ハリー・デント
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- 株、住宅、暗号資産などの巨大なバブルがまもなく崩壊すると金融史家のハリー・デントが警告している。
- 彼は2024年に我々の生涯で最大の暴落と経済的苦痛が訪れると予測している。
- 過剰な政府支出が資産価格を危険で持続不可能な高値にまで押し上げているという。
株、住宅、暗号資産(仮想通貨)などの巨大なバブルは弾ける寸前であり、その影響は壊滅的なものになると、金融史家でベテラン市場ウォッチャーのハリー・デント(Harry Dent)が警告している。
「2024年は、我々の生涯で最大の暴落の年になるだろう」と、デントは2023年12月19日に公開されたFox News Digitalのインタビューで語っている。
『最悪期まであと2年! 次なる大恐慌: 人口トレンドが教える消費崩壊のシナリオ』などの著者であり、HSデント・インベストメント・マネジメント(HS Dent Investment Management)の創設者でもあるデントは、近年、あらゆる資産でバブルが形成され、それが今にもはじけそうなのは、過剰な政府支出のせいだと非難している。S&P500種指数は2022年に急落したが、2023年に入って25%近く反発し、史上最高値に迫る勢いだ。住宅価格もここ数カ月で記録的な高値となり、ビットコインなどの暗号資産の価値は今年2倍以上になった。
「今回の暴落は調整ではない」とデントは言う。
「これは1929年から1932年と同等レベルの暴落になるだろう。この暴落を経験した人なら、株式ブローカーを撃ち殺したいと思うはずだ」
デントが示唆するところによると、S&P500種指数は80%以上急落し、2008年の金融危機以来の最低水準になる可能性があり、アメリカの平均住宅価格は半分になり、暗号通貨は90%以上急落する可能性があるいう。
これほどの暴落が起きれば、金融当局は財政赤字を垂れ流し、人為的に資産価格をつり上げることをいずれは考え直すようになるかもしれないとデントは言う。
「私は暴落を祈っているが、他の人はそうではない。これは、我々がもう二度と検討することのない教訓であるべきだ。我々の生涯でこのようなバブルを経験することは二度とないだろう」
5月までには差し迫った破滅の兆候がより鮮明になるだろうとデントは考えている。
投資家にとって幸運なことに、今年は市場が反発し、昨年の損失をほぼ帳消しにすることができた。今後6カ月から1年にわたって投資家が市場から離れている間に、デントの予想が正しいと証明されれば、彼らは莫大な損失を回避しながら、信じられないほどの低価格で買い戻し、すばらしいリターンを得られるだろうとデントは述べている。
「このバブルが崩壊し、あらゆるものが現実的な価格に戻った時のことを想像してみてほしい。例えば、住宅は半分の価格で買えるだろう。あるいは以前と同じ額の住宅ローンで、質が2倍もいい住宅が手に入るのだ。クリスマスプレゼントにどうだろうか」
アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が12月13日、インフレ抑制のための利上げを終了する可能性を示唆し、2024年には3回の利下げを見込んでいるとしたことから、市場のセンチメントはここ数日上向きになっている。インフレの沈静化と金利の低下に加え、アメリカ経済が景気後退を逃れるという見通しが投資家を刺激し、ダウ工業株30種平均は12月中旬に最高値を更新した。
しかし、デントはいわゆるソフトランディングをはかない望みと切り捨て、FRBの利上げの影響が本格化する2024年には、深刻な経済的苦痛が訪れると予測している。
とはいえ、デントは以前から市場と経済に向けて警告を発してきたが、彼の破滅を運命づけるような言葉は否定されてきた。
例えば、彼は2022年8月に、ナスダック総合指数が数カ月のうちに40%以上下落し、8000ポイントを割り込むだろうと警告した。確かにハイテク株比率の高いこの指数は、その年の10月に1万300ポイントまで下落したが、その後上昇し、現在では1万5000ポイントを超えている。