広島の会社が運営する全国各地の食堂などの営業がストップしている問題。広島県内でも新たに県議会や大学での影響が明らかになっています。そんな渦中にある運営会社の社長がTSSの取材に応じました。

【ホーユー・山浦芳樹社長】※吹き替え
「今月1日の夕方、破産することを決めた。予期せぬ動きがございまして本当に急転直下だった。青天の霹靂だった。廃業せざるを得ないことになったことに対して、学生さんや関係各位に申し訳ないなという気持ちはありますけれども、実際このままの考え方でやれば学食も寮食も破綻すると思います」

先月下旬まで事業を継続したものの今月から”やむを得ず事業を休止した”という広島市中区の「ホーユー」。
運営する食堂は全国各地におよそ150施設ありその半分が営業を中止したといいます。

沖縄県にある那覇駐屯地の関係者によると隊員食堂の食器洗浄や清掃業務、給食業務をホーユーに委託していましたが、この事態を受けて隊員がみそ汁やサラダなどを協力して作っているほか、弁当やパンを購入して食事をまかなっているといいます。

【秋田テレビ・田口慧一記者】
「県消防学校の寮で給食が提供できない事態となっています。調理を請け負っている業者とは連絡がつかなくなっているということです」

秋田県消防学校では5日、ホーユーのパート職員が「本日の昼食をもって給食が停止する」と突然告げ、5日の夕食以降は給食が提供されていません。

愛知県の県立総合看護学校では6月に「リニューアルオープンのため食堂を閉める」といわれ現在も食堂は閉まったままです。
取材に対してホーユーの社長は「以前は続ける意思があった。今月1日に『どうしようもないね…』となった」と話しました。

また広島県内でも6日新たに…。

【若木記者】
「県庁の議会棟の一階に入っているこちらの県会グリルもホーユーが運営していました。きのうまでは営業していたということなんですが、今日は中は真っ暗、営業の中止を知らせる張り紙などもありません」

さらに、庄原市にある県立広島大学のキャンパスでも学生寮の食堂や売店が営業されていないことがわかりました。
日を追うごとに影響の大きさが浮き彫りになる今回の問題…。
5日夜、TSSの取材に応じたホーユーの山浦社長は今回の事態の背景をこう語りました。

【ホーユー・山浦芳樹社長】※吹き替え
「広島の落札金額は他の府県と比べると半分以下。全国で一番安い。運営できない金額で平然と落札される」

そして学校側とこうしたやりとりがある”実態”も口にしました。

【ホーユー側】※吹き替え
「物価や光熱費が上がったから給食の現状を維持できないですよ」
【学校側】※吹き替え
「いいからそれでやって」

しかし、給食の質を下げて出すと今度は学生側から「改善してください」といわれる”苦しい状況”にあったといいます。

【ホーユー・山浦芳樹社長】※吹き替え
「値上げの申請に行くと『わかった値上げしよう』という学校や役所はゼロ。食材、電気、最低賃金上がるが値上げできない。安定的な経営ができる環境を作っていかないと我々と同じことが再度行われていくだろう。この先、給食・学食・寮食は無くなっていくかな」

こうした主張に対し、県の担当者は食材費の高騰に対応するための県の給食や食堂運営への補助事業についてことし7月上旬にホーユーに説明したと言います。

【県教委高校教育指導課・小野裕之課長】
「ホーユーの担当者から『現在の給食費の単価で工夫しながら食事の提供を継続していくので補助申請は行わない』と回答を頂いている」

義務教育ではない高校は各家庭に委ねられる昼食などの選択…。
今回の事態を街の人は…。

【20代大学生】
「一度、学食を経営する会社が変わったりした。経営不振らしいです。メニューも少し変わりましたし値段が上がったりしてそこから利用の回数も減りました」

【中学生の息子が学食利用】
「うちは週1回なので上がってもお願いしたいです。みんなで(値上げなど)つらいことは負担しあって…」

また、専門家は給食業界の現状について…。

【日本給食業経営総合研究所・井上裕基副社長】
「給食業界に価格転嫁しづらいというのは事実ある。ただ外部環境を踏まえて食のインフラであるということを念頭に価格をしっかり見直すことで適正な価格に変えていこうという企業が増えているのも事実」

ホーユーは500人以上の従業員解雇し近く広島地裁に破産申請をするということです。

テレビ新広島
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