マーケティング担当者は、Twitter上でさらなる課題に直面している。 イーロン・マスク氏がソーシャルメディアプラットフォームの指揮を執ってからほぼ9カ月が経ち、おなじみの青い鳥が示すアプリはもう存在しなくなった。この突 […]
マーケティング担当者は、Twitter上でさらなる課題に直面している。
イーロン・マスク氏がソーシャルメディアプラットフォームの指揮を執ってからほぼ9カ月が経ち、おなじみの青い鳥が示すアプリはもう存在しなくなった。この突然の変革は、ソーシャル メディア戦略の一環としてプラットフォームに依存していたマーケティング担当者にとって大きな障害となっている。
懸念はユーザーの離脱
フィンテック企業のナショナルビジネスキャピタルでCMOを務めるブライアン・シュバリエ・ジョーダン氏は、「本当にがっかりしている」と語った。同社は現在、Twitter(正確にはX) で広告を掲載してはいないものの、より広範な有料ソーシャルメディアキャンペーンの一環として、今後数カ月以内に広告を購入することを検討していた。しかし、今回のリブランディングへの動きは、必ずしも同プラットフォームでの広告掲載が熱心になったわけではなかった。
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ジョーダン氏は、「マスク氏が今後もプラットフォームにランダムな変更を加え、我々のマーケティング対象者となるようなよりカジュアルなユーザーを遠ざけたり、広告ツールを変更したりするのではないかと懸念している」と述べ、「ユーザーが離脱し始めると、プラットフォームの有用性が低下する。また、ツールが劣化するとそこからビジネス上のメリットを得ることが難しくなる」と指摘した。
明らかにTwitterのリブランディングのスピードは、ジョーダン氏のようなマーケティング担当者を驚かせている。通常、このような変更は徐々に導入され、マーケティング担当者やユーザーが予測して適応する機会が与えられるからだ。しかし、Twitterに至ってはそうではない。先日、マスク氏はかねてから計画していたとおり、プラットフォームの正式な名前変更とブランド名を「X」に変更すると発表した。Twitterの象徴的な青い鳥のロゴは廃止され、サイト全体で「X」に置き換えられた。
広告主に不安と納得のいかない感情を与えている
理論的に、今回のリブランディングは理にかなっている。というのも、Twitterは10月以来、物議を醸しているオーナーが引き起こした混乱のおかげで、自ら招いたものとはいえ、流動的な状態にある。ブランド変更は、次のステージを開こうとする明らかな試みのようにも見える。
イーロン・マスク氏は、TwitterをWeChatのようないわゆる「何でもアプリ」に変え、人々が商品の購入から友達との会話まで、あらゆることができるようにすることを声高に主張してきた。Twitterには、伝統的なソーシャルネットワークとしての存在意義に関連して、よい点もあれば悪い点も含めて多くの課題があり、ブランド変更は本来、マーケターにとって決定的な瞬間となるはずだった。
これまでのところ、マスク氏のプラットフォーム事業に対する計画が何なのかを理解しようとしているマーケターにとって、これは決して啓発的なものではなかった。実際、この動きはまったく逆の効果をもたらし、広告主に不安と納得のいかない感情を与えている。DIGIDAYが取材した広告主6社によると、当然のことながら、この最新の(そして重大な)動きについては事前の警告も予告もなかったという。
Twitterに求めているのは一貫性
「(マーケティング担当者とユーザーが)Twitterに求めているのは一貫性だが、これは全くの別物だ」とブランディングエージェンシーであるコトスタジオ(Koto Studio)の創業者兼最高経営責任者(CEO)のジェームズ・グリーンフィールド氏は語った。「すべてのブランドと名前の変更は注意と管理のもとで行われる必要があるが、現時点では混乱がさらに増しているだけだ。イーロン・マスク氏はプラットフォームブランドで『迅速に行動して物事を打ち破る』という姿勢だが、それは信頼の面で人々を不安にさせているに違いない」。
マスク氏のツイッターでの実績を考慮すると、今回の突然の動きは既存の懸念をさらに増大させるだけだ。実際、マーケティング担当者がTwitterに対して抱いていたかもしれない信頼がもし残っていたとしても、さらに損なわれてしまう可能性もある。
