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「会見禁止」省庁は混乱 首相、「過剰反応」にブレーキ

2009年9月20日6時53分

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 鳩山政権が掲げた「官僚による記者会見の禁止」の方針をめぐって混乱が続いている。鳩山首相は18日、首相官邸に各省庁の事務次官を集め、「才能を発揮していただくための意思表示は大いに結構。必要に応じて思いを述べていただくことも自明のことだ」と述べ、官僚の「過剰反応」にブレーキをかけた。だが地方機関などの中には、会見できる政治家がいないのに会見をやめる動きも出ている。混乱の原因をたどると、省庁の広報担当者へ方針を伝えた際の「あいまいさ」に行き着く。

 外務省は18日付で、一度見合わせていた在外大使館での会見を再開。財務省も、中止は次官会見だけにとどめる。

 一方、沖縄県では25日の予定だった第11管区海上保安本部の定例会見が中止に。防衛省沖縄防衛局も内閣府沖縄総合事務局も、局長会見などを取りやめた。永田町から1500キロ離れ、官僚以外に情報発信できる人はいない。防衛局は「今後どうなるのかわからず、指示待ちだ」。

 トップが大臣ではない公正取引委員会も事務総長の会見を中止した。警察庁も今後は、長官の定例会見を中止し、中井洽国家公安委員長が会見を開くことになった。長官を同席させるという。

 各省庁の広報担当者に「会見禁止」の方針が伝えられたのは、16日午前10時過ぎ。

 内閣府で、内閣広報室の参事官が1枚のペーパーを配った。《府省の見解を表明する記者会見は、大臣等の「政」が行い、事務次官等の定例記者会見は行わない》

 広報担当者たちからは質問が相次いだ。「懇談やブリーフィングも含まれるのか」「地方での発表もうかがいをたてるのか」「個別の取材には応じてもいいのか」

 該当しないともいえない――当面は大臣の了解を得た方が無難――自粛した方がいいんじゃないか。担当者たちの話を総合すると、こうしたあいまいな答えが続き、「取材には、すべてノーコメントで通すことになる」と感じた人もいれば、「次官会見を除けば、ほぼ今まで通りでいい」と受け取った人もいた。

 省庁に戻っての対応も分かれた。国土交通省は、新聞・雑誌の取材対応も禁止の対象になりうるとのペーパーをまとめ、各課がどんな取材を受けているかを調べ始めた。一方、文部科学省は「事実関係の説明は従前どおり対応し、一律に取材拒否をしないように」との連絡を回した。

 民主党は、政治的なメッセージは責任を持つ政治家が発信すべきだと主張してきた。

 内閣広報室は「16日は、あくまでも基本的な姿勢を伝えるという趣旨だった。細かな部分は各省の判断になると強調した」としている。

 平野博文官房長官は18日の記者会見で「それぞれの役所で、ばらついている雰囲気はある。しかし、責任ある政治家がきちっと会見をするという基本方針は鳩山内閣では共通だ」と述べ、会見中止の対象は各大臣の判断に任せる考えを改めて示した。

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