2023.12.20
# ヘルスケア

人が「疲れる」のは「ウイルス」が原因だった…「お酒が好きな人」ほど注意が必要なワケ

週刊現代 プロフィール

疲労のメカニズムとは

まず大前提として、多くの人が混同しているのが、疲労感と疲労だ。普通、私たちが「疲れた……」と嘆きたくなる感覚は疲労感である。一方の疲労とは、疲労感の原因となる「身体の障害や機能低下」のことだ。

疲労感について、ナカトミファティーグケアクリニック院長の中富康仁氏が語る。
「たとえば睡眠不足のときに感じるのが疲労感です。睡眠不足によって疲れが回復しにくくなり、血管系の病気が悪化したり、心臓が止まって死に至ることもあります。

また、頭を使って作業したり座ったまま長時間仕事をして、集中力や判断力が落ちたときなどにも感じます。そんなときドアに足の小指をぶつけたりするのは、身体の機能が低下しているからです」

では、その疲労感はどこで生じているものなのか?

前出の近藤氏によると、脳の中である。体内でつくられた「炎症性サイトカイン」という物質が、脳に侵入することで生じるというのだ。

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「炎症性サイトカインとはその名の通り、体内の臓器や筋肉が熱を持ったり、腫れたりするなどの炎症が起きたときに、細胞から分泌されるタンパク質のことです。これまで行われた多くの実験から、それが疲労感をもたらすことはたしかだと考えられています」(近藤氏)

それでは、そんな疲労感に対して、身体の機能が低下する疲労とはどんな現象だろうか?

それは、タンパク質の合成を止めたり細胞死を引き起こしたりする、「統合的ストレス応答」によるものだという。

身体にストレスがかかった状態では正しいタンパク質をつくれず、がん細胞になるような変なタンパク質をつくる恐れすらある。それならば、タンパク質などつくらずに、じっとしているほうが身体にとって得策というわけだ。これが疲労のメカニズムである。

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