マーケティング担当者はTwitterの将来を懸念
デジタルマーケティングエージェンシーであるシージェイアンドシーオー(CJ&CO)の創業者でマーケティングおよび財務責任者のケーシー・ジョーンズ氏は、「多くのマーケターにとっての主要な懸念は、このブランド変更がプラットフォームの機能と既存のアカウントにどのような影響を与えるかだ」と述べ、「当社はTwitter上での存在感を構築するために多大なリソースを投資してきたが、いかなる変更も当社のエンゲージメントとリーチに影響を与える可能性がある」と懸念した。
マーケティングストラテジストのテレザ・リッツァ氏も同様で、「リブランディングが何を意味するのか、そして今後数カ月でプラットフォームがどこに向かうのかについて何も知らないという事実に大きな懸念がある」と話した。
また、「事前に計画を立てること、信頼を維持すること、さらにはマーケティング資料を作成することさえ困難になる」と同氏は言い、「たとえばWebサイト上のすべてのアセットとTwitterのロゴ、そしてその周りのすべてのコピーを含むグラフィックスを作成する必要がある。これがどのように発展するのか、あるいはTwitterに戻る可能性があるのか、それともプラットフォームが存在しなくなるのかがわからないのが心配だ。これらすべての疑問により、この新しいブランドを信頼することが難しくなる」とした。
忘れてはいけないのは、マスク氏がTwitterの広告収入が50%減少していることを認めたのは最近のことであり、これはマーケターがプラットフォームに戻ってきたとはいえ、以前の半分も支出していないことを明確に示している。そこにある信頼は薄れているのかもしれない。しかし、Twitterがまだ損益分岐点を目指していることを考えると、その信頼を必要としていることは間違いない。
リブランディングのタイミングには疑問がある
影響を鑑みると、このブランド変更はあまり上手くいかなかったようにみえる。というか、その実行方法があまり好評ではなかった。実際、マーケティング担当者らはXへのブランド変更のタイミングについて、TwitterのライバルになりうるThreadsに関してメタ(Meta)が受けた好意的な報道に対する、単なる便宜的な反応であるかのように感じている。
「マスク氏とザッカーバーグ氏のあいだで、非常に長くて退屈なテニスの試合を見ているような気分だ。どちらがもっとも不快感の少ないテキストベースのプラットフォームを作成できるのかという試合だ」と、デジタルマーケティングエージェンシーであるガールパワー・マーケティング(Girl Power Marketing)のディレクター兼創設者、アニー=マイ・ホッジ氏は語る。
しかし、プラットフォームが今後どのように呼ばれるかに関係なく、ほとんどのユーザーと広告主はおそらく、Twitter(正確にはX)に留まり、不確実性を我慢するか、それともTwitterを捨てて別の場所に行くかをすでに決めているだろう。なぜなら、マーケティング担当者が既存の戦略やアカウントのパフォーマンスに混乱が生じる可能性を、依然として懸念しているからだ。
結局のところ、ブランド変更はアプリの不確実性を示す新たな兆候にすぎない。「もしXの意図が『あらゆるアプリ』であるならば、それが中核事業にとって何を意味するのかについて多くの疑問が残る」と、グッドウェイグループの最高メディア責任者であるステファニー・エステス氏は述べた。
「明らかなことは、これがテキストベースのアプリの終わりであるということだ」と、市場調査会社のイーマーケター(eMarketer)でソーシャルメディア担当主席アナリストを務めるジャスミン・エンバーグ氏は指摘する。同氏が指摘するように、このブランド変更は過去17年間のTwitterが消滅し、復活しないことを明確に示しているように見える。なお、Twitterは米DIGIDAYのコメント要請には応じなかった。
[原文:Twitter’s rebrand to X is more than the end of an era — it’s yet another headache for marketers]
Krystal Scanlon(翻訳・編集:島田涼平)