コロナ禍では“一人勝ち”
たしかにマクドナルドは、コロナ禍で多くの飲食チェーンが伸び悩むなか、業績を落とすどころか上昇させ、“一人勝ち”のように思える時期もあった。実際にマクドナルドHDは、売上高が20年12月期の2883億円から22年12月期には3523億円へと上がっており、23年12月期も3790億円の業績予想で上方修正となっている。
「ファミレスや居酒屋は、基本的にイートインスタイルの業態ですので、コロナによって多くの飲食チェーンで業績悪化の傾向が見られました。マクドナルドもコロナ禍初期こそ客数を減らしていましたが、イートイン、テイクアウト、デリバリーと3つのインフラを用意し、多くの客が利用する手段を確保できていたので他社ほど売上に影響は出なかったと考えられます」
競争が熾烈になる可能性も
コロナ禍でも上手く立ち回れたマクドナルドだが、コロナの影響が薄れ、飲食業界に客足が戻ってきた現在ではまた違った状況になりつつある。
「ファミレスや居酒屋にも多くの客が足を運ぶようになり、回復傾向にある店舗も多いです。そして、マクドナルドの現在の価格帯では、従来想定していた競合よりも上の価格帯の飲食店を相手にしなくてはいけなくなるので、さらに競争が熾烈になる可能性があります。
マクドナルドは、引き続き高単価路線を進めていくつもりでしょう。原材料の大部分を輸入に頼っているマクドナルドは、円安の影響をモロに受けてしまうので、低価格に戻すためには為替レートが変わるのを待つしかないからです。そのうえ人件費のことも考えると、今後も値段を上げて戦うしかないのだと考えられます」
ビッグマックセットが750円ということを踏まえると、牛丼やうどんといった低価格の飲食チェーンよりも、ラーメンやカレーライスなど少し高めの飲食店を相手に商売することになる。そうなると、今後ますますマクドナルドの客数が減るという状況も考えられるだろう。