エプスティーン元被告事件めぐる訴訟、ドイツ銀が約100億円支払い和解へ
米富豪ジェフリー・エプスティーン元被告(故人)をめぐる性的人身売買疑惑で、元被告側を手助けしたとして訴えられていたドイツ銀行が、被害を訴えた女性に7500万ドル(約100億円)を支払って和解することに合意した。17日に明らかになった。
この訴訟は、英語圏の事件や裁判の資料などで一般的に使われる仮名「ジェーン・ドウ」で呼ばれる女性が、自分を含め、エプスティーン元被告による性的虐待の被害を訴える女性たちを代表し、昨年11月にニューヨークで集団訴訟として起こした。
女性はドイツ銀行について、エプスティーン元被告の口座が虐待のために使われていると知りながら、元被告と取引を続けたと主張。「エプスティーンによる性的人身売買の便宜を図れば、数百万ドルを稼げる」と分かっていたため、「法令順守よりも利益を選んだ」とした。
女性はまた、自らも元被告に約15年間にわたり虐待されていたとした。そして、元被告の友人らに売り渡され、性的行為の対価として現金を受け取っていたとした。
ドイツ銀行はBBCに、この件についてのコメントを拒否した。
和解金は、女性数十人への賠償金に充てられる見通し。
ドイツ銀は直接コメントせず
原告女性側の法律事務所の一つ、エドワーズ・ポッティンジャーは今回の結果について、「銀行が関わった性的人身売買事件の和解としては米史上最大規模とみられる」とした。
そして、「この和解により、ジェフリー・エプスティーンの加害を生き延びた数十人はようやく、私たちの社会システムへの信頼を回復させることができる。エプススティーンの性的人身売買を助長したすべての個人と組織が、最後は責任を問われると分かるからだ」と付け加えた。
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ドイツ銀行はこれまで、訴えを棄却するよう求めていた。
ドイツ銀行の広報担当ディラン・リドル氏は18日、和解についてのコメントを避けた。だが、「過去の多くの問題を修復するうえで大きく前進した」と述べた。
リドル氏はまた、同行が管理、研修、業務プロセスの改善に40億ユーロ(約5960億円)以上を投資したと説明。金融犯罪に対処する専門チームを増員したと話した。
エプスティーン元被告は2019年8月10日、ニューヨークの拘置施設で、性的人身売買罪での裁判を前に死亡した。保釈は認められていなかった。
この時点で元被告は、未成年に売春を持ちかけた罪で有罪判決を受け性犯罪者として登録されてから10年以上がたっていた。