訂正可能性の場――東浩紀『訂正可能性の哲学』(ゲンロン叢書、2023年)の第一部の議論を少々
哲学は、ついつい、絶対的な原理を求めてしまう。ここで「絶対的な原理」は、いかなる個別的条件にも依らず、つねに思考を正しい方向へ導く規則のようなものを意味する。そして現代の哲学者は《そんな規則はない》と知っている。いや、さらに言えば、《そんな規則はない》という認識が現代の哲学のひとつの出発点であり、この認識のもとで《絶対的かつ普遍的な原理を求めてしまう哲学の傾向性とどう付き合うのか》という問いが問われたりする。東浩紀の『訂正可能性の哲学』は、ひとつの読み方としては、この問いへ著