土地に合わせた最善手を。地道な人脈作り×Web集客で機会を逃さない事務所経営術に迫る
今回は、群馬で代表弁護士として勤務されている中島 俊太朗先生(中島総合法律事務所)にインタビュー。弁護士としての思いや、Web集客の活用について伺いました。
中島先生は弁護士3年目に独立された当初から、弁護士ドットコムの弁護士向け集客サービスを活用してWeb集客にも力を入れていらっしゃいます。本編ではより具体的に、Web集客の活用方法はもちろん、オフラインでの活動についても特別にお話しいただきました。
(インタビュー日:2023年11月16日)
アジェンダ
・地域に根差し、更なる成長を目指すための弁護士ドットコム活用法
独立思考で修習時代から逆算して行動
ー 弁護士活動や事務所経営で大切にしていること、意識していることはありますか?
弁護士は「先生」と呼ばれる仕事ではありますが、お客さんありきの商売であることを常に意識しています。ひと昔前と今では弁護士の人数も状況も異なりますので。接し方はもちろん、報告の頻度などもお客さん目線で対応するようにしています。
事務所経営については、少人数事務所ということもあり、成績や実績と同時に、人柄も意識した採用をしています。昨今の採用難では、都会から少し離れた桐生という土地で働きたいと思ってもらえるだけでありがたいのですが、人間力のある方と一緒に働きたいですね。今後も人員は増やしていく予定です。
ー 人柄を大切にしているとのことですが、それは桐生という土地柄ならではの事情もありますか?
そうかもしれません。当事務所がある桐生市は、弁護士がいない隣のみどり市と合わせて人口が15万人です。二つの市を合わせた数字ですから、弁護士一人当たりの人口がかなり多いんですよね。必然的に弁護士同士でお客さんがバッティングすることもあります。
そういうわけで人間関係が密なので、一期一会ではないことが多いです。なので、仮に誤った対応をしてしまうと、依頼者からのご紹介や、今後の相談が難しくなりやすいエリアだと思います。だからこそ人柄は大切にしていますね。
ー 事務所を開設する土地は、かなり戦略性を持って決めたのですね。
はい、他の先生も同じかとは思いますが、かなり調べて決めました。開業場所を決めるにあたって、まずは弁護士の人数と修習期の構成を見ました。ここにすると決めたとき、桐生市の他4つの事務所は紹介案件がメインの老舗で、かつ修習期は一番近くて50期代と離れた先輩方が多かったんです。また当時は、Webサイトのある事務所は一つもありませんでした。独立当初からWeb集客を活用しようと思っていたのですが、誰もWebを活用していないエリアなら、より若手の自分にもチャンスがあるかなと。実際に開業してみて、新規のお客さんに来ていただけましたね。地元・みどり市に近いことも決めた理由の一つです。
また具体的な場所は、知り合いやお客さんに「良いところに事務所があるね」と言っていただけるように、法律事務所として周りから見られることを意識して選びました。現在の事務所は、桐生市の市役所の隣という中心地、かつ、桐生市が出捐する公益財団法人所有の建物内にあり、多少家賃が高くてもしっかりした建物に入ることが、信用につながると思い、今の場所に決めました。
ー 弁護士3年目での独立ですが、何かきっかけはありましたか?
弁護士になった時点で独立することは考えていました。34歳で弁護士になったこともあり「ゆっくりしていられない」という気持ちがあり、最初からプランを持っていましたね。また修習生のときは就職難だったこともあり、即独もやむなしと思っていました。ありがたいことに就職できて、経験が積めたのですが、修習の段階から独立思考があったので、スタートから見ているところは違ったかもしれません。具体的には、弁護士1年目の段階から様々な人と積極的に知り合う努力をして、顧問獲得につながるような動きをしていました。
独立のタイミングとしては、固定費と顧問料のバランスが取れるようになったら独立しようと決めていました。振り返ってみるとこれまでは予定通りで来ているのですが、ここからどうするかはまだ模索しているところです。
ー 取扱分野についてのマーケティング戦略はありますか?
大都市に比べて人口が少ないエリアだからこそ、分野は限らないようにしています。おかげさまで、様々な分野の相談がありますね。特に離婚などの一般民事については、弁護士ドットコム経由のお問い合わせが多いです。
チャンスを増やすWeb集客戦略
ー 独立時にまず取り組んだマーケティングは何ですか?
