった考えや意見の食い違いも、家族としての関係に軋轢を生むのである。
先ほども述べたように、若者が高齢者の立場に立ったことがないのが大きな原因だろう。そして、それは若者である限り解決することができない。
別のアプローチで解決手段を提案していくのが大切だ。
■どうすれば解決できるか
若者に高齢者の立場になって考えろという人がある。ただ、はっきり言ってそれは無理だ。なぜなら、若者は若者であり高齢者ではないからである。
相手を労る気持ちは大切だろう。しかし、若者は若者で悩みを抱えている。それなのに高齢者が自分の意見ばかりを主張してきたらどう感じるだろうか。
若者の労る気持ちが足りない。そう断言するのは簡単だが、それだけでは根本的な解決にならない。
感情論ではなく、具体的な行動に基づいた解決策が必要だ。
・老人ホームについての話し合いを進めておく
1番おすすめなのは、体の機能に自由がきかなくなる前から老人ホームについての話し合いを進めておくことである。
自分の体に不自由があってから老人ホームについて相談されると、高齢者側からすれば見捨てられたと感じるかもしれない。ただ、早めに老人ホームについて話しておけば、体に不自由があって面倒だから老人ホームに送ったという印象を減らせるはずだ。
姥捨て山というイメージが強い老人ホームだが、高齢者にとっては非常にメリットが多い。家族の手を借りなくても、老人ホームであれば安全に暮らせるからである。
それに元気なうちから老人ホームを利用しておけば、子供たちに会いにいくという習慣をつけることもできる。こうすることで、子供たちは高齢者に対する不快感を持たなくてすむ。
あえて距離を置くことで、関係を良好に保つことができるのだ。
はっきりと述べるが、高齢者が若者のように行動できる可能性はゼロである。そのため、家族で生活をしているうちはどんなケースであれ不満が生じる可能性がある。
嫌われ者のおじいさん、おばあさんにならない、させないためには、愛する家族から距離を置くことも必要なのだ。苦しい選択かもしれないが、これも家族を想っての行動なのである。
■まとめ
一緒に暮らしている高齢者にストレスを感じている方は多いだろう。介護のストレスは現代社会でも問題になっている。しかし、自分の人生を犠牲にすることはない。
老人ホームは高齢者を見捨てるということではない。むしろ、家族の絆を守るための最善の策と言えるだろう。
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