ノーベル文学賞の報せを知ってから「詩そのものである」と評されるわたしの戯曲を読んで「あんな気もち悪い台詞は言えない」などと嬲りものにした俳優たちの姿が浮かぶ。遠いむかしの話だけではなく、最近だと今年の5月、ハラスメントにあったため公演を中止にし急きょWIPへ変更した『光害』のクリエイション現場でも一人の俳優から散々なことを言われつづけていた。一方で「たとえやれなかったとしても、あなたの書いた祈りや祝詞のようなことばを口にしたい」と声をかけてくれた人たちのことも心に留めている。日本のほとんどの演劇人が詩的なテキストなど下らないといったふる舞いをしていたことを忘れていて、今回のようなときだけ口々に何か表明しようとしているのに信じられない気もちになる。今日までに彼の作品をいくつか上演したのは地点のみではなかったか。無名だったわたしの戯曲『居坐りのひ』にはじめて光をあててくれたのも三浦さんだった。