【マーケット動向】23年書籍市場 1桁台後半の減少に着地の見込み ヒット作の背景に「自己肯定感」
(2023/12/06)
2023年1月~11月の書籍市場の推定総売上金額は6585.3億円(前年同期比6.9%減)、推定総売上部数は6億2052.6万部(同10.5%減)となり、金額・数量ともに前年同期を下回った。区分別の金額では「BOOK」が4094.5億円(同6.4%減)、「コミック」が1846.3億円(同7.8%減)、「文庫」が644.5億円(同7.8%減)、数量では「BOOK」が2億6999.5万部(同9.3%減)、「コミック」が2億7040.1万部(同11.8%減)、「文庫」が8013.1万部(同10.4%減)となった。12月度の実績がまとまるのはこれからだが、社会現象ともなった「鬼滅の刃」シリーズ関連作の爆発的なヒットで、金額・数量ともに前年比プラスとなった20年以降、3年連連続で市場規模は縮小している。
※集計期間 ■23年度:23年1月~11月:23/1/9付~2023/12/4付(実質集計期間:22年12月26日~23年11月26日)、
■22年度:22年1月~11月:22/1/10付~22/12/5付(実質集計期間:21年12月27日~22年11月27日)
「2023年度 オリコン年間“本”ランキング」
売上部数の推移/平均価格/新刊のシェア
■【BOOK】TOP100、TOP500 売上部数の推移 漸減続く
TOP500、TOP100の売上部数を前年と比較すると、TOP100は前年比1.7%の微増となっているが、TOP500では前年比2.1%の微減となっており、コロナ禍の20年以降、上位作の売上も減少傾向であることが見てとれる。
※各年度の集計期間は文末に記載
■出版物の平均価格は上昇

また、左図はTOP500に入った書籍の平均価格の過去5年の推移を示したもの。5年で146円アップしている。とくに、昨年来の用紙値上げに伴い、出版物の価格も上昇していることから、2023年度は前年比5.7%増となっている。
そのうち、2023年度の新刊(対象年に刊行)に絞ると、221作の平均価格は1542円となった。
■ヒット作はヒットしたという理由でさらにヒットする傾向に
近年、ロングヒットする作が増加傾向にあるように感じるが、果たして上位作における新刊(対象年に刊行)の割合に変化はあるのだろうか。コロナ前の19年と比較したのが上グラフだ。23年はTOP500では新刊のシェアが44.2%(19年:45.8%)と微減しているものの大きな違いはないが、TOP100になると新刊の占有率が19年よりも7ポイント減少している。話題作の減少に加え、ヒット作はヒットしたという理由でさらにヒットする傾向が強まっているようだ。
「2023年度 オリコン年間“本”ランキング」TOPICS
【BOOK部門】年間1位『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』
幅広い世代に支持された理由は「自己肯定感」
『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに
暗算できる本』(小杉拓也 著/ダイヤモンド社)
このほど発表された「2023年度 オリコン年間“本”ランキング」(集計期間:2022/12/5付~2023/11/27付/実質集計期間:2022年11月21日~2023年11月19日)のBOOK1位は『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』(ダイヤモンド社/46.8万部)だった。「19×19」までの暗算をマスターできる本書は、“小学生向けの学習参考書”として企画されたが、自分のために購入する大人も多く、購入者の3割が60代以上と、幅広い世代に支持された。出版社によると、「新しいことができるようになり自己肯定感が上がった」「家族みんなで挑戦するために何冊も買った」という反響があったという。
2位は子どもの日常にありがちな“ピンチ”を、レベルとなりやすさで分類し、その打開策をユーモラスに描いた『大ピンチずかん』(小学館/42.8万部)。くすっと笑えて親子で楽しめると各メディアで紹介され、下半期に売上を大きく伸ばした。また、コロナ禍に一躍人気シリーズとなった「パンどろぼう」シリーズの第1巻『パンどろぼう』(KADOKAWA/28.5万部)が、今年も好調に売上を伸ばし、9位(前年17位/21.3万部)に入った。
児童書の読み手は子どもであっても、購入するのは大人たち。そういう意味で大人が読んでも納得感がある内容であれば、子どもに限らず大人にも訴求して、新たなヒット作を生み出す背景になっている。上記の作品は、そういった児童書の底力を発揮してヒットした作品と言えるだろう。
■MEGUMI『キレイはこれでつくれます』、美容・ダイエット本では久々の大ヒット
MEGUMI『キレイはこれでつくれます』
(MEGUMI著/ダイヤモンド社)
