ポストする

会話

さて、昨日少し触れたスタートアップとNPOの界隈での人材獲得競争の話も後々できればいいなと思っているのですが、それはまた先の話として、ここからは大企業の話をしましょう。大企業もまた近年、社会課題への取り組みが強く求められてきました。これにはESG投資・インパクト投資の文脈や、SDGの登場、カーボンマーケットの取り組みなど色々な外部要因があるのですが、ここでは内部要因、特に事業開発の文脈を考えてみましょう。 そもそもの話をすると、大企業はカルチャー的に社会課題との相性がいいです。その規模感や出自(国営事業の民営化や、国づくりを意識した上での明治や戦後復興期での創業など)からも、社会インフラとして機能している事業体が多いためです。中で働く人も、パブリックマインドを持っている人が一定数いて、本来的に社会課題解決への志向性が高いのです。一方で創業世代がいなくなった後は新規事業開発が上手にできない、という悩みも共通して持っています。ゆえにこれまでCSRやメセナという形での社会課題への関与に限定されていたというのがあります。 新規事業開発において例外的にコメントされることが多いのがリクルートです。リクルートは創業者がいなくなった後も社内の事業コンテスト(RING)を中心に新規事業が多数生み出され成長してきたことで有名です。それゆえに、多くの大企業が新規事業開発の文脈でリクルートを見習おうとしました。社内起業コンテストブームの到来です。みなさんの会社にも、もしかしたらあるかもしれません。 しかしリクルートの持つ人材の新陳代謝を前提とした人事システムや、個々人の意思を問い続ける組織文化まで模倣できる企業は少なく、社内の新規事業コンテストのフォーマットをまねても同じようにうまくいくパターンは少なかったわけです。これらの経験を通して、大企業は社内で事業が生まれてくる組織風土を作るのは一朝一夕では難しいことを理解するようになりました。 そこにきた次の波が、大企業が自前でファンドを持ちベンチャーに投資していきつつ(CVC)、オープンイノベーションで事業シナジーを産んでいこう、そこから大企業の組織文化も変えていこうというタイプの事業開発・組織開発でした。このCVCとオープンイノベーションの組み合わせのコンセプトもまた、一つの流行として広がりました。このコンセプトはスタートアップと大企業が組む流れを上手に作るという意味でとても大きな意味があったと思います。他ならぬ我々リディラバも、このブームを通して大企業の皆さんとのお付き合いの仕方を学びました。私はこのタイミングになり初めて、稟議っていう言葉を知りました。 このCVC×オープンイノベーションの国内でのベンチマークとなったのがKDDIのオープンイノベーションファンドと∞ラボというインキュベーションの仕組みです。ここを入り口にベンチャーとの接点を持った大企業も多かったですし、スタートアップ側も同様でした。 ちなみに当時から社会問題に関係なさそうなプレイヤーに無節操に突撃し、求められてもいないのに社会問題について熱く語り出すというのが我々リディラバのポリシーでしたので、昨日のIVSに続きこの∞ラボというインキュベーションにも飛び込んでいました。これも2013年くらいのことだっと思います。学生枠というお情けで滑り込ませていただき、最終的には最優秀賞をいただきましたが、実はその時ですらも我々はビジネスプランが存在しておらず、お金を全然稼げないままでした。そのときKDDIの事業のレポートラインのトップにいたのが今の社長の高橋さんでして、同期にはLife is Techの水野さんや、まこなり社長がいたのも大変思い出深いです。 そんなわけで、オープンイノベーションとCVCの流れは大企業がスタートアップを取り込みつつその創業能力を学べないかという取り組みでもあったわけですが、そこで多くの大企業にとって新たなことがわかってきます。スタートアップや、ベンチャーは身近な課題を見つけて解決策を試行錯誤するのが大企業に比べてめちゃくちゃ早いのです。まぁよく考えれば当たり前なのですが、大企業の内部の人とは生活への危機感が違いますので、死に物狂いにやるわけです。 大企業の新規事業提案や社内コンテストの仕組みでは、小回りの効くベンチャーには身近な課題を基点とした事業立案は勝てない。勝ちやすい分野はどこだ?となったときに出てきたのが「社会課題」でした。 大企業にとってはインフラ的な役割を担うからこそ社会課題は相対的に身近であり、内部の人間性の志向性も合う。またマーケットは大きいが利幅が小さいので大きな投資が必要となり、ベンチャーが入ってきづらい。さらには官民連携などでも大企業の信用力が役に立つ。ちゃんと事業として立ち上げられうるのだとすれば、むしろこちらの方がいいのではないか? こういう推論が一部の大企業の新規事業開発の文脈に生まれてきました。これが大企業が社会的事業への意識を高めていくのを助けました。
10

Xを使ってみよう

今すぐ登録して、タイムラインをカスタマイズしましょう。
Appleのアカウントで登録
アカウントを作成
アカウントを登録することにより、利用規約プライバシーポリシーCookieの使用を含む)に同意したとみなされます。
トレンドはありません。