完了しました
ダイハツ工業の車両の衝突試験を巡る不正は、国内外の全車種の出荷停止に追い込まれる異例の事態に発展した。短期間での開発を追求する経営方針で生じた現場のひずみが浮かび上がった格好だ。出荷停止は長期化する恐れもあり、業績の打撃となることは避けられない。
2016年にダイハツを完全子会社化したトヨタ自動車も、不正を生む体質を見抜けなかった。トヨタグループでは品質を巡る不正が相次いで判明しており、企業統治(ガバナンス)のあり方が問われる。
ダイハツで不正が確認された64車種のうち、3割超の22車種がトヨタブランドで販売されていた。第三者委員会の報告書は、不正が増えたのは14年以降と指摘したが、トヨタはこの頃からダイハツから供給を受ける商品を増やしていた。
1992年以降、ダイハツの社長は奥平氏も含めてトヨタ出身者が大半を占めている。トヨタの中嶋裕樹副社長は20日の記者会見で、「(トヨタへの)供給が増えたことが、現場の負担になっていたと認識できず、反省している」と述べた。トヨタは、自社の業績への影響については軽微だとしている。
トヨタグループでは22年3月、日野自動車で排ガスや燃費のデータを不正に測定していたことが判明した。日野の不正でもダイハツと同様に、過度なプレッシャーや現場任せが原因と指摘されている。今年に入ってからは、豊田自動織機と愛知製鋼も検査データの差し替えなどの不正を公表した。トヨタは一連の不正をグループ全体の問題と受け止め、再発防止に取り組む方針を示している。