秦家咀「M1093」墓で出土した竹笥(たかけ、竹行李)に入っていた楚簡。(資料写真、荊州=新華社配信)
【新華社武漢12月25日】中国湖北省文化・観光庁は、同省荊州市の秦家咀墓地で出土した戦国時代のかけ算九九表、楚簡「九九術」が、これまで最古とされた里耶秦簡「九九表」(湖南省里耶古城遺跡出土)より約1世紀古いことを確認したと発表した。
秦家咀墓地は東周時代(春秋戦国時代)の楚国の都城近郊にある邦墓(庶民の共同墓地)で、うち戦国時代中期の「M1093」墓から竹簡が大量に出土した。現時点で戦国楚簡(楚国の竹簡)の数量と文字数が最も多く見つかった墓となっている。
秦家咀墓地出土の楚簡「九九術」(左)と里耶秦簡「九九表」の対比図。(資料写真、荊州=新華社配信)
秦家咀墓地考古学プロジェクトの責任者、荊州博物館の楊開勇(よう・かいゆう)副館長は「M1093墓で見つかった九九表は、楚国で九九が使われていたことを証明した」と述べた。
楚簡「九九術」の竹簡は変形し、文字も不鮮明だったが、解読により「二:五七卅又五、四七廿又八、三七廿又一」の文字が判明。専門家が「九九術」と暫定的に命名した。
出土した楚簡を順番に並べる荊州市文物保護センターの職員。(資料写真、荊州=新華社配信)
「九九術」は先秦・秦漢時代の時点で既に算数の基礎知識となっていた。下級官吏の必修内容であり、人員や物資、資産の計算に使われた。
江漢大学人文学院の譚競男(たん・きょうだん)副教授は取材に対し、「荀子」「管子」など先秦・秦漢時代の典籍にも「九九術」の用例は引用されており、秦漢時代の文出土献にもさまざまな「九九術」が見つかっていると説明。秦家咀墓地で発見された「九九術」は、表現や書式、形式のすべてでこれまでのもとと明確な違いがあり、戦国時代の算術文献に対する認識を改める上で重要な意義を持つと語った。(記者/喩珮)