異世界転移男の娘と異世界TS転生サキュバスさん
異世界転移して男の子がオークに追いかけられていたところウォーリア系サキュバスさんに助けられました。そのウォーリア系サキュバスさんはなんと異世界TS転生者だったのです……という感じの話。
過去作(消失)を復元改訂したものです。
- 4
- 5
- 78
Q. モテないオークの前にカワイイ女の子がいたらどうなりますか?
A. こうなります
「カワイ子ちゃんオイラとデートしよーーーっっ!!」
「来るなあぁぁあっっっっ!!」
木々が生い茂る森の中、僕はただひたすら逃げていた。
そりゃそうでしょ? いきなり森の中に迷い込んでいきなり緑のボディの巨体なブタ人間なやつが迫ってきたら誰だって逃げると思うのですよ。
そして緑のブタはこっちの拒絶なんぞお構いなしに迫ってくる。こっちの心境なんて微塵も考えちゃいない。
図体でかい割に走るのも早いし。腹出てるくせになんであんなに走るの早いのさ。
あれでしょ? あいつオークってやつでしょ? ファンタジー世界では定番なやつでしょ? 女の子捕まえてはヒェーなことするんでしょ?
追いつかれたら絶対あれやこれやな危険な目に合うのは間違いない。苗床エンドなんざお断りだ!
しかしこのままでは確実に追いつかれてしまう。僕も運動部所属ってわけじゃないから体力なんて人並だしスタミナ続かないし。
おまけに整地されたグラウンドなどではなく森の中の足場の悪い環境で早くは走れない。
さらに言えば今着ている服は運動着などではなくヒラヒラなミニスカワンピース。
靴だってヒールの高めなもので走るには圧倒的不向き。
一方で地の利はあっちにあるようで足場の悪さなんてものともしない。アイツ裸足のくせに痛くないのかよ?
とにかく追いつかれまいと必死だ。だから藁にもすがる思いで助けを求めていた。
「とにかく誰か助けてーーーーっっ!!」
そんな悲鳴が届いたのか、僕に助けがやってきた。
「破っっ!」
「ぐべぶらぁぁぁっっ!?」
突如として追いかけてきていたオークが真横に吹っ飛んだ。それはもう綺麗に吹っ飛んで森の木々をなぎ倒すレベルで。
木々をなぎ倒しゴロゴロと転がっていくオーク。その様子を見て、ようやく追跡が終わったと安堵し、僕も足を止める。
運動不足の僕には実に限界の出来事だった。荒い息を整える。
そしてオークを吹っ飛ばした、正確には蹴り飛ばしたのであろう存在に目を向けた。
「大丈夫か?」
「あ、はい……」
そう声をかけてくれた存在に、僕は目を奪われた。
女性だった。元々背の低い僕に対して頭一つ分ぐらい背が高い。そんな体格にきりっとした目つきがよく様になっている。
体格はオークを吹っ飛ばしただけあってがっちりしたもので、浮き出る筋肉が強さをにじませる。
その一方出てるとこは出ている。お尻太ももは肉付きがいいし、胸もまあ、すごくデカい。
さらには褐色の肌が余計に強さをにじませて見える。
そして……角が生えているのも。
ピンクのウェーブかかったロングヘアの間から黒い角が生えて、さらには耳も尖ってました。
あー、こちらも人間ではないのですかぁ。
「ぐ、ぐっ……だ、誰がオイラを……?」
おっと、吹っ飛ばされたオークがよろめき這いつくばりながらもこっちにやってきました。
死んではいなかったか。半死半生みたいではあるけれど、そのオークは自信を吹っ飛ばしたこちらの褐色美人を見て目を見開いた。
「ぬおっ!? 美人!!」
お前節操ないなぁ。ついさっきまで僕の事追い掛け回していたくせに。
が、それと同時にすぐに驚愕の顔になる。
「ま、待てよあんたまさか……あのネイキッド・ウォーリアー・サキュバスか!?」
なんかすごい名前が出てきた。ネイキッド……サキュバス?
あーやっぱり僕を助けてくれた人は人外なのですねぇ。しかもサキュバス。
で、そう呼ばれたサキュバスさんはというと……
「そのふざけた名前で呼ぶなっっ!!」
「ごふわはぁっ!?」
這いつくばってきた半死半生のオークを再び蹴り飛ばし、とどめを刺しました。
なるほど、痛い通り名で本人不服だったのか。しかしねぇ、その格好見たら呼ばれても仕方ない気がするのですよねぇ。
だって実際、僕を助けてくれたサキュバスさん……露出度めっちゃ高いじゃないですか。
腕はロンググローブでショルダーアーマー、足はロングブーツアーマーで戦闘モード抜群なのに肝心の胴体は露出過多。
いわゆるビキニアーマーってやつじゃないですか?
下はほぼ紐みたいな感じだし、胸に至ってはブラというよりモンスターの手がつかんでるみたいな形しているし。
これって何でしたっけ? 鷲掴みアーマーっていうんでしたっけ?
こんな格好していたらネイキッドなとかって呼ばれても仕方ないですよね。そしてウォーリアー……
「ぐぶぅぅっ、あ、安心しください。さすがにオイラもあなたを相手にしようと思ってませんからぁ」
これだけのダメージを受けているのにもかかわらずまだ動けるらしい、あのオーク。なかなかタフだなぁ。
そしてどこに安心できる要素があるのか。人を散々追い掛け回しておきながら。
「相手をするしない以前に俺はお前に用があるのだがな。なにせお前手配されているぞ」
などとオークに指名手配中であることを言い渡すサキュバスお姉さん。
とすると、このサキュバスお姉さんは冒険者的な何かかな? そしてこの指名手配されていたというオークを捕まえに来たと?
こいつどこまで悪いことしてんだ? やはり女の子捕まえては苗床にしていたということか? なんて悪辣な。
「通りがかる女性に手当たり次第モーションかけて付きまとう迷惑行為を繰り返しているらしいな」
なんだ、思ったより悪辣じゃなかった。ただのモテないオークによる迷惑防止条例違反だった。
しかし手あたり次第って節操なさすぎだろ。
「失礼な! 手あたり次第狙ってないぞ! オイラだってカワイ子がいいに決まってるしババアには手出ししないし!」
「なお悪いわ失礼だわ!!」
思わずツッコミ入れざるを得なかった。
そりゃ誰だって見た目イイ子がいいに決まってるが、こうも堂々と言い放つと腹立つわ。
「可愛い子ねぇ……お前はもう少し現実を見たほうがいいな」
「は?」
「ちょっといいか君」
「アッハイ」
モテないオークの迷惑行為にあきれたネイキッドなサキュバスさんがこっちに振り返る。
なんとなく察した。オークにわからせるためだろう、僕にこう尋ねた。
「君はその格好をしているが、男だろ?」
「え?」
「あ、はい。生物学的には男ですね」
「え?」
一切否定することなくはっきり返事する僕。ええそうです、ミニスカワンピースなカワイイ姿でオークに追いかけられましたが、僕は間違いなく男です。
そんなサキュバスさんの質問に偽りなく即答する僕を見て、オークは動揺を隠せないのでした。
「う……うわあぁぁぁっっっ!! 世の中は何て残酷なんだあぁぁぁぁっっ!!」
「その前にお前は世の中のルールに従ってお縄につけ」
流れるようにサキュバスさんは絶望するオークにとどめを刺したのでした。
うーん、とりあえずこのオーク「だましたお前を殺す」とか「もういっそ男でもいいや」などと言い出さないだけマシだな。