渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

映画『ワイルド・ウエスト 復讐のバラード』(2017)

2023年12月27日 | open



本格的西部劇。
1889年。
無法時代の終焉と、それに伴う
「法の時代」への移行期の歪ん
だ権力を描く。
主人公は冴えない少し抜けてい
る老境の牧童だ。
だが、仲間を思う心と義侠心は
他の誰よりも澄んでいた。
そうした主人公が47年来の殺さ
れた友のために銃を取る。
最初は敵討ちのためだったが、
その殺人事件にはどす黒い権力
欲の真相が隠されていた。
親友であり雇い主でもあった
牧場主の殺害事件の犯人にされ
てしまった主人公は、真実を
訴える為よりも、友への弔い
のために立ち上がるのだった。

「カッコいいガンマン」が主人公
ではない西部劇だが、良作。
トミー・フラナガンが演じる主人
公レフティは、半世紀以上前の
イーライ・ウォーラックを彷彿
とさせる。イーライは悪役だった
が、この作品でのトミーは、朴訥
すぎる真面目な牧童を演じきって
いて好感がもてた。演技も巧い。

さあ。
年末年始には西部劇映画を観まく
ろうと思っている。
最低50本は観るつもり。
高校の時、S特進クラスの担任は
元早大社学同だった。私の人生に
一番大きな影響を与えた人物だっ
た。
その担任は「映画は年間200本観ろ」
と言った。
まだビデオもDVDも存在しない
時代にだ。
ほぼその数近くを観た。フィルム
センターや夜の文芸座や三百人劇
場や高校近くの「映画館」という
喫茶店で。
そして、何が見えたか。
見えないものが見えて来た。
見えない敵はまだ見えなかったが、
18才になる手前で見えて来たもの
はあった。
その担任は私が卒業すると同時に
うちの高校を見限って開成に転勤
した。副校長(教頭)にまでなっ
たようだ。早稲田文学の人だった。
その後、今世紀に入りネットで
愛知県の中高一貫進学校の校長
になったのを知った。
スヌーピーみたいな顔をした人
だった。
恩師だが、私が社会人になり、
二人で飲んでいても痛快だった。
理知的な広島県出身の人。
映画を観る事の喜びの薫陶は
彼から受けた。


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