WSC #034 石長櫻子 Sakurako IWANAGA [植物少女園] 女性という立場からの「性差」という武器 ■石長櫻子はずるいと思う。 |
text by Masahiko ASANO |
いわながさくらこ●19XX年3月5日生まれ。北海道出身沖縄県在住。高校時代、『マクロス7』『新世紀エヴァンゲリオン』を通じてオタク趣味に開眼、立体物にも興味を抱き「好きなキャラクターのフィギュアを作ってみたい」と思い立つも、その方法がまったくわからずに困惑。友人から「だったらこれを読んでごらん」と『ガレキの翔』(島本和彦の熱血ガレージキット漫画)を手渡され、造形に関する(少し歪んだ)知識を同作品から習得することになる。その後、ファンド(造形用粘土)を使い習作を作成し続けていくうちに「誰かに作品を見てもらって評価されたい」という気持ちが芽生え、'03年[冬]、“ねこおろし”名義でワンフェスにディーラー参加を試みるも、持ち込んだ30個のキットがひとつしか売れずに一度は挫折。が、'04年[冬]より決意も新たにディーラー参加を再開、販売数も回を追うごとに上向きになり、俄然やる気が生じはじめる。'06年[冬]からは現在の“植物少女園”へ名義を変更、現在は、南の島の暑さにへこたれつつも、フィギュア造形をこの先の生業とすべく精進中である。 |
Webサイト http://shokuen.com/ |
WSC#034プレゼンテーション作品解説 |
花本はぐみ ※from TVアニメーション『ハチミツとクローバー』 ■商品販売価格 (※販売は終了しています。なお、このプレゼンテーション商品に関しては、版権元の意向に伴い一般販売は行いませんでした) 女性らしい繊細な作り……などと形容されがちな石長櫻子の作品は、じつはそれほど単純でスウィートなものではありません。その裏には、もっとおどろおどろしい彼女なりの信念や、「植物的で儚げな少女が好き」という想いなどが隠されていたりもするのですが、今回のプレゼンテーション作品“花本はぐみ”(TVアニメーション『ハチミツとクローバー・』より)に関して言えば、「女の子らしくてかわいい!」と素直にリアクションするのが正解かもしれません(ただしパーツ状態で眺めると、石長の植物的な少女への想いがダイレクトに感じられるはずですが)。 |
石長櫻子からのWSC選出時におけるコメント |
植物少女園という名前のように、動物というより植物っぽい陰のある感じで細くてポキッと折れそうな儚くてアンニュイな少女を作るのが好きなのですが、今回どちらかというと植物的少女から外れている感のある“はぐ”を作った理由はあまりにもはぐが可愛すぎて、原作漫画を読みながら登場人物の竹本君(19)といっしょに彼女に恋をしてしまったからなのです。感情移入しすぎですか。そうですか。 で、作ったわけですが、私が普段どうやってこういったフィギュアを作るのかというのを今回特別にお教えいたしますと、まず、可愛くなれと念じながら粘土をこねるのです。ひたすら可愛くなるようにと思いながら、あとは造形の神様に任せるのです。本当に神様がいるのかどうかはわかりませんが、そうやっているうちに気が付くと形になっているという寸法です。不思議ですね。途中、思ったような形にならないこともありますが、そういう場合は大暴れして神様にダメ出しをします。ここは本気で泣いて抗議をしないといけません。これも重要な工程のひとつなのです。私はまだまだ未熟者なので、上手く行かずに毎回ダメ出しをする羽目になるので大変です。 と、まあ、半分冗談みたいなことを書きましたが半分はほぼ実話です。話半分に聞いておいていただけるとありがたいです。え、じゃあ半分の半分だから1/4かー。って計算合ってるでしょうか?? 算数は苦手なんですよね。 |