1年目から独立を意識して活動していたものの、数年の活動では限界があるので、顧問だけでは経営を続けて行くのが難しいと判断しました。僕の場合は特に、群馬県内ではあるものの高崎から桐生へ移動して、縁もゆかりもない新しい土地での独立でしたから、なおさら難しいだろうなと。そういう意味で、最初から新規のお客さんを獲得できる環境が必要だと思いました。そこで、前事務所から活用していた弁護士ドットコムの弁護士向け集客サービスを、引き続き活用することにしたんです。
特に離婚や交通事故などはWeb集客のほうが親和性があるなと思って始めましたが、想定通りでしたね。現状、相続については紹介案件が多いですが、他の分野はWebからの案件が多いです。特に、今いる桐生市では、Webに情報を出すことで、チャンスが増えていると感じることが多いですね。
ー 当初はポータルサイトのみでホームページはなかったのですね。
スタート時は、弁護士ドットコムのページがホームページ代わりになっていました。そのため、前事務所の時代から持っていた資産を、そのまま活用したような形です。すでに問い合わせがありましたし、改めて新しいホームページを作らなくても困らないかなと。Web上では近いエリアで競合がいなかったことも大きいです。
ただ、世代交代は避けられないものですから、「これからはそうもいかなくなるだろうな」という認識もあります。だからこそ、今年に入ってから正式なホームページを作りました。
ー 取扱分野は絞っていないとのことでしたが、今年作られたホームページでは企業法務の印象が強いのですね。
親が中小企業経営者なので、企業法務に対するマインドが当初からあったんです。弁護士になった時点で、すでに「使用者側のみで労働者側は受けない」という明確な考えがありました。当初からやりたかったことですし、実際にそういう弁護士になりました。だからこそホームページでは、企業法務の弁護士だと伝わるような内容にしたんです。前事務所に入所した理由も、企業法務に注力している事務所だったから、と明確な意図がありました。
現状、企業法務は顧問先の仕事や知り合いの士業からの紹介案件が多いです。企業の規模も相談内容もいろいろで、金融機関もあれば、純利益で1億円を超えるような企業もあります。一方で中小企業の顧問も多いです。10人くらいの企業になると、法人の相談というより社長の悩み相談を解決に導くようなイメージが近いですね。
ー どのようなお客様からも、昨今ではポータルサイトやホームページの情報が見られていると感じますか?
個人・企業、新規・紹介を問わず、見られているとは感じます。桐生というエリアでは、弁護士自体が「何者なのか?」という状況からのスタートも多いので、企業のお客さんでも「弁護士の使い方がわからない」という話は珍しくないです。
また、どのようなお客さんでもWeb上で事前に情報確認ができれば安心できるのではないでしょうか。特に、Webから来るような新規のお客さんや、目的を持って弁護士を探している方にとってはWeb上での情報が重要になると思います。僕自身も、子どもの病院を探すときはホームページがあるかないかは確認しますし、あるほうがやはり安心感につながっていますね。
いずれは「新規の顧客獲得のためのホームページ」も必要だと考えていますが、現段階では信用・信頼につながるホームページが一つあれば十分だと考えています。
マーケティングはオンライン・オフラインの両刀
ー 地元紙・桐生タイムスでは2015年から連載を持っていると伺いました。顧問獲得につながるような反響はありますか?
反響自体は結構あります。東京とは少し感覚が違うかもしれませんが、桐生市では地元紙が結構読まれるんですよ。特にご高齢の方に読まれている印象ですね。そういう事情もあって宣伝にもつながるかなと思い、今も連載を続けています。桐生タイムスさんとは縁があり、弁護士になったときに「企画をやりたい」とお声がけいただいて連載を始めました。正直、毎回ネタを考えるのは大変ですが(笑)、企業法務の話ばかりではなく相続や離婚など身近な話題も入れています。
今は広告のつもりで続けているわけではないのですが、結果として信用にはつながっています。「新聞に出ていたね」「見ているよ」とリアルな場で声をかけられることが多いので、認知してもらえていると感じますし、結果として、自分の知り合いや顧問先を増やすことにつながり、その結果、集客にもつながっていると感じます。
ー ポータルサイトなどのオンライン(Web)での露出と、新聞などのオフラインでの露出で、反響の違いはありますか?
Webだと一方的な情報発信になりがちですが、新聞だと反響がダイレクトにあることが違いますね。また見ている層も違います。Webは若年層が多いですが、新聞はご高齢の方が多いです。オンラインとオフラインの両方での関わりがあるからこそ、桐生という土地では成功につながっていると思います。
オフラインの活動でいえば、内部向けの内容ではありますがセミナーも何回か開催しています。顧問先からの依頼で、社内の従業員に向けてセミナー対応をすることがありますね。
ー 先生は様々な場面でお声がけを受ける機会が多いのですね。
たしかに、総合的に見ればお声がけの機会が多いかもしれません。高崎だと150人いる弁護士も桐生では限られた人数しかいませんので、弁護士が珍しいという事情もあると思います。
自分の計画した通りに進んでいて成功に近づいているのだとすれば、この土地を選んだことは大きな要因の一つだと思います。競合がいないこの土地だからこそ、収益の柱の一つであるWeb戦略がうまくはまったと考えています。
ー 人脈を広げるコツはありますか?