4位はMEGUMIの『キレイはこれでつくれます』(ダイヤモンド社/34.2万部)。10年間かけて1000種類の美容を試したなかで、本当に効くいいものだけを集めたというもので、スキンケアにとどまらず、バストケアやメイクアップ、ヘアケアまで多岐にわたる。継続すれば年齢を重ねてからでも美肌になれると、MEGUMI本人が自らの経験をもとに語っており、美容・ダイエット本としては、19年1月発売の『はじめてのやせ筋トレ』以来の大ヒットとなった。
■TOP10に雨穴、村上春樹、凪良ゆう人気作家の文芸作
前年はコロナ禍での収入減少や、物価上昇に伴う家計の先行き不安もあり、1位の『ジェイソン流お金の増やし方』(48.7万部/ぴあ)や両@リベ大学長『本当の自由を手に入れる お金の大学』(朝日新聞出版/35.0万部)など「お金や資産形成」の本が上位を占めたが、今年のTOP10には、5位の雨穴『変な絵』(双葉社/33.7万部)、6位の村上春樹『街とその不確かな壁』(新潮社/32.5万部)、7位の凪良ゆう『汝、星のごとく』(講談社/30.5万部)などの「文学・ノンフィクション」もランクインしている。
■『WBC2023 メモリアルフォトブック』がスポーツ関連本でヒット
『WBC2023 メモリアルフォトブック』
(世界文化社)
(C)『WBC2023 メモリアルフォトブック』
ジャンル別「写真集」では、元乃木坂46・齋藤飛鳥の『齋藤飛鳥写真集 ミュージアム』(講談社/17.6万部)が1位を獲得。2023/6/5付「オリコン週間BOOKランキング」で1位を獲得後、13週連続で写真集ジャンルTOP10入りを果たした。2位は『WBC2023 メモリアルフォトブック』(世界文化社/15.1万部)。ジャンル別「スポーツ関連本」では1位となり、「スポーツ関連本」の作品が15万部を突破するのは、17年度の長友佑都『長友佑都のヨガ友 ココロとカラダを変える新感覚トレーニング』以来6年ぶり、史上5作目となる。10位には、FANTASTICS from EXILE TRIBEのメンバー・八木勇征の『八木勇征1st写真集「CONTACT」』(ワニブックス/6.7万部)がランクイン。男性ソロ写真集としてはトップの売り上げとなった。
【コミック部門】年間1位『ONE PIECE 105』』
コミック作品別異色のスポーツ漫画『ブルーロック』
『ONE PIECE 105』
(C)尾田栄一郎/集英社
コミック部門では、人気コミック『ONE PIECE』105巻(集英社/191.2万部)が上半期に続き1位となった。昨夏のアニメ映画公開に続き、今年は実写版『ONE PIECE』がNetflixで配信されて大きな注目を集めた。
一方で、コミック売上を作品単位に集計した「コミック作品別売上」では、現時点でもっとも合計売上数が多いのは、18年より「週刊少年マガジン」で連載中の『ブルーロック』。ワールドカップ優勝を目指し、日本中からユース年代の有望なストライカーを集め、世界一のストライカーを養成する「ブルーロック(青い監獄)プロジェクト」を描いた内容だ。TVアニメ第1期(22年10月~23年3月)にワールドカップカタール大会での日本チームの活躍による盛り上がりを背景に、原作コミックの売上が跳ね上がっていった。
2位以下は『呪術廻戦』『ONE PIECE』『【推しの子】』『チェンソーマン』と人気アニメの原作が上位を占めている。
■2023年(対象期間:22年11月21日~23年11月19日) コミック 作品別売上(途中経過)
順位 | 合計売上数 | 作品名 | 著者名 | 出版社 | 商品数 |
---|
1 | 1052.7 | ブルーロック | (原作)金城宗幸/(画)ノ村優介 | 講談社 | 28 |
2 | 854.1 | 呪術廻戦 | (画)芥見下々 | 集英社 | 28 |
3 | 719.8 | ONE PIECE | (画)尾田栄一郎 | 集英社 | 143 |
4 | 541.3 | 【推しの子】 | 赤坂アカ,横槍メンゴ | 集英社 | 14 |
5 | 534.9 | チェンソーマン | (画)藤本タツキ | 集英社 | 16 |
オリコン年間“本”ランキング 集計期間
■ 23年度:集計期間:22/12/5付~23/11/27付(実質集計期間:22年11月21日~23年11月19日)
■ 22年度:集計期間:21/12/6付~22/11/28付(実質集計期間:21年11月22日~22年11月20日)
■ 21年度:集計期間:20/12/7付~21/11/29付(実質集計期間:20年11月23日~21年11月21日)
■ 20年度:集計期間:19/12/2付~20/11/30付(実質集計期間:19年11月18日~20年11月22日)
■ 19年度:集計期間:18/12/3付~2019/11/25付(実質集計期間:18年11月19日~19年11月17日)
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