今回は、静岡に蒸溜所を構えるガイアフローより、シングルモルト静岡 ポットスティルK 純日本大麦2023年版を飲みます。

軽井沢で使われた蒸溜釜、国産大麦という組み合わせ

_DSC7690_01ガイアフローは、静岡市に本社を置くウイスキーの輸入および販売を行う企業として創業しましたが、その当時より自社でのウイスキーの製造を目標としていました。

2016年には蒸留所が竣工し、製造免許を取得後に本格的に製造に着手しました。

2020年にプロローグ、2021年にコンタクトという試作ボトルをリリースした後、2022年より本格的にシングルモルト静岡としてリリースしました。

静岡蒸溜所には2つのポットスチルがあり、一つはメルシャンがかつて所有していた軽井沢蒸溜所で使われていたスチーム加熱式のもの、もう一つは世界でも類をみない、薪を使った直火蒸溜のものを所有しています。

前者で蒸溜を行ったウイスキーには「K」、後者で蒸留したウイスキーは「W」がつけられ、2種類の原酒をヴァッティングしたものには「S」がつけられます。

そして使われる大麦麦芽は、一般的なスコットランド産のほかに、ドイツ、カナダ、そして日本の大麦を用意しています。
静岡蒸溜所にはモルティングを行うキルン棟がないかと思われるので、外部の業者に頼んだものをサイロに貯蔵しているようです。

今回のボトルにおいては「純日本大麦」と書いているように100%国産の大麦が使われています。

大手メーカーでも麦芽はスコットランド産にこだわっていることを考えると、この選択がどういうものになるのかが気になります。

テイスティング

グラスからの香り、液色

グラスからはバナナとカスタードクリームが合わさった香りがやってきます。
液色は少々淡いゴールドです。

ストレート

先にバナナ、バニラ、カスタードクリームの香りが訪れ、竹、白檀、ラムレーズンの香りが追いかけてきます。
味わいは、アルコールからの辛みが強く、後から酸味がしっかりと広がります。

ロック

バナナ、桃、竹、白檀、シナモンの香りが先にやってきます。
味わいは、スパイシーさが強く、後から軽く甘みも訪れます。

ハイボール

桃の香りが先にやってきて、その後バナナ、白檀、レーズンへと続きます。
味わいは、苦みが先行し、後からピリ辛さと酸味が続きます。

フルーティなのにピリッとくるアンバランスさ

静岡蒸留所では基本的にバーボン樽やそのリメード樽を使っているらしく、バニラ系の香りがそこそこやってきますが、竹や白檀を思わせる香りもあって、しっかりした個性を感じます。

反面スパイシーさが強く、甘い香りとアンバランスな印象があり、かなり人を選ぶ印象です。
シングルモルトは個性が強いというのが一般的ですが、それでも個性を強く出している感じですね。

500mL、アルコール度数55度、価格は15,000円ほどです。
おいそれと買える値段ではないものの、どこかのバーで置いていることを願って、一度試されるといいでしょう。
個人的にはロックの方が一番飲みやすかったです。

<個人的評価>

  • 香り B: 桃、バナナ、バニラ、竹、白檀、シナモン、レーズンと多彩な香り
  • 味わい C: 香辛料のようなスパイシーさが強く、香りと裏腹で喧嘩をしている印象。
  • 総評 C: しっかりした個性がある分、人を選ぶ印象。