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安倍元首相とは対照的なSNS好感度
この論争の最中、亡くなった安倍元首相に対する好感度を温度で示す感情温度(0~100度)は好転する一方、岸田首相は伸び悩んだ。21年調査で全体の平均が41.0度だった安倍元首相は22年調査では57.1度へと改善。もともと好感度が高かったSNS1位層は、21年52.1度→22年62.3度とさらに上昇した。
一方の岸田首相は、全体平均こそ、21年51.8度→22年52.8度とわずかに好転したものの、SNS1位層の好感度は21年51.8度→22年40.9度と急激に悪化した。安倍元首相の好転には、亡くなったことへの同情があるとしても、両氏の対照的な好感度の変化の背景には、SNSの影響が透けて見える。
SNS利用層の岸田首相に対する好感度の低さは、別の調査でも確認できる。スマートニュースメディア研究所と世論調査の専門家らでつくる研究会が、今年3月に郵送方式で実施した「メディア価値観全国調査」によると、小泉元首相以降9人の首相に対する好感度を10点満点で尋ねた結果、岸田首相は9人中6位の平均4.2点だった。
分析を担当した東京大の前田幸男教授(世論研究)によると、新聞やテレビといった伝統的マスメディアを主に利用する層では好感度が4.5点と比較的高い一方、SNS中心層は3.6点と低く、安倍元首相や菅前首相とは逆の傾向を示した。
「増税メガネ」の背景
岸田首相がSNSをにぎわしたといえば、「増税メガネ」のトレンド入りが記憶に新しい。防衛力強化や少子化対策の財源確保のため増税が検討され始めたことに、SNS利用層は強く反応した。
23年調査で、「社会保障などの行政サービスが多少手薄になっても、国民の税金負担は小さい方がよい」という意見について、SNS1位層の「どちらかといえば」を含めた賛成は72%に上った。全体の賛成57%を大きく上回っており、SNS利用層の「税負担への拒否感」がとりわけ強いことがわかる。
岸田首相の「増税イメージ」は安倍、菅両政権が積み残した難題に道筋を付けようとしていることの反動でもある。ただし、短文で刺激的な内容の投稿が注目を集めやすいSNSの世界では、具体的な政策論争より、「増税メガネ」という単語ばかりが拡散し、「岸田首相=増税」というイメージを強調する結果となった。