平成28年4月1日

証券取引等監視委員会

スプレマシーアセットパートナーズ株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会がスプレマシーアセットパートナーズ株式会社(東京都中央区、法人番号3010001132094、資本金1000万円、第二種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • (1)出資金の流用を知りながら匿名組合契約に基づく権利の私募の取扱いを行っている状況

      スプレマシーアセットパートナーズ株式会社(以下「当社」という。)は、営業者をMTキャピタル合同会社(以下「MT社」という。)とし、MT社が出資金を基に購入した回胴式遊技機(以下「パチスロ機」という。)を株式会社LIG(以下「LIG社」という。)にレンタルし、LIG社が当該パチスロ機を遊技場にレンタルする事業や、営業者をLIG社とし、LIG社が出資金を基に購入したパチスロ機を遊技場にレンタルする事業へ投資するとする匿名組合契約に基づく権利(以下「SAPファンド」という。)の私募の取扱いを行っている。なお、平成28年1月末現在、償還期限の到来していないSAPファンドは、27本、出資総額は約5.6億円である。

      しかしながら、遅くとも平成27年9月以降、当社のA代表取締役(以下「A代表」という。)の指示により、MT社又はLIG社の管理するSAPファンドの資金管理口座から出金された金銭が、LIG社の経費、A代表が代表取締役を務める株式会社WARIKANへの送金等に充てられ、流用されている状況が認められた。

      当社は、このようにA代表の指示によりSAPファンドの資金が流用されているにもかかわらず、SAPファンドの私募の取扱いを継続していた。

      当社の上記の行為は、金融商品取引法第2条第2項第5号に掲げる権利に関し出資された金銭が、当該金銭を充てて行われる事業に充てられていないことを知りながら、同法第2条第8項第9号に掲げる行為を行うもので、同法第40条の3の2に違反するものと認められる。

    • (2)事業の実態について事実と異なる内容を告げて匿名組合契約に基づく権利の私募の取扱いを行っている状況

      SAPファンドの出資金が投資される事業では、LIG社から遊技場にパチスロ機がレンタルされているほか、LIG社から遊技場にパチスロ機が販売されている場合もあるという状況が認められた。

      当社は、こうした状況について、遅くとも平成26年6月には認識していたが、その後も、SAPファンドの資金が投資される事業内容について、事実に反し、MT社が出資金を基に購入したパチスロ機をLIG社にレンタルし、LIG社が当該パチスロ機を遊技場にレンタルして得たレンタル料について、一定割合で、顧客、MT社、LIG社及び当社に分配又は留保する事業である旨、また、遊技場からのレンタル料の支払いやこれを基にした顧客への分配金の支払いは、匿名組合事業開始月の特定の日から1年後又は数年後の特定の日までが全体の計算期間となり繰り返し履行される旨など、あたかも継続的な事業収益が見込まれるかのごとく説明し、SAPファンドの私募の取扱いを行った。

      当社の上記の行為は、金融商品取引法第38条第1号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為」に該当するものと認められる。

    • (3)無登録で社債の募集の取扱いを行っている状況

      当社は、平成28年2月に、少なくとも53名の顧客に対し、LIG社が発行する社債について、期間や利率など具体的な商品内容を、「私募債発行並びに募集要項」と称する資料を用いて説明したり、電子メールで伝えることによって勧誘を行い、少なくとも4名の顧客に当該社債を取得させている状況が認められた。

      また、当社は、LIG社との間で、上記のような行為に対して紹介料名目で金銭を受領することを約する契約を締結しており、これに基づいて販売代金の10%を受け取ることとしていた。

      上記一連の行為によって、当社は、第一種金融商品取引業の登録を受けていないにもかかわらず、LIG社のために社債の募集の取扱いを行っていたものと認められる。

      当社が行った行為は、金融商品取引法第28条第1項に規定する第一種金融商品取引業(同法第2条第8項第9号に掲げる「有価証券の募集の取扱い」を業として行うこと。)に該当するものであり、当社が同法第31条第4項に基づく変更登録を受けることなく第一種金融商品取引業を行うことは、同法第29条に違反するものと認められる。


(参考条文)

○金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(定義)

第二条(略)

2~7(略)

8この法律において「金融商品取引業」とは、次に掲げる行為(その内容等を勘案し、投資者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして政令で定めるもの及び銀行、優先出資法第二条第一項に規定する協同組織金融機関(以下「協同組織金融機関」という。)その他政令で定める金融機関が行う第十二号 、第十四号、第十五号又は第二十八条第八項各号に掲げるものを除く。)のいずれかを業として行うことをいう。

一~八(略)

九有価証券の募集若しくは売出しの取扱い又は私募若しくは特定投資家向け売付け勧誘等の取扱い

(以下、略)

第二十八条この章において「第一種金融商品取引業」とは、金融商品取引業のうち、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいう。

一有価証券(第二条第二項の規定により有価証券とみなされる同項各号に掲げる権利を除く。)についての同条第八項第一号から第三号まで、第五号、第八号又は第九号に掲げる行為

(以下、略)

(登録)

第二十九条金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。

(変更登録等)

第三十一条(略)

2・3(略)

4金融商品取引業者は、第二十九条の二第一項第五号又は第六号に掲げる事項について変更をしようとするときは、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣の行う変更登録を受けなければならない。

(以下、略)

(禁止行為)

第三十八条金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。

一金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為

(以下、略)

(金銭の流用が行われている場合の募集等の禁止)

第四十条の三の二金融商品取引業者等は、第二条第二項第五号若しくは第六号に掲げる権利又は同項第七号に掲げる権利(同項第五号又は第六号に掲げる権利と同様の経済的性質を有するものとして政令で定める権利に限る。)については、これらの権利に関し出資され、又は拠出された金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)が、当該金銭を充てて行われる事業に充てられていないことを知りながら、第二条第八項第七号から第九号までに掲げる行為をしてはならない。

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