小笠原の大陸棚、12万平方キロ拡大 コバルト優先探査へ
岸田文雄首相は22日、小笠原諸島・父島の東側にある小笠原海台海域で大陸棚を広げると明らかにした。およそ12万平方キロメートルの海域が加わる。国連海洋法条約(UNCLOS)に基づき海底資源を優先的に探査できるようになる。
同地域の海底はコバルトやニッケルを含むコバルトリッチクラストが積み重なっているとされる。資源エネルギー庁が堆積量や含有割合の調査に乗り出す。コバルトは電気自動車(EV)のバッテリーに使用し、経済安全保障上の重要な鉱物にあたる。
首相は同日の総合海洋政策本部の会合で「関係国との調整が進捗したことから速やかに国内手続きを進めた」と説明した。大陸棚の範囲を定めた政令を2024年春をめどに改正する。
UNCLOSは治岸国の領海の基線から200カイリ(およそ370キロメートル)までを大陸棚と規定している。資源に関して探査、開発、採取などの優先権が及ぶ排他的経済水域(EEZ)と位置づける。
この範囲は地形的・地質的に陸とつながっていると認められれば「延長大陸棚」として沿岸国が200カイリを超えて設定できる。国連の大陸棚限界委員会の承認が前提になる。
小笠原海台海域は12年に同委員会から「延長大陸棚」として規定できると勧告を受けた。日本政府は10年ほど前から水域を接する米国と調整していた。太平洋を挟んだ米国側でも延長大陸棚を設定するための調査が並行していたためだ。