僕の場合は、弁護士1年目から地域のロータリークラブに入って、知り合いを増やしました。地域の経営者が入る組織はある程度限られているので、入る団体はリサーチしたうえで決めましたね。その時点で顧問につながるご縁ができたら、という考えはありました。今は多くの団体に所属していますが、一つの団体に入るとそこで知り合いになった方から紹介いただいて、違う団体にも所属して、と増えていくんですよね。
結果として、1年目で数社の顧問を獲得でき、2年目、3年目と確実に増えていきました。ありがたいことに「中島に一度頼んでみるか」「よかったら顧問契約するか」という動機には「仲間だから」という気持ちがあって、その延長線上に今があるように思います。そのとき契約いただいた企業さんとは、いまだに関係が続いていますね。また他士業の先生とのつながりも、団体に入ったことで増えましたね。
ー 顧問先との関係を良好に保つコツはありますか?
定期的に会うことが重要だと思います。仕事上はもちろん、同じロータリークラブや団体に入っていれば、必然的に会う機会が増えますよね。僕の場合は仕事関係なく飲みに行くことも多いので、特には意識していませんが、つながりを切らさないようにしています。
仕事上では、レスを早くすることを心がけています。特にIPOを狙っているようなスピード感が求められる企業様へは、速度感を重要視してやりとりをするよう意識しています。
地域に根差し、更なる成長を目指すための弁護士ドットコム活用法
ー 先生にとって、弁護士ドットコムの弁護士向け集客サービスを続ける理由は何ですか?
事務所をどのくらいの規模にしたいのかにもよると思うのですが、僕の場合は現状をマックスとは思っていません。もっと多くの案件を受けていきたいと思っているからこそ、Web集客を活用しています。
極論を言えば、弁護士二人だけなら紹介案件と顧問契約だけで食べていくことは可能だと思います。ただ、それだけだと受けられる案件の幅が限られてしまいますよね。また自分自身、まだまだ経験を積みたいと考えていて、いろいろな分野の案件を経験したいという気持ちがあります。幅広い内容を取り扱いたい、という理由が大きいですね。
ー つまりWeb集客を活用して、幅広くお問い合わせを受けられる環境を作っておきたいということでしょうか?
そうですね。事務所の体制としても、弁護士がもう少し増えてもいいと考えているので、お問い合わせを受けられる間口はできる限り広げておきたいです。弁護士が少なく、まだまだWeb集客が活用されていない桐生というエリアで、一番に選んでもらえる事務所になれたらいいなという思いもあります。「ここに相談すれば大丈夫」と思われる事務所になりたいですね。
ー 他にも理由はありますか?
あとは僕が心配性ということもあります(笑)。常に忙しくないと不安なので、ある程度の案件数を持っておきたいんですよね。それに、今はまだ紹介案件だけで食べていくのは難しいと思っていて。だからこそ制限せずにお問い合わせをお受けして、その中から優先順位をつけて取り組んでいるという状況です。
自分のエリアでの最善手を打つことが大切
ー Web集客に力を入れたいと考えている先生方に、アドバイスやメッセージをお願いします。
今、ご自身のいるエリアで一番必要な手を打つことが大切だと思います。集客についての最善策はそれぞれの環境ごとに違うので、普遍的な方法はないでしょう。
独立を検討されている先生は、どこに事務所を出すか、エリアの決め方が重要だと思います。Web上での競合が少ない桐生市くらいの規模のエリアであれば、弁護士ドットコムに登録することをおすすめします。またオフラインの交流の場にも顔を出して、知り合いを増やしていくことも同時に重要です。特に地方では、団体などに所属して積極的に交流することがプラスになると思います。
いずれにせよ、目的からさかのぼって行動することが重要なのではないでしょうか。
(取材・文/Yoko Fujie)
中島 俊太朗 先生のプロフィール
早稲田大学法学部卒業。立教大学大学院法務研究科修了。
司法試験合格後、群馬県内の法律事務所で勤務したのち、2017年に中島総合法律事務所を開設。67期。
【所属】
群馬弁護士会
【主な取扱分野】
企業法務・顧問弁護士
不動産・建築
労働問題
債権回収
離婚・男女問題
遺産相続
交通事故
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医療問題
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