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松井市長 発言撤回せず 被爆者援護めぐる発言 批判「納得いかない」

■記者 金崎由美、野田華奈子

 広島市の松井一実市長が被爆者援護に関し「権利要求みたいに『くれ、くれ、くれ』じゃなくて」などと発言した問題で17日、被爆者団体からは批判が相次ぎ、市議会に波紋が広がった。松井市長は「ご迷惑を掛けました」と述べる一方、発言は撤回しなかった。

 松井市長は16日に被爆者と面会した際に「権利要求みたいに」のほか「黒い雨とか何とかで、わしは被爆じゃけえ医療費まけてくれとか」「『ありがとうございます』の気持ちを忘れる人がちょっとおる」と話した。

 これに対し広島県「黒い雨」原爆被害者の会連絡協議会の高野正明会長たちは17日、市役所を訪れ「『黒い雨』問題解明への努力に水を差し解決を妨害する」との抗議文を出した。日本被団協は「広島市長の言葉とは信じ難い、非情な、見識のない発言。全国の被爆者は満身の怒りをこめて撤回を求める」との事務局長談話を送った。

 この日午前は松井市長の所信表明が市議会定例会であった。終了後の各派幹事長会議では、市長が説明する場を緊急に持つよう意見が相次いだ。だが、市長選で松井市長を擁立した自民党系会派や公明党が23日からの一般質問で聞くべきだと反対し実現しなかった。  市議会の三つの会派は「心から謝罪を」「上から目線の発言は許しがたい」などとする抗議文を提出した。

 夜には、当初予定通り被爆者団体との懇談会があった。あいさつに立った松井市長は「発言が間違いだと言われるのは納得がいかない。被爆者援護は痛みや苦しみを多くの国民が分かち合う精神があってこそ。そういう気持ちを持つことが大切だ」と強調した。

 その上で「人に疑心暗鬼を持たせるようなことをするな、というなら考えなきゃいかん。国にはしっかり要望していく。お騒がせし、ご迷惑を掛けました」と述べた。

 その後、報道陣の取材に応じた松井市長は「(発言は)面会者に申し上げたわけで撤回の必要はない」「(趣旨を)理解してもらえず、むっとしている」と話した。一方、市議会本会議後の取材には自身の発言について「しゃべってしもうたな」と語っていた。

(2011年6月18日朝刊掲載)

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