それは鉄道趣味にも似て
ラーメン界隈(かいわい)は、「至高の一杯」とか言って究極のラーメンを求める向きもいる。自分も食べ歩いているうちに、なんとはなしに「至高の一杯があるなら食べてみたいものだ」とか考えるようになったのだが、ちょっと待て。
「ラーメンはどこまでいってもラーメン」なのである。
ラーメンにいくら美味を求めても、そしてどんなにおいしいラーメンでも、それはラーメンというフレームワークから出るものではないのだ。
食べ物はラーメンだけではない。ラーメンの美味にこだわっていては、ラーメンというフレームワークの外側にある美味を食べ損ねてしまう。
美味はラーメンだけにあらず。カレーもあるしハンバーグもあるぞ!……っとまた、お子様舌に落っこちてしまっては元も子もないが、とにかく食の世界はラーメンオンリーよりずっと広い。ラーメンだけにこだわる人生もありだが、自分はもっと広く色々なものが食べたい。
このように考えた結果、私のラーメン食べ歩きは終了した。が、疑問は終わらない。
では、「なぜ人はラーメンにこだわるのか」、あるいは「なぜラーメンばかりにこだわる人が一定数存在するのか」。
ラーメンの楽しみの根底には、フォーマットが決まっているということがある。
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この記事はシリーズ「松浦 晋也の「チガサキから世間を眺めて」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
7件のコメント
アビオエンジニア
ヒラ取締役
生きているうちに「それでも地球は動く」に相当するラーメン(じゃないかもしれない)に巡り合えるといいなぁ...。
uzo-muzo
元エンジニア
ワシ、元半導体エンジニア。
"おおラーメン食べ歩き。なんと根源的で高尚な趣味"って、ただの物好きですヤン。 変な趣味人が出演する"マツコの知らない世界"を観ると、確かに物好きも突き詰めると、"出過ぎた杭は打たれない"って思うワ。
栗
>科学とラーメンはかくも似ている
と言うより、どんな対象も、客観的に仮説を検証しようとすれば、全て、科学的になるというだけでしょう
(そもそも、事実に基づき、仮説を客観的に検証しようと営みが、科学の定義みたいなもの)
>ラーメンだけにこ
だわる人生もありだが、自分はもっと広く色々なものが食べたい。
...続きを読む私もラーメンは好きで(経済的な理由もあって)昔は大分いろいろ食べ歩きましたが、それだけにこだわることはなかったですね。
(今もよく食べに行きますし)
また別に科学的に検証しようとは思いませんが、口コミやレビューは店選びの参考にしています
栗
>カイヨワによる遊びの分類に触れたことがあった。「アゴン(闘争)」「アレア(偶然)」「ミミクリ(まね)」「イリンクス(めまい)」である。この中には「集める、調べる、分類する、知り尽くす」は入っていない
それが本当だとしたら
単にカイヨワの
「遊び」の定義が間違っているだけでは?
...続きを読む遊びの中で、探検ほど面白いものはないと昔から思っています
そして科学は、まさに遊びの王道でしょう
Woo
コメントには優しさを
>これらすべて「他人の顔色を気にしない」というところで共通しているからだ。
そこに着地しましたか!
そう、トレンドとか主流とか権力とかに左右されないのが科学。
他人の顔色を気にできない私は社会人失格だけどねw
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